JP4473826B2 - 予混合圧縮自着火式エンジン及びその制御方法 - Google Patents

予混合圧縮自着火式エンジン及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、予混合圧縮自着火式エンジン及びその制御方法に関し、特に燃焼の安定性を高めることができる予混合圧縮自着火式エンジン及びその制御方法に関する。
空気と燃料とを予め混合した混合気をシリンダ内の燃焼室に供給し、該混合気を圧縮することによって自着火させる予混合圧縮自着火式エンジンは、例えば、特許文献1により公知である。
この予混合圧縮自着火式エンジンは、火花点火式のエンジンと比較して、高い圧縮比で運転可能であるので熱効率が高いという利点がある。また、燃焼温度を低くすることができるので、NOxの生成を抑制することもできる。しかし、混合気を自然に着火するものであるため、着火時期の制御が困難であり、適切に着火するための条件を整えてやることが重要である。
混合気の自着火は、エンジンのトルクと混合気の吸気温度に大きく左右される。図3のハッチングが施された領域Zは、エンジントルクと混合気の吸気温度との関係で、圧縮自着火運転が可能な領域Zであり、トルクや吸気温度がこの限られた領域Zから外れると、ノッキングや失火が生じ易くなる。したがって、トルクと吸気温度とが運転可能領域Z内に収まるようにするために、如何に条件を整えるかが重要な問題となっている。
特開2005−69097号公報
そこで、本発明は、ある目標トルクに対応する目標吸気温度を記録した目標吸気温度マップを予め備えておき、エンジンに対して目標トルクを与えた場合に、その目標トルクに適した目標吸気温度を目標吸気温度マップから選定し、この目標吸気温度を達成できるように実際の吸気温度を制御してやることによって、安定した運転が可能な予混合圧縮自着火式エンジン及びその制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための第1の具体的手段は、少なくとも定常運転で、燃料と空気とを予め混合した混合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼する、予混合圧縮自着火式エンジンであって、エンジンの目標トルクに対応する前記混合気の目標吸気温度を記録した目標吸気温度マップと、前記混合気の温度を調整する調温装置と、を備え、与えられた目標トルクから、前記目標吸気温度マップを参酌して目標吸気温度を選定するとともに、前記調温装置によって、前記混合気を前記目標吸気温度に調整するようにしてあることを特徴とする。
第2の具体的手段は、上記第1の具体的手段において、前記調温装置が、前記混合気を加熱する加熱装置であることを特徴とする。
第3の具体的手段は、上記第1の具体的手段において、前記燃焼室内の燃焼状態を検出するとともに、該検出値から燃焼状態を示す燃焼パラメータを算出し、該燃焼パラメータを、所定の燃焼パラメータ目標値に一致させるように、前記目標吸気温度の補正を行うことを特徴とする。
第4の具体的手段は、上記第3の具体的手段において、前記燃焼パラメータを用いた前記目標吸気温度の補正を、所定トルク以上の運転状態でのみ行うことを特徴とする。
第5の具体的手段は、上記第1の具体的手段において、与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域から外れる場合に、該運転可能領域内に入るように前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする。
第6の具体的手段は、上記第5の具体的手段において、運転開始後、最初に目標トルクが与えられる際に、与えられた目標トルクに対応する目標吸気温度よりも実際の吸気温度が高い場合にのみ、前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする。
第7の具体的手段は、少なくとも定常運転で、燃料と空気とを予め混合した混合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼する、予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法であって、エンジンの目標トルクに対応する前記混合気の目標吸気温度を記録した目標吸気温度マップを備えておき、与えられた目標トルクから、前記目標吸気温度マップを参酌して目標吸気温度を選定するとともに、前記混合気を調温装置によって前記目標吸気温度に調整することを特徴とする。
第8の具体的手段は、上記第7の具体的手段において、前記調温装置が、前記混合気を加熱する加熱装置であることを特徴とする。
