JP6389044B2 - 表示装置、表示装置の製造方法、及び、表示装置の設計方法 - Google Patents

表示装置、表示装置の製造方法、及び、表示装置の設計方法 Download PDF

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Description

本開示は、表示装置、表示装置の製造方法、及び、表示装置の設計方法に関し、より具体的には、発光素子を備えた表示装置、係る表示装置の製造方法、及び、係る表示装置の設計方法に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、単に、有機EL素子と略称する)を発光素子として用いた照明装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、単に、有機EL表示装置と略称する)が普及しつつある。そして、有機EL表示装置にあっては、効率良く光を取り出す技術の開発が強く求められている。光取出し効率が低いと、有機EL素子における実際の発光量を有効に活用していないことになり、消費電力等の点で大きな損失を生じる要因となるからである。
光取出し効率の向上を図るために、リフレクタ(反射構造)を有する有機EL表示装置が、例えば、特開2013−191533号公報に開示されている。この特許公開公報に開示された表示装置にあっては、発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、第1部材と第1部材との間を充填する第2部材から成る光反射層が備えられており、第1部材の屈折率をn1、第2部材の屈折率をn2としたとき、1.1≦n1≦1.8、n1−n2≧0.20を満足し、第1部材と対向する第2部材の表面において、第1部材を伝播した光が、少なくとも一部分、反射される。ここで、第1部材と対向する第2部材の対向面の形状は、例えば、切頭部が発光素子に対向した切頭円錐形であり、対向面は傾斜角θにて傾斜している。
特開2013−191533号公報
ところで、表示装置の製造にあっては、第1部材と対向する第2部材の対向面の傾斜角θにばらつきが生じ易いし、対向面を構成する切頭円錐形の高さと切頭部の直径の比(アスペクト比)にもばらつきが生じ易い。そして、これらがばらつくと、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ、表示装置の画像表示品質の低下に繋がる。上述した特許公開公報には、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い構造に関して、具体的な言及はなされていない。
従って、本開示の目的は、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い構成、構造を有する表示装置、係る表示装置の製造方法、及び、係る表示装置の設計方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本開示の第1の態様に係る表示装置は、
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される。
そして、本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、第2部材の対向面の傾斜角をθ(単位:度)、第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、
75.2−54(n1−n2)≦θ≦81.0−20(n1−n2) (1)
好ましくは、
76.3−46(n1−n2)≦θ≦77.0−20(n1−n2) (2)
を満足する。
また、本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、屈折率n1の値、屈折率n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材の対向面の傾斜角θが決定される。
上記の目的を達成するための本開示の表示装置の製造方法あるいは本開示の表示装置の設計方法は、
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される表示装置の製造方法あるいは表示装置の設計方法である。
そして、本開示の表示装置の製造方法にあっては、
第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、
求められた傾斜角θを有する光反射層を製造する。
また、本開示の表示装置の設計方法にあっては、
第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求める。
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置、本開示の表示装置の製造方法あるいは本開示の表示装置の設計方法によって得られる表示装置にあっては、第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射されるので、第1部材と第2部材との間に光反射部材等を設けなくとも、発光素子からの外部への光取出し効率の向上を図ることができる。そして、本開示の第1の態様に係る表示装置にあっては、屈折率n1と屈折率n2の値の差と、第2部材の対向面の傾斜角θとの関係が規定されているので、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い。また、本開示の第2の態様に係る表示装置、本開示の表示装置の製造方法、本開示の表示装置の設計方法にあっては、屈折率n1,n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材の対向面の傾斜角θが決定されるので、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い。尚、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また、付加的な効果があってもよい。
図1は、実施例1の表示装置の模式的な一部断面図である。 図2は、実施例1の表示装置を構成する発光素子における有機層等の模式図である。 図3A及び図3Bは、それぞれ、実施例1〜実施例6の表示装置における副画素の配列を表す模式図である。 図4は、実施例2の表示装置の模式的な一部断面図である。 図5は、実施例2の表示装置の変形例の模式的な一部断面図である。 図6は、実施例2の表示装置の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図7は、実施例2の表示装置の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。 図8は、実施例3の表示装置の模式的な一部断面図である。 図9は、実施例4の表示装置の模式的な一部断面図である。 図10A及び図10Bは、実施例5の表示装置の模式的な一部断面図である。 図11A及び図11Bは、実施例5の表示装置の変形例の模式的な一部断面図である。 図12A及び図12Bは、実施例5の表示装置の別の変形例の模式的な一部断面図である。 図13A及び図13Bは、実施例5の表示装置の更に別の変形例の模式的な一部断面図である。 図14は、実施例6の表示装置の模式的な一部断面図である。 図15A、図15B及び図15Cは、実施例1の表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図16A及び図16Bは、図15Cに引き続き、実施例1の表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図17は、図16Bに引き続き、実施例1の表示装置の製造方法の概要を説明するための第1基板等の模式的な一部端面図である。 図18A、図18B、図18C及び図18Dは、実施例1の表示装置の別の製造方法の概要を説明するためのガラス基板等の模式的な一部端面図である。 図19A及び図19Bは、それぞれ、実施例1及び比較例1の表示装置において、アスペクト比の逆数、傾斜角θをパラメータとして、Δn(=n1−n2)=0.20としたときの、視野角0度における相対輝度値をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。 図20A及び図20Bは、それぞれ、実施例1及び比較例1の表示装置において、傾斜角θのばらつき、アスペクト比の逆数のばらつきを設定したときの相対輝度値の変化をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。 図21A及び図21Bは、それぞれ、実施例1の表示装置において、アスペクト比の逆数、傾斜角θをパラメータとして、Δn(=n1−n2)=0.25、Δn=0.15としたときの、視野角0度における相対輝度値をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。 図22は、実施例1の表示装置において、アスペクト比の逆数、傾斜角θをパラメータとして、Δn(=n1−n2)=0.10としたときの、視野角0度における相対輝度値をシミュレーションによって求めた結果を示すグラフである。 図23A及び図23Bは、それぞれ、傾斜角θとΔn(=n1−n2)との関係を示すグラフ、及び、視野角0度の相対輝度値が1.25以上、視野角0度の相対輝度値のばらつきが0.30以内、半値視野角が45度以上となる領域を塗りつぶした図である。 図24A及び図24Bは、それぞれ、実施例1の表示装置において、アスペクト比の逆数、傾斜角θをパラメータとしたときの、視野角0度における相対輝度値の概念図、及び、第2部材の対向面の傾斜角θ等を説明するための光反射層の模式的な一部断面図である。
以下、図面を参照して、実施例に基づき本開示を説明するが、本開示は実施例に限定されるものではなく、実施例における種々の数値や材料は例示である。尚、説明は、以下の順序で行う。
1.本開示の第1の態様及び第2の態様に係る本開示の表示装置、本開示の表示装置の製造方法、本開示の表示装置の設計方法、全般に関する説明
2.実施例1(本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置)
3.実施例2(実施例1の変形)
4.実施例3(実施例1の別の変形)
5.実施例4(実施例1の更に別の変形)
6.実施例5(実施例1の更に別の変形)
7.実施例6(実施例1の更に別の変形)、その他
[本開示の第1の態様及び第2の態様に係る本開示の表示装置、本開示の表示装置の製造方法、本開示の表示装置の設計方法、全般に関する説明]
本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置、本開示の表示装置の製造方法によって得られる表示装置、あるいは又、本開示の表示装置の設計方法によって得られる表示装置(以下、これらの表示装置を総称して、『本開示の表示装置等』と呼ぶ)において、表示装置を構成する発光素子における傾斜角θのばらつき許容範囲は最大4度である(最大4度に設定する)構成とすることが望ましい。尚、「傾斜角θのばらつき」とは、表示装置において、任意の発光素子を100個選び、傾斜角θを測定し、傾斜角θの平均値、標準偏差σを求めたときの、標準偏差σの値を指す。
上記の好ましい構成を含む本開示の表示装置等にあっては、表示装置を構成する発光素子において、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値の変動許容範囲(相対輝度値の最大値及び最小値の差)は最大0.5である構成とすることが望ましい。尚、本開示の第2の態様に係る表示装置にあっては、屈折率n1の値、屈折率n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、更には、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように、第2部材の対向面の傾斜角θが決定される構成とすることができる。ここで、「視野角0度における相対輝度値」とは、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)の相対値であり、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における輝度値をBn1、第1基板が第1部材のみで覆われていると仮定し、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における輝度値をBn0としたとき、Bn1/Bn0で表される。尚、「視野角0度における相対輝度値のばらつき」を求める場合、表示装置において、任意の輝度測定箇所を100箇所選び、視野角0度における輝度値を測定し、輝度値の平均値、標準偏差σを求めたときの、標準偏差σの値を求めればよい。
以上に説明した好ましい構成を含む本開示の表示装置等において、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値は、1.5以上、3.0以下である構成とすることが望ましい。
更には、以上に説明した好ましい構成を含む本開示の表示装置等において、切頭錐形の切頭部(発光素子と対向する面)の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、表示装置を構成する発光素子における{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲は最大0.2である(最大0.2に設定する)構成とすることが望ましい。尚、{(4S/π)1/2/H}はアスペクト比の逆数に相当する。本開示の表示装置の製造方法あるいは本開示の表示装置の設計方法にあっては、{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求めてもよい。「{(4S/π)1/2/H}のばらつき」とは、表示装置において、任意の発光素子を100個選び、{(4S/π)1/2/H}を測定し、{(4S/π)1/2/H}の平均値、標準偏差σを求めたときの、標準偏差σの値を指す。
更には、以上に説明した好ましい構成を含む本開示の表示装置等において、
