以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、生体情報等の検出装置では、光検出ユニットにおいて高品位の信号を検出する必要がある。そしてそのためには、高性能な発光部(例えばLED)を用いることが有効である。発光部の性能評価の観点は種々考えられるが、ここでは輝度が高く、光束角度が狭いものを想定している。このような発光部であれば、強い光をより限定された範囲に対して照射するため、例えば生体等で反射された反射光の強度も強くなり、結果として受光部で受光する光の強度を強くすることが可能である。
しかし、このような発光部は、比較的性能の低い発光部に比べてサイズが大きくなってしまう。特に、基板面に対して垂直な方向を高さ方向とした場合、高さが高くなる。図1(A)、図1(B)に比較例の光検出ユニットの例を示す。
図1(A)は第1の比較例の光検出ユニットの断面図であり、図1(B)は第2の比較例の光検出ユニットの断面図を示す。第2の比較例は第1の比較例に比べて、高性能な発光部を設けた例である。図1(A)、図1(B)に示したように、いずれの場合においても、光検出ユニットは、基板160と、受光部140と、発光部150と、遮光用部材70が設けられる。なお、図1(A)等では遮光用部材70のうち遮光壁100を図示しているが、遮光用部材70が絞り部80等を含んでもよい。遮光用部材70は、発光部150から受光部140への直接光や、外乱光を遮蔽することで、検出信号におけるノイズを抑止するものである。
また、図1(A)、図1(B)のいずれの発光部150も、レンズ151と、発光素子が封入される封入部153と、封入部153の台座となる台座部155を含む。ただし、上述したように比較的性能の低い図1(A)に比べて、高性能な図1(B)の発光部150はサイズが大きく、特に高さが高い。ここで高さとは、基板面に交差する方向(狭義には直交する方向)での長さを表す。
そのため、図1(A)に示した第1の比較例においても、レンズ部151を有さない発光部を用いる例に比べれば高さが高くなってしまうところ、図1(B)に示した第2の比較例の発光部150ではさらに高さが高くなってしまう。これによるデメリットは大きく2点考えられる。第1に、光検出ユニット(及び当該光検出ユニットを含む機器)が厚みを持ってしまうため、小型化が困難になるという点である。図10(A)等を用いて後述するように、光検出ユニットを含む生体情報検出装置は、腕時計型等のウェアラブル機器が想定される。この場合、ユーザーは計測期間中は機器を継続して装着する必要があるため、ユーザーに不快感を与えない、或いはユーザーの行動を阻害しないという観点から、小型化が困難なことは大きな問題となる。
第2に、発光部150と受光部140の高さの差が大きくなってしまう点である。光検出ユニットをどれだけ対象物(光を照射する対象であり狭義には生体)に近づけられるかは、光検出ユニットのうち最も高い部分に依存する。つまり、発光部150の高さが高くなり、受光部140の高さと差ができすぎてしまうと、光検出ユニットをどれだけ対象物に近づけたとしても、受光部140が十分対象物に近づくことができない。結果として、対象物での反射光が受光部140に受光するまでの光路が長くなり、受光部140での検出信号のレベルが低下してしまう。なお、厳密に言えば光検出ユニットのうち最も高い部分は、発光部150ではなく遮光用部材70となることが想定される。しかし、遮光用部材70の高さは発光部150の高さ以上となるように設定されるものであるため、発光部150と受光部140の高さの差が問題となる点に変わりはない。
ここで、受光部140に台座となる部分を設ける等、受光部140を高くすれば高さの差による問題は解決できる。しかしその場合であっても、光検出ユニットを小型化できないという課題には対応できない。
そこで本出願人は、発光部150を図1(C)に示すように基板160に実装する手法を提案する。具体的には、光検出ユニットは基板160と、対象物に対して光を射出する発光部150と、基板160に取り付けられ、対象物からの光を受光する受光部140を含み、基板160には穴部169が設けられ、発光部150は、基板160の穴部169に取り付けられている。
このようにすれば、穴部の深さに相当する分だけ発光部150の高さを吸収できる。そのため、光検出ユニット自体の厚み(高さ)を抑えることで小型化が可能になるし、図1(C)と図1(B)の比較からも明らかなように、発光部150と受光部140との高さの差異も小さくすることが可能である。
以下、本実施形態について詳細に説明する。具体的には、まず光検出ユニットの構成例について説明し、その後、遮光用部材70について詳細に説明する。最後に、光検出ユニットを含む生体情報検出装置の具体例を説明する。
2.光検出ユニット
図2は、本実施形態の光検出ユニットの構成例を示す斜視図である。上述したように、本実施形態の光検出ユニットは、基板160と、受光部140と、発光部150と、遮光用部材70を含む。なお、図2では発光部150の封入部153が第1の面(受光部140が実装される面)側に突出する例を示した。これは例えば、封入部153の厚さ(高さ)が基板160よりも厚い場合や、図5(B)を用いて後述するように、穴部169の深さによりも、封入部153と台座部155の厚さの合計が厚い場合等に対応する。ただし、図1(C)に示したように、封入部153が第1の面側に突出しないものとしてもよい。
発光部150は、対象物(被検体等)に対して光を出射し、受光部140は、対象物からの光を受光する。例えば発光部150が光を出射し、その光が対象物により反射されると、受光部140が、その反射光を受光する。受光部140は、例えばフォトダイオード等の受光素子により実現できる。発光部150は、例えばLED等の発光素子により実現できる。例えば受光部140は、半導体の基板に形成されたPN接合のダイオード素子などにより実現できる。この場合に、受光角度を絞るための角度制限フィルターや受光素子に入射する光の波長を制限する波長制限フィルターを、このダイオード素子上に形成してもよい。
脈拍計などの生体情報検出装置に適用した場合を例にとると、発光部150からの光は、対象物である被検体の内部を進み、表皮、真皮及び皮下組織等で拡散又は散乱する。その後、この光は、血管(被検出部位)に到達し、反射される。この際に、光の一部は血管により吸収される。そして、脈拍の影響により血管での光の吸収率が変化し、反射光の光量も変化するため、受光部140がこの反射光を受光して、その光量の変化を検出することで、生体情報である脈拍数等を検出できるようになる。
