JP6380970B2 - インクカートリッジ及びチップ - Google Patents

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Description

本技術は、インクジェット記録装置にインクを供給するインクカートリッジ及びこれらに配設されるチップに関する。
従来より、インクの吐出によって紙媒体等に画像を描画する画像形成装置では、インク供給を画像形成装置に対して行うインクカートリッジが交換可能に搭載される。インクカートリッジに収容されたインクが消費され、無くなると、新たなインクカートリッジに交換することで引き続き画像の形成を実行できる。
こうしたインクカートリッジでは、近年チップを搭載することで画像形成装置との通信を可能にして各種機能を持させることにより、品質や利便性の向上が図られている。
例えば、チップにはインクカートリッジのインク種やID等を記憶するメモリが配置され、インクカートリッジが画像形成装置に装着された際には、これらのデータを取得することで画像形成装置がインクカートリッジの装着を認識する場合がある。
また他にも、例えば画像形成装置でのインク消費量に応じて、装着されているインクカートリッジのインク残量を当該メモリに書き込む場合もある。
このようなカートリッジでは、チップと画像形成装置との間の通信に異常が生じると画像形成装置が正常に動作しない。これを防ぐために、チップ側の端子と画像形成装置の端子との接触を確実に行い、チップと画像形成装置との間で電気信号を正しく伝達させようとする試みが行われてきている。
例えば、下記特許文献1では、チップ上の保護膜の端からチップの端子の接触領域までの距離を所定の値以上にすることが提案されている。これは、画像形成装置が保護膜上を摺動する際に発生した削れカスによって、画像形成装置の端子とチップ端子との接触不良が生じるのを防ごうとするものである。
下記特許文献1に記載の方法では、画像形成装置の端子がチップの保護膜上を摺動した後、保護膜の無い箇所を所定の距離摺動することにより、端子に付着した削れカスを振るい落とすことができるとしている。
また、下記特許文献2では、インクカートリッジの装着時において、画像形成装置の端子がチップに接触するまでのインクカートリッジ側面の領域を、チップ表面よりも低くすることが記載されている。
この手法によると、インクカートリッジの到着時には、画像形成装置の端子がインクカートリッジの側面を摺動しないので、インクカートリッジの側面が削れることによって発生する異物を抑制でき、端子の接触不良を防ぐことができるとされている。
特開2012−158180号公報 特開2013−248778号公報
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、異物を振るい落とすためには端子の空走距離だけでなく端子接触圧もパラメータとして必要であり、チップ形状の設計だけで異物の付着を防げるものではない。また、所定距離を空走すれば異物は必ず振るい落とされるのかどうか不確定さが残る。
また、上記特許文献2に記載の方法では、画像形成性装置の端子は、チップをカートリッジに固定する突起部に乗り上げた後にチップの端子に接触するので、突起部に乗り上げた際に異物が発生する恐れがある。
なお、この異物が発生しても影響が小さいように、突起部に乗り上げた端子はチップの接地端子と接触させているが、異物により接地端子の導通ができない場合には接地端子による放電ができず、チップの故障を引き起こすリスクが依然として存在する。
本技術は、上記課題に鑑み、インクカートリッジに配されたチップの端子と画像形成装置の端子との接触性を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために、本技術によるインクカートリッジは、インクを内部に収容するインク収容部と、インク収容部内のインクを外部に供給するインク供給部と、画像形成装置の制御部に電気的に接続される端子群と、を含む。
また、この端子群の少なくとも一つの端子に電気的に接続されるメモリと、端子群のうち少なくとも一つの端子に設けられた凹部と、を含む。そして、画像形成装置の端子は、凹部のエッジにおいて前記端子と接触するものである。
また、本技術によるチップは、基板と、この基板上に配置され、画像形成装置の制御部に電気的に接続される端子群と、基板上に配置され、端子群の少なくとも一つの端子に電気的に接続されるメモリと、この端子群のうち少なくとも一つの端子に設けられた凹部と、を含む。
そして、画像形成装置の端子は、この凹部のエッジにおいて端子と接触するものである。
本技術のインクカートリッジ及びチップによれば、チップの端子には凹部が設けられ、この凹部のエッジにおいて画像形成装置の端子と接触する。
したがって、画像形成装置の端子を、その頂点以外の部位においてチップの端子と接触させることができる。このため、基板上を画像形成装置の端子が摺動する際にダストが生じ、画像形成装置の端子の頂点によってダストが引きずられても、画像形成装置の端子は頂点以外の部分においてチップの端子と接触するので、チップの端子との接触不良を防ぐことが可能となる。
