JP6395991B1 - 多相電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
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例えば、特許文献1には、スイッチング素子の寄生インダクタンスに発生する電圧を積分した出力に基づいて過電流を判定することで、安価な構成で高精度な電流検出機能を実現する技術が紹介されている。
これは、直流電源と電力変換装置との間のインダクタンスにより、短絡発生時の急峻な電流変化で生じる入力電圧の降下を利用したものであり、小さな回路規模で電力変換装置の異常な過電流を検出することができる。
即ち、大電力を扱う多相電力変換装置では、相数に比例して多数のパワー半導体素子を並列接続したり、複数群の電力変換装置を並列化したりするため、電源と電力変換装置との接続配線部には大電流が流れ、高負荷時には更にこの傾向が顕著となる。
このように、多相電力変換装置では、各々のパワー半導体素子または各々の相に過電流検出部を設ける必要があり、回路が大規模化するという課題があった。
図1は、実施の形態1に係る多相電力変換装置の一般的な構成を示すブロック図である。図1において、多相電力変換装置10は、直流回路100と交流回路120との間で電力変換を行うもので、主回路部11とこの主回路部11を制御する制御部12とで構成される。特に、制御部12は、直流回路100と多相電力変換装置10との接続配線部110に設定した2点P1、P2間のインダクタンス成分111に発生する差電圧を検出する差電圧検出部13および差電圧検出部13の出力に基づき多相電力変換装置内での短絡発生の有無を判定する短絡検出部14を備えている。
このノイズの影響を考慮する必要が無い場合は、一般に接地レベルに構成される負側配線上に差電圧検出個所を設定するのが、後段でその詳細を説明する差電圧検出部13および短絡検出部14の絶縁処理を簡素化できる点でメリットがある。
このような電動機駆動用の3相インバータ10aは、家電、電動自動車または産業用機器などで幅広く適用されている。
なお、ここでは、パワー半導体モジュールとしてMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)を例として記載しているが、本願はこれに限られるものではない。また、本願は、パワー半導体モジュールの個数、多相電力変換装置の相数、および電源または負荷の数、詳細な回路構成において、以下の例に限られるものでないことは明らかである。
時刻tscで短絡が発生して大電流が流れると、差電圧Vdbが破線で示す判定閾値Vdbth(図3の基準電圧Vref1が相当する)を超過したことを判定し、過電流検出信号Sscを生成する。
図中の実線波形は、重負荷時の波形例を示しており、一方で点線波形は、軽負荷時の波形例を示している。
従って、先の背景技術の欄で説明した特許文献3または特許文献4の場合のように、従来の電流センサ出力とシャント抵抗または寄生抵抗値とから換算した値から過電流を判定する場合、判定の閾値電流Ibthの設計マージンが縮小し、誤検出が発生しやすくなる。
これに対し、多相電力変換装置10a内、即ち、主回路部11に短絡が発生した場合は、小さなインダクタンスの迂回経路が発生するため、電流Ibは、microsecond(μs)オーダーの時定数で急峻に変化する。
この場合、図5に示す通り、正常時に電源電流Ibにリップル波形が現れるため、それに伴って差電圧Vdbにもリップルが発生する。この正常時の電流変化率dIbn/dtは、3相電動機120a等の負荷側のインダクタンスによって小さな値に制限される。
具体的に、通常動作時に誤検出せず、短絡時を異常として判定できるためには、以下の条件が要求される。
なお、本願の方式では、故障したパワー半導体モジュールを特定することはできないため、電力変換動作を停止する方法としては、全パワー半導体モジュールを一旦オフするのが適当である。
先の実施の形態1では、接続配線部110に設定した2点P1、P2間のインダクタンス成分111に発生する差電圧Vdbから短絡を検出することで、短絡の現象を過負荷等の現象と峻別する構成を採用している。
従って、仮に、この2点間にインダクタンス成分に加えて寄生抵抗成分が存在すると、その分、判定マージン減少の原因となり得る。
即ち、この微分回路16は、接続配線部110上の間隔を隔てた2点P1、P2間の寄生抵抗成分112の存在を想定し、差電圧検出部13の出力における、寄生抵抗成分112により発生する直流成分を除去する訳である。
なお、微分回路16の構成としては、図6では、コンデンサC1と抵抗R5で微分する構成としているが、これに限られるものではない。
先の実施の形態2では、モニタする差電圧Vdbを差動増幅し、微分回路16で微分する構成であった。しかし、この構成では、差電圧Vdbの直流成分を除去できる一方で、微分回路16を用いるために検出信号に重畳するノイズに対する耐性が低下する課題がある。
実施の形態3に係る多相電力変換装置は、この点を改良したものである。
