JP6380255B2 - 銀被覆銅系微粒子とその製造方法、および、銀被覆銅系微粒子分散液とその製造方法 - Google Patents

銀被覆銅系微粒子とその製造方法、および、銀被覆銅系微粒子分散液とその製造方法 Download PDF

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本発明は、銀被覆銅系微粒子とその製造方法、並びに、銀被覆銅系微粒子分散液とその製造方法に関する。
電子材料用の導電性ペーストのような配線形成材料は、プリント配線、半導体の内部配線、プリント配線板と電子部品とを接続する配線などに利用されている。これらの配線形成材料に導電性を付与する材料として金属微粒子が用いられる。このうち、粒径が100nm以下の金属微粒子は、通常のサブミクロン以上の粒子と異なり、配線形成材料の焼成温度を大幅に低温化させることができるため、低温焼成ペーストなどへの応用が検討されている。また、インクジェットプリンタなどを用いて、金属微粒子を含むインクにより配線パターンを印刷し、低温焼成により配線を形成する技術が注目を集めており、その研究開発が進められている。
このような低温焼成ペーストや配線用インクに用いる金属微粒子として、低温焼結性を備え、かつ、低抵抗で耐酸化性の高い銀微粒子が用いられている。たとえば、特開2007−19055号公報には、粒子表面が有機保護剤で覆われた平均粒径50nm以下の銀微粒子分散液が配線形成材料として提案されている。しかしながら、銀は、エレクトロマイグレーションが発生しやすく、本来的に電子回路の形成用途に適さない材料である。また、高価な銀微粒子の使用により、配線形成材料の製造コストが増大してしまうという問題もある。
このような事情から、金属微粒子として、導電性に優れ、かつ、エレクトロマイグレーションが発生しにくい、銅微粒子を用いることが望まれている。しかしながら、銅微粒子は焼結性が低いため、高温で焼成しなければ、低抵抗の配線を形成することが難しいという問題がある。また、銀微粒子と比べて、耐酸化性が低いという問題もある。
これに対して、特開2004−52044号公報、特開2005−330535号公報、および特開2006−161081号公報では、銅微粒子を銀または銀化合物で被覆した銀被覆銅微粒子または銀化合物被覆銅微粒子が提案されている。このような被覆技術により、耐マグレーション性やコスト面における銅微粒子の優位性を活かしつつ、その焼結性や耐酸化性を改善することができると考えられる。
しかしながら、これらの技術は、平均粒径が100nm以下の銀被覆銅微粒子または銀化合物被覆銅微粒子を対象としたものではなく、その実証は、平均粒径が数μm程度の微粒子にとどまっている。その原因としては、(1)平均粒径が100nm以下の銅微粒子は、非常に凝集しやすく、製造段階において、銅微粒子が均一に分散した分散液を用意することが困難である、(2)このような分散液を用意できても、銀や銀化合物を被覆させる際に銅微粒子が凝集してしまう可能性が高い、(3)平均粒径が100nm以下の銀被覆銅微粒子または銀化合物被覆銅微粒子が得られたとしても、インクジェットプリンタなどのインクとして用いた場合に、凝集によってノズルが閉塞してしまうおそれがある、(4)微細化に伴う表面積の増加により、銅微粒子の被覆に必要な銀量が飛躍的に増大し、低コスト化が困難である、および、(5)平均粒径が100nm以下になると、銀被覆銅微粒子または銀化合物被覆銅微粒子の焼結活性が低くなり、低温焼成用途に適さなくなる、といったことが挙げられている。
これに対して、特開2010−77495号公報では、少なくとも表面の一部が銀により被覆されている銅微粒子であって、平均粒径(d)が10nm〜100nmであり、該平均粒径(d)に対する標準偏差(σ)比によって定義される相対標準偏差(σ/d)が60%以下であり、かつ、銅に対する銀の割合が0.3質量%〜15質量%である銀被覆銅微粒子、およびその分散液が提案されている。この銀被覆銅微粒子は、低温焼結性に優れ、焼成後において得られる導電膜における体積抵抗率の悪化が抑制されるという特性を有する。また、この技術では、銀被覆銅微粒子の表面に、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミンから選ばれた少なくとも1種の水溶性高分子を吸着させることにより、銀被覆銅微粒子がその分散液において凝集してしまうことを防止している。
しかしながら、この銀被覆銅微粒子は、これを用いて得られる導電膜において所定の体積抵抗率を得るために、窒素雰囲気下で焼成することが必要とされる。したがって、この銀被覆銅微粒子分散液を配線形成材料に用いた場合、焼成時に窒素ガスを供給し続けることが要求されるため、配線形成の低コスト化の面で問題がある。
特開2007−19055号公報 特開2004−52044号公報 特開2005−330535号公報 特開2006−161081号公報 特開2010−77495号公報
本発明は、上述した問題に鑑みて、大気雰囲気下での低温焼成が可能であって、かつ、その焼成後に得られる導電膜(配線)において低い体積抵抗率が得られ、配線形成材料として好適な銀被覆銅系微粒子およびその分散液を提供することを目的とする。また、本発明は、このような銀被覆銅系微粒子およびその分散液を大量に生産することを可能とする製造方法を提供することを目的とする。
本発明の銀被覆銅系微粒子は、銅系微粒子、すなわち、少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子と、該銅系微粒子の少なくとも一部を被覆する銀被膜とを備え、平均粒径が10nm〜100nmであり、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下であり、かつ、銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%であることを特徴とする。
前記銅系微粒子全体または前記銅系微粒子の前記表面層が、CuOからなることが好ましい。
前記銀被覆銅系微粒子は、その粒子表面に、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、およびポリアリルアミンの群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子が吸着していることが好ましい。この場合、前記水溶性高分子の吸着量は、炭素換算で1.0質量%以下であることが好ましい。
前記銀被覆銅系微粒子は、ハロゲン元素を、銅に対するハロゲン元素の割合が1質量ppm〜50質量ppmとなるように、さらに含むことが好ましい。
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、前記銀被覆銅系微粒子と溶媒とからなり、該溶媒が、水、アルコール、およびエステルの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、グリコールを含むことを特徴とする。
前記溶媒の主成分が、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記溶媒は、ヒドロキシカルボン酸をさらに含むことが好ましく、該ヒドロキシカルボン酸はクエン酸であることがより好ましい。
このような本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、当該分散液を、基板に塗布し、大気雰囲気において200℃で1時間焼成して導電膜を得た場合に、該導電膜の体積抵抗率が40μΩ・cm以下となるという特性を備える。
