以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、生体情報等の検出装置では、光検出ユニットにおいて高品位の信号を検出する必要がある。そしてそのためには、高性能な発光部(例えばLED)を用いることが有効である。発光部の性能評価の観点は種々考えられるが、ここでは輝度が高く、光束角度が狭いものを想定している。このような発光部であれば、強い光をより限定された範囲に対して照射するため、例えば生体等で反射された反射光の強度も強くなり、結果として受光部で受光する光の強度を強くすることが可能である。
しかし、このような発光部は、比較的性能の低い発光部に比べてサイズが大きくなってしまう。特に、基板面に対して垂直な方向を高さ方向とした場合、高さが高くなる。図1(A)、図1(B)に比較例の光検出ユニットの例を示す。
図1(A)は第1の比較例の光検出ユニットの側面図(断面図)であり、図1(B)は第2の比較例の光検出ユニットの断面図を示す。第2の比較例は第1の比較例に比べて、高性能な発光部を設けた例である。図1(A)、図1(B)に示したように、いずれの場合においても、光検出ユニットは、基板161と、受光部140と、発光部150と、遮光用部材70が設けられる。なお、図1(A)等では遮光用部材70のうち遮光壁100を図示しているが、遮光用部材70が絞り部等を含んでもよい。遮光用部材70は、発光部150から受光部140への直接光や、外乱光を遮蔽することで、検出信号におけるノイズを抑止するものである。
また、図1(A)、図1(B)のいずれの発光部150も、レンズ151と、発光素子が封入される封入部153と、封入部153の台座となる台座部155を含む。ただし、上述したように比較的性能の低い図1(A)に比べて、高性能な図1(B)の発光部150はサイズが大きく、特に高さが高い。ここで高さとは、基板面に交差する方向(狭義には直交する方向)での長さを表す。
そのため、図1(A)に示した第1の比較例においても、レンズ部151を有さない発光部を用いる例に比べれば高さが高くなってしまうところ、図1(B)に示した第2の比較例の発光部150ではさらに高さが高くなってしまう。これによるデメリットは大きく2点考えられる。第1に、光検出ユニット(及び当該光検出ユニットを含む機器)が厚みを持ってしまうため、小型化が困難になるという点である。図11(A)等を用いて後述するように、光検出ユニットを含む生体情報検出装置は、腕時計型等のウェアラブル機器が想定される。この場合、ユーザーは計測期間中は機器を継続して装着する必要があるため、ユーザーに不快感を与えない、或いはユーザーの行動を阻害しないという観点から、小型化が困難なことは大きな問題となる。
第2に、発光部150と受光部140の高さの差が大きくなってしまう点である。光検出ユニットをどれだけ対象物(光を照射する対象であり狭義には生体)に近づけられるかは、光検出ユニットのうち最も高い部分に依存する。つまり、発光部150の高さが高くなり、受光部140の高さと差ができすぎてしまうと、光検出ユニットをどれだけ対象物に近づけたとしても、受光部140が十分対象物に近づくことができない。結果として、対象物での反射光が受光部140に受光するまでの光路が長くなり、受光部140での検出信号のレベルが低下してしまう。
ここで、受光部140に台座となる部分を設ける等、受光部140を高くすれば高さの差による問題は解決できる。しかしその場合であっても、光検出ユニットを小型化できないという課題には対応できない。
また、上記2点の課題だけでなく、遮光用部材70を設ける必要があるとの課題も生じる。本実施形態の光検出ユニットでは、発光部150から対象物(例えば被検体)に照射され、当該対象物により反射された反射光を受光部140で検出することを想定している。つまり、発光部150から受光部140への直接光はノイズに寄与することになるため、特許文献3等の従来手法や、図1(A)、図1(B)で示した比較例1,2においては、少なくとも当該直接光を遮光する遮光用部材70を設ける必要があった。
遮光用部材70が必須の場合、部品点数が増えることになる。また、図8を用いて後述するように発光部150と受光部140との間の距離はある程度近いことが好ましいが、遮光用部材70(特に遮光壁100)が存在することで、その距離を十分に近づけられないおそれもあった。
そこで本出願人は、発光部150が設けられる基板と、受光部140が設けられる基板を分ける手法を提案する。具体的には、本実施形態に係る光検出ユニットは、図2に示したように、対象物に対して光を射出する発光部150と、対象物からの光を受光する受光部140と、発光部150が実装される第1の基板160と、受光部140が実装される第2の基板161を含む。そして、第1の基板160に対して対象物とは反対側に設定された基準面からの、第1の基板の高さをh1とし、基準面からの第2の基板161の高さをh2とした場合に、h2>h1となる。
ここで基準面とは高さを考える際の基準となる面であり、ここでは第1の基板160に対して、対象物側(光が射出される方向であり、図2であれば上側)とは反対側(図2であれば下側)に設定される。ここでの基準面は狭義には第1の基板160と平行な面である。或いは、光検出ユニットが組み込まれる機器(生体情報検出装置)が、対象物に接触する面と、裏側の面(LCD側)を有するときに、基準面は当該裏側の面とすることができる。生体情報検出装置が後述する図11(A)、図11(B)であれば、基準面は発光窓部32が設けられる面、或いは当該面に基づいて決定される平面とすればよい。
