JP6379955B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて高いスループットの連続鋳造を実現する連続鋳造方法に関するものである。
連続鋳造設備とは、溶融金属を鋳造してスラブ、ビレット等を製造する設備である。
スラブの連続鋳造は、タンディッシュに貯められた溶鋼を、タンディッシュ底部に接続された浸漬ノズルを介して、鋳型に溶鋼を供給される。例えば、浸漬ノズルは、2孔の吐出孔を有するものが広く用いられており、鋳型長辺方向と平行に高速高温な溶鋼が吐出孔を通じて噴出するものがある。
まず、本願発明を説明する上で重要な用語である「鋳造速度」と「スループット」の違いにつて説明する。
鋳造速度とは、連続鋳造機における鋳片の引き抜き速度であり、[m/min]を単位として表記される物理量である。一方、スループットとは、1分間あたりに生産される鋳片の重さであり、[ton/min]を単位として表記される物理量である。
したがって、スループットと鋳造速度との間には、スループット[ton/min]=鋳片断面積[m]×鋳造速度[m/min]×比重(7.8)[ton/m]という関係が成り立つ。
さて、一般的な連続鋳造装置におけるスループットは5[ton/min]以下であるが、生産性向上の観点からより高いスループットを実現することが望まれている。例えば、10[ton/min]を超える鋳造が可能となれば、同じ生産量を達成するための連続鋳造機の数が半分で良くなり、大幅なコストの低減が可能となるからである。
しかしながら、10[ton/min]を超える鋳造を実現するために解決しなければならない最大の課題は、ブレイクアウト防止である。
吐出孔から噴出する溶鋼の流速が高くなると、鋳型短辺上の凝固シェルを再溶解することになるが、この凝固シェルが溶解してしまうと、ブレイクアウトが発生し、鋳造することが不可能となるからである。
さて、溶鋼の流速が高まることに起因する凝固シェルの再溶解を防止するためには、鋳型厚みに対して垂直方向に静磁場を印可する電磁ブレーキと呼ばれる電磁力制御方法が有効である。
特許文献2には、高速連続鋳造において無手入れ鋳造鋳片を安定して製造することを目的として、連続鋳造用鋳型の対向側壁の相互間に静磁場を印加して、浸漬ノズルを通して該連続鋳造用鋳型内へ供給する溶鋼の噴流を制御するに当たり、6[ton/min]以上のスループットにして溶鋼を連続鋳造鋳型内へ供給するとともに、前記浸漬ノズルの上下に各々電磁石を配置して連続鋳造用鋳型のメニスカス部に磁束密度が少なくとも0.5[T]になる静磁場を、浸漬ノズルの吐出口から噴出した溶鋼噴流の下方部域には磁束密度が0.5[T]以上になる静磁場を同時に印加する方法が開示されている。
すなわち、特許文献2に開示された方法は、超電導磁石を用いて0.5〜5.0Tという強大な磁束密度を適用することで、スループットを6〜10[ton/min]とする鋳造技術を開示している。なお、一般的な連続鋳造機の電磁ブレーキにより発生する磁束密度は0.1〜0.5[T]程度である。
しかしながら、特許文献1に開示された方法は、超電導磁石を用いるために、超電導体を液体ヘリウムで冷却するための大掛かりな設備が必要となり、簡単には導入することができず、維持管理に多大な労力が必要となるという問題がある。
特許文献1には、中炭素鋼の鋳造時に発生が懸念される鋳片短辺部の凝固シェル再溶解に起因する再溶解性ブレイクアウトを完全に防止することを目的として、炭素含有量が0.08〜0.16[質量%]の中炭素鋼を、鋳片厚さに相当する厚さが240[mm]を超え、鋳造方向の長さが1.1m以下の鋳型を用いて連続鋳造において、CaO/SiOが1.2〜2.5、凝固温度が1200〜1280[℃]であるモールドフラックスと、吐出孔が水平方向よりも下方に向いた浸漬ノズルを使用する場合に、磁極の鋳造方向中心位置を前記吐出孔よりも下方の位置として静磁場印加装置を配置するとともに、鋳型厚さ方向中心部における磁場の強度が0.15[T]以上の静磁場を溶鋼に印加し、鋳片の凝固シェル健全指数Aが190以上となる条件で鋳造する方法を開示している。
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、10[ton/min]を超えるスループットを実現することは困難である。
特開2010−240711号公報 特開2002−316242号公報
