JP6379842B2 - 染色装置 - Google Patents

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本開示は、昇華性の染料を樹脂体に蒸着させて染色を行う染色装置に関する。
従来、昇華性の染料を樹脂体に蒸着させて、樹脂体の染色を行う技術が知られている。例えば、特許文献1が開示するプラスチックレンズの染色方法では、表面に昇華性の染料が塗布された基体が、真空雰囲気中でプラスチックレンズに非接触で対向される。次いで、加熱装置による加熱が行われることで、昇華性の染料が昇華されると共に、プラスチックレンズの表面上に染色層が形成される。
特開平1−277814号公報
ところで、上記に例示されるような加熱手段を用いる染色装置を設計した場合に、樹脂体の染色処理後の装置内の温度が高温となってしまう。そして、染色処理によって生じた熱が、装置内部の部材を覆う筐体に伝熱してしまう。これによって、加工者が装置(筐体)に触れた際に怪我をすること等の原因となる可能性がある。
本開示は、安全性の高い染色装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 本開示の第1態様に係る染色装置は、染色用基体に付着された昇華性の染料を、設置部に設置された樹脂体に蒸着させることで、前記樹脂体を染色する染色装置であって、前記樹脂体を染色するための加熱手段と、前記加熱手段を内部に収納するための筐体と、前記筐体と前記加熱手段との間に設けられ、前記加熱手段から発生した熱が前記筐体に伝熱することを抑制するための遮熱部と、を備えることを特徴とする。
染色装置1の斜視図である。 上蓋部4および前蓋部5が開放された状態の染色装置1の斜視図である。 上蓋部4の内部について説明する図である。 閉塞室20、および閉塞室20に付随する構成の斜視図である。 設置部50の斜視図である。 染色用基体57が設置された状態の設置部50の斜視図である。 染色装置1の断面を斜めから見た場合の概略構成図を示している。 染色装置1の電気的構成を示すブロック図である。 染色樹脂体製造工程を説明するためのフローチャートである。
本開示の典型的な実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態においては、以下の説明では、図1(a)の左斜め下側、右斜め上側、左斜め上側、右斜め下側を、それぞれ染色装置1の前方、後方、左側、右側とする。なお、本開示の技術は、染色処理工程の少なくとも一部に使用される染色装置においても適用することができる。
<概要>
本装置(染色装置)1は、樹脂体(本実施形態ではプラスチックレンズ)を染色するために用いられる。例えば、本実施形態において、染色装置1は、蒸着の工程と定着の工程を共に実行することによって、樹脂体の染色を行う染色装置を例に挙げて説明する。もちろん、染色装置1としては、蒸着工程のみを行う装置であってもよいし、定着工程のみを行う装置であってもよい。すなわち、染色装置1は、蒸着の工程と定着の工程をそれぞれ別装置で行うようにしてもよい。
例えば、染色装置1は、染色用基体に付着された昇華性の染料を、設置部に設置された樹脂体に蒸着させて定着させることで、樹脂体を染色する。例えば、染色装置1は、加熱手段(加熱部)等を備える。例えば、加熱手段は、樹脂体を染色するための構成である。
例えば、加熱手段としては、電磁波発生部11が用いられる。もちろん、加熱手段としては、樹脂体の温度を調整可能なものであればよい。例えば、加熱手段としては、温風を流す構成であってもよい。
例えば、加熱手段は、樹脂体を染色処理するために、蒸着工程及び定着工程において発熱する。もちろん、加熱手段は、蒸着工程と定着工程とで兼用されてもよいし、別途それぞれ設けられる構成としてもよい。
<冷却構成>
さらに、本実施形態における染色装置1は、冷却手段、流路等を備える。例えば、流路は、染色装置1の内部において気体が流れるための構成である。例えば、冷却手段は、流路に気体を流すための構成である。すなわち、冷却手段は、気流を発生させる。このように、冷却手段を設けることによって、染色を行った場合に、加熱手段が常時、高温状態となり、加熱手段が故障してしまうことを抑制することができる。また、装置内部の温度を低下させることができ、装置内部の各種部品の故障を抑制することができるとともに、装置の温度が上昇してしまうことを抑制し、装置の安全性を高めることができる。さらに、連続的に染色を行った際に、装置内の温度又は加熱手段の温度が高い状態によって生じる、色の変色や、色ムラ等の染色状態が良好でなくなることを抑制することができる。
例えば、冷却手段しては、冷却ファン8を用いる構成が挙げられる。本実施形態において、例えば、冷却ファン8は、気体を吸い込む構成の冷却ファン8を用いてもよい。この場合、例えば、冷却手段は、冷却ファン8を有し、冷却ファン8が駆動されることによって、染色装置1に設けられた給気口9から気体を染色装置1内部に吸い込み、染色装置1内部の流路を流れた気体を冷却ファン8から装置外部へと放出する。このとき、例えば、冷却ファン8は、加熱手段よりも上部に設けられており、染色装置1の上方から気体を放出する構成としてもよい。このように、外気を取り入れる構成とすることによって、染色装置1の内部を気体が良好に通過することができ、加熱手段や樹脂体を冷却した気体が染色装置1内に留まる状態を抑制することができるため、冷却を良好に行うことができる。また、加熱手段よりも上方に冷却ファン8を設けることがで、温度上昇をした気体が上方に集まるという性質を利用して、染色装置1内の上方部分に集まった気体を効率よく染色装置外部へ放出することができる。これによって、より効率的に染色装置1の内部の冷却を行うことができる。
なお、例えば、冷却ファンは、空気を吹き付ける構成を持つ冷却ファンを用いることによって、染色装置1の内部に空気を吹き付け、流路内に空気を流すようにしてもよい。また、例えば、冷却ファンは、冷却を行いたいものに対して、直接的に空気を吹き付けるようにしてもよい。
例えば、流路は、樹脂体を染色処理するために発熱した加熱手段に、冷却手段による気体が流れるように形成され、加熱手段を冷却する。また、例えば、流路は、染色処理によって加熱された樹脂体に、冷却手段による気体が流れるように形成され、加熱手段及び樹脂体を冷却するようにしてもよい。このような、加熱手段及び樹脂体に気体が流れるようにすることによって、加熱手段とともに、樹脂体を冷却することができるため、樹脂体を冷却する時間を短縮することができる。これによって、樹脂体を染色する染色時間を短縮することができる。すなわち、加熱手段とともに樹脂体を冷却することができるため、次の樹脂体の染色を行うまで時間を短縮することができる。なお、樹脂体を冷却する際には、樹脂体の設置された設置部50も冷却するようにしてもよい。
なお、例えば、加熱手段は、流路において、染色処理後に樹脂体が設置された設置部50が待機される位置よりも下流側の位置に設けられ、冷却手段の駆動によって流路に気体が流された際に、気体が前記樹脂体を介して加熱手段に流れる構成としてもよい。このように、樹脂体に気体が流れた後、加熱手段に気体が流れるように構成されることによって、加熱手段と樹脂体をともに冷却する際に、温度が上昇していない気体を樹脂体に流すことができ、樹脂体をより早く冷却することができる。すなわち、加熱手段に気体が流れる前に樹脂体に気体を流すことができるため、加熱手段によって温度が上昇していない気体を樹脂体に流すことができ、樹脂体をより早く冷却することができる。これによって、樹脂体の染色処理が完了する時間を短縮することができ、効率よく染色処理を行うことができる。
