以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図10及び図34を参照しながら、実施形態における作業車両としてのトラクタ1の構造について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)で後車輪4及び前車輪3を駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の外側下部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
走行機体2は、前バンパ(フレーム連結部材)12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム(前部フレーム)14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム(後部フレーム)15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。
左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右2つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。タンクフレーム18は、右側に延長されており、タンクフレーム18右側の延長部分にバッテリ272を搭載している。また、タンクフレーム18右側の延長部分に、ステップ10の1つを固定させている。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19をから外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、例えばロータリ耕耘機といった作業機を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取り付けている。ロータリ耕耘機等の作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構を介してミッションケース17の後部に、連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン出力軸53には、フライホイル61を直結するように取り付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル61から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している。ミッションケース17内には、油圧無段変速機、前後進切換機構、走行副変速ギヤ機構及び後輪用差動ギヤ機構を配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構によって適宜変速される。そして、当該変速動力が後輪用差動ギヤ機構を介して左右の後車輪4に伝達される。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構(図示省略)を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸(図示省略)を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構を経由して、左右の前車輪3に伝達される。
ミッションケース17は、主変速入力軸28などを有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19などを有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。中間ケース114の左右側面に左右の上下機体連結軸体115,116を介して左右の機体フレーム15の後端部を連結する。即ち、2本の上機体連結軸体115と、2本の下機体連結軸体116にて、中間ケース114の左右両側面に左右の機体フレーム15の後端部を連結させ、機体フレーム15とミッションケース17を一体的に連設して、走行機体2の後部を構成する。また、左右の機体フレーム15の間に前部変速ケース112または動力伝達軸29などを配置して、前部変速ケース112などを保護するように走行機体2を構成している。
さらに、キャビン7の前側を支持する左右の前部支持台96と、キャビン7の後部を支持する左右の後部支持台97を備える。左右の機体フレーム15の機外側面のうち前端部に前部支持台96をボルト締結させ、前部支持台96の上面側に防振ゴム体98を介してキャビン7の前側底部を防振支持している。左右方向に水平に延設させる左右の後車軸ケース19の上面のうち左右幅中間部に後部支持台97をボルト締結させ、後部支持台97の上面側に防振ゴム体99を介してキャビン7の後側底部を防振支持している。従って、走行機体2は、複数の防振ゴム体98,99を介してキャビン7を防振支持している。
