〔第1実施形態〕
図を用いて本発明の第1実施形態について説明をする。説明は、画像形成装置の全体構成、カセット本体の構成、後端規制部材の全体構成、保持機構部、係合解除機構の順で説明を行う。ここでは、画像形成装置として、レーザービームプリンタを例示している。
<画像形成装置の全体構成>
図1を用いて、画像形成装置の全体構成の概要について説明する。図1は第1実施形態におけるシート給送装置を備えた画像形成装置の断面図である。図1で例示するのは、給送カセット1(シート給送部)を備えた画像形成装置100の一例であるレーザービームプリンタである。給送カセット1は、各種サイズのシートに対応したユニバーサルカセットであり、画像形成装置100の装置本体2に対して、着脱可能に構成される。
図1において、画像形成装置100には、装置本体2の内部に、電子写真方式により画像形成を行う画像形成部102と、シートSを画像形成部102に給送するためのシート給送装置103とを有する。
画像形成部102は、トナー像を形成する感光体ドラム107、感光体ドラム107に形成されたトナー像をシートSに転写する転写ローラ106、感光体ドラム表面を一様に帯電する帯電ローラ109、現像器110を有する。
なお、本実施形態においては、感光体ドラム107と、感光体ドラム107に作用する帯電ローラ109や現像器110のプロセス部を一体的に構成したプロセスカートリッジ111を有する。
シート給送装置103は、シートSを多数枚収容可能な収容部である給送カセット1と、給送カセット1の上方に設けられる給送ローラ103Aを備える。給送ローラ103Aは、給送カセット1に収容されたシートSを給送する。
給送カセット1は、シートSを収容するカセット本体1A(シート収容部)と、中板6と、分離部材101とを備える。
中板6は、シートSを積載すると共に、支軸50aを支点にしてカセット本体1Aに対して回動自在に保持され、コイルバネ51により給送ローラ103Aに向けて付勢される。中板6をコイルバネ51によって給送ローラ103A方向へ押し上げることにより、中板6上に積載されるシートSは、給送ローラ103Aに対して押し付けられる。
分離部材101は、給送ローラ103Aにより送り出されたシートSを一枚ずつ分離する。
<画像形成動作>
次に、このように構成された画像形成装置100の画像形成動作について説明する。まず、予め帯電ローラ109により感光体ドラム107表面が一様に帯電される。そして、回転している感光体ドラム107上に、不図示のホストコンピュータからの画像信号に基づき、装置本体2に設けられたレーザースキャナ122からレーザ光が照射される。これにより、感光体ドラム107の表面に静電潜像が形成される。
次に、現像器110上のトナーにより感光体ドラム107の表面の静電潜像が現像され、感光体ドラム107上にトナー像が形成される。
一方、給送ローラ103Aは、所定のタイミングで回転を始め、これに連動してコイルバネ51の力により給送ローラ側に付勢される中板6(積載部材)が上方に回動する。この結果、中板6上に積載されたシートSの先端部が給送ローラ103Aに所定の力で圧接する。ここで、給送ローラ103Aは給送時のみ反時計回りに回転するように制御されており、圧接したシートSを、給送ローラ103Aの摩擦力によって給送する。
なお、中板6上のシートSが複数枚同時に送り出されると、分離部材101の作用により、最上位のシートSのみが分離される。最上位のシートは下流へと搬送される。
次に、このように分離部材101によって分離された最上位のシートSは、レジストユニット105に送られて斜行補正される。その後、レジストユニット105により感光体ドラム107と転写ローラ106とにより構成される転写部108に搬送される。
転写部108において、感光体ドラム107上に形成されたトナー像が転写ローラ106によって電気的に引きつけられてシートSに転写される。
なお、トナー画像が転写されたシートSは、この後、搬送ベルト104により加熱ユニット113と加圧ローラ114からなる定着ユニット115へ搬送される。定着ユニット115において、加熱及び加圧されることにより、シートSに対してトナー画像が定着される。この後、中間排出ローラ対118及び排出ローラ対119によって、シートSは装置本体上面の排出トレイ121上へ排出される。
<カセット本体の構成>
図2を用いて、カセット本体1Aの構成について説明する。図2は第1実施形態における給送カセットの概略平面図である。
給送カセット1は、各種サイズのシートを収容するカセット本体1A(積載手段)と、シートの側端位置を規制する一対の側端規制部材5a,5b(側端規制板)と、シートの後端位置(端部位置)を規制する後端規制部材3(後端規制板)を備える。なお、側端規制部材5a,5bと後端規制部材3とは、中板6(図1参照)の回動動作に影響しないように配設されている。
カセット本体1Aに各種サイズのシートを収容する際、側端規制部材5a,5bをシートの側端に当接させることで、シートの側端位置を規定する。また、後端規制部材3をシートの後端に当接させることで、シートの後端位置を規定する。これにより、シートを位置決めした状態で収容することができる。
シートを給送する際には、給送カセット1を図2中の矢印A方向より装置本体内に装着する。給送カセット1を装着すると、図1に示す中板6が、コイルバネ51により支軸50aを中心に上方に押し上げられる。これにより、側端規制部材5a,5b及び後端規制部材3に位置決めされたシートが、給送ローラ103A(図1参照)に押し付けられる。なお、このように給送ローラ103Aに押し付けられたシートは、給送ローラ103Aの送り作用により1枚ずつ送り出されて、画像形成部102に給送される。
図2に示すように、一対の側端規制部材5a,5bの下部には、それぞれラック歯52a,52bを備える。ラック歯52a,52bは、側端規制部材5a,5bの移動方向である幅方向と同方向(矢印B方向)に延設される。ラック歯52a,52bは、カセット本体1Aの底板に矢印B方向に設けられた不図示のガイド溝に案内されて、幅方向に移動自在となっている。
ラック歯52a,52bにはラック歯が形成され、それぞれのラック歯52a,52bは、カセット本体1Aの底面中央部に回転自在に設けられているピニオン4に対して噛み合っている。
これにより、側端規制部材5a,5bのいずれか一方を幅方向に移動させると、ピニオン4とラック歯52a,52bとの作用により、他方の側端規制部材が連動して一方の側端規制部材と逆方向に移動する。このように、一方の側端規制部材を移動させることによって両方の側端規制部材5a,5bを同時に幅方向に移動させて中板6に積載したシートの側端に当接させる。これにより、シートの幅方向の位置決めを容易に行うことができる。
後端規制部材3は、カセット本体1Aの底板に矢印C方向に設けられた不図示のガイド溝に案内されて、給送方向(第1の方向)及びその反対方向(第2の方向)に移動自在となっている。
<後端規制部材(規制手段)の全体構成>
図3を用いて、後端規制部材3の全体構成について説明する。図3は第1実施形態における後端規制部材の構成を示す斜視図である。
図3に示すように、後端規制部材3は、本体部(当接部)3Aと、スライド部3Bと、保持機構部3C(図4参照)とを有する。本体部3Aは、シートの後端に当接する部材であり、スライド部3Bは、本体部3Aを垂設してスライド可能に構成される部材である。保持機構部3Cは、後述する係合部9a,9bによりカセット本体1Aに係合して後端規制部材3を所定の位置に保持する部材である。
また、後端規制部材3は、操作部材8を備える。操作部材8は、ユーザにより操作されることで、支軸8a(第1の回動支点;第1の揺動中心)を中心に回動(揺動)可能に設けられた、回動部(揺動部)を有する。操作部材8は、後端規制部材3を操作し、後述する切換面により係合部9a,9bのカセット本体1Aとの係合を解除して移動可能に構成される。
操作部材8の解除操作により、係合部9a,9bのカセット本体1Aとの係合を解除すると、後端規制部材3が移動可能となる。これにより、後端規制部材3の位置を変更させることができる。また、後端規制部材3の移動操作後には、カセット本体1Aに係合部9a,9bが再び係合する。これにより、後端規制部材3の位置を保持することができる。
<保持機構部>
図4及び図5を用いて、後端規制部材3とカセット本体1Aの保持機構部3Cについて説明する。図4は第1実施形態における後端規制部材の保持機構部を示す斜視図である。図5は第1実施形態における後端規制部材の保持機構部を示す図であり、(a)は後端規制部材の平面図、(b)は(a)のb部拡大図、(c)は(a)のc部拡大図、(d)は保持機構部の断面図である。
図4に示すように、保持機構部3Cは、カセット本体1Aに形成され規制手段となる後端規制部材3の移動方向に沿って設けられた被係合部となるラック歯列1a,1bと、保持部材7(係合部材)と、操作部材8とにより構成される。また、後に詳述するが、保持部材7には歯列9(係合部)とV字溝10(被操作形状部)が形成され、操作部材8には凸形状(断面山型形状)の突部11(操作形状部)が形成される。
