JP6378926B2 - 血糖値低下用組成物 - Google Patents

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本発明は、新規な血糖値低下用組成物に関する。
近年において、成人病の一つである糖尿病が蔓延するに至っている。糖尿病の患者数は、日本国内だけでも650万人を超え、耐糖能障害を患う糖尿病患者の予備群に至っては人口の10人に1人を超えていると言われている。糖尿病は、インスリン依存型の1型糖尿病(IDDM)、インスリン非依存型の2型糖尿病(NIDDM)、およびその他の糖尿病に分類されている。1型糖尿病は膵β細胞の破壊などによる絶対的なインスリンの欠乏によるものであるが、日本人の糖尿病患者の約5%を占めているに過ぎない。また、2型糖尿病は、膵β細胞の数の減少や機能不全などによるインスリン分泌低下とインスリン抵抗性により発病するもので、日本人の糖尿病患者のほとんどはこの型の糖尿病であるとされている。このような糖尿病は重篤な障害を伴い、発病後の平均余命も短いことから、効果的な治療方法の確立が望まれている。
現在においては、多くの種類の糖尿病治療剤が実用に供されている。糖尿病治療剤としては、インスリン抵抗性改善薬、インスリンの分泌促進薬、および糖類分解酵素阻害薬などがある。しかしながら、これらの糖尿病治療剤の薬理効果は十分なものとはいえない。例えば、糖類分解酵素阻害薬は、血糖値の上昇を緩やかにする作用はあるものの、血糖値を正常値に下げる効果までは認められない。このような薬理効果の制限の他、多くの糖尿病治療剤では、副作用、投薬に伴う不快感等の問題がある。
一方、近年、うるち玄米、米糠、大麦などの低GI(Glycemic Index)食物繊維またはその誘導体が、食後の血糖値の上昇を緩やかにする作用を有することが報告されている。
例えば、特許文献1には、安定化米糠誘導体、詳しくは可溶化フラクション、不溶化フラクション、酵素処理された安定化米糠、またはこれらの混合物を有効成分とする哺乳類の血清グルコースレベルの調節用組成物が開示される。
しかしながら、上述のような低GI(Glycemic Index)食物繊維は、安全性は高いものの、薬理効果の点で十分とは言い難い。そこで、安全性が高く、効果の優れた血糖値を低下する技術的手段の開発が依然として求められている。また、患者のQOLを勘案すれば、薬剤に摂取しやすさを付与することもまた重要な課題である。
特表2001−513571号公報
本発明は、安全性が高く、効果の優れた血糖値低下用組成物、特には、安全性が高く、効果の優れかつ摂取しやすい味わいを備えた血糖値低下用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、今般、もち米玄米から得られる特定画分を含有させた経口組成物を糖尿病患者に摂取させたところ、血糖値が顕著に低下することを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1) もち米糠画分またはその抽出物を有効成分として含有する、血糖値低下用組成物。
(2)糖尿病の治療のための、(1)に記載の組成物。
(3)1摂取量単位の形態からなり、該単位中に、もち米糠画分を1摂取量として、乾燥質量換算で3.0質量g以上含有する、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)もち米糠画分が、粒径40メッシュ未満のもち米糠画分を少なくとも含んでなる、(1)〜(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)もち米糠画分における粒径40メッシュ以上のもち米糠画分の含有量が70質量%未満である、(1)〜(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)水性媒体を含んでなる、(1)〜(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)前記水性媒体が水である、(1)〜(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)もち米糠画分と、水性媒体との質量比が、1:1〜1:3である、(1)〜(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)もち米糠画分と、水性媒体との加熱混合物である、(1)〜(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)1摂取量単位で包装された形態である、(1)〜(9)のいずれかに記載の組成物。
(11)サプリメントである、(1)〜(10)のいずれかに記載の組成物。
(12)血糖値低下のための有効量の(1)〜(11)に記載の組成物をそれを必要とする被験者に摂取させることを含んでなる、血糖値の低下方法。
(13)糖尿病の治療方法である、(12)の方法。
(14)血糖値低下用組成物の製造における、もち米糠またはその抽出物の使用。
(15)血糖値低下用組成物が糖尿病治療用組成物である、(14)の使用。