0.1≦n1−n2≦0.4
を満足する構成とすることが好ましい。
更には、以上に説明した好ましい構成を含む本開示の表示装置等において、切頭錐形の切頭部(発光素子と対向する面)の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、
0.8≦(4S/π)1/2/H≦1.6
を満足する構成とすることが好ましい。
更には、以上に説明した各種の好ましい構成を含む本開示の表示装置等において、発光素子から出射し、切頭錐形の軸線と平行に第1部材から出射される光は、第2部材の対向面に衝突したとき、対向面で全反射される形態とすることができる。
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の表示装置等において、発光素子と第1部材とは接している形態とすることができる。これによって、発光部から出射された光は、必ず、しかも、直接、第1部材に入射するので、光取出し効率の大幅な低下を招くことが無い。
更には、以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の表示装置等において、各発光素子からの光は第2基板を介して外部に出射される形態とすることができる。このような表示装置を『上面発光型の表示装置』と呼ぶ場合がある。但し、このような構成に限定されるものではなく、各発光素子からの光は第1基板を介して外部に出射される形態とすることもできる。このような表示装置を『下面発光型の表示装置』と呼ぶ場合がある。
以上に説明した各種の好ましい構成、形態を含む本開示の表示装置等(以下、これらを総称して、『本開示における表示装置』と呼ぶ場合がある)において、第1部材を構成する材料として、Si1-xx、ITO、IZO、TiO2、Nb25、臭素含有ポリマー、硫黄含有ポリマー、チタン含有ポリマー、ジルコニウム含有ポリマーを挙げることができる。
本開示における表示装置において、第1部材と第2部材との間には、第2電極が延在している形態とすることができ、あるいは、有機層及び第2電極が延在している形態とすることができる。このような場合、第2部材と第2電極との界面において、あるいは又、第2部材と有機層との界面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射されるが、これらの形態も、「第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される」形態に包含される。
また、本開示における表示装置において、後述する光吸収層を除く第2部材を構成する材料として、SiO2、MgF、LiF、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムを挙げることができる。
あるいは又、本開示における表示装置において、第2部材を、有機材料から成る下層、及び、無機材料から成り、下層の少なくとも一部を覆う上層から構成することができる。具体的には、上層が下層の全面を覆っている形態、上層が下層の頂面を覆っている形態を挙げることができる。下層を構成する有機材料として、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマーを挙げることができるし、上層を構成する無機材料として、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウムを挙げることができる。下層は、単層から構成されていてもよいし、複数の層が積層された積層構造から構成されていてもよい。上層も、単層から構成されていてもよいし、複数の層が積層された積層構造から構成されていてもよい。このように、上層を設けることで外光反射を抑制することができるし、上層が下層の全面を覆っている形態とすることで、たとえ下層においてガスが発生したとしても、上層によってガスの拡散は防止され、ガスが発光部に悪影響を与えることを回避することができる。尚、上層を構成する材料の光学濃度(OD値)として、1.0以上を挙げることができる。
そして、第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、開口部の底面に発光部が設けられている形態とすることができる。具体的には、開口部の底面には、第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が設けられている。場合によっては、有機層及び第2電極は対向面に延在している。あるいは又、第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びている形態とすることができる。そして、このような形態にあっては、
[1]上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、発光部が設けられている形態
[2]上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、第1補助電極が形成されており、第1補助電極上に発光部が形成されている形態
[3]上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上から対向面に亙り、第1補助電極が形成されており、第1補助電極の一部の上に発光部が形成されている形態
を例示することができる。第1補助電極は、例えば、アルミニウム合金[例えば、Al−Nd(Nd:0.4質量%乃至3質量%)やAl−Cu等]、あるいは又、インジウム化合物[例えば、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛複合酸化物(IZO)、インジウム・ドープのガリウム−亜鉛複合酸化物(IGZO)、インジウム・ドープのスズ−亜鉛複合酸化物]と、アルミニウム合金(例えばAl−NiやAl−Ni−B等)や銀、金合金との積層構造の積層構造から構成することができる。
上層が下層の全面を覆っている形態にあっては、対向面における上層の平均厚さ、及び、上層及び下層のそれぞれを構成する材料の屈折率から、「第2部材を構成する材料の屈折率n2」を求めればよい。また、上層が下層の頂面を覆っている形態にあっては、対向面には下層が露出しているので、下層を構成する材料の屈折率を、「第2部材を構成する材料の屈折率n2」とすればよい。以上に説明した上層及び下層から第2部材が構成されているとき、本開示の第1の態様あるいは第2の態様に係る表示装置におけるθ,n1,n2の規定を除いた表示装置も、発明を構成し得る。
下層及び上層を含む第2部材は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、アトミックレイヤーデポジション(ALD)法、CVD法、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。
本開示における表示装置において、第2部材には光吸収層が設けられている構成とすることができる。このように、第2部材に光吸収層を設けることで、第2部材に入射した外光は、光吸収層によって吸収され、表示装置から外部に出射され難い。それ故、表示装置のコントラストの向上を図ることができる。第2部材に光吸収層を設ける場合、具体的には、第2部材は、光吸収層と、それ以外の層(便宜上、『第2部材構成層』と呼ぶ)とが積層された構造を有している構成とすることができ、あるいは又、第2部材は光吸収層から構成された構成(即ち、光吸収層は、第2部材の全体を占めている構成)とすることができる。そして、前者の構成にあっては、光吸収層は、第2部材の下部に設けられている構成とすることができ(即ち、第1基板側から、第2部材、第2部材構成層が積層された構造)、あるいは又、光吸収層は、第2部材の中間部に設けられている構成とすることができ(即ち、第1基板側から、第2部材構成層、光吸収層、第2部材構成層が積層された構造)、あるいは又、光吸収層は、第2部材の頂部に設けられている構成(即ち、第1基板側から、第2部材構成層、第2部材が積層された構造)とすることができる。光吸収層を、2層以上、形成してもよい。
光吸収層を構成する材料として、カーボン、金属薄膜(例えば、クロム、ニッケル、アルミニウム、モリブデン等、あるいは、これらの合金から成る薄膜)、金属酸化物(例えば、酸化クロム)、金属窒化物(例えば、窒化クロム)、有機樹脂、黒色顔料等を含有するガラスペースト、カーボンブラック等の黒色顔料や黒色染料を含む各種樹脂を挙げることができる。具体的には、感光性ポリイミド樹脂、酸化クロムや、酸化クロム/クロム積層膜を例示することができる。光吸収層は、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法とエッチング法との組合せ、真空蒸着法やスパッタリング法、スピンコーティング法とリフトオフ法との組合せ、スクリーン印刷法、リソグラフィ技術等、使用する材料に依存して適宜選択された方法にて形成することができる。光吸収層を構成する材料の屈折率n2’と第2部材構成層を構成する材料の屈折率n2との差は、出来る限り小さいことが好ましい。光吸収層とは、可視光の吸収率が90%以上、好ましくは99%以上である層を意味する。
更には、本開示における表示装置は、カラーフィルターを備えている構成とすることができる。表示装置をカラー表示装置とする場合、1つの画素は、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、及び、青色を発光する青色発光副画素の3つの副画素、あるいは、4つ以上の副画素から構成される。このようなカラー表示装置にあっては、赤色発光副画素を赤色光を発光する発光素子から構成し、緑色発光副画素を緑色光を発光する発光素子から構成し、青色発光副画素を青色光を発光する発光素子から構成してもよいし、上記の好ましい構成、形態を含む上面発光型の表示装置において、第2基板はカラーフィルターを備えている構成とし、発光素子は白色光を発光する構成とし、各色発光副画素を、白色光を発光する発光素子とカラーフィルターとの組合せから構成してもよい。第2基板は遮光膜(ブラックマトリクス)を備えている構成としてもよい。同様に、下面発光型の表示装置において、第1基板は、カラーフィルターや遮光膜(ブラックマトリクス)を備えている構成とすることができる。
本開示における表示装置における上面発光型の表示装置にあっては、光反射層の上に(即ち、第1部材及び第2部材の上に)保護膜及び封止材料層が更に備えられている形態とすることができる。尚、第1部材と保護膜を同時に形成し、第1部材と保護膜とが一体となった構造としてもよい。保護膜を構成する材料の屈折率をn3、封止材料層を構成する材料の屈折率をn4としたとき、
|n3−n4|≦0.3
好ましくは、
|n3−n4|≦0.2
を満足する形態とすることができ、これによって、保護膜と封止材料層との界面で光が反射又は散乱されることを効果的に防止することができる。
保護膜を構成する材料として、発光層で発光した光に対して透明であり、緻密で、水分を透過させない材料を用いることが好ましく、具体的には、例えば、アモルファスシリコン(α−Si)、アモルファス炭化シリコン(α−SiC)、アモルファス窒化シリコン(α−Si1-xx)、アモルファス酸化シリコン(α−Si1-yy)、アモルファスカーボン(α−C)、アモルファス酸化・窒化シリコン(α−SiON)、Al23を挙げることができる。また、封止材料層を構成する材料として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、シアノアクリレート系接着剤といった熱硬化型接着剤や、紫外線硬化型接着剤を挙げることができる。
本開示における表示装置において、1つの発光素子によって1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列、ダイアゴナル配列、デルタ配列、又は、レクタングル配列を挙げることができる。また、複数の発光素子が集合して1つの画素(あるいは副画素)が構成されている形態にあっては、限定するものではないが、画素(あるいは副画素)の配列として、ストライプ配列を挙げることができる。1つの画素(あるいは副画素)を構成する発光素子の数として、1乃至1000を例示することができる。1つの発光素子に対して複数の対向面が設けられている形態とすることができるし、1つの発光素子に対して1つの対向面が設けられている形態とすることもできる。
本開示における表示装置において、第1部材は回転体の一部(切頭回転体)から構成されており、あるいは又、対向面は回転体の表面の一部(切頭回転体)から構成されており、回転体の回転軸である対向面の軸線(第1部材における切頭錐形の軸線)をz軸としたとき、z軸を含む仮想平面で第1部材あるいは対向面を切断したときの第1部材あるいは対向面の断面形状は、台形、あるいは、放物線の一部から構成されていることが好ましいが、それ以外から構成されていてもよく、回転体として、例えば、球面、回転楕円面、回転放物面とすることもできるし、3次以上の多項式、二葉線、三葉線、四葉線、連珠形、蝸牛線、正葉線、螺獅線、疾走線、公算曲線、引弧線、懸垂線、擺線、餘擺線、星芒形、半3次放物線、リサジュー曲線、アーネシー曲線、外サイクロイド、心臓形、内サイクロイド、クロソイド曲線、螺線に例示される曲線の一部を回転させて得られる曲面とすることもできる。また、場合によっては、1本の線分、あるいは、複数の線分の組合せ、線分と曲線の組合せを回転させて得られる面とすることもできる。あるいは又、第1部材あるいは対向面は、切頭角錐(例えば、切頭三角錐、切頭四角錐、切頭六角錐、切頭八角錐等)から構成することができる。更には、第1部材あるいは対向面をxy平面で切断したときの第1部材あるいは対向面の外形線として、任意の閉曲線を挙げることができる。
本開示における表示装置において、第2部材の対向面の傾斜角θとは、云い換えれば、切頭錐形の軸線(z軸、図24B参照)を含む仮想平面で第2部材の対向面を切断したときの第2部材の対向面の断面と、切頭錐形の軸線(z軸)と成す角度θ’の余角(単位:度)を意味する(図24B)。第2部材の対向面の断面の傾斜角θは、対向面の断面が曲線を描く場合、対向面の下端部と上端部とを結ぶ直線と、切頭錐形の軸線(z軸)との成す角度θ’の余角である。尚、図24Bにおいては、図面の右手側に、対向面の断面が直線を描く場合を図示し、図面の左手側に、対向面の断面が曲線を描く場合を図示している。z軸を含む仮想平面で第1部材あるいは対向面を切断したときの第1部材あるいは対向面の断面形状が複数、存在する場合(例えば、切頭角錐等の場合)、最も大きな値の傾斜角を傾斜角θとする。
