JP6378686B2 - 微粉末の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒径が1〜300μm、厚みが0.1〜50μmからなる鱗片状微粉末の製造方法に関する。
化粧品などには各種の粉体、例えば、粘土鉱物を粉体化したものおよび/または色材(例えば、染料、顔料)が使用されている。粘土鉱物は主にタルク、マイカなどに代表されるものがある。これらの粉体は、化粧料として必要な被覆力、延展性、付着性等を有するため古くから使用されているが、人間の皮脂および化粧品中に含まれる油剤などにより、微粉末の明度、彩度を低下させ易く、粉体黒ずみや色くすみ現象の原因となりやすい。一方、有機物の微粉末は、無機系の粘土鉱物に比較してより柔らかくソフト感が高い。また、球状の微粉末に比べて鱗片状の微粉末は展延性に優れる(特許文献1、特許文献2)。以上の理由から、化粧品等として用いるのに好適な有機物、特にポリマーの鱗片状微粉末の提供が望まれている。
鱗片状の微粉末の製造方法としては、ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を常温の液体である液層の液面上に膜状に展開させて、脱溶剤により膜を形成させ、この薄膜を粉砕する方法(特許文献2)が提案されている。しかしながら、この方法では乾燥工程が必要なこと、生産性が低いこと、有機溶剤を大量に使用するため環境や作業者への影響が問題となっていた。
また、ポリマー溶液の微小な液滴を平板上に滴下し、固化させる方法(特許文献3)が提案されている。しかしながら、この方法では、目的とする厚さの微粉末に切削することが困難であったり、基板から薄膜を剥離することが容易ではない等の理由により、化粧品等として用いるに好適な鱗片状ポリマーの微粉末は容易には得られなかった。
特許第3963635号公報 特開2002−308996号公報 特開昭63−117040号公報
従来の製造方法では、目的とする厚さの鱗片状微粉末に粉砕することが困難であったり、均一な厚さを有する微粉末が得られ難かったり、また微粉末を製造するための薄膜が得られても生産性が低く、また、排水処理が必要となるため、容易には得られなかった。
本発明は、前記課題を解決するものであって、微粉末を製造するための薄膜の製造が容易で、しかも厚さが薄くて厚さ均一性に優れた鱗片状粉末が容易に得られるポリマーの微粉末の製造方法および化粧品用粉末あるいは色材などの工業用粉体などとして有用なポリマーの微粉末を提供することを目的とする。
本発明のポリマーの微粉末の製造法は、2種類の樹脂(樹脂Aと樹脂B)を交互積層し、積層数が16層以上の多積層体を作製する工程、粉砕により微粉末化する工程、積層した界面を分ける(剥離)工程を備えることを特徴とする微粉末の製造方法である。積層数としては、微粉末の生産量を考慮すると16層以上が必要であり、32層以上であるのが好ましい。ここで粉砕により微粉末化する工程と積層した界面を分ける(剥離)工程とはその順番が前後しても良いし、両工程が同時に行われても良い。
単一材料の微粉末を作製する場合、一方の樹脂を水溶性樹脂からなる多積層体を作製し、粉砕工程後に水溶性材料を溶かすことで単一材料の微粉末を得ることができる。また、粉砕工程前に水溶性材料を溶かした後に粉砕することで単一材料の粉末を得ることができる。
本発明の微粉末は、平均厚み(t)が0.1μm以上50μm以下の範囲にあり、粒径分布の中心値で代表される粒径(d)が1μm以上〜300μm以下の範囲にあり、かつ、粒径(d)と厚み(t)との比であるアスペクト比(d/t)が6以上300以下である。
積層する樹脂としては、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)とポリスチレン樹脂(PS)、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)と脂環式オレフィン系樹脂(COP)または脂環式オレフィン系コポリマー(COC)およびポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)とポリアミド樹脂(PA)の組合せのいずれかであるのが、積層界面の剥離の点から好ましい。
本発明によれば、厚さが薄くて厚さ均一性に優れた鱗片状粉末が容易に得られるポリマーの微粉末の製造方法および化粧品用粉末あるいは色材などの工業用粉体などとして有用なポリマーの微粉末を提供することができる。
本発明の積層体の製造方法の例を示す工程図である。 本発明の実施例1で作製した積層フィルムの断面構造の例を示すレーザー顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で作製した積層フィルム粉砕品の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で作製した微粉末の粒径分布の測定結果の例を示すグラフである。 参考例2に示したPMMA/PCフィルムの粉砕品の電子顕微鏡写真である。 本発明の微粉末の一例を示す斜視図である。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体の製造方法は、図1に示したように少なくとも2つの溶融樹脂をフィードブロックと呼ばれる2種類の樹脂を積層する工程1において横方向に配列して隣接させた積層流(2種2層または2種3層)を作製し、工程2において左右に2分割を行い、工程3において幅方向に広げる工程と、厚み方向に縮める工程を同時に行い、工程4においてそれぞれの層を重ね合わせることで、17層の交互積層体を作製する。これら工程2から4を1セットとして繰り返し行うことで、積層数を増やすことができる。上記に述べたように、2種3層の積層流からはじめる場合は、1セットでは5層、2セットでは9層、3セットでは17層の積層体を作製することが可能であり、積層数は2(N+1)+1(ここでNは工程2〜4のセット数)で表すことができる。2種2層の積層流からはじめる場合は、1セットでは4層、2セットでは8層、3セットでは16層の積層体を作製することが可能であり、積層数は2(N+1)(ここでNは工程2〜4のセット数)で表すことができる。