また、断面端面が略四角筒状の後車軸ケース19を挟むように、後車軸ケース19の上面側に後部支持台97を配置し、後車軸ケース19の下面側に振れ止めブラケット101を配置し、後部支持台97と振れ止めブラケット101をボルト102締結している。前後方向に延設したロワーリンク23の中間部と振れ止めブラケット101とに、伸縮調節可能なターンバックル付き振れ止めロッド体103の両端部を連結し、ロワーリンク23の左右方向の揺振を防止している。
走行機体2上にある操縦座席8を覆うキャビン7は、骨組を構成するキャビンフレーム300を備えている。キャビンフレーム300は、操縦座席8の前方に位置する左右一対の前支柱301と、操縦座席8の後方に位置する左右一対の後支柱302と、前支柱301同士の上端部間を連結する前梁部材303と、後支柱302同士の上端部間を連結する後梁部材304と、前後に並ぶ前支柱301と後支柱302との上端部間を連結する左右の側梁部材305とを備えた略箱枠状のものである。キャビンフレーム301の上端側、すなわち前梁部材303、後梁部材304及び左右の側梁部材305で構成した矩形枠上には屋根体306を着脱可能に取付けている。
なお、前支柱301と後支柱302の下端側には、前後に延びる左右の底フレーム311の長手方向各端部を連結している。左右の底フレーム311上面側に床板40を張設させ、床板40前端側にダッシュボード33を立設させ、ダッシュボード33の後面側にステアリングコラム32を介して操縦ハンドル9を装設している。床板40の前部上面側にブレーキペダル35などが配設されると共に、床板40の後部上面側に操縦座席8が取付けられている。
キャビンフレーム301の上端側に取り付けた屋根体306の後部には、キャビン7内の空調を管理する空気調和機364を収容している。空気調和機364は、エンジン5の冷却水を利用した暖房や、エンジンによって駆動するコンプレッサ211、コンデンサ275及びエバポレータ等を利用した冷房によって、キャビン7内の空調(室内温度)を調節するものである。空気調和機364に接続される冷媒用ホース280が、キャビンフレーム301に沿って前方下側まで配管されている。
フロントウィンドガラス321、リヤウィンドガラス322及び左右のサイドドア323の配置構造から明らかなように、各支柱301,302及び各梁部材303,304,305は、キャビン7(キャビンフレーム300)の側辺部に位置している。即ち、キャビンフレーム300の前後左右側面に窓を広く取ることが可能になっている。実施形態では、キャビンフレーム300の前後左右側面に、フロントウィンドガラス321、リヤウィンドガラス322、透明なガラス製の左右のサイドドア323を配置している。その結果、オペレータの前後左右の視界を広く確保できるものでありながら、キャビンフレーム300の剛性も確保できる。
図11〜図14に示すように、ディーゼルエンジン5は、エンジン出力軸53とピストンとを内蔵するシリンダブロック54上にシリンダヘッド55を搭載しており、シリンダヘッド55右側面に吸気マニホールド56を配置する一方、シリンダヘッド55左側面に排気マニホールド57を配置する。すなわち、エンジン5においてエンジン出力軸53に沿う両側面に、吸気マニホールド56と排気マニホールド57とを振り分けて配置する。ディーゼルエンジン5におけるシリンダブロック54前面に冷却ファン59を配置する一方、シリンダブロック54後面にフライホイル61を配置する。すなわち、エンジン5においてエンジン出力軸53と交差する両側面に、フライホイル59と冷却ファン61とを振り分けて配置する。
フライホイル61は、フライホイルハウジング60内に配置されている。出力軸53の後端側にフライホイル61を軸支する。作業車両の作動部に出力軸53を介してディーゼルエンジン5の動力を取り出すように構成している。なお、フライホイルハウジング60にエンジン始動用スタータ69を設けている。エンジン始動用スタータ69のピニオンギヤはフライホイル61のリングギヤに噛み合っている。ディーゼルエンジン5を始動させる際は、スタータ69の回転力にてフライホイル61のリングギヤを回転させることによって、出力軸53が回転開始する(いわゆるクランキングが実行される)。また、ライホイルハウジング60上面には機関脚取付け部60aを設けている。機関脚取付け部60aには、防振ゴムを有する後部機関脚体(エンジンマウント)240をボルト締結可能である。
ディーゼルエンジン5は、シリンダブロック54の下面にはオイルパン62を配置する。オイルパン62内の潤滑油は、シリンダブロック54の右側面に配置されたオイルフィルタ63を介して、ディーゼルエンジン5の各潤滑部に供給される。また、オイルフィルタ63は、オイルフィルタ支持部材88を介してシリンダブロック54の右側面に取り付けられている。シリンダブロック54に設けられた油路との連結口(オイルフィルタ取付け位置)に、オイルフィルタ支持部材88の一側面(左側面)を連結させ、オイルフィルタ支持部材88の他側面(右側面)上側にオイルフィルタ63を取り付ける。