なお発光部150に設けられるドーム型レンズ151(広義には集光レンズであり、以下ではレンズ部とも記載する)は、発光部150に樹脂封止(光透過樹脂で封止)されるLEDチップ(広義には発光素子チップであり、以下では発光素子とも記載する)からの光を集光するためのレンズである。即ち、表面実装型の発光部150では、LEDチップがドーム型レンズ151の下方に配置されており、LEDチップからの光は、ドーム型レンズ151により集光されて対象物に出射される。これにより光検出ユニットの光学的な効率を向上できる。
なお、レンズ部151の有無による光検出ユニットの検出信号のレベル(ここでは脈信号のACパワー)の違いを図3に示す。ここでは、異なる3人のユーザーのそれぞれについて、レンズ部151を有する場合とレンズ部151を有さない場合での信号レベルを測定した。図3から明らかなように、信号レベルの向上度合いに差はあるものの、いずれのユーザーについてもレンズ部151を設けた方が信号レベルが改善されることが確認された。
光検出ユニットの断面図は図1(C)に示したとおりであり、受光部140は、基板160の第1の面に取り付けられ、発光部150は、第1の面の裏面(反対側の面)となる基板の第2の面側から穴部169に挿入されている。
ここで、基板160は厚みを有するため、仮に平坦な板状の基板であったとしても、厳密には6つの面を有する直方体となる。しかし高さ方向の面(図1(C)で基板160として表現されている面)は非常に面積が小さく、素子の配置は想定されるものではない。つまり直方体である平坦な基板が幅W×奥行きD×高さH(ここでW,D>>H)となるサイズである場合、第1,第2の面とはW×Dの面積を有する面である。また、フレキシブル基板のように、平坦な板ではない基板もあり得るが、その場合の第1,第2の面(この場合平面とは限らない)も同様に、素子の配置が想定される面積の広い2つの面を考えればよい。
ここでの第1の面は上述したように、基板160のうち受光部140が配置される面であり、図1(C)における上側の面である。第1の面における受光部140及び発光部150の位置関係を図4(A)に示す。この場合、第2の面は図1(C)における下側の面となり、発光部150は図1(C)に示したように、穴部169の下側から上側へ向けて装着されることになる。このようにすれば、基板の厚み分の深さの穴部169を用いたことになるため、基板の厚み分だけ発光部150の高さを吸収することが可能になる。
第2の面における発光部150の配置例を図4(B)に示す。上述したように、受光部140は第1の面に設けられるため、第2の面側からは視認されない。図4(B)の例では、基板160に接続用のランド168が設けられ、発光部150は当該ランド168において半田づけにより固定されている。
また、発光部150は、光を集光するレンズ部151(狭義には上述したドーム型レンズ)を有し、発光部150は、レンズ部151が、第1の面側に突出するように穴部169に挿入されていてもよい。
例えば図1(C)では、レンズ部151の大半の部分が基板160の上側の面、即ち第1の面側に突出している。上述したように、発光部150の高さを抑えることは小型化を考える上で重要であるが、過剰に低くしすぎると、発光部150と受光部140の高さの差が問題となる。例えばレンズ部151の先端が穴部169より第1の面側に出ない場合、上述した例とは逆になり、発光部150が受光部140に対して低いことにより、光路長を短くできないといった課題が生じうる。また、現状での基板160の厚さや発光部150のサイズを考慮すれば、レンズ部151は基板160を貫く形で実装されることが自然である。つまり、第2の面側から穴部169に挿入すれば、レンズ部151は第1の面側に突出することになる。
ただし、本実施形態の発光部150の実装手法は、穴部169が基板を貫通するように設けられ、発光部150が第2の面側から挿入され第1の面側へ突出するものには限定されない。例えば、図5(A)に示したように基板160の第1の面側に、非貫通型の穴部169が設けられ、発光部150は当該穴部169に対して第1の面側から挿入されてもよい。この場合、吸収できる高さが図1(C)に比べて少なくなるものの、背面に台座部155を突出させることなく発光部150の高さを抑える効果がある。
また、図5(B)に示したように、台座部155と封入部153との断面視における幅が同じでもよい。このように構成することで、基板160に形成する穴部169の大きさが必要最小限にとどめることができる。
図5(A)或いは図5(B)の構成では、発光部150において、発光素子と電気的に接続される端子は台座部155の底面に設けられていてもよいし、側面に設けられていてもよい。基板160側のランド168は、発光素子の端子に対応する位置、つまり穴部169の底面部または側面部に設けられるように構成される。具体的には、側面に端子とランド168が設けられる場合には、図5(B)のC1に示した領域で接続され、底面に端子とランド168が設けられる場合には、図5(B)のC2に示した領域で接続されることになる。このように構成することで、背面に台座部155を突出させることなく発光部150の高さを抑える効果を得ることができる。
また、発光部150は、図1(C)に示したように、発光素子(不図示)と、発光素子が封入される封入部153と、封入部の台座となる台座部155と、を有してもよい。そして台座部155は、発光部150が穴部169に挿入された状態において、第2の面側に設けられる。特に台座部155は、発光素子に電気的に接続される端子を有し、端子は基板160の第2の面に設けられる配線と電気的に接続されてもよい。
具体例を図を用いて説明する。封入部153は発光素子が封入されている部分であるため、レンズ部151は当該封入部よりも対象物側に位置する。また、台座部155は封入部153の台座となるため、対象物とは異なる方向側に位置する。つまり発光部150は図1(C)等に示したように、対象物側から基板160へ向かう方向に沿って、レンズ部151、封入部153、台座部155の順に配置され、且つ素子を実装した際の安定性等を考慮すれば、各部の断面積は図1(C)に示したようにレンズ部151<封入部153<台座部155となることが一般的である。
そして、このような発光部150を第2の面側から穴部169に挿入する場合、台座部155まで含めた全体を穴部169に挿入することは妨げられないが、図1(C)に示したように、台座部155を第2の面側に残すとよい。このようにすれば、発光部150の基板160への固定が容易であるし、発光部150のうち、第1の面側に突出する部分を少なくできるため、発光部150と受光部140の高さの差を小さくできる。