或いは、第1の基板160の発光部150が実装される面を第1の面(図3のSF11)とし、第1の基板160の第1の面SF11の裏面を第2の面(図3のSF12)とし、第1の面SF11から第2の面SF12への方向を第1の方向(図3のDR1)とした場合に、基準面は、第2の面SF12よりも第1の方向DR1側に位置し、且つ第2の面SF12と平行な面であってもよい。
このようにすれば、第1の基板160の各面に基づいて、基準面を設定することが可能になる。この場合の基準面は、図3に示す面となる。なお、基準面の位置に何らかの部材が配置される必要はなく、基準面が仮想的な面であってもよい。
また、h1,h2の説明図が図3であり、図3に示したような基準面が設定された場合、h1とh2はそれぞれ図示した距離に対応する。なお、図3では第1の基板160、第2の基板161までの高さとして、各基板の有する2つの面のうち、対象物側(基準面から遠い側)の面までの距離を用いた例を示している。対象物側の面とは、第1の基板160では上述した第1の面SF11であり、第2の基板161では、図3のSF21に示した面であり、狭義には受光部140が実装される面となる。
このようにすれば、第1の基板160と第2の基板161とで、基板面からの高さがそもそも異なる。そのため、h2>h1、すなわち発光部150側の第1の基板160を、受光部140側の第2の基板161よりも低くしておけば、当該高さの差により、発光部150と受光部140の高さの差を吸収することができる。この場合、高さ方向に複数の基板が設けられる(或いは図7を用いて後述するように、1枚の基板が多重となるように折り曲げられる)ため、光検出ユニット単体での小型化という点での効果は極端に大きくない。しかし、第1の基板160及び第2の基板161には、他の素子を配置可能であるため、上記以外の素子を追加する場合の光検出ユニット、或いは、光検出ユニットを含む生体情報検出装置として考えた場合には、効率的な素子配置が可能になり、全体としての小型化が可能である。
なお、基準面からの第1の基板160の高さh1と、第2の基板161の高さh2との相対的な関係は、第1の基板160と第2の基板161の位置関係が確定しなければ考えることができない。本実施形態でいうh1やh2は、例えば第1の基板160と第2の基板161(及び発光部150や受光部140)が、光検出ユニットとして実装された状態における基準面からの高さとすればよい。具体的には、本実施形態に係る光検出ユニットが図11(A)〜図12に示したように生体情報検出装置に組み込まれる場合であれば、h1やh2は、第1の基板160と第2の基板161が生体情報検出装置に組み込まれ、固定された状態での基準面からの高さを表すことになる。
この際、図4に示すように、第2の基板161は、発光部150から受光部140への直接光(図4におけるLA)を遮蔽するように、位置関係を設定するとよい。
このようにすれば、図1(A)や図1(B)に示したような遮光壁100を設けずとも、第2の基板161自体を用いて直接光を遮蔽することが可能になる。そのため、部品点数を削減したり、発光部150と受光部140の基板面に沿った方向での距離を小さくすること等が可能になる。
なお、本実施形態の光検出ユニットでは、直接光だけでなく、外部から進入してくる光や、対象物以外により反射された反射光もノイズ要因となり得る。よって、遮光壁100を設けないとした場合であっても、それらの外乱光を遮光する遮光用部材70を設けることは妨げられない。
以下、本実施形態について詳細に説明する。具体的には、まず光検出ユニットの構成例について説明し、その後、発光部150と受光部140の間の距離と関連づけて、受光部140を複数設ける実施形態について説明する。最後に、光検出ユニットを含む生体情報検出装置の具体例を説明する。
2.光検出ユニット
図2を用いて上述したように、本実施形態の光検出ユニットは、受光部140と、発光部150と、発光部150が実装される第1の基板160と、受光部140が実装される第2の基板161を含む。
発光部150は、対象物(被検体等)に対して光を出射し、受光部140は、対象物からの光を受光する。例えば発光部150が光を出射し、その光が対象物により反射されると、受光部140が、その反射光を受光する。受光部140は、例えばフォトダイオード等の受光素子により実現できる。発光部150は、例えばLED等の発光素子により実現できる。例えば受光部140は、半導体の基板に形成されたPN接合のダイオード素子などにより実現できる。この場合に、受光角度を絞るための角度制限フィルターや受光素子に入射する光の波長を制限する波長制限フィルターを、このダイオード素子上に形成してもよい。
脈拍計などの生体情報検出装置に適用した場合を例にとると、発光部150からの光は、対象物である被検体の内部を進み、表皮、真皮及び皮下組織等で拡散又は散乱する。その後、この光は、血管(被検出部位)に到達し、反射される。この際に、光の一部は血管により吸収される。そして、脈拍の影響により血管での光の吸収率が変化し、反射光の光量も変化するため、受光部140がこの反射光を受光して、その光量の変化を検出することで、生体情報である脈拍数等を検出できるようになる。
なお発光部150に設けられるドーム型レンズ151(広義には集光レンズであり、以下ではレンズ部とも記載する)は、発光部150に樹脂封止(光透過樹脂で封止)されるLEDチップ(広義には発光素子チップであり、以下では発光素子とも記載する)からの光を集光するためのレンズである。即ち、表面実装型の発光部150では、LEDチップがドーム型レンズ151の下方に配置されており、LEDチップからの光は、ドーム型レンズ151により集光されて対象物に出射される。これにより光検出ユニットの光学的な効率を向上できる。
