実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による寸法計測装置の構成を表す図である。なお、図1は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。本実施の形態の寸法計測装置は、計測処理部100aと、3D画像撮影部200と、入力部300と、出力部400とを備える。計測処理部100aは、3D画像取得部110と、3Dモデル作成部120と、特徴抽出部130aと、入力イベント処理部140aと、寸法計測部150aと、表示制御部160aとを備える。また、3D画像撮影部200は、距離センサ201と、RGB画像センサ202とを備える。
図2は、本発明の実施の形態1による寸法計測装置の動作の流れを表す図である。なお、図2に示す動作の流れは、一例を示したものであり、一部の動作の順序が入れ替わる場合もあり、一部の動作が同時に並列して行われる場合もある。以下、図1および図2を用いて、本実施の形態の寸法計測装置の動作について説明する。本実施の形態の寸法計測装置の動作は、図示していない動作制御部によって制御さる。
寸法計測装置の動作が開始されると、寸法測定装置の動作はステップS100へと移行する。ステップS100では、3D画像撮影部200が、物体の3次元画像をフレーム単位で撮影する。以下では、3次元画像を3D画像と称する。ここで、3D画像撮影部200で撮影される物体は、単数の物体に限定されず、多くの場合では複数の物体となる。言い換えると、3D画像撮影部200は、1つ以上の物体が存在する光景を撮影する。例えば、3D画像撮影部200が室内を撮影する場合には、室内に置かれた机などの他、壁、扉、床や天井も物体となる。3D画像撮影部200で複数の物体が撮影された場合、寸法計測装置は、同一の物体上にある2点間の距離または異なる物体上にある2点間の距離を計測する。
3D画像とは、物体の同じ位置を撮影した2次元画像(2D画像)と距離画像とがセットになった画像である。また、2D画像とは、物体の各位置の明るさを2次元に配列された各画素で取得した画像である。2D画像には、白黒画像とカラー画像とがある。カラー画像は、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の明るさで表現されるRGB画像が一般的である。また、距離画像とは、撮影素子から物体の各位置までの距離情報を画素ごとに取得した画像である。3D画像撮影部200において、距離センサ201は距離画像を取得し、RGB画像センサはRGB画像を取得する。
距離センサ201とRGB画像センサ202とは、一体化されていても構わない。また、3D画像撮影部200は、距離画像とRGB画像とを個別の画像ではなく、1つの画像として出力しても構わない。本実施の形態の寸法計測装置においては、3D画像撮影部200は、距離画像とRGB画像とを個別の画像として出力するものとして説明する。ただし、距離画像とRGB画像とは、同期して撮影されたものとする。3D画像撮影部200は、撮影した3D画像をフレーム毎に計測処理部100aへと出力する。より詳細には、距離センサ201は、距離画像を3D画像取得部110へとフレーム毎に出力し、RGB画像センサ202は、RGB画像を3D画像取得部110および表示制御部160aへとフレーム毎に出力する。距離画像とRGB画像の出力は同期している。ステップS100の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS110へと移行する。
ステップS110では、3D画像取得部110が、3D画像撮影部200から3D画像をフレーム単位で取得し、3Dモデル作成部120へと出力する。ステップS110の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS120へと移行する。
ステップS120では、3Dモデル作成部120が、フレーム単位で入力された複数の3D画像を位置合わせして合成し(つなぎ合わせ)、撮影された物体の3次元モデル(3Dモデル)を作成または更新する。なお、3Dモデル作成部120で作成または更新される3Dモデルは、必ずしも単一の物体の3Dモデルではなく、多くの場合は、複数の物体を含んだ3Dモデルとなる。撮影位置が異なり、撮影範囲の一部が重なっている複数フレームの3D画像を合成することで、1フレームの3D画像に比べて高解像度の3Dモデルを作成することが可能となる。
なお、最初の処理では、入力された3D画像と同等の3Dモデルが作成されることになるが、続いて入力される3D画像を順次、作成済みの3Dモデルに合成していくことで、より高解像度の3Dモデルに更新されることになる。複数の3D画像を位置合わせする手法は、従来から報告されており、これらの手法を用いることができる。例えば、3D画像に含まれる特徴点を抽出し、各3D画像に含まれる特徴点を手掛かりにする手法がある。また、別の手法としては、3D画像に含まれる平面を抽出し、各3D画像に含まれる平面を手掛かりにする手法がある。
3Dモデル作成部120は、入力された最新の3D画像における座標と、更新された3Dモデルにおける座標との対応付けを表す座標変換用の情報も作成する。3D画像における座標とは、3D画像に写った各点の3次元位置を表す座標とする。3D画像における座標は、3D画像の各画素の位置および各画素で取得された距離と相互に変換できる。また、3Dモデルにおける座標とは、3Dモデルが作成された空間において、3Dモデルにおける各点の3次元位置を表す座標となる。座標変換用の情報とは、例えば、3D画像の座標と3Dモデルの座標とを相互に変換する行列式である。3D画像の座標と3Dモデルの座標とを変換することは、3D画像の視点(撮影箇所)と3Dモデルの基準視点(例えば、最初に撮影した3D画像の撮影箇所)とを変換することと同等である。したがって、座標変換用の情報としては、3D画像を撮影した際の3D画像撮影部の位置、姿勢の情報であってもよい。
座標変換用の情報は、入力された3D画像と3Dモデルとを位置合わせする際に得られる。3Dモデル作成部120は、更新された3Dモデルを特徴抽出部130aへと出力する。また、3Dモデル作成部120は、更新された3Dモデルおよび座標変換用の情報を表示制御部160aへと出力する。ステップS120の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS130へと移行する。
ステップS130では、特徴抽出部130aが、入力された3Dモデルにおける1つ以上の特徴部を抽出する。ここで、特徴部とは、寸法を計測する際の端点(始点または終点)となる可能性がある点、または端点となる可能性がある点を含むと推測される領域である。また、特徴抽出部130aは、抽出した特徴部の識別番号と関連付けて、抽出した特徴部の3Dモデルにおける座標を記憶する。本実施の形態の寸法計測装置では、後述の通り、特徴部として頂点を抽出する。
したがって、特徴抽出部130aが出力する特徴部の座標は、点の座標となる。一方、特徴部として平面など領域を抽出する場合には、特徴抽出部130aが出力する特徴部の座標は、特徴部が存在する範囲を表す情報となる。さらに、特徴抽出部130aは、抽出した特徴部の信頼度も算出する。特徴部の信頼度とは、抽出された特徴部の座標の正確度を表す指標となる。特徴抽出部130aは、算出した信頼度も抽出した特徴部の識別番号と関連付けて記憶する。ステップS130の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS140へと移行する。
ステップS140では、表示制御部160aが、入力されたRGB画像または3Dモデルに、特徴部を表すグラフィックを重ね合わせた表示画像を作成または更新する。表示制御部160aは、特徴抽出部130aに記憶された特徴部の識別番号、座標および信頼度を読み出す。グラフィックを重ね合わせる際には、表示制御部160aは、特徴抽出部130aから取得した特徴部の座標と、3Dモデル作成部120から入力された座標変換用の情報とを使用する。また、表示制御部160aは、特徴抽出部130aから取得した特徴部の信頼度に合わせて、グラフィックの表示を変更してもよい。表示制御部160aは、特徴部の3Dモデルにおける座標を入力イベント処理部140aへと出力する。また、表示制御部160aは、RGB画像にグラフィックを重ね合わせた場合、重ね合わせた位置を対応する特徴部の識別番号と関連付けて特徴抽出部に記憶させる。
また、表示制御部160aは、作成または更新した表示画像を出力部400へと出力する。出力部400は、画像表示装置である。本実施の形態の寸法測定装置の使用者は、出力部400に表示された画像を確認し、表示された特徴部の中から寸法測定の端点となる特徴部を選択することができる。すなわち、出力部400に表示された特徴部は、寸法測定における端点の候補となる。ステップS140の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS150へと移行する。
ステップS150では、図示していない動作制御部が、寸法測定装置の使用者によって、入力部300を介した入力操作が行われたかどうかを判断する。入力操作が行われなかった場合、寸法測定装置の動作はステップS100へと戻る。一方、入力操作が行われた場合、寸法測定装置の動作はステップS160へと移行する。ステップS160、S161およびS162では、入力イベント処理部140aが、使用者が入力部300を介して行った入力操作の内容を判別し、判別結果に応じた処理を行う。ステップS160では、入力イベント処理部140aは、使用者の入力操作が特徴部の選択か否かを判断する。
使用者の入力操作が、特徴部の選択ではない他の操作(例えば、メニュー操作)であった場合、寸法測定装置の動作はステップS161へと移行する。ステップS161では、
入力イベント処理部140aが、使用者の入力操作に合わせた処理を行う。この際、必要に応じて、表示制御部160aが、入力イベント処理部140aにおける処理結果を表示画像に反映する。ステップS161の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS150へと戻る。一方、使用者の入力操作が、特徴部の選択であった場合、寸法測定装置の動作はステップS162へと移行する。ステップS162では、入力イベント処理部140aは、1個目の特徴部が選択されたのか、2個目が選択されたのかの判断を行う。
1個目の特徴部が選択された場合、寸法測定装置の動作はステップS163へと移行する。ステップS163では、表示制御部160aが、1個目の特徴部が選択されたことを使用者に通知し、2個目の特徴部の選択を促すように、表示画像を更新する。ステップS163の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS150へと戻る。一方、2個目の特徴部が選択された場合、寸法測定装置の動作はステップS164へと移行する。ステップS164では、表示制御部160aが、2個目の特徴部が選択されたことを使用者に通知するように、表示画像を更新する。ステップS164の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS170へと移行する。