積層体を形成させた各工程を経た後、最外層側に樹脂Cを積層した後にダイにより横方向に広げてフィルム形状に成形する。ここで最外層(樹脂C)はフィルムダイ内部で積層体(B/A/・・・A/B)の構造が崩れることを防ぐために積層を行う。フィルム状に成形された後の各層の厚みは、後述する粉砕工程により得られる粒子の厚みにあわせて適宜決定すればよい。
効率的にフィルムを製造する方法としては、溶融押出方法が挙げられる。しかし、同方法を用いて、目標とする厚み1〜50μmの単層フィルムを作製する場合、材料の強度が不足し、引取る工程や巻取る工程においてフィルムが破断するなどの問題があり、安定して製造することは困難であった。安定して製造可能なフィルム厚みは、経験的に50〜60μm以上である。得られたフィルムは、その後延伸しても良い。
そこで、接着性の低い樹脂同士を、目標とする厚みよりも薄く交互積層した多層フィルムを溶融押出方法により作製し、これを粉砕と同時に層間を剥離させて、薄膜の鱗片状の微粉末を作製することができる。
得られた多層フィルムは、粉砕機により粉砕されて微粉末とされる。粉砕方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕、凍結粉砕などが挙げられる。前記粉砕機の例は、ハンマーミル粉砕機、ピン式粉砕機、衝撃式粉砕機、ジェットミル粉砕機、ボールミル粉砕機、衝撃微粉砕機、気流式粉砕機、ジェット粉砕機などが挙げられる。なかでも、乾式粉砕法が乾燥工程が不要なため好ましい。
粉砕工程では、粉砕装置が摩擦熱などによって高温になるため、液化炭酸ガス、液体窒素ガスなどの液化気体等を冷却剤として多層フィルムを冷却しながら破砕する冷凍粉砕や、装置に冷却媒体を通して冷却する方法などが挙げられる。これによって粉砕時の剪断熱、摩擦熱等によっても多層フィルムは融着等を起こさなくなり、薄膜の厚さを損なうことなく薄膜を微粉末化できる。粉砕方法として、製造コストを考えた場合、装置に冷却媒体を通して冷却する方法が好ましい。
粉砕過程では、固体材料の表面が削れていく表面粉砕と、固体が大きく割れて段々と小さくなっていく体積粉砕に別けられる。現実的には表面粉砕と体積粉砕が組み合わさった中で粉砕が進むと考えられる。お互いの親和性が低い樹脂を交互積層したものは、一見、接着しているように見えるが、容易に剥離することが可能な状態であると考えられる。この積層フィルムは粉砕過程で発生するいくつかの粉砕力が引き金となって、層間の剥離が進むものもある。
親和性の低い樹脂としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート樹脂との組合せの場合、ポリスチレン樹脂(PS)、脂環式オレフィン系樹脂(COP)、脂環式オレフィン系コポリマー(COC)、ポリアミド樹脂(PA)などが挙げられ、これらの交互積層フィルムは層間剥離が起こりやすい。
上記方法で得られた微粉末の一例の外観を拡大した斜視図を図6示す。この微粉末には狭義の「板状」の他、粉砕の仕方によって生じることのある、いわゆる「薄片状」、「鱗片状」等の形状のポリマー粒子も含む。
一方の樹脂に水溶性樹脂を用いる場合、エクセバール(株式会社クラレ商標)やポリビニルアルコール樹脂に水分を含ました含水PVA樹脂などが上げられる。得られた複層フィルムを粉砕した後、98℃×60分間熱水中で処理することで、水溶性樹脂成分は完全に溶出し、非水溶性樹脂成分を得ることができる(処理条件参照、出願番号:特願平11−247061、発明の名称:易分割性ポリアミド系複合繊維)。
本発明で使用する微粉末において、一般に、図6中t1で示される厚さ、すなわち一個の粉体のうちの厚さは、押出成形によって作製する際の吐出量や引取り速度、粉砕条件によって調整することができる。また、図中d1で示される粒径も、得られた粉砕の程度により調整することができる。なお、厚さについては電子顕微鏡観察により求めた個別のt1の算術平均によりt1を代表する厚さ(t)とすることとし、粒径については、d1を個別に測定することは困難であるため、光回折法により求めた粒径分布の中心値をもってd1を代表する粒径(d)とすることとする。更にこれらの調整により、種々のアスペクト比(d/t)の板状ポリマー粉体を得ることができる。
本発明の微粉末を化粧料に配合する微粉末とする場合には、厚さ(t)は0.1μm〜50μmが好ましく、より好ましくは約0.1μm〜30μm、特に好ましくは0.5μm〜20μmである。また、微粉体の粒径は、1μm〜300μmであり、より好ましくは1μm〜200μmである。また、微粉末のアスペクト比(d/t)は約6以上300以下であることが好ましく、より好ましくは約10以上200以下である。一般に付着性は微粉体の厚さに依存し、薄いものほど付着しやすいとされる。微粉体の厚みが薄すぎると分散性や展延性が劣る傾向にあり、毛穴や皮溝に集積したり凝集したりするため、好ましくない。また、微粉体の厚みが厚すぎると、展延性が損なわれ、肌への付着性や粒子間の付着性が低下し好ましくない。
化粧料中に配合する微粉末として上記した範囲のものを用いれば、嵩高であると共に薄く、透明性が良いものであるため、化粧料中での分散性が優れ、柔らかな感触でスライド性も良く、肌に密着し、経時的な色のくすみがなく塗布膜の透明感が持続し、化粧効果の高さにおいて良好なものを得ることができる。