本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法は、少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子からなり、平均粒径が10nm〜100nmであり、かつ、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下である銅系微粒子を含む銅系微粒子分散液に、該銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させることを特徴とする。
前記銅系微粒子分散液の溶媒として、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種を含む溶液を用いることが好ましい。
前記銅系微粒子分散液は、分散剤として、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、およびポリアリルアミンの群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子を含むことが好ましい。
前記銅系微粒子分散液は、ヒドロキシカルボン酸をさらに含むことが好ましく、該ヒドロキシカルボン酸はクエン酸であることがより好ましい。
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法は、前記銀被覆銅系微粒子の製造方法と同様に、少なくとも表面が酸化されている銅または銅合金微粒子からなり、平均粒径が10nm〜100nmであり、かつ、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下である銅系微粒子を含む銅系微粒子分散液に、該銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させることを特徴とする。
前記置換反応後の銀被覆銅系微粒子を含む分散液に、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種を含む溶媒を添加し、溶媒置換および濃縮することにより、該銀被覆銅系微粒子を含む分散液中の余剰イオンを洗浄除去する洗浄工程をさらに備えることが好ましい。この場合、前記溶媒は、ヒドロキシカルボン酸をさらに含むことが好ましい。
本発明によれば、大気雰囲気においても低温焼成が可能であって、かつ、得られる導電膜において低い体積抵抗率が得られ、配線材料として好適な銀被覆銅系微粒子が提供される。また、本発明によれば、このような優れた特性を備えた銅被覆銅系微粒子が凝集することなく均一に分散した銀被覆銅系微粒子分散液を提供することができる。さらに、本発明によれば、このような銀被覆銅系微粒子およびその分散液を簡便な製造方法により大量生産することが可能である。このため、本発明の工業的意義はきわめて大きい。
図1は、本発明の銀被覆銅系微粒子の一例のSEM像(30,000倍)である。
本発明者らは、特開2010−77495号公報に記載の技術に基づき、大気雰囲気においても低温焼成が可能であって、かつ、低い体積抵抗率が得られる銀被覆銅微粒子およびその分散液について研究を重ねた。この結果、特開2010−77495号公報に記載の技術では、銅と銀の置換反応によって銅微粒子の表面に銀を析出させる際に、銀の析出に伴って銅の溶出量が増加することに起因して、銅微粒子の表面状態が変化したり、水溶性高分子などの有機成分の脱離が生じたりするため、銅微粒子の凝集や酸化が起こりやすくなるとの知見を得た。
本発明者らは、この点についてさらに研究を重ねた結果、特開2010−77495号公報に記載の技術において、銀被覆銅微粒子の本体部を構成する銅微粒子に代替して、少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子、ないしは、酸化銅微粒子を用いることにより、これらの問題を同時に解決できるとの知見を得た。また、このような微粒子を用いた分散液を大気雰囲気において低温焼成して、導電膜を形成した場合に、該導電膜の体積抵抗率を低減させることができるとの知見を得た。
本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。以下、本発明について、「1.銀被覆銅系微粒子」、「2.銀被覆銅系微粒子分散液」、「3.銀被覆銅系微粒子の製造方法」、および「4.銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法」に分けて説明する。ただし、特開2010−77495号公報に記載の内容は、その引用によりこの明細書に含まれるものとし、その記載と同様の内容についての説明は、省略ないしは簡略化される。
1.銀被覆銅系微粒子
本発明の銀被覆銅系微粒子は、少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子からなる銅系微粒子と、該銅系微粒子の少なくとも一部を被覆する銀被膜とから構成される。また、この銀被覆銅系微粒子において、銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%であり、平均粒径(d)が10nm〜100nmであり、かつ、平均粒径(d)に対する粒径の標準偏差(σ)の比によって定義される相対標準偏差(σ/d)が60%以下であることがその特徴となる。
(1)粒子構造および組成
a)銅系微粒子
本発明の銀被覆銅系微粒子の本体部は、銅系微粒子、すなわち、少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子によって構成される。より具体的には、銅系微粒子には、その全体が酸化銅からなる微粒子のほか、少なくとも表面層が酸化銅によって構成される銅微粒子、および、少なくとも表面層が酸化された銅合金微粒子が含まれる。このように少なくとも表面層が酸化された構造の銅系微粒子を本体部として用いることにより、銀被覆銅系微粒子を含む分散液を、大気雰囲気を含む酸化性雰囲気において焼成した場合であっても、銅系微粒子のさらなる酸化や銅系微粒子からの銅の溶出を防止することができる。
ただし、銅系微粒子として、表面層のみが酸化されている銅微粒子または銅合金微粒子を用いる場合には、この表面層の厚さを、その核となる銅微粒子または銅合金微粒子の平均粒径の10%以上とすることが好ましく、15%以上とすることがより好ましい。酸化した表面層の厚さが、核となる銅微粒子または銅合金微粒子の平均粒径の10%未満では、上述した効果を十分に得ることができない場合がある。なお、酸化した表面層の厚さは、X線光電子(XPS)分光分析法による深さ方向の分析によって求めることができる。
本発明の銀被覆銅系微粒子において、本体部を構成する銅系微粒子の全体またはその表面層が酸化銅によって構成される場合、この酸化銅は、酸化第一銅(Cu2O)と酸化第二銅(CuO)のいずれでもよく、これらが共存した状態でもよい。しかしながら、銅系微粒子のさらなる酸化を防止するためには、この酸化銅がCuOのみから構成されることが好ましい。
