JP6402923B2 - ツイールおよびガラス物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フロート法で使用されるツイールおよびこれを用いたガラス物品の製造方法に係り、詳しくは、フロートバスに溶融ガラスを供給する流路に上下動可能に設置され且つ前記溶融ガラスの流量を調整するツイールおよびこれを用いたガラス物品の製造方法に関する。
周知のように、フロート法は、溶融炉で加熱溶融された溶融ガラスを、供給流路を通じてフロートバスの溶融錫上に供給し、リボン状のガラスに成形した後、冷却処理及び不要部の切断処理等を経て、製品としてのガラス板を得るものである。
この種のフロート法によってガラス板を製造する装置は、溶融炉からフロートバスに溶融ガラスを供給する流路の出口付近にツイールを上下動可能に設置し、このツイールの上下動に伴う高さ位置に応じて、フロートバスに供給する溶融ガラスの流量を調整するように構成されている。
このツイールは、略矩形の厚肉板状体であって、溶融ガラスの一部を堰き止めた状態で残余の溶融ガラスを通過させる役割を果たすものであるため、高温の溶融ガラスと接触すると同時に高温雰囲気に晒される関係上、耐熱性材料で形成される必要がある。
その具体例として、特許文献1及び特許文献2によれば、ツイールの本体として、シリカガラスセラミック(溶融シリカ)で作製された所謂シリカ質耐火物を使用し、そのシリカ質耐火物の主要部(少なくとも溶融ガラスと接触する部分)を白金または白金合金で被覆した構成が開示されている。
このように、ツイールの本体としてシリカ質耐火物が使用されていると、当該耐火物における熱膨張率が極めて小さく零に近いため、冷間から熱間に移行しても、当該耐火物には割れが生じ難いという利点が得られる。このような利点を有することが主たる理由となって、従来においては、ツイールの本体として、シリカ質耐火物を使用することが一般的とされていた。
特開2011−157249号公報 特表2005−527450号公報
しかしながら、本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、上記の特許文献1及び特許文献2に開示されているように、ツイールの本体として、シリカ質耐火物を使用した場合であっても、以下に示すような予期せぬ問題が生じることを知見するに至った。
例えば、高い歪点を有するガラスをフロート法で製造する際には、高温の溶融ガラスを高温雰囲気(例えば1200℃以上)で成形する必要がある。このような高温雰囲気下でツイールがシリカ質耐火物によって構成されている場合、例えば溶融ガラスから発生する揮発物等の浮遊物とシリカ質耐火物とが化学的に反応し易くなり、シリカ質耐火物が著しく侵食される。その結果、耐火物の侵食にともなって発生した反応異物が溶融ガラスへ付着または混入し、ガラス製品の品質を低下させる問題が生じ易くなる。
さらに、既述のように、シリカ質耐火物は、熱膨張率が極めて小さく零に近いという特性を有するため、ツイールの本体に使用することが一見有利であると考えられる。しかしながら、上記の特許文献1及び特許文献2に記載のように、シリカ質耐火物の主要部を、白金または白金合金(以下、白金等ともいう)で被覆した場合には、白金等の熱膨張率が高いために、高温雰囲気に移行するに伴って、白金等と当該耐火物との熱膨張差が極めて大きくなる。そのため、白金等が伸びたり外側に膨らんだりして、当該耐火物の外表面から白金等が部分的に或いは全体的に離反することによって、両者間に許容しがたい位置ズレや隙間が生じるという事態を招き、溶融ガラスの流量調整に支障を来す虞がある。そして、このように溶融ガラスの流量調整に支障を来した場合においても、フロート法で最終的に得られるガラス製品(板ガラス製品)の厚みにバラツキが生じるなどしてガラス製品の品質を低下させるという問題を招来する。
以上の観点から、本発明の課題は、ツイールに対するアルカリ揮発物による浸食の問題及び耐火物と白金等との熱膨張差の問題を効果的に回避し、この両問題を回避したことによる相乗効果によってガラス製品の大幅な高品質化を図ることである。
上記課題を解決するために創案された本発明は、フロートバスに溶融ガラスを供給する流路に上下動可能に設置され且つ前記溶融ガラスの流量を調整するツイールであって、本体を構成する耐火物と、該耐火物の外表面における少なくとも溶融ガラスと接触する主要部を被覆する白金または白金合金からなる被覆部材とを備え、前記耐火物が、アルミナ・ジルコン耐火物であることに特徴づけられる。ここで、「アルミナ・ジルコン質耐火物」とは、組成としてアルミナ(Al23)が例えば50〜90質量%で、且つその残部が主としてジルコン(SiO2・ZrO2)であるアルミナジルコン系のセラミックスからなる耐火物を意味する。
このような構成において、ツイールの本体を、アルミナ・ジルコン耐火物で構成したのは、以下の理由によるものである。すなわち、本発明者等は、鋭意研究を重ねた結果、高温雰囲気下(例えば1200℃以上)でアルカリ金属を含有するガラスをフロート法で製造する際に、溶融ガラスが例えば1200℃以上の高温状態になってアルカリ成分が大量に揮発しても、このアルカリ揮発物によっては、アルミナ・ジルコンが容易には浸食されないことを知見した。更に、本発明者等は、この知見に基づいて、ツイールの本体をアルミナ・ジルコン耐火物で構成した場合に、その主要部を被覆する被覆部材として白金または白金合金を使用すれば、白金等とアルミナ・ジルコン耐火物との熱膨張率の差が小さくなることを案出した。したがって、本発明に係る上記の構成によれば、高温雰囲気下(例えば1200℃以上)でのアルカリ揮発物による浸食という従来知得し得なかった致命的な問題が回避されるだけでなく、白金等との熱膨張差の問題も併せて回避されることになる。