JP6383526B2 - 地盤掘削装置 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤掘削装置に関する。さらに詳述すると、本発明は、掘削ロッドを用いて地盤を掘削する装置の構造の改良に関する。
掘削ロッドを掘進させながら、地盤を当該掘削ロッドの径よりも拡大させて掘削するための装置が種々提案されている。その中の一つとしては、掘削孔の一部に拡径部を設けるための開閉爪を備えており、尚かつ、複雑な開閉機構を用いることなく、当該開閉爪の開閉を確実に行うようにした地盤掘削装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。このように構成された地盤掘削装置においては、ロッドを一方向に回転(正回転)させている間、開閉爪は閉じているが、逆回転させることにより土の抵抗を利用して開閉爪を開くことができるため、油圧シリンダー等の複雑な開閉機構が不要だという利点がある。
特開2004−346586号公報
しかしながら、上述のごとき地盤掘削装置においては、地盤中で開閉爪が確実に開いているのかどうかを判別することができない。このため、拡径部(掘削ロッドの径よりも大きく形成された掘削部)を形成するための開閉爪でありながら、掘削中に確実に開いて拡径部が形成されているかどうか把握できない。
そこで、本発明は、地盤を掘削ロッド径よりも拡大して掘削する場合に、地盤からの抵抗を減らすとともに、掘削孔の一部に拡径部を確実に形成することのできる地盤掘削装置を提供することを目的とする。
かかる課題を解決するべく本発明者は種々の検討を行った。開閉式の爪は、孔内に拡径部(掘削ロッドの径よりも大きく形成された掘削部)を形成することを可能とするが、該爪を開くには掘削ロッドを逆回転させねばならず、また、場合によっては、逆回転させても、例えばピン接合部分に小石や礫などが詰まっているといった何らかの不具合が生じていれば、爪が必ず開くとも限らない。加えて、地盤を拡大掘削する際、スクリューも同様に逆回転させているということは、掘削孔内にスクリュー上の土砂を押し込んでしまうこととなり、掘削孔の品質という観点から望ましくない場合もある。こういった問題を克服しうる装置としては、一つの掘削ヘッドで径の異なる縦孔を掘削できるようにした地盤掘削装置もあるが、固定式の爪であることから、特に引き上げ時に土の抵抗をうける受圧面積が過大となり、施工負荷が大きいという点でやはり問題がある。こういった実情の下、開閉式爪および固定式爪のそれぞれの長所や短所に着目して検討を重ねた本発明者は、かかる課題の解決に結び付く新たな知見を得るに至った。
本発明はこの新たな知見に基づくものであり、掘削ロッドを用いて地盤を掘削する地盤掘削装置において、
地盤を掘削ロッドの径よりも拡大して掘削する部材であって、地盤に対する掘削ロッドの掘進角度に応じて掘進方向の向きを自在に変化させるように掘削ロッドに対して回転自在に支持された拡大掘削部材を有することを特徴とする。
この地盤掘削装置における拡大掘削部材は回転自在であり、地盤に対する掘削ロッドの掘進角度に応じて、掘進方向の向きを自在に変化させることができる。このような構成の場合、拡大掘削部材は、掘削時に土や土砂から受ける抵抗が最小となるように自ら向きを変化させる。通常、地盤の性状、硬さ、ロッド径、掘削速度、ロッド回転速度等に応じて当該掘削ロッドの掘進速度が変わり、これに伴って掘進角度(拡大掘削部材の進入角度)が変わるが、本発明に係る地盤掘削装置によれば、掘進角度が変化しようとも常に掘削抵抗が少ない状態で地盤を掘削し、拡径部を形成することができる。
また、この地盤掘削装置において、拡大掘削部材は、径方向に開いたり閉じたりすることはなく、常に掘削ロッドの径よりも拡大した状態となっている。したがって、掘削ロッドの回転方向(正回転か、逆回転か)に応じて開閉することがない。このため、地盤掘削の際、拡大掘削部材が開いたか否かを確認する必要や手間がない。
