JP6389589B2 - 凹凸模様を表面に有する積層シートとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材が積層一体化され、熱圧縮成形により賦形された凹凸模様を表面に有する積層シートとその製造方法に関する。
自動車等の車両の座席用表皮あるいは家具用表皮等に使用される表皮材として、凹凸模様を表面に有する積層シートがある。
前記凹凸模様を表面に有する積層シートは、軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材を積層一体化し、凹凸模様が表面に形成された加圧装置で表面を熱圧縮することにより製造されている。
しかし、従来の凹凸模様を表面に有する積層シートは、軟質ポリウレタンフォームとして、圧縮残留歪(JISK6400−4:70℃×22時間×50%圧縮後)が25〜50%のものを使用しないと凹凸模様を鮮明に形成できないため、製品の長期使用による圧縮歪が大きく、長期使用によって凹凸模様が不鮮明になって美観が低下する問題がある。
特開2007−331222号公報
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、従来よりも圧縮残留歪が小さい軟質ポリウレタンフォームを使用しても凹凸模様を鮮明なものにでき、かつ製品の長期使用による圧縮歪を小さくでき、長期使用によっても良好な凹凸模様を維持できる凹凸模様を表面に有する積層シートとその製造方法の提供を目的とする。
請求項1の発明は、軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材と該表面部材とは反対側に裏基布が積層一体化され、熱圧縮成形により賦形された凹凸模様を表面に有する積層シートにおいて、前記軟質ポリウレタンフォームは、エステル基を有するポリオールと共に他のポリオールを含む場合、エステル基を有するポリオールと共にリン酸エステル系難燃剤又はエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合、エステル基を有するポリオールを含まず、リン酸エステル系難燃剤またはエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合の何れかであって、これらの場合のエステル価(JIS K0070準拠)が40〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間、50%圧縮後)が〜15%であり、前記表面部材は、編物、可撓性・伸縮性を有する織布の何れかであり、前記裏基布は、目付けが30g/m以上のナイロンからなる不織布であり、前記表面部材と前記軟質ポリウレタンフォームと前記裏基布は、フレームラミネートにより溶着されたものであり、前記表面に賦形された前記凹凸模様の凸部の高さ又は凹部の深さが3〜30mmであることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1において、前記軟質ポリウレタンフォームは、一辺が50mmの正方形断面、厚みが10mmとされた軟質ポリウレタンフォームに対し、5mmのスペーサを用いて元厚みの50%に、80℃、240秒間熱圧縮され、圧縮された厚みを用いて次式で算出された成形率が70〜100%である軟質ポリウレタンフォームからなることを特徴とする。
成形率(%)=[(元厚み−圧縮後の厚み)/(元厚み−スペーサの厚み)]×100
請求項3の発明は、軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材と該表面部材とは反対側に裏基布を積層一体化した積層シートの表面を、凹凸模様が表面に形成された加圧装置で熱圧縮することにより凹凸模様を表面に有する積層シートを製造する方法において、前記軟質ポリウレタンフォームは、エステル基を有するポリオールと共に他のポリオールを含む場合、エステル基を有するポリオールと共にリン酸エステル系難燃剤又はエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合、エステル基を有するポリオールを含まず、リン酸エステル系難燃剤またはエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合の何れかであって、これらの場合のエステル価(JIS K0070準拠)が40〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間、50%圧縮後)が〜15%であり、前記表面部材は、編物、可撓性・伸縮性を有する織布の何れかであり、前記裏基布は、目付けが30g/m以上のナイロンからなる不織布であり、前記表面部材と前記軟質ポリウレタンフォームと前記裏基布は、フレームラミネートにより溶着されたものであり、表面に賦形された前記凹凸模様の凸部の高さ又は凹部の深さが3〜30mmであることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3において、前記軟質ポリウレタンフォームは、一辺が50mmの正方形断面、厚みが10mmとされた軟質ポリウレタンフォームに対し、5mmのスペーサを用いて元厚みの50%に、80℃、240秒間熱圧縮され、圧縮された厚みを用いて次式で算出された成形率が70〜100%である軟質ポリウレタンフォームからなり、厚みが3〜30mmであることを特徴とする。