このような発光部150において、発光素子に電気的に接続される端子を台座部155に設けることは一般的であり、例えば台座部155のうち、図4(C)のP1、P2に示した位置に端子が設けられる。P1,P2に端子を有する場合、発光部150は図1(C)の状態で挿入されるのであるから、図4(C)に示したとおりP1,P2は基板160の第2の面に接する位置となる。つまり、基板160についても第2の面側の適切な位置に配線を設けておけば、発光部150の端子との接続が容易である。
例えば、図4(D)は発光部150を挿入していない状態の基板160を第2の面側から見た図であるが、図4(D)のように、穴部169の周辺に接続用のランド168を設けておく。また、発光部150を挿入していない状態の基板160の断面図が図4(E)である。このような配置において、発光部150を図4(C)に示したように穴部169に挿入すれば、端子の設けられるP1,P2と、ランド168が適切に対応する。そのため、図4(C)に示したように半田づけすることで、容易に発光部150を基板に160に実装することが可能となる。
遮光用部材70は光の遮光を行うための部材である。例えば図2では遮光用部材70は受光部140を遮光している。即ち、遮光用部材70は、発光部150側には設けられておらず、受光部140側に設けられている。例えば、遮光用部材70は受光部140を覆うように設けられ、受光部140への入射光を遮光しているが、発光部150については遮光を行っていない。但し、遮光用部材70を発光部150側に設ける変形実施も可能である。
遮光用部材70の少なくとも内側面に対しては、反射抑制加工を行うことが望ましい。例えば遮光用部材70の表面(内側面等)の色を、黒色等の所定色にして、光の乱反射を防ぐようにする。或いは、遮光用部材70の表面をモスアイ構造にしてもよい。例えば数十〜数百nm周期の凹凸構造を表面に形成して、反射防止構造とする。このような反射抑制加工をすれば、例えば遮光用部材70の表面での反射光が迷光となって、検出信号のノイズ成分となってしまう事態を効果的に抑制できる。
受光部140、発光部150、遮光用部材70は、基板160に実装される。基板160は例えばリジッド基板である。基板160には、受光部140の信号・電源の端子142と接続するための端子162や、外部のメイン基板との間で信号・電源を接続するための端子164が設けられている。例えば受光部140の端子142と基板160の端子162はワイヤボンディング等により接続される。
そして本実施形態では、遮光用部材70は、例えば金属(例えば錫と銅の合金)を板金加工することで形成されている。例えば1枚の金属板を板金加工することで図2に示すような形状の遮光用部材70が形成される。そして遮光用部材70は、発光部150と受光部140の間に設けられる遮光壁100を有している。この遮光壁100は、発光部150からの光(直接光等)が受光部140に入射されるのを遮光する。そして、この遮光壁100は、板金加工により形成された遮光用部材70の第1の金属面71により形成されている。即ち、遮光壁100となる第1の金属面71が、受光部140と発光部150との間に設けられており、これにより発光部150からの光が受光部140に入射されるのが抑制される。
また遮光用部材70は、第2、第3の金属面72、73を有する。これらの第2、第3の金属面72、73は、第1の金属面71に交差(例えば直交)する方向に沿って設けられる。例えば第1の金属面71を正面側の金属面とした場合に、第2、第3の金属面72、73は側面側の金属面であり、側面側の遮光壁となる。
そして図2に示すように、第1の金属面71のD1に示す第1の端面(左側端面)は、第1の金属面71を発光部150側から見た正面視において、第2の金属面72のD3に示す端面よりも、一方側(左側)に突出している。一方、第1の金属面71の第1の端面に対向する、D2に示す第2の端面(右側端面)は、上記の正面視において、第3の金属面73のD4に示す端面よりも、一方とは異なる他方側(右側)に突出している。即ち、第1の金属面71のD1、D2に示す端面が、第2、第3の金属面のD3、D4に示す端面よりも、両側に突出している。
例えば第1の金属面71と第2の金属面72とは、後述する図6のE1に示す第1の隙間領域を介して隣接して設けられる。また第1の金属面71と第3の金属面73とは第2の隙間領域を介して隣接して設けられる。即ち、第1の金属面71の背面と、第2、第3の金属面のD3、D4に示す端面とは接しておらず、当該背面と端面との間には隙間領域が存在している。
そして、このような隙間領域が存在すると、後に詳述するようにこの隙間領域を介して発光部150からの光が受光部140に入射されてしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では、前述のように第1の金属面71のD1、D2に示す端面が、第2、第3の金属面72、73よりも正面視において両側に突出しているため、このような発光部150からの光が受光部140に入射されてしまう事態を効果的に抑制できる。
また遮光用部材70は、第1の金属面71に交差(例えば直交)する方向に沿って設けられ、受光部140への光の入射を遮光する第4の金属面74を有する。この第4の金属面74は、例えば遮光用部材70の上面の金属面である。
そして、この第4の金属面74には、対象物と受光部140の間の光路において対象物からの光(反射光等)を絞る絞り部80が形成されている。即ち、第4の金属面74には、絞り部80の開口部81が形成されている。なお遮光用部材70は、背面の遮光壁となる第5の金属面75も設けられており、背面側から入射される光を遮光している。
3.遮光用部材
図1(C)や図2に示したように、基板160には、少なくとも受光部140を遮光する遮光用部材70が設けられる。以下、遮光用部材70について説明する。
3.1 板金加工
本実施形態の光検出ユニットでは、図2に示すように、受光部140等を外部光から遮光するための遮光用部材70を設けている。そして、遮光用部材70は、金属を板金加工することで形成されており、この遮光用部材70の例えば金属面71により、遮光壁100を実現している。また遮光用部材70の例えば金属面74により、開口部81を有する絞り部80を実現している。ここで遮光壁100は、例えば受光部140の中心位置と発光部150の中心位置を結ぶ線分に対して交差(直交)する方向に沿った壁面を有するものである。このような遮光壁100を設けることで、発光部150からの光(直接光)が受光部140に入射されるのが抑止されて、検出データの信頼性等を向上できるようになる。