詳述すると、ツイールの本体がアルミナ・ジルコン耐火物で構成されているため、高温状態の溶融ガラスから大量のアルカリ成分が揮発して、このアルカリ揮発物がツイールの周辺に浮遊或いは充満しても、当該耐火物がアルカリ揮発物の作用で浸食されることが抑制される。これにより、ツイールが長期使用に耐え得ることになって、ツイールの耐久性が著しく向上する。しかも、アルミナ・ジルコン耐火物の主要部を被覆している被覆部材が、白金等で形成されているため、高温雰囲気が顕著になっても、被覆部材と当該耐火物との熱膨張差が過度に大きくなることが抑止される。これにより、被覆部材が伸び過ぎたり外側に過剰に膨らんだりすることが阻止されて、被覆部材と当該耐火物との間に許容しがたい位置ズレや隙間が生じなくなるため、ツイールによる溶融ガラスの流量調整に支障を来すことが回避される。そして、上述のように、耐火物の浸食を抑制した事と、耐火物と被覆部材との熱膨張差を少なくした事との相乗効果によって、予期せぬ観点から品質が向上したガラス製品を得ることが可能となる。
以上のような構成において、前記被覆部材の熱膨張率に対する前記アルミナ・ジルコン耐火物の熱膨張率の比率は、0.5〜1.0であることが好ましい。
このような比率にすれば、ツイールが例えば1200℃以上の高温雰囲気に晒された場合であっても、白金等からなる被覆部材とアルミナ・ジルコン耐火物との熱膨張差が過度に大きくならず、既述のように被覆部材が伸び過ぎたり外側に膨らみ過ぎたりすること及びこれに起因する溶融ガラスの流量調整の阻害が十分に抑制される。
以上の構成において、前記アルミナ・ジルコン耐火物の外表面のうちの幅方向両側の側面は何れも、露出している側面部よりも、前記被覆部材で被覆されている側面部の方が、前記被覆部材の幅方向両側の側面被覆部のそれぞれの厚みに対応する長さ分だけ、幅方向内側寄りに位置していることが好ましい。
このようにすれば、アルミナ・ジルコン耐火物の露出している側面部と、被覆部材の露出している側面部とが、同一面上に位置することになるため、前者の側面部と後者の側面部とにおいては、何れか一方の側面部が他方の側面部よりも幅方向外側に突出することが回避される。これにより、ツイールの幅方向両側の両側面と、溶融炉からの溶融ガラスの供給流路を構成する両側壁部の内壁面とのそれぞれの間に、不当な隙間が生じなくなり、ツイールを境としてその上流側と下流側との遮蔽が好適なものとなる。
以上の構成において、前記アルミナ・ジルコン耐火物および前記被覆部材のそれぞれの下端領域で、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材との少なくとも上下方向の相対移動を規制する規制部を備えることが好ましい。
このようにすれば、被覆部材がアルミナ・ジルコン耐火物よりも上下方向の熱膨張量が多くても、被覆部材は、アルミナ・ジルコン耐火物に対して、下端領域に存在する規制部を起点として主として相対的に上方に向かって伸びることになる。この場合、仮に、被覆部材とアルミナ・ジルコン耐火物との相対移動を規制する規制部を、両者の下端領域よりも上方の部位に設けたならば、被覆部材が規制部を起点として相対的に下方に向かって伸びる寸法が長くなる。そのため、ツイールの下端位置が大きく変化して、ツイールによる溶融ガラスの流量調整に狂いが生じる。しかし、上記のように被覆部材が主として相対的に上方に向かって伸びれば、ツイールの下端位置が変化することを抑制できるため、ツイールによる溶融ガラスの流量調整に狂いが生じ難くなる。なお、「下端領域」とは、最下端である必要はなく、最下端を含む下端部の周辺であればよい。また、アルミナ・ジルコン耐火物と被覆部材との相対移動の規制は、上下方向に対してだけでなく、厚み方向に対しても行ってもよく、更には抜脱方向に対しても行ってもよく、この場合には、アルミナ・ジルコン耐火物と被覆部材とがそれぞれの下端領域で確実に固定されることになる。
この場合において、前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域の内面に突設した突起部を挿通し、この挿通箇所を、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材との少なくとも上下方向の相対移動を規制する規制部としてもよい。
このようにすれば、上述のアルミナ・ジルコン耐火物と被覆部材との相対移動を規制するための構造として、製作が簡易且つ確実で外形形状に不利な影響を及ぼさない構造であって長期使用にも耐え得る構造が実現する。すなわち、上記両者の相対移動を規制するための構造としては、特殊な接着剤を使用することや、アルミナ・ジルコン耐火物に突起部を形成し且つ被覆部材に凹部あるいは貫通孔を形成すること等のように種々の構造が考えられるが、本発明に係る上述の構造を採用すれば、製作が簡易等の既述の利点が得られる点で有利となる。
以上の構成において、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材とのそれぞれの下端領域よりも上側の部位で、前記アルミナ・ジルコン耐火物に対する前記被覆部材の下方へのズレを阻止する下方ズレ阻止部を備えることが好ましい。
このようにすれば、アルミナ・ジルコン耐火物に対する被覆部材の下方へのズレが、それぞれの下端領域よりも上側の部位、つまり上述の規制部が設けられるべき領域よりも上側の部位で阻止される。したがって、被覆部材は、その自重による下方へのズレが、下端側に寄り過ぎない適所で阻止されることになって、アルミナ・ジルコン耐火物に対して適正に位置決めされる。そのため、被覆部材は、アルミナ・ジルコン耐火物を好適に被覆した状態に維持される。
この場合において、前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域よりも上側の部位に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域よりも上側の部位の内面に突設した突起部を挿通して、この挿通箇所を、前記アルミナ・ジルコン耐火物に対する前記被覆部材の下方へのズレを阻止する下方ズレ阻止部としてもよい。