本技術のインクカートリッジ及びチップによれば、画像形成装置の端子頂点にダストが付着したとしても、画像形成装置の端子は頂点以外の部位においてチップの端子と接触する。このため、チップの端子との接触性を高めることができる。
図1は、第1の実施の形態に係るインクカートリッジを示す斜視図である。 図2は、第1の実施の形態に係るインクカートリッジの内部構造を示す斜視図である。 図3Aは、第1の実施の形態に係るチップの概略正面図であり、図3Bは、その概略側面図である。 第1の装着確認端子を用いて、インクカートリッジの装着確認を行う原理を示す説明図である。 第2の装着確認端子を用いて、インクカートリッジの個別装着確認を行うための回路構成の1例を示す説明図である。 第1の実施の形態に係るチップ上を画像形成装置の端子が摺動し、第1の実施の形態に係るチップの端子に接触する様子を示す説明図である。 第1の実施の形態に係るチップの端子において、画像形成装置の端子が接触する接点の位置を示す説明図である。 図8Aは、第2の実施の形態に係るチップの概略正面図であり、図8Bは、その概略側面図である。
以下本技術を実施するための形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
1−1.カートリッジの全体構成
1−2.チップの構成
2.第2の実施の形態
1.第1の実施の形態
1−1.カートリッジの全体構成
図1は、本実施の形態におけるインクカートリッジ100の構成を示す概略斜視図である。また、図2は、インクカートリッジ100の内部構成を説明する説明図である。
本実施形態のインクカートリッジ100は、例えばインクを内部に収容するインク収容部1と、インク収容部1内部のインクを外部に供給するインク供給部2と、チップ3とを備える。
インク収容部1は、例えば内部にインク収容空間を有し、このインク収容空間が1方向の側面側に開放された平箱状のインクタンク本体10(図2参照)と、インクタンク本体10のインク収容空間を覆って封止する蓋部11(図1参照)とを有する。
インク収容部1は例えば扁平な直方体形状をしており、本実施形態では説明上、インクタンク本体10に対してチップ3が配置される側を前面側、その反対側を後面側と呼ぶ。また、インクタンク本体10に対してインク供給部2が配置される側を底面側、その反対側を上面側と呼ぶ。また、インクタンク本体10に対して蓋部11が配置される側を左側、その反対側を右側と呼ぶ。
チップ3は、例えばインク収容部1とは別体に設けられた載置台9に固定されている。載置台9は、例えば矢印A1に示す左右方向にスライド移動可能であり、載置台9をスライド移動させることで、インク収容部1から載置台9を取り外すことが可能である。
例えば、使用済みのインクカートリッジ100を回収し、リサイクルカートリッジとして再生する場合、インクの再充填時には、載置台9を取り外しておくことができる。
したがって、例えばインク注入ノズルの挿抜前後においてインク注入ノズルからインクが滴下しても、チップ3は載置台9と共にインク収容部1から取り外されているので、インクがチップ3に付着するのを防ぐことができる。
また、回収された使用済みのインクカートリッジには、一部損傷を受けているものもあり、再利用ができない場合がある。しかし、本実施形態では、載置台9をインク収容部1から取り外すことができるので、回収された各カートリッジの中から、損傷の無いインク収容部1、チップ3を個別に選別し、組み合わせることで損傷の無いインクカートリッジを再生することが可能である。
なお、チップ3の詳細な構成については後述する。
インク収容部1の上面側には、回動部材4が配置されている。この回動部材4は例えばL字型の形状をしており、上面側に位置する基端部4aと、前面側に位置する先端部4bと、先端部4bに設けられたレバー5を有する。
基端部4aは、インク収容部1に設けられた凸部6に軸支されており、これによって回動部材4は、矢印A2に示す方向に回動する。
また、レバー5は、画像形成装置のキャリッジ内の係合部に係合し、インクカートリッジ100をキャリッジ内に固定する。
レバー5は、インク収容部1とは独立して、突起部6を中心に回動する。したがって、インクカートリッジ100をキャリッジから取り外す際に、インクカートリッジ全体を動かす力を必要とすること無く、回動部材4を回動させるわずかな力で、レバーとキャリッジのとの係合を解除することができる。
図2に示すように、インクタンク本体10の内部には、例えばインクを収容するインク室12と、インク室12内のインクの消費に伴って、インク室に外気を導入する大気連通路13とが形成されている。
例えばインクタンク本体10の上面側には大気連通口8が配設されており、この大気連通口から外気が大気連通路13に取り入れられる。