また、本発明の銀被覆銅系微粒子の本体部を構成する銅系微粒子には、その全体が酸化銅により構成される酸化銅微粒子、あるいは、その表面層のみが酸化銅により構成される銅微粒子のほか、その全体もしくはその表面層のみが酸化された銅合金微粒子も含まれる。このような銅合金としては、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)などを含む銅合金を挙げることができる。また、この場合、銅合金全体が酸化物となった状態あるいは酸化銅中に銅合金を構成する他の金属原子が固溶した状態となるが、いずれにしても表面層には酸化銅が存在する状態となる。
b)銀被膜
銀被膜は、銅系微粒子の表面に存在する酸化銅の一部が銀と置換することによって形成され、銀(Ag)の形態で存在する。この銀被膜は、銅系微粒子の表面全体を被覆している必要はなく、銅系微粒子の表面の少なくとも一部を被覆していればよい。
銀被膜を構成する銀の量は、銀被覆銅系微粒子中の銅に対する銀の割合で、10質量%〜50質量%、好ましくは20質量%〜50質量%である。銀の量をこのような範囲とすることにより、銀被覆銅系微粒子の低温焼成が可能となるばかりでなく、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を用いて導電膜を形成した場合に、その体積抵抗率を大幅に低減させることが可能となる。これに対して、銀被覆銅系微粒子中の銅に対する銀の割合が10質量%未満では、銀被膜が十分に形成されず、体積抵抗率の改善効果を十分に得ることができない。一方、銀被覆銅系微粒子中の銅に対する銀の割合が50質量%を超えても、それ以上の効果が得られないばかりか、銀の使用量が増加し、製造コストの増大を招く。
なお、銀被覆銅系微粒子中の銅に対する銀の割合は、ICP発光分析法により求めることができる。
c)水溶性高分子
本発明においては、銀被覆銅系微粒子の表面に、水溶性高分子が吸着していることが好ましい。このような構成を採ることにより、水溶性高分子の立体障害に起因して、分散液中における銀被覆銅系微粒子の凝集が抑制される。すなわち、水溶性高分子は、分散剤として機能し、分散液中における銀被覆銅系微粒子の分散安定性の向上に寄与する。
このような水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリアリルアミン(PAA)の群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
ただし、これらの水溶性高分子の吸着量が多いと、低温焼結性が阻害されるばかりでなく、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を用いて導電膜を形成した場合に、その体積抵抗率が増大することとなる。このため、銀被覆銅系微粒子に対する水溶性高分子の吸着量は、炭素換算で、1.0質量%以下とすることが好ましく、0.5質量%以下とすることがより好ましい。
なお、水溶性高分子の吸着量をこのような範囲に制御するためには、銀被覆銅系微粒子の表面に水溶性高分子を吸着させた後、その一部をヒドロキシカルボン酸によって置換することが好ましい。これによって、得られる導電膜の体積抵抗率の増加を効果的に防止することができる。
このようなヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸などを用いることができる。これらの中でも、体積抵抗率を改善する効果に優れるクエン酸を用いることが好ましい。
水溶性高分子とヒドロキシカルボン酸の置換は、後述するように、水溶性高分子が吸着した銀被覆銅系微粒子を含む分散液中に、ヒドロキシカルボン酸を添加することにより行うことができる。この際、溶媒全体に対するヒドロキシカルボン酸の添加量を、好ましくは20質量%未満、より好ましくは1質量%〜10質量%とすることで、この水溶性高分子の吸着量を上述した範囲に調整することができる。
d)ハロゲン元素
本発明では、銀被覆銅系微粒子を含む分散液の基板に対する濡れ性の観点から、銀被覆銅系微粒子に所定量のハロゲン元素が含まれていることが好ましい。この場合、銀被覆銅系微粒子中のハロゲン元素の割合は、1質量ppm〜50質量ppmの範囲に、好ましくは1質量ppm〜30質量ppmの範囲に調整される。ハロゲン元素の含有量が1質量ppm未満では、銀被覆銅系微粒子のイオン性や親水性が著しく低下し、塗布時に基板になじまなくなるため、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を用いて導電膜を形成した場合に、その体積抵抗率が増大してしまうおそれがある。一方、ハロゲン元素の含有量が50質量ppmを超えると、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を用いて導電膜を形成した場合に、これと接触する電子部品を腐食させる可能性がある。また、低温焼結性が阻害され、体積抵抗率の低減効果が得られない可能性がある。
なお、銀被覆銅系微粒子中のハロゲン元素の含有量は、銀の含有量と同様に、ICP発光分析法により求めることができる。
(3)平均粒径
銀被覆銅系微粒子の平均粒径は、10nm〜100nmの範囲にあることが必要で、好ましくは10nm〜70nmの範囲、より好ましくは10nm〜50nmの範囲である。これにより、銀被覆銅系微粒子の焼結温度を低温化することができ、優れた低温焼結性が実現される。これに対して、その平均粒径が10nm未満である場合には、銀被覆銅系微粒子の表面積が増大するため、銀被覆による効果を十分に得ることができないばかりでなく、その耐酸化性が低下してしまう。一方、平均粒径が100nmを超えると、たとえばインクジェットプリンタを用いて銀被覆銅系微粒子を含む分散液を塗布する場合に、その吐出の際にインクジェットプリンタのノズルが閉塞してしまうおそれがある。また、上述の水溶性高分子を吸着させたとしても、凝集を抑制しにくくなり、分散液中での分散安定性が低下するおそれがある。
なお、平均粒径は、電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いた観察において、無作為に選択された200個以上の銀被覆銅系微粒子の粒径を測定し、その相加平均値を算出することにより求めることができる。
(4)相対標準偏差
相対標準偏差は、銀被覆銅系微粒子の粒径のばらつきの指標となるものであり、銀被覆銅系微粒子の平均粒径(d)に対する、銀被覆銅系微粒子の粒径の標準偏差(σ)の比(標準偏差σ/平均粒径d)によって定義される。本発明において、銀被覆銅系微粒子の粒径に関する相対標準偏差(σ/d)は、60%以下であることが必要であり、好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下である。相対標準偏差が60%を超えると、10nm未満または100nmを超える銀被覆銅系微粒子の割合が多くなるため、耐酸化性の低下やノズルの閉塞などの問題が生じる。
なお、銀被覆銅系微粒子の相対標準偏差(σ/d)は、平均粒径(d)と同様に、FE−SEMを用いた観察において、無作為に選択された200個以上の銅系微粒子の標準偏差(σ)を求め、得られた標準偏差(σ)を平均粒径(d)で除することにより求めることができる。
2.銀被覆銅系微粒子分散液
(1)溶媒
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、上述した銀被覆銅系微粒子と溶媒とから構成され、溶媒が、特定の極性溶媒を主成分とし、グリコールを含むことを特徴とする。ここで、特定の極性溶媒を主成分とするということは、溶媒中における特定の極性溶媒の含有量が30質量%以上、好ましくは50質量%以上であることを意味する。
