JP6399682B2 - エンジン駆動式ヒートポンプ装置、及び発熱量推定方法 - Google Patents
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Description
さらに、今日、メタン発酵の技術を利用して製造されるバイオガスを、燃料として使用することもある。一般に、バイオガスは天然ガスに比べて発熱量が低い。従って、エンジンに供給される燃料ガスを考えた場合、その発熱量が変動する傾向にある。
上述のような理由により、組成の変動により熱量が変動する天然ガスを燃料ガスとして用いるGHPにあっては、燃料ガスをエンジンに供給する燃料供給路に、燃料ガスの熱量を測定する熱量計測手段を設け、当該熱量計測手段の計測結果に基づいて、燃料供給弁の弁開度を調整することにより、燃料供給量を制御するように構成されているものが知られている(特許文献1を参照)。
このため、特許文献1に開示の技術に示されるように、直接的に燃料ガスの熱量を計測する比較的高価な熱量計を備える構成ではなく、燃料ガスの発熱量の増加・減少を知ることができるGHPが望まれていた。
燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスの流量を調整するスロットル弁と、
エンジン回転速度を計測する回転速度計測手段とを有するエンジンを備えると共に、当該エンジンにてヒートポンプの圧縮機を駆動させるエンジン駆動式ヒートポンプ装置であって、その特徴構成は、
基準発熱量の燃料ガスの供給を受けてエンジンが働く基準状態における、前記エンジン回転速度及び前記スロットル弁の開度と、当該エンジンの出力との関係である第1関係を記憶する記憶部と、
現状の前記スロットル弁の開度と、前記回転速度計測手段にて計測される前記エンジン回転速度とに基づいて、前記記憶部に記憶された前記第1関係から、前記エンジンの見かけの出力を推定するエンジン出力推定手段と、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力と、前記ヒートポンプが辿る冷凍サイクルに於ける前記圧縮機の出力とを比較することにより、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量を推定する発熱量推定手段を備え、
前記発熱量推定手段は、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力より低い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定し、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力よりも高い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定する点にある。
燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスの流量を調整するスロットル弁と、
エンジン回転速度を計測する回転速度計測手段とを有するエンジンを備えると共に、当該エンジンにてヒートポンプの圧縮機を駆動させるエンジン駆動式ヒートポンプ装置による燃料ガスの発熱量推定方法において、
現状の前記スロットル弁の開度と、前記回転速度計測手段にて計測される前記エンジン回転速度とに基づいて、基準発熱量の燃料ガスの供給を受けてエンジンが働く基準状態における前記エンジン回転速度及び前記スロットル弁の開度と当該エンジンの出力との関係である予め記憶された第1関係から、前記エンジンの見かけの出力を推定するエンジン出力推定工程と、
推定された前記エンジンの見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される前記圧縮機の出力とを比較することにより、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量を推定する発熱量推定工程とを有し、
前記発熱量推定工程では、
前記エンジン出力推定工程にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力より低い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定し、
前記エンジン出力推定工程にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力よりも高い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定する点にある。
従って、この第1関係に基づいて、現状のスロットル弁の開度及びエンジン回転速度とから、基準発熱量の燃料ガスが供給された状態でのエンジンの出力(本発明ではこのエンジンの出力を見かけの出力と呼んでいる)を得ることができる。