大気連通路13は、大気連通口8からインクタンク本体10の底面側に向かって形成されており、その最下部には長繊維状のフィルタ14が配置されている。大気連通路13は、このフィルタ14を介して、インク室12に連結される。
インク室12内には、例えばインク残量応答部15とインク検出窓19が配置される。
インク残量応答部15は、例えばアーム部16と浮き部17とを備える。アーム部16の一端側には貫通孔が設けられており、この貫通孔にインクタンク本体の内壁面から突出する軸18が挿入されている。
これにより、インク残量応答部15は、軸18を中心として、矢印A3に示す方向に回動可能に軸支されている。
また、アーム部16のもう一方の一端には、浮き部17が設けられている。浮部17の底面側には図示しない光反射面が設けられている。この光反射面は、例えば浮き部17の底面にアルミ等の光反射フィルムを設けることで形成してもよい。
また、インク検出窓19はインクタンク本体の底面に設けられている。インク検出窓19は、例えば赤外線や可視光等の光を透過する光透過材料によって形成されており、画像形成装置から出射されるインク残量検出用の光をインク室12内に透過する。
例えばこのインク残量応答部15は、インク室12内に収容されるインクよりも小さい質量密度を有する材料によって形成され、インク室内にインクが充填されている時には、浮力によって浮き部17が浮いた状態となる。
この時、画像形成装置から出射された光は、インク検出窓19を透ってインク室12内に入射するが、インク室12内のインクや、インク室を区画する壁面等によって散乱、吸収され光量が著しく減衰する。このため、一度インク検出窓19を透ってインク室12内に入射した光のうち、再びインク検出窓19を透ってインク室12の外に出射する光の光量は非常に小さいものとなる。
一方、インクタンク本体10内のインクが消費されるにつれて、インク残量応答部15は矢印A3に示す右回り方向に回動し、これに伴って浮き部17は降下する。
そして、インク室12内のインクが無くなると、浮き部17の光反射面は例えばインクタンク本体10の底面及びインク検出窓19に平行な状態でインク検出窓19に接触し、インク検出窓19上を覆う。
このとき、画像形成装置からインク検出窓19に向かって出射された光は、浮き部17の光反射面によって反射されるため、インク室12内に入射することができない。
画像形成装置は、浮き部17の光反射面によって反射された光を検出することで、インク室12内のインクが無くなったことを検出することができる。
なお、インク残量検出の方法は特に限定するものでは無く、例えばプリズムを配置する等、既知の各種手法を用いてよい。
また、インクタンク本体の例えば上面側には、インク室12とインクタンク本体10の外部を連通するインク注入口7が設けられている。このインク注入口を例えばゴム栓等で封止し、リサイクル時にはこのゴム栓を取り外すことで再びインク室12内にインク注入を行うようにしてもよい。
インク室12内のインクは、インク供給部2を通って画像形成装置に供給される。インク供給部2は、バネ弁によってインクの供給を制御する構成としてもよいし、例えばスポンジ材等の負圧発生材によってインクを保持する構成としてもよい。
また、本実施形態では、インク供給部2は、インク室12内に配設された第1接続室21と、連絡通路22と、第2接続室23とに接続されている。
第1接続室21、連絡通路22及び第2接続室23内にはインクが経由する空間が形成されており、これらの空間は連通している。
インク室12内のインクは、例えば微細メッシュ構造を有するフィルタ20を介して第2インク室23内に移動し、連絡通路22、第1接続室21を経由してインク供給部22から画像形成装置に供給される。
また一方で、インク室12からフィルタ20を介して第2接続室23内に移動し、インク供給部20へと流れる。
1−2.チップの構成
図3Aは、本実施形態のチップ3の概略正面図であり、図3Bは、チップ3の概略側面図である。本実施形態のチップ3は、例えば基板31と、基板31の一方の主面に設けられた端子群32と、基板31のもう一方の主面に配設されたメモリ34とを備える。
メモリ34は、例えば樹脂等の保護膜33によって被覆されている。メモリ34には、例えばインク色や、製造年月日、シリアルNo.等のインクカートリッジ100の識別情報やインク残量等が記憶される。
基板31に設けられた端子群32は、本実施形態において例えば端子321〜329の9個の端子によって構成される。
これらの端子は、インクカートリッジ100が画像形成装置に装着されると、画像形成装置に配置された接触ピンに接触し、これによりチップ3と画像形成装置の制御部とが電気的に接続される。
本実施形態において、この端子群32の各端子の用途は例えば以下のように分類できる。

端子321・・・第1の装着確認端子
端子322・・・IC選択信号入力端子
端子323・・・クロック信号入力端子
端子324・・・第1の装着確認端子
端子325・・・第2の装着確認端子
端子326・・・VDD端子
端子327・・・GND端子
端子328・・・データ入力端子
端子329・・・第2の装着確認端子
