JP2016098160A - フロートガラス製造装置、およびフロートガラス製造方法 - Google Patents

フロートガラス製造装置、およびフロートガラス製造方法 Download PDF

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Tetsushi Takiguchi
哲史 瀧口
督博 鏡味
Tadahiro Kagami
督博 鏡味
上堀 徹
Toru Uehori
徹 上堀
鋼一郎 大井
Koichiro Oi
鋼一郎 大井
正人 杉田
Masato Sugita
正人 杉田
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Abstract

【課題】ヒータの劣化を抑制できる構造を有するフロートガラス製造装置を提供する。【解決手段】溶融金属Mが貯留されるボトム11aとルーフ11bとを有するフロートバス10の内部空間ARを下方空間AR1と上方空間AR2とに二分するルーフレンガ層16と、ルーフレンガ層16を貫通して設置される第1のヒータ33と、第2のヒータ34からなる複数のヒータ30と、を含み、第1のヒータ33および第2のヒータ34は、それぞれ、少なくとも一部が上方空間AR2に位置する非発熱部33a,34aと、少なくとも一部が下方空間AR1に位置する発熱部33b,34bと、を有し、第1のヒータ33における発熱部33bの外径と、第1のヒータ33における非発熱部33aの外径と、は同じであり、第2のヒータ34における発熱部34bの外径は、第2のヒータ34における非発熱部34aの外径よりも大きい、フロートガラス製造装置。【選択図】図4

Description

本発明は、フロートガラス製造装置、およびフロートガラス製造方法に関する。
たとえば、特許文献1には、溶融ガラスを溶融金属の浴面に連続的に供給してガラスリボンを形成するフロートガラス製造装置が記載されている。このようなフロートガラス製造装置においては、溶融金属の浴槽の天井から吊り下げられた複数のヒータによってガラスリボンの温度分布が制御される。
特開2011−225386号公報
ところで、近年、ガラスの薄板化、およびガラスの板厚精度の向上に対する要求が高まっている。また、高粘性硝材を用いた低熱収縮性のガラスの需要が高まっている。これらの要求に伴って、フロートガラス製造装置におけるヒータの出力は増加する傾向にあった。
しかし、ヒータの出力が増加するほど、ヒータの温度は高くなる。これにより、ヒータが劣化する問題があった。
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、ヒータの劣化を抑制できる構造を有するフロートガラス製造装置、およびヒータの劣化を抑制できるフロートガラス製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明のフロートガラス製造装置の一つの態様は、粘度が10dPa・sとなる温度が1100℃以上であるガラスを形成するフロートガラス製造装置であって、溶融金属が貯留されるボトムと該ボトムを覆うルーフとを有するフロートバスを備え、前記フロートバスは、前記フロートバスの内部空間を下方空間と上方空間とに二分するルーフレンガ層と、上下方向に延び、かつ、前記ルーフレンガ層を貫通して設置される複数のヒータと、を有し、前記複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、を含み、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、少なくとも一部が前記上方空間に位置する非発熱部と、少なくとも一部が前記下方空間に位置する発熱部と、を有し、前記第1のヒータにおける前記発熱部の外径と、前記第1のヒータにおける前記非発熱部の外径と、は同じであり、前記第2のヒータにおける前記発熱部の外径は、前記第2のヒータにおける前記非発熱部の外径よりも大きいことを特徴とする。
前記第2のヒータにおける前記発熱部の上下方向の寸法は、前記第1のヒータにおける前記発熱部の上下方向の寸法よりも大きい構成としてもよい。
前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記複数の区画のうち、前記区画における前記ヒータの出力が30kW/m以上となる区画に設置される構成としてもよい。
前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記フロートバスを上方から視た際に前記ガラスリボンの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する前記区画のうち、前記幅方向の両端に位置する第1区画、および前記第1区画と前記幅方向に隣接する第2区画の少なくとも一つに設置される構成としてもよい。
前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記フロートバスを上方から視た際に前記ガラスリボンの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する前記区画のうち、前記幅方向の中央に位置する第3区画、および前記第3区画と前記幅方向に隣接する第4区画の少なくとも一つに設置される構成としてもよい。
前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、前記複数の区画は、前記ガラスリボンの所定の流線に沿って規定され、前記第2のヒータの少なくとも一つは、上方から視た際に前記流線と重なる区画のうちの少なくとも一つに設置される構成としてもよい。
前記ルーフレンガ層における前記第2のヒータが設置される部分の上下方向の寸法は、前記ルーフレンガ層における前記第1のヒータが設置される部分の上下方向の寸法よりも大きい構成としてもよい。
前記第2のヒータは、前記発熱部と前記非発熱部とを接合する接合部を有し、前記接合部の少なくとも一部の外径は、前記発熱部の外径以下であり、かつ、前記非発熱部の外径よりも大きい構成としてもよい。
前記接合部の上端は、前記ルーフレンガ層の下端よりも下側に位置する構成としてもよい。
前記接合部の上端は、前記ルーフレンガ層の下端よりも上側に位置する構成としてもよい。
前記接合部の外径は、前記非発熱部から前記発熱部に向かうに従って大きくなる構成としてもよい。
前記フロートバスは、前記上方空間を、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向と直交する幅方向に沿って分割する仕切部材を有し、前記仕切部材は、前記ガラスリボンの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられ、前記第2のヒータの少なくとも一部は、前記仕切部材によって前記幅方向に分割された前記上方空間のうち、前記幅方向の両端に位置する両端空間に設置されている構成としてもよい。
本発明のフロートガラス製造方法の一つの態様は、溶融金属が貯留されるボトムと該ボトムを覆うルーフとを有するフロートバスを用いて、粘度が10dPa・sとなる温度が1100℃以上であるガラスを形成するフロートガラス製造方法であって、前記フロートバスの内部空間は、ルーフレンガ層によって上方空間と下方空間とに二分され、上下方向に延び、かつ、前記ルーフレンガ層を貫通して設置される複数のヒータによって、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンを加熱することを含み、前記複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、を含み、前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、少なくとも一部が前記上方空間に位置する非発熱部と、前記非発熱部より下側に設けられ少なくとも一部が前記下方空間に位置する発熱部と、を有し、前記第1のヒータにおける前記発熱部の太さと、前記第1のヒータにおける前記非発熱部の太さと、は同じであり、前記第2のヒータにおける前記発熱部の太さは、前記第2のヒータにおける前記非発熱部の太さよりも大きいことを特徴とする。
前記上方空間は、前記ガラスリボンの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられる仕切部材によって、前記ガラスリボンの搬送方向と直交する幅方向に沿って少なくとも3つ以上の空間に分割され、前記ガラスリボンを加熱することは、前記分割された上方空間のうち、前記幅方向の両端に位置する両端空間に設置された前記第2のヒータによって、前記ガラスリボンを加熱することを含む製造方法としてもよい。
前記上方空間に還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスは、前記両端空間よりも内側に位置する内側空間における前記還元性ガスの濃度が、前記両端空間における前記還元性ガスの濃度よりも低くなるように、導入される製造方法としてもよい。
前記両端空間に還元性ガスを導入することと、前記両端空間よりも内側に位置する内側空間に不活性ガスを導入することと、を含む製造方法としてもよい。
