以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
図1(A)及び図1(B)の各々は、本発明に従う電源制御装置の構成例を示し、図1(A)の電源制御装置10が例えばダイオードである電流制限部Dを備える一方、図1(A)の電源制御装置10がその電流制限部Dを備えない点で、両者は相違し、その他の点では、両者は一致している。図1(A)及び図1(B)において、電源制御装置10は、制御部14と、回生部20と、を備えることができる。電源制御装置10は、例えばスイッチング素子16及び電源回路12を更に備えることができる。なお、図1(A)及び図1(B)の電源制御装置10は、その外部に、例えばリレー50を備えているが、電源制御装置10は、その内部に、例えばリレー50を備えてもよい。
電源制御装置10は、その外部から、例えば13[V]の出力電圧を有する車両バッテリ30(即ち、車両電源V30)からの電力を入力することができる。図1(A)の電源回路12は、例えば電流制限部Dを介して車両バッテリ30又は車両電源V30からの電力を入力し、図1(B)の電源回路12は、車両バッテリ30又は車両電源V30からの電力を例えば直接に入力することができる。電源回路12は、例えばレギュレータREGを有し、例えば5[V]の出力電圧を有する回路駆動電源V12を生成することができる。言い換えれば、電源回路12は、例えばDC−DCコンバータである。もちろん、電源制御装置10は、その内部に、電源回路12を備えなくてもよく、電源制御装置10は、その外部から、回路駆動電源V12を入力してもよい。なお、電源制御装置10は、リレー50(コイル52の一端)に、電圧V40を出力することができる。
制御部14は、例えば回路駆動電源V12を入力し、動作することができる。制御部14は、例えばマイクロコンピュータで構成され、例えばCPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むことができる。例えば、ROMは、CPUに所定の動作を実行させるプログラムを記憶し、RAMは、CPUのワーク領域を形成することができる。また、制御部14又は例えばROMは、例えばスイッチング素子16を制御するために必要なデータ、例えばデューティ比を記憶することができる。
制御部14は、リレー50のコイル52に流れる電流を管理するスイッチング素子16を制御して、負荷Lに相当する車載装置(例えば車両用空調装置、エアバッグ装置等)に車両バッテリ30又は車両電源V30からの電力を供給することができる。制御部14は、スイッチング素子16をON/OFF制御し、好ましくは、スイッチング素子16をPWM駆動制御することができる。制御部14は、デューティ比に従うPWM信号を生成し、スイッチング素子16に出力することができる。スイッチング素子16は、例えばトランジスタであり、具体的には、例えばNPN型のバイポーラトランジスタである。もちろん、スイッチング素子16は、トランジスタの代わりに、例えば、MOSFET等のFET、IGBT等であってもよい。なお、スイッチング素子16は、コイル52を駆動可能であるので、スイッチング素子16は、駆動部と呼ぶこともでき、制御部14及びスイッチング素子16を駆動制御部40と呼ぶこともできる。
制御部14によって制御されるスイッチング素子16がON状態である時に、例えば車両電源V30からの電力に基づく電流がコイル52に流れる。コイル52を含むリレー50は、例えば電磁リレーであり、コイル52は、リレー50又は電磁リレーの電磁石を構成することができる。リレー50又は電磁リレーは、コイル52又は電磁石と、例えば機械接点である接点部54と、を有している。機械接点は、例えばバネ及び可動鉄片などを含み、コイル52又は電磁石によって生成される磁力によって、可動鉄片が動いて、機械接点がONされる。機械接点又は接点部54がONされる時に、負荷Lに車両電源V30からの電力が供給される。代替的に、機械接点又は接点部54がOFFされる時に、負荷Lへの車両電源V30からの電力の供給は、停止される。
負荷Lに車両電源V30からの電力を供給する時に、制御部14は、スイッチング素子16をON状態に保ってもよい。しかしながら、機械接点又は接点部54がONされ続けるために必要な電流がコイル52に流れることを条件に、制御部14は、スイッチング素子16をON状態/OFF状態(PWM駆動)に保つことができる。言い換えれば、機械接点又は接点部54がONされる限り、スイッチング素子16は、ON状態からOFF状態に一時的に変更することができる。即ち、PWM信号のデューティ比の最小値は、機械接点又は接点部54がONされ続けるために必要な電流がコイル52に流れるように、設定することができ、また、PWM信号のデューティ比の最大値は、100[%]よりも小さく設定することができる。このように、PWM信号のデューティ比は、所定の範囲(最小値〜最大値)に設定することができ、ここで、デューティ比を減少させる程、リレー50のコイル52での発熱量を低減させることができる。