オイルフィルタ63は、シリンダブロック54への取付けの際にオイルフィルタ支持部材88を介在させている。そのため、オイルフィルタ63は、シリンダブロック54における本来の取付け位置よりも上側に配置されることとなり、左右幅の狭い走行機体2にエンジン5を搭載した場合であっても、走行機体2に干渉することがない。すなわち、オイルフィルタ支持部材88によって、オイルフィルタ63は、エンジンフレーム14よりも上側に配置される。また、右側エンジンカバー232は、下縁一部を切欠いた形状としておち、オイルフィルタ63前面を右側エンジンカバー232より外側に突出させている。したがって、オイルフィルタ63に対してアクセスしやすくなり、容易にオイルフィルタ63を交換できる。
オイルフィルタ支持部材88は、その内部に油路(図示省略)を備えており、オイルポンプ(図示省略)でオイルパン62から吸引した潤滑油を、シリンダブロック54内の油路(図示省略)から受けて、オイルフィルタ63に供給させる。また、オイルフィルタ63で濾過した潤滑油をシリンダブロック54に還流させて、エンジン5の各潤滑部に供給させる。このとき、オイルフィルタ63で濾過した潤滑油の一部を、潤滑油吐出口88bから潤滑油供給管89を介して外部部品に供給させる。オイルフィルタ63から外部部品への潤滑油流路の一部をオイルフィルタ支持部材88内の油路で構成させるため、オイルフィルタ支持部材88に複数の機能を共用化させることができ、エンジン装置の構成部品点数を削減できる。
ディーゼルエンジン5は、燃料を供給するための燃料供給ポンプ64と、インジェクタに燃料を圧送する円筒状のコモンレール66と、燃料タンク11からの燃料より異物を除去する燃料フィルタ67と、吸気マニホールド56と連結したEGR装置75とを、その右側面に備える。燃料タンク11の燃料は、燃料フィルタ67を介して燃料供給ポンプ64に供給された後、燃料供給ポンプ64からコモンレール66に圧送される。従って、高圧の燃料がコモンレール66に蓄えられるため、各インジェクタの燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することで、コモンレール66内の高圧の燃料が各インジェクタからエンジン5の各気筒に噴射される。
シリンダヘッド55の前面側(冷却ファン59側)には、冷却水潤滑用の冷却水ポンプ71が冷却ファン59のファン軸と同軸状に配置されている。冷却水ポンプ71は、エンジン出力軸53の回転にて冷却ファン59と共に駆動するように構成されている。作業車両に搭載されたラジエータ235内の冷却水が、冷却水ポンプ71の上部に設けられたサーモスタットケース70を介して、冷却水ポンプ71に供給される。そして、冷却水ポンプ71の駆動にて、冷却水がシリンダヘッド55及びシリンダブロック56に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、ディーゼルエンジン5を冷却する。ディーゼルエンジン5の冷却に寄与した冷却水はラジエータ235に戻される。また、位置関係上、冷却水ポンプ71は冷却ファン59に対峙していて、冷却ファン59からの冷却風が冷却水ポンプ71に当たることになる。ラジエータ235内の冷却水が、冷却水ポンプ71の駆動によって、シリンダブロック54及びシリンダヘッド55に供給され、ディーゼルエンジン5を冷却する。
シリンダブロック54の左右側面には機関脚取付け部74をそれぞれ設けている。各機関脚取付け部74には、防振ゴムを有する前部機関脚体(エンジンマウント)238をそれぞれボルト締結可能である。実施形態では、作業車両における左右一対のエンジンフレーム14にシリンダブロック54を挟持させるよう、シリンダブロック54側の機関脚取付け部74を各エンジンフレーム14に機関脚体238を介してボルト締結する。これにより、作業車両の両エンジンフレーム14がディーゼルエンジン5前側を支持する。
吸気マニホールド56の右側面入口部に、新気(外部空気)が供給される吸気連絡管76を連結させており、吸気連絡管76の吸気入口側(上流側)に、吸気スロットル部材77を設けている。また、吸気マニホールド56の上面入口部に、EGRバルブ部材79を介して、ディーゼルエンジン5の排気ガスの一部(EGRガス)が供給される再循環排気ガス管78を連結させている。そして、吸気マニホールド56は、吸気連絡管76の吸気出口側(下流側)及びEGRバルブ部材79との連結部分(後方部分)をEGR装置(排気ガス再循環装置)75の本体ケースとして構成している。すなわち、吸気マニホールド56の吸気取込側がEGR本体ケースを構成している。