なお、レンズ部151の有無による光検出ユニットの検出信号のレベル(ここでは脈信号のACパワー)の違いを図5に示す。ここでは、異なる3人のユーザーのそれぞれについて、レンズ部151を有する場合とレンズ部151を有さない場合での信号レベルを測定した。図5から明らかなように、信号レベルの向上度合いに差はあるものの、いずれのユーザーについてもレンズ部151を設けた方が信号レベルが改善されることが確認された。
図3を用いて上述したように、本実施形態の光検出ユニットの各部の相対的な位置関係は基準面から第1の基板160までの高さh1と、基準面から第2の基板161までの高さh2により規定される。ただし、位置関係を規定する条件はh1,h2によるものに限定されず、他の条件を用いて位置関係を規定してもよい。
例えば、図3に示したように基準面からの発光部150の高さをh3とし、基準面からの受光部の高さをh4としたときに、h4>h3となるように、光検出ユニットの各部の相対的な位置関係を決定してもよい。
ここで、h3は基準面から発光部150のうちの所与の基準点までの距離を考えればよく、同様に、h4は基準面から受光部140のうちの所与の基準点までの距離を考えればよい。ただし、第2の基板161に直接光を遮光する遮光用部材としての役割を持たせるのであれば、上記発光部150の所与の基準点を、発光部150のうちの光の照射される位置とし、上記受光部140の所与の基準点を、受光部140のうちの光の受光される位置とするとよい。
このようにすれば、図3に示したように、基準面に対して発光部150を受光部140よりも低い位置(図3でいう下側)に設けることが可能になる。そのため、発光部150から受光部140への直接光を第2の基板161により遮光するという条件を満足することが容易となる。特に、h3,h4を上述したように、光の照射点、受光点を基準に設定すれば、直接光は必ず低い位置から高い位置へ向かう方向(図4等でいう下から上への方向)となる。その場合、当該直接光は受光部140より低い位置となる第2の基板161により遮光される可能性が非常に高くなり、遮光壁100を設けずとも直接光が問題となる可能性を抑止できる。
図5を用いて上述したように、発光部150にレンズ部151を設けることで、光検出ユニットの光学的な性能の向上が期待できる。そのため、発光部150は図2等に示したように、光を集光するレンズ部151と、発光素子が封入される封入部153と、封入部153の台座となる台座部155とを有してもよい。その場合、発光部150の高さh3は、基準面からのレンズ部151の高さとすればよい。
上述したように、h3を決定する発光部150内の位置は、光の照射される点とするとよい。そして、レンズ部151が設けられる発光部150においては、当該光の照射される点とはレンズ部151となるのであるから、発光部150の高さh3を、基準面からのレンズ部151の高さとすることで、適切な相対位置関係を設定することが可能になる。
また、基準面からの高さとは異なる観点から、光検出ユニットの各部の相対的な位置関係を規定してもよい。例えば図6に示すように、光検出ユニットを含む機器が、対象物である被検体に装着された状態において、第1の基板160から対象物までの距離をd1とし、第2の基板161から対象物までの距離をd2とした場合に、d1>d2となるような位置関係を用いてもよい。
ここで、光検出ユニットを含む機器として、図11(A)等を用いて後述する生体情報検出装置を例にとって説明する。この場合、機器が被検体に装着された状態とは、図13に示すように、バンド部10を用いて、機器がユーザーの手首に固定された状態に対応する。
図11(A)の生体情報検出装置は、図15(A)を用いて後述するように、透光部材50により形成される凸部52が被検体に押しつけられることで、当該被検体に対して適切な押圧を付加する。つまり装着状態では、光検出ユニットと被検体との位置関係は図6に示したようになる。ここで第1の基板160と被検体の距離d1をどのように設定するかは種々の手法が考えられるが、一例としては図6に示したように、第1の基板160のうち発光部150が実装される点から、第1の基板160に垂直な方向での直線が被検体(凸部52と被検体の境界)と交差する点までの距離をd1とすればよい。同様に、第2の基板161のうち受光部140が実装される点から、第2の基板161に垂直な方向での直線が被検体と交差する点までの距離をd2とする。ただし、生体情報検出装置と被検体の接触の仕方や、d1,d2の設定の仕方は種々の変形実施が可能である。
図6からわかるように、装着状態での距離d1,d2を用いても、第1の基板160と第2の基板161の高さ(基板に垂直な方向での位置)に差を設けることが可能である。
また、第1の基板160と第2の基板161は、異なる2枚の基板であってもよいが、これには限定されない。例えば図7に示すように、第1の基板160と、第2の基板161は、フレキシブル基板により一体形成されてもよい。
このようにすれば、1枚の基板を用いて、発光部150と受光部140に高さの差を設けることが可能になる。なお、上記基板は、全体が屈曲可能なフレキシブル基板であってもよいし、フレキシブル基板とリジッド基板を一体化したリジッドフレキシブル基板であってもよい。リジッドフレキシブル基板を用いる場合、発光部150が設けられる第1のリジッド部と、受光部140が設けられる第2のリジッド部との間に、屈曲可能なフレキシブル部が設けられる構造を用いることが考えられる。
3.発光部−受光部間距離