しかも、上述のとおり、拡大掘削部材を開閉させる必要がないということは、拡大掘削部材を開くために掘削ロッドを逆回転させる必要もないということである。したがって、本発明に係る地盤掘削装置によれば、拡大掘削部材を開く際に当該ロッドを逆回転させる必要がなく、掘進時と同様に正回転させながらロッドを引き上げることができる。したがって、掘削の開始から終了まで掘削ロッドを常に正回転させたままでよく、途中で逆回転させる手間がない。なお、掘削ロッドを引き上げる局面においては、拡大掘削部材は土等から受ける抵抗が小さくなるように自ら向きを変化させるため、引き上げ時に地盤から受ける抵抗もやはり小さくなることはいうまでもない。
上述の地盤掘削装置における拡大掘削部材は、掘削ロッドに設けられた回転軸に対して回転自在に支持され、あるいは掘削ロッドに対して回転可能な軸に支持されていることが好ましい。
また、回転軸は、掘削ロッドに対して水平方向に延びるように設けられていることが好ましい。
また、拡大掘削部材は、掘削ロッドの中心軸に対して対称的に配置されていることが好ましい。このような掘削ロッドは、掘削時における回転バランスに優れる。
また、拡大掘削部材は、掘削ロッドの中心軸に沿って複数段に配置されていてもよい。
さらに、地盤掘削装置において、拡大掘削部材が楔形状であることが好適である。この場合には、拡大掘削部材の重心よりも前方に回転軸が配置されていることが好ましい。このような楔形状の拡大掘削部材を用いた場合、楔の先端が常に先を向くように姿勢を変化させながら地盤を掘削することが可能となる。
また、拡大掘削部材は掘削ロッドに対して着脱可能であることが好適である。このように構成された地盤掘削装置によれば、拡大掘削部材を着脱して変更することにより、複数の掘削径に容易に対応することができる。
また、拡大掘削部材の少なくとも一つが掘削ロッドの先端付近に配置されていることが好適である。
さらに、地盤掘削装置は、掘削ロッドが地盤中へ掘進する方向へ回転する時(別言すれば、スパイラルの向きに沿って掘削ロッドが回転する時)において、拡大掘削部材より後方となる位置に硬化材の吐出口を有するものであることが好適である。より詳細には、拡大爪の先端と、掘削ロッドの中心を結んだ直線に対して、正転方向の後方90°以内の位置に吐出口の少なくとも一部があることがさらに好ましい。この場合は、拡大掘削部材が掘削した直後に当該箇所を硬化剤吐出口が通過することで、拡大掘削部材が地盤に溝を形成するとほぼ同時に硬化材を該溝に充填することが可能となる。このような地盤掘削装置によれば、地盤掘削の際における孔壁の崩壊を防ぎ、より品質の高い杭を築造することを可能とする。
本発明によれば、地盤を掘削ロッド径よりも拡大して掘削する場合に、地盤からの抵抗を減らすとともに、掘削孔の一部に拡径部を確実に形成することができる。
本発明の実施形態における掘削ロッドの一例を示す(A)縦断面図と(B)スクリューの羽根の通過領域を示す図である。 掘削ロッドにより地盤を孔底まで掘削するまでの工程を(I)〜(V)の順で示す図である。 掘削ロッドの先端部を拡大爪(拡大掘削部材)のある側からみた図である。 図3に示した部分を正面からみた図である。 図4とは別の吐出口の態様を示す、掘削ロッドの一部を表した図である。 拡大爪(拡大掘削部材)の動作例を表す図である。 掘削ロッド先端の深度と、当該掘削ロッドに作用するトルクの大きさとの関係を表すグラフである。
以下、本発明に係る地盤掘削装置10の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1において、符号1はオーガーモータ(図示省略)により回転駆動されて地盤Gを掘削する掘削ロッドである。本実施形態にかかる掘削ロッド1は、スクリュー2、拡大爪(拡大掘削部材)4、掘削ビット5等を備える。この掘削ロッド1の周面には螺旋状の羽根2aが取り付けられており、下端部に掘削ビット5が設けられている。本実施形態では、地盤Gの上方から見た場合に、右ねじ状のスクリュー2を有する掘削ロッド1が時計回りに回転する場合を「正回転」と呼ぶ。掘削ロッド1が正回転するとき、羽根2aが共に正回転することにより推進力を得て該掘削ロッド1は地盤Gを掘進する。
