以下、本発明のオーブン装置の一実施形態である電気オーブンについて、図面を参照して説明する。
図1および図2は、電気オーブン1の構成を示す図である。図1は、ドア11が開放された電気オーブン1の斜視図である。図2(a)は、電気オーブン1を前後方向における中央部で切断した正面断面図であり、図2(b)は、仕切板24が取り外された状態の電気オーブン1を前後方向における中央部で切断した正面断面図である。図3(a)は、電気オーブン1を図2(a)のA−A´線の部位で切断した平面断面図であり、図3(b)は、電気オーブン1を図2(a)のB−B´線の部位で切断した平面断面図である。図4は、電気オーブン1を図2(a)のC−C´線の部位で切断した左側面断面である。図5は、スチーム発生器80の構成を示す図であり、スチーム発生器80を前後方向における中央部で切断した正面断面図である。なお、図2(a)および(b)には、便宜上、貯水ケース14と給水ポンプ40が一点鎖線で示されている。
電気オーブン1は、外観を構成するほぼ直方体形状の筐体10を備えている。筐体10内には、ほぼ直方体形状の調理庫ユニット20が配置されている。調理庫ユニット20は、金属材料、たとえば、鋼板で形成されている。調理庫ユニット20は、天面板20aによって、その内部が調理庫21と、ヒータ収容部22とに区画されている。天面板20aには、ほぼ全面に亘り、ヒータ収容部22と調理庫21とを連通させる多数の上連通孔20bが形成されている。
調理庫21の底面には、下面が開口する方形の箱状の底面板23が配されている。底面板23の前面および左右の側面と、調理庫21の前面および左右の側面との間には所定の隙間が形成されており、底面板23の後面と仕切板24との間にも所定の隙間が形成されている。また、底面板23には、前後左右の側面に、全面に亘って、底面板23の内部と調理室21aとを連通する多数の下連通孔23aが形成されている。
調理庫21内には、後部に仕切板24が配されている。調理庫21内は、仕切板24によって、前側の調理室21aと後側の収容室21bとに区画されている。調理室21a内にパン生地等の被調理物が収容される。調理庫21の前面には、被調理物が出し入れされる投入口21cが形成されている。
筐体10の前面には、投入口21cを覆うドア11が設けられている。ドア11は、下端部が図示しないヒンジ部により支持されており、下方に開放する。筐体10の前面には、ドア11の右隣りに操作部30が設けられている。操作部30には、メニュー、温度、時間等を設定するための各種の操作ボタン、および、設定されたメニュー、温度、時間等を表示するための各種の表示部が配置されている。筐体10の右側面には、電源を投入、遮断するための電源スイッチ12が設けられている。
筐体10の前面には、操作部30の下に装着口13が設けられ、この装着口13に貯水ケース14が装着されている。また、筐体10内には、貯水ケース14の後方に給水ポンプ40が配されている。貯水ケース14には、スチームの発生に用いられる水が溜められている。
貯水ケース14の上面には、給水口14aが形成されている。ユーザは、貯水ケース14を装着口13から取り外して、給水口14aから貯水ケース14内に水を供給する。また、貯水ケース14には、接続パイプ14bが設けられている。接続パイプ14bの一端は貯水ケース14内の水に浸かり、他端は、貯水ケース14が装着口13に装着されると、給水ポンプ40の吸込口に接続される。
ヒータ収容部22には、ループ状の上ヒータ50が配されている。上ヒータ50は、天面板20aに近接する。また、底面板23の内部には、ループ状の下ヒータ60が配されている。下ヒータ60は、底面板23に近接する。上ヒータ50および下ヒータ60は、たとえば、シーズヒータであり、電気オーブン1が家庭用の定格容量1500Wのコンセントで利用でき、且つ、できる限り高い加熱力が得られるよう、その出力(消費電力)が設定されている。本実施の形態では、上ヒータ50および下ヒータ60の出力が、共に700Wに設定されている。
調理庫21内における天面板20aの僅かに下の位置には、上温度センサ51が配されている。上温度センサ51は、上ヒータ50の発熱に基づく上ヒータ50の周辺の温度を検出することによって、上ヒータ50の温度を間接的に検出する。また、調理庫21内の底面近傍には、下温度センサ61が配されている。下温度センサ61は、下ヒータ60の発熱に基づく下ヒータ60の周辺の温度を検出することによって、下ヒータ60の温度を間接的に検出する。
収容室21b内には、下側に庫内ファン70が設けられ、上側にスチーム発生器80が設けられている。庫内ファン70は、たとえば、遠心ファンであり、仕切板24に対向するインペラ71を有する。インペラ71は、回転によって、空気を中央から吸い込み外周へ吐き出す。
庫内ファン70の後方には導風板25が配されている。導風板25の左右の端部は、調理庫21の後面に対して傾斜するよう、前方に折り曲げられている。
図5に示すように、スチーム発生器80は、横長の直方体形状を有するアルミダイカスト製の蓄熱器81と、蓄熱器81を加熱するためのスチームヒータ82と、蓄熱器81の温度を検出するスチーム温度センサ83とを含む。
蓄熱器81の内部には、水が溜められる貯水部84が形成されている。蓄熱器81の上面には、中央部に注水口85が形成されており、注水口85の両側に、貯水部84に連通する複数の排出孔86が形成されている。スチームヒータ82およびスチーム温度センサ83は、それぞれ、蓄熱器81に形成されたヒータ取付穴87およびセンサ取付穴88に埋め込まれている。注水口85には、給水ポンプ40の吐出口から延びる給水管41が接続されている。
スチームヒータ82は、上ヒータ50および下ヒータ60の何れか一方とスチームヒータ82とが同時に動作しても、家庭用のコンセントの定格容量1500Wを超えないよう、その出力が設定されている。本実施の形態では、スチームヒータ82の出力が600Wに設定されている。
仕切板24には、全面に亘り、調理室21aと収容室21bとを連通する多数の連通孔26が形成されている。連通孔26は、収容室21b内への風の吸気口となるとともに、収容室21bからのスチームの排出口となる。仕切板24の左右の端部24aは、調理庫21の左右の側面と離間するとともに、左右の側面と平行となるよう前方に折り曲げられている。仕切板24の端部24aと調理庫21の側面との間の隙間が、収容室21bからの風の排気口27となる。