図8は、発光部150と受光部140の間の距離LDと信号強度の関係を示す図である。ここで信号強度は、本実施形態の光検出ユニットが適用される検出装置の検出信号の強度である。例えば後述するような脈波等の生体情報の検出装置に光検出ユニットを適用した場合には、脈波等の生体情報検出信号の強度である。また発光部150と受光部140の間の距離LDは、例えば発光部150、受光部140の中心位置(代表位置)の間の距離である。例えば受光部140が矩形形状(略矩形形状)である場合には、受光部140の位置は、この矩形形状の中心位置である。また発光部150が前述のようなドーム型レンズ151を有する場合には、発光部150の位置は、例えばドーム型レンズ151の中心位置(LEDチップの位置)である。
図8から明らかなように発光部150と受光部140の距離LDが近いほど、検出信号の信号強度が高くなり、感度等の検出性能が向上する。従って、発光部150と受光部140の距離LDは近ければ近いほど望ましい。
この点、本実施形態では第2の基板161により直接光を遮蔽することができる。従って、遮光壁100設けなくてもよい分だけ、発光部150と受光部140の距離LDを近づけることが可能となり、図8から明らかなように検出装置の検出性能を向上できる。
この場合に図8に示すように、受光部140と発光部150の間の距離はLD<3mmであることが望ましい。例えば図8の特性曲線G1における、距離が大きい側の接線G2から明らかなように、LD≧3mmとなる範囲では、特性曲線G1が飽和している。これに対して、LD<3mmの範囲では、距離LDが短くなるにつれて、信号強度が大きく増加している。従って、この意味においてLD<3mmであることが望ましい。
更に、距離LDについてはLD<2.5mmであることが望ましい。例えば距離が大きい側の接線G2と小さい側の接線G3の関係から理解されるように、距離がLD<2.5mm(2.4mm)となる範囲で、距離に対する信号強度の増加率が更に高くなっている。従って、この意味においてLD<2.5mmであることが更に望ましい。
そして図2等に示す本実施形態の光検出ユニットでは、例えば距離LDはLD=2.0mm程度となっている。従って、図8に示すように、LD≧3mmとなる従来の光検出ユニットに比べて、検出性能を大幅に向上できる。
また距離LDについては下限値も存在し、距離LDを近づけすぎることも望ましくない。例えば図9は、本実施形態の光検出ユニットを脈波等の生体情報の検出装置に適用した場合について示す図である。この場合には、発光部150からの光は、被検体の血管等で拡散又は散乱し、その光が受光部140に入射されて、脈波が検出される。そして図9において、発光部150と受光部140の間の距離LDと、深さ方向での測定距離LBとの間には、LD=2×LBの関係が一般的に成り立つ。例えば距離LDだけ離れた発光部150と受光部140からなる光検出ユニットによる測定限界距離は、LB=LD/2程度となる。そして距離LBが例えば100μm〜150μmとなる範囲には、脈波の検出対象物となる血管は存在しない。従って、距離LDが、LD≦2×LB=2×100μm〜2×150μm)=0.2mm〜0.3mmになると、脈波の検出信号が極めて小さくなることが予想される。即ち、距離LDが近くなると、それに伴い深さ方向での測定距離LBも小さくなり、その距離LBの範囲に検出対象物が存在しないと、検出信号が極めて小さくなってしまう。つまり、距離LDは近いほどが検出性能は向上するが、それにも限界があり、下限値が存在する。従って、この意味においてLD>0.3mmであることが望ましい。即ち、0.3mm<LD<2.5mm(或いは0.3mm<LD<3.0mm)であることが望ましい。
また、以上で説明した、発光部150と受光部140との距離LDと、深さ方向での測定距離LBとの関係を利用して、検出信号のノイズ低減処理(ノイズ除去処理)を行ってもよい。上述したように、信号検出用の受光部140については、0.3mm<LD<2.5mm(或いは0.3mm<LD<3.0mm)であることが望ましい。
しかし、受光部140で検出した信号には、体動に起因する体動ノイズ等、種々のノイズが含まれることになり、精度のよい処理を行うためには、それらのノイズを低減することが好ましい。ここでは、上述したようにLD<0.3mm、或いは、LD>3.0mmの範囲では表皮或いは皮下組織の情報を検出してしまい、所望の血管に関する情報を取得できないことを利用して、上記の受光部140とは異なる第2の受光部141によりノイズ信号を検出する。
具体的には、受光部140では、0.3mm<LD<2.5mm(或いは0.3mm<LD<3.0mm)とすることで所望の血管に起因する信号を取得しつつ、第2の受光部141では、LD<0.3mm、或いは、LD>3.0mmとすることでノイズ信号を取得する。このようにした場合、受光部140で検出した信号成分のうち、第2の受光部141においても検出した信号成分は、本来検出すべきでないノイズ成分であるという判定ができる。よって、当該ノイズ成分を受光部140の検出信号から除外することで、ノイズ低減処理を行うことが可能である。
この場合の第2の受光部141の配置は種々の手法が考えられる。例えば図10(A)に示した例では、光検出ユニットはノイズ低減用の検出信号を出力する第2の受光部141をさらに含み、第2の受光部141は、第2の基板161に実装されている。
この際、図10(A)に示したように、発光部150と受光部140との距離をL1とし、発光部150と第2の受光部141との距離をL2とした場合に、L1<L2であってもよい。ここで、L1やL2は、発光部150と、受光部140又は第2の受光部141の直線距離であってもよいし、図10(A)に示すように、第1の面(或いはそれに平行な面)に射影した状態での距離でもよい。