EGR装置(排気ガス再循環装置)75は、主としてディーゼルエンジン5の右側、具体的にはシリンダヘッド55の右側方に位置しており、ディーゼルエンジン5の排気ガスの一部(EGRガス)と新気とを混合させて吸気マニホールド56に供給する。装置(排気ガス再循環装置)75は、吸気マニホールド56の一部で構成したEGR本体ケースと、吸気マニホールド56と連通する吸気連絡管76と、吸気連絡管76に設けた吸気スロットル部材77と、排気マニホールド57にEGRクーラ80を介して接続される再循環排気ガス管78と、再循環排気ガス管80に吸気マニホールド56を連通させるEGRバルブ部材79とを備えている。エンジン5は、両側面に振り分けて配置したEGRクーラ80とEGR装置75とを、還流管路としてエンジン5後面(フライホイル61側)を迂回させた再循環排気ガス管78で接続する。
吸気マニホールド56の吸気取込側には、吸気連絡管76を介して吸気スロットル部材77を連結している。また、吸気マニホールド56の吸気取込側には、EGRバルブ部材79を介して再循環排気ガス管78の出口側も接続している。再循環排気ガス管78の入口側は、EGRクーラ80を介して排気マニホールド57に接続している。EGRバルブ部材79内にあるEGR弁の開度を調節することによって、吸気マニホールド56の吸気取込側へのEGRガスの供給量が調節される。
上記の構成において、吸気連絡管76及び吸気スロットル部材77を介して吸気マニホールド56の吸気取込側に新気を供給する一方、排気マニホールド57から吸気マニホールド56の吸気取込側にEGRガスを供給する。外部からの新気と排気マニホールド57からのEGRガスとが吸気マニホールド56の吸気取込側で混合される。ディーゼルエンジン5から排気マニホールド57に排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド56からディーゼルエンジン5に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減する。
エンジン5は、排気マニホールド204からの排気ガスにより空気を圧縮するターボ過給機91を備える。ターボ過給機81は、ブロアホイルを内蔵したコンプレッサケース83を備えており、コンプレッサケース83の吸気取入れ側を、給気管222を介してエアクリーナ221の吸気排出側と接続する一方、コンプレッサケース83の吸気排出側を、上流側中継管223と接続する。ターボ過給機81は、タービンホイルを内蔵したタービンケース82を備えており、タービンケース82の排気取入れ側を排気マニホールド57の排気ガス出口と連結する一方、タービンケース82の吸気排出側を、後処理装置である排気ガス浄化装置52の排気ガス入口と連結する。
ディーゼルエンジン5は、連続再生式の排気ガス浄化装置(DPF)52を備えている。排気ガス浄化装置52は、その長手方向一端側(後方側)のケース外周面に排気ガス入口管161を設けており、該排気ガス入口管161をターボ過給機81におけるタービンケース82の排気ガス排出側と、排気連絡管84を介して連通させている。排気ガス浄化装置52において、排気ガス入口管161が下方左側に向かって開口している一方、排気ガス出口管162が右側上向きに開口している。
排気ガス浄化装置52は、ターボ過給機81と連通している排気連絡管84と接続しており、この排気連絡管84は、の下端側を排気マニホールド204にボルト締結することで、排気ガス浄化装置52の支持体(DPF支持体)として構成している。排気連絡管85は、ターボ過給機81におけるタービンケース82の排気排出側に排気取込側をボルト締結する一方、排気排出側を排気ガス浄化装置52の排気ガス入口161に締結している。従って、排気マニホールド57と排気ガス浄化装置52とは、ターボ過給機81におけるタービンケース82と排気連絡管84とを介して連通している。
エンジン5は、排気ガス浄化装置52を支持固定するハウジング支持体としての出口側ブラケット体176及び入口側ブラケット体177を備えている。出口側ブラケット体176及び入口側ブラケット体177は、エンジン5のシリンダヘッド55においてエンジン出力軸53と交差する前面側及び後面側に振り分けて立設している。入口側ブラケット体177は、エンジン5の後面側に位置していて、排気連絡管84と共に、排気ガス浄化装置52の排気取込側を支持している。出口側ブラケット体176は、エンジン5の前面側に位置していて、排気ガス浄化装置52の排気排出側を支持している。
入口側ブラケット体176は、シリンダヘッド55の後面側(フライホイルハウジング60の上方)に位置している。入口側ブラケット体176は、固定ブラケット(第1ブラケット)178の下端側をシリンダヘッド5の後面にボルト締結している。固定ブラケット178の上端側には中継ブラケット179をボルト締結している。中継ブラケット(第2ブラケット)179の中途部には延長ブラケット(第3ブラケット)180の基端側をボルト締結し、延長ブラケット180の先端側は、ボルト及びナットを介してガス浄化ハウジング168の入口側蓋体(上流側蓋体)169に締結している。
