以下、添付図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置を詳細に説明する。なお、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
(実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、位置センサ13と、装置本体10と、ディスプレイ135と、出入力インタフェース134とを有する。ここで、装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置であり、超音波送受信部11と、メモリ132と、処理回路150とを備える。
超音波プローブ1は、超音波を送受信して被検体Pの走査を行う。超音波プローブ1は、例えば、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、装置本体10が有する超音波送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送受信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
超音波送受信部11は、パルス発生器、送信遅延回路、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、超音波送受信部11は、処理回路150の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、超音波送受信部11は、超音波プローブ1により行われた超音波の送受信に基づいて、受信信号Pを生成する。かかる受信信号Pは、直交位相検波が行われた複素信号であり、その実部はI(In Phase)信号、虚部はQ(Quadrature Phase)信号と呼ばれる。受信信号Pは、IQ信号とも呼ばれる。ある1つのピクセルに着目した場合、I信号の値をI、Q信号の値をQで表わすと、受信信号はP=I+jQと表わされる。
また、位置センサ13は、超音波プローブ1に装着されるセンサであり、例えば磁気センサである。一例として、図示しない磁場発生器が超音波プローブ1の近傍に設置されると共に超音波プローブ1に位置センサ13が装着されることで、位置センサ13は、超音波プローブ1の位置情報、傾き情報をリアルタイムで取得することができる。位置センサ13は、このようにして取得した超音波プローブ1の位置情報などを、処理回路150に送信する。また、処理回路150は、取得機能150aにより、位置センサ13から、超音波プローブ1の位置情報等を取得する。
超音波プローブ1の収集モードについては、様々な収集モードが可能である。超音波プローブ1は、一例として、超音波プローブ1の位置情報を位置センサ13により検出しながら超音波プローブ1を動かしてデータ収集を行う3Dモードによりデータ収集を行い、3次元データを得る。かかる場合、処理回路150は、位置センサ13が検出し、取得機能150aが取得した位置情報を用いて、収集したデータの位置を補正して、3次元画像を生成する。また、別の例として、超音波プローブ1は、超音波プローブ1の位置情報を検出せずに超音波プローブ1を動かして収集を行う位置情報なし3Dモードによりデータ収集を行い、3次元データを得る。かかる場合、処理回路150は、フレーム(超音波走査面)間隔が一定、またはフレーム間の角度が一定であるという前提で、3次元画像を生成する。また、別の例として、超音波プローブ1は、超音波プローブ1を機械的に搖動させながら収集を行うメカ4Dモードによりデータ収集を行い、3次元データを得る。また、別の例として、超音波プローブ1は、2次元アレープローブを用いて電子的に3次元走査する2次元アレー3Dモードによりデータ収集を行い、3次元データを得る。また、別の例として、超音波プローブ1は、超音波プローブ1の位置を固定して収集を行う2Dモードによりデータ収集を行い、2次元データを得る。
なお、以下、例えば、一次元アレー振動子を用いて方位方向に電子スキャンを行う超音波プローブ1を用い、超音波プローブ1の位置情報を位置センサ13により取得しながら超音波プローブ1を移動させて3次元画像データを収集し3次元画像を生成する場合について説明する。
処理回路150は、取得機能150a、制御機能150b、逆対数変換機能150c、対数変換機能150d、2乗加算機能150e、信号処理機能150f、MTIフィルタ機能150g、速度・分散演算機能150h、ボリュームデータ生成機能150i、画像生成機能150j、音場算出機能150k、逆フィルタ処理機能150l等を有する。実施形態では、取得機能150a、制御機能150b、逆対数変換機能150c、対数変換機能150d、2乗加算機能150e、信号処理機能150f、MTIフィルタ機能150g、速度・分散演算機能150h、ボリュームデータ生成機能150i、画像生成機能150j、音場算出機能150k、逆フィルタ処理機能150l等にて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ132へ記憶されている。処理回路150はプログラムをメモリ132から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図1の処理回路150内に示された各機能を有することになる。
これらの機能に関しては、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路150を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現してもよいし、逆に
単一の処理回路150にて、これらの処理機能が実現されてもよい。換言すると、各機能ごとに特定の機能が専用の独立したプログラム実行回路に実装される場合であってもよい。例えば、逆対数変換機能150c、対数変換機能150d、2乗加算機能150e、信号処理機能150f、MTIフィルタ機能150g、速度・分散演算機能150h、逆フィルタ処理機能150lは、それぞれ逆対数変換器、対数変換器、2乗加算器、信号処理器、MTIフィルタ、速度・分散演算器、逆フィルタ処理器と呼ばれる専用の回路により実装されてもよい。また、逆に、上述のそれぞれの機能がプログラムとして構成され、1つの処理回路150が各プログラムを実行する場合であってもよい。なお、取得機能150a、制御機能150b、画像生成機能150j、逆フィルタ処理機能150lは、それぞれ取得部、制御部、画像生成部、逆フィルタ部の一例である。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ132に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
また、メモリ132にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
処理回路150は、取得機能150a、制御機能150b、逆対数変換機能150c、対数変換機能150d、2乗加算機能150e、信号処理機能150f、MITフィルタ機能150g、速度・分散演算機能150hなどにより、超音波送受信部11により生成された受信信号に基づいて、生データであるRAWデータやボリュームデータ等のデータを生成し、生成されたデータに対する処理を行う。かかる処理について、Bモードデータを生成する場合及びカラーモード(ドプラモード)データを生成する場合のそれぞれについて、簡単に説明する。