また、例えば、加熱手段は、染色処理時において、樹脂体が設置部50によって保持される位置よりも上方に配置され、樹脂体の上方から加熱することによって、染色処理を行う構成としてもよい。樹脂体の上方から加熱を行うことで染色処理を行う構成とすることによって、染色処理によって加熱された気体が下方に向かうことを抑制することができ、染色装置1内部の上方部のみを冷却するような冷却手段を設けるだけで、染色装置1の内部全体を効率的に冷却することができる。
なお、本実施形態において、染色処理後に樹脂体が設置された設置部50が待機される位置よりも、上流の位置に配置され、樹脂体へ気体が流れるための流路を制限する整流板35を流路に備えるようにしてもよい。このように、気体が樹脂体に向かう流路中に、整流板35を設けることによって、流路のサイズ(流路の断面積)が小さくなり、樹脂体に向かう気体の流速が加速するため、より多くの気体を樹脂体に送ることができ、効率よく冷却を行うことができる。また、整流板35によって、流路を制限するため、ほとんどの気体が樹脂体を通過する流路となり、より効率よく冷却を行うことができる。
<遮熱構成>
さらに、本実施形態における染色装置1は、遮熱手段(遮熱部)60等を備える。例えば、遮熱部60は、加熱手段を内部に収納するための筐体2と、加熱手段と、の間に設けられ、加熱手段から発生した熱が筐体2に伝熱することを抑制する。これによって、加熱手段からの熱によって、染色装置1の内部の部材を覆う筐体2が加熱されてしまうことを抑制することができる。これによって、加工者が染色装置1(筐体2)に触れた際に、怪我をする等を抑制し、安全性の高い装置を提供することができる。
例えば、遮熱部60は、連結部材67によって、筐体2に連結される。もちろん、遮熱部60は、染色装置1内における筐体2とは異なる部分に連結されるようにしてもよい。例えば、連結部材67は、遮蔽部60の一部分で支持し、筐体2の一部分で支持することによって、遮蔽部60と筐体2とを連結する。このように、遮蔽部60と筐体2を一部分で連結し、接触面積を少なくすることによって、遮熱部60から筐体2への伝熱を抑制することができる。
例えば、遮熱部60は、筐体2と遮熱部60との間に空間を設けるように、筐体2と加熱手段の間に設置される構成としてもよい。そして、冷却手段によって流れる気体が筐体2と遮熱部60との間を通過するようにするとよい。このように、筐体2と遮熱部60との間に空間が設けられていることによって、冷却手段によって流れる気体が空間を通過することができ、筐体2と遮熱部60を冷却することができるため、遮熱部60から筐体2への伝熱を抑制することができるとともに、染色装置1の内部の部材を覆う筐体2が加熱されてしまうことをさらに抑制することができる。
また、例えば、遮熱部60は、加熱手段と遮熱部60の間に空間を設けるように、筐体2と加熱手段の間に設置されるようにしてもよい。そして、冷却手段によって流れる気体が加熱手段と前記遮熱部60との間を通過するようにするとよい。加熱手段と遮熱部60との間に空間が設けられていることによって、冷却手段によって流れる気体が空間を通過することができ、加熱手段と遮熱部60を冷却することができるため、遮熱部60から筐体2への伝熱を抑制することができるとともに、染色装置1の内部の部材を覆う筐体2が加熱されてしまうことをさらに抑制することができる。
例えば、遮熱部60は、加熱手段が電磁波によって樹脂体を染色する構成である場合に、加熱手段による熱を遮熱するとともに、加熱手段から照射される電磁波を反射する構成としてもよい。この場合、例えば、遮蔽部60に、遮熱性が高く、電磁波の反射率の高い部材(例えば、ステンレス、鉄等)が用いられる構成が挙げられる。これによって、効率的に加熱を行うことができ、効率的に染色処理が行えるとともに、遮熱も行うことができる。
<実施例>
以下、本開示における一実施例について、図面を参照して説明する。まず、図1、図2を参照して、本実施例に係る染色装置1の概略構成について説明する。図1(a)は、染色装置1の前面側から見た場合の斜視図である。図1(b)は、染色装置1を背面側から見た場合の斜視図である。図2は、染色装置1の前面側から見た場合の上蓋部4および前蓋部5が開放された状態の染色装置1の斜視図である。
染色装置1は、略直方体形状の筐体2を備える。筐体2は、樹脂体(本実施例ではプラスチックレンズ)を染色するための各種構成を内部に収容する。例えば、筐体2は、基部3、上蓋部4、及び前蓋部5、を備える。例えば、基部3は、染色装置1の全体を支持する。例えば、上蓋部4は、基部3の後部において上下方向に回動可能に支持されている。上蓋部4の前部を上方に回動させることで、筐体2の上方が開放される。例えば、前蓋部5は板状であり、基部3の正面側端部の下端において前後方向に回動可能に支持されている。前蓋部5の上部を前方に回動させることで、筐体2の前方が開放される。基部3の正面側端部には、給気口(開口部)9が設けられている。
例えば、基部3の上面の中央には、表面にタッチパネル6を備えたディスプレイ7が設けられている。作業者は、タッチパネル6を操作することで、各種指示を染色装置1に入力できる。例えば、上蓋部4の背面側には、染色装置1の内部を冷却するための冷却ファン8が、左右に2つ並べて設けられている。もちろん、冷却ファン8の数は、2つに限定されない。冷却ファン8を少なくとも1つ以上設ける構成であればよい。例えば、冷却ファン8は、給気口9とともに、冷却手段として用いられ、主に、後述する加熱部(加熱手段)10の電磁波発生部11、の温度を低下させるために用いられる。冷却ファン8が駆動されることによって、給気口9から空気を染色装置1の内部に吸い込み、染色装置1の内部を流れた空気を冷却ファン8から染色装置1の外部へと放出する(詳細は後述する)。なお、本実施例においては、空気を吸い込む場合を例に挙げているがこれに限定されない。染色装置1の内部に流れる気体は、種々の気体を用いてもよい。例えば、酸素、窒素等が挙げられる。
図2に示すように、筐体2の内部には、主に、加熱部10、閉塞室20、設置部前後動機構40、および設置部50等が収容されている。例えば、加熱部10は、プラスチックレンズと、染色用基体57(図6参照)に付着した昇華性の染料とを加熱するために設けられる。例えば、閉塞室20は、設置部50に設置されたプラスチックレンズの周囲を閉塞し、略真空の空間を内部に形成する。例えば、設置部前後動機構40は、設置部50を前後方向に移動させる。設置部50には、プラスチックレンズおよび染色用基体57が設置される。以下、各構成について、図2から図8を参照して詳細に説明する。
<加熱部>
加熱部10について説明する。図2に示すように、例えば、加熱部10は、電磁波発生部11、分布調整部14、調整部回転モータ80(図8参照)、遮熱部60、モータギア17、および調整部装着ギア18を備える。
<電磁波発生部>
電磁波発生部11について説明する。本実施例の電磁波発生部11は、プラスチックレンズおよび染色用基体57(図6参照)によって吸収される電磁波(本実施例では赤外線)を発生させる。具体的には、赤外線を発生させる赤外線ヒータ12が電磁波発生部11に使用されている。しかし、ハロゲンランプ、遠赤外線ヒータ等の他の構成を電磁波発生部11に使用することも可能である。また、電磁波発生部11は、紫外線、マイクロ波等の電磁波を発生させる構成を使用してもよい。電磁波発生部11は、2つのプラスチックレンズの染色を同時に実行できるように、上蓋部4の内側(つまり、上蓋部4が開放された状態では正面側)に、左右に並べて2つ設けられている。なお、電磁波発生部11によって生じる電磁波の全てがプラスチックレンズに吸収される必要は無い。また、同時に染色できる樹脂体の数が2つに限られないことは言うまでも無い。
