JP5205673B2 - コラーゲンスポンジ及び製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、疾患や事故などの原因で損傷、失った骨や軟骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の生体組織・臓器を修復するために、それらの生体組織・臓器に分化して組織化する細胞を載せるために高い気孔率と高い孔連通性を有する培養多孔質材料であるコラーゲンスポンジ及び製造方法に関するものである。
事故や病気などの原因で損傷を受けたり、失われたりした軟骨や皮膚、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の生体組織・臓器を修復、治療するために、人工臓器や臓器移植による治療は従来の治療法です。しかしながら、人工臓器の場合では、機能が不十分、人工物による磨耗・緩み・破損などの問題点がある。また、組織移植の場合では、ドナーの不足という問題に加え、ドナーが他人の場合、免疫応答に基づく拒絶反応という問題もある。このような種々の問題点の存在により、現在では、再生医工学手法による治療法(再生医療)は、臓器移植と比較してドナーを必要としないことから、理想的な方法であると考えられている。
この方法では、生体外で生体の細胞を増殖させ、生体細胞や組織の足場とする基盤材料に播種し、生体外で培養し、生体組織が形成した後、生体内に移植する。あるいは、生体細胞を基盤材料に播種し、生体内に埋め込み、生体内で生体組織の再生を誘導する。そのため、生体組織の形成を誘導、促進し、生体組織の形態を維持する基盤材料は非常に重要な役割を果たしている。この多孔質材料には、生体に影響を及ぼさない性質としての生体適合性や、新しい生体組織が形成すると共に分解・吸収される生体吸収性や、十分な力学強度などが要求される。
コラーゲンスポンジは高い生体親和性と生体吸収性を持つので、再生医療のための多孔質材料として広く用いられている。これまで、コラーゲンスポンジの作製には、凍結乾燥法が用いられてきた。凍結乾燥法では、コラーゲン水溶液が凍結する際に生じる氷晶が、細孔形成のテンプレートの役割を果たす。H. Schoofらは、コラーゲンスポンジの細孔構造を制御するため、氷晶の成長速度を調べた(H. Schoof et al. J. Crystal Growth, 209, 122-129, 2000)。その結果、氷晶の成長に関する知見は得られたが、細孔構造のばらつき、独立した氷晶の成長による不連続孔の形成、スキン層による細孔の閉塞という問題が残り、今のところ再生医療用材料としての理想的な構造をそなえたものは得られていない。
本発明は、従来技術のこのような問題点を解決することを課題とするものである。
具体的には、氷の微粒子を用いて、コラーゲンを主成分とし、漏斗状構造(ブフナー漏斗)を有する多孔質構造により連通した細孔をもつスポンジ、及びその製造方法に関するものである。
発明1は、コラーゲンを基材とし、粒子状空隙部と針状空隙部とからなり、前記粒子状空隙部が多数の針状空隙部により相互に連通されてなる多孔質構造を有するコラーゲンスポンジであって、その外表面に粒子状空隙部が開口していることを特徴とする。
発明2は、発明1のコラーゲンスポンジにおいて、その表面のうちの一面には、粒子状空隙部が開口していることを特徴とする。
発明3、発明1又は2のコラーゲンスポンジの製造方法において、表面に氷微粒子を分散配置した型板表面に、コラーゲン水溶液を積層して、コラーゲン水溶液よりなる層の片面に氷微粒子を分散させて凍結乾燥することで、前記氷微粒子を核として前記コラーゲン水溶液中の水分を針状に凍結して、これらの氷を乾燥除去して後に、コラーゲン成分を架橋することを特徴とする。
発明4、発明3のコラーゲンスポンジの製造方法において、コラーゲン水溶液中に氷微粒子を混合して、前記水溶液全体に氷微粒子分散させたものを、表面に氷微粒子を分散配置した型板表面に積層して凍結乾燥することで、前記氷微粒子を核として前記コラーゲン水溶液中の水分を針状に凍結して、これらの氷を乾燥除去して後に、コラーゲン成分を架橋することを特徴とする。
本発明は、疾患や事故などの原因で損傷、失った骨や軟骨、靭帯、皮膚、血管、膵臓、肝臓等の生体組織・臓器を修復するために、それらの生体組織・臓器に分化して組織化する細胞を高密度で、効率がよく播種できる培養多孔質基盤材料及び製造方法に関するものである。