ステップS170では、寸法計測部150aが、選択された2個の特徴部の座標の情報を入力イベント処理部140aから取得し、寸法の計測を行う。ステップS170の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS180へと移行する。ステップS180では、表示制御部160aが、寸法計測部150aにおける寸法測定結果を使用者に通知するとともに、計測を終了するか否かの選択を促すように、表示画像を更新する。ステップS180の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS190へと移行する。ステップS190では、入力イベント処理部140aが、計測の終了が選択された否かを判断する。計測の終了が選択されなかった場合、寸法測定装置の動作はステップS100へと戻る。一方、計測の終了が選択された場合、寸法測定装置の動作は終了する。以上が本実施の形態の寸法測定装置の動作である。
次に本実施の形態の寸法測定装置を実現するためのハードウェア構成について述べる。図3は、本発明の実施の形態1による寸法計測装置のハードウェア構成の一例を表す図である。図3は、専用の処理回路501を用いた場合のハードウェア構成を表している。計測処理部100aは、処理回路501で実現される。3D画像撮影部200は、3D画像撮影装置502で実現される。入力部300は、入力装置503で実現される。入力装置503としては、タッチパネル、マウス、ペン型デバイス、視線センサなど、選択した点を指定できる手段を備えた装置を用いることができる。また、入力装置503は、音声識別装置、ハンドジェスチャを識別するセンサなどを備えてもよい。
出力部400は、前述の通り、画像表示装置504で実現される。画像表示装置504は、例えば、液晶表示装置、プロジェクタなどである。画像表示装置504は、タッチパネルを搭載したタッチディスプレイであってもよい。また、画像表示装置504は、タブレット端末などの携帯端末に搭載されるディスプレイであってもよい。さらに、画像表示装置504は、メガネ型ディスプレイなど着用型のディスプレイであってもよい。
図4は、本発明の実施の形態1による寸法計測装置のハードウェア構成の別の例を表す図である。図4は、プロセッサ505とメモリ506とを用いた場合のハードウェア構成を表している。図4のハードウェア構成では、計測処理部100aは、メモリ506に記憶されたプログラムをプロセッサ505で処理することによって実現される。さらに、タブレット端末を用いれば、計測処理部100a、入力部300、出力部400をすべて実現することも可能である。計測処理部100aは、タブレット端末に搭載されるプロセッサとメモリで実現することができる。また、入力部300は、タブレット端末に搭載されるタッチパネルで実現でき、出力部400は、タブレット端末に搭載されるディスプレイで実現できる。なお、他の実施の形態の寸法計測装置も、同様のハードウェア構成で実現できる。
次に、本実施の形態の寸法測定装置の動作について、さらに詳しく説明する。まず、3Dモデル作成部120の動作について説明する。3Dモデル作成部120の動作は、図2のステップS120に対応する。本実施の形態の寸法測定装置において、3Dモデル作成部120は、3D画像に含まれる特徴点および平面の情報を用いて、3Dモデルと3D画像とをつなぎ合わせ、3Dモデルを更新する。なお、3Dモデルと3D画像とをつなぎ合わせることで、結果的に複数の3D画像をつなぎ合わせることになる。例えば、特表2015−515655号公報には、3D画像に含まれる特徴点および面を抽出し、3Dモデルにおける特徴点および面と位置合わせする手法が記載されている。
図5は、本実施の形態の寸法計測装置において、3Dモデル作成部120の構成と関連するブロックとを表す図である。なお、図5において、3Dモデル作成部120と周辺のブロックとの間の情報の流れは図示しているが、周辺のブロック間の情報の流れは図示を省略している。これは、以降の図においても同様である。3Dモデル作成部120は、平面抽出部121と、照合部122と、モデル更新部123と、3Dモデル記憶部124とを備える。平面抽出部121は、3D画像取得部110から入力された3D画像から、3D画像のつなぎ合わせに有効な特徴点および平面を抽出する。なお、平面抽出部121で抽出される特徴点と、特徴抽出部130aで抽出される特徴部とは、必ずしも同一のものではない。次に、照合部122は、3D画像から抽出された特徴点および平面と、3Dモデル記憶部に記憶されている3Dモデルに含まれる特徴点および平面とを照合し、一致する特徴点および平面を探索する。
一致する特徴点および平面が見つかった場合、照合部122は、見つけられた特徴点および平面の位置が一致するように、3D画像と3Dモデルとを位置合わせした後につなぎ合わせ、新たな3Dモデルを作成する。照合部122は、3D画像または3Dモデルを回転、平行移動などさせることで、位置合わせを行う。照合部122は、新たな3Dモデルをモデル更新部123へと出力する。位置合わせを行う際には、3D画像における座標(すなわち、RGB画像における座標)と、新たな3Dモデルにおける座標とを対応付ける情報も得られるので、照合部122は、得られた情報を座標変換用の情報として表示制御部160aへと出力する。
モデル更新部123は、3Dモデル記憶部124に記憶される3Dモデルを新たな3Dモデルに更新する。また、モデル更新部123は、新たな3Dモデルにおける特徴点および平面の情報も3Dモデル記憶部124に記憶する。また、モデル更新部123は、新たな3Dモデルを特徴抽出部130aおよび表示制御部160aへと出力する。さらに、モデル更新部123は、新たな3Dモデルにおける平面の情報を特徴抽出部130aへと出力する。図6A、図6Bおよび図6Cは、本実施の形態の寸法計測装置において、3Dモデル作成部120の動作を説明するための模式図である。図6A、図6Bおよび図6Cは、室内を撮影した場合を表す模式図である。なお、ここでは、2枚の3D画像を位置合わせする場合について説明する。3Dモデル作成部120は、実際には3D画像と3Dモデルとの位置合わせを行うのであるが、この場合でも考え方は同様である。
図6Aの破線は、1回目の撮影範囲を表しており、図6Bの破線は、2回目の撮影範囲を表している。左側の壁際にある机の上面の一部と、正面の壁の一部とは、両方の撮影範囲内となっている。平面抽出部121は、これらの平面を抽出し、照合部122は、抽出された平面が一致するように、2枚の3D画像の位置合わせを行う。図6Cの破線は、2回の撮影において、撮影範囲が重なっている範囲を表している。2枚の3D画像をつなぎ合わせることで、この範囲については情報が増加し、解像度が向上することになる。さらに多数の3D画像をつなぎ合わせれば、高解像度の3Dモデルを作成可能となる。3Dモデル作成部120は、以上のように動作する。
次に、特徴抽出部130aの動作について説明する。特徴抽出部130aの動作は、図2のステップS130に対応する。本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130aは、特徴部として物体の頂点を抽出する。物体には壁なども含まれる。図7は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130aの構成と関連するブロックとを表す図である。特徴抽出部130aは、頂点抽出部131aと、信頼度算出部132と、頂点データ記憶部133aとを備える。頂点抽出部131aは、3Dモデル作成部120から入力された3Dモデルに含まれる頂点を抽出する。頂点抽出部131aは、3Dモデルに含まれる平面のうち3つ以上の平面が交わる点を頂点として抽出する。例えば、頂点抽出部131aは、3Dモデルに含まれる平面のパラメータを用いて頂点の位置を算出する。別の例としては、頂点抽出部131aは、角形状をモデル化したパターンとの3D照合処理を行って頂点を抽出する。頂点抽出部131aは、抽出した頂点の3Dモデルにおける座標を頂点データ記憶部133aに記憶する。
信頼度算出部132は、頂点抽出部131aで抽出された頂点のそれぞれに対し、信頼度を算出する。各頂点の信頼度は、その頂点の周辺における3Dモデルの解像度に基づいて求められる。ここで、3D画像撮影部200で取得される3D画像は、3次元空間の各点における明るさの情報の集まりである。すなわち、3D画像における物体の形状は、3次元空間における点群の分布として取得されている。3D画像から作成される3Dモデルにおける物体の形状も、3次元空間における点群の分布で表現される。これらの点群の密度が、3Dモデルの解像度となる。3Dモデルがより高密度の点群で構成されているほど、3Dモデルに含まれる各頂点の位置はより正確となる。
信頼度算出部132は、各頂点の周辺の点群の密度を計算し、点群の密度が高いほどその頂点の信頼度を高くし、点群の密度が低いほどその頂点の信頼度を低くする。なお、点群の密度を計算する範囲の広さは、適宜設定される。また、頂点の信頼度は、点群の密度に対して線形の関係としてもよいし、非線形の関係としてもよい。信頼度算出部132は、算出した頂点の信頼度を頂点データ記憶部133aに記憶する。頂点データ記憶部133aは、頂点の識別番号と対応付けて、頂点抽出部131aで抽出された頂点の3Dモデルにおける座標、信頼度算出部132で算出された頂点の信頼度、および表示制御部160aから入力されたグラフィックを重ね合わせたRGB画像上の位置を記憶する。
図8は、頂点データ記憶部133aに記憶されるデータの構造の一例を示す図である。図8において、Nは、抽出された頂点の数を表す。また、図8では記載を省略しているが、実際には、頂点データ記憶部133aには、求められた各数値が記憶される。頂点データ記憶部133aに記憶されたデータは、入力イベント処理部140a、寸法計測部150aおよび表示制御部160aによって読み出される。特徴抽出部130aは、以上のように動作する。
次に、入力イベント処理部140aの動作について説明する。入力イベント処理部140aの動作は、図2のステップS160、S161およびS162に対応する。入力イベント処理部140aは、入力装置を介して入力されたイベントを判別して、イベントに対応した処理を行う。入力イベント処理部140aは、使用者による入力種別(タッチ・ドラッグなど)および入力箇所(画面上の位置)を判別し、入力種別および座標に紐付けられたイベントを判別する。入力イベント処理部140aは、イベントの1つとして、特徴部の選択イベントを判別する。これは、使用者が特徴部の選択を行った場合のイベントである。特徴部が選択されたか否かは、使用者による入力箇所に基づいて判断する。
入力イベント処理部140aは、特徴抽出部130aに記憶されるデータを参照して、特徴部を表すグラフィックが表示画像上のどの位置に描画されたかの情報を取得する。使用者による入力箇所がグラフィックの位置から所定の範囲内であれば、入力イベント処理部140aは、使用者が特徴部の選択を行ったと判別する(図2のステップS160)。また、特徴部の選択が行われた場合、入力イベント処理部140aは、1個目の特徴部が選択されたのか、2個目が選択されたのかを判断する(図2のステップS162)。同時に、入力イベント処理部140aは、選択された特徴部の識別番号を記憶する。