隣接する発光素子において、第2部材の頂面の最短距離(便宜上、『構造間距離』と呼ぶ)として、0μmを挙げることができるし、あるいは又、2μm、4μmを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、表示装置に要求される仕様に依存する。
上面発光型の表示装置における第1電極、あるいは又、下面発光型の表示装置における第2電極(これらの電極を、便宜上、『光反射電極』と呼ぶ場合がある)を構成する材料(光反射材料)として、光反射電極をアノード電極として機能させる場合、例えば、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、タンタル(Ta)といった仕事関数の高い金属あるいは合金(例えば、銀を主成分とし、0.3質量%乃至1質量%のパラジウム(Pd)と、0.3質量%乃至1質量%の銅(Cu)とを含むAg−Pd−Cu合金や、Al−Nd合金)を挙げることができる。更には、アルミニウム(Al)及びアルミニウムを含む合金等の仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料を用いる場合には、適切な正孔注入層を設けるなどして正孔注入性を向上させることで、アノード電極として用いることができる。光反射電極の厚さとして、0.1μm乃至1μmを例示することができる。あるいは又、誘電体多層膜やアルミニウム(Al)といった光反射性の高い反射膜上に、インジウムとスズの酸化物(ITO)やインジウムと亜鉛の酸化物(IZO)等の正孔注入特性に優れた透明導電材料を積層した構造とすることもできる。一方、光反射電極をカソード電極として機能させる場合、仕事関数の値が小さく、且つ、光反射率の高い導電材料から構成することが望ましいが、アノード電極として用いられる光反射率の高い導電材料に適切な電子注入層を設けるなどして電子注入性を向上させることで、カソード電極として用いることもできる。
一方、上面発光型の表示装置における第2電極、あるいは又、下面発光型の表示装置における第1電極(これらの電極を、便宜上、『半光透過電極』と呼ぶ場合がある)を構成する材料(半光透過材料あるいは光透過材料)として、半光透過電極をカソード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、有機層に対して電子を効率的に注入できるように仕事関数の値の小さな導電材料から構成することが望ましく、例えば、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、アルカリ金属又はアルカリ土類金属と銀(Ag)[例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)との合金(Mg−Ag合金)]、マグネシウム−カルシウムとの合金(Mg−Ca合金)、アルミニウム(Al)とリチウム(Li)の合金(Al−Li合金)等の仕事関数の小さい金属あるいは合金を挙げることができ、中でも、Mg−Ag合金が好ましく、マグネシウムと銀との体積比として、Mg:Ag=5:1〜30:1を例示することができる。あるいは又、マグネシウムとカルシウムとの体積比として、Mg:Ca=2:1〜10:1を例示することができる。半光透過電極の厚さとして、4nm乃至50nm、好ましくは、4nm乃至20nm、より好ましくは6nm乃至12nmを例示することができる。あるいは又、半光透過電極を、有機層側から、上述した材料層と、例えばITOやIZOから成る所謂透明電極(例えば、厚さ3×10-8m乃至1×10-6m)との積層構造とすることもできる。積層構造とした場合、上述した材料層の厚さを1nm乃至4nmと薄くすることもできる。また、透明電極のみで構成することも可能である。あるいは又、半光透過電極に対して、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金、銅、銅合金、金、金合金等の低抵抗材料から成るバス電極(補助電極)を設け、半光透過電極全体として低抵抗化を図ってもよい。一方、半光透過電極をアノード電極として機能させる場合、発光光を透過し、しかも、仕事関数の値の大きな導電材料から構成することが望ましい。
光反射電極の平均光反射率は50%以上、好ましくは80%以上であり、半光透過電極の平均光透過率は50%乃至90%、好ましくは60%乃至90%であることが望ましい。
第1電極や第2電極の形成方法として、例えば、電子ビーム蒸着法や熱フィラメント蒸着法、真空蒸着法を含む蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)やMOCVD法、イオンプレーティング法とエッチング法との組合せ;スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、メタルマスク印刷法といった各種印刷法;メッキ法(電気メッキ法や無電解メッキ法);リフトオフ法;レーザアブレーション法;ゾル・ゲル法等を挙げることができる。各種印刷法やメッキ法によれば、直接、所望の形状(パターン)を有する第1電極や第2電極を形成することが可能である。尚、有機層を形成した後、第1電極や第2電極を形成する場合、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さな成膜方法、あるいは又、MOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、有機層のダメージ発生を防止するといった観点から好ましい。有機層にダメージが発生すると、リーク電流の発生による「滅点」と呼ばれる非発光画素(あるいは非発光副画素)が生じる虞がある。また、有機層の形成からこれらの電極の形成までを大気に暴露することなく実行することが、大気中の水分による有機層の劣化を防止するといった観点から好ましい。場合によっては、第1電極あるいは第2電極のいずれか一方は、パターニングしなくともよい。
本開示における表示装置にあっては、複数の発光素子は第1基板上に形成されている。ここで、第1基板として、あるいは又、第2基板として、高歪点ガラス基板、ソーダガラス(Na2O・CaO・SiO2)基板、硼珪酸ガラス(Na2O・B23・SiO2)基板、フォルステライト(2MgO・SiO2)基板、鉛ガラス(Na2O・PbO・SiO2)基板、表面に絶縁膜が形成された各種ガラス基板、石英基板、表面に絶縁膜が形成された石英基板、表面に絶縁膜が形成されたシリコン基板、ポリメチルメタクリレート(ポリメタクリル酸メチル,PMMA)やポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)に例示される有機ポリマー(高分子材料から構成された可撓性を有するプラスチック・フィルムやプラスチック・シート、プラスチック基板といった高分子材料の形態を有する)を挙げることができる。第1基板と第2基板を構成する材料は、同じであっても、異なっていてもよい。但し、上面発光型の表示装置にあっては、第2基板は、発光素子が出射する光に対して透明であることが要求され、下面発光型の表示装置にあっては、第1基板は、発光素子が出射する光に対して透明であることが要求される。
本開示における表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(有機EL表示装置と略称する)を挙げることができ、有機EL表示装置をカラー表示の有機EL表示装置としたとき、有機EL表示装置を構成する有機EL素子のそれぞれによって、上述したとおり、副画素が構成される。ここで、1画素は、上述したとおり、例えば、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、及び、青色を発光する青色発光副画素の3種類の副画素から構成されている。従って、この場合、有機EL表示装置を構成する有機EL素子の数をN×M個とした場合、画素数は(N×M)/3である。有機EL表示装置は、例えば、パーソナルコンピュータを構成するモニター装置として使用することができるし、テレビジョン受像機や携帯電話、PDA(携帯情報端末,Personal Digital Assistant)、ゲーム機器に組み込まれたモニター装置として使用することができる。あるいは又、電子ビューファインダー(Electronic View Finder,EVF)や頭部装着型ディスプレイ(Head Mounted Display,HMD)に適用することができる。あるいは又、本開示における表示装置として、その他、液晶表示装置用のバックライト装置や面状光源装置を含む照明装置を挙げることができる。
有機層は、発光層(例えば、有機発光材料から成る発光層)を備えているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造等から構成することができる。また、これらの積層構造等を「タンデムユニット」とする場合、有機層は、第1のタンデムユニット、接続層、及び、第2のタンデムユニットが積層された2段のタンデム構造を有していてもよく、更には、3つ以上のタンデムユニットが積層された3段以上のタンデム構造を有していてもよく、これらの場合、発光色を赤色、緑色、青色と各タンデムユニットで変えることで、全体として白色を発光する有機層を得ることができる。有機層の形成方法として、真空蒸着法等の物理的気相成長法(PVD法);スクリーン印刷法やインクジェット印刷法といった印刷法;転写用基板上に形成されたレーザ吸収層と有機層の積層構造に対してレーザを照射することでレーザ吸収層上の有機層を分離して、有機層を転写するといったレーザ転写法、各種の塗布法を例示することができる。有機層を真空蒸着法に基づき形成する場合、例えば、所謂メタルマスクを用い、係るメタルマスクに設けられた開口を通過した材料を堆積させることで有機層を得ることができるし、有機層を、パターニングすること無く、全面に形成してもよい。
上面発光型の表示装置において、第1電極は、例えば、層間絶縁層上に設けられている。そして、この層間絶縁層は、第1基板上に形成された発光素子駆動部を覆っている。発光素子駆動部は、1又は複数の薄膜トランジスタ(TFT)から構成されており、TFTと第1電極とは、層間絶縁層に設けられたコンタクトプラグを介して電気的に接続されている。層間絶縁層の構成材料として、SiO2、BPSG、PSG、BSG、AsSG、PbSG、SiON、SOG(スピンオングラス)、低融点ガラス、ガラスペーストといったSiO2系材料;SiN系材料;ポリイミド系樹脂やノボラック系樹脂、アクリル系樹脂、ポリベンゾオキサゾール等の絶縁性樹脂を、単独あるいは適宜組み合わせて使用することができる。層間絶縁層の形成には、CVD法、塗布法、スパッタリング法、各種印刷法等の公知のプロセスが利用できる。発光素子からの光が層間絶縁層を通過するような構成、構造の下面発光型の表示装置にあっては、層間絶縁層は、発光素子からの光に対して透明な材料から構成する必要があるし、発光素子駆動部は発光素子からの光を遮らないように形成する必要がある。また、下面発光型の表示装置にあっては、第2電極の上方に発光素子駆動部を設けることも可能である。
有機層の上方には、有機層への水分の到達防止を目的として、上述したとおり、絶縁性あるいは導電性の保護膜を設けることが好ましい。保護膜は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法、あるいは又、CVD法やMOCVD法といった成膜方法に基づき形成することが、下地に対して及ぼす影響を小さくすることができるので好ましい。あるいは又、有機層の劣化による輝度の低下を防止するために、成膜温度を常温に設定し、更には、保護膜の剥がれを防止するために保護膜のストレスが最小になる条件で保護膜を成膜することが望ましい。また、保護膜の形成は、既に形成されている電極を大気に暴露することなく形成することが好ましく、これによって、大気中の水分や酸素による有機層の劣化を防止することができる。更には、表示装置が上面発光型である場合、保護膜は、有機層で発生した光を例えば80%以上、透過する材料から構成することが望ましく、具体的には、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えば、上述した材料を例示することができる。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを生成しないため、透水性が低く、良好な保護膜を構成する。尚、保護膜を導電材料から構成する場合、保護膜を、ITOやIZOのような透明導電材料から構成すればよい。
本開示における表示装置は、例えば、
第1基板上に層間絶縁層を形成し、層間絶縁層上に第1電極を形成した後、
第1電極及び層間絶縁層上に第2部材形成層(場合によっては、光吸収層を含む)を形成し、次いで、第1電極上の第2部材形成層を選択的に除去することで、開口部の斜面(対向面に該当する)が傾斜した第2部材を得た後、あるいは又、第1電極及び層間絶縁層上に第2部材の下層を構成する下層形成層を形成し、第1電極上の下層形成層を選択的に除去して、斜面が傾斜した開口部を有する下層を形成した後、下層上に第2部材の上層を構成する上層形成層を形成し、上層形成層を選択的に除去することで、開口部の斜面(対向面に該当する)が傾斜した第2部材を得た後、
開口部の底部に露出した第1電極上から開口部の斜面(対向面)に亙り、有機層及び第2電極を形成し、次いで、第2電極上に第1部材を形成する、
各工程に基づき製造することができる。あるいは又、
第1部材と相補的な形状を有するスタンパを準備し、
支持基板上に樹脂材料を塗布した後、
スタンパを用いて樹脂材料を賦形した後、スタンパを取り除き、凸部を有する樹脂材料層を得た後、
樹脂材料層の凸部の頂部を平坦化し、次いで、樹脂材料層の凸部と凸部との間を接着剤層で埋め込み、あるいは又、樹脂材料層の凸部と凸部との間を、無機材料から成る上層及び有機材料(具体的には、接着剤)から成る下層で埋め込み、その後、
支持基板から樹脂材料層を剥がし、接着剤層を第1基板に接着し、以て、接着剤層(あるいは、上層及び下層)から成る第2部材(場合によっては、光吸収層を含む)、及び、樹脂材料層からる第1部材を得る、