調理庫21の右側面と左側面には、調理室21aの前部および後部の位置に、それぞれ、上のトレー(後述する)が設置される受け棚(後述する)を受けるための前受け部28aおよび後受け部28bが設けられている。前受け部28aおよび後受け部28bは、庫内ファン70よりも高い位置に設けられている。
上ヒータ50および下ヒータ60が動作すると、上ヒータ50および下ヒータ60から発せられた熱によって調理室21a内が上下から加熱される。このとき、ヒータ収容部22が上連通孔20bにより調理室21aと連通しているので、上ヒータ50から放射された熱が調理室21a内に流入しやすい。また、底面板23の内部が下連通孔23aにより調理室21aと連通しているので、下ヒータ60から放射された熱が調理室21a内に流入しやすい。しかも、下連通孔23aは、底面板23の前後左右の側面に形成されており、底面板23の上面には形成されていないので、焼き上がったパンから出たパン屑等が下連通孔23aから底面板23の内部に侵入しにくい。
また、図3(b)に示すように、庫内ファン70が動作すると、インペラ71が右回転する。インペラ71の上方は、スチーム発生器80の蓄熱器81が近接し、インペラ71の下方は調理庫21の底面が近接するため、矢印で示すように、インペラ71の上側ではスチーム発生器80(蓄熱器81)に沿うようにして右方向に風が送られ、インペラ71の下側では調理庫21の底面に沿うようにして左方向に風が送られる。インペラ71から送られた風は、導風板25に沿うように流れて排気口27から調理室21a内に導入される。導入された風は、一旦、前方へ流れたのち、庫内ファン70の吸引力により後方へと流れ、庫内ファン70の前方の連通孔26を通って収容室21b内へと戻る。このようにして、上ヒータ50と下ヒータ60とで加熱された空気が、熱風となって調理室21aと収容室21bとの間で対流する。
調理室21aの底部では、収容室21bから導入された風が、下連通孔23aを通って底面板23の内部に出入りしやすく、底面板23の内部で下ヒータ60により加熱されやすい。これにより、調理室21a内を対流する熱風が高温になりやすい。
さらに、スチーム発生器80において、スチームヒータ82が動作すると、蓄熱器81が加熱されて高温になる。図5に示すように、高温となった蓄熱器81の貯水部84内に、給水ポンプ40により、給水管41を通じて貯水ケース14内の水が供給される。貯水部84に供給された水は、蓄熱器81により加熱されて蒸発し、これにより発生したスチームが、排出孔86から排出される。図4に示すように、スチーム発生器80で発生したスチームは、スチーム発生器80の前方に位置する連通孔26を通じて調理室21a内に放出される。
図6は、操作部30の構成を示す、操作部30の正面図である。
操作部30は、操作パネル100を含む。操作パネル100には、上ヒータ50の温度設定を行うための上部温度設定部110と、下ヒータ60の温度設定を行うための下部温度設定部120と、調理メニュー(調理コース)の選択を行うためのメニュー設定部130と、調理時間の設定およびカウントを行うための調理時間設定部140と、スチーム発生に関わる操作を行うためのスチーム操作部150と、庫内ファン70のオンオフ操作を行うためのファン操作部160と、予熱が完了したことを報知するための予熱完了報知部170とが設けられる。
上部温度設定部110は、上ヒータ50の温度を設定するための上部温度設定ボタン111と、上部温度設定ボタン111により設定された上ヒータ50の温度を表示する上部温度表示部112とを含む。上部温度設定ボタン111は、温度を上げるアップボタン111aと温度を下げるダウンボタン111bとからなる。下部温度設定部120は、下ヒータ60の温度を設定するための下部温度設定ボタン121と、下部温度設定ボタン121により設定された下ヒータ60の温度を表示する下部温度表示部122とを含む。下部温度設定ボタン121は、温度を上げるアップボタン121aと温度を下げるダウンボタン121bとからなる。上部温度表示部112および下部温度表示部122は、たとえば、3ケタの7セグメントLEDや液晶パネルにより構成される。
メニュー設定部130は、フランスパンコースを選択するためのフランスパンボタン131と、菓子パンコースを選択するための菓子パンボタン132と、食パンコースを選択するための食パンボタン133とを含む。フランスパンボタン131には、点灯によりフランスパンコースが選択されたことを報知するフランスパン報知部134が設けられている。菓子パンボタン132には、点灯により菓子パンコースが選択されたことを報知する菓子パン報知部135が設けられている。食パンボタン133には、点灯により食パンコースが選択されたことを報知する食パン報知部136が設けられている。フランスパン報知部134、菓子パン報知部135および食パン報知部136は、たとえば、LEDで構成される。
調理時間設定部140は、時間を設定するための時間設定ボタン141と、時間設定ボタン141により設定された時間を表示する時間表示部142とを含む。時間設定ボタン141は、時間を増やすアップボタン141aと時間を減らすダウンボタン141bとからなる。時間表示部142は、分の桁を表示する分表示部142aと秒の桁を表示する秒表示部142bとからなる。分表示部142aおよび秒表示部142bは、2ケタの7セグメントLEDや液晶パネルにより構成される。また、調理時間設定部140は、調理時間のカウントダウンを開始させるためのスタートボタン143と、カウントダウン中の調理時間をリセットするためのリセットボタン144とを含む。
スチーム操作部150は、スチーム予熱を手動で設定、解除するためのスチーム予熱ボタン151と、スチームを発生させるためのスチーム発生ボタン152とを含む。スチーム予熱ボタン151には、スチーム予熱報知部153が設けられている。スチーム予熱報知部153は、たとえば、LEDで構成され、スチーム発生器80の予熱が完了し使用可能であることを報知する。
ファン操作部160は、庫内ファン70を手動で動作および停止させるためのファンボタン161を含む。ファンボタン161には、ファン動作報知部162が設けられている。ファン動作報知部162は、たとえば、LEDで構成され、庫内ファン70が動作していることを報知する。予熱完了報知部170は、たとえば、LEDで構成される。
図7は、電気オーブン1の制御系の構成を示すブロック図である。