図5(a)に示すように、保持部材7は上方から見て略対称となる2つの部材から構成される構造である。図5(a)において保持部材7の下方である外側端部に係合部9a,9bとしての歯列が形成され、カセット本体1Aのラック歯列1a,1bと係合する。
また、図5(a)において保持部材7の上方の外側には凹形状(断面V字形状)のV字溝10が形成される。当該溝は、後述するように、図面下側の小サイズ規制方向が第一切換面10a(第1の被解除面)となり、図面上側の大サイズ規制方向が第一切換面10b(第2の被解除面)となる。この一対の斜面である第一切換面10a,10b(被当接面)はそれぞれ以下の通りである。操作部材8と一体的に構成され薄肉部8bにて連結される凸形状の突部11の一対の斜面である第二切換面11a,11b(第1の解除面、第2の解除面;当接面)と当接可能に構成される。
すなわち、第二切換面11a、11bは、保持部材7の歯列からなる係合部9a、9bと、カセット本体1Aのラック歯列1a、1b(被係合部)の係合を解除する解除部として機能する。具体的には、第二切換面11a、11bは、歯列からなる係合部9a、9bを、ラック歯列1a、1bと係合した係合位置から、ラック歯列1a、1bと係合しない解除位置へと移動させる。このとき、歯列からなる係合部9a、9bが移動する方向は、後端規制部材3の移動方向(矢印C方向)と直交する方向、かつ、水平方向(矢印C方向と直交する方向)である。
次に、操作部材8を操作することにより、操作部材8に連結される突部11を移動させ、突部11がV字溝10に当接しつつ保持部材7を回動させ、その結果、保持部材7とラック歯列1a,1bとの係合を外す手順を、詳細に説明する。
図4及び図5に示すように、保持部材7の2方向の側方端部に設けられた係合部9a,9bは、複数の三角形状の歯により構成された歯列である。係合部9a,9bは、係合位置でラック歯列1a,1bに係合している。ラック歯列1a,1bは、カセット本体1Aの底面に設けられ、三角形状の歯により構成される。この構成で、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとが互いに水平方向で係合すると、後端規制部材3が、シートサイズに応じた設定位置で保持(固定)される。
上述のように、係合部9a,9bの歯列と、ラック歯列1a,1bとは、三角形状の歯である。これにより、機械的に高い保持強度を確保することができる。すると、係合部9a,9b及びラック歯列1aのピッチを小さくすることができ、後端規制部材3の設定位置を微調整することが可能となる。
係合部9a,9bそれぞれは、互いに歯の形状を逆方向に設定する。すなわち、図5(b)に示すように、係合部9aは、小サイズシートを保持するために後端規制部材3を移動させる場合に規制となる側に歯の形状が形成される。一方、図5(c)に示すように、係合部9bは、大サイズシートを保持するために後端規制部材3を移動させる場合に規制となる側に略垂直な面を設けている。このため、大サイズ規制方向、小サイズ規制方向のいずれに移動するときにおいても、大きな抵抗力を発生する。
このように、後端規制部材3が大サイズ規制方向及び小サイズ規制方向に力を受けた場合、係合部9aとラック歯列1aまたは係合部9bとラック歯列1bの略垂直な面が圧接することとなる。
このように、後端規制部材3が大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向に力を受けた場合、係合部9a,9b及びラック歯列1a,1bのそれぞれの略垂直な面が圧接する。すると、後端規制部材3にかかる力を受け止めることができ、後端規制部材3は高い保持力を発揮する。
また、本実施形態では、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとを水平方向で係合させる。これにより、後端規制部材3が大サイズ規制方向または小サイズ規制方向に力を受けて、係合部9a,9bが垂直方向に変形しても、係合方向と変形方向が直交する関係にある。係合方向と変形方向が直交していると変形し難い構造であるため、後端規制部材3は、高い保持力を発揮する。
また、係合部9aは、係合部9aから延びる腕部9cの根元を回動支点9e(第2の揺動支点)とし、矢印G方向に変形可能(揺動可能)な構成である。同様に、係合部9bは、係合部9bから延びる腕部9dの根元9fを回動支点(第2の揺動支点)とし、矢印H方向に変形可能(揺動可能)な構成である。
また、回動支点9e,9fの間には、弾性部9gが設けられる。こうして、係合部9aと係合部9bは一体となっている。
<係合解除機構>
次に、図3乃至図7を用いて、後端規制部材3とカセット本体1Aの係合が解除される機構の詳細を説明する。図6は第1実施形態における保持機構部の操作部を大サイズ規制方向に回動操作させて係合を解除した状態を示す図であり、(a)は保持機構部の平面図、(b)は保持機構部の断面図である。図7は第1実施形態における保持機構部の操作部を小サイズ規制方向に回動操作させて係合を解除した状態を示す図であり、(a)は保持機構部の平面図、(b)は保持機構部の断面図である。
操作部材8は、図3に示す後端規制部材3の本体部3Aの上部に設けられる。また、操作部材8は、図4に示すように、後端規制部材3の移動方向と略直交する方向に配置された支軸8a(回動軸)を中心に矢印D1方向(第1の方向)および矢印D2方向(第2の方向)に回動可能に設けられている。
図4乃至図7に示すように、保持部材7には、外側に広がったV字状で凹形状の第一切換面10aが形成される。一方、操作部材8の底面端部にはV字状で凸形状の第二切換面11aが設けられる。そして、保持部材7の第一切換面10aと、操作部材8の第二切換面11aは、互いに遊嵌する。
操作部材8と第二切換面11aとの間には、操作部材8の回動部が回動することにより弾性変形する薄肉部8b(弾性部)が設けられ、操作部材8と第二切換面11aとは薄肉部8bによって連結される。薄肉部8bは、操作部材8の他の部分よりも厚さが薄いことで、弾性変形可能に設けられている。また、薄肉部8bは、支軸8aと第二切換面11aとの間に設けられている。また、図5(d)に示すように、操作部材8の底面端部中央には、第二切換面11aが移動する方向と直交する方向への移動を規制する移動規制部8c,8dが設けられる。移動規制部8c、8dは、後端規制部材3に設けられており、操作部材8の一部がシートの厚さ方向に移動することを規制する。
本実施形態においては、上述の構成により、操作部材8の第二切換面11aと、保持部材7の第一切換面10aとが相対的に移動すると、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとの係合が解除される。
例えば、大サイズのシートを収容するため、後端規制部材3を図6(a)の大サイズ規制方向(矢印F方向)に移動させる場合、まず、操作部材8を、後端規制部材3の移動方向と同じ矢印F方向に押圧する。すると、操作部材8は、図4に示す支軸8aを支点として矢印D1方向に揺動する(図6の状態)。
ここで、図6(b)に示すように、移動規制部8c,8dによって、矢印F方向と直交する上下方向への移動が規制されている。このため、薄肉部8bは弾性変形しつつ、V字状の凸形状の突部11の第二切換面11aを、矢印F方向と逆方向に水平移動させる。操作部材8の第二切換面11aが水平移動すると、第二切換面11aは保持部材7の第一切換面10aを押圧する。
保持部材7の第一切換面10aが押圧されることにより、図6に示すように、保持部材7の係合部9a,9bは、腕部9c,9dの根元を回動支点9e,9fとして回動する。係合部9a,9bの回動は矢印G、H方向である。すると、係合部9aとラック歯列1a、係合部9bとラック歯列1bとの係合が解除され、保持部材7とカセット本体1Aとの係合が解除される。この時、図6(a)に示すように、弾性部9gは弾性変形している。
上述のように、操作部材8を倒す操作と連動して、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとの係合が解除される。これにより、この後、設定位置を変更する際に、後端規制部材3を大サイズ規制方向に容易に移動することができる。
後端規制部材3の移動が終了した後は、操作部材8の押圧を解除すると、薄肉部8b及び弾性部9gが弾性変形する。すると、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとが係合する元の状態(図5参照)に戻り、後端規制部材3を設定位置に保持することができる。
また、同様に、薄肉部8b及び弾性部9gの作用によって、操作部材8も元の姿勢に戻る。すると、操作部材8のホームポジションが決定される。
次に、小サイズのシートを収容するため、後端規制部材3を、図7(a)の小サイズ規制方向(矢印J方向)に移動させる場合、まず、操作部材8を、後端規制部材3の移動方向と同じ矢印J方向に押圧する。すると、操作部材8は、図4に示す支軸8aを支点としてD2方向に揺動する。