各工程に基づき製造することができる。このように、スタンパを用いて接着剤層から成る第2部材(場合によっては、光吸収層を含む)及び樹脂材料層から成る第1部材を得ることで、簡素な製造方法にて、発光素子からの外部への光取出し効率の一層の向上を図ることができる有機EL表示装置を製造することができる。
これらの表示装置の製造方法にあっては、第2電極上に、直接、第1部材を形成することができるので、第2電極とリフレクタとの間に接着層が存在することに起因した発光素子から出射された光の取出しロスが無いし、あるいは又、スタンパを用いて接着剤層から成る第2部材及び樹脂材料層から成る第1部材を得ることができるので、簡素な製造方法にて、発光素子からの外部への光取出し効率の一層の向上を図ることができる表示装置を製造することができる。
実施例1は、本開示の第1の態様及び第2の態様に係る表示装置、具体的には、有機EL表示装置に関する。また、本開示の表示装置の製造方法、本開示の表示装置の設計方法に関する。実施例1の表示装置(以下、有機EL表示装置と呼ぶ場合がある)の模式的な一部断面図を図1に示し、有機層等の模式図を図2に示し、副画素の配列を表す模式図を図3Aに示す。尚、図2においては、図面の簡素化のために、1層の有機層を示しているが、実際には、複数の有機層が積層されており、複数段のタンデム構造を有する。
また、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5の有機EL表示装置は、上面発光型である。即ち、各発光素子10からの光は、上部電極に相当する第2電極22、第2基板34を介して外部に出射される。一方、後述する実施例6の有機EL表示装置は、各発光素子10からの光は第1基板11を介して外部に出射される下面発光型である。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の有機EL表示装置は、
(A)第1電極21、例えば有機発光材料から成る発光層23Aを備えた有機層23から構成された発光部24、及び、第2電極22が積層されて成る発光素子10が、複数、形成された第1基板11、並びに、
(B)第1基板11と対向して配された第2基板34、
を具備し、
第1基板11は、更に、
各発光素子10からの光を伝播して外部に出射する第1部材51、及び、
第1部材51と第1部材51との間を占める第2部材52、
から成る光反射層50を備えており、
第1部材51の形状は、切頭部が発光素子10に対向した切頭錐形であり、
第1部材51と対向する第2部材52の対向面52’において、第1部材51を伝播した光の一部が全反射される。尚、第1部材51の形状は、具体的には、切頭円錐形であり、切頭錐形の斜面は直線状である。即ち、切頭錐形の第1部材51の軸線(z軸)を含む仮想平面で第1部材51を切断したときの第1部材51の断面形状は台形であるし、第2部材52の対向面52’を切断したときの対向面52’の断面形状も台形である。
そして、第2部材52の対向面52’の傾斜角をθ(単位:度)、第1部材51を構成する材料の屈折率をn1、第2部材52を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、後に詳述するように、
75.2−54(n1−n2)≦θ≦81.0−20(n1−n2) (1)
好ましくは、
76.3−46(n1−n2)≦θ≦77.0−20(n1−n2) (2)
を満足する。
あるいは又、後に詳述するように、第1部材51を構成する材料の屈折率をn1、第2部材52を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、屈折率n1の値、屈折率n2の値、及び、第2部材52の対向面52’の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材52の対向面52’の傾斜角θが決定される。
ここで、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の有機EL表示装置における各発光素子(有機EL素子)10は、より具体的には、
(a)第1電極21、
(b)開口部25を有し、開口部25の底部に第1電極21が露出した第2部材52、
(c)開口部25の底部に露出した第1電極21の部分の上に少なくとも設けられ、例えば有機発光材料から成る発光層23Aを備えた有機層23、及び、
(d)有機層23上に形成された第2電極22、
を具備している。有機層23は、例えば、正孔注入層及び正孔輸送層23B、発光層23A並びに電子輸送層23Cの積層構造から構成されているが、図面では1層で表す場合がある。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の有機EL表示装置は、電子ビューファインダー(EVF)や頭部装着型ディスプレイ(HMD)に適用される、高精細表示装置であり、あるいは又、例えば、テレビジョン受像機といった大型の有機EL表示装置である。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の有機EL表示装置は、発光素子(具体的には、有機EL素子)10を、複数、有する。具体的には、画素数は、例えば、2048×1236であり、1つの発光素子10は1つの副画素を構成し、発光素子(具体的には有機EL素子)10は画素数の3倍である。そして、アクティブマトリックス型のカラー表示の有機EL表示装置である。
1つの画素は、赤色を発光する赤色発光副画素、緑色を発光する緑色発光副画素、青色を発光する青色発光副画素の3つの副画素から構成されている。また、第2基板34はカラーフィルター33を備えており、発光素子10は白色光を発光し、各色発光副画素は、白色光を発光する発光素子10とカラーフィルター33との組合せから構成されている。カラーフィルター33は、通過光が赤色となる領域、緑色となる領域、青色となる領域から構成されている。カラーフィルター33とカラーフィルター33との間に、遮光膜(ブラックマトリクス)を備えていてもよい。発光素子10と第1部材51とは接している。具体的には、第2電極22と第1部材51とは、直接、接している。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6の有機EL表示装置において、副画素の配列は、図3A及び図3Bに示すように、疑似デルタ配列であり、点線で囲んだ1画素の大きさは、例えば5μm×5μmである。尚、図3A及び図3Bには、4つの画素を示す。図3Aあるいは図3Bにおいて、赤色発光副画素を「R」で示し、緑色発光副画素を「G」で示し、青色発光副画素を「B」で示す。図3Aに示した例では、構造間距離は0μmであり、図3Bに示した例では、構造間距離は0μmを超える値である。但し、副画素の配列は、これらに限定するものではない。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例6において、各発光素子は、3つのタンデムユニットが積層された3段のタンデム構造を有しており、各タンデムユニットにおける有機層23は、具体的には、以下に例示する赤色発光有機層、緑色発光有機層及び青色発光有機層から構成されている。但し、これらに限定するものではない。尚、有機層全体の平均屈折率は、(実数部,虚数部)=(1.85,0)である。
具体的には、赤色発光有機層は、第1電極側から、
[正孔注入層](厚さ10nm) :LGケミカル社製 LGHIL
[正孔輸送層](厚さ26nm) :出光興産株式会社製 HT320
[発光層] (厚さ50nm) :出光興産株式会社製 RH001 及び
東レ株式会社製 D125(0.5%ドープ)
[電子輸送層](厚さ220nm):出光興産株式会社製 ET085
から構成されている。
また、緑色発光有機層は、第1電極側から、
[正孔注入層](厚さ10nm) :LGケミカル社製 LGHIL
[正孔輸送層](厚さ35nm) :出光興産株式会社製 HT320
[発光層] (厚さ30nm) :出光興産株式会社製 BH232 及び
GD206(10%ドープ)
[電子輸送層](厚さ175nm):出光興産株式会社製 ETS085
から構成されている。
更には、青色発光有機層は、第1電極側から、
[正孔注入層](厚さ10nm) :LGケミカル社製 LGHIL
[正孔輸送層](厚さ24nm) :出光興産株式会社製 HT320
[発光層] (厚さ30nm) :出光興産株式会社製 BH232 及び
BD218(10%ドープ)
[電子輸送層](厚さ141nm):出光興産株式会社製 ET085
から構成されている。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5においては、第1電極21をアノード電極として用い、第2電極22をカソード電極として用いる。第1電極21は、光反射材料、具体的には、Al−Nd合金から成り、第2電極22は、半光透過材料、具体的には、マグネシウム(Mg)を含む導電材料、より具体的には、厚さ10nmのMg−Ag合金から成る。第1電極21は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。また、第2電極22は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されており、パターニングはされていない。第1電極21の光反射率及び第2電極22の屈折率、光透過率の測定結果は以下の表1のとおりである。
[表1]
第1電極21の屈折率
実数部:0.755
虚数部:5.466
第2電極22の屈折率
実数部:0.617
虚数部:3.904
第1電極21の光反射率:85
第2電極22の光透過率:57%
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5において、有機EL素子を構成する第1電極21は、CVD法に基づき形成されたSiONから成る層間絶縁層16(より具体的には、上層層間絶縁層16B)上に設けられている。そして、この層間絶縁層16は、第1基板11上に形成された有機EL素子駆動部を覆っている。有機EL素子駆動部は、複数のTFTから構成されており、TFTと第1電極21とは、層間絶縁層(より具体的には、上層層間絶縁層16B)に設けられたコンタクトプラグ18、配線17、コンタクトプラグ17Aを介して電気的に接続されている。尚、図面においては、1つの有機EL素子駆動部につき、1つのTFTを図示した。TFTは、第1基板11上に形成されたゲート電極12、第1基板11及びゲート電極12上に形成されたゲート絶縁膜13、ゲート絶縁膜13上に形成された半導体層に設けられたソース/ドレイン領域14、並びに、ソース/ドレイン領域14の間であって、ゲート電極12の上方に位置する半導体層の部分が相当するチャネル形成領域15から構成されている。尚、図示した例にあっては、TFTをボトムゲート型としたが、トップゲート型であってもよい。TFTのゲート電極12は、走査回路(図示せず)に接続されている。
実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5において、第1基板11はシリコン基板から構成されており、第2基板は、無アルカリガラスあるいは石英ガラスから構成されている。一方、後述する実施例6において、第1基板11及び第2基板は、無アルカリガラスあるいは石英ガラスから構成されている。
そして、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5の有機EL表示装置にあっては、前述したとおり、第1部材51と対向する第2部材52の対向面52’において(即ち、第1部材51と第2部材52との界面において)、第1部材51を伝播した光の一部が全反射される。より具体的には、第1部材51と第2部材52との間に有機層23及び第2電極22が形成されているので、第2部材52と有機層23との界面において、第1部材51を伝播した光の一部が全反射される。このような構造を、便宜上、『アノードリフレクタ構造』と呼ぶ。発光素子10から出射し、切頭錐形の軸線と平行に第1部材51から出射される光は、第2部材52の対向面52’に衝突したとき、対向面52’で全反射される。
具体的には、実施例1において、切頭円錐形の第1部材51は、例えば、窒化シリコン(Si1-xx)から成り、第2部材52は、例えば、アクリル系樹脂から成る。第1部材51を構成する材料の屈折率n1の値及び第2部材52を構成する材料の屈折率n2の値を、以下の表2に示すが、
1−n2≦0.4
を満足している。また、切頭錐形の切頭部の面積Sの値を、例えば、28μm2(切頭錐形の切頭部の形状は、直径6μmの円形)とし、切頭錐形の高さHの値を、例えば5μm、傾斜角θの値を68度とする。
更には、実施例1あるいは後述する実施例2〜実施例5において、第1部材51及び第2部材52(光反射層50)の上には、保護膜31及び封止材料層32が更に備えられている。Si1-yyから成る保護膜31の屈折率n3、エポキシ系樹脂から成る封止材料層32の屈折率n4を以下の表2に示すが、
|n3−n4|≦0.3
を満足している。保護膜31は、有機層23への水分の到達防止を目的として、プラズマCVD法に基づき形成されている。尚、第1部材51と保護膜31を同時に形成し、第1部材51と保護膜31とが一体となった構造としてもよい。また、図1においては、第1部材51の頂面と、第2部材52上の第2電極22の頂面とを同一レベルで示しているが、第1部材51は第2部材52の頂面上の第2電極22を覆っていてもよい。即ち、第1部材51は全面を覆っていてもよい。
[表2]
実数部 虚数部
第1部材51を構成する材料の屈折率n1 :1.81 0.00
第2部材52を構成する材料の屈折率n2 :1.54 0.00
Si1-yyから成る保護膜31の屈折率n3 :1.81 0.00
エポキシ系樹脂から成る封止材料層32の屈折率n4:1.71 0.00