1個目の特徴部が選択された場合、入力イベント処理部140aは、表示制御部160aに、1個目の特徴部が選択されたことを使用者に通知し、2個目の特徴部の選択を使用者に促す画像を描画するようにコマンドを送る。一方、2個目の特徴部が選択された場合、入力イベント処理部140aは、表示制御部160aに、2個目の特徴部が選択されたことを使用者に通知する画像を描画するようにコマンドを送る。同時に、入力イベント処理部140aは、寸法計測部150aに、選択された2つの特徴部の間の距離を計測するようにコマンドを送る。このコマンドには、選択された2つの特徴部の識別番号も含まれている。なお、図2のステップS161の動作は、上述した通りである。入力イベント処理部140aは、以上のように動作する。
次に、寸法計測部150aの動作について説明する。寸法計測部150aの動作は、図2のステップS170に対応する。図9は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計測部150aの構成と関連するブロックとを表す図である。寸法計測部150aは、寸法計算部151aと、寸法データ記憶部152とを備える。寸法計算部151aは、選択された2個の特徴部の3Dモデルにおける座標を特徴抽出部130aから取得し、寸法の計測を行う。寸法計算部151aは、2つの特徴部の3次元座標から、2つの特徴部のユークリッド距離を算出する。寸法計算部151aは、算出した寸法データと、2つの特徴部の3次元座標とを寸法データ記憶部152に格納する。また、寸法計算部151aは、計測結果の表示制御を行う信号を、表示制御部160aへと出力する。寸法データ記憶部152は、寸法データの識別番号と対応付けて、寸法データおよび2つの特徴部の3次元座標を記憶する。寸法データ記憶部152に記憶された情報は、表示制御部160aによって読み出される。寸法計測部150aは、以上のように動作する。
次に、表示制御部160aの動作について説明する。表示制御部160aの動作は、図2のステップS140、S163、S164およびS180に対応する。図10は、本実施の形態の寸法計測装置において、表示制御部160aの構成と関連するブロックとを表す図である。表示制御部160aは、頂点表示制御部161と、寸法表示制御部162と、描画部163とを備える。頂点表示制御部161は、それぞれの特徴部の3Dモデルにおける座標と、信頼度とを特徴抽出部130aから取得し、信頼度が所定の閾値以上である特徴部については、特徴部を表すグラフィックをRGB画像または3Dモデル上に描画させるコマンドを描画部に送る。このコマンドには、RGB画像または3Dモデルにおける描画位置も含まれる。特徴部を表すグラフィックをRGB画像上に描画する場合には、頂点表示制御部161は、3Dモデル作成部120から入力される座標変換用の情報を用いて、RGB画像上の描画位置を求める。なお、頂点表示制御部161は、信頼度が所定の閾値以上である特徴部に限定せず、全ての特徴部についてグラフィックを描画させても良い。
図11は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴部を表すグラフィックの一例を表す模式図である。図11の例では、特徴部を表すグラフィックは黒色の丸型のグラフィックとなっている。なお、図11は簡略化されているが、机601の天板および脚は、厚みを持っており、側面を有している。この点は、以降の図においても同様である。また、頂点表示制御部161は、各特徴部の信頼度に応じて異なるグラフィックを描画させてもよい。図12は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴部を表すグラフィックの別の例を表す模式図である。図12の例では、特徴部を表すグラフィックの大きさが、特徴部の信頼度に応じて変化しており、信頼度が高い特徴部ほど大きな黒色の丸型のグラフィックで表示されている。このように表示することで、使用者は各特徴部の信頼度を容易に把握することができる。
頂点表示制御部161は、各特徴部の信頼度に応じて、グラフィックの大きさを変化させる他に、グラフィックの色、透明度または形を変化させてもよい。図13は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴部を表すグラフィックの別の例を表す模式図である。図13の例では、所定の信頼度を基準として、信頼度の高い特徴部が黒色の丸型のグラフィック、信頼度の低い特徴部が白色の丸型のグラフィックで表示されている。このように表示することでも、使用者は各特徴部の信頼度を容易に把握することができる。また、頂点表示制御部161は、特徴部を表すグラフィックの近くに、各特徴部の信頼度を表示しても良い。
また、頂点表示制御部161は、表示するRGB画像または3Dモデルの視点となる位置から各特徴点までの距離を反映して、グラフィックの大きさを変化させてもよい。図14は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴部を表すグラフィックの別の例を表す模式図である。図14の例では、特徴部を表すグラフィックの大きさが、表示するRGB画像の視点となる位置からの距離を反映して変化しており、距離が近い特徴部ほど大きな黒色の丸型のグラフィックで表示されている。このように表示することで、使用者は各特徴部の位置関係を容易に把握することができる。
また、頂点表示制御部161は、表示するRGB画像または3Dモデルの視点から各特徴部への角度を反映して、グラフィックの形状を変化させてもよい。例えば、頂点表示制御部161は、角度により見え方が異なるグラフィックを使用し、表示するRGB画像または3Dモデルの視点から各特徴部への角度を反映して、グラフィックを表示する角度を変化させる。このように表示することでも、使用者は各特徴部の位置関係を容易に把握することができる。また、頂点表示制御部161は、表示するRGB画像または3Dモデルの輝度や色を考慮して、特徴部を表すグラフィックの色や輝度を変化させてもよい。頂点表示制御部161が、各特徴部の位置において、見分けやすい色や輝度のグラフィックを表示させることで、使用者の視認性を向上することができる。
さらに、頂点表示制御部161は、使用者によって1個目または2個目の特徴部が選択された際には、選択された特徴部を表すグラフィックの色、大きさまたは形を変化させてもよい。この結果、使用者は、選択済みの特徴部と、未選択の特徴部とを識別可能となる。
次に、寸法表示制御部162について述べる。寸法表示制御部162は、寸法計測部150aから、寸法データと2つの特徴部の3次元座標とを取得する。また、寸法表示制御部162は、2つの特徴部の間の寸法を示す画像を描画するように、描画部163にコマンドを送る。この際、寸法表示制御部162は、2つの特徴部の間に直線などを描画するように、描画部163にコマンドを送ってもよい。このような描画を行うことで、使用者は、寸法が計測された箇所を識別することが容易となる。
また、寸法表示制御部162は、使用者によって1個目の特徴部が選択された際には、2個目の特徴部の選択を使用者に促すメッセージを描画するように、描画部163にコマンドを送る。また、寸法表示制御部162は、使用者によって2個目の特徴部が選択された際には、2個目の特徴部が選択されたことを通知するメッセージを描画するように、描画部163にコマンドを送る。描画部163は、頂点表示制御部161または頂点表示制御部161からのコマンドに従って、RGB画像または3Dモデルの上に、グラフィックまたはメッセージを描画し、出力部400へと出力する。描画部163が、RGB画像または3Dモデルのいずれの画像の上に描画するかは、メニュー操作などで使用者が選択できるように構成してもよい。表示制御部160aは、以上のように動作する。
本実施の形態の寸法計測装置は、以上のように動作する。本実施の形態の寸法計測装置によれば、3D画像撮影部は、空間または物体の3次元画像をフレーム単位で撮影する。また、3Dモデル作成部は、複数フレームの3次元画像を合成して空間または物体の3次元モデルを作成する。また、特徴抽出部は、3次元モデルに含まれる複数の特徴部を抽出する。また、表示制御部は、3次元画像または3次元モデルにおける複数の特徴部のそれぞれの位置を示す画像を生成し、複数の特徴部のうち2つ特徴部の選択を使用者に促す。また、寸法計測部は、選択された2つの特徴部の間の距離を計算する。
したがって、本実施の形態の寸法計測装置によれば、同一の平面上にない2点の間の距離を計測可能となる。例えば、2点間の距離を測定する場合に、その2点の間に、空間または障害物が存在するような場合でも、2点間の距離を測定可能である。また、本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者は、測定の端点を容易に指定することができる。一般に、タブレット端末に表示された点をタッチパネルなどで指定する場合、使用者が測定の端点を正確に指定することが困難であった。本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者は、表示された特徴点の中から測定の端点を選択すれば良いので、測定の端点を容易に指定することができる。
また、本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者は、測定の端点に実際に触れることなく、寸法を測定することが可能となる。この結果、使用者が直接触れられない場所にある箇所、または安全上の問題から近付けない箇所についても、寸法を測定することが可能となる。また、本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者は、物体または空間を撮影しながら、その物体または空間内の寸法を測定することができる。したがって、実在する物体または空間も参照して、出力部400に表示される特徴部が意図に合ったものかどうかを確認できる。もし、使用者の意図に合った特徴部が表示されていない場合、撮影条件などを変更して再計測することも可能である。
また、本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者は、計測された寸法と、実在する物体または空間とを見比べることができ、明らかにおかしな測定結果は除外できるとともに、再計測も可能となる。さらに、予め想定していた寸法と、計測結果とが大きく異なる場合、再計測も可能となる。使用者は、撮影条件を変更して再計測を行っても良いし、特徴点も信頼度が十分高くなってから再計測を行っても良い。また、本実施の形態の寸法計測装置は、信頼度算出部132を備えているので、使用者は、必要な計測精度と計測時間とを考慮して、特徴部を選択するタイミングを決定することができる。例えば、高い測定精度を必要としない場合には、使用者は、特徴部の信頼度が十分高くなる前に特徴部を選択することも可能であり、その場合には撮影開始から計測完了までの時間を短縮することができる。なお、信頼度算出部132は、本発明の寸法計測装置に必須の構成ではなく、省略することも可能である。
実施の形態2.
