<第1実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態による空間多重光伝送システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、符号11、12、13は、所定のキャリア数のマルチキャリア信号を生成して送信するマルチキャリア送信機である。マルチキャリア送信機11、12、13のそれぞれから信号1、2、3が送信される。
符号2は、モード変換及び結合を行うモードコンバータ・結合器である。符号3は、伝送媒体であるマルチモードファイバである。符号4は、分波及びモード変換を行う分波器・モードコンバータである。符号51、52、53は、マルチキャリア送信機11、12、13が送信した信号1、2、3をマルチモードファイバ3を介して受信する受信機である。
符号6は、受信機51、52、53からそれぞれ出力した信号の波長分散を補償する波長分散補償部である。符号7は、波長分散補償部6から出力する信号からサブキャリアを抽出して周波数変換を行うサブキャリア抽出・周波数変換部である。
符号81は、サブキャリア抽出・周波数変換部7から出力するサブキャリア毎に信号処理を行うSC#1(第1のサブキャリア)処理部である。SC#n(nは1からサブキャリアの数と同数まで)処理部は、サブキャリアと同数だけ設けられる。図1においては、SC#1処理部81、SC#2処理部82、SC#20処理部83のみを図示したが実際には、20個(ここでは、サブキャリア数が20)の処理部が設けられる。
符号811は、各モードの受信信号の分離及び等化処理を適応的に行うMIMO等化処理部である。このMIMO等化処理部811については後述する。符号8121、8122、8123は、受信信号毎に位相と周波数オフセットを補償する位相・周波数オフセット補償部である。
符号8131、8132、8133は、位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123それぞれから出力する信号に対して判定を行って信号1、2、3を復調する判定部である。SC#1処理部81の判定部8131、8132、8133からはそれぞれ信号1SC(サブキャリア)1、信号2SC1、信号3SC1が出力されることになる。他のSC#n処理部からも同様に信号が出力される。また、判定部8131、8132、8133は、判定した結果を等化係数更新に用いるため、MIMO等化処理部811に出力する。
次に、図2を参照して、図1に示すMIMO等化処理部811の構成を説明する。図2は、図1に示すMIMO等化処理部811の構成を示すブロック図である。この図において、符号8111は、送信信号のモード毎に挿入されている既知信号を用いて各モードの信号の先頭部分の検出と、最大DMGDの計算を行うDMGD計算部である。符号8112は、最大DMGDの値を用いたFIRフィルタのタップ数設定と、送信信号のモード毎に挿入されている既知信号及びトレーニング信号を用いるDA法(軟判定帰還方式:Decision aided method)による、もしくは、データ判定結果を用いるDD法(仮判定方式:Decision Directed Method)による等化係数の計算と等化係数の更新を行う等化係数計算部である。符号8113は、等化係数計算部8112が出力する各モードの等化係数を用いて各モードの信号の等化処理と判定を行う等化処理部である。
次に、図1を参照して、図1に示す空間多重光伝送システムの動作を説明する。本実施形態では、空間多重の伝送媒体としてマルチモードファイバ3を利用し、使用するモード数(空間多重数)は3、サブキャリアのボーレートは1Gbaudとする。例えば、12.5GHzのWDM(Wavelength Division Multiplexing)スロットを考えると、サブキャリア間のガードバンド25MHzで1Gbaudの10キャリアの信号が収容可能である。これはシングルキャリア信号に換算すると10Gbaudに相当する。また、マルチモードファイバの最大DMGDを60nsとする。
この場合、60nsDMGDの信号を時間領域の等化処理(TDE:Time Domain Equalization)を行うためには、DMGDの正負も考慮すると、120ns分以上の長さの等化回路が必要となる。1Gbaudの場合、1シンボルの長さは1nsに相当するため、この例の等化処理を行うため、TDE処理における必要なFIRフィルタのタップ数は、120となる。
この例の等化処理を、FFT(Fast Fourier Transform)を用いて速いFDE(Frequency Domain Equalization)を行うため、FDE処理における必要なFIRフィルタのタップ数は、120より大きい2のべき乗の数である(例えば、128)。従来のFDEは、FFT処理により等化の計算量を削減できるが、データにCP(Cyclic Prefix)を周期的に挿入する必要があり、挿入したCPの長さ分データ伝送率が低下する。