なお、本実施形態では、例えば端子326、327、328にはそれぞれ凹部71、72、73が設けられている。この凹部形状は、基板31の主面に対して垂直な方向から見て例えば円形状に形成される。また、凹部71、72、73の径R1、R2、R3は、本実施形態では例えば
R1<R2・・・(1)
R1<R3・・・(2)
を満たす。さらに
R2=R3・・・(3)
を満たしていてもよい。例えば、R1=0.6mm、R2=R3=0.8mmに設定してもよい。また、凹部71、72、73の中心は、インクカートリッジの挿入方向に垂直な方向に対して、同一直線上に位置することが好ましい。
ただし、凹部71、72、73の径は上記に限定するものではなく、適宜変更することが可能である。また、凹部71、72、73の形状は、本実施形態では円形状としているが、これも適宜変更してよい。
また、凹部71、72、73は、図3Bに示すように有底形状となっているが、基板31を貫通した貫通孔としてもよい。
凹部71、72、73が基板31を貫通する場合には、端子326、327、328をメモリ34に電気的に接続させるためのスルーホールとしても用いることが可能である。
本実施形態のように、凹部71、72、73を有底形状とする場合には、凹部が基板31を貫通しないので、保護膜33を形成するための樹脂を基板31上に塗布する際に、樹脂が凹部71、72、73内に侵入するのを防ぐことができる。
また、端子321と端子324は図示しない配線によって接続されている。
図4に示すように、例えば、本実施形態のインクカートリッジ100を画像形成装置に装着すると、装着された各インク色のインクカートリッジの第1の装着確認端子は直列に接続される。
例えば、ブラックのインク色のインクカートリッジの端子324Bkは、イエローのインク色のインクカートリッジの端子321Yに接続される。同様にして、イエローのインク色のインクカートリッジの端子324Yは、マゼンタのインク色のインクカートリッジの端子321Mに接続され、マゼンタのインク色のインクカートリッジの端子324Mは、シアンのインク色の端子321Cに接続される。
そして、画像形成装置は全装着信号出力部36から端子321Bkに全装着確認信号を出力する。また、端子324Cには全装着信号検出部37が接続され、端子321Bkから入力された全装着確認信号を検出する。
画像形成装置は、例えばこの全装着信号検出部37において全装着確認信号を検出した場合には、全てのインクカートリッジが装着されていると判定し、検出できなかった場合には、いずれかのインクカートリッジが装着されていないと判定する。
一方、本実施の形態における第2の装着確認端子325と329もまた、図3に示すように配線35によって接続されている。
また、第2の装着確認端子325、329は、導電性を有する非金属材料によって形成される。
本技術において、導電性を有するとは、画像形成装置が認識可能な程度に信号を導通可能であることを意味する。例えば抵抗値でこの導電性を表現すると、例えば第2の装着確認端子325、329の抵抗値を70KΩ以下とすることが好ましい。
この導電性を有する非金属材料としては、例えばシリコンや炭化ケイ素等の半導体材料や、カーボン等の導電性ペーストを用いることができる。また他にも、導電性高分子を用いた導電性塗料や、金属酸化膜によって第2の装着確認端子325、329を形成してもよい。
また、第2の装着確認端子325、329には、所定の抵抗値を持たせることが好ましい。この抵抗値は、本実施形態のインクカートリッジ100を画像記録装置のキャリッジに装着した際に、第2の装着確認端子325、329に接触するキャリッジ側の端子間の抵抗値が、例えば25KΩ〜70KΩの範囲となる値とすることが望ましい。
この抵抗値は、例えば端子材料に導電性ペーストを用いる場合には、導電性フィラーの種類や径、含有量、導電性ペーストの膜厚等を調整することで設定することができる。
また、導電性フィラーには、非金属フィラーを用いることが好ましい。例えば非金属導電性フィラーには、アセチレンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック等のカーボンを用いることができる。
また、カーボンのかわりに金属酸化物系フィラーを用いてもよい。
なお、導電性フィラーとして、上述の非金属フィラーと、例えばチタンブラックや酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ等の金属フィラーを混合したものを用いても構わない。
金属フィラーのみによって導電性フィラーを構成する場合に比べて、非金属フィラーを混合した分だけ金属フィラーの使用量が低減できるので、金属フィラーによるイオン化マイグレーションの発生を抑制できる。
また、導電性フィラーのバインダーとしては、エポキシ樹脂、アクリル、ポリイミド、ウレタン、シリコーン等の樹脂バインダーや、低融点ガラス等の高温焼成型の無機バインダーを用いることができる。
