JP6399035B2 - 生体情報検出装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、生体情報検出装置及び電子機器等に関する。
脈波は血液の容積の変化として現れるため、光電脈波センサーは、測定対象となる部位の血量の変化を捉えることによって脈波を測定することができる。しかし、測定される部分の血液の容積は、心臓の拍動(すなわち、脈波)のほか、人体の動き(以下、体動という)によっても変化する。そのため、光電脈波センサーにより脈波を測定する際には、心臓から測定される部位まで伝搬する過程で、体動によるノイズが波動に含まれる場合がある。つまり、血液は流体であり、血管には弾性があるため、体動によって生じた血液の流れが血液量の変化を生み、偽脈動として測定されてしまう場合がある。
このような体動によるノイズ成分を除去するための演算処理を行う脈波測定装置が開発されている。例えば、特許文献1は、異なる波長の光をそれぞれ照射して、それらの反射光を同時に測定し、測定値から脈動成分を抽出する手法が記載されている。この手法は、動脈血で支配的な酸化ヘモグロビンと静脈血で支配的な還元ヘモグロビンとで、異なる吸光特性があることを利用している。
特開昭55−120858号公報
しかし、反射光を検知して脈波を測定するセンサーにおいて用いられる波長の異なる照射光は、生体内部への光の浸透深度も異なる。そのため、特許文献1に開示された技術では、複数のセンサー間で生じる吸光度の差が、波長が異なる光の浸透深度の差による影響をも含むこととなり、体動によるノイズを低減することが困難である。
本発明の幾つかの態様によれば、適切な構造を有することで、複数の受光部の各受光部において、ある程度の相関を有しつつ、特性の異なる信号を検出する生体情報検出装置及び電子機器等を提供することができる。
また、本発明の幾つかの態様によれば、複数の受光部の各受光部で検出された特性の異なる信号に基づいて、体動ノイズを低減する生体情報検出装置及び電子機器等を提供することができる。
本発明の一態様は、被検体からの光を受光する第1の受光部と、前記被検体からの光を受光する第2の受光部と、前記第1の受光部及び前記第2の受光部よりも前記被検体側の位置に設けられ、前記被検体からの光を透過し、且つ前記被検体の生体情報の測定時に前記被検体に接触して押圧を与える透光部材と、を含み、生体情報検出装置から前記被検体への方向において、前記透光部材のうち前記第1の受光部に対応する位置又は領域での高さをh1とし、前記透光部材のうち前記第2の受光部に対応する位置又は領域での高さをh2とした場合に、h1>h2である生体情報検出装置に関係する。
本発明の一態様では、第1の受光部と第2の受光部で、それぞれに対応する位置又は領域での透光部材の高さが異なる。これにより、例えば押圧に差を設けることができるため、第1の受光部からの第1の検出信号と、第2の受光部からの第2の検出信号との特性を異ならせることが可能になり、これらの異なる特性の第1、第2の検出信号に基づいて生体情報を検出すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記高さh1は、前記第1の受光部の代表位置での前記透光部材の高さであり、前記高さh2は、前記第2の受光部の代表位置での前記透光部材の高さであってもよい。
これにより、各受光部の代表位置に基づいて、各受光部に対応する透光部材の高さを設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部を有し、前記被検体側から見た平面視において前記第1の受光部及び前記発光部を内包する領域を第1の領域とし、前記第2の受光部及び前記発光部を内包する領域を第2の領域とした場合に、前記高さh1は、前記第1の領域における前記透光部材の平均高さであり、前記高さh2は、前記第2の領域における前記透光部材の平均高さであってもよい。
これにより、第1,第2の領域における平均高さにより、各受光部に対応する透光部材の高さを設定することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記被検体の前記生体情報の測定時において、前記透光部材のうち前記第1の受光部に対応する位置又は領域での押圧をP1とし、前記透光部材のうち前記第2の受光部に対応する位置又は領域での押圧をP2とした場合に、P1>P2であってもよい。
これにより、押圧に差を設けることができるため、第1の受光部からの第1の検出信号と、第2の受光部からの第2の検出信号との特性を異ならせること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記第1の受光部で検出された第1の検出信号に基づいて、前記被検体の前記生体情報を演算する処理部を含んでもよい。
これにより、第1の検出信号に基づいて生体情報を演算することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部を有し、前記第1の受光部は、前記発光部と前記第2の受光部との間に配置されてもよい。
これにより、発光部と複数の受光部を適切に配置すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記発光部と前記第1の受光部との距離をL1とし、前記発光部と前記第2の受光部との距離をL2とした場合に、L2>2×L1であってもよい。
これにより、発光部と各受光部との距離を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部を有し、前記発光部と前記第1の受光部との距離をL1とし、前記発光部と前記第2の受光部との距離をL2とした場合に、L2>L1であってもよい。
これにより、発光部と各受光部との距離を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記発光部と前記第1の受光部との距離L1は、1mm≦L1≦3mmであり、前記発光部と前記第2の受光部との距離L2は、2mm≦L2であってもよい。
これにより、発光部と各受光部との距離を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部を有し、前記発光部は、前記第1の受光部と前記第2の受光部との間に配置されてもよい。
これにより、発光部と複数の受光部を適切に配置すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記透光部材の周囲に設けられ、前記被検体の前記生体情報の測定時に、前記被検体に接触する接触部を有し、前記接触部に対応する位置又は領域における高さをh3とした場合に、h1>h3>h2であってもよい。
これにより、各受光部に対応する透光部材の高さと、接触部の高さとの関係を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記透光部材は曲面状の凸部を有してもよい。
これにより、曲面状の凸部により、適切に押圧を与えること等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、上記の生体情報検出装置を含む電子機器に関係する。
図1(A)、図1(B)は本実施形態における第1,第2の受光部の配置例を表す断面図及び平面図。 図2(A)、図2(B)は第1,第2の受光部と発光部との距離の説明図。 図3(A)、図3(B)は本実施形態の生体情報検出装置の外観図。 本実施形態の生体情報検出装置の外観図。 生体情報検出装置の装着及び端末装置との通信についての説明図。 生体情報検出装置の機能ブロック図。 センサー部の外観を表す斜視図。 発光部と受光部との距離が光の浸透深度に与える影響を説明する図。 発光部と受光部の間の距離と検出信号の信号強度の関係を示す図。 発光部と受光部の距離と深さ方向での測定距離の関係についての説明図。 押圧に対する吸光度の変化を例示する図。 押圧に対する体動ノイズ感度の変化を例示する図。 図13(A)、図13(B)は押圧差を設けない場合と設けた場合での、ノイズ低減処理によるMN比(SN比)の改善度合いを説明する図。 カフ押圧と各受光部で検出されるDC成分、AC成分の関係図。 図15(A)、図15(B)は第1の受光部に対応する領域と、当該領域における透光部材の高さを説明する図。 図16(A)、図16(B)は第2の受光部に対応する領域と、当該領域における透光部材の高さを説明する図。 図17(A)、図17(B)は第1,第2の受光部を対向配置する例を表す断面図及び平面図。 図18(A)、図18(B)は対向配置における高さの説明図。 図19(A)、図19(B)は複数の発光部を設ける場合の配置例。 図20(A)、図20(B)は第2の検出信号を用いた体動ノイズ低減処理を説明する図。 適応フィルター処理を説明する図。 信号処理の流れを説明する図。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、光電センサーを用いて脈波情報等の生体情報を検出する場合、体動によるノイズが問題となる。そのため、精度よく生体情報を検出するには、何らかの手法により体動ノイズを低減する必要がある。