ここで、図7(b)に示すように、移動規制部8c,8dによって、矢印J方向と直交する上下方向への移動が規制されている。このため、薄肉部8bは弾性変形しつつ、V字状の凸形状を設けた第二切換面11bを、矢印J方向と逆方向に水平移動させる。操作部材8の第二切換面11bが水平移動すると、第二切換面11bは保持部材7の第一切換面10bを押圧する。
保持部材7の第一切換面10bが押圧されることにより、図7に示すように、保持部材7の係合部9a,9bは、腕部9c,9dの根元を回動支点9e,9fとして回動する。係合部9a,9bの回動は矢印G、H方向である。すると、係合部9aとラック歯列1a、係合部9bとラック歯列1bとの係合が解除され、保持部材7とカセット本体1Aとの係合が解除される。この時、図7(a)に示すように、弾性部9gは弾性変形している。
上述のように、操作部材8を倒す操作と連動して、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとの係合を解除される。これにより、この後、設定位置を変更する際に、後端規制部材3を小サイズ規制方向に容易に移動することができる。
後端規制部材3の移動が終了した後は、操作部材8の押圧を解除すると、薄肉部8b及び弾性部9gが弾性変形する。すると、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとが係合する元の状態(図5参照)に戻り、後端規制部材3を設定位置に保持することができる。
また、同様に、薄肉部8b及び弾性部9gの作用によって、操作部材8も元の状態に戻る。すると、操作部材8のホームポジションが決定される。
このように、本実施形態によれば、操作部材8を双方向(矢印D1及びD2方向)のどちらに押圧操作した場合にも、係合部9aは矢印Gのみ、係合部9bはH方向のみの同一方向に移動する。このため、係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとの係合は確実に解除される。
このため、後端規制部材3を移動させる際に、移動させる方向に向けて操作部材8を押圧操作すると、保持機構部3Cによる保持が解除される。これにより、後端規制部材3は移動可能となる。
また、本実施形態では、図5に示すように、V字溝10の係合部9a,9b側の第一切換面10aの傾斜角度と第一切換面10bの係合部9a,9bと反対側の傾斜角度を異なるものとした。同様に、突部11の第二切換面11aの傾斜角度と第二切換面11bの傾斜角度を異なるものとした。これにより、後端規制部材3の操作方向によらずに、保持部材7の係合部9a,9bとラック歯列1a,1bとの係合が解除されるタイミングを完全に揃えることが可能になり、操作感が向上する。
なお、具体的な角度の大きさは、V字溝10や突部11、及び保持部材7のサイズによって異なるため、適宜設定することが必要である。
このように、保持機構部3Cの両端に係合部と切換面を設け、弾性部で一体化し、操作部に切換面と薄肉部を設けることで、極めて少ない部品点数で薄型化された保持機構部が構成できる。よって、後端規制部材を大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向の両方の操作と保持を可能にできる。
これにより、後端規制部材の操作性を落とさずに、保持部の高さを低くして、給送カセットが小型化され、規制部材周辺の部品点数を削減して組立性が改善される。
また、後端規制部材の移動が終了した後は、操作部の押圧操作を解除すると、突部のV字溝に対する押圧も解除される。すると、薄肉部と弾性部の作用によって操作部も元の状態に戻り、弾性部の変形も復元し元の状態に戻るので、弾性部の塑性変形が回避でき、品質が安定する。
なお、本実施形態では、後端規制部材3に保持機構部3Cの構成を適用した例を示したが、側端規制部材にも同様の構成を適用することができる。
なお、本実施形態では、給送カセット1に本発明が適用された例について説明したが、本発明はこれに限定されるべきではない。すなわち、本発明は、シートが積載される積載手段と、該積載手段に積載されているシートの端部に当接し、シートの位置を規制する規制手段を有するシート積載装置に適用することができる。例えば、いわゆる手差し給紙トレイや、読み取り装置(ADF)に、本発明を適用することもできる。
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態について説明する。以下の第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と共通する内容(構成及び動作)については、適宜説明を省略する。
<側端規制部材の全体構成>
図8を用いて、側端規制部材5aの全体構成について説明する。図8は第2実施形態における側端規制部材の構成を示す斜視図であり、(a)は側端規制部材を上側からみた斜視図、(b)は側端規制部材を下側からみた斜視図である。
図8に示すように、シートの側端と当接する本体部5Aと、本体部5Aが垂設されたスライド部5Bと、後述する保持部材29によりカセット本体1Aに係合して側端規制部材5aを所定の位置(端部位置)に保持する保持機構部5Cを備える。保持機構部5Cは、カセット本体1Aに形成され側端規制部材5aの移動方向に沿って配置されるラック歯列からなる被係合部21aと、側端規制部材5aに設けられる操作部28及び保持部材29とにより構成される。
操作部28は、側端規制部材5aを移動可能とする。つまり、操作部28の解除操作により、保持部材29とカセット本体1Aとの係合を解除し、側端規制部材5aが移動可能となる。これにより、側端規制部材5aの設定位置を変更させることができる。また、側端規制部材5aの移動操作後には、カセット本体1Aに係合部が再び係合することで、側端規制部材5aの位置を保持することができる。
<保持機構部>
図9及び図10を用いて、側端規制部材5aとカセット本体1Aの保持機構部5Cについて説明する。図9は第2実施形態における側端規制部材の保持機構部を示す正面図である。図10は第2実施形態における側端規制部材の保持機構部を示す図で、(a)は側端規制部材の上面図、(b)は保持機構部の水平断面図(図9のA−A断面図)、(c)は側端規制部材を示す断面図である。
図9及び図10に示すように、側端規制部材5aに設けられた保持部材29は、側面に複数の三角形状の歯により構成される歯列29a(係合部)を備える。歯列29aは、カセット本体1Aの底面に設けられるラック歯列からなる被係合部21aに係合する。ラック歯列からなる被係合部21aは、三角形状の歯により構成される。
このように、保持部材29に設けられた歯列29aが、ラック歯列からなる被係合部21aに水平方向で係合することにより、側端規制部材5aが、シートサイズに応じた設定位置で保持(固定)される。
本実施形態のように、歯列29aの歯及びラック歯列からなる被係合部21aを三角形状の歯とすることで、機械的に高い保持強度を確保することができる。この結果、歯列29a及びラック歯列からなる被係合部21aのピッチを小さくすることができるため、側端規制部材5aの設定位置を微調整することが可能となる。
また、図10(a)に示すように、保持部材29には凹形状(断面V字形状)のV字溝30(被操作形状部)が形成される。当該溝は、後述するように、図面下側の小サイズ規制方向が第一切換面30aとなり、図面上側の大サイズ規制方向が第一切換面30bとなる。この一対の斜面である第一切換面30a,30b(被当接面)はそれぞれ、操作部28と一体的に構成され薄肉部28bにて連結される凸形状の突部31(操作形状部)の一対の斜面である第二切換面31a,31b(当接面)と当接可能に構成される。
<係合解除機構>
次に、図8乃至図12を用いて側端規制部材5aとカセット本体1Aの係合が解除される機構の詳細を説明する。図11は第2実施形態における保持機構部の操作部を大サイズ規制方向に回動操作させて係合を解除した状態を示す図である。(a)は保持機構部の上面図、(b)は保持機構部の水平断面図、(c)は側端規制部材を示す断面図である。図12は第2実施形態における保持機構部の操作部を小サイズ規制方向に回動操作させて係合を解除した状態を示す図である。(a)は保持機構部の上面図、(b)は保持機構部の水平断面図、(c)は側端規制部材を示す断面図である。
操作部28は、図8乃至図12に示すように、側端規制部材5aの本体部5Aの上部に設けられる。操作部28は、図8(b)に示すように、側端規制部材5aの移動方向と略直交する方向に配置された支軸28a(回動軸)を中心に、図8(a)に示す矢印D3及びD4方向に回動可能に設けられる。
図10に示すように、操作部28には、操作部28から垂下したのち水平に延設される薄肉部28bがある。薄肉部28bは鉛直方向の移動が規制される規制部28c,28dが形成される。また、薄肉部28bには、保持部材29の凹形状のV字溝30に遊嵌する、凸形状(断面山型形状)の突部31を有する。
このように、操作部28と一体となる突部31と、保持部材29近傍に形成されたV字溝30とが当接して移動する。これにより、操作部28の操作に連動して側端規制部材5aの保持部材29とカセット本体1Aのラック歯列からなる被係合部21aとの係合が解除される。