脈成分を検出する受光部140での検出信号の感度を高めることを考えた場合、発光部150から受光部140までの距離は上記の条件を満たしつつ、できるだけ小さくして、光路長を短くすることが好ましい。その場合、L2<L1としてしまうと、発光部150と受光部140の間に第2の受光部141が実装される可能性があり、発光部150と受光部140との距離L1を小さくすることが難しい。よって複数の受光部を第2の基板161に配置する場合には、図10(A)に示したようにL1<L2とするとよい。
ただし、受光部140で主として血管に関する情報を取得し、第2の受光部141でノイズ成分を検出するのであれば、上記のLDの条件を考慮すればよく、その大小関係はL1<L2に限定されるものではない。例えば、第2の受光部141を、第2の基板161上であり、且つ受光部140よりも発光部150に近い位置に設ける(L2<L1)ものとしてもよい。
また、図10(B)に示したように、光検出ユニットはノイズ低減用の検出信号を出力する第2の受光部141をさらに含み、第2の受光部141は、第1の基板160に実装されていてもよい。
図10(B)ではL2<L1としたが、図10(A)の場合と同様に、L2>L1とする変形実施が可能である。なお、図10(A)の場合、受光部140と第2の受光部141がともに第2の基板161に実装されるため、発光部150から受光部140への直接光と、発光部150から第2の受光部141への直接光はともに第2の基板161で遮光可能であり、遮光壁100を設けなくてもよい。しかし図10(B)では、第2の受光部141が第1の基板160に実装されるため、発光部150から第2の受光部141への直接光は第2の基板161で遮光することが難しい。よって、図10(B)に示したように、発光部150から第2の受光部141への直接光を遮光する遮光用部材70(遮光壁100)を別途設けることを考えるとよい。
4.生体情報検出装置
4.1 生体情報検出装置の全体構成例
図11(A)、図11(B)、図12に本実施形態の生体情報検出装置(生体情報測定装置)の外観図を示す。図11(A)は生体情報検出装置を正面方向側から見た図であり、図11(B)は上方向側から見た図であり、図12は側面方向側から見た図である。
図11(A)〜図12に示すように本実施形態の生体情報検出装置はバンド部10とケース部30とセンサー部40を有する。ケース部30はバンド部10に取り付けられる。センサー部40は、ケース部30に設けられる。また生体情報検出装置は後述する図14に示すように処理部200を有する。処理部200は、ケース部30に設けられ、センサー部40からの検出信号に基づいて生体情報を検出する。なお、本実施形態の生体情報検出装置は図11(A)〜図12の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
なお、上述してきた光検出ユニットは、センサー部40に含まれることになる。例えばセンサー部40は、図15(A)を用いて後述するように、第1の基板160と、第2の基板161と、発光部150と、受光部140を有する光検出ユニットと、他の部材とから構成される。図15(A)の例であれば、他の部材とは、透光部材50により実現される凸部52、溝部54、凹部56、押圧抑制部58等である。ただし、本実施形態に係る光検出ユニットがそれらの部材を含む、即ち、センサー部40全体が、光検出ユニットに対応する等の変形実施も可能である。
バンド部10はユーザーの手首に巻き付けて生体情報検出装置を装着するためのものである。バンド部10はバンド穴12、バックル部14を有する。バックル部14はバンド挿入部15と突起部16を有する。ユーザーは、バンド部10の一端側を、バックル部14のバンド挿入部15に挿入し、バンド部10のバンド穴12にバックル部14の突起部16を挿入することで、生体情報検出装置を手首に装着する。この場合、どのバンド穴12に突起部16を挿入するかに応じて、後述するセンサー部40の押圧(手首表面に対する押圧)の大きさが調整される。
ケース部30は、生体情報検出装置の本体部に相当するものである。ケース部30の内部には、センサー部40、処理部200等の生体情報検出装置の種々の構成部品が設けられる。即ち、ケース部30は、これらの構成部品を収納する筐体である。このケース部30は例えばトップケース34とボトムケース36を有する。なおケース部30は、トップケース34とボトムケース36に分離される態様のものでなくてもよい。
ケース部30には発光窓部32が設けられている。発光窓部32は透光部材により形成されている。そしてケース部30には、フレキシブル基板71に実装された発光部72(LED、光検出ユニットの発光部150とは異なる報知用の発光部)が設けられており、この発光部72からの光が、発光窓部32を介してケース部30の外部に出射される。
図12に示すようにケース部30には端子部35が設けられている。生体情報検出装置を図示しないクレードルに装着すると、クレードルの端子部とケース部30の端子部35とが電気的に接続される。これによりケース部30に設けられる二次電池(バッテリー)の充電が可能になる。
センサー部40は被検体の脈波等の生体情報を検出するものである。例えばセンサー部40は、後述する図15(A)に示すように受光部140と発光部150を有する。またセンサー部40は、透光部材により形成され、被検体の皮膚表面に接触して押圧を与える凸部52を有する。このように凸部52が皮膚表面に押圧を与えた状態で、発光部150が光を出射し、その光が被検体(血管)により反射された光を受光部140が受光し、その受光結果が検出信号として処理部200に出力される。そして処理部200は、センサー部40からの検出信号に基づいて脈波等の生体情報を検出する。なお本実施形態の生体情報検出装置の検出対象となる生体情報は、脈波(脈拍数)には限定されず、生体情報検出装置は、脈波以外の生体情報(例えば血液中の酸素飽和度、体温、心拍等)を検出する装置であってもよい。