ところで、車両バッテリ30は、例えば13[V]の出力電圧を有している。言い換えれば、新しい車両バッテリ30は、例えば13[V]の出力電圧を有している。車両バッテリ30は、典型的には、鉛蓄電池等の再充電が可能な蓄電池(二次電池)であり、このような蓄電池は、一般に、劣化し易い。そこで、電源制御装置10は、車両バッテリ30の劣化を考慮して設計されていることが好ましい。具体的には、車両バッテリ30が例えば6.5[V]の出力電圧を有しているに過ぎない状態であっても、電源制御装置10は、動作することが好ましい。より具体的には、電源回路12の例えばレギュラー12は、例えば6.5[V]の最小電力で、例えば例えば5[V]の出力電圧を有する回路駆動電源V12を生成することが好ましい。このような観点から、PWM信号のデューティ比は、決定されてもよい。言い換えれば、図1(A)及び図1(B)の電源制御装置10は、例えば図3の電圧検出部VM(例えば分圧抵抗器)を備えてもよく、図1(A)及び図1(B)の制御部14は、電源回路12又はレギュレータREGに入力される入力電圧(車両バッテリ30又は車両電源V30からの入力電圧)を検出し、その入力電圧に応じてPWM信号のデューティ比が設定されてもよい。例えば入力電圧が13[V]である時に、デューティ比は、6.5[V]/13[V]×100=50[%]に設定される。代替的に、例えば入力電圧が6.5[V]である時に、デューティ比は、6.5[V]/6.5[V]×100=100[%]に設定される。
図1(A)及び図1(B)の回生部20は、例えば整流部22(例えばダイオード)と例えば配線部24(例えば配線)とで構成されている。整流部22又は例えばダイオードは、リレー50のコイル52に蓄えられたエネルギー、具体的には、リレー50のコイル52を流れ続けようとする電流を所定の方向(例えば電源回路12又はレギュレータREGの入力側)に向けることができる。また、配線部24又は例えば配線は、そのエネルギー又は電流(整流部22又は例えばダイオードの出力)を例えば車両電源V30等の電源に導くことができる。図1(A)及び図1(B)において、整流部22の一端又は例えばダイオードのアノードは、コイル52の一端とスイッチング素子16の一端(例えばトランジスタのコレクタ端子)との双方に、電気的に接続されている。整流部22の他端又は例えばダイオードのカソードは、配線部24又は例えば配線の一端に、電気的に接続されている。配線部24又は例えば配線の他端は、電源回路12の入力端子(電源制御装置10内の車両電源V30)に、電気的に接続されている。このような回生部20(整流部22及び配線部24)は、コイル52に蓄えられたエネルギーを例えば電源制御装置10内の車両電源V30に回生することができる。
なお、コイル52は、インダクタであるので、コイル52内の磁界の変化に比例して誘導起電力が生じ、誘導電流は、その磁界の変化を妨げる方向に流れる。言い換えれば、スイッチング素子16がON状態である時に、コイル52のエネルギーとして磁界が生成され、その後、スイッチング素子16がON状態からOFF状態に変更される時に、コイル52又はインダクタを流れる電流は、急激にゼロにならず、整流部22又は例えばダイオードを介して電源回路12側にその電流が注入される。このように、スイッチング素子16がON状態である時にコイル52に蓄えられたエネルギーは、スイッチング素子16のOFF状態を契機として、電源制御装置10内の車両電源V30に回生することができる。電源制御装置10は、リレー50のコイル52に蓄えられたエネルギーを活用可能な回生部20を備えているので、コイル52が無駄に例えば車両電源V30からの電力を消費することは、抑制されている。言い換えれば、電源制御装置10又は回生部20は、例えば特許文献1のコイル(リレーコイル)が無駄に消費していた電力を低減させることができる。