まず、処理回路150が、信号強度が輝度の明るさで表現されるモードであるBモードにおいて、受信信号からRAWデータ等を生成する場合について説明する。
処理回路150は、取得機能150aにより、超音波送受信部11が生成した受信信号P=I+jQを取得する。続いて、処理回路150は、2乗加算機能150eにより、受信信号Pに対して2乗加算を行い、信号値が(I2+Q2)となる信号を出力する。続いて、処理回路150は、対数変換機能150dにより、2乗加算機能150eにより例えば2乗加算器から出力された信号に対して対数変換処理を行い、被検体組織の輝度信号の対数圧縮値を出力する。出力された信号値は、例えば10log10(I2+Q2)= 20log10(I2+Q2)1/2となる。続いて、処理回路150は、信号処理機能150fにより、エッジ強調等の信号処理を行い、RAWデータを生成する。処理回路150は、生成したRAWデータを、メモリ132に格納する。
なお、例えば超音波プローブ1の位置情報を検出しながら超音波プローブ1を動かして3次元データを収集する位置情報付き3Dモードでは、方位方向に走査することにより1フレームのRAWデータが得られ、走査しながら超音波プローブ1を移動することにより複数フレームから成る3次元RAWデータが得られる。ここで、手動により超音波プローブ1の移動が行われているので、収集された複数フレームは必ずしも等間隔なデータとはならない。従って、かかる場合、処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより、信号処理機能150fにより生成されたRAWデータから、等間隔のボリュームデータを生成する。また、処理回路150は、得られたボリュームデータを、メモリ132に格納する。なお、超音波プローブ1を機械的に搖動させながら3次元データを収集する場合や2次元アレープローブを用いて電子的に3次元走査し3次元データを収集する場合は、通常、フレーム間隔は一定に制御される。従って、かかる場合、ボリュームデータを生成せずにRAWデータから直接MPR画像データ等を生成することができる。
図2は、実施形態に係る超音波診断装置の行う処理について説明した図である。図2において、処理回路150が、ボリュームデータ生成機能150iにより、RAWデータ2からボリュームデータ3を生成する様子が模式的に示されている。図2において、X’軸が距離方向に対応し、Y’方向が方位方向に対応し、Z’方向がスライス方向に対応する。図2において、X’―Y’面がフレームを表し、Z’軸はフレームの移動方向を表す。処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより、RAWデータ2に基づいて、等間隔に並ぶ複数のフレームから構成され、各フレームはRAWデータ2と同様のフォーマットになっているデータとして、ボリュームデータ3を生成する。かかるボリュームデータ3は、ラスタ(超音波走査線)に対応したデータであるラスタデータをフレーム毎に持ち、位置の異なる複数のフレームで3次元データが構成されている。この意味でこの様なボリュームデータを3次元RAWデータと呼ぶこともある。このように、ボリュームデータ3のデータのフォーマットを、RAWデータ2のフレームの集まりとなるようなフォーマットとすることで、他の画像処理などにそのまま再利用することが可能となり、データの汎用性を高めることができる。
また、この時、処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより、RAWデータ2の各フレームを、位置センサ13から得られた位置情報を用いて位置合わせして配置する。また、処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより、ボリュームデータ3のデータを、例えばボリュームデータ3が生成されるべきピクセルを挟む隣り合う2フレームのRAWデータ2から補間により生成する。
また、画像生成機能150jを有する処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより生成されたボリュームデータ3に対して補間処理を行うことにより例えば、MPR(multi-planar reconstruction)画像等その他のフォーマットのデータまたは画像を生成する。処理回路150は、画像生成機能150jにより、当該MPR画像として、例えば直交3断面画像を生成する。加えて、処理回路150は、画像生成機能150jにより、ボリュームデータ3に対してレンダリング処理等を行うことにより、VR(Volume Rendering)画像やMIP(Maximum Intensity Projection)画像等の2次元画像等を更に生成してもよい。また、処理回路150は、制御機能150bにより、画像生成機能150jにより生成されたボリューム画像、MPR画像、または2次元画像等を、ディスプレイ135に表示させてもよい。
次に、処理回路150が、カラーモード(ドプラモード)において、受信信号からRAWデータ等を生成する場合について説明する。
カラーモード(ドプラモード)においては、超音波送受信部11は、超音波プローブ1を通じて、被検体に対して同じ方向に複数回(N回)の超音波の送受信を行い、受信信号Pを生成する。処理回路150は、取得機能150aにより、超音波送受信部11が生成した複数の受信信号Pi(i=1,・・・,N)を取得する。このとき、超音波送受信部11が生成する複数の受信信号Piのそれぞれは、直交位相検波が行われた複素信号である。受信信号Pの実部はI信号、受信信号Pの虚部は、Q信号とも呼ばれる。また、受信信号Pは、IQ信号とも呼ばれる。ある1つのピクセルに着目した場合、受信信号Pの実部の値をI、受信信号Pの虚部の値をQで表わし、Nを送信の回数、iをi番目の送信とし、その時の受信信号をPiで表すと、i番目の受信信号Piは、Pi=Ii+jQi(i=1,・・・,N)と表わされる。
この受信信号P
iには、目的とする血流からのドプラ信号I
b、Q
bの他に、組織エコー等に起因するクラッタと呼ばれる不要信号I
c、Q
cが含まれている。即ち、i番目の受信信号P
iは、以下の式(1)で表される。
そこで、処理回路150は、MTIフィルタ機能150gにより、取得機能150aにより取得した一連の受信信号P
i(i=1,・・・,N)に対して、MTI(Moving Target Indication)フィルタを適用し、クラッタの除去された血流信号を出力する。MTIフィルタ機能150gにより出力される信号は、例えば以下の式(2)で表される。
続いて、血流の絶対値を算出するモードであるパワーモードの場合、処理回路150は、2乗加算機能150eにより、以下の式(3)のように、複数の受信信号に対して2乗加算処理を行い、結果を出力する。
続いて、処理回路150は、対数変換機能150dにより、2乗加算機能150eにより例えば2乗加算器から出力された信号に対して対数変換処理を行い、被検体組織の輝度信号の対数圧縮値を出力する。処理回路150が出力する信号値は、例えば10log10(Power)=10log10(Σi=1 N(Ibi 2+Qbi 2))= 20log10(Σi=1 N(Ibi 2+Qbi 2))1/2となる。続いて、処理回路150は、信号処理機能150fにより、エッジ強調等の信号処理を行い、RAWデータを生成する。処理回路150は、生成したRAWデータを、メモリ132に格納する。
