JP7019354B2 - 積層体 - Google Patents
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Description
尚、以下の説明において、適宜、本発明の好ましい数値範囲に関し上限と下限を示す場合がある。この場合に、数値範囲の好ましい範囲は、示される上限および下限の全ての組み合わせから決定することができる。
上記原料に含まれる架橋剤は、ポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部に対し、0質量部を超えて3質量部未満の範囲で含有される。
また本発明のポリウレタンフォームは、柔軟性と伸びのバランスがよく、高級感を与える程度に柔軟であるとともに、伸びが適度な範囲に抑制されている。かかる良好なバランスの物性の実現の一因は、所定範囲の量の架橋剤が含有されることにあると推測される。
以下に、本発明の詳細について説明する。
本発明のポリウレタンフォームにおけるポリオールは、ポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)を含む。ポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)は、いずれも平均官能基数が、2.5以上3.4以下であり、好ましくは平均官能基数が3である。上記平均官能基数が、2.5未満であると伸びが大きすぎてしまう場合がある。また平均官能基数が3.4を超えると、フォームが硬くなりすぎて、ポイントとなる柔軟性が得られ難い。尚、本発明に関し平均官能基数とは、ポリオール1分子当たりの水酸基の数の平均値である。便宜的に、原料に用いられた市販ポリオールのカタログ値である官能基数を本発明における平均官能基数とみなすことができる。
上述するポリエステルポリオール(A)の含有量が40質量部を超えることにより、湿熱圧縮残留ひずみを小さく抑制可能である。ポリウレタンフォームの湿熱圧縮残留ひずみを小さくするという観点からは、ポリエステルポリオール(A)の含有量は、45質量部以上であることが好ましく、50質量部以上であることがより好ましい。
また上述するポリエステルポリオール(A)の含有量が80質量部未満であることにより、良好な柔軟性を発揮することが可能である。より柔軟性のあるポリウレタンフォームを得るという観点からは、ポリエステルポリオール(A)の含有量は、75質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
本発明におけるイソシアネートは、イソシアネート基を2以上有する化合物であって、一般的に軟質ポリウレタンフォームを製造するために用いられ得るものであればよい。具体的には、トルエンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、水添ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、より良好な柔軟性を示すポリウレタンフォームを提供するという観点からは上記イソシアネートは、イソシアネートインデックスが105以上125以下であることが好ましい。
次に架橋剤について説明する。本発明における架橋剤は、ポリオールの総量に対し少量の範囲で含有される。具体的には、本発明は、ポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部において、ポリエステルポリオール(A)が40質量部を超えて80質量部未満の範囲で含有されるとともに、架橋剤が上記総量100質量部に対し、0質量部を超えて3質量部未満の範囲で含有されることが肝要である。
ポリエステルポリオール(A)とポリエーテルポリオール(B)とが上記所定の配合比率で含有されるが、架橋剤が0質量部である場合には、ポリウレタンフォームの伸びが著しく大きくなり好ましくない。また、ポリエステルポリオール(A)とポリエーテルポリオール(B)とが上記所定の配合比率で含有されるが、架橋剤が3質量部以上含有される場合には、柔軟性が不足し、かつ湿熱圧縮残留ひずみも増大する傾向にあり好ましくない。
換言すると、ポリオール100質量部に対し架橋剤が0質量部を超えて3質量部未満の範囲で含有された場合であっても、ポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)の配合割合が、上述する範囲から外れた場合には、柔軟性、湿熱圧縮残留ひずみ、伸びのいずれもが良好な範囲であるバランスのとれたポリウレタンフォームを提供することが困難である。