このようにすれば、上述のアルミナ・ジルコン耐火物に対する被覆部材の下方へのズレを阻止するための構造として、製作が簡易且つ確実で外形形状に不利な影響を及ぼさない構造であって長期使用にも耐え得る構造が実現する。すなわち、上記の下方へのズレを阻止するための構造としては、特殊な接着剤を使用することや、アルミナ・ジルコン耐火物に突起部を形成し且つ被覆部材に凹部あるいは貫通孔を形成すること等のように種々の構造が考えられるが、本発明に係る上述の構造を採用すれば、製作が簡易等の既述の利点が得られる点で有利となる。
以上の構成において、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材とのそれぞれの下端領域よりも上側の部位で、前記被覆部材が外側に膨らむことを阻止する膨らみ阻止部を備えることが好ましい。
このようにすれば、被覆部材がアルミナ・ジルコン耐火物から外側に膨らむことが、それぞれの下端領域よりも上側の部位、つまり上述の規制部が設けられるべき領域よりも上側の部位で阻止される。したがって、被覆部材は、熱膨張によって外側に膨らむことが、下端側に寄り過ぎない適所で阻止されることになって、アルミナ・ジルコン耐火物に適正に密接または近接した状態に維持される。
この場合において、前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域よりも上側の部位に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域よりも上側の部位の内面に突設した突起部を挿通して、この挿通箇所を、前記被覆部材が外側に膨らむことを阻止する膨らみ阻止部としてもよい。
このようにすれば、上述の被覆部材が外側に膨らむことを阻止する構造として、製作が簡易且つ確実で外形形状に不利な影響を及ぼさない構造であって長期使用にも耐え得る構造が実現する。すなわち、上記の被覆部材が外側に膨らむことを阻止するための構造としては、特殊な接着剤を使用することや、アルミナ・ジルコン耐火物に突起部を形成し且つ被覆部材に凹部あるいは貫通孔を形成すること等のように種々の構造が考えられるが、本発明に係る上述の構造を採用すれば、製作が簡易等の既述の利点が得られる点で有利となる。
また、この場合において、前記凹部の下面と前記突起部の下面とを、内側に向かって下降傾斜させることが好ましい。
このようにすれば、被覆部材が外側に膨らもうとしても、被覆部材の突起部の下面が、アルミナ・ジルコン耐火物の凹部の下面に当接するため、被覆部材の外側への膨らみが阻止される。したがって、凹部と突起部との極めて簡単な工夫によって、被覆部材の外側への膨らみが効果的に回避される。
さらに、この場合において、前記凹部に前記突起部が上動可能に挿通されていることが好ましい。
このようにすれば、被覆部材が熱膨張によって上方に伸びても、被覆部材の突起部は、アルミナ・ジルコン耐火物の凹部に対して上動できるため、突起部の上動が凹部によって規制されることに起因する被覆部材の不当な変形あるいは凹部の欠損等が生じ難くなる。
また、上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス物品の製造方法は、1200℃以上の温度雰囲気下において既述のツイールを用いて溶融ガラスの流量を調整することに特徴づけられる。
この方法において、前記溶融ガラスはアルカリ金属を含み、該溶融ガラスを成形して成る前記ガラス物品がアルカリ金属酸化物を合量で5質量%以上含む組成を有するようにしてもよい。
以上のように本発明によれば、ツイールに対するアルカリ揮発物による浸食の問題及び耐火物と白金等との熱膨張差の問題が効果的に回避され、この両問題が回避されたことによる相乗効果によって、予期し得ない事由に基づくガラス製品の高品質化が図られる。
本発明の第1実施形態に係るツイールが設置された状態を示す概略縦断側面図である。 本発明の第1実施形態に係るツイールが設置された状態を示す概略縦断正面図である。 本発明の第1実施形態に係るツイールの単体における全体構成を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るツイールの単体における全体構成を示す縦断正面図であって、図3のA―A線に従って切断した断面図である。 図5(a)は、本発明の第1実施形態に係るツイールの要部構成を示す拡大縦断正面図であって、図5(b)は、本発明の第1実施形態に係るツイールの要部の作用を示す拡大縦断正面図である。 本発明の第1実施形態に係るツイールの単体における全体構成を示す縦断側面図であって、図3のB―B線に従って切断した断面図である。 図7(a)は、本発明の第1実施形態に係るツイールの要部構成を示す拡大縦断側面図であって、図7(b)は、本発明の第1実施形態に係るツイールの要部の作用を示す拡大縦断側面図である。 本発明の第2実施形態に係るツイールの要部構成を示す縦断正面図である。 本発明の第2実施形態に係るツイールの要部構成を示す縦断側面図である。 本発明の第3実施形態に係るツイールの要部構成を示す縦断正面図である。 本発明の第3実施形態に係るツイールの要部構成を示す縦断側面図である。 本発明の第4実施形態に係るツイールの単体における全体構成を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るツイールの単体における全体構成を示す縦断側面図であって、図12のC―C線に従って切断した断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るツイールおよびガラス物品の製造方法について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るツイールが設置された状態を示す概略側面図であって、図2は、当該ツイールが設置された状態を示す概略正面図である。これら各図に示すように、ツイール1は、上流端の溶融炉(図示略)で加熱溶融された溶融ガラスG1を下流側のフロートバスF1に供給する供給流路F2に、上下動可能に設置されている。
