本実施形態のプリント配線板は、シールド構造を備える。本実施形態のプリント配線板1は柔軟性があり、変形可能なフレキシブルプリント配線板(FPC)である。本実施形態のプリント配線板は、ZIF(Zero Insertion Force)コネクタに挿入して使用される。これに限定されず、本実施形態のプリント配線板は、その厚みを利用して嵌合力を得る非ZIFコネクタやバックボードコネクタなどのコネクタにも適用できる。本実施形態では、フレキシブルなプリント配線板を例にして説明するが、リジットフレキシブルプリント配線板などのタイプのプリント配線板にも適用できる。なお、本実施形態のプリント配線板が係止されるコネクタの態様は特に限定されない。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、第1の例から第7の例のプリント配線板1について順次説明する。各図において、本実施形態のプリント配線板1のうち、他のコネクタと接続される側の接続端部Eを含む端部を切り出して示す。各図に示すプリント配線板1は、実際には図中の−Y方向に延在する。プリント配線板1は、接続端部E側に存在するコネクタに接続される。なお、本実施形態の各例のプリント配線板1が備える第1基材11、第2基材12、第3基材を総称して、基材10と称することもある。第3基材は、第1基材11、第2基材12以外の基材である。
本明細書では、説明の便宜上、プリント配線板1の積層方向(図中Z方向)に関し、プリント配線板1の積層構造における上層側又は上面方向(図中+Z方向)を、上側と称して説明し、プリント配線板の積層構造における下層側又は下面方向(図中−Z方向)を、下側と称して説明する。積層される各基材が有する一方の主面と他方の主面のうち、積層構造において各基材の上層側の面を「一方主面」と称して説明し、積層構造において各基材の下層側の面を「他方主面」と称して説明する。なお、「何れか一方の主面」というときは、一方主面又は他方主面のどちらかの主面であり、一方主面又は他方主面に限定されない。
まず、図1A〜図1Fに基づいて、第1の例のプリント配線板1について説明する。
第1の例のプリント配線板1は、1層の導電層11aを含み、コネクタと一方主面のみで接続するタイプ(片面接続タイプ)である。また、図1A〜図1Fに示す第1の例のプリント配線板1は、シングルエンド信号を伝達する配線5(信号線)を有する。
図1Aは、本実施形態の第1の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図1Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、補強層30とを少なくとも備える。本実施形態のプリント配線板1は、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図1Aに示すように、本実施形態のプリント配線板1は、接続端部Eの幅方向(図中X方向)の左右の少なくとも一方側の端縁に被係合部70を備える。被係合部70は、コネクタに接続される接続端部Eに形成され、コネクタの係合部に係止される。具体的に、被係合部70は、プリント配線板1の接続対象である他の電子部品との係合部(例えば、コネクタに設けられたタブ状部材)に、図中−Y方向の引き抜き方向の力により係止される。本例では、接続端部Eの左右両側の端縁に被係合部70をそれぞれ設けるので、耐引き抜け性を向上させ、安定した係合状態を維持できる。さらに、左右の被係合部70は、接続方向(図中Y軸方向)に沿って同じ位置に形成するので、左右の被係合部70にかかる力を均等に分散し、安定した係合状態を維持できる。
本例の被係合部70は、接続端部Eの側縁部分に形成された切欠き部により構成される。被係合部70の態様は限定されない。被係合部70を構成する切欠き部は、積層された基材10の全部を同じ形状に切り欠く態様であってもよいし、上面又は下面に近づくに従って切欠き部(切除される部分)の面積(XY平面の面積)が漸減又は漸増するような構造としてもよい。切欠き部に基材10の外縁を含んでもよいし、基材10の外縁を含まない貫通孔として形成してもよい。被係合部70は、下面側の基材が非貫通である有底の凹部として形成してもよいし、上面側の基材が残る有蓋の凹部として形成してもよい。
図1Aに示すように、本実施形態のプリント配線板1は、接続端部Eの幅方向(図中X方向)の左右の少なくとも一方側の端縁にタブ状部材80を備える。タブ状部材80は、コネクタに接続される接続端部Eに形成され、コネクタの被係合部に係止される。具体的に、タブ状部材80は、プリント配線板1の接続対象である他の電子部品との係合部(例えば、コネクタに設けられ切欠部)に、図中−Y方向の引き抜き方向の力により係止される。本例では、接続端部Eの左右両側の端縁にタブ状部材80をそれぞれ設けるので、耐引き抜け性を向上させ、安定した係合状態を維持できる。さらに、左右のタブ状部材80は、接続方向(図中Y軸方向)に沿って同じ位置に形成するので、左右のタブ状部材80にかかる力を均等に分散し、安定した係合状態を維持できる。
上述した被係合部70とタブ状部材80とにより、プリント配線板1とコネクタとの係合強度を高めることができる。
なお、本実施形態では、被係合部70及びタブ状部材80を備える例を説明したが、被係合部70又はタブ状部材80の何れか一方を備える係止構造としてもよい。また、係止構造は、被係合部70及び/又はタブ状部材80によるものに限定されないので、本例に示す被係合部70及びタブ状部材80の何れも備えなくとも、本実施形態のプリント配線板1を作製できる。以下に説明する他の例においても同様である。
本例のタブ状部材80とは、接続端部Eの側縁部分において左右に延在させた基材10により構成される。タブ状部材80の態様は限定されない。タブ状部材80は、積層された基材10を所望の形状に型抜くことにより形成する。タブ状部材80の形状は、上面又は下面に近づくに従ってタブ状部材80の面積(XY平面の面積)が減少又は増加するような構造としてもよい。
図1Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が積層されている。カバーレイ20は、ポリイミド等の絶縁性樹脂フィルムを貼着すること、又は熱硬化インクや紫外線硬化インク又は感光性インクを、塗布及び硬化することにより形成できる。
カバーレイ20の下層には、第1基材11が積層されている。第1基材11は、絶縁性基材11bと、絶縁性基材11bの主面に導電層11aが形成された構造を有する。本実施形態の第1基材11、後述する第2基材12、及び第3基材を含む各基材10は可撓性を有する。各基材10の絶縁性基材11bは絶縁性樹脂により形成される。絶縁性樹脂は、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートを含む。各基材10の絶縁性基材は、同じ樹脂から作製してもよいし、異なる樹脂から作製してもよい。
図1Bは、図1Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図1Bに示すように、絶縁性基材11bの一方の主面には銅箔などの導電層11aが形成されている。導電層11aは、絶縁性基材11bに銅を蒸着又はスパッタリングした後に銅めっきをして形成される。導電層11aは、ポリイミド基材に接着剤を介して銅箔を貼り合わせたものであってもよい。
第1基材11の導電層11aは、複数のパッド2を有する。複数のパッド2のそれぞれは、図示しない他のコネクタに電気的に接続される。パッド2は、他のコネクタに接続される端部に形成される。図1A、図1Bに示すように、複数のパッド2は、プリント配線板1のコネクタへ接続される接続端部Eに、プリント配線板1の端縁Edに沿って並列配置される。
図1Cは、図1Bに示す領域1Cを拡大した部分拡大図である。図1B及び図1Cに示すように、第1基材11の上側の一方主面にはパッド2とグランド層3を含む導電層11aが形成されている。パッド2とグランド層3とは、基材10の同一主面に形成される。グランド層3は、基準電位に接地するグランド接点に接続される。
グランド層3は、パッド2の外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有する形状に形成される。一方、パッド2は、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有する形状に形成される。グランド層3は、パッド2を囲うように形成される。図1Cに示すように、導電層11aに含まれるグランド層3とパッド2との間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。グランド層3は、パッド2を周囲から囲い、溝4を構成する。本実施形態のように、パッド2に配線5が接続されている場合には、パッド2及び配線5の全周囲を囲うように溝4を形成する。パッド2に配線5が接続されていない場合には、溝4をパッド2の全周囲を囲うように形成する。
本実施形態において、グランド層3の内縁とパッド2の外縁との間の「所定距離」の文言は「経時的に変化しない距離」という意味であって、グランド層3とパッド2との距離がいずれの位置においても同じであるという限定されるものではない。つまり、グランド層3とパッド2との間の「所定距離」は各部分において異なる距離とすることができる。以下に説明する他の例においても同様である。特に限定されないが、パッド2とグランド層3との間に絶縁層を介在させてもよい。
また、図1Bに示すように、本実施形態のプリント配線板1は、第1基材11は、一方の主面に形成され、パッド2に電気的に接続された配線5を有する。配線5は、導電性材料を用いて形成される。導電性材料としては、例えば銅または銅合金を用いることができる。パッド2と配線5との接続関係は特に限定されず、出願時に知られたプリント配線板の製造手法を適宜に適用し、所望の接続関係を実現できる。以下に説明する他の例においても同様である。
本実施形態のプリント配線板1において、配線5は、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置に外縁を有する。グランド層3は、配線5の外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するように形成される。一方、配線5は、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有するように形成される。グランド層3は、配線5を囲うように形成される。図1Cに示すように、グランド層3と配線5との間は所定距離だけ離隔している。つまり、導電層11aに含まれるグランド層3と配線5との間には、所定距離の幅を有する溝4が形成されている。