第9の具体的手段は、上記第7の具体的手段において、前記燃焼室内の燃焼状態を検出するとともに、該検出値から燃焼状態を示す燃焼パラメータを算出し、該燃焼パラメータを、所定の燃焼パラメータ目標値に一致させるように、前記目標吸気温度の補正を行うことを特徴とする。
第10の具体的手段は、上記第9の具体的手段において、前記燃焼パラメータを用いた前記目標吸気温度の補正を、所定トルク以上の運転状態でのみ行うことを特徴とする。
第11の具体的手段は、上記第7の具体的手段において、与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域から外れる場合に、該運転可能領域内に入るように前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする。
第12の具体的手段は、上記第11の具体的手段において、運転開始後、最初に目標トルクが与えられる際に、与えられた目標トルクに対応する目標吸気温度よりも実際の吸気温度が高い場合にのみ、前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする。
請求項1及び7の発明によれば、エンジンに対して目標トルクを与えてやると、その目
標トルクに対応した目標吸気温度が目標吸気温度マップを参酌して選定され、更に、混合気の温度が目標吸気温度となるように調温装置によって調整される。したがって、エンジントルクと吸気温度とが運転可能領域に収まるように適切に制御され、安定した運転が可能となる。
請求項2及び8の発明によれば、調温装置を加熱装置として構成しているので、特に、吸気温度を低温から高温へ迅速に調整することができる。
請求項3及び9の発明によれば、実際の燃焼室内の燃焼状態を検出し、その検出値から燃焼状態を示す燃焼パラメータを算出し、この燃焼パラメータを適切な燃焼状態を示す燃焼パラメータ目標値に一致させるように、目標吸気温度の補正を行うので、例えば、外気や燃料の状態等の外部要因に起因する運転可能領域の変動にも対応して、適切な燃焼状態を得ることができる。
請求項4及び10の発明によれば、燃焼状態の正確な検出が困難な低トルク時等には、あえて燃焼パラメータを考慮した目標吸気温度の補正を行わないようにすることで、不正確な燃焼パラメータを用いた目標吸気温度の補正によって運転が不安定になることを防止することができる。
請求項5及び11の発明によれば、与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域から外れるような場合、例えば、与えられた目標トルクが実際のトルクから大きく変動し、この目標トルクをもとに選定された目標吸気温度が実際の吸気温度から大きく離れて、混合気が目標吸気温度に達するまでに時間がかかるような場合には、目標トルクを実際の吸気温度に対応して運転可能領域内に入るように補正することによって、目標トルクの大きな変動を抑制し、安定した運転を確保することができる。
請求項6及び12の発明によれば、運転開始後、最初に目標トルクが与えられる際に、与えられた目標トルクに対応する目標吸気温度よりも実際の吸気温度が低い場合は、目標トルクの補正を行わないようにすることで、補正により目標トルクが想定外に大きくなることがなくなり、エンジンに対する負荷を少なくするとともに、不安定な運転を防止することができる。
〔予混合圧縮自着火式エンジンの概要〕
図1は、本発明の実施形態に係る予混合圧縮自着火式エンジン11の概略断面図、図2は、同概略平面図である。本実施形態の予混合圧縮自着火式エンジン11は、4気筒の4サイクルエンジンであり、シリンダブロック12、シリンダヘッド15、及びクランクケース18によって構成されたエンジン本体11Aを備えている。シリンダブロック12内には、複数(4つ)のシリンダ(気筒)13が設けられ、各シリンダ13内には、ピストン14が摺動自在に嵌合されている。シリンダヘッド15には、吸気ポート16及び排気ポート17が設けられ、吸気ポート16及び排気ポート17は、それぞれ吸気弁19及び排気弁20によって開閉されるようになっている。吸気弁19及び排気弁20は、動弁装置21,22によって駆動される。
吸気ポート16には吸気管24が接続され、排気ポート17には排気マニホールド25を有する排気管26が接続されている。吸気管24は、図2に示すように、主吸気管27と、該主吸気管27に接続された吸気サージタンク28と、該吸気サージタンク28から各シリンダ13に接続された複数の分岐吸気管29とを有している。
