JP6386824B2 - 架橋ゼラチンスポンジの製造方法 - Google Patents
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Description
そのような生体組織・臓器は多岐にわたり、例えば、皮膚、骨や軟骨、靭帯、筋肉、気管、食道、鼻、耳、血管、膵臓、肝臓等がある。
しかし、人工臓器では、(1)もとの臓器の機能をすべて代替すること困難を極めるという問題、(2)磨耗・緩み・破損が生じやすいという問題がある。
また、生体臓器移植の場合では、(1)ドナーの不足という問題、(2)免疫応答に基づく拒絶反応という問題、(3)免疫抑制に伴う感染症等の医学的リスク置いう問題がある。
生体組織工学では、例えば、(1)まず、生体より採取した細胞(生体細胞)を生体外で増殖させる、(2)次に、細胞の足場となる足場材料に、増殖させた生体細胞を播種する、(3)次に、生体外で培養して、生体組織を形成させる、(4)最後に、形成した生体組織を、生体内に移植するという工程により、生体組織・臓器の再生を行う。
また、上記工程において、(3)生体細胞を播種した足場材料を、生体内に埋め込む、(4)生体内で生体組織の再生を誘導する工程としてもよい。
生体組織工学による生体組織・臓器の再生手法では、ドナーを必要とせず、生体組織を形成でき、損傷等を修復、治療できるので、理想的とされている。
一般に、足場材料として、多孔質材料が用いられる。この多孔質材料には、生体に影響を及ぼさない性質としての生体適合性や、新しい生体組織が形成するとともに分解・吸収される生体吸収性等が要求される。
また、ゼラチン分子は荷電することから、反対の電荷をもつ分子と複合体を形成させることも可能である。
本発明は、以下の構成を有する。
(3) 前記空洞部が互いに連結孔で連通されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の架橋ゼラチンスポンジ。
(4) 前記連結孔の径が20μm以上1000μm以下であることを特徴とする(3)に記載の架橋ゼラチンスポンジ。
(6) 前記ゼラチンが、ブタ、ウシ、ニワトリ、魚骨、魚皮の群から選択されるいずれか一の素材に由来するゼラチンであることを特徴とする(1)に記載の架橋ゼラチンスポンジ。
(10) ゼラチン溶液を作製する工程が、ゼラチンに酢酸に加えて、ゼラチン溶液を調製する工程と、45℃で2時間撹拌する工程と、室温で4時間撹拌する工程と、を有することを特徴とする(7)に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
(12) 前記生体吸収性高分子がコラーゲン又はヒアルロン酸であり、前記細胞成長因子が上皮細胞成長因子(EGF)であり、前記細胞分化制御因子が骨形成因子(BMP)であり、前記低分子化合物がデキサメタゾンであることを特徴とする(10)に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
(13) 前記ゼラチン溶液のゼラチン濃度を0.001(w/v)%以上30(w/v)%以下とすることを特徴とする(10)に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
(17) 前記5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行う工程での凍結温度が−0.1℃以下−196℃以上であることを特徴とする(15)に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
(19) 前記架橋反応が、カルボジイミド、アルデヒド類或いはエポキシ類を用いた化学架橋法又は紫外線、ガンマ線或いは熱による物理的架橋法のいずれかであることを特徴とする(18)に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
(架橋ゼラチンスポンジ)
まず、本発明の第1の実施形態である架橋ゼラチンスポンジについて説明する。
図1は、本発明の実施形態である架橋ゼラチンスポンジの一例を示す図であって、斜視図(a)、A部拡大図(b)、B部拡大図(c)である。
図1(a)に示すように、本発明の実施形態である架橋ゼラチンスポンジ11は、略シート状である。しかし、この形状に限られるものではなく、前記ゼラチン基材の形状が、シート状、板状、球状、柱状又は管状の群から選択されるいずれか一の形状としてもよい。
