以下,本発明にかかるシート搬送装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,複数の排紙トレイを備えたプリンタに本発明を適用したものである。
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100は,図1に示すように,シートに画像を印刷する画像形成部10と,印刷前のシートを収容し,シートを1枚ずつに分離して画像形成部10に給紙する給紙部11と,印刷済みのシートを収容する排紙収容部12とを備えている。さらに,プリンタ100内には,給紙部11から画像形成部10を経由して排紙収容部12へと至るシートの経路であるシート搬送路13が形成されている。図1中でのプリンタ100によるシートの搬送方向は,概略,下から上向きである。
画像形成部10は,電子写真方式によって画像を形成する。画像形成部10は,図1に示すように,感光体51,帯電部52,露光部53,現像部54,転写部55,定着部56を有している。また,画像形成部10は,シート搬送路13に沿ってシートを搬送するための搬送ローラ71,72,73,74を備えている。
画像形成時には,プリンタ100は,感光体51を,帯電部52によって感光体51の表面を帯電し,露光部53によって感光体51の表面を露光する。これにより,感光体51の表面上に印刷データに基づいた静電潜像が形成される。次に,プリンタ100は,現像部54によって静電潜像にトナーを供給し,感光体51上にトナー像を形成する。さらに,プリンタ100は,感光体51と転写部55との間を搬送されるシートに対して,転写部55によって,感光体51からトナー像を転写する。その後,プリンタ100は,シートに載ったトナー像を,定着部56によってシートに定着させる。
給紙部11は,図1に示すように,給紙トレイ111と分離部112とを備える。給紙部11は,給紙トレイ111上に収容されているシートを分離部112にて1枚ずつに分離し,シート搬送路13へ送出する。給紙トレイ111は,給紙トレイの一例である。なお,図1に示したプリンタ100は,1組の給紙トレイ111と分離部112とを備えているが,複数組を備えているプリンタであってもよい。
排紙収容部12は,図1に示すように,本体に設けられた排紙トレイである本体トレイ121と,本体に増設された排紙トレイ群であるメールボックス120と,搬送ローラ75とを備え,画像形成部10にて印刷済みのシートを収容する。本体トレイ121は,画像形成部10の筐体の上側の外面に形成されている。メールボックス120は,画像形成部10の上部に取り付けられている。本形態のメールボックス120は,3段の排紙トレイ,すなわち,下から順に下段の排紙トレイ21と,中段の排紙トレイ22と,上段の排紙トレイ23とを有している。本体トレイ121と,下段の排紙トレイ21と,中段の排紙トレイ22と,上段の排紙トレイ23とは,いずれも,排紙トレイの一例である。
つまり,プリンタ100は,印刷済みのシートの排紙先となる排紙トレイを,計4箇所備えている。そして,プリンタ100は,印刷ジョブにて指定された排紙トレイ,あるいはプリンタ100が決定した排紙トレイへ,振り分けて排紙する。プリンタ100は,排紙先を振り分けて排紙するため,図1に示すように,シート搬送路13に含まれる複数の分岐路と,シート搬送路13の各分岐点に配置される複数のフラッパとを有している。各フラッパは,分岐点における一方の経路の進入口を開放する開位置と,閉鎖する閉位置との間で,移動可能に取り付けられている。図1中では,各フラッパについて,左側の位置が開位置であり,右側の位置が閉位置である。プリンタ100は,各フラッパの位置を制御することにより,シートを指定された収容箇所に排出する。
具体的に,例えば,本体フラッパ24は,画像形成部10から本体トレイ121へシートを搬送する主路131と,メールボックス120へシートを搬送する副路132との分岐点に配置されている。つまり,副路132は,本体フラッパ24の位置で主路131から分岐している。本体フラッパ24を,図1に実線で示すように,図中で左側の開位置として副路132への進入口を開放すれば,シートは,副路132へ進行する。一方,図1に二点鎖線で示すように,本体フラッパ24を右側の閉位置として,副路132への進入口を閉鎖すれば,シートは,主路131に沿って本体トレイ121へと排出される。
同様に,下段フラッパ25は,副路132と,下段の排紙トレイ21へ向かう分岐路133との分岐点に配置されている。つまり,分岐路133は,下段フラッパ25の位置で副路132から分岐する。また,中段フラッパ26は,副路132と中段の排紙トレイ22へ向かう分岐路134との分岐点に配置されている。つまり,分岐路134は,中段フラッパ26の位置で副路132から分岐する。そして,下段フラッパ25と中段フラッパ26とは,いずれも,副路132への進入口を開閉する。
プリンタ100は,該当する分岐点より搬送方向について上流側のすべてのフラッパを開位置とした上で,下段の排紙トレイ21へシートを排出する場合には下段フラッパ25を閉位置とし,中段の排紙トレイ22へシートを排出する場合には中段フラッパ26を閉位置とする。なお,全フラッパを開位置とすると,シートは,副路132の終端に位置する上段の排紙トレイ23に排出される。フラッパ24,25,26は,切換部の一例である。