一方、ヒートホンプに備えらえる圧縮機の出力は、ヒートポンプが描いている冷凍サイクルにおける圧縮仕事となっており、この圧縮機の出力が冷凍サイクルに実際に使用されている実仕事である。
本発明では、実際に使用されている仕事と見なせる、冷凍サイクル側からみた圧縮機の出力と、基準発熱量の燃料ガスが供給された状態で得られる見かけの出力とを比較する。この状態で、エンジンに供給されている燃料ガスの発熱量が基準発熱量と一致する場合は、圧縮機の出力と見かけの出力は一致するが、異なる場合は、両者間で差がでる。
一方、燃料ガスの発熱量が基準発熱量より大きくなっている場合、現状のスロットル弁の開度がエンジンの出力として、目的とする冷凍サイクルを描くために必要となる圧縮機の出力を得ようとして追従する結果、閉じ側に制御されるから、見かけのエンジンの出力が減少する。
そこで、本発明にあっては、当該エンジンの見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される圧縮機の出力(実際の出力)とを比較することにより、エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出される圧縮機の出力(実際の出力)からずれている場合には、発熱量推定対象の燃料ガスの発熱量が基準発熱量から変動していると推定できる。
即ち、上記特徴構成によれば、従来技術の如く燃料ガスの発熱量を直接計測することなく、エンジンの見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される圧縮機の出力(実際の出力)とを比較することにより、発熱量推定対象の燃料ガスの発熱量を推定できる。
前記発熱量推定手段にて、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定された場合、前記燃料ガスの供給流量を調整する燃料流量調整弁の開度を閉じ側へ補正すると共に、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定された場合、前記燃料流量調整弁の開度を開き側へ補正する弁開度補正手段が設けられている点にある。
具体的には、発熱量推定対象の燃料ガスの発熱量が減少しているときには、燃料ガスの供給流量を調整する燃料流量調整弁の開度を開き側へ補正することで、発熱量が減少し希薄側となった空気過剰率を、濃側へ補正して、エンジンがストールする可能性を低減できる。
一方、発熱量推定対象の燃料ガスの発熱量が増加しているときには、燃料ガスの供給流量を調整する燃料流量調整弁の開度を閉じ側へ補正することで、空気過剰率が濃側になり過ぎることを抑制し、排ガスへの燃料ガスのスリップ量を低減できる。
冷凍サイクルから導出される前記圧縮機の出力は、前記圧縮機の吸込圧力及び吸込温度とから求められる冷媒の第1エンタルピーを、前記圧縮機の吐出圧力及び吐出温度とから求められる冷媒の第2エンタルピーから減算したものに、前記ヒートポンプにおける冷媒の循環量を乗算して導出することができる。
前記ヒートポンプおける冷媒の循環量は、前記圧縮機の排除容積、運転台数、回転速度、冷媒の密度、及び圧縮機の体積効率から導出することができる。
以下、それらの構成につき、順に説明する。
給気路10は、ベンチュリーミキサ11の下流側で混合気の流量を調整するスロットル弁12を備え、当該スロットル弁12の下流側において、給気バルブ15を介して燃焼室20に接続されている。
尚、当該スロットル弁12の開度は、エンジン60の出力が目標出力となるように、スロットル弁制御手段52にて制御されている。
シリンダ25の上面であるシリンダヘッドには、燃焼室20に供給された燃料ガスGと燃焼用空気Aとの混合気に点火する点火プラグ21が設けられており、当該点火プラグ21が、圧縮された混合気に点火する形態で、混合気が燃焼・膨張して、ピストン22をシリンダ25内で摺動移動させる。
エンジン60を駆動源とするエンジン駆動式ヒートポンプ装置100は、冷媒Lを循環する冷媒循環路Cに、冷媒Lを圧縮する圧縮機40、当該圧縮機40にて圧縮され昇温した冷媒Lを放熱させる凝縮器41、凝縮器41を通過した後の冷媒Lを膨張させる膨張弁42、当該膨張弁42にて膨張されて降温した冷媒Lに吸熱させる蒸発器43を、記載順に設けて構成されている。
尚、本発明にあっては、冷凍サイクルから圧縮機40の出力を導出すべく、圧縮機40の吸込圧力、吐出圧力を計測する圧力センサ(図示せず)、吸込温度、吐出温度を計測する温度センサ(図示せず)が、冷媒循環路Cに設けられている。
また、圧縮機40の回転速度を計測する回転速度計測センサ(図示せず)も設けられている。
