JP6387903B2 - 超音波信号処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波信号処理装置に関し、超音波を用いて、被検体の内部検査を行う技術の改良に関する。
超音波を用いた被検体の検査手法としては、「被検体内の一点で焦点を結ぶような波面形状の送信ビーム」を用いるものと、「焦点を結ばない波面形状の送信ビーム」を用いるものとがある。
前者の検査手法としては、フォーカスイメージング(Focus Imaging:FI)が知られている。このFIでは、フォーカス点を中心に空間分解能を高くすることができる反面、時間分解能の向上が難しい。何故なら、前者の手法では、複数の走査線からなる音響線フレームデータ(DASデータ)を得る際、個々の音響線上の箇所で焦点を結ぶような送信ビームを形成する必要があり、生成すべきDASデータの走査線数が多くなると、送信ビームの形成数も多くなって、データ1つ当りの処理時間が長期化してしまうからである。
一方、「焦点を結ばない波面形状の送信ビーム」としては、平面波や拡散波、非球面波が知られている。これらのうち、平面波を用いた検査手法としては、平面波イメージング(Plane Wave Imaging:PWI)が知られている。「焦点を結ばない波面形状の送信ビーム」を用いた検査手法では、時間分解能の向上が容易となる。何故なら、一回の送信ビームの送受信で、複数の走査線についてのデータを一度に取得することができるからである。その反面、空間分解能が低下してしまうというデメリットがある。この空間分解能のデメリットを補い、平面波イメージングで得られた画像の空間分解能を高める技術として、PWI合成開口が存在する。
PWI合成開口では、複数のフレーム期間のそれぞれにおいて、送信ビームフォーミングを行うことで、進行方向が互いに異なる複数の送信ビームを送信する。また、各フレーム期間において、受信ビームフォーミングを行うことで、各送信ビームの反射超音波に対応する受信ビームを得る。そして全ての送信ビームに対応する受信ビームを生成した後、これらの受信ビームに対して、合成処理を実行する。
こうして生成される合成受信ビーム波形は、カージナルサイン(Sinc)関数の特性をなす。この、Sinc関数の特性とは、送信角が異なる複数の平面波の方位方向の空間周波数特性(一般に、周波数が互いに異なるSin関数となる)を足し合わせたもので、インパルス応答性をもつ。
合成受信ビームは、複数の平面波の方位方向の空間周波数特性を足し合せた空間周波数特性をもつから、一回の送信当りの角度刻みを小さくすると共に、送信回数を多くすることで、ビーム形状を滑らかにし、ビーム幅を狭めることができる。こうして、合成受信ビームの精度を高めることで、後者の検査手法による空間分解能は、前者のフォーカスイメージングに近いものとなる。
尚、送信ビームの角度に応じた制御としては、特許文献1に記載された先行技術がある。これは、送信角が大きい場合は、ビームの中心周波数を低くするという制御である。進行方向が異なる平面波の送受信制御については、特許文献2に記載された先行技術がある。これは、複数の指向角で平面波を送信すると共に、これらに対応する受信データを、線形的に合成するものである。受信開口に関する制御としては、特許文献3に記載された先行技術がある。この受信開口に関する制御は、診断対象から反射される反射超音波を受信するため、平面波を送信する際の伝播角度に対応するよう、受信副開口を移動するという制御である。
特許4739661号公報 特許4114838号公報 特許3740066号公報
ところで超音波プローブの幅方向の長さは有限であるから、内部空間端部の奥行きが深い部分については、傾きが小さい超音波送信ビームしか到達しない。そのため、従来のPWI合成開口では、被検体内部空間の奥行きが深い領域については、反射超音波の充分な受信利得を得ることができないという問題があった。ここで、端部深遠領域のS/N比を向上させる場合、音響素子の駆動のためのパルスの周波数を低くすればよい。音響素子の駆動周波数を低くすると、遠方にまで超音波送信ビームが到達するからである。しかし、このように音響素子の駆動パルスの周波数を低くすると、端部深遠領域以外の空間分解能が低下する。以上のように、従来のPWI合成開口では、被検体の内部空間のうち、奥行きが深い部分のS/N比と、それ以外の部分の空間分解能とがトレードオフの関係になっており両立が困難であるという技術的課題があった。
本発明の目的は、被検体の内部空間の端部のうち、深度が深い部分のS/N比を維持しつつも、それ以外の部分の分解能の向上を図ることができる超音波信号処理装置を提供することである。
上記課題を解決することができる超音波信号処理装置の発明は、焦点を結ばない波面形状の超音波送信ビームを、音響素子を複数配してなる音響素子アレイに送信させると共に、当該超音波送信ビームの反射で得られた反射超音波の受信を音響素子アレイに実行させることで、被検体の内部空間の計測を行う超音波信号処理装置であって、
複数のフレーム期間のそれぞれにおいて、進行方向が異なる複数の超音波送信ビームを音響素子アレイに送信させる送信処理部と、
前記超音波送信ビームが反射することにより得られた反射超音波に対して受信処理を実行することで、前記複数の超音波送信ビームのそれぞれに対応する音響線フレームデータを得る受信処理部と、
複数の進行方向の全てに対応する音響線フレームデータを1つに合成することで、合成音響線フレームデータを得る合成部とを備え、
前記送信処理部は、
所定の送信パルス条件に従って、パルス波を作成するパルス波作成部と、
複数の音響素子のそれぞれに応じた遅延時間を与えた上、作成したパルス波を用いて各音響素子を駆動することにより、前記超音波送信ビームを形成する超音波送信ビームフォーマとを備え、
前記複数の進行方向は、第1方向、第2方向を含み、第2方向は、音響素子アレイの法線方向と、超音波送信ビームの進行方向とがなす角度の絶対値が、第1方向よりも小さく、
前記パルス波作成部は、超音波送信ビームを第2方向で進行させる際、超音波送信ビームを第1方向で進行させる場合よりも、被検体のより深い部分にまでエネルギーを到達させることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、
超音波送信ビームを第1方向で進行させる際、超音波送信ビームを第2方向に進行させる場合よりも、空間分解能をより高めることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、
前記受信処理部による受信処理は、受信ビームフォーミングを含み、
前記受信ビームフォーミングは、検体内部の複数の観測位置のそれぞれを合焦点として定めて、各音響素子からの入力波形に対して整相加算を施す処理であり、
前記音響線フレームデータは、複数のデータ要素から構成され、各データ要素は、各観測位置を合焦点として、受信ビームフォーミングを実行することで得られた受信ビーム波形の振幅及び/又は位相を示し、
前記合成部は、
それぞれの音響線フレームデータのデータ要素のうち、所定の進行方向の超音波送信ビームの伝播範囲に属するものを積和演算の対象として、位置的に対応するものに重み係数を乗じ、互いに足し合わせることで、合成音響線フレームデータを得、
前記音響線フレームデータのうち、音響素子からの距離が近い奥行きが浅い領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が大きくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用し、
音響素子からの距離が遠い遠部領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が小さくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用するるものである。
上記構成では、超音波送信ビームの送信角の絶対値に応じて、音響素子の駆動のための送信パルス条件を変化させるから、第2方向でのビーム送信時において、エネルギーの到達能力が高い送信パルス条件を用いることで、端部深遠領域におけるS/N比が部分的に向上した音響線フレームデータを取得することができる。また、第1方向でのビーム送信時において、空間分解能を高め得る送信パルス条件を用いることで、端部深遠領域以外の領域における空間分解能が部分的に高められた音響線フレームデータを取得することができる。こうして得られた2以上の音響線フレームデータを1つに合成することで、端部深遠領域についてはS/N比の向上を優先し、それ以外の領域については、空間分解能が高めたような音響線フレームデータを取得することができる。その結果、被検体の内部空間の端部のうち、奥行きが深い部分のS/N比を維持しつつも、それ以外の部分の分解能の向上を図ることができる。
超音波信号処理装置101を含む超音波診断システム100の外観構成を示す図である。 図2(a)は、超音波信号処理装置101の内部構成を示す図である。図2(b)は、超音波送信処理部3の内部構成を示す図である。図2(c)は、超音波受信処理部4の内部構成を示す。 図3(a)は、図2(b)の送信ビームフォーマ16と、超音波プローブ102における音響素子アレイとを抜き出して、信号波形を書き加えた図である。図3(b)は、受信ビームフォーマ22と、音響素子アレイとを抜き出して、反射超音波受信時の信号波形を書き加えた図である。図3(c)は、ビームフォーミングにより生成されたDASデータを示す 複数のフレーム期間における平面波送信の時間的遷移の一例を示すタイミングチャートである。 周波数制御が実行される場合の時間的遷移の一例を示すタイミングチャートである。 図2の内部構成から受信ビームフォーマ22、送信角別DASデータ記憶部23、合成部25を抜き出して、その処理過程を書き加えた図である。 図7(a)は、図4の過程で得られた合成DASデータの、各領域に対するWeight(x,y)の割当てを示す。図7(b)は、極座標系において、eiψがどのような値をとるかを模式的に示す。図7(c)は、平面波の送信角θiが大きい場合、eiψがどのような値をとるかを示す。図7(d)は、平面波の送信角θiが小さい場合、eiψがどのような値をとるかを示す。 超音波診断システム100による処理の全体手順を示すフローチャートである。 送信角に応じた送信パルス条件選択の処理手順を示すフローチャートである。 DASデータ合成の処理手順を示すフローチャートである。 図11(a)は、超音波プローブの周波数特性を示す。図11(b)は、超音波プローブの周波数特性のうち、-6dB以上の利得を有している帯域の割り当てを示す。図11(c)は、第2実施形態における小刻みな角度変化に対して、周波数や振幅をどのように変化させるかを表形式にまとめた図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明に係る超音波信号処理装置の実施形態について説明する。以下の説明に係る実施の形態は、本発明の構成上の特徴および当該特徴的構成から得られる作用効果を分かりやすく説明するための1つの例示としての役割が与えられている。よって、本発明は、その本質的な特徴部分を除き、以下の形態に何ら限定を受けるものではない。