また、血流速度や血流速度の分散を算出するモードである速度モードや速度-分散モードの場合、処理回路150は、MTIフィルタ機能150gにより出力されたクラッタの除去された血流信号Pbi (i=1,・・・,N)に対して、速度・分散演算機能150hにより、血流速度や、血流速度の分散を算出する。具体的には、処理回路150は、MTIフィルタ機能150gにより出力されたクラッタの除去された血流信号Pbi (i=1,・・・,N)に対して例えば自己相関法を適用することにより、血流速度や、血流速度の分散を算出し、血流速度を表すデータや、血流速度の分散を表すデータを生成する。続いて、処理回路150は、信号処理機能150fにより、エッジ強調等の補助的な信号処理を行い、血流速度を表すRAWデータや、血流速度の分散を表すRAWデータを生成する。処理回路150は、生成したRAWデータを、メモリ132に格納する。
また、Bモードの場合と同様、カラーモードの場合においても、処理回路150は、ボリュームデータ生成機能150iにより、信号処理機能150fにより生成されたRAWデータから、ボリュームデータを生成し、得られたボリュームデータを、メモリ132に格納する。また、処理回路150は、画像生成機能150jにより、生成されたボリュームデータを基に、例えば、MPR(multi-planar reconstruction)画像、VR(Volume Rendering)画像やMIP(Maximum Intensity Projection)画像等の2次元画像等を更に生成し、制御機能150bにより、画像生成機能150jにより生成されたボリューム画像、MPR画像、または2次元画像等を、ディスプレイ135に表示させてもよい。
また、処理回路150は、音場算出機能150kにより、音場を算出する。また、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、IQデータ等の信号データ、RAWデータ、ボリュームデータ、MPRデータ等に対してデコンボリューションを行って、画質が向上されたデータを生成する。これらの処理の詳細については後述する。
メモリ132は、信号データを記憶する信号データメモリ、RAWデータを記憶するRAWデータメモリ、ボリュームデータを記憶するボリュームデータメモリ等である。メモリ132は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等である。また、メモリ132は、処理回路150が有する各機能に対応するプログラムを記憶する。
ディスプレイ135は、超音波診断装置の操作者が出入力インタフェース134を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された各種画像データ等を表示したりするためのディスプレイである。ディスプレイ135は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
出入力インタフェース134は、データ出入力インタフェース及びネットワークインタフェースにより構成され、操作者からの各種指示や情報入力を受け付けるための出入力インタフェースである。出入力インタフェース134は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等で構成される。
続いて、実施形態に係る超音波診断装置が行う処理の詳細について説明する。
実施形態に係る超音波診断装置において、処理回路150は、取得機能150aにより、超音波プローブ1が被検体に対して超音波を送受信して走査を行うことにより得られた第1のデータを取得し、逆フィルタ処理機能150lにより、取得された第1のデータに対して、走査の対象となる場所の音場を示す情報に基づいて得られた伝達関数を用いてデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。特に、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、取得された第1のデータに対してウィーナフィルタを用いたデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。
かかる背景について、簡単に説明する。
まず、実施形態に係る超音波診断装置がデコンボリューションを行う背景及び実施形態に係る超音波診断装置がウィーナフィルタを用いたデコンボリューションを行う背景について簡単に説明する。
入力信号fに対して処理hが行われた時の出力信号gは、畳込み(コンボリューション)を用いて、g=f*hと書くことができる。例えば、超音波画像を取り扱う場合を想定し、入力信号f及び出力信号gが2次元データである場合、x,yを空間座標とし、入力信号をf(x,y)とし、処理系を表す関数をh(x,y)とし、出力信号をg(x,y)とすると、出力信号は、以下の式(4)のように、入力信号f(x,y)と処理系を表す関数h(x,y)との畳込みで書くことができる。
畳み込み積分のフーリエ変換は、各々のフーリエ変換の積となる。従って、u,vを空間周波数とし、f(x,y)、g(x,y)、h(x,y)のフーリエ変換をそれぞれF(u,v)、H(u,v)、G(u,v)とすると、式(4)をフーリエ変換すると、以下の式(5)が成り立つ。
H(u,v)は、伝達関数とも呼ばれる。
ここで、F(u,v)は、被検体実体の原画像のフーリエ変換であり、H(u,v)は、超音波処理系の伝達関数であり、G(u,v)は、表示される超音波画像のフーリエ変換に対応する。超音波画像のフーリエ変換であるG(u,v)は、処理系のH(u,v)の影響により一般にF(u,v)よりも分解能が低下する。
ここで、G(u,v)からF(u,v)を得るような処理H
inv(u,v)を用いると、処理回路150は、被検体実体の原画像のフーリエ変換F(u,v)を、以下の式(6)のように、超音波画像のフーリエ変換G(u,v)に基づいて算出することができる。
上述の式(6)の処理により、処理回路150は、超音波画像のフーリエ変換G(u,v)から、より被検体実体を反映していると考えられるデータであるF(u,v)を再構成することができる。かかる操作をデコンボリューションと呼び、Hinv(u,v)を逆フィルタと呼ぶ。
換言すると、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、取得された第1のデータと、伝達関数H(u,v)に基づく値Hinv(u,v)とを用いてデコンボリューションを行い、画質が向上した第2のデータを生成する。
ここで、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、取得された第1のデータに対してウィーナフィルタを用いたデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。具体的には、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、ステップS100において得られた第1のデータと、伝達関数H(u,v)に基づくウィーナフィルタを用いたデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。かかる理由について説明する。
式(5)と式(6)とを比較すると、逆フィルタH
inv(u,v)は、以下の式(7)のように伝達関数H(u,v)の逆数で与えられると考えられる。
しかし、伝達関数H(u,v)が0または0に近い値をとるときはHinv(u,v)が発散し、表示される超音波画像のフーリエ変換G(u,v)に含まれるノイズ成分が増幅されて、デコンボリューション後のデータF(u,v)に大きなノイズが現れる。