本発明1から2では、粒子状空隙部と針状空隙部との接合部分は漏斗状構造を呈しており、このような構成故に、隣接する細孔に細胞の送達が簡易になり、細胞を多孔質基盤材料に効率よく播くことができる。
そして、このような特殊な構造を持たせることが、発明3、4に記載の方法により実現できるようになった。
特に、表面に粒子状空隙部を有するものでは、細胞をスポンジ内部に浸透させやすく配置させることができるという利点を合わせ発揮するものである。
以下、本発明をさらに詳述する。
本発明のコラーゲンスポンジは、氷微粒子を用いて、冷却することにより、コラーゲンと主成分とする溶液中での氷の成長を制御し、成長した氷をテンプレートとして多孔質構造を制御し、これを凍結乾燥することにより、氷が除去され、漏斗状の多孔質構造と、内部には連続した細孔をもつコラーゲンスポンジが得られる。
その製造方法には幾つかあり、その代表例を図1から図3に模式的に示し、その概要を以下に説明する。
<製法1(図1参照)>
本製法は、内部に粒子状空隙部(4)を配置する例を示す。
S1:予め氷の微粒子(1)を用意し、これをコラーゲン水溶液(2)に混合して全体に分散させる。
S2、S3:これを凍結乾燥する。
この凍結乾燥の過程で、凍結過程(S2)では、コラーゲン水溶液中の水分が、氷微粒子(1)を核とする毬状(針状)(3)に結晶化し、これら氷が乾燥過程(S3)で除去され、粒子状空隙部(4)と針状空隙部(5)とからなる漏斗状部分を有する連続した多孔質構造を形成する。
<製法2(図2参照)>
硬質の型板上に予め氷微粒子を分散配置しておき、この上にコラーゲン水溶液を積層して覆い、これを凍結乾燥して、一表面に漏斗状部分を有する連続した多孔質構造を形成する。
<製法3(図3参照)>
硬質の型板上に予め氷微粒子を分散配置しておき、予め氷の微粒子を用意し、これをコラーゲン水溶液に混合して、全体に分散させたコレーゲン水溶液を作成して、これを前記型板表面に積層して覆い、これを凍結乾燥して、一表面に漏斗状部分が暴露され、内部にも漏斗状部分が分散配置された多孔質構造を形成する。
本製法は、前記製法1、2を融合したものである。
いずれの製法も多孔質構造を形成した後に、コラーゲン成分を架橋することで、漏斗状部分を有する連続した多孔質構造をもったコラーゲンスポンジを形成する。
前記製法2、3において、コラーゲン水溶液を型板上に積層する場合は、当該水溶液が凍結せず、氷微粒子が溶けない型板温度とする。望ましい0℃から−10℃である。
凍結乾燥する温度はコラーゲンを主成分とする溶液或いは混合物は凍ればよい。温度は0℃から−196℃で、望ましくは、0℃から−80℃である。温度を低くすればするほど、氷晶の成長速度が速くなり、針状空隙部は細くなる。
氷微粒子とコラーゲンを主成分とする溶液の割合は高くなると、内部多孔質構造の孔繋がりは良くなり、気孔率も高くなるが、できたコラーゲンスポンジの力学強度は低くなる。氷微粒子とコラーゲンを主成分とした溶液の割合はコラーゲンスポンジの力学強度が適当である範囲内であれば良い。一般的にコラーゲンを主成分とした溶液1mLにたして氷微粒子の割合は0.01g〜10gである。ただし、氷微粒子の割合が高くなるほど、空孔率は大きくなるが、得られるスポンジの力学強度は低下してしまう。望ましい割合は0.1g〜5gである。
氷微粒子との混合物でも良い、氷微粒子を添加せずそのままで氷を形成させた板の表面に載せてもよい。
前記製法1における氷微粒子は、以下のようにして製造する。
液体窒素に純水をスプレーすることにより、氷の微粒子を調製する。形成した氷の微粒子の直径はスプレーと液体窒素液面の距離、スプレーの口径とスプレーの速度により制御できる。
氷微粒子の直径は0.1〜2×10μm、材料の内部に細胞を均一に配置させるためには、20〜1×10μm程度とするのが好ましい。
調整した氷の微粒子を低温で篩を用いて、一定直径の氷微粒子をふるい分けた。氷の微粒子はそのまま、或いは篩でふるい分けた一定直径の氷微粒子を使えばよい。氷微粒子の保存、あるいは篩い分け操作は氷が解けない温度であれば良く、0℃から−80℃が望ましい。
前記製法2、3において、型板上に氷微粒子を分散配置する(以下型板付着法という。)には、以下のようにする。
冷却したテフロンなどの型板の表面に純水をスプレーすることにより、板の表面に氷の微粒子を形成させる。形成した氷の微粒子の直径はスプレーと板の距離、スプレーの口径とスプレーの速度により制御できる。