本発明に用いるアクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチルの単独ポリマー、あるいはメタクリル酸メチルを主成分とし他の共重合単量体を含有する単量体混合物のコポリマーをいい、重合度3000以下のものが好ましく用いられる。さらに透明性を必要とする場合には、重合度300〜1000程度のものが好もしく、重合度400〜600でメルトフローレートが25〜34g/10min(200℃−3.8Kg)程度のものがより好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合する単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル類、酢酸ビニルなどの酢酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、無水マレイン酸、マレイン酸モノ、及びジアルキルエステル、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸金属塩、メタクリル酸金属塩などが挙げられる。これらは1種以上を用いることができるが、メタクリル酸メチルとの共重合比率は、通常1〜30重量%程度の範囲で使用するのが好ましい。
スチレン樹脂は、スチレン系単量体単位から構成されており、かかるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種のみならず、2種以上を併用することもできる。これらの中でもスチレン系樹脂スチレン系樹脂が好ましい。
また、スチレン系樹脂は、ゴム質重合体を含有したゴム含有ポリスチレン樹脂であってもよい。ここでいうゴム質重合体とは、ガラス転移温度が好ましくは0℃以下、より好ましくは−20℃以下のものであり、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、30重量%までの(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルを含有するスチレン−ブタジエン系共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のジエン系ゴムが好ましいものとして挙げられる。他の適当なゴム質重合体の例としては、アクリル酸C1〜C8アルキル、特にアクリル酸エチル、ブチルおよびエチルヘキシルを主体とするアクリル酸アルキルゴムが挙げられる。アクリル酸アルキルゴムは、30重量%までの酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテルなどが共重合されていてもよく、さらに5重量%以下のアルキレンジオール(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、シアヌル酸トリアリル等の架橋性不飽和単量体が共重合されていてもよい。
スチレン系樹脂の好ましい具体例としては、ポリスチレン、ゴム含有ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ゴム含有アクリロニトリル−スチレン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ゴム含有スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、ゴム含有スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン−ジエンブロック共重合体およびその水添物が挙げられる。これらの樹脂は1種のみならず、2種以上をブレンドして使用しても良い。これらのなかでも、ポリスチレンおよびゴム含有ポリスチレン樹脂が、各種の物性バランスの面から好ましいものとして挙げられる。
脂環式ポリオレフィン系樹脂としては、JSR(株)のアートン(登録商標)、日本ゼオン(株)のゼオノア(登録商標)およびゼオネックス、三井化学(株)のアペル(登録商標)、ポリプラスチックス(株)のトーパスなどが好ましく用いられる。
ポリアミド系樹脂とは、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミド樹脂を用いることができる。具体的にはε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシレンジアミンなどのジアミン類とテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸類とを宿重合させて得られる重合体、または共重合体であり例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6・6、6・10、6・11、6・12、6T、6/6・6、6/12、6/6T、6I/6Tなどが上げられる。
これらのうちで得られるフィルムの熱的、機械的特性の面から、特にナイロン6ナイロン6/6・6共重合樹脂の使用が適している。
本発明で用いる上記の各樹脂は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上をブレンドして用いても良い。
<鱗片状微粉末の作製方法>
ツインインペラ対向気流乾式粉砕機(ドライバースト型式DB−180W、スギノマシン製)を用いて行った。粉砕方法は、材料投入側のインペラ回転数と材料排出側のインペラ回転数を調整することで行った。粉砕条件は表1に記載した。
<鱗片状微粒子の形状測定>
[粒径(d)の測定]
粉砕により得られた微粉末について、堀場製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置(型式:LA−910)を用いて粒径を測定した。本発明において粒径は、前記粒度分布測定装置によって得られる粒径分布の中心値(D50)をもって粒径(d)とした。
[平均厚み(t)の測定]
粉砕により得られた微粉末の厚さを、日立製作所製の走査型電子顕微鏡(型式:S-2150)を用いて測定した。厚さ測定はランダムに選んだ5つの粉末の測定結果の平均値とした。