次に、電源制御装置10等を流れる電流について、説明する。例えば図1(A)の車両バッテリ30は、車両に設けられ、車両バッテリ30の電力は、例えばその車両に設けられた電源制御装置10、リレー50及び負荷L等によって消費される。なお、車両バッテリ30の正極は、車両電源ライン(車両電源V30)を形成し、車両バッテリ30の正極又は車両電源ライン(車両電源V30)は、例えば分配器HBを介して電源制御装置10、リレー50及び負荷L等に、電気的に接続されている。分配器HBは、例えばヒューズを内蔵してもよい。また、分配器HBは、図1(A)等に示されていない他の負荷(他の車載装置)にも、車両バッテリ30の電力を送ることができる。車両バッテリ30の電力が消費される時に、電流Iが車両バッテリ30の正極から車両バッテリ30の負極又は車体グランドに流れる。
電流Iは、例えば分配器HBで例えば電流I31及びI32に分かれ、電流I31が電源制御装置10に流れ込む。電流I32は、例えばリレー50で例えば電流I52及びI33に分かれる。なお、図1(A)は、接点54がOFFされていることを表しているが、接点54がONされる時に、電流I33が負荷Lに流れ込む又は電流I33が負荷Lで消費される。電源制御装置10から電流I10が流れ出て、電源制御装置10は、電流I31と電流I10との差である電流を消費する。
スイッチング素子16がON状態である時に、電流I52は、スイッチング素子16のON抵抗で僅かに消費されて、電流I16は、車体グランドGNDと同電位である電源制御装置グランド又は電源制御装置10の筐体グランド又は電源回路12、制御部14等が実装される基板(図示せず)の基板グランドに流れる。スイッチング素子16がOFF状態である時に、電流I52は、整流部22又は例えばダイオードに流れ込み、整流部22又は例えばダイオードの出力として、電流I22が、電源回路12側に流れ込む。電源回路12には、電流31だけでなく電流I22も流れ込み、電源回路12から電流I12が流れ出る。電源回路12は、車両バッテリ30の電力だけを消費するのではなく、回生部20からの電力(コイル52からの電力)も消費することができる。言い換えれば、電源回路12は、回生エネルギーを活用することができる。なお、制御部14は、電流I14を消費する。
図1(B)の電源制御装置10は、図1(A)の電流制限部D又は例えばダイオードを備えていない。従って、図1(B)の電流I22は、電源回路12側だけでなく、車両電源V30側にも流れこむ。言い換えれば、電流I22は、電流I31を減少させることができる。このように、図1(B)の回生部20は、コイル52に蓄えられたエネルギーを例えば電源制御装置10外の車両電源V30に回生することができる。
図2(A)及び図2(B)は、それぞれ、リレーのコイル(例えば図1(A)のコイル52の一端)に出力される電圧及びリレーのコイルに流れる電流の説明図を示す。図1(A)において、例えば時刻t0で、図1(A)のスイッチング素子16がOFF状態であり、従って、コイル52の一端の電圧V40は、コイル52の他端の電圧、即ち車両電源V30の電圧と等しい(図2(A)参照)。時刻t0で、コイル52には電流が流れないので、コイル52に流れる電流I52は、ゼロである(図2(B)参照)。
例えば時刻t1で、スイッチング素子16がOFF状態からON状態に変更され、コイル52の一端の電圧V40は、ゼロに設定され(図2(A)参照)、これにより、コイル52に流れる電流I52は、増加する(図2(B)参照)。その後、例えば時刻t2で、スイッチング素子16がON状態からOFF状態に変更され、コイル52の一端の電圧V40は、再び車両電源V30の電圧に設定され(図2(A)参照)、これにより、コイル52に流れる電流I52は、減少する(図2(B)参照)。
図2(A)において、例えば時刻t2から時刻tnまで、スイッチング素子16は、例えばデューティ比が50[%]であるPWM信号で、ON/OFF制御される。これにより、例えば時刻t2から時刻tnまで、電流I52は、変動する(図2(B)参照)。その後、例えば時刻tbで、スイッチング素子16がON状態からOFF状態に変更され、コイル52の一端の電圧V40は、再び車両電源V30の電圧に設定され(図2(A)参照)、これにより、コイル52に流れる電流I52は、減少する(図2(B)参照)。
図2(B)において、点線で示される電流I52_aveは、例えば時刻t2から時刻tnまでのリレー52を流れる電流I52の平均値である。PWM信号のデューティ比が例えば50[%]である時に、例えば車両電源V30に回生されるコイル52に蓄えられたエネルギー、具体的には回生電流の平均値I22_aveは、電流I52_aveの半分である(図2(B)中の一点鎖線参照)。なお、図2(B)の例えば時刻t2から時刻t3までの期間、時刻4から時刻t5までの期間、時刻t6から時刻t7までの期間等は、回生電流I22又は回生電力が生成される。