(16)1摂取量単位の形態からなり、該単位中に、もち米玄米から精製されたもち米糠画分を1摂取量として、乾燥質量換算で3.0質量g以上含有する、経口組成物。
(17)米糠を1摂取量として、乾燥質量換算で6.0g質量g以上を含有する、(16)に記載の経口組成物。
(18)もち米糠画分における粒径40メッシュ以上のもち米糠画分の含有量が70質量%未満である、(16)〜(17)のいずれかに記載の経口組成物。
(19)水性媒体をさらに含んでなる、(16)〜(18)のいずれかに記載の経口組成物。
(20)もち米糠画分と、水性媒体との質量比が、1:1〜1:3である、(16)〜(19)のいずれかに記載の経口組成物。
(21)水性媒体が水である、(16)〜(20)のいずれかに記載の経口組成物。
(22)もち米糠画分と、水性媒体との加熱混合物である、(16)〜(21)のいずれかに記載の経口組成物。
(23)1摂取量単位で包装された形態である、(16)〜(22)のいずれかに記載の経口組成物。
(24)サプリメントである、(16)〜(23)のいずれかに記載の経口組成物。
本発明によれば、本発明の組成物を被験者に経口摂取させることにより、顕著に被験者の血糖値を低下させることができる。また、本発明の組成物は、速やかに被験者の血糖値を正常値に低下させる上で特に有利に利用することができる。また、本発明の組成物は、平均血糖値および標準偏差SDを低レベルに保持して、被験者における血糖値管理を効果的に行う上で有利に利用することができる。さらに、本発明の組成物は、酸化ストレスまたは心疾患のリスクの指標として知られるMAGE(mean amplitude of glycemic excursions:24時間を通しての平均血糖変動幅)を低レベルに抑制する上で有利である。
AおよびBはそれぞれ、本発明の組成物を摂取させた二人の被験者(2型糖尿病患者)における高インスリン正常血糖クランプ検査中のグルコース注入率(mg/kg/min)の変化を示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける24時間の平均血糖値(mg/dL)を示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける24時間の平均血糖値のSD(標準偏差)(mg/dL)を示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおけるMAGEを示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける血糖上昇曲線グラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける朝食後3時間の血糖上昇曲線下面積を示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける昼食後3時間の血糖上昇曲線下面積を示すグラフである。 本発明の組成物、比較例1(米糠含有組成物)または比較例2(白米含有組成物)を摂取させた被験者(2型糖尿病患者)群に関する、持続血糖モニタリングにおける3食(朝食、昼食および夕食)後3時間の血糖上昇曲線下面積の合計を示すグラフである。
発明の具体的説明
経口組成物
本発明の組成物は、血糖値低下のための有効成分として、もち米糠画分またはその抽出物を含有させていることを一つの特徴としている。
本発明に用いられるもち米糠画分は、本発明の効果を妨げない限り、市販品を用いてもよく、公知の手法によって、もち米玄米から精製して取得してもよい。例えば、もち米糠画分は、もち米玄米から目視にて観察される異物を除去し、水洗し、35〜45℃程度で乾燥させ、公知の精米器にて処理することにより、取得することができる。
もち米糠画分の原料となるもち米玄米の種類は、特に限定されないが、例えば、ヒヨクモチ(熊本県産、佐賀県産)、はくちょうもち(北海道産)、風の子もち(北海道)、こがねもち(新潟県産)、マンゲツもち(兵庫県産)、羽二重もち(滋賀県産)等が挙げられる。
また、本発明のもち米糠画分は、特に制限されないが、被験者の摂取しやすさを勘案すれば、U.S.基準の篩いメッシュサイズが、好ましくは粒径40メッシュ未満のものが主に含まれ、より好ましくは粒径14メッシュ以上40メッシュ未満のものが主に含まれる。より具体的には、本発明のもち米糠画分においては、粒径40メッシュ以上の画分の含有量が、好ましくは70質量%未満であり、より好ましくは30%未満である。さらに好ましくは、本発明のもち米糠画分においては、粒径14メッシュ以上40メッシュ未満の画分の含有量が50%以上である。かかる粒径のもち米糠画分を用いることは、本発明の組成物において、米糠の苦味を低減し、摂取しやすい味わいを付与する上で有利である。
また、本発明の組成物は、血糖値低下のための有効量となるように、1摂取量単位の形態から構成されることが好ましい。本発明の組成物における上記該単位は、もち米糠画分を1摂取量として、乾燥質量換算で、好ましくは3.0質量g以上、より好ましくは6.0質量g以上含有する。
