JP6379493B2 - 接合方法、および接合装置 - Google Patents

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Description

本発明は、接合方法、デバイスおよび接合装置に関する。
一対の基板の表面を活性化して接合する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 特開2013−098186号公報
真空チャンバ等の大規模な設備を用いて基板間のボイドを防止している。
本発明の第1の態様においては、一対の基板を重ね合わせて接合する接合方法であって、一対の基板の一方の表面に液体を付着させて液滴を形成する液滴形成段階と、液体の流動性を保ったまま液滴を一対の基板の間に挟んで一対の基板を押し付けることにより、液滴を一対の基板に沿って拡げ、一対の基板の間の気体を一対の基板の外側に押し出す気体排出段階と、液体の流動性を保ったまま一対の基板を更に押し付けて、一対の基板の間から液体を排出する液体排出段階とを備える接合方法が提供される。
本発明の第2の態様においては、上記接合方法により接合された積層基板を備えるデバイスが提供される。
本発明の第2の態様においては、一対の基板を相互に重ね合わせて接合する接合装置であって、一対の基板の一方の表面に液体を付着させて液滴を形成する液滴形成部と、一対の基板の他方を液滴に接触させる液滴接触部と、一対の基板を接近させることにより一対の基板の表面に沿って液体の層を拡げて、一対の基板の間の気体を一対の基板の外側に押し出す気体排出部と、更に接近させた一対の基板の間から液体を排出する液体排出部とを備える接合装置が提供される。
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
接合装置100の模式図である。 基板210の模式的平面図である。 基板210および基板ホルダ220の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 基板210を接合する手順を示す流れ図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 基板210の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 基板210の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 接合部300の模式的断面図である。 積層基板230の部分拡大断面図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、接合装置100の模式的平面図である。接合装置100は、筐体110と、筐体110に外側に配された基板カセット120、130および制御部150と、筐体110内部に配された搬送ロボット140および接合部300を備える。
一方の基板カセット120は、接合する前の基板210を収容する。他方の基板カセット130は、基板210を貼り合わせて作製された積層基板230を収容する。基板カセット120、130は、筐体110に対して個別に着脱できるので、基板カセット120を用いることにより、複数の基板210を一括して接合装置100に搬入できる。また、基板カセット130を用いることにより、複数の積層基板230を一括して接合装置100から搬出できる。
搬送ロボット140は、筐体110内で移動して、基板210を、基板カセット120から接合部300に搬送する。また、搬送ロボット140は、接合部300にて形成された積層基板230を接合部300から基板カセット130に搬送する。
接合部300は、一対の基板210を個別に保持する一対のステージを有し、一対の基板210を相互に位置合わせして接合する。少なくとも接合部300の内部は、室温に近い温度に温度管理され、位置合わせ精度が維持されている。
なお、基板210は薄く脆いので、接合装置100の内部においては、より高い強度を有する基板ホルダ220に基板210を保持させて、両者を併せて取り扱う。基板ホルダ220は、アルミナセラミックス等の硬質材料で形成され、接合装置100の内部において使い回される。
制御部150は、接合装置100の各部を相互に連携させて統括的に制御する。また、制御部150は、外部からユーザの指示を受け入れると共に、接合装置100の動作状態を外部に向かって表示するユーザインターフェイスを形成する。
