以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の物品認識システム1は、作業管理区域内に持込まれる物品Mおよび作業管理区域内から持出される物品Mの物品情報を取得して、取得した物品情報に基づいて物品Mを認識するシステムである。図1に示すように、物品認識システム1は、筐体10、物品情報取得部20、制御手段30等により構成される。
筐体10は、物品認識システム1の外形を構成する略直方体形状の部材であり、筐体10の内部には、物品情報取得部20を収容可能な空間が形成される。筐体10は、各辺を形成する枠体11と、枠体11で囲まれる面部に設けられる外壁12とを含んで構成される。筐体10の枠体11は、剛性を有する軽量の部材で形成され、外壁12は、遮光性を有するシート状の部材で形成されて、筐体10の上方から前方を覆うように設けられる。
また、筐体10は、前方に位置する前枠部13と、前枠部13を支持する後枠部14とによって構成される。そのため、筐体10は、前枠部13と後枠部14とに分離可能である。なお、図2に示すように、分離された前枠部13および後枠部14は、それぞれ折畳むことができる。また、本実施形態においては、筐体10は前枠部13と後枠部14とは、さらに上部と下部とに分離可能であり(図示省略)、このように分離して折畳むことによって、コンパクト化および軽量化でき、容易に持ち運び可能となる。
前枠部13は、筐体10の前面と上面とを構成し、前面を構成する枠体11に対して、上面を構成する枠体11が移動可能に取付けられる。折畳んだ状態の前枠部13の枠体を図2に示す。上面を構成する枠体11には、外壁12が設けられる。また、本実施形態においては、物品Mの出入口となる前面の上方に、開閉可能なロールカーテン12Aが設けられる。さらに、前面を構成する枠体11には、ロールカーテン12Aが閉状態となったことを検知する検知センサ(図示せず)が取付けられる。
一方、筐体10の後枠部14は、筐体10の背面と左右の側面とを構成し、背面を構成する枠体11に対して、側面を構成する枠体11がそれぞれ移動可能に取付けられる。折畳んだ状態の後枠部14の枠体11を図2に示す。後枠部14には、背面および両側面の中央に、例えばLED等の照明15が取付けられる取付部16と、後述する載置テーブルTを支持する支持部16Aとが設けられる。各面において、取付部16よりも上方には、外壁12が設けられる。また、一方(図示では右側)の側面には、後述するモニタDが取付けられるモニタ取付部17と、コードリーダーRが保持されるコードリーダー保持部18とが形成される。さらに、後枠部14は、左右の側面を開いた状態で、前枠部13が載置されることで筐体10を構成する。ここで、照明15は、載置テーブルT上に載置された物品Mを照明するものであり、計測テーブルTに対して、300mmの範囲で、上下方向に移動可能である。
物品情報取得手段としての物品情報取得部20は、物品Mの重量を測定する重量測定手段としての電子天秤Wを載置する載置部21と、物品Mを撮像する撮像部22とから構成される。載置部21と撮像部22とは、支柱23によって連結される。
載置部21は、略立方体形状の枠体で構成され、上面には電子天秤Wが載置される載置面24を有するとともに、下面の角部には回転可能なキャスター25が取付けられる。また、載置面24の左右には、載置テーブルTの一端が載置される載置バー24Aが取付けられる。ここで、載置バー24Aは、筐体10の後枠部14に形成される支持部16Aと同じ高さになるように配置される。載置テーブルTは、長方形の平坦な板状部材であり、載置面24に載置された電子天秤Wの左右両側に載置される。詳しくは、図3に示すように、各載置テーブルTの両端が、載置バー24Aと、支持部16Aとによって支持される。このとき、同じサイズの載置テーブルTが物品情報取得部20の左右に載置されるため、物品情報取得部20が筐体10の中央に位置決めされる。
電子天秤Wは、上部に載置台WTを有しており、載置台WTに載置される物品Mの重量を測定する。また、電子天秤Wは、載置部21の載置面24上に載置され、後述するコンピューターPに接続される。このようにして、載置台WTに載置される物品Mの重量を測定し、測定した重量情報をコンピューターPに送信する。なお、物品Mが載置台WTよりも大きい場合は、物品Mの一部が載置テーブルTで支持される。この場合には、物品Mの重量情報は取得されない。また、本実施形態においては、載置テーブルTおよび電子天秤Wの載置台WTは青色に塗装される。
一方、撮像部22は、略正方形の枠体で構成され、載置部21の上方に位置するように支柱23で連結される。撮像部22の枠体の一辺には、図1に示すように、撮像手段としてのカメラCおよび物品Mの載置位置を示すマーカーBが取付けられ、載置部21に載置される物品Mを、カメラCによって上方から撮像する。
なお、カメラCおよびマーカーBは、図示のように撮像部22の枠体の手前側の辺に取付けるだけでなく、枠体の奥側の辺に取付けることも可能である(図示せず)。この場合には、筐体10内に入らない大型サイズの物品Mを撮像する際に、筐体10の外の床面に載置した物品Mを撮像することができる。また、前記のカメラCとは別に、筐体10の内側の側面にカメラを取付けて、載置台WTよりも大きく、カメラCの撮像範囲から外れるような物品Mを撮像してもよい。
カメラCは、一般的なデジタルカメラであり、後述するコンピューターPに接続されて通信を行う。詳しくは、撮像のタイミング信号をコンピューターPから受信して撮像を行い、得られた画像データをコンピューターPに送信する。また、マーカーBは、レーザー光を照射して撮像領域の中心位置を示すことで、撮像される物品Mの載置位置を示す。マーカーBもコンピューターPに接続されて、レーザー光の照射タイミングを制御される。