体動ノイズを低減する際には、光電センサーの検出信号のうち、脈信号に対応する成分をできるだけ維持し、体動ノイズに対応する成分を低減(狭義には除去)する。つまり、体動ノイズの低減処理では、体動ノイズに対応する信号成分がどのようなものであるかを知る必要がある。
これに対して、モーションセンサーを用いることで、体動ノイズを低減する手法が知られている。モーションセンサーは、ユーザー(生体情報検出装置の装着者)の動きを検出するセンサーであるため、当該モーションセンサーを用いることで、体動に対応する信号、即ち体動ノイズに対応する信号が取得可能である。ここでのモーションセンサーは、例えば加速度センサーやジャイロセンサー、気圧センサー等が考えられる。
本実施形態においても、上記モーションセンサーを用いて体動ノイズを低減する手法を併用することは妨げられないが、本出願人は他の体動ノイズ低減手法を提案する。具体的には、脈信号を検出する第1の受光部とは異なる第2の受光部を用いて、体動ノイズが多く含まれる信号を取得する。
上述したように、光電センサーでの検出信号には体動ノイズが含まれてしまうものである。この点を利用し、第2の受光部では敢えて、脈信号の感度を低く、体動ノイズの感度を高く設定することで、主として体動ノイズを含む検出信号を取得可能である。
第2の受光部において体動ノイズに対応する信号を検出できれば、第1の受光部での検出信号から、第2の受光部での検出信号に対応する成分を除去(低減)することで体動ノイズの低減が可能となる。この際、第2の受光部では脈信号の感度が低いため、第1の受光部の検出信号に含まれる脈成分まで過剰に低減してしまうことはない。
ただし、このような処理を可能にするためには、第1の受光部と第2の受光部とで、検出信号に含まれる体動ノイズの特性(例えば周波数特性)が一致する(或いは十分近くなる)必要がある。つまり、第1の受光部は主として脈信号を検出し、第2の受光部は主として体動ノイズを検出するように検出特性に差を持たせつつも、2つの受光部の検出信号の相関は高く保たなくてはならない。
特許文献1の手法では、複数の受光部では、それぞれ検出する光の周波数帯が大きく異なる。そのため、各受光部での検出信号の特性を異ならせることは可能であっても、ある程度の相関関係を持たせることは困難である。なぜなら、光の波長が異なれば生体内への浸透深度も異なり、検出対象となる血管或いは骨等の構造がそもそも異なってしまうためである。
そのため、本実施形態においては、用いる光の波長帯は複数の受光部で同じものとする。なお、同じ波長帯の光とは、強度が最大となる波長が完全同一であることを意味するのではなく、強度が最大となる波長が所定の範囲(例えば、同一色の範囲)に収まっていることをいう。発光部150が出力する光は、例えば、470nm以上610nm以下の範囲に含まれる波長帯の光である。より具体的には、発光部150が出力する光は、520nm以上570nm以下の範囲に含まれる波長帯の光である。この波長帯の光は、他の波長に比べて血管中のヘモグロビンに反射されやすい。
以下本明細書では、上述したように、各受光部での検出信号にある程度の相関関係を持たせつつ、且つ特性が異なるという要件を満たすような、生体情報検出装置の具体的な構成について説明する。図8〜図12を用いて後述するように、脈信号に対する感度や体動ノイズに対する感度は、被検体に対して付加される押圧、或いは発光部と受光部間の距離に応じて変化することがわかっている。そして、被検体に対して付加される押圧は、受光部に対応する位置又は領域において被検体に接触する部材(狭義には後述する透光部材)の高さにより調整が可能である。
つまり以下では、受光部に対応する位置又は領域における透光部材の高さ、及び、発光部と受光部間の距離の設定手法や、当該手法により適切に設定された高さ及び距離を有する生体情報検出装置の具体的な構成について説明することになる。
一例を説明すると、本実施形態に係る生体情報検出装置は、被検体からの光を受光する第1の受光部140と、被検体からの光を受光する第2の受光部141と、第1の受光部140及び第2の受光部141よりも被検体側の位置に設けられ、被検体からの光を透過し、且つ被検体の生体情報の測定時に被検体に接触して押圧を与える透光部材50を含む。そして図1(A)、図1(B)に示すように、生体情報検出装置から被検体への方向(DR1)において、透光部材50のうち第1の受光部に対応する位置又は領域での高さをh1とし、透光部材50のうち第2の受光部に対応する位置又は領域での高さをh2とした場合に、h1>h2である。
なお、図1(A)、図1(B)では簡単のために本実施形態に係る生体情報検出装置の構成(特に透光部材50の高さや形状)を模式的に図示しており、図中の寸法や比率は実際のものとは異なる。また、この点は図2(A)以降の図においても同様である。
この際、生体情報検出装置は図6を用いて後述するように、第1の受光部140で検出された第1の検出信号に基づいて、被検体の生体情報を演算する処理部200を含んでもよい。このようにすれば、第1の受光部140からの第1の検出信号を用いて、脈拍等の生体情報の演算を行うことが可能になる。
また、本実施形態に係る生体情報検出装置は、被検体からの光を受光する第1の受光部140と、被検体からの光を受光する第2の受光部141と、処理部200と、被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部150含む。そして、発光部150と第1の受光部140との距離をL1とし、発光部150と第2の受光部141との距離をL2とした場合に、図2(A)、図2(B)に示したようにL1<L2である。処理部200は、第2の受光部141で検出された第2の検出信号に基づいて、第1の受光部140で検出された第1の検出信号の体動ノイズを低減する体動ノイズ低減処理を行い、体動ノイズ低減処理後の第1の検出信号に基づいて、生体情報を演算する。
このようにすれば、各受光部に対応する位置又は領域での高さと、各受光部と発光部間の距離の少なくとも一方に差を設けることで、上述したように第1の受光部140において主として脈信号を検出し、第2の受光部141において主として体動ノイズを検出することが可能になる。そのため、第1の受光部140の第1の検出信号に対して、第2の受光部141の第2の検出信号を用いた体動ノイズ低減処理を行うことや、体動ノイズ低減処理後の第1の検出信号から精度のよい生体情報を求めること等が可能になる。
2.生体情報検出装置等の構成例
2.1 生体情報検出装置の全体構成例
図3(A)、図3(B)、図4に本実施形態の生体情報検出装置(生体情報測定装置)の外観図を示す。図3(A)は生体情報検出装置を正面方向側から見た図であり、図3(B)は上方向側から見た図であり、図4は側面方向側から見た図である。
図3(A)〜図4に示すように本実施形態の生体情報検出装置はバンド部10とケース部30とセンサー部40を有する。ケース部30はバンド部10に取り付けられる。センサー部40は、ケース部30に設けられる。また生体情報検出装置は後述する図6に示すように処理部200を有する。処理部200は、ケース部30に設けられ、センサー部40からの検出信号に基づいて生体情報を検出する。なお、本実施形態の生体情報検出装置は図3(A)〜図4の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