出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55の前面側(冷却ファン59側)に位置している。実施形態の出口側ブラケット体177は、出口側第1ブラケット(第4ブラケット)181と出口側第2ブラケット(第5ブラケット)182とに分離構成している。そして、出口側第1ブラケット181は、シリンダヘッド55右側から上方に延設させるとともにシリンダヘッド55上方で左側に屈曲させた略L字状の部材で構成している。一方、出口側第2ブラケット182は、シリンダヘッド55左側から上方に延設させるとともにシリンダヘッド55上方で右側に屈曲させた略L字状の部材で構成している。従って、出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55の前面側で略門形の形状を呈しており、サーモスタットケース70の後方位置でシリンダヘッド55上方を跨ぐように固定されている。
上記の説明から明らかなように、実施形態の排気ガス浄化装置52は、ディーゼルエンジン4の上方において、ハウジング支持体である排気連絡管84、入口側ブラケット体176、及び出口側ブラケット体177を介してエンジン1のシリンダヘッド55、吸気マニホールド56及び排気マニホールド57に着脱可能に連結している。また、排気ガス移動方向上流側(排気取込側)にある入口側ブラケット体176及び排気連絡管84を、シリンダヘッド55と排気マニホールド57とに振り分け、排気ガス移動方向下流側(排気排出側)にある出口側ブラケット体177(出口側第1ブラケット181及び出口側第2ブラケット182)を、シリンダヘッド55と吸気マニホールド56とに振り分けることによって、排気ガス浄化装置52を四点支持している。
固定ブラケット178は、上端部分の右側面に、ボルト穴を有した側方部品連結部178cを備えており、当該側方部品連結部178cに、例えば、排気管227などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(排気管固定ブラケット)210がボルト締結される。出口側第1ブラケット181の基端部には、例えば、空調用コンプレッサ211などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(コンプレッサ固定ブラケット)212を固定させる基端側部品連結部181bを備えている。出口側第1ブラケット181の屈曲部(中途部)上面には、例えば、空調用温水パイプ203,204などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(温水パイプ固定ブラケット)208を固定させる中途部品連結部181dを備えている。出口側第2ブラケット182の屈曲部(中途部)には、上流側中継管223や遮蔽板206支持させるための部品固定具(遮蔽板固定ブラケット)207を固定するための後方部品連結部182dを備えている。
図13及び図14に示すように、トラクタ1のボンネット6は、断面下向きU字状に形成している。そして、ボンネット6の左右角部を、正面視で左右外側の斜め下向きに傾斜するように面取りした構成とすることで、操縦座席8に着座したオペレータの前方視界、特にボンネット6の左右から先の視界を良好に確保している。そして、ボンネット6の左側内壁面に対して、排気ガス浄化装置(DPF)52及び排気連絡管84を対峙させる一方で、ボンネット6の右側内壁面に対して、吸気連絡管76を対峙させる。また、排気連絡管84を、左側エンジンカバー232に対向する位置に配置させる一方、排気連絡管84を、右側エンジンカバー23に2対向する位置に配置させる。
吸気マニホールド56に新気を供給させる中空部を有した吸気連絡管76を、上方に向かってシリンダヘッド55側に傾斜させた構造とし、吸気マニホールド56から上方に延設させている。すなわち、吸気連絡管76は、上端側となる新気取込み口を下端側となる新気排出口に対してエンジン5の出力軸53(エンジン5中心位置)寄りにオフセットさせている。ボンネット6における上方に向かって狭まった形状に沿わせて、吸気連絡管76を配置させるとともに、エンジン5上部とボンネット6内面との間で、吸気スロットル部材77を吸気連絡管76よりもボンネット6の中心位置寄りに配置できる。従って、インタークーラ224の新気排出側と吸気スロットル部材77とを連通させる下流側中継管225を短く設計できるだけでなく、上方に向かって左右幅が狭くなるボンネット6内にコンパクトに収容できる。
