JP6403809B2 - 安定化させた凍結乾燥物質を作製するための方法 - Google Patents

安定化させた凍結乾燥物質を作製するための方法 Download PDF

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Description

本出願は2014年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/013,695号の恩典を主張し、その全体は参照により本明細書に組み入れられる。
1. 発明の分野
本発明は、一般に分子生物学、免疫学、組換えDNA技術、および核酸増幅の分野に関する。より具体的には、本発明は、ワックス成分を含む凍結乾燥させた生物学的試薬およびそのような試薬の使用に関する。
2. 関連技術の説明
大部分の生物学的試薬は、本質的に外気温において不安定である。凍結乾燥(フリーズドライ)は、生物学的試薬を室温で長期間貯蔵できるようにこれを安定化させるために使用され得る1つのアプローチである。凍結乾燥させた生体分子を安定化させるために、糖、タンパク質、ポリマー、緩衝液、および界面活性剤などの賦形剤を添加することができる。例えば、Croweらは、糖による乾燥脂質二重層およびタンパク質の安定化を記載しており (Biochem. J. 242: 1-10 (1987)(非特許文献1))、また「The trehalose myth revisited: Introduction to a symposium on stabilization of cells in the dry state」Cryobiology 43, 89-105 (2001) (非特許文献2)において細胞のトレハロース安定化の機構の理解を概説している。生物学的試薬を凍結乾燥すると、水分含量が非常に低い (<5%) 物質が生じ、乾いた状態で貯蔵されなければ、凍結乾燥物質の機能性は損なわれる。乾燥貯蔵条件の達成は、補助的な貯蔵容器、真空密封、または低湿度の貯蔵施設もしくはチャンバーの使用を含み得る。しかしながら、これらの貯蔵機構は厄介であり得る。したがって、外界の温度および湿度において貯蔵できる、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的組成物の必要性が存在する。
Crowe et al., Biochem. J. 242: 1-10 (1987) Crowe et al., 「The trehalose myth revisited: Introduction to a symposium on stabilization of cells in the dry state」Cryobiology 43, 89-105 (2001)
第1の態様において、少なくとも1つの生物学的試薬を含む凍結乾燥ペレットを含む、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の組成物が提供され、ここで該ペレットはワックス成分で被覆されているか、または該ペレットにワックス成分が含浸されている。驚くべきことに、ワックスは凍結乾燥ペレットに悪影響を及ぼすのではなく、むしろ凍結乾燥ペレットによる吸湿を減少させるかまたは防ぐことによって凍結乾燥ペレットを保護することが見出された。さらに、PCRなどのある特定の適用に関して、ワックスは、凍結乾燥ペレットから溶け出し、水性PCR溶液の上部で層を形成した後に蒸発バリアとして働くことにより、付加的な利点を提供する。
ある特定の局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の異なる生物学的試薬を含む。ある特定の局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、チューブまたはウェルなどの入れ物中に提供される。チューブは、例えばPCRチューブであってよい。ウェルは、例えばマルチウェルプレートのウェルであってよい。好ましくは、チューブまたはウェルは、プラスチックのような実質的に非反応性の材料から構成される。なおさらなる局面において、各ペレットがプレートの別個のウェルに配置されているような、本態様の複数の凍結乾燥ペレットを含むプレートが提供される。
したがって、本態様のいくつかの局面は、本態様の凍結乾燥ペレットを被覆するかまたは凍結乾燥ペレット中に含浸されるワックス成分に関する。いくつかの局面において、ワックス成分は、動物、植物、鉱物、もしくは石油由来のワックス、またはそのようなワックスの混合物を含み得る。なおさらなる局面において、ワックスは精製ワックスまたは合成ワックス(例えば、ポリエチレンワックスまたは化学修飾ワックス)を含み得る。例えば、本態様の組成物は、蜜蝋、いぼた蝋、またはシェラックなどの動物蝋を含み得る。さらなる局面において、組成物は、ヤマモモワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、キャスターワックス、エスパルトワックス、木蝋、ホホバ油ワックス、オーリキュリー (ouricury) ワックス、米ぬかワックス、大豆ワックス、またはナンキンハゼワックスなどの植物由来ワックスを含む。なおさらなる局面において、ワックス成分は、ミネラルワックス(例えば、セレシンワックスまたはオゾケライト)または石油ワックス(例えば、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ドコサン、シリコンワックス、Chill-out(商標)ワックス、またはワセリン)を含み得る。当業者は、ワックスが、複数の異なる炭化水素分子もしくは置換炭化水素分子からなり得るか、または本質的に1種類の分子から構成され得ることを認識するであろう。ある特定の好ましい態様において、ワックスは貯蔵条件下で(例えば、室温において)固体であり、関連する生物学的/化学的反応中の少なくとも1つの温度において液体である。例えば、凍結乾燥ペレットが50℃での逆転写反応用の試薬を含む場合、ワックスは、好ましくは50℃よりも低いが、凍結乾燥ペレットが貯蔵される温度よりも高い融解温度を有する。このようにして、ワックスは反応温度まで加熱された場合に、凍結乾燥ペレットから溶け出し、試薬が再水和できるようになる。より高い融解温度を有するワックスを使用することもできるが、ワックスを凍結乾燥ペレットから分離させるために、最初に反応温度よりも高く加熱してから、より低い温度で反応を進める必要がある。
さらなる局面において、ワックス成分(本態様の凍結乾燥ペレットを被覆するかまたはこれに含浸する)は、少なくとも2つ、3つ、もしくは4つの異なるワックスの混合物、または少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのワックスおよび少なくとも1つ、2つ、もしくは3つのオイルの混合物から構成される。いくつかの局面において、ワックス成分は、ドコサンおよびポリジメチルシロキサン (PDMS) オイルから構成される。例えば、いくつかの局面において、ワックス成分は、体積で約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%のドコサン、またはその中で導き出せる任意の範囲、および残りの分のPDMSオイル(すなわち、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、もしくは90% PDMSオイル、またはその中で導き出せる任意の範囲)を含み得る。任意で、ワックス成分は、ドコサン、パラフィン、およびPDMSオイルを含み得る。例えば、いくつかの局面において、ワックス成分は、体積で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、もしくは35%のドコサン、またはその中で導き出せる任意の範囲;体積で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、もしくは35%のパラフィン、またはその中で導き出せる任意の範囲;および残りの分のPDMSオイルを含み得る。いくつかの局面において、ワックス成分はドコサンおよびミネラルオイルを含む。例えば、いくつかの局面において、ワックス成分は、体積で約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、もしくは50%のドコサン、またはその中で導き出せる任意の範囲、および残りの分のミネラルオイル(すなわち、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、もしくは90% PDMSオイル、またはその中で導き出せる任意の範囲)を含み得る。任意で、ワックス成分は、ドコサン、パラフィン、およびミネラルオイルを含み得る。例えば、いくつかの局面において、ワックス成分は、体積で約5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、もしくは35%のドコサン、またはその中で導き出せる任意の範囲;体積で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、30%、もしくは35%のパラフィン、またはその中で導き出せる任意の範囲;および残りの分のミネラルオイルを含み得る。
本態様に従って使用するためのある特定のワックス成分は、これらに限定されないが、(体積パーセントで)(1) 25〜35%ドコサンおよび65〜75% PDMSオイル;(2) 10〜45%ドコサン、5〜35%パラフィン、および25〜75% PDMSオイル;または (3) 10〜45%ドコサン、25〜55%パラフィンワックス、および25〜40%ミネラルオイルを含む。本態様に従って使用するためのいくつかの特定のワックス成分は、これらに限定されないが、(体積パーセントで)(1) 30%ドコサンおよび70% PDMSオイル;(2) 15%ドコサン、15%パラフィン、および70% PDMSオイル;(3) 42%ドコサン、28%パラフィン、および30% PDMSオイル;(4) 38.5%ドコサン、31.5%パラフィン、および30% PDMSオイル;(5) 22.5%ドコサン、7.5%パラフィン、および70% PDMSオイル;または (6) 20%ドコサン;10%パラフィン、および70% PDMSオイルを含む。
ある特定の局面においては、パラフィンワックス、ドコサン、およびミネラルオイルなどの、ワックスとオイルの組み合わせが使用され得る。例えば、パラフィンワックス、ドコサン、およびミネラルオイルは、30:40:30または50:15:35の比率で組み合わせることができる。ワックスの混合物を最初に作製し、次いで混合ワックスペレット(例えば、これは次に加熱により融解される)として凍結乾燥物質に添加することができる。ワックスの混合物はまた、最初に融解させ、次いで凍結乾燥物質の上部に添加することもできる。
さらなる局面においては、ドコサンおよびミネラルオイルなどの、ワックスとオイルの組み合わせが使用され得る。ミネラルオイルは、いくつかの局面において、ワックスで被覆された凍結乾燥ケーキの上部に添加することができる。例えば、少なくとも1μLのオイルを、ワックスで被覆された凍結乾燥ケーキの上部に添加することができる。さらなる局面においては、約5〜15μLのオイルが、ワックスで被覆された凍結乾燥ケーキの上部に添加される。
なおさらなる局面においては、1つ目のワックスが室温で固体であり、2つ目のワックスが室温で液体である、2層ワックスが使用され得る。例えば、ドコサンワックスを凍結乾燥物質の上部に添加し、次いで融解させて、ワックスが含浸されたlyoケーキを作製することができる。さらなる局面においては、Chill-out(商標)ワックスのような、室温未満(例えば、14℃未満)で固体であり室温で液体であるワックスが、ワックスが含浸されたlyoケーキの上部に添加され、それによって液体ワックスがlyoケーキの周りに密封を形成できるようになる。
いくつかの局面においては、1つ目のワックスが室温で液体であり、2つ目のワックスが室温で固体である、2層ワックスが使用され得る。例えば、Chill-out(商標)ワックスのような、室温未満(例えば、14℃未満)で固体であり室温で液体であるワックスを、凍結乾燥物質の上部に添加して、lyoケーキに含浸させることができ、次いでドコサンワックスを上部に添加し、融解させて、lyoケーキおよび液体ワックスの上に密封を形成することができる。