図2(a)は、カルボジイミドを用いた化学架橋からなるアミド結合である。図2(b)は、アルデヒド類を用いた化学架橋からなるシッフ塩基結合である。図2(c)は、エポキシ類を用いた化学架橋からなるエポキシアミン結合である。
まず、本発明の第1の実施形態である架橋ゼラチンスポンジの製造方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態である架橋ゼラチンスポンジの製造方法の一例を示すフローチャート図である。
図3に示すように、本発明の実施形態である架橋ゼラチンスポンジの製造方法は、氷微粒子作製工程S1と、ゼラチン溶液作製工程S2と、鋳型作製工程S3と、ゼラチンスポンジを作製する工程S4と、架橋ゼラチンスポンジ作製工程S5と、を有する。
なお、氷微粒子作製工程S1と、ゼラチン溶液作製工程S2と、鋳型作製工程S3は、準備工程S0に属し、順番は考慮せず、いずれの工程を先に行ってもよいが、すべての工程を行うことを要する。
図4は、氷微粒子作製工程のフローチャート図である。図5は、氷微粒子作製工程図である。
図4に示すように、氷微粒子を作製する工程S1は、氷粒子作製工程S11と、容器移動工程S12と、容器静置工程S13と、氷篩い分け工程S14と、温度変更工程S15と、静置工程S16と、を有する。
容器移動工程S12では、低温チャンバー( −15℃)に容器ごと移す。
図5(b)に示すように、容器静置工程S13では、容器内の液体窒素が蒸発するまで、容器を静置する。
まず、大きな目開きの篩81により、氷粒子73を、第1濾過残留氷粒子74と、第1濾過氷粒子75に分ける。
次に、小さな目開きの篩82により、第1濾過氷粒子75を、第2濾過残留氷粒子76と、第2濾過氷粒子77に分ける。
これにより、第2濾過残留氷粒子76の径を0.1μm〜2000μmとする。氷微粒子の径が空洞部の径となる。つまり、球状の空洞部の径は氷微粒子の径によって制御される。空洞部の径は小さすぎると細胞を侵入させることができない。大きすぎると細胞の空間分布が不均一になる。
図5(e)に示すように、静置工程S16では、2時間静置する。
最終的に、氷微粒子45を、径が0.1μm以上2000μm以下の略球状にして作製する。
図6は、ゼラチン溶液作製工程S2のフローチャート図である。
図6に示すように、ゼラチン溶液作製工程S2は、ゼラチン溶液調製工程S22と、第1撹拌工程と、第2撹拌工程S23と、を有する。
例えば、前記酢酸が、15(v/v)%以上30(v/v)%以下の酢酸とする。ゼラチン溶液と氷微粒子の混合工程で凍結させないようにできる。
なお、ゼラチン溶液と氷微粒子の混合工程で凍結しなければ、濃度は限定されない。水と混和する溶媒であればほかの溶媒を使用することも可能である。
前記生体吸収性高分子としてコラーゲン又はヒアルロン酸、前記細胞成長因子として上皮細胞成長因子(EGF)、前記細胞分化制御因子として骨形成因子(BMP)、前記低分子化合物としてデキサメタゾンを挙げられる。
第2撹拌工程S23では、室温で4時間撹拌する。
図7は、鋳型作製工程S3のフローチャート図である。
図7に示すように、鋳型作製工程S3は、鋳型作製工程S31と、鋳型静置工程S32と、を有する。
鋳型静置工程S32では、鋳型を30分間静置する。
図8は、ゼラチンスポンジ作製工程S4のフローチャート図である。図9は、ゼラチンスポンジ作製工程図である。
図8に示すように、ゼラチンスポンジ作製工程S4は、ゼラチン溶液撹拌工程S41と、混合物作製工程S42と、混合物流延工程S43と、ガラス板かぶせ工程S44と、凍結物作製工程S45と、取り外し工程S46と、凍結乾燥工程S47と、を有する。
混合物作製工程S42では、ゼラチン溶液44に氷微粒子45を加え、4分間ゆっくりかき混ぜて、ゼラチン溶液/氷微粒子の混合物46を作製する。
前記ゼラチン溶液と前記氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液1mLに対して氷微粒子は0.01g以上10g以下とすることが好ましく、0.01g〜5gとすることがより好ましい。これにより、スポンジの力学強度を高くでき、気孔率も高くできる。氷微粒子の割合が高くなるほど気孔率は高くなるが、スポンジの力学強度は低下する。
図9(b)に示すように、ガラス板かぶせ工程S44では、混合物46の表面をスパーテルでならしてから、−5℃で冷却したガラス板47をかぶせる。
