JP6402382B2 - 非発酵ビールテイスト飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発酵を経ずに製造される一方で、優れた発酵感を有する非発酵ビールテイスト飲料及びその製造方法に関する。
本明細書を通じて、「ビールテイスト飲料」とは、酒税法上の分類、使用原料やその使用量にとらわれず、炭酸ガスによる発泡性を有し、ビールと同様又は同類の香味を有するアルコール飲料及びノンアルコール飲料を意味する。また、「非発酵ビールテイスト飲料」とは、発酵を経ずに製造されるビールテイスト飲料を指し、非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料及びこれに醸造アルコールを添加して得られるアルコール入り非発酵ビールテイスト飲料を意味する。
ビール及びビールテイスト飲料を含む発泡性飲料は、マルトースやグルコース等を含む糖液を調製した上で、これにホップやホップ抽出物等の苦味成分を投入し、必要に応じて酵母により発酵させることにより製造される(例えば、特許文献1から3参照)。糖液の調製にあたっては、麦芽に含まれるデンプン質を糖化させることが一般的ではあるものの、最終製品の性能や品質に応じて、麦芽の使用量を低減させて、又は麦芽を使用せずに糖液を調製することもある。
また、発酵工程において発酵を極度に抑制したり、発酵を行わなかったりすることにより、酒類に分類されないノンアルコールビールテイスト飲料を提供できることも知られている。このようなノンアルコールビールテイスト飲料は、アルコール含量が1質量%未満であるので、酒税法上の酒類に属さない清涼飲料として取り扱われる。ノンアルコールビールテイスト飲料は、ビールテイストを楽しむために多量に摂取する場合であっても摂取される総アルコール量が低いため、水分補給に適し、且つ近年の健康指向にも沿った製品となっている(例えば、特許文献4から6参照)。
上述のとおり、ノンアルコールビールテイスト飲料の中には、製造工程におけるアルコール発酵を抑制し(不十分なものとし)、発酵により生成されるアルコール含量を低減することにより製造されるもの、及び発酵を全く行わず、発酵以外の手段によりビール様の風味を付与することにより製造されるもの(非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料)が知られている。ここで、特に、非発酵ノンアルコールビールテイスト飲料は、製造にあたって、特別な発酵装置を必要とせずにビール風味の飲料を製造できる利点を有し、飲酒運転規制の強化の中、運転を前提とした消費者でも飲用できる飲料として、現在、広く販売されている。
特開平10−323174号公報 特開2002−519018号公報 特開2003−251175号公報 特開平8−228753号公報 特開平8−509855号公報 特開平5−068528号公報
ビールが有する風味の大部分は、酵母によるアルコール発酵の際に生成する香気成分に由来するものである。ここで、非発酵ビールテイスト飲料においては、突出して感じられる不快臭が存在したり、逆に発酵感に寄与する香気そのものが少なかったりするなど、ビールらしさに欠けるものであり、香料を付与したとしても不自然な香味となってビールテイスト飲料本来のバランスを損ないがちであった。このため、本発明は、ビールテイスト飲料に自然な香気を付与し、ビールテイスト飲料のビールらしさを向上させる、非発酵ビールテイスト飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。その結果、糖液に含硫アミノ化合物を添加する工程と、含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸する工程とを有する非発酵ビールテイスト飲料の製造方法によれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