なおさらなる局面においては、2層密封アプローチが使用され得、この場合、ミネラルオイル(ワックスよりも高密度の物質)が凍結乾燥物質の上部に添加され、その結果としてこれはlyoケーキに含浸し、次いでドコサンワックス(オイルよりも低密度の物質)が上部に添加され、融解されて、lyoケーキおよびミネラルオイルの上に密封を形成する。
ある特定の態様において、ワックスは、およそ5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、または40℃とおよそ40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、または85℃との間の融点を有するワックスである。ワックスの融解温度は容易に入手可能であり、および/または容易に決定されるため、当業者は、所与の適用に対して、適切な融解温度を有するワックスを選択することができる。好ましい局面において、本態様に従って使用するためのワックスは、水性液体の比重よりも小さい比重を有する。なおさらなる局面において、ワックスと湿潤(すなわち、凍結乾燥前の)試薬との、またはワックスと凍結乾燥ペレットとのv:v比は、1:5〜5:1、1:4〜4:1、1:3〜3:1、または1:2〜2:1である。好ましい局面において、ワックス成分の試薬に対する量は、1:4を上回るかまたは1:3を上回る(例えば、1:2.5を上回る)。
なおさらなる局面において、本態様の凍結乾燥ペレットを含む組成物は、約10%よりも低い水分含量を有する。例えば、水分含量は、5、4、3、2、または1%よりも低くてよい。ある特定の局面において、水分含量は約0.1%〜5%である。
したがって、本態様のある特定の局面は、凍結乾燥ペレット中に含まれる生物学的試薬などの生物学的試薬に関する。いくつかの局面において、生物学的試薬は、DNA、cDNA、またはRNA(例えば、メッセンジャーRNA (mRNA)、低分子干渉RNA (siRNA)、マイクロRNA (miRNA)、または低分子ヘアピン型RNA (shRNA))などのポリヌクレオチドである。なおさらなる局面において、生物学的試薬はポリペプチドである。いくつかの局面において、生物学的試薬は治療用試薬またはアッセイ試薬である。好ましい局面において、本態様の生物学的試薬は、酵素、リガンド、または抗体などのポリペプチドである。ある特定の局面において、酵素は、DNAメチルトランスフェラーゼ、または例えばDNase、RNase(例えば、RNase A、RNase H(またはRNaseH-2)、RNase I、RNase III、RNase L、RNase P、RNase PhyM、RNase T1、RNase T2、RNase U2、またはRNase V)、エキソヌクレアーゼ、もしくは制限エンドヌクレアーゼ(例えば、メチル化感受性制限エンドヌクレアーゼ)などのヌクレアーゼであってよい。さらなる局面において、酵素は、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、または逆転写酵素などのポリメラーゼである。いくつかの具体例において、酵素はTaqポリメラーゼまたはKlenowポリメラーゼである。さらなる例において、生物学的試薬はリガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼ)である。
本態様のさらなる局面において、凍結乾燥ペレットは、緩衝液、塩、標識、および/または酵素補因子などの付加的な成分を含み得る。例えば、ある特定の局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、鋳型核酸分子(および水)を除いて、ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) または逆転写PCRを行うために必要とされる成分のすべてを含む。いくつかの局面において、凍結乾燥ペレットは、少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーまたは少なくとも1つのプライマー対をさらに含み得る。なおさらなる局面において、凍結乾燥ペレットは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のプライマーまたはプライマー対(例えば、多重PCR反応を行うための)を含む。ある特定の局面において、凍結乾燥ペレットは、緩衝液(例えば、HEPES、MES、MOPS、TRIS、またはBIS-TRISプロパン)、および/またはヌクレオシド三リン酸 (NTP)(例えば、dATP、dGTP、dCTP、TTP、UTP、またはそれらの組み合わせ)をさらに含み得る。ある特定の局面において、凍結乾燥ペレットは、少なくとも第1の修飾NTP、例えば、イソ塩基(例えば、イソ-Gまたはイソ-C)、標識ヌクレオチド(例えば、ダブシクル (dabcycl) diGTP、ビオチン-diGTP、フルオロ標識ヌクレオチド、またはクエンチャー標識ヌクレオチド)などをさらに含む。
さらなる局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、少なくとも1つの標識(すなわち、核酸配列などの分子の検出を容易にする分子)を含む。例えば、標識は、ヌクレオチドまたはインターカレート色素に共有結合させることができる。本態様に従って使用され得る多くの標識分子が公知であり、これには非限定的にフルオロフォア、発色団、およびラジオフォア (radiophore) が含まれる。フルオロフォアの非限定的な例には、赤色蛍光スクアリン (squarine) 色素、例えば2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートなど、赤外色素、例えば2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,-3-ジオキソレートなど、または橙色蛍光スクアリン色素、例えば2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレート (diololate) などが含まれる。フルオロフォアの付加的な非限定的な例には、量子ドット、スルホン化クマリン、ローダミン、キサンテン、またはシアニン色素(例えば、Alexa Fluor(商標)色素)、アミノメチルクマリン (AMCA)、ボロン-ジピロメテン(BODIPY(商標))、シアニン(Cy2(商標))、または例えばインドカルボシアニン(Cy3(商標))もしくはインドジカルボシアニン(Cy5(商標))などのシアニン誘導体、DNAインターカレート色素、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM(商標))、フルオレセイン、ホスホラミダイト(HEX(商標))、6-カルボキシ-4',5'-ジクロロ-2',7'-ジメトキシフルオレセイン、スクシンイミジルエステル(6-JOE(商標))、これらに限定されないがフィコエリトリンおよびアロフィコシアニンを含むフィコビリンタンパク質、ローダミン由来色素、テトラメチルローダミン、またはキサンテン誘導体(例えば、Oregon Green(商標)またはTexas Red(商標))が含まれる。いくつかの局面においては、蛍光シグナルを増強するために、チラミド (PerkinElmer) などのシグナル増幅試薬が使用され得る。本態様に従って使用するために企図される間接的標識分子には、非限定的にビオチンが含まれ、これは検出のためにストレプトアビジン-フィコエリトリンなどの別の分子に結合させなければならない。また、蛍光共鳴エネルギー移動対または色素-クエンチャー対などの標識対を用いることもできる。
いくつかの局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、糖(例えば、単糖、オリゴ糖、または多糖)または糖の混合物をさらに含む。ある特定の局面において、糖は、スクロース、グルコース、ラクトース、トレハロース、アラビノース、ペントース、リボース、キシロース、ガラクトース、ヘキソース、イドース、マンノース、タロース、ヘプトース、フルクトース、グルコン酸、ソルビトール、マンニトール、メチルα-グルコピラノシド、マルトース、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、ラクトン、ソルボース、グルカル酸、エリトロース、トレオース、アロース、アルトロース、グロース、エリトルロース、リブロース、キシルロース、プシコース、タガトース、グルクロン酸、ガラクツロン酸、マンヌロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、ノイラミン酸、アラビナン、フルクタン、フカン、ガラクタン、ガラクツロナン、グルカン、マンナン、キシラン、レバン、フコイダン、カラゲナン、ガラクトカロロース (galactocarolose)、ペクチン、ペクチン酸、アミロース、プルラン、グリコーゲン、アミロペクチン、セルロース、デキストラン、シクロデキストリン、プスツラン、キチン、アガロース、ケラチン、コンドロイチン、デルマタン、ヒアルロン酸、アルギン酸、キサンタンガム、もしくはデンプン、またはこれらの糖の2つもしくはそれ以上の組み合わせである。いくつかの特定の局面において、糖はトレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、ラフィノース、またはそれらの組み合わせである。糖の例示的な組み合わせには、非限定的に、トレハロースおよびデキストラン、マンニトールおよびデキストラン、またはトレハロースおよびマンニトールが含まれる。例えば、ある特定の局面において、凍結乾燥ペレットは、生物学的試薬および約1体積%〜約30体積%の糖(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または15%の糖と約20、21、22、23、24、25、26、27、29、または30%の糖との間)を含む水性混合物から形成される。ある特定の具体的局面において、凍結乾燥ペレットは、約1〜10%トレハロースおよび/または約1〜10%デキストラン(例えば、約5%トレハロースおよび約5%デキストラン)を含む水性混合物から形成される。
なおさらなる局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、安定剤(例えば、ウシ血清アルブミン (BSA) またはゼラチンなどのタンパク質安定剤)をさらに含む。ある特定の具体的局面において、本態様の凍結乾燥ペレットは、約0.1〜約1.0 mg/mlの、BSAなどのポリペプチド安定剤を含む水性混合物から形成される。例えば、ペレットは、約0.5 mg/mlのBSAを含む水性混合物から形成され得る。
いくつかの局面において、ワックス安定化凍結乾燥ペレットは、少なくとも1つの固体物体をさらに含み得る。固体物体は、ワックスの融解後にワックスと水層の反転を容易にする上で、および/またはワックスの融解後に凍結乾燥試薬を水溶液中に混合するもしくは分散させる上で有用であり得る。固体物体は、ワックス安定化凍結乾燥ペレットの上部に、ワックス安定化凍結乾燥ペレットの下部に、またはワックス安定化凍結乾燥ペレットの内部にさえも配置することができる。いくつかの局面において、固体物体は、凍結乾燥ペレットに付随しているワックス中に包埋することもできる。固体物体は、例えば、球状(すなわち、「ボール」)、円盤状、または棒状であってよい。固体物体は、好ましくは、凍結乾燥ペレット中の生物学的試薬のために意図される反応条件に対して不活性である物質で作られているか、または少なくともそのような物質で被覆されている。ある特定の局面において、固体物体は、セラミック、ガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエテン、ポリプロピレン、ネオプレン、ポリ(テトラフルオロエチレン))、または金属(例えば、ステンレススチール)を含み得る。1つの態様において、固体物体は、その表面から遊離鉄または他の含有物を除去するために不動態化されたステンレススチール物体である。ステンレススチールは、例えば、表面から遊離鉄または他の含有物を取り除き、ステンレススチールを腐食から保護する均一な天然の酸化被膜を形成する、一連の酸浴によって不動態化され得る。ある特定の局面において、固体物体は、磁性を有するかまたは磁気応答性である。ワックス安定化凍結乾燥ペレットと共に固体物体を含める目的が、ワックスと水層の反転を容易にするため、および/または凍結乾燥試薬を水性溶液中に混合するためである場合、固体物体は、入れ物のサイズおよび形状を考慮して、これらの機能を達成するのに適切なサイズのものであるべきである。ある特定の局面において、固体物体は、約0.5 mm〜約5 mmまたは約1 mm〜約2 mmという直径または最長寸法における長さを有し得る。いくつかの局面において、水性液体は、固体物体よりも小さい比重を有し得る。別の局面において、水性液体は、固体物体よりも大きい比重を有し得る。