図2は、接合装置100において貼り合わせる基板210の模式的平面図である。基板210は、単一のノッチ214と、複数の素子領域216および複数のアライメントマーク218とを有する。
ノッチ214は、基板210の結晶配向性等を示す指標として設けられる。よって、ノッチ214の位置を検出することにより、基板210における素子領域216の方向を検知できる。
素子領域216は、基板210の表面に周期的に配される。素子領域216の各々には、フォトリソグラフィ技術等より形成された半導体装置が配置される。また、素子領域216には、基板210を他の基板210、リードフレーム等に電気的に接続する場合に接続端子となるパッド、バンプ等も配される。
アライメントマーク218は、素子領域216が形成されていないブランク領域に配され、基板210を位置合わせする場合の指標となる。ブランク領域には、素子領域216を切り分けてダイにする過程で切断されるスクライブライン212も配される。スクライブライン212は、基板210をダイシングする過程で鋸代となって消滅するので、アライメントマーク218を設けることにより、基板210の利用効率を損ねることなくアライメントマーク218を設けることができる。
接合装置100においては、上記のように、素子、回路、端子等が形成された基板210の他に、未加工のシリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、ガラス基板等を接合することもできる。接合は、回路基板と未加工基板であっても、未加工基板同士であってもよい。また、接合される基板210は、それ自体が、既に複数の基板を積層して形成された積層基板230であってもよい。
なお、接合装置100は、底板312に対して垂直な回転軸の回りに下ステージ332を回転させる回転駆動部、および、下ステージ332を揺動させる揺動駆動部を更に備えてもよい。これにより、下ステージ332を上ステージ322に対して平行にすると共に、下ステージ332に保持された基板210を回転させて、基板210の位置合わせ精度を向上させることができる。
図3は、基板210を保持した基板ホルダ220の模式的断面図である。基板ホルダ220は、保持部222および縁部224を有する。保持部222は、保持する基板210の面積と略同じ広さを有し、静電チャック等により基板210を吸着して保持する。これにより、基板210は保持部222に密着した状態になる。
縁部224は、保持部222によりも径方向外側に延在する。これにより、基板ホルダ220の保持部222に保持された基板210に直接に接触することなく、基板ホルダ220を外部から取り扱うことができる。
また、基板ホルダ220は全体が略一定の厚さを有するが、縁部224が平坦であるのに対して、保持部222は中央が隆起した形状を有する。これにより、保持部222に吸着された基板210も、中央が突出した状態になる。よって、基板ホルダ220に保持された基板210を重ねた状態で加圧した場合は、基板210の面方向中央の圧力が高くなる。
ただし、図3は基板ホルダ220の保持部222の隆起は誇張して描かれている。即ち、保持部222は、例えば、接合部300において加圧した場合に、基板ホルダ220および基板210が折損することなく、弾性変形により平坦になる程度に隆起していることが好ましい。
図4は、接合装置100における接合部300の模式的縦断面図である。接合部300は、枠体310、上ステージ322および下ステージ332を備える。
枠体310は、水平な床面に対して平行な底板312および天板316と、床板に対して垂直な複数の支柱314とを有する。底板312、支柱314および天板316は、接合部300の他の部材を収容する直方体の枠体310を形成する。
上ステージ322は、天板316の図中下面に、やはり下向きに固定される。上ステージ322は、真空チャック、静電チャック等の保持機能を有し、基板210を保持した基板ホルダ220を保持できる。
また、天板316の下面には、顕微鏡324、活性化装置326および滴下ノズル328が、それぞれ上ステージ322の側方に固定される。顕微鏡324は、後述する下ステージ332に保持された基板210の上面を観察できる。活性化装置326は、下ステージ332に保持された基板210の上面を清浄化するプラズマを発生する。滴下ノズル328は、下ステージ332に保持された基板210の上面に液体を滴下する。
なお、活性化装置326は、底板312に対して傾斜して設けられる。これにより、活性化装置326から発生したプラズマは、顕微鏡324から遠ざかる方向に放射される。よって、プラズマを照射された基板210から発生した破片による顕微鏡324の汚染が防止される。