図1に示している状態は,下段の排紙トレイ21へ排紙させる際の各フラッパ24〜26の位置であり,本体フラッパ24は開位置,下段フラッパ25は閉位置である。つまり,シートは,本体フラッパ24から副路132に進行し,下段フラッパ25によって下段の排紙トレイ21へ向かう分岐路133へ進行し,下段の排紙トレイ21に排出される。なお,中段フラッパ26は,図1では開位置として示しているが,閉位置であってもよい。
また,プリンタ100は,各排紙トレイ21〜23,121に,収容されているシートの束の高さが所定の高さより高い場合と,当該所定の高さより高くない場合と,で異なる信号を出力するスタックセンサ27〜29,122が設けられている。以下では,各排紙トレイに収容されているシートの束の高さを,各排紙トレイのシート高とする。
なお,上述の所定の高さは,該当する排紙トレイにおける収容可能な限界高さに近く,限界高さよりも低い高さである。所定の高さは,例えば,さらに数枚のシートを排出するとシート高が限界高さに達すると推定される高さである。排紙トレイに限界高さを超えてシートを排出すると,排出済みシートの押し出し,シートの破損,排出口のジャム等の可能性が高まる。そのため,プリンタ100は,各スタックセンサ27〜29,121の出力信号に基づいて,シート高が所定の高さより高い,つまり,限界高さが近づいたと判断した場合,該当する排紙トレイへのシートの排出を制限する。所定の高さは,排紙トレイごとに異なっていてもよい。
具体的に,プリンタ100は,下段の排紙トレイ21に設けられた下段スタックセンサ27と,中段の排紙トレイ22に設けられた中段スタックセンサ28と,上段の排紙トレイ23に設けられた上段スタックセンサ29と,本体トレイ121に設けられた本体スタックセンサ122とを有している。下段スタックセンサ27と,中段スタックセンサ28と,上段スタックセンサ29と,本体スタックセンサ122とは,それぞれ,センサの一例である。
下段スタックセンサ27は,例えば,図2に示すように,下段の排紙トレイ21の収容空間の上方に回転可能に取り付けられた回転片271と,回転片271の所定角度以上の回転によって光路が遮断される光透過センサ272とを備える。下段の排紙トレイ21のシート高が所定の高さに達していない場合には,下段スタックセンサ27の回転片271は,図2中に実線で示すように,自重によって光透過センサ272の光路を遮断しない位置となる。この状態で,下段スタックセンサ27は,下段の排紙トレイ21のシート高が所定の高さより高くないことを示す信号を出力する。以下,この信号を「非スタックフル信号」とする。
下段の排紙トレイ21にシートが収容されると,シートによって下段スタックセンサ27の回転片271の一端が押し上げられることで回転片271が回転する。そして,下段の排紙トレイ21のシート高が所定の高さより高くなり,回転片271の回転角度が所定角度より大きくなると,図2に二点鎖線で示すように,回転片271の他端によって,光透過センサ272の光路が遮断される。この状態で,下段スタックセンサ27は,下段の排紙トレイ21のシート高が所定の高さより高いことを示す信号を出力する。以下,この信号を「スタックフル信号」とする。また,排紙トレイにおいて,対応するスタックセンサから,シートを排出するタイミング以外のタイミングでスタックフル信号が出力されている状態を「スタックフル状態」とする。
中段スタックセンサ28,上段スタックセンサ29,および本体スタックセンサ122は,いずれも,下段スタックセンサ27と同様の構成である。各スタックセンサ27〜29,122の出力信号が変化するシート高は,対応するトレイに設定された所定の高さである。
[プリンタの電気的構成]
続いて,プリンタ100の電気的構成について説明する。プリンタ100は,図3に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(不揮発性RAM)34とを含むコントローラ30を備えている。また,プリンタ100は,画像形成部10と,搬送モータ20と,前述したフラッパ24,25,26と,前述したスタックセンサ27,28,29,122と,通信IF(インターフェース)37と,操作パネル40とを備え,これらがコントローラ30に電気的に接続されている。
ROM32には,プリンタ100を制御するための各種制御プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは,データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
CPU31は,ROM32から読み出した制御プログラムに従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。CPU31は,制御部の一例である。コントローラ30が制御部であってもよい。なお,図3中のコントローラ30は,CPU31等,プリンタ100の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって,実際にプリンタ100に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
搬送モータ20は,給紙部11に収容されるシートを,画像形成部10を介して所定の排紙トレイに搬送する過程でシートの搬送に用いる各種のローラ,例えば分離部112,搬送ローラ71〜75(図1参照)の駆動源である。搬送モータ20および上述した各種のローラは,搬送部の一例である。なお,搬送モータ20は,シートの搬送に用いる各種のローラの他,感光体51,現像部54の現像ローラ,転写部55の転写ローラ,定着部56の定着ローラ等,各種の回転体の駆動源を兼ねてもよい。