詳述すると、溶融ガラスG1の供給流路F2は、一対の側壁部Faと底壁部Fbと有して構成されると共に、一対の側壁部Faの相互間に、ツイール1が配置されている。また、底壁部Fbのツイール1よりも僅かに下流側位置には、下流側に向かって下降傾斜するリップ部L1が形成され、リップ部L1を流下した溶融ガラスG1が、フロートバスF1の溶融錫S1上に連続して供給されることによって、ガラスリボンG2が成形される構成とされている。なお、本実施形態では、溶融ガラスG1がアルカリ金属成分を含有し、ガラスリボンG2が組成としてアルカリ金属酸化物を合量で5質量%以上含むガラスである場合を一例として説明する。より具体的には、ガラスリボンG2は、ガラス組成として、質量%で、SiO2 40〜70%、Al23 1〜20%、Li2O+Na2O+K2O 5〜20%、MgO+CaO+SrO+BaO 5〜40%、ZrO2 0.1〜10%を含有し、歪点が500℃以上であるガラスである。なお、上記ガラスリボンG2の組成は一例であり、任意の組成であってよい。例えば、ガラスリボンG2は、組成としてB23をさらに0.1〜10質量%含んでいても良い。
供給流路F2を流れる溶融ガラスG1は、ツイール1によって堰き止められ、その溶融ガラスG1の一部がフロートバスF1内に供給されると共に、ツイール1の幅方向両側の側面1cと、一対の側壁部Faの内壁面Faxとの間には、微小な隙間がそれぞれ形成され、ツイール1の円滑な上下動が確保されている。ツイール1の上方には、供給流路F2を横断するように水平方向に延びる支持部材D1が定置設置されると共に、この支持部材D1に形成された一対の貫通孔D1xに、ツイール1の上端に突設された一対の棒状体E1がそれぞれ挿通され、ツイール1の上下動が案内される構成とされている。ツイール1は、図外の駆動手段によって上下動すると共に、ツイール1の上下動に伴って、供給流路F2からフロートバスF1内に供給される溶融ガラスG1の流量が調整される構成とされている。
図3は、本発明の第1実施形態に係るツイール1の単体における全体構成を示す斜視図である。同図に示すように、ツイール1は、本体を構成する耐火物2と、耐火物2の外表面における主要部をなす略下半分領域(溶融ガラスG1と接触する全領域を含む下方寄り領域)を被覆する薄肉の被覆部材3とを備えている。耐火物2は、アルミナ・ジルコン耐火物であると共に、被覆部材3は、白金または白金合金で形成されている。耐火物2は、正面視が矩形を呈し且つ側面視が縦長矩形の下端に円弧状湾曲部が連なった形状を呈する厚肉板状体である。なお、耐火物2の上端には、幅方向全長に亘ってカバー部材K1が固定され、このカバー部材K1の上部に一対の棒状体E1が上方に向かって突設されている。なお、「アルミナ・ジルコン耐火物」は、アルミナジルコン耐火物、またはアルミナジルコン質耐火物、もしくはアルミナ・ジルコン質耐火物と同義である。
被覆部材3は、耐火物2の主要部である略下半分領域の形状に倣う状態で当該略下半分領域を被覆している。詳述すると、被覆部材3は、耐火物2の前面(溶融炉側の面)を被覆する前面被覆部3aと、耐火物2の後面(フロートバスF1側の面)を被覆する後面被覆部3bと、耐火物2の幅方向両側面をそれぞれ被覆する側面被覆部3cと、耐火物2の底面である断面が円弧状湾曲部を被覆する底面被覆部3dとが一体化されたものである。
アルミナ・ジルコン質耐火物2は、組成としてアルミナ(Al23)が例えば50〜90質量%で、且つその残部が主としてジルコン(SiO2・ZrO2)であるアルミナジルコン系のセラミックスからなる耐火物である。アルミナ・ジルコン質耐火物2は、組成としてムライト(Al23・SiO2)、ジルコニア(ZrO2)等をさらに含んで良い。また、アルミナ・ジルコン質耐火物は、SiO2の含有量が15質量%以下であることが好ましく、さらに、遊離SiO2の含有量が1質量%未満であることが好ましい。本実施形態のアルミナ・ジルコン質耐火物2は上記のような組成となるよう調整された原料をプレス成形したものである。なお、アルミナ・ジルコン質耐火物2の成形方法はこれに限らず、例えばキャスティング等の任意の方法を用いて良い。耐火物の寸法は、上下方向寸法が600〜1200mm、幅方向寸法が500〜1300mm、厚み方向寸法が100〜200mmである。なお、アルミナ・ジルコン質耐火物2は、必ずしも一体ではなく、幅方向に分割されていてもよいが、幅方向で隙間なく密着されていることが好ましい。
また、被覆部材3は、本実施形態では、厚みが、0.5〜2.5mmである。この厚みは、好ましくは、下限値が0.7mmまたは1.0mmであって、上限値が2.0mmまたは1.5mmである。この場合、被覆部材3の熱膨張率に対する耐火物2の熱膨張率の比率は、本実施形態では、0.5〜0.9である。この比率は、好ましくは、下限値が0.6または0.7であって、上限値が0.95または1.0である。
そして、ツイール1の前面側と後面側とにおいては、被覆部材3(前面被覆部3a及び後面被覆部3b)の内面に突設した複数の突起部10、12が、耐火物2に形成された複数の凹部にそれぞれ挿通されている。また、ツイール1の幅方向両側においても、被覆部材3(一対の側面被覆部3c)の内面に突設した複数の突起部5、7が、耐火物2に形成された複数の凹部に挿通されている。以下、それらに関する構造を具体的に説明する。