下ステージ332は、底板312の上面に配されたX方向駆動部331に重ねられたY方向駆動部333の図中上面に搭載される。X方向駆動部331は、底板312と平行に、図中に矢印Xで示す方向に移動する。Y方向駆動部333は、X方向駆動部331上で、底板312と平行に、図中に矢印Yで示す方向に移動する。これら、X方向駆動部331およびY方向駆動部333の移動を組み合わせることにより、下ステージ332は、底板312と平行に、二次元的に移動できる。
また、下ステージ332は、底板312に対して垂直に、矢印Zで示す方向に昇降する昇降駆動部338により支持される。これにより、下ステージ332は、Y方向駆動部333に対して昇降できる。
なお、X方向駆動部331、Y方向駆動部333および昇降駆動部338による下ステージ332の移動量は、干渉計等を用いて精密に計測される。また、X方向駆動部331およびY方向駆動部333は、粗動部と微動部との2段構成としてもよい。これにより、高精度な位置合わせと、高いスループットとを両立させて、下ステージ332に搭載された基板210の移動を精度よく高速に接合できる。
Y方向駆動部333には、顕微鏡334および活性化装置326が、それぞれ下ステージ332の側方に更に搭載される。顕微鏡334は、上ステージ322に保持された下向きの基板210の下面を観察できる。活性化装置336は、上ステージ322に保持された基板210の下面を清浄化するプラズマを発生する。
また更に、Y方向駆動部333は、下ステージ332を貫通して垂直に昇降する複数のプッシュアップピン339を有する。プッシュアップピン339は、下ステージ332から図中上方に突出した場合に、基板ホルダ220の縁部を支持して、基板210および基板ホルダ220を下ステージ332に対して昇降させる。
図5は、上記のような接合部300を含む接合装置100における基板210の接合手順を示す流れ図である。接合装置100により基板210を接合する場合、制御部150は、まず、搬送ロボット140により、基板カセット120から接合部300に基板210を搬入する(ステップS101)。接合される一対の基板210は、上ステージ322と下ステージ332に一枚ずつ搬入される。
図6は、一枚目の基板210を搬入する様子を示す図である。制御部150は、下ステージ332を、上ステージ322の直下からずれた位置に移動させて、下ステージ332の上方が開放された状態にする。また、制御部150は、プッシュアップピン339を上昇させる。制御部150は、搬送ロボット140を用いて、上記のようにして下ステージ332から図中上方に突出したプッシュアップピン339の上端に、基板210を保持した基板ホルダ220を載せさせる。
ここで、搬送ロボット140は、基板210および基板ホルダ220を反転させることにより、基板210が基板ホルダ220の下面に保持された状態で、プッシュアップピン339に基板ホルダ220を載せる。ただし、既に説明したように、基板ホルダ220は、基板210から側方に突出した縁部224を有するので、プッシュアップピン339は、基板210に接触することなく基板ホルダ220を支持する。また、プッシュアップピン339が基板ホルダ220を持ち上げているので、基板210は下ステージ332の上面から離れている。
次に、図7に示すように、制御部150は、プッシュアップピン339により基板ホルダ220を持ち上げた状態を維持したまま、下ステージ332を移動させて、基板ホルダ220を上ステージ322の直下に移動させる。次いで、制御部150は、プッシュアップピン339を更に上昇させて、基板ホルダ220の上面を上ステージ322の下面に向かって押し付ける。更に、制御部150は、真空チャック、静電チャック等の保持装置を動作させることにより、上ステージ322に基板ホルダ220および基板210を保持させる。
次に、制御部150は、下ステージ332を当初の位置に戻して、上面に基板210を保持した基板ホルダ220を、搬送ロボット140から上昇したプッシュアップピン339に受け渡した上で、プッシュアップピン339を下降させる。更に、制御部150は、真空チャック、静電チャック等の保持装置を動作させて、図8に示すように、下ステージ332に、基板ホルダ220および基板210を保持させる。