排気マニホールド57からの排気ガスを排気ガス浄化装置52に供給させる中空部を備えた排気連絡管84を、上方に向かってシリンダヘッド55側に傾斜させた構造とし、排気ガス浄化装置52の排気ガス入口管161に連結させて、排気ガス浄化装置52を支持さている。すなわち、排気連絡管84は、下端側となる排気マニホールド57と連結させた下端側の連結支持部84aに対して、上端側の排気ガス排出口をエンジン5の出力軸53(エンジン5中心位置)寄りにオフセットさせている。また、排気ガス浄化装置52は、排気ガス入口管161を下側(入口フランジ体側)に向かってエンジン5外側(ボンネット6内壁側)寄りに傾斜させている。
ボンネット6における上方に向かって狭まった形状に沿わせて、排気ガス浄化装置52及び排気連絡管84を配置させるとともに、エンジン5上部とボンネット6内面との間で、排気ガス浄化装置52をエンジン5の中心位置寄りで支持できる。従って、上方に向かって左右幅が狭くなるボンネット6内に排気ガス浄化装置52をコンパクトに収容できる。また、重量物である排気ガス浄化装置52をエンジン5の重心に寄せて支持できることになり、排気ガス浄化装置52搭載に伴うエンジン5の振動や騒音等の増大を抑制できる。また、排気ガス浄化装置52を前記エンジン5に組付けたことによるボンネット6形状への影響を少なくでき、ボンネット6形状を複雑化しなくて済む。
図14及び図15に示すように、エンジン出力軸53芯線と交差する端面に配置させたフライホイル61を覆うフライホイルハウジング60を高さH1よりも幅W1を狭めた形状で構成している。フライホイルハウジング60の幅を狭めた形状とすることで、左右幅の狭い走行機体2に対して、フライホイルハウジング60を干渉させることなく、エンジン5を搭載させることができる。また、走行機体2において、機体エンジンフレーム15が、スペーサ293を介してエンジンフレーム14外側に設けられるため、左右エンジンフレーム14間の幅に対して、左右機体エンジンフレーム15間の幅が広くなる。一方、エンジン5は、フライホイルハウジング61を後方に配置して、機体フレーム15と連結するミッションケース17の主変速入力軸28とフライホイル61を連結させる。したがって、エンジン5において左右幅が最も広いフライホイルハウジング61を機体フレーム15間に十分に配置でき、振動系の異なる走行機体2にフライホイルハウジング61が衝突することを防げるため、エンジン5の故障や破損を防止できる。
フライホイルハウジング61は、円の左右を切り欠くと同時に上部に台座状の機関脚取付け部60aを突出させた外形を備えており、上部の機関脚取付け部60aを後部の機関脚体240を介して走行機体2と連結させている。フライホイルハウジング61を幅の狭い走行機体2に搭載可能とするだけでなく、走行機体2と連結可能な台座状の機関脚取付け部60aを構成している。したがって、高剛性を備えるフライホイルハウジング61で走行機体2と連結することで、エンジン5の支持構造による剛性を補償できる。
より詳細には、左右一対の機体フレーム15を架橋する支持用梁フレーム236上方に、門型のエンジン支持フレーム237を設置し、フライホイルハウジング61とエンジン支持用梁フレーム237とを前後に並んで配置させる。そして、エンジン支持フレーム237上面に防振ゴム239を介して機関脚体238の後方を連結させる一方で、機関脚体238前方のフライホイルハウジング61上における機関脚取付け部60a上面に連結させる。
次に、図4〜図10及び図13〜図22を参照しながら、ボンネット6を含むエンジンルーム枠の構成について説明する。まず、図16及び図17等に示すように、ボンネット6は、前部下側にフロントグリル231を形成して、エンジンルーム前方を覆う。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成したエンジンカバー232を配置して、エンジンルーム左右側方を覆っている。すなわち、ボンネット6及びエンジンカバー232によって、ディーゼルエンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。
図16及び図17等に示すように、ボンネット6は、前面中央位置にフロントグリル231を備えており、ボンネット6上側の天井部は、前方から後方に向けて斜め上向きに傾斜させた形状を備えている。フロントグリル231は、中心の枠体231aにより固定される左右一対の防塵網231bを備える。ボンネット6は、天井部の後方下側の空間が広くなり、ボンネット6内部のエンジンルームにおいて、排気ガス浄化装置52を収容する空間を大きく形成できる。また、ボンネット6は、左右側面部それぞれの前方に開口穴268を有しており、左右一対の開口穴268を通じてボンネット6の左右両側から冷却風を取り込む。更に、ボンネット6は、天井部前方にも左右一対の網状の開口穴270を設けており、左右一対の開口穴270を通じてボンネット6の前側上方からも冷却風を取り込む。開口穴268、270は、網状の防塵網で覆われている。