後に詳述するように、発光部150と受光部140の間の距離が近いほど、光検出ユニットの光学的な効率・性能が向上する。例えば光学的な効率・性能は距離の二乗に反比例して低下する。従って、できる限り発光部150と受光部140の間の距離を近づけることが望ましい。
一方、発光部150と受光部140の間の距離を近づけると、発光部150からの直接光が受光部140に入射してしまい、DC成分の増加等が生じて、性能が低下してしまう。このため本実施形態の光検出ユニットでは、受光部140と発光部150の間に遮光壁100を設けている。
この場合に本実施形態の比較例の手法として、遮光用部材70のうちの遮光壁100を射出成型により形成する手法が考えられる。射出成型を用いる比較例の手法は、機器の量産性等の観点からは有利な手法である。
しかしながら、遮光壁100を射出成型で形成すると、当該遮光壁100の壁厚が厚くなってしまう。即ち、遮光壁100の壁厚を薄い設計にすると、射出成形時に遮光壁100の部分に樹脂が十分に充填されなくなってしまい、十分な強度を有する遮光壁100を実現できない。このため、射出成型を用いる比較例の手法では、遮光壁100の厚さが例えば0.4mm以上になってしまう。
そして、このように遮光壁100が厚くなると、発光部150と受光部140の間の距離も長くなってしまう。従って、例えば発光部150と受光部140との間の対象物を介した光路長も長くなってしまい、光検出ユニットの光学的な効率・性能が低下してしまう。
そこで本実施形態では遮光用部材70を金属の板金加工により形成する。例えば図6は遮光用部材70の詳細な形状を示す平面図、側面図、正面図、背面図である。例えば1枚の金属板を板金加工により折り曲げることで、金属面71、72、73、74、75からなる遮光用部材70が形成される。具体的には、上面である金属面74に対して、金属面71、72、73、75を直角(略直角)に折り曲げることで、遮光用部材70が形成される。
そして図2において発光部150と対向する金属面71が、発光部150からの直接光が受光部140に入射されるのを遮光する遮光壁100となる。また上面の金属面74には、対象物と受光部140の間の光路において対象物からの光を絞る絞り部80が形成される。即ち、開口部81を有する絞り部80が形成される。
このように、板金加工による金属面71を用いて遮光壁100を実現すれば、射出成型を用いる比較例の手法に比べて、遮光壁100の厚さを薄くできる。例えば板金加工を用いた場合には、その金属面の厚さが例えば0.1mm程度であっても、十分な強度を有する遮光用部材70を実現できる。このため、遮光壁100となる金属面71の厚さも例えば0.1mm程度にすることが可能になる。従って、遮光壁100の厚さが例えば0.4mm以上になってしまう射出成型を用いる比較例の手法に比べて、遮光壁100の厚さを十分に薄くでき、その分だけ、発光部150と受光部140の間の距離も短くできる。従って、発光部150からの直接光が受光部140に入射されるのを遮光壁100により抑制しながら、発光部150から受光部140への対象物を介した光の光路長も短くできるため、光検出ユニットの検出性能等を向上できるようになる。
特に図2では、チップパッケージ型の発光部150を使用している。このチップパッケージ型の発光部150では、例えばドーム型レンズ151がLEDチップの上に配置されることで、対象物への光の出射効率が高くなり、光検出ユニットの検出感度を高めることができる。
しかしながら、チップパッケージ型の発光部150は、例えばリフレクターにLEDチップを配置して実現するタイプのものに比べて、その配置占有面積が大きい。従って、その分だけ発光部150と受光部140の間の距離も長くなってしまうという問題がある。この点、本実施形態によれば、前述のように遮光壁100の厚さを十分に薄くできるため、このようなチップパッケージ型の発光部150を用いた場合にも、これに対応することが可能となり、光検出ユニットの感度等の検出性能を向上できる。
また図2では、遮光用部材70は、発光部150側には設けられず受光部140側にだけ設けられている。即ち、遮光用部材70は、受光部140を覆ってその遮光を行っているが、発光部150については覆っていない。
例えば、遮光用部材70を、発光部150についても遮光するような形状にすると、発光部150から対象物へと向かう光の一部が、遮光用部材70により遮られてしまい、対象物へ照射される光量等が減少し、感度等の検出性能が低下するおそれがある。
この点、図2のように、遮光用部材70の形状を、受光部140側だけを遮光するような形状にすれば、発光部150からの出射光が遮光用部材70により遮られて対象物への光の光量が減少してしまう事態の発生を抑制できる。
また遮光用部材70を発光部150側に設けず受光部140側だけに設ける構成は、光検出ユニットの薄型化という観点においても有利な構成である。上述したようにドーム型レンズ151を有する発光部150(特にそのうちでも高輝度で光束角度の狭い発光部150)は、受光部140に比べてその高さが高くなる。そして、図1(C)等に示した穴部169に対する実装を行っても、発光部150の高さは受光部140よりも高くなることが一般的である。従って、発光部150側に遮光用部材70を設けると、その分だけ発光部150側での高さが高くなってしまい、光検出ユニットの薄型化の妨げとなる。
この点、遮光用部材70を受光部140側だけに設ける構成であれば、発光部150側には遮光用部材70が存在しないため、例えば受光部140側での高さと発光部150側での高さを揃えることが可能になる。従って、発光部150側にも遮光用部材70を設ける手法に比べて、光検出ユニットの全体として高さを低くすることが可能になり、光検出ユニットの薄型化の実現が容易になる。
また、上述のように遮光用部材70には絞り部80が設けられている。即ち、遮光用部材70の上面の金属面74に開口部81が形成され、この開口部81により絞り部80が実現される。この場合に、絞り部80の開口部81は、発光部150に近いほど広く開いている。例えば開口部81は、半円形状(略半円形状)になっており、その半円の直径が発光部150側に位置している。絞り部80の開口部81をこのような形状にすれば、発光部150から出射されて対象物により反射された光を、効率良く受光部140に入射させることが可能になり、感度等の検出性能を向上できる。なお、絞り部80の詳細については後に詳述する。
