従来、図11のような屋根パネル1が提案されている。この屋根パネル1は、芯材2の表面に表面金属外皮3を全面にわたって設けて形成されている。また、芯材2の裏面には裏面金属外皮4が全面にわたって設けられている。屋根パネル1は縦方向に長く形成されている。屋根パネル1の表面(上面)には複数の山部5が突設されている。山部5は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって長尺に形成されている。屋根パネル1の横方向の一方の端部はかぶせ側端部6として形成され、他方の端部は敷き込み側端部7として形成されている。かぶせ側端部6にはかぶせ片8が形成されている。かぶせ片8は表面金属外皮3に一体に形成されている。かぶせ片8は芯材2の側端面よりも外側に突出して形成されている。かぶせ片8は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって設けられている。かぶせ片8の裏面(下面)にはシーリングテープ9が設けられている。シーリングテープ9は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって設けられている。敷き込み側端部7には連結部10が設けられている。連結部10は屋根パネル1の表面に突出して設けられている。連結部10は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって長尺に形成されている。敷き込み側端部7の芯材2の側端面にはパッキン11が設けられている。
そして、図12ように、複数枚の上記屋根パネル1が母屋等の屋根下地材50の上に載設され、テクス等の固定具55で屋根下地材50に固定することにより、屋根が形成される。この場合、屋根パネル1はその縦方向が屋根の傾斜方向と一致するように配設される。
横方向(屋根の傾斜方向と直交する方向)で隣接する屋根パネル1は、図6のように、一方の屋根パネル1のかぶせ側端部6と他方の屋根パネル1の敷き込み側端部7が接続される。この場合、かぶせ側端部6のかぶせ片8が敷き込み側端部7の連結部10の上にかぶさるようにする。横方向で隣接する屋根パネル1の間の防水はシーリングテープ9やパッキン11で確保している。
縦方向(屋根の傾斜方向と平行な方向)で隣接する屋根パネル1は、図12のように、屋根の傾斜方向で上に位置する屋根パネル1(以下、水上側屋根パネル20という)の下端部と、屋根の傾斜方向で下に位置する屋根パネル1(以下、水下側屋根パネル30という)の上端部とが接続される。この場合、水上側屋根パネル20の下端部には接続部21が形成される。接続部21は水上側屋根パネル20の下端部において芯材2と裏面金属外皮4とを切除して形成されるものである。従って、接続部21は表面金属外皮3の下端部で形成されている。接続部21の縦方向の寸法は約400mmに形成されている。そして、水上側屋根パネル20の接続部21が水下側屋根パネル30の上端部の表面側に重ねられて接合されることにより、水上側屋根パネル20と水下側屋根パネル30とが接続される(例えば、特許文献1参照)。
縦方向で隣接する水上側屋根パネル20と水下側屋根パネル30の間の防水は、シーリングテープ14とシーリング材15、16とパッキン17とで確保している。図13のように、シーリングテープ14は水下側屋根パネル30の上端部の表面に設けられる。シーリングテープ14は水下側屋根パネル30の横方向の全長にわたって二列に設けられている。二列のシーリングテープ14の間にはシーリング材15が水下側屋根パネル30の横方向の全長にわたって設けられている。パッキン17は、上記シーリングテープ14のさらに上方において、水下側屋根パネル30の上端部の表面に設けられる。パッキン17は水下側屋根パネル30の横方向の全長にわたって設けられている。パッキン17のさらに上方にはシーリング材16が水下側屋根パネル30の横方向の全長にわたって設けられている。そして、図14のように、水上側屋根パネル20の接続部21の裏面(下面)が、シーリングテープ14とシーリング材15、16とパッキン17に密着することによって、縦方向で隣接する水上側屋根パネル20と水下側屋根パネル30の間の防水が確保されている。