さらなる態様においては、以下の段階を含む、酵素反応を行う方法が本明細書において提供される:(a) 酵素基質を含む水性液体と、本態様によるワックス被覆(または含浸)凍結乾燥ペレットとを容器中で混合する段階であって、ワックス被覆凍結乾燥ペレットが酵素を含む、段階;(b) ワックスを融解させる段階;および (c) 酵素反応にとって好ましい条件下で混合物をインキュベートし、それによって酵素反応を行う段階。1つの局面において、本方法は、段階 (c) の前におよび/またはそれと同時に、反応溶液を混合する段階をさらに含み得る。場合により、混合段階は、容器(例えば、チューブまたはウェル)の撹拌による、超音波処理による、ピペット操作による、または容器中のワックスの移動(例えば、ワックスの融解時のワックスと水層の反転による)もしくは固体物体の移動(例えば、重力または磁気引力による)によるものであってよい。
なおさらなる態様においては、以下の段階を含む、PCRまたは逆転写PCRを行う方法が本明細書において提供される:(a) 核酸および任意で1つまたは複数の付加的なRT-PCRまたはPCR試薬を含む水性液体と、本態様によるワックス被覆(または含浸)凍結乾燥ペレットとを容器中で混合する段階であって、ワックス被覆凍結乾燥ペレットが、水性液体中に提供されない任意のRT-PCRまたはPCR試薬を含む(ただし、ワックス被覆凍結乾燥ペレットが、水性液体中に存在しない少なくとも1つのRT-PCRまたはPCR試薬を含むという条件で)、段階; (b) ワックスを融解させる段階; (c) 任意で、少なくとも1サイクルの逆転写を行う段階、ならびに (d) 少なくとも1サイクルのPCRを行う段階。1つの局面において、本方法は、段階 (c) または段階(d) の前に反応溶液を混合する段階をさらに含み得る。さらなる局面において、本方法は、定量的PCR反応を行う段階、またはPCRの産物を定量する段階を含む。場合により、混合段階は、容器(例えば、チューブまたはウェル)の撹拌による、超音波処理による、ピペット操作による、または容器中のワックスの移動(例えば、ワックスの融解による)もしくは固体物体の移動(例えば、重力または磁気引力による)によるものであってよい。
いくつかの局面において、本態様の方法は、凍結乾燥ペレットのワックス成分を水性液体と混合する前に、これを融解させる段階を含み得る。いくつかの局面においては、水性液体を予め加熱することができ、予め加熱した水性液体とワックス被覆凍結乾燥ペレットを混合することによってワックスを融解させることができる。さらなる局面において、本態様の方法において使用するためのワックス成分は、凍結乾燥ペレットの下に配置され、水性液体よりも小さい比重を含む。したがって、ある特定の局面においては、ワックスを融解させ、それが水性液体の中を通って移動できるようにすることによって、反応物を混合することができる。
なおさらなる局面において、本態様の方法は、反応物の混合(例えば、反応物中の固体物体の移動による)後に水性液体の均一性を測定する段階をさらに含む。したがって、いくつかの局面においては、水性液体が十分に均一でないと判定される場合に、1つまたは複数の付加的な混合段階が行われる。いくつかの具体的局面において、例えば、水性液体の均一性を測定する段階は、水性液体中の蛍光標識の蛍光シグナルを測定する段階を含む。
さらなる局面において、本態様の方法は、固体物体を含む組成物の使用を含む。1つの局面において、方法は、磁性の引力によるなど、固体物体の移動を誘導することによって、水性液体(および/または融解されたワックス成分)を混合する段階をさらに含み得る。ある特定の局面において、固体物体は、磁性を有するかまたは磁気応答性の固体物体であってよく、固体物体の移動は磁石によって誘導することができる。例えば、固体物体は、磁石によって移動され得るステンレススチールのボール、円盤、または棒であってよい。いくつかの局面において、固体物体は、これを水性液体/ワックス界面に接触させることなく、容器の底から、水性液体/ワックス界面の、2倍の固体物体直径内の位置に移動させることができる。ある特定の局面において、固体物体は、混合を達成するために1度だけ移動させる。さらなる局面において、固体物体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30回、またはそれ以上など、繰り返し移動させることができる。
なおさらなる態様において、以下の段階を含む、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の組成物を作製するための方法が提供される:(a) 生物学的試薬(例えば、生物学的試薬の水性混合物)を凍結乾燥する段階;および (b) 凍結乾燥させた生物学的試薬と接触しかつこれを取り囲むワックスバリアを形成して、生物学的試薬の安定化させた凍結乾燥ペレットを形成する段階。いくつかの局面において、ワックスバリアを形成する段階は、固形ワックスを添加し、次いでワックスを融解させる段階を含む。さらなる局面において、ワックスは溶融(液体)形態で添加される。ある特定の局面において、ワックスバリアを形成する段階は、生物学的試薬を凍結乾燥する前に、生物学的試薬とワックスを混合する段階を含み得る。したがって、いくつかの局面において、ワックスは凍結乾燥機内で融解され得る。
いくつかのさらなる局面において、ワックスバリアを形成する段階は:(a) 凍結乾燥させた生物学的試薬と固形ワックスを混合する段階;および (b) 固形ワックスを融解させて液体ワックスを形成する段階を含み得る。ある特定の局面において、固形ワックスの融解は、ヒートブロック、オーブン、または電子レンジを用いて行うことができる。ある特定の局面において、固形ワックスの融解は、真空下で行うことができる。
いくつかの局面において、ワックスバリアを形成する段階は、凍結乾燥させた生物学的試薬と液体ワックスを混合する段階を含み得る。ある特定の局面において、本方法は、凍結乾燥させた生物学的試薬および液体ワックスを加熱する段階をさらに含み得る。様々な局面において、方法は、凍結乾燥させた生物学的試薬および液体ワックスに真空を適用する段階をさらに含み得る。ある特定の局面において、本方法は、ワックスを凝固させる段階をさらに含み得る。
いくつかの局面において、本方法は、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の上部に固体物体を置く段階をさらに含み得る。さらなる局面において、本方法は、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の下部に固体物体を置く段階をさらに含み得る。いくつかの局面において、本方法は、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬を取り囲むワックス中に固体物体を包埋するか、または凍結乾燥ペレット中に固体物体を包埋する段階をさらに含み得る。様々な局面において、固体物体は、セラミック固体物体、ポリマー固体物体、ガラス固体物体、磁性固体物体、または金属固体物体であってよい。
さらなる具体的な態様において、以下の段階を含む、安定化させた、凍結乾燥させたPCRまたはRT-PCR試薬の組成物を作製する方法が提供される:(a) 固体物体と1つまたは複数のPCR(またはRT-PCR)試薬を容器中で混合する段階;(b) 固体物体の存在下で1つまたは複数の凍結乾燥用試薬および1つまたは複数のPCR試薬を凍結乾燥して、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階;(c) 凍結乾燥させたPCR試薬にワックスを添加する段階;(d) 凍結乾燥させたPCR試薬および固体物体の周りのワックスを融解させる段階;ならびに (e) ワックスを再凝固させて、安定化させた、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階。いくつかの局面において、凍結乾燥用試薬は、上記の糖および安定剤のうちの1つまたは複数を含み得る。特定の態様において、凍結乾燥用試薬は、トレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、ラフィノースのうちの1つもしくは複数、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの局面において、PCR試薬は、ポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマー、またはヌクレオチド三リン酸のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかの局面において、ワックスは、パラフィンワックス、ドコサン、もしくはシリコンワックス、植物ワックス、またはそれらの組み合わせである。
本明細書において用いられる場合、特定の成分に関する「本質的に含まない」は、特定の成分が全く組成物中に意図的に製剤化されていない、および/または混入物としてもしくは微量でのみ存在することを意味するために、本明細書において用いられる。組成物の任意の意図されない混入によって生じる特定の成分の全量は、したがって0.05%をはるかに下回り、好ましくは0.01%未満である。最も好ましいのは、いかなる量の特定の成分も標準的な分析方法で検出され得ない組成物である。
明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる場合、「含む」という語と共に用いられるのであれば、「a」または「an」という語は、1つまたは2つ以上を意味し得る。明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる場合、「別の」または「さらなる」は、少なくとも2つ目のまたはそれ以上のものを意味し得る。
明細書および特許請求の範囲において本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、値が、その値を決定するために用いられた装置、方法に固有の誤差の変動、または研究対象間に存在する変動を含むことを示すために用いられる。
[本発明1001]
少なくとも1つの生物学的試薬を含む凍結乾燥ペレットを含む、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の組成物であって、該ペレットがワックスで被覆されているかまたは該ペレットにワックスが含浸されている、組成物。
[本発明1002]
少なくとも1つの生物学的試薬がポリペプチドである、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
ポリペプチドが抗体または酵素である、本発明1002の組成物。
[本発明1004]
酵素がポリメラーゼ酵素である、本発明1003の組成物。
[本発明1005]
ポリメラーゼ酵素が、DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、またはKlenowポリメラーゼである、本発明1004の組成物。
[本発明1006]
酵素がヌクレアーゼである、本発明1003の組成物。
[本発明1007]
ヌクレアーゼがRNase HまたはRNase H2である、本発明1006の組成物。
[本発明1008]
少なくとも1つの生物学的試薬が少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプライマーを含む、本発明1001の組成物。
[本発明1009]
凍結乾燥ペレットが緩衝液をさらに含む、本発明1002の組成物。
[本発明1010]
凍結乾燥ペレットがヌクレオシド三リン酸 (NTP) をさらに含む、本発明1001の組成物。
[本発明1011]
緩衝液が、HEPES、MES、MOPS、TRIS、またはBIS- TRISプロパンである、本発明1009の組成物。
[本発明1012]
NTPが、dATP、dGTP、dCTP、dTTP、dUTP、またはそれらの組み合わせを含む、本発明1010の組成物。
[本発明1013]
凍結乾燥ペレットが少なくとも第1の非天然NTPをさらに含む、本発明1001の組成物。
[本発明1014]
非天然NTPがイソ塩基を含む、本発明1013の組成物。
[本発明1015]
非天然NTPが標識NTPである、本発明1013の組成物。