遮光用部材70のうち、遮光壁100の高さと、受光部140、発光部150の高さの関係について説明する。上述したように遮光用部材70は、発光部150からの光が受光部140に入射されるのを遮光する遮光壁100を有する。そして、遮光壁100の高さをh1とし、発光部150の高さをh2とした場合に、h1≧h2となる。
ここでの高さは、所与の点を基準とした場合に、当該基準からの高さ方向(基板160に交差する方向であり、狭義には直交する方向)での長さを言う。例えば、基板160のうち第1の面を基準とした場合、遮光壁100の高さh1及び発光部150の高さh2は、図7に示した高さとなる。つまりここでの高さは、発光部150自体の厚み(図7のh2’)を表すものではない。
ここでの遮光壁100は、発光部150から受光部140への直接光を遮蔽するものである。直接光を遮蔽するために必要な最も低い遮光壁100の高さは、受光部140の高さや、発光部150と受光部140の間の距離等にも依存するものであるが、少なくとも発光部150以上の高さとしておけば、直接光の遮光は可能である。よってここでは、h1≧h2となるように高さの関係を設定する。この際、受光部140の高さをh3とした場合に、h1≧h2>h3とするとよい。この条件は、一般的なサイズの発光部150と受光部140を用いれば実現されるものではあるが、上述したように高さの差を解消するために、発光部150に台座を設ける等の対応をした場合、必ずしも保証されるものではない。しかし、h2≦h3となった場合、配置位置や角度に応じては、h1≧h2の要件が満たされたとしても直接光が遮蔽されないおそれが生じる。その点、h1≧h2>h3としておけば、容易に直接光を遮蔽するとの条件を満足することが可能である。
また、以上の説明では遮光用部材70は、遮光壁100もその他の部分(例えば絞り部80)も板金加工により形成されるものとしたがこれには限定されない。例えば、遮光壁100は、板金加工により形成され、絞り部80は、板金加工または射出成型により形成されてもよい。
後述するように、発光部150と受光部140の間の距離については、所定の範囲とすることが望ましい。そのため、当該距離を柔軟に設定可能とするためには、発光部150と受光部140の間に設けられる遮光壁100の厚みは薄くするとよい。上述した板金加工は、部材を薄く形成することが可能であるため、遮光壁100については板金加工により形成するとよい。
しかし、遮光用部材70のうち受光部140の上部(ユーザー装着時において、受光部140よりも生体側)に設けられる絞り部80については、多少厚みが増してしまっても大きな問題とならない。なぜなら、厚みの増加は機器の高さの増加につながるものではあるが、上述してきたように受光部140の高さに比べて発光部150の高さの方が高いことが一般的である。そのため、受光部140側に設けられる絞り部80が厚くなったところで、光検出ユニットのサイズは発光部150に基づいて決定されるはずである。以上を考慮すれば、絞り部80についても板金加工で形成してもよいが、板金加工に比べて厚みが出てしまう射出成形により形成してもよいことになる。
3.2 発光部−受光部間距離
図8は、発光部150と受光部140の間の距離LDと信号強度の関係を示す図である。ここで信号強度は、本実施形態の光検出ユニットが適用される検出装置の検出信号の強度である。例えば後述するような脈波等の生体情報の検出装置に光検出ユニットを適用した場合には、脈波等の生体情報検出信号の強度である。また発光部150と受光部140の間の距離LDは、例えば発光部150、受光部140の中心位置(代表位置)の間の距離である。例えば受光部140が矩形形状(略矩形形状)である場合には、受光部140の位置は、この矩形形状の中心位置である。また発光部150が前述のようなドーム型レンズ151を有する場合には、発光部150の位置は、例えばドーム型レンズ151の中心位置(LEDチップの位置)である。
図8から明らかなように発光部150と受光部140の距離LDが近いほど、検出信号の信号強度が高くなり、感度等の検出性能が向上する。従って、発光部150と受光部140の距離LDは近ければ近いほど望ましい。
この点、本実施形態では前述の図2、図6に示すように、遮光用部材70は金属を板金加工することで形成され、その金属面71により遮光壁100が実現されている。従って、射出成型で遮光用部材70を実現する場合に比べて、遮光壁100の厚さを薄くすることが可能であり、例えば0.1mm程度にすることができる。従って、遮光壁100の厚さが薄くなった分だけ、発光部150と受光部140の距離LDを近づけることが可能となり、図8から明らかなように検出装置の検出性能を向上できる。
この場合に図8に示すように、受光部140と発光部150の間の距離はLD<3mmであることが望ましい。例えば図8の特性曲線G1における、距離が大きい側の接線G2から明らかなように、LD≧3mmとなる範囲では、特性曲線G1が飽和している。これに対して、LD<3mmの範囲では、距離LDが短くなるにつれて、信号強度が大きく増加している。従って、この意味においてLD<3mmであることが望ましい。
更に、距離LDについてはLD<2.5mmであることが望ましい。例えば距離が大きい側の接線G2と小さい側の接線G3の関係から理解されるように、距離がLD<2.5mm(2.4mm)となる範囲で、距離に対する信号強度の増加率が更に高くなっている。従って、この意味においてLD<2.5mmであることが更に望ましい。
そして図2、図6に示す本実施形態の光検出ユニットでは、例えば距離LDはLD=2.0mm程度となっている。従って、図8に示すように、LD≧3mmとなる従来の光検出ユニットに比べて、検出性能を大幅に向上できる。