制御手段30としてのコンピューターPには、種々の機器が接続され、制御信号や取得された情報等が通信される。具体的には、図1に示すように、種々の情報を表示するモニタD、作業者情報および会社情報を読取るコードリーダーR、物品Mを撮像するカメラCおよび撮像位置を示すマーカーB、物品Mの重量情報を取得する電子天秤W、種々の情報を出力するプリンタPR等がコンピューターPに接続される。
ここで、コードリーダーRは、バーコードや二次元バーコード(QRコード)を読取り可能な情報読取り器である。また、プリンタPRは、後述する残置確認や日報のための物品管理表70(図9参照)を印刷するものである。なお、コードリーダーRで読取る会社および作業者IDを示すコードを、後述する事前登録処理において入力される協力会社名や作業者氏名等に基づいてQRコードを作成して、プリンタPRで出力してもよい。
図4に、本発明にかかる物品認識システム1の制御系のブロック図を示す。
図示のように、制御手段30としてのコンピューターPには、記憶手段としてのハードディスク31と、メモリ32と、制御部33Aおよび演算処理部33Bを有するCPU33と、種々の入力情報を入力する入力手段D1および表示手段D2としてのモニタD等を有する。本実施形態においては、コンピューターPは、一般的なノートパソコンが用いられ、モニタDは、入力手段D1と表示手段D2とを兼用するタッチパネル式のモニタDが用いられる。また、ハードディスク31には、初期登録情報34、事前登録情報35、持込物品情報36、持出物品情報37、および残置物品情報38等の種々の情報(詳細は後述)が記憶される。
図4に示すように、コンピューターPには種々の機器が接続される。コンピューターPに情報を入力する入力機器としては、コードリーダーR、電子天秤W、検知センサーS、情報取込部I、およびカメラCが接続される。また、コンピューターPから信号を発信して制御動作が制御される機器として、カメラC、マーカーB、照明15、プリンタPR、および情報出力部Oが接続される。なお、カメラCは、前述のようにコンピューターPに対して信号およびデータの送受信が可能である。ここで、情報取込部Iおよび情報出力部Oは、例えば、LANやインターネット等の通信によって情報の取込みまたは出力を行う種々の機器である。なお、情報取込部I、情報出力部O、およびプリンタPRは、作業管理区域内においては必ずしも用いなくてもよい。
以下に、本実施形態にかかる物品認識システム1を用いた、作業管理区域における物品Mの管理方法について説明する。最初に、図1に示す物品認識システム1を用いて、作業管理区域内に持込まれる物品Mの物品情報を取得する動作を説明する。ここで、物品情報とは、物品Mを撮像した画像データから求められる物品Mの外形の形状情報、形状情報より求められる寸法情報(長さ寸法および幅寸法)、および物品Mの重量情報のことをいう。
物品Mの画像データは、対象の物品MをカメラCによって撮像することで取得される。しかし、撮像によって得られる画像データは、カメラCのレンズに起因する歪みを含むため、得られた画像データから物品Mの寸法情報を演算しても、誤差が発生するおそれがある。そのため、撮像によって得られた画像データから物品Mの正しい寸法情報を取得するために、カメラCのレンズの歪みによる誤差の補正(キャリブレーション)を行う必要がある。
カメラCのキャリブレーションは、まず、チェックシート40を撮像する。具体的には、チェックシート40を物品認識システム1の物品情報取得部20の載置テーブルT上に載置して、上方からカメラCによって撮像する。ここで、チェックシート40は、図5(a)に示すように、黒と白の正方形のチェック模様を有する長方形の板状の部材である。本実施形態においては、チェックシート40の長さ寸法は1600mmであり、幅寸法は400mmである。また、チェックを構成する正方形の1辺は50mmである。
次に、カメラCの撮像によって得られたチェックシート40の画像データに対して、チェックシート40の中央付近の領域40Aと端部付近の領域40Bの画像を抽出して比較する。画像の端部付近においては歪みが発生しているため、図5(b)に示すように、領域40Aと領域40Bとを比較すると、チェックを構成する正方形の1辺の長さ寸法が異なる。そこで、得られた画像に対して、これらの長さ寸法が等しくなるように補正を行うことで、画像の歪みを解消する。歪みが解消された状態の領域40Aと領域40Bとを比較した画像を図5(c)に示す。また、正方形の1辺の長さ寸法を算出して、実際の長さ寸法と比較することで、寸法の補正も同時に行う。このようにして、カメラCの撮像によって得られた画像データと実際の物品Mとの形状および寸法を一致させることができる。なお、図5の(b)、(c)においては、比較の図示を分かりやすくするために、チェックの白の部分をグレーで表示している。また、中央付近の領域40Aとの比較は、両端側の領域に対して行ってもよい。
続いて、物品Mを撮像する動作の詳細について説明する。物品認識システム1の筐体10は、内部に物品情報取得部20が設置されている。まず、前面のロールカーテン12Aを開く。これによって、図示しない検知センサーによって、ロールカーテン12Aが開状態であることが検知され、撮像部22のマーカーBが点灯して載置テーブルTの上に物品Mの載置位置を示す。