この極性溶媒としては、水、アルコール、およびエステルの群から選択される少なくとも1種、好ましくは、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を用いる。これにより、非極性有機溶媒を主成分とするものを使用した場合と比べて、廃液や大気汚染による環境負荷を低減することができる。
また、グリコールは、銀被覆銅系微粒子の表面に吸着し、その酸化や凝集を抑制するために添加されるものである。このようなグリコールとしては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、およびトリエチレングリコール(TEG)の群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、上記成分のほかに、ヒドロキシカルボン酸をさらに含むことが好ましい。これは、分散液中のヒドロキシカルボン酸は、上述したグリコールと同様に、銀被覆銅系微粒子の表面に吸着し、その酸化や凝集を抑制することができ、かつ、その効果がグリコールよりも高いからである。また、銀被覆銅系微粒子として、水溶性高分子が吸着したものを使用した場合には、分散液中で、水溶性高分子の一部と置換し、水溶性高分子の吸着量を適切な範囲に調整することができるからである。
このようなヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸などを用いることができる。これらの中でも、体積抵抗率を改善する効果に優れるクエン酸を用いることが好ましい。
なお、ヒドロキシカルボン酸の添加量は、銀被覆銅系微粒子分散液を構成する溶媒全体の20質量%未満とすることが好ましく、1質量%〜10質量%とすることがより好ましい。ヒドロキシカルボン酸の添加量が20質量%を超えると、銀被覆銅系微粒子が溶解し、凝集や銅の溶出などが生じるおそれがある。
(2)特徴
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、大気雰囲気において低温焼成した場合であっても、良好な導電性を示す。具体的には、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液を基板上に塗布し、乾燥した後、大気雰囲気において、200℃で1時間焼成した導電膜を得た場合に、該導電膜の体積抵抗率ρvを40μΩ・cm以下、好ましくは35μΩ・cm以下とすることができる。ただし、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、焼成時の雰囲気が大気雰囲気に制限されることはなく、窒素ガスなどの不活性雰囲気下で低温焼成した場合であっても、同程度の体積抵抗率(ρv)を達成することも可能である。
なお、体積抵抗率(ρv)は、たとえば、SEMを用いて基板の断面を観察することにより測定した膜厚(t)と、抵抗率計により測定した表面抵抗率(ρs)とから求めることができる(ρv=ρs×t)。
3.銀被覆銅系微粒子の製造方法
本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法は、平均粒径(d)が10nm〜100nmであり、かつ、平均粒径(d)に対する標準偏差(σ)の比によって定義される、銀被覆銅系微粒子の粒径に関する相対標準偏差(σ/d)が60%以下である銅系微粒子を含む銅系微粒子分散液に、この銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させることを特徴とする。
(1)銅系微粒子分散液
本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法では、銅系微粒子分散液として、平均粒径(d)が10nm〜100nmであり、かつ、平均粒径(d)に対する標準偏差(σ)の比によって定義される相対標準偏差(σ/d)が60%以下である銅系微粒子が分散した銅系微粒子分散液を使用する。
このような銅系微粒子分散液としては、市販の酸化銅微粒子分散液、市販の銅微粒子分散液中の銅微粒子や銅合金微粒子の全体を酸化させることにより得られた酸化銅微粒子分散液もしくは銅合金酸化物微粒子、市販の銅微粒子分散液中の銅微粒子や銅合金微粒子の表面を酸化させることにより得られた、表面層が酸化銅によって構成される銅微粒子の分散液もしくは表面層が銅合金酸化物によって構成される銅合金微粒子の分散液を使用することができる。また、市販の酸化銅微粒子や、市販の銅微粒子または市販の銅合金微粒子の全体または表面を酸化させて得られた微粒子を溶媒中に分散させた分散液を使用することもできる。さらに、特開2010−77495号公報に記載されるようなポリオール法や、銅イオンを中和沈殿させる方法により作製した銅微粒子の表面または全体を酸化させ、これを溶媒中に分散させたものを使用することもできる。これらの中でも、ポリオール法を利用して作製した銅微粒子の少なくとも表面を酸化させることによって得られた銅系微粒子分散液は、銅系微粒子の分散安定性や耐酸化性に優れるばかりでなく、比較的低コストで大量生産が可能であるという利点がある。
a)銅微粒子または銅合金微粒子の酸化
上述した銅系微粒子分散液のうち、市販の酸化銅微粒子分散液や市販の酸化銅微粒子を溶媒中に分散させた分散液以外のものを使用する場合、銅微粒子または銅合金微粒子を酸化させることが必要となる。酸化手段は、特に制限されることなく、公知の手段を利用することができる。たとえば、ポリオール法により得られた銅微粒子を含む溶媒中に、空気や酸素を吹き込むことにより銅微粒子を酸化させることができる。また、得られた銅微粒子をろ過および乾燥した後、酸化性雰囲気において焼成することにより、銅微粒子を酸化させることもできる。これらの手段は、銅合金微粒子の酸化にも適用できる。いずれの場合も、銅微粒子または銅合金微粒子を完全に酸化させて、全体が酸化銅または銅合金酸化物により構成された微粒子とすることもできるが、銅微粒子または銅合金微粒子を完全に酸化させる必要はなく、少なくとも銅微粒子または銅合金微粒子の表面を酸化すれば十分である。これは、銅微粒子の表面層が酸化銅によって構成されていたり、銅合金微粒子の表面層が銅合金酸化物によって構成されたりさえしていれば、これらの微粒子のそれ以上の酸化は抑制され、かつ、これらの微粒子からの銅の溶出を防止することが可能となるからである。
b)銅系微粒子の洗浄
ポリオール法などにより銅微粒子または銅合金微粒子を得た後、銅微粒子または銅合金微粒子を含む溶媒中に酸素や空気を吹き込むことにより、銅微粒子または銅合金微粒子を酸化させて、銅系微粒子分散液を形成した場合、次工程において、この銅系微粒子分散液をそのまま銀イオン含有溶液と混合することができる。ただし、このような銅系微粒子分散液には、不純物や余剰の水溶性高分子が含まれていると考えられる。このため、この銅系微粒子分散液から銅系微粒子を含むスラリーを分離し、このスラリーを極性溶媒で希釈し、洗浄することが好ましい。このような処理により、得られた銅系微粒子分散液を用いて形成した導電膜において、体積抵抗率などに悪影響を及ぼす不純物や余剰の水溶性高分子を、銅系微粒子分散液から除去することができる。
洗浄方法としては、限外ろ過、デカンテーション、遠心ろ過などの公知の方法を利用することができるが、平均粒径が数十nm程度の銅系微粒子の沈降性やろ過性の低さなどを考慮すると、限外ろ過により洗浄することが好ましい。