図13は生体情報検出装置400の装着及び端末装置420との通信についての説明図である。
図13に示すように被検体であるユーザーは手首410に生体情報検出装置400を時計のように装着する。図12に示すように、ケース部30の被検体側の面にはセンサー部40が設けられている。従って、生体情報検出装置400が装着されると、センサー部40の凸部52が手首410の皮膚表面に接触して押圧を与え、その状態でセンサー部40の発光部150が光を発光し、受光部140が反射光を受光することで、脈波等の生体情報が検出される。
生体情報検出装置400と端末装置420は通信接続されて、データのやり取りが可能になっている。端末装置420は、例えばスマートフォン、携帯電話機、フューチャーフォン等の携帯型通信端末である。或いは端末装置420は、タブレット型コンピュータ等の情報処理端末であってもよい。生体情報検出装置400と端末装置420の通信接続としては、例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の近接無線通信を採用できる。このように生体情報検出装置400と端末装置420が通信接続されることで、端末装置420の表示部430(LCD等)に、脈拍数や消費カロリーなどの各種の情報を表示できる。即ち、センサー部40の検出信号に基づき求められた各種の情報を表示できる。なお脈拍数や消費カロリーなどの情報の演算処理は、生体情報検出装置400において実行してもよいし、その少なくとも一部を端末装置420において実行してもよい。
生体情報検出装置400には、発光窓部32が設けられており、報知用の発光部72の発光(点灯、点滅)により、各種の情報をユーザーに報知する。例えば脂肪燃焼ゾーンに入った場合や脂肪燃焼ゾーンから出た場合に、これを発光窓部32を介した発光部72の発光により報知する。また端末装置420においてメール等が受信されると、それが端末装置420から生体情報検出装置400に通知される。そして生体情報検出装置400の発光部が発光することで、メール等の受信がユーザーに通知される。
このように図13では、生体情報検出装置400にはLCD等の表示部が設けられておらず、文字や数字等で報知する必要がある情報は、端末装置420の表示部430に表示される。このように図13では、LCD等の表示部を設けずに、必要最小限の情報を発光部の発光によりユーザーに報知することで、生体情報検出装置400の小型化を実現している。また生体情報検出装置400に表示部を設けないことで、生体情報検出装置400の美観についても向上できる。
図14に本実施形態の生体情報検出装置の機能ブロック図を示す。図14では生体情報検出装置は、センサー部40、体動センサー部170、振動発生部180、処理部200、記憶部240、通信部250、アンテナ252、報知部260を含む。なお本実施形態の生体情報検出装置は図14の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
センサー部40は、脈波等の生体情報を検出するものであり、受光部140、発光部150を含む。これらの受光部140、発光部150等により脈波センサー(光電センサー)が実現される。センサー部40は、脈波センサーにより検出された信号を、脈波検出信号として出力する。
体動センサー部170は、種々のセンサーのセンサー情報に基づいて、体動に応じて変化する信号である体動検出信号を出力する。体動センサー部170は、体動センサーとして例えば加速度センサー172を含む。なお、体動センサー部170は、体動センサーとして圧力センサーやジャイロセンサーなどを有していてもよい。
処理部200は、例えば記憶部240をワーク領域として、各種の信号処理や制御処理を行うものであり、例えばCPU等のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。処理部200は、信号処理部210、拍動情報演算部220、報知制御部230を含む。
信号処理部210は各種の信号処理(フィルター処理等)を行うものであり、例えば、センサー部40からの脈波検出信号や体動センサー部170からの体動検出信号などに対して信号処理を行う。例えば信号処理部210は体動ノイズ低減部212を含む。体動ノイズ低減部212は、体動センサー部170からの体動検出信号に基づいて、脈波検出信号から、体動に起因したノイズである体動ノイズを低減(除去)する処理を行う。具体的には、例えば適応フィルターなどを用いたノイズ低減処理を行う。
拍動情報演算部220は、信号処理部210からの信号等に基づいて、拍動情報の演算処理を行う。拍動情報は例えば脈拍数などの情報である。具体的には、拍動情報演算部220は、体動ノイズ低減部212でのノイズ低減処理後の脈波検出信号に対してFFT等の周波数解析処理を行って、スペクトルを求め、求めたスペクトルにおいて代表的な周波数を心拍の周波数とする処理を行う。求めた周波数を60倍にした値が、一般的に用いられる脈拍数(心拍数)となる。なお、拍動情報は脈拍数そのものには限定されず、例えば脈拍数を表す他の種々の情報(例えば心拍の周波数や周期等)であってもよい。また、拍動の状態を表す情報であってもよく、例えば血液量そのものを表す値を拍動情報としてもよい。