本実施の形態に係る超音波信号処理装置が使用される使用環境について説明する。超音波信号処理装置は、医療現場における診断システムで用いられる。図1 は、超音波信号処理装置を含む超音波診断システム100の外観構成を示す図である。本図に示すように、超音波診断システム100は、超音波信号処理装置101、超音波プローブ102、表示部103から構成される、本図に示すように、超音波プローブ102、表示部103は、超音波信号処理装置101から独立した構成要件になっている。
超音波信号処理装置101は、超音波診断システム100において中核的な役割を果たす機器であり、超音波プローブ102からの出力信号を受け付けて、診断処理を行い、処理結果を表示部103に表示させる。本実施形態において超音波信号処理装置101は、「送信パルス条件制御PWI合成開口」を実行する。「送信パルス条件制御PWI合成開口」とは、従来のPWI合成開口を改良した検査手法であり、平面波送信ビームを複数の進行方向に進行させると共に、音響素子アレイと、平面波送信ビームの進行方向とがなす角度に応じて、音響素子駆動制御のためのパルス波の作成条件を変更させるという制御である。超音波信号処理装置101は、送信パルス条件制御PWI合成開口を実行するから、以降の説明で超音波信号処理装置101が用いる超音波送信ビームは、平面波送信ビームであるものとする。
超音波プローブ102は、音響素子の配列(音響素子アレイ)を含み、当該配列を用いて超音波送信ビームの送信と、反射超音波の受信とを行う。
表示部103は、LCD(Liquid crystal display、液晶ディスプレイ)などであり、被検体の内部空間を示す画像や診断内容を示すグラフィクス、数値を表示する。
以上が超音波診断システム100についての説明である。
(超音波信号処理装置101の内部構成)
続いて、超音波信号処理装置101の内部構成について説明する。図2(a)は、超音波信号処理装置101の内部構成を示す図である。本図に示すように、超音波信号処理装置101は、操作受付部1、制御部2、超音波送信処理部3、超音波受信処理部4、データ変換部5から構成される。
操作受付部1は、超音波診断システム100に対する、ユーザによる操作を受け付ける。
制御部2は、超音波診断システム100の全体制御を行う。
超音波送信処理部3は、複数のフレーム期間をかけて、複数の進行方向に向けて送信ビームを超音波プローブ102における音響素子102a,b,c,d・・・・・g,hに送信させる。
超音波受信処理部4は、複数のフレーム期間のそれぞれにおいて、平面波送信ビームの送信で生じた反射超音波を超音波プローブ102に受信させて、受信ビームフォーミングを行い、DASデータを得る。そして、複数のフレーム期間の経過後、各フレーム期間で得られたDASデータに対して足し合わせを行い、合成DASデータを得る。
データ変換部5は、超音波受信処理部4により得られたDASデータを、画像データや数値統計データに変換して、表示部102に表示させたり、内部ドライブ(図示せず)を通じて記録媒体に記録させる。
図2(b)は、超音波送信処理部3の内部構成を示す図である。本図に示すように、超音波送信処理部3は、フレームカウンタ11、角度カウンタ12、パルス形状作成部13、送信パルス条件テーブル保持部14、遅延プロファイル作成部15、送信ビームフォーマ16から構成される。
フレームカウンタ11は、カレントフレーム番号を格納する。初期値として、フレーム番号=1がカレントフレーム番号として格納される。時間経過に伴い、フレームカウンタ11は、カレントフレーム番号をインクリメントしてゆく。カレントフレーム番号が、フレーム総数(以降、フレーム総数Nとする)になれば、カレントフレーム番号を初期値にリセットする。
角度カウンタ12は、カレント送信角を格納しており、フレームカウンタ11におけるカレントフレーム番号の増加に従い、カレント送信角を、所定の角度ピッチだけ増加させる。カレント送信角が、予め定められた角度範囲の終了値になれば、カレント送信角を初期値にリセットする。ここで"送信角"とは、超音波プローブ102の法線方向と、送信ビームの進行方向とがなす角度である。超音波送信ビームの進行方向が、超音波プローブの法線方向と一致する場合、カレント送信角は0°となる。本明細書では、超音波プローブの法線方向に対して、反時計回りの方向を"正"とし、時計回りの方向を"負"とする。
パルス形状作成部13は、角度カウンタ12に格納されたカレント送信角に応じた送信パルス条件を用いて、超音波プローブ102の個々の音響素子に出力すべきパルス波を形成する。カレント送信角に応じた送信パルス条件の利用とは、送信角の絶対値が小さくなるにつれ、より遠方にエネルギーを伝達できる送信パルス条件を用い、カレント送信角の絶対値が大きくなれば、空間分解能をより高め得る送信パルス条件を用いるというものである。
送信パルス条件テーブル保持部14は、送信パルス条件制御PWI合成開口の詳細を規定する送信パルス条件テーブルを保持する。送信パルス条件テーブルは、パルス波作成のための送信パルス条件を条件付けるテーブルであり、複数の条件情報から構成される。具体的にいうと、パルス波作成において、より遠方にエネルギーを伝達させ得る制御には、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御といったものがあり、個々の条件情報は、これら制御内容のそれぞれに対応付けられている。個々の条件情報は、フラグと、制御パラメータとを含む。フラグは、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御のうち、当該条件情報に対応付けられているものが、有効か否かを示す。制御パラメータは、対応する制御が有効である場合、その変化量の最小値や、変化量を示す。図中のf(θi)、A(θi)、N(θi)、Codec(θi)は、条件情報の制御パラメータと、カレント送信角とで定まる周波数、振幅、パルス波の波数、符号化方式を示す。送信パルス条件テーブルにおいて、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御の何れを有効にするかは、超音波信号処理装置101の出荷の際、事前に設定される。また、表示部103の対話画面を介した操作を通じて、事後的に変更することもできる。
遅延プロファイル作成部15は、送信角θiに応じた遅延プロファイルを作成する。遅延プロファイルとは、各音響素子から出力されるパルス波の位相を、送信角に応じた時間だけ遅延させるものである。
送信ビームフォーマ16は、遅延プロファイル作成部15により作成された遅延プロファイルに従い、パルス形状作成部13により作成されたパルス波を、遅延プロファイルに規定された遅延時間だけ遅延させて、音響素子102a,b,c,d・・・・・g,hに出力し、音響素子102a,b,c,d・・・・・g,hのそれぞれを駆動する。以上が超音波送信処理部3についての説明である。続いて、超音波受信処理部4の詳細について説明する。
図2(c)は、超音波受信処理部4の内部構成を示す。本図に示すように、超音波受信処理部4は、AD変換部21、受信ビームフォーマ22、送信角別DASデータ記憶部23、重み係数作成部24、合成部25(乗算器26a,b,c,d、加算器27)から構成される。
AD変換部21は、送信ビームの反射により生じた反射超音波が音響素子102a,b,c,d・・・・・g,hに到達した際、各音響素子から出力された素子入力信号のアナログ信号波形をデジタル信号波形に変換する。
受信ビームフォーマ22は、各音響素子から出力され、AD変換部21によるAD変換が施された素子入力信号に対して受信ビームフォーミングを行う。受信ビームフォーミングでは、被検体の内部空間の関心領域(Region Of Interested:ROI)に対して複数の観測点を設定して、かかる観測点でピークをなすよう、各音響素子からの音声波形に対して時間遅延を施す。かかる処理を全ての点についての繰り返して、DASデータを得る。
送信角別DASデータ記憶部23は、フレーム期間において作成されたDASデータを、送信角に対応付けて格納する。
重み生成部24は、送信角に応じた送信パルス条件に従い、重み係数を作成する。
合成部25は、各フレーム期間で作成されたDASデータに対して合成処理を実行する。フレーム期間毎に生成されたDASデータの合成は、DASデータのうち、同じ座標に位置するものに重み係数を乗じて足し合わせるという積和演算で実現される。
ここで内部空間のうち、奥行きが浅い領域については、全てのDASデータのデータ要素を積和演算の対象にするのではなく、送信時の送信角が大きいDASデータのデータ要素のみを積和演算の対象にすることが望ましい。送信時の送信角が大きいDASデータは、空間分解能を高める送信パルス条件でビーム送信がなされているから、積和演算の対象を送信角が大きいDASデータのデータ要素に絞ることで、送信パルス条件制御PWI合成開口において空間分解能の向上を図り得るという理由による。