実施例1において、Δn(=n1−n2)=0.20をパラメータとして、傾斜角θ、アスペクト比の逆数AS-1{=(4S/π)1/2/H}、及び、発光素子10から第1部材51を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値の関係をシミュレーションによって求めた。尚、n1=1.80、n2=1.60とした。図19Aにその結果を示すが、図19Aあるいは後述する図19B、図20A、図20B、図21A、図21B、図22、図23Bの横軸(X軸)はアスペクト比の逆数AS-1であり、縦軸(Y軸)は傾斜角θである。また、図19A、図19B、図20A、図20B、図21A、図21B、図22、図23Bにおける等高線は、視野角0度における相対輝度値(以下、単に、『相対輝度値』と呼ぶ)を示し、「×1.5」、「×2.0」、「×2.5」等は、Bn1/Bn0の値である。尚、発光部から出射される光をランバート光と想定した。
また、第1部材51と第2部材52の界面に、アルミニウムから成る金属反射層を形成し、第1部材51を伝播し、第1部材51と第2部材52の界面に向かう光が、全て金属反射層によって反射される表示装置を想定し、比較例1として、相対輝度値をシミュレーションによって求めた。図19Bにその結果を示す。
実施例1にあっては、図19Aに示すように、傾斜角θの値が73度以上では、相対輝度値は、アスペクト比の逆数AS-1が大きくなるに従い、且つ、傾斜角θの値が小さくなるに従い、単調に減少する。また、傾斜角θの値が67度以上、73度未満では、相対輝度値は、アスペクト比の逆数AS-1が大きくなるに従い、減少する。更には、傾斜角θの値が67度未満では、相対輝度値は、アスペクト比の逆数AS-1が小さくなるに従い、且つ、傾斜角θの値が小さくなるに従い、増加する。
即ち、実施例1において、相対輝度値の等高線は凸形状であり、この凸形状は、X軸方向(アスペクト比の逆数AS-1を規定する方向)に延び、しかも、凸形状の底部は、X軸方向を向いた形状を有する。即ち、X軸方向に突出した凸形状を示す。
一方、比較例1にあっては、図19Bに示すように、傾斜角θの値に拘わらず、相対輝度値は、アスペクト比の逆数AS-1が大きくなるに従い、単調に減少する。
実施例1にあっては、対向面52’に衝突した光の一部が全反射されることで相対輝度値の増加が図られる一方、対向面52’に衝突した光の残部は第2部材52に侵入することで相対輝度値の極端な増加を抑制する。そして、これらによって、相対輝度値の等高線は、前述したとおり、アスペクト比の逆数AS-1をX軸、対向面の傾斜角θをY軸とした座標系において、X軸方向に突出した凸形状を示す。
ここで、
アスペクト比の逆数AS-1 :1.4
傾斜角θ :69度
傾斜角θのばらつき許容範囲 :±2度以内
アスペクト比の逆数AS-1のばらつき:±0.05以内
を想定する。すると、凸形状の頂部あるいはその近傍(図19Aではこの想定領域を点線の矩形で示す)においては、対向面の傾斜角θが変化しても、相対輝度値の変化は少ない。一方、凸形状のそれ以外の領域(例えば、図19Aでは実線の矩形で示す)においては、対向面の傾斜角θの変化に対する相対輝度値の変化が大きい。即ち、対向面の傾斜角θのばらつきが相対輝度値に与える影響が大である。実施例1の表示装置において、アスペクト比の逆数、傾斜角θをパラメータとしたときの、視野角0度における相対輝度値の概念図を図24Aに示す。図24Aにおける線分「A」で示される領域(傾斜角θのばらつき許容範囲のみを考慮した領域)や、矩形の領域「B」(傾斜角θのばらつき許容範囲及びアスペクト比の逆数のばらつき許容範囲を考慮した領域)にあっては、相対輝度値の等高線は混み合っておらず、対向面の傾斜角θが変化しても相対輝度値の変化は少ないが、矩形の領域「C」にあっては、相対輝度値の等高線が混み合っており、対向面の傾斜角θが変化すると相対輝度値は大きく変化する。
一方、比較例1にあっては、傾斜角θの値に拘わらず、相対輝度値は、アスペクト比の逆数AS-1が大きくなるに従い、単調に減少するので、対向面の傾斜角θの変化に対する相対輝度値の変化が大きい(図19Bでは、上記の想定領域を点線の矩形で示す)。即ち、対向面の傾斜角θのばらつきが相対輝度値に与える影響が大である。そして、対向面の傾斜角θが変化しても相対輝度値の変化が少ない領域は存在しない。
そして、相対輝度値の変動許容範囲(視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値の差。以下においても同様)を所望の値とすると、比較例1では、相対輝度値のばらつきは相対輝度値の変動許容範囲から逸脱してしまう。尚、相対輝度値のばらつきは、例えば、図19Bにおいて点線で示された矩形の想定領域の左下コーナー部の相対輝度値最大値から、矩形の想定領域の右上コーナー部の相対輝度値最小値を減じたものである。一方、実施例1では、相対輝度値のばらつきは、このような相対輝度値の変動許容範囲内に納まる(相対輝度値のばらつき:±0.05程度)。
実施例1及び比較例1において、
傾斜角θのばらつき許容範囲 :±1度以内
アスペクト比の逆数AS-1のばらつき:±0.03以内
を想定したときの、相対輝度値の変化がどの程度になるかを、図20A及び図20Bに示す。比較例1にあっては、相対輝度値の変化は、傾斜角θの値に拘わらず、アスペクト比の逆数AS-1が大きくなるに従い、単調に減少する。一方、実施例1にあっては、傾斜角θが66度乃至72度において、相対輝度値の変化は小さい。
以上の解析結果から、傾斜角θのばらつき許容範囲を、最大(A)=4度に納めることを想定した場合、傾斜角θ(但し、Δn=0.20)における上限値、最適値、下限値は以下の表3のとおりであることが判った。尚、上限値(A)、下限値(A)は、傾斜角θのばらつき許容範囲を最大(A)に納めることを想定した場合の値である。
Δn=0.20と場合と同様にして、Δn=0.25、Δn=0.15、Δn=0.10をパラメータとして、アスペクト比の逆数AS-1、傾斜角θ及び相対輝度値の関係をシミュレーションによって求めた。その結果を、図21A、図21B、図22に示す。そして、同様に、傾斜角θのばらつき許容範囲を上記のとおりに納めることを想定した場合、傾斜角θ(但し、Δn=0.25)、傾斜角θ(但し、Δn=0.15)、傾斜角θ(但し、Δn=0.10)の上限値、最適値、下限値は以下の表3のとおりであることが判った。
[表3]
[傾斜角θ(但し、Δn=0.10)]
上限値(A):75度
最適値 :73度
下限値(A):72度
[傾斜角θ(但し、Δn=0.15)]
上限値(A):74度
最適値 :71度
下限値(A):69度
[傾斜角θ(但し、Δn=0.20)]
上限値(A):73度
最適値 :69度
下限値(A):67度
[傾斜角θ(但し、Δn=0.25)]
上限値(A):72度
最適値 :67度
下限値(A):65度
以上の上限値(A)及び下限値(A)の結果から、以下の式(1)が求まり、上限値(B)及び下限値(B)の結果から、以下の式(2)が求まった。即ち、傾斜角θと、Δn=n1−n2)とは、
75.2−54(n1−n2)≦θ≦81.0−20(n1−n2) (1)
好ましくは、
76.3−46(n1−n2)≦θ≦77.0−20(n1−n2) (2)
を満足する必要があることが判明した。尚、傾斜角θとΔn(=n1−n2)との上記の関係をグラフにしたものを図23Aに示す。Δn(=n1−n2)と傾斜角θとがこれらの関係を満足することで、発光素子10から第1部材51を介して出射される光に基づく視野角0度の相対輝度値のばらつきを最大0.5とすることができるし、発光素子10から第1部材51を介して出射される光に基づく視野角0度の相対輝度値を1.5以上、3.0以下とすることができる。あるいは又、表示装置を構成する発光素子10における傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき[具体的には、例えば、ばらつき許容範囲を最大4度とすることで(最大4度に設定することで)]、更には、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように、傾斜角θの値が決定され、係る傾斜角θを有する発光素子を製造することで、発光素子10から第1部材51を介して出射される光に基づく視野角0度の相対輝度値のばらつきを最大0.5とすることができるし、発光素子10から第1部材51を介して出射される光に基づく視野角0度の相対輝度値を1.5以上、3.0以下とすることができる。ここで、視野角0度の相対輝度値の値を余りに高く設定すると、高視野角(例えば、60度)の輝度値の値が低下し、視野角特性が劣化してしまうので、視野角0度の相対輝度値の変動許容範囲を設定する際の視野角0度の相対輝度値の設定値は、例えば、1.5乃至3.0とすることが好ましい。尚、これらの場合、表示装置を構成する発光素子10におけるアスペクト比の逆数AS-1[即ち、{(4S/π)1/2/H}]のばらつき許容範囲を最大0.2とする(最大0.2に設定する)ことが好ましい。また、アスペクト比の逆数{(4S/π)1/2/H}は、
0.8≦(4S/π)1/2/H≦1.6
を満足することが好ましい。
即ち、実施例1の表示装置の設計方法にあっては、
第1部材51を構成する材料の屈折率をn1、第2部材52を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材52の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子10から第1部材51を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
[a]所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、あるいは又、
[b]{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求める。
また、実施例1の表示装置の製造方法にあっては、
第1部材51を構成する材料の屈折率をn1、第2部材52を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材52の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子10から第1部材51を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
[a]所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、あるいは又、
[b]{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、
求められた傾斜角θを有する光反射層を製造する。
実施例1の表示装置において、Δn(=n1−n2)=0.20をパラメータとして、アスペクト比の逆数、傾斜角θ及び視野角0度における相対輝度値の関係をシミュレーションによって求め、更には、視野角0度の相対輝度値が1.25以上、視野角0度の相対輝度値のばらつきが0.30以内、半値視野角が45度以上となる領域を塗りつぶした図を図23Bに示すが、実施例1にあっては、広い領域を得ることができることが判る。尚、「半値視野角」とは、正面の輝度(視野角0度)を規格化して1とし、視野角を増加したときに輝度が0.5未満となるときの視野角である。
以下、実施例1の有機EL表示装置の製造方法の概要を、図15A、図15B、図15C、図16A、図16B及び図17を参照して説明するが、実施例1の有機EL表示装置は、
第1基板11上に層間絶縁層を形成し、層間絶縁層上に第1電極21を形成した後、
第1電極21及び層間絶縁層上に第2部材形成層を形成し、次いで、第1電極21上の第2部材形成層を選択的に除去することで、開口部25の斜面(対向面)が傾斜した第2部材52を得た後、
開口部25の底部に露出した第1電極21上から開口部25の斜面(対向面)に亙り、発光部24及び第2電極22を形成した後、
第2電極22上に第1部材51を形成する、
各工程に基づき製造することができる。
[工程−100]
先ず、第1基板11上に、副画素毎にTFTを、周知の方法で作製する。TFTは、第1基板11上に形成されたゲート電極12、第1基板11及びゲート電極12上に形成されたゲート絶縁膜13、ゲート絶縁膜13上に形成された半導体層に設けられたソース/ドレイン領域14、並びに、ソース/ドレイン領域14の間であって、ゲート電極12の上方に位置する半導体層の部分が相当するチャネル形成領域15から構成されている。尚、図示した例にあっては、TFTをボトムゲート型としたが、トップゲート型であってもよい。TFTのゲート電極12は、走査回路(図示せず)に接続されている。次に、第1基板11上に、TFTを覆うように、SiO2から成る下層層間絶縁層16AをCVD法にて成膜した後、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、下層層間絶縁層16Aに開口16’を形成する(図15A参照)。
[工程−110]
次いで、下層層間絶縁層16A上に、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき、アルミニウムから成る配線17を形成する。尚、配線17は、開口16’内に設けられたコンタクトプラグ17Aを介して、TFTのソース/ドレイン領域14に電気的に接続されている。配線17は、信号供給回路(図示せず)に接続されている。そして、全面にSiO2から成る上層層間絶縁層16BをCVD法にて成膜する。次いで、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術に基づき、上層層間絶縁層16B上に開口18’を形成する(図15B参照)。
[工程−120]
その後、上層層間絶縁層16B上に、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき、Al−Nd合金から成る第1電極21を形成する(図15C参照)。尚、第1電極21は、開口18’内に設けられたコンタクトプラグ18を介して、配線17に電気的に接続されている。
[工程−130]