このCPの挿入による伝送率の低下を防ぐため、本実施形態では、CPの挿入を不要とし、データ伝送率の低下を回避しながらも、FFT処理による処理速度の向上を図るため、OAS法(オーバーラップ・アンド・セーブ方式:Overlap-and-save、参考文献1「N. Bai and G. Li, “Adaptive frequency-domain equalization for the transmission of the fundamental mode in a few mode fiber,” Optics Express, vol.20, no.21, Oct. 2012.」参照)を用いたFDE処理による等化処理を想定する。このOAS法によるFDE処理において、必要なFIRフィルタのタップ数は、CPを挿入するFDEの場合の2倍となる。この例では、CPを挿入するFDE処理に必要なFIRフィルタのタップ数が128であるため、OAS法によるFDE処理には、必要なFIRフィルタのタップ数が256となる。
一般に、CPの長さは、データの10分の1程度であるため、CPを挿入するFDE処理によると全体の伝送容量の10%程度の無駄が生じるため、OAS法によるFDE処理は、その分の伝送率低下を防ぐことができる。また、CPを挿入するFDE処理も、OAS法によるFDE処理も、計算量がNlog2(N)に比例して増加するFFTにより、処理を行うため、FIRフィルタのタップ数を2倍になっても、処理量の増加は大きくない。すなわち、OAS法によるFDE処理には、従来のCPを挿入するFDEより、FIRフィルタのタップ数を2倍に設定する必要はあるものの、それによる計算量の増加より、CPの挿入が不要とすることで得られる伝送率の向上がもっと有利であるため、効率的である。
マルチキャリア送信機11、12、13は、設計値に応じたキャリア数のマルチキャリア信号を生成し(ここでは10キャリア)、各サブキャリアの3つの伝送モードに対して互いに異なる既知信号と等化用トレーニング信号を周期的にデータの先頭に挿入した互いに異なるデータが重畳された信号が、モードコンバータ・結合器2を通してマルチモードファイバ3に入力する。既知信号挿入の周期は、伝送路の特性変動の速度によるが、予め設定することとする(例えば、1秒毎に1回挿入など)。また、等化用トレーニング信号の挿入周期も、伝送路の特性変動の速度によるが、予め設定することとする(例えば、1秒毎に1回挿入など)。既知信号挿入の周期と等化用トレーニング信号の挿入周期は、必ずしも一致する必要はないが、それぞれの挿入周期は、送受信側が両方既知であるとする。
ここで、サブキャリア毎に同じ既知信号を挿入してもよいし、サブキャリア毎に異なる既知信号を挿入してもよい。ただし、各サブキャリアのモード毎には、お互いに異なる既知信号を挿入する。各既知信号の長さは、DMGDやクロストークによる遅延量より長くなるように生成する。また、生成した既知信号は、2回以上繰り返して送信信号に周期的に挿入する。
既知信号の次は、等化用のトレーニング信号を挿入する。等化用のトレーニング信号も、サブキャリア毎に同じ既知信号を挿入してもよいし、サブキャリア毎に異なる既知信号を挿入してもよい。ただし、各サブキャリアのモード毎には、お互いに異なる既知信号を挿入する。また、トレーニング信号の長さと周期は、伝送路の特性変動の速度によるが、予め設定することとする。また、等化用のトレーニング信号の次は、データ信号を挿入する。
図3は、本実施形態における一つのサブキャリアにおける既知信号、等化用トレーニング信号、データ信号の挿入の例を示す図である。この例では、モード毎に異なる128の長さの既知信号が各モードの送信信号の先頭に2回繰り返して挿入されている。既知信号の次は、モード毎に異なる等化用トレーニング信号が10,000個挿入されている。また、その次には、モード毎に異なる1,000,000個のデータ信号が挿入されている。
本実施形態では、30(3モード×10キャリア)の異なる信号が重畳可能である。重畳する信号は、高速な信号を分割したものでもよいし、低速な信号をそれぞれのキャリアの伝搬モードに割り当ててもよい。図1においては、各伝送モードに割り当てる10キャリアのマルチキャリア信号群を、それぞれ信号1、信号2、信号3と表している。
次に、マルチモードファイバ3を伝送した信号は分波器・モードコンバータ4を通してシングルモードに変換され、それぞれの受信信号に対応した受信機51、52、53で受信する。受信機51、52、53のそれぞれでは、マルチキャリア信号を一括して受信し、量子化・標本化する。そして、波長分散補償部6は、マルチキャリア信号一括で波長分散を補償する。
次に、サブキャリア抽出・周波数変換部7は、サブキャリア抽出を行い、それぞれのサブキャリアをベースバンド信号に周波数変換する。この受信信号は、モードコンバータ・結合器2、分波器・モードコンバータ4やマルチモードファイバ上で生じるクロストークおよびDMGDの影響を受けて、お互いに混ざり合っているため、サブキャリアごとに実装されるMIMO等化処理部811は、等化処理を行い、それぞれのモードの信号の復調を行う。
MIMO等化処理部811における、MIMO等化処理は、DMGD計算部8111による、送信信号のモード毎に挿入されている既知信号を用いて各モードの信号の先頭部分の検出と、最大DMGDの計算と、等化係数計算部8112による、最大DMGDの値を用いたFIRフィルタのタップ数設定と、受信した既知信号と等化用トレーニング信号を用いるDA法、もしくは、判定部8131、8132、8133の出力結果を用いるDD法による等化係数の計算と更新と、等化処理部8113による各モードの等化係数を用いた各モードの信号の等化処理が行われる。