電磁波発生部11において電磁波を発生する発生部位は、分布調整部14に設けられた開口部15の形状に対応する環状に形成されている。電磁波の発生部位の形状と開口部15の形状とを対応させることで、板状、直線状等の他の形状の発生部位を採用する場合に比べて、分布調整部14によって遮断される電磁波の量が減少する。その結果、電磁波が効率よく分布調整部14の開口部15からプラスチックレンズに照射される。なお、「対応する環状」とは、電磁波の発生部位の形状と、分布調整部14の開口部15の形状は、略一致していればよく、且つ、両者の大きさ(例えば直径)は必ずしも完全に一致させる必要は無い。
本実施例において、例えば、電磁波発生部11は、複数の赤外線ヒータ12が組み合わされることで、環状の発生部位が形成されている。具体的には、2つのU字状の赤外線ヒータ12の各々のU字部分によって円環が形成されるように、2つの赤外線ヒータ12が配置されている。円環状の発生部位を有する赤外線ヒータは、U字状等の他の形状の赤外線ヒータに比べて製造し難く、高いコストを要する。しかし、複数の赤外線ヒータ12を組み合わせることで、環状の発生部位が容易に低コストで形成される。なお、1つの電磁波発生部位11に使用する赤外線ヒータ12の数および形状を変更できることは言うまでもない。また、本実施例では、図2に示すように、2つのU字状の赤外線ヒータ12が交差するように配置される。換言すると、一方の赤外線ヒータ12の電磁波発生部位が含まれる平面と、他方の赤外線ヒータ12の電磁波発生部位が含まれる平面とが、2つの赤外線ヒータ12の配設位置で交差する。その結果、プラスチックレンズに照射される電磁波の強度にむらが生じることが抑制される。また、電磁波の発生部位を環状に形成する場合、発生部位は連続した環状でなく断続した環状であってもよい。
<分布調整部>
分布調整部14について説明する。図2に示すように、分布調整部14は、上蓋部4が開放された状態で、2つの電磁波発生部11の各々の正面側に位置するように、左右に並べて2つ設けられている。従って、上蓋部4が閉鎖されると、分布調整部14は電磁波発生部11の下方に位置する。
例えば、分布調整部14は板状である。分布調整部14には、電磁波発生部11が発生させた電磁波の一部を通過させる開口部15が形成される。染色装置1は、電磁波発生部11から下方に照射される電磁波の強度分布を、分布調整部14の開口部15によって調整する。詳細には、開口部15は断続した環状に形成される。染色装置1は、環状の開口部15に電磁波を通過させることで、下方に照射される電磁波のビームにおける中心部の強度と周辺部の強度とを、簡易な構成で容易に調整することができる。なお、開口部15の形状は、染色する樹脂体の形状に応じて適宜変更できる。よって、多角形の環状、楕円形の環状等の他の形状の開口部を用いることも可能である。
例えば、2つの分布調整部14の各々には、大きさおよび形状の少なくとも一方が異なる複数の開口部15(本実施形態では、2つの開口部15A,15B)が形成されている。例えば、染色装置1は、加熱する物体(例えばプラスチックレンズ)と電磁波発生部11との間に位置させる開口部15A,15Bを切り替えるだけで、物体に照射させる電磁波の強度分布を容易に切り替えることができる。なお、分布調整部14に形成する開口部15の数が2つに限定されないことは言うまでもない。
図2に示すように、上蓋部4には、調整部回転モータ80(図8参照)によって回転される2つのモータギア17が設けられている。モータギア17は、2つの調整部装着ギア18の各々に噛み合い、調整部装着ギア18を回転させる。2つの調整部装着ギア18の各々の先端側(図2の状態では正面側)には、分布調整部14が着脱可能に装着される。染色装置1は、調整部回転モータ80を駆動して分布調整部14を回転させることで、分布調整部14の姿勢を切り替える。その結果、加熱する物体と電磁波発生部11との間に位置する開口部15A,15Bが、作業者の作業を要することなく自動的に切り替わる。なお、使用する開口部15A,15Bを切り替える方法は変更できる。例えば、分布調整部14を回転させずに平行にスライドさせることで、分布調整部14の位置を変更し、開口部15A,15Bを切り替えてもよい。
<遮熱部>
図2、図3を参照して遮熱部60について説明する。図3(a)は、図2の上蓋部4の内部の斜視図である。図3(b)は、図2の上蓋部4の内部を前面方向から見た場合の正面図である。遮熱部60は、筐体2(本実施例では、筐体2の上蓋部4)と加熱部10の電磁波発生部11との間に設けられ、熱が筐体2に伝熱することを抑制する。例えば、遮熱部60は、遮熱部材62、遮熱部材64、遮熱部材65、遮熱部材66、連結部材(本実施例においては、支柱)67等を備える。例えば、各遮熱部材は、電磁波発生部11によって生じた熱を遮熱するとともに、電磁波発生部11から照射される電磁波を反射する。本実施例においては、各遮熱部材には、鉄、ステンレス等が用いられる。本実施例においては、ステンレスが用いられる。このように、遮蔽部材に、遮熱性が高く、電磁波の反射率の高い部材を用いることによって、効率的に加熱を行うことができ、効率的に染色処理が行えるとともに、遮熱も行うことができる。なお、本実施例においては、各遮熱部材として、遮熱性が高く、電磁波の反射率の高い部材が用いられる構成としたがこれに限定されない。例えば、各遮熱部材の部材としては、少なくとも遮熱性の高い部材であればよい。また、各遮熱部材によって、それぞれ異なる材料を用いる構成としてもよい。なお、本実施例において、例えば、各遮熱部材によって反射される電磁波が、プラスチックレンズ方向に反射されるように構成をするとより好ましい。このような構成とすることによって、より効率的に染色処理が行うことができる。
例えば、遮熱部材62は、板状の形状をしており、2つの電磁波発生部11の背面側に設けられている。もちろん、遮熱部材は、板状の形状でなく種々の形状(例えば、部分的に厚みを変更した形状等)にて形成することができる。例えば、遮熱部材62は、連結部材67によって筐体2の基部68に4つの位置で固定されている。もちろん、遮熱部材62は基部68に固定できればよく、固定位置や固定するための連結部材67の総数は、任意に設定できる。例えば、本実施例において、連結部材67は、遮蔽部材62の一部分で支持し、筐体2(本実施例においては、筐体2の基部68)の一部分で支持することによって、遮蔽部材62と筐体2とを連結する。このように、遮蔽部材62と基部68を一部分で連結し、遮蔽部材62と基部68との連結部分の面積を少なくすることによって、電磁波発生部11の熱によって加熱された遮熱部材62から、筐体2への伝熱を抑制することができる。もちろん、より連結部分の面積の大きな連結部材を用いる構成であってもよい。また、本実施例においては、基部68を介して、遮熱部材62と筐体2とが連結されているが、基部68を用いない構成であってもよい。この場合、遮熱部材62は、連結部材67によって、筐体2に直接的に固定される。