バンド部10はユーザーの手首に巻き付けて生体情報検出装置を装着するためのものである。バンド部10はバンド穴12、バックル部14を有する。バックル部14はバンド挿入部15と突起部16を有する。ユーザーは、バンド部10の一端側を、バックル部14のバンド挿入部15に挿入し、バンド部10のバンド穴12にバックル部14の突起部16を挿入することで、生体情報検出装置を手首に装着する。この場合、どのバンド穴12に突起部16を挿入するかに応じて、後述するセンサー部40の押圧(手首表面に対する押圧)の大きさが調整される。
ケース部30は、生体情報検出装置の本体部に相当するものである。ケース部30の内部には、センサー部40、処理部200等の生体情報検出装置の種々の構成部品が設けられる。即ち、ケース部30は、これらの構成部品を収納する筐体である。このケース部30は例えばトップケース34とボトムケース36を有する。なおケース部30は、トップケース34とボトムケース36に分離される態様のものでなくてもよい。
ケース部30には発光窓部32が設けられている。発光窓部32は透光部材により形成されている。そしてケース部30には、フレキシブル基板に実装された発光部(LED、光検出ユニットの発光部150とは異なる報知用の発光部)が設けられており、この発光部からの光が、発光窓部32を介してケース部30の外部に出射される。
図4に示すようにケース部30には端子部35が設けられている。生体情報検出装置を図示しないクレードルに装着すると、クレードルの端子部とケース部30の端子部35とが電気的に接続される。これによりケース部30に設けられる二次電池(バッテリー)の充電が可能になる。
センサー部40は被検体の脈波等の生体情報を検出するものである。例えばセンサー部40は、図1(A)等に示すように第1の受光部140と、第2の受光部141と、発光部150を有する。またセンサー部40は、透光部材50により形成され、被検体の皮膚表面に接触して押圧を与える凸部52を有する。このように凸部52が皮膚表面に押圧を与えた状態で、発光部150が光を出射し、その光が被検体(血管)により反射された光を第1の受光部140と、第2の受光部141がそれぞれ受光し、その受光結果が第1の検出信号、第2の検出信号として処理部200に出力される。そして処理部200は、センサー部40からの第2の検出信号に基づいて第1の検出信号のノイズ低減処理を行い、ノイズ低減処理後の第1の検出信号に基づいて脈波等の生体情報を検出する。なお本実施形態の生体情報検出装置の検出対象となる生体情報は、脈波(脈拍数)には限定されず、生体情報検出装置は、脈波以外の生体情報(例えば血液中の酸素飽和度、体温、心拍等)を検出する装置であってもよい。
ここで、本実施形態に係る生体情報検出装置の透光部材50は、曲面状の凸部52を有してもよい。つまり、本実施形態における凸部52は、適切な押圧を付加できるよう、周辺領域に比べて相対的に突出する形状であればよいが、狭義には図1(A)に示したように曲面形状により実現することが可能である。
図5は生体情報検出装置400の装着及び端末装置420との通信についての説明図である。図5に示すように被検体であるユーザーは手首410に生体情報検出装置400を時計のように装着する。図4に示すように、ケース部30の被検体側の面にはセンサー部40が設けられている。従って、生体情報検出装置400が装着されると、センサー部40の凸部52が手首410の皮膚表面に接触して押圧を与え、その状態でセンサー部40の発光部150が光を発光し、第1の受光部140、第2の受光部141が反射光を受光することで、脈波等の生体情報が検出される。
生体情報検出装置400と端末装置420は通信接続されて、データのやり取りが可能になっている。端末装置420は、例えばスマートフォン、携帯電話機、フューチャーフォン等の携帯型通信端末である。或いは端末装置420は、タブレット型コンピュータ等の情報処理端末であってもよい。生体情報検出装置400と端末装置420の通信接続としては、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の近接無線通信を採用できる。このように生体情報検出装置400と端末装置420が通信接続されることで、端末装置420の表示部430(LCD等)に、脈拍数や消費カロリーなどの各種の情報を表示できる。即ち、センサー部40の検出信号に基づき求められた各種の情報を表示できる。なお脈拍数や消費カロリーなどの情報の演算処理は、生体情報検出装置400において実行してもよいし、その少なくとも一部を端末装置420において実行してもよい。
生体情報検出装置400には、発光窓部32が設けられており、報知用の発光部の発光(点灯、点滅)により、各種の情報をユーザーに報知する。例えば脂肪燃焼ゾーンに入った場合や脂肪燃焼ゾーンから出た場合に、これを発光窓部32を介した発光部の発光により報知する。また端末装置420においてメール等が受信されると、それが端末装置420から生体情報検出装置400に通知される。そして生体情報検出装置400の発光部が発光することで、メール等の受信がユーザーに通知される。
このように図5では、生体情報検出装置400にはLCD等の表示部が設けられておらず、文字や数字等で報知する必要がある情報は、端末装置420の表示部430に表示される。このように図5では、LCD等の表示部を設けずに、必要最小限の情報を発光部の発光によりユーザーに報知することで、生体情報検出装置400の小型化を実現している。また生体情報検出装置400に表示部を設けないことで、生体情報検出装置400の美観についても向上できる。
2.2 機能ブロック図
図6に本実施形態の生体情報検出装置の機能ブロック図を示す。図6では生体情報検出装置は、センサー部40、モーションセンサー部170、振動発生部180、処理部200、記憶部240、通信部250、アンテナ252、報知部260を含む。なお本実施形態の生体情報検出装置は図6の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
センサー部40は、脈波等の生体情報を検出するものであり、第1の受光部140、第2の受光部141、発光部150を含む。ただし、センサー部40が3つ以上の受光部を有してもよい。また、ここでは図1(A)〜図2(B)等を用いて後に詳述するように発光部150が複数の受光部で共有される例を示したが、発光部側についても、1つに限定されず2つ以上の発光部を有してもよい。
これらの第1の受光部140、第2の受光部141、発光部150等により脈波センサー(光電センサー)が実現される。図6の場合であれば、第1の受光部140と発光部150により第1の脈波センサーが実現され、第2の受光部141と発光部150により第2の脈波センサーが実現される。センサー部40は、複数の脈波センサーにより検出された信号を、検出信号(脈波検出信号)として出力する。
モーションセンサー部170は、種々のモーションセンサーのセンサー情報に基づいて、体動に応じて変化する信号である体動検出信号を出力する。モーションセンサー部170は、モーションセンサーとして例えば加速度センサー172を含む。なお、モーションセンサー部170は、モーションセンサーとして圧力センサーやジャイロセンサーなどを有していてもよい。
処理部200は、例えば記憶部240をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えばCPU等のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。処理部200は、信号処理部210、拍動情報演算部220、報知制御部230を含む。
信号処理部210は各種の信号処理(フィルター処理等)を行うものであり、例えば、センサー部40からの脈波検出信号やモーションセンサー部170からの体動検出信号などに対して信号処理を行う。
例えば信号処理部210は体動ノイズ低減部212と、第2の体動ノイズ低減部214を含む。体動ノイズ低減部212は、脈波検出信号のうち、第2の検出信号に基づいて第1の検出信号から体動に起因したノイズである体動ノイズを低減(除去)する体動ノイズ低減処理を行う。また第2の体動ノイズ低減部214は、モーションセンサー部170からの体動検出信号に基づいて、第1の検出信号から、体動ノイズを低減する第2の体動ノイズ低減処理を行う。具体的には、体動ノイズ低減部212での体動ノイズ低減処理は、スペクトラム減算法を用い、第2の体動ノイズ低減部214での第2の体動ノイズ低減処理は適応フィルターなどを用いればよい。体動ノイズ低減部212、第2の体動ノイズ低減部214での処理の詳細は後述する。なお、図6では体動ノイズ低減部212での体動ノイズ低減処理後に、第2の体動ノイズ低減部214での第2の体動ノイズ低減処理が行われる構成を示したが、処理の順序を逆転させる等、種々の変形実施が可能である。