成形率(%)=[(元厚み−圧縮後の厚み)/(元厚み−スペーサの厚み)]×100
請求項1及び2の発明によれば、軟質ポリウレタンフォームとして、エステル価(JIS K0070準拠)が40〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)が〜15%のものを使用したことにより、圧縮残留歪の小さい軟質ポリウレタンフォームを使用しても凹凸模様を鮮明なものにでき、かつ製品の圧縮残留歪が小さく、長期使用によっても良好な凹凸模様を維持することができる。
請求項3及び4の発明によれば、表面の凹凸模様が鮮明でかつ圧縮残留歪が小さく、長期使用によっても良好な凹凸模様を維持することができる凹凸模様を表面に有する積層シートを容易に得ることができる。
実施形態の凹凸模様を表面に有する積層シートの一部を示す断面図である。 凹凸模様を表面に有する積層シートの製造を示す概略断面図である。 凹凸賦形型の凹凸面の他の例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に示す凹凸模様を表面に有する積層シート10は、車両の内装材、例えば、座席用表皮、ドアトリムあるいは家具用表皮等に使用されるものであり、軟質ポリウレタンフォーム11の片面に表面部材21が積層一体化され、熱圧縮成形により賦形された凹凸模様23を表面に有する。前記凹凸模様23は、凸部24が格子状に配列されたものに限られず、所要の模様を構成するように配列されたものでもよく、求められる意匠性に応じて、凸部24と凹部25の配列等が決定される。また、前記凸部24の高さ(凹部25の深さ)は3〜30mm程度が好ましい。
前記軟質ポリウレタンフォーム11は、エステル価(JIS K0070準拠)が、40〜400mgKOH/g、より好ましくは、45〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)が0〜15%のものからなる。エステル価が40mgKOH/g未満の場合には凹凸賦形性が低下し、一方、400mgKOH/gを超える場合にはウレタンフォームの耐湿熱性が悪くなり、自動車等の表皮材として適さない場合がある。また、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)が1%未満の場合には凹凸賦形に要する成形時間が長くなる傾向にあり成形サイクルが長くなる場合がある。一方、15%を超える場合に製品の圧縮残留歪が悪くなり、製品の長期使用により往々突模様が不鮮明になりやすく、凹凸意匠性の低下をもたらす。
前記軟質ポリウレタンフォーム11は、ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、ポリイソシアネート、適宜の添加剤を含むポリウレタン原料から形成される。軟質ポリウレタンフォーム11の密度(JIS K 7222:1999に準拠)は15〜80kg/m、硬さ(JIS K 6400−2:2004に準拠)は60〜200N、より好ましくは60〜160N、厚みは3〜30mm程度が好ましい。硬さが200Nを超えると、フォーム表面が硬くなりすぎ、積層シートとしてのクッション性・触感が悪くなる。
ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールの何れでもよく、それらの一種類あるいは複数種類を使用してもよい。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールにエチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。なお、ポリマーポリオールをポリオール成分の50%以上用いると、硬さが硬くなりすぎ、歪も悪くなる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族カルボン酸やフタル酸等の芳香族カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール等とから重縮合して得られたポリエステルポリオールを挙げることできる。
また、ポリエーテルエステルポリオールとしては、前記ポリエーテルポリオールと多塩基酸を反応させてポリエステル化したもの、あるいは1分子内にポリーエーテルとポリエステルの両セグメントを有するものを挙げることができる。