図3は、本発明に従う電源制御装置10の他の構成例を示す。例えば図1(A)には車両内の1つの負荷Lが示されているが、電源制御装置10は、複数の負荷に対処することができる。言い換えれば、電源制御装置10は、複数の負荷に対応する複数のリレーを制御することができる。例えば図1(A)の電源制御装置10は、負荷Lに対応するリレー50(コイル52の一端)に、電圧V40を出力することができる一方、図3の電源制御装置10は、複数のコイル、即ち例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mのm個の一端に、例えばm個の電圧V40−1,V40−2,・・・,V40−mを出力することができる。なお、図3にはm個の負荷及びm個の接点部が示されておらず、それらが便宜上省略されているが、実際には、m個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mは、m個の負荷に対応するm個のリレーを構成している。このように、図3の電源制御装置10は、例えばm個の負荷に対応するm個のリレー(m個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mに対するm個の電圧V40−1,V40−2,・・・,V40−m)を制御することができる。但し、「m」は、1以上の任意に設定することができる。
図1(A)には電源回路12内にレギュレータREGだけが示されているが、図3の電源回路12は、昇圧回路UCを更に備えることができる。言い換えれば、図3の電源回路12は、例えば5[V]の出力電圧を有する回路駆動電源V12だけでなく、例えば30[V]〜40[V]程度の出力電圧(昇圧電圧)を有する回路駆動電源V12'も生成することができる。もちろん、図3の電源回路12は、回路駆動電源V12'だけを生成してもよい。
図3の昇圧回路UCには、車両電源V30の電圧(入力電圧)が入力されている。昇圧回路UCの例えばスイッチング素子が例えば制御部12によってON/OFF制御又はPWM制御される時に、昇圧回路UCの例えばコイルを流れる電流が昇圧回路UCの例えばダイオードを介して昇圧回路UCの例えばコンデンサに流れ込む。このコンデンサに貯まる電荷は、昇圧回路UCから出力される回路駆動電源V12'の電圧(出力電圧)の起源である。図3に示される昇圧回路UCの構成は、1例であって、昇圧回路UCは、他の構成を採用してもよい。昇圧回路UCの出力側には、例えば分圧抵抗器で構成される電圧検出部VMが設けられ、制御部12は、回路駆動電源V12'の電圧(昇圧電圧)を監視又は制御することができる。また、制御部12は、昇圧回路UC内のスイッチング素子を駆動するためのPWM信号のデューティ比に基づき昇圧回路UCの出力電圧(昇圧電圧)の値を決定することができる。言い換えれば、昇圧回路UCが車両電源V30から昇圧された回路駆動電源V12'(昇圧電源)を生成する時に、回路駆動電源V12'の電圧(昇圧電圧)の値は、入力電圧(例えば車両電源V30の電圧)よりも大きい任意の値に設定することができる。
図3の電源制御装置10は、駆動部70を更に備えることができる。駆動部70には、例えば2つの入力電圧(例えば車両電源V30の電圧及び回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧)が入力されている。駆動部70は、例えば2つの入力電圧に基づき駆動電圧V70を生成し、それを被駆動部80に送ることができる。図3において、被駆動部80は、例えばコイル82を含み、コイル82の一端に駆動電圧V70が印加されて、コイル82に電流が流れる。被駆動部80は、例えばインジェクタであり、コイル82は、インジェクタの例えばソレノイドを構成することができる。図3の被駆動部80は、例えば燃料噴射弁等の噴射機構84を更に含んでいる。具体的には、コイル82に電流が流れる時に、噴射機構84の例えば燃料噴射弁がソレノイド側に引き寄せられ、例えば燃料等の対象物が噴射機構84から例えばシリンダ等の目標物に向けて噴射される。