本実施形態において第2の装着確認端子325、329はキャリッジ側の端子と接触するため、バインダーとしては基板31への密着性が高いことが望ましい。樹脂バインダーを用いる場合には、例えば熱硬化性樹脂を用いることが密着性、硬度の点から好ましい。
例えば、高分子量の共重合ポリエステル樹脂にブロックイソシアネート化合物やエポキシ樹脂を配合し、熱硬化させることにより密着性を向上させることができ、キャリッジ側端子との接触圧に対する耐性を高めることが可能である。
また、配線35も導電性非金属材料によって形成してもよい。特に、第2の装着確認端子325、329と同一の材料を用いることにより、第2の装着確認端子325、329と配線35を同時に形成することができる。
また、配線35を導電性非金属材料によって形成する場合には、第2の装着確認端子325、329におけるキャリッジ側端子との接触部間の抵抗値を、配線幅、配線長さによって調節することができる。また、配線長さを長くして、その分だけ体積抵抗率の小さい導電性非金属材料を用いることが可能であり、製造時における抵抗値のばらつきを低減することができるので好ましい。
この第2の装着確認端子325、329は、例えば各インク色のインクカートリッジのうち、どのインクカートリッジが装着されていないのかを判別するために用いられる。
この装着確認は、例えば図5に示す回路構成によって行うことができる。図5は、インクカートリッジの個別装着確認を行う回路の一例を示す説明図である。
この回路は、画像形成装置に内蔵されるものであり、この図では、ブラックのインク色のインクカートリッジ3Bk、イエローのインク色のインクカートリッジ3Y、マゼンタのインク色のインクカートリッジ3M、シアンのインク色のインクカートリッジ3Cがキャリッジに装着されることにより、各インクカートリッジの第2の装着確認端子がこの回路に接続される。
なお、ここでは、ブラックのインク色のインクカートリッジ3Bkの装着確認が行われる場合について説明する。また、インクカートリッジ3Y、3M、3Cの装着確認については、インクカートリッジ3Bkと同様であるのでここでは省略する。
インクカートリッジ3Bkは、キャリッジに装着されることにより、第2の装着確認端子325Bk及び329Bkが画像形成装置に接続される。本実施の形態において、端子325Bkと端子329Bkは導電性非金属材料によって形成されており、この端子間には、所定の抵抗値Rが存在する。この抵抗値Rは、上述のように、例えば25KΩ〜70KΩの範囲で設定できる。
また、ここではインクカートリッジ3Y、3M、3Cのチップにおいても、2つの第2の装着確認端子間に同じ値の抵抗値Rを有しているものとする。
また、各カートリッジがキャリッジに装着されると、それぞれのカートリッジのチップの第2の装着確認端子は、それぞれ抵抗R1に接続される。この抵抗R1は、例えば24.3KΩに設定される。図5に示すように、キャリッジに装着された各カートリッジは、抵抗R1を介して並列に接続される。
個別装着確認信号発生部38は、例えば40Vの電圧信号である個別装着確認信号S1を生成する。この個別装着確認信号S1は、例えばインクカートリッジ3Bkが装着されている場合には、第2の装着確認端子325Bk、329Bkによって電圧降下された後、例えばOPアンプ40の+端子に入力される。なお、ここでは簡略のため、OPアンプ40を理想OPアンプとし、電流検出部39の内部抵抗はゼロとする。
また、OPアンプ40の−端子には、第2の装着確認信号S1の40Vが、抵抗R2、R3によって分圧された電圧が入力される。
例えば、第2の装着確認端子325Bk、329Bkによる抵抗値Rが62.5KΩ、抵抗R1を24.3KΩとすると、個別装着確認信号S1の電圧40VをR、R1によって分圧した11.2Vの信号がOPアンプ40の+端子に入力される。
一方、インクカートリッジ3Bkが装着されていない時には、OPアンプ40の+端子への入力は0Vとなる。
したがって、インクカートリッジ3Bkの装着時と未装着時とで、OPアンプ40からの出力が異なるので、これを検出することによりインクカートリッジ3Bkの装着を確認することができる。
また、個別装着確認信号発生部38から電流検出部39までの合成抵抗の値は、インクカートリッジ3Bk、3Y、3M、3Cの装着、未装着によって異なる。したがって、電流検出部39によって検出される電流値はインクカートリッジ3Bk、3Y、3M、3Cの装着、未装着によって異なるので、これにより装着確認を行うこともできる。
本実施形態では、各インクカートリッジの第2の装着確認端子の抵抗値R、は同一の値となっているので、電流検出部39によって検出された電流値により、未装着のインクカートリッジの個数が検出可能となる。
このように、本実施の形態では、例えば第2の装着確認端子325には40Vの高い電圧が印加される。なお、本技術において、高電圧とは、メモリ34に接続される端子322、323、326〜328に印加される電圧よりも高い電圧を指すものとする。