乗算器26a,b,c,dは、合成部25の構成要素であり、複数の送信角に対応するDASデータのデータ要素に対して、その送信角に対応する重み係数を乗じる。
加算器27は、乗算部26a,b,c,dにより重み係数が乗じられたDASデータのデータ要素であって、位置的に対応するものを足し合わせる。こうした足し合わせで得られたデータ要素からなるDASデータを、合成DASデータとして出力する。
以上が超音波信号処理装置101の内部構成についての説明である。
続いて、送信ビームフォーマ16、受信ビームフォーマ22による処理過程について説明する。図3(a)は、図2(b)の送信ビームフォーマ16と、超音波プローブ102における音響素子アレイとを抜き出して、信号波形を書き加えた図である。図中のps1,ps2,ps3,ps4は、送信ビームフォーマ16から個々の音響素子に出力されるパルス波形である。図中のCi1,Ci2,Ci3,Ci4は、音響素子が、パルス波形で駆動されることで発生する球面波である。音響素子のそれぞれから、球面波が発せられることで、球面波の包絡線にあたる箇所に、平面波送信ビームpw1が形成される。以上のように、各音響素子にパルス波を出力することで、球面波を送信させ、平面波形状の送信ビームを形成する点は、従来のPWI合成開口との共通点である。このように、平面波を音響素子アレイに連続的に出力して音響素子の駆動を繰り返すことで、被検体の内部空間には、図中の(1)、(2)、(3)に示すように、平面波ビームが進行する。
図3(b)は、受信ビームフォーマ22と、音響素子アレイ102a,b,c,d・・・・g,hとを抜き出して、反射超音波受信時の信号波形を書き加えた図である。図中の(4)、(5)、(6)に示すように、反射超音波が音響素子アレイ102a,b,c,d・・・・g,hに到達してきた際、音響素子のそれぞれからは、素子入力信号が入力される。図中のrs1,rs2,rs3は、反射超音波が音響素子アレイに入力することで、各音響素子から出力される素子入力信号のアナログ信号波形を示す。AD変換部21が、これらにAD変換を施すことで得られたデジタル信号波形に対して、受信ビームフォーマ22が受信ビームフォーミングを行う。
図3(c)は、ビームフォーミングにより生成された音響線フレームデータを示す。かかる過程で生成された音響線フレームデータはDASデータであり、複数の走査線データで構成される。個々の走査線データは、音響線フレームデータのデータ要素であり、関心領域内の一個の観測点を合焦点とすることで形成された受信ビームの振幅、位相を示す。かかるDASデータには、内部空間に存在した硬性組織sd1,sd2,sd3の像が表れている。
図4は、複数のフレーム期間における平面波送信の時間的遷移の一例を示すタイミングチャートである。図4では、送信角の変化範囲を-20°〜+20°とし、角度ピッチを10°とする。そして4つのフレーム期間(フレーム1,2,3,4)において、送信角は、-20°,-10°,+10°,+20°と変化するものとする。尚、本部では、カレント送信角が0°である場合のビーム送信は図示していないが、これは説明の便宜のための省略に過ぎない。カレント送信角が0°である場合に、ビームを送信してよいことはいうまでもない。図4では、横方向を時間軸方向としていて、ここに連続する5つのフレーム期間を描いている。これらのうち、フレーム期間(1)〜(4)は、送信ビームの照射を行っている期間、フレーム期間(5)が、DASデータ合成を行っている期間である。第1段目は、超音波プローブによる送信ビームの伝播を示す。
第2段目のうち、フレーム期間(1)〜(4)の部分には、第1段目の送信ビーム送信による反射超音波に対して受信処理を実行することで得られる音響線フレームデータ(DASデータ)が存在する。DASデータにおけるハッチングは、被検体の内部空間において、送信ビームが伝播した範囲を示す。第1段目において送信ビームは、各フレーム期間で異なる送信角をもって送信されている。送信角が大きいと、奥行きが深いところの端部に平面波が到達しない。そのため、フレーム期間(1)〜(4)のそれぞれで得られるDASデータの端部深遠領域は、データ要素が存在しない空白領域(blank1,2,3,4)となる。
第2段目のうち、フレーム期間(5)の部分には、DASデータの合成処理で得られた合成DASデータが存在する。ハッチングパターンの重り合いは、データ要素の強調を示す。上述したような端部深遠領域は、データ要素が存在しない空白領域になっているから、かかる空白領域を合成したとしても、充分な利得が得られない。よって合成DASデータについては、端部深遠領域のS/N比が低下する。
図4の第1段目におけるフレーム期間の記載は、図3との共通点になっている。具体的にいうと、各フレーム期間において、送信ビームフォーマ16から出力されたパルス波に従い、球面波が音響素子から送信されていること、かかる球面波から平面波送信ビームが形成されていることは、図3(a)との共通点である。
図3との差異は、各フレーム期間において、各音響素子に出力されるパルス波に、音響素子毎の遅延時間が設定されている点である。パルス波が遅く到達した音響素子については形成される球面波が小さく(Ci1,Ci2)、遅延時間が長いパルス波については、球面波が大きくなる(Ci5)。
フレーム期間(1)、(2)、(3)においては、遅延時間がフレーム期間毎に変わっており、個々の音響素子により作成される球面波の大きさに違いがあるので、球面波により形成される平面波ビームの方向は、-20°,-10°,10,°20°というように変化する。
以上が図4のタイミングチャートについての説明である。
パルス形状作成部13によりなされる制御のうち、被検体の遠方にエネルギーを伝達させ得る制御は、重要な概念であるから、以下に詳しく説明する。上述したように、被検体の遠方にエネルギーを伝達させ得る制御には、例えば"周波数制御"、"振幅制御"、"波数制御"、"符号化方式制御"がある。始めに周波数制御について説明する。
(周波数制御)
周波数制御とは、カレント送信角の絶対値が小さくなるにつれ、音響素子アレイの駆動のためのパルス波の周波数をより低くするという可変制御である。周波数制御において、エネルギーをより遠方に伝達させるという送信パルス条件は、超音波プローブの周波数帯域において、中心周波数よりも低い周波数を用いることで実現される。カレントの送信角θiに応じた周波数を周波数F(θi)、周波数帯域の最小周波数をFmin、周波数の変化幅をΔf、角度ピッチをΔθとした場合、カレント送信角に応じた周波数F(θi)を、以下の数1の数式により算出する。
この数式は、周波数帯域の最小周波数Fminに、周波数の変化幅Δfの倍数を足し合わせたものであり、かかる倍数は、カレント送信角と、角度ピッチとの差分に応じた値になっている。かかる数式によると、カレント送信角θiが最小になった場合、F(θi)は最小値となり、カレント送信角が最大になった場合、周波数F(θi)は最大値となる。以降の説明において、超音波プローブの周波数帯域は、6MHz〜10MHzであるとし、当該周波数帯域の中心周波数は、8MHzであるとする。周波数制御では、この周波数帯域において、パルス波の周波数を変化させる。
図5は、周波数制御が実行される場合の時間的遷移の一例を示す。本図は、図4をベースとして作図されており、このベースとなる図4と比較して、以下の点が異なる。つまり、音響素子102a,b,c,d・・・・・g,hの駆動のためのパルス波の形状が異なる。図中のup1,2,3は、各フレームで送信されるパルス波の形状をクローズアップして示している。これらに示すように、図4では、各フレーム期間で、音響素子に送信されるパルス波に周波数の違いが存在しないのに対し、図5では、パルス波の周波数が、平面波の送信角に応じて変化している点が異なる。この変化とは、送信角を-20°とする場合、音響素子に出力されるパルス波の周波数が10MHzに設定され、送信角が-10°である場合、音響素子に出力されるパルス波の周波数が6MHz、送信角が+10°であれば6MHz、送信角が+20°であれば10MHzに設定されるといものである。これにより送信角の絶対値が小さくなるにつれ、パルス波の周波数が低く設定され、送信角の絶対値が大きくなるにつれ、パルス波の周波数が高く設定されるという規則性が、周波数制御によりもたらされていることがわかる。
以上が周波数制御についての説明である。続いて、振幅制御について説明する。
(振幅制御)
振幅制御とは、カレント送信角の絶対値が小さくなるにつれ、音響素子アレイの駆動のためのパルス波の振幅をより大きくするという可変制御である。
周波数制御と比較した際、周波数制御、振幅制御の差異は以下の通りである。
第1に変化量が異なる。これは、周波数制御では、カレント送信角に応じた可変制御の対象がパルス波の周波数であったのに対し、振幅制御では、カレント送信角に応じた可変制御の対象がパルス波の振幅であるという違いである。
第2に変化傾向が異なる。これは、周波数制御では送信角の絶対値が小さくなると、変化量(周波数)が低くなり、送信角が大きくなると、変化量(周波数)が高くなるのに対し、振幅制御では送信角の絶対値が小さくなると、変化量(振幅)が大きくなり、送信角が大きくなると、変化量(振幅)が小さくなるというものである。
以上より、振幅制御において、エネルギーをより遠方に伝達させるという送信パルス条件は、パルス波の振幅を最大にすることで実現されることがわかる。振幅を大きくした方が、より深い領域に、エネルギーを伝達させることができるからである。以下の数2の数式は、振幅制御に従い振幅を定める場合の振幅の算出式を示す。数2においてAmaxは、パルス波の振幅の最大値、ΔAは変化幅を示す。この数2では、振幅の最大値Amaxから、変化幅の倍数が減じられており、この倍数は、カレント送信角と、角度ピッチとにより変化するから、カレント送信角が最小になった場合、A(θi)は、振幅の最大値となり、カレント送信角の絶対値が大きくなるにつれ、A(θi)が減少してゆくことになる。
上記の数2の式からは、送信角の絶対値が小さい程、音響素子に出力すべき振幅を大きくし、また、端部深遠領域に対する重み付けを、この振幅の大きさに応じて強くするという可変制御の意図を読み取ることができる。
