JP6381337B2 - 光学素子の製造方法、遮光塗料、遮光塗料セット、遮光膜の製造方法、及び光学機器の製造方法 - Google Patents

光学素子の製造方法、遮光塗料、遮光塗料セット、遮光膜の製造方法、及び光学機器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学素子に用いることができる遮光塗料、遮光塗料セット、遮光膜、光学素子に関するものである。特に、少なくともエポキシ樹脂、チタニア微粒子、着色剤及び有機溶媒を含む遮光塗料および遮光膜、並びにその遮光膜を有する光学素子に関するものである。
従来、カメラ、双眼鏡、顕微鏡、半導体露光装置等の光学機器に用いられる光学素子には、必要に応じて光学有効部外に黒色の遮光膜が配され、迷光を低減させる処置が施されている。光学素子のレンズの外周部等に届いた迷光は、この遮光膜により十分に吸収され、例えばフレアやゴーストなどといった不要光が低減される。
光学素子の遮光膜は、主に光学素子の構成部材である光学部材、例えばガラスの表面に形成される塗膜である。ここで、ガラスはレンズまたはプリズムであっても良く、またその他の光学用ガラスであっても良い。
光学素子の遮光膜の役割について、図面を参照しながら説明する。図3は、光学有効面外に遮光膜を設けた光学部材を示す概略図である。具体的には、図3では、遮光膜を設けたレンズの一例を示す。
図3に示すように、遮光膜1は、レンズ2の光学有効面外9の外周部7(コバとよばれる微細凹凸形状部)に形成されている。入射光3のように光学有効面8から入射してレンズ2のみに光が当たる場合は、透過光4として透過する。このとき、遮光膜が形成されていないと(図3のレンズの下側)、レンズ2の外周に当たった光が内面反射して画像に関係のない内面反射した光6としてレンズ2の外に出て行き、フレアやゴーストなどの原因となり、画像を悪化させる。遮光膜1を設けると(図3のレンズの上側)、斜めからの入射光5に対する内面反射を減らすことが可能なので、画像に悪影響を与える内面反射した光6が減少し、フレアやゴーストを防止することが可能である。
この遮光膜には、光学素子の内側から遮光膜に入射する迷光を低減する効果が期待され、内面反射光5を低減することが求められている。
さらに、遮光膜が形成された光学素子は様々な形状で構成される為、光学素子の使用者に遮光膜が見える位置に設けられる場合も多くなっている。上記の内面反射の低減に加えて、使用者が光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合の外観に対しても高い品位が要求されている。
近年の光学機器のコンパクト化、高性能化に伴い光学系に用いられる光学素子には、より屈折率の高い材料が多用されるようになってきており、具体的には屈折率が1.80から2.00を超えるような硝材等が用いられている。
屈折率の高い光学素子に入射する迷光の内面反射を低減するには、遮光膜の屈折率もそれに伴い高める必要があり、例えば屈折率の高い成分を遮光膜中に導入することで、遮光膜の屈折率を制御する方法が知られている(特許文献1)。
特許文献1には、非黒色無機微粒子を用いて屈折率を向上させ、かつ、染料で光を吸収させることにより、内面反射を低減する光学素子用の遮光膜が開示されている。
特開2011−186437号公報
しかしながら、屈折率の高い材料を使用した光学素子の外周部7に特許文献1の遮光塗料を塗布して遮光膜を形成すると、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に、白く見える輝点(白点)が見え、外観品位が低下するといった課題がある。
この課題について以下に説明する。図4は、光学素子10と遮光膜11との光学素子の外周部の界面を示す断面図である。図4に示すように、光学素子の外周部(コバ面)には、多くの微小なクラック12が存在している。このようなクラックは、コバ面を研削により加工する際に発生するもので、ランタンなどの元素が添加された屈折率の高い硝材では多く発生する。屈折率の高い硝材でクラックが多く発生する理由は、屈折率の高い硝材は高屈折率化のためにSiO以外のランタン等の元素が添加されており、SiO間等の分子強度が低下して、研削加工時にクラックが入りやすくなっていると考えられる。クラックの大きさは、通常では幅が5μm以下で、長さが50μm以下である。
図4に示すように、微小なクラック12が入ったコバ面に遮光塗料を塗布し、遮光膜11を設けると遮光塗料がクラック12内部に十分に充填されないため、クラック12に空気が入る。このクラック12の空気と、光学素子との屈折率差により、入射光13が乱反射した散乱光14が生じて、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に白点が発生して外観が良好でなくなる。さらに遮光膜は黒色であるため、白点とのコントラストがより明瞭となり、外観上、白点が非常に見え易い。
本発明は、このような背景技術に鑑みてなされたものであり、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点を抑制する遮光塗料を提供するものである。また、本発明は、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点を抑制した遮光膜、光学素子及び光学素子の製造方法を提供するものである。