図9(c)に示すように、凍結物作製工程S45では、−80℃のディープフリーザーに、混合物46を鋳型ごと移し、12時間静置して、凍結物51を作製する。
図9(d)に示すように、取り外し工程S46では、−80℃のディープフリーザーから取り出し、凍結物51からガラス板47とフィルム42被覆銅板41を取り外す。
凍結物51は、凍結ゼラチン54に氷微粒子45が埋め込まれている。
凍結乾燥物61は、乾燥ゼラチン55に空洞部61cが形成されている。
凍結乾燥工程S47での凍結温度が−0.1℃以下−196℃以上であることが好ましく、−5℃から−80℃とすることがより好ましい。これにより、連通孔の径を所望の範囲とすることができる。温度が低くなるほど氷晶の成長速度は増加し、連通孔のサイズは小さくなる。
ゼラチンに他の種類の生体吸収性高分子や細胞成長因子、細胞分化制御因子等を添加する場合は、これらの添加物が変性しない温度範囲で凍結乾燥を行うことが好ましい。
図10は、架橋ゼラチンスポンジ作製工程S5のフローチャート図である。
図10に示すように、架橋ゼラチンスポンジ作製工程S5は、架橋反応工程S51と、洗浄工程S52と、 凍結乾燥工程S53と、を有する。
この工程では、ゼラチンスポンジを架橋して、架橋ゼラチンスポンジを作製する。
図11は、架橋反応工程S51のフローチャート図である。図12は、架橋ゼラチンスポンジ作製工程S5の一例を示す工程図である。3段階の架橋反応工程図を示している。
図11に示すように、架橋反応工程S51は、エタノール水溶液調製工程S511と、MES溶液作製工程S512と、架橋反応溶液調製工程S513と、浸漬保持工程S514と、エタノール水溶液調製工程S515と、を有する。
MES溶液作製工程S512では、エタノール水溶液にMESを撹拌しながら加えて、MES溶液を作製する。
架橋反応溶液調製工程S513では、MES溶液に、EDCとNHSを加えて、10分間撹拌して、架橋反応溶液を調製する。
浸漬保持工程S514では、凍結乾燥させた凍結物を架橋反応溶液に浸漬し、室温で8時間保持する。 これにより、図12に示す架橋反応第1段階が終了する。
乾燥ゼラチン55は、第1段階の部分架橋された乾燥ゼラチン56となる。
図14は、グルタルアルデヒドを用いたゼラチン分子の架橋反応の一例を示す図である。
図15は、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを用いたゼラチン分子の架橋反応の一例を示す図である。
第2段階の部分架橋された乾燥ゼラチン57となる。
わずかずつ架橋反応させることにより、ゼラチン分子をより均一に架橋することができる。
第3段階の部分架橋された乾燥ゼラチン58となる。
図16は、洗浄工程S52のフローチャート図である。図17は、架橋ゼラチンスポンジ作製工程S5の一例を示す工程図である。
洗浄工程S52では、ゼラチンスポンジを室温で30分間超純水に浸漬して洗浄する浸漬洗浄工程S521を行う。
これを繰り返し、所定の清浄回数となったときに終了する。例えば、10回繰り返す。
以上により、本発明の実施形態である架橋ゼラチンスポンジ11を製造できる。
(氷微粒子の作製)
以下のようにして、ゼラチン濃度2(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジを作製した。
まず、純水300mLを容器に満たした液体窒素10L中に噴霧した。
次に、−15℃に保った低温チャンバーに容器ごと移した。
次に、そのまま低温チャンバー内で2〜2.5時間静置した。これにより、液体窒素を蒸発させた。
次に、低温チャンバー内の温度を−5℃に変更し、2時間静置した。
以上の工程により、氷微粒子を作製した。
まず、0.2gのブタ由来ゼラチンに30(v/w)%酢酸に加えて、10mLの混合溶液を調製した。
次に、混合溶液を45℃で2時間撹拌した。
次に、室温で4時間撹拌した。
以上の工程により、ゼラチン溶液を作製した。
まず、低温チャンバー(−5℃)内で、ポリフルオロアルコキシエチレン(PFA)フィルムで被覆した銅板の上にシリコーンゴム枠(内寸は縦36.5×横66.5×厚み5mm)を配置して、鋳型を作製した。
次に、低温チャンバー(−5℃)内で、前記鋳型を30分間静置した。
以上により、鋳型を準備した。
まず、低温チャンバー(−5℃)内で、ゼラチン溶液4.2mLをガラス瓶に移し、20分間撹拌した。