[本発明1016]
非天然NTPがダブシクル (dabcycl) diGTPまたはビオチン-diGTPである、本発明1014の組成物。
[本発明1017]
非天然NTPがフルオロ標識ヌクレオチドまたはクエンチャー標識ヌクレオチドある、本発明1013の組成物。
[本発明1018]
凍結乾燥ペレットが糖および/または安定剤をさらに含む、本発明1001の組成物。
[本発明1019]
糖が、トレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、ラフィノース、またはそれらの組み合わせである、本発明1018の組成物。
[本発明1020]
糖が、トレハロースおよびデキストラン、マンニトールおよびデキストラン、またはトレハロースおよびマンニトールである、本発明1018の組成物。
[本発明1021]
凍結乾燥ペレットが、約1体積%〜10体積%のトレハロースおよび/または約1体積%〜10体積%のデキストランを含む、本発明1020の組成物。
[本発明1022]
安定剤がBSAである、本発明1018の組成物。
[本発明1023]
約0.1〜約1.0 mg/mlのBSAを含む、本発明1022の組成物。
[本発明1024]
前記ペレットに第1ワックスが含浸されている、本発明1001の組成物。
[本発明1025]
第1ワックスが含浸されたペレットが第2ワックスで被覆されている、本発明1024の組成物。
[本発明1026]
第1ワックスが室温で液体であり、第2ワックスが室温で固体である、本発明1025の組成物。
[本発明1027]
第1ワックスが第2ワックスよりも高い密度を有する、本発明1025の組成物。
[本発明1028]
ワックスが50℃未満の融点を有する、本発明1001の組成物。
[本発明1029]
ワックスが40℃未満の融点を有する、本発明1001の組成物。
[本発明1030]
ワックスが30℃〜50℃の融点を有する、本発明1001の組成物。
[本発明1031]
ワックスが石油ワックスである、本発明1001の組成物。
[本発明1032]
石油ワックスがパラフィンワックスまたはドコサンワックスである、本発明1031の組成物。
[本発明1033]
ワックスが植物ワックスである、本発明1001の組成物。
[本発明1034]
凍結乾燥ペレットがボールをさらに含む、本発明1001の組成物。
[本発明1035]
ボールがセラミックボールである、本発明1034の組成物。
[本発明1036]
ボールが磁気ボールまたは金属ボールである、本発明1034の組成物。
[本発明1037]
本発明1001〜1033のいずれかの組成物がその中に配置されている、入れ物。
[本発明1038]
チューブまたはウェルである、本発明1037の入れ物。
[本発明1039]
チューブまたはウェルがボールをさらに含む、本発明1038の組成物。
[本発明1040]
ボールが凍結乾燥ペレットの上部にある、本発明1039の組成物。
[本発明1041]
ボールが凍結乾燥ペレットの下部にある、本発明1039の組成物。
[本発明1042]
ボールがワックス中に包埋されている、本発明1039の組成物。
[本発明1043]
(a) 核酸を含む水性液体と、本発明1001のワックス被覆凍結乾燥ペレットとを容器中で混合する段階であって、該ワックス被覆凍結乾燥ペレットが1つまたは複数のPCRまたはRT-PCR試薬を含む、段階、
(b) ワックスを融解させる段階、
(c) 任意で、少なくとも1サイクルの逆転写を行う段階、および
(d) 少なくとも1サイクルのPCRを行う段階
を含む、PCRまたは逆転写 (RT)-PCRを行う方法。
[本発明1044]
段階 (c) または (d) の前に反応溶液を混合する段階をさらに含む、本発明1043の方法。
[本発明1045]
ワックスが凍結乾燥ペレットの下に配置され、水性液体よりも小さい比重を有する、本発明1043の方法。
[本発明1046]
ワックスを融解させ、それが水性液体の中を通って移動できるようにすることによって、反応物を混合する段階
をさらに含む、本発明1043の方法。
[本発明1047]
反応物の混合後に水性液体の均一性を測定する段階
をさらに含む、本発明1044の方法。
[本発明1048]
水性液体が均一でない場合に、付加的な混合を行う段階
をさらに含む、本発明1047の方法。
[本発明1049]
水性液体の均一性を測定する段階が、液体中の蛍光標識の蛍光を測定することを含む、本発明1044の方法。
[本発明1050]
ワックスを、水性液体と混合する前に、融解させる、本発明1043の方法。
[本発明1051]
水性液体が予め加熱され、予め加熱した水性液体とワックス被覆凍結乾燥ペレットとを混合することによってワックスが融解される、本発明1043の方法。
[本発明1052]
組成物がボールを含む、本発明1043の方法。
[本発明1053]
ボールの移動を誘導することによって反応溶液を混合する段階
をさらに含む、本発明1052の方法。
[本発明1054]
ボールの移動が重力によって誘導される、本発明1053の方法。
[本発明1055]
ボールが磁気ボールまたは金属ボールであり、ボールの移動が磁石によって誘導される、本発明1053の方法。
[本発明1056]
ボールが、水性液体/ワックス界面に接触することなく、容器の底から、水性液体/ワックス界面の、ボール直径の2倍以内の位置に移動させられる、本発明1055の方法。
[本発明1057]
(a) 生物学的試薬を凍結乾燥する段階、および
(b) 凍結乾燥させた生物学的試薬と接触しかつこれを取り囲むワックスバリアを形成して、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬を形成する段階
を含む、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の組成物を作製する方法。
[本発明1058]
(a) 生物学的試薬を凍結乾燥する段階、
(b) 凍結乾燥させた生物学的試薬に第1ワックスを含浸させる段階、および
(c) 含浸させ凍結乾燥させた生物学的試薬を取り囲むワックスバリアを第2ワックスで形成して、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬を形成する段階
を含む、安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の組成物を作製する方法。
[本発明1059]
ワックスバリアを形成する段階が、生物学的試薬を凍結乾燥する前に、生物学的試薬とワックスを混合することを含む、本発明1057の方法。
[本発明1060]
ワックスが凍結乾燥機内で融解される、本発明1059の方法。
[本発明1061]
ワックスバリアを形成する段階が:
(a) 凍結乾燥させた生物学的試薬と固形ワックスを混合すること、および
(b) 固形ワックスを融解させて液体ワックスを形成すること
を含む、本発明1057の方法。
[本発明1062]
固形ワックスの融解が、ヒートブロック、オーブン、または電子レンジを用いて行われる、本発明1061の方法。
[本発明1063]
固形ワックスの融解が真空下で行われる、本発明1061の方法。
[本発明1064]
ワックスバリアを形成する段階が、凍結乾燥させた生物学的試薬と液体ワックスを混合することを含む、本発明1057の方法。
[本発明1065]
凍結乾燥させた生物学的試薬および液体ワックスを加熱する段階をさらに含む、本発明1064の方法。
[本発明1066]
凍結乾燥させた生物学的試薬および液体ワックスに真空を適用する段階をさらに含む、本発明1064または1065の方法。
[本発明1067]
ワックスを凝固させる段階をさらに含む、本発明1060〜1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の上部にボールを置く段階をさらに含む、本発明1057の方法。
[本発明1069]
安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬の下部にボールを置く段階をさらに含む、本発明1057の方法。
[本発明1070]
安定化させた、凍結乾燥させた生物学的試薬を取り囲むワックス中にボールを包埋する段階をさらに含む、本発明1057の方法。
[本発明1071]
ボールが、セラミックボール、ガラスボール、磁気ボール、または金属ボールである、本発明1068〜1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
生物学的試薬が1つまたは複数のPCR試薬を含む、本発明1057の方法。
[本発明1073]
生物学的試薬が1つまたは複数の抗体を含む、本発明1057の方法。
[本発明1074]
ワックスと生物学的試薬との体積比が1:2〜2:1である、本発明1057の方法。
[本発明1075]
(a) ボール、1つまたは複数の凍結乾燥用試薬、および1つまたは複数のPCR試薬を容器中で混合する段階、
(b) ボール、1つまたは複数の凍結乾燥用試薬、および1つまたは複数のPCR試薬を凍結乾燥して、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階、
(c) 凍結乾燥させたPCR試薬にワックスを添加する段階、
(d) 凍結乾燥させたPCR試薬の周りのワックスを融解させる段階、ならびに
(e) ワックスを再凝固させて、安定化させた、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階
を含む、安定化させた、凍結乾燥させたPCR試薬の組成物を作製する方法。
[本発明1076]
ボールが、セラミックボール、ガラスボール、または金属ボールである、本発明1075の方法。
[本発明1077]
金属ボールがステンレススチール球である、本発明1076の方法。
[本発明1078]
凍結乾燥用試薬が、トレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、ラフィノースのうちの1つもしくは複数、またはそれらの組み合わせを含む、本発明1075の方法。
[本発明1079]
PCR試薬が、ポリメラーゼ、逆転写酵素、プライマー、またはヌクレオチド三リン酸のうちの1つまたは複数を含む、本発明1075の方法。
[本発明1080]
ワックスが、パラフィンワックス、ドコサン、またはシリコンワックスである、本発明1075の方法。
本発明のその他の目的、特色、および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲の内の様々な変更および修正が、この詳細な説明から当業者に明らかとなると考えられるため、詳細な説明および具体例は、本発明のある特定の態様を示しながら、例示として与えられているに過ぎないことが理解されるべきである。
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明のある特定の局面をさらに示すために含まれる。本発明は、本明細書に提示された具体的な態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面のうちの1つまたは複数を参照することにより、よりよく理解され得る。