撮像対象の物品Mを、電子天秤Wの載置台WT上に載置する。このとき、マーカーBの示す位置が物品Mの中央付近となるように位置決めする。その後、ロールカーテン12Aを閉める。ここで、ロールカーテン12Aが閉状態となったことを検知センサーが検知すると、検知信号をコンピューターPに送信し、この検知信号に基づいて、コンピューターPは、マーカーBを消灯するとともに、照明15を点灯する。このとき、前述のように、物品情報取得部20は、筐体10の中央に位置決めされているため、照明15からの照射光は、物品Mに対して左右均等に照射される。さらに、コンピューターPからカメラCに対して制御信号を送信して、カメラCによる物品Mの撮像を行う。
カメラCによって撮像された物品Mの画像データは、コンピューターPに送信される。例えば、物品Mがハンマーである場合の画像データを図6(a)に示す。コンピューターPの演算処理部33Bにおいて、画像データの画像処理が行われる。画像処理は、得られた画像データよりエッジの抽出が行われる。このとき、画像中から周囲に比べて濃度差のある領域をエッジM1として抽出する。このようにして抽出されたエッジの画像は、物品Mの外形の形状を示すため、物品Mの形状情報として用いることができる。物品Mの形状を示す画像を図6(b)に示す。
さらに、得られた形状情報に基づいて、物品Mの寸法情報を演算する。図6(c)に示すように、得られた形状情報の画像において、対象の物品Mに外接する長方形の仮想枠M2を設定して、仮想枠M2の縦横方向の寸法を求める。このようにして、物品Mの寸法情報(長さ寸法および幅寸法)が求められる。なお、仮想枠M2の長辺の寸法を長さ寸法と呼び、短辺の寸法を幅寸法と呼ぶ。
また、物品情報取得部20においては、物品Mの撮像と同時に、物品Mの重量情報も取得する。前述のように、物品Mは、電子天秤Wの載置台WT上に載置されるため、載置することで、重量情報についても取得することができる。取得された物品Mの重量情報は、電子天秤WからコンピューターPに送信される。このようにして、物品情報取得部20によって、物品Mの寸法情報、形状情報および重量情報を取得することができる。なお、物品Mが大きいために電子天秤Wの載置台WT上に載置できない場合には、前述のようにして撮像された画像データと、別途測定された寸法情報や重量情報を入力して、物品情報として用いてもよい。
物品情報取得部20における物品情報取得の動作は、モニタD(図1参照)に表示される指示に従って進めることができる。なお、各動作の指示は、音声を発することによって行ってもよい。また、撮像を行う制御信号をコンピューターPからカメラCに送信するタイミングは、検知センサーによって、ロールカーテン12Aが閉められた後、所定時間経過後であってもよく、モニタDに撮像開始ボタンを表示して、このボタンが押されたタイミングであってもよい。
続いて、物品Mの管理を行う際の各処理の動作を図10〜図14に示す各フローチャートに基づいて説明する。物品認識システム1の動作は、モニタDに表示される指示に従って行われる。モニタDには、物品管理メニュー50が表示されて、該当する各種処理のボタンを押すことで、各処理が開始する。
ここで、図7に示す物品管理メニュー50について説明する。物品管理メニュー50は、コンピューターPを起動して、所定のユーザでログインすると表示される画面であり、図示のように、種々の作業を行うためのメニュー画面である。詳しくは、ログインの際には、ユーザ名と作業名とを入力する。なお、ユーザ名および作業名は、物品管理メニュー50に表示され、変更ボタン50Aによって変更可能である。
また、物品管理メニュー50の画面には、目的の処理の作業を開始するためのボタンが、種類によって分けられる領域内に表示される。各領域に表示されるボタンは以下のとおりである。各種登録51の領域には、初期登録ボタン51A、事前登録ボタン51B、持込登録ボタン51C、持出登録ボタン51D、および残置登録ボタン51Eが表示される。実績確認52の領域には、日報作成ボタン52Aおよび残置確認ボタン52Bが表示される。マスタ登録・変更53の領域には、物品マスタボタン53A、ユーザマスタボタン53B、および作業マスタボタン53Cが表示される。さらに、その他54の領域には、システム設定ボタン54Aおよび画像処理設定ボタン54Bが表示される。なお、各ボタンを押すことによる処理作業については後述する。
まずは、持込まれる物品M等の情報を、事前に登録する事前登録処理を行う。事前登録処理は、設備の管理作業等を行う際に、対象の作業管理区域における登録作業を簡素化するために必要な情報を予め登録しておくものであり、作業の詳細の予定が決まった時点で入力を行う。なお、事前登録処理は、作業管理区域でない場所(例えば事務所等)において、コンピューターPを用いて行われる。
図10に事前登録処理のフローチャートを示す。まず、物品管理メニュー50が表示される画面より、事前登録ボタン51Bを選択して押す(S101)ことで、事前登録画面を表示させる。次に、対象となる作業場所および作業名を入力する(S102)。さらに、作業者情報として、協力会社名、物品管理責任者および作業者の氏名の各情報を入力する(S103〜S105)。なお、会社名および氏名の情報は、それぞれの名称または氏名であってもよく、それぞれのIDを示す記号や番号であってもよい。また、これらの情報は、直接入力してもよく、別途作成した一覧表等のデータを、情報取込部I(図4参照)から取り込んでもよい。
続いて、作業管理区域内に持込む予定の物品Mの名称(物品名)を入力する(S106)。ここで、コンピューターPは、入力された物品名に基づいて、ハードディスク31に記憶された初期登録情報34を検索して、該当物品の一覧を表示する(S107)。表示された該当物品一覧表の中に、S106において入力した物品Mがあるかどうか、つまり、対象の物品Mが初期登録されているかどうかを判断する(S108)。対象の物品Mが初期登録されていれば(S108:Yes)、該当物品Mを選択する(S109)。一方、対象の物品Mが初期登録されていなければ(S108:No)、初期登録ボタン51Aを選択して(S110)初期登録を行う。