<実施例1>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)HR−L、クラレ製)を樹脂Aとし、ポリスチレン(PS樹脂、MT5D/G100C=50/50wt%、トーヨースチロール製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度230℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/5になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆した後、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。粉砕前の積層体のレーザー顕微鏡写真を図2に示した。粉砕品の走査型電子顕微鏡写真を図3に示した。微粉末の粒径を測定した結果を図4に示した。
<実施例2>
樹脂の投入量と回転数、処理時間以外は、実施例1と同様の条件にて微粉末を作製した。投入量30g、回転数8000×10000min−1(IN×OUT)、処理時間2分50秒の条件にて微粉末を作製した。
<実施例3>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)HR−L、クラレ製)を樹脂Aとし、シクロオレフィンコポリマー(COP樹脂、Topas6013S、Ticona製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度250℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/5になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。
その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆した後、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度6m/min、40℃に温度コントロールした3
本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。
得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。
<実施例4>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)とし、ポリメチルメタクリレート−ポリスチレンの共重合樹脂(MS樹脂、エスチレンMS-200、新日鉄住金化学製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度230℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=4/1になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度3.6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。
得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に268g投入し、回転数8000×10000min−1(IN×OUT)、処理時間12分12秒の条件にて微粉末を作製した。
<参考例1>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)を樹脂Aとし、ポリプロピレン(PP樹脂、ノバテックMA3、日本ポリプロ製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度230℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/2になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。粉砕品の層の剥離状態を走査型電子顕微鏡写真にて観察した結果、ポリプロピレンの融着物とポリメチルメタクリレートの粉砕品が混在し、良好な微粉末は得られなかった。
<参考例2>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)を樹脂Aとし、ポリカーボネイト(PC樹脂、レキサン121R、サービック製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度250℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/2になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。粉砕品の層の剥離状態を走査型電子顕微鏡写真にて観察した結果、一部に剥離が見られたが、大部分には剥離は見られなかった。粉砕品の観察結果を図5に示した。
<参考例3>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)HR−L、クラレ製)を樹脂Aとし、非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂、SKYGREEN PETG S2008 SKケミカル)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度230℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/1になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。
粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間3分16秒の条件にて微粉末を作製した。粉砕品の層の剥離状態を走査型電子顕微鏡写真にて観察した結果、一部に剥離が見られたが、大部分には剥離は見られなかった。