この場合の氷微粒子の直径は、0.1〜20×10μm、好ましくは20〜10×10μm程度とするのがよい。細胞培養用の基材として使用する場合には、直径が小さすぎると細胞を侵入させることができない。また、大きすぎると細胞の空間分布は悪くなる。
表面に氷微粒子を形成した型板を氷が融けない温度で保存する。保存温度は0℃から−8×10℃とするのが望ましい。
基板表面における氷微粒子は互いに繋がってもよいし、1×10−2〜1×10μmの間隔があってもよい。氷微粒子の間隔が広すぎると連通性が低下するので、望ましい間隔は1×10μm以下である。
コラーゲンと主成分とした水溶液の物質として、コラーゲン単独でもよい、コラーゲン溶液にさらに生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、および細胞分化制御因子、或いはこれらの誘導体の1種類以上を添加してよい。
コラーゲンにはI、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X型などのものがあるが、本発明においてはこれらの何れも使用でき、これらの誘導体を使用してもよい。コラーゲンの濃度は1×10−2mg/mLから3×10mg/mLとすることができるが、コラーゲンの濃度を高くすればするほど、得られるスポンジの力学強度は高くなるが、空孔率は低下してしまう。望ましい濃度は0.1mg/mLから1×10mg/mLである。
生体吸収性天然高分子は、自然に存在する、あるいは生体に由来するもので、生体親和性を示すものであれば、何れも使用できるが、コラーゲン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ゼラチン、フィブロネクチン、及びラミニンなどから選ばれた1種以上のものが使用される。
細胞成長因子と細胞分化制御因子は細胞の成長、分化を制御できるものであれば、何れも使用できるが、上皮細胞成長因子(EGF)、インシュリン、血小板由来増殖因子(PDGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、β型形質転換増殖因子(TGF−β)、骨形成因子(BMP)、デキサメタゾンなどから選ばれた1種以上のもの或いはこれらの誘導体があるが、本発明においてはこれらの何れも使用できる。
上記の生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはこれらの誘導体の濃度は1×10−3μg/mLから2×10mg/mLである。これらの濃度が低すぎると、目的の効果が十分には得られないだけでなく、調製時に容器に非特異吸着し、損失する恐れがある。また、濃度が高すぎると凝集しやすくなる。そこで、望ましい濃度は1×10−2μg/mLから10mg/mLである。
溶液として水溶液でも良い、ほかの水との混合溶媒を使ってもよい。水との混合溶媒として用いられる溶媒として水と混合でき、コラーゲンや生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子或いはこれらの誘導体に影響がなければ何でもよい。このような溶媒の例としては、エタノール、メタノールなどが挙げられる。溶媒の割合は0.1%〜99.0%とすることが可能であるが、溶媒の濃度が高すぎると、生体分子が変性・失活しやすくなる。そこで、望ましい割合は0.5〜10%である。
本発明で用いられる架橋方法としては、従来公知のものが何れも使用できる。例えば、ガンマ線による架橋方法、紫外線照射による架橋方法、加熱による架橋方法、ガスによる架橋方法がある。紫外線照射による架橋方法は多孔質材料に一定距離において、紫外線を一定時間で照射することにより架橋する。
加熱による架橋方法では、一定の真空下で、多孔質材料を加熱することにより、架橋する。真空度と温度は多孔質材料を変性させず、水分を除けて架橋できれば良い。真空度は低くなると、架橋効果は悪くなるし、多孔質材料は変性しやすい。温度は低くなると、架橋効果は悪くなり、架橋時間も長くなる。一方、温度は高すぎると、多孔質材料は変性してしまう。真空度は1×10−4〜50Torr、好ましくは1×10−3〜10Torr程度とするのがよい。温度は5×10〜2×10℃、好ましくは8×10〜1.5×10℃とするのがよい。
ガスによる架橋方法として、好ましく使用される架橋剤は、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドのようなアルデヒド類、特にグルタルアルデヒドである。