制御部90は、CPU、RAM、ROM等を含む。制御部90は、上部温度設定ボタン111、下部温度設定ボタン121、フランスパンボタン131、菓子パンボタン132、食パンボタン133、時間設定ボタン141、スタートボタン143、リセットボタン144、スチーム予熱ボタン151、スチーム発生ボタン152、ファンボタン161、上温度センサ51、下温度センサ61、スチーム温度センサ83、ドア開閉検出器15等からの入力に基づいて、上部温度表示部112、下部温度表示部122、フランスパン報知部134、菓子パン報知部135、食パン報知部136、時間表示部142、スチーム予熱報知部153、ファン動作報知部162、予熱完了報知部170、ブザー31、上ヒータ50、下ヒータ60、スチームヒータ82、庫内ファン70、給水ポンプ40等の各負荷を制御するための制御信号を負荷駆動部91に出力する。負荷駆動部91は、各負荷に対応する駆動回路を含み、制御部90からの制御信号に従って各負荷を駆動する。
ブザー31は、操作部30に設けられている。ドア開閉検出器15は、ドア11の開閉に応じた検出信号を制御部90に出力する。
本実施の形態の電気オーブン1には、自動調理メニュー(自動調理コース)として、フランスパンやこれに類するパンを焼き上げるためのフランスパンコースと、菓子パン、ロールパン等を焼き上げるための菓子パンコースと、食パンを焼き上げるための食パンコースの調理運転が用意されている。これら調理コースは、操作パネル100のフランスパンボタン131、菓子パンボタン132および食パンボタン133により選択することができる。
フランスパンコースでは、庫内ファン70が停止した状態で、上ヒータ50および下ヒータ60が動作し、調理室21a内を予熱する第1予熱工程が行われる。第1予熱工程の期間において、さらに、スチームヒータ82が動作し、スチーム発生器80が予熱される。上ヒータ50および下ヒータ60の温度が、フランスパンコースのための設定温度(後述の上ヒータ温度、下ヒータ温度)に到達し、スチームヒータ82の温度が、スチームの発生が可能となる設定温度(後述のスチーム予熱温度)に到達すると、予熱が完了し、調理室21a内にフランスパンのパン生地が投入される。
図8(a)に示すように、調理室21a内には、底面板23上に、鉄板で形成された載置板16が置かれ、載置板16にパン生地が載せられる。第1予熱工程の完了後、設定された調理時間の第1焼上げ工程が行われる。第1焼上げ工程中、上ヒータ50および下ヒータ60が設定温度に維持される。また、第1焼上げ工程の初期には、スチーム発生器80から調理室21a内にスチームが導入され、パン生地の表面がスチーム(水)で濡らされる。
本実施の形態の電気オーブン1は、調理室に隣接する室内で庫内ファンとヒータとにより熱風を生成し、生成した熱風を調理室に供給して調理室内を加熱する構成ではなく、調理室21a内の上下に設けた上ヒータ50と下ヒータ60の輻射熱で調理室21a内を加熱する構成であるため、庫内ファン70を停止させた状態でも、上ヒータ50および下ヒータ60により上下からパン生地を加熱できる。そこで、フランスパンコースでは、庫内ファン70を停止させるようにしており、これにより、パン生地が熱風に晒されてしまうことがないで、スチームにより濡らされたパン生地の表面が熱風で乾かされてしまうことがない。よって、本実施の形態の電気オーブン1では、パン生地を十分に濡らしておくことができるので、クラストの生成を遅らせることができ、よく膨らんでクープがしっかりと割れたフランスパンを焼き上げることができる。
次に、菓子パンコースでは、庫内ファン70が動作するとともに、上ヒータ50および下ヒータ60が動作し、調理室21a内を予熱する第2予熱工程が行われる。第2予熱工程では、スチームヒータ82が動作せず、スチーム発生器80の予熱は行われない。上ヒータ50および下ヒータ60の温度が、菓子パンコースのための設定温度に到達すると、予熱が完了し、調理室21a内に、菓子パン、ロールパン等のパン生地が投入される。
菓子パンコースでは、上下二段に設置されたトレー17、18を用いて多数の菓子パン等を焼き上げることができる。図8(b)に示すように、上のトレー17が、前調理室21a内のほぼ中央に設置され、下のトレー18が、底面板23上に設置される。なお、上のトレー17は、前受け部28aおよび後受け部28bにより受けられた受け棚19に設置される。上下のトレー17、18には、それぞれ、複数のパン生地を収容できる。複数のパン生地が載せられた上下のトレー17、18が調理室21a内に設置されると、設定された調理時間の第2焼上げ工程が行われる。第2焼上げ工程中、上ヒータ50および下ヒータ60が設定温度に維持される。第2焼上げ工程では、スチーム発生器80は働かない。
上下二段に設置されたトレー17、18を用いて菓子パン等を焼き上げる場合、上ヒータ50の熱が、上のトレー17で遮られることで下のトレー18のパン生地の表面部分に届きづらい。本実施の形態の電気オーブン1では、菓子パンコースにおいて庫内ファン70を動作させ、上ヒータ50と下ヒータ60とにより加熱された加熱空気を、調理室21aと収容室21bとの間で対流させるようにしている。これにより、下のトレー18のパン生地の表面部分にも加熱空気が良く行き渡るので、下のトレー18のパンも良好に焼き上げることができる。
このように、本実施の形態の電気オーブン1では、フランスパンおよびこれに類するパンを良好に焼き上げることができるとともに、一度に多くの菓子パン等を良好に焼き上げることができる。
食パンコースでは、上ヒータ50および下ヒータ60の温度が食パン用の設定温度に維持される点と庫内ファン70が動作する点とを除き、フランスパンコースと同様な調理運転が行われる。図3(b)で説明したように、庫内ファン70で起こされた風は、スチーム発生器80の蓄熱器81に沿うようにして流れる。よって、庫内ファン70とスチーム発生器80が動作する食パンコースでは、調理室21aと収容室21bとの間を対流する空気が蓄熱器81によっても加熱されるため、調理室21a内の加熱効果が高まる。
図9は、制御部90によるフランスパンコースの調理運転の制御処理を示すフローチャートである。図10は、調理運転の一部である第1予熱工程の制御処理を示すフローチャートである。図11は、調理運転の一部である第1焼上げ工程の制御処理を示すフローチャートである。