通信IF37は,外部装置200と通信を行うためのハードウェアである。通信態様は,有線であっても無線であってもよい。有線の場合は,例えば,USBケーブル等,シリアル通信を行うためのシリアルIFであってもよいし,インターネット等,ネットワークと接続するためのネットワークIFであってもよいし,電話回線網と接続するためのモデムであってもよい。また,外部装置200は,例えば,パーソナルコンピュータであってもよいし,スマートフォンであってもよいし,ファクシミリ装置であってもよい。
操作パネル40は,液晶ディスプレイと,スタートキー,ストップキー,テンキー等から構成されるボタン群とを備え,ユーザに対する報知の表示と,ユーザによる指示入力の受け付けとを担う。
[スタック印刷の概要]
続いて,本形態のプリンタ100におけるスタック印刷について説明する。本形態のプリンタ100におけるスタック印刷では,排紙トレイ21〜23,121のうち1つを排紙先としてシートの搬送を実行し,さらに次のシートの搬送前に,搬送先に指示されている排紙トレイに対応するスタックセンサが,非スタックフル信号を出力していた場合には,同じ排紙トレイを排紙先としてシートの搬送を実行し,当該スタックセンサがスタックフル信号を出力していた場合には,所定の順序に従って,排紙トレイ21〜23,121のうち排紙先を別の排紙トレイに切り換えて,シートの搬送を実行する。
所定の順序は,あらかじめプリンタ100のROM32に記憶されていてもよいし,ユーザが操作パネル40を介して設定してもよいし,ジョブに設定されていてもよい。すなわち,所定の順序は,固定であってもよいし,可変であってもよい。
例えば,所定の順序を,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,本体トレイ121,とする。この場合,プリンタ100は,先ず,印刷ジョブの実行を開始する段階で,下段の排紙トレイ21がスタックフル状態でなければ,図4(A)に示すように,下段の排紙トレイ21を排紙先としてシートの搬送を実行する。そして,プリンタ100は,図4(B)に示すように,下段の排紙トレイ21がスタックフル状態になった場合,図4(C)に示すように,所定の順序に従って,中段の排紙トレイ22を排紙先に切り換える。
その後,プリンタ100は,印刷を繰り返し,排紙先の排紙トレイがスタックフル状態となる度に,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,本体トレイ121,の順に排紙先を切り換える。そして,図4(D)に示すように,最後に排紙先となる本体トレイ121までスタックフル状態になった場合,プリンタ100は,シートの搬送を停止する。
また,最後に排紙先となった本体トレイ121がスタックフル状態になった時点,あるいはその後に,図4(E)に示すように,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23に収容されたシートが取り除かれた場合には,シートが取り除かれた排紙トレイを排紙先に切り換えてシートの搬送を再開したとしても,排紙先が切り換えられる前に排紙されたシートと排紙先が切り換えられた後に排紙されたシートとが混載しない。そのため,プリンタ100は,排紙先を切り換えてシートの搬送を再開できる。
しかしながら,排紙された直後と,排紙から所定の時間が経過した後とでは,排紙トレイ上のシート高が異なることがある。例えば,定着部56を通過した直後のシートは熱を持っており,連続して排紙されると,熱で膨張した空気がシート間に存在する。その後,図5の(A)から(B)に示すように,シート間の空気が冷めて萎むことによって,シートの枚数が同じままで,すなわちシートが取り出されないままで,シート高がシートの自重によって下がる。これにより,スタックフル状態が,ユーザの操作によらずに自動的に解除されることがある。シート高が時間の経過とともに低くなる要因としては,この他,搬送の過程でシートがカールした場合,時間の経過とともにカール形状の度合が小さくなることで,シート高が低くなる。
前記したユーザの操作によらないスタックフル状態の自動的な解除の場合,当該スタックフル状態が解除された排紙トレイを排紙先として切り換えると,シートが取り除かれていないため,排紙先が切り換えられる前に排紙されたシートと排紙先が切り換えられた後に排紙されたシートとが混載されることになり,ページ順序が不正確になる。
本形態のプリンタ100では,個々の排紙トレイに設けられたスタックセンサの出力のみでは,対応する排紙トレイに生じたスタックフル状態の解除が,ユーザの操作によらない自動的なものか,ユーザによってシートが取り除かれたものかを,区別できない。ただし,ユーザがシートを取り除く際,複数の排紙トレイからシートを取り除く可能性が高く,1つの排紙トレイのみスタックフル状態が解除されているという可能性は低い。一方,ユーザの操作によらない場合は,発生頻度が高いものではなく,複数の排紙トレイでスタックフル状態が解除されているという可能性は低い。
そこで,本形態のプリンタ100では,最後に排紙先となった排紙トレイがスタックフル状態になった場合に,最初の排紙先であった排紙トレイがスタックフル状態でないことの他,他の排紙トレイの状態を踏まえて,最初の排紙先であった排紙トレイに排紙先を切り換えるか否かを判断する。排紙先を切り換える具体的な条件については後述する。
[プリンタの印刷搬送処理]
[第1の形態]