例えば、大サイズのシートを収容するため、側端規制部材5aを図11(a)の大サイズ規制方向(矢印F方向)に移動させる場合、まず、操作部28を、側端規制部材5aの移動方向と同じ矢印F方向に押圧する。すると、操作部28は、図8(b)に示す支軸28aを支点としてD3方向に揺動する(図11の状態)。
ここで、図11に示すように、規制部28c,28dによって、矢印F方向と直交する上下方向への移動が規制されている。このため、薄肉部28bは弾性変形しつつ、V字状の凸形状の突部31の第二切換面31aを、矢印F方向と逆方向に水平移動させる。操作部28の第二切換面31aが水平移動すると、第二切換面31aは保持部材29の第一切換面30aを押圧する。
保持部材29の第一切換面30aが押圧されることにより、保持部材29の歯列29aは、図11(b)に示すように、弾性部29bの根元29cを固定端として矢印M方向に回動する。これにより、保持部材29の歯列29aと、カセット本体1Aのラック歯列からなる被係合部21aとの係合が解除される。この解除により、この後、側端規制部材5aを大サイズ規制方向に移動する際、側端規制部材5aを簡単に移動させることができる。
側端規制部材5aの移動が終了した後は、操作部28の押圧を解除すると、薄肉部28b及び弾性部29bが弾性変形する。すると、保持部材29の歯列29aとカセット本体1Aのラック歯列からなる被係合部21aとが係合する元の状態(図10参照)に戻り、側端規制部材5aを設定位置に保持することができる。
また、同様に、薄肉部28b及び弾性部29bの作用によって、操作部28も元の状態に戻る。すると、操作部28のホームポジションが決定される。
次に、小サイズのシートを収容するため、側端規制部材5aを図12(a)の小サイズ規制方向(矢印G方向)に移動させる場合、まず、操作部28を、側端規制部材5aの移動方向と同じ矢印G方向に押圧する。すると、操作部28は、図8(b)に示す支軸28aを支点として矢印D4方向に揺動する(図12の状態)。
ここで、図12に示すように、規制部28c,28dによって、矢印G方向と直交する上下方向への移動が規制されている。このため、薄肉部28bは弾性変形しつつ、V字状の凸形状の突部31の第二切換面31bを、矢印F方向と逆方向に水平移動させる。操作部28の第二切換面31bが水平移動すると、第二切換面31bは保持部材29の第一切換面30bを押圧する。
保持部材29の第一切換面30bが押圧されることにより、保持部材29の歯列29aは、図12(b)に示すように、弾性部29bの根元29cを固定端として矢印M方向に回動する。これにより、保持部材29の歯列29aと、カセット本体1Aのラック歯列からなる被係合部21aとの係合が解除される。この解除により、この後、側端規制部材5aを大サイズ規制方向に移動する際、側端規制部材5aを簡単に移動させることができる。
側端規制部材5aの移動が終了した後は、操作部28の押圧を解除すると、薄肉部28b及び弾性部29bが弾性変形する。すると、保持部材29の歯列29aとカセット本体1Aのラック歯列からなる被係合部21aとが係合する元の状態(図10参照)に戻り、側端規制部材5aを設定位置に保持することができる。
また、同様に、薄肉部28b及び弾性部29bの作用によって、操作部28も元の状態に戻る。すると、操作部28のホームポジションが決定される。
このように、本実施形態によれば、操作部28を双方向(矢印D3及びD4方向)のどちらに押圧操作した場合にも、保持部材29の歯列29aは矢印Mのみの同一方向に移動する。このため、歯列29aとラック歯列からなる被係合部21aとの係合が確実に解除される。
このため、側端規制部材5aを移動させる際に、移動させる方向に向けて操作部28を押圧操作すると、保持機構部5Cによる保持が解除される。これにより、側端規制部材5aは移動可能となる。
このように、側端規制部材5aと一体に構成された保持機構部5Cを備え、保持機構部に係合部、係合部近傍の切換面、係合部から延びる弾性部を設け、操作部に切換面と薄肉部を設けることで、極めて少ない部品点数で薄型化された保持機構部が構成できる。これとともに、側端規制部材を大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向の両方の操作と保持を可能にできる。
これにより、側端規制部材の操作性を落とさずに、保持部の高さを低くして給送カセットが小型化され、規制部材周辺の部品点数が削減され組立性が改善される。
また、側端規制部材が固定された状態で、部品同士のガタによって発生する側端規制部材の位置ズレがなくなり、印字精度が向上する。
また、側端規制部材の移動が終了した後は、操作部の押圧操作を解除すると、突部のV字溝に対する押圧も解除される。すると、薄肉部と弾性部の作用によって操作部も元の状態に戻り、弾性部の変形も復元し元の状態に戻るので、弾性部の塑性変形が回避でき、品質が安定する。
なお、本実施形態では、V字溝30の弾性部29bの根元29c側の第一切換面30bと弾性部29bの根元29cと反対側の第一切換面30aの傾斜角度を同じとした例を示したが、これに限るものではない。つまり、V字溝30の弾性部29bの根元29c側の第一切換面30bと弾性部29bの根元29cと反対側の第一切換面30aの傾斜角度を異なるものとする。それと同様に、突部31の第二切換面31bと第二切換面31aとの傾斜角度を異なるものとする。すると、第1実施形態と同様に、規制部材への操作方向によらずに、係合部と被係合部との係合が完全に解除されるタイミングを揃えることもできる。この場合、操作感が向上する。
また、本実施形態では、側端規制部材5aに本発明を適用した例を示したが、後端規制部材3にも同様の構成を適用することができる。
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態について説明する。以下の第3の実施形態の説明において、第1の実施形態及び第2の実施形態と共通する内容(構成及び動作)については、適宜説明を省略する。
<側端規制部材の全体構成>
次に図13を用いて側端規制部材5a(5b)の全体構成について説明する。尚、以下の説明では、側端規制部材5a,5bのうちで側端規制部材5aを代表して説明する。図13は給送カセット1に設けられる側端規制部材5a(5b)の構成を示す斜視図である。図13に示すように、側端規制部材5a(5b)は、シートSの側端と当接する当接部5cと、該当接部5cに対して直交して設けられたスライド部5dとを有する。
更に、歯列9を構成する係合部9a,9bと、カセット本体1Aの底板1cに設けられた被係合部17となるラック歯列17a,17bとが噛合して係合する。これにより該側端規制部材5a(5b)をカセット本体1Aに対して所定の位置に固定して保持する保持機構部を備えている。
また、側端規制部材5aを操作し、切換え面として作用する図16に示す一対の当接面15a,15bにより歯列9のカセット本体1Aとの係合を解除して該側端規制部材5aを移動可能にする操作部材8を備えている。そして、この操作部材8の解除操作により、歯列9のカセット本体1Aとの係合を解除した場合には、側端規制部材5aが移動可能となり、シートSの側端の設定位置を変更することができる。また、側端規制部材5aの移動操作後には、カセット本体1Aに歯列9が再び係合することで側端規制部材5aの位置を保持することができる。
更に、保持機構部には、図18(b)及び図19(b)に示す摺動部12a,12bが設けられている。この摺動部12a,12bにより操作部材8を押圧する際に抵抗力を与えることができ、側端規制部材5aが移動するときに安定した係合と解除の状態を維持することができる。
<保持機構部>
次に図13〜図19を用いて側端規制部材5aと、カセット本体1Aとの間の保持機構部の構成について説明する。図14はカセット本体1Aの側端規制部材5aの保持機構部を示す斜視図である。図14(a)は側端規制部材5aと操作部材8とを上方側から見た斜視図である。図14(b)は側端規制部材5aと操作部材8とを下方側から見た斜視図である。
図15は側端規制部材5aの保持機構部を示す正面図である。図16及び図17は側端規制部材5aを示す水平断面図である。図16は側端規制部材5aの切換え面として作用する一対の被当接面14a,14bと、該被当接面14a,14bに当接し得る一対の当接面15a,15bとを示す図15のK−K断面図である。図17(a)は側端規制部材5aの保持機構部を構成する歯列9からなる係合部9a,9bと、該係合部9a,9bが係合する被係合部17となるラック歯列17a,17bとを示す図15のL−L断面図である。図17(b)は図17(a)のN部拡大図、図17(c)は図17(a)のP部拡大図である。
図14及び図15に示すように、側端規制部材5aに設けられた2つの歯列9は弾性変形可能な弾性変形部19c,19dを介して設けられている。歯列9は図14(b)に示すように、外側面に複数の三角形状の歯が連続して構成される係合部9a,9bを備えている。この係合部9a,9bは、カセット本体1Aの底板1cに設けられ、側端規制部材5aの移動方向に沿って配置された複数の三角形状の歯が連続して構成される被係合部17となるラック歯列17a,17bと係合し得るように構成されている。