図15は、本発明の実施の形態2による寸法計測装置の構成を表す図である。上記の実施の形態1による寸法計測装置は、3Dモデルにおける頂点を特徴部として抽出するものであった。一方、図15に示す本実施の形態の寸法計測装置は、頂点に加えて、3Dモデルにおける平面および線分も特徴部として抽出する。なお、図15は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。なお、図15に示す寸法計測装置において、図1に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。図15に示す寸法計測装置は、図1に示すものとは、計測処理部100bに備える特徴抽出部130b、入力イベント処理部140b、寸法計測部150bおよび表示制御部160bの構成又は動作が異なる。また、本実施の形態の寸法計測装置の動作の流れは、図2に示したものと同様となるが、一部のステップにおける詳細な動作が異なる。
以下、本実施の形態の寸法計測装置の構成および動作について、実施の形態1で述べたものとの差異を説明する。まず、特徴抽出部130bについて述べる。特徴抽出部130bの動作は、図2のステップS130に対応する。図16は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130bの構成と関連するブロックとを表す図である。特徴抽出部130bは、頂点抽出部131aと、信頼度算出部132と、平面及び線分選択部134と、特徴データ記憶部135aとを備える。また、特徴データ記憶部135aは、頂点データ記憶部133aと平面及び線分データ記憶部136aとを備える。頂点抽出部131a、信頼度算出部132および頂点データ記憶部133aは、実施の形態1におけるものと同様である。
平面及び線分選択部134は、3Dモデル作成部120で抽出された平面のうち、信頼度の高い平面を選択する。また、平面及び線分選択部134は、3Dモデル作成部120で抽出された平面に基づいて、信頼度の高い線分を抽出する。平面及び線分選択部134は、信頼度算出部132で算出された頂点の信頼度に基づいて、平面の信頼度および線分の信頼度を算出する。平面及び線分選択部134は、3Dモデル作成部120で抽出された各平面に対して、各平面を囲う頂点の信頼度を頂点データ記憶部133aから取得し、各平面の信頼度を算出する。例えば、平面及び線分選択部134は、頂点の信頼度の平均値を算出して平面の信頼度とする。平面及び線分選択部134は、頂点の信頼度の最小値を算出して平面の信頼度としても良い。平面及び線分選択部134は、算出した平面の信頼度が、あらかじめ設定される閾値以上である場合には、その平面の識別番号と、その平面を囲う頂点の識別番号と、その平面の信頼度とを平面及び線分データとして平面及び線分データ記憶部136aに記憶する。
また、平面及び線分選択部134は、3Dモデル作成部120で抽出された各平面の辺を線分として抽出する。平面及び線分選択部134は、抽出された各線分の両端となる頂点の信頼度を頂点データ記憶部133aから取得し、各線分の信頼度を算出する。例えば、平面及び線分選択部134は、頂点の信頼度の平均値を算出して線分の信頼度とする。平面及び線分選択部134は、頂点の信頼度の最小値を算出して線分の信頼度としても良い。平面及び線分選択部134は、算出した線分の信頼度が、あらかじめ設定される閾値以上である場合には、その線分の識別番号と、その線分の両端となる頂点の識別番号と、その線分の信頼度とを線分データとして平面及び線分データ記憶部136aに記憶する。
入力イベント処理部140b、寸法計測部150bおよび表示制御部160bは、特徴データ記憶部135aに記憶されるデータを参照することで、平面または線分が存在する範囲の座標を取得することができる。より具体的には、入力イベント処理部140b、寸法計測部150bおよび表示制御部160bは、平面及び線分データ記憶部136aに記憶されるデータと、頂点データ記憶部133aに記憶されるデータとを参照することで、平面または線分が存在する範囲の座標を取得することができる。
次に、表示制御部160bについて述べる。図2のステップS140では、表示制御部160bが、入力されたRGB画像または3Dモデルに、特徴部を表すグラフィックを重ね合わせた表示画像を作成または更新する。ここで、本実施の形態の表示制御部160bの動作の一部は、実施の形態1における表示制御部160aの動作とは異なる。以下では、実施の形態1における動作とは異なる動作に絞って説明する。図17は、本実施の形態の寸法計測装置において、表示制御部160bの構成と関連するブロックとを表す図である。表示制御部160bは、寸法表示制御部162と、描画部163と、特徴表示制御部164とを備える。また、特徴表示制御部164は、頂点表示制御部161と、平面及び線分表示制御部165とを備える。なお、頂点表示制御部161、寸法表示制御部162および描画部163は、実施の形態1におけるものと同様である。
特徴表示制御部164は、それぞれの特徴部の3Dモデルにおける座標と、信頼度とを特徴抽出部130aから取得し、信頼度が所定の閾値以上である特徴部については、特徴部を表すグラフィックをRGB画像または3Dモデル上に描画させるコマンドを描画部に送る。このコマンドには、RGB画像または3Dモデルにおける描画位置も含まれる。特徴部を表すグラフィックをRGB画像上に描画する場合には、特徴表示制御部164は、3Dモデル作成部120から入力される座標変換用の情報を用いて、RGB画像上の描画位置を求める。
頂点表示制御部161は、特徴抽出部で抽出された特徴部の中で、頂点に対して上記の処理を行う。一方、平面及び線分表示制御部165は、特徴抽出部で抽出された特徴部の中で、線分および平面に対して上記の処理を行う。特徴部が線分の場合、その線分の両端となる頂点の座標が、特徴部の座標となる。また、特徴部が線分の場合、平面及び線分表示制御部165は、所定の色の線分を描画させるコマンドを描画部に送る。描画させる線分の色は、透過色であっても良い。一方、特徴部が平面の場合、その平面を囲う頂点の座標が、特徴部の座標となる。また、特徴部が平面の場合、平面及び線分表示制御部165は、その平面の上に、所定の色で着色された平面を重ねて描画させるコマンドを描画部に送る。視認性を考慮すると、描画させる平面の色は、透過色である方が望ましい。また、描画させる線分の色と、描画させる平面の色とは、異なる色である方が、視認性を向上させる上では望ましい。また、描画させる線分および平面の色は、描画位置におけるRGB画像または3Dモデルの色と識別しやすい色であることが望ましい。ここで、色が異なるとは、色相、彩度、明度のうちの少なくとも1つが異なることを意味する。
また、平面及び線分表示制御部165は、各特徴部の信頼度に応じて、描画に用いる色または透明度を変化させてもよい。さらに、平面及び線分表示制御部165は、使用者によって1個目または2個目の特徴部が選択された際には、選択された特徴部を表すグラフィックの色を変化させても良い。この結果、使用者は、選択済みの特徴部と、未選択の特徴部とを識別可能となる。なお、表示制御部160bは、特徴部を表すグラフィックを描画させる際に、平面の上に線分、線分の上に頂点が描画されるように制御する。このように制御することで、例えば、線分のグラフィックが、平面のグラフィックに隠されてしまうことを回避できる。上記以外の表示制御部160bの動作は、実施の形態1における表示制御部160aの動作と同様である。
次に、入力イベント処理部140bについて述べる。図2のステップS160では、入力イベント処理部140bが、使用者による特徴部の選択が行われたか否かを判断する。入力イベント処理部140bは、使用者による入力操作が行われた箇所と、特徴部の表示箇所とに基づいて、特徴部が選択されたか否かを判断する。この点は、実施の形態1の入力イベント処理部140aの動作と同様である。ただし、本実施の形態の寸法計測装置においては、特徴部が重なって表示される可能性がある。
そこで、本実施の形態の寸法計測装置において、入力イベント処理部140bは、頂点、線分、平面の順に優先順位を付けて、特徴部が選択されたか否かを判断する。図18は、本実施の形態の寸法計測装置において、入力イベント処理部140bの動作を説明する図である。図18は、本実施の形態の寸法計測装置において、図2のステップS160の動作の詳細を示している。まず、ステップS160Aにおいて、入力イベント処理部140bは、頂点が選択されたか否かを判断する。頂点が選択された場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Dへと移行し、入力イベント処理部140bは、その頂点が特徴部として選択されたと判断する。頂点が選択されなかった場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Bへと移行する。
次に、ステップS160Bにおいて、入力イベント処理部140bは、線分が選択されたか否かを判断する。線分が選択された場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Dへと移行し、入力イベント処理部140bは、その線分が特徴部として選択されたと判断する。線分が選択されなかった場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Cへと移行する。次に、ステップS160Cにおいて、入力イベント処理部140bは、平面が選択されたか否かを判断する。平面が選択された場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Dへと移行し、入力イベント処理部140bは、その平面が特徴部として選択されたと判断する。平面が選択されなかった場合には、入力イベント処理部140bの動作は、ステップS160Eへと移行し、入力イベント処理部140bは、特徴部が選択されなかったと判断する。入力イベント処理部140bは、以上のように動作して、特徴部が選択されたか否かを判断する。上記以外の入力イベント処理部140bの動作は、実施の形態1における入力イベント処理部140aの動作と同様である。
次に、寸法計測部150bについて述べる。図19は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計測部150bの構成と関連するブロックとを表す図である。図19に示す寸法計測部150bの構成は、実施の形態1の寸法計測部150aの構成と基本的には同じである。ただし、寸法計算部151bの動作が、実施の形態1における寸法計算部151aと異なる。本実施の形態の寸法計測装置では、選択された特徴部は、頂点に限定されず、線分または平面の可能性もある。したがって、寸法計算部151bは、2つの特徴部の間の最短距離を計算する。