掘削ロッド1は例えば鋼管軸部6によって中空構造とされており、液体等を通じるための配管を兼ねている。本実施形態の掘削ロッド1の先端近く、正回転時における拡大爪4の後方となる位置には、硬化材の吐出口が形成されている(図1等参照)。この場合、吐出口7は、拡大爪4が掘削した直後に当該掘削箇所を通過するように構成されていることが好ましい。この場合、拡大爪4の先端と、掘削ロッド1の中心を結んだ直線に対して、正回転方向後方90°以内の位置に、吐出口7の少なくとも一部があることがさらに好ましい。
鋼管軸部6の上端には、別の掘削ロッドを例えば図示しない差込ピンを介して接合するためのジョイント8が形成されている(図2参照)。なお、掘削ロッド1が先行掘削する際、必要に応じてエアーや水、掘削液などが噴出されるが、本実施形態では、掘削液(掘削水)を用いずに掘削するいわゆる無水掘りを実施することとしている。
スクリュー2は、鋼管軸部6の外周に螺旋状に形成された羽根2aによって形成されている(図1等参照)。本実施形態で用いる掘削ロッド1では、右ねじ状に形成される羽根2aと羽根2aとの間隔(スパイラルピッチ)が一定とされている(図1等参照)。さらに、本実施形態で用いる掘削ロッド1では、螺旋状に形成される羽根2aの外径が一定の大きさ(r1)とされている(図1参照)。
回転軸3は、拡大爪4を回転自在に支持する軸である。本実施形態の回転軸3は、掘削ロッド1に対して水平方向に延びるように設けられている(図4等参照)。
拡大爪4は、掘削ロッド1の先端部に配置された掘削ビット5の外側へ配置され、スクリュー2による地盤Gの掘削径よりも大きい径を掘削する拡大掘削部材として機能する。本実施形態の拡大爪4は、掘削ロッド1に設けられた回転軸3によって回転自在に支持されている(図3、図4参照)。この拡大爪4の形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では、掘削に適するよう、進行方向(掘削時に進む方向)の前方よりも後方で厚み(図3中の符号t参照)が大きくなる楔形状としている(図3、図4参照)。また、回転軸3が挿入される被支持孔4aは、当該拡大爪4の重心よりも進行方向前方となる位置に設けられている(図3、図6参照)。
一般に、掘削時においては、地盤Gの性状、硬さ、掘削ロッド1の外径、掘削速度、ロッド回転速度等に応じて当該掘削ロッド1の掘進速度が変わり、これに伴って拡大爪4の掘進角度(水平面に対する拡大爪4の進入角度)も変わってくるが、本実施形態の拡大爪4は、土等から抵抗を受け、進行方向の投影面積が最小となるよう自動的に(いわば、自ら、自律的に)向きを変えながら地盤を掘削する。この際、拡大爪4は、重心よりも前方に回転中心(被支持孔4a)が設けられていることから、楔の先端が常に先を向くように姿勢を変化させる(図6の実線および破線を参照)。したがって、本実施形態の地盤掘削装置10によれば、掘削の途中で掘進角度が変化しようとも常に掘削抵抗が少ない状態で地盤Gを掘削し、尚かつ拡径部を形成することができる。
しかも、本実施形態の拡大爪4は、常に掘削ロッド1の先端径よりも拡大した状態となるように掘削ビット5の外側に配置されているものであり、径方向に開いたり閉じたりするものではないから、掘削ロッド1の回転方向(正回転か、逆回転か)に応じて開閉することはない。このため、地盤掘削の際、拡大爪4が開いたか否かを確認する必要や手間がない。