報知制御部230は報知部260を制御する。報知部260(報知デバイス)は、報知制御部230の制御により、ユーザーに各種の情報を報知する。報知部260としては例えば報知用の発光部72を用いることができる。この場合には報知制御部230はLEDに流れる電流を制御することで、発光部の点灯、点滅等を制御する。なお報知部260は、LCD等の表示部やブザー等であってもよい。
また報知制御部230は振動発生部180の制御を行う。振動発生部180は、振動により各種の情報をユーザーに報知するものである。振動発生部180は例えば振動モーター(バイブレーター)により実現できる。振動モーターは、例えば、偏芯した錘を回転させることで振動を発生する。具体的には駆動軸(ローター軸)の両端に偏心した錘を取り付けてモーター自体が揺れるようにする。振動発生部180の振動は報知制御部230により制御される。なお振動発生部180はこのような振動モーターには限定されず、種々の変形実施が可能である。例えばピエゾ素子などにより振動発生部180を実現してもよい。
振動発生部180による振動により、例えば電源オン時のスタートアップの報知、初回の脈波検出の成功の報知、脈波が検出できない状態が一定時間続いた時の警告、脂肪燃焼ゾーンの移動時の報知、電池電圧低下時の警告、起床アラームの通知、或いはスマートフォン等の端末装置からのメールや電話等の通知などが可能になる。なお、これらの情報は、報知用の発光部72により報知してもよいし、振動発生部180、発光部の両者で報知してもよい。
通信部250は、図13で説明したように外部の端末装置420との通信処理を行う。例えばブルートゥース(Bluetooth(登録商標))などの規格にしたがった無線通信の処理を行う。具体的には通信部250は、アンテナ252からの信号の受信処理や、アンテナ252への信号の送信処理を行う。この通信部250の機能は通信用のプロセッサー或いはASICなどの論理回路により実現できる。
4.2 センサー部の構成例
図15(A)にセンサー部40の詳細な構成例を示す。センサー部40は、受光部140と発光部150を有する。これらの受光部140は第2の基板161(センサー基板)に実装され、発光部150は、第1の基板160(回路基板)に実装されている。受光部140は、被検体からの光(反射光、透過光等)を受光する。発光部150は、被検体に対して光を出射する。例えば発光部150が光を被検体に出射し、その光が被検体(血管)により反射されると、受光部140が、その反射光を受光して検出する。
透光部材50は、生体情報検出装置の被検体に接触する側の面に設けられ、被検体からの光を透過する。また透光部材50は、被検体の生体情報の測定時に、被検体に接触する。例えば透光部材50の凸部52(検出窓)が被検体に接触する。なお凸部52の表面形状は、曲面形状(球面形状)であることが望ましいが、これに限定されるものではなく、種々の形状を採用できる。また、透光部材50は被検体からの光の波長に対して透明であればよく、透明な材料を用いてもよいし、有色の材料を用いてもよい。
透光部材50の凸部52の周囲には、押圧変動等を抑制するための溝部54が設けられている。また、透光部材50において凸部52が設けられる側の面を第1の面とした場合に、透光部材50は、その第1の面の裏側の第2の面において凸部52に対応する位置に、凹部56を有している。この凹部56のスペースに、受光部140、発光部150が設けられている。
また生体情報検出装置の被検体側の面には、凸部52が被検体(手首の肌)に与える押圧を抑制する押圧抑制部58が設けられている。図15(A)では押圧抑制部58は、透光部材50の凸部52を囲むように設けられている。
そして図15(A)では、生体情報検出装置の被検体側の面に直交する方向での凸部52の高さをHA(例えば凸部52の曲面形状の頂点の高さ)とし、押圧抑制部58の高さをHB(例えば最も高い場所での高さ)とし、高さHAから高さHBを減じた値(高さHAとHBの差)をΔhとした場合に、Δh=HA−HB>0の関係が成り立っている。例えば、凸部52は、押圧抑制部58から被検体側に、Δh>0となるように突出している。即ち、凸部52は、押圧抑制部(押圧抑制面)58よりも、Δhの分だけ被検体側に突出している。
このように、Δh>0となる凸部52を設けることで、例えば静脈消失点を超えるための初期押圧を被検体に対して与えることが可能になる。また、凸部52が被検体に与える押圧を抑制するための押圧抑制部58を設けることで、生体情報検出装置により生体情報の測定を行う使用範囲において、押圧変動を最小限に抑えることが可能になり、ノイズ成分等の低減を図れる。また、Δh>0となるように凸部52が押圧抑制部58から突出していれば、凸部52が被検体に接触して初期押圧を与えた後に、押圧抑制部58が被検体に接触して、凸部52が被検体に与える押圧を抑制できるようになる。ここで静脈消失点とは、被検体に凸部52を接触させ押圧を次第に強くした時に、脈波信号に重畳された静脈に起因する信号が消失、または脈波測定に影響しない程度に小さくなる点のことである。
例えば図15(B)では、横軸は、生体情報検出装置の荷重機構(バンド部やバックル部等で構成される機構)が発生する荷重を表しており、縦軸は、凸部52が被検体に与える押圧(血管にかかる圧力)を表している。そして凸部52の押圧を発生させる荷重機構による荷重に対する凸部52の押圧の変化量を押圧変化量としたとする。この押圧変化量は、荷重に対する押圧の変化特性の傾きに相当する。
この場合に押圧抑制部58は、荷重機構の荷重が0〜FL1となる第1の荷重範囲RF1での押圧変化量VF1に対して、荷重機構の荷重がFL1よりも大きくなる第2の荷重範囲RF2での押圧変化量VF2が小さくなるように、凸部52が被検体に与える押圧を抑制する。即ち、初期押圧範囲である第1の荷重範囲RF1では、押圧変化量VF1を大きくする一方で、生体情報検出装置の使用範囲である第2の荷重範囲RF2では、押圧変化量VF2を小さくする。