<実施例5>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)と、ポリスチレン(PS樹脂、MT5D/G100C=50/50wt%、トーヨースチロール製)を20/80の重量比で混合したものを樹脂Aとし、材料Bに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GH−S、クラレ製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度230℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=4/1になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。
その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度3.6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。
<参考例4>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)EH、クラレ製)と、ポリカーボネイト(PC樹脂、レキサン121R、SABIC製)を20/80の重量比で混合したものを樹脂Aとし、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度250℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=4/1になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行うことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC600、日本ポリエチレン製)を被覆し、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取り速度3.6m/min、40℃に温度コントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却し、トータル19層のフィルムを作製した。
得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min−1(IN×OUT)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。粉砕品の層の剥離状態を走査型電子顕微鏡写真にて観察した結果、一部に剥離が見られたが、大部分には剥離は見られなかった。
上記の実施例および参考例の結果を表1に示す。なお、参考例1〜4における樹脂の組み合わせは、前記参考例の試験条件では分割できなかったが、条件が適切であれば分割できる可能性があるので、本発明は該参考例における樹脂の組み合わせを排除するものではない。
<実施例6>
材料Aに使用する樹脂として、ポリメチルメタクリレート(PMMA樹脂、パラペット(登録商標)GF、クラレ製)を用い、水溶性樹脂(エクセバール(登録商標)CP−410、クラレ製)を樹脂Bとした。樹脂Aおよび樹脂Bをそれぞれ単軸押出機(PSV22mm:プラエンジ社製)にて、温度220℃の溶融状態とし、ギアポンプによって吐出比が樹脂A/樹脂B=1/5になるように計量し、工程1の金型へ導入した。工程2〜4を3セット繰り返し行なうことで17層の積層体を作製した。その次に、積層体の最外層に低密度ポリエチレン(LDPE樹脂、ノバテックLC701、日本ポリエチレン製)を被覆した後、300mm幅のフィルムダイ(ダイの隙間:約1mm)を通して吐出したものを、引取速度6mm/min、40℃の温度にコントロールした3本の金属製の鏡面ロールにて冷却して、トータル19層のフィルムを作製した。
得られたフィルムのLDPE樹脂層を剥がしたものを、粉砕機に30g投入し、回転数8000×9000min.−1(IN×out)、処理時間2分30秒の条件にて微粉末を作製した。
次に、得られた微粉末を95℃の温水中で2時間攪拌することで、水溶性樹脂のみを溶解させた後、濾過することでポリメチルメタクリレートのみの微粉末を得た。
Figure 0006378686

Claims (5)

  1. 少なくとも2種類の樹脂を溶融して交互積層し、樹脂層の層数が16層以上の多積層体を作製する工程、
    前記多積層体を粉砕する工程、
    および積層された層を剥離する工程を備える微粉末の製造方法であって、
    前記層を剥離する工程が、少なくとも一つの樹脂を溶解することにより行われる
    ことを特徴とする微粉末の製造方法。
  2. 粉砕する工程と層を剥離する工程とが一体化したことを特徴とする請求項1に記載の微粉末の製造方法。
  3. 積層する樹脂が、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)とポリスチレン樹脂(PS)、ポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)と脂環式オレフィン系樹脂(COP)または脂環式オレフィン系コポリマー(COC)およびポリメチルメタアクリレート樹脂(PMMA)とポリアミド樹脂(PA)の組合せかのいずれかよりなる請求項1または2に記載の微粉末の製造方法。
  4. 前記層を剥離する工程において溶解される樹脂が、水溶性樹脂である請求項1または2に記載の微粉末の製造方法。
  5. 該微粉末が、粒径分布の中心値で代表される粒径(d)が1μm以上300μm以下、平均厚み(t)が0.1μm以上50μm以下、かつ、アスペクト比(d/t)が6以上300以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粉末の製造方法。
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