拍動情報演算部220は、信号処理部210からの信号等に基づいて、拍動情報の演算処理を行う。拍動情報は例えば脈拍数などの情報である。具体的には、拍動情報演算部220は、体動ノイズ低減部212、第2の体動ノイズ低減部214でのノイズ低減処理後の脈波検出信号に対してFFT等の周波数解析処理を行って、スペクトルを求め、求めたスペクトルにおいて代表的な周波数を心拍の周波数とする処理を行う。求めた周波数を60倍にした値が、一般的に用いられる脈拍数(心拍数)となる。なお、拍動情報は脈拍数そのものには限定されず、例えば脈拍数を表す他の種々の情報(例えば心拍の周波数や周期等)であってもよい。また、拍動の状態を表す情報であってもよく、例えば血液量そのものを表す値を拍動情報としてもよい。
報知制御部230は報知部260を制御する。報知部260(報知デバイス)は、報知制御部230の制御により、ユーザーに各種の情報を報知する。報知部260としては例えば報知用の発光部を用いることができる。この場合には報知制御部230はLEDに流れる電流を制御することで、発光部の点灯、点滅等を制御する。なお報知部260は、LCD等の表示部やブザー等であってもよい。
また報知制御部230は振動発生部180の制御を行う。振動発生部180は、振動により各種の情報をユーザーに報知するものである。振動発生部180は例えば振動モーター(バイブレーター)により実現できる。振動モーターは、例えば、偏芯した錘を回転させることで振動を発生する。具体的には駆動軸(ローター軸)の両端に偏心した錘を取り付けてモーター自体が揺れるようにする。振動発生部180の振動は報知制御部230により制御される。なお振動発生部180はこのような振動モーターには限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばピエゾ素子などにより振動発生部180を実現してもよい。
振動発生部180が発生させる振動により、例えば電源オン時のスタートアップの報知、初回の脈波検出の成功の報知、脈波が検出できない状態が一定時間続いた時の警告、脂肪燃焼ゾーンの移動時の報知、電池電圧低下時の警告、起床アラームの通知、或いはスマートフォン等の端末装置からのメールや電話等の通知などが可能になる。なお、これらの情報は、報知用の発光部により報知してもよいし、振動発生部180、発光部の両者で報知してもよい。
通信部250は、図5で説明したように外部の端末装置420との通信処理を行う。例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの規格にしたがった無線通信の処理を行う。具体的には通信部250は、アンテナ252からの信号の受信処理や、アンテナ252への信号の送信処理を行う。この通信部250の機能は通信用のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。
2.3 センサー部の構成例
2.3.1 センサー部の全体構成例
図1(A)、図1(B)、及び図7にセンサー部40の詳細な構成例を示す。図7がセンサー部40の斜視図であり、図1(A)がセンサー部40の断面図、図1(B)が基板160上での発光部150、第1の受光部140、第2の受光部141の配置を表す平面図である。図1(B)は図1(A)において装着状態での被検体から生体情報検出装置への方向(DR2の方向)で観察した場合の平面視に対応する。
センサー部40は、第1の受光部140と、第2の受光部141と、発光部150を有する。これらの第1の受光部140、第2の受光部141、発光部150は、基板160(センサー基板)に実装されている。第1の受光部140、第2の受光部141は、被検体からの光(反射光、透過光等)を受光する。発光部150は、被検体に対して光を出射する。例えば発光部150が光を被検体に出射し、その光が被検体(血管)により反射されると、第1の受光部140と、第2の受光部141が、その反射光を受光して検出する。
第1の受光部140と、第2の受光部141は、例えばフォトダイオード等の受光素子により実現できる。発光部150は、例えばLED等の発光素子により実現できる。例えば第1の受光部140と第2の受光部141は、半導体の基板に形成されたPN接合のダイオード素子などにより実現できる。この場合に、受光角度を絞るための角度制限フィルターや受光素子に入射する光の波長を制限する波長制限フィルターを、このダイオード素子上に形成してもよい。
脈拍計を例にとると、発光部150からの光は、被検体の内部を進み、表皮、真皮及び皮下組織等で拡散又は散乱する。その後、この光は、血管(被検出部位)に到達し、反射される。この際に、光の一部は血管により吸収される。そして、脈拍の影響により血管での光の吸収率が変化し、反射光の光量も変化するため、第1の受光部140がこの反射光を受光して、その光量の変化を検出することで、生体情報である脈拍数等を検出できるようになる。
第1の受光部140、第2の受光部141と発光部150との間には遮光用部材70(遮光壁100)が設けられている。図1(A)に示した配置であれば、遮光壁100は、第1の受光部140と発光部150の間に設けられる。この遮光用部材70は、例えば発光部150からの光が第1の受光部140と第2の受光部141に直接入射されるのを遮光する。
またセンサー部40には不図示の絞り部が設けられてもよい。絞り部は、被検体とセンサー部40の間の光路において、被検体からの光を絞ったり、発光部150からの光を絞る。絞り部は、例えば透光部材50とセンサー部40の間に設けられる。但し、絞り部を透光部材50と被検体との間や透光部材内に設けてもよい。また遮光用部材70と絞り部を、例えば金属を板金加工することで一体形成してもよい。
透光部材50は、生体情報検出装置の被検体に接触する側の面に設けられ、被検体からの光を透過する。また透光部材50は、被検体の生体情報の測定時に、被検体に接触する。例えば透光部材50の凸部52(検出窓)が被検体に接触する。なお凸部52の表面形状は、曲面形状(球面形状)であることが望ましいが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用できる。また、透光部材50は被検体からの光の波長に対して透明であればよく、透明な材料を用いてもよいし、有色の材料を用いてもよい。
2.3.2 発光部と受光部の間の距離
次に、発光部150と第1の受光部140の間の距離L1と、発光部150と第2の受光部141との間の距離L2について説明する。図8は、発光部と受光部との距離が光の浸透深度に与える影響を説明するための図である。利用者の手首の皮膚面Sfには、発光部150および第1の受光部140、並びに発光部150および第2の受光部141が接触している。ここでは上述したように発光部150を2つの受光部で共有している。また、実際には上述したように透光部材50が皮膚面Sfと接触するが、図8では説明を簡略化するために、透光部材50を省略している。
発光部と受光部との距離が短いほど、生体内の深い部分に対する感度が浅い部分に対する感度に比べて相対的に低下することが分かっている。すなわち、発光部150から照射された光が、生体組織内の深度D1の位置で反射して第1の受光部140に届く光の強度は、深度D1よりも深い深度D2の位置で反射して第1の受光部140に届く光の強度に比べて強い。一方、発光部150から照射された光が、深度D1の位置で反射して第2の受光部141に届く光の強度は、深度D2の位置で反射して第2の受光部141に届く光の強度に比べて強いが、第1の受光部140において生じるほどの違いはない。そのため、第1の受光部140は、第2の受光部141よりも相対的に浅い位置にある血管における脈波の測定に適している。
図9は、発光部150と受光部の間の距離LDと信号強度の関係を示す図である。発光部150と受光部の間の距離LDは、例えば発光部150、受光部の中心位置(代表位置)の間の距離である。例えば受光部が矩形形状(略矩形形状)である場合には、受光部の位置は、この矩形形状の中心位置である。また発光部150が図1(A)等に示すようにレンズ部151を有する場合には、発光部150の位置は、例えばレンズ部151の中心位置(LEDチップの位置)である。