また距離LDについては下限値も存在し、距離LDを近づけすぎることも望ましくない。例えば図9は、本実施形態の光検出ユニットを脈波等の生体情報の検出装置に適用した場合について示す図である。この場合には、発光部150からの光は、被検体の血管等で拡散又は散乱し、その光が受光部140に入射されて、脈波が検出される。そして図9において、発光部150と受光部140の間の距離LDと、深さ方向での測定距離LBとの間には、LD=2×LBの関係が一般的に成り立つ。例えば距離LDだけ離れた発光部150と受光部140からなる光検出ユニットによる測定限界距離は、LB=LD/2程度となる。そして距離LBが例えば100μm〜150μmとなる範囲には、脈波の検出対象物となる血管は存在しない。従って、距離LDが、LD≦2×LB=2×100μm〜2×150μm)=0.2mm〜0.3mmになると、脈波の検出信号が極めて小さくなることが予想される。即ち、距離LDが近くなると、それに伴い深さ方向での測定距離LBも小さくなり、その距離LBの範囲に検出対象物が存在しないと、検出信号が極めて小さくなってしまう。つまり、距離LDは近いほどが検出性能は向上するが、それにも限界があり、下限値が存在する。従って、この意味においてLD>0.3mmであることが望ましい。即ち、0.3mm<LD<2.5mm(或いは0.3mm<LD<3.0mm)であることが望ましい。
4.生体情報検出装置
4.1 生体情報検出装置の全体構成例
図10(A)、図10(B)、図11に本実施形態の生体情報検出装置(生体情報測定装置)の外観図を示す。図10(A)は生体情報検出装置を正面方向側から見た図であり、図10(B)は上方向側から見た図であり、図11は側面方向側から見た図である。
図10(A)〜図11に示すように本実施形態の生体情報検出装置はバンド部10とケース部30とセンサー部40を有する。ケース部30はバンド部10に取り付けられる。センサー部40は、ケース部30に設けられる。また生体情報検出装置は後述する図13に示すように処理部200を有する。処理部200は、ケース部30に設けられ、センサー部40からの検出信号に基づいて生体情報を検出する。なお、本実施形態の生体情報検出装置は図10(A)〜図11の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
なお、上述してきた光検出ユニットは、センサー部40に含まれることになる。例えばセンサー部40は、図14を用いて後述するように、基板160と、発光部150と、受光部140と、遮光用部材70と、絞り部80(80−1,80−2)を有する光検出ユニットと、他の部材とから構成される。図14の例であれば、他の部材とは、透光部材50により実現される凸部52、溝部54、凹部56、押圧抑制部58等である。ただし、本実施形態に係る光検出ユニットがそれらの部材を含む、即ち、センサー部40全体が、光検出ユニットに対応する等の変形実施も可能である。
バンド部10はユーザーの手首に巻き付けて生体情報検出装置を装着するためのものである。バンド部10はバンド穴12、バックル部14を有する。バックル部14はバンド挿入部15と突起部16を有する。ユーザーは、バンド部10の一端側を、バックル部14のバンド挿入部15に挿入し、バンド部10のバンド穴12にバックル部14の突起部16を挿入することで、生体情報検出装置を手首に装着する。この場合、どのバンド穴12に突起部16を挿入するかに応じて、後述するセンサー部40の押圧(手首表面に対する押圧)の大きさが調整される。
ケース部30は、生体情報検出装置の本体部に相当するものである。ケース部30の内部には、センサー部40、処理部200等の生体情報検出装置の種々の構成部品が設けられる。即ち、ケース部30は、これらの構成部品を収納する筐体である。このケース部30は例えばトップケース34とボトムケース36を有する。なおケース部30は、トップケース34とボトムケース36に分離される態様のものでなくてもよい。
ケース部30には発光窓部32が設けられている。発光窓部32は透光部材により形成されている。そしてケース部30には、フレキシブル基板に実装された発光部(LED、光検出ユニットの発光部150とは異なる報知用の発光部)が設けられており、この発光部からの光が、発光窓部32を介してケース部30の外部に出射される。
図11に示すようにケース部30には端子部35が設けられている。生体情報検出装置を図示しないクレードルに装着すると、クレードルの端子部とケース部30の端子部35とが電気的に接続される。これによりケース部30に設けられる二次電池(バッテリー)の充電が可能になる。
センサー部40は被検体の脈波等の生体情報を検出するものである。例えばセンサー部40は、後述する図13、図14(A)に示すように受光部140と発光部150を有する。またセンサー部40は、透光部材により形成され、被検体の皮膚表面に接触して押圧を与える凸部52を有する。このように凸部52が皮膚表面に押圧を与えた状態で、発光部150が光を出射し、その光が被検体(血管)により反射された光を受光部140が受光し、その受光結果が検出信号として処理部200に出力される。そして処理部200は、センサー部40からの検出信号に基づいて脈波等の生体情報を検出する。なお本実施形態の生体情報検出装置の検出対象となる生体情報は、脈波(脈拍数)には限定されず、生体情報検出装置は、脈波以外の生体情報(例えば血液中の酸素飽和度、体温、心拍等)を検出する装置であってもよい。
図12は生体情報検出装置400の装着及び端末装置420との通信についての説明図である。
図12に示すように被検体であるユーザーは手首410に生体情報検出装置400を時計のように装着する。図11に示すように、ケース部30の被検体側の面にはセンサー部40が設けられている。従って、生体情報検出装置400が装着されると、センサー部40の凸部52が手首410の皮膚表面に接触して押圧を与え、その状態でセンサー部40の発光部150が光を発光し、受光部140が反射光を受光することで、脈波等の生体情報が検出される。
生体情報検出装置400と端末装置420は通信接続されて、データのやり取りが可能になっている。端末装置420は、例えばスマートフォン、携帯電話機、フューチャーフォン等の携帯型通信端末である。或いは端末装置420は、タブレット型コンピュータ等の情報処理端末であってもよい。生体情報検出装置400と端末装置420の通信接続としては、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の近接無線通信を採用できる。このように生体情報検出装置400と端末装置420が通信接続されることで、端末装置420の表示部430(LCD等)に、脈拍数や消費カロリーなどの各種の情報を表示できる。即ち、センサー部40の検出信号に基づき求められた各種の情報を表示できる。なお脈拍数や消費カロリーなどの情報の演算処理は、生体情報検出装置400において実行してもよいし、その少なくとも一部を端末装置420において実行してもよい。