本実施形態において、グランド層3の内縁と配線5の外縁との間の「所定距離」の文言は「経時的に変化しない距離」という意味であって、グランド層3と配線5との距離がいずれの位置においても同じであるという限定されるものではない。つまり、グランド層3と配線5との間の「所定距離」は各部分において異なる距離とすることができる。もちろん、先述したグランド層3とパッド2との距離と、グランド層3と配線5との距離も異なる距離とすることができる。以下に説明する他の例においても同様である。特に限定されないが、配線5とグランド層3との間に絶縁層を介在させてもよい。
グランド層3の内縁とパッド2の外縁との間の「所定距離」と、グランド層3の内縁と配線5の外縁との間の「所定距離」とは、同じ距離であってもよいし、異なる距離であってもよい。この点も、以下に説明する他の例においても同様である。
図1Dは、図1Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である.第1基材11の他方主面側の絶縁性基材11bの表面には接着層を介して補強層30が形成されている。補強層30は、例えば、ポリイミド製のフィルムを用いて形成する。なお、各構成の関係を明確に示すため、本第1の例及び第2〜第8の例を説明するための図面において、接着層の表記は省略した。基材同士の間には、必要に応じて接着層が存在するものとする。
図1Eは、図1Aに示すプリント配線板の1E−1E線に沿う断面図である。つまり、パッド2及びグランド層3を含む断面図である。図1Eに示すように、パッド2とグランド層3との間には溝4が形成されている。
また、パッド2及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。表面処理層MTは導電性を有する。本実施形態では、表面処理としてめっき処理を行う。表面処理層MTは耐腐食性や耐摩耗性等を備え、パッド2及びグランド層3の一部を保護する。本実施形態では、表面処理として金めっき処理を行う。金めっき処理によって形成される金めっき層の形成に用いる材料は特に限定されない。下層にニッケル層を含んでもよい。めっき層などの表面処理層MTの形成手法も特に限定されない。出願時に知られた材料及び手法を適宜に用いることができる。表面処理層MTは、導電性カーボン層や半田層などとしてもよい。
図1Fは図1Aに示すプリント配線板の1F−1F線に沿う断面図である。つまり、グランド層3を含む断面図である。1F−1F線にはパッド2が存在しないので、溝4も存在しない。
図1A〜図1Fに示す第1の例では、第1基材11の一方主面のみに、パッド2と配線5とが形成されたプリント配線板1を説明した。
これに限定されず、第1基材11の両主面のうち、パッド2形成された一方の主面の反対側の他方の主面に配線5を形成してもよい。他方の主面に形成された配線5は、第1基材11を貫通するビアを介してパッド2に電気的に接続される。また、第1基材11の他の主面には、グランド層3を形成する。グランド層3は、配線5の外縁から所定距離だけ離隔した位置に内縁を有し、基準電位のグランド接点に接続される。これにより、一方主面にパッド2を設け、他方主面側に配線5を設ける態様、一方主面にパッド2及び配線5を設け、他方主面側にも配線5を設ける態様のプリント配線板1を提供できる。これにより、設計の自由度が向上し、電子機器の小型化・薄型化の要請にも容易に応じることができる。
次に、図2A〜図2Fに基づいて、第2の例のプリント配線板1について説明する。
第2の例のプリント配線板1は、差動信号線として機能する対をなす配線5a,5bを備える点を除き、先述した第1の例のプリント配線板1と共通する。つまり、第2の例のプリント配線板1は、1層の導電層11aを含み、コネクタと一方主面のみで接続するタイプ(片面接続タイプ)である。重複した説明を避けるため、第1の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図2Aは、本実施形態の第2の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図2Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、補強層30とを少なくとも備える。本例のカバーレイ20と、補強層30は、第1の例のそれらと共通する。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図2Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が積層されている。カバーレイ20の下層には、第1基材11が積層されている。図2Bは、図2Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図2A、図2Bに示すように、絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aは、複数のパッド2a,2b(総称してパッド2と称することもある)を有する。複数のパッド2a,2bは対を形成する。図2A、図2Bに示すように、複数対のパッド2a,2bは、プリント配線板1のコネクタへ接続される接続端部Eに、プリント配線板1の端縁Edに沿って並列配置される。
図2Bに示すように、第2の例のプリント配線板1が備えるパッド2は、第1信号を伝達する配線5aと接続するパッド2aと、第1信号とは異なる第2信号を伝達する配線5bと接続するパッド2bとを含む。第1信号と第2信号は位相が異なり、位相ずれが生じる信号である。具体的に、本例の第1信号と第2信号は逆相の差動信号である。第1信号と第2信号とは周波数が異なる信号であってもよい。
図2Bに示す領域2Cを拡大した部分拡大図2Cに示すように、第1基材11の上側の一方主面には複数対のパッド2a、パッド2bとグランド層3を含む導電層11aが形成されている。グランド層3は、基準電位に接地するグランド接点に接続される。
グランド層3は、パッド2a,2bの外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するパターンに形成される。一方、パッド2a,2bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有するパターンに形成される。本例では、グランド層3の内縁の少なくとも一部が、パッド2a,2bの外縁の少なくとも一部と所定距離だけ離隔する関係を有すればよい。本例のグランド層3は、一対のパッド2a,2bを囲うように形成される。本例において、一対のパッド2a,2bはグループ化される。図2Cに示すように、導電層11aに含まれるグランド層3と、一対のパッド2a,2bとの間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。本例のように、パッド2a,2bに配線5a,5bが接続されている場合には、パッド2a,2b及び配線5a,5bの全周囲を囲うように、溝4を形成する。パッド2a,2bに配線5a,5bが接続されていない場合には、溝4を一対のパッド2a,2bの全周囲を囲うように形成してもよい。図2Cに示すように、隣り合うパッド2a及びパッド2bがそれぞれ有する外縁のうち、パッド2a及びパッド2bが対向する外縁以外の外縁において、グランド層3とパッド2a及びパッド2bとは、溝4を介して隔てられる。
また、図2Bに示すように、本実施形態のプリント配線板1は、第1基材11は、一方の主面に形成され、パッド2aに電気的に接続された配線5a、及びパッド2bに電気的に接続された配線5bを有する。一対をなす配線5a,5bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置に外縁を有する。グランド層3は、配線5a,5bの外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するように形成される。配線5a,5bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有するように形成される。本例のグランド層3は、一対の配線5a,5bを囲うように形成される。本例において、一対の配線5a,5bが設けられた領域は一つの領域としてグループ化される。図2Cに示すように、導電層11aに含まれるグランド層3と対として形成された一対の配線5a,5bが設けられた領域との間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。つまり、グランド層3と、グループ化された一対の配線5a,5bとの間には、所定距離に応じた幅の溝4が形成される。本例のように、配線5a,5bがパッド2a,2bに接続されている場合には、配線5a,5b及びパッド2a,2bの全周囲を囲うように、溝4を形成する。対をなす配線5aと配線5bとの間には、グランド層3は形成されない。対をなすパッド2aとパッド2bとの間にも、グランド層3は形成されない。図2Cに示すように、隣り合う配線5a及び配線5bがそれぞれ有する外縁のうち、配線5a及び配線5bが対向する外縁以外の外縁において、グランド層3と配線5a及び配線5bとは、溝4を介して隔てられる。
図2Dは、図2Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である.第1基材11の他方主面側の絶縁性基材11bの表面には接着層を介して補強層30が形成されている。
図2Eは、図2Aに示すプリント配線板の2E−2E線に沿う断面図である。つまり、パッド2a及びグランド層3を含む断面図である。図2Eに示すように、パッド2aとグランド層3との間には溝4が形成されている。パッド2bを通る線に沿う断面は図2Eに示すものと共通する。パッド2bとグランド層3との間にも溝4が形成される。第1の例と同様に、パッド2a,2b及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。
図2Fは図2Aに示すプリント配線板の2F−2F線に沿う、グランド層3を含む断面図である。2F−2F線にはパッド2が存在しないので、溝4も存在しない。
上述した第1の例、及び第2の例のプリント配線板1において、特に限定されないが、図1C及び図2Cに示すように、パッド2(2a,2bを含む。以下同じ)と同じ主面に形成されるグランド層3は、そのグランド層3が形成される絶縁性基材11bの主面の外縁から所定のオフセット量Sだけ内側に、グランド層3の外縁が位置するようにグランド層3を形成する。積層構造のプリント配線板1において、パッド2を含む導電層11aは、最上層又は最下層に配置される可能性が高い。プリント配線板1の製造時において金型を用いて打ち抜き加工をする際に、最上層又は最下層のグランド層3を金型が直接裁断する。銅箔などの金属で構成されているグランド層3を裁断することにより金型は摩耗・欠損しやすくなる。本実施形態のように、グランド層3を、絶縁性基材11bの外縁よりも内側にオフセットし、グランド層3と金型が直接当たらないようにすることにより、金型の摩耗・損傷を抑制できる。その結果、製造コストを低減させることができる。