製造されるフロートガラスは、無アルカリガラスである製造方法としてもよい。
前記無アルカリガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO:50%以上、73%以下、Al:10.5%以上、24%以下、B:0%以上、12%以下、MgO:0%以上、10%以下、CaO:0%以上、14.5%以下、SrO:0%以上、24%以下、BaO:0%以上、13.5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:8%以上、29.5%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する製造方法としてもよい。
前記無アルカリガラスのガラス転移点は、730℃以上、850℃以下であり、前記無アルカリガラスの粘度は、10dPa・sとなる温度が1220℃以上、1350℃以下であり、前記無アルカリガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO:57%以上、65%以下、Al:14%以上、23%以下、B:0%以上、5.5%以下、MgO:1%以上、8.5%以下、CaO:3%以上、12%以下、SrO:0%以上、10%以下、BaO:0%以上、5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:12%以上、23%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する製造方法としてもよい。
本発明の一つの態様によれば、ヒータの劣化を抑制できる構造を有するフロートガラス製造装置、およびヒータの劣化を抑制できるフロートガラス製造方法が提供される。
本実施形態のフロートガラス製造装置の部分を示す断面図である。 本実施形態のフロートバスを示す平面図である。 本実施形態のフロートバスを示す平面図である。 本実施形態のフロートバスを示す図であって、図1におけるIV−IV断面の部分を示す図である。 本実施形態の第2のヒータを示す部分拡大断面図である。 本実施形態の第2のヒータの他の一例を示す部分拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るフロートガラス製造装置およびフロートガラス製造方法について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
なお、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示し、Z軸方向を上下方向とし、X軸方向を図2に示すフロートバス10の長さ方向とし、Y軸方向をフロートバス10の幅方向とする。フロートバス10の長さ方向は、図2における左右方向であり、本明細書においては、ガラスリボンGRの搬送方向である。また、フロートバス10の幅方向は、図2における左右方向であり、ガラスリボンGRの搬送方向と直交する幅方向である。
なお、本明細書において、ガラスリボンGRの搬送方向とは、平面視においてガラスリボンGRが搬送される方向である。
また、本明細書において、上流側および下流側とは、フロートガラス製造装置1内におけるガラスリボンGRの搬送方向(X軸方向)に対するものである。すなわち、本明細書においては、+X側が下流側であり、−X側が上流側である。
また、本明細書において、幅方向(Y軸方向)の内側とは、幅方向において、フロートバス10の幅方向の中心が位置する側である。本明細書において、幅方向の外側とは、幅方向において、フロートバス10の幅方向の中心が位置する側と反対側である。
なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、幅方向とは、フロートバス10の幅方向およびガラスリボンGRの幅方向を意味するものとし、搬送方向とは、ガラスリボンGRの搬送方向を意味するものとする。
図1は、本実施形態のフロートガラス製造装置1の部分を示す断面図(ZX断面図)である。図2から図4は、フロートバス10を示す図である。図2および図3は、平面図である。図4は、図1におけるIV−IV断面(YZ断面)の部分を示す図である。図5は、異径ヒータ34を示す部分拡大断面図である。図2および図3においては、ルーフ11bの図示を省略している。また、図3においては、トップロール20〜29の図示を省略している。
本実施形態のフロートガラス製造装置1は、粘度が10dPa・sとなる温度が1100℃以上であるガラスを形成する装置である。フロートガラス製造装置1は、図1に示すように、内部空間ARを有するフロートバス10を備える。また、フロートガラス製造装置1は、図示しない溶融炉と、図示しない徐冷炉と、を備える。
フロートバス10は、内部空間AR内においてガラスリボンGRを成形する装置である。フロートバス10の上流側(−X側)には、図示しない溶融炉が接続されている。溶融炉は、リップ19を介して、上流側からフロートバス10に貯留された溶融金属Mの表面Ma上に溶融ガラスGmを供給する。溶融ガラスGmは、ツイール18により流量を制御されつつ、溶融金属Mの表面Ma上に連続的に供給される。
フロートバス10の下流側(+X側)には、図示しない徐冷炉が接続されている。徐冷炉は、フロートバス10で成形されたガラスリボンGRを冷却する。
フロートバス10は、ボトム11aと、ルーフ11bと、複数のヒータ30と、複数の制御装置40と、を有する。また、フロートバス10は、図2に示すように、複数のトップロール20〜29を有する。また、フロートバス10は、図4に示すように、サイドシール17と、仕切部材50と、を有する。複数のヒータ30は、同径ヒータ33と、異径ヒータ34と、を含む。
なお、同径ヒータ33は、第1のヒータに相当する。異径ヒータ34は、第2のヒータに相当する。
図1に示すように、ボトム11aには、溶融金属Mが貯留されている。ルーフ11bは、ボトム11aの上側(+Z側)を覆っている。複数のヒータ30は、ルーフ11bに設けられている。複数のヒータ30は、制御装置40によって制御され、溶融金属M上に形成されるガラスリボンGRを加熱可能となっている。図4に示すように、サイドシール17は、ボトム11aとルーフ11bとの間に設けられている。仕切部材50は、フロートバス10の上方空間AR2を仕切っている。
以下、フロートバス10の各部について詳細に説明する。
(ボトム)
ボトム11aは、図1に示すように、ボトム本体12と、ボトムケーシング13と、を有する。
ボトム本体12の上側(+Z側)の面には、下側(−Z側)に凹となる貯留槽12aが形成されている。貯留槽12aの内部には、溶融金属Mが貯留される。溶融金属Mは、たとえば、溶融スズ、溶融スズ合金等である。ボトム本体12の材質は、たとえば、粘土質レンガ等である。
ボトムケーシング13は、ボトム本体12の外側面を覆っている。ボトムケーシング13は、たとえば、鋼製である。
(ルーフ)
ルーフ11bは、ボトム11aの上側(+Z側)に配置されている。ルーフ11bは、ルーフケーシング15と、サイドウォール14と、ルーフレンガ層16と、を有する。すなわち、フロートバス10は、ルーフレンガ層16を有する。
ルーフケーシング15は、たとえば、フロートバス10が設置されている建物の梁等の図示しない上部構造から吊り下げられている。ルーフケーシング15は、下側(−Z側)に開口する箱型である。図4に示すように、ルーフケーシング15の上面には、ガス導入口15a,15bが設けられている。ガス導入口15aは、上方空間AR2のうち後述する両端空間AR21と連通して設けられている。ガス導入口15bは、上方空間AR2のうち後述する内側空間AR22と連通して設けられている。ルーフケーシング15は、たとえば、鋼製である。
サイドウォール14は、ルーフケーシング15における下側(−Z側)の部分の内側に固定されている。サイドウォール14の材質は、たとえば、保温レンガ、シリマナイト等である。
ルーフレンガ層16は、サイドウォール14の内側に設けられている。ルーフレンガ層16は、図示しない格子状に組まれた骨組みの上に、PBAと呼ばれる略直方体状のレンガブロックを載置して構成される。格子状に組まれた骨組みは、たとえば、ルーフケーシング15の内側の天面から吊り下げられている。これにより、ルーフレンガ層16は、所望の高さに配置される。
ルーフレンガ層16は、フロートバス10の内部空間ARを下方空間AR1と上方空間AR2とに二分する。
下方空間AR1は、フロートバス10の内部空間ARのうちボトム11aとルーフ11bとの間に位置する空間である。下方空間AR1は、溶融金属Mおよび溶融金属M上に形成されるガラスリボンGRと接している。
上方空間AR2は、フロートバス10の内部空間ARのうちルーフ11bの内部に位置する空間である。上方空間AR2は、ルーフレンガ層16とサイドウォール14との上側(+Z側)に位置する。上方空間AR2は、後述するルーフレンガ層16に設けられた貫通孔16cを介して、下方空間AR1と連通している。上方空間AR2は、図4に示すように、仕切部材50によって、両端空間AR21と、内側空間AR22と、に仕切られている。詳細については、後述する。