図9から明らかなように発光部150と受光部の距離LDが近いほど、検出信号の信号強度が高くなり、感度等の検出性能が向上する。従って、主として脈信号を検出する第1の受光部140については、発光部150との距離LDは近ければ近いほど望ましい。
この場合に図9に示すように、第1の受光部140と発光部150の間の距離はLD<3mmであることが望ましい。例えば図9の特性曲線G1における、距離が大きい側の接線G2から明らかなように、LD≧3mmとなる範囲では、特性曲線G1が飽和している。これに対して、LD<3mmの範囲では、距離LDが短くなるにつれて、信号強度が大きく増加している。従って、この意味においてLD<3mmであることが望ましい。
そして図2(A)、図2(B)に示す本実施形態のセンサー部40では、例えば発光部150と第1の受光部140との距離L1はL1=1.0〜3.0mm程度となっている。
また距離LDについては下限値も存在し、距離LDを近づけすぎることも望ましくない。図10は、発光部150から発光された光が、生体内で反射、散乱し、その一部が受光部により受光される様子を表す模式図である。この場合には、発光部150からの光は、被検体の血管等で拡散又は散乱し、その光が受光部に入射されて、脈波が検出される。そして図10において、発光部150と受光部の間の距離LDと、深さ方向での測定距離LBとの間には、LD=2×LBの関係が一般的に成り立つ。例えば距離LDだけ離れた発光部150と受光部からなる光検出ユニットによる測定限界距離は、LB=LD/2程度となる。そして距離LBが例えば100μm〜150μmとなる範囲には、脈波の検出対象物となる血管は存在しない。従って、距離LDが、LD≦2×LB=2×100μm〜2×150μm)=0.2mm〜0.3mmになると、脈波の検出信号が極めて小さくなることが予想される。即ち、距離LDが近くなると、それに伴い深さ方向での測定距離LBも小さくなり、その距離LBの範囲に検出対象物が存在しないと、検出信号が極めて小さくなってしまう。つまり、距離LDは近いほどが検出性能は向上するが、それにも限界があり、下限値が存在する。本実施形態では、第1の受光部140においては脈信号を十分な強度で検出する必要があることから、L1≧1.0mm程度に設定している。即ち、1.0mm≦L1≦3.0mmであることが望ましい。
これに対して、発光部150と第2の受光部141との間の距離L2は、第1の受光部140に比べて脈信号に対する感度が低く、体動ノイズに対する感度が高くなるように設定すればよい。例えば、L2<1.0mm、或いは3.0mm<L2とすれば、1.0mm≦L1≦3.0mmとなる第1の受光部140に比べて脈信号の度合いが下がり、体動ノイズの度合いが上がる(MN比が下がる)ことになる。
ただし、第2の受光部141では、検出信号のMN比(Mが脈信号、Nがノイズを表し、MN比は脈信号とノイズとの比率(一般的なSN比)である)が、第1の受光部140の検出信号のMN比に比べて十分小さくなればよい。つまり、L2<1.0mm、或いは3.0mm<L2という絶対値としての距離を設定するという点よりは、第1,第2の検出信号の間である程度(例えば後述するスペクトラム減算法によるノイズ低減処理が可能な程度)の差ができるように、L1に対するL2の値を変化させる点を重視してもよい。
つまり、第2の受光部141からの第2の検出信号では、MN比が第1の検出信号に比べて小さければ十分である以上、脈成分がある程度含まれることは妨げられず、言い換えればL2は、1.0mm≦L2≦3.0mmの範囲内であってもよい。
ここで、第1,第2の検出信号に差を生じさせるためのL1,L2の関係としては、例えばL2>2×L1等であってもよい。この場合、L1=1.0mmであれば、L2>2.0mmであるため、L2=2.5mm等であってもよく、脈信号をある程度の強度で検出することになるが、より短いL1が設定される第1の検出信号に比べて、第2の検出信号のMN比が小さいという条件を満足できる。
なお、第2の受光部141で体動ノイズを相対的に増加させるのであれば、上述したようにL2を非常に小さい値としてもよい。つまり、L2<L1であり、例えばL2<L1/2との関係により、各受光部と発光部150との距離を決定してもよい。ただし、発光部150から各受光部への直接光を遮蔽するために遮光壁100等を設ける必要があることを考慮すれば、L1やL2を極端に小さい値とすることが困難な場合もあり得る。例えばL1=1.0mmの場合、L2<0.5mm等を満たす必要があり、各部品の配置がスペース上困難となり得る。この点も考慮し、以下ではL2>L1の例を中心に説明するが、状況に応じてはL2<L1とすることは妨げられない。
上記の距離の関係を満たす配置の手法は種々考えられる。例えば、生体情報検出装置は被検体に対して光を射出する少なくとも1つの発光部(発光部150)を有し、第1の受光部140は、発光部150と第2の受光部141との間に配置されてもよい。
上述した図2(A)、図2(B)では、このような配置がされた例を示している。この場合、L1及びL2は図2(A)等に図示した距離となる。ここでは、L2>2×L1の関係にあるため、L1を例えば1.0mm〜3.0mmとしておけば上記関係を満たす。
上述したように、本実施形態に係る生体情報検出装置では、L1とL2の関係は種々の変形実施が可能である。ただし狭義には、発光部150と第1の受光部140との距離をL1とし、発光部150と第2の受光部141との距離をL2とした場合に、L2>L1であり、さらに具体的には、L2>2×L1である。
また、具体的な数値を用いる場合、L1は、1mm≦L1≦3mmであり、L2は、2mm≦L2であってもよい。ただし上述したように、L1との相対関係を重視するのであれば、L2の条件は2mm≦L2のみではなく、当該相対関係も満たす必要がある。一例としては、L2>L1且つL2≧2mmとなる。或いは、より条件を厳しくして、L2>2×L1且つL2≧2mmとしてもよい。
2.3.3 透光部材の高さ
また、被検体に対する押圧によっても、脈信号や体動ノイズに対する感度が変化することが知られている。
図11は、押圧に対する吸光度の変化を例示する図である。横軸は押圧を、縦軸は吸光度を示している。押圧が変化すると、影響を受ける血管が変化する。最も影響を受けやすい、すなわち最も低い押圧で影響を受ける血管は毛細血管である。図11の例では、押圧がp1を超えたところで吸光度の変化量が大きくなっているが、これは押圧で毛細血管がつぶれ始めたことを意味する。押圧がp2を超えると吸光度の変化がなだらかになっているが、これは毛細血管がほぼ完全につぶれている(閉じている)ことを意味する。毛細血管の次に影響を受けるのは動脈である。さらに押圧が増してp3を超えると吸光度の変化量が再び大きくなっているが、これは押圧で動脈がつぶれ始めたことを意味する。押圧がp4を超えると吸光度の変化がなだらかになっているが、これは動脈がほぼ完全につぶれている(閉じている)ことを意味する。
本実施形態では、第2の受光部141は毛細血管に対応する信号を検出することで体動ノイズの比率を高くし、第1の受光部140は動脈に対応する信号(脈信号)を測定することで脈信号の比率を高くする。そのため、第2の受光部141における押圧はp1からp2の範囲に、第1の受光部140における押圧はp3からp4の範囲に収まるように設計される。第1の受光部140と第2の受光部141との押圧の差は、例えば2.0kPa以上8.0kPa以下であることが望ましい。
図12は、押圧に対する体動ノイズ感度の変化を例示する図である。図12では、発光部から受光部までの距離Lが2mmの例および6mmの例を併せて示している。距離Lが2mmおよび6mmのいずれの例でも、傾向としては、押圧が低いほどノイズ感度が高く、押圧が高いほどノイズ感度が低い。これは、毛細血管を流れる血液は、体動によって動きやすいため、生体組織内において比較的浅い位置に存在する毛細血管で反射する光には体動によるノイズが乗りやすいためであると考えられる。