上記のようにして縦方向と横方向に屋根パネル1を接続しながら並設する場合、四枚の屋根パネル1が接続される箇所では、重ね合わされる表面金属外皮3の枚数が多くなり、この重なり部分に隙間が生じやすくなって、雨水の侵入などの防水性の低下が発生する場合がある。そこで、屋根パネル1の接続する部分において、表面金属外皮3を切除することが行われている。この場合、上記の屋根パネル1から水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20とが形成される。水下側屋根パネル30は屋根の傾斜方向における上端部(水上側の端部)が接合部31として形成されている。接合部31は水下側屋根パネル30の横方向(屋根の傾斜方向と直交する方向と同じ)の全長にわたって形成されている。接合部31は屋根パネル1の上端から約400mmの寸法で形成されている。水下側屋根パネル30は、図15に示すように、接合部31において、かぶせ片8の一部が切除されて上切除部83が形成される。
水上側屋根パネル20は、屋根の傾斜方向における下端部(水下側の端部)において、屋根パネル1の芯材2と裏面金属外皮4が切除されて形成される。そして、水上側屋根パネル20の水下側の端部に残った表面金属外皮3で接続部21が形成される。接続部21は水上側屋根パネル20の横方向の全長にわたって形成されている。接続部21は屋根パネル1の下端から約400mmの寸法で形成されている。水上側屋根パネル20は、図16に示すように、接続部21において、連結部10を構成する表面金属外皮3の一部が切除されて下切除部104が形成される。
そして、複数枚の屋根パネル1で屋根を形成するにあっては、次のようにして行う。
まず、複数枚の水下側屋根パネル30を横方向に並べて接続する。この場合、横方向で隣接する水下側屋根パネル30は、一方の水下側屋根パネル30(以下、第1の水下側屋根パネル301という)の連結部10の上に、他方の水下側屋根パネル30(以下、第2の水下側屋根パネル302という)のかぶせ片8が被せられる。この場合、かぶせ片8の裏面のシーリングテープ9は連結部10の表面(上面)に密着する。また、接合部31においては、上切除部83から連結部10が露出する。
次に、複数枚の水上側屋根パネル20を横方向に並べて配設する。この場合、水上側屋根パネル20は水下側屋根パネル30の水上側(屋根の傾斜方向とにおける上側)に配置される。水上側屋根パネル20の接続部21は水下側屋根パネル30の接合部31の表面に被せられる。ここで、接合部31における山部5の上には接続部21の表面金属外皮3の山部5に相当する部分が被さるようにする。接合部31における平坦部15の上には接続部21の表面金属外皮3の平坦部15に相当する部分が被さるようにする。複数枚の水上側屋根パネル20は横方向に順次並べて設置していく。この場合、まず、第1の水上側屋根パネル201の接続部21が第1の水下側屋根パネル301の接合部31の上に被せられる。このとき、第1の水上側屋根パネル201の接続部21の側端部は、第2の水下側屋根パネル30のかぶせ片8の上に載置される。また、第1の水上側屋根パネル201の接続部21の先端(水下側端部)211の位置は、第1の水上側屋根パネル201を屋根の傾斜方向に移動させることにより、調整することができる。第1の水上側屋根パネル201を屋根の傾斜方向に移動させることにより、隣り合う屋根下地材50の間隔の寸法誤差や、屋根パネル1の設置位置(施工位置)の誤差、屋根パネル1の縦方向の寸法誤差などを吸収することができる。そして、第1の水上側屋根パネル201の下切除部104と、第2の水下側屋根パネル302の上切除部83とが重なる場合があり、この重なり部分が隙間52として形成される。
このようにして第1の水上側屋根パネル201を配置した後、第1の水上側屋根パネル201の敷き込み側端部7の側方に、第2の水上側屋根パネル202を配置する。図17のように、第2の水上側屋根パネル202の接続部21は第2の水下側屋根パネル302の接合部31の上に被せられる。このとき、第2の水上側屋根パネル202の接続部21におけるかぶせ片8は、第1の水上側屋根パネル201の連結部10の上に被せられる。また、第2の水上側屋根パネル202の接続部21の先端(水下側端部)212と、第1の水上側屋根パネル201の接続部21の先端211とが、横方向で一直線上に並ぶようにする。これにより、複数枚の水上側屋根パネル20の水下側端部がガタガタに並ばずに、一直線に並んだ外観を形成することになる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