操作パネル100のフランスパンボタン131が押されると、フランスパンコースの調理運転が開始される。まず、制御部90は、フランスパン報知部134を点灯させる(S11)。次に、制御部90は、上ヒータ50の設定温度である上ヒータ温度と、下ヒータ60の設定温度である下ヒータ温度とを、フランスパンコースのために予め定められた温度に設定し、調理時間をフランスパンコースのために予め定められた時間に設定する(S12)。そして、制御部90は、設定した上ヒータ温度、下ヒータ温度および調理時間を、それぞれ、上部温度表示部112、下部温度表示部122および時間表示部142に表示させる(S13)。なお、設定された上ヒータ温度および下ヒータ温度は、フランスパンコースの運転期間中、上部温度設定ボタン111および下部温度設定ボタン121を操作することにより変更することができる。また、設定された調理時間は、フランスパンコースの運転期間中、時間設定ボタン141を操作することにより変更することができる。
次に、制御部90は、図10に示す第1予備工程の制御処理を行う(S14)。
図10を参照して、制御部90は、上ヒータ50および下ヒータ60をオンする(S101)。制御部90は、上温度センサ51と下温度センサ61により、上ヒータ50と下ヒータ60の温度を監視し、上ヒータ50の温度が、設定された上ヒータ温度に到達したか否か、および、下ヒータ60の温度が、設定された下ヒータ温度に到達したか否かを判定する(S102、S103)。
下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達する前に上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達した場合(S102:YES)、制御部90は、上ヒータ50をオフし(S104)、上ヒータ50の温度を上ヒータ温度に維持するための上ヒータ温度維持制御を開始する(S105)。上ヒータ温度維持制御については、追って詳細に説明する。
次に、制御部90は、スチームヒータ82をオンする(S106)。蓄熱器81がスチームヒータ82により加熱される。スチームヒータ82がオンされるタイミングでは、既に上ヒータ温度維持制御は開始されているが、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達した直後であるため、上ヒータ50はオフされた状態にある。
制御部90は、スチームヒータ82をオンした後、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達すると(S107:YES)、下ヒータ60をオフする(S108)。そして、制御部90は、下ヒータ60の温度を下ヒータ温度に維持するための下ヒータ温度維持制御を開始する(S109)。下ヒータ温度維持制御については、追って詳細に説明する。
一方、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達する前に上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達した場合(S102:NO→S103:YES)、制御部90は、下ヒータ60をオフし(S110)、下ヒータ温度維持制御を開始する(S111)。
次に、制御部90は、スチームヒータ82をオンする(S112)。スチームヒータ82がオンされるタイミングでは、既に下ヒータ温度維持制御は開始されているが、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達した直後であるため、下ヒータ60はオフされた状態にある。
制御部90は、スチームヒータ82をオンした後、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達すると(S113:YES)、上ヒータ50をオフする(S114)。そして、制御部90は、上ヒータ温度維持制御を開始する(S115)。
ステップS109またはS115の処理の後、制御部90は、スチーム温度センサ83により蓄熱器81の温度を監視し、蓄熱器81の温度が、スチームの発生が可能となるスチーム予熱温度に到達したか否かを判定する(S116)。蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度に到達すると(S116:YES)、制御部90は、スチームヒータ82をオフし(S117)、蓄熱器81の温度をスチーム予熱温度に維持するためのスチーム予熱温度維持制御を開始する(S118)。スチーム予熱温度維持制御については、追って詳細に説明する。
さらに、制御部90は、スチーム発生器80の予熱が完了したことを報知するため、スチーム予熱報知部153を点灯させる(S119)。そして、制御部90は、スチーム発生制限制御を開始する(S120)。スチーム発生制限制御は、蓄熱器81の温度が低い状態で給水が行われることでスチームが適正に発生しなくなることを防止するための制御である。スチーム発生制限制御については、追って詳細に説明する。
このように、上ヒータ50および下ヒータ60の温度が上ヒータ温度および下ヒータ温度に到達したのに続き、蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度に到達すると、制御部90は、調理室21a内の予熱が完了したことを報知するため、ブザー31を鳴らすとともに予熱完了報知部170を点灯させる(S121)。こうして、第1予熱工程が終了する。
図12(a)は、上ヒータ温度維持制御を示すフローチャートであり、図12(b)は、下ヒータ温度維持制御を示すフローチャートである。
上述の通り、上ヒータ温度維持制御は、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達すると開始され、下ヒータ温度維持制御は、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達すると開始される。上ヒータ温度維持制御および下ヒータ温度維持制御は、電源スイッチ12がオフされて電気オーブン1が停止されるまで繰り返し実行される。
図12(a)を参照し、上ヒータ温度維持制御について説明する。制御部90は、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度以上であるか否かを判定する(S201)。制御部90は、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度未満であるが(S201:NO)、既に上ヒータ50がオン状態にある場合(S202:NO)、制御部90は、何もせずに上ヒータ50のオン状態を維持する。一方、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度未満であり(S201:NO)、上ヒータ50がオフ状態にある場合(S202:YES)、制御部90は、他の2つのヒータ、即ち、下ヒータ60とスチームヒータ82がともにオン状態にあるか否かを判定する(S203)。