本発明は、超電導磁石を用いることなく、スループット10[ton/min]〜15[ton/min]の鋳造を実現することを目的とする。
溶鋼吐出流の単位体積・単位時間当たりの熱エネルギーをE、吐出流が衝突する位置において凝固シェルを溶解するのに必要な単位体積当たりのエネルギーをE、とするときに
P=E/E …(式1)
により計算されるPの鋳型内における最大値Pmaxの逆数(1/Pmax)が、凝固シェルが再び溶解する迄に要する時間に相当する物理量(以下、「凝固シェル再溶解時間」という。)であることを発明者らは見出した。
また、発明者らは、既に経験したブレイクアウト発生時のデータを基礎にしてPmaxを計算し、Pmaxが2.66以下であればブレイクアウトは発生しないこと、言い換えれば、凝固シェル再溶解時間を1/2.66≒0.38[s]よりも大きな値となるような連続鋳造設備をつくることで、ブレイクアウトの発生を防止する指針となることを見出した。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものであって、その要旨は以下の通りである。
(1)鋳型長辺側に2本の鉄芯を具備する電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて、10[ton/min]〜15[ton/min]のスループットで鋳造する連続鋳造方法であって、
鋳型短辺面の各位置において、溶鋼吐出流の単位体積・単位時間当たりの熱エネルギーをE 凝固シェルを溶解するのに必要な単位体積当たりのエネルギーをE、とするときに
P=E/E …(式1)により計算されるPの鋳型内における最大値Pmaxの逆数(1/Pmax)が、0.38[s]以上となることを特徴とする連続鋳造方法。
(2)鋳型長辺側に2本の鉄芯を具備する電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて、10[ton/min]〜15[ton/min]のスループットで鋳造する連続鋳造方法であって、電磁ブレーキの鉄芯中心位置(x,y)[mm]、浸漬ノズルの吐出孔下端位置(x,y)[mm]および吐出孔角度αから
h=y+(x−x)tanα−y …(式2)
と計算される鋳型深さ方向の距離hが0[mm]以上であり、
鋳型厚み中心における磁束密度は0.4[T]から0.5[T]である、
ことを特徴とする連続鋳造方法。
(3)浸漬ノズルの吐出孔上端が湯面から220〜400[mm]の位置にあることを特徴とする(2)に記載の連続鋳造方法。
本発明の方法は、超電導磁石を用いることなく、スループット10[ton/min]〜15[ton/min]の連続鋳造を実現できるという顕著な効果を奏する。
連続鋳造装置の鋳型内部を説明する模式図である。 磁束密度と凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である。 本発明の方法を実施する連続鋳造装置を詳細に説明する図である。 吐出孔角度αを変化させた場合の鋳型内流動変化を数値解析シミュレーションの結果により説明する図である。 鋳型深さ方向距離hと凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である。 スループットと凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である(吐出孔角度α=35[°]、最大磁束密度0.45T)。 磁束密度と凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である(吐出孔角度α=35[°])。 数値解析シミュレーション結果例を説明する図である。 図8の一部を拡大した図である。 数値解析シミュレーション結果例を用いて再溶解性指数P[1/s]を算出してプロットしたグラフである。
本発明の実施形態は、鋳型長辺側に2本の鉄芯を具備する電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて10[ton/min]〜15[ton/min]のスループットで鋳造する連続鋳造方法である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、次に述べる凝固シェル溶解時間を0.38[s]以上とする方法である。