続いて,前述したプリンタ100の,スタック印刷におけるシート搬送の手順を含む印刷搬送処理について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。印刷搬送処理は,印刷ジョブを受け付けたことを契機に,コントローラ30のCPU31によって実行される。なお,印刷ジョブは,通信IF37を介して外部装置200から受信してもよいし,操作パネル40を介してユーザの入力操作によって受け付けてもよい。また,本形態のプリンタ100では,排紙先となる順序のデフォルト値を,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,本体トレイ121,とし,当該順序を,NVRAM34に記憶しているものとする。
印刷搬送処理では,コントローラ30は先ず,スタック印刷を行うか否かを判断する(S001)。スタック印刷を行うか否かは,あらかじめ操作パネル40を介してユーザによって入力された設定をNVRAM34に記憶し,当該設定をNVRAM34から読み出して判断してもよいし,印刷ジョブに設定されている場合には,その設定に基づいて判断してもよい。また,スタック印刷をデフォルト値とし,スタック印刷以外の印刷が指定されていなければ,スタック印刷を行うと判断してもよい。
スタック印刷を行わない場合(S001:NO),コントローラ30は,スタック印刷以外の印刷動作を行う(S011)。スタック印刷以外の印刷は,従来技術であり,説明を省略する。なお,スタック印刷以外の印刷としては,例えば,各排紙トレイに1部ずつの印刷物を振り分けるソート印刷,特定の排紙トレイへの排紙が指定された印刷,が該当する。S001の後は,印刷搬送処理を終了する。
スタック印刷を行う場合(S001:YES),コントローラ30は,フラッパ24,25,26を全て開状態として初期位置にする(S002)。そして,コントローラ30は,スタック印刷を行うスタック印刷処理を実行する(S004)。
図7は,S004のスタック印刷処理の手順を示している。スタック印刷処理では,コントローラ30は先ず,今回受信した印刷ジョブが前回受信した印刷ジョブと関連するか否かを判断する(S101)。今回受信した印刷ジョブが前回受信した印刷ジョブと関連する場合としては,例えば,1つの画像データを複数部数印刷する場合に,1部単位で生成された印刷ジョブや,複数ページの画像データを印刷する場合に,所定ページ単位に分割された印刷ジョブが該当する。この場合,元々が同じ印刷指示に基づいて生成された印刷ジョブであり,前回の印刷ジョブにおいて最後に排紙した排紙トレイに連続して今回の印刷ジョブでの排紙を行うことで,正確なページ順序を維持できる。
そのため,今回受信した印刷ジョブが前回受信した印刷ジョブと関連する場合(S101:YES),コントローラ30は,前回の印刷ジョブを完了した時点において選択可能であった排紙トレイを,今回の印刷ジョブでも選択可能な排紙トレイに設定する(S131)。さらに,コントローラ30は,前回の印刷ジョブにおいて最後に排紙した排紙トレイを,今回の印刷ジョブの最初の排紙先に決定する(S132)。前回の印刷ジョブを完了した時点において選択可能であった排紙トレイの情報,および前回の印刷ジョブにおいて最後に排紙した排紙トレイの情報は,後述するS117にてRAM33に記憶される。
なお,コントローラ30は,前回の印刷ジョブと今回の印刷ジョブとが関連するか否かを,印刷ジョブに含まれる情報から判断できる。例えば,印刷ジョブからユーザを識別する情報を取得し,今回の印刷ジョブのユーザと,RAM33に記憶されている前回の印刷ジョブのユーザと,が同じ場合には,今回受け付けた印刷ジョブが前回受け付けた印刷ジョブと関連すると判断する。また,例えば,印刷ジョブから当該印刷ジョブがスプーラに登録された時刻を取得し,今回の印刷ジョブがスプーラに登録された時刻と,RAM33に記憶されている前回の印刷ジョブがスプーラに登録された時刻と,が同じ場合には,今回受け付けた印刷ジョブが前回受け付けた印刷ジョブと関連すると判断してもよい。この場合,スプーラは,プリンタ100にあっても,プリンタサーバ等の外部装置にあってもよい。また,印刷ジョブのユーザとスプーラに登録された時刻との両方が同じ場合に,今回受け付けた印刷ジョブが前回受け付けた印刷ジョブと関連すると判断してもよい。
一方,今回受信した印刷ジョブが前回受信した印刷ジョブと関連しない場合(S101:NO),コントローラ30は,一先ず全ての排紙トレイを排紙先として選択可能な排紙トレイに設定する(S102)。コントローラ30は,排紙先として選択可能な排紙トレイを,RAM33に記憶する。次に,コントローラ30は,RAM33から,排紙先として選択可能な排紙トレイを読み出す(S103)。
S103の後,コントローラ30は,排紙先となる順序を読み出し,当該順序に従って,排紙先として選択可能な排紙トレイの中から,排紙先を決定する(S104)。コントローラ30は,排紙先となる順序が印刷ジョブに記憶されている場合には,当該順序に従い,印刷ジョブに記憶されていなければ,NVRAM34に記憶されているデフォルト値に従う。例えば,今回受信した印刷ジョブに排紙先となる順序が記憶されていなければ,デフォルト値の順序に従って,最初の排紙先としては,下段の排紙トレイ21が排紙先に決定される。
S104の後,あるいはS132の後,コントローラ30は,排紙先に決定された排紙トレイがスタックフル状態であるか否か,すなわち排紙先に決定された排紙トレイに対応するスタックセンサからスタックフル信号が出力されているか否かを判断する(S111)。