次に、図4を参照し、図2に示すDMGD計算部8111による各モードの信号の先頭部分の検出及び最大DMGDの計算について説明する。図4は、送信信号の例を示す図である。ここで、送信信号を、それぞれx1(n),x2(n),x3(n)と表す。また、図5を参照し、図4に示す例で送信された信号の各モード各モードの受信信号を、それぞれ、y1(n),y2(n),y3(n)と表す。図5は、受信信号の例を示す図である。ここで、nは、時間を表す。例えば、x1(2)は、x1(1)の次の時間に送信された信号であり、y1(2)は、y1(1)の次の時間に受信された信号である。
DMGD計算部8111は、スライディングウィンドウ式により、各モードの受信信号と各モードの既知信号との相関値の最大値を求めるピーク検出法等を用いてモード毎の受信タイミング差を求め、求めた値を用いて各モードの信号の先頭部分を検出する。図5に示す例では、モード1の信号が受信されてから、モード2とモード3の信号は、それぞれ、30、60個の信号分の時間差で受信される。ここで、各モードの先頭の受信時間の差を用いて最大DMGDを計算する。図5に示す例では、最大DMGDは、60個の信号分の時間となる。
次に、等化係数計算部8112は、最大DMGDの値を用いて、FIRフィルタのタップ数を設定する。図5に示す例では、FIRフィルタのタップ数は、DMGDの正負を考慮し、120以上になる必要がある。ここで、FDE処理による等化処理を行うため、FIRフィルタのタップ数は、120より大きい2のべき乗の数の中で最小値である128と設定する必要があるが、さらに、OAS法によるFDE処理を行うために、128の2倍である256とする。このFIRフィルタのタップ数の計算は、受信信号の既知信号の挿入周期に合わせて周期的に行われる。
次に、等化係数計算部8112と等化処理部8113による、OAS法によるFDE処理について説明する。等化係数計算部8112は、前述のピーク検出法で求めた各モードの受信の中で、受信タイミングが最も早かったモード1の信号の受信タイミングを基準として、各モードの受信信号を、FIRフィルタのタップ数分である256個の信号ごとに区切って、256×1の列ベクトルからなるフレームを生成する。以下、モードjのk番目のフレームをyj kと表す。例えば、モード2の100番目のフレームは、y2 100と表す。なお、等化係数計算部8112は、yj kの256ポイントのFFT処理を行う。以下、yj kのFFT処理の結果をYj kと表す。yj kとYj kは、それぞれ256×1の列ベクトルである。以下、yj kとYj kのi番目の成分を、それぞれyj k(i)、Yj k(i)と表す。等化係数計算部8112は、yj kとYj kを後述する等化係数の計算と更新に用いる。また、Yj kを等化処理部8113に出力する。
次に、フレーム生成の具体例を説明する。まず、1番目のフレームの生成に関して説明する。1番目のフレームの先頭には、各モードの受信タイミング差を考慮し、受信タイミングが最も早かったモード以外のモードの受信信号の先頭には、それぞれの受信タイミングの差に相当する数のゼロを挿入する。例えば、図5に示す例では、モード2とモード3の受信は、モード1の受信信号と、それぞれ、30個と60個の差があるため、それぞれ、1番目のフレームの先頭に30個と60個のゼロを挿入する。
具体的には、y1 1は、y1(1)からy1(256)までの256個の信号からなる256×1の列ベクトルとなる。つまり、y1 1=[y1(1),y1(2),・・・,y1(256)]Tとなる。y2 1は、y2(1)の前に30個のゼロを挿入し、このゼロを含めて、y2(1)からy2(226)の256個の信号からなる256×1の列ベクトルとなる。つまり、y2 1=[0,0,・・・,0,y2(1),y2(2),・・・,y2(226)]Tである。ここで、y2 1の前段のゼロは30個である。同様に、y3 1は、y3(1)の前に60個のゼロを挿入し、このゼロを含めて、y3(1)からy3(196)の256個の信号からなる256×1の列ベクトルとなる。つまり、y3 1=[0,0,・・・,0,y3(1),y3(2),・・・,y3(196)]Tである。ここで、y3 1の前段のゼロは60個である。ここで、[・]Tは、転置行列を表す。
各モードの2番目以降のフレームは、受信信号を128個ずつシフトしながら生成する。つまり、以前のフレームの後半の128個の信号と、その次に受信する各モードの128個の信号を用いて生成する。例えば、y1 2は、y1(129)からy1(384)までの256の信号からなる256×1の列ベクトルであり、y1 2=[y1(129),y1(130),・・・,y1(384)]Tである。