(1)糖液を調製する工程、糖液に含硫アミノ化合物を添加する工程、及び含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸する工程、を有する、非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(2)含硫アミノ化合物が、含硫アミノ酸である、(1)に記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(3)含硫アミノ化合物が、シスチン及びメチオニンからなる群から選択される少なくとも一種である、(1)又は(2)に記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(4)糖液中の含硫アミノ酸の含有量が、0.2mg/100mL以上5mg/100mL以下である、(2)又は(3)に記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(5)原料の一部にダイズタンパク質加水分解物を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(6)麦汁又は大麦エキスを含有しない、(1)から(5)のいずれかに記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
(7)0.3ppb以上2ppb以下の硫化水素、及び0.2mg/100mL以上5mg/100mL以下の含硫アミノ化合物を含有する、非発酵ビールテイスト飲料。
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法においては、糖液を調製した後、糖液を煮沸するに先立って糖液に含硫アミノ化合物を添加する。このため、煮沸時の糖液中の含硫アミノ化合物の濃度がより高まり、非発酵ビールテイスト飲料の発酵感に寄与する香気成分を多く生成させることにより、非発酵ビールテイスト飲料のビールらしさを向上させることができる。よって、本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法により得られる非発酵ビールテイスト飲料は、発酵工程を経ていないにも関わらず、向上された発酵感を有するビールらしいものとなる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<非発酵ビールテイスト飲料の製造方法>
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法は、糖液を調製する工程(糖液調製工程)、糖液に含硫アミノ化合物を添加する工程(含硫アミノ化合物添加工程)、及び含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸する工程(煮沸工程)を有する。なお、本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法は、糖液を発酵させる発酵工程を有さない。
[糖液調製工程]
本明細書において、「糖液」とは、単糖、二糖、及び三糖以上の糖類を含む水溶液であり、一般的には、デンプン質原料の加水分解により得られるものであるが、糖類を水に直接添加して調製したものであってもよい。
デンプン質原料としては、麦芽及びその抽出物(麦芽エキス)が代表的であるが、麦芽以外にも米やコーンスターチ等を挙げることもできる。
糖液の調製にあたっては、一般的には、主原料である麦芽又は麦芽の粉砕物、及び必要に応じて副原料である米やコーンスターチ等の、麦芽以外のデンプン質を温水に加えて混合・保温し、主に麦芽中に含まれるアミラーゼ等の糖化酵素を用いて麦芽の粉砕物や、他の副原料に含まれるデンプン質を加水分解して、マルトース等の糖を生成する。麦芽や他のデンプン質原料から糖液を調製するにあたっては、例えば、35℃から50℃で、20分から90分保持すればよい。
(麦芽の使用量等)
ここで、本発明においては、デンプン質原料として、麦芽又は大麦を使用しても使用しなくてもよい。よって、本発明においては麦汁又は大麦エキスを使用しなくてもよい。なお、「麦汁又は大麦エキスを使用する」とは、非発酵ビールテイスト飲料に対し、麦汁又は大麦エキスを実質的な量で配合することを意味する。例えば、香料等に麦汁又は大麦エキスが含まれており、香料中の成分である麦汁又は大麦エキスが非発酵ビールテイスト飲料に少量配合された場合は、麦汁又は大麦エキスを使用して製造したことに該当しない。
デンプン質原料として麦芽を使用する場合の麦芽使用量は、水以外の原料の総量に対して、例えば、66.6質量%以下、50質量%未満、又は25質量%未満とすることができる。水以外の原料の総量に占める麦芽の使用量は、最終製品に求められる性能や品質に応じて、適宜調整すればよい。
なお、本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法においては、デンプン質原料として、麦芽を用いて糖液を調製する場合、麦芽又は大麦のいずれをも使用せずに糖液を調製する場合のいずれにおいても、ビールらしい風味を再現するため、糖類、麦芽以外の穀物に由来する穀物シロップ、穀物エキス等の麦芽以外のデンプン質原料、食物繊維、果汁、苦味料、色素等を添加してもよい。