このため、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、取得された第1のデータに対してウィーナフィルタHw(u,v)を用いたデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。
ここで、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、原画像F(u,v)に近い復元画像F'(u,v)を、以下の式(8)により計算する。
ここで、ウィーナフィルタH
w(u,v)は、式(5)にノイズ成分N(u,v)を加味して、以下の式(9)とおき、原画像F(u,v)と復元画像F' (u,v)との平均2乗誤差が最小となるという条件のもとで得られる関数であり、式(10)で与えられる。
これにより、処理回路150は、デコンボリューションを行うに当たって0または0に近い値で割るという問題を回避することができ、処理回路150が逆フィルタ処理機能150lにより生成する第2のデータの数値的安定性を保つことができる。なお、式(10)において、以下の式(11)のように、数値パラメータΓを導入した。
このように、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、ステップS100において得られた第1のデータに対して、伝達関数H(u,v)と、パラメータΓとにより定まるウィーナフィルタHw(u,v)とに基づいてデコンボリューションを行い、第2のデータを生成する。なお、パラメータΓの値は、例えば0.005等、0に近い値が用いられる。一例として、超音波画像に対してパラメータΓの値を変えて第2のデータを複数生成し、生成される第2のデータが妥当なデータとなるようなパラメータΓの値を、ウィーナフィルタHw(u,v)に用いるΓの値に設定し、設定した値に基づき、デコンボリューションを行っても良い。
なお、パラメータΓ=0の極限では、ウィーナフィルタHw(u,v)は、式(7)による逆フィルタHinv(u,v)に等しくなる。
また、フィルタの性能や適用範囲、パフォーマンス等を考慮し、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、ウィーナフィルタHw(u,v)以外のフィルタ、例えばルーシー・リチャードソンアルゴリズムなどの処理を行い、第2のデータを生成してもよい。
続いて、実施形態に係る超音波診断装置が、音場を示す情報に基づいて得られた伝達関数を用いてデコンボリューションを行う背景について説明する。
一般に、超音波診断装置の処理系は、複数の処理系が縦列につながっている。それらの処理系が例えば、音場に対応する応答関数(フィルタ係数)、信号処理に対応する応答関数(フィルタ係数)、画像処理に対応する応答関数(フィルタ係数)の3つである場合を考え、音場に対応する応答関数(フィルタ係数)をh
1(x,y)、信号処理に対応する応答関数(フィルタ係数)をh
2(x,y)、画像処理に対応する応答関数(フィルタ係数)をh
3(x,y)、とすると、式(4)は、以下の式(12)で与えられる。
また、式(12)をフーリエ変換すると、以下の式(13)が成り立つ。
ここで、H1(u,v)は音場に対応する伝達関数であり、H2(u,v)は例えばそれに続く信号処理に対応する伝達関数であり、H3(u,v)は画像処理に対応する伝達関数である。
ここで、音場に対応する伝達関数H
1(u,v)、信号処理に対応する伝達関数H
2(u,v)、画像処理に対応する伝達関数H
3(u,v)の中で、音場に対応する伝達関数H
1(u,v)が、最終的な画像の分解能の向上に最も寄与が大きいと考えられる。また、音場に対応する伝達関数H
1(u,v)やその逆フーリエ変換であるフィルタ係数h
1(x,y)は、計算や実測によって近似的な値を比較的容易に得ることができる。従って、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、音場に対応する伝達関数H
1(u,v)を用いてデコンボリューションを行い、第2のデータを生成する。例えば、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、音場に対応する伝達関数H
1(u,v)を用いたウィーナフィルタH
1w(u,v)を用いてデコンボリューションを行い、以下の式(14)の左辺で与えられる第2のデータF''(u,v)を生成する。
次に、図3〜6を用いて、実施形態に係る超音波診断装置が行う処理の詳細について説明する。図3は、実施形態に係る超音波診断装置の行う処理の流れについて示したフローチャートである。また、図4は、実施形態に係る超音波診断装置の行う処理について、模式的に説明した図である。
図3のフローチャートにおいて、はじめに、処理回路150は、取得機能150a等により、超音波プローブが被検体の走査を行うことにより得られた、信号データまたは画像データである第1のデータを取得する(ステップS100)。ここで、第1のデータとは、例えばBモードデータまたはカラーモードデータであり。より具体的には、第1のデータとは、例えば対数値をリニアな値に変換する変換である対数リニア変換が行われた後のBモードデータや、対数値をリニアな値に変換する変換である対数リニア変換が行われた後のカラーモードデータである。より具体的には、第1のデータとは、例えば対数リニア変換が行われた後のBモードのRAWデータや、対数リニア変換が行われた後のカラーモードのRAWデータである。
前述したように、Bモードの場合、処理回路150は、取得機能150aにより、超音波送受信部11が生成した受信信号Pを取得し、続いて、2乗加算機能150eにより、2乗加算を行い、対数変換機能150dにより、対数変換処理を行い、続いて、信号処理機能150fにより、エッジ強調等の信号処理を行うことによりBモードのRAWデータを生成し、生成したBモードのRAWデータを、メモリ132に格納する。
ここで、生成されるRAWデータは、対数圧縮されているデータである。処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、対数圧縮されているデータであるBモードのRAWデータに対してそのままデコンボリューションを行っても分解能を向上させることは可能である。しかしながら、リニアデータに変換させたデータに対してデコンボリューションを行いその後対数データに戻した方が、処理回路150は、より分解能改善効果を高めることができる。従って、処理回路150は、逆対数変換機能150cにより、メモリ132に格納されている対数圧縮されているRAWデータに対して、対数値(20log10(I2+Q2)1/2)をリニアな信号値((I2+Q2)1/2)に変換する変換である対数リニア変換を行い、対数圧縮されたRAWデータをリニアデータに変換する。
図4の(a)及び(b)に、かかる状況が示されている。図4において、図4の上下方向が距離方向に対応し、左右方向が方位方向に対応し、前後方向がスライス方向を示す。また、図4は、処理回路150が、Bモードの3次元RAWデータに対して、後述のステップS120で、方位方向、スライス方向の2次元フィルタを逆フィルタとして用いて、デコンボリューションを行う場合の例について示している。なお、実施形態はこれに限られず、例えばカラーモードデータに対しても、実施形態は同様に適用可能である。