また、本実施例において、筐体2(本実施例においては、基部68)に対して、所定の間隔を持つように、遮熱部材62が基部68に固定されている。これによって、基部68と遮熱部材62との間において、空間が形成されている。この空間を、冷却手段(本実施例においては、冷却ファン8)によって取り込まれた空気が流れる(通過する)ことができる。このような構成とすることによって、冷却手段によって流れる空気が空間を通過することができ、筐体2と遮熱部材62を冷却することができるため、遮熱部材62から筐体2への伝熱をより抑制することができる。もちろん、筐体2と遮熱部材62との間に空間を設けることなく、筐体2に対して、遮熱部材62を固定するようにしてもよい。
さらに、本実施例においては、電磁波発生部11に対して所定の間隔を持つように、遮熱部材62が基部68に固定されている。これによって、電磁波発生部11と、遮熱部材62との間において、空間が形成されている。この空間を、冷却ファン8によって取り込まれた空気が流れることができる。このような構成とすることによって、冷却手段によって流れる空気が空間を通過することができ、電磁波発生部11と遮熱部材62を冷却することができるため、遮熱部材62から筐体2への伝熱をより抑制することができる。もちろん、電磁波発生部11と遮熱部材62との間に空間を設けることなく、筐体2に対して、遮熱部材62を固定するようにしてもよい。
例えば、遮熱部材62の大きさ(サイズ)は、2つの電磁波発生部11を覆う大きさで形成されている。もちろん、遮熱部材62の大きさは、筐体2に伝熱することを抑制できる構成であればよく、任意の大きさに形成してもよい。好ましくは、少なくとも電磁波発生部11を覆うことができる大きさで形成されるとよい。また、本実施例においては、1つの遮熱部材62によって、電磁波発生部11の背面を覆う構成としているがこれに限定されない。例えば、複数(例えば、2つ)の遮熱部材の組み合わせによって、電磁波発生部11の背面を覆う遮熱部が構成されてもよい。
例えば、遮蔽部材64は、2つの電磁波発生部11の間に配置される。例えば、遮熱部材64は、2つの電磁波発生部11の両方の側方部分(染色装置1の中心側の側方)を覆うために用いられる。本実施例において、1つの遮熱部材64が、2つの電磁波発生部11の両方の側方部分を覆うための遮熱部材として共有して用いられる。もちろん、2つの電磁波発生部11の側方をそれぞれ覆うための遮熱部材64がそれぞれ別途設けられる構成としてもよい。遮熱部材64が配置されることによって、2つの電磁波発生部11における一方の電磁波発生部11による熱が他方の電磁波発生部11へ伝熱することを抑制することができる。また、一方の電磁波発生部11から他方の電磁波発生部11へ電磁波が照射されることを抑制することができる。これによって。染色処理時において、左右の電磁波発生部11のそれぞれの調整を良好に行うことができる。すなわち、一方の電磁波発生部11による影響が他方の電磁波発生部11に生じることを抑制することで、染色処理の際に、染色の条件が設定していた条件と異なる条件となってしまうことを抑制することができ、良好に染色処理を行うことができる。
例えば、本実施例において、遮熱部材64は、連結部材69によって遮蔽部材62に2つの位置で固定されている。このため、遮熱部材64は、遮蔽部材62を介して筐体2に固定されている。もちろん、遮熱部材69は、固定位置や固定するための連結部材67の総数(例えば、3つ等)は、任意に設定できる。例えば、遮熱部材69は、遮蔽部材62を介することなく、筐体2又は基部68に直接的に連結されてもよい。また、例えば、遮熱部材69は、遮蔽部材62と一体的に構成されてもよい。
例えば、遮蔽部材64の大きさ(サイズ)は、2つの電磁波発生部11の側方を覆う大きさで形成されている。もちろん、遮蔽部材64の大きさは、2つの電磁波発生部11の間における伝熱することを抑制できる構成であればよく、任意の大きさに形成してもよい。好ましくは、少なくとも電磁波発生部11の側方を覆うことができる大きさで形成されるとよい。
例えば、遮蔽部材65及び遮蔽部材66は、電磁波発生部11の側方(染色装置1の端部側の側方)を覆うために用いられる。遮蔽部材65及び遮蔽部材66は、左右の電磁波発生部11の側方をそれぞれ覆うことによって、電磁波発生部11の側方から照射される電磁波を抑制するとともに、側方から電磁波発生部11による熱が筐体2及び他の部材等へ伝熱することを抑制することができる。例えば、本実施例において、遮蔽部材65及び遮蔽部材66は、遮蔽部材62と一体的に構成されている。このため、遮蔽部材65及び遮蔽部材66は、遮蔽部材62と同様に連結部材67によって、基部68に固定されている。もちろん、遮蔽部材65及び遮蔽部材66が、遮蔽部材62と別の構成として設けられ、連結されている構成であってもよい。例えば、遮蔽部材65及び遮蔽部材66の大きさ(サイズ)は、2つの電磁波発生部11の側方を覆う大きさで形成されている。もちろん、遮蔽部材65及び遮蔽部材66の大きさは、筐体2に伝熱することを抑制できる構成であればよく、任意の大きさに形成してもよい。好ましくは、少なくとも電磁波発生部11の側方を覆うことができる大きさで形成されるとよい。
上記のように、筐体2と電磁波発生部11との間に遮熱部60を設けることによって、
電磁波発生部11の発熱によって、染色装置1の内部の部材を覆う筐体2が加熱されてしまうことを抑制することができる。これによって、加工者が染色装置(筐体)に触れた際に、怪我をする等を抑制し、安全性の高い装置を提供することができる。また、本実施例のように、電磁波発生部11が、蒸着処理等を行うための閉塞室20の外部に設けられているような構成の場合に、遮熱部材を設けることがより有用となる。すなわち、閉塞室20の外部に電磁波発生部11が設けられることで、筐体2と電磁波発生部11がより接近する。この場合であっても、遮熱部材62によって、筐体2が加熱されてしまうことを抑制することができる。なお、電磁波発生部11を閉塞室20の外部に設ける理由としては、電磁波発生部11のクリーニングをしやすくするため、気圧の変更によって電磁波発生部11が故障しないようにするための理由が挙げられる。また、閉塞室20の大きさを小さくし、気圧等を調整する際の時間を短縮することによって、染色処理のサイクルを短縮するための等の理由が挙げられる。
なお、遮熱部60は、上記実施例に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは勿論である。例えば、さらに、基部68が遮熱部材として用いられる構成としてもよい。また、例えば、染色装置の各部材を覆うような遮熱部材をそれぞれ設ける構成としてもよい。このような構成とすることによって、電磁波発生部11による熱が他の部材や筐体2へ伝熱することをより抑制することができる。
<閉塞室>
閉塞室20、および閉塞室20に付随する構成について説明する。図2に示すように、閉塞室20は、筐体2の内部の略中央に設けられている。筐体2の上蓋部4が閉鎖されると、閉塞室20は加熱部10の下方に位置する。図4に示すように、閉塞室20の形状は、略矩形の箱状形状である。閉塞室20は、閉塞室本体21と閉塞室前壁22(図2および図6参照)とを備える。閉塞室本体21は、正面側が開放された略箱状である。閉塞室前壁22は、閉塞室本体21の正面側の開放部を閉塞することができる。
図4に示すように、閉塞室本体21の上壁には、円筒状の電磁波通過部23が左右に2つ並べて設けられている。電磁波発生部11(図2参照)が発生させた電磁波は、電磁波通過部23の内部の空間を通過して閉塞室20の内部へ至る。2つの電磁波通過部23の各々には、閉塞室20の内部の雰囲気温度を検出する熱電対24が設置されている。