次に、制御部150は顕微鏡324、334を較正する(ステップS102)。即ち、図8に示すように、下ステージ332を搭載したX方向駆動部331およびY方向駆動部333を移動させることにより、顕微鏡324、334が互いを観察できる状態にする。これにより、顕微鏡324、334相互の位置が一致する場合の、下ステージ332の位置が検出される。制御部150は、この状態の下ステージ332の位置を初期位置として、下ステージ332の移動量を制御する。
次に、制御部150は、基板210の各々におけるアライメントマーク218を検出する(ステップS103)。即ち、図9に示すように、制御部150は、下ステージ332を移動させながら顕微鏡324、334により基板210を観察して、基板210の各々に設けられたアライメントマーク218を検出する(ステップS103)。
更に、制御部150は、顕微鏡324、334の各々と上ステージ322または下ステージ332との相対位置が予め判っているので、アライメントマーク218を検出した時点の下ステージ332の位置に基づいて、一対の基板210の相対位置を算出して記憶する。これにより、制御部150は、ステップS102において検出した初期位置と、ステップS103において検出した基板210の相対位置とに基づいて、一対の基板210のアライメントマーク218が一致するように、基板210の位置合わせることができる状態になる。
次に、制御部150は、基板210の位置合わせをさせる場合の情報を保持したまま、X方向駆動部331およびY方向駆動部333を動作させて、下ステージ332の位置を初期位置にリセットする(ステップS104)。これにより、図10に示すように、上ステージ322と下ステージ332は、互いにずれた位置に移動する。
次に、制御部150は、一対の基板210の各々の表面を活性化する(ステップS105)。即ち、図11に示すように、活性化装置326、336を動作させながら下ステージ332を移動させることにより、基板210の表面を活性化する。
基板210の活性化としては、例えば、下ステージ332に保持された基板210を、天板316に支持された活性化装置326で発生したプラズマPに暴露して、基板210の表面を清浄化する。また、上ステージ322に保持された基板210を、Y方向駆動部333に搭載された活性化装置336で発生したプラズマPに暴露して、基板210の表面を清浄化する。これにより、一対の基板210は、清浄化された表面を接触させると互いに接合する状態になる。
なお、図示の接合部300は、基板210を活性化する場合に使用する活性化装置326を備えている。しかしながら、別途用意された活性化装置326を用いて予め活性化した基板210を搬入することにより、接合部300の活性化装置326を省略した構造にすることもできる。また、この場合は、基板210を発生するプラズマを真空環境で発生させることができる。基板210は、プラズマに暴露する方法の他に、不活性ガスを用いたスパッタエッチング等によりを活性化することもできる。また、紫外線照射、オゾンアッシャー等により基板210を活性化することもできる。
次に、制御部150は、下ステージ332に保持された基板210に、液体を滴下する(ステップS106)。即ち、図12に示すように、まず、下ステージ332を移動させることにより、下ステージ332に保持された基板の中央を、滴下ノズル328の直下に位置合わせする。次に、滴下ノズル328から基板210に向かって液体を滴下することにより、基板210の中央に得規定Wを形成させる。
なお、ステップS106において基板210に滴下する液体としては、例えば水を用いることができる。また、基板210に対する濡れ性を有し、基板210および素子領域216に対して化学的に安定な、基板210に対する接着性の無いものであれば、他の液体を用いてもよい。
具体的には、純水、アルコール等を用いることができる。また、アンモニア水等の水溶液、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸、1−ブタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、エタノール、メタノール、蟻酸等の溶剤を用いることもできる。
また、ステップS106において基板210に対して滴下する液体の量は、基板210同士を接合する過程のうちに、接合される基板210の間が液体で満たされる状態を生じ得る量とすることが好ましい。ただし、液体の量が過剰に多いと、液体を接合部300から排除する手間が増えるので、上記の条件を満たす範囲で、液体の量は少ないことが望ましい。具体的には、一対の基板210の間が液体により満たされた状態で、液体の層の厚さが1μm以下となる量としてもよい。