(糖液中の単糖の含有量)
糖液中の単糖の含有量は、マルトース、グルコース、フルクトース等の糖類を添加することにより調整してもよい。糖液中の単糖の含有率は30質量%以上95質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。糖液中の単糖含有量を調整することにより、穀物香に寄与する香気成分の生成量がより増大し、穀物香がより向上した非発酵ビールテイスト飲料を製造することができる。
(麦芽及び大麦を使用しない場合の糖液の調製)
麦芽及び大麦を使用せずに糖液を調製する場合、デンプン質及び/又は糖類に加えて、麦又は麦芽以外に由来する窒素源(例えば、ダイズタンパク質物分解物)や色素等を温水に混合し、アミラーゼを含む糖化酵素による加水分解処理を行って糖液を調製すればよい。これらの糖化酵素としては、従来公知の糖化酵素製剤等を用いればよい。
なお、本発明において用いられる、米、コーンスターチ等のデンプン質、炭素源となる糖類は、特に限定されるものではなく、従来の非発酵ビールテイスト飲料を製造する場合に、通常用いられるものを、通常用いられる量で用いればよい。
[含硫アミノ化合物添加工程]
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法は、糖液に含硫アミノ化合物を添加する含硫アミノ化合物添加工程を有する。糖液に含硫アミノ化合物を添加し、その後煮沸工程において含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸することにより、非発酵ビールテイスト飲料が、良好な発酵感を有するものとなる。
(含硫アミノ化合物)
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法において使用できる含硫アミノ化合物としては、アミノ基と、硫黄原子を有する官能基を有する化合物であれば、特に限定なく用いることができる。本発明は如何なる理論によっても束縛されるものではないが、このような含硫アミノ化合物は、そのアミノ基において、糖液中に含まれる糖類の分子中の水酸基と反応し、その際に生起する化学変化により、糖液中に硫化水素等の硫黄を含む香気成分が放出される。この香気成分が、発酵を経ていない非発酵ビールテイスト飲料に対しても、十分な発酵感を付与することができるので、本発明に従った非発酵ビールテイスト飲料は、発酵感に優れたビールらしい風味を有するものとなる。
含硫アミノ化合物としては、含硫アミノ酸を使用することが好ましい。含硫アミノ酸を糖液に添加することにより、非発酵ビールテイスト飲料に対して上述の発酵感を付与できると共に、麦芽及び大麦の使用の有無に関わらず、良好な穀物感を付与することができる。含硫アミノ酸としては、タンパク質を構成する天然の含硫アミノ酸、及びそれら以外の非天然の含硫アミノ酸を使用することができるが、入手が容易であり、食品添加物としての安全性が確立されていることから、シスチン及びメチオニン等の天然の含硫アミノ酸を使用することが好ましい。
含硫アミノ酸を添加した糖液中の含硫アミノ酸の含有量は、各含硫アミノ酸について、0.2mg/100mL以上5mg/100mL以下であることが好ましく、0.4mg/100mL以上5mg/100mL以下であることが更に好ましい。糖液中における含硫アミノ酸の含有量を上記の範囲内のものとすることにより、非発酵ビールテイスト飲料に良好な発酵感を付与できると共に、非発酵ビールテイスト飲料の穀物感を良好なものとすることができる。
含硫アミノ化合物添加工程においては、含硫アミノ酸に加え、含硫アミノ酸以外のアミノ酸を添加してもよい。ここで、糖液に添加できるアミノ酸としては、タンパク質を構成するアミノ酸として従来公知の天然アミノ酸を選択すればよく、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びチロシンからなる群から選択される少なくとも一種を用いればよい。これらのアミノ酸の中でも、プロリン及びトリプトファンが好ましく、プロリンが更に好ましい。以上のアミノ酸を含硫アミノ化合物と併せて添加することにより、含硫アミノ化合物によりもたらされる発酵感に加えて、穀物感の更に良好な非発酵ビールテイスト飲料を提供することができる。アミノ酸類は、アミノ酸製剤として添加してもよいし、酵母エキス等のアミノ酸含有素材として添加してもよい。