また、このように拡大爪4を開閉する必要がないから、拡大爪4を開くために掘削ロッド1を逆回転させる必要もない。そうすると、本実施形態の地盤掘削装置10においては、掘進時と同様、正回転させながら掘削ロッド1を地盤Gから引き上げることができる。したがって、掘削の開始から終了まで掘削ロッド1を常に正回転させたままでよく、途中で逆回転させる手間がない。こうした場合には、右ねじ状のスクリュー2を正回転させたまま掘削ロッド1を引き上げることができるから、スクリュー2を逆回転させた場合のようにスクリュー2上の土砂が掘削孔20内に押し込まれてしまうという問題が生じない。
しかも、上述のように掘削ロッド1を正回転させたまま引き上げる局面においても、拡大爪4は土等から受ける抵抗が小さくなるように自ら向きを変化させる(図6の二点鎖線を参照)。このため、掘削ロッド1の引き上げ時に地盤Gから受ける抵抗も小さくて済む。
また、ここまでの説明から明らかなように、本実施形態の地盤掘削装置10においては、拡大爪4の向きを積極的に変化させるための駆動装置やアクチュエーターなどは一切不要である。また、いうまでもなく、掘削ロッド1を逆転させることで地盤(土砂)の抵抗により収容されている拡大爪を突出させる機構や、油圧等を利用してシリンダー等のアクチュエーターを作動させ機械的に収容してある拡大爪4を突出させる機構などといった特別な機構も不要である。したがって、掘削ロッド1の構成は簡素であり、メンテナンスの点においても有利であり、尚かつそういった装備のために高コストとなるようなこともない。
なお、拡大爪4が上述のように1箇所設置された場合には、地盤G中に築造される溝部の体積は拡大爪4が複数個ある場合に比べ小さくなるため、充填する時間当たりの硬化材の量が少なくなり、充填速度の設定範囲が小さい領域から大きい領域まで使えることから施工時の制御がしやすくなり、状況に応じた施工が行いやすくなる、といった利点がある。ただし、これは拡大爪4を複数配置することを妨げるものではない。
拡大爪4を複数配置する場合、同一高さに配置するのであれば、各拡大爪4は掘削ロッド1の中心軸に対して対称的に配置されていることが好ましい。このような掘削ロッドは、掘削時における回転バランスに優れる(図5参照)。また、複数の拡大爪4を、掘削ロッド1の中心軸に沿って複数段に配置することもできる。このように複数段にする場合、拡大爪4の少なくとも一つが掘削ロッド1の先端付近に配置されていることが好適である。
また、拡大爪4は、掘削ロッド1(あるいは回転軸3)に対して着脱可能であってもよい。着脱可能であれば、要請される掘削径の種類が単一ではなく複数である場合に、拡大爪4を適宜着脱して変更することにより容易に対応することが可能である。
続いて、上述の掘削ロッド1を用いて地盤Gを掘削する様子について簡単に説明する(図2参照)。
まず、オーガーモータにより掘削ロッド1を正回転させ、地表から地盤Gを掘削する(図2(I)、(II)参照)。このとき、掘削ビット5とともに回転する拡大爪4により、掘削孔20の孔壁20aに螺旋状の溝部が形成される(図2(II)、(III)参照)。掘削ロッド1が所定深さまで掘進したら、必要に応じてジョイント8を介して別の掘削ロッド1を継ぎ足し、さらに深くまで掘削する(図2(III) 、(IV)参照)。
ここで、掘削ロッド1の掘進時、拡大爪4が、羽根2aの外径r1よりも大きい範囲で地盤Gを掘削し、掘削孔20の孔壁20aの一部を節状に欠損させた状態とする(当該欠損した部分を以下では欠損部ともいい、図中、符号22で示す)。掘削ロッド1がさらに掘進すると、スクリュー2に沿って排土される土砂の一部が外側に押し出されて孔壁20aに練り付けられ、当該欠損部22にも練り付けられ、欠損部22内に土砂が補充された状態となる(図2(II)、(III)参照)。
掘削ロッド1の先端が所定深度にまで達したら、当該掘削ロッド1を深さ一定に維持しながら少なくとも1回転させる(空転)。これにより、掘削ロッド1の先端(掘削ビット5等)で、掘削孔20の孔底20bが周方向に平均化した状態となるように平滑化される。このため、当該掘削孔20に杭体(図示省略)を埋設する場合に、当該杭体の荷重を掘削孔20の孔底20b全体に対してより均一に作用させることが可能な状態となる。