他方、パッド2が形成される主面以外の主面は、最上層及び最下層以外の内側の層に配置される可能性が高い。このため、金型を用いてプリント配線板1を打ち抜き加工をする際に、金型の歯が内層のグランド層3に直接当たることがなく、金型の摩耗・欠損の発生は抑制される。本実施形態では、パッド2が形成される主面と異なる主面に形成されるグランド層3は、そのグランド層3が形成される絶縁性基材(後述する絶縁性基材12bなど)の主面の外縁と、そのグランド層3の外縁とが同じ位置となるように形成する。
続いて、上述した本実施形態の第1の例及び第2の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。本実施形態のプリント配線板1の製造方法は特に限定されず、本願出願時に知られているプリント配線板の作製手法を適宜に用いることができる。他の例のプリント配線板1の製造方法についても同様である。
まず、絶縁性基材11bの片面に導電層11aが形成された基材を準備する。本実施形態では、ポリイミド製の基材の一方主面に銅箔が形成された片面銅貼基材を準備する。片面銅貼基材は、特に限定されず、ポリイミド基材に銅を蒸着又はスパッタリングした後に銅めっきをしたものであってもよい。片面銅貼基材は、ポリイミド基材に接着剤を介して銅箔を貼り合わせたものであってもよい。
一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、片面銅貼基材の一方主面に所望のパッド2と配線5と、グランド層3を形成する。パッド2とグランド層3との間の溝4に対応する領域及び配線5とグランド層3との間の溝に対応する領域には、導電層11aを残さない。パッド2とグランド層3及び配線5とグランド層3とは絶縁された状態とする。これにより、第1基材11を得る。第1の例では、図1Bに示すように、パッド2と配線5とはシングルエンド信号を伝達する信号線の配線パターンとなる。第2の例では、図2Bに示すように、パッド2a,2bと配線5a,5bは、対をなす差動信号線のパターンとなる。本実施形態では、片面銅貼基材の主面に、シングルエンド信号の信号線の配線パターン又は差動信号線の配線パターンに応じたマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、所望の配線5及びパッド2が形成された第1基材11を得る。
第1基材11の一方主面に、形成された配線5の部分を覆うカバーレイ20を貼りつける。第1基材11の他方主面の接続端部Eを含む領域に、補強層30を貼りつける。カバーレイ20及び補強層30は適切な接着剤を用いて貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。
予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。パッド2(2a,2b)の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層を形成する。これにより、本実施形態の第1の例及び第2の例のプリント配線板1を得る。
ところで、電子機器の小型化に伴い、フレキシブルプリント配線板(FPC)を各種電子機器の基板に接続させるコネクタも軽量化、薄型化、小型化が顕著となっている。同様に、コネクタに係止されるプリント配線板の接続端部の薄型化、小型化が進み、配線の狭ピッチ化の要請も高い。このため、プリント配線板の配線幅は狭く、配線の厚さは薄くなる傾向にあり、強度を維持するのが困難な状況にある。プリント配線板の接続端部の強度が低下すると、外力を受けたときに破損する可能性がある。また、コネクタに接続する際にフレキシブルプリント配線板にかかる負荷が小さいZIFタイプだけではなく、フレキシブルプリント配線板に負荷がかかるLIF(Low Insertion Force)タイプやNON−ZIFタイプのコネクタが使用される場合もある。このように、負荷のかかるコネクタを用いる場合には、配線にひびや破損が生じるほかに、接続端部の変形や破損が発生することがある。
薄型化観点から、小型の電子機器においては、ライトアングルタイプのコネクタが用いられる。ライトアングルタイプのコネクタにおいては、プリント配線板を、コネクタの前方からコネクタ方向にスライドさせて、コネクタに挿入する。このため、ライトアングルタイプのコネクタでは、プリント配線板をスライドさせるスペースが必要であるが、高密度化された電子機器の基板においてスペースの確保は難しい。また、電子機器の筐体と基板との隙間も狭いため、基板に接続されたプリント配線板は筐体の端部で180度に折り曲げられた状態で、筐体に組み込まれることがある。このようにプリント配線板を小さい曲率半径で折り曲げることが前提となる場合には、層間を貫通するビアを配置できないなどの設計上に制約が課される。
また、上述したプリント配線板の接続端部の強度に問題に加えて、電子機器の伝送スピードの向上や、高密度化に伴い、プリント配線板がシールド構造を備える必要性が高まっている。スマートフォンなどの通信機器は、複数の無線装置を搭載するため、EMI(Electro Magnetic Interference)対策のためにもシールド構造を採用する要請が高い。シールド構造においては、信号線として機能する配線を内側層に配し、シールド層を上側又は下側の層に配する。また、コネクタに係止される接続端部の構造においては、コネクタとの物理的な接触が必要であり、最上面又は最下面に露出したパッドを配置する必要がある。
このように、薄型化・小型化、接続端部の強度、EMI対策、伝送特性の維持・向上、作業性の向上、レイアウトの自由度の向上などの課題を適切に解決することは容易ではない。
本実施形態のプリント配線板1は、パッド2、このパッド2に接続される配線5を取り囲むように、パッド2、配線5の外縁から所定距離だけ離隔させた位置に内縁が位置するように形成されたグランド層3を備える。グランド層3は、基準電位のグランド接点に接地される。これにより、グランド層3を、パッド2、配線5から絶縁された状態とすることができる。このような構造のグランド層3を形成することにより、プリント配線板1の接続端部Eの強度を向上させ、接続端部Eの端縁Edの変形、破損を防止できる。このように、プリント配線板1の薄型化・小型化、その接続端部Eの強度の向上、EMI対策、伝送特性、作製時の作業性、レイアウトの自由度に関する課題をバランスよく解決できる。さらに、グランド層3を絶縁性基材11bの内側にオフセットすることにより、金型の寿命の延長、作製コストの低減も併せて図ることができる。
次に、図3A〜図3Hに基づいて、第3の例のプリント配線板1について説明する。
第3の例は、二つの導電層を備えるプリント配線板1の例である。第3の例のプリント配線板1は、パッド2を一の導電層に設け、配線5を他の導電層に設ける点で第1、第2の例と異なる。第3の例のプリント配線板1では、パッド2と配線5は別の層に形成される。第3の例では、差動信号線として機能する対となる配線5a,5bを備える点で、第2の例と共通する。第3の例のプリント配線板1は、導電層11a、導電層11cを含み、コネクタと一方主面のみで接続するタイプ(片面接続タイプ)である。重複した説明を避けるため、第1の例、第2の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図3Aは、本実施形態の第3の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図3Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、補強層30とを少なくとも備える。本例のカバーレイ20と、補強層30は、第1の例のそれらと共通する。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図3Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が積層されている。カバーレイ20の下層には、第1基材11が積層されている。図3Bは、図3Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図3Bに示すように、第1基材11の一方主面に形成された導電層11aは、対をなすパッド2a,2bと、グランド層3とを含む。配線5は形成されていない。絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aは、複数のパッド2a,2b(総称してパッド2と称することもある)を有する。複数対のパッド2a,2bは、プリント配線板1のコネクタへ接続される接続端部Eに、プリント配線板1の端縁Edに沿って並列配置される。
図3Cは、図3Bに示す3C領域の部分拡大図である。図3B、図3Cに示すように、第3の例のプリント配線板1のパッド2は、第1信号を伝達する配線5aと接続するパッド2aと、第1信号とは異なる第2信号を伝達する配線5bと接続するパッド2bとを含む。グランド層3は、基準電位に接地するグランド接点に接続される。パッド2a,2bは、第1基材11を貫通するビアTHを介して、第1基材11の他方主面に形成された配線5a,5bと接続する。
第3の例のプリント配線板1において、グランド層3は、パッド2a,2bの外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するパターンに形成される。パッド2a,2bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有するパターンに形成される。本例において、一対のパッド2a,2bはグループ化される。図3Cに示すように、本例のグランド層3は、一対のパッド2a,2bの両方を含む領域の全周を囲うように形成される。導電層11aに含まれるグランド層3と対として形成された一対のパッド2a,2bとの間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。グランド層3は、一対のパッド2a,2bを囲う溝4を構成する。
図3Dは、第1基材11の他方主面の底面斜視図である。図3Eは、図3Dに示す3E領域の部分拡大図である。第1基材11は、第1基材11を貫通するビアTHを介してパッド2a,2bに電気的に接続される配線5a,5bと、配線5a,5bの外縁から所定距離だけ離隔した位置に内縁を有し、グランド接点に接続されるグランド層3と、を有する。
図3D,図3Eに示すように、第2基材12の一方主面には、対を形成する配線5a,5bが、複数、幅方向に沿って並列配置されている。配線5aの端部5a´は、第1基材11を貫通するビアを介して第1基材11の一方主面に形成されたパッド2aと電気的に接続する。同様に、配線5bの端部5b´は、第1基材11を貫通するビアを介して上層の第1基材11の一方主面に形成されたパッド2bと電気的に接続する。