また、本発明の組成物では、もち米糠画分は抽出物の形態で含有させてもよい。もち米玄米の抽出に用いられる液媒体は、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは水である。したがって、本発明の組成物は、好ましくは水性媒体を含んでなる。
本発明の組成物に水性媒体を含有させる場合、もち米糠画分と、水性媒体との質量比は、もち米についてのみ乾燥質量換算すると、好ましくは1:1〜1:3である。
また、本発明の組成物に水性媒体を含有させる場合、本発明の効果を妨げない限り、硬さ(N/m2)は、好ましくは30,000〜200,000であり、より好ましくは、65,000〜150,000である。また、付着力(N/m2)は、好ましくは、10,000〜70,000、より好ましくは15,000〜50,000である。
また、本発明の組成物に水性媒体を含有させる場合、本発明の効果を妨げない限り、本発明の組成物は加熱して滅菌処理をおこなってもよい。したがって、本発明の一つの態様によれば、本発明の組成物は、もち米糠画分と、水性媒体との加熱混合物の形態で提供される。
かかる加熱温度は、特に限定されないが、例えば、70〜150℃で5〜60分間とすることができる。
本発明の組成物は、本発明の効果を妨げない限り、固形状、粉末状、顆粒状、液状またはスラリー状のいずれも形態であってもよい。
本発明においては、もち米糠画分またはその抽出物をそのまま経口組成物としても用いてもよいが、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて、賦形剤、滑沢剤、乳化剤、増粘剤、pH調整剤等の薬理学上または経口摂取上許容可能な添加剤をさらに添加してもよい。
また、本発明の組成物は、1摂取量単位で包装された形態で提供することが好ましい。1摂取量当たりの単位包装形態としては、パック、容器等で一定量を規定する形態が挙げられ、それらの表面には1摂取量の成分表示および食後の血糖値抑制の用途表示を付していてもよい。かかる単位包装形態の好適な例としては、サプリメント、医薬製剤等が挙げられる。
血糖低下/糖尿病の治療用途
本発明の組成物によれば、上述の通り、それを経口摂取した患者における血糖値を顕著に低下させることができる。したがって、本発明の組成物は、好ましくは血糖値低下用組成物、より好ましくは糖尿病治療用組成物として提供される。
本発明の組成物の投与計画は、被験者の年齢、性別、症状に応じて当業者が適宜設定することができるが、上述した1摂取単位量を、好ましくは、1日1〜3回、より好ましくは1日3回、被験者に摂取させることが好ましい。また、本発明の組成物は、食事と共に摂取するために用いられることが好ましい。本発明の組成物は、食前、食間または食後に摂取してもよいが、好ましくは食前に摂取することが好ましい。
また、本発明の別の態様によれば、血糖値低下のための有効量の本発明の組成物を、それを必要とする被験者に摂取させることを含んでなる、血糖値の低下方法が提供される。また、本発明の一つの態様によれば、血糖値の低下方法は、ヒトに対する医療行為を除く。また、本発明の好ましい別の態様によれば、本発明の血糖値の低下方法は糖尿病の治療方法である。ここで、「血糖値低下のための有効量」とは、上述の1摂取量単位の形態から構成することができる。また、「治療」には、確立された病態を治療することだけでなく、将来確立される可能性のある病態を予防することをも含む。
また、被験者は哺乳動物、例えば、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウシ、霊長類などであり、好ましくはヒトであり、より好ましくは糖尿病が患者である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術範囲はこれらの例示に限定されるものではない。なお、特に指摘されない限り、本発明で用いられる全てのパーセンテージおよび比率は質量による。また、本発明で用いられる篩いメッシュサイズはU.S.標準に基づいている。
実施例1:もち米糠含有経口組成物の製造
1−1:製造方法
予め目視で確認される異物を除去したもち米玄米(ヒヨクモチ、熊本県産)を水洗し、40℃にて乾燥させた。次に、乾燥したもち米中の異物を再度目視にて確認して除去し、得られた乾燥もち米を卓上型精米器(4合胚芽モード、サタケ社製)を用いて精米と精米以外に分けた。以下、精米以外の部分を「もち米糠画分」という。
次に、14メッシュ(目開き1.4mm)、20メッシュ(目開き0.84mm)および40メッシュ(目開き0.42mm)の篩を用いてもち米糠画分を篩過し、もち米糠含有経口組成物として、サンプル1(粒度14メッシュ未満20メッシュ以上)、サンプル2(粒度20メッシュ未満40メッシュ以上)、およびサンプル3(粒度40メッシュ未満)を得た。
さらに、サンプル4およびサンプル5として、異なる粒度を有するもち米糠画分の混合サンプルを調製した。
サンプル4は、14メッシュ以上40メッシュ未満のもち米糠画分55(%)と、40メッシュ以上のもち米糠画分45(%)とを混合することにより取得した。
サンプル5は、14メッシュ以上40メッシュ未満のもち米糠画分28(%)と、40メッシュ以上のもち米糠画分72(%)とを混合することにより取得した。