図2に示すように、2つの電磁波通過部23における各々の上端縁部には、電磁波通過部23の内径よりも径が大きい円盤状の透過部25が、電磁波通過部23の上部開口を閉塞するように設置される。透過部25は、電磁波発生部11が発生させる電磁波の少なくとも一部を透過させる材質で形成されればよい。さらに、透過部25の材質は、電磁波によって上昇する温度に耐え得る耐熱性を有することが望ましい。本実施形態では、透過部25の材質として、赤外線を透過させる耐熱ガラスが用いられている。しかし、これは一例であり、透過部25の材質を変更することは可能である。閉塞室20は、閉塞室本体21、閉塞室前壁22、電磁波通過部23、および透過部25によって、内部の空間を閉塞する。閉塞室20の内部と電磁波発生部11との間の部位に透過部25を設置すれば、閉塞室20の外部に電磁波発生部11を設置しても、電磁波は閉塞室20の内部に照射される。従って、電磁波発生部11は、閉塞室20の内部における気圧の変化の影響を受けない。
閉塞室本体21の背面側には、給排気管(図示せず)が接続されている。染色装置1は、ポンプ31および電磁弁33を備える(図8参照)。染色装置1のCPU(制御部)70は、ポンプ31を駆動することで、閉塞室20内の気体を給排気管から外部へ排出し、閉塞室20内の気圧を低下させることができる。また、染色装置1は、電磁弁33を閉じることで、閉塞室20内の密閉性を保つ。さらに、染色装置1は、電磁弁33を開放させることで、減圧状態の閉塞室20内に外部から気体を導入させて、閉塞室20内の気圧を上昇させる。なお、閉塞室20(本実施形態では閉塞室本体21の背面)には、閉塞室20内の気圧を検出する圧力センサ84(図8参照)が設けられている。なお、透過部25は、気圧を低下させた際に生じる荷重(例えば、大気圧による荷重)に耐えることのできる厚み(例えば、6.5mm)によって形成されている。もちろん、透過部25は、透過部25の厚みによって、荷重に耐えることができるようにする構成に限定されない。例えば、透過部25は、強度の高い材料を用いること、透過部の形状を変更すること(例えば、球状にする)等によって、荷重に耐えることができるようにしてもよい。このような構成とすることによって、閉塞室20内の気圧を低下させた場合であっても、透過部25が破損する可能性を抑制することができる。
<設置部前後動機構>
設置部前後動機構40について説明する。前述したように、設置部前後動機構40は、設置部50(図2および図5参照)を前後方向に移動させる。例えば、設置部前後動機構40は、前後動モータ81(図8参照)を備える。前後動モータ81は、設置部50を前後動させるための動力を発生させる。設置部50は、設置部前後動機構40の前後動モータ81が駆動されることによって、前後方向に移動される。設置部50は、設置部前後動機構40によって後方に移動すると、閉塞室20の内部に納まる。設置部50は、前方に移動すると、閉塞室20および筐体2(図2参照)の外部に位置する。
<設置部>
設置部50について説明する。前述したように、設置部50には、プラスチックレンズおよび染色用基体57が設置される。図5に示すように、例えば、設置部50は、支持板51と、2つの円筒部53とを備える。例えば、支持板51は、平面視略矩形の板状部材である。例えば、円筒部53の内径は、染色するプラスチックレンズの径よりもやや大きく形成されている。例えば、2つの円筒部53は、支持板51の上面に、左右に並べて設けられている。2つの円筒部53の各々によって囲まれた部位(つまり、円筒部53の内壁の部分)は、装着部52となる。装着部52には、樹脂体(本実施例ではプラスチックレンズ)が装着される。プラスチックレンズは、装着部52に載置(設置)された状態で加熱される。
図6に示すように、例えば、設置部50の正面側には閉塞室前壁22が固定される。また、染料をプラスチックレンズに蒸着させる工程では、染色用基体57を保持した基体保持枠58が、円筒部53の上部に載置(設置)される。本実施例では、染色用基体57には、適度な硬さの矩形の紙が用いられる。しかし、染色用基体57の材質には、ガラス板、耐熱性樹脂、セラミック、金属フィルム等の他の材質を用いることも可能である。耐熱性があり、且つ染料と化学反応を起こさない材質を染色用基体57の材質として採用することが望ましい。染色用基体57の下側の面(つまり、プラスチックレンズに対向する側の面)には、目的とする染色の態様に応じて、昇華性の染料が溶解または微粒子分散されたインク(染色用用材)が、プリンタによって印刷されている。プリンタを駆動するための印刷データ(色データ)は、作業者が所望する箇所に所望する色・濃度の色が染色されるように、電子計算機であるパーソナルコンピュータ(PC)によって作成される。従って、染色用基体57には、適切な位置に適切な量の昇華性染料が正確に付着する。印刷データを保存しておけば、同様の染色を複数回実行することも容易である。浸染法等の他の染色方法に比べて、グラデーション等の複雑な染色を行うことも容易である。染色用基体57に付着させる染料の色は、1色でも複数色でもよい。
例えば、基体保持枠58は、外形が平面視略矩形状の板状部材であり、染色用基体57を保持する。例えば、基体保持枠58には、設置部50の円筒部53(図5参照)の位置および大きさに対応するように、円形の開口が左右に2つ並べて形成されている。開口が形成された位置では、電磁波は基体保持枠58で遮断されることなく染色用基体57に直接照射される。また、染色用基体57から昇華した染料は、下方のプラスチックレンズ側へ円滑に流れる。なお、本実施例では、基体保持枠58は磁性体(例えば、鉄)によって形成される。基体保持枠58が円筒部53の上端部に設置されると、染色用基体57の下方の面は、装着部52上に設置されたプラスチックレンズに非接触で対向する。
染色装置1には、図示無き退避機構が備えられている。退避機構は、基体保持枠58によって保持された染色用基体57(図6参照)を、設置部50から退避させる。染色装置1の制御部70は、染色用基体57の染料の加熱(蒸着の工程)が完了すると、設置部前後動機構40(図2参照)によって、閉塞室本体21(図4参照)の内部から前方に設置部50(図5参照)を移動させる。このとき、退避機構の図示無き磁石に基体保持枠58を吸着させる。これによって、基体保持枠58によって保持された染色用基体57は、退避機構によって自動的に設置部50から退避される。
<冷却手段>
図7を参照して、冷却手段について説明する。図7は、染色装置1の断面を斜めから見た場合の概略構成図を示している。図7においては、設置部50が、閉塞室20の前側の空間(前室)で、待機している場合を例に挙げて説明する。なお、本実施例において、染色処理後において、閉塞室20の前側の空間でプラスチックレンズが待機される。例えば、染色処理後とは、蒸着工程(図9のS4参照)後、プラスチックレンズLEの徐冷時(S8)等が挙げられる。
例えば、本実施例において、冷却手段は、電磁波発生部11及びプラスチックレンズLEを冷却するために用いられる。例えば、本実施例において、冷却手段は、冷却ファン8を備える。例えば、冷却ファン8は、染色装置1の内部において気体が流れるための流路に気体(本実施例では、空気)を流すために用いられる。染色装置1の制御部70は、冷却ファン8の駆動を制御することによって、流路に空気を流す。例えば、制御部70は、冷却ファン8を駆動することによって、給気口9から空気を染色装置1の内部に吸い込ませ、染色装置1の内部の流路を流れた空気を冷却ファン8から染色装置1の外部へと放出させる。