図1に示すように、主吸気管27には、スロットルバルブ31と、ミキサ33と、加熱装置(調温装置)35とが設けられている。主吸気管27に導入された空気は、スロットルバルブ31によって流量が調節され、燃料制御弁32から噴射された燃料とミキサ33で混合される。空気と燃料との混合気は、加熱装置35によって加熱されて吸気サージタンク28に流入し、各分岐吸気管29から吸気ポート16を経て各シリンダ13内の燃焼室に吸気される(吸気行程)。吸気行程で燃焼室内に供給された混合気は、圧縮行程で圧縮され、ピストン14が上死点付近にきたときに自着火し、これによりピストンが押し下げられる(膨張行程)。燃焼ガスは、排気行程で排気ポート17から排気管26を介して排出される。
このように予混合圧縮自着火式エンジン11は混合気を圧縮自着火するものであるが、本実施形態では、混合気を火花点火する点火プラグ(点火装置)37がシリンダヘッド15に設けられている。この点火プラグ37は、火花点火による運転の際に用いられる。
すなわち、本実施形態の予混合圧縮自着火式エンジン11は、定常運転の際には圧縮自着火運転を行うが、火花点火による運転も可能になっている。そして、圧縮自着火のみの運転を行うときには、火花点火をオフにするようになっている。
なお、本発明は、定常運転や過渡期の運転で行われる圧縮自着火運転に関する制御(基本制御及び応用制御1,2)を主たる特徴とするものである。
加熱装置35は、後述のごとく、エンジン11を安定して運転させるために混合気を適切な温度に加熱するものである。本実施形態の加熱装置35は、図2に示すように、2経路に分岐した主吸気管27の一方の経路38に設けられた熱交換器40により構成されている。熱交換器40は、エンジン冷却水を熱交換媒体とするものであり、シリンダブロック12及びシリンダヘッド15を循環した冷却水が流路41を介して熱交換器40に供給されると共に、流路42を介して冷却器(図示略)に戻されるようになっている。主吸気管27の双方の経路38,39には、それぞれ調量弁43,44が設けられている。
主吸気管27の他方の経路39には熱交換器49は設けられておらず、この経路39を通る混合気は加熱されることなくそのまま吸気サージタンク28に導入される。調量弁43,44は、主吸気管27の各経路38,39への混合気の流入量を調整(停止を含む)するものであり、例えば、一方の調量弁43のみを開いて経路38のみに混合気を通すことで、急速に混合気を加熱することができ、他方の調量弁44のみを開いて経路39のみに混合気を通すことで、混合気を加熱しないようにする(相対的に冷却する)ことができる。また、双方の調量弁43,44を開くことによって、加熱された混合気と加熱されていない混合気とを混合して、細かな温度制御を行うことができるようになっている。
図1に示すように、エンジン11は、コントローラ45を備えており、該コントローラ45によって、点火プラグ37やスロットルバルブ31、燃料制御弁32、加熱装置35等が制御されるようになっている。また、エンジン11には、冷却水温度センサ47や吸気温度センサ48、気筒内圧力センサ49、機関回転数センサ50、トルクセンサ51等が設けられており、各種センサの検出信号は、前記コントローラ45に入力されるようになっている。
〔予混合圧縮自着火式エンジンの制御〕
図3には、予混合圧縮自着火式エンジン11のトルクと吸気温度との関係で、予混合圧縮自着火運転が可能な領域Zをハッチングで示している。すなわち、トルクと吸気温度との双方が領域Z内に収まる場合に、安定した運転が行えるようになっている。
本発明は、オペレータ等が所望のトルク(目標トルク)をコントローラ45(図1)に入力することによって、当該目標トルクとの関係で前記領域Z内に吸気温度が収まるように、該吸気温度を制御するようになっている。以下、その制御の詳細について述べる。
(基本制御)
コントローラ45内のメモリには、目標吸気温度マップMAが記憶されている。目標吸気温度マップMAは、図3に示す領域Z内で互いに適切に対応する目標トルクと目標吸気温度とを記録したものであり、かかる目標吸気温度マップMAは図3上で略直線状に示されている。そして、本実施形態のエンジン11は、この目標吸気温度マップMAを用いて制御されるようになっている。
図4を参照して、本実施形態の基本制御について説明する。例えば、トルクT1及び吸気温度Tm1の状態でエンジン11を運転していたとする。この場合、トルクT1及び吸気温度Tm1は、目標吸気温度マップMA上に配置されているため、安定した運転を行っていると考えられる。この状態から、目標トルクとして、T2をコントローラ45に入力する。すると、コントローラ45は、メモリ内の目標吸気温度マップMAを参酌して、T2に対応する目標吸気温度Tm2を選定する。目標吸気温度Tm2は、それまでの吸気温度Tm1よりも高温であるので、コントローラ45は、図2に示す加熱装置35によって、混合気が目標吸気温度Tm2に達するように加熱する。このような制御を行うことによって、目標トルクT2に対応した適切な温度Tm2に混合気が調整されるようになっている。