同様に、y1 3は、y1(257)からy1(512)までの256の信号からなる256×1の列ベクトルである。つまり、y1 3=[y1(257),y1(258),・・・,y1(512)]Tである。他のフレームも、同様に生成する。他のモードの2番目以降のフレームの生成も同様である。ここで、各フレームの長さは、256であるが、信号は128個ずつシフトしながら挿入する理由は、OAS法を用いるためである。
次に、等化係数計算部8112は、DA法による等化係数の計算と更新のため、各モードの既知信号と等化用トレーニング信号を用いて送信信号のフレームを生成する。この送信信号のフレームは、前述の受信信号のフレームと異なり、各モードの受信タイミングを考慮せずに、各モードが送信した既知信号と等化用トレーニングの先頭から生成する。以下、モードjのk番目の送信信号のフレームを、128×1の列ベクトルのxj kと表す。また、xj kのi番目の成分をxj k(i)と表す。例えば、図5に示す例では、x1 1は、x1(1)からx1(128)までの送信信号を用いて生成する。つまり、x1 1=[x1(1)、x1(2),・・・,x1(128)]Tである。モード2とモード3の送信信号のフレームも、同様に生成する。つまり、x2 1=[x2(1),x2(2),・・・,x2(128)]Tとx3 1=[x3(1),x3(2),・・・,x3(128)]Tである。
各モードの2番目以降の送信信号のフレームは、以前の送信信号フレームの次の128個の送信信号を用いて生成する。例えば、x1 2=[x1(129),x1(130),・・・,x1(256)]T、x2 2=[x2(129),x2(130),・・・,x2(256)]T、x3 2=[x3(129),x3(130),・・・,x3(256)]Tである。これらの既知信号と等化用トレーニング信号からなる送信信号のフレームは、送受信側に既知であるため、DA法による等化係数の計算と更新を行う際に、真値として使われる。
ここで、等化用トレーニング信号の最後の信号が、最後の送信信号のフレームの途中に入る場合は、残りの成分には、ゼロを挿入する。例えば、この例では、既知信号と等化用トレーニングを合わせた信号の長さが、10,256個であり、81番目の送信信号のフレームの後ろには、112個のゼロを挿入してから生成する。つまり、X1 81=[x1(10241),x1(10242),・・・,x1(10256),0,0,・・・,0]Tである。ここで、x1 81の後半のゼロは、112個である。x2 81とx3 81も同様に、112個のゼロを挿入し生成する。既知信号と等化用トレーニング信号の長さは、受信側にも既知であるため、後述するように各モードの判定部は、既知信号と等化用トレーニング信号は、判定をせずにそのまま既知信号と等化用トレーニング信号を出力し、既知信号と等化用トレーニング信号以降のデータ信号は、等化処理、位相・周波数オフセットの補償後の信号の判定を行い、その結果を出力する。
次に、等化係数に関して説明する。まず、モードjのk番目フレームの信号yj kに用いる時間領域の等化係数と周波数領域の等化係数を、それぞれ、wj kとWj kと表す。wj kとWj kは、それぞれ、256×1の列ベクトルであり、そのi番目の各成分を、それぞれ、wj k(i)とWj k(i)に表す。ここで、wj kとWj kは、wj kにFFT処理をするとWj kが得られ、Wj kにIFFT処理(Inverse Fast Fourier Transform)をするとwj kが得られる関係である。w1 1とWj 1は、すべての成分がゼロになるように初期設定が行われる。等化係数計算部8112は、w1 1とWj 1を、各モードのフレームごとに更新処理を行う。なお、Wj 1を等化処理部8113に出力する。
等化係数計算部8112による等化係数の更新の詳細を説明する前に、等化処理部8113の動作に関して説明する。等化処理部8113は、等化係数計算部8112から入力されるY
j kの共役である(Y
j k)
*とW
j kと成分毎のかけ算を行う。ここで、(・)
*は、共役行列を表す。以下、式(1)のように、(Y
j k)
*とW
j kと成分毎のかけ算からなる256×1の列ベクトルをS
j kと表し、S
j kのi番目の成分をS
j k(i)と表す。
また、S
j kのIFFT処理から得られる256×1の列ベクトルをs
j kと表し、s
j k i番目の成分をs
j k(i)と表す。
等化処理部8113は、Sj kのIFFT処理を行い、sj kを計算する。このsj kの内、後半の128個の成分のみを、各モードの位相・周波数オフセット補償部に入力する。つまり、sj k(129)からsj k(256)までの128個の成分のみを各モードの位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123に入力する。また、各モードのsj k(129)からsj k(256)までの128個の成分を等化係数の更新に用いるため、等化処理部8112に入力する。
次に、各モードの位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123は、位相と周波数のオフセットを補償し、その結果を判定部8131、8132、8133に出力する。ここで、位相と周波数のオフセットを補償は、従来の技術のいずれかを使ってもよい。