双方のヒータがオン状態にある場合(S203:YES)、制御部90は、何もせずに上ヒータ50のオフ状態を維持する。一方、少なくとも一方のヒータがオフである場合(S203:NO)、制御部90は、上ヒータ50をオンする(S204)。
ステップS201で上ヒータ50の温度が上ヒータ温度以上であると判定した場合(S201:YES)、制御部90は、上ヒータ50がオフ状態にあれば(S205:NO)、オフ状態を維持し、上ヒータ50がオン状態にあれば(S205:YES)、上ヒータ50をオフする(S206)。
図12(b)を参照し、下ヒータ温度維持制御について説明する。下ヒータ温度維持制御は、上ヒータ温度維持制御と同様な制御である。即ち、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度未満であり(S211:NO)、下ヒータ60がオフ状態にある場合(S212:YES)、制御部90は、他の2つのヒータ、即ち、上ヒータ50とスチームヒータ82の少なくとも一方がオフであれば(S213:NO)、下ヒータ60をオンする(S214)。双方のヒータがオン状態にある場合(S213:YES)、制御部90は、何もせずに下ヒータ60のオフ状態を維持する。
一方、制御部90は、ステップS211で下ヒータ60の温度が下ヒータ温度以上であると判定した場合(S211:YES)、下ヒータ60がオン状態にあれば(S215:YES)、下ヒータ60をオフする(S216)。
図13(a)は、スチーム予熱温度維持制御を示すフローチャートであり、図13(b)は、スチーム発生制限制御を示すフローチャートである。
上述の通り、スチーム予熱温度維持制御およびスチーム発生制限制御は、蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度に到達すると開始され、その後、電源スイッチ12がオフされて電気オーブン1が停止されるまで繰り返し実行される。
図13(a)を参照し、スチーム予熱温度維持制御について説明する。スチーム予熱温度維持制御は、上ヒータ温度維持制御および下ヒータ温度維持制御と同様な制御である。即ち、蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度未満であり(S221:NO)、スチームヒータ82がオフ状態にある場合(S222:YES)、制御部90は、他の2つのヒータ、即ち、上ヒータ50と下ヒータ60の少なくとも一方がオフであれば(S223:NO)、スチームヒータ82をオンする(S224)。双方のヒータがオン状態にある場合(S223:YES)、制御部90は、何もせずにスチームヒータ82のオフ状態を維持する。
一方、制御部90は、ステップS221で蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度以上であると判定した場合(S221:YES)、スチームヒータ82がオン状態にあれば(S225:YES)、スチームヒータ82をオフする(S226)。
図13(b)を参照し、スチーム発生制限制御について説明する。制御部90は、蓄熱器81の温度が、発生許可温度以上であるか否かを判定する(S231)。発生許可温度は、スチーム予熱温度よりも低い温度に設定される。蓄熱器81の温度が発生許可温度以上であれば、スチーム発生器80による適正なスチーム発生が期待できる。
スチームの発生が頻繁に行われた場合は、スチーム予熱温度維持制御が行われているにもかかわらず、スチームヒータ82による加熱が追い付かずに蓄熱器81の温度が発生許可温度よりも低くなる。蓄熱器81の温度が発生許可温度未満であると判定すると(S231:NO)、制御部90は、禁止フラグがオフ状態にあれば(S232:YES)、禁止フラグをオンする(S233)。そして、制御部90は、スチーム発生器80が動作しないことを報知するために、スチーム予熱報知部153を点滅させる(S234)。なお、禁止フラグは、後述するスチーム発生制御において、スチームの発生が禁止されているか否かを判断するためのフラグである。
スチームが発生できなくなると、スチームヒータ82で加熱されることにより、やがて蓄熱器81の温度が発生許可温度以上の温度に回復する。ステップS231で蓄熱器81の温度が発生許可温度以上であると判定すると(S231:YES)、制御部90は、禁止フラグがオン状態にあれば(S235:YES)、禁止フラグをオフする(S236)。そして、制御部90は、スチーム発生器80が動作できることを報知するために、スチーム予熱報知部153を点灯させる(S237)。
このようにして、第1予熱工程以降、電気オーブン1が停止するまで、上ヒータ50の温度、下ヒータ60の温度および蓄熱器81の温度が、それぞれ、上ヒータ温度、下ヒータ温度およびスチーム予熱温度に維持される。また、スチーム発生頻度に応じて、スチームの発生が可能となったり不能となったりする。
さて、第1予熱工程が終わると、制御部90は、図11に示す第1焼上げ工程の制御処理を行う(S15)。図11を参照して、制御部90は、スタートボタン143が押されたか否かを判定する(S301)。
上述したように、ユーザは、フランスパンのパン生地を調理室21a内に投入した後に、スタートボタン143を押す。スタートボタン143が押されると(S301:YES)、制御部90は、設定された調理時間のカウントダウンを開始する(S302)。カウントダウン中、制御部90は、時間表示部142に表示された時間を減らしていく。
調理時間のカウントを開始させる前、あるいはカウント開始後間もなく、ユーザは、調理室21a内に収容されたパン生地を濡らすために、スチーム発生ボタン152を押す。スタートボタン143が押される前、または、カウントダウン中にスチーム発生ボタン152が押されたと判定すると(S308:YES、S310:YES)、制御部90は、スチーム発生制御の処理を行う(S309、S311)。
図14は、スチーム発生制御を示すフローチャートである。
スチーム発生ボタン152が押されると、制御部90は、禁止フラグがオン状態にあるか否かを判定する(S321)。禁止フラグがオン状態でない場合(S321:NO)、制御部90は、スチーム発生ボタン152の操作が、調理運転の開始から1回目であるか否かを判定する(S322)。操作が1回目である場合(S322:YES)、制御部90は、給水ポンプ40を第1時間、たとえば、10秒間だけオンする(S323)。これにより、スチーム発生器80から第1時間、スチームが発生し、調理室21a内に供給される。一方、操作が2回目以降である場合(S322:NO)、制御部90は、給水ポンプ40を第1時間よりも短い第2時間、たとえば、1秒間だけオンする(S324)。これにより、スチーム発生器80から第2時間、スチームが発生し、調理室21a内に供給される。