図4(a)において、RAWデータ2a、2b、2c、2d、2eのそれぞれは、処理回路150が信号処理機能150f等の処理により生成したRAWデータである。別の例として、RAWデータ2a、2b、2c、2d、2eのそれぞれは、処理回路150が信号処理機能150f等の処理により生成し、メモリ132に蓄えられたデータであってもよい。RAWデータ2a、2b、2c、2d、2eのそれぞれは、対数圧縮されているデータであることから、処理回路150は、RAWデータ2a、2b、2c、2d、2eのそれぞれに対して対数リニア変換を実行することにより、リニアデータに変換されたデータ4a、4b、4c、4d、4eを第1のデータとして取得し、後続のステップでデコンボリューションを行う。
図3に戻り、処理回路150は、音場算出機能150kにより、被検体の走査の対象となる場所の音場を示す情報に基づいて、音場に対する伝達関数H1(u,v)を算出する(ステップS110)。音場に対する伝達関数の求め方には、例えば以下の様な方法がある。なお、3次元の場合はh(x,y,z)、H1(u,v,w)等となるが、煩雑さを避ける為2次元の表記を用いて説明を行う。
式(4)において、入力信号f(x,y)をデルタ関数δ(x,y)とした場合、デルタ関数のフーリエ変換は1になるので、F(u,v)=1となり、式(4)をフーリエ変換すると、式(5)は、以下の式(15)で表される。
すなわち、出力信号G(u,v)は処理系の伝達関数H(u,v)そのものになる。すなわち、被検体として点散乱体δ(x,y)を備えたファントムを用いると、得られる画像は、伝達関数H(u,v)のフーリエ変換h(x,y)を表わす。このh(x,y)はPSF(Point Spread Function、点拡がり関数)と呼ばれる。
従って、一例として、処理回路150は、音場算出機能150kにより、例えば点散乱体を用いた測定に基づいて、PSFであるフィルタ係数h(x, y)を算出する。例えば、処理回路150は、音場算出機能150kにより、点散乱体を3次元的に配置したファントムを用いて行われた超音波走査により得られた画像データに基づいて、フィルタ係数h(x, y)を算出する。一例として、超音波診断装置は、代表的な超音波送受信条件等で、点散乱体を用いた測定を行い、その測定値をメモリ132に格納する。処理回路150は、メモリ132に格納した測定値を読み込み、それらを内挿、外挿(伸縮)、またはスケールさせることにより、フィルタ係数h(x,y)を算出する。
また、別の例として、処理回路150は、音場算出機能150kにより、各深さ(距離)xiでの音場の形状とビーム幅を求め、算出した音場の形状とビーム幅等から、フィルタ係数h(x,y)を算出する。
続いて、処理回路150は、音場算出機能150kにより、算出されたフィルタ係数h(x,y)に基づいて、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する。一例として、処理回路150は、音場算出機能150kにより、処理系において最も影響が大きいのは音場であると考えられるので、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)とフィルタ係数h(x,y)とが等しいとして、算出されたフィルタ係数h(x,y)に基づいて、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する。続いて、処理回路150は、音場算出機能150kにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)をフーリエ変換することにより、音場に対する伝達関数H1(u,v)を算出する。このようにして、処理回路150は、音場算出機能150kにより、点散乱体を用いた測定に基づいて、走査の対象となる場所の音場を示す情報に基づいて、伝達関数H1(u,v)を算出する。
また、別の例として、処理回路150は、音場算出機能150kにより、音場計算を行うことにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する。
音場計算を行うことにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する第1の方法として、処理回路150が、音場算出機能150kにより、例えば音場計算ソフトなどを用いて、超音波送信の送受信条件を用いて深さ毎の音場を計算し、計算された深さ毎の音場を用いてフィルタ係数h1(x,y)を算出する方法がある。第1の方法は、算出されるフィルタ係数の精度は高くなるが、負荷は大きくなる方法となる。
また、音場計算を行うことにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する第2の方法として、処理回路150が、音場算出機能150kにより、例えば音場計算ソフトなどを用いて、超音波送信の送受信条件を用いてある間隔の深さで音場を計算し、その間の深さの値は、それを挟む深さの音場値から補間により求め、計算された深さ毎の音場を用いてフィルタ係数h1(x,y)を算出する方法がある。第2の方法は、第1の方法に比べて計算の精度は低下するが、負荷は軽くなる方法となる。
また、音場計算を行うことにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する第3の方法として、処理回路150が、音場算出機能150kにより、代表的な送受信条件で、例えばFundamental音場とharmonic音場とについて、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出しておき、算出した値を、メモリ132に格納する方法がある。超音波送受信条件などのパラメータ値が変わった場合、処理回路150は、音場算出機能150kにより、メモリ132に格納されている、代表的な送受信条件での音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を基に、それらを内挿、外挿(伸縮)、またはスケールさせることにより、超音波送受信条件などのパラメータ値が変わった場合における音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出する。一例として、音場の拡散はλ/D(λ:波長、D:開口幅)に比例する。即ち、例えばフォーカス点付近のビーム幅は、開口幅が2倍になれば1/2になり、周波数が2倍になれば(波長が半分になれば)1/2になる。よって、開口幅や周波数などのパラメータ値が変わっても、処理回路150は、音場算出機能150kにより、メモリ132に格納されている、代表的な送受信条件での音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を援用して、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)を算出することができる。
なお、上述の第1の方法〜第3の方法は、方位方向とスライス方向についての、音場に対応するフィルタ係数についての計算方法を示している。距離方向のフィルタ係数の方法については、例えば、処理回路150は、音場算出機能150kにより、超音波パルス形状を計算で取得し、取得した超音波パルス形状を基に、フィルタ係数を算出する。また、処理回路150は、音場算出機能150kにより、被検体の減衰効果等、例えば周波数依存性減衰の効果を繰込み、精度を向上してもよい。
また、上述の第1の方法〜第3の方法は、装置の能力に応じて方法を選択可能としてもよい。例えば、計算能力の面で高負荷な計算にも適しているデータ処理装置では精度の高い方法を採用し、逆に計算能力の面で高負荷な計算に適していない超音波診断装置では、リアルタイム性を損なわない方法を選択してもよい。