図4は、図3のA―A線に従って切断した断面図であって、ツイール1の縦断正面図である。同図に示すように、被覆部材3は、一対の側面被覆部3cが耐火物2の幅方向両側の側面2cの略下半分領域をそれぞれ被覆すると共に、底面被覆部3dが耐火物2の底面2dを幅方向全長に亘って被覆している。耐火物2の外表面のうち、幅方向両側の側面2cは何れも、上側の露出している側面部2caよりも、下側の被覆部材3で被覆されている側面部2cbの方が、一対の側面被覆部3cのそれぞれの厚みTに対応する長さ分だけ幅方向内側寄りに位置している。したがって、耐火物2の露出している側面部2caと、側面被覆部3cの露出している側面部3caとは、同一面上に位置している。更に、図5(a)に詳細に示すように、耐火物2の露出している側面部2caと、側面被覆部3cで被覆されている側面部2cbとの間には、段差面2xが形成されており、この段差面2xと、側面被覆部3cの上端面3xとの間には、上下方向隙間4が設けられている。なお、本実施形態では、ツイール1の幅方向両側の側面1cが何れも、上端から下端まで同一面上に位置する構造とされているが、側面被覆部3cの厚みTを極めて薄くすれば、耐火物2の両側面2cを段差の無い平面として、その耐火物2の略下半分領域を被覆部材3で被覆することも可能である。
図4に示すように、ツイール1は、耐火物2の幅方向両側の側部と、被覆部材3の一対の側面被覆部3cとが、それぞれの下端領域で少なくとも上下方向の相対移動が規制され、好ましくは、厚み方向(紙面と直交する方向)の相対移動も規制され、更に好ましくは、抜脱方向(左右方向)の相対移動も規制されている。本実施形態では、上述の3方向の全ての相対移動が規制されているため、耐火物2の幅方向両側の側部と、被覆部材3の一対の側面被覆部3cとが、それぞれの下端領域で固定されている。詳述すると、一対の側面被覆部3cにおける下端領域の内面に、幅方向内側に延びる円柱状等の柱状またはパイプ状もしくは板状等の突起部5がそれぞれ溶接等によって固定され、これらの突起部5が、耐火物2の幅方向両側の側部における下端領域にそれぞれ形成された凹部6に挿通固定されている。この場合、図例では、突起部5及び凹部6は、水平方向に沿うように形成されているが、幅方向内側に向かって下降傾斜または上昇傾斜するように形成されていてもよい。なお、この突起部5は、本実施形態では、厚み方向中央部の一箇所のみに形成されているが、厚み方向の複数箇所に形成されていてもよい。
ツイール1は、一対の側面被覆部3cの上端領域で、耐火物2に対する被覆部材3の下方へのズレの阻止と、各側面被覆部3cの幅方向外側への膨らみの阻止とが行われるように構成されている。詳述すると、一対の側面被覆部3cにおける上端領域の内面に、幅方向内側に向かって下降傾斜するように延びる円柱状等の柱状またはパイプ状もしくは板状等の突起部7がそれぞれ溶接等によって固定され、これらの突起部7が、耐火物2の幅方向両側の側部における上下方向中間領域にそれぞれ形成され且つ幅方向内側に向かって下降傾斜するように延びる凹部8に遊びをもって挿通されている。この場合、図5(a)に詳細に示すように、側面被覆部3cに固定された上述の傾斜状の突起部7の下面7aは、耐火物2の側部に形成された上述の傾斜状の凹部8の下面8aに当接しているのに対して、上述の傾斜状の突起部7の上面7bと、上述の傾斜状の凹部8の上面8bとの間には、上下方向隙間9が設けられている。この突起部7の下面7a及び凹部8の下面8aは、水平線からの傾斜角度θ1が、10〜60°、好ましくは、下限値が30°であって、上限値が45°である。なお、この突起部7は、本実施形態では、厚み方向中央部の1箇所のみに形成されているが、厚み方向の複数箇所に形成されていてもよい。この場合、凹部8の形状は、突起部7の形状と相似形であってもよく、或いは、厚み方向全長に亘って延びる凹溝形状であってもよく、若しくは、突起部7の周辺のみで厚み方向に延びる凹溝形状などであってもよく、いずれにしても、凹部8の下面8aに突起部7の下面7aが当接し且つ凹部8の上面8bと突起部7の上面7bとの間に上下方向隙間9が設けられるならば、凹部8の形状は特に限定されない。
図6は、図3のB―B線に従って切断した断面図であって、ツイール1の縦断側面図である。同図に示すように、ツイール1における耐火物2の前面2a(溶融炉側の面)と後面2b(フロートバスF1側の面)とは何れも、段差を有しない平面であって、底面2dが円弧状に湾曲している。被覆部材3は、前面被覆部3aが、耐火物2の前面2aにおける略下半分領域を被覆し、後面被覆部3bが、耐火物2の後面2bにおける略下半分領域を被覆し、底面被覆部3dが、耐火物2の底面2dを被覆している。したがって、前面被覆部3aと後面被覆部3bとは、耐火物2の前面2aと後面2bとからそれぞれの厚みに対応した長さ分だけ厚み方向の前側と後側とに突出し、ツイール1として視た場合には、前面1aと後面1bとにそれぞれ段差が形成されている。なお、ツイール1として視た場合に、前面1aと後面1bとに段差が形成されないように、既述の図4に示す縦断面の形状と同様に、耐火物2について、露出している面に対して被覆部材3で被覆されている面を厚み方向内側寄りに位置させてもよい。
ツイール1は、耐火物2の前部及び後部と、被覆部材3の前面被覆部3a及び後面被覆部3bとが、それぞれの下端領域で少なくとも上下方向の相対移動が規制され、好ましくは、幅方向(紙面と直交する方向)の相対移動も規制され、更に好ましくは、抜脱方向(左右方向)の相対移動も規制されている。本実施形態では、上述の3方向の全ての相対移動が規制されているため、耐火物2の前部及び後部と、被覆部材3の前面被覆部3a及び後面被覆部3bとが、それぞれの下端領域で固定されている。詳述すると、被覆部材3の前面被覆部3a及び後面被覆部3bにおけるそれぞれの下端領域の内面に、厚み方向内側に延びる円柱状等の柱状またはパイプ状もしくは板状等の突起部10がそれぞれ溶接等によって固定され、これらの突起部10が、耐火物2の前部及び後部における下端領域にそれぞれ形成された凹部11に挿通固定されている。