ここで、初期登録されている物品Mの初期登録情報を図8に示す。図示においては、対象の物品Mがハンマーである例を示す。初期登録情報は、物品情報60と、物品Mの画像情報61とを有しており、コンピューターPのハードディスク31に記憶されている。物品情報60に入力される各項目については、以下で説明する。
物品Mの初期登録は、モニタDに表示される初期登録ボタン51Aを選択することで開始する(S110)。まずは、入力情報の一つである対象の物品Mの物品名を入力する(S111)。次に、必要であれば、物品Mの型式や測定範囲を入力する(S112)。これらの情報は、同じような外観の容器に収納される異なる物品Mや、外形が同じ物品Mを区別するために用いられる。なお、型式とは、予め設定した記号や番号である。また、測定範囲は、測定器に対して用いられ、測定器によって測定可能な範囲を示し、同じ形状の物品M(測定器)の判別に用いられる。
続いて、対象の物品Mの寸法情報および重量情報を入力する(S113、S114)。寸法情報は、物品Mの幅寸法および長さ寸法である。これらの寸法情報および重量情報は、物品Mを実際に測定して得られた実測値を用いる。なお、本実施形態の物品認識システム1を用いて、物品Mの寸法情報および重量情報を取得してもよい。
さらに、対象の物品Mの単位情報および消耗品等区分情報を選択する(S115、S116)。単位情報は、対象の物品Mについての単位の呼称を統一する情報であり、作業管理区域における混乱を防止する。ここで、例えば、口径のサイズが異なるスパナのセットのように、複数の物品Mで構成される場合には、「セット」や「一式」等の単位で示す(図8参照)。
一方、消耗品等区分情報は、使用されることによって重量に変化を生じる可能性がある物品Mであることを示す情報である。本実施形態においては、消耗品等区分は、消耗品、消費品、交換品に分けられる(図8参照)。詳しくは、消耗品とは、作業管理区域内の作業によって消耗される物品Mであり、例えば、番線(針金)やウェスなど、一部が使用される物品Mまたは使用後廃棄される物品Mである。また、消費品とは、作業によって消費される物品Mであり、例えば、ピッチャー(容器)に収容される油など、容器の形状は変化しないが、内容物が減少するものである。さらに、交換品とは、作業管理区域内の物品Mと交換される物品Mであり、例えば、袋に収納されるボルトやネジなど、個数は同じであるが、作業管理区域内の作業によって、古いものと交換されることにより、内容物が入れ替わるものである。
このように、対象の物品Mについて各種の物品情報を入力すると、入力された物品情報を初期登録情報として登録する(S117)。なお、このステップで初期登録情報を作成する場合に、対象の物品Mの画像は、別途撮像して登録する。
ここで、事前情報を検索して得られた結果から(S108:Yes)該当物品を選択した場合(S109)、または検索の結果から該当物品が得られない(S108:No)ため、初期登録を行った場合(S117)のどちらであっても、モニタDには、対象の物品Mの物品情報が表示されている。この状態において、事前登録処理の次のステップを行う。次のステップでは、対象の物品Mが単体かどうかについて判断する(S118)。
対象の物品Mが単体でない場合は(S118:No)、荷姿物品として扱う。ここで、荷姿物品とは、複数個の物品Mをまとめて、容器等に収納した状態で取扱われる物品Mのことをいう。例えば、袋に収納されるボルトやネジなど、前述の消耗品等区分が交換品である物品Mが該当する。対象の物品Mが荷姿物品である場合には、荷姿物品情報を入力する(S119)。詳しくは、荷姿物品情報として、物品Mの個数と袋等の収納物の重量情報を入力する。ここで、荷姿物品は、単体の物品Mの重量情報は初期登録情報として登録されているため、初期登録情報中の重量情報と、入力された個数および袋の重量情報とを用いて、荷姿物品として持込まれる物品Mの総重量を算出することができる。
続いて、対象の物品Mの数量を入力する(S120)。ここでいう数量とは、作業管理区域内に持込む同種の物品Mの個数のことである。同じ種類の物品Mを複数持込むのであれば、まとめて事前登録しておくことで、登録の手間を省くことができる。なお、対象の物品Mが、例えば袋に収納された複数個のネジのような荷姿物品については、数量は袋単位の個数のことを示す。
このようにして、対象の物品Mの種々の情報が入力されると、入力された情報を、対象の物品Mについての物品情報として登録する(S121)。ここで、モニタDに、作業管理区域に内に持込む予定の登録物品Mが他にないかどうかを表示する。他の登録物品Mがある場合には(S122:No)対象の物品Mの物品名を入力して(S106)、上記と同様の作業を行う。
一方、持込予定の物品Mが、他にない場合は(S122:Yes)、事前登録処理が全て終了するため、事前登録終了ボタン(図示せず)を押すことで、事前登録処理を終了する。このとき、入力した全ての情報は、事前登録情報35として、コンピューターPのハードディスク31に記憶される(図4参照)。
なお、事前登録処理の際に、入力された会社情報や作業者情報等に基づいて、IDをコード化した識別コード(QRコードやバーコード)を作成して、コンピューターPに接続されたプリンタPRからプリントしてもよい。これによって、例えば、作業管理区域への入所許可証として作業者に配布することによって、作業を行う当日の会社名や作業者名の登録作業を容易にすることができる。