[凝固シェル溶解時間]
凝固シェル溶解時間とは、鋳型長辺側に2本の鉄芯を有する電磁ブレーキを有する連続鋳造設備を用いて連続鋳造を行うにあたり、溶鋼吐出流の単位体積・単位時間当たりの熱エネルギーをE、吐出流が衝突する位置において凝固シェルを溶解するのに必要な単位体積当たりのエネルギーをE、とするときに
P=E/E …(式1)
により計算される再溶解性指数Pの鋳型内における最大値Pmaxの逆数(1/Pmax)である。
<再溶解性指数P[1/s]>
図1は、連続鋳造装置の鋳型内部を説明する模式図である。
図1は、左右対称の装置の右側について記載するが、左側も同様の装備等がある。
図1において、1は原点(0,0)[mm]、21は鋳型短辺、4は浸漬ノズル、5は湯面、6は吐出孔、61は吐出孔角度、62は吐出孔上端、63は吐出孔下端(x,y)[mm]、64は吐出流、7は凝固シェルであり、鋳造方向をy[mm]、鋳型幅方向をx[mm]、鋳型厚み方向をz[mm]とする。
浸漬ノズル4の吐出孔下端63から吐出した溶鋼は、吐出流64となって、吐出孔角度61の方向にながれていき、凝固シェル7に衝突し、凝固シェルを再溶解する。
いま、ある微小面積(ΔyΔz)における凝固シェルに衝突する単位時間あたりの熱エネルギーEは、ρを溶鋼比重[kg/m]、Cを比熱[J/kg]、uを衝突流速[m/s]、Tを溶鋼温度[K]、Tを液相線温度[K]とすると(式11)のように表現できる。
=ρu(T−T)ΔyΔz=ρuΔTΔyΔz …(式11)
この位置の凝固シェル厚みをΓ[m]とすると、凝固シェルが断熱状態で静止している場合に、凝固シェルを溶解するためのエネルギーEは、ρは凝固シェルの比重[kg/m]、ΔHは融解潜熱[J/kg]であり、(式12)のように表現できる。
=ρΔHΓΔyΔz …(式12)
さらに(式1)を用い、液相と固相の密度(ρ,ρ)は小さいため等しいとすると、(式13)のように再溶解性指数Pを得ることができる。
P=E/E=(ρuΔTΔyΔz)/(ρΔHΓΔyΔz)
=(CuΔT)/(ΔHΓ) …(式13)
(式13)の再溶解性指数Pは、凝固シェルが静止している場合に、シェルが溶解するまでの時間の逆数を意味し、単位は[1/s]である。
<凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]>
再溶解性指数Pの値が大きいほど、再溶解する危険性が高い。
この再溶解性指数Pを、鋳型深さ方向に算出し、その最大値をPmaxとし、さらにその逆数(1/Pmax)を凝固シェル再溶解時間[s]として凝固シェル再溶解の危険性、すなわち、ブレイクアウト発生の危険性を評価する指針として取り扱う。
凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]を求めるにあたり、過去において凝固シェルの再溶解によりブレイクアウトが発生したときの鋳型条件を用いて後述する数値解析シミュレーションにより計算を行った。
図2は、磁束密度と凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である。凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]の計算にはシミュレーションを利用した。
図2において、グループ1はブレイクアウトが発生しているグループであり、グループ2はブレイクアウトが発生していないグループである。
磁束密度が0.21[T]以下のグループ1の場合にブレイクアウトが発生しており、磁束密度が0.24[T]以上のグループ2の場合にはブレイクアウトが発生していなかったことから、グループ2の磁束密度が0.24[T]の場合の条件の凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]である0.38[s]を限界値とする。
すなわち、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]は0.38[s]以上とすることを指針とする。
<数値解析シミュレーション>
鋳型内の溶鋼は1500[℃]程度の高温であるため,流速や温度を測定して知ることは困難であり、現在のところ高精度な数値解析シミュレーションによる予測が最も有効な手段である。