本発明の光学素子の製造方法は、ポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有し、粘度が、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であり、前記有機溶媒の温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下である遮光塗料を、基材の一部に形成し硬化させたことを特徴とする。
あるいは、本発明の光学素子の製造方法は、エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットと、を含む、2以上のユニットを混合して作製された遮光塗料を、基材の一部に塗布する工程と、前記塗布した遮光塗料を硬化させる工程と、を有し、前記遮光塗料は、エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有しており、前記遮光塗料は、温度20℃での蒸気圧が160Pa乃至960Paであり、前記遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする。
本発明の遮光塗料は、エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有する遮光塗料であって、前記有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下であり、前記遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする。
本発明の遮光塗料セットは、エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットと、を含む、2以上のユニットを有する光学素子用の遮光塗料セットであって、前記遮光塗料セットは、いずれか一又は複数のユニットに、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒とを含有し、前記遮光塗料セットの全てのユニットを混合した遮光塗料の有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下であり、前記遮光塗料セットの全てのユニットを混合した遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする。
本発明の遮光膜の製造方法は、上記の遮光塗料を塗布した後、硬化して作製したことを特徴とする。
本発明の光学機器の製造方法は、上記の光学素子の製造方法を用いて製造された光学素子を用いて製造されることを特徴とする。
本発明によれば、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点の外観不良が少ない遮光膜を作製することができる遮光塗料、遮光膜、光学素子を提供することができる。
本発明の光学素子用の遮光膜における実施形態の例を示す説明図である。 実施例の外観評価方法を示す概略図である。 光学有効面外に光学素子用の遮光膜が形成された光学素子を示す概略図である。 外観品位を悪くする白点の原因を示す説明図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
本発明の遮光塗料は、光学素子の外周部を研削したときに生じたクラック内に図1に示すように遮光塗料を十分に充填させることができ、クラック部で生じる光の散乱を抑えることができる。これにより、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点の外観不良が少なくない遮光膜を生成する遮光塗料、遮光膜、光学素子および光学素子の製造方法に関する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
[遮光塗料]
まず、本発明の遮光塗料について説明する。
本発明の遮光塗料は、エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒とを含む光学素子用の遮光塗料である。
本発明の遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましく、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることがより好ましい。遮光塗料の粘度が10mPa・s未満になると塗料が乾燥中に移動しやすくなり、塗工性が悪化する。また遮光塗料の粘度が200mPa・sを超えると光学素子の外周部(コバ部)に生じたクラック内への充填が悪くなり、白点の外観不良を抑制し難くなる。
次に、本発明の遮光塗料に含まれる材料について説明する。
(エポキシ樹脂)
本発明の遮光塗料に用いるエポキシ樹脂は、チタニア微粒子の分散性、染料との相溶性、アミン系硬化剤との硬化性、塗膜としての安定性、基材との密着性を損なわない範囲において公知のエポキシ樹脂を1種または2種以上用いることができる。具体的には、グリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキサイド、脂環族エポキサイド等を用いることができる。これらの中で、ビスフェノールA型のエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