一方、第2の装着確認端子325に隣接する端子326(図3参照)は、例えばVDD端子であるため、例えば3.3Vの電圧が入力されている。このため、第2の装着確認端子325と端子326の間には、この電位差36.7V分の強力な電界が生じる。
しかし、本実施形態の第2の装着確認端子325は、導電性を有する非金属材料によって形成されている。このため、本実施の形態のインクカートリッジ100が多湿環境において使用されたとしても、第2の装着確認端子325はイオン化を起こしにくい。したがって、たとえ第2の端子325とその他の端子との間に強力な電界が生じても、これらの端子間にイオンマイグレーションが生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、第2の装着確認端子325そのものに所定の抵抗値を持たせ、この抵抗を用いてカートリッジの装着確認を行うことができる。
例えば、上述の特許文献2では、装着確認用の2つの端子間に抵抗器を接続し、この抵抗器を用いて装着確認を行っている。しかし、本実施形態では、第2の装着確認端子そのものに装着確認用の抵抗値を持たせているため抵抗器を必要とせず、部品点数を減らすことが可能である。
なお、本実施形態では、2つの第2の装着確認端子325、329の両方を導電性を有する非金属材料によって形成しているが、どちらか一方を導電性非金属材料によって形成してもよい。少なくとも導電性非金属材料によって形成された端子については、マイグレーションの発生を抑制することが可能である。
また、端子325のみを導電性非金属材料によって形成し、この端子そのものに例えば高抵抗値を持たせる場合には、端子329での電位は低くなる。このような場合には、端子329においてイオンマイグレーションが生じる可能性を低くすることができるので、必ずしも端子329を導電性非金属材料によって形成しなくてもよい。
次に、本技術によるインクカートリッジ100を画像形成装置に装着する際の端子の接触動作について説明する。
図6は、インクカートリッジ100を画像形成装置に装着する際の、画像形成装置側の端子80の動きを示す説明図である。ここでは一例として、チップ3の端子326に画像形成装置側の端子80が接触する場合について説明する。
図6Aに示すように、インクカートリッジ100を画像形成装置に挿入していくと、画像形成装置の端子80はその頂点P1において基板31に接触し、基板31上を矢印A4に示す方向に相対的に摺動する。
なお、ここで頂点P1とは、端子80の部位のうち、インクカートリッジ100の挿入方向に垂直な方向(図6紙面上横方向)において最も基板31側に位置する箇所を指す。
端子80が基板31上を摺動することによって、図6Bに示すように例えば基板の削れカス等のダストd1が発生した場合、このダストd1は基板31との接点である頂点P1によって引きずられ、端子80の摺動に追随することがある。
さらにインクカートリッジ100を画像形成装置100内に挿入し、装着が完了すると、図6Cに示すように端子80の頂点P1は凹部71内に位置する。
このとき、端子80は、例えば頂点P1よりも上側(インクカートリッジ100の挿入方向上流側)に位置する接点P2、及び頂点P2よりも下側(インクカートリッジ100の挿入方向下流側)に位置する接点P3の2か所において、端子326に接触する。
また、この接点P2、P3は、例えば凹部71の内壁面と端子326表面とのエッジ部分に位置する。
このように、本実施形態では画像形成装置の端子80の頂点P1が凹部72内に位置した状態で、端子326と接触する。端子80が基板31の表面上を摺動する際に発生したダストd1は、端子80の頂点P1によって引きずられ端子80に追随して移動するが、頂点P1が凹部71内に落ち込む際にダストd1は、図6Cに示すように凹部71内に放出される。
従来では、画像形成装置の端子が基板上を摺動する際にダストが発生すると、基板側の端子と画像形成装置の間にダストが挟まれることにより、端子の接触不良を引き起こす恐れがあった。
しかし本実施形態では、画像形成装置80の頂点P1は凹部71内に位置するため、頂点P1と端子326の間にダストが挟まれることは無い。また、端子80は、頂点P1の上側に位置する接点P2と下側に位置する接点P3によって端子326に接触するので、頂点P1と端子326の間にはさまれたダストを避けて、端子326に接触することができる。このため、端子80が基板31上を摺動する際にダストが発生したとしても、端子80と端子326との電気的接触をより確実に行うことができる。
プリンタ側の端子は、図6Cに示したように、チップの端子に形成された凹部の上下方向二か所のエッジ部分に接触することが好ましい。これにより、例えばダストが凹部内に落ちず、端子80と凹部71の下側のエッジとの間(接点P2)に挟まれたとしても、もう一方の接点P3により端子80と端子326との接触を確保することができる。
また、これらの効果は、端子327、328に設けられた凹部72、73においても同様である。