極性溶媒としては、水、アルコール、エタノールなどを用いることができるが、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、これらの極性溶媒に、グリコール、好ましくはエチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、およびトリエチレングリコール(TEG)の群から選択される少なくとも1種のグリコールを添加することができる。
さらに、銅系微粒子における水溶性高分子の吸着量を適切な範囲に保つために、ヒドロキシカルボン酸を添加することも可能である。このようなヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸などを用いることができ、これらの中でも、クエン酸を用いることが好ましい。これらのヒドロキシカルボン酸の添加量は、希釈後の溶媒全体に対して、20質量%未満とすることが好ましく、1質量%〜10質量%とすることがより好ましい。
c)溶媒
銅系微粒子分散液の溶媒としては、上述した銀被覆銅系微粒子分散液と同様に、水、アルコール、およびエステルの群から選択される少なくとも1種、好ましくは、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、グリコール、好ましくは、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、およびトリエチレングリコール(TEG)の群から選択される少なくとも1種を含むものを用いることが好ましい。
また、後述するように、銅系微粒子分散液に水溶性高分子を添加する場合、銅系微粒子分散液にヒドロキシカルボン酸を添加することが好ましい。すなわち、銅系微粒子分散液を撹拌しつつ、ヒドロキシカルボン酸を添加することにより、銅系微粒子の分散性を維持しながら、粒子表面に吸着している水溶性高分子の一部をヒドロキシカルボン酸で置換することが好ましい。この際、銅系微粒子から遊離した水溶性高分子を洗浄除去することがより好ましい。
このような操作を行うことにより、銅系微粒子における水溶性高分子の吸着量、ひいては、銀被覆銅系微粒子における水溶性高分子の吸着量を適切な範囲に制御することができる。なお、この操作は、銀被覆銅系微粒子を作製した後に行うこともできるが、前段階である銅系微粒子に対して行うことにより、銅と銀の置換反応を効率的に進行させることが可能となる。
ヒドロキシカルボン酸としては、同様に、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸などを用いることができ、これらの中でも、クエン酸を用いることが好ましい。これらのヒドロキシカルボン酸の添加量は、銅系微粒子分散液の溶媒全体に対して、20質量%未満とすることが好ましく、1質量%〜10質量%とすることがより好ましい。
d)分散剤
銅系微粒子分散液は、分散剤として、水溶性高分子をさらに含むことが好ましい。銅系微粒子分散液中で、水溶性高分子は、銅系微粒子の表面に吸着し、その立体障害によって銅系微粒子同士の凝集を抑制するため、銅系微粒子の分散安定性をより向上させることができる。このような水溶性高分子としては、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、およびポリアリルアミン(PAA)の群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
ただし、水溶性高分子の吸着量が多いと、銅と銀との置換反応が阻害されたり、得られる銀被覆銅系微粒子分散液の低温焼結性が低下したりすることとなる。このため、銀被覆銅系微粒子に対する水溶性高分子の吸着量が、炭素換算で、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下となるように、銅系微粒子分散液への水溶性高分子の添加量を調整することが必要となる。
(2)銀イオン含有溶液
銀イオン含有溶液としては、銀、または、硝酸銀、炭酸銀、塩化銀などの銀化合物を、水、アンモニア水、硝酸などの溶媒に溶解した溶液を用いることができる。また、銀イオン含有溶液には、銅系微粒子の表面に銀を均一に析出させる観点から、錯化剤を添加してもよい。このような錯化剤としては、特に制限されることはなく、たとえば、亜硫酸塩や、コハク酸イミド、ヒダントイン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸などの窒素含有化合物を用いることができる。
銀イオン含有溶液中の銀イオン濃度は、好ましくは5g/L〜30g/Lに調整される。銀イオン濃度が5g/L未満では、生産性が低下するばかりでなく、廃水量が増加することとなる。一方、銀イオン濃度が30g/Lを超えると、反応中に銀化合物の溶解度が変化し、銀が再析出することによって銀被膜が不均一になるおそれがある。
(3)置換反応
a)置換反応
本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法では、上述の銅系微粒子に、銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させることが必要となる。
この置換反応において、必ずしも銅系微粒子の表面全体に銀を析出させる必要はなく、銅系微粒子の表面の少なくとも一部が銀によって被覆されればよい。しかしながら、銀被覆による効果を粒子全体にわたって均一に発揮するためには、銅系微粒子の表面全体に銀を析出させることが好ましい。このため、銀イオン含有溶液の添加は、銅系微粒子分散液を撹拌しながら、可能な限り低速で行うことが好ましい。具体的には、銀イオン含有溶液の添加速度を10mL/分〜40mL/分とすることが好ましく、15mL/分〜25mL/分とすることがより好ましい。
なお、本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法においては、銅系微粒子分散液に添加した銀イオン含有溶液に含まれる銀のほぼ全量が、銅系微粒子の表面に存在する銅と置換することとなるため、目的とする銀被覆銅系微粒子における銅に対する銀の割合となるように、銅微粒子分散液に対する銀イオン含有溶液の添加量を調整することが必要となる。すなわち、銀イオン含有溶液は、銅系微粒子中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%、好ましくは20質量%〜50質量%となるように添加することが必要となる。ただし、置換反応時の条件によっては、銅に対する銀の割合に若干のずれが生じる場合がある。このようなことを回避するためには、予備試験を実施した上で、銀イオン含有溶液の添加量を調整することが好ましい。
b)固液分離、洗浄および乾燥
上述のようにして得られた銀被覆銅系微粒子を含む分散液を固液分離し、洗浄した後、乾燥することにより、銀被覆銅系微粒子を得ることができる。なお、固液分離、洗浄、および乾燥するための手段は、特に制限されることなく、公知の技術を利用することができる。
(4)ハロゲンの含有量
本発明の銀被覆銅系微粒子の製造方法では、銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子に対して、上述した洗浄を的確に行うことで、ハロゲン元素の含有量を1質量ppm〜50質量ppmの範囲に制御することができる。ただし、より厳格にハロゲン元素の含有量を管理するためには、銀被覆銅系微粒子の原料となる、銅微粒子、銅合金微粒子、および銅系微粒子の銅成分、水などの極性溶媒、グリコール、水溶性高分子、ヒドロキシカルボン酸などに含まれるハロゲン元素の含有量を、合計で1質量ppm〜50質量ppmの範囲に制御することが好ましい。