次に、設備の管理作業を行う作業場所(対象管理区域)で行う、各処理の動作について説明する。図1に示す物品認識システム1は、分離することで持ち運び可能であるため、分離された物品認識システム1を、作業場所において組立てる。また、以下に説明する管理作業が終了すると、物品認識システム1を分離して作業場所から持出す。なお、物品認識システム1の組立ておよび分離は、毎日行ってもよく、設備の管理作業の最初の日に組立てを行い、最終日に分離して持出してもよい。
物品認識システム1の組立ては、前枠部13と後枠部14とによって筐体10を形成し、筐体10の内部に物品情報取得部20を収納する。前枠部13の前面に、ロールカーテン12Aを取付けるとともに、後枠部14のモニタ取付部17に、モニタDを取付けて、コードリーダー保持部18に、コードリーダーRを保持させる。さらに、物品情報取得部20に、載置部21に載置テーブルTおよび電子天秤Wを載置して、撮像部22にカメラCおよびマーカーBを取付ける。
また、モニタD、コードリーダーR、電子天秤W、カメラCおよびマーカーBをコンピューターPに接続する。なお、プリンタPRは、必須の機器ではない。コンピューターPを起動し、ユーザ名と作業名とを入力してログインすると、モニタDには、図7に示す物品管理メニュー50が表示される。
ここで、物品認識システム1による物品Mの管理を行うにあたり、最初にカメラCの較正を行う。カメラCの較正は、物品管理メニュー50の画像処理設定ボタン54Bを押すことで表示される画面の指示に従って行う。カメラCの較正については前述したため、詳細な説明は省略する。このようにして準備した物品認識システム1を用いて、以下に説明する各処理を行う。以下の各処理は、モニタDに表示される指示に従って行われる。
まずは、作業管理区域内に持込む物品Mを登録する持込登録処理を行う。図11に持込登録処理のフローチャートを示す。モニタDに表示される画面より、持込登録ボタン51Cを選択して押す(S201)ことで、持込登録画面を表示させる。ここで、持込登録処理を手動で行うか、自動で行うかを選択するようにしてもよい。以下には、持込登録処理を手動で行う場合について説明する。
次に、作業が行われる作業場所および作業名を入力する(S202)。さらに、物品管理責任者の氏名を入力する(S203)。物品管理責任者は、配布された設備への入所許可証のQRコードに表示されたIDを、コードリーダーRによって読込むことで行ってもよい。なお、作業場所には、一人の物品管理責任者と複数人の作業者がおり、物品認識システム1への登録作業については、ここまでの入力作業を物品管理責任者が行い、以降の作業を各作業者が順次行う。
最初の作業者は、入所許可証に記載されているQRコードを、コードリーダーRによって読取り、会社および作業者IDを読込む(S204)。ここで、モニタDの画面に持込物品があるかどうかが表示され、作業者は、持込物品があるかどうかを入力する(S205)。持込物品がない場合は(S205:No)、入場者登録を行い(S206)、会社および作業者IDの読込みステップ(S204)に戻る。
一方、持込物品がある場合は、作業者は、持込む物品Mの一つを、筐体10の載置テーブルTの上に載置して、ロールカーテン12Aを閉止する(S207)。これによって、物品Mの形状の撮像(S208)および重量情報の測定(S209)が行われて、持込まれる物品Mの形状情報および寸法情報が取得される(S210)。なお、これらの各動作については前述したため、詳細な説明は省略する。
このようにして得られた物品Mの物品情報に基づいて、コンピューターPは、ハードディスク31に記憶された事前登録情報35を検索して、該当物品を表示する(S211)。なお、このときの検索は、寸法情報および重量情報に基づいて行われ、事前登録情報35の寸法情報および重量情報と、それぞれが±10%の範囲内で一致すれば、該当物品であると認識して表示する。ここで、該当物品の表示画面中には、該当物品がない場合に押すボタンも同時に表示する。表示された該当物品の中に、持込まれる物品Mがあるかどうか、つまり、対象の物品Mが特定できたかどうかを判断する(S212)。検索の結果の該当物品が一つの場合、または表示された中に対象の物品Mがある場合には(S212:Yes)、持込物品として登録する(S213)。
ここで、物品Mを複数個持込む場合には、持込む物品Mの数量を入力する。数量が少ない場合には、持込む物品Mの数だけS207からの手順を繰返してもよい。また、事前登録情報35には、数の情報も登録されているため、物品情報として表示して確認してもよい。なお、事前登録時と持込む物品Mの数量に変更があれば、表示された数量の値を変更してもよい。また、持込物品として登録する際には、数量情報の他に、持込まれた日時および時刻情報も併せて記憶される。
一方、検索の結果、該当物品が特定できない場合、または表示された中に対象の物品Mがない場合には(S212:No)、類似物品および会社名を表示する(S214)。ここで、類似物品の表示において表示される物品は、取得された物品情報による検索(S210)において、寸法情報および重量情報の一致度がそれぞれ±10%を外れた物品Mを表示する。
続いて、表示された類似物品の中に、持込まれる物品Mがあるかどうかを確認し(S215)、対象物品を特定できたかどうかを判断する(S216)。表示された類似物品から対象の物品Mが特定された場合には(S216:Yes)、上記と同様に、持込物品として登録する(S213)。