次に、各モードの判定部8131、8132、8133は、それぞれのモードの位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123から入力される信号の内、既知信号と等化用トレーニング信号に相当する受信信号は、既知であるため、その情報をそのまま外部に出力する。なお、それぞれのモードの位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123から入力される信号の内、データ部分に相当する信号は、復調判定を行ってから外部に出力する。ここで、判定部8131、8132、8133の復調判定は、従来のいずれかの技術を使ってもよい。また、判定部8131、8132、8133は、外部に出力する信号と同じ信号を、等化係数の更新に使うため、等化係数計算部8112に出力する。
以下、等化処理部8113から、各モードの位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123に入力された、sj k(129)からsj k(256)までの128個の信号の判定部8131、8132、8133の出力結果を、128×1の列ベクトルとして、^sj k(^は続く文字の上に付く、以下同様)と表す。また、^sj kのi番目の各成分を、^sj k(i)と表す。
次に、等化係数計算部8112による等化係数の更新に用いるエラーベクトルの生成に関して説明する。まず、等化係数計算部8112は、判定部8131、8132、8133から入力される^s
j kとy
j kの差を計算し、128×1の列ベクトルを生成する。以下、^s
j kとy
j kの差に相当する128×1の列ベクトルを、時間領域のエラーベクトルと称し、e
j kと表す。また、e
j kのi番目の各成分を、e
j k(i)と表す。e
j k(i)は、式(2)にように得られる。
次に、等化係数計算部8112は、式(2)より計算したej kの後ろに128個のゼロを挿入し、256×1の列ベクトルを生成し、生成した256×1列ベクトルにFFT処理を行う。以下、このFFT処理後の256×1の列ベクトルを、周波数領域のエラーベクトルと称し、Ej kと表す。また、Ej kのi番目の各成分を、Ej k(i)と表す。つまり、Ej k=fft([ej k(1),ej k(2),・・・,ej k(128),0,0,・・・,0]H)である。ここで、fft(・)は、FFT処理を表し、Ej kの後半部のゼロの数は、128個である。
次に、等化係数計算部8112による等化係数の更新に用いる係数スパーシティ(更新前の等化係数の分布のスパーシティ)の計算に関して説明する。等化係数計算部8112は、式(3)のように、各モードの時間領域の等化係数w
j kを用いて、係数スパーシティを計算する。以下、モードjのk番目のフレームの係数スパーシティをζ
j kと表す。ζ
j k(0≦ζ
j k≦1)は、w
j kの分布のスパーシティを表し、w
j kがスパースに分布する程、1に近い値となる。また、w
j kの分布が密である程0に近い値となる。一般に、w
j kの256個の係数の中で、その値がゼロである、もしくはゼロに近い係数の数が多ければ多いほど、その分布はスパースであると言われている。また、DMGDが大きいモードの信号は、ゼロでない、もしくは、ゼロに近い値でない値を持つ係数の数も多くなるため、ζ
j kが小さければ、DMGDが大きいと解釈ができる。また、ζ
j kが大きければ、DMGDが小さいと解釈ができる。このように、各モードのDMGDを各フレーム毎に計算することなく、ζ
j kの計算のみで、DMGDの大小判断ができるようになる。
ここで、Lは、等化係数w
j kの長さを表し、256×1の列ベクトルからなるw
j kの場合には、Lは256となる。‖・‖
1は、各成分の絶対値の和を表す。つまり、‖w
j k‖
1=w
j k(1)+w
j k(2)+・・・+w
j k(256)である。‖・‖
2は、各成分の2乗の和のルートを表す。
つまり、‖wj k‖2=√((wj k(1))2+(wj k(2))2+・・・+(wj k(256))2)である。σは、分母がゼロとならないように設定する小さい定数である。例えば、σ=0.0001と設定する。また、ζj kの範囲は、式(3)の定義から、0≦ζj k≦1となる。
wj kの係数を個別に判定することなく、式(3)のζj kの計算のみで、wj kのスパーシティが計算できるため、計算量の削減が可能となる。また、前述したように、DMGDが小さいモードの信号に、最大DMGDの値に合わせて等化フィルタのタップ数を設定することで、生じる雑音の増加問題も、後述するζj kの値により調整したパラメータを用いるIPNLMS(Improved Proportionate Normalized Least Mean Square、例えば、参考文献2:「J. Benesty et al., “An improved PNLMS algorithm” Proc. IEEE ICASSP, Vol. 2, p. 1881-1884, 2002.」参照)手法による等化係数の更新により、解決できるようになる。この詳細は後述する。
次に、等化係数計算部8112は、等化係数更新に使うため、式(4)のようにIPNLMS手法に必要なパラメータα