この場合、図例では、突起部10及び凹部11は、水平方向に沿うように形成されているが、幅方向内側に向かって下降傾斜または上昇傾斜するように形成されていてもよい。なお、突起部10は、本実施形態では、幅方向の複数箇所(例えば2箇所)にそれぞれ形成されているが、幅方向中央部の1箇所のみに形成されていてもよい。以上の説明で、耐火物2についての下端領域とは、耐火物2の前面2a及び後面2bの下端部周辺と底面2dとを含む領域に対応する高さ領域であって、凹部6、10は、この高さ領域の何れかの箇所に形成されていればよいが、本実施形態では、前面2a及び後面2bの下端部に対応する高さ位置に形成されている(図4をも参照)。また、被覆部材3についての下端領域とは、前面被覆部3a及び後面被覆部3bの下端部周辺と底面被覆部3dとを含む領域に対応する高さ領域であって、突起部5、10は、この高さ領域の何れかの箇所に形成されていればよいが、本実施形態では、前面被覆部3a及び後面被覆部3bの下端部に対応する高さ領域に形成されている(図4をも参照)。
図6に示すように、ツイール1は、前面被覆部3a及び後面被覆部3bの上端領域で、耐火物2に対する被覆部材3の下方へのズレの阻止と、前面被覆部3a及び後面被覆部3bの厚み方向外側への膨らみの阻止とが行われるように構成されている。詳述すると、前面被覆部3a及び後面被覆部3bにおける上端領域の内面に、厚み方向内側に向かって下降傾斜するように延びる円柱状等の柱状またはパイプ状もしくは板状等の突起部12がそれぞれ溶接等によって固定され、これらの突起部12が、耐火物2の前部及び後部における上下方向中間領域にそれぞれ形成され且つ幅方向内側に向かって下降傾斜するように延びる凹部13に遊びをもって挿通されている。この場合、図7(a)に詳細に示すように、被覆部材3の後面被覆部3bに固定された上述の傾斜状の突起部12の下面12aは、耐火物2の後部に形成された上述の傾斜状の凹部13の下面13aに当接しているのに対して、上述の傾斜状の突起部12の上面12bと、上述の傾斜状の凹部13の上面13bとの間には、上下方向隙間14が設けられている(前面被覆部3aも同様)。この突起部12の下面12a及び凹部13の下面13aは、水平線からの傾斜角度θ2が、10〜60°、好ましくは、下限値が30°であって、上限値が45°である。なお、この突起部12は、本実施形態では、幅方向の複数箇所(例えば2箇所)に形成されているが、幅方向の1箇所のみに形成されていてもよい。この場合、凹部13の形状は、突起部12の形状と相似形であってもよく、或いは、幅方向全長に亘って延びる凹溝形状であってもよく、若しくは、突起部12の周辺のみで幅方向に延びる凹溝形状などであってもよく、いずれにしても、凹部13の下面13aに突起部12の下面12aが当接し且つ凹部13の上面13bと突起部12の上面12bとの間に上下方向隙間14が設けられるならば、凹部13の形状は特に限定されない。
次に、以上の構成を備えた本発明の第1実施形態に係るツイール1の作用効果を説明する。
本実施形態に係るツイール1は、本体がアルミナ・ジルコン耐火物2で構成されているため、高温状態(例えば1200℃以上)の溶融ガラスG1からの揮発物等の浮遊物がツイール1の周辺に浮遊或いは充満しても、耐火物2がアルカリ揮発物の作用で浸食されることが抑制される。浮遊物は、例えばアルカリ金属やホウ酸等である。これにより、ツイール1が長期使用に耐え得ることになって、ツイール1の耐久性が著しく向上する。しかも、耐火物2の主要部を被覆している被覆部材3が、白金または白金合金で形成されているため、ツイール1の周辺の高温雰囲気が顕著になっても、被覆部材3と耐火物2との熱膨張差が過度に大きくなることが抑止される。これにより、被覆部材3が伸び過ぎたり外側に過剰に膨らんだりすることが阻止されて、被覆部材3と耐火物2との間に許容しがたい位置ズレや隙間が生じなくなるため、ツイール1による溶融ガラスG1の流量調整に支障を来すことが回避される。このように、耐火物2の浸食を抑制した事と、被覆部材3と耐火物2との熱膨張差を少なくした事との相乗効果によって、予期せぬ観点から品質が向上したガラス製品(板ガラス製品)を得ることが可能となる。本発明のツイール1は、上述の通り1200℃以上の雰囲気下で溶融ガラスの流量を調整する際に使用することが好適である。なお、ツイール1の使用環境は、より好ましくは1200℃〜1500℃である。雰囲気温度が1500℃より高い場合、アルミナジルコン質耐火物であっても溶融ガラスからの揮発成分との反応によって劣化し易くなる場合がある。ツイール1の使用環境は、さらに好ましくは1200℃〜1400℃、1200℃〜1300℃である。
更に、被覆部材3が耐火物2を被覆している構造の特異性から、以下に述べるような作用効果を得ることができる。すなわち、図4に示すツイール1の縦断正面においては、被覆部材3は、耐火物2に対して、下端領域で突起部5が凹部6に挿通固定された上で、上端領域で傾斜状の突起部7が傾斜状の凹部8に挿通されているため、自重による被覆部材3の下方へのズレが阻止されると共に、被覆部材3の側面被覆部3cの幅方向外側への膨らみも阻止される。また、図6に示すツイール1の縦断側面においても、被覆部材3は、耐火物2に対して、下端領域で突起部10が凹部11に挿通固定された上で、上端領域で傾斜状の突起部12が傾斜状の凹部13に挿通されているため、自重による被覆部材3の下方へのズレが阻止されると共に、被覆部材3の前面被覆部3a及び後面被覆部3bの厚み方向外側への膨らみも阻止される。