ルーフレンガ層16は、同径ヒータ33が設置される部分と、異径ヒータ34が設置される部分とで上下方向(Z軸方向)の寸法が異なる。ルーフレンガ層16における異径ヒータ34が設置される部分の上下方向の寸法T2は、ルーフレンガ層16における同径ヒータ33が設置される部分の上下方向の寸法T1よりも大きい。
ルーフレンガ層16における異径ヒータ34が設けられている部分の寸法T2は、たとえば、ルーフレンガ層16における同径ヒータ33が設置される部分の寸法T1の1.1倍以上、1.3倍以下である。寸法T2をこのような範囲内とすることで、下方空間AR1から上方空間AR2への入熱を好適に低減しつつ、ヒータ30に対する配線作業が困難になることを抑制できる。
ルーフレンガ層16の上面16aのうち同径ヒータ33が設けられている部分は、たとえば、サイドウォール14の上面とほぼ同じ高さとなるように配置されている。ルーフレンガ層16の上面16aのうち異径ヒータ34が設けられている部分は、たとえば、サイドウォール14の上面より上側(+Z側)に位置するように配置されている。
ルーフレンガ層16の下面16bの高さは、同径ヒータ33が設けられている部分および異径ヒータ34が設けられている部分のいずれにおいても同じである。すなわち、本実施形態においてルーフレンガ層16の下面16bは、段差なく連続した平坦面である。
ルーフレンガ層16には、図5に示すように、ルーフレンガ層16を上下方向(Z軸方向)に貫通する貫通孔16cが設けられている。貫通孔16cは、複数設けられている。
(サイドシール)
サイドシール17は、図4に示すように、ボトム本体12の上面に設けられている。サイドシール17は、ボトム11aとルーフ11bとの上下方向の隙間をシールする。これにより、ボトム11aとルーフ11bとサイドシール17とによって囲まれた略密閉された内部空間ARが形成される。サイドシール17は、たとえば、鋼製箱状である。
(ヒータ)
フロートバス10において複数のヒータ30は、たとえば、数千本程度、設置されている。複数のヒータ30は、図1に示すように、上下方向(Z軸方向)に延びている。複数のヒータ30は、ルーフレンガ層16を貫通して設置されている。本実施形態において複数のヒータ30は、たとえば、中実の円柱形状である。複数のヒータ30の材質は、たとえば、炭化ケイ素(SiC)である。本実施形態において複数のヒータ30は、図4に示すように、複数の同径ヒータ33と、複数の異径ヒータ34と、を含む。
本実施形態においては、たとえば、3つの同径ヒータ33の下端が連結部材35によって連結されることで、同径ヒータユニット31が構成されている。本実施形態においては、たとえば、3つの異径ヒータ34の下端が連結部材35によって連結されることで、異径ヒータユニット32が構成されている。
異径ヒータ34は、図5に示すように、ルーフレンガ層16に設けられた貫通孔16cに挿通されている。異径ヒータ34は、非発熱部34aと、発熱部34bと、接合部34cと、を有する。
非発熱部34aは、発熱部34bに給電する部分である。非発熱部34aの電気抵抗は、比較的小さい。本実施形態において異径ヒータ34の非発熱部34aの下端は、ルーフレンガ層16の下面16bよりもわずかに下側(−Z側)に位置する。非発熱部34aは、下方空間AR1に位置する部分と、貫通孔16cの内部に位置する部分と、上方空間AR2に位置する部分と、を有する。すなわち、非発熱部34aは、少なくとも一部が上方空間AR2に位置する。
非発熱部34aの外周面と貫通孔16cの内周面との距離L3の周方向平均は、たとえば、10mm以下である。距離L3をこのような範囲内とすることで、下方空間AR1から上方空間AR2への入熱を好適に抑制できる。
非発熱部34aの上方空間AR2に位置する部分には、ピン38が貫通して設けられている。ピン38は、たとえば、ルーフレンガ層16の上面16aと直接的に接触している。ピン38によって、異径ヒータ34は上下方向(Z軸方向)に支持されている。
なお、ピン38は、たとえば、ルーフレンガ層16の上面16aと図示しないワッシャーを介して接触していてもよい。その場合、たとえば、ワッシャーは、金属製である。
非発熱部34aの上端には、ストラップ36が接続されている。ストラップ36は、たとえば、アルミニウム製である。ストラップ36は、図4に示すように、電線37を介して制御装置40と接続されている。これにより、制御装置40と異径ヒータ34とが電気的に接続される。なお、たとえば、電線37が図示しないブスバーに接続され、ブスバーが制御装置40と接続されている構成を採用してもよい。
本実施形態において異径ヒータ34の発熱部34bの上端は、ルーフレンガ層16の下面16bよりも下側(−Z側)に位置する。すなわち、発熱部34bの全体は、下方空間AR1に位置する。
発熱部34bは、溶融金属M上に形成されるガラスリボンGRを加熱するための熱を発する部分である。発熱部34bには、電線37、ストラップ36および非発熱部34aを介して、電流が供給される。発熱部34bの電気抵抗は、比較的大きい。そのため、発熱部34bは、電流が供給されることにより発熱する。
なお、本明細書において、非発熱部とは、ヒータにおける発熱が一切生じない部分のみを含むものではなく、ヒータにおける発熱部に比べて発熱量が小さい部分も含む。実際には、非発熱部を介して発熱部に電流が供給されるため、非発熱部はわずかながら発熱する。
異径ヒータ34における発熱部34bの外径D22は、異径ヒータ34における非発熱部34aの外径D21よりも大きい。発熱部34bの外径D22は、たとえば、非発熱部34aの外径D21の1.1倍以上、1.5倍以下である。発熱部34bの外径D22をこのような範囲とすることで、異径ヒータ34の劣化を好適に抑制できる。
なお、本明細書において、発熱部の外径とは、発熱部全体の外径の平均を含む。また、本明細書において、非発熱部の外径とは、非発熱部全体の外径の平均を含む。
異径ヒータ34における非発熱部34aの外径D21は、たとえば、後述する同径ヒータ33の非発熱部33aの外径D11と同じである。
異径ヒータ34における発熱部34bの上下方向(Z軸方向)の寸法L2は、同径ヒータ33における後述する発熱部33bの上下方向の寸法L1よりも大きい。異径ヒータ34の発熱部34bの寸法L2は、たとえば、同径ヒータ33の発熱部33bの寸法L1の1.1倍以上、1.5倍以下である。寸法L2をこのような範囲とすることで、異径ヒータ34の劣化を好適に抑制できる。
異径ヒータ34における発熱部34bの下端は、後述する同径ヒータ33における発熱部33bの下端よりも下側(−Z側)に位置する。すなわち、異径ヒータ34における発熱部34bは、同径ヒータ33における発熱部33bよりも、ボトム本体12に貯留された溶融金属Mおよび溶融金属M上に形成されたガラスリボンGRに近い位置に配置されている。
接合部34cは、非発熱部34aと発熱部34bとを接合する。接合部34cは、非発熱部34aの下端と、発熱部34bの上端と、に接続されている。本実施形態においては、非発熱部34aの下端がルーフレンガ層16の下面16bよりも下側(−Z側)に位置するため、接合部34cの上端は、ルーフレンガ層16の下面16b、すなわち、ルーフレンガ層16の下端よりも下側に位置する。本実施形態において接合部34cは、たとえば、テーパ形状である。接合部34cの外径は、非発熱部34aから発熱部34bに向かうに従って大きくなる。接合部34cの上端の外径は、非発熱部34aの外径D21と同じである。接合部34cの下端の外径は、発熱部34bの外径D22と同じである。すなわち、接合部34cの少なくとも一部の外径は、発熱部34bの外径D22以下であり、かつ、非発熱部34aの外径D21よりも大きい。
接合部34cの電気抵抗は、たとえば、発熱部34bの電気抵抗より小さく、非発熱部34aの電気抵抗以上とできる。
非発熱部34aの電気抵抗と発熱部34bの電気抵抗と接合部34cの電気抵抗とは、たとえば、各部を構成する材質の緻密度を異ならせることで、異ならせることができる。
同径ヒータ33は、非発熱部33aと、発熱部33bと、を有する。
同径ヒータ33における発熱部33bの外径D12と、同径ヒータ33における非発熱部33aの外径D11と、は同じである。図4の例では、非発熱部33aと発熱部33bとは、たとえば、ルーフレンガ層16の下面16bと同じ高さにおいて、段差なく接合されている。すなわち、図4の例では、同径ヒータ33における接合部は、たとえば、ルーフレンガ層16の下面16bと同じ高さに位置する非発熱部33aと発熱部33bとの接合面である。
本実施形態において非発熱部33aは、たとえば、ルーフレンガ層16の貫通孔16cの内部に位置する部分と、上方空間AR2に位置する部分と、からなる。
本実施形態において発熱部33bは、たとえば、下方空間AR1に位置する部分からなる。発熱部33bの寸法L1は、上述したように、異径ヒータ34の発熱部34bの寸法L2よりも小さい。
同径ヒータ33のその他の構成は、異径ヒータ34の構成と同様である。
なお、非発熱部33aと発熱部33bとの接合面は、ルーフレンガ層16の下面16bよりも下側(−Z側)であってもよいし、上側(+Z側)であってもよい。