パルス波の振幅が1〜0.5の範囲で変化する場合を例に説明する。例えば図5においてフレーム期間(2)及びフレーム期間(3)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して小さい場合における振幅を1.0とする。このとき、フレーム期間(1)及びフレーム期間(4)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して大きい場合における振幅を、カレント送信角の絶対値が小さい場合における振幅の0.5倍に設定する。つまり、周波数制御では図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波の周波数を、10MHz,6MHz,6MHz,10MHzと設定していたのに対し、振幅制御では、図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波の振幅を、0.5,1.0,1.0,0.5に設定する。各フレーム期間におけるパルス波の振幅をこのように設定することで、振幅制御を実行する場合でも、奥行きが深い領域におけるS/N比の向上と、奥行きが浅い領域における空間分解能の向上とを両立させることができる。
以上が振幅制御についての説明である。続いて、波数制御の詳細について説明する。
(波数制御)
波数制御とは、カレント送信角の絶対値が小さくなるにつれ、音響素子アレイの駆動のためのパルス波の波数をより多くするという可変制御である。波数制御を振幅制御と比較した場合、変化量が異なる。具体的にいうと、振幅制御では振幅を、可変制御の変化量にしていたのに対し、波数制御では、パルス波の波数を変化量としている点が、振幅制御との差となる。一方、変化傾向は振幅制御と同じであり、波数制御においても、角度が増えるにつれ、パルス波の波数を減少させるという変化傾向で、可変制御を実現する。
以下の数3の数式は、波数制御に従いパルス波の波数N(θi)を定める場合の波数の算出式を示す。数3においてNmaxは、パルス波波数の最大値、ΔNは変化幅を示す。
最大値から変化幅の倍数を減じた値を、カレント送信角に応じた変化量としていること、その倍数が、カレント送信角と、角度ピッチとから定まることは振幅制御と同じである。そのため波数制御では、カレント送信角が最小になった場合、N(θi)は波数の最大値となり、カレント送信角の絶対値が大きくなるにつれ、N(θi)が減少してゆくことになる。
この数3の内容から、送信角の絶対値が小さい程、パルス波の波数を多くするという、波数の可変制御の意図を読み取ることができる。
パルス波の波数が1個、2個の範囲で変化する場合を例に説明する。例えば図5においてフレーム期間(2)及びフレーム期間(3)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して小さい場合における波数を2個とする。このとき、フレーム期間(1)及びフレーム期間(4)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して大きい場合における波数を、1個とする。つまり、周波数制御では図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波の周波数を、10MHz,6MHz,6MHz,10MHzに設定していたのに対し、波数制御では、図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波の波数を、1個、2個、2個、1個に設定する。各フレーム期間におけるパルス波の波数をこのように設定することで、波数制御を実行する場合でも、奥行きが深い領域におけるS/N比の向上と、奥行きが浅い領域における空間分解能の向上とを両立させることができる。
以上が波数制御についての説明である。続いて、符号化方式制御の詳細について説明する。
(符号化方式制御)
符号化方式制御とは、パルス波に符号化パルス波列を使用することで、より深い部分に対するエネルギー伝達を可能とする可変制御である。符号化方式制御を、周波数制御〜波数制御と比較した場合、周波数制御〜波数制御では、カレント送信角の大小に応じて、変化量である周波数、振幅、波数を増減させていたのに対し、符号化方式制御では、カレント送信角が、閾値以上であるか、下回っているかに応じて、所定の符号化方式による符号化を実行するかどうかの切り替えを実現している点が差異となる。かかる所定の符号化方式には、位相変調型の符号化方式、周波数変調方式の符号化方式がある。
パルス波の符号化状態が“符号化あり”、“符号化なし”で変化する場合を例に説明する。例えば図5においてフレーム期間(2)及びフレーム期間(3)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して小さい場合における符号化状態を“符号化あり”とする。このとき、フレーム期間(1)及びフレーム期間(4)に対応する期間、すなわちカレント送信角の絶対値が他の期間において送信するカレント送信角の絶対値と比較して大きい場合における符号化状態を、“符号化なし”とする。
つまり、周波数制御では、図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波の周波数を、10MHz,6MHz,6MHz,10MHzに設定していたのに対し、符号化方式制御では、図5のフレーム期間(1)〜(4)において音響素子に出力されるパルス波を、"非符号化パルス波"、"符号化パルス波"、"符号化パルス波"、"非符号化パルス波"に設定する。各フレーム期間におけるパルス波の状態をこのように設定することで、符号化方式制御を実行する場合でも、奥行きが深い領域におけるS/N比の向上と、奥行きが浅い領域における空間分解能の向上とを両立させることができる。
音響素子の駆動のためのパルス波を、これらの符号化方式で符号化することで、遠方におけるS/N比を高めることができる。以上が符号化方式制御についての説明である。これで、より深い部分にエネルギーを到達させるための送信パルス条件について、説明を終える。
(DASデータに対する処理の詳細)
図6は、図2の内部構成から受信ビームフォーマ22、送信角別DASデータ記憶部23、合成部25を抜き出して、その処理過程を書き加えた図である。図6に描かれた受信ビームフォーマ22の処理過程について説明する。図6では、受信ビームフォーマ22に、3回のビームフォーミングの過程(bf1,bf2,bf3)が書き加えられている。bf1は、フレーム期間(1)におけるビームフォーミングの過程、bf2は、フレーム期間(2)におけるビームフォーミングの過程、bf3は、フレーム期間(3)におけるビームフォーミングの過程を示す。これらbf1,bf2,bf3のうち、フレーム期間(1)におけるビームフォーミング過程bf1について説明する。bf1において、ec10は、送信ビームの送信で発生した反射超音波である。WV1,2,3,4は、反射超音波が、音響素子102a.b,c,dに到達することで発生する素子入力信号の波形であり、pf1は、焦点fc1で入力信号波形を整相するためのプロファイル曲線を示す。Sg1は、整相後の入力信号波形を加算することで得られた音響線信号波形を示す。
プロファイル曲線pf1では、複数の音響素子のうち、中央付近の音響素子について、位相が進んでいて、その周辺にむかうにつれ、位相が遅れている。かかる受信プロファイル曲線に従い、各音響素子からの入力波形を遅延させることで、各音響素子からの入力波形は、同じ位相をもつようになり、位相の整相が施されることになる。この受信プロファイルを用いた整相加算により、DASデータの座標系のうち、任意の一点におけるデータ要素の値が算出される。このbf1と同様のビームフォーミングbf2,bf3が、各フレーム期間でなされることで、各フレーム期間において、音響線波形が得られることになる。
次に、送信角別DASデータ記憶部23の格納内容について説明する。図6については、送信角別DASデータ記憶部23に格納されるDASデータda1,da2,da3を書き加えている。これらのDASデータda1,da2,da3は、受信ビームフォーマ22によるビームフォーミングで得られた受信ビーム波形の位相、振幅を示す。以上が送信角別DASデータ記憶部23の格納内容についての説明である。続いて、合成部25による処理過程について説明する。
本図の合成部25には、乗算器26a,b,cによる重み付けの過程、加算器27による加算の過程を示す。この乗算器26a,b,cによる重付けの過程では、DASデータにおける共通の座標(図6では(2,2)としている)に、フレーム期間(1)の送信角に応じた重み係数(図6ではWeight(x,y)を乗じるというものである。
また加算器27による加算の過程とは、乗算器26a,b,cによる重付け結果を足し合わせ、合成DASデータにおける上記共通座標(図中の(2,2))の位相、振幅とするものである。
かかる処理過程において、従来のPWI合成開口との差異は、乗算部26による重み係数が、フレーム毎に定められた送信パルス条件に応じて定まるというものである。
(重み係数の定め方)
重み係数の定め方について説明する。PWI合成開口と比較した場合、差異点は、従来のPWI合成開口において、DASデータの重み付けに用いる重み係数は固定値になっているのに対し、本実施形態において、DASデータの合成時に用いる重み係数は、重み付けの対象となるデータ要素の位置や平面波の送信角に応じて変化するというものである。
ここで、図6のWeight(x,y)の設定の仕方について説明する。具体的にいうと、音響線フレームデータのうち、音響素子からの距離が近い奥行きが浅い領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が大きくなるにつれ、値が増加するように、Weight(x,y)の値を定める。音響素子からの距離が近い遠部領域に属するデータ要素については、送信角が小さくなるにつれ、値が増加するように、Weight(x,y)の値を定める。そこで本実施形態では、Weight(x,y)の設定に例えば以下の式1の指数関数を使用する。