上述するポリオールとイソシアネートを架橋剤の存在下で反応させて、本発明のポリウレタンフォームをなす際には、適宜、触媒、発泡剤、整泡剤、およびその他の助剤を用いるとよい。これらの添加剤は、ポリウレタンフォームを製造する際に一般的に用いられるものから適宜選択して使用することができる。
以下に、本発明のポリウレタンフォームの望ましい物性について説明する。
硬さ(N):
本発明のポリウレタンフォームは、良好な柔軟性を示す。柔軟性の度合いは特に限定されないが、充分にソフトな感触を呈するとうい観点からは、本発明のポリウレタンフォームの40%圧縮硬さ(N)は、250N未満であることが好ましく、240N以下であることがより好ましく、235N以下であることがさらに好ましい。かかる40%圧縮硬さ(N)の範囲であれば、軟質性ポリウレタンフォームとして、種々の用途に良好に使用することができる。柔軟性の観点からはポリウレタンフォームの40%圧縮硬さ(N)の下限は特に限定されないが、立体形状の保持性が充分であるという観点からは、ポリウレタンフォームの40%圧縮硬さ(N)は、100N以上であることが好ましく、110N以上であることがより好ましく、120N以上であることがさらに好ましい。上記40%圧縮硬さ(N)は、JIS K 6400-2A法:2012に準拠して測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、伸び(%)が適度な範囲に抑えられており、伸び過ぎによる種々の弊害の発生が抑制されている。伸び(%)の数値範囲は特に限定されない。例えばフレームラミネートなど熱を利用する積層方法にて、表皮材と軟質ポリウレタンフォームとを積層し積層体を形成する際、シワの発生が問題となる。これに対し、効果的に上記シワの発生を抑制するという観点からは、本発明のポリウレタンフォームの伸び(%)は、250%以下であることが好ましく、240%以下であることがより好ましく、230%以下であることが更に好ましく、220%以下であることが特に好ましい。本発明のポリウレタンフォームに関し、伸び(%)の下限値は、特に限定されないが、伸び(%)が少なすぎると積層体を所定形状に熱成形した際にシワが発生し易い傾向にある。そのため熱成形時のシワ発生防止の観点からは、本発明のポリウレタンフォームの伸び(%)は、120%を上回ることが好ましく、130%以上であることがより好ましく、140%以上であることがさらに好ましい。上記伸び(%)は、JIS K 6400-5:2012に準拠して測定される。
本発明のポリウレタンフォームは、湿熱圧縮残留ひずみが小さい傾向にある。本発明者らの検討によれば、上述する所定範囲のポリエステルポリオール(A)およびポリエーテルポリオール(B)の含有量に対し、上述する所定範囲の架橋剤を含有させることで、湿熱圧縮残留ひずみを小さく抑え得ることがわかった。本発明のポリウレタンフォームを用いた積層体を熱成形した際に、シワの発生を防止するという観点からは、本発明のポリウレタンフォームの湿熱圧縮残留ひずみ(%)は、11%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。上記湿熱圧縮残留ひずみ(%)は、JIS K 6400-4:2012に準拠し、温度を70℃、湿度95℃、厚み方向に圧縮する比率を75%として、22時間放置し、その後に、圧縮状態を解除し室内にて15分間回復させた後、厚み方向の寸法を測定することで求められる。
また本発明のポリウレタンフォームの特性として、通気量が比較的小さいことが挙げられる。これによって、ポリウレタンフォームは吸音性が高くなる。そのため、たとえば、当該ポリウレタンフォームが壁面に配置された閉空間内では騒音が低減され、または当該閉空間から外部空間に対し音の漏れが低減され得る。本発明のポリウレタンフォームの通気量の数値範囲は特に限定されないが、効果的な吸音性を奏するという観点からは、ポリウレタンフォームの通気量は、50ml/cm2/s以下であることが好ましく、40ml/cm2/s以下であることがより好ましく、30ml/cm2/s以下であることがさらに好ましい。上記通気量は、JIS K 6400-7B法:2012に準拠して測定される。
本発明のポリウレタンフォームの密度は、特に限定されないが、30kg/m3以上45kg/m3以下であることが好ましく、35kg/m3以上40kg/m3以下であることがより好ましい。上記密度は、JIS K 7222:2005に準拠して測定される。
ポリオール(I):3官能フタル酸系ポリエステルポリオール(アクトコール3P-56、三井化学株式会社製)、数平均分子量3000、水酸基価56
ポリオール(II):2官能フタル酸系ポリエステルポリオール(アクトコール2P-56、三井化学株式会社製)、数平均分子量2000、水酸基価56