図3に示すように、フロートバス10を上方から視た際の複数のヒータ30が配置されるヒータ領域ARHは、溶融金属M上に形成されるガラスリボンGRの搬送方向(X軸方向)、および搬送方向と直交する幅方向(Y軸方向)に沿って区割りされた複数の区画を有している。各区画には、それぞれヒータ30が複数設けられている。一つの区画に設けられる複数のヒータ30は、同一の制御装置40に接続される。すなわち、一つの区画に設けられた複数のヒータ30は、一つの制御装置40によって一括して制御される。区画内における複数のヒータ30は、たとえば、複数のヒータ30からガラスリボンGRに向けて放射される熱量が、一つの区画内においてほぼ均一となるように設置されている。
なお、本実施形態においてヒータ領域ARHは、上方から視た際に貯留槽12aの内側に位置する領域である。
以下、区画の区割り方について説明する。
ヒータ領域ARHは、図2に示すように、ガラスリボンGRの搬送方向(X軸方向)に沿って複数の列A〜列Hに分割される。この列の数は、ガラスの種類や貯留槽12aの大きさ等の成形条件に応じて適宜設定される。この列の数は、たとえば、4つ以上、15以下程度が好ましい。この列の数が少な過ぎると、ガラスリボンGRの搬送方向の温度分布を十分に制御するのが難しい。一方、この列の数が多すぎると、必要な制御装置40の数が多くなり、フロートガラス製造装置1が大型化すると共に、フロートガラス製造装置1の管理が煩雑になる。
列B〜列Gは、たとえば、図3に示すように、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)に沿って複数の区画に区割りされる。複数の区画は、ガラスリボンGRの幅方向中心線に対して対称に配置されることが好ましい。列B〜列Gは、たとえば、フロートバス10を上方から視た際にガラスリボンGRの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する。
各列における区画の数は、ガラスの種類や貯留槽12aの大きさ等の成形条件に応じて適宜設定される。列ごとの区画の数は、4以上、30以下であることが好ましく、4以上、20以下であることがより好ましく、4以上、15以下であることがさらに好ましい。この区画の数が少な過ぎると、ガラスリボンGRの搬送方向の温度分布を十分に制御するのが難しい。一方、この列の数が多すぎると、必要な制御装置40の数が多くなり、フロートガラス製造装置1が大型化すると共に、フロートガラス製造装置1の管理が煩雑になる。本実施形態において各列は、たとえば、7つの区画に分割されている。
ここで、搬送方向(X軸方向)に隣接する2列は、分割線PL1で分割されている。分割線PL1は、搬送方向に隣り合うヒータ30同士の間のほぼ中央に位置する。一方、幅方向(Y軸方向)に隣接する2つの区画は、区割り線PL2で区割りされている。区割り線PL2は、ガラスリボンGRの幅方向に隣り合うヒータ30同士の間のほぼ中央に位置する。分割線PL1および区割り線PL2は、たとえば、直線である。
本実施形態において列B〜列Gは、ガラスリボンGRの所定の流線FL1,FL2に沿って幅方向(Y軸方向)に区割りされている。すなわち、本実施形態において複数の区画は、ガラスリボンGRの所定の流線FL1,FL2に沿って規定されている。
ここで、ガラスリボンGRの流線とは、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)の所定部位が定常的に通過する流路を意味する。ガラスリボンGRの流線は、上方から視た際のガラスリボンGRの外形線を含む。ガラスリボンGRの所定の流線FL1,FL2は、たとえば、ガラスリボンGRの板厚が平均値から大きくずれている部位に対応する流路である。本実施形態において区画B2,C2,D2,E2,F2,G2は、流線FL1と重なっている。本実施形態において区画B6,C6,D6,E6,F6,G6は、流線FL2と重なっている。
本実施形態において異径ヒータユニット32、すなわち、異径ヒータ34は、複数の区画のうち、区画におけるヒータ30の出力が30kW/m以上となる区画に設置されている。本実施形態においてヒータ30の出力が30kW/m以上となる区画は、たとえば、区画B1,B2,B6,B7、区画C1,C2,C6,C7、区画D1,D2,D6,D7、区画E1,E2,E6,E7、区画F1,F2,F6,F7、および区画G1,G2,G6,G7である。
すなわち、本実施形態において異径ヒータ34は、フロートバス10を上方から視た際にガラスリボンGRの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する列B〜列Gの区画のうち、幅方向(Y軸方向)の両端に位置する第1区画B1,B7,C1,C7…F1,F7,G1,G7、および幅方向の両端に位置する第1区画と幅方向に隣接する第2区画B2,B6,C2,C6…F2,F6,G2,G6に設置されている。
本実施形態において第1区画および第2区画は、たとえば、貯留槽12aにおける幅方向と直交する内壁からガラスリボンGRの外縁部よりも幅方向内側に250mm以上、850mm以下の位置までの領域に位置する。第1区画および第2区画は、貯留槽12aにおける幅方向と直交する内壁からガラスリボンGRの外縁部よりも幅方向内側に350mm以上、800mm以下の位置までの領域に位置することが好ましい。このような位置に第1区画および第2区画が設けられることにより、すなわち、このような位置に異径ヒータ34が設置されることにより、好適にガラスリボンGRを加熱しつつ、ヒータ30の劣化を抑制できる。
また、上述したように、第2区画B2,C2…F2,G2は、上方から視て流線FL1と重なる区画である。第2区画B6,C6…F6,G6は、上方から視て流線FL2と重なる区画である。すなわち、本実施形態において異径ヒータ34は、上方から視た際に、流線FL1と重なる区画B2,C2…F2,G2、および流線FL2と重なる区画B6,C6…F6,G6に設置されている。
本実施形態において第1区画および第2区画を除く他の区画には、同径ヒータ33が設置されている。
(制御装置)
制御装置40は、ヒータ30を制御する。制御装置40は、上述したヒータ領域ARHの有する区画ごとに設けられている。制御装置40は、対応する区画に設けられた複数のヒータ30を一括して制御する。制御装置40の構成は、一つの区画内における複数のヒータ30の出力を一括して調整できる範囲において、特に限定されない。
(トップロール)
複数のトップロール20〜29は、図2に示すように、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)の両側に対向配置されている。トップロール20〜29は、ガラスリボンGRの幅が、表面張力によって狭まるのを防止している。トップロールの設置数は、ガラスの種類や目標厚さ等の成形条件に応じて適宜設定される。トップロールの設置数は、たとえば、4対以上、30対以下、好ましくは10対以上、30対以下である。図2に示す例では、トップロールは、トップロール20,25、トップロール21,26、トップロール22,27、トップロール23,28、およびトップロール24,29の計5対設けられている。製造するフロートガラスの板厚を小さくするほど、トップロールの設置数は増加する傾向にある。
これらのトップロール20〜29、より正確には後述のトップロール本体は、ガラスリボンGRの成形域に設けられる。ガラスリボンGRの成形域とは、ガラスリボンGRの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域である。本実施形態においては、ヒータ領域ARHのうち列B〜列Gが設けられる領域に相当する。
最も下流側(+X側)に設けられるトップロール24は、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)の端部を支持するトップロール本体24Aと、トップロール本体24Aに連結される回転軸24Bと、で構成される。回転軸24Bが電気モータ等の駆動装置で回転駆動されると、トップロール本体24Aが回転しながらガラスリボンGRの幅方向の端部を下流側に送り出す。
トップロール本体24Aは、円板状である。トップロール本体24Aの外周面は、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)の端部に上側(+Z側)から接触する。トップロール本体24Aの外周面には、滑り止めのため、周方向に沿って複数の突起が設けられている。
トップロール本体24Aは、たとえば、金属製である。トップロール本体24Aの内部は、トップロール本体24AとガラスリボンGRとが接着することを抑制するために、たとえば、水冷されている。
トップロール20〜23,25〜29の構成は、設けられている位置を除いて、トップロール24の構成と同様である。
溶融金属M上に形成されるガラスリボンGRは、トップロール20〜29によって幅方向(Y軸方向)に拡がった状態を維持されている。すなわち、ガラスリボンGRの形状、すなわち、ガラスリボンGRの流線は、トップロール20〜29の配置によって規定される。
(仕切部材)
仕切部材50は、図4に示すように、上方空間AR2に設けられている。仕切部材50は、ルーフケーシング15の内側の天面とルーフレンガ層16の上面16aとに接続されている。仕切部材50は、上方空間AR2を複数の空間に分割する。