排紙先に決定された排紙トレイがスタックフル状態でなければ(S111:NO),コントローラ30は,排紙先に決定された排紙トレイにシートが搬送されるように,各フラッパに対して切り換えを指示する(S112)。例えば,排紙先が下段の排紙トレイ21であれば,コントローラ30は,本体フラッパ24を開位置,下段フラッパ25を閉位置,にそれぞれ切り換えるよう指示する。
S112の後,コントローラ30は,搬送モータ20を含む搬送系にシートの搬送の実行を指示し,シートの搬送を開始させる(S113)。さらには,コントローラ30は,画像形成部10に画像を形成させ,当該画像を,搬送されて来たシートに印刷させる(S114)。印刷されたシートは,排紙先に決定された排紙トレイに排出される。
S114の後,コントローラ30は,印刷ジョブが完了したか否かを判断する(S115)。印刷ジョブが完了していない場合には(S115:NO),S111に戻り,コントローラ30は,排紙先の排紙トレイがスタックフル状態か否かを判断して,次のシートの搬送および印刷のための動作を指示する。
印刷ジョブが完了している場合には(S115:YES),コントローラ30は,搬送系にシートの搬送の停止を指示し,シートの搬送を停止させる(S116)。さらには,コントローラ30は,現時点で排紙先として選択可能な排紙トレイの識別情報,最後のシートを排紙した排紙トレイの識別情報,今回の印刷ジョブのユーザを識別する情報,および今回のジョブがスプーラに登録された時刻,をRAM33に記憶させる(S117)。ユーザの識別情報とスプーラに登録された時刻は,S101にて前回の印刷ジョブの情報として用いられる。排紙トレイの識別情報は,S131にて前回の印刷ジョブにおいて排紙先として選択可能な排紙トレイの情報として,S132にて前回の印刷ジョブにおいて最後に排紙した排紙トレイの情報として,用いられる。なお,これらの情報は,所定時間以上記憶されている場合には,後続の印刷ジョブとの関連が希薄になることから,RAM33から削除してもよい。S117の後は,スタック印刷処理を終了する。
一方,排紙先に決定された排紙トレイがスタックフル状態であれば(S111:YES),コントローラ30は,S104にて排紙先に決定された排紙トレイを,排紙先として選択可能な排紙トレイから除外する(S121)。すなわち,コントローラ30は,RAM33に記憶されている排紙先として選択可能な排紙トレイの中から,S104にて排紙先に決定された排紙トレイを削除する。
S121の後,コントローラ30は,選択可能な排紙トレイが有るか否かを判断する(S122)。選択可能な排紙トレイが有る場合(S122:YES),S103に移行し,コントローラ30は,排紙先として選択可能な排紙トレイを読み出し,その中から,排紙先となる順序に従って,排紙先を決定する。そして,決定された排紙先に排紙先を切り換えてシートの搬送を実行する。
なお,このスタック印刷処理では,先に排紙先として使用され,スタックフル状態となって他の排紙トレイに排紙先が切り換えられた排紙トレイは,S121にて選択可能な排紙トレイから除外される。このことから,切り換え後に当該排紙トレイでスタックフル状態が解除された場合であっても,S104にて排紙先に決定されず,まだ使用されていない選択可能な排紙トレイがある場合には,その未使用の排紙トレイが排紙トレイに決定される。つまり,S104では,排紙先となる順序に従って,排紙先が切り換えられる。
一方,選択可能な排紙トレイが無い場合(S122:NO),コントローラ30は,排紙先を,最初に排紙先となった排紙トレイに切り換える条件である最初トレイ切換条件を満たすか否かを判断する(S141)。具体的にプリンタ100は,最初の排紙先であった排紙トレイがスタックフル状態でないこと(第1条件)と,最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイの少なくとも1つがスタックフル状態でないこと(第2条件)と,の2つの条件を満たすこと,を最初トレイ切換条件とする。
前述したように,ユーザが排紙トレイからシートを取り除く場合は,複数の排紙トレイからシートが取り除かれる可能性が高く,ユーザの操作によらないスタックフル状態の自動的な解除の場合は,複数の排紙トレイで発生する可能性が低い。そこで,スタック印刷処理では,最初の排紙先であった排紙トレイがスタックフル状態でないこととする第1条件の他,他の排紙トレイの少なくとも1つがスタックフル状態でないこととする第2条件も満たすならば,最初トレイ切換条件を満たしていると判断する。そして,最初トレイ切換条件を満たす場合には(S141:YES),ユーザが排紙トレイからシートを取り除いたと見做し,S102に移行して,コントローラ30は,全ての排紙トレイを排紙先として選択可能な排紙トレイに設定し直して,シートの搬送を継続する。
一方,最初の排紙先であった排紙トレイがスタックフル状態のままの場合,あるいは最初の排紙先であった排紙トレイがスタックフル状態でないものの,他の全ての排紙トレイがスタックフル状態のままの場合,最初トレイ切換条件を満たしていないと判断する。そして,最初トレイ切換条件を満たしていない場合(S141:NO),シートが取り除かれていない,あるいはその疑いがあることから,コントローラ30は,画像形成部10に印刷の中止を指示し(S142),さらに搬送系にシートの搬送の停止を指示し,シートの搬送を停止させる(S143)。
S143の後,コントローラ30は,排紙トレイがスタックフル状態であり,シートの搬送ができない旨,さらには排紙トレイのシートを全て取り除く旨,のエラーを報知する(S144)。報知方法は,例えば,操作パネル40にメッセージを表示させてもよいし,音声ガイダンスを流してもよい。また,印刷ジョブの送信元に,エラーが発生した旨の信号を送信してもよい。