図20は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計算部151bの動作を説明する図である。図20は、本実施の形態の寸法計測装置において、図2のステップS170の動作の詳細を示している。まず、ステップS171において、寸法計算部151bは、選択された特徴部に頂点が含まれているか否かを判断する。言い換えると、ステップS171において、寸法計算部151bは、選択された2個の特徴部のうちの少なくとも一方が頂点であるか否かを判断する。特徴部に頂点が含まれている場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS172へと移行する。一方、特徴部に頂点が含まれていない場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS177へと移行する。
ステップS172では、寸法計算部151bは、選択された2個の特徴部が両方とも頂点であるか否かを判断する。特徴部が両方とも頂点である場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS173へと移行する。一方、特徴部の片方が頂点ではない場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS174へと移行する。ステップS173では、選択された特徴部は2個とも頂点であるので、寸法計算部151bは、実施の形態1における寸法計算部151aと同様に、選択された2個の頂点のユークリッド距離を算出し、寸法データとして出力する。
ステップS174では、選択された特徴部の一方は頂点であり、他方は線分または平面となる。ステップS174では、寸法計算部151bは、一方の特徴部として選択された頂点を通り、他方の特徴部として選択された線分または平面に対して垂線となる直線が存在するか否かを判断する。垂線が存在する場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS175へと移行する。一方、垂線が存在しない場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS176へと移行する。
ステップS175では、寸法計算部151bは、上記の垂線における頂点から平面または線分までの長さを算出し、選択された特徴部の間の寸法として出力する。図21は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計算部151bの動作を説明する模式図である。図21は、ステップS175における寸法計算部151bの動作を説明する模式図となっている。一方の特徴部として頂点602aが選択され、他方の特徴部として平面603aが選択された場合には、頂点602aを通り、平面603aに対して垂線604が存在する。なお、図21において、頂点602aは黒色の丸、平面603aは斜線、垂線604は点線で表示している。したがって、ステップS175では、寸法計算部151bは、垂線604の長さを算出し、寸法データとして出力する。
ステップS176では、寸法計算部151bは、一方の特徴部として選択された頂点から、他方の特徴部として選択された線分または平面までの最短距離を探索し、選択された特徴部の間の寸法として出力する。図22は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計算部151bの動作を説明する模式図である。図22は、ステップS176における寸法計算部151bの動作を説明する模式図となっている。一方の特徴部として頂点602bが選択され、他方の特徴部として平面603bが選択された場合には、頂点602bを通り、平面603bに対して垂線となる直線は存在しない。なお、図22において、頂点602bは黒色の丸、平面603bは斜線で表示している。したがって、ステップS176では、寸法計算部151bは、平面603b内の各位置から、頂点602bへのユークリッド距離を求め、最短となる距離を見つけ出して、寸法データとして出力する。
ステップS177では、選択された特徴部は両方とも、線分または平面となる。ステップS177では、寸法計算部151bは、選択された2個の特徴部を結ぶ垂線が存在するか否かを判断する。言い換えると、ステップS177では、寸法計算部151bは、選択された2個の平面または線分の両方と垂直に交わる直線が存在するか否かを判断する。垂線が存在する場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS178へと移行する。一方、垂線が存在しない場合には、寸法計算部151bの動作は、ステップS179へと移行する。
ステップS178では、寸法計算部151bは、上記の垂線における特徴部間の長さを算出し、寸法データとして出力する。ステップS179では、寸法計算部151bは、一方の特徴部として選択された線分または平面から、他方の特徴部として選択された線分または平面までの最短距離を探索し、選択された特徴部の間の寸法として出力する。言い換えると、ステップS179では、寸法計算部151bは、一方の特徴部として選択された線分内または平面内の各位置から、他方の特徴部として選択された線分内または平面内の各位置へのユークリッド距離を求め、最短となる距離を見つけ出して、寸法データとして出力する。
寸法計算部151bは、算出した寸法データと、2つの特徴部の3次元座標とを寸法データ記憶部152に格納する。また、寸法計算部151bは、計測結果の表示制御を行う信号を、表示制御部160bへと出力する。寸法データ記憶部152は、寸法データの識別番号と対応付けて、寸法データおよび2つの特徴部の3次元座標を記憶する。寸法データ記憶部152に記憶された情報は、表示制御部160bによって読み出される。寸法計測部150bは、以上のように動作する。
本実施の形態の寸法計測装置において、上述した以外の動作は、実施の形態1におけるものと同様である。本実施の形態の寸法計測装置によれば、撮影された物体または空間に存在する線分または平面の間の距離も測定可能となる。したがって、例えば離れて配置されている2個の物体のそれぞれについて、他方の物体と向かい合う面を特徴部として選択することで、使用者は物体間の距離を容易に計測することができる。また、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。
ここで、本実施の形態の寸法計測装置においては、使用者は、特徴部として頂点だけではなく、線分または平面も選択できる利点がある。一方で、全ての特徴部をグラフィックとして表示した場合には、使用者にとって視認性の悪い表示となる可能性もある。そこで、本実施の形態の寸法計測装置は、予め使用者に特徴部の種別(頂点、線分または平面)を選択させ、選択された種別の特徴部のみをグラフィックとして表示するように構成されても良い。例えば、特徴部を選択する前に、寸法計測装置は、使用者に特徴部の種別を選択させる。使用者が平面を選択した場合には、寸法計測装置は、平面を示すグラフィックのみを表示する。
別の例としては、寸法計測装置は、1個目の特徴部の選択と、2回目の特徴部の選択との際に、それぞれ使用者に特徴部の種別を選択させても良い。使用者が1個目の特徴部を選択する前に、寸法計測装置は、使用者に特徴部の種別を選択させる。使用者が平面を選択した場合には、寸法計測装置は、平面を示すグラフィックのみを表示する。次に、使用者が2個目の特徴部を選択する前に、寸法計測装置は、再び使用者に特徴部の種別を選択させる。使用者が線分を選択した場合には、寸法計測装置は、線分を示すグラフィックのみを表示する。このように構成することで、特徴部を選択する際の使用者の視認性を向上することができる。
実施の形態3.
撮影される空間に、多数の物体が存在するような場合、全ての特徴点を抽出し、グラフィックとして表示すると、寸法計測装置の処理の負荷が重くなり、寸法計測装置が高速に動作できない可能性が考えられる。また、使用者にとっても視認性が低下し、特徴部の選択の際の操作性も低下する可能性が考えられる。そこで、本実施の形態の寸法計測装置は、特徴部の抽出が不要な領域を使用者が指定可能な構成としたものである。以下では、特徴部の抽出が不要な領域を不要領域と呼ぶ。図23は、本発明の実施の形態3による寸法計測装置の構成を表す図である。なお、図23は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図23に示す寸法計測装置は、計測処理部100cにおいて、不要領域を指定する信号が入力イベント処理部140cから特徴抽出部130cに入力される点で、実施の形態2における寸法計測装置とは異なる。なお、図23に示す寸法計測装置において、図1または図15に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。
入力部300を介して、使用者から不要領域が指定されると、入力イベント処理部140cは、指定された不要領域の情報を特徴抽出部130cへと出力する。特徴抽出部130cは、入力された不要領域の情報も用いて、特徴部を抽出する。なお、不要領域は、寸法計測の端点が存在しない領域となる。図24は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130cの構成と関連するブロックとを表す図である。特徴抽出部130cにおいて、頂点抽出部131bのみが実施の形態2におけるものと異なる。
頂点抽出部131bには、不要領域の情報が入力イベント処理部140cから入力される。頂点抽出部131bは、入力された不要領域の情報を3Dモデルの座標に変換する。また、頂点抽出部131bは、3Dモデル作成部120から入力された3Dモデルに含まれる頂点を抽出する。次に、頂点抽出部131bは、抽出した頂点が不要領域内に存在するか否かを判定し、不要領域内に存在する頂点を除去し、不要領域外に存在する頂点のみを頂点データ記憶部133aに記憶する。
本実施の形態の寸法計測装置の他の動作は、実施の形態2におけるものと同様である。図25は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴部を表すグラフィックの一例を表す模式図である。図25の例では、特徴部は頂点のみが表示されており、特徴部を表すグラフィックは黒色の丸型のグラフィックとなっている。図25において、点線で囲まれた不要領域605の内部の特徴部に対してはグラフィックが表示されていない。
本実施の形態の寸法計測装置は、以上のように動作する。本実施の形態の寸法計測装置によれば、寸法計測装置の処理の負荷を軽減することができる。また、使用者の視認性を向上し、特徴部の選択の際の操作性も向上することが可能となる。また、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。なお、本実施の形態の寸法計測装置において、使用者はタッチパネルを用いて不要領域の位置を指定するほか、撮影した画像における特定の色を指定し、その色の領域を不要領域として設定することも可能である。さらに、本実施の形態の寸法計測装置の変形例としては、使用者は不要領域の位置を指定するのではなく、不要領域ではない領域を指定するように構成しても良い。この構成においては、使用者は、間接的に不要領域の位置を指定することになる。
実施の形態4.