ステップS321で禁止フラグがオン状態であると判定した場合(S321:YES)、制御部90は、スチーム発生ボタン152の押下を受け付けず、給水ポンプ40をオンしない。
カウントダウン開始後、制御部90は、カウントダウンが完了したか否かを判定する(S303)。カウントダウンが完了すると(S303:YES)、制御部90は、調理終了を報知するため、ブザー31を鳴らす(S304)。
なお、カウントダウンが完了する前に(S303:NO)、リセットボタン144が押された場合(S305:YES)、制御部90は、カウントダウンを停止して(S306)、調理時間をリセットする、即ち、調理時間を元の設定された時間に戻す(S307)。
このようにして、ブザー31により調理終了の報知がなされると、第1焼上げ工程が終了し、フランスパンコースの調理運転が終了する。
上ヒータ50、下ヒータ60はおよびスチームヒータ82は、調理運転が終了してもそのまま動作を継続し、調理室21a内からフランスパンが取り出された後も、調理室21a内は予熱状態が続く。電源スイッチ12がオフされると、上ヒータ50、下ヒータ60およびスチームヒータ82が停止し、電気オーブン1の電源が遮断される。なお、電源スイッチ12がオフされず、引き続いて同じ調理コースや他の調理コースが開始された場合には、予熱工程が省かれ、あるいは大幅に短縮されて次の焼上げ工程へと移る。
図15は、制御部90による菓子パンコースの調理運転の制御処理を示すフローチャートである。図16(a)は、調理運転の一部である第2予熱工程の制御処理を示すフローチャートである。図16(b)は、調理運転の一部である第2焼上げ工程の制御処理を示すフローチャートである。
操作パネル100の菓子パンボタン132が押されると、菓子パンコースの調理運転が開始される。まず、制御部90は、菓子パン報知部135を点灯させる(S21)。次に、制御部90は、上ヒータ温度と下ヒータ温度を、菓子パンコースのために予め定められた温度に設定し、調理時間を菓子パンコースのために予め定められた時間に設定する(S22)。そして、制御部90は、設定した上ヒータ温度、下ヒータ温度および調理時間を、それぞれ、上部温度表示部112、下部温度表示部122および時間表示部142に表示させる(S23)。次に、制御部90は、図16(a)に示す第2予熱工程の制御処理を行う(S24)。
図16(a)を参照して、制御部90は、庫内ファン70をオンするとともに、ファン動作報知部162を点灯させる(S401)。また、制御部90は、上ヒータ50および下ヒータ60をオンする(S402)。制御部90は、上ヒータ50の温度が、設定された上ヒータ温度に到達したか否か、および、下ヒータ60の温度が、設定された下ヒータ温度に到達したか否かを判定する(S403、S404)。
下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達する前に上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達した場合(S403:YES)、制御部90は、上ヒータ50をオフし(S405)、上ヒータ温度維持制御を開始する(S406)。その後、制御部90は、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達すると(S407:YES)、下ヒータ60をオフし(S408)、下ヒータ温度維持制御を開始する(S409)。
一方、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達する前に下ヒータ60の温度が下ヒータ温度に到達した場合(S403:NO→S404:YES)、制御部90は、下ヒータ60をオフし(S410)、下ヒータ温度維持制御を開始する(S411)。その後、制御部90は、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度に到達すると(S412:YES)、上ヒータ50をオフし(S413)、上ヒータ温度維持制御を開始する(S414)。
上ヒータ50および下ヒータ60の温度が上ヒータ温度および下ヒータ温度に到達すると、制御部90は、調理室21a内の予熱が完了したことを報知するため、ブザー31を鳴らすとともに予熱完了報知部170を点灯させる(S415)。こうして、第2予熱工程が終了する。
第2予熱工程が終わると、制御部90は、図16(b)に示す第2焼上げ工程の制御処理を行う(S25)。図16(b)を参照して、制御部90は、スタートボタン143が押されたか否かを判定する(S501)。
上述したように、ユーザは、菓子パンのパン生地を調理室21a内に投入した後に、スタートボタン143を押す。スタートボタン143が押されると(S501:YES)、制御部90は、設定された調理時間のカウントダウンを開始する(S502)。カウントダウン中、制御部90は、時間表示部142に表示された時間を減らしていく。カウントダウンが完了すると(S503:YES)、制御部90は、調理終了を報知するため、ブザー31を鳴らす(S504)。なお、カウントダウンが完了する前に(S503:NO)、リセットボタン144が押されると(S505:YES)、制御部90は、カウントダウンを停止して(S506)、調理時間をリセットする、即ち、調理時間を元の設定された時間に戻す(S507)。
このようにして、ブザー31により調理終了の報知がなされると、第2焼上げ工程が終了し、菓子パンコースの調理運転が終了する。
図17は、制御部90による食パンコースの調理運転の制御処理を示すフローチャートである。
操作パネル100の食パンボタン133が押されると、食パンコースの調理運転が開始される。まず、制御部90は、食パン報知部136を点灯させる(S31)。次に、制御部90は、上ヒータ温度と下ヒータ温度を、食パンコースのために予め定められた温度に設定し、調理時間を食パンコースのために予め定められた時間に設定する(S32)。そして、制御部90は、設定した上ヒータ温度、下ヒータ温度および調理時間を、それぞれ、上部温度表示部112、下部温度表示部122および時間表示部142に表示させる(S23)。次に、制御部90は、第3予熱工程の制御処理を行う(S34)。第3予熱工程では、制御部90が、上ヒータ50および下ヒータ60をオンするとともに、庫内ファン70をオンする。その後の処理は、第2予熱工程と同様であり、説明を省略する。