つまり、第1の荷重範囲RF1では、押圧変化量VF1を大きくして、荷重に対する押圧の変化特性の傾きを大きくしている。このような変化特性の傾きが大きな押圧は、凸部52の飛び出し量に相当するΔhにより実現される。即ち、Δh>0となる凸部52を設けることで、荷重機構による荷重が少ない場合であっても、静脈消失点を超えるのに必要十分な初期押圧を、被検体に対して与えることが可能になる。
一方、第2の荷重範囲RF2では、押圧変化量VF2を小さくして、荷重に対する押圧の変化特性の傾きを小さくしている。このような変化特性の傾きが小さな押圧は、押圧抑制部58による押圧抑制により実現される。即ち、凸部52が被検体に与える押圧を、押圧抑制部58が抑制することで、生体情報検出装置の使用範囲では、荷重の変動等があった場合にも、押圧の変動を最小限に抑えることが可能になる。これにより、ノイズ成分の低減等を図れる。
このように、最適化された押圧(例えば16kPa程度)が被検体に与えられるようにすることで、より高いM/N比(S/N比)の脈波検出信号を得ることが可能になる。即ち、脈波センサーの信号成分を増加させると共に、ノイズ成分を低減できる。ここでMは脈波検出信号の信号レベルを表し、Nはノイズレベルを表す。
また、脈波測定に使用する押圧の範囲を、第2の荷重範囲RF2に対応する範囲に設定することで、最小限の押圧変動(例えば±4kPa程度)に抑えることが可能になり、ノイズ成分を低減できる。
4.3 その他の詳細な構造例
以上のように本実施形態の生体情報検出装置は、バンド部10と、バンド部10に取り付けられるケース部30と、ケース部30に設けられるセンサー部40と、ケース部30に設けられ、センサー部40からの検出信号に基づいて生体情報を検出する処理部200を有する。
図16、図17はケース部30の内部構造等を示す分解図である。60は装飾用カバー、62は両面テープである。装飾用カバー60は両面テープ62によりトップケース34の外面に接着される。このような装飾用カバー60を設けることで、生体情報検出装置の美観の向上が可能になる。
71はフレキシブル基板であり、74は両面テープである。フレキシブル基板71にはLED等の発光部72が実装される。またフレキシブル基板71にはアンテナ252が設けられている。具体的にはアンテナ252の金属パターン(不図示)がフレキシブル基板71に形成される。ここで、発光部72は報知用の発光部であり、上述した光検出ユニットの発光部150とは異なる。また、フレキシブル基板71は、発光部72が実装される基板であり、上述した第1の基板160、第2の基板161のいずれとも異なることが想定される。
80は二次電池(バッテリー)であり、82は両面テープであり、84は二次電池80のホルダーである。二次電池80は両面テープによりホルダー84に接着される。
160は回路基板(メイン基板)であり、170は体動センサー部であり、180は振動発生部(振動モーター)であり、200は処理部である。体動センサー部170,処理部200は回路基板160に実装される。回路基板に第1の基板と同一の符号(160)を付したことからもわかるように、本実施形態の第1の基板160とは、例えばメイン基板として実現されてもよい。
161はセンサー基板であり、49は接続ケーブルである。センサー基板は受光部140が実装される基板であり、上述した第2の基板161に対応する。センサー基板161と回路基板160は接続ケーブル49により電気的に接続される。ただし、図7を用いて上述したようにフレキシブル基板を用いて、回路基板160とセンサー基板161が一体として形成されてもよく、その場合配線は当該基板上に設ければよい。なお90、92、96は緩衝部材である。
36はボトムケースであり、97、98はネジである。トップケース34とボトムケース36はネジ97、98によりネジ止めされる。
図16、図17に示すように、ケース部30には、処理部200が実装される回路基板160が設けられる。この回路基板160は例えばリジッド基板である。そして回路基板160とトップケース34(ケース部30の外面)との間に二次電池80が配置されている。具体的には二次電池80は、トップケース34の裏面33と回路基板160との間に設けられ、トップケース34の裏面33は曲面になっている。
二次電池80は、回路基板160(処理部200、体動センサー部170)、振動発生部180、センサー部40等に電源を供給する。例えば生体情報検出装置をクレードルに装着することで、クレードルの端子部とケース端子部35が電気的に接続され、クレードルからの電源により二次電池80が充電される。二次電池80としては例えばリチウムイオンポリマー電池等を採用できる。
本実施形態では、回路基板160とトップケース34との間に二次電池80を配置している。従って、回路基板160のDR2方向側の空きスペースを有効活用して、二次電池80を配置できる。例えばトップケース34の内面33は曲面となっているため、回路基板160のDR2方向側に比較的広い空きスペースを確保することができる。本実施形態では、この空きスペースに、体積が大きい二次電池80を配置している。これにより、ケース部30内の空間を有効活用した部品の配置が可能になり、ケース部30の薄型化や小型化等を実現できる。
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また光検出ユニット、生体情報検出装置等の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。