本実施の形態は、図1のように、屋根の傾斜方向で隣接する屋根パネル1の接続構造であって、屋根パネル1と防水パッキン16とを備えて形成されている。屋根は母屋等の屋根下地材50の上に複数枚の屋根パネル1を設置することにより形成される。屋根パネル1は雨水が流れやすいように傾けて設置されており、この傾きが屋根の傾斜方向となる。屋根は、複数枚の屋根パネル1を屋根の傾斜方向(と平行な方向)と、屋根の傾斜方向と直交する方向とに並べて形成される。屋根の傾斜方向に隣接する屋根パネル1のうち、屋根の傾斜方向で上に位置する屋根パネル1を水上側屋根パネル20という。屋根の傾斜方向に隣接する屋根パネル1のうち、屋根の傾斜方向で下に位置する屋根パネル1を水下側屋根パネル30という。通常、水上側屋根パネル20は水下側屋根パネル30の軒側に位置する。逆に、水下側屋根パネル30は水上側屋根パネル20の棟側に位置する。
屋根パネル1は、図2のように、芯材2の表面に表面金属外皮3を全面にわたって設けて形成されている。また、芯材2の裏面には裏面金属外皮4が全面にわたって設けられている。芯材2は断熱性と耐火性を備えるものが好ましく、例えば、ポリイソシアヌレートフォーム、ウレタンフォーム、フェノールフォームなどの樹脂発泡体で形成されている。芯材2の厚みは山部5の部分で70〜80mm、平坦部15の部分で30〜40mmとすることができるが、これに限定されるものではない。表面金属外皮3及び裏面金属外皮4は耐食性を備えるものが好ましく、例えば、ガルバリウム鋼板(登録商標)、塗装鋼板、塩ビ鋼板などで形成されている。表面金属外皮3及び裏面金属外皮4の板厚は0.3〜0.8mmであるが、これに限定されるものではない。
屋根パネル1は縦方向(屋根の傾斜方向と同じ)に長く形成されている。屋根パネル1の表面(上面)には複数の山部5が突設されている。山部5は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって長尺に形成されている。屋根パネル1の隣り合う山部5の間は平坦部15として形成されている。屋根パネル1の横方向の一方の端部はかぶせ側端部6として形成され、他方の端部は敷き込み側端部7として形成されている。かぶせ側端部6にはかぶせ片8が形成されている。かぶせ片8は表面金属外皮3に一体に形成されている。かぶせ片8は芯材2の側端面(かぶせ側端部の端面)よりも外側に突出して形成されている。かぶせ片8は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって設けられている。かぶせ片8の裏面(下面)にはシーリングテープ9が設けられている。シーリングテープ9は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって設けられている。敷き込み側端部7には連結部10が設けられている。連結部10は屋根パネル1の表面に突出して設けられている。連結部10は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって長尺に形成されている。敷き込み側端部7の芯材2の側端面にはパッキン11が設けられている。屋根パネル1の裏面には複数の溝部12が形成されている。溝部12は屋根パネル1の縦方向の全長にわたって長尺に形成されている。溝部12は山部5と対応する位置に設けられている。
上記の屋根パネル1から水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20とが形成される。水下側屋根パネル30は屋根の傾斜方向における上端部(水上側の端部)が接合部31として形成されている。接合部31は水下側屋根パネル30の横方向(屋根の傾斜方向と直交する方向と同じ)の全長にわたって形成されている。接合部31は屋根パネル1の上端から約400mmの寸法で形成されている。水下側屋根パネル30は、接合部31において、かぶせ片8の一部が切除されている。図3のように、かぶせ片8は、屋根パネル1の平坦部15から斜め上方に向かって突出する立ち上がり片80と、立ち上がり片80の上端から屋根パネル1の側方(外側)に向かって突出する覆い片81と、覆い片81の先端から斜め下方に向かって突出する係止片82とで形成されている。そして、かぶせ片8の上端部(接合部31の部分)において、覆い片81の一部と係止片82とが切除されて上切除部83が形成される。すなわち、かぶせ片8の上端から約400mmの寸法、好ましくは約380mmの寸法(図3、図5、図8、図9にL1で示す)で覆い片81の一部と係止片82とが切除される。この場合、残った覆い片81の切断端縁からシーリングテープ9が3mm程度突出するようにする。シーリングテープ9は切断されないように、覆い片81から一部を剥がした状態で覆い片81の一部を切除する。