仕切部材50は、ガラスリボンGRの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられている。本実施形態において仕切部材50は、ガラスリボンGRの流線FL1,FL2に沿って設けられた複数の区画の区割り線PL2のうち、ガラスリボンGRの外縁部に最も近い区割り線PL2に沿って設けられている。
具体的には、仕切部材50は、図3および図4に示すように、たとえば、第1区画C1と第2区画C2とを区割りする区割り線PL2に沿って設けられている。図示は省略するが、仕切部材50は、区画C6と区画C7とを区割りする区割り線PL2、および列B,D〜Gにおける幅方向両端の第1区画と、第1区画と幅方向に隣接する第2区画とを区割りする区割り線PL2に沿って設けられている。
本実施形態において上方空間AR2は、仕切部材50によって、幅方向(Y軸方向)に3つに分割されている。すなわち、上方空間AR2は、幅方向の両端に位置する2つの両端空間AR21と、幅方向の中央に位置する内側空間AR22と、に分割される。なお、図4においては、−Y側の端部に位置する両端空間AR21は図示を省略している。
なお、2つの両端空間AR21は同様の構成を有するため、以下の説明においては、代表して+Y側の端部に位置する両端空間AR21についてのみ説明する場合がある。
両端空間AR21は、幅方向(Y軸方向)の端部に位置する第1区画B1,C1…F1,G1の上方に位置する空間である。すなわち、両端空間AR21は、ガラスリボンGRの幅方向(Y軸方向)の端部、すなわち、外縁部と、ガラスリボンGRが設けられていない溶融金属Mとの上方に位置する。
内側空間AR22は、区画B2〜B6,C2〜C6…F2〜F6,G2〜G6の上方に位置する空間である。すなわち、内側空間AR22は、ガラスリボンGRの上方に位置する。
上述したように、本実施形態において異径ヒータ34は、幅方向(Y軸方向)の両端に位置する第1区画に設けられている。そのため、図4に示すように、異径ヒータ34は、仕切部材50によって幅方向に分割された上方空間AR2のうち、幅方向の両端に位置する両端空間AR21に設置されている。
また、本実施形態において異径ヒータ34は、第1区画と幅方向に隣接する第2区画に設けられている。そのため、本実施形態において異径ヒータ34は、内側空間AR22にも設けられている。また、内側空間AR22には、同径ヒータ33も設けられている。
次に、フロートガラス製造装置1を用いたフロートガラス製造方法の手順について説明する。
まず、図1に示すように、図示しない溶融炉から溶融ガラスGmをフロートバス10に流入させる。フロートバス10に流入された溶融ガラスGmは、溶融金属Mの表面Maを、帯板状のガラスリボンGRとなって上流側(−X側)から下流側(+X側)に流動する。
そして、複数のヒータ30によってガラスリボンGRを加熱しつつ、複数のトップロール20〜29によってガラスリボンGRの外縁部を支持して下流側(+X側)に送り出す。このとき、図4に示すように、ガス導入口15a,15bから還元性ガスを上方空間AR2に導入する。より詳細には、ガス導入口15aを介して、上方空間AR2のうちの両端空間AR21に還元性ガスを導入する。ガス導入口15bを介して、上方空間AR2のうちの内側空間AR22に還元性ガスを導入する。
導入する還元性ガスは、たとえば、水素(H)である。本実施形態においては、還元性ガスである水素に不活性ガスを混合した混合ガスを上方空間AR2に導入する。不活性ガスとしては、たとえば、窒素(N)である。
ここで、ガス導入口15aを介して両端空間AR21に導入する混合ガスにおける還元性ガス(H)の割合と、ガス導入口15bを介して内側空間AR22に導入する混合ガスにおける還元性ガス(H)の割合とを異ならせる。具体的には、たとえば、内側空間AR22に導入する混合ガスにおける還元性ガス(H)の割合を、両端空間AR21に導入する混合ガスにおける還元性ガス(H)の割合よりも少なくする。本実施形態において還元性ガス(H)は、両端空間AR21よりも内側に位置する内側空間AR22における還元性ガス(H)の濃度が、両端空間AR21における還元性ガス(H)の濃度よりも低くなるように、導入される。
上方空間AR2に導入された混合ガス、すなわち、還元性ガス(H)と不活性ガス(N)とは、ルーフレンガ層16の貫通孔16cを介して、下方空間AR1に流入する。これにより、ボトム11aの貯留槽12aに貯留されている溶融金属Mが酸化することを抑制できる。
図1に示すように、溶融金属Mの表面Ma上に形成されたガラスリボンGRは、フロートバス10の下流側(+X側)の端部に設けられた開口部10aを介して、フロートバス10の下流側に接続された図示しない徐冷炉へと搬送される。徐冷炉において、ガラスリボンGRは冷却される。徐冷炉において冷却されたガラスリボンGRは、切断装置で所定の寸法に切断され、目的の大きさのガラス板が得られる。
以上のようにして、フロートガラスが製造される。
本実施形態において製造されるフロートガラスは、たとえば、無アルカリガラスである。
製造される無アルカリガラスは、たとえば、酸化物基準の質量%表示で、SiO:50%以上、73%以下、Al:10.5%以上、24%以下、B:0%以上、12%以下、MgO:0%以上、10%以下、CaO:0%以上、14.5%以下、SrO:0%以上、24%以下、BaO:0%以上、13.5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:8%以上、29.5%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する。
より好ましくは、製造される無アルカリガラスは、たとえば、酸化物基準の質量%表示で、SiO:57%以上、65%以下、Al:14%以上、23%以下、B:0%以上、5.5%以下、MgO:1%以上、8.5%以下、CaO:3%以上、12%以下、SrO:0%以上、10%以下、BaO:0%以上、5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:12%以上、23%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する。このとき、無アルカリガラスのガラス転移点は、730℃以上、850℃以下である。また、無アルカリガラスの粘度は、10dPa・sとなる温度が1220℃以上、1350℃以下である。
上記のような組成のフロートガラスは、熱収縮性が低く、変形しにくい。上記のような組成のフロートガラスは高粘性硝材を用いて製造されるため、ヒータ30の出力をより増加させる必要がある。そのため、上記のような組成のフロートガラスを製造する場合に、本実施形態におけるヒータ30の劣化を抑制する効果を特に大きく得られる。
また、本実施形態において製造されるフロートガラスの板厚は、たとえば、1.0mm以下である。このような薄いフロートガラスを製造する場合、ヒータ30の出力をより増加させる必要があるため、本実施形態におけるヒータ30の劣化を抑制する効果を特に大きく得られる。
本実施形態によれば、ガラスリボンGRを加熱する複数のヒータ30は、同径ヒータ33と異径ヒータ34とを含む。異径ヒータ34の発熱部34bの外径D22は、異径ヒータ34の非発熱部34aの外径D21よりも大きい。そのため、異径ヒータ34における発熱部34bの表面積を、同径ヒータ33の発熱部33bの表面積よりも、大きくできる。これにより、同径ヒータ33と異径ヒータ34とでヒータ出力が同じ場合において、異径ヒータ34の発熱部34bの温度を、同径ヒータ33の発熱部33bの温度よりも低くできる。すなわち、異径ヒータ34は、同径ヒータ33よりも劣化しにくい。したがって、本実施形態によれば、ヒータ領域ARHにおいてヒータ出力が大きく必要となる箇所に異径ヒータ34を配置することで、ヒータ30が劣化することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、異径ヒータ34の非発熱部34aの外径D21は、異径ヒータ34の発熱部34bの外径D22よりも小さく、たとえば、同径ヒータ33の非発熱部33aの外径D11と同じである。そのため、非発熱部34aから放出される輻射熱が大きくなることを抑制できる。これにより、上方空間AR2の温度が上昇することを抑制できる。したがって、上方空間AR2に位置するヒータ30に取り付けられるストラップ36が、高温によって損傷することを抑制できる。その結果、本実施形態によれば、ヒータ30への十分な給電が行えなくなることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、設置されている複数のヒータ30(同径ヒータ33)を適宜、異径ヒータ34に交換することによって、ヒータ30の劣化を抑制できる。そのため、フロートガラス製造装置1の構成を大きく変更することがなく簡便である。
また、たとえば、ヒータ30の劣化を抑制する手段として、ヒータ30の本数を増加させることで一つあたりのヒータ30の出力を下げる手段を用いた場合、ヒータ30の配置および配置密度が変更されるため、ガラスリボンGRの成形条件が大幅に変更される。そのため、制御装置40によるヒータ30の制御等を大きく変更する必要があった。