次に、低温チャンバー(−5℃)内で、ゼラチン溶液/氷微粒子30/70(v/w)となるよう、ゼラチン溶液に氷微粒子9.8g加え、スパーテルで4分間ゆっくりかき混ぜて、ゼラチン溶液/氷微粒子の混合物を作製した。
次に、余分なゼラチン溶液/氷微粒子混合物を取り除いた。
次に、混合物の表面をスパーテルでならした。
次に、その上から−5℃で冷却したガラス板をかぶせた。
次に、凍結物からガラス板とPFAフィルム被覆銅板を取り外した。
次に、室温、5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行った。
以上の工程により、ゼラチンスポンジを作製した。
次に、ゼラチンスポンジの架橋反応を3段階の工程に分けて行った。
まず、エタノール/水(95/5、v/v)30mLに0.03gの2−モルホリノエタンスルホン酸(MES、終濃度0.1wt%)を撹拌しながら加えて、MES溶液を作製した。
次に、このMES溶液に、0.288gの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC、終濃度50mM)と0.069gのN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS、終濃度20mM)を加えて、10分間撹拌して、架橋反応溶液を調製した。
これにより、第1段階の架橋反応を行った。
まず、エタノール/水(90/10、v/v)30mLに0.03gのMESを撹拌しながら加えて、第1段階で用いたMES溶液とは濃度の異なるMES溶液を作製した。
次に、このMES溶液に0.288gのEDCと0.069gのNHSを加えて、10分間撹拌して、架橋反応溶液を調製した。
次に、この架橋反応溶液に第1段階の架橋反応後のゼラチンスポンジを室温で8時間浸漬した。
これにより、第2段階の架橋反応を行った。
まず、エタノール/水(85/15、v/v)30mLに0.03gのMESを撹拌しながら加えて、第1段階及び第2段階で用いたMES溶液とは濃度の異なるMES溶液を作製した。
次に、このMES溶液に0.288gのEDCと0.069gのNHSを加え10分間撹拌して、架橋反応溶液を調製した。
次に、この架橋反応溶液に第2段階の架橋反応後のゼラチンスポンジを室温で8時間浸漬した。
これにより、第3段階の架橋反応を行った。
前記洗浄を全部で10回繰り返した。
10回の洗浄後、5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行った。
以上の工程により、ゼラチン濃度2(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジ(実施例1−1)を得た。
ブタ由来ゼラチンの量を0.4gとした他は実施例1−1と同様にして、ゼラチン濃度4(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジ(実施例1−2)
を作製した。
ブタ由来ゼラチンの量を0.6gとした他は実施例1−1と同様にして、ゼラチン濃度6(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジ(実施例1−3)
を作製した。
ブタ由来ゼラチンの量を0.8gとした他は実施例1−1と同様にして、ゼラチン濃度8(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジ(実施例1−4)
を作製した。
得られた架橋ゼラチンスポンジのSEM観察を行った。
図18は、得られた架橋ゼラチンスポンジの走査電子顕微鏡写真である。
2、4、6、8(w/v)%の濃度で作製した各ゼラチンスポンジはいずれも、複数の球状の空孔と、それらを互いに連通する空隙からなる多孔質構造を有していた。
球状の空孔の大きさは、氷微粒子のサイズを反映していた。
ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液/氷微粒子20/80(v/w)となるように変えた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例2−1)
を作製した。
ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液/氷微粒子25/75(v/w)となるように変えた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例2−2)