4.銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法
(1)銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法
本発明の銀被覆銅系微粒子分散液は、上述した銀被覆銅系微粒子を、水、アルコール、およびエステルの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、グリコールを含む溶媒に分散させることにより製造することができる。しかしながら、この方法では、置換反応によって得られた銀被覆銅系微粒子を含む分散液から銀被覆銅系微粒子を固液分離し、洗浄および乾燥した後、再度、所定の溶媒中に分散させることが必要となるため、銀被覆銅系微粒子分散液の生産性に劣るという問題がある。このため、上述した銀被覆銅系微粒子の製造工程において、置換反応後の銀被覆銅系微粒子を含む分散液を、そのまま、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液とすることが好ましい。
すなわち、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法は、銀被覆銅系微粒子の製造方法と同様に、平均粒径(d)が10nm〜100nmであり、かつ、平均粒径(d)に対する標準偏差(σ)の比によって定義される、銀被覆銅系微粒子の粒径に関する相対標準偏差(σ/d)が60%以下である銅系微粒子を含む銅系微粒子分散液に、銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させることを特徴とする。なお、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法の詳細については、上述した銀被覆銅系微粒子の製造方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(2)銀被覆銅系微粒子分散液の洗浄
上述した置換反応後の銀被覆銅系微粒子を含む分散液には、未反応の銀イオンや置換された銅イオン(以下、「余剰イオン」という)および不純物が含まれていると考えられる。分散液中に、これらの余剰イオンや不純物が存在すると、銀被覆銅系微粒子の凝集が引き起こされる場合がある。このため、本発明の銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法としては、上述した置換反応後の銀被覆銅系微粒子を含む水溶液に極性溶媒を加えて希釈した後、公知の洗浄方法によって溶媒置換および濃縮を1回ないしは複数回行い、余剰イオンや不純物の含有量を低減することが好ましい。
洗浄方法としては、限外ろ過、デカンテーション、遠心ろ過などの公知の方法を利用することができるが、数十nmの微粒子の銅系微粒子の沈降性やろ過性の低さなどを考慮すると、銅系微粒子の洗浄の場合と同様に、限外ろ過により洗浄することが好ましい。
極性溶媒としては、水、アルコール、エタノールなどを用いることができるが、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。また、これらの極性溶媒に、グリコール、好ましくはエチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、およびトリエチレングリコール(TEG)の群から選択される少なくとも1種のグリコールを添加してもよい。
さらに、銅系微粒子における水溶性高分子の吸着量を適切な範囲に保つために、ヒドロキシカルボン酸を添加することも可能である。このようなヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸などを用いることができ、これらの中でも、クエン酸を用いることが好ましい。これらのヒドロキシカルボン酸の添加量は、希釈後の溶媒全体に対して、20質量%未満とすることが好ましく、1質量%〜10質量%とすることがより好ましい。
なお、銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法においても、銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液に対して、上述した洗浄を的確に行うことで、ハロゲン元素の含有量を1質量ppm〜50質量ppmの範囲に制御することができる。ただし、より厳格にハロゲン元素の含有量を管理するためには、銀被覆銅系微粒子分散液の原料となる、銅微粒子、銅合金微粒子、および銅系微粒子の銅成分、水などの極性溶媒、グリコール、水溶性高分子、ヒドロキシカルボン酸などに含まれるハロゲン元素の含有量の合計を1質量ppm〜50質量ppmの範囲に制御することが好ましい。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明を具体的に説明する。
[銅系微粒子分散液の作製]
a)銅系微粒子分散液a
はじめに、ポリオール法を利用して、銅系微粒子分散液aを作製した。
具体的には、1Lのエチレングリコール(EG)に、100gの酸化第一銅(Cu2O、Chemet社製)と、42gのポリビニルピロリドン(PVP)を添加して、窒素ガスを吹き込みながら撹拌した。この状態で、EGを150℃まで加熱しつつ、硝酸パラジウムアンモニウムをアンモニア水で溶解したパラジウム溶液を、パラジウムの添加量が0.2gとなるように添加し、この温度で30分保持することにより、銅微粒子を還元析出させた。その後、EGに対して、窒素ガスに替えて、空気を吹き込むことで、銅微粒子の表面を酸化させた。
このようにして得られた表面層が酸化されている銅微粒子からなる銅系微粒子を含む分散液の一部をろ過し、FE−SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−4700)を用いて観察した結果、銅系微粒子の凝集は見られなかった。また、この観察において、無作為に選択した200個の銅系微粒子の粒径を測定したところ、平均粒径(d)は26nmであり、相対標準偏差(σ/d)は45%であることが確認された。さらに、ICP発光分析法による深さ方向の分析の結果、この銅系微粒子は、銅からなる本体部と、この本体部を覆う、層厚5nm(平均粒径(d)の約19%)以上のCu2Oから構成されていることが確認された。
次に、0.65μmのフィルタを用いて、この銅系微粒子を含む分散液から不純物を除去した後、EGの大部分を純水と置換することにより、銅系微粒子分散液aを作製した。具体的には、純水とEGを、体積比で、純水:EG=8:1となるように混合した溶媒1Lに、クエン酸10gを添加することで洗浄液を作製し、この洗浄液を用いて、上述した銅系微粒子を含む分散液(Cu濃度:10質量%)1Lを希釈した後、限外ろ過により、余剰の水溶性高分子などを除去するとともに、その総量が100mLとなるまで濃縮した。その後、この操作を2回繰り返すことで、上記の特性を備えた銅系微粒子が凝集なく分散した銅系微粒子分散液aを得た。
b)銅系微粒子分散液b