(式1)
iψ=α(cosψ+isinψ)
このψは、素子配列方向に対して平面波の進行方向がなす仰角である。
この式1の指数関数eiψの実数成分をRe(eiψ)とし、虚数成分をIm(eiψ)とする。そしてこの実数部分Re(eiψ)を、奥行きが浅い領域に対する重み係数として使用する。また、虚数成分im(eiψ)を、奥行きが深い領域に対する重み係数とし使用する。
このWeight(x,y)の割当てを図7(a)を用いて説明する。図7(a)は、図4の過程で得られた合成DASデータの、各領域に対するWeight(x,y)の割当てを示す。本図に示すように、合成DASデータの奥行きが深い領域(下半分)における個々のデータ要素には、指数関数eiψの虚数部分Im(eiψ)が、重み係数Weight(x,y)として使用される。一方、DASデータの奥行きが浅い領域(上半分)における個々のデータ要素には、指数関数eiψの実数部分Re(eiψ)が、重み係数Weight(x,y)として使用される。
図7(b)は、極座標系において、eiψがどのような値をとるかを模式的に示す。始めに、フレーム期間に応じた平面波の送信角θiが大きく設定された場合の重み係数の設定について考える。図7(c)は、平面波の送信角θiが大きい場合、eiψがどのような値をとるかを示す。送信角θiが大きくなると、仰角ψは小さくなる。図中のψ1は、平面波の送信角が大きく設定された仰角の一例を示す。以下の式2は、仰角がψ1である場合の指数関数の算出式を示す。
(式2)
iψ1=α(cosψ1+isinψ1)
仰角ψが小さい場合、cosψの値は大きく、sinψの値は小さくなるので、奥行きが浅い領域に対する重み係数である指数関数の実数部分Re(eiψ)により、奥行きが浅い領域が強く重み付けされることになる。
以下の式3は、仰角がψ1+ψ2である場合の指数関数の算出式を示す。
(式3)
i(ψ1+ψ2)=α(cos(ψ1+ψ2)+isin(ψ1+ψ2))
仰角ψが大きい場合、cosψの値は小さく、sinψの値は大きくなるので、奥行きが深い領域に対する重み係数である指数関数の虚数部分Im(eiψ)により、遠部領域が強く重み付けされることになる。尚、上記例では、重み係数の生成に指数関数を使用したが、奥行きが浅い領域に属するデータ要素に適用されるべき重み係数の特性(送信角が大きくなるにつれ、値が増加するというもの)、及び、音響素子からの距離が近い遠部領域に属するデータ要素に適用されるべき重み係数の特性(送信角が小さくなるにつれ、値が増加するというもの)を実現できるものであれば、他の関数を用いてもかまわない。またそのような関数は、線形関数、非線形関数のどちらでもよい。
以上が、DASデータ合成についての説明である。続いて、図8〜図10のフローチャートを参照しながら、処理手順について説明する。図8は、超音波信号処理装置101の全体手順を示すフローチャートである。
図8において、ステップS1〜S11は、フレームカウンタiを制御変数としたループを構成する。当該ループの処理のうち、従来のPWI合成開口の考え方を引き継いでいる箇所は、以下の通りである。具体的にいうと、フレームカウンタiを1で初期化し(ステップS1)、送信角θiを0で初期化して(ステップS2)、進行方向をθiだけ傾かせるよう、各音響素子の遅延時間を算出し(ステップS5)、超音波プローブ102の音響素子毎に算出された遅延時間だけ球面波を遅延させた上、送信する(ステップS6)。超音波プローブ102の各音響素子が反射超音波を受信したかの受信待ちを行う(ステップS7でwait)。音響素子が反射超音波を受信すれば(ステップS7でYes)、複数の観測点を合焦点としたビームフォーミングを実行し、DASデータ(θi)を得て(ステップS8)、その後、フレームカウンタiがフレーム総数Nに到達したかどうかを判定し(ステップS9)、フレーム総数以下である場合(ステップS9でYes)、フレームカウンタiをインクリメントして(ステップS10)、送信角θiを増加させる(ステップS11)。その後、ステップS3に戻る。
かかる処理を繰り返し、フレームカウンタiがフレーム総数Nになれば(ステップS9がNo)、送信角毎に算出されたDASデータに対して、DASデータ合成を実行する(ステップS14)。その後、終了操作がなされたかどうかの判定を行って(ステップS15)、ステップS1に戻る。このように、超音波送信ビームの送信及びDASデータの生成、DASデータの合成といった一連の処理を実行する点は、従来のPWI合成開口の考えを踏襲している。
従来のPWI合成開口との差異は、ステップS3、ステップS4の存在である。つまり、ステップS3において送信角θiに応じた送信パルス条件(F(θi)、A(θi)、N(θi)、Codec(θi))を選択し、ステップS4において、周波数F(θi)、振幅A(θi)のパルス波を、Codec(θi)に示される符号化方式で、波数N(θi)だけ作成を得る、そうして得られた球面波を用いて、平面波送信ビームを形成する。このように、カレント送信角に応じて送信パルス条件を選んで、当該送信パルス条件により生成したパルス波を用いて音響素子を駆動する点が、従来のPWI合成開口との差異点となる。
図8のステップS3はサブルーチン化されており、より詳細な処理手順に展開できる。図9は、送信角に応じた送信パルス条件選択の処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートの特徴は、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御の何れが有効になっているかを、制御内容毎に判断する一連の判定ステップが存在すること(ステップS21〜ステップS24)、周波数制御〜符号化方式制御が有効であると判定された際、音響素子駆動のためのパルス波の周波数、振幅、波数が、送信角θiに応じて、上述した数1〜数3の数式に従い算出されること(ステップS25、ステップS27、ステップS29)である。
。以下、個々の判定ステップの内容について説明する。
ステップS21は、送信パルス条件テーブルの条件情報のフラグにおいて、周波数制御が有効と設定されているかどうかの判定である。周波数制御が有効でない場合(ステップS21でNo)、カレント送信角に応じた周波数F(θi)を、デフォルト値(カレント送信角に依存しない値のことである)に設定する(ステップS26)。周波数制御が有効であれば(ステップS21でYes)、カレント角度に応じた周波数F(θi)を、上記の数1の数式に従った値に設定する(ステップS25)。ステップS25、S26の何れかで、F(θi)を設定した後、ステップS22に移行する。
ステップS22は、ステップS21と同様の処理内容になっている。差異は以下の通りである。第1に判定対象が異なる。これは、ステップS21は、送信パルス条件テーブルにおける周波数制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているのに対し、ステップS22は、送信パルス条件テーブルにおける振幅制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているというものである。第2に、変化量が異なる。これは、ステップS21がYesである場合、カレント送信角に応じた周波数を数1に従い算出しているのに対し(ステップ25)、ステップS22がYesである場合、カレント送信角に応じた振幅を数2に従い算出している(ステップS27)という違いである。一方、振幅制御が有効でない場合、カレント送信角に応じた振幅を、デフォルト値に設定している点(ステップS28)は、ステップS26と同様である。以上により、ステップS27、S28の何れかを実行した後、ステップS23に移行する。
このステップS23は、ステップS21と同様の処理内容になっている。差異は以下の通りである。第1に判定対象が異なる。これは、ステップS21は周波数制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているのに対し、ステップS22は、送信パルス条件テーブルにおける波数制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているというものである。第2に、変化量が異なる。これは、ステップS21がYesである場合、カレント送信角に応じた周波数を数1に従い算出しているのに対し(ステップS25)、ステップS23がYesである場合、カレント送信角に応じた振幅を数3に従い算出している(ステップS29)という違いである。一方、波数制御が有効でない場合、カレント送信角に応じた振幅を、デフォルト値に設定している点(ステップS30)は、ステップS28と同様である。以上により、ステップS29、S30の何れかを実行した後、ステップS23に移行する。
ステップS24は、ステップS21と同様の処理内容になっている。差異は以下の通りである。第1に判定対象が異なる。これは、ステップS21は、送信パルス条件テーブルにおける周波数制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているのに対し、ステップS24は、送信パルス条件テーブルにおける符号化方式制御の設定が有効かどうかを判定対象にしているというものである。第2に、判定結果に応じた処理が異なる。これは、ステップS21がYesである場合、カレント送信角に応じた周波数を数1に従い算出しているのに対し(ステップS25)、ステップS24がYesである場合、カレント送信角が閾値以下であるかの判定を行い(ステップS31)、閾値以下であれば、周波数変調型、又は、位相変調型の符号化方式を、カレント送信角θiに応じた符号化方式として定め(ステップS32)、閾値を上回れば、カレント送信角θiについては、符号化を行わない(平文の形態とする)と定めるものである(ステップS33)。
以上で、送信パルス条件選択の詳細手順についての説明を終える。ステップS14のDASデータ合成処理の手順もサブルーチン化されており、より詳細な処理手順に展開できる。図10は、DASデータ合成処理の処理手順を示すフローチャートである。