ポリオール(III):2官能アジピン酸系ポリエステルポリオール(アデカニューエースNS2400、株式会社アデカ製)、数平均分子量2000、水酸基価53~59
ポリオール(IV):3官能ポリエーテルポリオール(アクトコールT3000、三井化学株式会社製)、数平均分子量3000水酸基価56
イソシアネート:トルエンジイソシアネート(コスモネートT-80、三井化学SKCポリウレタン株式会社製)
架橋剤:トリエタノールアミン(昭和化学株式会社製)、水酸基価1128
整泡剤:シリコーン製泡剤(SF2904東レダウコーニング株式会社製)
触媒:アミン触媒(TOYOCAT-ETS東ソー株式会社製)、金属触媒(オクチル酸スズ)(ネオスタンU-28、日東化成株式会社製)
発泡剤:水
以下のとおり各実施例および各比較例を作製した。
表1に示す配合比率にて、ポリオール成分に架橋剤、整泡剤、触媒、および発泡剤を混合しポリオール成分を調整した。そして、表1に示すイソシアネートと、上記ポリオール成分とを混合し撹拌して混合物を調製し、ベルトコンベア上に吐出した。該ベルトコンベアを移動させ、常温、大気圧下において、上記混合物を自然発泡させウレタン反応を生じせしめることにより、幅が約1000mm、高さが約500mmである長尺ブロック状のポリウレタンフォームである実施例または比較例を得た。
得られたブロック状のポリウレタンフォームを所定長さに切り出し、24時間放置した後、フォーム裁断面を目視により観察し、以下のとおり評価した。
良好:正常なフォームが形成され、セルの大きさが均一で整っている
収縮:フォームの収縮が散見された
ポリウレタンフォームを、スキン層を除き、縦380mm×横380mm×厚み50mmの寸法に裁断してブロック体を作成した。上記ブロック体を用い、JIS K7222:2005に準拠して、ポリウレタンフォームの見掛け密度(kg/m3)を測定した。
ポリウレタンフォームを、スキン層を除き、縦380mm×横380mm×厚み50mmの寸法に裁断してブロック体を作成した。上記ブロック体を用い、JIS K 6400-2A法:2012に準拠して、厚み方向に40%圧縮し、30秒後の力(N)を測定し、40%圧縮硬さ(N)を測定した。
ポリウレタンフォームを、スキン層を除き、縦100mm×横100mm×厚み50mmの寸法に裁断してブロック体を作成した。上記ブロック体を用い、JIS K 6400-4:2012に準拠し、温度を70℃、湿度95℃、厚み方向に圧縮する比率を75%として、22時間放置し、その後に、圧縮状態を解除し室内にて15分間回復させた後、厚み方向の寸法を測定し、湿熱圧縮残留ひずみ(%)を求めた。
JIS K 6400-5:2012に準拠してポリウレタンフォームの伸び(%)を測定した。具体的にはポリウレタンフォームを、JIS K 6400-5:2012で規定している2号形ダンベル形状の寸法に裁断して試験片を作成し、当該試験片の両端部を固定具に挟み、引張速度500mm/分で長さ方向に引っ張り、破断したときの標準距離を測定し、下記(式1)にて求めた。
(式1)
伸び(%)
=((破断時の標準間距離-破断前の標準間距離)/破断前の標準間距離)×100
ポリウレタンフォームを、スキン層を除き、縦150mm×横150mm×厚み10mmの寸法に裁断して試験片を作成し、JIS K 6400-7B法:2012に準拠して通気量(ml/cm2/s)を測定した。測定装置は、フラジール形試験機を用いた。
上述のとおり得られた各実施例および各比較例のポリウレタンフォームを用い、スキン層を除いて3.5mmにスライスし1000mm×2000mm×3.5mmのシート状物を作成した。そして、フレームラミネート法により当該シート状物と表皮材とを積層した。具体的には、シート状物を、バーナーフレーム上を20m/分~30m/分の速度で通過させて当該シート状物の一方面をあぶって表面を溶融させ、続いて溶融した面にポリエステル生地を重ねあわせ、対向するロール間を通過させて互いを圧着させ積層した。その後、シート状物の他方面の表面を上記と同様の方法で溶融させ、続いて溶融した面に不織布を重ねあわせ、対向するロール間を通過させて互いを圧着させ積層した。これによって、シート状物であるポリウレタンフォームの両面に表皮材が積層された三層構造の積層体を得た。当該積層体をロール状に巻き取り、その状態で24時間、室内に放置した後、目視でポリエステル生地側を観察し、シワの発生の有無を確認し以下の通り評価した。
有:ポリエステル生地側の表面にシワが確認された
無:ポリエステル生地側の表面にシワが確認されなかった