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法において、糖液に含硫アミノ酸以外のアミノ酸を添加する場合、その添加量は、通常、非発酵ビールテイスト飲料中において、0.2mg/100mL以上15mg/mL以下となるように添加することがより好ましい。含硫アミノ酸以外のアミノ酸の添加量を上記の範囲内のものとすることにより、非発酵ビールテイスト飲料中の穀物香に寄与する香味成分の含有量を効果的に高めることができる。更に、アミノ酸添加工程において、プロリンを用いる場合、その添加量は、0.2mg/100mL以上15mg/100mL以下であることが好ましい。
(ダイズタンパク質物分解物)
上述のとおり、本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法においては、原料の一部にダイズタンパク質物分解物を用いてもよい。ダイズタンパク質物分解物は、ダイズから得られたタンパク質を化学的・生化学的な処理により加水分解し、沈殿等の不溶性成分を取り除いたものを用いることが好ましい。特に、非発酵ビールテイスト飲料については、飲料中の炭酸の存在により飲料が酸性となるため、ダイズタンパク質物分解物としては、酸性溶液中でも沈殿しないものを用いることが好ましい。
非発酵ビールテイスト飲料の原料の一部として、ダイズタンパク質物分解物を用いることにより、ペプチドに由来する旨味や風味を有するとともに、泡持ちのよい非発酵ビールテイスト飲料を提供することができる。
[pH調整工程]
本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法においては、糖液調製工程において調製した糖液のpHを5.8以上に調整するpH調整工程を有することが好ましい。糖液調製工程において調製した糖液のpHを調整することにより、より高いpHで糖液が煮沸され、糖液中で発酵感や穀物感に寄与する成分の生成量が増大する。上記のpHは6.0以上7.0以下であることが好ましく、6.0以上6.5以下であることが更に好ましい。
なお、通常の非発酵ビールテイスト飲料の製造工程においては、糖液の煮沸前にpH調整工程を有さないことが多く、pHを調整したとしても煮沸時の糖液のpHが5.2以下となるように調整することが一般的である。
pH調整工程においては、飲料の分野で通常用いられるpH調整剤を用いてpHを調整することが好ましい。pH調整剤としては、可食性の酸又は塩基を挙げることができ、特に可食性の塩基として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の塩基を用いることが好ましい。
なお、調製された糖液は、pH調整工程に先立って又はpH調整工程に続いてろ過し、不溶性成分を除去することが好ましい。
[煮沸工程]
糖液調製工程により調製され、含硫アミノ化合物が添加された糖液には、必要に応じてホップ及び/又はホップ抽出物を加えて煮沸する。ここで、糖液にホップ及び/又はホップ抽出物を添加する場合、ホップ及び/又はホップ抽出物は煮沸開始時から煮沸終了時の任意の段階で加えることが好ましい。また、煮沸時間は、特に限定されるものではなく、非発酵ビールテイスト飲料の通常の煮沸時間を採用すればよい。
未発酵ビールテイスト飲料の製造にあたって使用できるホップとしては、ザーツ種、スパルトセレクト種、ペルレ種、ノーザンブリュワー種、ヘルスブルッカー種、ハラタウミッテルフリュワー種、ハラタウトラディション種、テットナング種、ナゲット種、ガリーナ種、ウィラメット種、カスケード種、ヘラクレス種、モツウエカ種、サミット種、パシフィックジェム種、ブリオン種、ブリューワーズゴールド種、チヌーク種、クラスター種、イーストケントゴールディング種、ファグルス種、ハレトウ種、マウントフッド種、スティリアン種、等を挙げることができる。本発明の未発酵ビールテイスト飲料において、これらのホップを使用するに当たっては、ホップの種類を適宜選択し、必要に応じて複数種のホップを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明においては、含硫アミノ化合物添加工程において含硫アミノ化合物を添加した後に煮沸工程を実施するので、煮沸工程において糖液中の各種成分の反応が促進され、非発酵ビールテイスト飲料中の良好な発酵感や穀物感に寄与する成分の生成量が増大する。このため、本発明の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法によれば、発酵工程を介在させていないにも関わらず、良好な発酵感と穀物感を有する、ビールらしい非発酵ビールテイスト飲料を製造することができる。
<非発酵ビールテイスト飲料>