j kの計算を行う。ここで、α
j kの範囲は、−1≦α
j k≦1とする。
ここで、式(4)のGと、uと、α
constは、式(3)で計算したζ
j kがw
j kの値により0≦ζ
j k≦1の範囲で変わっても、α
j kの値を予め決めたα
j kの最小値α
minと、α
j kの最大値α
maxの範囲になるように予め計算しておく実数の定数である。つまり、ζ
j k=0の場合α
j k=α
minになるように、ζ
j k=1の場合α
j k=α
maxになるように設定する。例えば、α
min=−1、α
max=1、u=2と予め設定した場合、Gとα
constは、それぞれ、−2と1になる。
ここで、αj k=−1の場合は、IPNLMSによる等化係数の更新は、NLMS(Normalized Least Mean Square)の場合と同様になり、αj k=1の場合は、IPNLMSによる等化係数の更新は、PNLMS(Proportionate Normalized Least Mean Square)の場合と同様になる。−1<αj k<1の場合は、IPNLMSによる等化係数の更新は、NLMSによる手法とPNLMSによる手法をαj kにより重みをつけて組み合わせて使う効果になる。
一般に、受信信号のDMGDの値が大きい場合には、αj kを−1に近く設定し、NLMSの効果を大きくする方が効果的であり、また、DMGDの値が小さい場合には、αj kを1に近く設定し、PNLMSの効果を大きくする方が効果的であるが、前述のように、各モードの信号に対するDMGDを、等化処理のフレームごとに計算すると計算負荷が増える。このため、式(3)と式(4)により、等化係数の係数スパーシティのみを用いて、DMGDの計算を等化処理のフレームごとにすることなく、前述のαj kの調整ができるため、計算量の軽減効果が得られる。また、直接DMGDの計算をすることなく、等化係数の係数スパーシティの計算のみで、多様なDMGDを持つマルチモードの信号への対応が可能となる。
次に、等化係数計算部8112は、モードjのk番目のフレームの信号における、IPNLMS手法による等化係数更新に必要な対角行列の生成を行う。ここで、モードjのk番目の等化係数の更新に使われる256×256の対角行列を、K
j kと表す。また、K
j kの(i,i)の各成分を、K
j k(i,i)と表す。K
j kは、対角行列であるため、対角成分以外は、すべてゼロである。K
j k(i,i)は、式(5)の式により生成される。
ここで、α
j kは、式(4)により計算したものであり、Lは、前述のように等化係数w
j kの長さである。‖・‖
1は、各成分の絶対値の和である。εは、分母がゼロとならないように設定する小さい定数である。例えば、ε=0.0001と設定する。つまり、K
j kは、式(5)により計算した256個の値を用いて生成される。
次に、等化係数計算部8112は、モードjのk番目のフレームの信号における、OAS法によるFDE処理の等化係数の更新を、IPNLMS手法により式(6)、式(7)を用いて行う。まず、等化係数計算部8112は、式(6)の計算を行う。
ここで、∇
j kは、表現の便利上用いる256×1の列ベクトルである。なお、∇
j kのi番目の成分を∇
j k(i)と表す。ifft(・)は、IFFT処理を表す。K
j k*Y
j kは、K
j kとY
j kと係数ごとの掛け算からなる256×1の列ベクトルである。
次に、等化係数計算部8112は、∇
j kの後半の128個の成分をゼロとする。つまり、∇
j k(129)から∇
j k(256)をゼロとする。次に、等化係数計算部8112は、この後半部の128個の成分をゼロとした∇
j kを用いて式(7)の計算を行う。
ここで、βは、予め決めた適応等化処理に使われるステップサイズである(例えば、β=0.001)。一般に、βは大きいほど収束速度は、速くなるが安定性は低下する。最適なステップサイズ決め方などは、いずれの従来技術を使ってもよい。
次に、等化係数計算部8112は、更新した周波数領域の等化係数Wj K+1を等化処理部8113に出力する。等化処理部8113は、このWj K+1を用いて、Yj K+1の等化処理を行う。また、Wj K+1のIFFT処理を行い、wj K+1を計算する。このwj K+1は、Wj K+2を計算する際に必要な、係数スパーシティζj k+1の計算に使われる。
次に、図6を参照し、図2に示すMIMO等化処理部811の処理手順について説明する。図6は、図2に示すMIMO等化処理部811の動作を示すフローチャートである。まず、各サブキャリアの処理部のDMGD計算部8111は、サブキャリア抽出・周波数変換部7から信号が入力されると処理を開始する(ステップS8111)。次に、スライディングウィンドウ式による信号検出処理を行う(ステップS8112)。続いて、この結果のピーク値検査により信号有無判断を行う(ステップS8113)。信号が検出するまで、ステップS8112とステップS8113の動作を繰り返し、信号が検出されると次にステップに移る。また、信号が検出された以降は、信号検出処理を行う必要はないため、ステップS8114により信号の先頭でないと判断されると、S8112とステップS8113の処理はストップする。つまり、信号の先頭が検出されるまで、信号検出処理を行い、検出された以降は、ステップ8125により全体の処理が終了してから、改めてステップ8111により処理が再開されるまで、ステップS8112とステップS8113の処理は行わずに入力される信号をそのまま用いて次のステップの処理を行う。