銅系微粒子分散液を作製する際に、1LのEGに、100gのCu2O粉末と、40gのPVPおよび1.5gのポリエチレンイミン(PEI)を添加して、窒素ガスを吹き込みながら撹拌したこと以外は、銅系微粒子分散液のaの場合と同様にして、平均粒径(d)が18nm、相対標準偏差(σ/d)が45%であり、Cu2Oからなる層厚5nm(平均粒径(d)の約27%)である表面層を備えた銅系微粒子が凝集なく分散した、銅系微粒子分散液bを作製した。
c)銅系微粒子分散液c
平均粒径が10nmの酸化第二銅(CuO、住友金属鉱山株式会社製)と、純水とEGと、体積比で、純水:EG=8:1となるように混合した溶媒1Lと、クエン酸10gと、PEI10gとを、ホモジナイザー(日本精機株式会社製、US−300T)および高圧乳化装置(株式会社スギノマシン製)を用いて混合し、酸化銅微粒子からなり、平均粒径が12nm、相対標準偏差(σ/d)が60%である銅系微粒子が凝集なく分散した、銅系微粒子分散液cを作製した。
d)銅系微粒子分散液d
平均粒径が300nm、相対標準偏差σ/dが22%、BET比表面積が3.1m2/gの球状酸化第二銅(CuO、試薬:和光純薬工業株式会社)粉末100gを純水1L中に懸濁させ、超音波洗浄器(アズワン株式会社製、US−3R)中で10分間分散させることにより、酸化銅微粒子からなり、平均粒径が300nm、相対標準偏差(σ/d)が60%である銅系微粒子が凝集なく分散した、銅系微粒子分散液dを作製した。
以上のようにして作製した銅系微粒子分散液a〜dの性状、並びに、実施例および比較例で使用した原材料(銅化合物、グリコール類、分散剤、ヒドロキシカルボン酸)を表1に示す。
(実施例1)
[銀被覆銅系微粒子分散液の作製]
銅系微粒子分散液aに、純水とEGを、体積比で、純水:EG=8:1となるように混合した溶媒1Lに、クエン酸10g(約1質量%)を添加することで作製した洗浄液を添加して、その総量が1Lとなるように調整した。続いて、この銅系微粒子分散液を撹拌しながら、20mL/分で、1質量%(銀イオン濃度:7.00g/L)の硝酸銀水溶液2650mLを定量添加した。添加終了後、10分間ほど撹拌を継続し、この状態を保持することで、銅系微粒子の表面における銅と銀の置換反応を進行させ、銀被覆銅系微粒子を含む分散液を作製した。
その後、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を限外ろ過により100mLとなるまで濃縮し、銅系微粒子分散液の場合と同様の洗浄操作を2回繰り返すことで、余剰イオンを除去し、100mLの銀被覆銅系微粒子分散液を作製した。
[銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液の評価]
a)平均粒径および相対標準偏差
得られた銀被覆銅系微粒子分散液の一部をろ過し、FE−SEMを用いて観察した結果、銀被覆銅系微粒子の凝集は見られなかった。また、この銀被覆銅系微粒子の平均粒径(d)は38nmであり、相対標準偏差(σ/d)は49%であった。
b)組成および粒子構造
ICP発光分析法の結果、この銀被覆銅系微粒子分散液は、Cuを47質量%、Agを11質量%、Clを9質量ppm、酸素を4質量%含み、残部が、純水、EGおよびクエン酸からなること、および、この銀被覆銅系微粒子の、銅に対する銀の割合は23.4質量%であり、銅に対するハロゲン元素の割合は19質量ppmであった。
また、XPS分光分析による深さ方向の分析の結果、この銀被覆銅系微粒子は、上述した銅系微粒子の表面の少なくとも一部が銀被膜(膜厚:約6nm)によって被覆されたものであることが確認された。
c)分散安定性
銀被覆銅系微粒子分散液中における銀被覆銅系微粒子の沈降状態を目視で観察することにより、その分散安定性を評価した。具体的には、銀被覆銅系微粒子が2ヶ月以上沈降しなかった場合を「優(◎)」、1ヶ月以上2ヶ月未満沈降しなかった場合を「良(○)」、1ヶ月経過する前に沈降が確認された場合を「不良(×)」と評価した。この結果、実施例1の銀被覆銅系微粒子分散液では、銀被覆銅系微粒子が2ヶ月以上沈降しなかった。
d)水溶性高分子の吸着量
この銀被覆銅系微粒子分散液を、真空中において80℃で3時間乾燥させた後、窒素雰囲気中にて600℃までの熱重量分析を行ったところ、300℃〜600℃にかけて0.2質量%の質量減少が検出された。別途に実施した、クエン酸、PEI、PVPのそれぞれの熱重量分析結果から、クエン酸に関しては180℃付近から分解し始めて、300℃でほぼ完全に分解蒸発すること、ならびに、PEIおよびPVPに関しては300℃付近から分解し始めて、600℃でほぼ完全に分解蒸発し、炭素が固体として残留しないことが確認されている。このため、300℃〜600℃の質量減少は銅に吸着したPEIおよびPVPの分解に由来する質量減少であると考えられる。したがって、この銀被覆銅系微粒子に吸着している水溶性高分子量は0.2質量%と考えられる。
e)体積抵抗率
この銀被覆銅系微粒子分散液に焼成後の膜質向上を目的として、分散液に対して5質量%となるようにクエン酸を添加して、バーコーターによりガラス基板上にパターン印刷した。得られたパターンを、大気雰囲気中において、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた導電膜は、体積抵抗率が12μΩ・cmであった。なお、導電膜の体積抵抗率は、SEM(日本電子株式会社製、JSM−6360LA)を用いて基板の断面を観察することにより測定した膜厚と、抵抗率計(株式会社ダイアンインスツルメンツ製、ロレスターGP)により測定した表面抵抗率に基づいて算出した。以上の結果を表3に示す。
(実施例2)
1質量%の硝酸銀水溶液の添加量を4600mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例3)
1質量%の硝酸銀溶液の代わりに、1質量%(銀イオン濃度:8.25g/L)の塩化銀のアンモニア水溶解液を使用したこと、および、その添加量を5500mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀複銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例4)
銅系微粒子分散液bを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例5)
銅系微粒子分散液cを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および新被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(実施例6)
1質量%の硝酸銀溶液の代わりに、1質量%の塩化銀のアンモニア水溶解液を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例1)
銅系微粒子分散液aに対して、上記a)〜d)の評価を行った。また、銅系微粒子分散液aを用いて導電膜を作製し、上記e)の評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例2)
1質量%の硝酸銀水溶液の添加量を600mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例3)
1質量%の硝酸銀水溶液の添加量を6500mLとしたこと以外は、実施例1と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例4)