また、エポキシ樹脂は、遮光膜にしたときの屈折率を向上させるために、屈折率が高いものが好ましい。
本発明の遮光塗料に含有されるエポキシ樹脂の含有量は、5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上40.0質量%以下であることがより好ましい。
(チタニア微粒子)
本発明の遮光塗料に用いるチタニア微粒子は、そのもの自身が持つ高い屈折率のため、遮光膜を所望の屈折率に調整することが容易であり、また十分に微粒化された微粒子が比較的安価に多数上市されていることからも好適に用いることができる。
本発明の遮光塗料に含有されるチタニア微粒子の含有量は、20.0質量%以上60.0質量%以下であることが好ましく、20.0質量%以上55.0質量%以下であることがより好ましい。20.0質量%未満であると遮光膜の屈折率を十分に高めることができず、また60.0質量%より多い場合は遮光膜として十分な膜質が得られないためである。
さらに、本発明のチタニア微粒子の一次粒子の平均粒子径は1.0nm以上100nm以下であることが好ましく、1.0nm以上70nm以下であることがより好ましい。1nm未満であると微粒子の表面積が飛躍的に増大し、チタニア微粒子が非常に凝集しやすくなり、好適に分散させることが困難となるためである。また、100nmより大きいと単一粒子そのものが光散乱源となってしまい遮光膜として十分な性能を発揮できなくなる。なお、本発明における平均一次粒子径とは、凝集していない粒子における体積球相当直径を指すものとする。また、チタニア微粒子の平均一次粒子径は、個数基準の平均粒子径である。
本発明のチタニア微粒子はその屈折率と平均一次粒子径が所望の条件を満足する限り、気相法、液相法等公知の方法により製造することができる。例えば、少なくとも酸素を含む雰囲気下において、火炎中に金属粉を投入し燃焼させることで二酸化チタン微粒子を合成する方法や、触媒存在下でチタンアルコキシドを加水分解、重縮合するゾルゲル法等公知の方法等が挙げられる。また、チタニアはルチル構造やアナターゼ構造といった結晶構造を有することが知られており、アモルファス構造のそれと比較してより高い屈折率を示すが、所望の屈折率を満たすものであればどの結晶形態にも寄らず好適に用いることができる。
(染料)
本発明の遮光塗料に用いる染料は、可視光域に吸収を有し、エポキシ樹脂との相溶性、チタニア微粒子の分散性を損なわない範囲内において特に限定されるものではなく、公知の染料を用いることができる。染料は1種類であっても良いし、黒色、赤色、黄色、青色など複数種の染料を併用して吸収波長を調整しても構わない。染料の種類としては、色の種類が豊富なアゾ染料がより好ましいが、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、スチルベンゼン染料、ピラゾロン染料、チアゾール染料、カルボニウム染料、アジン染料であっても良い。また、耐光性、耐水性、耐熱性などが増すため、クロム、コバルト、銅などの金属を含む染料がより好ましい。
本発明の遮光塗料に含有される染料の含有量は、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。
(有機溶媒)
本発明の有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下であることが好ましい。遮光塗料の温度20℃での蒸気圧が160Pa未満であると、遮光塗料を光学素子に塗布した際に、塗料が移動して均一な遮光膜を形成することが困難である。また、遮光塗料の20℃での蒸気圧が960Paより大きいと、遮光塗料を光学素子に塗布した際に、遮光膜の乾燥速度が速くなり、光学素子のコバ面に生じたクラック内に遮光塗料が十分に充填しないまま乾燥する。そのため、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点が発生しやすくなる。
本発明の有機溶媒は、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒との混合溶媒を用いることが好ましい。
本発明の遮光塗料に用いる第1の有機溶媒は、沸点が150℃以上210℃以下の有機溶媒を用いる。第1の有機溶媒の沸点が150℃未満だと、遮光塗料を光学素子に塗布した際に、遮光膜の乾燥速度が速くなり、光学素子のコバ面に生じたクラック内に遮光塗料が十分に充填しないまま乾燥する。このため、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点が発生しやすくなる。また沸点が210℃より高いと、遮光膜中に残留溶媒が存在することで耐薬品性が悪化する。
第1の有機溶媒は、エポキシ樹脂、染料などの必要な成分を溶解できるものが望ましく、更に好ましくはチタニア微粒子との相溶性が良好なものがより好ましい。具体的には、ベンジルアルコール(沸点:205℃,20℃の蒸気圧:13Pa)、2−エチル−1−ヘキサノール(沸点:185℃,20℃の蒸気圧:48Pa)、ブチルセロソルブ(沸点:171℃,20℃の蒸気圧:100Pa)、1−ブトキシ−2−プロパノール(沸点:170℃,20℃の蒸気圧:640Pa)およびこれらの混合物を用いることができる。