前記ポリオールとして、本願発明では、エステル基を有するポリオール、具体的にはポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールを用いることが、前記軟質ポリウレタンフォーム11のエステル価を特定の範囲とすることができ、フォームの賦形性と歪を良好にする点でより好ましい。
発泡剤としては、水、あるいはペンタンなどの炭化水素を、単独または組み合わせて使用できる。水の場合は、ポリオールとポリイソシアネートの反応時に炭酸ガスを発生し、その炭酸ガスによって発泡がなされる。発泡剤の量は適宜とされるが、水の場合、ポリオール100質量部に対して1〜8質量部が適する。
触媒としては、軟質ポリウレタンフォーム用の公知のものを使用することができる。例えば、トリエチルアミンやテトラメチルグアニジン等のアミン系触媒や、スタナスオクトエート等のスズ系触媒やフェニル水銀プロピオン酸塩あるいはオクテン酸鉛等の金属触媒(有機金属触媒とも称される。)を挙げることができる。触媒の一般的な量は、ポリオール100質量部に対して0.1〜2質量部である。
整泡剤としては、軟質ポリウレタンフォーム用として公知のものを使用することができる。例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤および公知の界面活性剤を挙げることができる。整泡剤の一般的な量は、ポリオール100質量部に対して0.5〜3質量部である。
ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基を2以上有する脂肪族系または芳香族系ポリイソシアネート、それらの混合物、およびそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネートを使用することができる。脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキサメタンジイソシアネート等を挙げることができ、芳香族ポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート(クルードMDI)等を挙げることができる。なお、その他プレポリマーも使用することができる。
イソシアネートインデックスは90〜120が好ましい。イソシアネートインデックスは、ポリイソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[ポリイソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
適宜の添加剤として難燃剤、エステル系添加剤、着色剤、補助発泡剤等を挙げる。難燃剤としては、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリマー、リン酸エステルやハロゲン化リン酸エステル化合物、或いはメラミン樹脂やウレア樹脂などの有機系難燃剤、酸化アンチモンや水酸化アルミニウムなどの無機系難燃剤等を挙げることができる。特にリン酸エステルからなる難燃剤は、難燃性向上と共に前記軟質ポリウレタンフォーム11のエステル価を高めることができるが、特にポリオールがポリエーテルポリオールのみを使用する場合に軟質ポリウレタンフォーム11のエステル価を本発明の範囲にすれば、賦形性が改良される。難燃剤の一般的な量は、ポリオール100質量部に対して2〜30質量部である。
エステル系添加剤は、前記軟質ポリウレタンフォーム11のエステル価を調製するために使用されるものであり、ロジンエステル等を挙げることができる。特に前記ポリオールにポリエーテルポリオールのみを使用し、難燃剤がリン酸エステルではない場合にはエステル系添加剤の使用によって軟質ポリウレタンフォームのエステル価を本発明の範囲に容易にすることができる。エステル系添加剤としては、ロジンエステル、アクリル酸エステル等を挙げることができる。エステル系添加剤を使用する場合その添加量は、ポリオールの種類、難燃剤の種類等によって異なるが、例えばポリオール100質量部に対して1〜30質量部を挙げる。
前記補助発泡剤は、揮発性溶剤、塩化メチレン(メチレンクロライド、CHCl)、フロン系化合物(トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等)、また液化炭酸ガス等を挙げることができる。
前記軟質ポリウレタンフォーム11は、前記ポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、適宜の添加剤(難燃剤、エステル系添加剤等)及びポリイソシアネート等からなるポリウレタン原料を攪拌機で混合して反応させ、発泡させる公知の発泡方法によって形成される。また、前記軟質ポリウレタンフォーム11は軟質スラブ発泡体を所定厚みに裁断したものが好ましい。軟質スラブ発泡体は、前記ポリウレタン原料の反応・発泡を常温、大気圧下で行うことによって得られる軟質ポリウレタンフォームであり、量産性に富み、モールド成形に比べて収率がよい。