第3予熱工程が完了すると、制御部90は、第3焼上げ工程の制御処理を行う(S35)。第3焼上げ工程は、第1焼上げ工程と同様であり、説明を省略する。
さて、菓子パンの種類などによっては、菓子パンコースにおいてもスチームが必要となり得る。この場合、ユーザは、菓子パンコースを選択した後に、スチーム予熱ボタン151を押す。制御部90は、第2予熱工程において、庫内ファン70をオンした後、第1予熱工程と同じ処理を行い、第2焼き上げ工程において第1焼き上げ工程と同じ処理を行う。また、少量の菓子パンを作成するときには、菓子パンコースにおいて、上のトレー17が用いられない場合もある。この場合は、庫内ファン70の動作は必ずしも必要でないため、ユーザによりファンボタン161が押され得る。ファンボタン161が押されると、制御部90は、第2予熱工程においてステップS401の処理を行わず、庫内ファン70をオンしない。
また、自動メニューの中の調理コースが選択されず、上ヒータ温度、下ヒータ温度および調理時間が手動で設定された場合、さらに、スチーム予熱ボタン151やファンボタン161が押され得る。スチーム予熱ボタン151が押されると、調理運転において、スチーム予熱が行われスチームの発生が可能となる。ファンボタン161が押されると、調理運転において、庫内ファン70が動作する。
さて、菓子パンコース、食パンコースなど、庫内ファン70が動作する調理運転においては、上述した調理運転の制御処理と並行して、ドア開放時ヒータ・ファン制御が制御部90によって実行される。
図18は、ドア開放時ヒータ・ファン制御を示すフローチャートである。
調理運転が開始され、上ヒータ50、下ヒータ60および庫内ファン70が動作すると、制御部90は、ドア開閉検出器15の検出結果に基づいてドア11の開放を監視する(S601)。ドア11が開放された場合(S601:YES)、制御部90は、庫内ファン70をオフする(S602)。上ヒータ50および下ヒータ60はオフされず、引き続きオン状態を保つ。これにより、ドア11が開放されている間の調理室21a内の温度低下が抑制される。
制御部90は、ドア11が開放されてから所定時間(たとえば、数十秒から数分の時間)が経過したか否かを判定する(S603)。所定時間が経過する前にドア11が閉鎖された場合(S604:YES)、制御部90は、庫内ファン70を再びオンする(S605)。
一方、ドア11の閉鎖が忘れられてしまうなど、何らかの要因によりドア11が開放されたまま放置されると、所定時間が経過する(S603:YES)。この場合、制御部90は、上ヒータ50および下ヒータ60をオフする(S606)。
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)上ヒータ50と下ヒータ60によって調理室21a内を上下から加熱するとともに、調理室21a内で加熱された加熱空気を対流させる庫内ファン70を備え、スチーム発生器80からのスチームの供給が必要となるフランスパンコースでは、庫内ファン70を停止させて調理室21a内に加熱空気の対流を生じさせないようにし、菓子パンコースでは、庫内ファン70を動作させて調理室21a内に加熱空気の対流を生じさせるようにしている。これにより、フランスパンコースでは、供給されたスチームによりパン生地を十分に濡らしておくことができるので、フランスパンおよびこれに類するパンを良好に焼き上げることができる。また、菓子パンコースでは、上下二段のトレー17、18を用いても、下のトレー18のパン生地に高温の加熱空気を行き渡らせることができるので、上下二段のトレー17、18を用いて一度に多くのパンを良好に焼き上げることができる。
(2)庫内ファン70は、収容室21b内において、調理室21a内に設置された上のトレー17と下のトレー18の間の高さ位置に配置されているので、これらトレー17、18の間に加熱空気が流通しやすく、下のトレー18内のパン生地に高温の加熱空気を一層よく行き渡らせることができる。
(3)スチーム発生器80は、収容室21b内において、庫内ファン70の上方に配置されているので、連通孔26を通じて調理室21aの上部からスチームを導入することができる。これにより、スチームが調理室21a内で広く拡散し、パン生地がスチームで万遍なく濡らされる。また、収容室21b内における庫内ファン70の上方の空間を、スチーム発生器80の配置スペースとして有効に利用したので、調理庫21をコンパクトに形成できる。
(4)フランスパンコース等、スチーム発生器80の予熱が行われる調理運転では、最初に上ヒータ50および下ヒータ60がオンされ、その後、一方のヒータの温度が設定温度(上ヒータ温度、下ヒータ温度)に到達してオフしたときにスチームヒータ82がオンされるので、3つのヒータの出力の合計が、接続先のコンセントの定格容量を超える上ヒータ50、下ヒータ60およびスチームヒータ82を備えるように電気オーブン1が構成されても、電気オーブン1の消費電力がコンセントの定格容量を超え、コンセントのブレーカーが落ちてしまう、ということを防止できる。
(5)上ヒータ50の温度が上ヒータ温度を維持するように上ヒータ50がオンオフ制御される際、上ヒータ50の温度が上ヒータ温度未満の温度に低下した場合に、下ヒータ60およびスチームヒータ82の少なくとも一つがオフしていれば上ヒータ50がオンする。また、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度を維持するように下ヒータ60がオンオフ制御される際、下ヒータ60の温度が下ヒータ温度未満の温度に低下した場合に、上ヒータ50およびスチームヒータ82の少なくとも一つがオフしていれば下ヒータ60がオンする。よって、上ヒータ50および下ヒータ60の温度を、それぞれ、上ヒータ温度および下ヒータ温度に維持させるオンオフ制御が行われているときに、3つのヒータ50、60、82が共にオン状態となることがないので、オンオフ制御中に、電気オーブン1の消費電力が接続先のコンセントの定格容量を超え、コンセントのブレーカーが落ちてしまう、ということを防止できる。