そこで、本発明のエンジン60、及びエンジン駆動式ヒートポンプ装置100にあっては、以下の方法により、燃料ガスGの発熱量を推定する。
本発明のエンジン駆動式ヒートポンプ装置100にあっては、燃料ガスGの発熱量の変動に伴って変化するエンジン60の見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される圧縮機40の出力(実出力)とを比較することにより、燃料ガスGの発熱量を推定している。
更に、現状のスロットル弁12の開度(スロットル弁制御手段52にて設定される開度)と、クランク角センサ26にて計測されるエンジン回転速度と、記憶部51に記憶された第1関係とから、エンジン60の見かけの出力を推定するエンジン出力推定手段53を備えると共に、エンジン出力推定手段53にて推定されたエンジン60の見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される圧縮機40の出力(実出力)とを比較することにより、燃料ガスGの発熱量を推定する発熱量推定手段54を備えている。
本発明に係るエンジンは、ヒートポンプを駆動し、所定の冷房能力を発揮するように出力調整されるものであるため、冷房負荷側の仕事量は、圧縮機の出力として冷房に要する実仕事が把握される。一方、エンジン側に関しては、供給される燃料ガスの発熱量に係わらず、当該実仕事を満足する出力を得るべく、エンジンのスロットル開度及び回転速度が制御される。
この状況で、燃料ガスの基準発熱量に基づいた見かけ上の仕事が、第1指標に基づいてスロットル開度と回数数から求まることとなる。
L=(h2−h1)×Q/3600(kW)・・・式(1)
L :圧縮機の出力
h1:P1、T1から求められる冷媒の比エンタルピー(KJ/kg)
h2:P2、T2から求められる冷媒の比エンタルピー(KJ/kg)
P1:圧縮機の吸込圧力
T1:圧縮機の吸込温度
P2:圧縮機の吐出圧力
T2:圧縮機の吐出温度
Q :圧縮機の排除容積、運転台数、回転速度、冷媒の密度、及び圧縮機の体積効率から求められる冷媒の循環量(kg/h)
具体的には、発熱量推定手段54は、エンジン60の見かけの出力が、圧縮機40の出力(実出力)よりも低い場合、発熱量推定対象の燃料ガスGの発熱量が基準発熱量よりも大きいと推定し、エンジン60の見かけの出力が、圧縮機40の出力(実際の出力)よりも大きい場合、発熱量推定対象の燃料ガスGの発熱量が基準発熱量よりも小さいと推定する。
発熱量推定対象の燃料ガスGの発熱量は、上述の如く、適切に推定されるのであるが、本発明にあっては、当該推定された燃料ガスGの発熱量に基づいて、燃料流量調整弁14の開度を補正する弁開度補正手段55が設けられている。
具体的には、弁開度補正手段55は、発熱量推定手段54にて、発熱量推定対象の燃料ガスGの発熱量が基準発熱量よりも大きいと推定された場合、燃料流量調整弁14の開度を閉じ側へ補正すると共に、発熱量推定対象の燃料ガスGの発熱量が基準発熱量よりも小さいと推定された場合、燃料流量調整弁14の開度を開き側へ補正する。
これにより、エンジン駆動式ヒートポンプ装置100の運転状態を、変動する燃料ガスGの発熱量の推定結果に追従するものにできる。
次に、本発明における燃料ガスGの発熱量の推定、及び推定された発熱量に追従するように燃料流量調整弁14の開度の制御に係るフローを、図4に基づいて説明する。
まず、クランク角センサ26にてエンジン回転速度の変動量を測定し(♯02)、測定したエンジン回転速度の変動量を、記憶部51に記憶される燃料ガスGが基準発熱量である場合のエンジン回転速度の変動量と比較する(♯03)。
一方、測定されたエンジン回転速度の変動量が、燃料ガスGが基準発熱量である場合のエンジン回転速度の変動量と等しい、又は小さい場合、燃料ガスGの発熱量が変動している可能性が低いとして、燃料ガスGの発熱量を推定するステップを実行せず、制御を終了する(♯04)。
エンジン回転速度及びスロットル弁12の開度に基づいて、記憶部51に記憶されている第1関係から、見かけのエンジン60の出力を推定するエンジン出力推定工程を実行する(♯06)。
一方、見かけのエンジン60の出力が、導出した圧縮機40の出力(実出力)よりも小さい場合(♯07)、燃料流量調整弁14の現状の開度を維持する。
(1)上記制御フローの♯07〜08では、見かけのエンジン60の出力が、冷凍サイクルから導出した圧縮機40の出力よりも大きい場合、燃料ガスの発熱量が低下したと判定し、燃料流量調整弁14の開度を開き側へ調整し、見かけのエンジン60の出力が、冷凍サイクルから導出した圧縮機40の出力よりも小さい場合、現状の燃料流量調整弁14の開度を維持する例を示した。