本発明の遮光塗料に含有される第1の有機溶媒及び後述の第2の有機溶媒の合計の含有量は、5.0質量%以上70.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上50.0質量%以下がより好ましい。
第2の有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:119℃,20℃の蒸気圧:1200Pa)を用いることが好ましい。
(アミン系硬化剤)
本発明の遮光塗料は、遮光塗料に含まれるエポキシ樹脂を硬化させるためにアミン系硬化剤を含有している。アミン系硬化剤としては、所望の特性を満足するものであれば特に限定されるものではなく、公知の硬化剤を用いることができる。アミン系硬化剤としては、直鎖脂肪族系、ポリアミド系、脂環族、芳香族、その他ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒラジド等を用いることができる。これらは、単独で用いても構わないし、複数を混合して用いても良い。
本発明の遮光塗料に含まれるアミン系硬化剤の含有量は、遮光塗料中に1.0質量以上25.0質量%以下であることが好ましい。アミン系硬化剤の含有量が1.0質量%未満になると遮光膜の硬化度が下がり、遮光膜の基材に対する密着性が低下する。また、アミン系硬化剤の含有量が25.0質量%より多い場合は光学特性が低下する。
(無機微粒子)
本発明の遮光塗料は、チタニア微粒子以外に、更に無機微粒子を含有することが好ましい。無機微粒子としては、シリカ(疎水性シリカ、親水性シリカ、あるいはその両方を混合したもの)などを用いることが好ましい。シリカなどの無機微粒子を含有することで、遮光塗料の塗工性を制御することが可能である。また、遮光膜表面にしわや凹凸形状を形成することが可能であり、遮光膜と空気界面の反射を低減することができる。
本発明の遮光塗料に含有される無機微粒子の含有量は、2.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましい。2.0質量%未満であると塗工性の制御や、遮光膜と空気界面の反射を十分に低減することが困難となる。また20.0質量%より多い場合は、遮光膜として十分な膜質が得られ難い。
無機微粒子の平均一次粒子径は、20nm以上200nm以下であることが好ましく、さらには20nm以上150nm以下であることがより望ましい。20nm未満であると塗工性の制御や、遮光膜と空気界面の反射を十分に低減することが困難となるためである。また、200nmより大きいと単一粒子そのものが光散乱源となってしまい遮光膜として十分な性能を発揮できなくなってしまうためである。
(添加剤)
本発明の遮光塗料は、本来の目的が損なわれない範囲内で、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、可塑剤、カップリング剤、リン酸エステル類やメラミン類等の難燃剤、脂肪酸エステル系等の界面活性剤類、アルキルスルホン酸塩、ステアリン酸のグリセリンエステル等の帯電防止剤、酸化防止剤、防かび剤、防腐剤等の物質が挙げられる。これらの添加剤は単独でも複数種の併用であってもよい。
本発明の遮光塗料に含まれる添加剤の含有量は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上8.0質量%以下が好ましい。
[遮光塗料セット]
次に、本発明の遮光塗料セットについて説明する。
本発明の遮光塗料セットは、エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットとを有し、2以上のユニットから構成されおり、全てのユニットを混合することにより、上記の遮光塗料になる。
本発明の遮光塗料ユニットは、エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットとを有し、2以上のユニットを有する光学素子用の遮光塗料セットである。本発明の遮光塗料セットは、いずれか一又は複数のユニットに、チタニア微粒子と、染料と、第1の有機溶媒と、第2の有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有する。全てのユニットを混合した遮光塗料中の有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa乃至960Paであることが好ましい。遮光塗料セットの全てのユニットを混合した遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることが好ましい。
本発明の遮光塗料セットは、全てのユニットを混合したときに上記の遮光塗料となるように、遮光塗料で記載した材料をいずれかのユニットで含有することができる。
[遮光膜]
次に、本発明の遮光膜について説明する。
本発明の遮光膜は、上記の遮光塗料を塗布した後に、硬化して作製される。遮光膜は、上記の遮光塗料の組成から有機溶媒を除いた組成を有する。すなわち、本発明の遮光膜は、エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有し、これら以外に上記の遮光塗料の材料を有していてもよい。