上記と逆の場合、例えば、トルクT2、吸気温度Tm2で運転している状態から、目標トルクT1を与えた場合も、上記と同様の方法で、目標吸気温度マップから目標吸気温度Tm1を選定し、吸気温度の調整を行う。この場合、加熱装置の温度を低下することによって、吸気温度をTm2からTm1に下げるようになっている。
図5は、本実施形態の制御ロジック図である。この制御ロジック図を用いて上述の基本制御を説明すると、まず、エンジンコントローラ45には、目標トルクが与えられ、該目標トルクは、リミッタ82(詳細については後述する)を経て実トルクと比較され、PID制御83により燃料制御弁32の開度指令値が求められる。そして、燃料制御弁32は、この開度指令値に基づいてコントローラ45により制御され、これによって目標トルクが達成されるようになっている。なお、実トルクは、トルクセンサ51(図1)によって検出される。
また、目標トルクが与えられると、目標吸気温度マップMAを参酌して目標吸気温度が選定され、該目標吸気温度に基づいて加熱装置35が制御されるようになっている。
(応用制御1)
本実施形態では、上記基本制御を基礎として、より実際の運転に即した制御(応用制御)を行うようになっている。以下、この応用制御について説明する。
図3に示したエンジン11の圧縮自着火運転が可能な領域Zは、例えば、外気の状態や燃料の状態、組成等の外部要因に起因して若干変動することがある。そのため、与えられた目標トルクから目標吸気温度マップMAを用いて一義的に得られた目標吸気温度では、適切な燃焼状態が得られない場合もある。そこで、本実施形態では、応用制御1として、以下のような制御を行っている。
図5の制御ロジック図において、エンジンコントローラ45には、目標トルクや実トルクだけでなく、燃焼パラメータ及び燃焼パラメータ目標値が入力されるようになっている。燃焼パラメータは、シリンダ13内の燃焼状態をセンサによって検出し、その検出値を用いて算出される。具体的に、本実施形態では、燃焼状態として気筒内圧力センサ49(図1)で気筒内圧力を検出し、気筒内圧力の検出値から、他の燃焼状態である着火時期を燃焼パラメータとして算出するようになっている。
そして、この燃焼パラメータは、PID制御84によって燃焼パラメータ目標値と比較演算され、PID演算結果を目標吸気温度に与えることによって、燃焼パラメータを燃焼パラメータ目標値に一致させるように、目標吸気温度が補正されるようになっている。例えば、燃焼パラメータとしての着火時期が目標値よりも遅い場合には、目標吸気温度がより高く補正され、着火時期が目標値よりも早い場合には目標吸気温度がより低く補正される。
すなわち、この応用制御1では、単に目標トルクから選定された目標吸気温度をそのまま適用するのではなく、実際の燃焼状態を加味することによって、目標吸気温度をフィードバック制御し、より適切な目標吸気温度で安定した運転を実現する。
(応用制御1の例外)
上記応用制御1は、気筒内圧力センサ49により気筒内圧力を検出して燃焼パラメータを求めるものであるが、この検出値は、例えば、エンジン11の始動直後やアイドリング時等のトルクが小さいときには、ノイズの割合が高くなり、正確に検出することが困難である。不正確な検出値を用いて燃焼パラメータを算出し、該燃焼パラメータによって目標吸気温度をフィードバック制御すると、かえって運転の安定性が阻害される可能性もある。
そこで、本実施形態では、目標トルクが所定以下の場合には、正確な燃焼パラメータが得られないものとして、目標吸気温度のフィードバック制御を行わずに上記基本制御のみを行うこととし、目標トルクが所定以上の場合に、目標吸気温度のフィードバック制御(応用制御1)を行うこととしている。
具体的には、図5に示すように、燃焼パラメータと燃焼パラメータ目標値とのPID演算結果は、ON/OFFスイッチ85がオンのときのみ目標吸気温度に与えられるようになっている。したがって、ON/OFFスイッチ85は、目標トルクが所定以上のときはオンされ、所定以下のときはオフされるように制御されている。
これにより、燃焼状態を正確に検出可能な領域でのみフィードバック制御を行うことになり、燃焼状態の検出結果を適切に制御出力に反映し、安定した運転を実現することができる。
(応用制御2)
次に、上記基本制御を基礎とした第2の応用制御について説明する。
上述の基本制御では、エンジンコントローラ45に目標トルクが与えられると、即座にその目標トルクに応じた燃料供給を行うように燃料制御弁32が制御されるようになっている。その一方で、目標トルクから目標吸気温度マップMAを参酌して目標吸気温度が選定されても、その目標吸気温度が現実の吸気温度から大きく離れている場合には、混合気が目標吸気温度に達するまでにタイムラグが生じる。このタイムラグの間、吸気温度は、目標トルクに対応できず、図3に示す運転可能領域Zから外れる可能性がある。