そして、耐火物2の熱膨張率に比して被覆部材3の熱膨張率が比較的大きい場合であっても、被覆部材3は下端領域での耐火物2に固定されているため、被覆部材3は、耐火物2に対して下端領域を基準として相対的に上方に向かって膨張することになる。すなわち、被覆部材3は、固定部(突起部5の凹部6への挿通固定部及び突起部10の凹部11への挿通固定部)を基準として下方に向かっては殆ど伸びず、大半が上方に向かって延びることになる。この場合、図5(a)に示すツイール1の要部の縦断正面においては、熱膨張する前の時点で、被覆部材3の側面被覆部3cの上端面3xと、耐火物2の段差面2xとの間に、上下方向隙間4が設けられており、且つ、側面被覆部3cの内面に突設した突起部7の上面7bと、耐火物2の凹部8の上面8bとの間にも、上下方向隙間9が設けられている。そのため、図5(b)に示すように、被覆部材3の側面被覆部3cが上方に向かって延びても、側面被覆部3cの上端面3xと耐火物2の段差面2xとが当接せず、且つ、突起部7の上面7bと凹部8の上面8bとが当接しない状態に維持される。加えて、図7(a)に示すツイール1の要部の縦断側面においては、熱膨張する前の時点で、被覆部材3の後面被覆部3b(前面被覆部3aも同様)の内面に突設した突起部12の上面12bと、耐火物2の凹部13の上面13bとの間に、上下方向隙間14が設けられている。そのため、被覆部材3の後面被覆部3b(前面被覆部3aも同様)が上方に向かって延びても、突起部12の上面12bと凹部13の上面13bとが当接しない状態に維持される。以上の結果、被覆部材3が全体的に上方に向かって延びても、その延びが妨げられることはなく、耐火物2よりも被覆部材3の熱膨張率が大きいことに起因する被覆部材3の不当な変形等の問題が生じ難くなる。この場合、仮に、被覆部材3が、耐火物2に対して相対的に下方に向かって膨張したならば、ツイール1の下端位置が変化して、ツイール1による溶融ガラスG1の流量調整に狂いが生じる。しかし、上記のように被覆部材3が主として相対的に上方に向かって膨張すれば、ツイール1の下端位置が変化することを抑制できるため、ツイール1による溶融ガラスG1の流量調整に狂いが生じ難くなるという利点が得られる。したがって、上述の上下方向隙間4、9、14は全て、被覆部材3と耐火物2との熱膨張率の差と、ツイール1に生じる温度変化とを考慮して設定されていることになる。
更に、被覆部材3の側面被覆部3cと後面被覆部3b(前面被覆部3aも同様)とがそれぞれ、図5(b)及び図7(b)に示す状態となった場合に、それら3c、3b、3aを外側に膨らませようとする力が働いても、ある程度外側に膨らんだ時点で、傾斜状の突起部7、12と傾斜状の凹部8、13とがそれぞれ接触して、それ以上の外側への膨らみが阻止される。そのため、それら3c、3b、3aが外側に膨らんだ場合であっても、問題が生じない時点で外側への膨らみを阻止することが可能となる。
図8は、本発明の第2実施形態に係るツイール1の要部を示す縦断正面図であって、図9は、同じく本発明の第2実施形態に係るツイール1の要部を示す縦断側面図である。これら各図に示すように、この第2実施形態に係るツイール1が、上述の第1実施形態に係るツイール1と相違している点は、被覆部材3の上端領域における突起部7と凹部8との構造を、被覆部材3の上下方向中央領域にも設けたところにある。このようにすれば、被覆部材3の側面被覆部3cと後面被覆部3b(前面被覆部3aも同様)とが外側に膨らむ事態を、より一層確実に阻止することができる。その他の構成は、上述の第1実施形態に係るツイール1と同一であるので、両者に共通の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。なお、上述の突起部7,12と凹部8、13との構造は、上記例示した領域以外に設けるようにしてもよい。
図10は、本発明の第3実施形態に係るツイール1の要部を示す縦断正面図であって、図11は、同じく本発明の第3実施形態に係るツイール1の要部を示す縦断側面図である。これら各図に示すように、この第3実施形態に係るツイール1が、上述の第1実施形態に係るツイール1と相違している点は、被覆部材3の側面被覆部3cと後面被覆部3b(前面被覆部3aも同様)の上端部を内側に折り曲げることで、突起部7、12をそれぞれ形成したところにある。このようにすれば、突起部7、12の形成を、別途異なる部材を使用することなく簡単な作業で容易に行うことができる。その他の構成は、上述の第1実施形態に係るツイール1と同一であるので、両者に共通の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
図12は、本発明の第4実施形態に係るツイール1を示す斜視図である。同図に示すように、この第4実施形態に係るツイール1が、上述の第1実施形態に係るツイール1と相違している点は、被覆部材3において、前面被覆部3aの上端よりも後面被覆部3bの上端の方が低くなるように形成され、これに伴って側面被覆部3cの上端面3xが前方から後方に向かって下降傾斜しているところにある。したがって、図13に示すように、前面被覆部3aの上端領域に形成された傾斜状の突起部12及びこれに対応して耐火物2に形成された傾斜状の凹部13の高さ位置よりも、後面被覆部3bの上端領域に形成された傾斜状の突起部12及びこれに対応して耐火物2に形成された傾斜状の凹部13の高さ位置の方が低くなっている。このようにすれば、溶融ガラスG1を堰き止める役割を果たす前面被覆部3aの高さを十分に確保すると共に、そのような役割を果たさない後面被覆部3bの高さを低くすることで、高価な白金または白金合金の使用量を節減することができ、ツイール1の製作コストの低廉化が図られる。その他の構成は、上述の第1実施形態に係るツイール1と同一であるので、両者に共通の構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
なお、以上の第1〜第4実施形態における耐火物2と被覆部材3との熱膨張差による弊害を抑制するための構造は、耐火物2がアルミナ・ジルコン耐火物以外の例えばシリカ質耐火物等の他の耐火物である場合、つまりアルミナ・ジルコン耐火物よりも白金等との熱膨張差が大きな耐火物である場合に有利となる。但し、耐火物2がアルミナ・ジルコン耐火物であっても、当該耐火物2と被覆部材3との僅かな熱膨張差に対して、上記の構造は十分な効果を発揮することができる。