水上側屋根パネル20は、屋根の傾斜方向における下端部(水下側の端部)において、屋根パネル1の芯材2と裏面金属外皮4が切除されて形成される。そして、水上側屋根パネル20の水下側の端部に残った表面金属外皮3で接続部21が形成される。接続部21は水上側屋根パネル20の横方向の全長にわたって形成されている。接続部21は屋根パネル1の下端から約400mmの寸法で形成されている。水上側屋根パネル20は、接続部21において、連結部10を構成する表面金属外皮3の一部が切除されている。図4のように、連結部10の表面金属外皮3は、屋根パネル1の平坦部15から斜め上方に向かって突出する傾斜片101と、傾斜片101の上端から屋根パネル1の側方(外側)に向かって突出する上片102と、上片102の先端から斜め下方に向かって突出する角片103とで形成されている。そして、接続部21において、上片102の一部と角片103とが切除されて下切除部104が形成される。すなわち、接続部21の下端から約400mmの寸法(図4、図8、図9にL2で示す)で上片102の一部と角片103とが切除される。この場合、残った上片102の幅寸法は元の上片102の幅寸法の約2/3である。また、残った上片102のさらに下端部が切除されて切欠部105が形成される。切欠部105の寸法(図4、図8、図9にL3で示す)は接続部21の下端から約20mmに形成される。
上記のような上切除部83や下切除部104は、後述のように屋根パネル1を設置したときに、隣接する屋根パネル1の接続部分で、かぶせ片8や連結部10における表面金属外皮3が重なり合うのを少なくするためである。表面金属外皮3の重なり合いが多くなると、鋼板等の金属板同士の馴染みが悪くなり、表面金属外皮3の浮が発生し、表面金属外皮3の間に隙間が発生することから、水密性が低下するおそれがある。
そして、複数枚の屋根パネル1で屋根を形成するにあっては、次のようにして行う。
まず、複数枚の水下側屋根パネル30を横方向に並べて接続する。この場合、図5のように、横方向で隣接する水下側屋根パネル30は、一方の水下側屋根パネル30(以下、第1の水下側屋根パネル301という)の連結部10の上に、他方の水下側屋根パネル30(以下、第2の水下側屋根パネル302という)のかぶせ片8が被せられる。この場合、かぶせ片8の裏面のシーリングテープ9は連結部10の上片102の表面(上面)に密着する。図6のように、パッキン11は第1の水下側屋根パネル301の敷き込み側端部7と第2の水下側屋根パネル302のかぶせ側端部6との間で挟持される。また、接合部31においては、上切除部83から連結部10が露出する。
次に、図7Aのように、接合部31に防水パッキン16が配設される。防水パッキン16は柔軟性パッキン161と膨張性パッキン162とが併用されている。柔軟性パッキン161は、通常のパッキンよりも柔らかくて任意の形状に変形しやすいものである。柔軟性パッキン161の柔らかさは、JIS K 2207に準拠する針入れ度で表すことができる。この針入れ度は、アスファルトの硬さの尺度、試験条件下で規定の針が試料中に垂直に進入した長さ0.1mmを1で表している。従って、柔軟性パッキン161においても、100gの荷重を掛けた針が、5秒間の間に5.5〜7.5mm(針入れ度55〜75)進入する柔らかさをもったものが好ましい。通常のパッキンは加硫されたブチルゴムなどで形成されるが、柔軟性パッキン161は非加硫のブチルゴムなどで形成される。柔軟性パッキン161は、例えば、早川ゴム株式会社が製造するサンタックシーラーQなどが挙げられる。柔軟性パッキン161は、例えば、幅10〜20mmで厚み3〜10mmの帯状に形成される。柔軟性パッキン161は、山部5及び平坦部15の形状に追随させて変形させながら、接合部31の表面金属外皮3の表面に密着して設けられる。柔軟性パッキン161は横方向に並ぶ複数枚の水下側屋根パネル30にわたって設けられる。柔軟性パッキン161は上切除部83の下端の直ぐ水上側(10〜30mm水上側)の箇所を横切るように設けられる。柔軟性パッキン161は接着しやすいため、その上面には離型フィルム163が設けられている。
膨張性パッキン162は、時間の経過とともに徐々に膨張するものである。膨張性パッキン162は、樹脂を基材に含浸させて圧縮加工されたテープであって、ロール状に巻かれた状態で入手可能である。このロール状の膨張性パッキン162を解いて被着体に貼付することにより力が解放され、徐々に膨張し約24時間後に圧縮加工時の厚みの5倍程度まで膨張するものである。膨張性パッキン162は、例えば、接合部31に設置した後、約24時間経過後に、初期の厚みから約5倍の厚みに膨張して変化するようなものが好ましく、これにより、隙間を完全に塞ぐことが可能となる。このような膨張性パッキン162は、例えば、発泡ウレタンなどの樹脂発泡体で形成されている。膨張性パッキン162は、例えば、Tremco Illbruck(トレムコ イルブルック社/ドイツ)社が製造するイルモドエコなどが挙げられる。膨張性パッキン162は、例えば、初期の状態(膨張する前の状態)で幅10〜20mmで厚み3〜5mmの帯状に形成される。膨張性パッキン162は、山部5及び平坦部15の形状に追随させて変形させながら、接合部31の表面金属外皮3の表面に密着して設けられる。膨張性パッキン162は横方向に並ぶ複数枚の水下側屋根パネル30にわたって設けられる。膨張性パッキン162は柔軟性パッキン161よりも水上側に配置される。膨張性パッキン162は、例えば、水下側屋根パネル30の上端から10〜30mmの箇所を横切るように設けられる。