また、地盤Gの所定深度にて掘削ロッド1を回転(空転)させると、拡大爪4により、スクリュー2の羽根2aの外径r1よりも径の大きい環状の拡径部(図2において符号21で示す)が形成される(図2(V)参照)。拡径部21を形成することで、杭体の底面積を増やして地盤Gによる支持領域を増加させることができる。
地盤Gの所定深度にて掘削ロッド1を回転(空転)させて孔底20bを均したら、掘削ロッド1を引き抜く(引き上げる)工程へと移行する。この引き抜き工程においては、掘進時と同様、正回転させながら掘削ロッド1を地盤Gから引き上げる。このように掘削ロッド1を正回転させながら引き抜くと、スクリュー2上の土砂に対して排土方向へ揚送する力を与えながら掘削ロッド1を引き上げることになる。したがって、特に別の機構を追加せずとも、スクリュー2上の土砂を孔底20bに落とさないようにしながら掘削ロッド1を引き抜くことができる。
また、このように掘削ロッド1を正回転させながら引き抜くと、拡大爪4が孔壁20aに螺旋状の溝部を掘る。硬化材の吐出口7から吐出された硬化材はこの溝部に入り込み、その状態で硬化して、杭体の周囲に螺旋状の節を築造する。拡大爪(拡大掘削部材)4が掘削した箇所を掘削直後に硬化剤の吐出口7が通過する構成とすることで、拡大爪(拡大掘削部材)4が地盤Gに溝を付けるとほぼ同時に硬化材を充填して螺旋状の溝を形成することができ、孔壁20aの崩壊を防ぎ品質の高い杭が築造できる。このとき、吐出口7は掘削ロッド1の一部が端に開口されていても良い(図4参照)が、掘削ロッド1の中心軸に対して角度をもって配置されていることが好ましく、ロッド中心から拡大爪方向に傾いていることがより好ましい(図5参照)。このようにロッド中心から拡大爪方向に傾いている吐出口7によれば、地盤中を拡大爪4が掘削して形成した溝に向けて硬化材を吐出することができる(図5中にて想像で示す硬化材の流れ参照)。
このような引き抜き工程において、掘削ロッド1を連続して回転させながら引き抜くようにするほか、該掘削ロッド1を不連続で回転させながら引き抜くようにしてもよい。このようにして掘削ロッド1が断続的に回転することにより、掘削孔20の孔壁20aには不連続な拡径部21が掘削される。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述した実施形態では、掘削ロッド1に設けられた回転軸3に対して拡大爪4が回転自在に支持された構成を例示したが、このほか、拡大爪4と回転軸3とが一体化され、該回転軸3が掘削ロッド1に差し込まれる構成であってもよい。要は、回転軸3は、拡大爪4と一体となって回転するものであってもよいし、回転しない固定的な支持軸であってもよい。
また、上述の実施形態では、掘削ロッド1に対して水平方向に延びるように設けられた回転軸3を例示したが、これは好適な一例にすぎず、このほか、水平面に対し、内周側よりも外周側が高くなるように、またはこれとは逆に低くなるように傾斜していてもよい。さらには、当該回転軸3の延長線が掘削ロッド1の回転中心を通るように放射状に配置するほか(図1参照)、延長線が掘削ロッド1の回転中心を通らないように放射線に対して傾斜させて配置してもよい。要は、回転軸3は、掘削ロッド1の掘進速度に応じて拡大爪4の掘進方向の向きを自在に変化させることが可能な範囲内の角度で形成されていればよい。
また、上述の実施形態では、回転軸3を中心にした場合に非対称形状である拡大爪4の一例として、進行方向(掘削時に進む方向)の前方よりも後方で厚みが大きくなる楔形状のものを例示し(図6等参照)、拡大爪4の幅(図4中の符号w参照)については特に言及しなかったが、もちろん、進行方向の前方と後方とで当該拡大爪4の幅を変化させることもできる。