先の実施の形態3では、モニタする差電圧Vdbを差動増幅し、微分回路16と積分回路17とで接続配線部110の寄生抵抗成分112によって発生する直流電流成分を除去することで、重負荷時の誤検出を防止するとともに検出信号に重畳するノイズに対する耐性の低下を抑制するものであった。
実施の形態4に係る多相電力変換装置は、この点を改良したものである。
図11は、実施の形態5に係る多相電力変換装置の具体例を示すブロック図である。
図11の多相電力変換装置10bは、3相交流発電機が相当する交流電源120cからの交流電力を直流電力に変換し、蓄電池が相当する直流電源100aに直流電力を供給する3相コンバータの例である。直流負荷100bは、直流電源100aから電力の供給を受ける。
図12は、実施の形態6に係る多相電力変換装置の具体例を示すブロック図である。先の図2に示した実施の形態1と異なる点は、接続配線部110のインダクタンス成分として、3相インバータ10aの入力部に設けたフィルタ回路のインダクタンス成分を利用するものである。
さらに、パイ型フィルタ回路を設けたことにより、3相インバータ10aから発生するノイズを低減することができる。
なお、図12における差電圧検出部13および短絡検出部14の構成および動作は、先の各形態例の構成および動作と同様であるので、再度の説明は省略する。
図13は、実施の形態7に係る多相電力変換装置の一般的な構成を示すブロック図である。先の図1の構成に対して、多相電力変換装置が、多相インバータの2つの主回路部11a、11bを有する多相電力変換装置10cで構成されている。
これにより、より大きな電力を変換し、2つの交流回路120を駆動することができる。
図15は、実施の形態8に係る多相電力変換装置の一般的な構成を示すブロック図である。先の図14の多相電力変換装置が主回路部を並列に構成した2群構成であったのに対して、本実施の形態8の多相電力変換装置は、2群の主回路部を直列に構成した多相電力変換装置である。例えば、1段目が直流を直流に変換し、2段目が直流を交流に変換する構成がある。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
Claims (10)
- 直流回路と交流回路との間で電力変換を行う多相電力変換装置であって、
前記直流回路と前記多相電力変換装置との接続配線部に設定した2点間のインダクタンス成分に発生する電圧を検出する差電圧検出部、および前記差電圧検出部の出力が予め設定した閾値を越えたとき、前記多相電力変換装置内で短絡が発生したと判定する短絡検出部を備え、
前記差電圧検出部と前記短絡検出部との間に、前記差電圧検出部の出力の直流成分を除去する微分回路を備えた多相電力変換装置。 - 前記微分回路と前記短絡検出部との間に、前記微分回路の出力を積分する積分回路を備えた請求項1記載の多相電力変換装置。
- 前記接続配線部にフィルタリアクトルを挿入する場合、前記差電圧検出部は、前記フィルタリアクトルのインダクタンス成分に発生する電圧を検出するようにした請求項1または請求項2に記載の多相電力変換装置。
- 複数の前記多相電力変換装置を1個の前記接続配線部を介して前記直流回路に接続することにより前記複数の前記多相電力変換装置内で発生する短絡を1個所で検出可能とした請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
- 前記多相電力変換装置である第一電力変換装置と第二電力変換装置とを備え、前記第一電力変換装置と前記第二電力変換装置との直流側は互いに並列にして前記接続配線部を介して前記直流回路に接続され、前記第一電力変換装置と前記第二電力変換装置との交流側は、それぞれ前記交流回路である第一交流回路および第二交流回路に接続された請求項4記載の多相電力変換装置。
- 前記多相電力変換装置は、前記直流回路からの直流電力を交流電力に変換して前記交流回路に出力する多相インバータである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
- 前記多相電力変換装置は、前記交流回路からの交流電力を直流電力に変換して前記直流回路に出力する多相コンバータである請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
- 前記多相電力変換装置は、前記直流回路からの直流電力を直流電力に変換する多相コンバータおよび前記多相コンバータからの直流電力を交流電力に変換して前記交流回路に出力する多相インバータを備えた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
- 前記直流回路は直流電源であり、前記交流回路は交流負荷である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
- 前記直流回路は直流負荷であり、前記交流回路は交流電源である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の多相電力変換装置。
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