例えば、冷却ファン8は、電磁波発生部11よりも上方に設けられており、染色装置1の内部の上部から気体を放出する。さらに、本実施例において、冷却ファン8は、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも上方に設けられている。もちろん、冷却ファン8は、電磁波発生部11又は染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置、の少なくとも一方の上方に設けられている構成であってもよい。温度上昇をした空気は上方に集まる性質がある。このため、上記のように、冷却ファン8を電磁波発生部11よりも上方に設けることによって、温度の高い空気を効率よく染色装置1の外部へ放出することができる。さらに、本実施例においては、冷却ファン8は、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも上方に設けられているため、より効率的に、温度の高い空気を染色装置1の外部へ放出することができる。
なお、冷却ファンの8の位置は上記構成に限定されない。冷却ファン8の位置は、染色装置1の流路に空気を流すことができる位置であればよい。なお、冷却ファン8の位置は、効率的に冷却を行うために、電磁波発生部11又は染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置、の少なくとも一方の位置に応じて変更することが好ましい。例えば、電磁波発生部11が上方に設けられた場合には、電磁波発生部11よりも上方に設けられる構成が好ましい。また、例えば、電磁波発生部11が下方に設けられ、下方より電磁波を照射し、電磁波発生部11の上方に位置したプラスチックレンズLEを染色処理するような構成の場合、冷却ファン8は、電磁波発生部11が位置する部位にあわせて、本実施例における冷却ファンの位置よりも下方に冷却ファンを設けるようにしてもよい。
染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも少なくとも上方に設けられる構成であればよい。
例えば、流路は、プラスチックレンズLEを染色処理するために発熱した電磁波発生部11に、冷却ファン8によって生じた空気が流れるように形成されている。なお、本実施例において、流路は、電磁波発生部11の他に、さらに、染色処理によって加熱されたプラスチックレンズLEにも、空気が流れるように形成されている。例えば、本実施例において、流路は、給気口9、整流板35、カバー36、給気口37等によって形成される。
なお、本実施例において、電磁波発生部11は、流路において、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも下流側の位置に設けられる。このため、冷却ファン8の駆動によって流路に空気が流された際に、空気がプラスチックレンズLEを介して電磁波発生部11に流れる。上記のように、プラスチックレンズLEに空気が流れた後、電磁波発生部11に空気が流れるように構成されることによって、電磁波発生部11に空気が流れる前にプラスチックレンズLEに空気を流すことができる。このため、温度が上昇していない状態の空気をプラスチックレンズLEに流すことができ、プラスチックレンズLEをより迅速に冷却することができる。これによって、プラスチックレンズLEの染色処理が完了する時間を短縮することができ、効率よく染色処理を行うことができる。また、電磁波発生部11は、プラスチックレンズLEに比べて、空気の温度を大きく上昇させやすいため、プラスチックレンズLEの前に、電磁波発生部11に空気が流れる場合には、大きく温度上昇のした空気をプラスチックレンズLEに流すことになる。このため、効率よく冷却を行うことができない。本実施例においては、空気の温度上昇の小さいプラスチックレンズLEに空気が流れた後、電磁波発生部11に空気が流れるように構成されることによって、効率よく冷却を行うことができる。なお、本実施例においては、空気の温度上昇の小さいプラスチックレンズLEに空気が流れた後、電磁波発生部11に空気が流れるような構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。電磁波発生部11は、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも上流側の位置に設けられてもよい。
例えば、給気口9は、染色装置1の外部から染色装置1の内部へ空気を吸い込む(取り込む)ために用いられる。例えば、給気口9の位置としては、染色装置1の前面側の上方に設けられている。もちろん、給気口9の位置は任意の位置に配置することができる。なお、給気口9の位置は、冷却ファン8を駆動させた際に空気が少なくとも電磁波発生部11に流れるように形成されることが好ましい。さらに、より好ましくは、給気口9の位置は、電磁波発生部11及びプラスチックレンズLEに空気が流れるように形成されるようにするとよい。
例えば、整流板35は、プラスチックレンズLEへ空気が流れるための流路を制限する。例えば、制限することによって、流路の面積を小さくすることや、流路の方向(空気の進行の方向)を変更することができる。すなわち、整流板35は、給気口9から吸い込まれた空気を効率的にプラスチックレンズLEに流れるようにするために用いられる。例えば、整流板35は、鉄、ステンレス、プラスチック等の材料を用いて形成されている(本実施例においては、ステンレスを用いる)。
例えば、整流板35は、給気口9の背面側に配置され、給気口9からの空気の流路を制限して、空気の進行方向を変更する。これによって、整流板35は、閉塞室20の前側の空間で待機される設置部50に配置されたプラスチックレンズLEへ向けて空気を流すことができる。なお、本実施例においては、整流板35が給気口9の背面側に配置される構成としたがこれに限定されない。整流板35は、流路において、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも、上流の位置に配置される構成であればよい。例えば、整流板35は、給気口9の背面下側に配置されてもよいし、背面上側に配置されてもよい。もちろん、染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置に応じて、整流板35の配置位置も変更される。
なお、本実施例においては、プラスチックレンズLEと設置部50が冷却される構成となっているが、プラスチックレンズLEと設置部50の内、少なくともプラスチックレンズLEが冷却される構成であればよい。なお、本実施例においては、整流板35は、給気口9から吸い込まれた空気を効率的にプラスチックレンズLEに流れるようにするために用いられているがこれに限定されない。電磁波発生部11に向けて空気を効率的に流すための整流板が設けられてもよい。
上記のように、空気がプラスチックレンズLEに向かう流路中に、流路を制限するための整流板35を設けることによって、流路のサイズ(流路の断面積)が小さくなり、プラスチックレンズLEに向かう空気の流速が加速する。また、整流板によって、流路の方向をプラスチックレンズLEに向かう方向へ変更することができ、ほとんどの空気をプラスチックレンズLEに流すことが可能となる。このため、染色装置1は、より多くの空気をプラスチックレンズLEに流すことができ、効率よく冷却を行うことができる。