前記軟質ポリウレタンフォーム11は、エステル基を有するポリオールを使用することにより、あるいはリン酸エステル系難燃剤を使用することにより、またはエステル系添加剤を使用することにより、あるいはそれらを併用することにより、エステル価(JIS K0070準拠)を40〜400mgKOH/gにすることができる。
また、前記軟質ポリウレタンフォーム11の圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)は、ポリオールとしてエステル基を有するポリオールを使用し、ポリマーポリオールを大量に(50%以上)使用することがなく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオールを使用することにより得られる。
前記表面部材21は、編物、可撓性・伸縮性を有する織布、不織布等適宜の材質からなり、積層シートの用途に応じて選択される。具体的には、表面部材は、トリコット、ジャージ、ダブルラッセル等の編物、伸縮性を有する弾性繊維を含んだ繊維からなる織布・不織布、多数のエンボス部が形成された不織布原反を延伸加工して伸縮性が付与されたもの、繊維をスパイラル状に捲縮し伸縮性に優れたニードルパンチ不織布などが好ましい。
前記表面部材21と前記軟質ポリウレタンフォーム11の一体化は、後述のようにフレームラミネート等による溶着、あるいは接着剤等により行われる。
なお、前記凹凸模様を表面に有する積層シート10の用途等によっては、前記表面部材21とは反対側となる軟質ポリウレタンフォーム11の裏面に裏基布を積層一体化してもよい。
前記積層シート10は、軟質ポリウレタンフォーム11の裏面に、裏基布、特に、伸縮性の少ない織布や不織布を積層してなる3層複合シートが好ましい。具体的には、目付けが30g/m以上のナイロン・ポリエステルからなる不織布や織物、編物であればクイーンズ編の編物が、好ましい。伸縮性の少ない裏基布の存在により、しっかり感が生まれ、凹凸に賦形した軟質ポリウレタンフォームが平滑に戻ろうとする力を弱めるため好ましい。
前記凹凸模様を表面に有する積層シート10は、用途に応じて縫製等により所定形状にされて使用される。例えば座席の表皮の場合、前記凹凸模様を表面に有する積層シート10は、凹凸模様を外側にして縫製等により袋形状にされ、クッション体を覆う。
前記凹凸模様を表面に有する積層シート10の製造方法について説明する。前記凹凸模様を表面に有する積層シート10の製造方法は、積層一体化工程と、凹凸模様賦形工程とからなる。
積層一体化工程では、フレームラミネート、接着剤を用いるラミネート等のような公知の積層一体化方法によって、前記軟質ポリウレタンフォーム11の片面に前記表面部材21を積層一体化し、図2の(2−A)に示す賦形前の積層シート10Aを得る。なお、裏基布を用いる場合には、この工程で裏基布を積層して賦形前の三層構造の積層シートを得る。
前記フレームラミネートは、前記軟質ポリウレタンフォーム11の表面を火炎バーナーの照射等によって溶融し、該溶融面に前記表面部材21を積層して溶着する方法である。なお、前記フレームラミネートは、通常、前記軟質ポリウレタンフォーム11を連続供給しながら、前記軟質ポリウレタンフォーム11の表面を火炎バーナー等で溶融し、該溶融面に前記表面部材21を連続的に積層する連続成形によって行われる。前記火炎バーナー等の温度は600〜1300℃程度が一般的である。また、裏基布を用いる場合には、表面部材の溶着後に、軟質ポリウレタンフォーム11の他面を火炎バーナー等で溶融して該溶融面に裏基布を溶着させる。
一方、接着剤を用いるラミネートは、前記軟質ポリウレタンフォーム11と前記表面部材21の少なくとも一方の接着面に接着剤を塗布し、接着剤塗布面を挟むようにして前記軟質ポリウレタンフォーム11と前記表面部材21を重ね、接着する方法である。接着剤としては、ホットメルト接着剤、等が用いられる。なお、裏基布を用いる場合には、軟質ポリウレタンフォーム11の他面に接着剤で裏基布を接着する。
凹凸模様賦形工程では、前記賦形前の積層シート10Aの表面部材21の表面を、凹凸模様が表面に形成された凹凸賦形装置で熱圧縮することにより凹凸模様を形成する。凹凸模様が表面に形成された凹凸賦形装置による熱圧縮としては、凹凸模様が表面に形成された凹凸賦形型を用いる熱プレス方法やエンボスロールを用いるロール熱圧縮方法等がある。