を作製した。
ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液/氷微粒子40/60(v/w)となるように変えた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例2−3)
を作製した。
ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液/氷微粒子50/50(v/w)となるように変えた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例2−4)
を作製した。
表1は、ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比の条件をまとめたものである。
球状の空孔が均一に分布したゼラチンスポンジを作製するためには、ゼラチン溶液と氷微粒子を均一に混合する必要がある。氷微粒子が融解しない温度で混合工程を行う必要があるが、一般にゼラチンは低温にすればするほどゲル化しやすくなるため、均一に混合することは困難である。そこで、酢酸を含有したゼラチン水溶液を用いることにより、ゼラチンのゲル化を防ぐことができ、ゾル状態のゼラチンと氷微粒子を均一に混合することができた。
得られた架橋ゼラチンスポンジのSEM観察を行った。
図19は、得られた架橋ゼラチンスポンジの走査電子顕微鏡写真である。
ゼラチン溶液と氷微粒子の混合比(ゼラチン溶液の体積/氷微粒子の重量)20/80、25/75、40/60、および50/50で作製した各ゼラチンスポンジは、氷微粒子のサイズを反映した球状の空孔構造と、球状の空孔を連通する空隙からなる多孔質構造を有していた。
凍結温度を−80℃に変え、15(v/w)%酢酸溶液を用いた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例3−1)を作製した。
凍結温度を−30℃に変え、15(v/w)%酢酸溶液を用いた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例3−2)を作製した。
凍結温度を−20℃に変え、15(v/w)%酢酸溶液を用いた他は実施例1−2と同様にして、架橋ゼラチンスポンジ(実施例3−3)を作製した。
得られた架橋ゼラチンスポンジのSEM観察を行った。
図20は、得られた架橋ゼラチンスポンジの走査電子顕微鏡写真である。
−80〜−20℃の凍結温度で作製した各ゼラチンスポンジは、氷微粒子のサイズを反映した球状の空孔構造と、球状の空孔を連通する空隙からなる多孔質構造を有していた。
実施例1−2と、実施例3−1について、新たな試料を作製して、顕微鏡観察することにより、溶媒依存性の効果の検討を行った。
図21は、実施例1−2と、実施例3−1の架橋ゼラチンスポンジの走査電子顕微鏡写真である。
ゼラチン溶液の溶媒を変えて作製した各ゼラチンスポンジは、氷微粒子のサイズを反映した球状の空孔構造と、球状の空孔を連通する空隙からなる多孔質構造を有した。
表2に、各実施例の作製条件をまとめた。
氷微粒子を用いなかった他は実施例1−1と同様にして、ゼラチン濃度4(w/v)%の架橋ゼラチンスポンジ(比較例1)を作製した。
得られた架橋ゼラチンスポンジのSEM観察を行った。
図22は、比較例のゼラチンスポンジの走査電子顕微鏡写真である。
Leaf−like構造とよばれる空孔壁が一方向に重なった空孔構造が形成されていた。各空洞部は孤立して形成され、連通されておらず、細胞を均一分散させることはできなかった。
Claims (13)
- 氷微粒子を作製する工程と、
ゼラチン溶液を作製する工程であって、前記ゼラチン溶液はゼラチンと酢酸とを含有し、前記酢酸の濃度は15(v/v)%以上30(v/v)%以下の範囲である、工程と、
鋳型を作製する工程と、
前記氷微粒子と前記ゼラチン溶液とからなる混合物を前記鋳型に流し込み、ゼラチンスポンジを作製する工程と、
前記ゼラチンスポンジを架橋して、架橋ゼラチンスポンジを作製する工程と、