具体的には、上記のコラーゲン、生体吸収性天然高分子、細胞成長因子、細胞分化制御因子またはこれらの誘導体を架橋するに際し、一定温度で一定濃度の架橋剤又はその水溶液で飽和した架橋剤蒸気の雰囲気下で一定時間架橋を行う。
架橋温度は、多孔質材料が溶解せず、且つ架橋剤の蒸気が形成できる範囲内で選定すればよく、通常、2×10〜5×10℃に設定される。
架橋時間は、架橋剤の種類や架橋温度にもよるが、上記の多孔質材料の親水性や生体吸収性を阻害せず、かつ生体移植時にこのものが溶解しないような架橋固定化が行われる範囲に設定するのが望ましい。好ましい架橋時間は1/6〜12時間程度である。
比較例1
本比較例は前記製法1による例である。コラーゲン水溶液と氷微粒子を混合し、この混合物を凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ1を調製した。
蒸留水を液体窒素にスプレーすることにより、氷微粒子を調製した。目開き425μmの篩を−30℃で予め冷却した後、−3×10℃で直径425μm以下の氷微粒子をふるい分けた。
振るい分けた氷微粒子を−1℃で24時間置いて氷微粒子の温度を−1℃に保った。そして、4℃で置いた1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)を−1℃の低温チャンバーに移動し、この溶液1mLと氷微粒子1gを混合し、混合物を−8×10℃で12時間凍結した。凍結後、減圧下(0.01Torr)で48時間凍結乾燥し、多孔質構造を形成した。
その後、25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。
さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−8×10℃で4時間凍結し、48時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ1を調製した。
得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図4に示す。孔と孔が繋がった多孔質構造を有することが分かった。
比較例2
本比較例は前記製法1による別例である。コラーゲン水溶液とエタノール(95:5)の混合溶液と、氷微粒子(70%)を混合し、この混合物を凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ2を調製した。
蒸留水を液体窒素にスプレーすることにより、氷微粒子を調製した。目開き500μと355μmの篩を−30℃で予め冷却した後、−30℃で直径500μから355μmまでの氷微粒子をふるい分けた。振るい分けた氷微粒子を−1℃で24時間置いて氷微粒子の温度を−1℃に保った。そして、1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)とエタノールを体積比が95:5の割合で混合し、コラーゲンのエタノール水溶液を調整した。調整した混合溶液を−1℃で4時間置いて混合溶液の温度を−1℃に保った。さらに、−1℃の低温チャンバーで、コラーゲンのエタノール水溶液3mLと氷微粒子7gを混合し、混合物を−80℃で12時間凍結した。凍結後、減圧下(0.01Torr)で48時間凍結乾燥し、コラーゲンスポンジを形成した。
作製したコラーゲンスポンジを25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で4時間凍結し、48時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ2を調製した。得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図5に示す。孔と孔が繋がった多孔質構造を有することが分かった。
比較例3
本比較例は前記製法1による別例である。コラーゲン水溶液とエタノール(90:10)の混合溶液と、氷微粒子(50%)を混合し、この混合物を凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ3を調製した。