例えば、カバー36には、給気口(開口部)37が設けられている。例えば、カバー36は、鉄、ステンレス、プラスチック等の材料を用いて形成されている(本実施例においては、鉄を用いる)。例えば、カバー36及び給気口37は、プラスチックレンズLEを流れた(通過した)空気を電磁波発生部11に向けて流すために用いられる。また、カバー36は、電磁波発生部11からの電磁波が染色装置1の内部の各種部品に照射されることを抑制するために用いられる。また、給気口37は、電磁波発生部11と略同一の高さに形成されている。もちろん、略同一とは、完全な同一も含む。このように、電磁波発生部11の周辺に給気口37が設けられることによって、電磁波発生部11に空気を効率よく集めることができる。このため、電磁波発生部11が効率よく冷却される。なお、本実施例においては、給気口37は、電磁波発生部11と略同一の高さに形成されている構成を例に挙げたがこれに限定されない。給気口37は、電磁波発生部11に空気を流せるような位置に形成されればよい。より好ましくは、給気口37は、電磁波発生部11の周辺に形成されるとよい。
冷却手段の動作について説明する。制御部70は、冷却ファン8を駆動させる。冷却ファン8が駆動されると、冷却ファン8が染色装置1の内部の空気を染色装置1の外部へ放出するようになる。これに伴って、染色装置1の外部に存在する空気が、給気口9から染色装置1の内部に吸い込まれる。給気口9から吸い込まれた空気は、整流板35によって、下方に向けて進行方向が変えられる。下方に向かった空気は、プラスチックレンズLE及び設置部50に当たり、上方方向へと進行方向を変える。上方に向かった空気は、カバー36に当たるとともに、カバー36に設けられた給気口37から電磁波発生部11に向けて放出される。給気口37を通過した空気は、電磁波発生部11、遮熱部60及び筐体2の内部側等を流れ、冷却ファン8から染色装置1の外部へ放出される。例えば、空気が電磁波発生部11の領域を流れる際、電磁波発生部11と遮熱部60の間の空間を流れるとともに、遮熱部60と筐体2(本実施例においては、基部68)との間の空間にも、一部の空気が流れる。
以上のように、冷却手段を設けることによって、染色を行った場合に、電磁波発生部11が、常時、高温状態となり、電磁波発生部11が故障してしまうことを抑制することができる。また、染色装置1の内部の温度を低下させることができ、染色装置1の内部の各種部品の故障を抑制することができるとともに、染色装置1の温度が上昇してしまうことを抑制し、染色装置1の安全性を高めることができる。さらに、連続的に染色を行った際に、染色装置1の内部の温度又は電磁波発生部11の温度が高い状態によって生じる、色の変色や、色ムラ等の染色状態が良好でなくなることを抑制することができる。また、本実施例のように、電磁波発生部11の他に、プラスチックレンズLEにも、空気が流れるようにすることによって、染色処理によって温度の上昇したプラスチックレンズLEを冷却する時間を短縮することができる。これによって、プラスチックレンズLEを染色処理するための染色時間を短縮することができる。すなわち、電磁波発生部11とともにプラスチックレンズLEを冷却することができるため、次のプラスチックレンズLEの染色処理を行うまで時間を短縮することができる。また、本実施例のように、電磁波発生部11が染色処理後にプラスチックレンズLEが設置された設置部50が待機される位置よりも上方に配置され、プラスチックレンズLEを上方から加熱することによって染色処理を行う構成を用いることによって、より効率的に冷却を行うことができる。すなわち、空気の温度を大きく上昇させる電磁波発生部11が上方に位置することによって、染色処理によって加熱された気体が下方に進行することを抑制することができる。このため、高温の空気を、効率的に、装置内の上方部分に集めることができ、染色装置1の内部の上方部分のみを冷却するような冷却手段を設けるだけで、効率よく冷却を行うことができる。
なお、本実施例においては、電磁波発生部11及びプラスチックレンズLEを冷却するような流路の構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。流路は、少なくとも電磁波発生部11を経由するように構成されていればよい。例えば、空気の流れる流路が電磁波発生部11のみを流れるように構成してもよい。
また、流路の形状は、適宜設定することができる。例えば、流路の形状は、少なくとも電磁波発生部11を経由するように構成されていれば、給気口9からの空気が染色装置1の背面方向に直進する構成としてもよいし、給気口9からの空気が上方に進行する構成としてもよい。
なお、本実施例においては、冷却ファン8を駆動させることによって、給気口9より空気を吸い込み、流路に空気を流す構成を例に挙げたがこれに限定されない。例えば、冷却手段としては、流路内に空気を流すことができる構成であればよい。この場合、例えば、空気を吹き付ける構成を持つ冷却ファンを用いることによって、染色装置1の内部に空気を吹き付け、流路内に空気を流すようにしてもよい。また、電磁波発生部11及びプラスチックレンズLEに直接的に空気を吹き付けるようにしてもよい。
<電気的構成>
図8を参照して、染色装置1の電気的構成について説明する。染色装置1は、染色装置1の制御を司るCPU(制御部)70を備える。制御部70には、RAM71、ROM72、不揮発性メモリ73、タッチパネル6、ディスプレイ7、冷却ファン8、ポンプ31、電磁弁33、圧力センサ84、熱電対24、ヒータ駆動部75、およびモータ駆動部76が、バスを介して接続されている。
RAM71は、各種情報を一時的に記憶する。ROM72には、染色装置1の動作を制御するための制御プログラム(例えば、染色処理を制御するための染色制御プログラム等)が記憶されている。不揮発性メモリ73は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる記憶媒体である(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュROM等)。ヒータ駆動部75は2つの赤外線ヒータ12に接続し、赤外線ヒータ12の駆動を制御する。モータ駆動部76は、調整部回転モータ80及び前後動モータ81の各々の駆動を制御する。
<染色樹脂体の製造方法>
図9を参照して、本実施例に係る染色樹脂体製造工程について詳細に説明する。まず、染色用基体57を作成する工程が行われる(S1)。前述したように、本実施例では、プリンタが、PCによって作成された印刷データに基づいて、昇華性染料を含有したインクを基体(本実施形態では紙)に印刷する。その結果、染色用基体57が作成される。従って、染色用基体57には、適切な位置に適切な量の昇華性染料が正確に付着する。PCにおける印刷データの作成、変更、保存等は容易である。よって、複雑な染色も容易であり、同様の染色を繰り返すことも可能である。ただし、PCおよびプリンタを用いずに染色用基体57を作成しても、本発明は実現できる。例えば、作業者は、スプレー等を用いて昇華性染料を紙に付着させることで染色用基体57を作成してもよい。
次いで、作業者は、染色する樹脂体と、S1で作成した染色用基体57とを、染色が行われる位置に設置する(S2)。本実施例では、樹脂体であるプラスチックレンズが、設置部50の装着部52(図3参照)上に設置される。染色用基体57は、基体保持枠58(図5参照)に保持された状態で、設置部50の円筒部53の上端に設置される。染色用基体57は、昇華性染料が付着した付着面が樹脂体に非接触で対向するように配置される。よって、本実施形態では、付着面が下方を向くように染色用基体57が配置される。