グラフは、A型インフルエンザ鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。曲線は、ドコサンワックス(A1;B1;A2;およびB2として示される曲線);Chill-out(商標)ワックス(A3;B3;およびA4)で被覆された;またはワックス成分が添加されていない(F1;F2;F3;およびF4として示される曲線)、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを用いて得られた。 グラフは、A型インフルエンザ鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。曲線は、融解パラフィンワックスで被覆された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを用いて(A2;A3;A4;A5;A6;A8;A9;A10;A11;およびA12として示される曲線);またはPCRサイクリングの直前に製剤化された、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬を用いて(A1;およびA7として示される曲線)、得られた。 グラフは、A型インフルエンザ鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。曲線は、ドコサンワックスペレットで覆われた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを用いて(A2;A3;A4;A5;A6;A8;A9;A10;A11;およびA12として示される曲線);またはPCRサイクリングの直前に製剤化された、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬を用いて(A1およびA7として示される曲線)、得られた。 グラフは、A型インフルエンザ鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。曲線は、融解ドコサンワックスで被覆された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを用いて(A1;A2;およびA3として示される曲線);またはPCRサイクリングの直前に製剤化された、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬を用いて(A4;A5;およびA6として示される曲線)、得られた。 図5A〜B、グラフは、マウス肝炎ウイルス (MHV) RNAおよびDNAのリアルタイムPCR増幅によって得られたCt値 (A) およびTm値 (B) を示す。左から右へ、各グラフは、PCRサイクリングの直前に製剤化された、凍結乾燥されていない(「湿潤対照」)PCR試薬;ワックス成分が添加されていない凍結乾燥ケーキ中のPCR試薬(「lyo対照」)、または融解ドコサンワックスで被覆された凍結乾燥ケーキ中のPCR試薬(「ワックス付加」)を用いて得られた結果を示す。図5C、グラフは、A型インフルエンザ鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。曲線は、未処理のままで置くか (A4)、または10μl (A3);15μl (A2);20μl (A1) の量の融解ドコサンワックスで被覆し、高湿度条件においてインキュベートした、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキから得られた。凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬を用いた対照反応の曲線を、A5およびA11として示す。高湿度に供されなかった、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキの曲線を、A6として示す。図5Dは、表示されているように、ワックス成分を含むまたは含まない、高湿度条件に曝露された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを示す。 図6Aは、セラミックボールが重ねられた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(左側の画像)、および緩衝液の添加により再水和され、その結果セラミックボールがチューブの底まで移動したPCR試薬ケーキ(右側の画像)を示す。図6B、グラフは、MHV鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線および融解曲線の結果を示す。結果は、融解ドコサンワックスで被覆され、かつセラミックボールが重ねられた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキから(破線の曲線);またはPCRサイクリングの直前に製剤化された、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬を用いて(実線の曲線)、得られた曲線を示す。 図7Aは、ステンレススチールボール上で凍結乾燥され、融解ドコサンワックスで被覆されたPCR試薬ケーキ(左側の画像)、およびワックス反転後に緩衝液の添加により再水和されたPCR試薬ケーキ(右側の画像)を示す。図7B、グラフは、3つの異なる蛍光チャネル、FAM(上部パネル);AP593(中央パネル);およびAP559(下部パネル)を用いたノロウイルス鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線(左パネル)および融解曲線(右パネル)の結果を示す。曲線は、(1) ステンレススチールボールを含み、かつ手動で混合された、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬(曲線#1として示される);(2) ワックス成分を含まず、かつ混合されなかった、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#2として示される);(3) ワックス成分を含まないが、ステンレススチールボールを含み、手動で混合された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#3として示される);(4) ワックス成分を含まないが、ステンレススチールボールを含み、磁気的に混合された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#4として示される);(5) 融解ドコサンワックスで被覆され、かつステンレススチールボールを含み、混合されなかった、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#5として示される);および (6) 融解ドコサンワックスで被覆され、かつステンレススチールボールを含み、磁気的に混合された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#6として示される)を用いて得られた。 グラフは、HSV鋳型核酸のリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線(左パネル)および融解曲線(右パネル)の結果を示す。結果は、(1) 混合されなかった、凍結乾燥されていない(「湿潤」)PCR試薬(曲線#1として示される);(2) 融解ドコサンワックスで被覆され、かつセラミックボールを含み、混合されなかった、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#2として示される);および (3) 融解ドコサンワックスで被覆され、かつステンレススチールボールを含み、磁気的に混合された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ(曲線#3として示される)を用いて得られた曲線を示す。 図9A〜Cは、ノロウイルスRNAのリアルタイムPCR増幅に関する増幅曲線(左パネル)および融解曲線(右パネル)の結果を示す。25μLドコサンワックスで覆われた (9A)、またはドコサンワックスで覆われた後に15μLのChill out(商標)ワックスで覆われた (9B)、またはドコサンワックスで覆われた後に15μLのミネラルオイルで覆われた (9C)、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを、80%相対湿度チャンバー内で(破線)または密封された乾燥チャンバー内で(実線)貯蔵した。結果から、ドコサン、またはchill outワックスで覆われたドコサン、またはミネラルオイルで覆われたドコサンが、効果的な蒸気バリアを提供することが示される。 グラフは、ノロウイルスRNAのリアルタイムPCR増幅の結果を示す。30μLドコサンワックスで覆われた、もしくはドコサンワックスで覆われた後に15μLのミネラルオイルで覆われた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ、または30μLのワックスの混合物(30:40:30という比率のパラフィンワックス:ドコサンワックス:ミネラルオイル)で覆われた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキ、または30μLパラフィンワックスで覆われた、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを、乾燥ボックス内で貯蔵するか(T1 対照)、または周囲環境において貯蔵するか(T1 周囲)、または80%相対湿度チャンバー内で貯蔵した(T1 80%)。30μLドコサンワックスで覆われ、かつ80%相対湿度チャンバー内で貯蔵された、凍結乾燥させたPCR試薬ケーキは、いかなるPCR増幅結果ももたらさなかった。
例示的な態様の説明
生物学的試薬は、本質的に外気温において不安定であり、凍結乾燥により糖を用いて安定化される場合が多い。任意の生物学的物質(核酸/タンパク質/脂質/炭水化物)を凍結乾燥すると、水分から保護される必要のある凍結乾燥ケーキまたはペレットが生じる。本発明の態様は、生物学的分子を環境水分から保護し続けるための解決方法を提供する。ワックスは、凍結乾燥物質が凍結乾燥機から取り出された時点で、凍結乾燥させた生物学的物質に水分が接近するのを防ぐかまたは阻害するためのバリアを提供する。これは、凍結乾燥機から取り出した後に、例えばヒートブロックもしくはオーブンもしくは真空オーブンを用いて凍結乾燥ケーキ上にワックスを融解させることによって、または凍結乾燥ケーキに液体形態のワックスを適用することによって達成され得る。あるいは、ワックスの存在下で生物学的試薬を凍結乾燥し、凍結乾燥サイクルの完了時に凍結乾燥機内でワックスを融解させることでもまた、大気水分から保護される凍結乾燥ケーキの生成が可能になる。凍結乾燥の工程は、昇華による真空下での、凍結された生物学的物質/試薬からの水分の除去を含む。生物学的物質の機能的活性が損なわれないように、糖および安定剤を添加して、タンパク質および他の生物学的物質の構造の保持を助けることができる。
したがって、1つの局面において、本開示は、凍結乾燥物質をワックスと接触させることにより、凍結乾燥試薬の安定性を向上させるための方法を提供する。例えば、ワックスが凍結乾燥物質の周りに層を形成するような様式で、または凍結乾燥物質にワックス成分が含浸されるような様式で、ワックスを添加することができる。好ましくは、ワックスは外気温で凝固し、凍結乾燥物質の周りに、環境とのいかなる水分交換も妨げるバリアを形成する。重要なことには、本明細書において提示される研究は、そのような凍結乾燥させたワックス組成物が、製剤中の成分の生物学的活性を維持できることを実証する。特に、研究は、PCRに用いられる試薬をワックス-凍結乾燥形態で確実に貯蔵することができること、および例えばポリメラーゼの酵素活性が維持されるのみならず十分に活性を有したままであり、標的核酸の定量的増幅を提供することを実証する。したがって、本研究は、タンパク質、さらには反応物中の混入物に敏感であるポリメラーゼなどの酵素でさえも貯蔵することができ、これが、凍結乾燥させたワックス製剤中で高度に活性を有したままであることを示す。したがって、ワックス成分を含む凍結乾燥製剤を用いて、酵素および抗体などの広範囲の生物活性分子を、その分子の生物活性を効果的に維持しながら貯蔵することができる。
ある特定の具体的局面において、本態様のワックス製剤は、PCRサイクリングを行うための試薬を含み得る。そのような製剤は、凍結乾燥工程の一部としてワックスを添加するか、または凍結乾燥後に凍結乾燥試薬ケーキをワックス(例えば、溶融ワックス)で被覆するかのいずれかによって、作製することができる。この局面においては、貯蔵後に、PCRサイクリングの前またはそれと同時にワックスを融解させ、凍結乾燥試薬は、添加された増幅されるべき標的分子と接触する。したがって、場合により、ワックスはPCR中の蒸気バリアとしても使用されて、反応物からの蒸発を防ぐ。さらに、PCRサイクリング後、ワックスは凝固し、潜在的なアンプリコン混入に対する完全なまたは部分的なバリアを築き得る。
I. 凍結乾燥組成物中に製剤化するための試薬
いくつかの局面において、生物学的試薬、および低温融解ワックスなどのワックス成分(例えば、ペレットを被覆する)を含む凍結乾燥ペレットが提供される。本明細書において用いられる場合、「凍結乾燥ペレット」または「凍結乾燥ケーキ」という用語は互換的に用いられ、水分含量が例えば約5%未満の水分まで実質的に減少した物質の塊を指す。そのようなケーキまたはペレットは、任意の形状またはサイズのものであってよい。