本フローチャートにおいて、iはフレームカウンタ、SumDAS(x,y)は、座標(x,y)におけるデータ要素の積算値を格納するための変数である。
従来のPWI合成開口との共通点は、フレーム期間のそれぞれを対象としたループ構造が存在すること(1)、かかるループ構造において、(x,y)座標毎の積算値を算出すること(2)である。このフレーム期間の対象としたループは、フレームカウンタi及びSumDAS(x,y)を初期化して(ステップS41)、DASデータ(θi)の中から、送信ビームの到達範囲を抽出し(ステップS42)、ステップS43−ステップS43'の内周ループを実行した後、フレームカウンタiがフレーム総数以下であるかどうかを判定して(ステップS52)、フレーム総数以下である場合(ステップS52でYes)、フレームカウンタiをインクリメントして(ステップS53)、ステップS42に戻るという処理を、ステップS52でNoと判定されるまで繰り返す。次に、図10の内周ループについて説明する。この内周ループは、ステップS42で抽出された到達範囲の全てのデータ要素について、ステップS44〜ステップS47の処理を繰り返すものである。
この内周ループにおける従来のPWI合成開口との違いについて説明する。従来のPWI合成開口との大きな違いは、DAS(θi)(x,y)が浅い領域に属するかどうかの判定(ステップS44)を実行している点である。
先ず、DAS(θi)(x,y)が浅い領域に属する場合について説明する。DAS(θi)(x,y)が浅い領域に属する場合、ステップS44がYesとなり、ステップS45において、指数関数eiψの実数部分Re(eiψ)を、(x,y)についての重み係数(Weight(x,y))として設定する。
DAS(θi)(x,y)が深い領域に属する場合、ステップS44がNoとなり、ステップS45において、指数関数eiψの虚数部分Im(eiψ)を、(x,y)についての重み係数(Weight(x,y))として設定する。ステップS45、ステップS46の何れかで重み係数を設定した後、DASデータ(θi)において、座標(x,y)に位置するデータ要素に、重み係数Weight(x,y)を乗じ、SumDAS(x,y)に加算する(ステップS47)。
以上の処理において、DAS(θi)(x,y)のデータ要素が浅い領域に存在する場合、当該領域に属するデータ要素は、指数関数eiψの実数部分が重み係数として乗じられ、積和演算に供されることになる(ステップS45、ステップS47)。
DAS(θi)(x,y)のデータ要素が深い領域に存在する場合、当該領域に属するデータ要素は、指数関数eiψの虚数部分が重み係数として乗じられ、積和演算に供されることになる(ステップS46、ステップS47)。
DASデータのうち奥行きが浅い部分については、送信角θiが大きい程、値が大きくなる重み係数を重付けに用いていること(1)、DASデータのうち奥行きが深い部分については、送信角θiが小さい程、値が大きくなる重み係数を重付けに用いていること(2)が、従来のPWI合成開口との大きな違いになる。
尚、DAS(θi)(x,y)が、内部空間において奥行きが深い領域に存在する場合、送信パルス条件(θi)の周波数、振幅、波数、符号化方式に応じた重み係数として、Weight(P(θi))を決定し、DASデータ(θi)(x,y)に、Weight(P(θi))を乗じたものを、SumDAS(x,y)に加算してもよい。以上で、制御手順についての説明を終える。
以上のように本実施形態によれば、送信ビームの送信角を所定の角度刻みで変化させる際、送信ビームの進行方向を定める角度の絶対値が大きいうちは、空間分解能を高めることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、送信ビームの送信角の絶対値が小さくなるにつれ、深遠領域にエネルギーを到達させることができる送信パルス条件をパルス波作成に用いる。これにより、端部深遠領域のS/N比向上と、深遠領域以外の領域の空間分解能向上とを両立させることができる。
(変形例)
図4〜図9では、-20°〜+20°の範囲で、送信角を10°ずつ変化させることにより、被検体に対する送信ビームの送信を実行した。しかしこれは一例であり、平面波の角度ピッチ及び送信回数を任意 の数値に変更することができる。より現実的な角度ピッチ及び送信回数としては、4°の角度ピッチで、θiをー20°〜0°、0°〜+20°の範囲で変化させることで、計10回のビーム送信を実行するというものである。
図11(a)は、超音波プローブの周波数特性を示す特性曲線の一例である。横軸が周波数、縦軸がS/N比である。かかる特性曲線では、8MHzの利得がもっとも高く、周辺の周波数に向かうにつれ、利得が低くなっている。かかる利得が-6dB以上になるのは、6MHz以上、10MHz以下の周波数範囲である。
図11(b)の上側は、超音波プローブの周波数特性のうち、-6dB以上の利得を有している帯域を抜き出して示す。図11(b)では、かかる帯域が、所定の変化幅(1MHz)で分割されている。下側は、複数送信角のそれぞれで送信される送信ビームを示す。bm1,2,3は、絶対値が比較的低い送信角(θsmallとする)で送信される送信ビームであり、bm4,5,6は、絶対値が比較的大きい送信角(θlargeとする)で送信される送信ビームである。
as1,as2,as3,as4,as5,as6は、上記の変化幅の分割で得られた分割領域のそれぞれを、個々の送信角の送信ビームに割り当てるという周波数割り当てを示す。この矢印as1,as2,as3,as4,as5,as6に示すように、上記変化幅で得られた分割領域のうち、比較的低い周波数のものが、送信角の絶対値が小さい送信ビームに割り当てられることがわかる。また、上記変化幅で得られた分割領域のうち、比較的高い周波数のものが、送信角の絶対値が大きい送信ビームに割り当てられることがわかる。図11(c)は、かかる割当てで周波数制御、振幅制御を実行する場合の、周波数変化、振幅変化を表形式で示す。
図11(c)は、第2実施形態における小刻みな角度変化に対して、周波数や振幅をどのように変化させるかを表形式にまとめた図である。図11(c)の表は、横方向に、+4°毎の角度変化を示す。また、周波数のカラムの横の並びは、4°毎の角度変化に応じた周波数変化を示す。この横の並びからは、送信角の絶対値が小さい場合、音響素子に出力すべきパルス波の周波数を低くし、送信角の絶対値が大きくなるにつれ、音響素子に出力する周波数を高くするという周波数の可変制御の過程を読み取ることができる。
振幅のカラムの横の並びは、角度変化に伴う振幅変化を示す。このカラムの横の並びについても、送信角の絶対値が小さい場合、音響素子に出力すべきパルス波の振幅を低くし、送信角が大きくなるにつれ、音響素子に出力すべき振幅を高くするという振幅の可変制御の過程を読み取ることができる。
この変形例では、送信ビームを送信させる際の送信角の角度ピッチを細かくしてビーム送信回数を増やすと共に、この送信角の角度変化に応じた周波数変化、振幅変化も細かくするので、PWI合成開口パルス条件制御によるエネルギー伝達精度、空間分解能の精度をより一層向上させることができる。
<備考>
以上、本願の出願時点において、出願人が知り得る最良の実施形態について説明したが、特に以下の項目については、更なる改良や変更実施を加えることができる。
(送信角の変化量に応じた送信パルス条件の変更)
送信角の変化量を算出して、この変化量に応じて、パルス波作成に用いる送信パルス条件を変更してもよい。具体的にいうと、算出された変化量が減少傾向であれば、エネルギーをより遠方に伝達させる送信パルス条件でパルス波作成を行ってもよい。逆に、算出された変化量が増加傾向であれば、空間分解能を高める送信パルス条件でパルス波作成を行ってもよい。
(閾値との比較に応じた送信パルス条件の変更)
送信角と閾値との比較により、パルス波作成に用いる送信パルス条件を変更してもよい。具体的にいうと、送信角が閾値以下又は閾値未満であれば、エネルギーをより遠方に伝達させる可変制御を実行してもよい。
(符号化方式の選択)
パルス波の符号化にあたっては、特許文献2に記載されたゴレイコードを用いてもよい。ゴレイコードは、直交特性を有した複数の符号化列を、音響素子の駆動に用いてもよい。また重みチャープ符号を用いてもよい。重みチャープ符号は、周波数バンドを分割し、。分割で得られた個々の領域で、重みチャープ信号を用いてもよい。
(符号化方式の選択)
本実施形態では、角度が小さい場合、符号化を行わず、送信角が大きいと符号化を行うとしたが、送信角の大小変化に応じて、異なる符号化方式を選択してもよい。具体的にいうと、送信角が小さくなるにつれ、複数の符号化方式のうち、被検体のより深い部分に、エネルギーを伝達しえる符号化方式をパルス波作成に用い、送信角が大きくなるにつれ、空間分解能をより高くすることができる符号化方式をパルス波作成にも用いてもよい。
(対話画面を通じた操作)
ここで、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御の有効/無効の指定を受け付ける際、周波数制御、振幅制御、波数制御、符号化方式制御の一覧表示を行い、個々の制御の有効/無効の指定を、チェックボックスやボタンのGUIを通じて受け付けてもよい。
(非破棄検査装置への応用)
図1では、超音波信号処理装置101が超音波診断システムに用いられるとの仮定下で超音波信号処理装置101の実施形態を提示したが、これは一例に過ぎない。超音波信号処理装置101は、機械や建造物の内部を超音波で検査するための非破壊検査システムで用いられてもよい。また、超音波信号の処理を行うものであれば、原子力施設の内部検査システムや海底探査システムで用いられてもよい。
(超音波信号処理装置101のバリエーション)
超音波プローブ102と、表示部103とは、超音波信号処理装置101の内部にあってもよい。また、超音波プローブ102と、表示部103とがなくてもよい。超音波信号については、超音波プローブ102からの入力を超音波信号処理装置101が処理すれば足りるからである。表示部103については、弾性率画像を示す映像信号を超音波信号処理装置101が出力して表示部103が表示すれば足りるからである。各実施の形態における超音波信号処理装置101に含まれる処理部の一部又は全部が、超音波プローブ102に含まれてもよい。