次いで、樹脂体周辺の気圧を低下させる工程が行われる(S3)。本実施形態では、ポンプ31(図9参照)によって閉塞室20内の気体が外部に排出されることで、閉塞室20内が略真空状態とされる。
次いで、昇華性染料を樹脂体に蒸着させる工程が行われる(S4)。本実施形態では、電磁波発生部11が発生する電磁波によって染色用基体57が加熱される。その結果、染色用基体57の下側の面に付着している昇華性染料が加熱されて昇華し、樹脂体の上面に蒸着される。
次いで、樹脂体周辺の気圧を上昇させる工程が行われる(S5)。本実施形態では、電磁弁33(図9参照)が開放されることで、閉塞室20の内部に給排気管を通じて外部の気体が導入される。その結果、閉塞室20内の気圧は大気圧まで戻される。
次いで、染色用基体57を設置部50から退避させる工程が行われる(S6)。本実施形態では、まず、設置部前後動機構40によって設置部50が閉塞室20の外部へ移動される。染色用基体57を保持している基体保持枠58が、図示無き退避機構によって設置部50から退避される。その後、設置部50は、設置部前後動機構40によって、閉塞室20の内部へ戻される。
次いで、樹脂体に染料を定着させる工程が行われる(S7)。本実施形態では、蒸着の工程(S4)で用いられた電磁波発生部11が再び駆動される。染色用基体57は退避されているため、電磁波発生部11が発生させた電磁波は、染色用基体57に遮断されることなく樹脂体に照射される。よって、染色用基体57が燃えることは無いため、燃えかす等によって染色の品質が低下することは無い。電磁波の照射分布は、分布調整部14によって適切に調整されている。従って、樹脂体における各部位の温度差は発生し難い。
次いで、樹脂体の徐冷が行われる(S8)、染色樹脂体製造工程は終了する。本実施例では、閉塞室20内、または、閉塞室20の前側の空間(前室)で、樹脂体を所定時間以上待機させる。このとき、冷却ファン8が駆動され、染色装置1の内部を空気が流れる。その結果、樹脂体の温度が効率よく徐々に低下する。染色装置1は、温度が低下した樹脂体を筐体2の外部に移動させて、工程を終了させる。染色装置1は、徐冷の工程(S8)を実行することで、作業者が火傷を負う危険性を低下させることができる。
本実施例において、染色装置1の制御部70が実行する染色処理について説明する。前述したように、染色装置1のROM72には、染色処理を制御するための染色制御プログラム等が記憶されている。制御部70は、染色装置1の電源がONとされると、染色制御プログラムにしたがって、染色処理を実行する。染色処理では、前述した染色樹脂体製造工程(図9参照)のうちのS3〜S8の工程が、自動的に行われる。
以上説明したように、本実施例の染色装置1は、気相転写染色法による染色を、1つの装置で安定して行うことができる。すなわち、本実施例では、電磁波発生部11によって、蒸着時の加熱と定着時の加熱とが共に行われる。従って、染色装置1は簡易な構成となり、且つ容易に小型化できる。設備を導入するための費用も低下する。
なお、本発明は上記実施例に限定されることはなく、様々な変形が可能であることは勿論である。本実施例の染色装置1は、電磁波発生部11を用いて、蒸着の工程と定着の工程を共に実行する。その結果、構成が簡素化される。しかし、蒸着時に染色用基体57の染料を加熱する手段と、定着時に樹脂体を電磁波で加熱する手段とを、別で設けることも可能である。この場合でも、染色装置1は、蒸着時の圧力よりも高い圧力下で定着の工程を行うことで、安定した染色を1つの装置で実行することができる。
なお、本実施例において、染色装置1は、閉塞室20に透過部25を設けることで、閉塞室20内の密閉性を保ちつつ、閉塞室20の外部から内部に電磁波を透過させる。従って、染色用基体57に付着した染料を効率よく加熱することができる。しかし、透過部25を設けずに、電磁波で染料を加熱することも可能である。例えば、染色装置1は、染色用基体57が鉄板の板面に接触した状態で、鉄板を電磁波で加熱することで、染色用基体57の昇華性染料を加熱して昇華させてもよい。また、気圧の変化が電磁波発生部11に与える影響を考慮すると、電磁波発生部11は閉塞室20の外部に設けることが望ましい。しかし、閉塞室20の内部に電磁波発生部11を設けることも可能である。
なお、本実施例においては、略円盤状の眼鏡用プラスチックレンズに染色を行う場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。本発明は、プラスチックレンズ以外の樹脂体を染色する場合にも適用できる。例えば、樹脂体としては、携帯電話のカバー、自動車のライト用のカバー、アクセサリー、玩具等、種々の樹脂体を染色する場合に適用できる。また、本発明に係る気相転写染色によると、染色する樹脂体にコーティングが行われているか否かに関わらず、高品質の染色が行われる。例えば、眼鏡用のプラスチックレンズを染色する場合には、撥水効果を得るための撥水コート、光の反射を防止するための反射防止コート、傷を防止するためのハードコート、割れを防止するためのプライマーコート等を、染色の前または後にプラスチックレンズに施すことも可能である。
なお、本実施例において、冷却ファンを駆動させるタイミングとしては、定着後の徐冷時を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。装置の駆動時から停止時までのいずれのタイミングで駆動をさせてもよい。例えば、冷却ファン8が、昇華性染料を樹脂体に蒸着工程(S4)開始時又は完了時より駆動されてもよい。なお、冷却ファン8は、少なくとも電磁波が発生している間は常に駆動されるようにすると、染色処理における余分な熱を染色装置1の外部へ放出することができるため好ましい。
1 染色装置
8 冷却ファン
9 給気口
11 電磁波発生部
14 分布調整部
15 開口部
20 閉塞室
25 透過部
31 ポンプ
35 整流板
50 設置部
52 装着部
57 染色用基体
58 基体保持枠
60 遮熱部
70 制御部(CPU)
73 不揮発性メモリ

Claims (3)

  1. 染色用基体に付着された昇華性の染料を、設置部に設置された樹脂体に蒸着させることで、前記樹脂体を染色する染色装置であって、
    前記樹脂体を染色するための加熱手段と、
    前記加熱手段を内部に収納するための筐体と、
    前記筐体と前記加熱手段との間に設けられ、前記加熱手段から発生した熱が前記筐体に伝熱することを抑制するための遮熱部と、
    を備えることを特徴とする染色装置。
  2. 請求項1の染色装置において、
    染料を前記設置部に設置された前記樹脂体に蒸着させる際に、少なくとも前記設置部に設置される樹脂体の周囲を閉塞する閉塞室をさらに備え、
    前記加熱手段が前記閉塞室の外部に設けられていることを特徴とする染色装置。
  3. 請求項1又はの染色装置において、
    装置内部に気流を発生させることによって、前記樹脂体を染色処理するために発熱した前記加熱手段を冷却するための冷却手段を備え、
    前記遮熱部が、前記筐体と前記遮熱部との間に空間を設けるように、前記筐体と前記加熱手段の間に設置され、前記冷却手段によって流れる気体が前記筐体と前記遮熱部との間を通過することを特徴とする染色装置。
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