本明細書において用いられる場合、低温融解ワックスとは、およそ25℃〜75℃の融点を有するワックス物質である。ワックス物質は、正常なヒト体温よりもわずかに高い、すなわちおよそ37℃〜45℃の融点を有し得る。例示的なワックス物質には、直鎖アルカン、例えばN-ドコサン、N-エイコサン、およびその混合物などが含まれる。N-ドコサンおよびN-エイコサンは、それぞれおよそ42〜45℃および36〜38℃の融点を有する。他の例示的なワックス物質は、パラフィンワックスおよびシリコンワックスである。シリコンワックスは、通常は室温をわずかに上回る、いくらかの明確に定義された温度範囲にわたって固体から粘性液体へと相転移する点で、典型的な炭化水素ワックスのように挙動する。
いくつかの局面においては、本発明のワックス被覆ペレットが、固体物体(例えば、ボール、円盤、または棒)を含み得るか、またはペレットの上部に固体物体が配置され得るかのいずれかである。そのような固体物体は、例えば、セラミックボール、磁気ボール、金属ボール(例えば、ステンレススチール)、またはガラスボールであってよい。ボールは、例えば、およそ0.5 mm〜およそ10 mmの直径を有し得る。
多くの糖が、溶液中の生体分子を安定化し、単離された細胞および生体分子を保護する。したがって、いくつかの局面において、本発明のワックス被覆ペレットは、生体分子の安定性を改善し、保存期間を延長するために、糖、例えば糖類およびポリオール(例えば、トレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、およびラフィノース)を含み得る。糖は、例えばトレハロースおよびデキストラン、マンニトールおよびデキストラン、またはトレハロースおよびマンニトールのように、組み合わせて使用することができる。理論によって縛られることはないが、糖の安定化作用の機構には2つの主要な理論が存在する:1) 糖賦形剤は、固体状態のタンパク質を希釈し、それによってタンパク質間相互作用を減少させ、かつ凝集などの分子分解を防ぐのに役立つ、ならびに2) 糖賦形剤は、ガラス状マトリックスを提供し、これによりタンパク質の移動性および故に反応性が最小限に抑えられる。これらの機構のいずれにおいても、糖が非晶質のタンパク質接触相にとどまることが重要であると考えられている。温度および水分の上昇などの様々な環境要因が、糖結晶化を誘導し得る。
加えて、生体分子を安定化するために、不活性タンパク質を使用することもできる。不活性タンパク質とは、酵素活性を妨げない、天然に存在するかもしくは合成のペプチドもしくはポリペプチド、またはそれらの混合物を指す。本発明の範囲を限定しない例は、グロブリン、アルブミン(例えば、ウシ血清アルブミン)、コラーゲン、およびその誘導体である。タンパク質は優先的に、0.01 mg/mlを超える、0.05 mg/mlを超える、および0.1 mg/mlを超える濃度で存在する。好ましくは、この濃度は2 mg/mlを超えない。好ましい態様において、不活性タンパク質は、ウシ血清アルブミン (BSA) ならびにその誘導体および断片である。その断片は、天然に存在するBSAの長さの50%超、天然に存在するBSAの長さの60%超、天然に存在するBSAの長さの70%超、天然に存在するBSAの長さの80%超、天然に存在するBSAの長さの90%超、および最も好ましくは天然に存在するBSAの長さの95%超を有する。
いくつかの局面において、本発明のワックス被覆ペレットは、凍結乾燥させた生体分子との使用に適した1つまたは複数の緩衝液を含み得る。そのような緩衝液には、例えばbis-trisプロパン (BTP) およびTrisが含まれる。
様々な局面において、本態様のワックス被覆ペレットは、ポリペプチドなどの少なくとも1つの生物学的試薬を含む。そのような生物学的試薬には、例えば、酵素(例えば、DNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、Klenowポリメラーゼ、リガーゼ、RNase H-2)、核酸分子(例えば、プライマーまたはプローブ)、および抗体が含まれる。いくつかの局面においては、PCRのための増幅混合物の様々な成分が存在してもよい。さらなる局面においては、核酸ハイブリダイゼーション反応を完了するのに必要とされる成分が、本態様の凍結乾燥ペレット中に含まれ得る。なおさらなる局面においては、タンパク質の結合ハイブリダイゼーションまたはタンパク質間相互作用を完了するのに必要とされる成分が、ペレット中に含まれる。
ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) は、インビトロでの酵素的複製によってDNA片を増幅するために分子生物学において広く用いられている技法である。典型的には、PCR適用は、Taqポリメラーゼなどの熱安定性DNAポリメラーゼを使用する。このDNAポリメラーゼは、鋳型としての一本鎖DNA、およびDNA合成を開始するためのDNAプライマーを用いて、ヌクレオチド (dNTP) から新たなDNA鎖を酵素的に組み立てる。基本的なPCR反応はいくつかの成分および試薬を必要とし、これには以下が含まれる:増幅しようとする標的配列を含むDNA鋳型;標的配列の5'末端および3'末端にあるDNA領域に対して相補的な1つまたは複数のプライマー;最適な温度が好ましくは70℃前後であるDNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ);デオキシヌクレオチド三リン酸 (dNTP);DNAポリメラーゼの最適な活性および安定性に適した化学的環境を提供する緩衝液溶液;二価陽イオン、典型的にはマグネシウムイオン (Mg2+);ならびに一価陽イオンカリウムイオン。
増幅混合物は、天然のヌクレオチド(A、C、G、T、およびUを含む)、および非天然または非標準のヌクレオチド(例えば、イソC、イソG、標識ヌクレオチド、ダブシクルdiGTP、ビオチン-diGTPを含む)を含み得る。DNAおよびRNAオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結された、それぞれデオキシリボースまたはリボースを含む。各デオキシリボースまたはリボースは、糖に連結された塩基を含む。天然に存在するDNAおよびRNAに取り込まれる塩基は、アデノシン (A)、グアノシン (G)、チミジン (T)、シトシン (C)、およびウリジン (U) である。これらの5つの塩基は「天然の塩基」である。WatsonおよびCrickにより詳述されている塩基対合の法則によると、天然の塩基はハイブリダイズしてプリン-ピリミジン塩基対を形成し、ここでGはCと対合し、AはTまたはUと対合する。これらの対合法則は、オリゴヌクレオチドの、相補的なオリゴヌクレオチドとの特異的ハイブリダイゼーションを促進する。
本明細書において用いられる場合、「核酸」は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAのいずれか、およびその任意の化学的修飾物を意味する。修飾には、核酸リガンド塩基または核酸リガンド全体に付加的な電荷、極性、水素結合、または静電相互作用を組み入れる他の化学基を提供する修飾が含まれるが、これらに限定されない。そのような修飾には、2'位糖修飾、5位ピリミジン修飾、8位プリン修飾、環外アミンにおける修飾、4-チオウリジンの置換、5-ブロモウラシルまたは5-ヨードウラシルの置換、骨格修飾、およびメチル化が含まれるが、これらに限定されない。したがって、本明細書に記載される核酸は、アデニン (A)、シトニン (C)、グアニン (G)、チミン (T)、およびウラシル (U) といった標準塩基のみならず、非標準または非天然のヌクレオチドも含む。非標準または非天然のヌクレオチドはまた、非天然の水素結合塩基対を形成する塩基(例えば、イソ塩基)を含む。「非標準ヌクレオチド」または「非天然ヌクレオチド」とは、オリゴヌクレオチド中に取り込まれやすく、かつ水素結合、または疎水性相互作用、エントロピー相互作用、もしくはファンデルワールス相互作用によって、相補的な非標準または非天然のヌクレオチドと塩基対合して、塩基対を形成することができる、A、G、C、T、またはU以外の塩基を意味する。いくつかの例には、参照により本明細書に組み入れられる米国特許第6,037,120号に例示されているような、イソ-C/イソ-G、K/X、K/P、H/J、およびM/Nの塩基対組み合わせが含まれる。オリゴヌクレオチド中で使用されるための他の非標準ヌクレオチドには、例えばいずれも参照により本明細書に組み入れられるRen, et al., J. Am. Chem. Soc. 1996, 118:1671、およびMcMinn et al., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121:11585において考察されているような、例えばナフタレン、フェナントレン、およびピレン誘導体が含まれる。これらの塩基は、安定化のために水素結合を利用せず、その代わりに疎水性相互作用またはファンデルワールス相互作用に依存して、塩基対を形成する。
いくつかの局面において、天然に存在する塩基(A、T、C、G、およびU)と水素結合パターンの点で異なる非天然塩基を、本明細書に記載されるプライマーおよびプローブ中に取り込むこともできる。一例は、互いに水素結合するが、天然塩基とは水素結合しないイソC塩基およびイソG塩基である。プライマーおよび/またはプローブ中にこれらの非天然塩基を取り込むことは、非特異的ハイブリダイゼーションを減少させるのに有用である。標的核酸をアッセイするためにそのような非天然塩基を使用する方法は、米国特許第6,977,161号および第7,422,850号に記載されており、これらは参照により本明細書に組み入れられる。1つの局面においては、標的核酸を増幅するために用いられる2つの標的特異的プライマーのうちの少なくとも1つが、少なくとも1、2、3、または4つの非天然塩基を含み、かつ相補的な非天然塩基を増幅反応物中に含めると、その結果、非天然塩基が増幅産物中に含まれる。
プライマーとは、鋳型依存的な過程において新生核酸の合成をプライミングすることができる核酸である。標的特異的プライマーとは、特定の標的核酸の合成をプライミングするように設計されたプライマーを指す。プライマー対とは、鋳型核酸分子上の2つのプライマーの結合部位の間の標的配列を増幅するよう設計された、フォワードプライマーおよびリバースプライマーとして一般的に公知の2つのプライマーを指す。ある特定の態様において、プライマーは、10〜40、15〜30、または18〜26ヌクレオチド長である標的特異的配列を有する。
プローブとは、相補的核酸にハイブリダイズすることができる核酸である。標的特異的プローブとは、特定の標的核酸にハイブリダイズするように設計されたプローブを指す。反応物中に存在するプローブは、ポリメラーゼによるプローブの伸長を防ぐために、遮断された3'ヒドロキシル基を含み得る。3'ヒドロキシル基は、例えば、リン酸基、3'逆位dT、リボヌクレオチド、または標識によって遮断され得る。完全に相補的である配列間のハイブリダイゼーションのみを可能にする高ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件を選択することができる。
本明細書において用いられる場合、「標識」とは、核酸を標識するのに有用な化学的または生化学的部分である。「標識」には、蛍光剤、化学発光剤、発色剤、消光剤、放射性核種、酵素、基質、補因子、シンチレーション剤、阻害剤、磁性粒子、および当技術分野で公知の他の部分が含まれる。「標識」は、測定可能なシグナルを生じることができ、オリゴヌクレオチドに共有結合または非共有結合させることができる。核酸を標識するために使用され得る多くの標識分子が公知であり、これにはフルオロフォア、発色団、およびラジオフォアが含まれるが、これらに限定されない。フルオロフォアの非限定的な例には、赤色蛍光スクアリン色素、例えば2,4-ビス[1,3,3-トリメチル-2-インドリニリデンメチル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートなど、赤外色素、例えば2,4ビス[3,3-ジメチル-2-(1H-ベンズ[e]インドリニリデンメチル)]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオキソレートなど、または橙色蛍光スクアリン色素、例えば2,4-ビス[3,5-ジメチル-2-ピロリル]シクロブテンジイリウム-1,3-ジオロレートなどが含まれる。