また、図13(A)は第1の受光部140と第2の受光部141で押圧の差を設けず、発光部150との距離L1とL2にのみ差を設けた場合の、体動ノイズ低減処理前後の第1の検出信号のMN比の変化を表したものである。ここでは、体動ノイズの発生要因となるユーザーの動きとして、水頭圧を変化させるものと、手を開閉させる動作を行い、それぞれの動作に対応する体動ノイズの低減度合いを測定した。なお、水頭圧を変化させる動きとは、例えば測定位置の高さを変化させる動きであり、具体的には腕を上げたりおろしたりする動作で実現できる。手の開閉とは、指を全て曲げて拳を握りしめた状態と、指をしっかり伸ばして手を開いた状態とを交互に行う動作により実現できる。
図13(A)からわかるように、距離に差を設けるだけでも、体動ノイズの低減効果は確認できる。それに対して、図13(B)は発光部150との距離L1とL2に差を設け、さらに第1の受光部140と第2の受光部141で押圧にも差を設けた場合の、体動ノイズ低減処理前後の第1の検出信号のMN比の変化を表したものである。図13(A)と図13(B)の比較から明らかなように、押圧の差も設けることで、体動ノイズの低減効果が向上することがわかった。よってここでは、距離の差及び押圧の差の両方を設けるものとして説明を行う。
つまり、被検体の生体情報の測定時において、透光部材50のうち第1の受光部140に対応する位置又は領域での押圧をP1とし、透光部材50のうち第2の受光部141に対応する位置又は領域での押圧をP2とした場合に、P1>P2である。このようにすれば、上述したように第1の受光部140からの第1の検出信号と、第2の受光部141からの第2の検出信号とで、特性に差を持たせることが可能になる。
押圧の差は、具体的には被検体と接触する透光部材50の高さの差により実現すればよい。上述したように、主として脈信号を検出する第1の受光部140では押圧を高くし、第2の受光部141では第1の受光部140に比べて押圧を低くする。そのため、第1の受光部140に対応する位置又は領域における透光部材の高さh1を、第2の受光部141に対応する位置又は領域における透光部材の高さh2に比べて高くすればよい。
なぜなら、ここでは高さが高いほど、被検体側に突出することになるため、所与のカフ圧で生体情報検出装置を手首等に固定した際に、高さが高い第1の受光部140に対応する押圧を、高さが低い第2の受光部141に対応する押圧に比べて強くできるためである。これを図示したものが図14である。
図14の横軸がカフ押圧(図3(A)の生体情報検出装置であればバンド部10による圧力)を表し、縦軸が検出信号のDC,AC成分である。図14の上部に示したDC信号からわかるように、押圧が比較的高くなる第1の受光部140では、カフ押圧が比較的低い状態でもある程度の押圧が付加されDC成分が抑制されていく。それに対して、第2の受光部141での押圧は比較的低いため、所与のカフ圧の状態ではDC成分の抑制具合が第1の検出信号に比べて小さい。そのため、図14に示した「最適カフ押圧」の範囲では、第1の受光部140に対応する押圧はp3からp4の範囲に収まるため、ノイズが抑制されて脈信号の信号レベルが大きくなる。一方、第2の受光部141における押圧はp1からp2の範囲に収まるため、ノイズの抑制が不十分であり体動ノイズの比率が高くなる。
これは図14の下部に示したAC成分の比較からも明らかであり、最適カフ押圧の範囲では、第1の検出信号はAC成分の信号レベルが高く、第2の検出信号はAC成分の信号レベルが低い。上述したように脈信号は検出信号の変化、即ちAC成分に現れるものであるから、図14は第1の受光部140は脈信号が十分検出できているのに対して、第2の受光部141は相対的に体動ノイズの比率が高いことを示している。
以下、透光部材50の高さの差を図面を用いて詳細に説明する。センサー部40の斜視図、断面図、平面図は図7、図1(A)、図1(B)に示したとおりである。図7や図1(A)からわかるように、透光部材50は凸部52を有し、当該凸部52により被検体に対して適切な押圧を付加することになる。
そして本実施形態に係る生体情報検出装置では、受光部を複数設けることで複数の光電センサーを実現することから、凸部52も複数(例えば光電センサーの数に対応する数)設けられてもよい。図1(A)の例では、発光部150と第1の受光部140により実現される第1の光電センサーに対して、凸部52−1が設けられ、発光部150と第2の受光部141により実現される第2の光電センサーに対して、凸部52−2が設けられている。
この際、生体情報検出装置が装着された状態において、生体情報検出装置から被検体に向かう方向(図1(A)におけるDR1)を高さ方向とした場合に、第1の受光部140に対応する位置又は領域における透光部材の高さh1が、第2の受光部141に対応する位置又は領域における透光部材の高さh2に比べて高い。これは例えば、凸部52−1の高さが凸部52−2の高さに比べて高くすることでも実現可能である。なお、高さをどのように定義するかは種々の変形実施が可能であるが、例えば、図1(A)に示したように基板160のうち発光部150等が設けられる面からの距離を高さとしてもよい。或いは、透光部材50の厚み自体を高さとしてもよい。
或いは、生体情報検出装置の装着状態において、基板160に対して被検体とは逆側(図1(A)の下側)に設けられ、且つ基板160の面と平行な基準面を設定し、当該基準面からの距離を透光部材50の高さとしてもよい。この基準面は、何らかの部材(例えば処理部200が実装されるメイン基板)の面であってもよいし、仮想的な面であってもよい。
また、各受光部に対応する位置又は領域の定義も種々考えられる。例えば、高さh1は、第1の受光部140の代表位置での透光部材50の高さであり、高さh2は、第2の受光部141の代表位置での透光部材50の高さであってもよい。ここでの代表位置は、例えば各受光部の中心位置等を用いればよい。
この場合、第1の受光部140の中心位置は図1(B)のA1であり、第2の受光部141の中心位置はA2となる。そして、第1の受光部140の中心位置A1における透光部材50の高さとは、図1(A)に示したように、A1からDR1方向に伸ばした直線と透光部材50の表面(装着時に被検体と接触する面)との交点を定義し、当該交点における透光部材50の高さh1を用いればよい。同様に、第2の受光部141の中心位置A2における透光部材50の高さは図1(A)のh2となる。
或いは、被検体側から見た平面視において第1の受光部140及び発光部150を内包する領域を第1の領域とし、第2の受光部141及び発光部150を内包する領域を第2の領域とした場合に、高さh1は、第1の領域における透光部材50の平均高さであり、高さh2は、第2の領域における透光部材50の平均高さであってもよい。
ここで、被検体側から見た平面視とは、図1(A)において発光部150等よりも被検体側(DR1側)に設定された視点からDR2の方向を観察した状態となり、具体的には図1(B)の状態を表す。また、発光部と受光部を内包する領域も種々考えられるが、一例としては発光部と受光部を内包し、且つ面積が最小となる長方形の領域を考えればよい。この場合、第1の受光部140に対応する領域(第1の領域)は図15(B)のR1となる。
そして、第1の受光部140に対応する領域における透光部材の高さとは、R1に含まれる各点からDR1方向に伸ばした直線と、透光部材50の表面との交点を定義し、当該交点における透光部材50の高さを平均化して求めればよい。例えば、図15(A)に示した範囲での透光部材50の高さの平均値がh1となる。なお図15(A)では1つの断面のみを示したが、図15(A)における奥行き方向においても高さの平均化を行ってもよい。同様に、図16(B)のR2に示したように第2の受光部141に対応する領域(第2の領域)を設定し、図16(A)に示した範囲での平均高さをh2としてもよい。
また、h1とh2だけでなく、センサー部40と被検体との接触状態を安定させる接触部80を設けてもよい。ここでの接触部とは例えば図1(A)の80であり、一例としては図7に示したように発光部150と、第1の受光部140と、第2の受光部141との周囲に設けられる。図7の例では発光部150等を囲む円周形状の接触部80を示したが、これに限定されるものではなく、多角形等の形状でもよい。或いは、連続する形状により接触部80が実現される必要はなく、隙間を有する(例えば互いに接触しない複数の円弧により構成される)接触部80を用いてもよい。さらに、図19(B)を用いて後述するように、発光部が複数あり、且つ第1,第2の受光部は各発光部に対して対向して配置される場合、接触部80は、発光部150、第2の発光部157、第1の受光部140、第2の受光部141の全てを囲む形状であってもよいがこれに限定されない。例えば、接触部80が、発光部150と第1の受光部140の周囲に設けられる第1の接触部と、第2の発光部157と第2の受光部141の周囲に設けられる第2の接触部とから構成されてもよい。