本発明は、0.3ppb以上2ppb以下の硫化水素、及び0.2mg/100mL以上5mg/100mL以下の含硫アミノ化合物を含有する、非発酵ビールテイスト飲料にも関する。すなわち、本発明においては、糖液に含硫アミノ化合物を添加して煮沸することにより、含硫アミノ酸の一部が糖等の糖液中の各種成分と反応し、所定量の硫化水素を含有する非発酵ビールテイスト飲料を提供することができる。硫化水素を所定量含有することにより、発酵工程を経ていなくても、良好な発酵感を有する非発酵ビールテイスト飲料を提供することができる。
なお、硫化水素の含有量は、0.9ppb以上1.7ppb以下であることがより好ましい。
[その他の添加剤]
なお、本発明の未発酵ビールテイスト飲料は、デンプン質原料及びホップ以外に、必要に応じて、食物繊維、ポリペプチド、ホップ及びホップ抽出物以外の苦味料、酸味料、甘味料、香料等の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量については、これらの添加剤について、慣用されている量を採用すればよい。
また、本発明の未発酵ビールテイスト飲料には、原料用アルコール、ビール、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、スピリッツ等のアルコール原料を添加してもよい。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1;糖液へのシスチンの添加>
糖類の混合液2.7kg(固形分2.5kg相当)及びダイズタンパク質物分解物800gを水170Lに投入してよく混合し、糖液を調製した(糖液調製工程)。なお、糖液中の単糖の含有率は30質量%、糖液のpHは6.4であった。この糖液に、糖液100mLあたり、シスチンの含有量が0.2mg、0.4mg、2.0mg、5.0mgとなるようにシスチンを添加した(含硫アミノ化合物添加工程)。これに、ホップエキス25gを投入した。得られた糖液は、100℃で60分煮沸し(煮沸工程)、煮沸後、ろ過した糖液に炭酸ガスを付与して、非発酵ビールテイスト飲料を得た。
得られた非発酵ビールテイスト飲料について、以下に示す分析法により硫化水素濃度を測定し、3名のパネリストにより、以下に示す評価基準に基づいて、官能評価を行った。
結果を表1に示す。
[硫化水素分析法]
硫化水素は、ガス透過性チューブによる捕集ののち、バイオット社製硫化水素センサーを用いて測定した。分析条件は下記の通りである。
・使用装置:硫化水素センサー(株式会社バイオット製)
・捕集温度:0℃
・ガス透過捕集時間:1分間
・サンプリング時間:1分間
[官能評価の評価基準]
(穀物感)
5:対照よりも強い
4:対照よりもやや強い
3:対照と同程度
2:対照よりもやや弱い
1:対照よりも弱い
(ビールらしさ)
5:対照よりも強い
4:対照よりもやや強い
3:対照と同程度
2:対照よりもやや弱い
1:対照よりも弱い
(発酵感)
5:対照よりも強い
4:対照よりもやや強い
3:対照と同程度
2:対照よりもやや弱い
1:対照よりも弱い
表1
Figure 0006402382
表1より明らかなように、糖液へのシスチンの添加量を増大させるに従って、製造された非発酵ビールテイスト飲料中の硫化水素濃度は増大している。このような結果より、糖液に含硫アミノ化合物であるシスチンを添加することにより、発酵感に寄与すると考えられる硫化水素を生成できることが分かった。
同様に、糖液へのシスチンの添加量を増大させるに従って、製造された非発酵ビールテイスト飲料の穀物感、ビールらしさ、及び発酵感が増大することが分かった。
<実施例2;糖液へのシスチンの添加>
糖類の混合液15g(固形分14.2g相当)及びダイズタンパク質物分解物5gを水1Lに投入してよく混合し、糖液を調製した(糖液調製工程)。なお、糖液中の単糖の含有率は30質量%、糖液のpHは6.4であった。この糖液に、以下の表2に示すように、糖液100mLあたり、シスチンの含有量が0.4mg、メチオニンの含有量が2.0mg、及びプロリンの含有量が1.0mgとなるようにシスチン、メチオニン、及び/又はプロリンを添加した(含硫アミノ化合物添加工程)。これに、ホップエキス0.12gを投入した。得られた糖液は、100℃で60分煮沸し(煮沸工程)、煮沸後、ろ過した糖液に炭酸ガスを付与して、非発酵ビールテイスト飲料を得た。
得られた非発酵ビールテイスト飲料について、3名のパネリストにより、実施例1に示した評価基準に基づいて、官能評価を行った。
結果を表2に示す。
表2
Figure 0006402382
表2に示されるように、糖液にシスチンを添加することにより、穀物感、ビールらしさ、及び発酵感共に向上し、このような効果は、プロリンやメチオニンを添加することで更に向上した。