図26は、本発明の実施の形態4による寸法計測装置の構成を表す図である。上記の実施の形態2による寸法計測装置は、選択された2つの特徴部を結ぶ垂線が存在しない場合には、2つの特徴部の間の最短距離を探索して寸法データとして出力するものであった。一方、図26に示す本実施の形態の寸法計測装置は、1個目の特徴部が選択された後に、2個目の特徴部の選択候補として、寸法の計測が可能な特徴部を抽出し、抽出された選択候補に対してのみグラフィック描画する。本実施の形態の寸法計測装置は、1個目の特徴部との間に垂線が存在する特徴部を選択候補として抽出する。一般に、使用者が寸法を計測する場合には、2つの特徴部を結ぶ垂線が存在する場合が多いと考えられる。したがって、寸法計測装置が選択候補を抽出することで、使用者の操作性を向上させる効果が得られる。
なお、図26は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図26に示す寸法計測装置において、図15に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。図26に示す寸法計測装置は、図15に示すものとは、計測処理部100dに候補抽出部170aを備える点で異なる。また、図26に示す寸法計測装置は、図15に示すものとは、特徴抽出部130d、入力イベント処理部140d、寸法計測部150cおよび表示制御部160cの構成又は動作が異なる。
図27は、本発明の実施の形態4による寸法計測装置の動作の流れを表す図である。なお、図27に示す動作の流れは、一例を示したものであり、一部の動作の順序が入れ替わる場合もあり、一部の動作が同時に並列して行われる場合もある。図27に示す動作の流れは、図2に示すものとは、ステップS165、S200及びS210が追加されている点で異なる。また、本実施の形態における寸法計測装置は、一部のステップにおける動作が、実施の形態2で述べたものと異なる。以下、図26および図27を用いて、本実施の形態の寸法計測装置の動作について、実施の形態2で述べたものとの差異を説明する。
まず、ステップS162、ステップS163、ステップS200およびステップS165における本実施の形態の寸法計測装置の動作について説明する。ステップS162では、入力イベント処理部140dは、1個目の特徴部が選択されたのか、2個目が選択されたのかの判断を行う。また、入力イベント処理部140dは、選択された特徴部の情報を候補抽出部170aに出力する。ステップS163では、寸法計測装置は、表示制御部160cが、1個目の特徴部が選択されたことを使用者に通知するように、表示画像を更新する。ステップS163の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS200へと移行する。ステップS200では、候補抽出部170aが、選択候補を抽出する。図28は、本実施の形態の寸法計測装置において、候補抽出部170aの動作を説明する図である。図28は、本実施の形態の寸法計測装置において、図27のステップS200の動作の詳細を示している。
まず、ステップS201では、候補抽出部170aは、使用者によって選択された1個目の特徴部が頂点であるか否かを判断する。1個目の特徴部が頂点である場合には、候補抽出部170aの動作は、ステップS202へと移行する。一方、1個目の特徴部が頂点ではない場合には、候補抽出部170aの動作は、ステップS204へと移行する。ステップS202では、候補抽出部170aは、特徴抽出部130dで抽出された全ての頂点を選択候補として抽出し、特徴抽出部130dに記憶される全ての頂点の候補フラグを1にする。
ここで、本実施の形態の寸法計測装置における特徴抽出部130dについて説明する。図29は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130dの構成と関連するブロックとを表す図である。特徴抽出部130dは、頂点抽出部131aと、信頼度算出部132と、平面及び線分選択部134と、特徴データ記憶部135bとを備える。また、特徴データ記憶部135bは、頂点データ記憶部133bと平面及び線分データ記憶部136bとを備える。特徴データ記憶部135b、頂点データ記憶部133bおよび平面及び線分データ記憶部136b以外の構成は、実施の形態2におけるものと同様である。
頂点データ記憶部133b及び平面及び線分データ記憶部136bは、特徴部として抽出された頂点、平面または線分の識別番号に関連付けて、各特徴部の候補フラグを記憶している点で、実施の形態2におけるものとは異なる。また、頂点データ記憶部133b及び平面及び線分データ記憶部136bは、候補抽出部170aからもアクセス可能となっている点で、実施の形態2におけるものとは異なる。頂点データ記憶部133b及び平面及び線分データ記憶部136bに記憶される候補フラグは、寸法測定装置の動作開始時には全て1となっている。候補フラグは、対応する特徴部が選択候補であるか否かを表している。候補フラグが1の場合には、対応する特徴部は選択候補であり、候補フラグが0の場合には、対応する特徴部は選択候補ではない。候補フラグを1にする動作は、選択候補を抽出する動作に相当する。
再び図28を用いて、候補抽出部170aの動作を説明する。ステップS202では、候補抽出部170aは、頂点データ記憶部133bに記憶される全ての頂点の候補フラグを1にする。ステップS202における動作が完了すると、候補抽出部170aの動作は、ステップS203へと移行する。ステップS203では、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bに記憶される全ての平面および線分のそれぞれについて、1個目の特徴部として選択された頂点を通り、その平面または線分に対して垂線となる直線が存在するか否かを判定する。垂線が存在する場合には、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bにアクセスし、その平面または線分に対応する候補フラグを1にする。一方、垂線が存在しない場合には、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bにアクセスし、その平面または線分に対応する候補フラグを0にする。
ステップS204では、1個目に選択された特徴部は、平面または線分となる。ステップS204では、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bに記憶される全ての平面および線分のそれぞれについて、その平面または線分と、1個目の特徴部として選択された平面または線分との両方に対して垂線となる直線が存在するか否かを判定する。垂線が存在する場合には、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bにアクセスし、その平面または線分に対応する候補フラグを1にする。一方、垂線が存在しない場合には、候補抽出部170aは、平面及び線分データ記憶部136bにアクセスし、その平面または線分に対応する候補フラグを0にする。以上が、ステップS200における候補抽出部170aの動作である。ステップS200の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS165へと移行する。
ステップS165では、表示制御部160cは、それぞれの特徴部の3Dモデルにおける座標と、信頼度と、候補フラグとを特徴抽出部130dから取得し、信頼度が所定の閾値以上であり、候補フラグが1である特徴部については、特徴部を表すグラフィックをRGB画像または3Dモデル上に描画させる。ステップS165の動作が完了すると、寸法測定装置の動作はステップS150へと戻る。使用者は、描画されたグラフィックを参照して、2個目の特徴部を選択することになる。
次に、図27に示すステップS170における本実施の形態の寸法計測装置の動作について説明する。ステップS170では、寸法計測部150cが、選択された2個の特徴部の座標の情報を入力イベント処理部140dから取得し、寸法の計測を行う。図30は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計測部150cの構成と関連するブロックとを表す図である。図30に示す寸法計測部150cの構成は、図19に示す実施の形態2の寸法計測部150bの構成と基本的には同じである。ただし、寸法計算部151cの動作が、実施の形態2における寸法計算部151bと異なる。
図31は、本実施の形態の寸法計測装置において、寸法計算部151cの動作を説明する図である。図31は、本実施の形態の寸法計測装置において、図27のステップS170の動作の詳細を示している。本実施の形態の寸法計測装置においては、候補抽出部170aが、1個目の特徴部との間に垂線が存在する特徴部を選択候補として抽出する。したがって、寸法計算部151cの動作は、実施の形態2における寸法計算部151bの動作に比べて、一部の処理が省略されたものとなる。なお、図31に示す各ステップの動作は、実施の形態2で述べたものと同様である。
以下では、図31に示す寸法計算部151cの動作を簡単に説明する。まず、ステップS171において、寸法計算部151cは、選択された特徴部に頂点が含まれているか否かを判断する。特徴部に頂点が含まれている場合には、寸法計算部151cの動作は、ステップS172へと移行する。一方、特徴部に頂点が含まれていない場合には、寸法計算部151cの動作は、ステップS178へと移行する。ステップS172では、寸法計算部151cは、選択された2個の特徴部が両方とも頂点であるか否かを判断する。特徴部が両方とも頂点である場合には、寸法計算部151cの動作は、ステップS173へと移行する。一方、特徴部の片方が頂点ではない場合には、寸法計算部151cの動作は、ステップS175へと移行する。
ステップS173では、寸法計算部151cは、選択された2個の頂点のユークリッド距離を算出し、寸法データとして出力する。ステップS175では、寸法計算部151bは、一方の特徴部として選択された頂点を通り、他方の特徴部として選択された線分または平面に対して垂線となる直線において、頂点から平面または線分までの長さを算出し、選択された特徴部の間の寸法として出力する。ステップS178では、寸法計算部151cは、選択された2個の特徴部を結ぶ垂線において、特徴部間の長さを算出し、寸法データとして出力する。図27のステップS170において、寸法計測部150cは、以上のように動作する。
次に、図27に示すステップS210における本実施の形態の寸法計測装置の動作について説明する。ステップS210では、図示していない動作制御部が、頂点データ記憶部133bに記憶される候補フラグと、平面及び線分データ記憶部136bに記憶される候補フラグとを全てリセットする。言い換えると、ステップS210では、図示していない動作制御部が、頂点データ記憶部133bに記憶される候補フラグと、平面及び線分データ記憶部136bに記憶される候補フラグとを全て1にする。候補フラグがすべてリセットされることによって、次に1個目の特徴部を選択する場合には、使用者は、信頼度が所定値以上の全ての特徴部を選択することが可能となる。
本実施の形態の寸法計測装置において、以上で述べた以外の動作は、実施の形態2で述べたものと同様である。本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者の操作性を向上させることができる。また、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。
実施の形態5.