しかしながら、上記制御フローの♯07〜08において、見かけのエンジン60の出力が、冷凍サイクルから導出した圧縮機40の出力よりも大きい場合、燃料ガスの発熱量が低下したと判定し、燃料流量調整弁14の開度を開き側へ調整し、見かけのエンジン60の出力が、冷凍サイクルから導出した圧縮機40の出力よりも小さい場合、燃料流量調整弁14の開度を閉じ側へ調整するように構成しても構わない。
しかしながら、当該制御フローの♯02、03、04は、別に実行しなくても構わない。
14 :燃料流量調整弁
26 :クランク角センサ
40 :圧縮機
51 :記憶部
52 :スロットル弁制御手段
53 :エンジン出力推定手段
54 :発熱量推定手段
55 :弁開度補正手段
60 :エンジン
100 :エンジン駆動式ヒートポンプ装置
A :燃焼用空気
C :冷媒循環路
E :排ガス
G :燃料ガス
L :冷媒
Claims (3)
- 燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスの流量を調整するスロットル弁と、
エンジン回転速度を計測する回転速度計測手段とを有するエンジンを備えると共に、当該エンジンにてヒートポンプの圧縮機を駆動させるエンジン駆動式ヒートポンプ装置において、
基準発熱量の燃料ガスの供給を受けてエンジンが働く基準状態における、前記エンジン回転速度及び前記スロットル弁の開度と、当該エンジンの出力との関係である第1関係を記憶する記憶部と、
現状の前記スロットル弁の開度と、前記回転速度計測手段にて計測される前記エンジン回転速度とに基づいて、前記記憶部に記憶された前記第1関係から、前記エンジンの見かけの出力を推定するエンジン出力推定手段と、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力と、前記ヒートポンプが辿る冷凍サイクルに於ける前記圧縮機の出力とを比較することにより、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量を推定する発熱量推定手段を備え、
前記発熱量推定手段は、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力より低い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定し、
前記エンジン出力推定手段にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力よりも高い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定するエンジン駆動式ヒートポンプ装置。 - 前記発熱量推定手段にて、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定された場合、前記燃料ガスの供給流量を調整する燃料流量調整弁の開度を閉じ側へ補正すると共に、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定された場合、前記燃料流量調整弁の開度を開き側へ補正する弁開度補正手段が設けられている請求項1に記載のエンジン駆動式ヒートポンプ装置。
- 燃料ガスと燃焼用空気との混合ガスの流量を調整するスロットル弁と、
エンジン回転速度を計測する回転速度計測手段とを有するエンジンを備えると共に、当該エンジンにてヒートポンプの圧縮機を駆動させるエンジン駆動式ヒートポンプ装置による燃料ガスの発熱量推定方法において、
現状の前記スロットル弁の開度と、前記回転速度計測手段にて計測される前記エンジン回転速度とに基づいて、基準発熱量の燃料ガスの供給を受けてエンジンが働く基準状態における前記エンジン回転速度及び前記スロットル弁の開度と当該エンジンの出力との関係である予め記憶された第1関係から、前記エンジンの見かけの出力を推定するエンジン出力推定工程と、
推定された前記エンジンの見かけの出力と、冷凍サイクルから導出される前記圧縮機の出力とを比較することにより、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量を推定する発熱量推定工程とを有し、
前記発熱量推定工程では、
前記エンジン出力推定工程にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力より低い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも大きいと推定し、
前記エンジン出力推定工程にて推定された前記エンジンの見かけの出力が、冷凍サイクルから導出した前記圧縮機の出力よりも高い場合、発熱量推定対象の前記燃料ガスの発熱量が前記基準発熱量よりも小さいと推定する燃料ガスの発熱量推定方法。
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