図7は、チップ3の各端子321〜329における、プリンタ側端子との接触点を示す説明図である。本実施形態では、端子326、327、328に設けられた凹部71、72,73のエッジ部分にそれぞれ2か所ずつプリンタ側端子と接触する接点P2、P3、P4、P5、P6、P7が位置することになる。
なお、ユーザがインクカートリッジ100を画像形成装置に装着する際の挿入誤差や、インクカートリッジ100及び画像形成装置の製造公差等のために、チップ3の端子と画像形成装置の端子との位置関係がずれることがある。
このような場合には、例えば画像形成装置の端子80は、チップ3の端子326に設けられた凹部71のエッジに対して2か所の接点を有することができず、1か所での接触となる可能性がある。
こうした場合であっても、端子80の頂点P1が凹部71の径内に位置していれば、端子80の各部位の内、ダストが付着している可能性が高い部位を避けて、その他の部位により端子326と接触することができるので、端子の接触をより確実に確保できる。また、凹部72、73についても同様である。
また、本実施形態では、端子326、327、328に凹部を設けているが、端子321〜329のうち、どの端子に凹部を設けるかは適宜変更することが可能である。
なお、端子326、327、328は、それぞれVDD端子、接地端子、データ端子であり、これらの端子に接触異常があるとメモリ34に対して正確にデータの書き込みを行うことができない恐れがある。このため、端子326、327、328には凹部を設けることが好ましい。
また、インクカートリッジ100を画像形成装置に装着する際には、メモリの故障を防ぐためにも接地端子327に対してまず画像形成装置の端子との接触を確保することが望ましい。
このため、接地端子327に設ける凹部72の径の大きさをその他の凹部の径よりも大きくすることが好ましい。凹部72の径の大きさを大きくすることにより、インクカートリッジ100の装着時には、画像形成装置の端子の頂点は、チップ3の他の凹部に比べて一番最初に凹部72内に移動する。したがって、画像形成装置の端子にダストが付着していたとしても、装着の過程においてより早い時期にダストを凹部内72内に振るい落とし、接地端子327との接触を確保することが可能である。
なお、凹部と基板表面とのエッジ部分は、面とりをしたR形状であってもよい。これにより、インクカートリッジを画像装置から取り外す時の動作をスムーズに行うことができる。
2.第2の実施の形態
図8Aは、本実施形態におけるチップ50の概略正面図であり、図8Bはチップ50の概略正面図である。
本実施形態のチップ50は、例えば基板42と、基板42の一方の主面側に設けられた9つの端子411〜419と、基板42のもう一方の主面側に配置されたメモリ44と、を備える。また、本実施形態においても、メモリ44は例えば樹脂等による保護膜43により覆われる。
第1の実施の形態では端子に設けられた凹部は円形状であったが、本実施形態では凹部74が溝形状になっているところが第1の実施の形態と異なる。
例えば凹部74は、図8Aに示すように、例えば端子415〜419を横切る一つの溝によって形成されている。また、図8Bに示すように、例えばこの凹部74の内壁面及び底面にも端子415〜419は配置される。
本実施形態では、この凹部の内壁面と基板42の表面とのエッジ75、76において、画像形成装置の端子と接触する。このエッジは、チップ50の正面視方向(基板42の主面に対して垂直な方向)から見て例えば曲線形状となっているが、これに限定するものでは無く、例えば複数の直線をつなぎ合わせた形状であってもよい。
このチップ50をインクタンク本体に取り付け、インクカートリッジを画像形成装置に装着した際に、画像形成装置の端子の頂点が線L1の位置にあるとする。このとき、例えば線L1からエッジ76までの距離よりも、線L1からエッジ75までの距離の方が短いので、画像系性装置の端子は凹部74のエッジ75上の接点P8において、端子415と接触する。
また、端子416に対しては、線L1とエッジ76の距離よりも線L1とエッジ75の距離の方が短いので、画像形成装置の端子は、エッジ75上において端子426と接触する。
一方、端子417に対しては、例えば線L1からエッジ75までの距離と線L1からエッジ76までの距離が等しい。このため、画像形成装置の端子は、エッジ75上の接点P11とエッジ76上の接点P10の両方において端子417と接触する。
また、端子418についても同様の理由により、画像形成装置の端子は凹部74のエッジ75、76上の接点P12、13において端子418と接触する。
また、端子419に対しては、例えば線L1からエッジ76までの距離よりも、線L1からエッジ75までの距離の方が短い。このため、画像形成装置の端子は、凹部74のエッジ75上の接点P14において、端子419と接触する。
このように、本実施の形態においても、画像形成装置の端子は、凹部74のエッジにおいてチップ50の端子と接触する。したがって、第1の実施の形態と同様に、画像形成装置の端子は、その頂点を避けてチップ50の端子と接触するので、画像形成装置の端子が基板42上を摺動する際にダストが発生し、画像形成装置の端子の頂点に引きずられたとしても、チップ50の端子との接触不良を防ぐことができる。