蒸留水を液体窒素にスプレーすることにより、氷微粒子を調製した。目開き500μと355μmの篩を−30℃で予め冷却した後、−30度で直径500μから355μmまでの氷微粒子をふるい分けた。振るい分けた氷微粒子を−1℃で24時間置いて氷微粒子の温度を−1℃に保った。そして、1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)とエタノールを体積比が90:10の割合で混合し、コラーゲンのエタノール水溶液を調整した。調整した混合溶液を−1℃で4時間置いて混合溶液の温度を−1℃に保った。さらに、−1℃の低温チャンバーで、コラーゲンのエタノール水溶液5mLと氷微粒子5gを混合し、混合物を−80℃で12時間凍結した。凍結後、減圧下(0.01Torr)で48時間凍結乾燥し、コラーゲンスポンジを形成した。
作製したコラーゲンスポンジを25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で4時間凍結し、48時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ3を調製した。得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図6に示す。孔と孔が繋がった多孔質構造を有することが分かった。
本実施例は前記製法2による例である。コラーゲン水溶液を、氷微粒子を形成させたテフロン型板の上に載せ、これを凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ4を調製した。
テフロンシートを金属型板の上に載せ、−5℃で冷却した後、チャンバーに入れて、テフロン表面に向かって、蒸留水をスプレーすることにより、テフロンシートの表面に氷微粒子を調製した。当該氷微粒子の位相差顕微鏡の写真を図7に示す。氷の微粒子はテフロンシートの表面に形成していることが分かった。
氷微粒子を形成したテフロンシートを−30℃で5時間後置いた。これを−1℃の低温チャンバーに移動し、100mm×60mmの長方形にくり抜いた0.5mmのシリコン板のモールドを重ねた。このモールドに、1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)を3mL加えた。これを−80℃で24時間凍結した後、減圧下(0.01Torr)で24時間凍結乾燥し、スポンジを形成させた。
このようにして多孔質構造を形成ものを25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で4時間凍結し、24時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ4を調製した。得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図8に示す。コラーゲンスポンジの表面には漏斗状表面構造(ブフナー漏斗)を有することが分かった。
本実施例は前記製法2による別例である。コラーゲン水溶液とエタノール(90:10)の混合溶液を、氷微粒子を形成させたテフロン型板の上に載せ、これを凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ2を調製した。
テフロンシートを金属型板の上に載せ、−5℃で冷却した後、チャンバーに入れて、テフロン表面に向かって、蒸留水をスプレーすることにより、テフロンシートの表面に氷微粒子を調製した。
当該氷微粒子の位相差顕微鏡の写真を図7に示す。氷の微粒子はテフロンシートの表面に形成していることが分かった。
氷微粒子を形成したテフロンシートを−30℃で5時間置いた。−1℃の低温チャンバーに移動し、4時置いて、温度をー1℃に保った。そして、1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)とエタノールを体積比が90:10の割合で混合し、コラーゲンのエタノール水溶液を調整した。調整した混合溶液を−1℃で4時間置いて混合溶液の温度を−1℃に保った。その後、−1℃の低温チャンバーで、氷微粒子を形成した型板の上にコラーゲンのエタノール水溶液を載せ、−80℃で24時間凍結した。凍結後、減圧下(0.01Torr)で24時間凍結乾燥し、多孔質構造を形成した。
このようにして多孔質構造を形成させたものを25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で4時間凍結し、24時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ5を調製した。得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図9に示す。コラーゲンスポンジの表面には漏斗状表面構造(ブフナー漏斗)を有することが分かった。