(超音波プローブ102のバリエーション)
超音波プローブ102は、超音波振動子が1次元方向に配列されているプローブであってもよいし、超音波振動子がマトリックス状に配置された2次元アレイプローブであってもよい。
(重み係数のバリエーション)
第1実施形態では、指数関数を用いて、重み係数を決定したが、送信パルス条件の制御パラメータ(周波数の低さ、振幅の大きさ、波数の多さ)に応じて、重み係数を決定してもよい。また、送信パルス条件の制御パラメータ(周波数の低さ、振幅の大きさ、波数の多さ)と、重み係数との関係については、線形的な関係であってもよいし、非線形な関係であってもよい。例えば、制御パラメータと、重み係数との関係を規定してもよいし、線形的な関係を示す直線に対してアンダーシュート気味に変化する曲線に従い、制御パラメータと、重み係数との関係を、線形的な関係と規定してもよい。更に、n次元の次数をもつ変化曲線に従い、制御パラメータと、重み係数との関係を規定してもよい。
(コンピュータシステム上での実現)
上記の各装置の全部、もしくは一部を、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニットなどから構成されるコンピュータシステムで構成した場合、前記RAM又はハードディスクユニットに、上記超音波信号処理装置101と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶させることが望ましい。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置はその機能を達成する。
(集積回路化)
上記の超音波信号処理装置101を構成する構成要素の一部又は全部は、1つのシステムLSI(Large Scale Integration(大規模集積回路))から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、上記各装置と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。また、LSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
(モジュール化)
上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、各装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカード又は前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカード又は前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカード又は前記モジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
(プログラム化)
本発明は、上記に示すコンピュータの処理で実現する方法であるとしてもよい。また、本発明は、これらの方法をCPU等のプロセッサが実行することで実現するコンピュータプログラムとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
(実施形態の組合せ)
上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、上記のステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
更に、本発明の主旨を逸脱しない限り、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
(技術思想の体系化)
本願による開示は、以下の(1)、(2)、(3)・・・という技術的思想の体系を形成する。
(1)は、技術的思想の体系の根幹であり、それは、焦点を結ばない波面形状の超音波送信ビームを、音響素子を複数配してなる音響素子アレイに送信させると共に、当該超音波送信ビームの反射で得られた反射超音波の受信を音響素子アレイに実行させることで、被検体の内部空間の計測を行う超音波信号処理装置であって、
複数のフレーム期間のそれぞれにおいて、進行方向が異なる複数の超音波送信ビームを音響素子アレイに送信させる送信処理部と、
前記超音波送信ビームが反射することにより得られた反射超音波に対して受信処理を実行することで、前記複数の超音波送信ビームのそれぞれに対応する音響線フレームデータを得る受信処理部と、
複数の進行方向の全てに対応する音響線フレームデータを1つに合成することで、合成音響線フレームデータを得る合成部とを備え、
前記送信処理部は、
所定の送信パルス条件に従って、パルス波を作成するパルス波作成部と、
複数の音響素子のそれぞれに応じた遅延時間を与えた上、作成したパルス波を用いて各音響素子を駆動することにより、前記超音波送信ビームを形成する超音波送信ビームフォーマとを備え、
前記複数の進行方向は、第1方向、第2方向を含み、第2方向は、音響素子アレイの法線方向と、超音波送信ビームの進行方向とがなす角度の絶対値が、第1方向よりも小さく、
前記パルス波作成部は、超音波送信ビームを第2方向で進行させる際、超音波送信ビームを第1方向で進行させる場合よりも、被検体のより深い部分にまでエネルギーを到達させることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、
超音波送信ビームを第1方向で進行させる際、超音波送信ビームを第2方向に進行させる場合よりも、空間分解能をより高めることができる送信パルス条件をパルス波作成に用いるというものである。
この態様の超音波信号処理装置に以下の利点を有する。つまりビームの進行方向がなす角度の小ささと、端部深遠領域の狭さとには、比例関係があるから、パルス波作成手段は、ビームの進行方向がなす角度が小さい第2方向での送信時には、エネルギー伝播能力が高い送信パルス条件を、パルス波作成に用いる。これにより、端部深遠領域の広い範囲に、超音波送信ビームを伝播させることができるから、第2方向によるビーム送信時においては、端部深遠領域におけるS/N比が部分的に向上した音響線フレームデータを得ることができる。
一方、端部深遠領域の大きく広がった場合、深遠領域におけるS/N比向上は度外視しても問題はないから、パルス波作成部は、当該角度が大きい第1方向でのビーム送信時において空間分解能をより高め得る送信パルス条件をパルス波作成に用いる。こうすることで、第1方向による超音波送信ビームの送信時においては、空間分解能が部分的に高められた音響線フレームデータを取得することができる。
合成部は、S/N比が高められた音響線フレームデータと、空間分解能が部分的に高められた音響線フレームデータとを合成に供するから、端部深遠領域についてはS/N比の向上を優先していて、それ以外の領域については、空間分解能を高めたような音響線フレームデータを取得することができる。かかる音響線フレームデータの取得により、上記態様の超音波信号処理装置は、S/N比の向上と、空間分解能の向上とを両立させることができる。
(2)遠方にエネルギーを到達させ得る送信パルス条件の内容は、以下の下位概念の内容に展開することができる。具体的にいうと、前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の周波数を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の周波数より低くすることで実現してもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、音響素子の駆動に用いるパルス波の周波数を低くすることで、超音波送信ビームは、被検体のより深い部分にまで到達することになるから、超音波送信ビームの反射で得られる反射超音波の利得が高くなる。これにより、音響線フレームデータを画像化したり、数値化する場合の出力データの品位を向上させることができる。
(3)遠方にエネルギーを到達させ得る送信パルス条件の内容は、別の内容に展開することができる。具体的にいうと、前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の振幅を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の振幅より大きくすることで実現してもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、音響素子の駆動のためのパルス波の振幅を大きくするので、超音波送信ビームを構成する球面波が、被検体の内部空間の材質により大きく減衰したとしても、反射超音波の受信時において、相応レベルの利得を維持することができる。
(4)遠方にエネルギーを到達させ得る送信パルス条件の内容は、別の内容に展開することができる。具体的にいうと、前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の連続数を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の連続数より多くすることで実現してもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、連続する複数のパルス波を用いて音響素子を駆動するから、超音波送信ビームを構成する球面波が、伝播の過程で消滅したとしても、幾つかの球面波が、端部深遠領域にまで到達し得る。これにより、端部深遠領域については、反射超音波の充分な利得が得られるから、この音響線フレームデータを元にした超音波画像の品位を高めることができる。