また、画像形成装置の端子の頂点が凹部74内に落ち込む動作により、画像形成装置の端子に付着したダストを凹部内に放出することで、ダストを画像形成装置の端子から取り除くことが可能である。
なお、インクタンク本体等を含むその他の構成、作用、効果は第1の実施の形態と同様である。
以上、本発明によるインクカートリッジ、チップの実施の形態について説明した。本発明は上記実施の形態にとらわれることなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、考えられる種々の形態を含むものである。
1・・・インク収容部
2・・・インク供給部
3,50・・・チップ
4・・・回動部材
4a・・・基端部
4b・・・先端部
5・・・レバー
6・・・凸部
9・・・載置台
10・・・インクタンク本体
11・・・蓋部
12・・・インク室
13・・・大気連通路
14・・・フィルタ
15・・・インク残量応答部
16・・・アーム部
17・・・浮き部
18・・・軸
19・・・インク検出窓
20・・・インク供給部
21・・・第1接続室
22・・・連絡通路
23・・・第2接続室
31,42・・・基板
32・・・端子群
33,43・・・保護膜
34,44・・・メモリ
35・・・配線
36・・・全装着信号出力部
37・・・全装着信号検出部
38・・・個別装着確認信号発生部
39・・・電流検出部
40・・・OPアンプ
50・・・チップ
60・・・装着確認ユニット
71,72,73,74・・・凹部
80・・・端子
3Y、3M、3C、100・・・インクカートリッジ
80,321,322,323,324,325,326,327,328,329,411,412,413,414,415,416,417,418,419・・・端子

Claims (5)

  1. インクを内部に収容するインク収容部と、
    前記インク収容部内のインクを外部に供給するインク供給部と、
    基板と、
    前記基板の一方の主面上に配置され、画像形成装置の制御部に電気的に接続される端子群と、
    前記基板のもう一方の主面上に配置され、前記端子群の少なくとも一つの端子に電気的に接続されるメモリと、
    前記端子群のうち少なくとも一つの端子に設けられた凹部と、
    を備え、
    画像形成装置の端子は、先端部分が頂点を有する山形形状であり、前記端子群と接続する際には前記基板の前記一方の主面上を前記頂点が装着方向に摺動し、前記端子群との接続後の状態では前記頂点が前記凹部内に位置すると共に、前記画像形成装置の端子の前記頂点よりも前記画像形成装置側に位置する接点が前記凹部の内壁面と前記端子表面とのエッジにおいて前記端子と接触するように、前記凹部が前記画像形成装置の端子の前記装着方向の延長線上に配置されるように前記基板が備えられ
    前記凹部は前記基板の前記一方の主面に対して垂直な方向から見て円形状に前記端子上に形成され、前記凹部の前記エッジが接触部を有し、前記接触部が前記接点と接触することで前記端子と前記画像形成装置の端子との電気的接触を行うことを特徴とする
    インクカートリッジ。
  2. 前記凹部は、VDD端子、GND端子、データ端子のうち少なくとも1つの端子に設けられる請求項1に記載のインクカートリッジ。
  3. 前記凹部は、前記基板を貫通する貫通孔である請求項1または2のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。
  4. 前記凹部は、前記端子を前記メモリに接続させるスルーホールである請求項3に記載のインクカートリッジ。
  5. 基板と、
    前記基板の一方の主面上に配置され、画像形成装置の制御部に電気的に接続される端子群と、
    前記基板のもう一方の主面上に配置され、前記端子群の少なくとも一つの端子に電気的に接続されるメモリと、
    前記端子群のうち少なくとも一つの端子に設けられた凹部と、
    を備え、
    画像形成装置の端子は、先端部分が頂点を有する山形形状であり、前記端子群と接続する際には前記基板の前記一方の主面上を前記頂点が装着方向に摺動し、前記端子群との接続後の状態では前記頂点が前記凹部内に位置すると共に前記画像形成装置の端子の前記頂点よりも前記画像形成装置側に位置する接点が前記凹部の内壁面と前記端子表面とのエッジにおいて前記端子と接触するように、前記凹部が前記画像形成装置の端子の前記装着方向の延長線上に配置されるように前記基板が備えられ
    前記凹部は前記基板の前記一方の主面に対して垂直な方向から見て円形状に前記端子上に形成され、前記凹部の前記エッジが接触部を有し、前記接触部が前記接点と接触することで前記端子と前記画像形成装置の端子との電気的接触を行うことを特徴とする
    チップ。
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