本発明の遮光膜の膜厚は、特に制限は無いが、0.5μm以上100μm以下が好ましく、1μm以上50μm以下がより好ましい。
また、本発明の遮光膜は、吸光係数が0.03以上0.15以下であり、屈折率(nd)が1.69以上であることが好ましい。吸光係数が0.03以下だと光を十分に吸収できず、吸光係数が0.15以上だと、散乱が悪化し遮光性能が低下する。屈折率(nd)が1.69未満だと、高屈折の光学素子に遮光膜を形成した時に、光学素子と遮光膜の屈折率差による内面反射が悪化する。
以下に、遮光膜の各材料の含有量について説明する。
(エポキシ樹脂)
本発明の遮光膜に含有されるエポキシ樹脂の含有量は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましい。
(チタニア微粒子)
本発明の遮光膜に含有されるチタニア微粒子の含有量は、5.0質量%以上35.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましいい。チタニア微粒子の含有量が5質量%未満であると、形成される薄膜の屈折率の増加が少なくなるので、内面反射が大きくなる。
(染料)
本発明の遮光膜に含有される染料の含有量は、5.0質量%以上40.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下であることがより好ましい。
(アミン系硬化剤)
本発明の遮光膜に含まれるアミン系硬化剤の含有量は、遮光塗料中に1.0質量以上30.0質量%以下であることが好ましい。アミン系硬化剤の含有量が1.0質量%未満になると遮光膜の硬化度が下がり、遮光膜の基材に対する密着性が低下する。また、アミン系硬化剤の含有量が30.0質量%より多い場合は光学特性が低下する。
(無機微粒子)
本発明の遮光膜に含有されるチタニア微粒子以外の無機微粒子の含有量は、5.0質量%以上40.0質量%以下が好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下がより好ましい。
(添加剤)
本発明の遮光膜に含まれる添加剤の含有量は、0.1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10.0質量%以下であることがより好ましい。
[光学素子]
本発明の光学素子は、ランタンを含有するガラス基材の表面の一部に遮光膜を設けた光学素子であって、遮光膜は上記の本発明の遮光膜であることを特徴とする。
ガラス基材としては、レンズ又はプリズムを用いることができる。ガラス基材の屈折率d線の屈折率は、1.60以上2.00以下であることが好ましく、1.80以上2.00以下であることがより好ましい。
本発明の光学素子は、レンズ、プリズム、反射鏡、回折格子等の光学機器を構成する素子として用いることができる。例えば、カメラ、双眼鏡、顕微鏡又は半導体露光装置のいずれかに用いる光学素子であって、光学有効面外に遮光膜が形成された光学素子として用いることができる。
本発明の光学素子は、レンズ又はプリズムがランタンを10カチオン%以上60カチオン%以下含有する場合であっても、光学素子側から光学素子と遮光膜の界面を覗き込んだ場合に見える白点の外観不良が少ない。また、本発明の光学素子は、レンズ又はプリズムが研削された外周部(コバ面)に、遮光膜を設けた場合でも、白点の外観不良が少ない。
[光学素子の製造方法]
本発明の光学素子の製造方法は、ランタンを含有するガラス基材の表面の一部に遮光膜を設けた光学素子の製造方法であって、遮光塗料を塗布する工程と、塗布した遮光塗料を硬化する工程と、を有する。本発明の光学素子の製造方法で用いる遮光塗料は、上記の遮光塗料を用いる。本発明の光学素子の製造方法では、遮光塗料を塗布する前に、遮光塗料を調整することが好ましい。本発明の光学素子の製造方法では、上記の光学素子の材料や条件等を用いることができる。以下に、それぞれの工程について説明する。
(遮光塗料の調整)
本発明の光学素子の製造方法で用いる遮光塗料は、上記の遮光塗料の材料を混合・分散することで調製することが好ましい。混合・分散方法としては、ボールミルやビーズミル、衝突分散装置、遊星回転式攪拌装置、ホモジナイザー、スターラー等を用いることができる。
尚、チタニア微粒子は、ナノ分散させて用いることが好ましい。ナノ分散の具体的な方法としては、ビーズミルや衝突分散装置等でナノ分散させる方法がある。またゾルゲル法で合成して合成の際にナノ分散させても良いし、予めナノ分散された市販品を用いても良い。
(遮光塗料を塗布する工程)
遮光塗料を塗布する工程では、ガラス基材の表面の一部に、上記の本発明の遮光塗料を塗布する。
遮光塗料の塗付方法としては、所望の塗布形状に応じてディップ法、スピンコート法、スリットコート法、静電塗付法、はけ、スポンジ、バーコーター等の塗付用冶具を用いての塗付等公知の方法を種々選択することができる。
(遮光塗料を硬化する工程)
遮光塗料を硬化する工程では、塗布した遮光塗料を硬化させる。遮光塗料を硬化させるには、塗布した遮光塗料を乾燥させても良いし、焼成しても良い。