(6)蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度を維持するようにスチームヒータ82がオンオフ制御される際、蓄熱器81の温度がスチーム予熱温度未満の温度に低下した場合に、上ヒータ50および下ヒータ60の少なくとも一つがオフしていればスチームヒータ82がオンする。よって、蓄熱器81の温度をスチーム予熱温度に維持させるオンオフ制御が行われているときに、3つのヒータ50、60、82が共にオン状態となることがないので、オンオフ制御中に、電気オーブン1の消費電力が接続先のコンセントの定格容量を超え、コンセントのブレーカーが落ちてしまう、ということを防止できる。
(7)菓子パンコース等、庫内ファン70を動作させる調理運転中にドア11が開放された場合、上ヒータ50および下ヒータ60の動作は継続されるので、ドア11の開放による調理室21a内の温度低下を抑制することができる。しかも、庫内ファン70は停止されるので、加熱空気が投入口21cから外部に放出されにくい。
(8)ドア11の開放されたまま所定時間が経過した場合には、上ヒータ50および下ヒータ60がオフされるので、ドア11が開放したまま放置されるとの異常な状況下において上ヒータ50および下ヒータ60が動作しつづけることを防止できる。
(9)スチームヒータ82の予熱が完了した後、スチーム発生ボタン152が押されると、一定の動作時間、給水ポンプ40が動作し、スチーム発生器80からスチームが発生する。このとき、調理運転開始から2回目以降のスチーム発生ボタン152の操作による動作時間を、調理運転開始から2回目以降のスチーム発生ボタン152の操作による動作時間より短くしたので、1回目の操作により、ある程度纏まった量のスチームを調理室21a内に供給でき、2回目以降の操作により、最初のスチームの供給が不十分である場合の細かなスチーム量の調整を行うことができる。しかも、纏まった量のスチームを供給するための操作ボタンと、細かくスチーム量を調整するための操作ボタンの2つを操作パネル100に設ける必要がない。
(10)蓄熱器81の温度が発生許可温度より低く、蓄熱器81に水を供給しても適正な量のスチームの発生が望めない状態にある場合は、スチーム発生ボタン152が押されても給水ポンプ40を動作させないようにしたので、不適量のスチームが供給されてしまうことによりパンの焼き上がりが悪くなることを防止できる。
(11)庫内ファン70で起こされた風が、スチームヒータ82で加熱された蓄熱器81に接触した後に調理室21a内へ排出されるよう、収容室21b内において蓄熱器81が庫内ファン70の上方に配置されているので、調理室21aと収容室21bとの間を対流する風が、上ヒータ50および下ヒータ60のみならず、蓄熱器81によっても加熱される。これにより、より高温の熱風を対流させることができ、調理室21a内の加熱効果を高めることができる。
(12)スチーム発生器80には、蓄熱器81の上面にスチームが排出される排出孔86が形成されているので、排出孔86から排出されたスチームが、庫内ファン70に当たりにくく、庫内ファン70がスチームで濡らされにくい。
(13)菓子パンコースの調理運転等、上ヒータ50、下ヒータ60および庫内ファン70の動作による調理運転が行われた場合、調理室21aの底部では、調理室21a内を対流する風が、下連通孔23aを通って底面板23の内部に出入りしやすく、底面板23の内部で下ヒータ60により加熱されやすい。これにより、調理室21a内を対流する熱風が高温になりやすいため、熱風による調理室21a内の加熱効果が高まる。
(14)下連通孔23aは、底面板23の側面に形成されており、底面板23の上面には形成されていないので、焼き上がったパンから出たパン屑等が下連通孔23aから底面板23の内部に侵入しにくい。
<変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、調理庫ユニット20が、天面板20aにより調理庫21とヒータ収容部22とに区画されており、さらに、調理庫21が仕切板24により調理室21aと収容室21bとに区画されている。しかしながら、調理庫ユニット20の内部は、図19に示すような構成とされてもよい。即ち、調理庫ユニット20内が、仕切板24によって調理室21aと収容室21bとに区画される。調理室21aの天面には、底面板23と同様な形状、即ち、上面が開口する方形の箱状を有する天面板29が配置され、天面板29の内部に上ヒータ50が配置される。天面板29の前面および左右の側面と、調理室21aの前面および左右の側面との間には所定の隙間が形成され、天面板29の後面と、調理室21aの後面である仕切板24との間にも所定の隙間が形成される。また、天面板29には、前後左右の側面と下面に、全面に亘って、天面板29の内部と調理室21aとを連通する多数の上連通孔29aが形成される。
菓子パンコースの調理運転等、上ヒータ50、下ヒータ60および庫内ファン70の動作による調理運転が行われた場合、調理室21aの上部では、収容室21bから導入された風が、上連通孔29aを通って天面板29の内部に出入りしやすく、天面板29の内部で上ヒータ50により加熱されやすい。このように、図19の構成では、調理室21a内を対流する熱風が、下ヒータ60のみならず上ヒータ50によっても加熱されやすくなるので、熱風が一層、高温になりやすく、熱風による調理室21a内の加熱効果が一層高まりやすい。さらに、パン屑等の侵入が懸念されない天面板29には、側面だけでなく上面にも上連通孔29aが設けられているので、熱風が、一層、天面板29の内部に出入りしやすく、上ヒータ50で加熱されやすい。
また、上記実施の形態では、スチーム発生器80が、スチームヒータ82で蓄熱器81を加熱し、加熱した蓄熱器81に水を接触させて蒸発させ、スチームを発生させる構成とされている。しかしながら、スチーム発生器は、スチームヒータを用いて水を蒸発させることによりスチームを発生させる構成であれば、如何なる構成であってもよい。たとえば、容器に溜めた水をスチームヒータで沸騰させることによりスチームを発生させるような構成であってもよい。
さらに、上記実施の形態では、上ヒータ温度が上ヒータ50をオンさせる閾値の温度とされており、下ヒータ温度が下ヒータ60をオンさせる閾値の温度とされている。しかしながら、上ヒータ温度よりも低い温度および下ヒータ温度よりも低い温度が閾値の温度とされてもよい。同様に、スチーム予熱温度より低い温度が、スチームヒータ82をオンさせる閾値の温度とされてもよい。
さらに、本発明は、電気オーブンに限られず、たとえば、オーブン機能に加えて高周波加熱機能を備えるオーブンレンジ等にも適用できる。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。