続いて、処理回路150は、音場算出機能150kにより、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)をフーリエ変換することにより、音場に対する伝達関数H1(u,v)を算出する。このようにして、処理回路150は、音場算出機能150kにより、音場計算を行うことにより走査の対象となる場所の音場を示す情報を算出し、算出した情報に基づいて、伝達関数H1(u,v)を算出する。
図5及び図6を用いて、音場に対応するフィルタ係数h1(x,y)の算出について更に説明する。
まず、図5を用いて、音場と分解能との関係性を簡単に述べ、続いて、音場と分解能との関係性を踏まえて、音場に対応するフィルタ係数h1の次元の選択について述べる。
まず、図5を用いて、音場と分解能との関係性を説明する。音場は、分解能に大きく影響する。音場は、深さ方向である距離方向と、超音波を走査する方向である方位方向と、超音波走査面と垂直な方向であるスライス方向との3方向の分布を持つ。音場の3方向の分布形状は、一般に大きく異なる。
音場の距離方向の分布形状は送信される超音波パルスの形状で決まり、距離分解能はパルスの長さで決定される。通常は分解能を良くするため、パルスの長さは、1〜3波長程度となるように、短く設定されている。
図5(a)は、上下方向を距離方向とし、左右方向を方位方向とした場合の、送信される超音波ビームの模式図を表している。音場の方位方向の分布形状は送受信音場の方位方向の形状で決まり、方位分解能は方位方向の音場の幅20で決まる。一般には、スライス方向よりも開口を大きく設定できるので、スライス方向より超音波ビームを狭くでき、スライス方向より分解能が良いが、距離方向よりは分解能は悪くなる。通常は、送信は1つのフォーカス点を設定して行われるが、受信は深さ毎にフォーカス点を移動するダイナミックフォーカスを行うので、方位分解能は受信音場の分解能が支配的である。
図5(b)は、上下方向を距離方向とし、左右方向をスライス方向とした場合の、送信される超音波ビームの模式図を示している。音場のスライス方向の分布形状は送受信音場のスライス方向の形状で決まり、スライス分解能はスライス方向の音場の幅21で決まる。通常は、超音波振動子のスライス方向の素子数は1素子で、音響レンズで焦点を形成しているので、送受信ともフォーカス点は1点で同じ位置にあり、スライス分解能は送受信音場の影響を同程度に受ける。また、1.5Dアレーと呼ばれるプローブもある。この場合は、スライス方向に振動子を3素子、5素子等に分割している。また、2次元アレーの場合には、スライス方向に振動子が多素子に分割されている。この様な場合、受信はダイナミックフォーカスを行うことができるので、1素子の場合よりも広い深さの範囲でスライス分解能が向上する。
よって、一般に分解能は、距離方向が最も良くなり、方位方向、スライス方向となるにつれて悪くなる。
次に、分解能を踏まえて、処理回路150がデコンボリューションを行う逆フィルタの次元について述べる。まず、第1のデータが3次元画像データの場合、計算負荷を問題にしない場合、フィルタの次元が3次元であるのが、最も分解能の改善効果が大きい。かかる場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、第1のデータに対して距離方向、方位方向及びスライス方向すべてに対してデコンボリューションを行う3次元フィルタを用いて第2のデータを生成する。計算負荷を低減させる場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、第1のデータに対して2次元フィルタを用いて第2のデータを生成するが、その場合、例えば分解能がもともと比較的良い距離方向を除いた、方位方向及びスライス方向の2次元フィルタを用いて第2のデータを生成してもよい。また、更に計算負荷を低減させる場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、第1のデータに対して1次元フィルタを用いて第2のデータを生成するが、その場合、例えば分解能の影響がもともと最も大きいスライス方向の1次元フィルタを用いて第2のデータを生成してもよい。
同様に、第1のデータが走査面が距離方向と方位方向から成る2次元画像データの場合、計算負荷を問題にしない場合、フィルタの次元が2次元であるのが、最も分解能の改善効果が大きい。かかる場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、第1のデータに対して距離方向、方位方向に対してデコンボリューションを行う2次元フィルタを用いて第2のデータを生成する。計算負荷を低減させる場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、第1のデータに対して1次元フィルタを用いて第2のデータを生成するが、その場合、例えば分解能の影響がもともと大きい方位方向の1次元フィルタを用いて第2のデータを生成してもよい。
次に、図6を用いて、音場分布から音場に対応するフィルタ係数h1の係数を算出する方法について更に詳細に説明する。図6は、実施形態に係る超音波診断装置の行う処理について説明した図である。具体的には、図6には、x方向を距離方向、y方向を方位方向、z方向をスライス方向として、yz面での2次元フィルタに関するフィルタ係数h1を算出する場合について、フィルタh1(y,z)のカーネルサイズが5*5の例を用いて説明する。
図6(a)は、RAWデータを上面から見た図であり、図6(a)の丸一つ一つはラスタを表している。また、図6(b)は、RAWデータを正面から見た図である。方位方向のラスタピッチについて、リニア走査では、ラスタピッチ31は一定であり、以下Δyとおく。また、コンベックス走査、セクタ走査の場合は、ラスタピッチは深さx=xi毎に異なるが、各深さでは一定であり、これをΔyとおく。ここで、議論の簡略化のため、添え字iは省略している。
また、スライス方向のラスタピッチについて、操作者が、スライス方向に均一でより高い分解能を得るために、プローブを遅い・均一な速度で一定方向に動かす場合(平行移動の場合)について考える。かかる場合、プローブを略スライス方向に手動で移動するので、スライス方向のラスタピッチ30a、30b等は一般には異なる。これをΔz1、Δz2、Δz3、Δz4、等とおく。しかし、プローブが動く速度はほぼ均一な速度と考えて良いので、各フレームはほぼ平行で間隔はほぼ均一と考えて、Δz=mean(Δzk) (k=1,2,・・・,(M-1)、Mはフレーム枚数)を用いてもよい。
また、スライス方向のラスタピッチについて、操作者が、スライス方向に均一でより高い分解能を得るために、プローブを遅い・均一な角度で煽る場合(煽る場合)について考える。この場合、プローブを略スライス方向に手動で移動するので、スライス方向のラスタピッチは一般には異なる。また、深さによっても異なるが、或る深さx=xi(実空間上では円弧を成す)に着目してこれをΔz1、Δz2、Δz3、Δz4、とおく。しかし、プローブは均一な角度で煽られているので、各フレーム間の角度はほぼ均一と考えて、Δz=mean(Δzk) (k=1,2,・・・,(M-1)、Mはフレーム枚数)を用いてもよい。Δzは深さx=xiによって異なる。ここで、議論の簡略化のため、添え字iは省略している。
次に、図6(c)〜(e)を用いて、フィルタ係数h1の係数の算出について説明する。図6(c)の左右方向は方位方向を示し、グラフ35は方位方向の音場分布を示している。また、図6(d)の左右方向はスライス方向を示し、グラフ36はスライス方向の音場分布を示している。