鋳型内溶鋼の流動,伝熱と凝固を考慮した数値解析シミュレーションを実施することにより、鋳型内の凝固シェル厚みΓ[m]と、凝固シェルに衝突する流速u[m/s]、溶鋼温度T[K]を得ることができる。
図8は、数値解析シミュレーションの結果の一例を説明する図であり、図9は図8の一部を拡大した図である。
図8と図9を用いて、湯面からの距離yにおける鋳型内の凝固シェル厚みΓ[m]と,凝固シェルに衝突する流速u[m/s]、溶鋼温度T[K]を読み取る方法について説明する。
図8において、5は湯面、7は凝固シェル、8は溶鋼の流れ(矢印の方向が流れの方向であり、矢印の長さが流速を示す。)、31は鉄心、33は鉄心の中心であり、9は計測点yである。
溶鋼の流れ8は矢印で記載されており、矢印の方向が流速の方向であり、矢印の長さが流速を表し、流速基準81(1[m/s]の大きさが)図8の左上に記載されている。
図8において、湯面からの距離yがyとなる位置を計測点y(9)とし、計測点y(9)の近傍を拡大図として図9に記載されている。
図9において、9は計測点yであり、71は計測点y(9)における凝固シェル7の厚みΓ[mm]である。
図9に示すように、計測点y(9)は、湯面からの距離yがyとなる位置、かつ、凝固シェル7の左端から20[mm]の位置を用いる。
凝固シェルに衝突する流速u[m/s]は、図9の計測点y(9)における溶鋼の流れ(8)を示す矢印の長さと流速基準82から求める。
溶鋼温度T[K]は、図9の計測点y(9)における温度であり、T=26[K]である。
鋳型内の凝固シェル厚みΓ[m]は、図9の計測点y(9)の右側の凝固シェル厚み71として求められる。
計測点y(9)における再溶解性指数P[1/s]は、上述の手順で求められた鋳型内の凝固シェル厚みΓ[m]と、凝固シェルに衝突する流速u[m/s]、溶鋼温度T[K]を用いて、
P=E/E=(ρuΔTΔyΔz)/(ρΔHΓΔyΔz)
=(CuΔT)/(ΔHΓ)
=(Cu(T−T))/(ΔHΓ) …(式13)
より計算する。
図10は、湯面からの距離y[m]を横軸とし、再溶解性指数P[1/s]を縦軸としたときの値の一例を説明する図である。図10において、Pmaxを得られるのは、y≒0.35[m]の位置である。
さて、発明者らは、Pmaxを得られるyについて検討した。
図10において、Pmaxを得られるy≒0.35[m]の位置は浸漬ノズル下端近傍であるから、浸漬ノズル下端近傍において熱流束(流速×温度)が最大になり、Pmaxを与えることを見出した。すなわち、短時間にPmaxを得るためには、浸漬ノズル下端近傍において再溶解性指数P[1/s]を精密に計算すればよいことを見出した。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、次に述べる凝固シェル溶解時間を0.38[s]以上とするべく、鋳型深さ方向の距離h、鋳型厚み中心における磁束密度、浸漬ノズルの吐出孔上端位置を規定する方法である。
[鋳型深さ方向の距離h]
図3は、本発明の方法を実施する連続鋳造装置を詳細に説明する図である。
図3において、1は原点(0,0)[mm]、2は鋳型、21は鋳型短辺、22は鋳型長辺、3は電磁ブレーキ、31は鉄心、32はコイル、33は鉄心の中心(x,y)[mm]、4は浸漬ノズル、5は湯面、6は吐出孔、61は吐出孔角度α[°]、63は吐出孔上端、63は吐出孔下端(x,y)[mm]であり、鋳造方向をy[mm]、鋳型幅方向をx[mm]、鋳型厚み方向をz[mm]とする。
図3は、左右対称であるから、説明を簡略にするために主に右側について説明するが、左側も同様の装備がある。
磁束密度が最大となるのは、電磁ブレーキ3の鉄芯31の中心位置12である。
このとき、鋳型深さ方向の距離hは、電磁ブレーキの鉄芯中心位置(x,y)[mm]、浸漬ノズルの吐出孔下端位置(x,y)[mm]および吐出孔角度α[°]から
h=y+(x−x)tanα−y…(式2)
と計算される値である。
<幾何学的関係>
浸漬ノズルの吐出孔から噴出する溶鋼流速は、吐出孔下方が最大値となる。
すなわち、吐出流は位置(x,y)を起点として、吐出孔角度α[°]の方向へ噴出すると考えることができる。
h>0の場合は、吐出流は磁束密度最大位置よりも下側を通過し、h<0の場合は磁束密度最大位置よりも上側を通過する。
<鋳型深さ方向の距離hの範囲>
鋳型深さ方向の距離hを−20[mm]以上とする理由について説明する。