本明細書において用いられる場合、「蛍光色素」または「フルオロフォア」とは、光により励起されて蛍光を放射し得る化学基である。いくつかの適切なフルオロフォアは、光により励起されてリン光を放射し得る。色素には、蛍光ドナー色素からの蛍光シグナルを消光することができるアクセプター色素が含まれ得る。蛍光色素またはフルオロフォアには、別の反応性分子への結合を促進するように修飾された誘導体が含まれ得る。したがって、蛍光色素またはフルオロフォアには、フルオロフォアのイソチオシアネート誘導体および/またはスクシンイミジルエステル誘導体などのアミン反応性誘導体が含まれ得る。
本明細書で用いられるクエンチャーとは、蛍光部分にごく近接した場合に、蛍光部分の明白な強度を吸収し、それによってその強度を減少させる部分である。いくつかの局面において、本態様に従って使用するためのクエンチャーは、吸収された蛍光を異なるスペクトルで放射する。したがって、いくつかの局面において、本態様の検出方法は、クエンチャーによって放射された蛍光を減少させるかまたは除去するためのフィルターを用いる。ある特定の局面において、クエンチャーは、天然の蛍光をもたず、そのため放射バンド幅を占有しないダーククエンチャーである。そのようなダーククエンチャーは、フルオロフォアから励起エネルギーを吸収し、そのエネルギーを熱として消散させる物質である。ダーククエンチャーの例には、Dabcyl、Black Hole Quencher、Qxlクエンチャー、Iowa black FQ、Iowa black RQ、およびIRDye QC-1が含まれるが、これらに限定されない。
開示される方法のオリゴヌクレオチドおよびヌクレオチドは、クエンチャーで標識され得る。消光には、動的消光(例えば、FRETによる)、静的消光、またはその両方が含まれ得る。適切なクエンチャーにはDabcylが含まれ得る。適切なクエンチャーにはダーククエンチャーもまた含まれ得、ダーククエンチャーには、「BHQ」(例えば、BHQ-0、BHQ-1、BHQ-2、およびBHQ-3、Biosearch Technologies、Novato, CA)の商品名で販売されているblack hole quencherが含まれる得る。ダーククエンチャーには、商品名「QXL(商標)」(Anaspec、San Jose, CA)で販売されているクエンチャーもまた含まれ得る。ダーククエンチャーには、2,4-ジニトロフェニル基を含むDNP型非フルオロフォアもまた含まれ得る。
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含めるものである。以下の実施例において開示される技法は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者によって発見された技法を表し、したがってその実施のための好ましい様式を構成すると見なされ得ることが、当業者によって認識されるべきである。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、開示される特定の態様において多くの変更を行い、なお同様のまたは類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
実施例1‐凍結乾燥試薬ケーキに対するバリアとしてのドコサンおよびChill-out(商標)ワックスの使用
PCRを行うための試薬を含む凍結乾燥ケーキが、頑強でかつ定量的なPCRを達成する能力をなお維持しながら、ワックス密封によって保護され得るかどうかを試験するための研究に着手した。凍結乾燥ケーキは、リアルタイムPCR増幅およびA型インフルエンザ標的配列の検出のための試薬のすべてを含んだ。これらの試薬を共に乾燥させて50μLケーキとした。次に、これらのケーキを2つの異なるワックスで処理した。1つ目の例では、60μLのドコサンワックスを凍結乾燥ケーキの上部にピペットで乗せ、室温で凝固させた。2つめの試験例では、60μLのChill-out(商標)ワックス (Bio-Rad Laboratories, Inc.) を凍結乾燥ケーキの上部にピペットで乗せ、冷所に置いて凝固させた。この様式で添加したChill-out(商標)ワックスは凍結乾燥ケーキ中に吸収され、ケーキが10℃未満で保たれる限り固体のままである。
再水和および鋳型添加の時点で、ドコサンおよびChill-out(商標)ワックスの試薬ケーキを、PCRアッセイにおいて、ワックスを含んでいない(しかしPCR中にはミネラルオイル蒸気バリアを含んだ)「対照」凍結乾燥ケーキと比較した。すべての物質を、RT-PCR(50℃で15分の逆転写酵素、次に95℃で2分の変性段階、次に50サイクルのPCR(95℃/5秒‐58℃/10秒‐72℃-30秒)、および60℃から95℃までの融解段階)を用いて、サーモサイクラー装置に並べて試験した。結果から、Ct値およびTm値ならびに融解偏向が、ドコサンまたはChill-out(商標)ワックスと「ワックスなしのlyoペレット」との間で同等であることが示され(例えば図1を参照されたい)、これにより、ワックス保護層(ワックスが含浸された)試薬ケーキが頑強な酵素活性を維持し、対照試薬ケーキと比較して同等の定量的特性を達成し得ることが示された。
実施例2‐凍結乾燥ケーキに対する蒸気バリアとしてのパラフィンワックスの使用
A型インフルエンザ増幅のためのリアルタイムPCR試薬およびプライマーを含む凍結乾燥試薬ケーキ(25μL)を、スナップキャップチューブ中で調製した。詳述されない限り、本実施例に従って生成された凍結乾燥試薬ケーキは、25μLの出発湿潤試薬体積から生成され、5%トレハロース (w/v)、5%デキストラン (w/v)、および0.5 mg/ml BSAを含んだ。20μLパラフィンワックスペレットを凍結乾燥ケーキ上で融解させることにより、パラフィンワックスをチューブのサブセットに添加した。70℃のヒートブロック上で、ワックスを1.5分間融解させた。
リアルタイムサーモサイクラー装置上で試験を行い、結果を、試験の直前に作製された湿潤対照と比較した。湿潤対照は、PCR試薬マスターミックスの重要な成分のすべてを含んだが、凍結乾燥に必要な糖を含まなかった。ワックスで被覆された凍結乾燥ケーキを30秒間加熱し、次いでTris緩衝液を添加した。ペレットをさらに30秒間加熱し、次いで試験のためにサーモサイクラー装置中に直ちに配置した。あるいは、パラフィンワックスの反転混合は、ヒートブロック上にて機器外 (off-instrument) で行った。パラフィン被覆ケーキと対照を比較する研究の結果を、以下の表1および図2に示す(パラフィン被覆ケーキを用いた増幅による結果をA2〜A6およびA8〜A12として表示し、対照をA1およびA7として表示する)。これらの研究から、パラフィンワックスが含浸された試薬ケーキを用いて、定量的増幅がうまく達成され得ることが実証された。
(表1)パラフィン被覆試薬ケーキ 対 対照を用いたPCRの結果
Figure 0006403809
実施例3‐凍結乾燥ケーキに対する蒸気バリアとしてのドコサンペレットの使用
25μLのA型インフルエンザ凍結乾燥ケーキに、20μLのドコサンワックスペレットもまた添加した。ウェル中の温度が50℃のヒートブロック上で、ワックスを3.5分間融解させた。リアルタイムサーモサイクラー装置上で試験を行い、結果を、試験の直前に作製された湿潤対照と比較した。湿潤対照は、マスターミックスの重要な成分のすべてを含んだが、凍結乾燥に必要な糖を含まなかった。結果を表2および図3に示す(ドコサン被覆ケーキを用いた増幅による結果をA2〜A6およびA8〜A12として表示し、対照をA1およびA7として表示する)。これらの研究から、ドコサンワックスで被覆された試薬ケーキを用いて、定量的増幅がうまく達成され得ることが実証された。
(表2)ドコサン被覆試薬ケーキ 対 対照を用いたPCRの結果
Figure 0006403809
実施例4‐凍結乾燥ケーキに対する蒸気バリアとしての溶融ワックス(ドコサン)の使用
A型インフルエンザ凍結乾燥ケーキ(50μLケーキ)を調製し、60μLのドコサンワックスで被覆した。ドコサンワックスを100℃まで加熱し、次いで60μLを凍結乾燥ケーキ上にピペットで乗せ、凝固させた。ワックス被覆ケーキの融解/反転混合後に、リアルタイムサーモサイクラー装置上で試験を行い、結果を、試験の直前に作製された湿潤対照と比較した。湿潤対照は、マスターミックスの重要な成分のすべてを含んだが、凍結乾燥に必要な糖を含まなかった。これらの研究の結果を図4に示す(ドコサン被覆ケーキを用いた増幅による結果をA1〜A3として表示し、対照をA4〜A6として表示する)。これらの研究から、溶融ドコサンワックスで被覆された試薬ケーキを用いて、定量的増幅がうまく達成され得ることが確認された。
実施例5‐RNAおよびDNA試験
25μLの凍結乾燥ケーキを、マウス肝炎ウイルスプライマーを用いて、チューブ中で凍結乾燥させて調製した。同じ凍結乾燥ケーキを用いて、RNAおよびDNA両方の内部対照標的を検出できるようにするため、モロニーマウス白血病ウイルス (MMLV) 逆転写酵素をマスターミックスに添加した。25%相対湿度 (RH) 条件において、ウェル中温度が50℃のヒートブロックを用いて、ドコサンワックス(25μL)を凍結乾燥ケーキ上で3.5分間融解させた。試験は、ワックスの機器外での反転を伴って、リアルタイムサーモサイクラー装置上で行った。機器外での反転を行うため、ウェル中温度が50℃のヒートブロック上で、ワックス被覆ケーキを30秒間加熱した。50μLの50℃標的をチューブに添加し、チューブを直ちにサーモサイクラー機器に移した。同じ試験パラメータを、DNAおよびRNAの両方に使用した。ワックスで被覆された凍結乾燥ケーキを、ワックス被覆なしの同じ凍結乾燥ケーキ(lyo対照)および湿潤対照と比較した。湿潤対照は、凍結乾燥物質と同じ成分のすべてを含んだが、試験の直前に調製された。これらの研究の結果から、Ct値(表3および図5A)およびTm値(表4および図5B)が、すべての条件にわたって同等であることが示された。
(表3)対照反応 対 ワックス被覆凍結乾燥ペレットを用いた、DNAおよびRNAのCt値
Figure 0006403809
(表4)対照反応 対 ワックス被覆凍結乾燥ペレットを用いた、DNAおよびRNAのTm値
Figure 0006403809
実施例6‐蒸気バリアとしてのワックス、および使用のためのワックスの量
A型インフルエンザ凍結乾燥ケーキ(25μL)を、スナップキャップチューブ中で調製した。様々な量のドコサンワックスを凍結乾燥ケーキ上で融解させ(20、15、10μL)、凝固させた。次いで、ワックス被覆凍結乾燥ケーキを、高湿度環境を創出するために水の皿を含む35℃のオーブン(ワックスがなお固体であることを確実にするために、ワックスの融点よりも低い温度)に入れた。被覆されていないlyoケーキ対照が萎縮するまで(〜1時間)、物質をオーブンに入れておいた。結果として得られた物質を、サーモサイクラー装置上で試験した。
これらの研究の結果を図5C〜Dに示し、これにより、高湿度に供された、被覆されていない凍結乾燥物質 (A4) が、湿潤対照(A5およびA11)および湿気のない凍結乾燥対照 (A6) と比較してCtの遅延を引き起こすことが示される。しかしながら、物質がより大量のワックス(20μLおよび15μL、それぞれA1およびA2として表示)によって保護される場合、高湿度に曝露された後でさえ、Ct値は対照に匹敵する。低レベルのワックス成分(10μL、A3)もまた、高湿度に供された場合に、Ctの遅延を引き起こす。
実施例7‐lyoケーキ上のボールはワックス反転を助ける
凍結乾燥ケーキ中に含まれる25μLのマウス肝炎ウイルス特異的プライマー反応混合物を調製し、55℃に設定した真空オーブン内で15分間にわたり25μLのドコサンワックスで被覆した。融解の前にセラミックボールをワックス被覆ケーキの上部に置き、その結果、融解および再凝固後にセラミックボールはワックス中に包埋された。標的としてマウス肝炎ウイルスRNAを用いて、チューブ内で試験を行った。ワックス反転がRT段階のワックス融解中に起こり、これはセラミックボールによって促進された。セラミックボールは、ワックス融解手順中に重力で底まで落下し、ひいては表面張力およびワックスと再懸濁緩衝液との間の界面を壊し、任意の「固着した」ワックスが上部まで上昇することを可能にした。セラミックボールはまた、再懸濁緩衝液中に既に閉じ込められていた任意の気泡を取り除き、かつチューブの底の表面張力を壊すことを可能にして、底の近くで気泡が形成するまたは残存するのを防いだ。
試験を、試験の直前に調製された湿潤対照と比較した。この湿潤対照は、マスターミックスの重要な成分のすべてを含んだが、凍結乾燥に使用されたデキストランおよびトレハロースを含まなかった。図6A〜B(セラミックボール・ワックス被覆試薬ケーキを破線で示し;湿潤対照を実線で示す)および表5に示される研究の結果から、上部にセラミックボールを伴う、ワックスで被覆された凍結乾燥物質が、増幅および融解の両方において標的の100%検出をもたらすことが示された。