これに対して、本実施形態によれば、ヒータ30の配置および配置密度を変更せずに、ヒータ30の劣化を抑制できるため、簡便である。
また、たとえば、異径ヒータ34において、発熱部34bの外径D22が、非発熱部34aの外径D21に対して過度に大きいと、異径ヒータユニット32において隣り合う異径ヒータ34同士の距離が小さくなり過ぎる場合がある。この場合、隣り合う異径ヒータ34同士が互いに加熱し合うことで、異径ヒータ34の温度が上昇し、異径ヒータ34が劣化する虞がある。また、たとえば、異径ヒータ34を中空にするような場合では、非発熱部34aと発熱部34bとを接続しにくい場合があった。
一方で、発熱部34bの外径D22は、非発熱部34aの外径D21に対してある程度大きくないと、異径ヒータ34の劣化抑制効果を十分に得にくい虞がある。
これに対して、発熱部34bの外径D22を、たとえば、非発熱部34aの外径D21の1.1倍以上、1.5倍以下とすることで、異径ヒータ34の劣化を好適に抑制できる。また、異径ヒータ34が中空である場合であっても、非発熱部34aと発熱部34bとを接続しやすい。
また、本実施形態によれば、異径ヒータ34の発熱部34bの上下方向の寸法は、同径ヒータ33の発熱部33bの上下方向の寸法よりも大きい。そのため、異径ヒータ34の発熱部34bの表面積をより大きくできる。これにより、異径ヒータ34が劣化することをより抑制できる。また、異径ヒータ34をより溶融金属M、すなわち、ガラスリボンGRに近づけて配置することができるため、ガラスリボンGRを加熱しやすい。
また、発熱部の電気抵抗は、発熱部の外径が大きくなるほど、小さくなり、発熱部の上下方向の寸法が大きくなるほど、大きくなる。そのため、同径ヒータ33の発熱部33bよりも外形が大きい異径ヒータ34の発熱部34bの寸法L2を、同径ヒータ33の発熱部33bの寸法L1よりも大きくすることで、発熱部33bの電気抵抗と発熱部34bの電気抵抗とを同じにしやすい。これにより、ヒータ30に接続される電線37等について、同径ヒータ33と異径ヒータ34とで標準化が図れる。
また、たとえば、異径ヒータ34がガラスリボンGRに近づきすぎると、ガラスリボンGRの熱によって異径ヒータ34が加熱され、異径ヒータ34の温度が上昇する場合がある。そのため、異径ヒータ34をガラスリボンGRに近づけて配置し過ぎると、異径ヒータ34が劣化する虞が生じる。
これに対して、たとえば、異径ヒータ34の発熱部34bの寸法L2を、同径ヒータ33の発熱部33bの寸法L1の1.1倍以上、1.5倍以下とする。これにより、異径ヒータ34がガラスリボンGRに近づきすぎることを抑制しつつ、好適に異径ヒータ34の劣化を抑制できる。
また、本実施形態によれば、異径ヒータ34は、ヒータ領域ARHにおける複数の区画のうち、ヒータ出力が30kW/m以上となる区画に配置されている。ヒータ出力が30kW/m以上となる場合、ヒータ30は特に劣化しやすい。すなわち、本実施形態において異径ヒータ34は、ヒータ出力が大きくヒータ30が劣化しやすい箇所に配置されている。そのため、本実施形態によれば、ヒータ30の劣化をより抑制できる。
また、複数の区画のうち、幅方向の両端に位置する第1区画、および第1区画と幅方向に隣接する第2区画においては、特にヒータ出力を大きくする必要が生じやすい。これは、以下の理由による。
ガラスリボンGRの幅方向の端部には、トップロール20〜29が接触している。トップロール20〜29は、上述したように、たとえば金属製であり、また内部が水冷されている。そのため、トップロール20〜29が接触している部分において、ガラスリボンGRの温度が低下しやすい。これにより、ヒータ30の出力を大きくして、ガラスリボンGRをより加熱する必要が生じる。
特に、製造するフロートガラスの板厚が薄いほど、トップロールの配置数は多くなり、ガラスリボンGRはより冷却されやすい。したがって、製造するフロートガラスの板厚を薄くする場合、第1区画および第2区画に配置されるヒータ30の出力をより大きくする必要がある。たとえば、製造するフロートガラスの板厚が1.0mm以下である場合、ヒータ30の出力をより大きくする必要がある。
これに対して、本実施形態によれば、ガラスリボンGRの幅方向の端部と重なる第1区画および第1区画と隣接する第2区画に異径ヒータ34が設けられている。そのため、第1区画および第2区画においてヒータ出力を増加させた場合であっても、ヒータ30、すなわち、異径ヒータ34の劣化を抑制できる。
また、フロートバス10において、ボトム11aとルーフ11bとの間は、サイドシール17によってシールされている。しかし、たとえばサイドシール17が経年劣化する等の理由により、サイドシール17によるシール性が低下する場合ある。この場合、フロートバス10の内部空間ARに、サイドシール17とボトム11aおよびルーフ11bとの隙間を介して、外気が流入する場合がある。外気が内部空間ARに流入すると、たとえばヒータ30の材質が炭化ケイ素(SiC)等である場合、ヒータ30が酸化して劣化する虞がある。また、炭化ケイ素(SiC)は、低酸素状態において酸化されることで、一酸化ケイ素(SiO)となって気化しやすい。幅方向の両端の第1区画に位置するヒータ30ほど、外気と接触しやすい。
これに対して、本実施形態によれば、幅方向の両端の第1区画に異径ヒータ34が設けられている。異径ヒータ34の発熱部34bの温度は、発熱部34bの表面積が大きいため、同径ヒータ33の発熱部33bに比べて低い。そのため、外気が内部空間ARに流入した場合であっても、外気に含まれる酸素(O)と発熱部34bとの酸化反応が生じにくい。これにより、本実施形態によれば、異径ヒータ34の劣化をより抑制できる。
また、ガラスリボンGRの板厚精度を向上させるためには、複数のヒータ30による熱量を区画ごとにそれぞれ調整する必要がある。この場合、板厚が平均値から大きくずれている部位においては、ヒータ30の熱量を大きくする必要があるため、ヒータ30の出力が増加しやすい。
これに対して、本実施形態によれば、ガラスリボンGRの板厚が平均値から大きくずれている部位に対応する流路である流線FL1,FL2に沿って、複数の区画が設けられている。異径ヒータ34は、上下方向に視た際に流線FL1,FL2と重なる区画に設けられている。そのため、板厚精度を向上させるためにヒータ30の出力が増加した場合であっても、ヒータ30の劣化を抑制できる。
また、ルーフレンガ層16の上下方向の寸法が大きくなるほど、下方空間AR1の熱が上方空間AR2に移動しにくい。そのため、上方空間AR2の温度が上昇することを抑制できるとともに、下方空間AR1の熱が逃げにくいためヒータ30の熱効率を向上できる。
本実施形態によれば、ルーフレンガ層16における異径ヒータ34が設置される部分の上下方向の寸法T2は、ルーフレンガ層16における同径ヒータ33が設置される部分の上下方向の寸法T1よりも大きい。すなわち、ヒータ出力が大きい箇所に設けられる異径ヒータ34が設置されている箇所において、ルーフレンガ層16の上下方向の寸法が大きく設定されている。そのため、異径ヒータ34の熱効率を向上できる。
また、ルーフレンガ層16の上下方向の寸法を大きくし過ぎると上方空間AR2の上下方向の寸法が小さくなりやすく、ヒータ30に対して電線37を接続する等の配線作業がしにくくなる。
これに対して、たとえば、ルーフレンガ層16における異径ヒータ34が設けられている部分の寸法T2を、ルーフレンガ層16における同径ヒータ33が設置される部分の寸法T1の1.1倍以上、1.3倍以下とする。これにより、上方空間AR2が狭くなることを抑制しつつ、異径ヒータ34の熱効率を向上できる。
また、還元性ガス(H)を含む混合ガス(N+H)が上方空間AR2から下方空間AR1へと流入されると、混合ガス(N+H)がガラスリボンGRに吹き付けられることで、ガラスリボンGRの温度が低下しやすい。そのため、ヒータ30の出力を増加しなければならない場合があった。
これに対して、本実施形態によれば、異径ヒータ34の接合部34cの少なくとも一部の外径は、発熱部34bの外径D22以下で、かつ、非発熱部34aの外径D21よりも大きい。そのため、図5に示すように、上方空間AR2から下方空間AR1に流入する混合ガス(N+H)が接合部34cに接触する。これにより、下方空間AR1に流入する混合ガス(N+H)の流速が低下するとともに、混合ガス(N+H)の温度が低下し、下方空間AR1に流入した混合ガス(N+H)によるガラスリボンGRの温度の低下を抑制できる。その結果として、ヒータ30の出力の増加を抑制できる。
加えて、混合ガス(N+H)が異径ヒータ34に接触することで、異径ヒータ34の温度が低下するため、異径ヒータ34の劣化をより抑制できる。
また、本実施形態によれば、接合部34cによって、下方空間AR1内の雰囲気が上方空間AR2に逆流することを抑制できる。そのため、上方空間AR2の温度が上昇することを抑制できるとともに、ヒータ30の熱効率を向上できる。