側端規制部材5aに設けられた歯列9からなる係合部9a,9bが、カセット本体1Aの底板1cに設けられた被係合部17となるラック歯列17a,17bに噛合して係合する。これにより側端規制部材5aはシートSの幅方向のサイズに応じた設定位置に固定して保持される。側端規制部材5aに設けられた歯列9からなる係合部9a,9bと、カセット本体1Aの底板1cに設けられた被係合部17となるラック歯列17a,17bとにより側端規制部材5aの保持機構部が構成される。
本実施形態のように、係合部9a,9b及びラック歯列17a,17bのそれぞれの歯を三角形状の歯とすることで機械的に高い保持強度を確保することができる。この結果、係合部9a,9b及びラック歯列17a,17bのそれぞれのピッチを小さくすることができるため側端規制部材5aの設定位置を微調整することが可能となる。
また、本実施形態では、図17(b),(c)に示すように、係合部9a,9bの歯の形状を逆方向に設定している。即ち、図17(b)に示す係合部9aは図17(b)の下方が側端規制部材5aの移動方向に対して略垂直面9a1で上方が傾斜面で構成される。また、図17(c)に示す係合部9bは図17(c)の上方が側端規制部材5aの移動方向に対して略垂直面9b1で下方が傾斜面で構成された一例である。
側端規制部材5aをシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向の両方に移動する。そのときに、双方で大きな抵抗力を発生するようにシートSの大サイズ規制方向側、及び小サイズ規制方向側に側端規制部材5aの移動方向に対して係合部9a,9bにそれぞれ略垂直面9a1,9b1を設けている。そして、側端規制部材5aがシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向に力を受けた場合には、係合部9a,9bの略垂直面9a1,9b1と、ラック歯列17a,17bの略垂直面17a1,17b1とが圧接するようにしている。
このように、側端規制部材5aがシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向に力を受けた場合、係合部9a,9bの略垂直面9a1,9b1と、ラック歯列17a,17bの略垂直面17a1,17b1とが圧接する。これにより、この力を受け止めることができ、これにより側端規制部材5aの高い保持力を確保することができる。また、係合部9a,9bの略垂直面9a1,9b1と、ラック歯列17a,17bの略垂直面17a1,17b1とが側端規制部材5aの移動方向に対して略垂直方向で当接係合する。
これにより側端規制部材5aがシートSの大サイズ規制方向または小サイズ規制方向に力を受けて歯列9の係合部9a,9bが側端規制部材5aの移動方向に変形する。しかし、係合部9a,9bの略垂直面9a1,9b1と、ラック歯列17a,17bの略垂直面17a1,17b1との係合方向と、係合部9a,9bの変形方向とが略直交している。このため側端規制部材5aの高い保持力を確保することができる。
図14(b)に示すように、歯列9の係合部9a,9bは、該係合部9a,9bからそれぞれ延びる弾性変形部19c,19dの根元部19e,19fをそれぞれの固定端としている。そして、図17(a)に示すように、係合部9aは弾性変形部19cの弾性変形により図17(a)の矢印g方向に変形可能な構成になっている。同様に、係合部9bは弾性変形部19dの弾性変形により図17(a)の矢印h方向に変形可能な構成になっている。
更に、弾性変形部19c,19dを根元部19e,19fを中心にそれぞれ図17(a)の矢印g,h方向に弾性変形させて、歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合を解除する。その場合に、弾性変形部19c,19dの復元力により歯列9の係合部9a,9bを被係合部17のラック歯列17a,17bに係合させる図17(a)の矢印p,q方向にそれぞれ力が発生する。これにより歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bに噛合して係合した状態で保持される。この結果、側端規制部材5aはカセット本体1Aに係合されて保持される。
また、歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bに噛合して係合されて保持された状態では、弾性変形部19c,19dの弾性変形は復元される。例えば、弾性変形部19c,19dが樹脂で形成された場合は、該弾性変形部19c,19dのモールドクリープ(弾性変形部19c,19dに荷重を加えたときに時間と共に変形が増大していく現象)が回避できる。
<係合解除機構部>
次に図18及び図19を用いて側端規制部材5aと、カセット本体1Aとの係合が解除される機構について説明する。図18は図14に示す操作部材8をシートSの大サイズ規制方向である矢印t方向に回動操作させて歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合を解除した状態を示す水平断面図である。図18(a)は切換え面として作用する一対の被当接面14a,14bと、該被当接面14aに当接し得る一対の当接面15a,15bとを示す図15のK−K断面図である。図18(b)は保持機構部となる被係合部17のラック歯列17a,17bと、該ラック歯列17a,17bと係合し得る歯列9の係合部9a,9bとを示す図15のL−L断面図である。
図19は図14に示す操作部材8をシートSの小サイズ規制方向である矢印u方向に回動操作させて歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合を解除した状態を示す水平断面図である。図19(a)は切換え面として作用する一対の被当接面14a,14bと、該被当接面14a,14bに当接し得る一対の当接面15a,15bとを示す図15のK−K断面図である。図19(b)は保持機構部となる被係合部17のラック歯列17a,17bと、該ラック歯列17a,17bと係合し得る歯列9の係合部9a,9bとを示す図15のL−L断面図である。
操作部材8は、図14に示すように、側端規制部材5aの当接部5cの上部に該側端規制部材5aの移動方向と略直交する方向に配置された回動軸となる支軸8aを中心に矢印t,u方向に回動可能に設けられている。操作部材8の支軸8aは図示しない軸受部を介して側端規制部材5aに設けられている。これにより、操作部材8は側端規制部材5aと一体的に移動する。
図14(b)に示すように、側端規制部材5aに設けられた歯列9の係合部9a,9bの上方近傍には外側に広がったV字状の凸部を設けた断面山型形状の斜面からなる一対の被当接面14a,14bが設けられている。そして、操作部材8の支軸8aの下方側には、該操作部材8の支軸8aを中心とした回動動作に伴って被当接面14a,14bに当接し得る外側に広がったV字状の凹部を設けた断面V字形状の斜面からなる一対の当接面15a,15bが設けられている。
一対の当接面15a,15bは操作部材8に設けられている。これにより、一対の当接面15a,15bは操作部材8と一体的に支軸8aを中心に回動され、図14の矢印t,u方向で示す操作部材8の回動方向に応じて一対の当接面15a,15bが一対の被当接面14a,14bに遊嵌される。
図18(a)及び図19(a)に示すように、操作部材8に設けられた当接面15a,15bと、歯列9の係合部9a,9bのそれぞれの近傍に設けられた被当接面14a,14bとが選択的に適宜当接する。これにより操作部材8の回動操作に連動して該操作部材8に設けられた当接面15a,15bが被当接面14a,14bに当接して弾性変形部19c,19dを根元部19e,19fを中心に図17(a)及び図18(b)の矢印p,q方向に弾性変形させる。
これにより、側端規制部材5a側に設けられる歯列9の係合部9a,9bと、カセット本体1Aの底板1c側に設けられる被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合が解除される。操作部材8は被係合部17のラック歯列17a,17bと、歯列9の係合部9a,9bとの係合と解除との切り替えを行う。
例えば、カセット本体1A内に大サイズのシートSを収容するために側端規制部材5aを図18の矢印f方向で示す大サイズ規制方向に移動させるように操作部材8を該側端規制部材5aの移動方向と同じ図18の矢印f方向に押圧する。すると、操作部材8は支軸8aを中心として図14の矢印t方向に回動する。
これに伴い、歯列9の係合部9a,9bのそれぞれの近傍に設けられたV字状の凸部を設けた被当接面14a,14bに当接面15a,15bが遊嵌されている。そして、操作部材8に設けられたV字状の凹部を設けた当接面15a,15bが図18の矢印f方向と逆方向(図18(a)の下方向)に移動する。そして、一対の被当接面14a,14bの図18(a)の上方に示す被当接面14aを押圧する。
これにより、図18(b)に示す歯列9の係合部9a,9bは弾性変形部19c,19dの根元部19e,19fを固定端としてカセット本体1Aとの係合が解除される方向である図18(b)の矢印g,h方向に移動する。そして、係合部9aとラック歯列17aとの係合が解除され、係合部9bとラック歯列17bとの係合が解除される。