次いで、第2部材52を形成する。具体的には、全面に、第2部材形成層52Aを形成し、第2部材形成層52A上にレジスト材料層52Bを形成する。次いで、レジスト材料層52Bを露光、現像することで、レジスト材料層52Bに開口部52Cを形成する(図16A参照)。その後、RIE法に基づき、レジスト材料層52B及び第2部材形成層52Aをエッチングすることで、テーパー形状を第2部材形成層52Aに付与し(図16B参照)、最終的に、開口部25の斜面(側壁であり、対向面52’に該当する)が傾斜した第2部材52を得ることができる(図17参照)。開口部25は、切頭円錐形の形状を有する。尚、エッチング条件の制御によってテーパー形状を第2部材形成層52Aに付与することができる。但し、第2部材52の形成方法は、このような形成方法に限定されず、例えば、全面に、アクリル系樹脂あるいはポリイミド系樹脂から成る第2部材形成層を成膜した後、フォトリソグラフィ技術及びウェットエッチング技術に基づき図17に示す第2部材52を形成してもよい。
[工程−140]
次に、開口部25の底部に露出した第1電極21の部分の上を含む第2部材52上に(即ち、全面に)、有機層23を形成する。尚、有機層23は、例えば、有機材料から成る正孔注入層及び正孔輸送層23B、発光層23A並びに電子輸送層23Cが順次積層されている。有機層23は、抵抗加熱に基づき、有機材料を真空蒸着することで得ることができる。
[工程−150]
その後、表示領域の全面に第2電極22を形成する。第2電極22は、N×M個の有機EL素子を構成する有機層23の全面を覆っている。第2電極22は、第2部材52及び有機層23によって第1電極21とは絶縁されている。第2電極22は、有機層23に対して影響を及ぼすことのない程度に成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法である真空蒸着法に基づき形成されている。また、有機層23を大気に暴露することなく、有機層23の形成と同一の真空蒸着装置内において連続して第2電極22の形成を行うことで、大気中の水分や酸素による有機層23の劣化を防止することができる。具体的には、Mg−Ag(体積比10:1)の共蒸着膜を厚さ10nm成膜することで、第2電極22を得ることができる。
[工程−160]
次いで、全面に(具体的には第2電極22上に)、第1部材51を形成することで、第1部材51及び第2部材52から成る光反射層50を得ることができる。こうして、アノードリフレクタ構造を得ることができる。第2電極22上に、直接、第1部材51を形成することで、第2電極22とリフレクタとの間に接着層等が存在することに起因した発光素子から出射された光の取出しロスが無い。
[工程−170]
その後、光反射層50上に、窒化シリコン(Si1-yy)から成る絶縁性の保護膜31を真空蒸着法に基づき形成する。尚、第1部材51と保護膜31を同時に形成し、第1部材51と保護膜31とが一体となった構造としてもよい。このような構造にあっては、開口部25の影響によって保護膜31の頂面に凹部が形成される場合があるが、上述したとおり|n3−n4|の値を規定することで、この凹部において発光素子10から出射された光が散乱されることを効果的に防止することができる。
[工程−180]
次いで、カラーフィルター33が形成された第2基板34と、保護膜31が形成された第1基板11とを、封止材料層32を用いて接着する。最後に、外部回路との接続を行うことで、有機EL表示装置を完成させることができる。
あるいは又、以下の表示装置の製造方法に基づき光反射層を形成することもできる。以下、光反射層50の作製方法を、以下、図18A、図18B、図18C及び図18Dを参照して説明する。
[工程−100A]
先ず、第1部材51と相補的な形状を有するスタンパを準備する。具体的には、第1部材51と相補的な形状を有するスタンパ(雌型)60を、電鋳、エッチング、その他の切削加工等の公知技術を利用して形成する。
[工程−110A]
一方、支持基板上に樹脂材料を塗布する。具体的には、例えば、光透過性を有するガラス基板から成る支持基板61上に、紫外線硬化型の樹脂材料62を塗布(形成)する(図18A参照)。
[工程−120A]
そして、スタンパ60を用いて樹脂材料62を賦形した後、スタンパ60を取り除き、凸部64を有する樹脂材料層63を得る。具体的には、この樹脂材料62にスタンパ60を押し付けた状態で、支持基板61の側からエネルギー線(具体的には、紫外線)を照射することで樹脂材料62を硬化させ、樹脂材料層63を得た後(図18B参照)、スタンパ60を取り除く。こうして、凸部64を有する樹脂材料層63を得ることができる(図18C参照)。樹脂材料層63の凸部64が、第1部材51に相当する。
[工程−130A]
その後、樹脂材料層63の凸部64の頂部を平坦化し、次いで、樹脂材料層63の凸部64と凸部64との間を接着剤層65で埋め込む(図18D参照)。
[工程−140A]
次いで、支持基板(ガラス基板)61から樹脂材料層63を剥がし、発光素子等が形成された第1基板11に樹脂材料層63を載置し、即ち、接着剤層65が発光素子10からの光の出射を妨げないように接着剤層65を第2電極22の上に配置し、接着剤層65によって接着する。尚、第1基板11は、[工程−100]〜[工程−120]に引き続き、第1電極21及び上層層間絶縁層16B上において、有機層23の形成及び第2電極22の形成を[工程−140]〜[工程−150]と同様にして実行することで得ることができる。こうして、接着剤層65から成る第2部材52、及び、樹脂材料層63から成る第1部材51から構成された光反射層50を得ることができる。即ち、アノードリフレクタ構造を得ることができる。
[工程−150A]
その後、光反射層50上に絶縁性の保護膜31をプラズマCVD法に基づき形成する。そして、カラーフィルター33が形成された第2基板34と、保護膜31が形成された第1基板11とを、封止材料層32を用いて接着する。最後に、外部回路との接続を行うことで、有機EL表示装置を完成させることができる。尚、紫外線硬化型の樹脂材料62の代わりに、熱硬化型の樹脂材料や、熱可塑性樹脂を用いることもできる。
実施例1の表示装置にあっては、第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される。それ故、第1部材と第2部材との間に光反射部材等を設けなくとも、発光素子からの外部への光取出し効率の向上を図ることができる。そして、屈折率n1と屈折率n2の値の差と、第2部材の対向面の傾斜角θとの関係が規定されているので、あるいは又、屈折率n1,n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材の対向面の傾斜角θが決定されるので、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い。
実施例2は、実施例1の変形である。模式的な一部断面図を図4に示すように、実施例2の表示装置において、第2部材52には光吸収層54が設けられている。具体的には、第2部材52は、光吸収層54と第2部材構成層53とが積層された構造を有している。より具体的には、光吸収層54は第2部材52の下部に設けられている。即ち、第1基板側から、第2部材52、第2部材構成層53が積層された構造を有する。ここで、第2部材52を構成する第2部材構成層53はSiO2から成り、光吸収層54はカーボンブラックを含むアクリル系樹脂から成る。光吸収層54を含む第2部材52を構成する材料の平均屈折率n2-ave、第2部材構成層53を構成する材料の屈折率n2、光吸収層を構成する材料の屈折率n2’を、以下の表4に示す。
[表4]
実数部 虚数部
2-ave 1.48 0
2 1.46 0
2’ 1.54 0
実施例2の有機EL表示装置において、第1基板は、各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材(発光領域を占める)、及び、第1部材と第1部材との間を占める第2部材(非発光領域を占める)を備えており、第2部材には光吸収層が設けられているので、第2部材に入射した外光は、光吸収層によって吸収され、有機EL表示装置から外部に出射され難い。それ故、有機EL表示装置のコントラストの向上を図ることができる。
尚、模式的な一部断面図を図5に示すように、実施例2の有機EL表示装置において、光吸収層54を、第2部材52の中間部に設けてもよい。即ち、第1基板側から、第2部材構成層53、光吸収層54、第2部材構成層53が積層された構造を有する。あるいは又、模式的な一部断面図を図6に示すように、光吸収層54を、第2部材52の頂部に設けてもよい。即ち、第1基板側から、第2部材構成層53、第2部材52が積層された構造を有する。あるいは又、模式的な一部断面図を図7に示すように、第2部材52を光吸収層54から構成してもよい。即ち、光吸収層54は、第2部材52の全体を占めている。
以上の点を除き、実施例2の有機EL表示装置は、実施例1の有機EL表示装置の同じ構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
実施例3は、実施例1〜実施例2の変形である。実施例1〜実施例2においては、第1部材51の頂面と第2部材52の頂面を、略同一平面に位置させた。即ち、第2部材52と第2部材52との間を第1部材51で充填した。一方、実施例3にあっては、図8に模式的な一部断面図を示すように、第1部材51と第2部材52との間に、層状の第1部材51Aを形成する。具体的には、第2電極22上に、平均厚さ3μmの層状の第1部材51A(屈折率n1:1.81)を形成する。尚、第1電極21の上方であって、第2部材52及びその上に形成された層状の第1部材51Aによって囲まれた領域を、『領域51B』と呼ぶ。そして、全面に、即ち、領域51B、及び、第2部材52の頂面の上方の領域には、窒化シリコン(Si1-yy)から成る絶縁性の保護膜31が形成されている。更には、保護膜31の上には、封止材料層32、カラーフィルター33が形成されている。尚、領域51B内には封止材料層32の一部が延在している。
以上の点を除き、実施例3の有機EL表示装置は、実施例1〜実施例2の有機EL表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
実施例4も、実施例1〜実施例2の変形である。図9に実施例4の有機EL表示装置の模式的な一部断面図を示すように、領域51B内に、封止材料層32の一部を延在させる代わりに、保護膜31の屈折率n3よりも高い屈折率n5を有する高屈折率領域51Cを設ける。これによって、保護膜31から高屈折率領域51Cに侵入し、保護膜31と高屈折率領域51Cとの界面である斜面51Dに衝突した光の多くは、高屈折率領域51Cに戻される結果、発光素子からの外部への光取出し効率の一層の向上を図ることができる。尚、例えば、
5−n3≧0.3
を満足することが好ましい。以上の点を除き、実施例4の有機EL表示装置は、実施例1〜実施例2の有機EL表示装置と同様の構成、構造を有するので、詳細な説明は省略する。
実施例5も、実施例1〜実施例2の変形である。図10A、図10B、図11A、図11B、図12A、図12B、図13に、実施例5の有機EL表示装置あるいはその変形例の模式的な一部断面図を示すが、これらの図面においては、第1電極21及び第2部材等を図示し、有機層23から構成された発光部24、第2電極22、第1部材51、保護膜31、封止材料層32、カラーフィルター33、第2基板34の図示は省略している。
実施例5の表示装置において、第2部材は、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂、あるいは、顔料を分散させたこれらの樹脂材料といった有機材料から成る下層152A、及び、SiO2、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウムといった無機材料から成り、下層152Aの少なくとも一部を覆う上層152Bから構成されている。そして、第2部材には開口部25が設けられており、開口部25の斜面が対向面52’に該当し、開口部25の底面に発光部(図示せず)が設けられている。より具体的には、開口部25の底面には、第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が設けられている。有機層及び第2電極は、開口部25の斜面(対向面52’)に延在していてもよい。
図10Aに図示するように、上層152Bが下層152Aの全面を覆っていてもよいし、図10Bに図示するように、上層152Bが下層152Aの頂面を覆っていてもよい。そして、図10A及び図10Bに示すように、第2部材には開口部25が設けられており、開口部25の斜面が対向面52’に該当し、開口部25の底面に発光部(図示せず)が設けられている。あるいは又、図11A、図11B、図12A、図12B、図13に図示するように、第2部材には開口部25が設けられており、開口部25の斜面が対向面52’に該当し、第2部材を構成する上層152Bは、開口部25の底面の一部にまで延びている。そして、
[1]上層152Bの延在部で一部が覆われた開口部25の底部に露出した第1電極21上に、発光部(図示せず)が設けられている形態(図11A及び図11B参照)
[2]上層152Bの延在部で一部が覆われた開口部25の底部に露出した第1電極21上に、第1補助電極21Aが形成されており、第1補助電極21A上に発光部(図示せず)が形成されている形態(図12A及び図12B参照)
[3]上層152Bの延在部で一部が覆われた開口部25の底部に露出した第1電極21上から対向面52’に亙り、第1補助電極21Aが形成されており、第1補助電極21Aの一部の上に発光部(図示せず)が形成されている形態(図13A及び図13B参照)
のいずれかの形態とすることができる。第1補助電極21Aは、例えば、Al−Nd合金を含むアルミニウム合金、あるいは又、ITO、IZO、IGZO等、銀、金合金、アルミニウム合金や、これらとITOの積層から構成されている。尚、図11A、図12A、図13Aにおいては、露出した第1電極は開口部25の底面の中央部を占め、図11B、図12B、図13Bにおいては、露出した第1電極は開口部25の底面の中央部からずれた領域を占める。また、図10Bに示した上層152Bが下層152Aの頂面を覆っている構成と、第1補助電極21Aが形成された構成とを組み合わせてもよい。
実施例5にあっては、第1電極21及び層間絶縁層16上に第2部材の下層152Aを構成する下層形成層を形成し、第1電極21上の下層形成層を選択的に除去して、斜面が傾斜した開口部25を有する下層152Aを形成した後、下層152A上に第2部材の上層152Bを構成する上層形成層を形成し、上層形成層を選択的に除去することで、開口部25の斜面(対向面52’)が傾斜した第2部材を得ることができる。