生体情報検出装置400には、発光窓部32が設けられており、報知用の発光部の発光(点灯、点滅)により、各種の情報をユーザーに報知する。例えば脂肪燃焼ゾーンに入った場合や脂肪燃焼ゾーンから出た場合に、これを発光窓部32を介した発光部の発光により報知する。また端末装置420においてメール等が受信されると、それが端末装置420から生体情報検出装置400に通知される。そして生体情報検出装置400の発光部が発光することで、メール等の受信がユーザーに通知される。
このように図12では、生体情報検出装置400にはLCD等の表示部が設けられておらず、文字や数字等で報知する必要がある情報は、端末装置420の表示部430に表示される。このように図12では、LCD等の表示部を設けずに、必要最小限の情報を発光部の発光によりユーザーに報知することで、生体情報検出装置400の小型化を実現している。また生体情報検出装置400に表示部を設けないことで、生体情報検出装置400の美観についても向上できる。
図13に本実施形態の生体情報検出装置の機能ブロック図を示す。図13では生体情報検出装置は、センサー部40、体動センサー部170、振動発生部180、処理部200、記憶部240、通信部250、アンテナ252、報知部260を含む。なお本実施形態の生体情報検出装置は図13の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
センサー部40は、脈波等の生体情報を検出するものであり、受光部140、発光部150を含む。これらの受光部140、発光部150等により脈波センサー(光電センサー)が実現される。センサー部40は、脈波センサーにより検出された信号を、脈波検出信号として出力する。
体動センサー部170は、種々のセンサーのセンサー情報に基づいて、体動に応じて変化する信号である体動検出信号を出力する。体動センサー部170は、体動センサーとして例えば加速度センサー172を含む。なお、体動センサー部170は、体動センサーとして圧力センサーやジャイロセンサーなどを有していてもよい。
処理部200は、例えば記憶部240をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えばCPU等のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。処理部200は、信号処理部210、拍動情報演算部220、報知制御部230を含む。
信号処理部210は各種の信号処理(フィルター処理等)を行うものであり、例えば、センサー部40からの脈波検出信号や体動センサー部170からの体動検出信号などに対して信号処理を行う。例えば信号処理部210は体動ノイズ低減部212を含む。体動ノイズ低減部212は、体動センサー部170からの体動検出信号に基づいて、脈波検出信号から、体動に起因したノイズである体動ノイズを低減(除去)する処理を行う。具体的には、例えば適応フィルターなどを用いたノイズ低減処理を行う。
拍動情報演算部220は、信号処理部210からの信号等に基づいて、拍動情報の演算処理を行う。拍動情報は例えば脈拍数などの情報である。具体的には、拍動情報演算部220は、体動ノイズ低減部212でのノイズ低減処理後の脈波検出信号に対してFFT等の周波数解析処理を行って、スペクトルを求め、求めたスペクトルにおいて代表的な周波数を心拍の周波数とする処理を行う。求めた周波数を60倍にした値が、一般的に用いられる脈拍数(心拍数)となる。なお、拍動情報は脈拍数そのものには限定されず、例えば脈拍数を表す他の種々の情報(例えば心拍の周波数や周期等)であってもよい。また、拍動の状態を表す情報であってもよく、例えば血液量そのものを表す値を拍動情報としてもよい。
報知制御部230は報知部260を制御する。報知部260(報知デバイス)は、報知制御部230の制御により、ユーザーに各種の情報を報知する。報知部260としては例えば報知用の発光部を用いることができる。この場合には報知制御部230はLEDに流れる電流を制御することで、発光部の点灯、点滅等を制御する。なお報知部260は、LCD等の表示部やブザー等であってもよい。
また報知制御部230は振動発生部180の制御を行う。振動発生部180は、振動により各種の情報をユーザーに報知するものである。振動発生部180は例えば振動モーター(バイブレーター)により実現できる。振動モーターは、例えば、偏芯した錘を回転させることで振動を発生する。具体的には駆動軸(ローター軸)の両端に偏心した錘を取り付けてモーター自体が揺れるようにする。振動発生部180の振動は報知制御部230により制御される。なお振動発生部180はこのような振動モーターには限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばピエゾ素子などにより振動発生部180を実現してもよい。
振動発生部180による振動により、例えば電源オン時のスタートアップの報知、初回の脈波検出の成功の報知、脈波が検出できない状態が一定時間続いた時の警告、脂肪燃焼ゾーンの移動時の報知、電池電圧低下時の警告、起床アラームの通知、或いはスマートフォン等の端末装置からのメールや電話等の通知などが可能になる。なお、これらの情報は、報知用の発光部により報知してもよいし、振動発生部180、発光部の両者で報知してもよい。
通信部250は、図12で説明したように外部の端末装置420との通信処理を行う。例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの規格にしたがった無線通信の処理を行う。具体的には通信部250は、アンテナ252からの信号の受信処理や、アンテナ252への信号の送信処理を行う。この通信部250の機能は通信用のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。
4.2 センサー部の構成例
図14(A)にセンサー部40の詳細な構成例を示す。センサー部40は、受光部140と発光部150を有する。これらの受光部140と発光部150は、基板160(センサー基板)に実装されている。受光部140は、被検体からの光(反射光、透過光等)を受光する。発光部150は、被検体に対して光を出射する。例えば発光部150が光を被検体に出射し、その光が被検体(血管)により反射されると、受光部140が、その反射光を受光して検出する。受光部140は、例えばフォトダイオード等の受光素子により実現できる。発光部150は、例えばLED等の発光素子により実現できる。例えば受光部140は、半導体の基板に形成されたPN接合のダイオード素子などにより実現できる。この場合に、受光角度を絞るための角度制限フィルターや受光素子に入射する光の波長を制限する波長制限フィルターを、このダイオード素子上に形成してもよい。