このような接触部80を設けた場合、当該接触部80において(理想的には)均等に圧力が加えられる状態において、生体情報検出装置が被検体に対して固定されることが想定される。すなわち、接触部80により規定される平面が、生体情報検出装置の装着における基準を表す面となる。この場合、当該基準となる面よりも高い位置と低い位置での押圧の差を明確なものとすることが可能になる。
例えば、上記基準となる面の高さ、即ち接触部80の高さをh3とした場合に、hα>hβ>h3、或いはh3>hα>hβとした場合であっても、hαに対応する押圧をhβに対応する押圧より大きくすることは不可能ではない。しかし、hα>hβ>h3であれば、hαに対応する位置もhβに対応する位置も、接触部80に比べて圧力が掛けられやすく差が大きくならない。同様に、h3>hα>hβであれば、hαに対応する位置やhβに対応する位置よりも、接触部80に対して圧力が掛けられやすく、やはり押圧差が明確とならない。
それに対して、hα>h3>hβとした場合、hαに対応する位置は接触部80に比べて押圧が掛けられやすいのに対して、hβの位置は接触部80へ圧力が逃げてしまうため、押圧がかかりにくい。結果として、h3よりも高い位置と低い位置を設けることで、それらの間の押圧の差を大きくすることが可能になる。
これを本実施形態に適用する場合、第1の受光部140に対応する高さh1がhα、第2の受光部141に対応する高さh2がhβに対応することになる。すなわち、本実施形態に係る生体情報検出装置は、透光部材50の周囲に設けられ、被検体の生体情報の測定時に、被検体に接触する接触部80を有し、図1(A)に示したように、接触部80に対応する位置又は領域における高さをh3とした場合に、h1>h3>h2である。
このようにすることで、第1の検出信号と第2の検出信号の差異を明確にすることが可能になる。なお、h3を考慮する際には高さの基準をh1,h2と統一すべきであり、図1(A)では例えば第1の基板160の発光部150等が実装される面に対する距離をh1〜h3としている。
2.4 発光部と受光部の配置の変形例
次に、発光部と受光部の基板160上での配置の変形例について説明する。図1(A)、図1(B)では、発光部150を第1の受光部140と第2の受光部141で共有した上で、所与の方向にそって、発光部150、第1の受光部140、第2の受光部141の順で並んで実装された。また、上述したL1>L2の変形実施の場合は、所与の方向にそって、発光部150、第2の受光部141、第1の受光部140の順で並んで実装されることになる。
しかし発光部150と複数の受光部の配置はこれに限定されない。例えば、発光部150は、第1の受光部140と第2の受光部141との間に配置されてもよい。この場合、図17(A)、図17(B)に示すように、所与の方向にそって、第1の受光部140、発光部150、第2の受光部141の順で並んで実装されることになる。
この場合であっても、上述したように発光部と受光部の間の距離により検出信号の特性を異ならせるのであれば、図17(B)に示したL1とL2に差を設ければよく、狭義には図17に示したようにL1<L2(さらに狭義にはL2>2×L1)とすればよい。
また、図17(B)の配置の場合にも、第1の受光部140に対応する位置又は領域における透光部材50の高さh1を、第2の受光部141に対応する位置又は領域における透光部材50の高さh2よりも高くしてもよい。これは例えば、図17(A)に示したように凸部52−1と凸部52−1を実装すればよい。
図17(A)、図17(B)の配置(以下、発光部150を基準として複数の受光部が対向するため対向配置とも表記する)では、発光部150から第1の受光部140への光路と、発光部150から第2の受光部141への光路が重複しない。そのため、凸部52−1と凸部52−2も干渉しにくく、h1とh2の高さの差を設けることが容易であるという利点がある。
具体的には図18(B)に示したように、第1の受光部140に対応する領域R1と第2の受光部141に対応する領域R2との重複部分が、図15(B)、図16(B)に比べて小さくなる。そのため、高さの平均を求める際にも図18(A)に示したように、図15(A)、図16(A)に比べて重複部分が小さく、高さの差を設けやすい。
一方、それぞれの光路が重複しないために、第1の検出信号と第2の検出信号の相関度合いが低くなってしまうおそれもある。上述したように、ノイズ低減処理の効果を高めるためには、各検出信号は特性は異なりつつもある程度の相関を有することが好ましい。つまり、第1,第2の検出信号の相関を重視するのであれば、図1(A)等を用いて上述した配置を用いた方が有利になると考えられる。
また、図1(A)や図17(A)ではともに発光部150を共有するものとしていたが、発光部を複数設けてもよい。例えば、生体情報検出装置は、発光部150と第2の発光部157を含み、発光部150と第1の受光部140により第1の光電センサーを実現し、第2の発光部157と第2の受光部141により第2の光電センサーを実現してもよい。
この場合の各素子の基板160上での配置例を図19(A)、図19(B)に示す。図19(A)、図19(B)は発光部等を被検体側からの平面視で観察した例であり、説明を簡略化するために基板160等を省略している。図19(A)は図1(A)と同様に、発光部に対して複数の受光部が同一の側に設けられる例である。また、図17(A)と同様に対向配置を用いてもよく、その場合の例が図19(B)となる。
また、以上では生体情報検出装置に含まれる光電センサーが2つ、すなわち少なくとも1つの発光部と、2つの受光部を含む例について説明したがこれに限定されず、生体情報検出装置は3つ以上の光電センサーを含んでもよい。この場合、1つの発光部を全ての受光部で共有してもよいし、各受光部と組となる発光部を設けてもよいし、それらを組み合わせてもよい。つまり、生体情報検出装置は、第1〜N(Nは3以上の整数)の受光部と、第1〜第k(kは1≦k≦Nを満たす整数)の発光部とを含んでもよい。
3.ノイズ低減処理
最後に、処理部200において行われる体動ノイズ低減処理について説明する。具体的には、第2の検出信号に基づいて行われるスペクトラム減算法と、モーションセンサーからの信号に基づいて行われる適応フィルター処理について説明する。
3.1 スペクトラム減算法
図20(A)、図20(B)は、スペクトラム減算法を用いた、第2の検出信号に基づく第1の検出信号のノイズ低減処理を説明する図である。スペクトラム減算法では、第1,第2の検出信号に対してそれぞれ周波数変換処理を行ってスペクトルを求める。そして、第2の検出信号のスペクトルからノイズスペクトルを推定し、推定されたノイズスペクトルを、第1の検出信号のスペクトルから引き去る処理を行う。
図20(A)に、実際に求められた第1の検出信号のスペクトルと、第2の検出信号のスペクトルを示す。上述してきたように、本実施形態に係る生体情報検出装置を用いることで、第2の検出信号のスペクトルは主としてノイズ成分に対応するスペクトルとなる。つまり、第2の検出信号のスペクトルにおいて大きなピークが立っている周波数が、体動ノイズに対応する周波数であると推定できる。実際には、第2の検出信号のスペクトルのうち、ピークだけを減算してもよいがこれに限定されず、例えば第1の検出信号のスペクトル全体から、第2の検出信号のスペクトル全体を減算する処理を行えばよい。
減算に際しては、ノイズを相殺するように、例えば、第1の検出信号および第2の検出信号の一方に係数が乗算される。この係数は、例えば所定の周波数の信号強度から求められる。或いは、例えばクラスター化等の手法によりノイズと信号とを分離し、第1の検出信号のノイズと第2の検出信号のノイズとを同じ強度にするように係数が算出されてもよい。