乾燥させる場合には、温度20℃以上100℃以下で乾燥させることが好ましく、温度40℃以上80℃以下で乾燥させることがより好ましく、温度40℃以上60℃以下で乾燥させることが更に好ましい。乾燥時間は、10分以上24時間以下が好ましく、30分以上24時間以下がより好ましく、1時間以上24時間以下が更に好ましい。焼成する場合には、温度40℃以上300℃以下であることが好ましく、温度40℃以上250℃以下であることがより好ましく、温度40℃以上200℃以下であることが更に好ましい。焼成時間は、10分以上10時間以下が好ましく、10分以上6時間以下がより好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明をする。本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明の実施例および比較例における白点の評価、遮光塗料の蒸気圧評価および塗布評価は以下の方法で行った。
(白点についての外観の評価)
図1に示すように遮光塗料を塗布して遮光膜15を形成した平板ガラスのガラス側16から光を当て、CCDカメラ17にて遮光膜とガラスの界面の白点を撮影した。撮影した画像について画像解析ソフト(MedaiaCybernetics社製Image−Pro Plus)を用いて画像処理を行い、6mmの中で20μm以上の面積を持つ白く見える輝点の数をカウントした。
外観の評価は下記の基準に従って評価した。白点の数が平均で100個以下の遮光膜を有する光学素子は外観が良好(○)として、白点の数が平均で101個を超える場合には外願が不十分(△、×)であるとして評価した。
評価サンプル用の基板としては、粗面を#120の番手で下地処理を施したランタンを45カチオン%含有する硝材S−LAH66[製品名](オハラ社製)の平板ガラスの一面に、焼成後の膜厚が5μmとなるように遮光塗料を塗布した。その後、室温で1時間乾燥した後、140℃で2時間焼成し遮光膜を形成した。
(遮光塗料の20℃における蒸気圧評価)
光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧の評価は、温度を一定にして、その温度における平衡蒸気圧を圧力計を用いて直接測定する方法である静止法によって評価した。
(遮光塗料の20℃における粘度評価)
光学素子用の遮光塗料の20℃における粘度の評価は、温度を一定にして、音叉振動式粘度計SV−1H[製品名](エ―・アンド・デイ社製)を用いて評価した。
(遮光塗料の塗布評価)
光学素子用の遮光塗料の塗布評価は、平板ガラスに遮光塗料を塗布し、乾燥中の塗料の移動量を測定した。まず、30mm×100mm×1mmの形状の平板ガラスの両端に10mm×100mm×0.065mmのカプトンテープをそれぞれ3枚ずつ重ねて貼り付け、平板ガラスとカプトンテープの段差(0.195mm)を設けたサンプルを作製した。
得られた平板サンプルの塗布部(10mm×100mm×0.196mm)に光学素子用の遮光塗料をスライドスターで均一に塗布し、乾燥1時間後の塗料の移動量を測定した。移動量が1mm以下の場合は塗布性良好(○)とし、1mmを超える場合には均一な膜を形成することが困難であるため、塗布性不十分(×)として評価した。
(実施例1)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒1−ブトキシ−2−プロパノール(キシダ化学社製)22.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は960Paであった。
また、得られた遮光塗料を前述の平板ガラスの粗面上に焼成後の膜厚が5μmとなるよう塗布し、室温にて1時間乾燥後、恒温炉にて140℃2時間焼成した後、白点の評価を上記の条件にて行った。
また、得られた遮光塗料の塗布評価を上記の条件にて行った。
得られた遮光塗料を表1に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(実施例2)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒1−ブトキシ−2−プロパノール(キシダ化学社製)50.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、
蒸気圧は850Paであった。
得られた遮光塗料を表1に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(実施例3)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒2−エチル−1−ヘキサノール(キシダ化学社製)50.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は480Paであった。
得られた遮光塗料を表1に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(実施例4)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒ブチルセロソルブ(キシダ化学社製)50g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は513Paであった。