また、以上の第1〜第4実施形態では、耐火物2に形成した傾斜状の凹部に、被覆部材3に形成した傾斜状の突起部を挿通する構造が、何れかの箇所に設けられているが、それらの凹部及び突起部が、非傾斜状であっても、被覆部材3の下方へのズレを阻止するという点においては十分な効果を発揮することができる。すなわち、耐火物2と被覆部材3とのそれぞれの下端領域における両者の固定のみでは、被覆部材3の自重による下方へのズレを阻止できない場合に十分な効果を発揮することができる。一方、これとは逆に、耐火物2と被覆部材3とのそれぞれの下端領域における両者の固定のみによって、被覆部材3の自重による下方へのズレを十分に阻止できる場合には、傾斜状の凹部の下面と傾斜状の突起部の下面とが、熱膨張する前の時点で、当接せずに僅かに離反していても、被覆部材3の外側への膨らみをある程度は阻止することができるため、熱膨張前における傾斜状の凹部の下面と傾斜状の突起部の下面との接触は、必須の要件ではない。
1 ツイール
1a ツイールの前面
1b ツイールの後面
1c ツイールの側面
2 耐火物(アルミナ・ジルコン耐火物)
2a 耐火物の 前面
2b 耐火物の 後面
2c 耐火物の 側面
2d 耐火物の 底面
3 被覆部材
3a 前面被覆部
3b 後面被覆部
3c 側面被覆部
3d 底面被覆部
3x 被覆部材の上端面
5 突起部
6 凹部
7 突起部
8 凹部
10 突起部
11 凹部
12 突起部
13 凹部
θ1 突起部の 傾斜角度
θ2 突起部の 傾斜角度
F1 フロートバス
F2 供給流路(溶融ガラスを供給する流路)
G1 溶融ガラス

Claims (13)

  1. フロートバスに溶融ガラスを供給する流路に上下動可能に設置され且つ前記溶融ガラスの流量を調整するツイールであって、
    本体を構成する耐火物と、該耐火物の外表面における少なくとも溶融ガラスと接触する主要部を被覆する白金または白金合金からなる被覆部材とを備え、前記耐火物が、アルミナ・ジルコン耐火物であることを特徴とするツイール。
  2. 前記被覆部材の熱膨張率に対する前記アルミナ・ジルコン耐火物の熱膨張率の比率が、0.5〜1.0であることを特徴とする請求項1に記載のツイール。
  3. 前記アルミナ・ジルコン耐火物の外表面のうちの幅方向両側の側面は何れも、露出している側面部よりも、前記被覆部材で被覆されている側面部の方が、前記被覆部材の幅方向両側の側面被覆部のそれぞれの厚みに対応する長さ分だけ、幅方向内側寄りに位置していることを特徴とする請求項1または2に記載のツイール。
  4. 前記アルミナ・ジルコン耐火物および前記被覆部材のそれぞれの下端領域で、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材との少なくとも上下方向の相対移動を規制する規制部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のツイール。
  5. 前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域の内面に突設した突起部を挿通し、この挿通箇所を、前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材との少なくとも上下方向の相対移動を規制する規制部としたことを特徴とする請求項4に記載のツイール。
  6. 前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材とのそれぞれの下端領域よりも上側の部位で、前記アルミナ・ジルコン耐火物に対する前記被覆部材の下方へのズレを阻止する下方ズレ阻止部を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のツイール。
  7. 前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域よりも上側の部位に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域よりも上側の部位の内面に突設した突起部を挿通して、この挿通箇所を、前記アルミナ・ジルコン耐火物に対する前記被覆部材の下方へのズレを阻止する下方ズレ阻止部としたことを特徴とする請求項6に記載のツイール。
  8. 前記アルミナ・ジルコン耐火物と前記被覆部材とのそれぞれの下端領域よりも上側の部位で、前記被覆部材が外側に膨らむことを阻止する膨らみ阻止部を備えることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のツイール。
  9. 前記アルミナ・ジルコン耐火物の下端領域よりも上側の部位に形成した凹部に、前記被覆部材の下端領域よりも上側の部位の内面に突設した突起部を挿通して、この挿通箇所を、前記被覆部材が外側に膨らむことを阻止する膨らみ阻止部としたことを特徴とする請求項8に記載のツイール。
  10. 前記凹部の下面と前記突起部の下面とを、内側に向かって下降傾斜させたことを特徴とする請求項9に記載のツイール。
  11. 前記凹部に前記突起部が上動可能に挿通されていることを特徴とする請求項10に記載のツイール。
  12. 1200℃以上の温度雰囲気下において請求項1〜11の何れかに記載のツイールを用いて溶融ガラスの流量を調整することを特徴とするガラス物品の製造方法。
  13. 前記溶融ガラスはアルカリ金属を含み、該溶融ガラスを成形して成る前記ガラス物品がアルカリ金属酸化物を合量で5質量%以上含む組成を有することを特徴とする請求項12に記載のガラス物品の製造方法。
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