1質量%の塩化銀のアンモニア水溶解液を5秒で全量添加したこと(添加速度:31800mL/分)、および、添加終了後の攪拌時間を3分程度としたこと以外は、実施例6と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
(比較例5)
1質量%の塩化銀のアンモニア水溶解液の添加速度を5mL/分としたこと以外は、実施例6と同様にして、銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに導電膜を作製して、その評価を行った。この結果を表3に示す。
なお、比較例5では、銀被覆銅系微粒子が連結した状態で得られ、この状態における平均粒径は105nmであった。このため、相対標準偏差(σ/d)の測定は行わなかった。
(比較例6)
銅系微粒子分散液dを撹拌しながら、20mL/分で、1質量%の硝酸銀水溶液4700mLを定量添加した。添加終了後、10分間ほど撹拌を継続し、この状態を保持することで、銅系微粒子の表面における銅と銀の置換反応を進行させ、銀被覆銅系微粒子を含む分散液を作製した。
その後、この銀被覆銅系微粒子を含む分散液を吸引ろ過することにより、銀被覆銅系微粒子を固液分離し、純水1L中で30分間撹拌洗浄し、再度、吸引ろ過することにより、スラリー状の銀被覆銅系微粒子を得た。この銀被覆銅系微粒子と、純水とEGと、体積比で、純水:EG=8:1となるように混合した溶媒100mLと、クエン酸5gとを混合し、超音波洗浄器中で30分間分散させることにより、銀被覆銅系微粒子分散液を作製した。
以上のようにして作製した銀被覆銅系微粒子および銀被覆銅系微粒子分散液、並びに、これを用いて形成した導電膜を、実施例1と同様にして評価した。この結果を表3に示す。
[総合評価]
表1〜3より、実施例1〜6の銀被覆銅系微粒子分散液は、銀によって被覆されていない銅系微粒子を用いた比較例1の銅系微粒子分散液や、銀による被覆量が所定の範囲にない比較例2および3の銀被覆銅系微粒子分散液と比べて、大気雰囲気において低温焼成した場合であっても、得られる導電膜の体積抵抗率を大幅に低減可能であることが確認される。
また、実施例1〜6の銅被覆銅系微粒子分散液を用いて形成した導電膜は、銀被覆銅系微粒子の平均粒径が所定の範囲にない比較例4〜6と比べて、体積抵抗率を低減させることが可能であり、かつ、その分散安定性に優れていることが確認される。

Claims (17)

  1. 少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子からなる銅系微粒子と、該銅系微粒子の少なくとも一部を被覆する銀被膜とを備え、平均粒径が10nm〜100nmであり、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下であり、かつ、銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%である、銀被覆銅系微粒子。
  2. 前記銅系微粒子全体または前記銅系微粒子の前記表面層が、CuOからなる、請求項1に記載の銀被覆銅系微粒子。
  3. ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、およびポリアリルアミンの群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子が粒子表面に吸着している、請求項1または2に記載の銀被覆銅系微粒子。
  4. 前記水溶性高分子の吸着量は、炭素換算で1.0質量%以下である、請求項3に記載の銀被覆銅系微粒子。
  5. ハロゲン元素をさらに含み、前記銀被覆銅系微粒子中の銅に対するハロゲン元素の割合が1質量ppm〜50質量ppmである、請求項1〜4のいずれかに記載の銀被覆銅系微粒子。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の銀被覆銅系微粒子と溶媒とからなり、該溶媒が、水、アルコール、およびエステルの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、グリコールを含む、銀被覆銅系微粒子分散液。
  7. 前記溶媒の主成分は、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載の銀被覆銅系微粒子分散液。
  8. 前記グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種である、請求項6または7に銀被覆銅系微粒子分散液。
  9. 前記溶媒は、ヒドロキシカルボン酸をさらに含む、請求項6〜8のいずれかに記載の銀被覆銅系微粒子分散液。
  10. 前記ヒドロキシカルボン酸がクエン酸である、請求項9に記載の銀被覆銅系微粒子分散液。
  11. 基板に塗布後、大気雰囲気において200℃で1時間焼成して導電膜を得た場合に、該導電膜の体積抵抗率が40μΩ・cm以下となる、請求項6〜10のいずれかに記載の銀被覆銅系微粒子分散液。
  12. 少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子からなり、平均粒径が10nm〜100nmであり、かつ、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下である銅系微粒子およびヒドロキシカルボン酸を含む銅系微粒子分散液に、該銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させる、銀被覆銅系微粒子の製造方法。
  13. 前記銅系微粒子分散液の溶媒として、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種を含む溶液を用いる、請求項12に記載の銀被覆銅系微粒子の製造方法。
  14. 前記銅系微粒子分散液は、分散剤として、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドンおよびポリアリルアミンの群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子を含む、請求項12または13に記載の銀被覆銅系微粒子の製造方法。
  15. 前記ヒドロキシカルボン酸がクエン酸である、請求項12〜14のいずれかに記載の銀被覆銅系微粒子の製造方法。
  16. 少なくとも表面層が酸化されている銅または銅合金微粒子からなり、平均粒径が10nm〜100nmであり、かつ、該平均粒径に対する標準偏差の比によって定義される相対標準偏差が60%以下である銅系微粒子およびヒドロキシカルボン酸を含む銅系微粒子分散液に、該銅系微粒子分散液中の銅に対する銀の割合が10質量%〜50質量%となるように銀イオン含有溶液を添加し、置換反応によって、銀を銅系微粒子の表面に析出させる、銀被覆銅系微粒子分散液の製造方法。
  17. 前記置換反応後の銀被覆銅系微粒子を含む分散液に、水およびエタノールの群から選択される少なくとも1種を主成分とし、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびトリエチレングリコールの群から選択される少なくとも1種を含む溶媒を添加し、溶媒置換および濃縮することにより、該銀被覆銅系微粒子を含む分散液中の余剰イオンを洗浄除去する洗浄工程をさらに備える、請求項16に記載の銀被覆銅系微粒子の製造方法。
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