一方、対象の物品Mが特定できない場合は(S216:No)、検索条件を変えて、さらに検索を行う必要がある。前述のように、事前登録した物品Mの情報には、消耗品等持込区分情報が登録されている。そこで、持込まれる物品Mの消耗品等区分情報を選択して(S217)、選択された区分に基づいて(S218)検索条件を設定する。
選択された物品Mの消耗品等区分情報が、消耗品、消費品または交換品である場合には(S218:Yes)、選択された消耗品等区分情報、および物品情報(寸法情報、重量情報)に基づいて事前登録情報35を検索して、検索結果の対象候補物品を表示する(S219)。続いて、表示された対象候補物品の中に、持込まれる物品Mがあるかどうかを確認して選択し(S220)、対象物品を特定できたかどうかを判断する(S221)。持込まれる物品Mが特定された場合には(S221:Yes)、上記と同様に、持込物品として登録する(S213)。
一方、選択された物品Mの消耗品等区分情報が入力されていない場合(S218:No)、または、消耗品または消費品情報から特定できなかった場合(S221:No)には、持込まれる対象の物品Mは、荷姿物品であると判断する。そして、消耗品等区分情報および物品情報に基づいて事前登録情報35を検索して、検索結果の対象候補物品を表示する(S222)。このとき、上記において表示した検索結果の候補物品が含まれる場合には、すでに判断されているため、表示対象から削除する。
表示された物品Mから、対象の物品Mを選択して(S223)、上記と同様に、持込物品として登録する(S213)。なお、ここで、対象の物品Mを選択できなかった場合には、対象の物品Mが事前登録されていない可能性があるため、新たに登録して持込みを許可する等の処理を行う。
このようにして、持込み対象の物品Mを登録すると(S213)、作業者が他に持込む物品Mがないかどうかを判断する(S224)。他の物品Mがある場合には(S224:No)、物品認識システム1のロールカーテン12Aを開けて、登録の終了した物品Mを取り除き、載置テーブルT上に新たな物品Mを載置して、ロールカーテン12Aを閉止して(S207)、上記と同様に撮像を行って持込物品Mの登録を行う。
一方、作業者が他に持込む物品Mがなければ(S224:Yes)、次の作業者と交代して持込物品Mの登録を行う。次の作業者は、入所許可証のQRコードを、コードリーダーRによって読取り(S204)、上記と同様に物品Mの持込登録作業を行う。
また、他に持込む物品Mがなく、次の作業者もいない場合には、持込登録処理は終了となる。このとき、入力された種々の情報は、コンピューターPのハードディスク31に、持込物品情報36として記憶される(図4参照)。
ここで、持込登録画面選択の際に(S201)、自動処理を選択した場合には、作業者が判断して選択する必要があるステップ以外については、基本的に自動的に次のステップに進む。このとき、作業者が、載置テーブルT上に持込物品Mを載置して、ロールカーテンを閉めた後(S207)は、物品Mの撮像、重量測定、検索および表示が自動で行われる(S208〜S211)。その際に、検索の結果、物品が一つしか該当しない場合には、その物品が対象の物品Mであるため、自動的に持込物品として登録して、他の持込物品Mの有無を確認する表示を行う。なお、予め、持込む物品Mの個数を入力しておき、順次、次の物品Mへの交換を促す表示を行ってもよい。このように、自動化することによって、入力者の手間が少なくなるとともに、作業時間を短縮することができる。
また、各動作において、モニタの表示による作業者への案内に加えて、音声によって動作を案内してもよい。基本的に、作業者による動作や選択の必要がある際に音声による案内を行うことが好ましい。例えば、対象物品の載置テーブルへの載置や(S207)、表示された中から対象物品を選択する際(S215、S220、S223)、消耗品等区分情報を選択する際(S217)、および他の持込物品や他の作業者の有無を確認する場合等に音声案内を行うことができる。
このようにして、持込物品が登録されると、作業者は、登録された物品Mを作業管理区域内に持込んで、所定の作業を行う。そして、作業が終了すると、持込んだ物品Mを持出す際に、持出登録処理を行う。図12に持出登録処理のフローチャートを示す。基本的な動作は、前述の持込登録処理と同様であるため、異なる点を中心に説明を行う。
持出登録処理は、モニタDに表示される物品管理メニュー50(図7参照)より持出登録ボタン51Dを選択して押す(S301)ことで、持出登録画面を表示させる。まず、物品管理責任者に変更があれば、変更する情報を入力する(S302)。一日の作業中であっても、管理責任者が変更する場合があり、持込登録の際と変更することもあるため、管理責任者が変更した際には、新たな管理責任者の氏名を入力する。
コードリーダーRによって会社名および作業者IDを読込むと(S303)、最終退場者かどうかを判断する(S304)。最終退場者でなければ(S304:No)、持出す物品Mの持出登録処理を継続する。
最終退場者であれば(S304:Yes)、作業管理区域内に残置物品があるかどうかを判断する(S305)。残置物品があるかどうかについての確認は、持込まれた物品Mが全て持出されたかどうかを判断する。残置物品がなければ(S305:No)、すでに全ての物品が持出されているため、退場者登録を行い(S306)、持出登録処理を終了する。
一方、残置物品があれば(S305:Yes)、作業者は、持出す物品Mの個数を入力する(S307)。それにより、S305で確認した残置物品の個数と、S306で入力された持出される物品Mの個数より、残置物品がないかどうか、つまり全ての物品Mが持出されたかどうかを判断する(S308)。残置物品がある場合には(S308:No)、作業者に対して、その旨を通知して(S309)、後述する残置期間延長登録処理(図13参照)を行う(S310)。