図6(c)に示されているように、処理回路150は、音場算出機能150kにより、深さx=xiでの方位方向音場分布に対し、音場の中心を中央にして間隔Δyで5点のフィルタ係数ha1、ha2、ha3、ha4、ha5を、それぞれ位置32a、32b、32c、32d、32eにおける音場分布に基づいて算出する。
また、図6(d)に示されているように、処理回路150は、音場算出機能150kにより、深さx=xiでのスライス方向音場分布に対し、音場の中心を中央にして間隔Δz(または間隔Δz1、Δz2、Δz3、Δz4)で5点のフィルタ係数he1、he2、he3、he4、he5を、それぞれ位置33a、33b、33c、33d、33eにおける音場分布に基づいて算出する。
また、図6(e)は、フィルタのカーネルサイズを5×5にしたときの、yz面での音場に対応したフィルタ係数h1(x、y)の係数を示している。図6(e)からわかるように、処理回路150は、音場算出機能150kにより、2次元平面のフィルタ係数h1(x、y)の値を、方位方向及びスライス方向それぞれの方向のフィルタ係数の積として算出する。なお、2次元平面のフィルタ係数h1(x、y)の値は、合計値が1になるように正規化される。
なお、図6の例では、RAWデータは絶対値を取っているため常に非負であるため、音場分布も非負の値になるような値を用いたが、実施形態はこれに限られない。例えば受信信号P=I+jQに対してデコンボリューションを行う場合は、処理回路150が音場算出機能150kによりフィルタ係数を算出するのに使用される音場分布も、例えば符号を持った量として取り扱われても良い。
図3に戻り、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、信号データまたは画像データである第1のデータに対して、算出された音場に対する伝達関数H1を用いてデコンボリューションを行い第2のデータを生成する(ステップS120)。一例として、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、ステップS110において算出された音場に対する伝達関数H1に基づいて、式(10)と同様の計算により、ウィーナフィルタH1wを算出し、式(14)により、第1のデータに対して算出したウィーナフィルタH1wを用いたデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。
ステップS120の処理が、図4(c)〜(f)に示されている。図4(c)は、図4(b)の第1のデータを平面で切り出したデータを画像で模式的に表わし、上下方向が距離方向、左右方向が方位方向、前後方向がスライス方向を表す。平面5a、5b、5c、5dは、x方向(距離方向)の位置が異なる平面での画像を表す。画像がぼけた状態になっている。ここで、画像のぼけ方は方位方向の音場の形状やビーム幅wa、スライス方向の音場の形状やビーム幅weに依存する。方位方向の音場の形状やビーム幅wa、スライス方向の音場の形状やビーム幅weは距離(深さ)xに依存するので、画像のぼけ方は各平面で異なる。処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、各深さxiでの音場の形状とビーム幅wai、weiを求める。続いて、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、各深さにおいて、音場の形状とビーム幅wai、weiから、式(12)の音場に対応したフィルタh1(x,y)の係数を求める。続いて、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、求めたh1(x,y)の係数をフーリエ変換することにより伝達関数H1を算出し、算出した音場に対する伝達関数H1に基づいて、式(10)と同様の計算により、ウィーナフィルタH1wを算出する。ビーム幅wa及びweiは距離(深さ)に応じて決まることから、ウィーナフィルタH1wは、それぞれの距離(深さ)ごとに計算される。処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、式(14)で示されているように、図4(c)のデータに対してウィーナフィルタH1wを用いたデコンボリューションを行って式(14)の左辺の復元画像F''(u,v)を生成し、さらに復元画像F''(u,v)に対して逆フーリエ変換を行い、図4(d)の6a、6b、6c、6dの様な分解能が向上した画像を得る。即ち、図4(b)に対して図4(e)に示す分解能が向上したリニアデータ7a、7b、7c、7d、7eを得る。処理回路150は、さらに対数変換機能150dによりデータを対数圧縮して、図4(f)に示されているように、分解能が向上した3次元RAWデータ8a、8b、8c、8d、8eを得る。
また、処理回路150は、画像生成機能150jにより、第2のデータからボリューム画像、MPR画像または2次元画像のうち少なくとも一つの画像を生成してもよい。かかる場合、制御機能150bを有する処理回路150は、画像生成機能150jにより生成されたそれらの画像をディスプレイ135に表示させてもよい。
図7〜図9を用いて、実施形態に係る逆フィルタ処理機能150lによる処理の効果について説明する。図7は、比較例に係る超音波診断装置により得られたBモードMPR画像の一例である。それに対して、図8は、図7のBモードMPR画像に対して対数リニア変換を実行してリニアデータを生成したのち、ウィーナフィルタをかけた画像である。図8の画像は、図7の画像と比較して、分解能が改善している。また、図9は、図7のBモードMPR画像に対して、ウィーナフィルタではなく、式(7)の単純な逆フィルタをかけた場合を示している。かかる場合、画像の信号値が発散してしまっている。
なお、実施形態はこれに限られない。
ステップS120においてデコンボリューションを行う第1のデータとしては上述の例に限られず、例えば、対数変換機能150dによる処理後であって信号処理機能150fによる処理前のデータ(対数変換器出力データ)や、2乗加算機能150eによる処理後であって対数変換機能150dによる処理前のデータ(2乗加算器出力データ)に対して、処理回路150はデコンボリューションを行ってもよい。
処理回路150が、対数変換器出力データに対してデコンボリューションを行う場合、処理回路150は、対数変換器出力データをメモリ132に格納する。かかる場合、1ボリューム分のデータが格納された時点で、処理回路150は、メモリ132からデータを読出し、逆対数変換機能150cにより逆対数変換を行い、逆フィルタ処理機能150lにより逆フィルタ処理を行ったのちに、メモリ132に再度格納する。その後、処理回路150は、メモリ132からデータを読出し後段の処理を行う。
2乗加算器出力データを用いる場合は、2乗加算器出力データを(I2+Q2)1/2とし、処理回路150は、2乗加算器出力データを、メモリ132に格納する。1ボリューム分のデータが格納された時点で、処理回路150は、メモリ132からデータを読出し、逆フィルタ処理機能150lにより逆フィルタ処理を行い、メモリ132に再度格納する。その後、処理回路150は、メモリ132からデータを読出し後段の処理を行う。なお、処理回路150は、対数変換機能150dにより、対数圧縮を、例えば変換後の信号値が20log10(I2+Q2)1/2となるように行う。