(5)遠方にエネルギーを到達させ得る送信パルス条件の内容は、別の内容に展開することができる。具体的にいうと、前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、個々の音響素子が発するパルス波に、所定の符号化方式による符号化を施すことである。本態様の超音波信号処理装置は、音響素子の駆動に用いるパルス波を符号化するので、被検体の内部空間を超音波送信ビームが伝播する際のノイズ耐性を高めることができる。これにより、端部深遠領域については、反射超音波の充分な利得が得られるから、この音響線フレームデータを元にした超音波画像の品位を高めることができる。
(6)パルス波の符号化に用いる符号化方式には、以下のものがある。具体的にいうと、前記所定の符号化方式とは、周波数変調型の符号化方式である。本態様の超音波信号処理装置によれば、周波数変調型の既存の符号化方式を利用することで、送信パルス条件の可変制御を好適に実現することができる。
(7)パルス波の符号化に用いる符号化方式には、以下のものがある。具体的にいうと、所定の符号化方式とは、位相変調型の符号化方式である。本態様の超音波信号処理装置によると、位相変調型の既存の符号化方式を利用することで、送信パルス条件の可変制御を好適に実現することができる。
(8)受信処理部による受信処理は、以下の内容のものに展開することができる。具体的にいうと、前記受信処理部による受信処理は、受信ビームフォーミングを含み、
前記受信ビームフォーミングは、検体内部の複数の観測位置のそれぞれを合焦点として定めて、各音響素子からの入力波形が設定された合焦点でピークをなすよう、各音響素子からの入力波形に対して整相加算を施す処理であり、
前記音響線フレームデータは、複数のデータ要素から構成され、各データ要素は、各観測位置を合焦点として、受信ビームフォーミングを実行することで得られた受信ビーム波形の振幅及び/又は位相を示し、
前記合成部は、
それぞれの音響線フレームデータのデータ要素のうち、所定の進行方向の超音波送信ビームの伝播範囲に属するものを積和演算の対象として抽出し、
積和演算の対象として抽出されたデータ要素であって、位置的に対応するものに重み係数を乗じ、互いに足し合わせることで、合成音響線フレームデータを得てもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、音響線フレームデータの合成にあたって、積和演算の対象となるデータ要素を、超音波送信ビームの伝播範囲に属するものに絞るから、様々な送信角の超音波送信ビーム送信で得られた音響線フレームデータのうち、ノイズが目立つ部位については、音響線フレームデータの合成から除外することができる。これにより、医療現場においては、診断目的に応じた好適な超音波画像を生成することができる。
(9)重み係数については、以下の内容のものに展開することができる。具体的にいうと、音響線フレームデータのうち、音響素子からの距離が近い奥行きが浅い領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が大きくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用し、
音響素子からの距離が遠い遠部領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が小さくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用してもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、重み付けの対象となるデータ要素が何処に存在するかによって、異なる指針の重み付けを実行するので、ユーザの要望に沿った出力データの生成が可能になる。
(10)重み係数については、更に、下位概念のものに展開することができる。具体的にいうと、超音波送信ビームを送信する際、パルス波の作成に用いた送信パルス条件の制御パラメータに従い、重み付けに用いる重み係数を定めることができる。
本態様の超音波信号処理装置によると、音響線フレームデータの合成に用いられる重み係数が、超音波送信ビームの送信時に、音響素子駆動に用いられた送信パルス条件と関連するから、端部深遠領域をより高輝度で表示する等の措置が可能になり、ユーザの要望に沿った出力データの生成が可能になる。
(11)超音波送信ビームとしては、以下の下位概念化が可能である。具体的にいうと、前記超音波送信ビームの波面形状を、平面波形状としてもよい。本態様の超音波信号処理装置によると、超音波送信ビームとして平面波の波面形状の超音波送信ビームを使用することで、ビームの直進性を高めるから、音響線フレームデータを元に生成される超音波画像の品位を高めることができる。
本発明は、医療分野や検査機器分野に利用することができる。
1 操作受付部
2 制御部
3 超音波送信処理部
4 超音波受信処理部
5 データ変換部
11 フレームカウンタ
12 角度カウンタ
13 パルス形状作成部
14 送信パルス条件テーブル保持部
15 遅延プロファイル作成部
16 送信ビームフォーマ

Claims (9)

  1. 焦点を結ばない波面形状の超音波送信ビームを、音響素子を複数配してなる音響素子アレイに送信させると共に、当該超音波送信ビームの反射で得られた反射超音波の受信を音響素子アレイに実行させることで、被検体の内部空間の計測を行う超音波信号処理装置であって、
    複数のフレーム期間のそれぞれにおいて、進行方向が異なる複数の超音波送信ビームを音響素子アレイに送信させる送信処理部と、
    前記超音波送信ビームが反射することにより得られた反射超音波に対して受信処理を実行することで、前記複数の超音波送信ビームのそれぞれに対応する音響線フレームデータを得る受信処理部と、
    複数の進行方向の全てに対応する音響線フレームデータを1つに合成することで、合成 音響線フレームデータを得る合成部とを備え、
    前記送信処理部は、
    所定の送信パルス条件に従って、パルス波を作成するパルス波作成部と、
    複数の音響素子のそれぞれに応じた遅延時間を与えた上、作成したパルス波を用いて各音響素子を駆動することにより、前記超音波送信ビームを形成する超音波送信ビームフォーマとを備え、
    前記複数の進行方向は、第1方向、第2方向を含み、第2方向は、音響素子アレイの法線方向と、超音波送信ビームの進行方向とがなす角度の絶対値が、第1方向よりも小さく、
    前記パルス波作成部は、超音波送信ビームを第2方向で進行させる際、超音波送信ビームを第1方向で進行させる場合よりも、被検体のより深い部分にまでエネルギーを到達させることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、
    超音波送信ビームを第1方向で進行させる際、超音波送信ビームを第2方向に進行させる場合よりも、空間分解能をより高めることができる送信パルス条件をパルス波作成に用い、
    前記受信処理部による受信処理は、受信ビームフォーミングを含み、
    前記受信ビームフォーミングは、検体内部の複数の観測位置のそれぞれを合焦点として定めて、各音響素子からの入力波形に対して整相加算を施す処理であり、
    前記音響線フレームデータは、複数のデータ要素から構成され、各データ要素は、各観測位置を合焦点として、受信ビームフォーミングを実行することで得られた受信ビーム波形の振幅及び/又は位相を示し、
    前記合成部は、
    それぞれの音響線フレームデータのデータ要素のうち、所定の進行方向の超音波送信ビームの伝播範囲に属するものを、位置的に対応するものに重み係数を乗じ、互いに足し合わせることで、合成音響線フレームデータを得、
    前記音響線フレームデータのうち、音響素子からの距離が近い奥行きが浅い領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が大きくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用し、
    音響素子からの距離が遠い遠部領域に属するデータ要素の重み付けには、送信角が小さくなるにつれ、値が増加する重み係数を使用する
    超音波信号処理装置。
  2. 前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の周波数を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の周波数より低くすることである、請求項1記載の超音波信号処理装置。
  3. 前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の振幅を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の振幅より大きくすることである、請求項1記載の超音波信号処理装置。
  4. 前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、第2方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の連続数を、第1方向に進行させる超音波送信ビームの音響素子の駆動のためのパルス波の連続数より多くすることである、請求項1記載の超音波信号処理装置。
  5. 前記被検体のより深い部分にまでエネルギーを伝達させ得る送信パルス条件とは、個々の音響素子が発するパルス波に、所定の符号化方式による符号化を施すことである
    請求項1記載の超音波信号処理装置。
  6. 前記所定の符号化方式とは、周波数変調型の符号化方式である、請求項5記載の超音波信号処理装置。
  7. 前記所定の符号化方式とは、位相変調型の符号化方式である、請求項5記載の超音波信号処理装置。
  8. 超音波送信ビームを送信する際、パルス波の作成に用いた送信パルス条件の制御パラメータに従い、重み付けに用いる重み係数を定める
    請求項記載の超音波信号処理装置
  9. 前記超音波送信ビームの波面形状は、平面波形状である、請求項1〜の何れかに記載の超音波信号処理装置。
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