また、図3D,図3Eに示すように、一対をなす配線5a,5bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置に外縁を有する。グランド層3は、配線5a,5bの外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するように形成される。配線5a,5bは、グランド層3の内縁から所定距離だけ離隔した位置にその外縁を有するように形成される。本例のグランド層3は、一対の配線5a,5bを囲うように形成される。本例において、一対の配線5a,5bはグループ化される。図3D,図3Eに示すように、導電層12aに含まれるグランド層3と対として形成された一対の配線5a,5bとの間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。つまり、グランド層3と、グループ化された一対の配線5a,5bとの間には、所定距離に応じた幅の溝が形成される。図3D、図3Eに示すように、隣り合う配線5a及び配線5bがそれぞれ有する外縁のうち、配線5a及び配線5bが対向する外縁以外の外縁において、グランド層3と配線5a及び配線5bとは、溝4を介して隔てられる。つまり、隣り合う配線5a及び配線5bの間にはグランド層3は形成されない。
図3Fは、図3Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である。第1基材11の他方主面を覆うカバーレイ20の表面には、接着層を介して補強層30が形成されている。
図3Gは、図3Aに示すプリント配線板の3G−3G線に沿う断面図である。つまり、第1基材11のパッド2a及びグランド層3を含む断面図である。図3Gに示すように、パッド2aとグランド層3との間には溝4が形成されている。パッド2bを通る線に沿う断面は図3Gに示すものと共通する。パッド2bとグランド層3との間にも溝4が形成される。第1の例と同様に、パッド2a,2b及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。
第1基材11の導電層11cに形成された配線5a及びその端部5a´はビアTHを介して上側の第1基材11のパッド2と接続する。
図3Hは、図3Aに示すプリント配線板の3H−3H線に沿う、グランド層3を含む断面図である。3H−3H線にはパッド2、配線5が存在しないので、溝4も存在しない。第2基材12のグランド層3は、第1基材11のグランド層3とビアTHを介して接続する。グランド層3は、図外のグランド接点に接地される。
続いて、上述した本実施形態の第3の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。まず、絶縁性基材の両主面に導電層が形成された基材を準備する。本実施形態では、ポリイミド製の基材の両主面に銅箔が形成された両面銅貼基材を準備する。絶縁性基材の材質、導電層の材質は、第1の例、第2の例と同様のものを用いることができる。
両面銅貼基材の所定位置に、レーザー加工やCNCドリル加工等によってその両面銅貼基材を厚さ方向に貫通するビアホールを形成する。DPP(Direct Plating Process)処理によって、ビアホールの内壁面に導電層を形成する。必要に応じて、ビアホール内壁面を含めた両面銅貼基材の表面全体に銅めっき層を形成する。もちろん、ビアホールを含む部分的なめっき処理を行ってもよい。これにより、両面銅貼基材の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTHが形成される。
一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、両面銅貼基材の一方主面の導電層11aに所望のパッド2a,2bを形成し、他方主面の導電層11cに配線5a,5bを形成する。パッド2a,2bとグランド層3との間の溝4に対応する領域、及び配線5a、5bとグランド層3との間の溝に対応する領域には導電層12aを残さない。パッド2a,2bとグランド層3とは絶縁された状態とする。配線5a,5bとグランド層3とは絶縁された状態とする。これにより、第1基材11を得る。
第3の例では、図3B、図3D示すように、パッド2a,2bと配線5a,5bは、対をなす差動信号線のパターンとなる。本実施形態では、両面銅貼基材の他方主面に、差動信号線のパターンに応じたマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、所望の配線5a,5bを形成する。同様に、両面銅貼基材の一方主面に、パッド2a,2bのパターンに応じたマスクパターンを作製し、銅箔をエッチングすることにより、所望のパッド2a,2bを形成する。これにより、所望の配線5a,5b及びパッド2a,2bが形成された第1基材11を得る。
得られた第1基材の一方主面及び他方主面にカバーレイ20を接着剤を用いて貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。
パッド2a,2bの表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。他方主面のカバーレイ20の上に接着剤を用いて補強層30を貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第3の例のプリント配線板1を得る。
次に、図4A〜図4Iに基づいて、第4の例のプリント配線板1を説明する。
第4の例は、三つの導電層を備えるプリント配線板1の例である。また、第4の例では、差動信号線として機能する配線5a,5bを備える点で、第2、第3の例と共通する。第4の例のプリント配線板1は、導電層11a、導電層11c、及び導電層12cを含み、コネクタと一方主面のみで接続するタイプ(片面接続タイプ)である。重複した説明を避けるため、第1〜3の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図4Aは、本実施形態の第4の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図4Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、第2基材12と、補強層30とを少なくとも備える。本例のカバーレイ20と、補強層30は、第1の例のそれらと共通する。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図4Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が積層されている。カバーレイ20の下層には、第1基材11が積層されている。図4Bは、図4Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図4Bに示すように、第1基材11の一方主面の導電層11aには、対をなすパッド2a,パッド2bと、グランド層3を含む導電層11aが形成されている。配線5は形成されていない。絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aは、複数のパッド2a,2b(総称してパッド2と称することもある)を有する。パッド2a,2bの配置の態様は第2の例と共通する。
図4Cは、図4Bに示す4C領域の部分拡大図である。図4B、図4Cに示す第4の例のプリント配線板1のパッド2a,2b、グランド層3、溝4の態様は、第3の例と共通する。
図4Dは、第1基材11の他方主面の平面斜視図である。図4Eは、図4Dに示す4E領域の部分拡大図である。
図4D,図4Eに示すように、第1基材11の他方主面には、対を形成する配線5a,5bが、複数、幅方向に沿って並列配置されている。配線5aの端部5a´は、第1基材11を貫通するビアを介して上層の第1基材11のパッド2aと電気的に接続する。同様に、配線5bの端部5b´は、第1基材11を貫通するビアを介して上層の第1基材11のパッド2bと電気的に接続する。図4D、図4Eに示す第4の例のプリント配線板1の配線5a,5b、グランド層3、溝4の態様は、第3の例で第1基材11の他方主面側に形成された配線5a,5b、グランド層3、溝4の態様と共通する。
図4Fは、第2基材12の底面斜視図である。第2基材12の他方主面には導電層12cが形成されている。導電層12cは、基準電位のグランド接点に接続され、グランド層3として機能する。
図4Hは、図4Aに示すプリント配線板の4H−4H線に沿う断面図である。
第4の例のプリント配線板1は、第1基材11の何れか一方の主面に直接積層される一の第2基材12を有する。なお、変形の態様として、第1基材11と第2基材12との間には、不図示の第3基材を介在させてもよいし、積層する第2基材12の数は限定されない。第2基材12は、第1基材11、第3基材(不図示)を含む一又は複数の基材10を貫通するビアTHを介してグランド接点に接続される第1基材11のグランド層3に電気的に接続される。
図4Hは、第1基材11のパッド2a及びグランド層3、第1基材11の配線5a及びグランド層3、第2基材12のグランド層3を含む断面図である。図4Hに示すように、パッド2aとグランド層3との間には溝4が形成されている。パッド2bを通る線に沿う断面は図4Hに示すものと共通する。パッド2bとグランド層3との間にも溝4が形成される。第1の例と同様に、パッド2a,2b及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。
図4Hに示すように、第1基材11の導電層11cに形成された配線5a及びその端部5a´はビアTHを介して上側の第1基材11のパッド2と接続する。
図4Iは、図4Aに示すプリント配線板1の4I−4I線に沿う、グランド層3を含む断面図である。4I−4I線にはパッド2、配線5が存在しないので、溝4も存在しない。第1基材11の一方主面及び他方主面のグランド層3と、第2基材12のグランド層3とは、ビアTHを介して接続する。各グランド層3は、図外のグランド接点に接地される。
一般に、EMI対策のためにコネクタにシールドを施すことが行われている。しかし、コネクタに接続される多層のプリント配線板1の層間接続を行うビアTHは、コネクタの外側に配置されるため、ビアTHは、プリント配線板のシールド層によっても保護できず、コネクタのシールドによっても保護できない場合がある。このように保護が十分でない場合には、これによって生じるノイズが伝送特性を低下させることがある。特に伝送スピードが高い現在において、僅かなノイズであっても、伝送特性に与える影響は無視できない。
本実施形態では、多層構造のプリント配線板1において、層間接続を実現するビアTHを接続端部Eに形成する。つまり、層間接続を実現するビアTHを、プリント配線板1の接続端部Eの端縁Edよりも手前側(端縁Edとは反対側)に配置するのではなく、接続端部Eに設けられたパッド2の直下に配置する。層間を貫通するビアTHの一方端部は、パッド2の裏面(接触面の裏側面)と接する。