次に、制御部150は、下ステージ332に保持された基板210を、上ステージ322に保持された基板210に対して位置合わせする(ステップS107)。即ち、制御部150は、ステップS102において検出した初期位置と、ステップS103において検出した基板210の相対位置とに基づいて、一対の基板210のアライメントマーク218の面方向の位置が一致するように、下ステージ332を移動させて、図13に示すように、一対の基板210を位置合わせする。
次に、上ステージ322に保持された基板210の下面を、下ステージ332に保持された基板210の表面に形成された液滴Wに接触させる(ステップS108)。即ち、制御部150は、図14に示すように、昇降駆動部338を動作させて下ステージ332を上昇させることにより、一対の基板210を相互に接近させる。これにより、まず、上ステージ322に保持された基板210の下面が、下ステージ332に保持された基板210の上面の液滴Wに接触する。
次に、制御部150は、一対の基板210を更に接近させることにより、一対の基板210の間を液体で満たす(ステップS109)。即ち、下ステージ332を更に上昇させて一対の基板210の間隔を狭めることにより、図15に示すように、液滴Wは、基板210の間で、中央から径方向外側に向かって押されて基板210の表面に沿って拡がり、一対の基板210の間から空気を排出する。また、液滴Wが基板210の間で拡がる過程で、基板210の間に残っている微粉等の異物も基板210の間から径方向外側に押し出されて排除される。
即ち、液滴Wを形成する液体の密度は、雰囲気として存在する空気等の気体に比べて遥かに大きい。よって、基板210間に挟まれた液滴Wにおいて、表面に存在する液体の分子は専ら、液滴内部の分子からファンデルワールス力を受けるが,空気中の分子からはほとんど影響を受けない。よって、液滴Wが、基板210に対する親和性と流動性とを維持する限り、基板210の間に存在する気体は、液滴Wにより基板210間から押し出される。また、微小な気泡は、液体に溶け込んで消滅する。
更に、液滴Wが基板210の表面に沿って押し広げられる過程で、液滴Wを形成する液体の移動により生じた液流が、基板210の表面に付着した塵芥等の微細な固体を押し流す。これにより、基板210の間に存在する異物も、基板210の径方向外側に向かって押し出されて、基板210間から消滅する。
次に、制御部150は、下ステージ332を更に上昇させて、一対の基板210を相互に接合する(ステップS110)。即ち、昇降駆動部338を更に動作させることにより下ステージ332を更に上昇させて、図16に示すように、一対の基板210を相互に接触させる。一対の基板210の表面は、ステップS105において既に活性化されているので、基板210同士が接触した場合は互いに接合して一体化する。
また、基板210同士がと直接に接合されると、図17に示すように、基板210の間に存在していた液体が、基板210の間から外側に押し出される。これにより、基板210は、基板210間に気泡を含むボイドを生じることなく、互いに密着して接合される。
換言すれば、上記接合する段階(ステップS110)において、表面が活性化された基板210が直接に接触するまで、基板210は接合されない。よって、一対の基板210の間が液体により満たされた段階で、基板210間に気泡が残っている場合には接合を中断して、基板210を一端引き離して液体を排除した上で、改めて接合を実行してもよい。これにより、ボイドを有する積層基板230が製造されることを防止し、基板210の利用効率を向上させることができる。
また、ステップS110においては、基板210の表面が全面にわたって接触するように、昇降駆動部338および下ステージ332により基板210をより強く加圧してもよい。これにより、基板210の間から液体が排出される。このように、液滴Wを形成する液体を終始流動性を有し、最終的には、基板210の間から排出される。
なお、基板210の表面に起伏がある場合は、一部の液体が基板210の間に残る。しかしながら、例えば基板210がシリコン基板であり、液体が水である場合には、液体の一部は、基板210を透過して排出される。また、基板210を接合する過程で加熱することにより、液体を気化させて排出を促進してもよい。
更に、基板210の表面の一部を粗面化して、基板210の接合強度を確保できる範囲で液体の一部を吸収させてもよい。このような観点からは、液滴Wを形成する液体として、基板210の表面における原子格子よりも小さい分子を有する液体を用いることが好ましい。