例えば燃料噴射弁がソレノイド側に引き寄せられる初速度、或いは、対象物が目標物に噴射される初速度は、コイル82に流れ始める電流の勢いに依存する。言い換えれば、このような速度は、コイル82の一端に印加される駆動電圧V70の値に依存する。駆動部70は、例えば2つの入力電圧に基づき駆動電圧V70を変更又は調整し、このような速度を制御することができる。好ましくは、駆動部80は、コイル82の他端に接続され、駆動部80は、コイル82の他端の電圧V80に基づきコイル82に流れる電流を検出する電流検出部を含むことができる。これにより、コイル82に流れる電流に基づき、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧、即ち、昇圧回路UC内のスイッチング素子を駆動するためのPWM信号のデューティ比が変更されてもよい。具体的には、制御部14は、駆動部80の出力電圧(駆動電圧V70)として、例えば車両電源V30の電圧又は回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧の何れか一方を決定又は選択することができる。例えば回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧が決定される時に、制御部14は、駆動部80に回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧を出力させることができる。
図3において、コイル82の他端が例えば駆動部80に接続されている。言い換えれば、コイル82の一端が例えば駆動部80内の例えば電流検出部(図示せず)に接続されている。しかしながら、コイル82の他端は、例えば電流検出部を介して制御部14に接続されてもよい。図3の制御部14は、例えばコイル82に流れる電流を把握するとともに、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧も把握している。回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧は、例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mを駆動するための少なくとも1つのPWM信号のデューティ比に利用することができる。
具体的には、制御部12は、少なくとも1つのPWM信号を生成し、好ましくは、m個のPWM信号を生成し、例えば1つのPWM信号(共通のPWM信号)又はm個のPWM信号に基づきm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mがPWM制御される。例えば昇圧回路UC内のスイッチング素子を駆動するためのPWM信号のデューティ比が固定される時に、例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mを駆動するためのPWM信号のデューティ比は、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の電圧に応じて、変更されてもよい。
より具体的には、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の実際の電圧(電圧検出部VMによって検出される検出電圧)が制御部12で設定される回路駆動電源V12'(昇圧電源)の目標電圧よりも大きい時に、例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mを駆動するためのPWM信号のデューティ比は、減少される。代替的に、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の実際の電圧が回路駆動電源V12'(昇圧電源)の目標電圧よりも小さい時に、例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mを駆動するためのPWM信号のデューティ比は、増加される。
図3において、例えばm個のダイオード又は整流部22−1,22−2,・・・,22−m及び配線部24で構成される回生部は、例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mに蓄えられたエネルギーを例えば回路駆動電源V12'(昇圧電源)に回生するので、例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mを駆動するためのPWM信号のデューティ比の適切な変更は、回路駆動電源V12'(昇圧電源)を安定化させることができる。また、この時に過剰な電流が昇圧電源ライン(回路駆動電源V12')に流れ込むことが抑制されるので、昇圧回路UC(例えば昇圧回路UC内のコンデンサ)の劣化又は故障を抑制することができる。言い換えれば、図3の電源制御装置10又は制御部12は、回路駆動電源V12'(昇圧電源)等の電源の電圧に応じて必要なエネルギーだけを回生に利用することができる。なお、例えばm個のダイオード又は整流部22−1,22−2,・・・,22−m及び配線部24で構成される回生部は、例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mに蓄えられたエネルギーを、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の代わりに例えば車両バッテリ30又は車両電源V30等の他の電源に回生してもよい。