また、本実施形態によれば、接合部34cの上端は、ルーフレンガ層16の下端、すなわち、下面16bよりも下側に位置する。そのため、図5に示すように接合部34cに接触した混合ガス(N+H)が下方空間AR1内において拡散しやすい。これにより、上方空間AR2から下方空間AR1内のガラスリボンGRへと、混合ガス(N+H)が直接的に吹き付けられにくく、ガラスリボンGRの温度が低下することをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、接合部34cの外径は、非発熱部34aから発熱部34bに向かうに従って大きくなるテーパ形状である。そのため、混合ガス(N+H)を上方空間AR2から下方空間AR1へとスムーズに流入させることができ、かつ、混合ガス(N+H)を下方空間AR1内において拡散できる。
また、溶融金属Mとして、たとえば、スズ(Sn)を用いる場合、溶融スズの一部は酸化物等の化合物の状態で蒸発し、下方空間AR1内に気体として存在する。このスズ化合物の気体に還元性ガス(H)が接触すると、スズ化合物は還元され下方へと落下する。このとき、スズ化合物の還元がガラスリボンGRの上方で生じると、還元されたスズ化合物がガラスリボンGR上に落下する。そのため、製造されるフロートガラスの歩留まりが低下してしまう虞があった。
これに対して、本実施形態によれば、ガラスリボンGRの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられた仕切部材50によって、上方空間AR2が両端空間AR21と内側空間AR22とに分割されている。還元性ガス(H)は、両端空間AR21よりも内側に位置する内側空間AR22における還元性ガス(H)の濃度が、両端空間AR21における還元性ガス(H)の濃度よりも低くなるように、導入される。そして、内側空間AR22は、ガラスリボンGRの上方に位置する部分である。そのため、下方空間AR1のうち上方に内側空間AR22が位置する部分の還元性ガス(H)の濃度が、下方空間AR1のうち上方に両端空間AR21が位置する部分の還元性ガス(H)の濃度よりも低くなる。これにより、下方空間AR1内におけるガラスリボンGRの上方において、還元性ガス(H)によってスズ化合物が還元されることが抑制される。したがって、本実施形態によれば、フロートガラスの歩留まりが低下することを抑制できる。
また一方で、下方空間AR1のうち上方に両端空間AR21が位置する部分の還元性ガス(H)の濃度を高くできるため、外気の流入による溶融金属Mの酸化、および異径ヒータ34の酸化をより抑制できる。
なお、本実施形態においては、以下の構成および方法を採用してもよい。
本実施形態において異径ヒータ34は、フロートバス10を上方から視た際にガラスリボンGRの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する列B〜列Gの区画のうち、幅方向(Y軸方向)の中央に位置する第3区画B4,C4…F4,G4、および幅方向の中央に位置する区画と幅方向に隣接する第4区画B3,B5,C3,C5…F3,F5,G3,G5に設置されていてもよい。
この構成によれば、中央近傍に配置されるヒータ30の出力を増加させる場合であっても、ヒータ30、すなわち、異径ヒータ34の劣化を抑制できる。
たとえば、製造されるフロートガラスの板厚をより薄くする場合、および高粘性硝材を用いるような場合等には、ガラスリボンGRの中央近傍をより加熱する必要が生じるため、このような場合に上記構成による効果を特に大きく得られる。また、フロートガラスの板厚精度を向上させる場合においても、中央近傍の出力は増加する傾向にあるため、上記構成による効果を特に大きく得られる。
また、本実施形態においては、異径ヒータ34の配置は、上述した構成に限られるものではなく、特に限定されない。異径ヒータ34は、たとえば、第1区画のうちの一つの区画のみに設けられていてもよいし、すべての区画に設けられていてもよい。また、ヒータ領域ARHが有する複数の区画のうちの一つの区画のみに設けられていてもよいし、すべてに設けられていてもよい。
また、本実施形態においては、一つの区画に設けられる複数のヒータ30のすべてが異径ヒータ34であってもよいし、一部のみが異径ヒータ34であってもよい。
また、本実施形態においては、ヒータ領域ARHにおいて、複数のヒータ30は、格子状に整列して配置されていてもよいし、複数のヒータ30の配置密度が場所によって異なるように配置されていてもよい。
また、本実施形態においては、複数のヒータ30が、少なくとも一つ以上の同径ヒータ33と、少なくとも一つ以上の異径ヒータ34と、を含むならば、同径ヒータ33の数と異径ヒータ34の数とは、特に限定されない。
また、上記説明において、同径ヒータ33および異径ヒータ34は、それぞれ、3つずつ連結された同径ヒータユニット31および異径ヒータユニット32として設置する構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、同径ヒータ33および異径ヒータ34をユニット化せずに設置してもよい。
また、本実施形態において同径ヒータユニット31は、2つ、あるいは4つ以上の同径ヒータ33によって構成されていてもよい。
また、本実施形態において異径ヒータユニット32は、2つ、あるいは4つ以上の異径ヒータ34によって構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、ヒータ30の形状は、円柱形状に限られず、四角柱形状であってもよいし、多角柱形状であってもよい。
また、上記説明においては、複数のヒータ30は、同径ヒータ33と異径ヒータ34との2種類のヒータを含む構成としたが、これに限られない。本実施形態においては、複数のヒータ30が、同径ヒータ33と異径ヒータ34と異なるヒータ含む、3種類以上のヒータが含まれる構成としてもよい。
また、本実施形態においては、ルーフレンガ層16の上下方向の寸法は、均一であってもよい。
また、本実施形態においては、ヒータ30は、中空であってもよい。
また、本実施形態においては、異径ヒータ34の接合部34cが、たとえば、図6に示すような構成であってもよい。
図6は、本実施形態の他の一例である異径ヒータ134を示す部分拡大断面図である。
なお、上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
異径ヒータ134は、図6に示すように、非発熱部34aと、発熱部34bと、接合部134cと、を有する。
接合部134cは、円柱形状である。接合部134cの外径D23は、発熱部34bの外径D22と同じである。すなわち、接合部134cの外径D23は、非発熱部34aの外径D21よりも大きい。
接合部134cの上端は、ルーフレンガ層116の貫通孔116cの内側に位置している。すなわち、接合部134cの上端は、ルーフレンガ層116の下端よりも上側に位置する。接合部134cのうち貫通孔116cの内側に位置する部分の外周面と、貫通孔116cの内周面との距離L4の周方向平均は、たとえば、10mm以下である。
この構成によれば、非発熱部34aと接合部134cとの段差部において混合ガス(N+H)が接合部134cに接触し、混合ガス(N+H)の温度が低下する。これにより、下方空間AR1に混合ガス(N+H)が流入することによるガラスリボンGRの温度低下を抑制できる。
また、本実施形態においては、異径ヒータ34において、非発熱部34aと発熱部34bとが直接接合されていてもよい。この場合、非発熱部34aと発熱部34bとの接合面が接合部に相当する。
また、本実施形態においては、発熱部33b,34bの上端が、ルーフレンガ層16の貫通孔16cの内側に位置していてもよい。
また、本実施形態においては、上方空間AR2は、仕切部材50によって2つ、または4つ以上の空間に分割されてもよい。
また、本実施形態においては、仕切部材50は設けられていなくてもよい。
また、本実施形態においては、内側空間AR22には、ガス導入口15bを介して、不活性ガス(N)のみを導入してもよい。
また、本実施形態において製造されるフロートガラスは、無アルカリガラスに限定されるものではなく、本実施形態のフロートガラス製造装置1およびフロートガラス製造方法は、種々のガラスの製造に適用可能である。
なお、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
1…フロートガラス製造装置、10…フロートバス、11a…ボトム、11b…ルーフ、16,116…ルーフレンガ層、30…ヒータ、33…同径ヒータ(第1のヒータ)、33a,34a…非発熱部、33b,34b…発熱部、34,134…異径ヒータ(第2のヒータ)、34c,134c…接合部、50…仕切部材、AR…内部空間、AR1…下方空間、AR2…上方空間、AR21…両端空間、AR22…内側空間、B1,B7,C1,C7,D1,D7,E1,E7,F1,F7,G1,G7…第1区画、B2,B6,C2,C6,D2,D6,E2,E6,F2,F6,G2,G6…第2区画、B3,B5,C3,C5,D3,D5,E3,E5,F3,F5,G3,G5…第4区画、B4,C4,D4,E4,F4,G4…第3区画、M…溶融金属、GR…ガラスリボン、FL1,FL2…流線

Claims (19)

  1. 粘度が10dPa・sとなる温度が1100℃以上であるガラスを形成するフロートガラス製造装置であって、