更に、基板210を加熱することにより液滴Wを気化させる場合には、基板210表面の原子格子が、気化した液滴Wの分子サイズよりも大きくなるようにすることも好ましい。この場合、液体の表面への吸収浸透速度より、流動速度が速くなる様に接触基板の圧力、速度等をコントロールすることが好ましい。
次に、基板210を接合することにより形成された積層基板230は、接合部300から搬出される(ステップS111)。即ち、図18に示すように、制御部150は、まず、上ステージの保持機構を停止した上で昇降駆動部338を動作させることにより下ステージ332を下降させて、積層基板230と積層基板230を挟む一対の基板ホルダ220とを上ステージ322から引き離す。
次に、図19に示すように、制御部150は、X方向駆動部331およびY方向駆動部333を動作させることにより下ステージ332を初期位置に移動させた上で、プッシュアップピン339を上昇させて、基板ホルダ220および積層基板230を持ち上げる。次いで、制御部150は、差し上げられた基板ホルダ220および積層基板230を搬送ロボット140に搬送させ、積層基板230を基板カセット130に回収させる。こうして、基板カセット120により接合装置100に搬入された基板210は、積層基板230となって接合装置100から搬出される。
図20は、上記のようにして作成された積層基板230の部分拡大断面図である。図示の積層基板230は、接合された基板210における素子領域216に相当する領域を拡大して示す。素子領域216には、基板210同士を電気的に接続する接続パッド217が形成された領域と、接続パッド217が形成されずに、シリコン単結晶等の基板材料自体が露出していた領域とが混在する。
基板210において基板材料自体が露出していた領域は、図5に示した手順により接合された積層基板230において、一対の基板210の間で相互に一体化され、境界が消滅している。一方、接続パッド217は、一体化した基板材料により相互に押し付けられている。更に、一対の基板210を接合する過程で、液滴Wにより基板210間を十分に排気したので、互いに結合された接続パッド217の内部に、気泡に由来するボイドが形成されることもない。
また、基板210の間を液体で満たす過程において、基板間に残る異物も排除される。よって、基板210を接合した場合に、基板210に挟まれた異物に起因するボイドの発生も防止される。
このように、一対の基板210の間に液滴を挟んだ状態で接合することにより、積層基板230内にボイドが生じることを防止できる。このため、基板210を接合する場合に、積層基板230内にボイドが生じることを防止する目的で、真空環境で基板210を接合しなくてもよいので、接合装置100の構造を簡素化できる。
なお、上記の例では、素子領域216を有する基板210を位置合わせして接合する場合について説明した。しかしながら、回路が形成されていない位置合わせが不要の基板210を接合する場合も、基板210に液体を滴下した状態で接近させて接合することにより、基板210間を容易且つ確実に排気でき、異物も排除できる。
また、上記の例では、プラズマに暴露することにより接合する基板210の表面を活性化した。しかしながら、例えば、液体または気体のエッチャントを用いて、基板210の表面を化学的に清浄化して活性化してもよい。更に、基板210の表面を化学的に活性する場合に、液体のエッチャントを用いるならば、別途活性化装置を用いることなく、基板210の活性化と基板210間の排気および異物の排除とを同時に実行することもできる。
また、上記の例では、基板ホルダ220により基板210を保持しつつ接合して積層基板230を作製した。しかしながら、基板ホルダ220を用いることなく、基板210を直接に取り扱って接合する接合装置100を形成することもできる。この場合は、上ステージ322および下ステージ332が、基板210の中央から加圧し始め、且つ、最終的には基板全体を加圧する形状または構造であることが好ましい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
100 接合装置、110 筐体、120、130 基板カセット、140 搬送ロボット、150 制御部、210 基板、212 スクライブライン、214 ノッチ、216 素子領域、217 接続パッド、218 アライメントマーク、220 基板ホルダ、222 保持部、224 縁部、230 積層基板、300 接合部、310 枠体、312 底板、314 支柱、316 天板、322 上ステージ、324、334 顕微鏡、326、336 活性化装置、328 滴下ノズル、331 X方向駆動部、332 下ステージ、333 Y方向駆動部、338 昇降駆動部、339 プッシュアップピン