S144の後,コントローラ30は,再度,最初トレイ切換条件を満たすか否かを判断する(S145)。そして,最初トレイ切換条件を満たしていない場合は(S145:NO),S144に戻り,コントローラ30は,エラー報知と最初トレイ切換条件の判断とを繰り返し,最初トレイ切換条件を満たすまで待機する。最初トレイ切換条件を満たした場合は(S145:YES),S102に移行して,コントローラ30は,全ての排紙トレイを排紙先として選択可能な排紙トレイに設定し直して,シートの搬送を再開する。なお,コントローラ30は,印刷を中止してからの経過時間を計時し,当該計時時間が所定時間を経過した場合には,スタック印刷処理を強制終了してもよい。
スタック印刷処理が終了した後は,図6の印刷搬送処理に戻り,さらに印刷搬送処理を終了する。この印刷搬送処理によれば,プリンタ100は,最後の排紙先となった排紙トレイでスタックフル状態になった後,最初トレイ切換条件を満たす場合には,排紙先を最初に排紙先となった排紙トレイに切り換えてシートの搬送を継続でき,生産性の低下を抑制できる。一方,最初トレイ切換条件を満たさない場合には,シートの搬送を停止することで,排紙トレイ上のシートのページ順序が不正確になる可能性を低減できる。
なお,前述の最初トレイ切換条件では,第2条件として,最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイの少なくとも1つがスタックフル状態でないこと,つまり最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイに対応する少なくとも1つのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,としているが,最初の排紙先であった排紙トレイを含めて排紙トレイ全てがスタックフル状態でないこと,つまり排紙トレイに対応する全てのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,としてもよい。すなわち,複数の排紙トレイでユーザの操作によらない自動的なスタックフルの解除が生じる可能性も僅かにある。そのため,全ての排紙トレイでスタックフルが解除されていることを第2条件として,排紙トレイ上のシートのページ順序が不正確になる可能性をより低減してもよい。
また,最後に排紙先となった排紙トレイは直近まで排紙されていたため,途中にシートが取り除かれる可能性は低い。そのため,最後に排紙先となった排紙トレイの状態を,最初トレイ切換条件から除外してもよい。具体的には,第2条件を,最初の排紙先であった排紙トレイおよび最後の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイの少なくとも1つがスタックフル状態でないこと,つまり最初の排紙先であった排紙トレイおよび最後の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイに対応する少なくとも1つのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,としてもよい。あるいは,第2条件を,最初の排紙先であった排紙トレイおよび最後の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイの全てがスタックフル状態でないこと,つまり最初の排紙先であった排紙トレイおよび最後の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイに対応する全てのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,としてもよい。
また,プリンタ100は,ユーザの使用権限によって排紙が制限されている排紙トレイには,始めからシートを出力しない。例えば,図8に示すように排紙トレイごとに使用可能なユーザの属性が割り当てられ,当該割り当てがNVRAM34に記憶されるデータベース39に登録されている場合,印刷ジョブのユーザによっては幾つかの排紙トレイが使用できない。例えば,図8に示された登録例では,管理者および社員以外のユーザは,本体トレイ121を使用できない。この場合,スタック印刷処理では,S102にて,ユーザの使用権限によって排紙が制限されている排紙トレイを,選択可能な排紙トレイに設定しない。これにより,排紙が制限されている排紙トレイへの排紙を回避できる。さらに,この場合,第2条件を,最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイであってユーザの使用権限によって排紙が制限されていない排紙トレイの少なくとも1つがスタックフル状態でないこと,つまり最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイであってユーザの使用権限によって排紙が制限されていない排紙トレイに対応する少なくとも1つのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,とする。あるいは第2条件を,最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイであってユーザの使用権限によって排紙が制限されていない排紙トレイの全てがスタックフル状態でないこと,つまり最初の排紙先であった排紙トレイ以外の排紙トレイであってユーザの使用権限によって排紙が制限されていない排紙トレイに対応する全てのスタックセンサがスタックフル信号を出力していないこと,とする。これにより,排紙が制限されている排紙トレイの状態を,最初トレイ切換条件から除外できる。なお,データベース39は,記憶部の一例である。