前記熱プレス方法について説明する。熱プレス方法では、図2の(2−B)に示すように、前記賦形前の積層シート10Aを、基盤31と加熱可能な凹凸賦形型33との間に、前記表面部材21が凹凸賦形型33の凹凸面34と対向するように配置し、図2の(2−C)に示すように、所定温度に加熱した前記凹凸賦形型33の凹凸面34の凸部35で前記賦形前の積層シート10Aの表面部材21を熱圧縮し、表面に凹凸模様を形成する。前記凹凸賦形型33の凹凸面34は、所定間隔で形成された複数の凸部35と凹部36によって構成されている。また、前記凹凸賦形型33は、背面に熱板を配置することにより、あるいは内部に電熱線を配置する等によって加熱可能とされる。前記凹凸賦形型33の加熱温度は170〜210℃が好ましい。また、前記賦形前の積層シート10Aに対する加圧時間は60〜400秒が好ましい。なお、積層シート10Aとして裏基布を積層した三層構造の積層シートを用いる場合にも、前記表面部材21が凹凸賦形型33の凹凸面34と対向するようにして熱圧縮する。
前記凹凸賦形型の凹凸面は、図3の(3−A)に示す凹凸賦形型33Aのように、断面R形状の凹凸面34Aとしたり、(3−B)に示す凹凸賦形型33Bのように斜めテーパー状の凹凸面34Bとしたりして圧縮状態を漸次変化させる、などの自由な意匠形状とすることもできる。この場合でも、本発明の熱成形性の良いポリウレタンフォームを使用することにより、上記の凹凸賦形型の凹凸面形状に沿った形状を賦形することができる。
一方、ロール熱圧縮方法では、連続的に供給する前記賦形前積層シート10Aの表面部材21を、表面に凹凸模様を有し加熱可能にされたエンボスロール(図示せず)で熱圧縮することにより、表面に凹凸模様を形成する。前記エンボスロールの加熱温度は180〜220℃、前記賦形前積層シート10Aの供給速度は1〜10m/分程度が好ましい。
以下のポリオール、発泡剤、触媒、整泡剤、難燃剤、ポリイソシアネートを表1の配合で調製したポリウレタン原料を使用し、スラブ発泡法で各実施例、参考例及び比較例の軟質ポリウレタンフォームを作成した。各実施例、参考例及び比較例の軟質ポリウレタンフォームについて、エステル価(JIS K0070準拠)、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)、密度(JIS K7222準拠)、硬さ(JIS K 6400−2:2004に準拠)を測定した。測定結果は表1の中段に示す。
・ポリオールA:ポリエーテルポリオール、分子量3000、官能基数3、水酸基価56mgKOH/g、品名:サンニックスGP3000、三洋化成工業社製
・ポリオールB:ポリエーテルエステルポリオール、官能基数3、水酸基価56mgKOH/g、品名:アクトコールL−50、三井武田ケミカル社製
・ポリオールC:ポリエステルポリオール、分子量2500、官能基数2.7、水酸基価60.5mgKOH/g、品名: ポリオールN2200、日本ポリウレタン工業(株)製
・発泡剤:水
・補助発泡剤:メチレンクロライド
・アミン系触媒:トリエチレンジアミンとジプロピレングリコールの重量比1:2の混合物、品名:DABCO 33−LV、エアプロダクツジャパン社製
・スズ系触媒:スタナスオクトエート、品名:MRH−110、城北化学工業社製
・整泡剤:シリコーン整泡剤、品名:DABCO DC5160、エアプロダクツジャパン社製
・難燃剤:リン酸エステル系難燃剤、品名:CR−504L、大八化学社製
・ポリイソシアネート:トリレンジイソシアネート(2,4−TDIと、2,6−TDIが80:20の割合であるTDI)、品名:TDI−80、日本ポリウレタン工業株式会社製
Figure 0006389589
各実施例及び比較例の軟質ポリウレタンフォームを厚み15mmに裁断したものを連続的に供給し、以下の表面部材と裏基布をフレームラミネートで積層一体化し、賦形前の積層シートを作成した。軟質ポリウレタンフォームの供給速度20m/分である。
表面部材:トリコット、目付300g/m
裏基布:不織布、材質:ナイロン、目付30g/m
前記賦形前の積層シートを、図2の(2−B)、(2−C)に示した凹凸賦形型を用いる熱プレスによって、前記表面部材側から熱圧縮し、実施例、参考例、比較例の凹凸模様を表面に有する積層シートを作成した。前記凹凸賦形型に形成されている複数の凸部は、一辺が500mmの正方形断面を有し、高さが13mmの柱状体からなり、凸部の間隔が40mmで格子状に配列されている。前記凹凸賦形型の加熱温度は180℃、加圧時間は240秒である。実施例、参考例及び比較例の凹凸模様を表面に有する積層シートに対し、表面の凹凸模様の成形性、熱プレス後の成形率を判断した。
成形性は、熱プレス後の成形率により判断し、成形率が100〜90%以上の場合には「◎」、90未満〜70%以上の場合は「○」、70%未満の場合には「×」とした。また、ウレタンフォームの熱プレス後の成形率は、一辺が50mmの正方形断面、厚みが10mmのウレタンフォームを、5mmのスペーサを用いて、80℃、240秒間で、熱圧縮成形し(元厚みの50%に圧縮し)、圧縮後の厚みを測定した。結果を表1の下部に示す。
なお、成形率は、次の計算式で求めた。
成形率(%)=[(元厚み−圧縮後の厚み)/(元厚み−スペーサ厚み)]×100