このように、係合部9a,9bとラック歯列17a,17bとの係合を解除する。これにより、この後、シートSの側端の設定位置を変更するように側端規制部材5aを図18(b)の矢印f方向で示すシートSの大サイズ規制方向に移動する際、該側端規制部材5aを簡単に移動させることができる。
即ち、側端規制部材5aを移動させる方向に操作部材8を押圧操作する。これにより該操作部材8が支軸8aを中心に回動して当接面15a,15bが被当接面14a,14bに当接して押圧する。そして、弾性変形部19c,19dが弾性変形して歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bから外れて係合が解除されて側端規制部材5aが移動可能となる。
尚、側端規制部材5aの移動が終了した後は、操作部材8の押圧を解除すると、弾性変形部19c,19dの復元力によって、係合部9a,9bとラック歯列17a,17bとが係合する元の状態に戻る。これにより側端規制部材5aを目的の設定位置に固定して保持することができる。
また、同様に、弾性変形部19c,19dが復元する。その際の復元力によって、図16に示すように、操作部材8に設けられたV字状の凹部を設けた一対の当接面15a,15bが歯列9の係合部9a,9bのそれぞれの近傍に設けられたV字状の凸部を設けた一対の被当接面14a,14bに嵌合される。これにより操作部材8もホームポジションに設定される。
即ち、操作部材8の押圧操作を解除すると、当接面15a,15bが被当接面14a,14bから離れて弾性変形部19c,19dが復元し、歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bに係合されて側端規制部材5aが固定される。
また、小サイズのシートSをカセット本体1A内に収容するために側端規制部材5aを図19の矢印j方向で示すシートSの小サイズ規制方向に移動させるように操作部材8を側端規制部材5aの移動方向と同じ図19の矢印j方向に押圧する。すると、操作部材8は支軸8aを中心として図14(a)の矢印u方向に回動する。
これに伴い、図19(a)に示すように、V字状の凸部を設けた一対の被当接面14a,14bのうちで図19(a)の下方に示す被当接面14bがある。その被当接面14bに遊嵌されているV字状の凹部を設けた一対の当接面15a,15bのうちで図19(a)の下方に示す当接面15bがある。その当接面15bが図19(a)の矢印j方向と逆方向(図19(a)の上方向)に移動し、該当接面15bが被当接面14bを押圧する。
これにより、図19(b)に示すように、側端規制部材5aに設けられた歯列9の係合部9a,9bは、弾性変形部19c,19dの根元部19e,19fを固定端として移動する。そして、カセット本体1Aの底板1cに設けられた被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合が解除される方向である図19(b)の矢印g,h方向に移動する。そして、係合部9aとラック歯列17aとの係合が解除され、係合部9bとラック歯列17bとの係合が解除される。
このように、係合部9a,9bと、ラック歯列17a,17bとの係合を解除する。これにより、この後、シートSの側端の設定位置を変更するように側端規制部材5aを図19(b)の矢印j方向で示すシートSの小サイズ規制方向に移動する。その際に該側端規制部材5aを簡単に移動させることができる。
尚、側端規制部材5aの移動が終了した後は、操作部材8の押圧を解除する。すると、弾性変形部19c,19dの復元力によって係合部9a,9bとラック歯列17a,17bとが係合する元の状態に戻る。これにより側端規制部材5aを目的のシートSの側端の設定位置に固定して保持することができる。また、同様に、弾性変形部19c,19dの復元力によって操作部材8もホームポジションに戻る。
本実施形態によれば、操作部材8を図14(a)の矢印t,u方向の何れに押圧操作した場合にも、図18(b)及び図19(b)に示すように歯列9の係合部9aは図18(b)及び図19(b)の矢印g方向のみの同一方向に移動する。また、歯列9の係合部9bは図18(b)及び図19(b)の矢印h方向のみの同一方向に移動する。これにより、係合部9a,9bとラック歯列17a,17bとの係合が解除されるので側端規制部材5aは移動可能となる。
側端規制部材5aを一方向またはそれとは反対の他方向へ移動させる。その際に、移動させる方向に向けて操作部材8を押圧操作する。これにより係合部9a,9bと、ラック歯列17a,17bとからなる保持機構部による側端規制部材5aの保持が解除される。そして、該側端規制部材5aは移動可能となる。
<摺動機構部>
次に図18及び図19を用いて側端規制部材5aと、カセット本体1Aとの摺動機構部の構成について説明する。図18及び図19に示すように、側端規制部材5aに設けられた歯列9からなる係合部9a,9bに延長して摺動部12a,12bが設けられている。一方、カセット本体1Aの底板1cには、側端規制部材5aの移動方向に沿って配置された被摺動部13a,13bが設けられている。摺動部12a,12bは歯列9からなる係合部9a,9bの背面側に設けられ、側端規制部材5aの移動に伴って被摺動部13a,13bに沿って摺動する。
側端規制部材5aを移動させる方向に操作部材8を押圧操作する。すると、支軸8aを中心に該操作部材8と一体的に回動する当接面15a,15bが歯列9からなる係合部9a,9bの近傍に設けられた被当接面14a,14bに当接係合する。そして、該被当接面14a,14bと一体的に設けられた弾性変形部19c,19dが根元部19e,19fを中心に図18(b)及び図19(b)の矢印g,h方向に弾性変形する。
そして、摺動部12a,12bが被摺動部13a,13bに当接する。その後で、歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bから外れて係合解除され、側端規制部材5aが移動可能となる。
従って、歯列9の係合部9a,9bが被係合部17のラック歯列17a,17bから外れて係合が解除される。そして、側端規制部材5aが移動可能となるときに、摺動部12a,12bが被摺動部13a,13bに当接して側端規制部材5aの移動に対する抵抗力が付加されている。その結果、操作部材8を押圧操作する際に歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合が完全に解除される。それまでに弾性変形部19c,19dを弾性変形させる力に加えて摺動部12a,12bと、被摺動部13a,13bとが当接する。これにより弾性変形部19c,19dの弾性変形を抑制しようとする力が作用して操作部材8を押圧操作する際に必要な力が大きくなる。
これにより、操作部材8を押圧操作して、歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合が完全に解除された状態を安定して維持しながら側端規制部材5aを移動することが可能になる。これにより、歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合解除状態が不安定な場合に発生する変音が回避できる。
また、歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとが摩耗する懸念もない。また、摺動部12a,12bと、被摺動部13a,13bとの当接により発生する摩擦抵抗力は操作部材8を押圧したときのみに発生するため弾性変形部19c,19dのモールドクリープが回避できる。
また、操作部材8に設けられる一対の当接面15a,15bと、歯列9の係合部9a,9bの近傍に設けられる一対の被当接面14a,14bとの傾斜角度は以下の通りである。即ち、弾性変形部19c,19d側(弾性部側)と、該弾性変形部19c,19dと反対側となる摺動部12a,12b側とでは、異なる傾斜角度に設定することが出来る。
更に、操作部材8に設けられる一対の当接面15a,15bの傾斜角度は、弾性変形部19c,19d側(弾性部側)と、該弾性変形部19c,19dと反対側となる摺動部12a,12b側とでは、異なる傾斜角度に設定することが出来る。
これらの傾斜角度を適宜設定する。これにより側端規制部材5aを移動させる方向に操作部材8を押圧操作する操作方向によらずに歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとの係合が完全に解除されるタイミングを揃えることが可能になる。これにより操作感が向上する。
このように、側端規制部材5aと一体的に構成された保持機構部を備える。そして、該保持機構部に歯列9、該歯列9近傍の切換え面として作用する被当接面14a,14b、歯列9から延びる弾性変形部19c,19dを設ける。これにより極めて少ない部品点数で側端規制部材5aをシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向の両方の操作と保持を可能にできる。