本実施形態のプリント配線板1におけるパッド2は、グランド層3に取り囲まれている。このため、本実施形態のプリント配線板1が備えるシールド構造によって、層間の信号の伝送経路をシールドすることができる。高速伝送の要求やEMI特性の要求がある場合であっても、伝送経路がシールド構造の外に露出されないように保護することができる。
本実施形態の多層構造のプリント配線板1のシールド構造によれば、信号がパッド2に伝送されるまでシールドされた状態を維持することができる。つまり、本実施形態のプリント配線板1において、信号がシールド構造の外部に露出されるのはコネクタと接触するパッド2においてのみとなる。このように、本実施形態のプリント配線板1は、コネクタと物理的に接触するパッド2に至るまでシールド状態を維持できるという、究極の遮蔽性を実現するシールド構造を提供することができる。
また、プリント配線板1の接続端部EにおいてビアTHによって、表層のパッド2へ信号を伝送できるので、コネクタ嵌合部近傍にてプリント配線板1を屈曲させることが可能となる。プリント配線板1の折り曲げ角度を考慮せずに、コネクタを筐体の壁面近傍に配置できるので、電子機器全体の小型化に貢献できる。このように、多層構造のプリント配線板1においても、プリント配線板1の薄型化・小型化、その接続端部Eの強度の向上、EMI対策、伝送特性、作製時の作業性、レイアウトの自由度、基板レイアウトの省スペース化に関する課題をバランスよく解決できる。さらに、グランド層3を絶縁性基材11bの内側にオフセットすることにより、金型の寿命の延長、作製コストの低減も併せて図ることができる。
続いて、上述した本実施形態の第4の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。まず、第1基材11を作製するために、絶縁性基材11bの両面に導電層11a及び11cが形成された基材を準備する。両面銅貼基材は、第3の例と同様のものを用いる。
第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、両面銅貼基材の他方主面の導電層11cに配線5a,5bを形成する。配線5a、5bとグランド層3との間の溝に対応する領域には導電層11cを残さない。配線5a,5bとグランド層3とは絶縁された状態とする。これにより、第1基材11を得る。
次に、第2基材12を作製するために、絶縁性基材の他方主面に導電層12cが形成された片面銅貼基材を準備する。
第2基材12の他方主面にグランド層3を形成する。本例では、導電層12cをそのまま残してグランド層3として機能させる。
次いで、第1基材11と第2基材12とを積層し、第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、両面銅貼基材の一方主面の導電層11aに所望のパッド2a,2bを形成する。パッド2a,2bとグランド層3との間の溝4に対応する領域には導電層11aを残さない。パッド2a,2bとグランド層3とは絶縁された状態とする。第3の例と同様の手法により、第1基材11の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTH、第1基材11の一方主面と他方主面と第2基材12の他方主面とを電気的に接続するビアTHを形成する。
第1基材11の一方主面側の最上面にカバーレイ20を接着剤を用いて貼りつける。第2基材12の他方主面側に接着剤を用いてカバーレイ20を貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。
第1基材11の一方主面側のパッド2a,2bとグランド層3の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。第2基材12の他方主面側に貼り付けたカバーレイ20に接着剤を用いて補強層30を貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第4の例のプリント配線板1を得る。
次に、図5A〜図5Jに基づいて、第5の例のプリント配線板1について説明する。
第5の例は、三つの導電層を備えるプリント配線板1の例である。また、第5の例では、配線5がシングルエンド信号の信号線の配線パターンである点で、第1の例と共通する。第5の例のプリント配線板1は、導電層11a、導電層12a、導電層12cを含み、コネクタと表面及び裏面の両面にて接続するタイプ(両面接続タイプ)である。重複した説明を避けるため、第1〜第4の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図5Aは、本実施形態の第5の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図5Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、一枚の第2基材12とを少なくとも備える。本例のカバーレイ20は、第1の例のそれと共通する。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図5Aに示すように、プリント配線板1の最上層及び最下層には、カバーレイ20が貼り付けられている。最上層のカバーレイ20の下層には第1基材11が配置されている。図5Bは、図5Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図5A、図5Bに示すように、絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aは、複数のパッド2を有する。図5A、図5Bに示すように、複数のパッド2は、プリント配線板1のコネクタへ接続される接続端部Eに、プリント配線板1の端縁Edに沿って並列配置される。パッド2の配置の態様は第1の例と共通する。図5Bに示すように、第1基材11の上側の一方主面にはパッド2とグランド層3を含む導電層11aが形成されている。配線5は形成されていない。
図5Cは、図5Bに示す5C領域の部分拡大図である。絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aは、複数のパッド2を有する。パッド2の配置の態様は第1の例と共通する。第5の例のプリント配線板1において、グランド層3は、パッド2の外縁から所定距離だけ離隔した位置にその内縁を有するパターンに形成される。図5Cに示すように、本例のグランド層3は、パッド2の全周を囲うように形成される。導電層11aに含まれるグランド層3とパッド2との間には、所定距離の幅を有する溝4が形成される。グランド層3は、各パッド2を囲う溝4を構成する。
図5Dは、第2基材12の一方主面側の平面斜視図である。図5Eは、図5Dに示す5E領域の部分拡大図である。第5の例のプリント配線板1は、第1基材11の何れか一方の主面に直接積層される一の第2基材12を有する。なお、変形の態様として、第1基材11と第2基材12との間には第3基材を介在させてもよいし、積層する第2基材12の数は限定されない。第2基材12は、一又は複数の基材10を貫通するビアTHを介してパッド2に電気的に接続される配線5と、配線5の外縁から所定距離だけ離隔した位置に内縁を有し、グランド接点に接続されるグランド層3と、を有する。
図5D,図5Eに示すように、第2基材12の一方主面には、複数の配線5が、プリント配線板1の幅方向に沿って並列配置されている。配線5の端部5´は、第1基材11を貫通するビアを介して第1基材11の一方主面のパッド2と電気的に接続する。また、配線線5の端部5´は、第2基材12を貫通するビアを介して第2基材12の他方主面のパッド2とも電気的に接続する。本実施形態の第5の例のプリント配線板1においては、奇数列の配線5の端部5´は第1基材11の一方主面のパッド2と電気的に接続し、偶数列の配線5の端部5´は第2基材12の他方主面のパッド2と電気的に接続している。
第5の例に係るプリント配線板1は、両面でコネクタと接続する。本例では、第1基材11の一方主画側に、パッド2とグランド層3とを形成するとともに、第2基材12の他方主面側に、パッド2とグランド層3とを形成する。
図5Fは、第2基材12の他方主面側の底面斜視図である。第2基材12の他方主面側には、複数のパッド2とグランド層3とが形成される。第1の例の第1基材11と同様に、パッド2とグランド層3との間には、所定距離に応じた幅の溝4が形成される。このように、第5の例における第2基材12は、第1基材11としての構成及び機能を備える。説明の便宜のために、パッド2を備える基材を第2基材12と称して説明するが、第5の例における第2基材12は、本発明の第1基材に対応する。
図5Gは、図5Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である。底面を構成する第2基材12の他方主面側の導電層12cは、パッド2が形成された領域を除き、カバーレイ20で覆われている。図5Gに示すように、プリント配線板1の底面側には第2基材12の他方主面に形成されたパッド2が露出しており、底面においてもコネクタと電気的に接触することができる。
図5Hは、図5Aに示すプリント配線板の5H−5H線に沿う断面図である。つまり、図5Hは、第1基材11のパッド2及びグランド層3、第2基材12の一方主面に形成された配線5a及びグランド層3、第2基材12の他方主面に形成されたグランド層3を含む断面図である。図5Hに示すように、パッド2とグランド層3との間には溝4が形成されている。第1の例と同様に、パッド2及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。第2基材12の導電層12aに形成された配線5及びその端部5´はビアTHを介して上側の第1基材11のパッド2と接続する。
図5Iは、図5Aに示すプリント配線板1の5I−5I線に沿う、グランド層3を含む断面図である。5I−5I線にはパッド2、配線5が存在しないので、溝4も存在しない。第1基材11の一方主面に形成されたグランド層3と、第2基材12の両主面に形成されたグランド層3とは、ビアTHを介して接続する。グランド層3は、図外のグランド接点に接地される。
図5Jは、図5Gに示すプリント配線板1の5J−5J線に沿う断面図である。図5Jは、プリント配線板1の図中における底面側のパッド2及びグランド層3、第2基材12の配線5及びグランド層3、を含む断面図である。図5Jに示すように、底面側のパッド2とグランド層3との間には溝4が形成されている。底面側のパッド2及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。第1基材11に形成された配線5及びその端部5´はビアTHを介して下側の第2基材12のパッド2と接続する。ちなみに、図5Jに示す断面では、図5Gで最上層に位置する第2基材12が最下層に位置するように反転して示す。図5H,図5Iとの上下方向を揃えるためである。なお、第5の例において、説明の便宜から「第2基材12」と称する基材は、パッド2及びグランド層3を有する本発明の「第1基材」に実質的に対応する。