図3の制御部14は、例えば車両信号DATAを入力することができる。制御部14は、車両信号DATAに含まれる車両の状態(例えば、エンジン回転数、吸気管負圧、スロットル開度、エンジン冷却水温、外気圧等)に基づき、回路駆動電源V12'(昇圧電源)の目標電圧を設定又は変更することができる。なお、このような設定又は変更の典型的な具体例は、例えば特開2005−163625号公報に開示されている。
図3の回路駆動電源V12'(昇圧電源)の1例は、コイル82の通電又は駆動によって噴射機構84の例えば燃料噴射弁がソレノイド側に引き寄せられるための電源である。言い換えれば、コイル82は、燃料噴射弁の例えば保持用コイルである。コイル82は、例えば磁歪素子を有する燃料噴射弁の例えば磁歪用コイルであってもよい。磁歪用コイル(コイル82)の通電又は駆動によって噴射機構84の燃料噴射弁の例えば磁歪素子が伸長し、従って燃料噴射弁も伸長する。このように、図3の回路駆動電源V12'(昇圧電源)のもう1つの例は、磁歪用コイル(コイル82)用に電源である。なお、例えば磁歪素子を有する燃料噴射弁の典型的な具体例は、例えば特開2007−315179号公報に開示されている。
図3の回路駆動電源V12'(昇圧電源)の他の例は、保持用コイル用の電源及び磁歪用コイル用の電源である。言い換えれば、図3の電源制御回路10は、例えば2つのコイル82に電気的に接続されてもよく、図3の電源回路12は、例えば2つ又は3つの昇圧回路UCを含むことができる。電源制御回路10が複数の昇圧回路UCを備える時に、例えばm個のダイオード又は整流部22−1,22−2,・・・,22−m及び複数の配線24で構成される回生部(複数の回生部)は、例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mに蓄えられたエネルギーを複数の昇圧回路UCの一部又は全部の出力(複数の昇圧電源)に回生又は分配してもよい。
もちろん、図3の被駆動部80は、インジェクタに限定されない。言い換えれば、図3の電源制御装置10は、噴射制御装置(燃料噴射装置の制御部)に限定されず、例えばエアバッグ制御装置(エアバッグ装置の制御部)等の他の車載制御装置(車載装置の制御部)であってもよい。具体的には、図3の被駆動部80は、例えばインフレータ又はエアバッグであってもよい。また、昇圧回路12の出力(昇圧電源)は、バックアップ電源であってもよく、昇圧回路12の出力は、例えばレギュレータREGに入力されてもよい。即ち、例えばエアバッグ制御装置(電源制御装置10)への車両電源V30の入力が遮断される時に、制御部14は、バックアップ電源(昇圧回路12の出力)に基づき動作して、例えばインフレータ又はエアバッグ(被駆動部80)を例えば駆動部70を介して点火又は展開させてもよい。バックアップ電源の典型的な具体例は、例えば特開2009−196465号公報に開示されている。
ところで、図3において、例えば1つのPWM信号(共通のPWM信号)に基づき例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mがPWM制御されてもよい。しかしながら、例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mのm個の電流は、例えば図2(B)の時刻t2から時刻tnまでの期間において、同時に変動してしまう。言い換えれば、変動又は同期するm個の電流に基づく昇圧電圧(例えばm個のコイル52−1,52−2,・・・,52−mに蓄えられたエネルギーが回生される電源の電圧)には、リプル(凹凸)が生じ得る。従って、このようなリプルは、低減又は抑制されることが好ましい。