これにより、側端規制部材5aの操作性を維持しつつ組立性が改善される。また、側端規制部材5aが固定された状態で、部品同士のガタによって発生する側端規制部材5aの位置ずれがなくなり、印字精度が向上する。
また、歯列9と一体的に形成された摺動部12a,12bを設けることで、歯列9と被係合部17との係合が完全に解除された状態を安定して維持しながら側端規制部材5aを移動することが可能になる。これにより、歯列9と被係合部17との係合解除状態が不安定な場合に発生する変音が回避できる。
また、歯列9の係合部9a,9bと、被係合部17のラック歯列17a,17bとが摩耗する懸念もない。更に、側端規制部材5aの移動が終了した後は、操作部材8の押圧を解除する。すると、弾性変形していた弾性変形部19c,19dの復元力によって操作部材8もホームポジションに戻り、弾性変形部19c,19dの変形も元の状態に戻る。これにより、弾性変形部19c,19dのモールドクリープが回避でき、品質が安定する。
尚、本実施形態では、側端規制部材5aに本発明を適用した一例について説明したが、他方の側端規制部材5bや後端規制部材3にも同様の構成を適用することができる。
〔第4実施形態〕
本発明の第4実施形態について説明する。以下の第4の実施形態の説明において、第1乃至第3の実施形態共通する内容(構成及び動作)については、適宜説明を省略する。
次に、図20〜図22を用いて本発明に係るシート収容装置及びこれを備えたシート給送装置、並びに画像形成装置の第4実施形態の構成について説明する。尚、前記第3実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
<保持機構部>
先ず、図20及び図21を用いて、シートSを収容するシート収容部となるカセット本体1Aと、側端規制部材25aとの保持機構部の構成について説明する。側端規制部材25aは、該カセット本体1Aに対して移動可能に設けられ、該カセット本体1A内(シート収容部内)に収容されたシートSの端部位置を規制する規制部材として構成される。25cはシートSの側端を当接する当接部である。
図20はカセット本体1Aの側端規制部材25aの保持機構部を示す斜視図である。図21はカセット本体1Aの側端規制部材25aの保持機構部を示す図15のL−L断面に対応する水平断面図である。図20に示すように、側端規制部材25aに設けられた歯列129からなる係合部129a,129bは、該側端規制部材25aに弾性変形可能な弾性部129c,129dを介して設けられる。
そして、カセット本体1Aの底板1cにラック歯列21からなる被係合部21a,21bが設けられる。そして、側端規制部材25aの移動方向に沿って配置されるラック歯列21からなる被係合部21a,21bと、歯列129からなる係合部129a,129bとが噛合して係合し得るように構成されている。
弾性部129c,129dに延長された歯列129である係合部129a,129bは側面内側に複数の連続する三角形状の歯を有して構成される。歯列129の係合部129a,129bは、カセット本体1Aの底板1cに設けられた複数の連続する三角形状の歯を有して構成されるラック歯列21からなる被係合部21a,21bに係合している。
そして、側端規制部材25aの歯列129に設けられた係合部129a,129bが、カセット本体1Aの底板1cに設けられた被係合部21a,21bに係合する。これにより、側端規制部材25aはシートSの幅方向のサイズに応じた側端の設定位置で固定して保持される。これらの側端規制部材25aに設けられた歯列129の係合部129a,129bと、カセット本体1Aに設けられたラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合により保持機構部が構成される。
また、本実施形態では、図21に示すように、歯列129の係合部129a,129bは、図17(b),(c)に示して前述した歯列9の係合部9a,9bと同様に、それぞれの歯の形状を逆方向に設定している。これにより、側端規制部材25aをシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向の両方に移動する。このときに、大きな抵抗力を発生するように大サイズ規制方向側、及び小サイズ規制方向側にそれぞれ側端規制部材25aの移動方向に対して略垂直面を設けている。
そして、側端規制部材25aがシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向に力を受けた場合には、係合部129a,129b及び被係合部21a,21bのそれぞれの略垂直面が圧接するようにしている。
また、歯列129の係合部129a,129bは該係合部129a,129bから延びる弾性部129c,129dの根元部29e,29fをそれぞれの固定端とし、図22(b)の矢印m,n方向に弾性変形可能な構成になっている。更に、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合を解除する。
その場合に、弾性変形した弾性部129c,129dの復元力により歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとを係合させる方向に力が発生する。これにより歯列129の係合部129a,129bがラック歯列21の被係合部21a,21bに係合した状態で側端規制部材25aが固定して保持される。その結果、側端規制部材25aはカセット本体1Aに係合されて保持される。
<係合解除機構部>
図20及び図22を用いて側端規制部材25aと、カセット本体1Aとの係合が解除される構成について説明する。図20及び図22は側端規制部材25aに該側端規制部材25aの移動方向と略直交する方向に配置された回動軸からなる支軸28aを中心に回動可能に設けられた操作部28を示す。操作部28はラック歯列21の被係合部21a,21bと、歯列129の係合部129a,129bとの係合と解除との切り替えを行う。操作部28を図20の矢印t方向で示すシートSの大サイズ規制方向に回動操作させる。
図22は歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合を解除した状態を示す水平断面図である。図22(a)は図15のK−K断面に対応する断面図である。歯列129の係合部129a,129bの近傍に設けられた断面円形状の軸部材の外周面からなる被当接面130と、一対の当接面131a,131bとが当接係合する様子を示す。
一対の当接面131a,131bは操作部28に設けられ、該操作部28の回動動作に伴って該被当接面130に当接し得る断面V字形状の斜面からなる。図22(b)は図15のL−L断面に対応する断面図である。歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとからなる保持機構部の構成を示す。
図20に示す操作部28の下部には、図22(a)に示す当接面131a,131bが設けられている。当接面131a,131bは側端規制部材25aに設けられた歯列129の係合部129a,129bの近傍に設けられた軸部材の外表面からなる切換え面として作用する被当接面130に遊嵌されるV字状の凹部が設けられて構成される。
本実施形態では、操作部28に設けられた当接面131a,131bが歯列129の係合部129a,129bの近傍に設けられた被当接面130に当接係合する。そして、側端規制部材25aを移動させる方向に操作部28を押圧操作する。これにより該操作部28が支軸28aを中心に回動して一対の当接面131a,131bが被当接面130に当接して押圧する。そして、弾性部129c,129dが図22(b)の矢印m,n方向に弾性変形して歯列129の係合部129a,129bがラック歯列21の被係合部21a,21bから外れて係合が解除され、側端規制部材25aが移動可能となる。
また、操作部28の押圧操作を解除する。すると、当接面131a,131bが被当接面130から離れて弾性変形していた弾性部129c,129dが復元する。そして、該弾性部129c,129dの復元力により歯列129の係合部129a,129bがラック歯列21の被係合部21a,21bに係合されて側端規制部材25aが固定される。
例えば、シート収容装置となる給送カセット1のカセット本体1A内に大サイズのシートSを収容する。そのために側端規制部材25aを図22(a),(b)の矢印f方向で示すシートSの大サイズ規制方向に移動させる。そのように操作部28を側端規制部材25aの移動方向と同じ方向となる図20の矢印t方向に押圧する。すると、操作部28は支軸28aを中心に図20の矢印t方向に回動する。
これに伴い、歯列129の係合部129a,129bの近傍には軸部材の外周面からなる被当接面130が設けられている。そして、被当接面130に遊嵌されている操作部28に設けられたV字状の凹部を設けた当接面131a,131bが図22(a)の矢印f方向と逆方向(図22(a)の下方向)に移動する。そして、切換え面として作用する図22(a)の上方向の当接面131aが軸部材の外表面からなる被当接面130を押圧する。