(表5)セラミックボール・ワックス被覆試薬ケーキ 対 湿潤対照を用いたリアルタイムPCR
Figure 0006403809
実施例8‐ケーキの底にスチール球を伴う凍結乾燥ケーキおよび混合工程
凍結乾燥のために、クロムスチール磁気ボールをPCRチューブに添加し、25μLのPCR試薬マスターミックス(ノロウイルス増幅に特異的)をボールの上部に添加した。したがって、磁気ボールはケーキの下部に配置され、ワックス添加後に付加的なボールは添加されなかった。ノロウイルスケーキのサブセットを、25μLのドコサンワックスで被覆した。ワックスはペレットとして添加し、次いで50℃に設定した真空オーブン内で5分間融解させた。試験は、逆転写酵素 (RT) 段階中に混合段階を伴って、サーモサイクラー装置上で行った。
凍結乾燥マスターミックスの再構成は、逆転写酵素段階の開始から90秒後、およびワックス反転後に開始された。金属ボールを用いた磁気的混合は、ワックス‐再懸濁緩衝液界面において表面張力を破壊することにより、自然には反転されなかったワックスの反転を助ける。金属ボールはまた表面張力を減少させ、これによって再懸濁緩衝液中に捕捉され得る任意の気泡が放出され、上部まで上昇することが可能になる。最終的に、磁気的混合を用いて再懸濁緩衝液と凍結乾燥ケーキを混合し、マスターミックス成分の均一な分布を確実にする。混合工程中、磁石をPCRチューブに向けて動かし、磁石で金属ボールを液体/ワックス界面の真下まで持ち上げ、そこで磁石を3秒間維持した。次いで磁石を離して3秒間待機し、それによってボールを底まで落下させた。これを90秒間継続した。
金属ボールを伴う、ワックスで被覆された凍結乾燥ペレットの試験を、試験の直前に調製され、マスターミックスと同じ成分のすべてを含む「湿潤」マスターミックスと比較した;しかしながら、「湿潤」マスターミックスは、ワックス蒸気バリアの代わりにミネラルオイル蒸気バリアを使用した。結果はまた、ワックスで被覆されたが混合されなかった、およびワックスで被覆されず、かつ混合されなかった、手動で混合された、または磁気的に混合された、同様の凍結乾燥試薬ケーキとも比較した。
研究の結果を図7Bおよび表6に示す。これらの結果から、混合の欠如(#2および#5と表示された曲線)がサイクリングの開始時に有意な蛍光スパイク/ノイズをもたらし(「ドッグレッグ」)、これが増幅の検出に影響を及ぼし得ることが実証された(FAMチャネルにおいて、#5と表示される曲線によって例証されるように)。ノロウイルスの100%検出は、凍結乾燥ケーキの底に磁性ステンレススチールボールを伴う、ワックスで被覆された凍結乾燥物質において達成された
(表6)異なる凍結乾燥試薬ケーキおよび混合条件を用いたノロウイルス標的の増幅によるリアルタイムRT-PCR結果
Figure 0006403809
実施例9‐混合工程に関するセラミック球 対 金属球の比較
HSV検出に特異的な凍結乾燥試薬ケーキ(25μL)を調製し、25μLのドコサンワックスで被覆した。ワックスはペレットとして添加し、次いで50℃に設定した真空オーブン内で5分間融解させた。凝固後、セラミックボールまたは金属ボールをケーキの上部に置いた。PCRは、逆転写酵素 (RT) 段階中に混合段階を伴って、サーモサイクラー装置上で行った。混合段階はRT段階の開始から90秒後に始まり、これによってワックス反転が起こることが可能になった。ワックス融解の工程中、上部に置いた金属ボールは、重力により底まで落下した。ボールが底に来た時点で、磁石をPCRチューブに向けて動かし、磁石で金属ボールを液体/ワックス界面の真下まで持ち上げ、そこで磁石を3秒間維持した。次いで磁石を離して3秒間待機し、それによってボールを底まで落下させた。これを90秒間継続した。セラミックボールもまた上部に置き、ワックス融解工程中に重力で底まで落下させたが、この物質は非磁性であるため、さらなる混合を起こさない。試験を、試験の直前に調製され、マスターミックスと同じ成分のすべてを含む「湿潤」マスターミックスと比較した;しかしながら、「湿潤」マスターミックスは、ワックス蒸気バリアの代わりにミネラルオイル蒸気バリアを使用した。
これらの研究の結果を表7および図8に示す(#2と表示された曲線は、ステンレススチールボールを用いた混合を示し;#3はセラミックボールを用いた反応を示し;および#1は「湿潤」試薬対照を示した)。これらの研究の結果から、計算されたCt値およびTm値の点では、湿潤条件、セラミックボール条件、および金属ボール条件の間に有意な機能的な違いがないことが示される。しかしながら、ステンレススチールボールで混合を追加すると、セラミックと比較した場合に、「ドッグレッグ」が減少し、またはより平坦な蛍光ベースラインが生じ、これは混合を増やした効果である可能性が高い。
(表7)異なる混合条件および異なるボール組成物を用いた反応に関するTmおよびCtの結果
Figure 0006403809
実施例10‐ワックス製剤および製剤化方法
安定化させた凍結乾燥試薬ケーキを作製する際に使用するため、さらなるワックス組成物を製剤化した。第1例のプロトコールでは、30%ドコサンおよび70% PDMSオイルを含むワックスを製剤化した。最初に、サーモサイクラーを用いて、100%ドコサンワックスの1.5 mLチューブを65℃で加熱した。700μLのPDMSオイルを新たな1.5 mLチューブに添加し、同様に65℃まで加熱した。次いで、300μLの融解された100%ドコサンワックスを、1.5 mLバイアル中の700μLのPDMSに添加した。混合物を65℃で加熱し続け、P 1000ピペットでの吸引/分注によって混合した。ワックス組成物が完全に混合された時点で、ワックス混合物の25μL一定分量を、ホイルで被覆したコールドブロック上でペレット化した。ペレットは冷却され得、1分以内に固形ワックスを形成した。所望される数のペレットが作製されるまで、ペレット化を繰り返した。凍結乾燥試薬ケーキの被覆において使用するため、ペレットをさらに融解するかまたは固体として沈着させることができる。
さらなるワックス製剤を構成し、これは15%ドコサン、15%パラフィン、および70% PDMSオイルを含んだ。この製剤化のために、100%ドコサンワックスを1.5 mLチューブ中で65℃にて融解させた。同様に、100%パラフィンワックスを1.5 mLチューブ中で65℃にて融解させた。次に、新たな1.5 mLバイアル中で、500μLの100%ドコサンワックスを500μLの100%パラフィンに添加した。混合物を65℃で加熱し続け、P 1000ピペットでの吸引/分注によって混合した。これとは別に、700μLのPDMSオイルを別の新たな1.5mLチューブに添加し、65℃まで加熱した。次に、300μLのドコサン/パラフィン混合物を、その新たな1.5 mLバイアル中の700μL PDMSに添加した。最終的なワックス混合物を65℃で加熱し続け、P 1000ピペットでの吸引/分注によって混合した。完全に混合された時点で、ワックス混合物の25μL一定分量を、ホイルで被覆したコールドブロック上でペレット化した。得られたペレットは冷却され、1分以内に固形ワックスを形成した。所望される数のペレットが作製されるまで、ペレット化を繰り返した。凍結乾燥試薬ケーキの被覆において使用するため、ペレットをさらに融解するかまたは固体として沈着させることができる。
実施例11‐凍結乾燥ケーキに対する蒸気バリアとしての2層ワックスの使用
ノロウイルスRNA増幅のためのリアルタイムPCR試薬およびプライマーを含む凍結乾燥試薬ケーキ(25μL)を、スナップキャップチューブ中で調製した。凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを25μLドコサンワックスで覆うか、またはドコサンワックスで覆った後に15μLのChill out(商標)ワックスで覆うか、またはドコサンワックスで覆った後に15μLのミネラルオイルで覆った。ドコサンワックスケーキおよび2層ケーキを、80%相対湿度チャンバー内で、または密封された乾燥チャンバー(対照)内で3日間貯蔵した。リアルタイムサーモサイクラー装置上で試験を行い、結果を対照と比較した。結果を図9に示す。結果から、ドコサン、またはchill outワックスで覆われたドコサン、またはミネラルオイルで覆われたドコサンが、効果的な蒸気バリアを提供することが示される。
実施例12‐凍結乾燥ケーキに対する蒸気バリアとしてのワックスの組み合わせの使用
ノロウイルスRNA増幅のためのリアルタイムPCR試薬およびプライマーを含む凍結乾燥試薬ケーキ(25μL)を、スナップキャップチューブ中で調製した。凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを30μLドコサンワックスで覆うか、もしくはドコサンワックスで覆った後に15μLのミネラルオイルで覆うか、または凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを30μLのワックスの混合物(体積:体積:体積が30:40:30という比率のパラフィンワックス:ドコサンワックス:ミネラルオイル)で覆うか、または凍結乾燥させたPCR試薬ケーキを30μLパラフィンワックスで覆った。ドコサンワックスケーキおよびワックス層状凍結乾燥ケーキを、1ヶ月間にわたり、乾燥ボックス内で貯蔵するか(T1 対照)、または周囲環境において貯蔵するか(T1 周囲)、または80%相対湿度チャンバー内で貯蔵した(T1 80%)。リアルタイムサーモサイクラー装置上で試験を行い、結果を対照 (T1 対照) と比較した。結果を図10に示す。結果から、ワックスの組み合わせが、より効果的な蒸気バリアを提供したことが示される。
本明細書において開示および特許請求する方法はすべて、本開示に照らして、必要以上の実験を行うことなく作製および実行することができる。本発明の組成物および方法を好ましい態様に関して説明してきたが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される方法に対して、およびそのような方法の段階において、または段階の順序において、変更が加えられ得ることは、当業者に明白であろう。より具体的には、化学的にも生理学的にも関連しているある特定の薬剤が、本明細書に記載される薬剤の代わりに用いられても、同一または類似の結果が達成され得ることが明白であろう。当業者にとって明白なそのような同様の代替物および変更物はすべて、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神、範囲、および概念の範囲内にあると見なされる。
参考文献
以下の参考文献は、それらが、本明細書において記載されるものを補足する例示的な手順の詳細またはその他の詳細を提供する限りにおいて、参照により本明細書に具体的に組み入れられる。
Figure 0006403809

Claims (4)

  1. (a) 約0.5 mm〜約5 mmまたは約1 mm〜約2 mmという直径または最長寸法における長さを有し得る固体物体、1つまたは複数の凍結乾燥用試薬、および1つまたは複数のPCR試薬を容器中で混合する段階、
    (b) 該固体物体、該1つまたは複数の凍結乾燥用試薬、および該1つまたは複数のPCR試薬を凍結乾燥して、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階、
    (c) 該凍結乾燥させたPCR試薬に固形ワックスを容器中で添加する段階、
    (d) 該ワックスと該凍結乾燥させたPCR試薬を容器中で加熱して、該ワックスを融解し、該凍結乾燥させたPCR試薬に該ワックスを含浸させる段階、ならびに
    (e) 該ワックスを再凝固させて、安定化させた、凍結乾燥させたPCR試薬を形成する段階
    を含む、安定化させた、凍結乾燥させたPCR試薬の組成物を作製する方法。
  2. 前記固体物体が、セラミックボール、ガラスボール、磁気ボール、または金属ボールである、請求項1記載の方法。
  3. 前記凍結乾燥用試薬が、トレハロース、デキストラン、マンニトール、スクロース、ラフィノースのうちの1つもしくは複数、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1記載の方法。
  4. 段階(d)が真空下で行われる、請求項1記載の方法。
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