図10A、図11A、図11B、図12A、図12B、図13に示す例において、「第2部材を構成する材料の屈折率n2」の値は、例えば、SiO2から構成する場合、1.46である。一方、図10Bに示す例において、「第2部材を構成する材料の屈折率n2」の値は、例えば、アクリル系樹脂から構成する場合、1.55である。尚、実施例5において、実施例1〜実施例2の表示装置におけるθ,n1,n2の規定を除いた表示装置も、発明を構成し得る。
実施例6も、実施例1〜実施例2の変形であるが、実施例6にあっては、各発光素子10からの光は第1基板11を介して外部に出射される。即ち、実施例6の表示装置は、下面発光型の表示装置である。実施例6の表示装置(アクティブマトリックス型のカラー表示の有機EL表示装置)の模式的な一部断面図を図14に示す。尚、副画素の配列状態は、図3A、図3Bに示したと同様である。そして、第1部材51は切頭円錐形(あるいは切頭回転体)の形状を有する。即ち、切頭円錐形の斜面は直線状であり、また、切頭錐形の軸線(z軸)を含む仮想平面で第2部材52を切断したときの対向面52’の断面形状は台形である。
実施例6においては、第2電極22をアノード電極として用い、第1電極21をカソード電極として用いる。第2電極22は、光反射材料、具体的には、Al−Nd合金から成り、第1電極21は、半光透過材料、具体的には、マグネシウム(Mg)を含む導電材料、より具体的には、厚さ10nmのMg−Ag合金から成る。第2電極22は、特に真空蒸着法のような成膜粒子のエネルギーが小さい成膜方法によって成膜されている。また、第1電極21は、真空蒸着法とエッチング法との組合せに基づき形成されている。第1電極21及び第2電極22の屈折率測定結果、第1電極21の平均光反射率測定結果、第2電極22の平均光透過率測定結果は、実施例1に示したと同様である。但し、実施例1の測定値において、「第1電極21」を『第2電極22』と読み替え、「第2電極22」を『第1電極21』と読み替える。
実施例6において、有機EL素子を構成する第1電極21は、第1部材51及び第2部材52から成る光反射層50上に設けられている。そして、この光反射層50は、第1基板11上に形成された有機EL素子駆動部(図示せず)を覆っている。有機EL素子駆動部は、複数のTFTから構成されており、TFTと第1電極21とは、第2部材52に設けられたコンタクトプラグ、配線(これらも図示せず)を介して電気的に接続されている。場合によっては、有機EL素子駆動部を発光部24の上方に設けてもよい。
実施例6において、発光部24の上には、実施例1と同様に、保護膜31及び封止材料層32が更に備えられている。また、発光部24は、絶縁層26によって囲まれている。
実施例6の表示装置にあっても、第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される。それ故、第1部材と第2部材との間に光反射部材等を設けなくとも、発光素子からの外部への光取出し効率の向上を図ることができる。そして、屈折率n1と屈折率n2の値の差と、第2部材の対向面の傾斜角θとの関係が規定されているので、あるいは又、屈折率n1,n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材の対向面の傾斜角θが決定されるので、表示装置の法線方向の輝度(正面輝度)にばらつきが生じ難い。
以上、好ましい実施例に基づき本開示を説明したが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における有機EL表示装置や有機EL素子の構成、構造、有機EL表示装置や有機EL素子を構成する材料等は例示であり、適宜変更することができる。
尚、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
[A01]《表示装置:第1の態様》
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射され、
第2部材の対向面の傾斜角をθ(単位:度)、第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、
75.2−54(n1−n2)≦θ≦81.0−20(n1−n2
を満足する表示装置。
[A02]76.3−46(n1−n2)≦θ≦77.0−20(n1−n2
を満足する[A01]に記載の表示装置。
[A03]表示装置を構成する発光素子における傾斜角θのばらつき許容範囲は最大4度である[A01]又は[A02]に記載の表示装置。
[A04]表示装置を構成する発光素子において、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値の変動許容範囲は最大0.5である[A01]乃至[A03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A05]発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値は、1.5以上、3.0以下である[A01]乃至[A04]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A06]切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、表示装置を構成する発光素子における{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲は最大0.2である[A01]乃至[A05]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A07]0.1≦n1−n2≦0.4
を満足する[A01]乃至[A06]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A08]切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、
0.8≦(4S/π)1/2/H≦1.6
を満足する[A01]乃至[A07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A09]発光素子から出射し、切頭錐形の軸線と平行に第1部材から出射される光は、第1部材と対向する第2部材の対向面に衝突したとき、対向面で全反射される[A01]乃至[A08]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A10]発光素子と第1部材とは接している[A01]乃至[A09]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A11]各発光素子からの光は第2基板を介して外部に出射される[A01]乃至[A10]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A12]カラーフィルターを備えている[A11]に記載の表示装置。
[A13]第2部材には、光吸収層が設けられている[A01]乃至[A12]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A14]光吸収層は、第2部材の下部に設けられている[A13]に記載の表示装置。
[A15]光吸収層は、第2部材の中間部に設けられている[A13]に記載の表示装置。
[A16]光吸収層は、第2部材の頂部に設けられている[A13]に記載の表示装置。
[A17]光吸収層は、第2部材の全体を占めている[A13]に記載の表示装置。
[A18]第1部材は、Si1-xx、ITO、IZO、TiO2、Nb25、臭素含有ポリマー、硫黄含有ポリマー、チタン含有ポリマー、又は、ジルコニウム含有ポリマーから成る[A01]乃至[A17]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A19]第2部材は、SiO2、MgF、LiF、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系ポリマー、又は、シリコーン系ポリマーから成る[A01]乃至[A18]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A20]第2部材は、有機材料から成る下層、及び、無機材料から成り、下層の少なくとも一部を覆う上層から構成されている[A01]乃至[A17]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A21]上層は下層の全面を覆っている[A20]に記載の表示装置。
[A22]上層は下層の頂面を覆っている[A20]に記載の表示装置。
[A23]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、開口部の底面に発光部が設けられている[A20]乃至[A22]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A24]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、発光部が設けられている[A20]又は[A21]に記載の表示装置。
[A25]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、第1補助電極が形成されており、第1補助電極上に発光部が形成されている[A20]又は[A21]に記載の表示装置。
[A26]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上から対向面に亙り、第1補助電極が形成されており、第1補助電極の一部の上に発光部が形成されている[A20]又は[A21]に記載の表示装置。
[A27]第1部材及び第2部材の上に保護膜及び封止材料層が更に備えられており、
保護膜を構成する材料の屈折率をn3、封止材料層を構成する材料の屈折率をn4としたとき、
|n3−n4|≦0.3
を満足する[A01]乃至[A26]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A28]第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の残部は第2部材に侵入する[A01]乃至[A27]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A29]1つの発光素子によって1つの画素が構成されている[A01]乃至[A28]のいずれか1項に記載の表示装置。
[A30]複数の発光素子が集合して1つの画素が構成されている[A01]乃至[A28]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B01]《表示装置:第2の態様》
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射され、
第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)としたとき、屈折率n1の値、屈折率n2の値、及び、第2部材の対向面の傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、第2部材の対向面の傾斜角θが決定される表示装置。
[B02]表示装置を構成する発光素子における傾斜角θのばらつき許容範囲は最大4度である[B01]に記載の表示装置。
[B03]表示装置を構成する発光素子において、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値の変動許容範囲は最大0.5である[B01]又は[B02]に記載の表示装置。
[B04]発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値は、1.5以上、3.0以下である[B01]乃至[B03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B05]切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、表示装置を構成する発光素子における{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲は最大0.2である[B01]乃至[B04]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B06]0.1≦n1−n2≦0.4
を満足する[B01]乃至[B05]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B07]切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、
0.8≦(4S/π)1/2/H≦1.6
を満足する[B01]乃至[B06]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B08]発光素子から出射し、切頭錐形の軸線と平行に第1部材から出射される光は、第1部材と対向する第2部材の対向面に衝突したとき、対向面で全反射される[B01]乃至[B07]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B09]発光素子と第1部材とは接している[B01]乃至[B08]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B10]各発光素子からの光は第2基板を介して外部に出射される[B01]乃至[B09]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B11]カラーフィルターを備えている[B10]に記載の表示装置。
[B12]第2部材には、光吸収層が設けられている[B01]乃至[B11]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B13]光吸収層は、第2部材の下部に設けられている[B12]に記載の表示装置。
[B14]光吸収層は、第2部材の中間部に設けられている[B12]に記載の表示装置。