次に、DMGD計算部8111は、検出された各モードの信号の先頭判断を行う(ステップS8114)。ここで、信号の先頭でないと判断する場合は、前述のように、信号検出ステップS8112とステップS8113をストップする。検出された各モードの信号の先頭である場合は、各モードの信号のDMGDの差と最大DMGDの計算を行う(ステップS8115)。次に、計算した最大DMGDの値を用いてFIRフィルタのタップ数を決定し(ステップS8116)、等化処理に必要な各種のパラメータの設定を行う(ステップS8117)。
DMGD計算部8111は、S8114において、信号の先頭でないと判断した場合は、既知信号と等化用トレーニングの挿入周期が終了したかの判断を行う(ステップS8118)周期が終了した場合、S8115、S8116、S8117を改めて行う。ここで、ステップS8118より周期後の再開されるS8117の処理の場合、各週パラメータの初期化は、行わずに以前のパラメータをそのまま使ってもよいし、初期化してもよい。
次に、DMGD計算部8111は、信号の末段部であるか判断し(ステップS8119)、信号の末段部であれば、等化処理を終了する(ステップS8125)。ここで、信号の末段部の判断は、信号が入力される度に行ってもよいし、周期的に行ってもよい(例えば、10秒ごとに1回など)。
次に、等化係数計算部8112は、前述したフレーム構成、等化係数の計算、等化係数の更新を行う(ステップS8120)。この際に、ステップS8121とステップS8123の結果を用いる。なお、等化処理部8113は、等化係数を用いて等化処理を行い、その結果を位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123に出力する。また、等化処理部8113は、同じ信号を等化係数計算部8112に出力する(ステップS8121)。
次に、位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123は、MIMO等化処理部811から出力された信号に対して、位相・周波数オフセットの補償を行う(ステップS8122)。続いて、判定部8131、8132、8133は、判定を行い(ステップS8123)、その判定結果をMIMO等化処理部811に対して出力する(ステップS8124)。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による空間多重光伝送システムを説明する。第1実施形態では伝送モード数が3の時について説明したが、第2実施形態では、N個の伝送モードを使用する場合の空間多重光伝送システムの信号処理装置について説明する。本実施形態の空間多重光伝送システムの構成は、図1に示す構成と同等であり、異なる点はマルチキャリア送信機の数とMIMO等化処理部の後段に接続されている回路の並列数がN個になっているという点である。
これよりWDMスロットの帯域幅からボーレートとガードバンドを考慮して、キャリア数を決定した信号処理装置においても、Nモード伝送の場合でもDMGDが異なる複数のモードの信号を独立かつ並列なMIMO等化処理を行う際に、モード毎に異なるDMGDの値に合わせて、モード毎に等化フィルタのタップ数を調整することなく、最大DMGDの値に合わせてMIMO等化フィルタのタップ数を設定しても、雑音による性能劣化を軽減する効果が得られる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態による空間多重光伝送システムを説明する。第1、第2実施形態では、マルチモードファイバ3を伝送媒体として用いた場合の空間多重光伝送システムを説明したが、第3実施形態では、空間多重の伝送媒体としてマルチコアファイバ10を用いる場合の空間多重光伝送システムである。図7は、第3実施形態による空間多重光伝送システムの構成を示す図である。この図において、図1に示す空間多重光伝送システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を簡単に行う。
図7において、符号11、12、13は、所定のキャリア数のマルチキャリア信号を生成して送信するマルチキャリア送信機である。マルチキャリア送信機11、12、13のそれぞれから信号1、2、3が送信される。
符号9は、結合を行う結合部である。符号10は、伝送媒体であるマルチコアファイバである。符号14は、結合を行う結合部である。符号51、52、53は、マルチキャリア送信機11、12、13が送信した信号1、2、3をマルチコアファイバ10を介して受信する受信機である。
符号6は、受信機51、52、53からそれぞれ出力した信号の波長分散を補償する波長分散補償部である。符号7は、波長分散補償部6から出力する信号からサブキャリアを抽出して周波数変換を行うサブキャリア抽出・周波数変換部である。