また,前述のスタック印刷処理では,S122にて選択可能な排紙トレイが無いと判断された場合,速やかに最初トレイ切換条件を満たすか否かを判断しているが,S141を省略し,S122でNOとなった後はS142にて印刷を中止しS143にてシートの搬送を停止してもよい。ただし,印刷を中止する前に最初トレイ切換条件を判断することで,最後に排紙先となった排紙トレイがスタックフル状態になった際,それまでにユーザの操作によって排紙トレイ上のシートが取り除かれていた場合に,シートの搬送を停止させることなく,速やかに排紙先を切り換えてシートの搬送を継続できる。
[第2の形態]
続いて,前述したスタック印刷処理の別の形態について,図9のフローチャートを参照しつつ説明する。第2の形態は,第1の形態のスタック印刷処理での排紙先の決定手順の別形態であり,スタック印刷処理を開始した直後に行われる処理,すなわち今回受信した印刷ジョブが前回受信した印刷ジョブと関連するか否かの判断,および関連する場合の処理,の説明は省略する。
第2の形態のスタック印刷処理では,コントローラ30は先ず,排紙先となる順の最後の排紙先となる排紙トレイに割り当てられた番号を,NMAXとして記憶する(S201)。NMAXは,RAM33に記憶される。プリンタ100は,あらかじめ排紙先となる順序に従って,排紙トレイに番号が割り当てられ,NVRAM34に当該番号が記憶されている。すなわち,排紙先となる順序は固定である。本形態では,排紙先となる順序が,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,本体トレイ121の順であることから,下段の排紙トレイ21に「0」,中段の排紙トレイ22に「1」,上段の排紙トレイ23に「2」,本体トレイ121に「3」,がそれぞれ割り当てられている。そして,S202では,最後に排紙先となる本体トレイ121の番号である「3」がNMAXとして記憶される。
S201の後,コントローラ30は,スタックセンサ27〜29,122のうち,非スタックフル信号を出力しているスタックセンサが1つでも有るか否かを判断する(S202)。
非スタックフル信号を出力しているスタックセンサが1つでも有る場合,すなわちスタックフル状態でない排紙トレイが1つでもある場合(S202:YES),コントローラ30は,排紙先の排紙トレイの番号となるNに,最初の排紙先となる排紙トレイの番号である0をセットする(S203)。
次に,Nが割り当てられた排紙トレイに対応するスタックセンサから,スタックフル信号が出力されているか否かを判断する(S211)。スタックフル信号が出力されていない場合(S211:NO),コントローラ30は,現在セットされているNに応じて,フラッパ24,25,26に切り換えを指示する(S212)。具体的に,Nが0であれば,本体フラッパ24が開位置,下段フラッパ25が閉位置,にそれぞれ切り換えられるよう指示する。Nが1であれば,本体フラッパ24および下段フラッパ25が開位置,中段フラッパ26が閉位置,にそれぞれ切り換えられるよう指示する。Nが2であれば,本体フラッパ24,下段フラッパ25,および中段フラッパ26が,全て開位置にそれぞれ切り換えられるよう指示する。Nが3であれば,本体フラッパ24が閉位置にそれぞれ切り換えられるよう指示する。
S212の後,コントローラ30は,搬送モータ20を含む搬送系にシートの搬送の実行を指示し,シートの搬送を開始させる(S213)。さらには,コントローラ30は,画像形成部10に画像を形成させ,当該画像を,搬送されて来たシートに印刷する(S214)。さらにコントローラ30は,Nが割り当てられた排紙トレイに対応するトレイ使用フラグをオンにする(S215)。トレイ使用フラグは,排紙トレイごとにRAM33に記憶され,初期値はオフである。
S215の後,コントローラ30は,印刷ジョブが完了したか否かを判断する(S216)。印刷ジョブが完了していない場合には(S216:NO),S211に戻り,次ページの印刷のための動作を指示する。印刷ジョブが完了している場合には(S216:YES),コントローラ30は,搬送系にシートの搬送の停止を指示し,シートの搬送を停止させる(S217)。S217の後は,スタック印刷処理を終了する。
一方,Nが割り当てられた排紙トレイに対応するスタックセンサから,スタックフル信号が出力されている場合(S211:YES),コントローラ30は,現在セットされているNとNMAXとが等しいか否かを判断する(S221)。NがNMAXと異なる場合(S221:NO),コントローラ30は,現在セットされているNに1を加算した値をNにセットし(S231),S221に戻り,次のシートの搬送および印刷のための動作を指示する。
現在セットされているNとNMAXとが等しい場合,すなわち現在排紙先となっている排紙トレイが最後の排紙トレイの場合(S221:YES),コントローラ30は,シートの搬送を停止させるエラーフラグをセットするか否か判定する判定処理を実行する(S241)。エラーフラグは,RAM33に記憶され,初期状態ではセットされていない。
図10は,S241の判定処理の手順を示している。判定処理では,コントローラ30は,最初の排紙先となる番号である「0」が割り当てられた排紙トレイに対応するスタックセンサ,本形態では下段の排紙トレイ21に対応する下段スタックセンサ27から,非スタックフル信号が出力されているか否かを判断する(S251)。