このように、対数変換器データ出力や2乗加算器データ出力を用いてデコンボリューションを行う場合、メモリ132を用意する必要があるが、後段の信号処理器150fの影響を受けずに逆フィルタ処理ができるので精度を向上させることができる。
また、第1のデータの種類は上述の例に限られず、ラスタに対応したデータであるラスタデータをフレーム毎に持ち、位置の異なる複数フレームで3次元データが構成された3次元RAWデータや、3次元座標に対応付けられた3次元ボリュームデータ、またはラスタデータをフレーム単位で持つ2次元RAWデータであっても、実施形態は同様に適用可能である。また、第1のデータの例として、2次元アレープローブで収集を行う場合、ラスタデータはボリューム単位で保持されてもよい。
また、第1のデータとしては、MPR画像データでもよい。この場合、MPR画像は2次元データなので、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、2次元逆フィルタまたは1次元逆フィルタを用いてデコンボリューションを行う。また、処理回路150は、制御機能150bにより、逆フィルタ後のデータをディスプレイ135に表示してもよい。処理回路150がデコンボリューションを行う際、リニアデータに一旦変換するのは他の実施例と同様である。また、逆フィルタを用いる場合、RAWデータと比べ、MPR画像データを用いると、処理負荷を軽減することができる。
また、第1のデータとして、IQ信号そのものを用いることができる。すなわち、第1のデータは、I信号データまたはQ信号データである。この場合、処理回路150は、逆フィルタ処理機能150lにより、I、Qそれぞれの信号に対して逆フィルタをかけ、デコンボリューションを行う。また、処理回路150は、デコンボリューション後のI、Q信号をメモリ132に格納する。1ボリューム分のデータがメモリ132に格納された時点で、処理回路150は、取得機能150aにより、メモリ132からデータを読出し、逆フィルタ処理機能150lにより逆フィルタ処理を行い、メモリ132に再度格納する。その後、処理回路150はメモリ132からデータを読出し後段の処理を行う。
第1のデータとして受信信号を用いるとメモリの消費量が2倍になるが、2乗加算器出力以降の信号は絶対値をとっているのに対し、受信信号は振幅と位相を持った符号付きの信号なので、全体としての精度は向上する。また、Bモードデータに対して音場に対応する逆フィルタでデコンボリューションするので、Bモード画像の分解能が向上し、診断能が向上する。
(プログラム)
上述した実施形態の中で示した処理手順に示された指示は、ソフトウェアであるプログラムに基づいて実行されることが可能である。汎用コンピュータが、このプログラムを予め記憶しておき、このプログラムを読み込むことにより、上述した実施形態の超音波診断装置による効果と同様の効果を得ることも可能である。例えば、実施形態に係るデータ処理プログラムは、コンピュータに、超音波プローブが超音波を送受信して被検体の走査を行うことにより得られた第1のデータに対して、走査の対象となる場所の音場を示す情報に基づいて得られた伝達関数を用いてデコンボリューションを行い第2のデータを生成する処理を実行させる。
上述した実施形態で記述された指示は、コンピューターに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスクなど)、光ディスク(CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又はこれに類する記録媒体に記録される。コンピューター又は組み込みシステムが読み取り可能な記憶媒体であれば、その記憶形式は何れの形態であってもよい。コンピューターは、この記録媒体からプログラムを読み込み、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させれば、上述した実施形態の超音波診断装置と同様の動作を実現することができる。また、コンピューターがプログラムを取得する場合又は読み込む場合は、ネットワークを通じて取得又は読み込んでもよい。
また、記憶媒体からコンピューターや組み込みシステムにインストールされたプログラムの指示に基づきコンピューター上で稼働しているOS(Operating System)や、データベース管理ソフト、ネットワーク等のMW(Middleware)等が、上述した実施形態を実現するための各処理の一部を実行してもよい。更に、記憶媒体は、コンピュータあるいは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LAN(Local Area Network)やインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。また、記憶媒体は1つに限られず、複数の媒体から、上述した実施形態における処理が実行される場合も、実施形態における記憶媒体に含まれ、媒体の構成は何れの構成であってもよい。
なお、実施形態におけるコンピュータ又は組み込みシステムは、記憶媒体に記憶されたプログラムに基づき、上述した実施形態における各処理を実行するためのものであって、パソコン、マイコン等の1つからなる装置、複数の装置がネットワーク接続されたシステム等の何れの構成であってもよい。また、実施形態におけるコンピュータとは、パソコンに限らず、情報処理機器に含まれる演算処理装置、マイコン等も含み、プログラムによって実施形態における機能を実現することが可能な機器、装置を総称している。
(データ処理装置)
実施形態において、超音波診断装置にて実行されるデータ処理は、超音波診断装置以外の他の装置で実行されてもよい。例えば、実施形態で説明したデータ処理は、超音波診断装置とは独立に設置されたデータ処理装置や画像処理装置により行われる場合であってもよい。具体的には、取得機能150aや逆フィルタ処理機能150l、画像生成機能150j等の機能を有するデータ処理装置が、超音波診断装置、又は、PACSのデータベースや、電子カルテシステムのデータベースから超音波画像データ群や受信信号等を受信して上述した画像処理を行なう場合であってもよい。かかるデータ処理装置は、例えば図1で示される超音波診断装置の制御機能150b、取得機能150a、画像生成機能150jや逆フィルタ処理機能150lと同様の構成や機能等を備える。かかるデータ処理装置は、例えば、取得機能と、逆フィルタ機能とを備える。取得機能は、超音波プローブが超音波を送受信して被検体の走査を行うことにより得られた第1のデータを取得する。逆フィルタ機能は、第1のデータに対して、走査の対象となる場所の音場を示す情報に基づいて得られた伝達関数を用いてデコンボリューションを行い第2のデータを生成する。
また、一例として、かかるデータ処理装置(超音波画像処理装置)では、例えば実施形態に係る超音波診断装置がDICOMフォーマットでメモリ132内に保存したRAWデータ、または送受信条件データ等を直接に、例えばUSBメモリ等のデータ入出力インタフェースを介して、またはLAN等のネットワークインタフェースを介して、データ処理装置に入力する。超音波画像処理装置では、超音波診断装置で行った様々なデコンボリューション処理を行う。超音波画像処理装置では、超音波診断装置に比べて処理能力と処理時間に余裕を持たせることができるので、性能の高い逆フィルタや精度の高い音場データ生成方法を用いて、デコンボリューションの精度を向上させることもできる。
以上のように、実施形態に係る超音波診断装置によれば、画像の分解能を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。