次に、各サンプル7.5gと水10.5gとをビニール製の袋中で混合し、100℃で30分間加熱し、スラリー状のサンプル1〜5を得た。
1−2:官能評価
スラリー状のサンプル1〜5について、以下の評価基準に従い、複数のパネラーにより、摂食のし易さの指標として苦味に関する官能評価を行った。
[評価基準]
苦味の強さ
6:非常に強く感じる
5:強く感じる
4:感じる
3:弱く感じる
2:非常に弱く感じる
1:感じない
評価結果を表1および2に示す。表中のスコアは、各パネラーのスコアの平均値である。
表1に示す通り、40メッシュ(目開き0.42mm)の篩を通過しないもち米糠サンプル1および2は、苦味をほとんど感じないレベルであった。一方、40メッシュ(目開き0.42mm)の篩を通過するもち米糠サンプル3は、非常に苦味が強かった。
また、表2に示す通り、40メッシュの篩を通過しないものが、50%を超えると、苦味が非常に弱く感じた。一方、40メッシュの篩を通過するものが、70%を超えると苦味を強く感じた。
1−3:硬さおよび付着力評価
予め目視で確認される異物を除去したもち米玄米(ヒヨクモチ、熊本県産)を水洗し、40℃にて乾燥させた。次に、乾燥したもち米中の異物を再度目視にて確認して除去し、得られた乾燥もち米を卓上型精米器(4合胚芽モード、サタケ社製)を用いて精米して、粒度14メッシュ以上20メッシュ以下の画分を34%、粒度20メッシュ以上40メッシュ未満の画分を20%、および粒度40メッシュ以上の画分46パーセント含むもち米糠画分を得た。そして、その画分7.5gと水10.5gとをビニール製の袋中で混合し、100℃で30分間加熱し、スラリー状のサンプルを得、室温まで冷却後、スラリーを取り出し、測定試料とした。
測定方法
φ5の円柱状プランジャーを使用し、速度2mm/秒、クリアランス1mmでレオメーターCR-500DX(サン科学社製)にて測定を行い、測定試料にプランジャーを貫入させた時の最大荷重値を硬さ、引き抜く時の最大荷重値を付着力とした。各試料10回測定を行い、その平均値を示した。
評価結果を表3に示す。
実施例2:高インスリン正常血糖クランプ法
高インスリン正常血糖クランプ法を用いて、実施例1で得られたスラリー状のサンプル1を摂取させた2型糖尿病患者(男性、2名)における血中の糖取り込み速度の変化を測定した。
高インスリン正常血糖クランプ法では、インスリンの持続静注により人工的に高インスリン状態をつくり、さらにグルコースを注入することにより血糖を正常に保つ。この際のグルコース注入率(mg/kg/min)により正常血糖(血液中のグルコースの正常濃度)を維持するのに必要なグルコース量を定量することができる。また、グルコース注入率(mg/kg/min)は、筋肉(主として)および脂肪組織によるグルコースの末梢取り込み速度の指標となる。
本高インスリン正常血糖クランプ検査は、”Effect of diet and exercise on muscle and liver intracellular lipid contents and insulin sensitivity in type 2 diabetic patients. Yoshifumi Tamura Yasushi Tanaka, et al. Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism 90: 3191-3196, 2005”の記載に準じて、約6時間に渡って実施した。実施例1で得られたスラリー状のサンプル1は、試験開始120分後に患者に摂取させた。
また、インスリンについては、末梢静脈経由で1分間に1m当たり2.58mU/kg/minで注入した。また、グルコースについては、グルコースアナライザーで分析し、血中糖濃度を95〜100mg/dLに維持するために必要に応じて、グルコース注入率(GIR)を調節した。
なお、血液試料に関しては、インスリンを注射する30分前に最初の血液試料を採取し、試験開始後には3分ごとに血液試料を採取した。
結果は、図1Aよび図1B示される通りであった。
図1Aよび図1Bはそれぞれ、異なる被験者(2型糖尿病患者)におけるグルコース注入率(mg/kg/min)の変化を示している。
いずれの被験者でも、もち米糠を含有する実施例1のサンプル1を摂取した後、グルコース注入率(GIR)は大幅に向上していた。この結果から、もち米糠は経口摂取した被験者では、グルコースの末梢取り込み速度が大幅に向上したことがわかる。
実施例3:持続血糖モニタリングシステムを用いた血糖値の比較試験
以下の手順に従い、もち米糠を含有する本発明の経口組成物、米糠を含有する経口組成物(比較例1)、白米(比較例2)について、患者の血糖値に与える影響を比較した。
“Comparison of daily glucose excursion by continuous glucose monitoring between type 2 diabetic patients receiving preprandial insulin aspart or postprandial insulin glulisine. Akio Ohta, Arai K, et al. Endocrine Journal 60: 173-177, 2013”に記載の多重クロスオーバー比較試験に準じて、2型糖尿病患者(24名)を6群に分け、計3回の24時間持続血糖モニタリング(採血−朝食前、朝食後30, 60, 120, 180分ごと)を行った。各群においては、以下の順で試験サンプルを変更して、各モニタリング試験を行った。