次に、複数枚の水上側屋根パネル20を横方向に並べて配設する。この場合、水上側屋根パネル20は水下側屋根パネル30の水上側(屋根の傾斜方向とにおける上側)に配置される。水上側屋根パネル20の接続部21は水下側屋根パネル30の接合部31の表面に被せられる。ここで、接合部31における山部5の上には接続部21の表面金属外皮3の山部5に相当する部分が被さるようにする。接合部31における平坦部15の上には接続部21の表面金属外皮3の平坦部15に相当する部分が被さるようにする。接続部21は防水パッキン16の上に載置される。ここで、柔軟性パッキン161の上面には離型フィルム163が設けられているので、接続部21の裏面(下面)と柔軟性パッキン161とが接着されない。従って、水上側屋根パネル20は水下側屋根パネル30に対して縦方向及び横方向に多少動かすことができ、水上側屋根パネル20の位置合わせ(設置位置の調整)が容易に行える。また膨張性パッキン162は、大きく膨張する前の状態であり、接続部21の裏面と膨張性パッキン162は強く密着していない。従って、水上側屋根パネル20は水下側屋根パネル30に対して縦方向及び横方向に多少動かすことができ、水上側屋根パネル20の位置合わせ(設置位置の調整)が容易に行える。
複数枚の水上側屋根パネル20は横方向に順次並べて設置していく。この場合、まず、図8のように、第1の水上側屋根パネル201の接続部21が第1の水下側屋根パネル301の接合部31の上に被せられる。このとき、第1の水上側屋根パネル201の接続部21における上片102は、第2の水下側屋根パネル30の覆い片81の上に載置される。また、第1の水上側屋根パネル201の接続部21の先端(水下側端部)211が、第1の水下側屋根パネル301の接合部31の下端位置Hと同じか、この下端位置Hよりも下側(水下側)に突出する。接合部31の下端位置Hに対する上記接続部21の先端211の位置は、第1の水上側屋根パネル201を屋根の傾斜方向に移動させることにより、調整することができる。第1の水上側屋根パネル201を屋根の傾斜方向に移動させることにより、隣り合う屋根下地材50の間隔の寸法誤差や、屋根パネル1の設置位置(施工位置)の誤差、屋根パネル1の縦方向の寸法誤差などを吸収することができる。第1の水上側屋根パネル201を屋根の傾斜方向に移動させる寸法は、屋根の傾斜方向における切欠部105の寸法L3と同じである。従って、第1の水上側屋根パネル201の切欠部105と、第2の水下側屋根パネル302の上切除部83とが重なる場合があり、この重なり部分が隙間52として形成される。
このようにして第1の水上側屋根パネル201を配置した後、第1の水上側屋根パネル201の敷き込み側端部7の側方に、第2の水上側屋根パネル202を配置する。図9のように、第2の水上側屋根パネル202の接続部21は第2の水下側屋根パネル302の接合部31の上に被せられる。このとき、第2の水上側屋根パネル202の接続部21におけるかぶせ片8は、第1の水上側屋根パネル201の連結部10の上に被せられる。また、第2の水上側屋根パネル202の接続部21の先端(水下側端部)212と、第1の水上側屋根パネル201の接続部21の先端211とが、横方向で一直線上に並ぶようにする。これにより、複数枚の水上側屋根パネル20の水下側端部がガタガタに並ばずに、一直線に並んだ外観を形成することになり、屋根の外観が低下しにくくなる。また、上記の隙間52が第2の水上側屋根パネル202の接続部21におけるかぶせ片8で覆われて見えにくくなり、これにより、屋根の外観が低下しにくくなると共に隙間52から雨水が侵入しにくくなって、屋根の防水性が向上する。このようにして複数枚の水上側屋根パネル20を横方向に並べて設置する。図6のように、パッキン11は第1の水上側屋根パネル201の敷き込み側端部7と第2の水上側屋根パネル202のかぶせ側端部6との間で挟持される。