    溶融金属が貯留されるボトムと該ボトムを覆うルーフとを有するフロートバスを備え、
    前記フロートバスは、
    前記フロートバスの内部空間を下方空間と上方空間とに二分するルーフレンガ層と、
    上下方向に延び、かつ、前記ルーフレンガ層を貫通して設置される複数のヒータと、
    を有し、
    前記複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、を含み、
    前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、少なくとも一部が前記上方空間に位置する非発熱部と、少なくとも一部が前記下方空間に位置する発熱部と、を有し、
    前記第1のヒータにおける前記発熱部の外径と、前記第1のヒータにおける前記非発熱部の外径と、は同じであり、
    前記第2のヒータにおける前記発熱部の外径は、前記第2のヒータにおける前記非発熱部の外径よりも大きいことを特徴とするフロートガラス製造装置。
  2. 前記第2のヒータにおける前記発熱部の上下方向の寸法は、前記第1のヒータにおける前記発熱部の上下方向の寸法よりも大きい、請求項1に記載のフロートガラス製造装置。
  3. 前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、
    前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記複数の区画のうち、前記区画における前記ヒータの出力が30kW/m以上となる区画に設置される、請求項1または2に記載のフロートガラス製造装置。
  4. 前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、
    前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記フロートバスを上方から視た際に前記ガラスリボンの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する前記区画のうち、前記幅方向の両端に位置する第1区画、および前記第1区画と前記幅方向に隣接する第2区画の少なくとも一つに設置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  5. 前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、
    前記第2のヒータの少なくとも一つは、前記フロートバスを上方から視た際に前記ガラスリボンの粘度が103.8dPa・s以上、107.5dPa・s以下となる領域に位置する前記区画のうち、前記幅方向の中央に位置する第3区画、および前記第3区画と前記幅方向に隣接する第4区画の少なくとも一つに設置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  6. 前記フロートバスを上方から視た際の前記複数のヒータが配置される領域は、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向、および前記搬送方向と直交する幅方向に沿って区割りされた複数の区画を有し、
    前記複数の区画は、前記ガラスリボンの所定の流線に沿って規定され、
    前記第2のヒータの少なくとも一つは、上方から視た際に前記流線と重なる区画のうちの少なくとも一つに設置される、請求項1から5のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  7. 前記ルーフレンガ層における前記第2のヒータが設置される部分の上下方向の寸法は、前記ルーフレンガ層における前記第1のヒータが設置される部分の上下方向の寸法よりも大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  8. 前記第2のヒータは、前記発熱部と前記非発熱部とを接合する接合部を有し、
    前記接合部の少なくとも一部の外径は、前記発熱部の外径以下であり、かつ、前記非発熱部の外径よりも大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  9. 前記接合部の上端は、前記ルーフレンガ層の下端よりも下側に位置する、請求項8に記載のフロートガラス製造装置。
  10. 前記接合部の上端は、前記ルーフレンガ層の下端よりも上側に位置する、請求項8に記載のフロートガラス製造装置。
  11. 前記接合部の外径は、前記非発熱部から前記発熱部に向かうに従って大きくなる、請求項8から10のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  12. 前記フロートバスは、前記上方空間を、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンの搬送方向と直交する幅方向に沿って分割する仕切部材を有し、
    前記仕切部材は、前記ガラスリボンの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられ、
    前記第2のヒータの少なくとも一部は、前記仕切部材によって前記幅方向に分割された前記上方空間のうち、前記幅方向の両端に位置する両端空間に設置されている、請求項1から11のいずれか一項に記載のフロートガラス製造装置。
  13. 溶融金属が貯留されるボトムと該ボトムを覆うルーフとを有するフロートバスを用いて、粘度が10dPa・sとなる温度が1100℃以上であるガラスを形成するフロートガラス製造方法であって、
    前記フロートバスの内部空間は、ルーフレンガ層によって上方空間と下方空間とに二分され、
    上下方向に延び、かつ、前記ルーフレンガ層を貫通して設置される複数のヒータによって、前記溶融金属上に形成されるガラスリボンを加熱することを含み、
    前記複数のヒータは、第1のヒータと、第2のヒータと、を含み、
    前記第1のヒータおよび前記第2のヒータは、それぞれ、少なくとも一部が前記上方空間に位置する非発熱部と、前記非発熱部より下側に設けられ少なくとも一部が前記下方空間に位置する発熱部と、を有し、
    前記第1のヒータにおける前記発熱部の太さと、前記第1のヒータにおける前記非発熱部の太さと、は同じであり、
    前記第2のヒータにおける前記発熱部の太さは、前記第2のヒータにおける前記非発熱部の太さよりも大きいことを特徴とするフロートガラス製造方法。
  14. 前記上方空間は、前記ガラスリボンの外縁部の少なくとも一部に沿って設けられる仕切部材によって、前記ガラスリボンの搬送方向と直交する幅方向に沿って少なくとも3つ以上の空間に分割され、
    前記ガラスリボンを加熱することは、前記分割された上方空間のうち、前記幅方向の両端に位置する両端空間に設置された前記第2のヒータによって、前記ガラスリボンを加熱することを含む、請求項13に記載のフロートガラス製造方法。
  15. 前記上方空間に還元性ガスを導入することを含み、
    前記還元性ガスは、前記両端空間よりも内側に位置する内側空間における前記還元性ガスの濃度が、前記両端空間における前記還元性ガスの濃度よりも低くなるように、導入される、請求項14に記載のフロートガラス製造方法。
  16. 前記両端空間に還元性ガスを導入することと、
    前記両端空間よりも内側に位置する内側空間に不活性ガスを導入することと、
    を含む、請求項14に記載のフロートガラス製造方法。
  17. 製造されるフロートガラスは、無アルカリガラスである、請求項13から16のいずれか一項に記載のフロートガラス製造方法。
  18. 前記無アルカリガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO:50%以上、73%以下、Al:10.5%以上、24%以下、B:0%以上、12%以下、MgO:0%以上、10%以下、CaO:0%以上、14.5%以下、SrO:0%以上、24%以下、BaO:0%以上、13.5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:8%以上、29.5%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する、請求項17に記載のフロートガラス製造方法。
  19. 前記無アルカリガラスのガラス転移点は、730℃以上、850℃以下であり、
    前記無アルカリガラスの粘度は、10dPa・sとなる温度が1220℃以上、1350℃以下であり、
    前記無アルカリガラスは、酸化物基準の質量%表示で、SiO:57%以上、65%以下、Al:14%以上、23%以下、B:0%以上、5.5%以下、MgO:1%以上、8.5%以下、CaO:3%以上、12%以下、SrO:0%以上、10%以下、BaO:0%以上、5%以下、MgO+CaO+SrO+BaO:12%以上、23%以下、ZrO:0%以上、5%以下、を含有する、請求項17に記載のフロートガラス製造方法。
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