脈拍計を例にとると、発光部150からの光は、被検体の内部を進み、表皮、真皮及び皮下組織等で拡散又は散乱する。その後、この光は、血管(被検出部位)に到達し、反射される。この際に、光の一部は血管により吸収される。そして、脈拍の影響により血管での光の吸収率が変化し、反射光の光量も変化するため、受光部140がこの反射光を受光して、その光量の変化を検出することで、生体情報である脈拍数等を検出できるようになる。
受光部140と発光部150との間には遮光用部材70(遮光壁100)が設けられている。この遮光用部材70は、例えば発光部150からの光が受光部140に直接入射されるのを遮光する。
またセンサー部40には絞り部80(80−1、80−2)が設けられている。絞り部80は、被検体とセンサー部40の間の光路において、被検体からの光を絞ったり、発光部150からの光を絞る。図14(A)では、絞り部80は、透光部材50とセンサー部40の間に設けられている。但し、絞り部80を透光部材50と被検体との間や透光部材50内に設けてもよい。また遮光用部材70と絞り部80を、例えば金属を板金加工することで一体形成してもよい。
透光部材50は、生体情報検出装置の被検体に接触する側の面に設けられ、被検体からの光を透過する。また透光部材50は、被検体の生体情報の測定時に、被検体に接触する。例えば透光部材50の凸部52(検出窓)が被検体に接触する。なお凸部52の表面形状は、曲面形状(球面形状)であることが望ましいが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用できる。また、透光部材50は被検体からの光の波長に対して透明であればよく、透明な材料を用いてもよいし、有色の材料を用いてもよい。
透光部材50の凸部52の周囲には、押圧変動等を抑制するための溝部54が設けられている。また、透光部材50において凸部52が設けられる側の面を第1の面とした場合に、透光部材50は、その第1の面の裏側の第2の面において凸部52に対応する位置に、凹部56を有している。この凹部56のスペースに、受光部140、発光部150、遮光用部材70、絞り部80が設けられている。
また生体情報検出装置の被検体側の面には、凸部52が被検体(手首の肌)に与える押圧を抑制する押圧抑制部58が設けられている。図14(A)では押圧抑制部58は、透光部材50の凸部52を囲むように設けられている。
そして図14(A)では、生体情報検出装置の被検体側の面に直交する方向での凸部52の高さをHA(例えば凸部52の曲面形状の頂点の高さ)とし、押圧抑制部58の高さをHB(例えば最も高い場所での高さ)とし、高さHAから高さHBを減じた値(高さHAとHBの差)をΔhとした場合に、Δh=HA−HB>0の関係が成り立っている。例えば、凸部52は、押圧抑制部58から被検体側に、Δh>0となるように突出している。即ち、凸部52は、押圧抑制部(押圧抑制面)58よりも、Δhの分だけ被検体側に突出している。
このように、Δh>0となる凸部52を設けることで、例えば静脈消失点を超えるための初期押圧を被検体に対して与えることが可能になる。また、凸部52が被検体に与える押圧を抑制するための押圧抑制部58を設けることで、生体情報検出装置により生体情報の測定を行う使用範囲において、押圧変動を最小限に抑えることが可能になり、ノイズ成分等の低減を図れる。また、Δh>0となるように凸部52が押圧抑制部58から突出していれば、凸部52が被検体に接触して初期押圧を与えた後に、押圧抑制部58が被検体に接触して、凸部52が被検体に与える押圧を抑制できるようになる。ここで静脈消失点とは、被検体に凸部52を接触させ押圧を次第に強くした時に、脈波信号に重畳された静脈に起因する信号が消失、または脈波測定に影響しない程度に小さくなる点のことである。
例えば図14(B)では、横軸は、生体情報検出装置の荷重機構(バンド部やバックル部等で構成される機構)が発生する荷重を表しており、縦軸は、凸部52が被検体に与える押圧(血管にかかる圧力)を表している。そして凸部52の押圧を発生させる荷重機構による荷重に対する凸部52の押圧の変化量を押圧変化量としたとする。この押圧変化量は、荷重に対する押圧の変化特性の傾きに相当する。
この場合に押圧抑制部58は、荷重機構の荷重が0〜FL1となる第1の荷重範囲RF1での押圧変化量VF1に対して、荷重機構の荷重がFL1よりも大きくなる第2の荷重範囲RF2での押圧変化量VF2が小さくなるように、凸部52が被検体に与える押圧を抑制する。即ち、初期押圧範囲である第1の荷重範囲RF1では、押圧変化量VF1を大きくする一方で、生体情報検出装置の使用範囲である第2の荷重範囲RF2では、押圧変化量VF2を小さくする。
つまり、第1の荷重範囲RF1では、押圧変化量VF1を大きくして、荷重に対する押圧の変化特性の傾きを大きくしている。このような変化特性の傾きが大きな押圧は、凸部52の飛び出し量に相当するΔhにより実現される。即ち、Δh>0となる凸部52を設けることで、荷重機構による荷重が少ない場合であっても、静脈消失点を超えるのに必要十分な初期押圧を、被検体に対して与えることが可能になる。
一方、第2の荷重範囲RF2では、押圧変化量VF2を小さくして、荷重に対する押圧の変化特性の傾きを小さくしている。このような変化特性の傾きが小さな押圧は、押圧抑制部58による押圧抑制により実現される。即ち、凸部52が被検体に与える押圧を、押圧抑制部58が抑制することで、生体情報検出装置の使用範囲では、荷重の変動等があった場合にも、押圧の変動を最小限に抑えることが可能になる。これにより、ノイズ成分の低減等を図れる。
このように、最適化された押圧(例えば16kPa程度)が被検体に与えられるようにすることで、より高いM/N比(S/N比)の脈波検出信号を得ることが可能になる。即ち、脈波センサーの信号成分を増加させると共に、ノイズ成分を低減できる。ここでMは脈波検出信号の信号レベルを表し、Nはノイズレベルを表す。
また、脈波測定に使用する押圧の範囲を、第2の荷重範囲RF2に対応する範囲に設定することで、最小限の押圧変動(例えば±4kPa程度)に抑えることが可能になり、ノイズ成分を低減できる。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また光検出ユニット、生体情報検出装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。