図32は、本発明の実施の形態5による寸法計測装置の構成を表す図である。上記の実施の形態3による寸法計測装置は、特徴部の抽出が不要な領域を使用者が手動で指定するものであった。一方、図32に示す本実施の形態の寸法計測装置は、使用者が注目している対象物を推定し、その対象物の近傍に設定した領域内の特徴部のみを抽出する。以下では、使用者が注目している対象物の近傍に設定した領域を注目領域と呼ぶ。すなわち、本実施の形態の寸法計測装置は、計測作業における使用者の行動に基づいて、自動的に特徴部を抽出する。
なお、図32は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図32に示す寸法計測装置において、図23に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。図32に示す寸法計測装置は、図23に示すものとは、計測処理部100eに領域設定部180を備える点で異なる。また、図32に示す寸法計測装置は、入力イベント処理部140cではなく、入力イベント処理部140bを備える点で、図23に示すものとは異なる。入力イベント処理部140bは、図15に示すものと同一のものである。さらに、図32に示す寸法計測装置は、図23に示すものとは、特徴抽出部130e、表示制御部160dの構成または動作が異なる。
3Dモデル作成部120は、3D画像取得部110によって順次取得される3D画像の位置合わせのために、3D画像を撮影した際の3D画像撮影部200の位置および姿勢を推定し、位置姿勢情報を生成する。位置姿勢情報は、3D画像を撮影した際の3D画像撮影部200の位置である自己位置の推定結果と、3D画像を撮影した際の3D画像撮影部200の姿勢である自己姿勢の推定結果とを含む。この位置姿勢情報は、3Dモデル作成部120が作成する3Dモデルの座標における、3D画像撮影部200の位置および姿勢の情報である。領域設定部180は、3Dモデル作成部120から位置姿勢情報を受け取り、3Dモデルに対して注目領域を設定する。
本実施の形態における領域設定部180の動作について、さらに詳しく述べる。図33は、本実施の形態の寸法計測装置において、領域設定部180の動作を説明するための模式図である。図33において、3Dモデル作成部120が推定した自己位置606を白色の丸型のグラフィックで記載している。ここで、3D画像取得部110は、矩形の距離画像とRGB画像を取得すると想定する。3D画像撮影部200の計測可能な距離には一般に制限がある。したがって、3D画像撮影部200が撮影可能な範囲は、図33の点線で示すように仮想的な四角錐607で表現される。この四角錐607の形状は、3D画像撮影部200の仕様に基づいてあらかじめ定義される。そして、前記の位置姿勢情報の生成によって、この四角錐607の位置と姿勢も決定される。このようにして、領域設定部180は3Dモデル内に四角錐607を配置することによって、注目領域を設定し、頂点抽出部131cへ出力する。すなわち、この四角錐607の内部が注目領域となる。
なお、領域設定部180は、位置姿勢情報の変化を検出するようにし、位置姿勢情報が実質的に一定のまま継続する場合には、使用者が注目している対象物が、図33に点線で示す四角錐607の中心付近に位置していると推定することができる。この場合、四角錐607を初期の注目領域とし、位置姿勢情報が一定である時間が長くなるに従って、四角錐607の底面を中心に向かって徐々に小さくした四角錐を注目領域としてもよい。また、3D画像撮影部200の撮影視野が四角錐で表現されない場合には、その形状に応じて撮影可能な範囲を設定すればよい。領域設定部180は、注目領域の情報を特徴抽出部130eへと出力する。特徴抽出部130eは、入力された注目領域の情報も用いて、特徴部を抽出する。
図34は、本実施の形態の寸法計測装置において、特徴抽出部130eの構成と関連するブロックとを表す図である。特徴抽出部130eにおいて、頂点抽出部131cのみが実施の形態3におけるものと異なる。頂点抽出部131cには、領域設定部180から注目領域の情報が入力される。頂点抽出部131cは、入力された注目領域の内側に位置する特徴点のみを抽出する。図33は、特徴点として頂点を抽出する場合を示しており、注目領域の内側に位置する特徴点を黒色の丸型のグラフィックで図示している。
本実施の形態の寸法計測装置において、以上で述べた以外の動作は、実施の形態3で述べたものと同様である。本実施の形態の寸法計測装置によれば、使用者が注目している対象物を推定し、その近傍のみから特徴部を抽出するため、直感的な操作が可能となる。また、計測したい対象物へ長時間3D画像撮影部を向ける操作を誘引できるため、その対象物の点群密度が上がり、特徴部の信頼度を向上させることができる。なお、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。
実施の形態6.
図35は、本発明の実施の形態6による寸法計測装置の構成を表す図である。上記の実施の形態4による寸法計測装置は、1個目の特徴部が選択された後に、2個目の特徴部の選択候補として、寸法の計測が可能な特徴部のみを抽出するものであった。これに対して、本実施の形態の寸法計測装置は、1個目の特徴部が選択された後に、3D画像撮影部200の位置および姿勢を表す位置姿勢情報の変化に基づいて、2個目の特徴部の選択候補を自動的に抽出する。
なお、図35は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図35に示す寸法計測装置において、図26に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。図35に示す寸法計測装置は、図26に示すものとは、計測処理部100fに備える候補抽出部170bの構成又は動作が異なる。
使用者によって1個目の特徴部が選択された後、候補抽出部170bは、3Dモデル作成部120から出力される位置姿勢情報を受け取り、3D画像取得部110の位置または姿勢の変化を検出する。そして、この変化の方向に基づいて、2個目の特徴部の候補を抽出する。図36Aおよび図36Bは、本実施の形態による候補抽出部170bの動作を説明するための模式図である。図36Aは、机601の天板の寸法を計測する場合において、特徴部の指定を説明するための模式図である。また、図36Bは机601と壁612との間の距離を計測する場合において、特徴部の指定を説明するための模式図である。
まず、図36Aを用いて、使用者が1個目の特徴部として頂点を選択してから、寸法計測装置が2個目の特徴部の候補を抽出するまでの流れを説明する。初めに、机601の複数の頂点のうち所定の1つの頂点602cが3D画像撮影部200の視野に入るよう、使用者が3D画像撮影部200を机601に向ける。この時の3D画像撮影部200の視野である第1の視野608aを図36Aに破線の四角形で示している。そして、使用者が、頂点602cを1個目の特徴部として指定する。その後、使用者が、3D画像撮影部200の視野を図36Aの矢印で示す方向に動かす。図36Aでは、3D画像撮影部200の視野が、第1の視野608aから実線の四角形で示す第2の視野608bへと変化する様子を表している。
この動作により、3Dモデル作成部120から出力される位置姿勢情報も変化する。候補抽出部170bは、この位置姿勢情報を3Dモデル作成部120から受け取り、その変化に基づいて、1個目の特徴部を基準位置として、3D画像撮影部200の視野が変化した方向に沿う位置に存在する特徴部のみを抽出する。なお、3D画像撮影部200の視野が変化した方向に沿う位置とは、3D画像撮影部200の視野が移動した方向を基準として、所定の範囲内の方向にある位置を指す。図36Aでは、視野が変化した方向に存在する特徴部の候補として、机601の天板の2つの頂点602dおよび602eが抽出されており、一方、机601の奥に置かれている箱611の頂点は、3D画像撮影部200の視野には含まれるが、特徴部としては抽出されていない様子を示している。
別の例として、図36Bを用いて、物体間の距離を計測するために、寸法計測装置が特徴部を抽出する処理を説明する。前の例と同様に、初めに、机601の複数の頂点のうち所定の1つの頂点602cが3D画像撮影部200の視野に入るよう、使用者が3D画像撮影部200を机601に向ける。この時の3D画像撮影部200の視野である第1の視野608aを図36Bに破線の四角形で示している。そして、使用者が頂点602cを1個目の特徴部として指定する。その後、使用者が、3D画像撮影部200の視野を図36Bの矢印で示す方向に動かす。図36Bでは、3D画像撮影部200の視野が、第1の視野608aから実線の四角形で示す第2の視野608bへと変化する様子を表している。
候補抽出部170bは、位置姿勢情報を3Dモデル作成部120から受け取り、その変化に基づいて、1個目の特徴部を基準位置として、変化した方向に沿う位置に存在する特徴部のみを抽出する。図36Bでは、視野が変化した方向に存在する特徴部の候補として、斜線で示す平面の壁612が抽出されている様子を示している。このような流れにより、本実施の形態による候補抽出部170bは2個目の特徴部の候補を抽出する。
本実施の形態の寸法計測装置において、以上で述べた以外の動作は、実施の形態4で述べたものと同様である。本実施の形態による寸法計測装置は、1個目の特徴部が選択された後、3Dモデルを作成しながら2個目の特徴部の抽出を行うため、3D画像撮影部の視野に収まらない大きな物体や空間についても、寸法の計測が可能となる効果が得られる。また、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態4で述べたのと同様の効果も有する。
実施の形態7.