Claims (17)

  1. 一対の基板を重ね合わせて接合する接合方法であって、
    前記一対の基板の一方の表面に液体を付着させて液滴を形成する液滴形成段階と、
    前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板を湾曲させた状態で前記液体の流動性を保ったまま前記液滴を前記一対の基板の間に挟んで前記一対の基板を押し付けることにより、前記液滴を前記一対の基板に沿って拡げ、前記一対の基板の間の気体を前記一対の基板の外側に押し出す気体排出段階と、
    前記液体の流動性を保ったまま前記一対の基板を更に押し付けて、前記一対の基板の間から前記液体を排出する液体排出段階と
    を備える接合方法。
  2. 請求項1に記載の接合方法において、
    前記気体排出段階では、前記一対の基板間の距離が周方向の外側ほど遠くなるように湾曲している接合方法。
  3. 前記液滴形成段階に先立って、前記一対の基板の少なくとも一方の表面を活性化する活性化段階を更に備える請求項1または2に記載の接合方法。
  4. 前記活性化段階は、前記一対の基板において互いに接合する面を清浄化する表面清浄化段階を含む請求項に記載の接合方法。
  5. 前記活性化段階は、前記一対の基板において互いに接合する面をプラズマに暴露する段階を含む請求項またはに記載の接合方法。
  6. 前記液滴形成段階は、前記一対の基板の前記一方の表面において、面方向の中央に前記液滴を形成する段階を含む請求項1からまでのいずれか一項に記載の接合方法。
  7. 前記液滴形成段階は、前記一対の基板の表面における原子格子よりも小さい分子を有する液体により前記液滴を形成する段階を含む請求項1からまでのいずれか一項に記載の接合方法。
  8. 前記液滴形成段階は、気化した場合に、前記一対の基板の表面における原子格子よりも小さい分子サイズを有する液体により前記液滴を形成する段階を含む請求項1からまでのいずれか一項に記載の接合方法。
  9. 前記気体排出段階は、前記一対の基板の他方の表面において面方向の中央を、前記液滴に接触させる段階を含む請求項1からまでのいずれか一項に記載の接合方法。
  10. 前記気体排出段階は、前記一対の基板を、面方向の中央において加圧する段階を含む請求項に記載の接合方法。
  11. 前記液体は、水およびアルコールの少なくとも一方を含む請求項1から10までのいずれか一項に記載の接合方法。
  12. 前記気体排出段階は、前記一対の基板の間に、前記液体の厚さを1μm以下の層を形成する段階を含む請求項11に記載の接合方法。
  13. 前記液体排出段階は、前記一対の基板の少なくとも一部が相互に直接に接触するまで、重ね合わされた前記一対の基板を加圧する段階を含む請求項1から12までのいずれか一項に記載の接合方法。
  14. 前記液体排出段階は、前記液体の一部を、前記一対の基板の少なくとも一方に吸収させる段階を含む請求項1から13までのいずれか一項に記載の接合方法。
  15. 前記液体排出段階は、前記液体の一部を気化して前記一対の基板の少なくとも一方を透過させる段階を含む請求項1から14までのいずれか一項に記載の接合方法。
  16. 前記気体排出段階の後に、前記一対の基板の間に残った気体を検出する気体検出段階と、
    前記気体検出段階において気体が検出された場合に、重ね合わされた前記一対の基板を分離させる基板分離段階と、
    前記液滴形成段階および前記気体排出段階を再度実行する段階と
    を更に有する請求項1から15までのいずれか一項に記載の接合方法。
  17. 一対の基板を相互に重ね合わせて接合する接合装置であって、
    一対の基板の一方の表面に液体を付着させて液滴を形成する液滴形成部と、
    前記一対の基板の他方を前記液滴に接触させる液滴接触部と、
    前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板を湾曲させた状態で前記一対の基板を接近させることにより前記一対の基板の表面に沿って前記液体の層を拡げて、前記一対の基板の間の気体を前記一対の基板の外側に押し出す気体排出部と、
    更に接近させた前記一対の基板の間から前記液体を排出する液体排出部と
    を備える接合装置。
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