例えば、図6に示すように、エンジン11が、トルクT3及び吸気温度Tm3で運転している状態で目標トルクT4が与えられた場合、上記基本制御に基づけば目標吸気温度マップMAを参酌して目標吸気温度Tm4が選定される。そして、エンジンコントローラ45は、目標トルクT4に応じた燃料を供給するように燃料制御弁32を制御し、混合気が目標吸気温度Tm4になるように加熱装置35を制御する。しかし、加熱装置35が混合気を加熱するには時間がかかるため、(瞬間的ではあるが)トルクT4と吸気温度Tm3とが対応する状態になる。この場合、トルクT4と吸気温度Tm3とが対応する点Xは、目標吸気温度マップMAから上方(ノッキング側)に大きく離れてしまう。
応用制御2は、このような不都合を解消するため、与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域Zから外れる場合には、目標トルクを実際の吸気温度に対応するように補正して運転領域Z内に入るようにすることによって、目標トルクの大きな変動を抑制し、安定した運転を行えるようにしている。
この応用制御2について具体的に説明する。
エンジンコントローラ45のメモリには、図6に示すように、上記目標吸気温度マップMAと同様に、許容最大目標トルクマップMBと、許容最小目標トルクマップMCとが記憶されている。許容最大目標トルクマップMBは、エンジンコントローラ45に与えられた目標トルクを、現実の吸気温度を考慮して、許容可能な最大の目標トルクに制限するものである。同様に、許容最小目標トルクマップMCは、現実の吸気温度を考慮して、許容可能な最小の目標トルクに制限するものである。
図6に示すように、トルクT3及び吸気温度Tm3の運転状態で目標トルクT4が与えられた場合について、応用制御2を適用すると以下のようになる。まず、目標トルクT4を与えると、目標吸気温度マップMAを参酌して目標吸気温度Tm4が選定される。そして、加熱装置35(図1)は、混合気を目標吸気温度Tm4にするように制御される。一方、吸気温度センサ48(図1)によって検出される実際の吸気温度は、即座にTm4にはならず、特に、目標トルクT4が与えられた直後は略Tm3である。そのため、目標トルクT4は、吸気温度がTm3のときに許容可能な最大の目標トルク、すなわち、許容最大目標トルクマップMB上で吸気温度Tm3とB点で交わる目標トルクT5に補正される。そして、コントローラ45は、目標トルクT5に応じた制御を燃料制御弁32に与える。
目標吸気温度はTm4であるので、実際の吸気温度は、Tm3からTm6、Tm7へと次第に下がっていく。一方、吸気温度の低下に伴って、目標トルクは許容最大目標トルクマップMBに沿って徐々にT6、T4と上昇する(点C、点D)。目標トルクがT4になると、所期の目標トルクが達成されることになるので、これ以上補正されることなく一定となり、後は、吸気温度がTm4まで低下することによって、トルクT4と吸気温度Tm4とが目標吸気温度マップMA上の点Eで対応する。したがって、安定した運転を維持したまま目標トルクが達成される。
次に、許容最小目標トルクマップMCを用いた目標トルクの補正を、図7を参照して説明する。
例えば、トルクT3’及び吸気温度Tm3’の状態でエンジン11を運転している場合に、目標トルクとしてT4’を与えた場合、目標吸気温度マップMAを参酌して、目標吸気温度Tm4’が選定される。一方、目標トルクT4’を与えた直後、吸気温度は略T3’であり、トルクT4’と吸気温度T3’で運転を行うと、点X’での運転となって、目標吸気温度マップMAよりも下方(失火側)に大きく離れる。したがって、目標トルクは、即座にT4’になるのではなく、許容最小目標トルクマップMCを参酌して、実際の吸気温度Tm3’に対応するT5’に設定される。
吸気温度は、Tm3’からTm6’,Tm’7へと次第に上昇し、それに応じて、目標トルクは、許容最小目標トルクマップMCに沿って徐々にT6’,T4’と下降する。したがって、目標トルクと吸気温度とが対応する点は、点A’から点B’、点C’、点D’と推移する。目標トルクはT4’になると一定となり、吸気温度がTm4’にまで低下することによって、トルクT4’と吸気温度Tm4’とが目標吸気温度マップMA上の点E’で対応する。
以上のような目標トルクの補正(制御)は、図5の制御ロジック図において、リミッタ82として表されている。すなわち、リミッタ82には、目標トルクと吸気温度(実際には、燃焼パラメータ及び燃焼パラメータ目標値のPID演算結果を加味した吸気温度)が入力され、目標トルクが補正される。