得られた遮光塗料を表1に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(実施例5)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)12.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒ベンジルアルコール(キシダ化学社製)60.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は168Paであった。
得られた遮光塗料を表1に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(比較例1)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)12.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒ヘキサメチルホスホリックトリアミド(昭和化学社製)65.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は150Paであった。
得られた遮光塗料を表2に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(比較例2)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒プロピレングリコールモノメチルエーテル(キシダ化学社製)22.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は1200Paであった。
得られた遮光塗料を表2に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(比較例3)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒トルエン(キシダ化学社製)22.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は1919Paであった。
得られた遮光塗料を表2に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。
(比較例4)
撹拌用容器に、エポキシ樹脂jER828[製品名](三菱化学社製)7.0g、チタニア分散液ND139[製品名](テイカ社製、チタニア濃度25質量%PGME分散液、)40.0g、染料(1)VALIFAST−BLACK3810[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(2)VALIFAST−RED3320[製品名](オリエント化学社製)3.0g、染料(3)VALIFAST−YELLOW3108[製品名](オリエント化学社製)1.2g、染料(4)VALIFAST−BLUE2620[製品名](オリエント化学社製)3.8g、有機溶媒1−ブトキシ−2−プロパノール(キシダ化学社製)17.0g、疎水性シリカ(1)アエロジルR972[製品名](日本アエロジル)3.2g、親水性シリカ(2)アエロジル200[製品名](日本アエロジル)1.3g、防かび剤シントールM−100[製品名](住化エンビロサイエンス社製)0.5g、を投入し、遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で20分間撹拌した。得られた遮光塗料9gにエポキシ樹脂硬化剤EH−6019[製品名](ADEKA社製)0.1gを加え遊星回転撹拌機HM−500[製品名](キーエンス社製)で3分間撹拌した。
上記条件にて得られた光学素子用の遮光塗料の20℃における蒸気圧を測定した結果、蒸気圧は997Paであった。
得られた遮光塗料を表2に、得られた遮光膜と光学素子における白点についての外観の評価結果および塗布評価結果を表3に示す。

(評価)
実施例1から6では、遮光塗料の20℃における蒸気圧が160Pa以上960Pa以下の範囲で遮光塗料を塗布して形成された遮光膜は、光学素子のコバ面に発生するクラック内に遮光塗料が十分に充填されて、白点の発生を抑制できた。また、実施例1から6では、遮光塗料を均一に塗布することができ、遮光性能を損なわない外観品位の高い遮光膜およびそれからなる光学素子が得られることが示された。
比較例1では、白点の発生が少し発生し、塗膜乾燥時の塗料の移動量が大きくなり、均一な遮光膜を形成することが困難であった。また、比較例1では、有機溶媒が遮光膜中に残留し、耐薬品性が低下した。比較例2から4では、遮光塗料の20℃における蒸気圧が960Paより高かったので、光学素子のコバ面に発生するクラック内に遮光塗料が十分に充填されておらず、白点が多く発生していた。
本発明の遮光膜を有する光学素子は、カメラ、双眼鏡、半導体露光装置等の光学機器に用いることができる。
1 遮光膜
2 レンズ
7 外周部
10 光学素子
11 遮光膜

Claims (21)

  1. ポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有し、粘度が、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であり、前記有機溶媒の温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下である遮光塗料を、基材の一部に形成し硬化させたことを特徴とする光学素子の製造方法