続いて、上述した本実施形態の第5の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。
まず、第2基材12を作製するために、絶縁性基材の一方主面に導電層12aが形成され,他方主面に導電層12cが形成された両面銅貼基材を準備する。両面銅貼基材は、第3、第4の例と同様のものを用いる。
第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、一方主面(図中上側となる面)の導電層12aに配線5を形成する。配線5とグランド層3との間の溝に対応する領域には導電層12aを残さない。配線5とグランド層3とは絶縁された状態とする。
次に、第1基材11を作製するために、絶縁性基材の一方主面に導電層11aが形成された片面銅貼基材を準備する。
次いで、第1基材11と第2基材12とを積層し、第3の例と同様の手法により、第1基材11の一方主面と第2基材の12の一方主面とを電気的に接続するビアTH、第1基材11の一方主面と第2基材12の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTH、第2基材12の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTHを形成する。第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、第1基材11の一方主面の導電層11aに所望のパッド2a,2bを、第2基材12の他方主面の導電層12cに所望のパッド2a,2bを形成する。パッド2a,2bとグランド層3との間の溝4に対応する領域には導電層11aを残さない。パッド2a,2bとグランド層3とは絶縁された状態とする。
第1基材11の一方主面側の最上面にパッド2が露出するように、カバーレイ20を貼りつける。第2基材12の他方主面側も同様に、パッド2が露出するようにカバーレイ20を貼りつける。カバーレイ20の貼り付けには、適切な接着剤を用いる。必要に応じて硬化処理を行う。
第1基材11及び第2基材12のパッド2とグランド層3の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第5の例のプリント配線板1を得る。
次に、図6A〜図6Iに基づいて、第6の例のプリント配線板1について説明する。
第6の例は、三つの導電層を備えるプリント配線板1の例である。また、第6の例では、配線5が対をなす差動信号線である点で、第2の例と共通する。第6の例のプリント配線板1は、導電層11a、導電層12a、導電層12cを含み、コネクタと表面及び裏面の両面にて接続するタイプ(両面接続タイプ)である。重複した説明を避けるため、第1〜第5の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図6Aは、本実施形態の第6の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図6Aに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、一枚の第2基材12とを少なくとも備える。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図6Aに示すように、プリント配線板1の最上層及び最下層には、カバーレイ20が貼り付けられている。最上層のカバーレイ20の下層側には第1基材11が配置されている。図6Bは、図6Aに示すプリント配線板のカバーレイ20を除いた第1基材11の平面斜視図である。図6A、図6Bに示すように、絶縁性基材11bの一方の主面に形成された導電層11aには、パッド2、配線5は設けられていない。導電層11aは、グランド層3として機能する。
図6Cは、第1基材11の他方主面側に積層された、第2基材12の一方主面側の平面斜視図である。図6Dは、図6Cに示す6D領域の部分拡大図である。第6の例のプリント配線板1は、第1基材11の何れか一方の主面に直接積層される一の第2基材12を有する。第2基材12は基材10を貫通するビアTHを介してパッド2に電気的に接続される配線5a,5bと、配線5a、5bの外縁から所定距離だけ離隔した位置に内縁を有し、グランド接点に接続されるグランド層3と、を有する。
図6C,図6Dに示すように、第2基材12の一方主面には、複数の配線5a´,5b´が、プリント配線板1の幅方向に沿って並列配置されている。配線5の端部5a´,5b´は、第2基材12を貫通するビアを介して第2基材12の他方主面のパッド2a,2bと電気的に接続する。
図6Eは、第2基材12の他方主面側の底面斜視図であり、図6Fは、図6Eに示す6F領域の部分拡大図である。第2基材12の他方主面側には、複数のパッド2a,2bとが形成されている。同図に示す第2基材12の導電層12cは、プリント配線板1の下面側となるように配置される。このため、図6Eに示す第2基材12の他方主面の導電層12cのパッド2bの位置が、その裏側の一方主面側の導電層12aの配線5の端部5b´の位置と対応する。第2の例の第1基材11と同様に、パッド2a,2bとグランド層3との間には、所定距離に応じた幅の溝4が形成される。
図6Gは、図6Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である.底面を構成する第2基材12の他方主面側の導電層12cは、パッド2a,2bが形成された領域を除き、カバーレイ20で覆われている。図6Gに示すように、プリント配線板1の底面側には第2基材12の他方主面に形成されたパッド2a,2bが露出しており、プリント配線板1の底面側においてコネクタと電気的に接触することができる。第6の例に係るプリント配線板1は、最上面においてグランド層3がグランド接点に接続するとともに、最下面においてパッド2a,2bがコネクタと接続する。
図6Hは、図6Aに示すプリント配線板の6H−6H線に沿う断面図である。図6Hは、第1基材11のグランド層3、第2基材12の一方主面に形成されたグランド層3、第2基材12の他方主面に形成されたグランド層3を含む断面図である。6H−6H線にはパッド2a,2b、配線5a´,5b´が存在しないので、溝4も存在しない。第1基材11の一方主面に形成されたグランド層3と、第2基材12の一方主面に形成されたグランド層3と、第2基材12の他方主面に形成されたグランド層3は、ビアTHを介して接続される。グランド層3は、図外のグランド接点に接地される。
図6Iは、図6Gに示すプリント配線板1の6I−6I線に沿う、パッド2b及びグランド層3を含む断面図である。図6Iに示すように、パッド2bとグランド層3との間には溝4が形成されている。第1の例と同様に、パッド2b及びグランド層3の上面側には、表面処理層MTが形成されている。第2基材12の導電層12aに形成された配線5b及びその端部5b´は、ビアTHを介して、第2基材12の他方主面側の導電層12cに形成されたパッド2bと接続する。ちなみに、図6Iに示す断面では、図6Gで最上層に位置する第2基材12が最下層に位置するように反転して示す。図6Hと上下方向を揃えるためである。第6の例において、パッド2a,2b及びグランド層3を有する第2基材12は、本発明の「第1基材」に対応する基材である。
第6の例では、プリント配線板1の最上面にグランド層3の接点が配置され最下面にパッド2a,2bが配置される例を説明したが、上下を反対にし、最上面にパッド2a,2bが配置され、最上面にグランド層3の接点が配置されるように使用してもよい。
続いて、上述した本実施形態の第6の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。まず、第2基材12を作製するために、絶縁性基材の一方主面に導電層12aが形成され,他方主面に導電層12cが形成された両面銅貼基材を準備する。
第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、両面銅貼基材の一方主面(図中上側となる面)の導電層12aに配線5a´,5b´を形成する。配線5a´,5b´とグランド層3との間の溝に対応する領域には導電層12aを残さない。配線5a´,5b´とグランド層3とは絶縁された状態とする。
次に、第1基材11を作製するために、絶縁性基材の一方主面に導電層11aが形成された片面銅貼基材を準備する。導電層11aは、グランド層3として機能する。
次いで、第1基材11と第2基材12とを積層し、第3の例と同様の手法により、第1基材11の一方主面と第2基材12の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTH、第2基材12の一方主面と他方主面とを電気的に接続するビアTHを形成する。第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、第2基材12の他方主面の導電層12cに所望のパッド2a,2bを形成する。パッド2a,2bとグランド層3との間の溝4に対応する領域には導電層11aを残さない。パッド2a,2bとグランド層3とは絶縁された状態とする。
第1基材11の一方主面側の最上面の接続端部Eを除いた領域にカバーレイ20を貼りつける。第2基材12の他方主面側も同様に、パッド2a,2bが露出するようにカバーレイ20を貼りつける。カバーレイ20の貼り付けには、適切な接着剤を用いる。必要に応じて硬化処理を行う。
第2基材12のパッド2a,2b及び第1基材11の露出部分の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第6の例のプリント配線板1を得る。
次に、図7A〜図7Hに基づいて、第7の例のプリント配線板1について説明する。
第7の例のプリント配線板1は、導電層のうち最上層に位置する導電層12aにてコネクタと接続するのではなく、その下側に位置する二番目の導電層11aがコネクタと接続する。第7の例のプリント配線板1は、導電層11a、導電層11c、導電層12aの三つの導電層を含み、コネクタと一方側にて接続するタイプである。また、第7の例では、配線5がシングルエンド信号を伝達する信号線の配線パターンである点で、第1の例、第5の例と共通する。重複した説明を避けるため、第1〜第6の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図7Aは、本実施形態の第7の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図7Bは、図7Aに示すプリント配線板1のカバーレイ20を除去した状態を示す平面斜視図である。図7A、図7Bに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、第2基材12とを少なくとも備える。図7Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が貼り付けられている。最上層のカバーレイ20の下層には第2基材12が配置され、その下層にはその第1基材11が配置されている。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図7Bに示すように、パッド2が露出するように、第2基材12の導電層12a及び絶縁性基材12bが除去されている。本例の第1基材11の導電層11aに形成されたパッド2は、コネクタと接続される。第2基材12の導電層12aは、グランド接点に接続される。