符号81は、サブキャリア抽出・周波数変換部7から出力するサブキャリア毎に信号処理を行うSC#1(第1のサブキャリア)処理部である。SC#n(nは1からサブキャリアの数と同数まで)処理部は、サブキャリアと同数だけ設けられる。
符号811は、等化処理を行うMIMO等化処理部である。符号8121、8122、8123は、受信信号毎に位相と周波数オフセットを補償する位相・周波数オフセット補償部である。
図7に示すMIMO等化処理部811は、第1、第2実施形態と同様に、DMGD計算部8111、等化係数計算部8112、等化処理部8113で構成される。DMGD計算部8111は、第1、第2実施形態で説明したDMGDではなく、コア間の群遅延差を求めて、最大群遅延値を用いたFIRフィルタのタップ数設定を行う。等化係数計算部8112、等化処理部8113それぞれの動作は、第1、第2実施形態と同様である。
符号8131、8132、8133は、位相・周波数オフセット補償部8121、8122、8123それぞれから出力する信号に対して判定を行って信号1、2、3を復調する判定部である。SC#1処理部81の判定部8131、8132、8133からはそれぞれ信号1SC(サブキャリア)1、信号2SC2、信号3SC1が出力されることになる。他のSC#n処理部からも同様に信号が出力される。
このように、基本的な構成はマルチモードファイバ3を用いる場合と同様である。異なる点は、空間多重信号が、異なるコアに入力される点と、伝送する信号が受ける信号劣化要因がコア間のクロストークであることと、コア毎の伝搬定数βが製造上の理由等から異なるため、コア間で群遅延差が生じることである。
したがって、第1、第2実施形態で説明したDMGDをこのコア間の群遅延差に置き換えれば、マルチモードファイバ使用時と同様のマルチキャリア信号の設計手法及び第1、第2実施形態で説明したMIMO等化信号処理技術が適用可能になる。
前述した説明では、3コアファイバの例を説明したが、3より大きなコア数を持つファイバにも適用可能である。したがって、マルチコアファイバ10を用いる場合でも、MIMO等化処理回路単位で考えれば、Nコア伝送の場合でもコア間の群遅延差が異なる複数のコアの信号を独立かつ並列なMIMO等化処理を行う際に、コア毎異なる群遅延差に合わせて、コア毎に等化フィルタのタップ数を調整することなく、最大コア間の群遅延差に合わせてMIMO等化フィルタのタップ数を設定しても、雑音による性能劣化を軽減する効果が得られる。
なお、図1に示すシステム構成と、図7に示すシステム構成とを組み合わせ、伝送媒体としてマルチコア・マルチモード光ファイバを用いるようにしてもよい。
また、上記のすべての実施形態は、空間多重光伝送システムの実施形態として説明してきたが、空間多重光伝送方法の実施形態と、発明のカテゴリは異なるが、発明を構成する技術的に思想が同様である。すなわち、上記の空間多重光伝送システムの実施形態は、空間多重光伝送方法の実施形態としても同様に適用することができる。
以上説明したように、MIMO信号処理技術を用いた空間多重光伝送方式において、異なるDMGD(モード間の伝搬定数差に起因した群遅延)を持つすべてのモードの信号に対して、FIRフィルタのタップ数を最大DMGDの長さに相当する値として等化処理を行う場合、DMGDが最大DMGDより小さいモードの信号に対し、FIRフィルタのタップ数は必要より大きい値に設定されるため、雑音増加により性能が劣化するという問題がある。また、異なるDMGDを持つ各モードの信号に対して、それぞれのDMGDの長さに合わせてFIRフィルタのタップ数を設定し、MIMO等化信号処理を行う場合、すべてのモードの信号に対して、DMGDの計算とFIRフィルタのタップ数の計算が必要となるため、計算量が増加するとともに回路規模が増大するという問題もある。
この問題に対して、本実施形態では、オーバーラップ・アンド・セーブ方式による周波数領域の等化処理において、最大DMGDの値に合わせて等価フィルタのタップ数を設定し、IPNMLMS手法を用い等価係数を更新し、更新した等価係数を用い、等価処理を行うようにした。この構成によれば、雑音による性能劣化を抑圧し、かつデータ伝送率の低下を抑えた等価処理が可能となる。
また、光マルチキャリア信号と独立かつ並列なMIMO等化処理において、DMGDやコア間の群遅延差が異なる複数のモードの信号もしくは複数のコアの信号を独立かつ並列なMIMO等化処理を行う際に、最大DMGDの値や最大コア間の群遅延差に合わせてMIMO等化フィルタのタップ数を設定しても、雑音による性能劣化を軽減することができる。また、モード毎の、もしくはコア毎のFIRフィルタのタップ数の計算と、各モードの、もしくはコア毎の、等化係数の信号有無の判断を不要とするため、計算量の軽減効果と回路の小型化の効果を得ることができる。また、OAS法によるFDEにより等化処理を行うため、CP(Cyclic Prefix)を挿入が必要となり、従来のFDEよりCP挿入分だけのデータ伝送率の向上が可能となる。
前述した実施形態における空間多重光伝送システムの一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。