リミッタ82をより詳細に示す図8から明らかなように、与えられた目標トルクは、吸気温度から許容最大目標トルクマップMBを参酌して得られる目標トルク(許容最大目標トルク)と比較され、与えられた目標トルクが許容最大目標トルクよりも大きい場合は、この許容最大目標トルクが補正目標トルクとして出力される。
目標トルクが、許容最大目標トルクよりも小さい場合には、吸気温度から許容最小目標トルクマップMCを参酌して得られる目標トルク(許容最小目標トルク)と比較される。与えられた目標トルクが許容最小目標トルクよりも小さい場合、この許容最小目標トルクが補正目標トルクとして出力される。
目標トルクが、許容最大目標トルクと許容最小目標トルクの間にあるとき、すなわち、例えば図6において、実際の吸気温度との関係で目標トルクが許容最大目標トルクマップMBと許容最小目標トルクマップMCとの間に配置されているときは、何ら補正されることなくそのまま出力される。
(応用制御2の例外)
エンジン11が安定して定常運転を行っている場合には、与えられた目標トルクに対して上記応用制御2を行うことによって、安定した運転を継続することができる。しかし、エンジン11を始動したあと吸気温度が上昇していない状態で目標トルクを与えた場合、応用制御2を行うと次のような不都合が生じることがある。
例えば、図9に示すように、エンジン11を始動した後、吸気温度がまだ低温のTmAの状態にあり、この運転状態で、初めて目標トルクTiniを与えると、目標吸気温度マップMAに従って目標吸気温度TmBが選定される。
そして、上記応用制御2を適用すると、目標トルクTiniは、実際の吸気温度TmAから許容最小目標トルクマップMCを参酌して選定された許容最小目標トルクTAに補正される。この許容最小目標トルクTAは、目標トルクTiniよりも大きく、始動後、最初に目標トルクが与えられるまでの実トルクと比べると急激に上昇することになる。このような急激なトルクの上昇は、エンジンに対して大きな負荷を与えると共に、運転を著しく不安定にする原因となる。
そこで、本実施形態では、エンジン始動後に最初に目標トルクTiniを与える場合において、この目標トルクTiniに対応する目標吸気温度TmBが、実際の吸気温度TmAよりも大きい場合は、許容最小目標トルクマップMCを無視することとしている。
この場合、目標トルクTiniと、実際の吸気温度TmAとが対応する点X”は、目標吸気温度マップMAから大きく離れるが、目標吸気温度がTmBに設定されることによって、混合気が加熱され昇温するので、次第に安定した運転に移行するようになっている。
〔その他の実施形態〕
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように適宜設計変更可能である。
(1)上記実施形態では、混合気を加熱する加熱装置35は、熱交換媒体としてエンジン冷却水を用いているが、エンジンの潤滑油や排気ガスを用いてもよい。さらに、加熱装置35は、電熱ヒータや火炎バーナーで構成することもできる。
(2)加熱装置35は、主吸気管27を2経路38,39に分岐して、一方の経路38に設けているが、分岐することなく1経路の主吸気管27に加熱装置35を設けることができる。また、主吸気管27に限らず、各分岐吸気管29に加熱装置を設けることができる。この場合、各気筒ごとに細かな吸気温度の制御を行うことができる。
(3)加熱装置35は、複数設けることができる。この場合、双方を主吸気管27又は分岐吸気管29に対して設けてもよいし、一方を主吸気管27、他方を分岐吸気管29に設けてもよい。また、複数の加熱装置35は、互いに異なる熱交換媒体又は熱源を用いてもよい。
(4)本発明の予混合圧縮自着火式エンジンは、少なくとも定常運転の際に、予混合圧縮自着火運転を行うものであればよく、点火装置37の有無や、点火装置37を用いるかどうかによって何ら制限されるものではない。
(5)上記実施形態では、燃焼パラメータとして、検出した気筒内圧力から着火時期を算出しているが、他の燃焼状態、例えば、燃焼質量割合、ノッキング強度、失火率等を採用することができる。
(6)上記実施形態では4気筒の予混合圧縮自着火式エンジンを例示したが、気筒数は何ら限定されるものではない。
(7)本発明の予混合圧縮自着火式エンジンは、上記基本制御を中心にして、応用制御1及び応用制御2の双方を行うものであってもよいし、一方のみを行うものであってもよい。
本発明の実施形態に係るエンジンの概略断面図である。 同概略平面図である。 正味平均有効圧力と吸気温度との関係で運転可能な領域を示すグラフである。 目標吸気温度マップを示すグラフである。 実施形態に係るエンジンの制御ロジック図である。 許容最大目標トルクマップを用いた応用制御2を説明するグラフである。 許容最小目標トルクマップを用いた応用制御2を説明するグラフである。 目標トルクのリミッタを示す制御ロジック図である。 応用制御2の例外を説明するグラフである。