図7Cは、第1基材11の一方主面の平面斜視図である。絶縁性基材11bの一方主面に形成された導電層11aには、パッド2及び配線5が設けられている。図7Dは、図7Cに示す7D領域の部分拡大図である。第1基材11の一方主面側には、複数のパッド2とグランド層3とが形成されている。第1の例、第5の例と同様に、パッド2とグランド層3との間には、所定距離に応じた幅の溝4が形成される。
図7Eは、第1基材11の他方主面側に形成された導電層11cの平面斜視図である。導電層11cはシールド機能を備え、グランド接点に接続される。
図7Fは、図7Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である。プリント配線板1の底面を構成する第1基材11の他方主面側の導電層11cの全面がカバーレイ20で覆われている。さらに、パッド2が形成された領域には、補強層30が形成されている。
図7Gは、図7Aに示すプリント配線板の7G−7G線に沿う断面図である。図7Gは、第2基材12の一方主面に形成されたグランド層3と、第1基材11の一方主面に形成されたパッド2と配線5、及び第1基材11の他方主面に形成されたグランド層3を含む断面図である。7G−7G線にはパッド2、配線5及びグランド層3が存在する。グランド層3とパッド2との間には溝4が存在する。第1基材11のパッド2の上層には、表面処理層MTが形成されている。パッド2は、表面処理層MTを介してコネクタと接続する。
図7Hは、図7Aに示すプリント配線板1の7H−7H線に沿う、導電層11aのグランド層3を含む断面図である。図7Hに示すように、第2基材12の一方主面側のグランド層3と、第1基材11の一方主面側及び他方主面のグランド層3とは、ビアTHを介して接続され、図示しないグランド接点に接続される。
第7の例では、第1基材11に形成される配線5がシングルエンド信号の信号線の配線パターンである例を説明したが、配線5が差動信号線として機能する対をなす配線5a,5bとしてもよい。
続いて、上述した本実施形態の第7の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。まず、第1基材11を作成するために、絶縁性基材の両面に導電層11a,11cが形成された両面銅貼基材を準備する。第1基材11の両主面のうち、第2基材12の主面と接する主面(本例では導電層11a)に、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、パッド2及び配線5を形成する。パッド2とグランド層3との間の溝4に対応する領域には導電層13cを残さない。パッド2とグランド層3とは絶縁された状態とする。
並行して、第2基材12を作製するために、絶縁性基材の片面に導電層12aが形成された片面銅貼基材を準備する。本例では、導電層12aをグランド層3として機能させる。
第2基材12の絶縁性基材12bの全面に接着層を貼りつけ、その後、パッド2が形成される位置に対応する所定領域の接着層を除去する。所定領域の接着層を除去する手法は限定されず、金型で抜いてもよいし、レーザーにより除去してもよい。その後、第1基材11と第2基材12とを積層する。この積層工程においては、パッド2が形成される位置に対応する所定領域の接着層が除去されているので、パッド2が形成される位置においては、第1基材11と第2基材12との間に接着層が存在しない状態とすることができる。このようにすることで、後に、パッド2が形成される位置に対応する、第2基材12の導電層12a及び絶縁性基材12bの所定領域を除去し、導電層11aに形成されたパッド2を露出させることができる。
積層後、第3の例と同様の手法により、ビアTHを形成する。次に、必要に応じて、第3の例と同様の手法により、一般的なフォトリソグラフィー技術を用いて、第2基材12の導電層12a、第1基材11の導電層11cに配線等を形成してもよい。
最後に、パッド2が形成される位置に対応する所定領域の第2基材12の導電層12a及び絶縁性基材12bを除去する。これらを除去する手法は限定されず、金型で抜いてもよいし、レーザーにより除去してもよい。
第2基材12の一方主面側にカバーレイ20を貼りつける。第2基材12及びカバーレイ20は接続端部Eを覆わない。第2基材12の下層の第1基材11のパッド2を露出させる。第1基材11の他方主面側にカバーレイ20を貼りつける。さらに、カバーレイ20の表面のうち、第1基材11の他方主面の接続端部Eを含む領域に、補強層30を貼りつける。カバーレイ20及び補強層30は適切な接着剤を用いて貼りつける。必要に応じて接着剤の硬化処理を行う。第1基材11のパッド2を含む導電層11aの露出部分の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第7の例のプリント配線板1を得る。
次に、図8A〜図8Hに基づいて、第8の例のプリント配線板1について説明する。
第8の例のプリント配線板1は、導電層のうち最上層に位置する導電層12aにてコネクタと接続するのではなく、その下側に位置する二番目の導電層11aがコネクタと接続する点で第7の例と共通する。また、第8の例のプリント配線板1は、最下面となる導電層11cにおいてもコネクタと接続する点で第7の例とは異なる。つまり、第8の例のプリント配線板1は、コネクタと一方主面及び他方主面の両面接続が可能なタイプである。この点で、第5の例、第6の例と共通する。
第8の例は、三つの導電層を備える。また、第8の例では、配線5が一対の差動信号線である点で、第4の例、第6の例と共通する。重複した説明を避けるため、第1〜第7の例と共通する事項については、その説明を援用する。
図8Aは、本実施形態の第8の例のプリント配線板1の接続端部Eを含む接続部分の平面斜視図である。図8Bは、図8Aに示すプリント配線板1のカバーレイ20を除去した状態を示す平面斜視図である。図8A、図8Bに示すプリント配線板1は、カバーレイ20と、第1基材11と、第2基材12とを少なくとも備える。図8Aに示すように、プリント配線板1の最上層には、カバーレイ20が貼り付けられている。最上層のカバーレイ20の下層には第2基材12が配置され、その下層にはその第1基材11が配置されている。本例のプリント配線板1は、第1の例と同様に、一又は複数の被係合部70と、一又は複数のタブ状部材80を備える。
図8A、図8Bに示すように、パッド2が露出するように、第2基材12の導電層12a及び絶縁性基材12bが除去されている。本例の第1基材11の導電層11aに形成されたパッド2は、コネクタと接続される。第2基材12の導電層12aは、グランド接点に接続される。
図8Cは、第1基材11の一方主面の平面斜視図である。絶縁性基材11bの一方主面に形成された導電層11aには、パッド2a,2b、配線5a,5bが設けられている。図8Dは、図8Cに示す8D領域の部分拡大図である。第1基材11の一方主面側には、複数のパッド2a,2bとグランド層3とが形成されている。第6の例と同様に、パッド2a,2bとグランド層3との間には、所定距離に応じた幅の溝4が形成される。
図8Eは、第1基材11の他方主面側に形成された導電層11cの平面斜視図である。導電層11cはシールド機能を備え、グランド接点に接続される。
図8Fは、図8Aに示すプリント配線板1の底面斜視図である。プリント配線板1の底面を構成する第1基材11の他方主面側の導電層11cのうち、パッド2a,2bが形成された接続端部Eの領域以外の領域が、カバーレイ20で覆われている。さらに、パッド2a,2bが形成された接続端部Eを含む領域に対応する部分において導電層11cは露出している。
図8Gは、図8Aに示すプリント配線板の8G−8G線に沿う断面図である。図8Gは、第2基材12の一方主面に形成されたグランド層3と、第1基材11の一方主面に形成されたパッド2a及び配線5a、及び第1基材11の他方主面に形成されたグランド層3を含む断面図である。8G−8G線にはパッド2a、配線5a及びグランド層3が存在する。グランド層3とパッド2との間には溝4が存在する。第1基材11のパッド2aの上層には、表面処理層MTが形成されている。パッド2aは、表面処理層MTを介してコネクタと接続する。
図8Hは、図8Hに示すプリント配線板1の8H−8H線に沿う、導電層11aのグランド層3を含む断面図である。図8Hに示すように、第2基材12の一方主面側グランド層3と、第1基材11の一方主面及び他方主面のグランド層3とは、ビアTHを介して接続され、図示しないグランド接点に接続される。
第8の例では、第1基材11に形成される配線5a,5bが対をなす差動信号線としたが、シングルエンド信号の信号線の配線パターンとしてもよい。
続いて、上述した本実施形態の第8の例のプリント配線板1の製造方法について説明する。第2基材12の作製手法及び第1基材11の作製手法は、第7の例と共通する。第7の例と同様に、パッド2が形成される位置に対応する所定領域の接着層を除去して、第2基材12と第1基材11とを貼り合わせる。積層後、第3の例と同様の手法により、ビアTHを形成する。さらに、パッド2が形成される位置に対応する所定領域の第2基材12の導電層12a及び絶縁性基材12bを除去する。第2基材12の一方主面側にカバーレイ20を貼りつける。第2基材12及びカバーレイ20は接続端部Eを覆わない。第1基材11の一方主面に形成されたパッド2を露出させる。ここまで、第7の例と共通する手法を用いる。
第1基材11の他方主面のうち、パッド2a,2bが形成される接続端部Eの領域を除いて、カバーレイ20を貼りつける。つまり、接続端部Eの領域の導電層11cを露出させる。第1基材11のパッド2を含む導電層11aの露出部分、及び第1基材11の導電層11cの露出部分の表面に金めっきなどの表面処理を施し、表面処理層MTを形成する。予め準備した金型を用いて、プリント配線板1を型抜きし、被係合部70、タブ状部材80を有する形状にする。これにより、本実施形態の第8の例のプリント配線板1を得る。
<実施例>
本発明の効果を確認するため、アンテナ特性に関する試験を行ったので以下説明する。