非スタックフル信号が出力されている場合(S251:YES),コントローラ30は,トレイ使用フラグがオンになっている排紙トレイ,すなわち排紙先として使用された排紙トレイのうち,0が割り当てられた排紙トレイ以外の排紙トレイに対応するスタックセンサの少なくとも1つから,非スタックフル信号が出力されているか否かを判断する(S252)。S252では,トレイ使用フラグがオンになっている排紙トレイに対応するスタックセンサの出力を判断対象とするため,例えば,始めからスタックフル状態の排紙トレイに対応するスタックセンサは,トレイ使用フラグがオンにならないため,判断対象外となる。
0が割り当てられた排紙トレイに対応するスタックセンサからスタックフル信号が出力されている場合(S251:NO),あるいはトレイ使用フラグがオンになっている排紙トレイのうち,0が割り当てられた排紙トレイ以外の排紙トレイに対応する全てのスタックセンサから,スタックフル信号が出力されている場合(S252:NO),コントローラ30は,エラーフラグをセットする(S261)。
トレイ使用フラグがオンになっている排紙トレイのうち,0が割り当てられた排紙トレイ以外の排紙トレイに対応するスタックセンサの少なくとも1つから,非スタックフル信号が出力されている場合(S252:YES),コントローラ30は,エラーフラグがセットされているか否かを判断する(S253)。エラーフラグがセットされている場合(S253:YES),コントローラ30は,エラーフラグをリセットする(S254)。S254の後,あるいはS261の後,あるいはエラーフラグがセットされていない場合には(S253:NO),判定処理を終了する。
図9の説明に戻り,S241の後,コントローラ30は,エラーフラグがセットされているか否かを判断する(S242)。エラーフラグがセットされていない場合(S242:NO),S203に移行して,コントローラ30は,Nに0をセットして,シートの搬送を継続する。
一方,エラーフラグがセットされている場合(S242:YES),コントローラ30は,画像形成部10に印刷の中止を指示し(S243),さらに搬送系にシートの搬送の停止を指示し,シートの搬送を停止させる(S244)。S244の後,コントローラ30は,排紙トレイがスタックフル状態であり,シートの搬送ができない旨,さらには排紙トレイのシートを全て取り除く旨,のエラーを報知する(S245)。
S245の後は,コントローラ30は,再度,判定処理を実行し(S246),その結果,エラーフラグがセットされているか否かを判断する(S247)。そして,エラーフラグがセットされたままの場合は(S247:YES),S245に戻り,コントローラ30は,エラー報知を繰り返し,判定処理によってエラーフラグがリセットされるまで待機する。エラーフラグがリセットされた場合は(S247:NO),S203に移行して,コントローラ30は,Nに0をセットして,シートの搬送を再開する。
また,非スタックフル信号を出力しているスタックセンサが1つも無い場合,すなわち全ての排紙トレイがスタックフル状態の場合(S202:NO),S245に移行し,コントローラ30は,エラーを報知して,シートが取り除かれるのを待つ。そして,シートが取り除かれた場合は,S203に移行して,コントローラ30は,Nに0をセットして,シートの搬送を開始する。
以上詳細に説明したようにプリンタ100は,最後に排紙先となった排紙トレイがスタックフル状態になった際,最初に排紙先となった排紙トレイのスタックフル状態が解除されている場合であって,少なくとももう1つ他の排紙トレイのスタックフル状態が解除されているならば,ユーザがシートを取り除いている可能性が高く,シートが混載される可能性が低いことから,排紙先を最初に排紙先となった排紙トレイに切り換える。一方,最初に排紙先となった排紙トレイのみスタックフル状態が解除され,他の排紙トレイのスタックフル状態が解除されていなければ,ユーザがシートを取り除いている可能性が低いことから,シートの搬送を停止する。これにより,シートの搬送を継続させて生産性の低下を抑制しつつ,シートの混載の可能性を低減できる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタに限らず,スキャナ,複写機,複合機,FAX装置等,シート搬送機能を備えるものであれば適用可能である。
また,画像形成部10は,電子写真方式に限らず,インクジェット方式であっても適用可能である。また,画像形成部10は,モノクロ専用に限らず,カラー印刷が可能であってもよい。
また,実施の形態のプリンタ100は,本体トレイを含めて排紙トレイを4つ備えているが,4つに限るものではなく,3つであっても5つ以上であってもよい。また,実施の形態であらかじめ規定されていた排紙先の順序は,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,本体トレイ121の順に限るものではない。例えば,下に位置している順から,本体トレイ121,下段の排紙トレイ21,中段の排紙トレイ22,上段の排紙トレイ23,の順であってもよい。
また,実施の形態に開示されている処理は,単一のCPU,複数のCPU,ASICなどのハードウェア,またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また,実施の形態に開示されている処理は,その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体,または方法等の種々の態様で実現することができる。