エステル価が本発明の範囲未満の比較例は、表面の凹凸が不鮮明であり、成形性に劣っていた。それに対して各実施例は、表面の凹凸が鮮明であり、成形性が良好であった。
このように、本発明における凹凸模様を表面に有する積層シートは、軟質ポリウレタンフォームの圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間×50%圧縮後)が従来よりも小さいものであっても凹凸模様を鮮明なものにでき、かつ、前記圧縮残留歪が従来より小さい軟質ポリウレタンフォームを使用することにより、座席の表皮材等として長期使用された場合にも、凹凸模様が不鮮明になるのを抑え、良好な凹凸模様を維持することができる。
10 凹凸模様を表面に有する積層シート
11 軟質ポリウレタンフォーム
21 表面部材
23 凹凸模様
24 凸部
25 凹部

Claims (4)

  1. 軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材と該表面部材とは反対側に裏基布が積層一体化され、熱圧縮成形により賦形された凹凸模様を表面に有する積層シートにおいて、
    前記軟質ポリウレタンフォームは、エステル基を有するポリオールと共に他のポリオールを含む場合、エステル基を有するポリオールと共にリン酸エステル系難燃剤又はエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合、エステル基を有するポリオールを含まず、リン酸エステル系難燃剤またはエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合の何れかであって、これらの場合のエステル価(JIS K0070準拠)が40〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間、50%圧縮後)が〜15%であり、
    前記表面部材は、編物、可撓性・伸縮性を有する織布の何れかであり、
    前記裏基布は、目付けが30g/m以上のナイロンからなる不織布であり
    前記表面部材と前記軟質ポリウレタンフォームと前記裏基布は、フレームラミネートにより溶着されたものであり、
    前記表面に賦形された前記凹凸模様の凸部の高さ又は凹部の深さが3〜30mmであることを特徴とする凹凸模様を表面に有する積層シート。
  2. 前記軟質ポリウレタンフォームは、一辺が50mmの正方形断面、厚みが10mmとされた軟質ポリウレタンフォームに対し、5mmのスペーサを用いて元厚みの50%に、80℃、240秒間熱圧縮され、圧縮された厚みを用いて次式で算出された成形率が70〜100%である軟質ポリウレタンフォームからなることを特徴とする請求項1に記載の凹凸模様を表面に有する積層シート。
    成形率(%)=[(元厚み−圧縮後の厚み)/(元厚み−スペーサの厚み)]×100
  3. 軟質ポリウレタンフォームに可撓性の表面部材と該表面部材とは反対側に裏基布を積層一体化した積層シートの表面を、凹凸模様が表面に形成された加圧装置で熱圧縮することにより凹凸模様を表面に有する積層シートを製造する方法において、
    前記軟質ポリウレタンフォームは、エステル基を有するポリオールと共に他のポリオールを含む場合、エステル基を有するポリオールと共にリン酸エステル系難燃剤又はエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合、エステル基を有するポリオールを含まず、リン酸エステル系難燃剤またはエステル系添加剤の少なくとも一方を含む場合の何れかであって、これらの場合のエステル価(JIS K0070準拠)が40〜400mgKOH/g、圧縮残留歪(JIS K 6400−4 6.2B法、70℃×22時間、50%圧縮後)が〜15%であり、
    前記表面部材は、編物、可撓性・伸縮性を有する織布の何れかであり、
    前記裏基布は、目付けが30g/m以上のナイロンからなる不織布であり
    前記表面部材と前記軟質ポリウレタンフォームと前記裏基布は、フレームラミネートにより溶着されたものであり、
    表面に賦形された前記凹凸模様の凸部の高さ又は凹部の深さが3〜30mmであることを特徴とする凹凸模様を表面に有する積層シートの製造方法。
  4. 前記軟質ポリウレタンフォームは、一辺が50mmの正方形断面、厚みが10mmとされた軟質ポリウレタンフォームに対し、5mmのスペーサを用いて元厚みの50%に、80℃、240秒間熱圧縮され、圧縮された厚みを用いて次式で算出された成形率が70〜100%である軟質ポリウレタンフォームからなり、厚みが3〜30mmであることを特徴とする請求項3に記載の凹凸模様を表面に有する積層シートの製造方法。
    成形率(%)=[(元厚み−圧縮後の厚み)/(元厚み−スペーサの厚み)]×100
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