スペクトラム減算法による体動ノイズ低減処理の前後の第1の検出信号の例を図20(B)に示す。図20(B)からわかるように、体動ノイズ低減処理により、0.7〜0.8Hz(脈拍数でいう42〜48)及び1.5Hz(脈拍数90)に現れていた体動ノイズが小さく抑えられ、これらを脈信号であると誤判定する可能性を抑止できる。一方、1.1Hz(脈拍数66)前後に現れていた脈信号に対応するスペクトルについては、低減することなく信号レベルを維持することが可能である。
スペクトラム減算法は、FFT(Fast Fourier Transform)等の周波数変換処理と、スペクトルでの減算処理により実現されるため、アルゴリズムがシンプルであり計算量が少ないという利点がある。また、後述する適応フィルター処理のような学習要素がないため、瞬時応答性が高いという特性がある。
3.2 適応フィルター処理
次に、適応フィルター処理を用いた、モーションセンサーからの検出信号に基づく体動ノイズ低減処理(第2の体動ノイズ低減処理)を説明する。適応フィルターを用いたノイズ低減処理の具体例を図21に示す。具体的には、モーションセンサーの検出信号は体動ノイズに対応するため、当該検出信号から特定されるノイズ成分を第1の検出信号から引き去る処理を行うものであり、考え方の大筋はスペクトラム減算法と同様である。
ただし、脈波検出信号中の体動ノイズと、体動センサーからの体動検出信号は、ともに同一の体動に起因する信号であったとしてもその信号レベルまで同一であるとは限らない。よって、体動検出信号に対して適応的にフィルター係数が決定されるフィルター処理を行うことで、推定体動ノイズ成分を算出し、脈波検出信号と推定体動ノイズ成分の差分をとるものとする。フィルター係数が適応的に(学習を行って)決定されるため、ノイズ低減処理の精度を向上させることが可能であるが、フィルター係数の決定における処理負荷や、出力のディレイを考慮する必要がある。なお、適応フィルター処理については広く知られた手法であるため、詳細な説明については省略する。
本実施形態においては、生体情報検出装置は図6に示したようにモーションセンサー(加速度センサー172)を有し、処理部200は、モーションセンサーからの検出信号に基づいて、第1の検出信号の体動ノイズを低減する第2の体動ノイズ低減処理を行う。
すなわち、本実施形態では第2の受光部141からの第2の検出信号を用いた体動ノイズ低減処理を行うことを前提としているが、モーションセンサーを用いた体動ノイズ低減処理を併用することは妨げられない。このようにすれば、第2の検出信号を用いた体動ノイズ低減処理のみを行う場合に比べて、より精度よく体動ノイズを低減することが可能になる。例えば図20(B)では、0.7〜0.8Hz、或いは2.3〜2.4Hzにおけるノイズを低減し切れていないが、モーションセンサーからの検出信号を用いた処理を併用することで、それらのノイズを低減することも可能である。
また、処理部200は、第2の検出信号に基づいて、第1の検出信号に対する体動ノイズ低減処理を行い、体動ノイズ低減処理後の信号に対して、モーションセンサーからの検出信号に基づいて、第2の体動ノイズ低減処理を行ってもよい。
これにより、所定の順序で複数の体動ノイズ低減処理を行うことが可能になる。ここでは、図6の機能ブロック図にも示したように、まず第2の検出信号を用いた体動ノイズ低減処理を行い、その後、第2の体動ノイズ低減処理を行うものとした。この場合の、各信号の流れを示したものが図22である。
図22に示したように、生体からは脈信号とノイズ信号が検出可能であるが、複数の受光部からの各検出信号にはその両方が含まれることになる。ただし本実施形態ではその比率は受光部毎に異なり、第1の検出信号は比較的脈信号が多く、第2の検出信号は第1の検出信号に比べて脈信号の比率が低い(体動ノイズの比率が高い)。そして、この2つの検出信号を用いて脈信号と体動信号(体動ノイズ)を分離する。この処理は、上述したスペクトラム減算法により実現される。そして、分離された脈信号(体動ノイズ低減処理後の第1の検出信号)に対して、モーションセンサーの検出信号(図22では加速度信号)を用いた第2の体動ノイズ低減処理が行われ、その結果から脈拍数等が推定される。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また生体情報検出装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10 バンド部、12 バンド穴、14 バックル部、15 バンド挿入部、
16 突起部、30 ケース部、32 発光窓部、34 トップケース、35 端子部、36 ボトムケース、40 センサー部、50 透光部材、52 凸部、
70 遮光用部材、80 接触部、100 遮光壁、140 第1の受光部、
141 第2の受光部、150 発光部、151 レンズ部、157 第2の発光部、
160 基板、170 モーションセンサー部、172 加速度センサー、
180 振動発生部、200 処理部、210 信号処理部、
212 体動ノイズ低減部、214 第2の体動ノイズ低減部、
220 拍動情報演算部、230 報知制御部、240 記憶部、250 通信部、
252 アンテナ、260 報知部、400 生体情報検出装置、410 手首、
420 端末装置、430 表示部

Claims (10)

  1. 被検体に光を照射する発光部と、
    前記被検体からの光を受光する第1の受光部及び第2の受光部と、
    前記第1の受光部よりも前記被検体側の位置に設けられ、前記被検体からの光を透過し、且つ前記被検体の生体情報の測定時に前記被検体に接触する透光部材と、
    を含み、
    前記透光部材から前記第1の受光部へ向かう方向からの平面視において、前記発光部および前記第1の受光部を含む領域をR1、前記発光部および前記第2の受光部を含む領域をR2とした場合に、領域のサイズはR1<R2であり、
    前記R1の平均高さをh1、前記R2の平均高さをh2とした場合に、h1>h2であることを特徴とする生体情報検出装置。
  2. 請求項1において、
    前記透光部材の周囲に設けられ、前記被検体の前記生体情報の測定時に、前記被検体に接触する接触部を有し、
    前記接触部に対応する位置又は領域における高さをh3とした場合に、h1>h3>h2であることを特徴とする生体情報検出装置。
  3. 請求項1又は2において、
    前記発光部と前記第1の受光部との距離をL1とし、前記発光部と前記第2の受光部との距離をL2とした場合に、L2>L1であることを特徴とする生体情報検出装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記発光部と前記第1の受光部との距離をL1とし、前記発光部と前記第2の受光部との距離をL2とした場合に、L2>2×L1であることを特徴とする生体情報検出装置。
  5. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記発光部と前記第1の受光部との距離L1は、1mm≦L1≦3mmであり、
    前記発光部と前記第2の受光部との距離L2は、2mm≦L2であることを特徴とする生体情報検出装置。
  6. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記第1の受光部は、
    前記発光部と前記第2の受光部との間に配置されることを特徴とする生体情報検出装置。
  7. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記発光部は、
    前記第1の受光部と前記第2の受光部との間に配置されることを特徴とする生体情報検出装置。
  8. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記R1は、前記発光部及び前記第1の受光部を含む最小の長方形で表される領域であり、前記R2は、前記発光部および前記第2の受光部を含む最小の長方形で表される領域であることを特徴とする生体情報検出装置。
  9. 請求項1乃至のいずれかにおいて、
    前記透光部材は曲面状の凸部を有することを特徴とする生体情報検出装置。
  10. 請求項1乃至のいずれかに記載の生体情報検出装置を含むことを特徴とする電子機器。
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