また、S306で入力された持出物品の個数によって、残置物品がないと判断された場合(S308:Yes)、または残置期間延長登録処理を行った後は、持出す物品Mの持出登録処理を継続する。なお、継続する持出登録処理は、持出される物品Mを載置テーブルTに載置して、ロールカーテンを閉止して(S311)、物品形状を撮像するが、前述の持込登録処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、持出登録処理においては、取得した物品情報等から、物品情報を検索する際には(S315、S323、S326)、ハードディスク31に記憶されている持込物品情報36を検索する。これによって、検索された物品を確実に特定することができる。また、取得した物品情報による検索(S315、S323)においては、形状情報を検索条件として用いることができる。この場合には、寸法情報、形状情報、重量情報のうち少なくとも2つ以上において、検索結果が所定範囲内(本実施形態では±10%以内)で一致していれば、該当物品であると認識する。
このように、持出された物品について順次登録処理を行い、他に持出物品がなければ(S328:Yes)、種々の情報を持出物品情報37としてコンピューターPのハードディスク31に記憶して、持出登録処理を終了する。
なお、物品Mについては、持込んだ作業者と異なる作業者が持出すことも考えられる。しかし、本発明の物品認識システム1においては、作業管理区域内に物品Mが置き忘れられることの防止を目的とするため、持込作業者と持出作業者の一致や、それぞれの作業者が持込みまたは持出す物品Mの数は不問であり、持込登録処理および持出登録処理を行った作業者および物品Mの数量は、後に確認するための情報の一つとして記憶される。
また、前述の持込登録処理および持出登録処理は、各作業者が物品Mをそれぞれ持ってきて、それぞれ登録処理を行うことを想定しているが、これに限るものではなく、作業者の代表者が、物品Mの登録処理をまとめて行ってもよい。この場合には、物品Mを持たない作業者は、会社および作業者IDを読込む処理だけ行う。なお、IDの読込み処理に続いて物品載置がなければ次の作業者の処理に移行する。
ここで、作業管理区域内に持込む物品Mは、例えば大型の装置等のように、必ずしも毎日持出されない物品もある。その場合には、一定の期間(残置期間)を定めて、作業管理区域内に残置させる。そのため、作業管理区域内に残置させる残置物品を管理する必要がある。この場合、物品Mの持出予定日を変更することで残置期間を延長することができる。このような残置期間の延長登録処理は、図12の持出登録処理において、持込み当日に持出さない残置物品について行う(S310)ものであり、図13に残置期間延長登録処理のフローチャートを示す。残置期間延長登録処理は、物品管理メニュー画面から、残置登録ボタン51Eを選択して押す(S401)ことで、残置期間延長登録画面を表示させる。まずは、処理を行う作業者の会社および作業者IDを読込む(S402)。これは、誰が持出予定日を変更したかを管理するためである。
次に残置物品一覧表を表示し(S403)、持込期間を延長するかどうか判断する(S404)。持込期間を延長する必要がある場合には(S404:Yes)、残置物品一覧表の中から期間延長の対象となる物品Mを選択して(S405)、持出予定日を入力する(S406)。さらに、他に残置物品があるかどうかを判断し(S407)、残置物品がある場合には(S407:No)、同様に持出物品一覧表から選択して持出予定日の変更を行い、残置物品がなくなれば(S407:Yes)、残置期間延長登録処理を終了する。このとき、持出予定日を修正した物品情報を残置物品情報38(図4参照)として登録することにより、設備の作業管理区域内に持込まれた物品Mを適切に管理することができる。
なお、残置物品に対して、持込期間延長を行わない場合には(S404:No)、残置物品の探索(S408)を行う。作業管理区域内に残置した物品Mを発見したら、持出して、物品管理メニューより持出登録ボタン51Dを選択し、図12に従って持出登録処理を行う(S409)。
ところで、設備において定期点検等の作業を行う際には、作業日毎に持込まれた物品Mの管理表を作成して、報告書(日報)として出力して管理している。また、作業場所において、持込まれている物品Mをその場で確認することもある。このような管理は、作業管理区域内に持込まれる物品Mを物品管理表70として出力することで行うことができる。
ここで、図9に、物品管理表70を示す。物品管理表70は、図示のように、管理情報71と、実績情報72とが記載される。管理情報71は、作業全般に関する情報であり、作業名、作業場所、協力会社名、提出先、作業責任者、および物品管理責任者が記載される。物品管理表70が出力されると、物品管理責任者、作業責任者の印鑑が押印されて、提出者に提出される。
一方、実績情報は、各物品Mの持込み時および持出し時の情報が記載され、残置確認される。詳しくは、物品名、持込み時における数量、時刻、持込者、物品管理責任者名、および、持出し時における数量、時刻、持出者、物品管理責任者名が記載される。また、残置確認欄が設けられて、持込み時および持出し時の情報を比較して対象の物品Mが持ち出されたかどうかを確認する。なお、備考には、例えば、持出予定日等が記載される。このようにして、対象管理区域内(作業場所)に持込まれた各物品Mに対する情報を、一覧表に出力して管理することができる。