[B15]光吸収層は、第2部材の頂部に設けられている[B12]に記載の表示装置。
[B16]光吸収層は、第2部材の全体を占めている[B12]に記載の表示装置。
[B17]第1部材は、Si1-xx、ITO、IZO、TiO2、Nb25、臭素含有ポリマー、硫黄含有ポリマー、チタン含有ポリマー、又は、ジルコニウム含有ポリマーから成る[B01]乃至[B16]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B18]第2部材は、SiO2、MgF、LiF、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系ポリマー、又は、シリコーン系ポリマーから成る[B01]乃至[B17]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B19]第2部材は、有機材料から成る下層、及び、無機材料から成り、下層の少なくとも一部を覆う上層から構成されている[B01]乃至[B16]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B20]上層は下層の全面を覆っている[B19]に記載の表示装置。
[B21]上層は下層の頂面を覆っている[B19]に記載の表示装置。
[B22]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、開口部の底面に発光部が設けられている[B19]乃至[B21]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B23]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、発光部が設けられている[B19]又は[B20]に記載の表示装置。
[B24]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、第1補助電極が形成されており、第1補助電極上に発光部が形成されている[B19]又は[B20]に記載の表示装置。
[B25]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上から対向面に亙り、第1補助電極が形成されており、第1補助電極の一部の上に発光部が形成されている[B19]又は[B20]に記載の表示装置。
[B26]第1部材及び第2部材の上に保護膜及び封止材料層が更に備えられており、
保護膜を構成する材料の屈折率をn3、封止材料層を構成する材料の屈折率をn4としたとき、
|n3−n4|≦0.3
を満足する[B01]乃至[B25]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B27]第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の残部は第2部材に侵入する[B01]乃至[B26]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B28]1つの発光素子によって1つの画素が構成されている[B01]乃至[B27]のいずれか1項に記載の表示装置。
[B29]複数の発光素子が集合して1つの画素が構成されている[B01]乃至[B27]のいずれか1項に記載の表示装置。
[C01](A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射され、
第2部材は、有機材料から成る下層、及び、無機材料から成り、下層の少なくとも一部を覆う上層から構成されている表示装置。
[C02]上層は下層の全面を覆っている[C01]に記載の表示装置。
[C03]上層は下層の頂面を覆っている[C01]に記載の表示装置。
[C04]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、開口部の底面に発光部が設けられている[C01]乃至[C03]のいずれか1項に記載の表示装置。
[C05]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、発光部が設けられている[C01]又は[C02]に記載の表示装置。
[C06]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上に、第1補助電極が形成されており、第1補助電極上に発光部が形成されている[C01]又は[C02]に記載の表示装置。
[C07]第2部材には開口部が設けられており、開口部の斜面が対向面に該当し、第2部材を構成する上層は、開口部の底面の一部にまで延びており、
上層の延在部で一部が覆われた開口部の底部に露出した第1電極上から対向面に亙り、第1補助電極が形成されており、第1補助電極の一部の上に発光部が形成されている[C01]又は[C02]に記載の表示装置。
[D01]《表示装置の製造方法》
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される表示装置の製造方法であって、
第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、
求められた傾斜角θを有する光反射層を製造する表示装置の製造方法。
[D02]所望の{(4S/π)1/2/H}の値の代わりに、{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求める[D01]に記載の表示装置の製造方法。
[D03]《表示装置の設計方法》
(A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
(B)第1基板と対向して配された第2基板、
を具備し、
第1基板は、更に、
各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
から成る光反射層を備えており、
第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される表示装置の設計方法であって、
第1部材を構成する材料の屈折率をn1、第2部材を構成する材料の屈折率をn2(但し、n2<n1)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n1−n2 としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求める表示装置の設計方法。
[D04]所望の{(4S/π)1/2/H}の値の代わりに、{(4S/π)1/2/H}のばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求める[D03]に記載の表示装置の設計方法。
10・・・発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)、11・・・第1基板、12・・・ゲート電極、13・・・ゲート絶縁膜、14・・・ソース/ドレイン領域、15・・・チャネル形成領域、16・・・層間絶縁層、16’,18’・・・開口、16A・・・下層層間絶縁層、16B・・・上層層間絶縁層、17・・・配線、17A,18・・・コンタクトプラグ、21・・・第1電極、22・・・第2電極、23・・・有機層、23A・・・発光層、23B・・・正孔注入層及び正孔輸送層、23C・・・電子輸送層、24・・・発光部、25・・・開口部、26・・・絶縁層、31・・・保護膜、32・・・封止材料層、33・・・カラーフィルター、34・・・第2基板、50・・・光反射層、51・・・第1部材、51B・・・第1電極の上方であって、第2部材及びその上に形成された層状の第1部材によって囲まれた領域、51C・・・高屈折率領域、51D・・・保護膜と高屈折率領域との界面である斜面、52・・・第2部材、52A・・・第2部材形成層、53・・・第2部材構成層、54・・・光吸収層、60,66・・・スタンパ(雌型)、61,67・・・支持基板、62,68・・・樹脂材料、63・・・樹脂材料層、64・・・凸部、65・・・接着剤層

Claims (13)

  1. (A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
    (B)第1基板と対向して配された第2基板、
    を具備し、
    第1基板は、更に、
    各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
    第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
    から成る光反射層を備えており、
    第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
    第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射され、
    第1部材を構成する材料の屈折率をn 、第2部材を構成する材料の屈折率をn (但し、n <n )とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n −n としたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π) 1/2 /H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
    所望の{(4S/π) 1/2 /H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θが決定される表示装置。
  2. 表示装置を構成する発光素子における傾斜角θのばらつき許容範囲は最大4度である請求項1に記載の表示装置。
  3. 表示装置を構成する発光素子において、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値の変動許容範囲は最大0.5である請求項1に記載の表示装置。
  4. 発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値は、1.5以上、3.0以下である請求項1に記載の表示装置。
  5. 切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、表示装置を構成する発光素子における{(4S/π) 1/2 /H}のばらつき許容範囲は最大0.2である請求項1に記載の表示装置。
  6. 前記n 、n は、
    0.1≦n −n ≦0.25
    を満足する請求項1に記載の表示装置。
  7. 切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをHとしたとき、
    0.8≦(4S/π) 1/2 /H≦1.6
    を満足する請求項1に記載の表示装置。
  8. 発光素子から出射し、切頭錐形の軸線と平行に第1部材から出射される光は、第1部材と対向する第2部材の対向面に衝突したとき、対向面で全反射される請求項1に記載の表示装置。
  9. 発光素子と第1部材とは接している請求項1に記載の表示装置。
  10. 各発光素子からの光は第2基板を介して外部に出射される請求項1に記載の表示装置。
  11. 前記第2部材は、光吸収層を含む請求項1に記載の表示装置。
  12. (A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
    (B)第1基板と対向して配された第2基板、
    を具備し、
    第1基板は、更に、
    各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
    第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
    から成る光反射層を備えており、
    第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
    第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される表示装置の製造方法であって、
    第1部材を構成する材料の屈折率をn、第2部材を構成する材料の屈折率をn(但し、n<n)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n−nとしたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
    所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求め、
    求められた傾斜角θを有する光反射層を製造する表示装置の製造方法。
  13. (A)第1電極、発光層を備えた有機層から構成された発光部、及び、第2電極が積層されて成る発光素子が、複数、形成された第1基板、並びに、
    (B)第1基板と対向して配された第2基板、
    を具備し、
    第1基板は、更に、
    各発光素子からの光を伝播して外部に出射する第1部材、及び、
    第1部材と第1部材との間を占める第2部材、
    から成る光反射層を備えており、
    第1部材の形状は、切頭部が発光素子に対向した切頭錐形であり、
    第1部材と対向する第2部材の対向面において、第1部材を伝播した光の一部が全反射される表示装置の設計方法であって、
    第1部材を構成する材料の屈折率をn、第2部材を構成する材料の屈折率をn(但し、n<n)とし、切頭錐形の切頭部の面積をS、切頭錐形の高さをH、Δn=n−nとしたとき、Δnをパラメータとして、第2部材の対向面の傾斜角θと、{(4S/π)1/2/H}と、発光素子から第1部材を介して出射される光の視野角0度における相対輝度値との関係を求め、
    所望の{(4S/π)1/2/H}の値、及び、傾斜角θのばらつき許容範囲に基づき、視野角0度における相対輝度値の最大値及び最小値を求め、視野角0度における相対輝度値の最大値と最小値との差が最小となるように傾斜角θを求める表示装置の設計方法。
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