図5は、吐出流と磁束密度最大位置との距離hと再溶解性指数の関係を示す。
図5から、h≧−20[mm]の場合は、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]は0.38[s]以上となり、凝固シェルの再溶解なしに鋳造することが可能であると判断できる。
<吐出孔角度α[°]との関係>
図4は、数値解析シミュレーションにより、吐出孔角度α[°]を変化させた場合の鋳型内流動変化を説明する図である。
例えば、(x,y)=(545,650)[mm]、(x,y)=(87.5,440)[mm]とし、吐出孔角度α[°]を25[°]、30[°]、35[°]とした場合を、それぞれ、図4(a)、図4(b)、図4(c)とした。図4(a)、図4(b)、図4(c)において、8は鉄心であり、33は鉄心の中心である。
図4(a)、(b)、(c)から、吐出孔角度α[°]が小さい方が、吐出流が鋳型上方へ流されやすいことが確認される。すなわち、吐出孔角度α[°]が小さいほどhが小さくなり、凝固シェルの薄い鋳型上方へ吐出流が衝突する傾向を理解することができる。
[鋳型厚み中心における磁束密度]
鋳型厚み中心における磁束密度は0.4[T]〜0.5[T]である。
磁束密度は、鋳型厚み中心における最大磁束密度であり、磁束密度が最大となるのは、ほぼ鉄芯中心位置である。
例えば、電磁ブレーキ鉄芯の断面形状は、750×300[mm]であり、コイルに印可する直流電流は1000[A]、コイル巻き数は180[ターン]とし、鉄芯材質は、一般的な軟鉄とし、電磁場解析結果から求めた鋳型厚み中心の最大磁束密度は、電磁ブレーキ鉄芯の中心位置において0.5[T]程度とすることができる。
また、鋳型厚み中心のメニスカス部の最大磁束密度は0.01[T]程度とすることができる。
<磁束密度の範囲>
図7は、吐出孔角度α=35[°]で、電磁ブレーキの磁束密度の影響を検討した結果を説明する図である。
図7より、スループットが10.9[ton/min]の場合は最大磁束密度が0.3[T]であれば、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]は0.38[s]以上となる。また、スループットが15.5[ton/min]の場合は0.4[T]以上であれば、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]は0.38[s]以上となる。
また、コイルに通電する電流や電源装置の限界から0.5[T]超の磁束密度を印可することは、通常の電磁ブレーキ装置では困難である。
以上から、鋳型厚み中心の磁束密度の範囲は、0.4〜0.5[T]が適切である。好ましくは0.4〜0.5[T]である。
[浸漬ノズルの吐出孔上端位置]
浸漬ノズル4の吐出孔上端位置62を湯面から220〜400[mm]とする。
図6は、スループットと凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)との関係を説明する図である(吐出孔角度α=35[°]、最大磁束密度0.45T)。
図6には、吐出孔上端位置が320[mm]の場合と、吐出孔上端位置が220[mm]の場合のグラフが記載されている。
浸漬深さを100[mm]浅くした場合は、電磁ブレーキの位置も100[mm]浅くして、hは同じ値となるようにした。
吐出孔開口部の高さが120[mm]であれば、吐出孔上端位置が320[mm]の場合には、吐出孔下端位置は440[mm]であり、吐出孔上端位置が220[mm]の場合には、吐出孔下端位置は340[mm]である。
さて、浸漬ノズル深さが浅いほど、吐出流は凝固シェルの薄い鋳型上方で短辺に衝突するため、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)[s]は短くなり、ブレイクアウトを発生しやすくなる。
図6において、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)が0.38[s]の線と交差するスループットが限界であるから、吐出孔上端位置が220[mm](吐出孔下端位置が340[mm])の場合はスループットの限界は15.5[ton/min]程度であるが、吐出孔上端位置が320[mm](吐出孔下端位置が440[mm])の場合はスループットの限界は16[ton/min]と大きくなる。