これにより、図22(b)に示す歯列129の係合部129a,129bは、弾性部129c,129dの根元部29e,29fを固定端として、該弾性部129c,129dが弾性変形して図22(b)の矢印m,n方向に移動する。これにより歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が解除される。
これにより、カセット本体1A内のシートSの側端の設定位置を変更するように側端規制部材25aをシートSの大サイズ規制方向に移動する際に該側端規制部材25aを簡単に移動させることができる。
尚、側端規制部材25aの移動が終了した後は、図20に示す操作部28の押圧を解除すると、弾性変形していた弾性部129c,129dが復元する。その復元力によって歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとが係合する元の状態に戻る。これにより側端規制部材25aをシートSの側端の設定位置に固定して保持することができる。また、同様に、弾性部129c,129dの復元力によって操作部28もホームポジションに戻る。
尚、カセット本体1A内に小サイズのシートSを収容するときの動作は、図20に示す操作部28を側端規制部材25aの移動方向と同じ方向となる図20の矢印u方向に押圧する。すると、操作部28は支軸28aを中心に図20の矢印u方向に回動する。
これに伴い、歯列129の係合部129a,129bの近傍に設けられた軸部材の外周面からなる被当接面130に遊嵌されている操作部28に設けられたV字状の凹部を設けた当接面131a,131bが図22(a)の上方向に移動する。そして、切換え面として作用する図22(a)の下方向の当接面131bが軸部材の外表面からなる被当接面130を押圧する。
これにより、図22(b)に示す歯列129の係合部129a,129bは、弾性部129c,129dの根元部29e,29fを固定端として、該弾性部129c,129dが弾性変形して図22(b)の矢印m,n方向に移動する。これにより歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が解除される。
これにより、カセット本体1A内のシートSの側端の設定位置を変更するように側端規制部材25aをシートSの小サイズ規制方向に移動する際に該側端規制部材25aを簡単に移動させることができる。
<摺動機構部>
次に図21及び図22を用いて側端規制部材25aと、カセット本体1Aとの摺動機構部について説明する。図21及び図22に示すように、保持機構部を構成する歯列129の一方の係合部129aに延長して摺動部32が設けられている。摺動部32は歯列129の一方の係合部129aの背面側に設けられている。一方、シート収容部となるカセット本体1Aの底板1cには、側端規制部材25aの移動方向に沿って配置される被摺動部33が設けられている。摺動部32は、側端規制部材25aの移動に伴って被摺動部33に沿って摺動する。
図20に示す操作部28を押圧操作すると、図22(a)に示す当接面131a,131bが被当接面130を押圧し、図22(b)に示すように、弾性部129c,129dを弾性変形させる。すると、一方の係合部129aの背面側に設けられた摺動部32が被摺動部33に当接され、当接した後に、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が解除される。
従って、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が解除され、側端規制部材25aが移動可能となるときに、摺動部32と被摺動部33との当接により摩擦抵抗力が付加されている。その結果、操作部28を押圧操作する際に歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が完全に解除される。それまでに弾性部129c,129dを弾性変形させる力に加えて摺動部32と被摺動部33とが当接する。これにより弾性部129c,129dの弾性変形を抑制しようとする力が作用して操作部28を押圧操作する際に必要な力が大きくなる。
<定型サイズクリック部>
次に図21及び図22を用いて定型サイズのシートSの側端位置で側端規制部材25aが停止してクリック感が得られる定型サイズクリック部の構成について説明する。図21及び図22に示すように、被摺動部33には、定型サイズのシートSの側端部位置を位置決めする溝部となるクリック溝34が側端規制部材25aの移動方向に対して直交する方向に設けられている。一方、摺動部32にはクリック溝34に嵌合し得る突起部32aが側端規制部材25aの移動方向に対して直交する方向に突出して設けられている。
そして、側端規制部材25aを定型サイズのシートSの側端位置を規制する位置に移動させる。その際に摺動部32の突起部32aをカセット本体1A内に収容される定型サイズのシートSの側端位置に対応する位置に設けられたクリック溝34に弾性部129cの弾性変形を利用して弾性的に係止する。これにより、側端規制部材25aが定型サイズのシートSの側端位置に到達した際に摺動部32の突起部32aがクリック溝34に弾性的に嵌入することでクリック感を発生させている。
このように、操作部28の近傍にクリック部となる摺動部32の突起部32aと、被摺動部33のクリック溝34とを設ける。これにより側端規制部材25aを定型サイズのシートSの側端位置にセットした際にクリック感が発生し、操作部28にクリック感が伝達し易くするように構成する。これにより、ユーザが側端規制部材25aを操作する際の操作性が向上する。
更に、側端規制部材25aの移動が終了した後は、操作部28の押圧を解除する。すると、弾性変形していた弾性部129c,129dの復元力によって該弾性部129c,129dの変形も元の状態に戻る。そして、該弾性部129c,129dと一体的に形成されているクリック部となる摺動部32周辺の変形も元の状態に戻る。これにより、弾性部129c,129d及びクリック部となる摺動部32周辺のモールドクリープが回避でき、品質が安定する。
このように、側端規制部材25aと一体的に構成された保持機構部を備える。そして、該保持機構部に歯列129、該歯列129近傍の切換え面として作用する軸部材の外表面からなる被当接面130、該歯列129の係合部129a,129bから延びる弾性部129c,129dを設ける。これにより、極めて少ない部品点数で側端規制部材25aをシートSの大サイズ規制方向、及び小サイズ規制方向に移動する両方の操作と保持とを可能にできる。
これにより、前記第3実施形態と同様に、側端規制部材25aの操作性を維持したまま組立性が改善される。また、側端規制部材25aが固定された状態で、部品同士のガタによって発生する該側端規制部材25aの位置ずれがなくなり、印字精度が向上する。
また、側端規制部材25a側に設けられる歯列129の係合部129a,129bを互いに内側に向けて設け、カセット本体1A側に設けられるラック歯列21の被係合部21a,21bを一つのリブ22の両側に設ける。これにより、保持機構部に必要なスペースが小さくなり小型化が可能となる。
また、歯列129の一方の係合部129aと一体的に形成された摺動部32を設け、該摺動部32にクリック部となる突起部32aと、被摺動部33のクリック溝34とを設ける。これにより、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合が完全に解除された状態を安定して維持しながら側端規制部材25aを移動することが可能になる。
これにより、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとの係合解除状態が不安定な場合に発生する変音が回避できる。また、歯列129の係合部129a,129bと、ラック歯列21の被係合部21a,21bとが摩耗する懸念もない。
また、操作部28の近傍にクリック部となる摺動部32の突起部32aと、被摺動部33のクリック溝34とを設ける。これにより側端規制部材25aを移動させて定型サイズのシートSの側端位置にセットした際に発生するクリック感が操作部28に伝達し易くなる。これによりユーザが側端規制部材25aを操作する際の操作性が向上する。
更に、側端規制部材25aの移動が終了した後は、操作部28の押圧を解除すると、弾性変形していた弾性部129c,129dの復元力によって操作部28もホームポジションに戻る。また、弾性部129c,129d及びクリック部となる摺動部32周辺の変形も元の状態に戻るので、該弾性部129c,129d及びクリック部となる摺動部32周辺のモールドクリープが回避でき、品質が安定する。
尚、前記第3実施形態においても操作部材8の近傍にクリック部となる摺動部12a,12bの突起部と、被摺動部13a,13bにクリック溝34を設けることが出来る。これにより側端規制部材5aを定型サイズのシートSの側端位置にセットした際にクリック感が発生し、操作部材8にクリック感が伝達し易くするように構成することも出来る。他の構成は前記第3実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。