具体的には、m個のPWM信号に基づきm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mがPWM制御されることが好ましく、m個のPWM信号の各々は、互いに異なる位相を有することが好ましい。これにより、エネルギーが回生される電源の電圧に生じ得るリプルは、より一層低減又は抑制される。例えば2番目のスイッチング素子16−2を駆動するPWM信号の位相は、例えば1番目のスイッチング素子16−1を駆動するPWM信号の位相に対して、360/{2×(m−1)}[deg]だけ遅れるように設定される。例えばm番目のスイッチング素子16−mを駆動するPWM信号の位相は、例えば1番目のスイッチング素子16−1を駆動するPWM信号の位相に対して、360/{m×(m−1)}[deg]だけ遅れるように設定される。例えばm=2である時に、例えば2(m)番目のスイッチング素子16−2(16−m)を駆動するPWM信号(第2のPWM信号)の位相は、例えば1番目のスイッチング素子16−1を駆動するPWM信号(第1のPWM信号)の位相に対して、360/{2×(2−1)}[deg]=180[deg]だけ遅れるように設定され、従って、第2のPWM信号は、例えば第1のPWM信号の反転信号に設定される。
例えばmが4以上の偶数である時に、例えば奇数番目のスイッチング素子16−1,・・・,16−(m−1)を駆動する2/m個のPWM信号(奇数のPWM信号)のすべては、例えば1番目のスイッチング素子16−1を駆動するPWM信号(第1のPWM信号)に設定される一方、例えば偶数番目のスイッチング素子16−2,・・・,16−mを駆動する2/m個のPWM信号(偶数のPWM信号)のすべては、例えば2番目のスイッチング素子16−2を駆動するPWM信号(第2のPWM信号)に設定されてもよい。この時に、第2のPWM信号は、例えば第1のPWM信号の反転信号に設定される。言い換えれば、例えば2つの共通のPWM信号(奇数のPWM信号及び偶数のPWM信号)に基づき例えばm個のスイッチング素子16−1,16−2,・・・,16−mがPWM制御されてもよい。これにより、制御部14は、例えば1つの反転回路又は遅延回路(図示せず)を内蔵するだけでよく、或いは、制御部14と例えば偶数番目のスイッチング素子16−2,・・・,16mとの間に例えば1つの反転回路又は遅延回路が設けられるだけでよい。
図4(A)及び図4(B)は、それぞれ、例えば2つのリレーの2つのコイル(例えば図3の2つのコイル52−1,52−2の2つの一端)に出力される電圧(例えば図3の2つの電圧V40―1、V40―2)及び2つのリレーの2つのコイルに流れる電流(例えば図3の2つの電流I52―1,I52―2)の説明図を示す。
例えばm=2である時に、例えば2(m)番目のスイッチング素子16−2(16−m)を駆動するPWM信号(第2のPWM信号)は、例えば1番目のスイッチング素子16−1を駆動するPWM信号(第1のPWM信号)の反転信号に設定される。言い換えれば、第1のスイッチング素子16−1及び第2のスイッチング素子16−2が制御部14によってON/OFF制御される時に、第1のスイッチング素子16−1のON状態を表す期間(第1の期間)の全部は、第2のスイッチング素子16−2のOFF状態を表す期間(第2の期間)の全部と一致する。従って、コイル52−1の一端に出力される電圧V40−1は例えば図4(A)の実線で示される一方、コイル52−2の一端に出力される電圧V40−2は例えば図4(A)の点線で示され、電圧V40−2は、電圧V40―2の反転電圧である。
もちろん、m番目のコイル52−mの一端に出力される電圧の位相は、コイル52−1の一端に出力される電圧V40−1の位相に対して、例えば360/{m×(m−1)}[deg]だけ遅れてもよい。言い換えれば、1番目のスイッチング素子16−1及び例えばm番目のスイッチング素子16−mが制御部14によってON/OFF制御される時に、1番目のスイッチング素子16−1のON状態を表す期間(第1の期間)の一部(360/m[deg]の位相に相当する期間)は、m番目のスイッチング素子16−mのOFF状態を表す期間(第2の期間)の一部(360/m[deg]の位相に相当する期間)だけと一致してもよい。
例えばm=2である時に、コイル52−1に流れる電流I52―1は例えば図4(B)の実線で示される一方、コイル52−2に流れる電流I52―2は例えば図4(B)の点線で示され、2つの電流I52―1,I52―2の合成電流は、一定電流となる。図4(B)を参照すれば、複数のスイッチ素子16−1,16−2が同時にON/OFF制御されない時に、複数のコイル52−1,52−2からのエネルギーが回生される電源の電圧に生じ得る変動又はリプル(凹凸)は、低減又は抑制される。
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。