図14に、物品管理表70を出力する物品管理状況確認処理のフローチャートを示す。まずは、モニタDに物品Mの物品管理メニュー50(図7参照)を表示させ(S501)、日報作成ボタン52Aまたは残置確認ボタン52Bを選択する(S502)。ここで、日報作成(S502:No)は、一日の作業が終了した後、作成する報告書として印刷して用いられることが多い。また、残置物品確認については(S502:Yes)、作業途中に確認することが多く、画面表示による確認および印刷の両方を行うことがある。
物品管理メニュー50において、残置物品確認を選択した場合には(S502:Yes)、残置物品確認画面を表示して(S503)、確認したい期間を入力する(S504)。ここで、残置物品確認の場合は、確認期間を時間単位で設定することができ、例えば、特定の日の午前中や午後の状況や、当日の作業開始から現時刻までの期間を指定することで、現在、持込まれている物品の状況等を確認することができる。
このように確認期間を入力すると、入力された期間の残置物品一覧表をモニタDに表示する(S505)。さらに、表示された残置物品一覧表を印刷するかどうかを判断する(S506)。残置物品一覧表を印刷する場合には(S506:No)、モニタDに表示される印刷ボタンを押すことで印刷を実行する(S510)。印刷終了後、または印刷を行わない場合(S506:Yes)には、残置物品確認期間を変更するかどうかを確認する(S511)。ここで、確認期間を変更する場合は(S511:No)、ステップS502に戻り、残置物品の確認を選択して(S502:Yes)、再度確認期間を入力する(S503)。残置物品確認が終わり、確認期間を変更する必要がなければ(S511:Yes)、物品管理状況の確認処理を終了する。
一方、日報作成を選択した場合には(S502:No)、日報作成画面を表示する(S507)。次に、出力する日報の作成期間を入力する(S508)。ここで、日報作成の場合は、作成期間を日単位で設定することができ、作成期間として複数の日を入力すると、作業日毎の日報が複数枚に亘って作成される。
このように作成期間を入力すると、日報のデータをモニタDに表示して(S509)、印刷を実行する(S510)。印刷の実行後は、日報の作成期間を変更するかどうかを確認する(S511)。作成期間を変更する場合には(S511:No)、上記と同様にステップS502に戻り、作成期間を変更する必要がなければ(S511:Yes)、物品管理状況の確認処理を終了する。
この他に、物品認識システム1は、図7に示す物品管理メニュー50に示すように、マスタ登録・変更の機能を有する(物品マスタボタン53A、ユーザマスタボタン53B、および作業マスタボタン53C)。これは、初期登録や事前登録の際に入力する情報を予めマスタとして登録するものである。例えば、物品Mの名称情報としての物品マスタ、作業者氏名情報としてのユーザマスタ、作業名情報としての作業マスタについて、それぞれ登録および変更することができる。
また、その他の機能として、システム設定ボタン54Aによって物品認識システム1の様々な設定を行うこともでき、画像処理設定ボタン54Bによって、撮像された画像データの画像処理における種々の条件等の設定を行うことができる。これらのマスタおよび種々の設定についての情報は、コンピューターPのハードディスク31に記憶される。
以上述べてきたように、本発明の物品認識システム1によれば、物品Mの物品情報取得手段としての物品情報取得部20と、入力手段としてのモニタDと、記憶手段としてのハードディスク31とを備えており、ハードディスク31に事前登録情報35を記憶し、物品Mが作業管理区域内に持込まれる際または持出される際に取得された物品情報に基づいてハードディスク31を検索して特定された物品Mの物品情報とを、持込物品情報36または持出物品情報37としてハードディスク31に記憶するとともに、持込物品情報36と持出物品情報37とを比較することにより、作業管理区域内に持込まれる物品Mを管理する。これによって、持込みまたは持出される物品Mに識別タグを貼付することなく、確実かつ効率的に物品情報を取得、記憶、識別することができる物品認識システムおよび物品管理方法を提供することが可能となる。
なお、上記実施形態においては、物品Mの物品情報として、物品の縦横方向の寸法情報や重量情報を用いたが、これに限ることはなく、画像データから得られる物品Mの形状情報として座標情報を用いてもよい。
また、初期登録情報として記憶されている画像情報61(図8参照)を、対象の物品Mが持込まれる際に、カメラCによって撮像された画像に置き換えてもよい。これによって、実物を撮像した画像上でとすることができるため、その物品Mが次に持込まれる際に、検索する際の検索精度を向上させることができる。このようにして、種々の物品Mの画像情報を順次置き換えることで、検索精度が向上するため、持込登録にかかる時間を短縮することができる。
また、上記実施形態においては、記憶手段としてコンピューターPのハードディスク31を用いたが、これに限ることはなく、コンピューターPをネットワークに接続して、遠隔地に設けられた記憶手段を用いてもよい。
さらに、本発明にかかる物品認識システムおよび物品管理方法は、発電所等の設備に限らず、各種の工事現場、道路や鉄道線路、工場、医療機関、研究施設等で用いられてもよい。
なお、本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論である。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内の全ての変更を含む。