群構成
1群:比較例2→比較例1→本発明
2群:比較例2→本発明→比較例1
3群:比較例1→比較例2→本発明
4群:比較例1→本発明→比較例1
5群:本発明→比較例2→比較例1
6群:本発明→比較例1→比較例2
試験サンプル
本発明の経口組成物としては、もち米糠7.5g相当を含有するように調整したもち米玄米から構成される組成物(株式会社ニチレイフーズ社製、もち米玄米ごはん150g)を用意した。
一方で、比較例1としては、米糠7.5g相当を含有するように調整した玄米(こしひかり、新潟県産)から構成される組成物150gを用意した。
また、比較例2として、白米(こしひかり、新潟県産)から構成される組成物150gを用意した。
本発明の経口組成物、比較例1および比較例2はいずれも炊飯して、試験サンプルとして用いた。また、各試験サンプルの一日の総摂取量は、表1に示される通りであり、一日3回(朝食8時半、昼食12時、夕食18時)に分けて各群の患者に摂取させた。
持続血糖モニタリングにおける血糖値パラメーターに関して、対応のある一元分散分析により群間比較を行った。
24時間の平均血糖値(mg/dL)に関する結果は、図2Aに示される通りであった。
本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、平均血糖値が有意に低かった(p<0.01)。一方で、比較例1および比較例2の間には有意な差は認められなかった。
また、24時間の平均血糖値の標準偏差SD(mg/dL)に関する結果は、図2Bに示される通りであった。
本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、平均血糖値のSDが有意に小さかった(p<0.05)。一方で、比較例1および比較例2の間には有意な差は認められなかった。
また、MAGEに関する結果は、図2Cに示される通りであった。
本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、MAGEが有意に低かった(p<0.01)。一方で、比較例1および比較例2の間には有意な差は認められなかった。
また、持続血糖モニタリング試験においては、図3に示される血糖上昇曲線を作成した。
血糖上昇曲線に示される通り、本発明の経口組成物を摂取させた群では、食事後に血糖値が正常値(初期値)レベルまで速やかに戻る傾向が認められた。一方で、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取させた群では、食事後に血糖値が正常値(初期値)レベルまで速やかに戻ることはなかった。
また、図3に示される血糖上昇曲線について、血糖上昇曲線下面積(AUC)を解析した。
朝食後3時間の血糖上昇曲線下面積は、図4Aに示される通りであった。本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、朝食後3時間の血糖上昇曲線下面積が小さい傾向を示した(p=0.076)。
昼食後3時間の血糖上昇曲線下面積は、図4Bに示される通りであった。本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、朝食後3時間の血糖上昇曲線下面積が有意に小さかった(p<0.01)。
3食(朝食、昼食および夕食)後3時間の血糖上昇曲線下面積の合計は、図4Cに示される通りであった。本発明の経口組成物(もち米糠含有)を摂取した場合には、比較例1(米糠含有)または比較例2(白米)を摂取した場合と比較して、3食3時間の血糖上昇曲線下面積の合計が有意に小さかった(p<0.01)。

Claims (9)

  1. もち米糠を含有する、血糖値低下用組成物。
  2. 糖尿病治療用組成物である、請求項1に記載の組成物。
  3. 1摂取量単位の形態からなり、該単位中に、もち米糠画分を1摂取量として、乾燥質量換算で3.0質量g以上含有する、請求項1または2に記載の組成物。
  4. サプリメントである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. もち米糠を含有する、24時間を通しての平均血糖変動幅(MAGE)の抑制用組成物。
  6. 酸化ストレスまたは心疾患のリスクを低減するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 血糖値を低下するための、請求項5または6に記載の組成物。
  8. 食品である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. ヒトのための、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
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