撮影される物体が人工物である場合、これらの大きさは、幅、奥行き、高さの3つの寸法で表現することが多い。これは、物体の形状によらず、直方体の物体とみなし、物体の大きさを直方体の大きさで近似することを意味する。この直方体の大きさは、幅、奥行き、高さに対応する互いに直交する3つの線分の長さによって表現される。つまり、物体の大きさを知りたい場合、これらの線分のうちの1つの長さを計測した後、残り2つの線分の長さも同時に計測することが一般的である。なお、ここでは物体の大きさについて説明したが、空間の広さについても同様に考えることができる。そこで、本発明の実施の形態による寸法計測装置は、使用者に指定された2個の特徴部を結ぶ線分の長さを算出した後に、これに関連する距離の算出までをまとめて、一連の動作として実行する。
図37は、本発明の実施の形態7による寸法計測装置の構成を表す図である。図37は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図37に示す寸法計測装置は、計測処理部100gにルールデータ記憶部190を備える点で、実施の形態2における寸法計測装置と異なる。また、図37に示す寸法計測装置は、実施の形態2におけるものとは、寸法計測部150dの構成または動作が異なる。なお、図37に示す寸法計測装置において、図15に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。
ルールデータ記憶部190は、予め関連寸法ルールを記憶している。関連寸法ルールは、計測済みの寸法に関連する寸法を定義するものである。言い換えると、関連寸法ルールは、使用者の操作によって所定の寸法が計測された場合に、使用者に指定された計測済みの寸法に加えて、寸法計測装置がどのような寸法を算出するかを定義するものである。ここで、計測済みの寸法とは、使用者に指定された2個の特徴部を結ぶ線分の長さを表す。以下では、関連寸法ルールに基づいて計算される距離を関連寸法と呼ぶ。
図38は、本実施の形態による寸法計測部150dおよびルールデータ記憶部190の動作を説明するための模式図である。図38を用いて、関連寸法について説明する。ルールデータ記憶部190には、第1のルールおよび第2のルールの2つの関連寸法ルールが記憶されているとする。第1のルールは、選択済みの2個の頂点を結ぶ線分に対して垂直な線分を抽出し、抽出した線分の長さを関連寸法とするものである。第2のルールは、選択済みの2個の頂点を結ぶ線分に対して平行であり、その線分から最短距離にある平面を抽出し、抽出した平面と選択済みの頂点のいずれかとの距離を関連寸法とするものである。なお、ここで示した関連寸法ルールは例であり、その他のルールを定義することも可能である。
寸法計測部150dは、ルールデータ記憶部190に格納されている関連寸法ルールに基づき、関連特徴部を抽出する。関連特徴部とは、使用者によって指定された2個の特徴部に関連する特徴部である。寸法計測部150dは、関連特徴部の間の距離を関連寸法として求める。ここで、図38に示す机601の2個の頂点602fおよび602gが特徴部として指定され、2個の頂点602fおよび602gを結ぶ線分609aの長さが算出済みであるとする。すると、第1のルールに対応して、図38に点線で示す3本の線分609b、609c、609dの端点となる頂点が、関連特徴部として抽出される。3本の線分609b、609c、609dのそれぞれにおいて、一方の端点は特徴部として選択済みの頂点602fまたは602gである。他方の端点の位置は、特徴抽出部130bを参照することにより得られる。したがって、寸法計測部150dは、3本の線分609b、609c、609dの長さを関連寸法として求めることができる。
一方、第2のルールに対応して、図38に斜線で示す平面の壁612と、選択済みの2個の頂点602f、602gのいずれかが、関連特徴部として抽出される。壁612の平面データは特徴抽出部130bを参照することにより得られるので、寸法計測部150dは、壁612と2個の頂点602f、602gのいずれかとの距離を関連寸法として求めることができる。なお、平面の壁612は、線分609aに対して平行であるので、壁612と頂点602fとの距離と、壁612と頂点602gとの距離とは同じであり、いずれも壁612と線分609aとの距離となる。例えば、壁612と頂点602gとの距離は、壁612に対して垂線であり、頂点602gを通る線分609eの長さとなる。線分609eは、図38に破線で図示されている。以上をまとめると、図38で示した例では、寸法計測部150dは、頂点602fと602gとの間の距離を算出した後、関連寸法として3本の線分609b、609c、609dの長さと、線分609eの長さとを算出する。
図39は、本発明の実施の形態7による寸法計測装置の動作の流れを表す図である。なお、図39に示す動作の流れは、一例を示したものであり、一部の動作の順序が入れ替わる場合もあり、一部の動作が同時に並列して行われる場合もある。図39に示す動作の流れは、図2に示すものとは、ステップS300、S310、S320およびS181が追加されている点で異なる。以下、図37および図39を用いて、本実施の形態の寸法計測装置の動作について、実施の形態2で述べたものとの差異を説明する。
ステップS300では、寸法計測部150dが、特徴抽出部130bに記憶されている特徴部のデータと、ルールデータ記憶部190に記憶されているルールデータとを参照する。ステップS310では、寸法計測部150dが、前のステップS300にて参照したルールデータに基づき、ステップS170にて計測された寸法に合致する関連寸法ルールの有無を判定する。関連寸法ルールが存在する場合は、寸法計測装置の動作はステップS320に進む。一方、関連寸法ルールが存在しない場合は、寸法計測装置は関連寸法が存在しない旨を使用者に通知し、寸法計測装置の動作はステップS190に進む。ステップS320では、寸法計測部150dは、前のステップS310にて合致した関連寸法ルールに従い、関連寸法を計測する。ステップS181では、表示制御部160bが、ステップS170での寸法計測結果、およびステップS320での関連寸法測定結果を使用者に通知するとともに、計測を終了するか否かの選択を促すように、表示画像を更新する。
本実施の形態の寸法計測装置において、上述した以外の動作は、実施の形態1におけるものと同様である。本実施の形態の寸法計測装置によれば、一度計測した寸法に関連する寸法を自動的に計測・表示することで、寸法計測の作業時間が短くなるという効果が得られる。実際の用途として、例えば、あらかじめ3Dモデル化した物品の搬入経路を検討する際に、通過可能な経路を探すことが可能になる。また、本実施の形態の寸法計測装置は、実施の形態1で述べたのと同様の効果も有する。
実施の形態8.
上記の実施の形態4による寸法計測装置は、1個目の特徴部が選択された後に、2個目の特徴部の選択候補として、寸法の計測が可能な特徴部のみを抽出するものであった。また、上記の実施の形態7による寸法計測装置は、計測済みの寸法に関連して、どのような寸法を算出するかのルールをあらかじめ定義しておき、1箇所の寸法を計測した後に、ルールに従って、関連する寸法の算出までを一連の処理として実行するものであった。これらに対して、本実施の形態の寸法計測装置は、使用者に選択された特徴部に対して他の特徴部を関連付けるルールをあらかじめ定めておき、1個目の特徴部が選択された後に、選択された特徴点に対してルールに合致する特徴部のみを抽出し、2個目の特徴部の候補として使用者に提示する。
図40は、本発明の実施の形態8による寸法計測装置の構成を表す図である。なお、図40は、機能ブロックによって本実施の形態の寸法計測装置の構成を表している。図40に示す寸法計測装置において、図26に示すものと同様のものには、同一の番号を付しており、詳細な説明を省略する。図40に示す寸法計測装置は、図26に示すものとは、計測処理部100hにルールデータ記憶部190bを備える点で異なる。また、図40に示す寸法計測装置は、図26に示すものとは、候補抽出部170cの構成又は動作が異なる。
ルールデータ記憶部190bは、関連特徴部ルールを予め記憶している。関連特徴部ルールは、実施の形態7におけるルールデータ記憶部190に記憶される関連寸法ルールとは異なるものである。関連特徴部ルールは、使用者によって1個目の特徴部が選択された場合に、1個目の特徴部に対応した2個目の特徴部の候補として、どの特徴部を抽出するかを定義したものである。候補抽出部170cは、関連特徴部ルールを参照して2個目の特徴部の選択候補を抽出する。
本実施の形態の寸法計測装置の動作の流れは、実施の形態4で示した図27と基本的には同様である。ただし、本実施の形態の寸法計測装置は、ステップS200において、関連特徴部ルールを参照して2個目の特徴部の選択候補を抽出する。本実施の形態の寸法計測装置が、2個目の特徴部の候補を抽出する例を説明する。図41は、本実施の形態による候補抽出部170cおよびルールデータ記憶部190bの動作を説明するための模式図である。ここで、1個目に選択された特徴部が頂点である場合に、選択された頂点と同一平面上に存在する頂点を抽出することが、関連特徴部ルールとして記憶されている場合を考える。図41において、机601の天板の頂点のうちの1つの頂点602hが、1個目の特徴部として選択されているとする。この場合には、候補抽出部170cは、関連特徴部ルールを参照して、同一平面上に存在する3個の頂点602i、602j、602kを2個目の特徴部の選択候補として抽出する。
本実施の形態の寸法計測装置において、上述した以外の動作は、実施の形態4におけるものと同様である。本実施の形態の寸法計測装置によれば、あらかじめ定義したルールに従って2個目の特徴部の選択候補を抽出するため、使用者の計測の目的に応じて特徴部の選択肢の絞り込みが可能となり、操作性を向上することが可能となる。