符号の説明
11 予混合圧縮自着火式エンジン
35 加熱装置(調温装置)
45 コントローラ
MA 目標吸気温度マップ
MB 許容最大目標トルクマップ
MC 許容最小目標トルクマップ

Claims (12)

  1. 少なくとも定常運転で、燃料と空気とを予め混合した混合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼する、予混合圧縮自着火式エンジンであって、
    エンジンの目標トルクに対応する前記混合気の目標吸気温度を記録した目標吸気温度マップと、前記混合気の温度を調整する調温装置と、を備え、
    与えられた目標トルクから、前記目標吸気温度マップを参酌して目標吸気温度を選定するとともに、前記調温装置によって、前記混合気を前記目標吸気温度に調整するようにしてあることを特徴とする、予混合圧縮自着火式エンジン。
  2. 前記調温装置が、前記混合気を加熱する加熱装置であることを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジン。
  3. 前記燃焼室内の燃焼状態を検出するとともに、該検出値から燃焼状態を示す燃焼パラメータを算出し、該燃焼パラメータを、所定の燃焼パラメータ目標値に一致させるように、前記目標吸気温度の補正を行うことを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジン。
  4. 前記燃焼パラメータを用いた前記目標吸気温度の補正を、所定トルク以上の運転状態でのみ行うことを特徴とする、請求項3記載の予混合圧縮自着火式エンジン。
  5. 与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域から外れる場合に、該運転可能領域内に入るように前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする、請求項1記載の予混合圧縮自着火式エンジン。
  6. 運転開始後、最初に目標トルクが与えられる際に、与えられた目標トルクに対応する目標吸気温度よりも実際の吸気温度が高い場合にのみ、前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする、請求項5記載の予混合圧縮自着火式エンジン。
  7. 少なくとも定常運転で、燃料と空気とを予め混合した混合気を燃焼室内で圧縮自着火させて燃焼する、予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法であって、
    エンジンの目標トルクに対応する前記混合気の目標吸気温度を記録した目標吸気温度マップを備えておき、
    与えられた目標トルクから、前記目標吸気温度マップを参酌して目標吸気温度を選定するとともに、前記混合気を調温装置によって前記目標吸気温度に調整することを特徴とする、予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
  8. 前記調温装置が、前記混合気を加熱する加熱装置であることを特徴とする、請求項7記載の予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
  9. 前記燃焼室内の燃焼状態を検出するとともに、該検出値から燃焼状態を示す燃焼パラメータを算出し、該燃焼パラメータを、所定の燃焼パラメータ目標値に一致させるように、前記目標吸気温度の補正を行うことを特徴とする、請求項7記載の予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
  10. 前記燃焼パラメータを用いた前記目標吸気温度の補正を、所定トルク以上の運転状態でのみ行うことを特徴とする、請求項9記載の予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
  11. 与えられた目標トルクが実際の吸気温度との関係で運転可能領域から外れる場合に、該運転可能領域内に入るように前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする、請求項7記載の予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
  12. 運転開始後、最初に目標トルクが与えられる際に、与えられた目標トルクに対応する目標吸気温度よりも実際の吸気温度が高い場合にのみ、前記目標トルクの補正を行うことを特徴とする、請求項11記載の予混合圧縮自着火式エンジンの制御方法。
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