本実施例は前記製法3による例である。コラーゲン水溶液と氷微粒子を混合し、この混合物を、氷微粒子を形成させたテフロン型板の上に載せ、これを凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ6を調製した。
テフロンシートを金属型板の上に載せ、−5℃で冷却した後、チャンバーに入れて、テフロン表面に向かって、蒸留水をスプレーすることにより、テフロンシートの表面に氷微粒子を調製した。氷微粒子を形成したテフロンシートを−1℃で4時間置いた。
当該氷微粒子の位相差顕微鏡の写真を図7に示す。氷の微粒子はテフロンシートの表面に形成していることが分かった。
蒸留水を液体窒素にスプレーすることにより、氷微粒子を別途調製した。目開き500μと355μmの篩を−30℃で予め冷却した後、−30度で直径500μから355μmまでの氷微粒子をふるい分けた。振るい分けた氷微粒子を−1℃で24時間置いて氷微粒子の温度を−1℃に保った。そして、4℃で置いた1.0wt%のブタI型アテロコラーゲン酸性水溶液(pH=3.0)を−1℃の低温チャンバーに移動し、この溶液1mLと氷微粒子1gを混合した。
氷微粒子を形成したテフロンシートを−1℃の低温チャンバーに移動し、100mm×60mmの長方形にくり抜いた0.5mmのシリコン板のモールドを重ねた。このモールドに、氷とコラーゲン水溶液の混合物を3mL充てんした。−80℃で24時間凍結した。凍結後、減圧下(0.01Torr)で24時間凍結乾燥し、多孔質構造を形成した。
このようにして多孔質構造を形成ものを25wt%のグルタルアルデヒド水溶液で飽和したグルタルアルデヒド蒸気下で、37℃、4時間架橋処理した後、蒸留水で5回洗浄した。さらに、0.1Mのグリシン水溶液で未反応アルデヒド基のブロッキング処理を24時間行った後、蒸留水で20回洗浄した。これを−80℃で4時間凍結し、24時間凍結乾燥することにより、コラーゲンスポンジ6を調製した。得られたコラーゲンスポンジの電顕写真を図10に示す。コラーゲンスポンジの表面には漏斗状表面構造(ブフナー漏斗)と孔と孔が繋がった多孔質構造を有することが分かった。
なお、中に氷微粒子を混合したものとしては、前記比較例1から3のいずれかを用いることに何ら困難はない。
製法1を示す模式図。 製法2を示す模式図。 製法3を示す模式図。 比較例1によるコラーゲンスポンジの電顕写真。a:全体像;b:拡大像。 比較例2によるコラーゲンスポンジの電顕写真。 比較例3によるコラーゲンスポンジの電顕写真。 テフロン板に形成させた氷微粒子の光学顕微鏡写真。 実施例1によるコラーゲンスポンジの電顕写真。 実施例2によるコラーゲンスポンジの電顕写真。 実施例3によるコラーゲンスポンジの電顕写真。

Claims (4)

  1. コラーゲンを基材とし、粒子状空隙部と針状空隙部とからなり、前記粒子状空隙部が多数の針状空隙部により相互に連通されてなる多孔質構造を有するコラーゲンスポンジであって、その外表面に粒子状空隙部が開口していることを特徴とするコラーゲンスポンジ
  2. 請求項1に記載のコラーゲンスポンジにおいて、その表面のうちの一面には、粒子状空隙部が開口していることを特徴とするコラーゲンスポンジ
  3. 請求項1又は2に記載のコラーゲンスポンジの製造方法において、表面に氷微粒子を分散配置した型板表面に、コラーゲン水溶液を積層して、コラーゲン水溶液よりなる層の片面に氷微粒子を分散させて凍結乾燥することで、前記氷微粒子を核として前記コラーゲン水溶液中の水分を針状に凍結して、これらの氷を乾燥除去して後に、コラーゲン成分を架橋することを特徴とするコラーゲンスポンジの製造方法
  4. 請求項3に記載のコラーゲンスポンジの製造方法において、コラーゲン水溶液中に氷微粒子を混合して、前記水溶液全体に氷微粒子分散させたものを、表面に氷微粒子を分散配置した型板表面に積層して凍結乾燥することで、前記氷微粒子を核として前記コラーゲン水溶液中の水分を針状に凍結して、これらの氷を乾燥除去して後に、コラーゲン成分を架橋することを特徴とするコラーゲンスポンジの製造方法
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