上述のごとき拡大爪4を備えた地盤掘削装置10を用い、外径が600mmの掘削ロッド1の拡大爪4の深度と、当該掘削ロッドに作用するトルクの大きさとの関係について調べた。この結果を実施例1として説明する(図7参照)。
実施例1は、外径が600mmの掘削ロッド1の先端に、本発明に係る拡大爪(新型爪)であって幅100mmのものを取り付けた場合であり、掘削径は800mmとなる。なお、ここでいう掘削径とは、掘削ロッド1の中心から当該拡大爪4の最外周部までの長さのことである。
一方、比較例1は、拡大爪が設けられていないものである。また、比較例2は、径75mmの従来(旧型)の拡大爪が設けられているものである(例えば、特開2009−91754号公報を参照)。また、N値は、地盤の硬さを数値として示したものであり、一般的に30を超えると硬い地盤である。
得られた結果から、本発明に係る拡大爪4を備えた地盤掘削装置10を用いた場合、掘削時に要するトルクが小さくて済むことが確認できた。特に、実施例1は、比較例2より拡大爪4の径が大きいにもかかわらず当該比較例2よりもトルクが小さく、比較例1と比べても大きな差が見られないことが確認できた(図7参照)。
本発明は、掘削ロッドを用いて地盤を掘削する地盤掘削装置に適用して好適なものである。
1…掘削ロッド
3…回転軸
4…拡大爪(拡大掘削部材)
7…硬化材の吐出口
10…回転トルク測定装置
G…地盤

Claims (10)

  1. 軸部と、該軸部の周囲に形成された羽根と、を有する掘削ロッドを用いて地盤を掘削する地盤掘削装置において、
    前記地盤を前記掘削ロッドの前記羽根の径よりも常に拡大した状態で掘削する部材であって、前記掘削ロッドの掘進時における前記羽根が進行する角度に応じて向きを自在に変化させるように前記掘削ロッド回転自在に支持された拡大掘削部材を有することを特徴とする地盤掘削装置。
  2. 前記拡大掘削部材は、前記掘削ロッドに設けられた回転軸に対して回転自在に支持され、あるいは前記掘削ロッドに対して回転可能な軸に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の地盤掘削装置。
  3. 前記回転軸は、前記掘削ロッドに対して、地盤に水平方向に延びるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の地盤掘削装置。
  4. 前記拡大掘削部材は、前記掘削ロッドの中心軸に対して対称的に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の地盤掘削装置。
  5. 前記拡大掘削部材は、前記掘削ロッドの中心軸に沿って複数段に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の地盤掘削装置。
  6. 前記拡大掘削部材の少なくとも一部が、掘削時の進行方向の前方よりも後方で厚みが大きくなる楔形状であることを特徴とする請求項5に記載の地盤掘削装置。
  7. 前記拡大掘削部材の重心よりも前方に前記回転軸が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の地盤掘削装置。
  8. 前記拡大掘削部材は前記掘削ロッドに対して着脱可能であることを特徴とする請求項7に記載の地盤掘削装置。
  9. 前記拡大掘削部材の少なくとも一つが前記掘削ロッドの先端付近に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の地盤掘削装置。
  10. 前記掘削ロッドが地盤中へ掘進する方向へ回転する時において、前記拡大掘削部材より後方であって該拡大掘削部材が掘削した直後に当該掘削箇所を通過する位置に硬化材の吐出口を有することを特徴とする請求項9に記載の地盤掘削装置。
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