加工特性1の試験にて得た積層体から150mm×150mmのサイズの試験片を裁断した。尚、加工特性1においてシワの発生が確認された積層体は、シワの発生していない部分を選んで試験片を裁断した。そして、試験片の不織布側の面に霧吹きで水5mlを噴霧した後、即座に接触面の温度が140℃のプレス盤を備える圧縮熱プレス機に供し、試験片全体に140℃の温度、および7.0kg/cm2の圧力を、20秒間かけて熱成形を行った。その後、所定形状に成形された試験片を圧縮熱プレス機から取り出し、室温になるまで放置した後、当該試験片の表面の全体を観察し、シワの発生の有無を確認し以下の通り評価した。
有:ポリエステル生地側の表面にシワが確認された
無:ポリエステル生地側の表面にシワが確認されなかった
(1)ポリオールと、イソシアネートとを、架橋剤の存在下で反応させてなるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオールが、平均官能基数2.5以上3.4以下であり芳香族系であるポリエステルポリオール(A)と、平均官能基数2.5以上3.4以下であるポリエーテルポリオール(B)とを、含み、
前記ポリエステルポリオール(A)および前記ポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部において、前記ポリエステルポリオール(A)が40質量部を超えて80質量部未満の範囲で含有されているとともに、
前記架橋剤が、前記ポリエステルポリオール(A)および前記ポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部に対し、0質量部を超えて3質量部未満の範囲で含有されていることを特徴とするポリウレタンフォーム。
(2)JIS K 6400-2A法:2012に準拠して測定された40%圧縮硬さ(N)が、250N未満である上記(1)に記載のポリウレタンフォーム。
(3)JIS K 6400-5:2012に準拠して測定された伸び(%)が、250%以下である上記(1)または(2)に記載のポリウレタンフォーム。
(4)JIS K 6400-4:2012に準拠して測定された湿熱圧縮残留ひずみが11%以下である上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
(5)平均厚みが1mm以上10mm以下である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
(6)上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの表面の少なくとも一部に表皮材が積層されたことを特徴とする積層体。
20、30・・・表皮材
100・・・積層体
Claims (6)
- ポリウレタンフォームと、ポリウレタンフォームの一方側の表面の少なくとも一部又は両面の少なくとも一部に積層された表皮材とからなる積層体であって、
前記ポリウレタンフォームは、ポリオールと、イソシアネートとを、架橋剤の存在下で反応させてなるポリウレタンフォームであって、
前記ポリオールが、平均官能基数2.5以上3.4以下であり芳香族系であるポリエステルポリオール(A)と、前記ポリエステルポリオール(A)とは異なるポリオールであり平均官能基数2.5以上3.4以下であるポリエーテルポリオール(B)とを、含み、前記ポリエステルポリオール(A)および前記ポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部において、前記ポリエステルポリオール(A)が40質量部を超えて80質量部未満の範囲で含有されているとともに、前記架橋剤が、前記ポリエステルポリオール(A)および前記ポリエーテルポリオール(B)の総量100質量部に対し、0質量部を超えて3質量部未満の範囲で含有されており、
JIS K 6400-5:2012に準拠して測定された伸び(%)が、160%以上250%以下であることを特徴とする積層体。 - 前記ポリウレタンフォームのJIS K 6400-2A法:2012に準拠して測定された40%圧縮硬さ(N)が、250N未満である請求項1に記載の積層体。
- 前記ポリウレタンフォームのJIS K 6400-4:2012に準拠して測定された湿熱圧縮残留ひずみが11%以下である請求項1または2に記載の積層体。
- 前記ポリウレタンフォームの平均厚みが1mm以上10mm以下である請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記ポリウレタンフォームの表面の少なくとも一方に積層される前記表皮材がポリエステル生地である請求項1から4のいずれか一項に記載の積層体。
- 前記ポリオールの全量が、前記ポリエステルポリオール(A)および前記ポリエーテルポリオール(B)の配合量の総和である請求項1から5のいずれか一項に記載の積層体。
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