よって、糖液に含硫アミノ化合物であるシスチン及びメチオニンに加え、アミノ酸であるプロリンを添加することにより、より好ましい効果が得られることが分かった。
<実施例3;糖液へのメチオニンの添加>
糖類の混合液15g(固形分14.2g相当)及びダイズタンパク質物分解物5gを水1Lに投入してよく混合し、糖液を調製した(糖液調製工程)。なお、糖液中の単糖の含有率は30質量%、糖液のpHは6.4であった。この糖液に、糖液100mLあたり、メチオニンの含有量が0.2mg、0.5mg、1.0mg、2.0mg、5.0mgとなるようにメチオニンを添加した(含硫アミノ化合物添加工程)。また、これらとは別に、糖液100mLあたり、メチオニン2.0mgに加えて、シスチンが0.4mgとなるようにメチオニン及びシスチンを添加した糖液も調製した。これに、ホップエキス0.12gを投入した。得られた糖液は、100℃で60分煮沸し(煮沸工程)、煮沸後、ろ過した糖液に炭酸ガスを付与して、非発酵ビールテイスト飲料を得た。
得られた非発酵ビールテイスト飲料について、実施例1に準じて3名のパネリストによる官能評価を行った。
結果を表3に示す。
表3
Figure 0006402382
表3に示されるように、糖液にメチオニンを添加することにより、穀物感、ビールらしさ、及び発酵感共に向上し、このような効果は、シスチンを添加することで更に向上した。発酵感の向上効果については、シスチンを添加した系で特に強く観察された。
よって、糖液に含硫アミノ化合物であるメチオニン及びシスチンを添加することにより、より好ましい効果が得られることが分かった。
<実施例4;麦汁への含硫アミノ化合物の添加>
粉砕した麦芽50gを水300mLに投入してよく混合し、50℃から70℃で90分保温した。この麦糖化液をろ過して得られたエキス分(不揮発性成分)が13%のろ液を、最終エキス分が0.5%となるように希釈して、麦糖化液を調製した。この麦糖化液とは別に、糖類の混合液15g(固形分14.2g相当)及びダイズタンパク質物分解物5gを水1Lに投入してよく混合し、得られた溶液を麦糖化液と混合して糖液を調製した(糖液調製工程)。なお、糖液中の単糖の含有率は32質量%、糖液のpHは6.2であった。この糖液に、糖液中の濃度がそれぞれ、1.0mg/100mL、0.2mg/100mLとなるように、シスチン又はメチオニンを添加した(含硫アミノ化合物添加工程)。これに、ホップエキス0.12gを投入し、100℃で60分煮沸し(煮沸工程)、煮沸後、ろ過した糖液に炭酸ガスを付与して、非発酵のビールテイスト飲料を得た。
得られた非発酵ビールテイスト飲料について、実施例1に準じて3名のパネリストによる官能評価を行った。
結果を表4に示す。
表4
Figure 0006402382
表4に示されるように、麦汁にシスチン又はメチオニンを添加することにより、穀物感、ビールらしさ、及び発酵感共に向上した。発酵感の向上は、シスチンを添加した場合に特に顕著であり、穀物感の向上は、メチオニンを添加した場合に特に顕著であった。
よって、麦汁に含硫アミノ化合物であるメチオニン及びシスチンを添加することにより、より好ましい効果が得られることが分かった。

Claims (3)

  1. 糖液を調製する工程、
    糖液に含硫アミノ化合物を添加する工程、及び
    含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸する工程、を有し、
    含硫アミノ化合物が、シスチン及びメチオニンからなる群から選択される少なくとも一種であり、
    原料の一部にダイズタンパク質加水分解物を含み、麦汁又は大麦エキスを含有しない、非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
  2. 糖液を調製する工程、
    糖液に含硫アミノ化合物を添加する工程、及び
    含硫アミノ化合物が添加された糖液を煮沸する工程、を有し、
    含硫アミノ化合物が、シスチン及びメチオニンからなる群から選択される少なくとも一種であり、
    原料の一部にダイズタンパク質加水分解物を含み、
    糖液中の含硫アミノ酸の含有量が、0.2mg/100mL以上5mg/100mL以下である非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
  3. 麦汁又は大麦エキスを含有しない、請求項2に記載の非発酵ビールテイスト飲料の製造方法。
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