このように、浸漬ノズルの浸漬深さは、が深いほど再溶解の危険性が低くなる。
しかしながら、浸漬深さを深くしたくても、タンディッシュを上下させる装置の限界があるため、通常は吐出孔上端位置で400[mm]深さ程度が限界となる。
よって、浸漬ノズル深さは、吐出孔上端位置が湯面から220〜400[mm]の深さの範囲が適切であり、好ましくは吐出孔上端位置が湯面から320〜400[mm]である。
[連続鋳造装置の例]
スループットが10[ton/min]以上の鋳造が可能な連続鋳造装置は、例えば、鋳型は、幅1600[mm]×厚み250[mm]、浸漬ノズルは2孔ノズルであり、吐出孔は高さ120[mm]×幅100[mm]であるような連続鋳造設備であるが、本発明はこれに限定されない。
表1に本発明を実機の連続鋳造機で試験した条件と結果を示す。
「浸漬深さ」とは、浸漬ノズル4の吐出孔上端位置62のことである。
評価は、ブレイクアウトが発生するか、鋳型に設置された熱電対による温度計測からブレイクアウトの危険性ありと判断された場合を不合格(×)とし、問題なく鋳造できた場合を合格(○)とした。不合格(×)の要因には下線を付してある。
No.4、9、10、15、199、22、23、33、37は比較例であり、不合格(×)と判断された。
No.4、15、199、22、23、33、37は、hが負値であることが、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)を0.38[s]より小さな値にしたと考えられる。
No.9、10は、hが正値をとっているが、磁束密度が0.38[T]と、0.40[T]を満たさないことが、凝固シェル再溶解時間(1/Pmax)を0.38[s]より小さな値にしたと考えられる。
比較例については、鋳造試験中に、ブレイクアウトが発生しているか、ブレイクアウトが発生する危険性ありと判断されている。
一方で、本発明例では、凝固シェル再溶解時間が0.38[s]となり、合格(○)となっており、本発明の方法が有効であることが示されている。
本発明の方法は、電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いた高いスループットの連続鋳造に利用可能である。
1…原点(0,0)、2…鋳型、21…鋳型短辺、22…鋳型長辺、3…電磁ブレーキ、31…鉄心、32…コイル、33…鉄心の中心(x,y)、4…浸漬ノズル、5…湯面、6…吐出孔、61…吐出孔角度、62…吐出孔上端、63…吐出孔下端(x,y)、64…吐出流、7…凝固シェル、71…凝固シェル厚み、8…溶鋼の流れ、81…流速基準1、82…流速基準2、9…計測点y

Claims (3)

  1. 鋳型長辺側に2本の鉄芯を具備する電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて、10[ton/min]〜15[ton/min]のスループットで鋳造する連続鋳造方法であって、
    鋳型短辺面の各位置において、溶鋼吐出流の単位体積・単位時間当たりの熱エネルギーをE 凝固シェルを溶解するのに必要な単位体積当たりのエネルギーをE、とするときに
    P=E/E …(式1)により計算されるPの鋳型内における最大値Pmaxの逆数(1/Pmax)が、0.38[s]以上となることを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 鋳型長辺側に2本の鉄芯を具備する電磁ブレーキを有する連続鋳造装置を用いて、10[ton/min]〜15[ton/min]のスループットで鋳造する連続鋳造方法であって、電磁ブレーキの鉄芯中心位置(x,y)[mm]、浸漬ノズルの吐出孔下端位置(x,y)[mm]および吐出孔角度αから
    h=y+(x−x)tanα−y …(式2)
    と計算される鋳型深さ方向の距離hが0[mm]以上であり、
    鋳型厚み中心における磁束密度は0.4[T]から0.5[T]である、
    ことを特徴とする連続鋳造方法。
  3. 浸漬ノズルの吐出孔上端が湯面から220〜400[mm]の位置にあることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造方法。
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