本実施例では、理想無指向性アンテナを基準としたときの指向性と放射レベルを検討した。本実施例では、本実施形態のプリント配線板1について、複数のモデルを作成し、コネクタと接続されるパッド2の近傍、つまり接続端部Eにおける放射レベルを測定した。同様に、比較例となるプリント配線板のモデルを複数作成し、同じく、コネクタと接続されるパッド2の近傍、つまり接続端部Eにおける放射レベルを測定した。
図9A〜図9Dに、各モデルに係る実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5(5−1,5−2を含む)の解析形状と、そのアンテナ特性として最大値を示した。図9A〜図9Dにおける解析形状を示す欄において、(1)の欄には、カバーレイ20が形成された状態のものを示し、同図の(2)の欄には、カバーレイを除去した状態のものを示し、同図の(3)の欄には、グランド層3を除いたパッド2及び配線5の形状を示した。また、各実施例1〜実施例5及び比較例1〜比較例5のアンテナ特性として最大値を最右欄に示した。
以下に説明する実施例及び比較例において用いるプリント配線板1のモデルを以下の通り定義した。プリント配線板1を構成する基材(本実施形態の第1基材11、第2基材12、及び第3基材に対応する基材)としては、厚さ20[μm]のポリイミド製のフィルムの一方の主面又は両面に銅箔が形成された銅貼基材とした。パッド2a,2bの配置は、各説明において指摘する図に示すとおりである。
本実施例に係るパッド2a,2b間のピッチは0.4[mm]とした。パッド2a,2bとグランド層3とのピッチは0.4[mm]とした。パッド2a,2bを囲う溝4の幅は0.08[mm]とした。本実施例に係る配線は、対をなす差動信号線で構成した。配線5a,5b(差動信号線)の太さは0.1[mm]とした。対をなす配線(差動信号線)間のピッチは0.18[mm]とした。
パッド2a,2b,配線5a,5b、及びグランド層3は銅製とした。パッド2a,2b,配線5a,5b、及びグランド層3の厚さは、ほぼ均一とし、27[μm](銅箔:12[μm],銅めっき:15[μm]とした。パッド2a,2b、グランド層3の一部の表面には、必要に応じて表面処理層MTとしての金めっき層を形成した。プリント配線板の上面側のカバーレイ20及び下面側のカバーレイ20には、厚さ12.5[μm]のポリイミド製のフィルムを用いた。補強層30には、厚さ12.5[μm]のポリイミド製のフィルムを用いた。
<実施例1>
実施例1として、上述した第2の例のプリント配線板1のモデル1を定義した。第2の例のプリント配線板1のモデル1は、図2A〜図2Fに示す構造を有する。また、実施例1と比較するために、比較例1に係るプリント配線板のモデル1−2を定義した。パッド2a,2bを取り囲む溝4を有さないという点以外は実施例1のモデル1と同一条件として、比較例1のモデル1−2を定義した。
図9Aに示すように、実施例1に係るプリント配線板1のモデル1のパッド2a,2bの周囲にはグランド層3が形成されており、パッド2a,2bとグランド層3との間には、溝4が形成されている。他方、比較例1に係るプリント配線板のモデル1−2は、パッド(本実施形態のパッド2a,2bに相当する部材、以下同じ)の周囲にグランド層(本実施形態のグランド層3に相当する部材。以下同じ)は形成されておらず、パッドとグランド層との間には、溝(本実施形態の溝4に相当する部材。以下同じ)が無い。
実施例1のプリント配線板1の接続端部Eにおける放射レベルは、比較例1の放射レベルよりも低く、実施例1のプリント配線板1の放射レベルは、比較例1のそれの放射レベルのおよそ83%であった。
<実施例2>
実施例2として、上述した第2の例のプリント配線板1の他方主面にグランド層3を形成した構造のモデル2を定義した。実施例2のモデル2のプリント配線板の導電層の層数は2である。絶縁性基材の他方主面の一面にグランド層が形成されている。また、この実施例2と比較するために、比較例2に係るプリント配線板のモデル2−2を定義した。絶縁性基材の一方主面において、パッドの全周を取り囲むグランド層は形成しない点以外は実施例2のモデル2−1と同一条件として、比較例2のモデル2−2を定義した。
図9Aに示すように、実施例2に係るプリント配線板1のモデル2は溝4を有するが、比較例2のモデル2−2に係るプリント配線板は、溝を有さない。
実施例2のプリント配線板1の接続端部Eにおける放射レベルは、比較例2の放射レベルよりも低く、実施例2のプリント配線板1の放射レベルは、比較例2のそれの放射レベルのおよそ53%であった。
<実施例3>
実施例3として、上述した第8の例のプリント配線板1のモデル3を定義した。モデル2のプリント配線板の導電層の層数は3である。絶縁性基材の一方主面においてパッドよりも接続端部E側にはグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけにグランド層を設けた。第8の例のプリント配線板1のモデル3は、図8A〜図8Hに示す構造を有する。また、この実施例3のモデル3と比較するために、比較例3に係るプリント配線板のモデル3−2を定義した。パッド2a,2bを取り囲む、溝4を有さないという点以外は実施例3のモデル3と同一条件として、比較例3のモデル3−2を定義した。
図9Bに示すように、実施例3に係るプリント配線板1のモデル3は溝4を有するが、比較例2のモデル3−2に係るプリント配線板は、溝を有さない。
実施例3のプリント配線板1の接続端部Eにおける放射レベルは、比較例3の放射レベルよりも低く、実施例3のプリント配線板1の放射レベルは、比較例3のそれの放射レベルのおよそ46%であった。
<実施例4>
実施例4として、上述した第3の例のプリント配線板1のモデル4を定義した。モデル4のプリント配線板の導電層の層数は2である。第3の例のプリント配線板1のモデル4は、図3A〜図3Hに示す構造を有する。また、この実施例4と比較するために、比較例4−1及び比較例4−2に係るプリント配線板のモデル4−21,4−22をそれぞれ定義した。実施例4のモデル4は、絶縁性基材の一方主面の全面においてパッドを取り囲むグランド層が形成されるとともに、絶縁性基材の他方主面の全面において配線を取り囲むグランド層が形成されている。
これに対し、比較例4−1のモデル4−21では、絶縁性基材の一方主面において、パッドの全周を取り囲むグランド層は形成しない。絶縁性基材の一方主面において、パッドよりも接続端部E側にはグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけにグランド層を設けた。この比較例4−1のモデル4−21では、絶縁性基材の他方主面(配線が形成される主面)において、パッドの形成位置よりも接続端部E側の領域にだけグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけに配線を取り囲むグランド層を設けた。
また、比較例4−2のモデル4−22では、比較例4−1と同様に、絶縁性基材の一方主面において、パッドの全周を取り囲むグランド層は形成しない。絶縁性基材の一方主面において、パッドよりも接続端部E側にはグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけにグランド層を設けた。比較例4−1のモデル4−21とは異なり、この比較例4−2のモデル4−22では、絶縁性基材の他方主面(配線が形成される主面)において、実施例4と同様に、全面において配線を取り囲むグランド層を設けた。
比較例4−1及び比較例4−2のモデル4−21,4−22は、いずれも、パッド2a,2bを取り囲む溝4を有さない。また比較例4−1のモデルは、配線5aの端部5a´,配線5bの端部5b´を取り囲む溝4を有さない。
実施例4のプリント配線板1の接続端部Eにおける放射レベルは、比較例4−1及び比較例4−2のいずれの放射レベルよりも低く、実施例4のプリント配線板1の放射レベルは、比較例4−1のそれの放射レベルのおよそ5%であった。実施例4のプリント配線板1の放射レベルは、比較例4−2のそれの放射レベルのおよそ32%であった。
<実施例5>
実施例5として、上述した第4の例のプリント配線板1のモデル5を定義した。モデル5のプリント配線板の導電層の層数は3である。第4の例のプリント配線板1のモデル5は、図4A〜図4Iに示す構造を有する。また、この実施例5と比較するために、比較例5−1及び比較例5−2に係るプリント配線板のモデル5−21,5−22をそれぞれ定義した。実施例5のモデル5では、絶縁性基材の一方主面の全面においてパッドを取り囲むグランド層が形成されるとともに、絶縁性基材の他方主面の全面において配線を取り囲むグランド層が形成されている。さらに、配線が形成された他方の主面の導電層と、絶縁性基材を介して一面にグランド層が形成されている。
これに対し、比較例5−1のモデル5−21では、絶縁性基材の一方主面において、パッドの全周を取り囲むグランド層は形成しない。絶縁性基材の一方主面において、パッドよりも接続端部E側にはグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけにグランド層を設けた。この比較例5−1のモデル5−21では、絶縁性基材の他方主面(配線が形成される主面)において、パッドの形成位置よりも接続端部E側の領域にだけグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけに配線を取り囲むグランド層を設けた。配線が形成された他方の主面の導電層に積層される絶縁性基材の他方主面の一面にグランド層を形成した。このグランド層は三層の導電層のうち最下層となる。
また、比較例5−2のモデル5−22では、比較例5−1のモデル5−21と同様に、絶縁性基材の一方主面において、パッドの全周を取り囲むグランド層は形成しない。絶縁性基材の一方主面において、パッドよりも接続端部E側にはグランド層を設けずに、接続端部Eとは反対側だけにグランド層を設けた。比較例5−1のモデル5−21とは異なり、この比較例5−2のモデル5−22では、絶縁性基材の他方主面の全面において配線を取り囲むグランド層が設けられている。配線が形成された他方の主面の導電層に積層される絶縁性基材の他方主面の一面にグランド層を形成した。このグランド層は三層の導電層のうち最下層となる。
比較例5−1及び比較例5−2のモデル5−21,5−22は、いずれも、パッド2a,2bを取り囲む溝4を有さない。さらに、比較例5−1のモデル5−21は、実施例5のモデル5ように、配線5aの端部5a´,配線5bの端部5b´を取り囲む溝4を有さない。
実施例5のプリント配線板1の接続端部Eにおける放射レベルは、比較例5−1及び比較例5−2のいずれの放射レベルよりも低く、実施例5のプリント配線板1の放射レベルは、比較例5−1のそれの放射レベルのおよそ11%であった。実施例5のプリント配線板1の放射レベルは、比較例5−2のそれの放射レベルのおよそ22%であった。
以上のように、実施例1〜5のいずれの態様においても、放射レベルを低減させることができた。