上記のようにして、水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20とを設置した後、剥離フィルム163を柔軟性パッキン161から除去する。これにより、柔軟性パッキン161と接続部21の裏面とを密着させて防水性を高めることができる。剥離フィルム163を除去するにあたっては、図7Bのように、水上側屋根パネル20を設置する際に、剥離フィルム163の一部を、表裏に重なり合う接続部21と接合部31の隙間から、接続部21の先端211,212よりも下側に引き出しておく。そして、水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20を設置した後、引き出した剥離フィルム163の一部を引っ張って、剥離フィルム163の全部を引き出すようにする。
上記のようにして、剥離フィルム163を除去した後、複数本の固定具(テクスやビスや釘など)55で水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20とを屋根下地材50に固定する。複数本の固定具55は、山部5を貫通して屋根下地材50にまで打ち込まれる。また、他の複数本の固定具55は、かぶせ片8とこのかぶせ片8が被せられた連結部10とを貫通して屋根下地材50にまで打ち込まれる。複数本の固定具55は柔軟性パッキン161の直ぐ水上側の部分に打ち込まれる。また、他の複数本の固定具55は膨張性パッキン162の水上側の部分に打ち込まれる。また、固定具55の打ち込み位置には、山部5の表面やかぶせ片8の表面に座金56を設けても良い。また膨張性パッキン162は水下側屋根パネル30と水上側屋根パネル20を固定具55で固定した後、徐々に膨張していき、表裏に重なり合う接続部21と接合部31の隙間の一部を埋めるようになる。
本実施の形態は、屋根の傾斜方向で隣接する屋根パネル1の接続構造に関する。屋根の傾斜方向で上方に配置される屋根パネル1はその下端部に接続部21が突設される。屋根の傾斜方向で下方に配置される屋根パネル1はその上端部が接合部31として形成される。接合部31の表面には防水パッキン16が設けられる。接続部21はその裏面が防水パッキン16に密着して接合部31の表面に配置される。防水パッキン16は柔軟性パッキン161と膨張性パッキン162とで形成されている。このような屋根パネル1の接続構造では、柔軟性パッキン161と膨張性パッキン162とで屋根の傾斜方向で隣接する屋根パネル1の接続部分の防水性が向上する。このため、防水パッキン16の他にシーリングをすることがほとんどなく、防水性を得るための施工の手間を軽減することができる。従って、大幅な作業性の向上と止水性(防水性)が向上すると共に、施工コストダウン、意匠性の向上も合わせて図られる工法とすることが可能となった。
また、柔軟性パッキン161は、非加硫ブチルゴム等により形成され、非常に柔軟性の高いものとすることで、これを接続部21と接合部31との隙間に設け、固定具で屋根パネル1を固定することにより、柔軟性の高い柔軟性パッキン161を接続部21と接合部31の隙間の形状に追従させることが可能となり、柔軟性パッキン161の自己接着力で接続部21と接合部31をほとんど隙間無く接着させることができる。このため、シーリングテープに補助的に併用しているシーリング材を省くことを可能となり、また屋根パネル1のパネルの熱伸縮による動きにも柔軟性パッキン161は破断することなく十分追従できるため、長期にわたり接続部21と接合部31の接続部分(縦継ぎ部分)の止水性能を維持することが可能となる。
また、水上側に挿入している膨張性パッキン162は、時間の経過と共に徐々に膨張し、接続部21と接合部31の間の隙間をほとんど塞ぐことができるもので、初期厚みの数倍程度に膨張することにより、屋根パネル1の縦方向の接続部分に発生した接続部21と接合部31の間の隙間に馴染み、この隙間をほぼ完全に塞ぐことが可能となった。
本実施の形態では、膨張性パッキン162は柔軟性パッキン161の上方に配置されているため、接続部21と接合部31の水上側の隙間を膨張性パッキン162で確実に少なくすることができ、屋根パネル1の接続部分の防水性を向上させることができる。
また本実施の形態では、屋根の傾斜方向と直交する方向で隣接する屋根パネル1のうち、一方の屋根パネル1には表面金属外皮3の下端部に切欠部105が形成されているため、表面金属外皮3の重ね合わせを少なくすることができる。また切欠部105は他方の屋根パネル1の表面金属外皮3の下端部で覆われるため、切欠部105が見えにくくなって、屋根の外観が低下しにくくなる。また隣接する屋根パネル1の下端は屋根の傾斜方向と直交する方向で一直線上に揃っているので、屋根の外観が低下しにくい。