を有することを特徴とする架橋ゼラチンスポンジの製造方法。 - 前記氷微粒子を作製する工程が、純水を容器に満たした液体窒素中に噴霧して、氷微粒子を作製する工程と、低温チャンバー(−15℃)に前記容器ごと移す工程と、前記容器内の液体窒素が蒸発するまで、前記容器を静置する工程と、大きな目開きの篩と小さな目開きの篩を用いて所定の径の氷を篩い分ける工程と、前記低温チャンバー内の温度を−5℃に変更する工程と、2時間静置する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記氷微粒子を、径が0.1μm以上2000μm以下の略球状にして作製することを特徴とする請求項2に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記ゼラチン溶液を作製する工程が、前記ゼラチンを前記酢酸に加えて、ゼラチン溶液を調製する工程と、45℃で2時間撹拌する工程と、室温で4時間撹拌する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記ゼラチン溶液に、生体吸収性高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子又は低分子化合物の群から選択されるいずれか一又は二以上の材料を添加することを特徴とする請求項4に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記生体吸収性高分子がコラーゲン又はヒアルロン酸であり、前記細胞成長因子が上皮細胞成長因子(EGF)であり、前記細胞分化制御因子が骨形成因子(BMP)であり、前記低分子化合物がデキサメタゾンであることを特徴とする請求項5に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記ゼラチン溶液のゼラチン濃度を0.001(w/v)%以上30(w/v)%以下とすることを特徴とする請求項4に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記鋳型を作製する工程が、低温チャンバー(−5℃)内で、フィルム被覆銅板の上にシリコーンゴム枠を配置して、鋳型を作製する工程と、前記鋳型を30分間静置する工程と、を有することを特徴とする請求項1に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記ゼラチンスポンジを作製する工程が、前記ゼラチン溶液をガラス瓶に移し、20分間撹拌する工程と、前記ゼラチン溶液に前記氷微粒子を加え、4分間ゆっくりかき混ぜて、前記ゼラチン溶液と前記氷微粒子とからなる混合物を作製する工程と、前記鋳型の前記シリコーンゴム枠部分の内側に、前記混合物を流延する工程と、前記混合物の表面をスパーテルでならしてから、−5℃で冷却したガラス板をかぶせる工程と、−80℃のディープフリーザーに、前記混合物を前記鋳型ごと移し、12時間静置して、凍結物を作製する工程と、前記凍結物から前記ガラス板と前記フィルム被覆銅板を取り外す工程と、5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行う工程と、を有することを特徴とする
請求項8に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。 - 前記ゼラチン溶液と前記氷微粒子の混合比を、ゼラチン溶液1mLに対して氷微粒子は0.01g以上10g以下とすることを特徴とする請求項9に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記5Pa以下の減圧下で48時間凍結乾燥を行う工程での凍結温度が−0.1℃以下−196℃以上であることを特徴とする請求項9に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記架橋ゼラチンスポンジを作製する工程が、凍結乾燥させた凍結物を架橋反応させる工程と、洗浄する工程と、凍結乾燥を行う工程と、を有することを特徴とする請求項9に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
- 前記架橋反応が、カルボジイミド、アルデヒド類或いはエポキシ類を用いた化学架橋法又は紫外線、ガンマ線或いは熱による物理的架橋法のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の架橋ゼラチンスポンジの製造方法。
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