  2. 前記有機溶媒は、第1の有機溶媒と、第2の有機溶媒とを含み、
    前記第1の有機溶媒は、沸点が150℃以上210℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法
  3. 前記第2の有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の製造方法
  4. 前記基材は、レンズ又はプリズムであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法
  5. 前記基材は、ランタンを含有するガラスであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 前記基材の屈折率は、1.60以上2.00以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法
  7. エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットと、を含む、2以上のユニットを混合して作製された遮光塗料を、基材の一部に塗布する工程と、
    前記塗布した遮光塗料を硬化させる工程と、を有し、
    前記遮光塗料は、エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有しており、
    前記遮光塗料は、温度20℃での蒸気圧が160Pa乃至960Paであり、
    前記遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする光学素子の製造方法。
  8. 前記有機溶媒は、第1の有機溶媒と、第2の有機溶媒とを含み、
    前記第2の有機溶媒は、プロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項7記載の光学素子の製造方法。
  9. 前記基材は、レンズ又はプリズムであることを特徴とする請求項7または8に記載の光学素子の製造方法。
  10. 前記基材は、ランタンを含有するガラスであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  11. 前記基材の屈折率は、1.60以上2.00以下であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の光学素子の製造方法。
  12. エポキシ樹脂と、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒と、アミン系硬化剤とを少なくとも含有する遮光塗料であって、
    前記有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下であり、
    前記遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする遮光塗料。
  13. 前記有機溶媒は、第1の有機溶媒と、第2の有機溶媒を含み、
    前記第1の有機溶媒は、沸点が150℃以上210℃以下であることを特徴とする請求項12に記載の遮光塗料。
  14. 前記第2の有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項12又は13に記載の遮光塗料。
  15. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型であることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の遮光塗料。
  16. 前記チタニア微粒子の一次粒子の平均粒子径が、100nm以下であることを特徴とする請求項12乃至15のいずれか一項に記載の遮光塗料。
  17. エポキシ樹脂を有するユニットと、アミン系硬化剤を有するユニットと、を含む、2以上のユニットを有する光学素子用の遮光塗料セットであって、
    前記遮光塗料セットは、いずれか一又は複数のユニットに、チタニア微粒子と、染料と、有機溶媒とを含有し、
    前記遮光塗料セットの全てのユニットを混合した遮光塗料の有機溶媒は、温度20℃での蒸気圧が160Pa以上960Pa以下であり、
    前記遮光塗料セットの全てのユニットを混合した遮光塗料の粘度は、10.0mPa・s以上100mPa・s以下であることを特徴とする遮光塗料セット。
  18. 前記有機溶媒は、第1の有機溶媒と、第2の有機溶媒とを含み、
    前記第2の有機溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルであることを特徴とする請求項17に記載の遮光塗料セット。
  19. 請求項12乃至16のいずれか一項に記載の遮光塗料を塗布した後、硬化して作製したことを特徴とする遮光膜の製造方法。
  20. 前記遮光膜は、吸光係数が0.03以上0.15以下であり、屈折率が1.69以上であることを特徴とする請求項19に記載の遮光膜の製造方法。
  21. 請求項1乃至11いずれか一項に記載の光学素子の製造方法を用いて製造された光学素子を用いて製造されることを特徴とする光学機器の製造方法。
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