図16〜図18等に示すように、左右一対となるエンジンフレーム(前部フレーム)14は、その前端側内側面をフレーム連結部材12の左右外側面と連結している。フレーム連結部材12は、矩形状の金属鋳物で構成されており、このフレーム連結部材12で架設したエンジンフレーム14上に、ディーゼルエンジン5を支持させる。エンジンフレーム14前端側上方を覆うように、フレーム底板233を左右のエンジンフレーム14上縁及び前バンパ12上面で架設させている。フレーム底板233の後端には、エンジン5の下側前方を覆うアンダーカバー296を配置している。アンダーカバー296は、その前端をフレーム底板233と連結させる一方で、その後方左右側縁それぞれを左右のエンジンフレーム14と連結している。アンダーカバー296は、フレーム底板233の後端からエンジンフレーム14の下端に向かって延設させた前側部分と、エンジン5下方で前側に延設させた後側部分とで構成されている。
フレーム底板233の下面が、左右のエンジンフレーム14の側面と、前後に配置されている連結ブラケット233a,233bを介して連結している。また、フレーム底板233を、前後二分割させた前方底板233xと後方底板233yとで構成している。前方底板233xの下面の左右縁側が、左右一対のエンジンフレーム14の側面と一端を連結している連結ブラケット233aの他端前方に連結されるとともに、前方底板233x前側が、フレーム連結部材12に締結されている。また、後方底板233yは、前方下面の左右縁側を左右一対の連結ブラケット233aの他端後方と連結するとともに、前方下面の左右縁側を左右一対の連結ブラケット233bの他端と連結している。
フレーム底板233は、その左右中心領域に開口穴233zを備えている。開口穴233zは、フレーム底板233の前方底板233xに設けられており、網状の防塵網で覆われている。すなわち、ボンネット6及びフレーム底板233はそれぞれ、エンジン5の冷却ファン59より前方となる位置に、開口部231b,233a,268,270を有しており、冷却ファン59の駆動によってボンネット6及びフレーム底板233それぞれの開口部231b,233z,268,270から冷却風をボンネット5内のエンジンルームに取り込む。
ボンネット6及びフレーム底板233を開口させることにより、冷却ファン59前方の限られた構成において、冷却ファン59を通過させる空気流量よりも開口面積を広げることができる。これにより、冷却ファン59内を通過させる冷却空気の流速を抑制でき、エンジンルーム内の冷却空気を最適に制御でき、エンジンルーム内での逆流を防ぐだけでなく、エンジン5側に冷却空気を効果的に誘導できる。また、フレーム底板233の開口部233zを網状とすることで、エンジンルーム内への塵埃の侵入を防止できるとともに、エンジン5停止後には、塵埃を自重で落下させることができる。
また、フレーム連結部材12上方となる位置に、フレーム底板233の開口部233zを配置させる。フレーム底板233の開口部233z下方に、走行機体2のフレーム連結部材12を配置するため、開口部233zを通じてエンジンルーム内に外気が流入する際、フレーム連結部材12により塵埃や泥の侵入を防ぐことができる。また、エンジン5を支持するエンジンフレーム14を金属鋳物となるフレーム連結部材12で固定することで、エンジン5の支持構造を強化できる。
図16〜図18等に示すように、エンジン制御装置(エンジンECU)271は、後述するラジエータ235等の熱交換機の前方位置に配置されている。エンジンECU271は、エンジン5の各センサからのセンサ信号を受けるとともにエンジン5の駆動を制御する。エンジン制御装置271の長手方向を走行機体2の前後方向(エンジンフレーム14の長手方向)に沿わせてフレーム底板235に立設させている。すなわち、エンジンECU271は、フレーム底板233の前方底板233x上を立設しており、その左右幅が狭くなるようにボンネット6前面裏側となる位置に配置されている。
長手方向を前後方向としてエンジンECU271を配置することで、冷却ファン59によりエンジンルーム内を前後方向に流れる冷却空気に対して、エンジンECU271の設置方向を沿わせることができる。これにより、エンジンECU271が冷却空気の流れに対する遮蔽面積を低減できるため、エンジン5への冷却空気流量の低下を抑制でき、エンジンルーム内を適正な温度に維持できる。
また、フレーム底板233xは、エンジンECU271の立設位置近傍であって、開口部233zよりも後方位置に、ハーネス導通穴233wを有している。エンジンECU271に接続されるハーネス(図示省略)は、ハーネス導通穴233wを通じて、走行機体2の底側に導かれ、後方のエンジン5やバッテリ272等と接続される。エンジンECU271を前方底板233xに配置するとともに、前方底板271にハーネス導通穴233xを設けることにより、前方底板233xによりエンジンECU233xを一ユニットで構成でき、組立性を向上できる。
また、エンジンECU271を、ボンネット6前面に左右対称に設けた防塵網(開口部)231bの間となる位置で且つフレーム底板233の開口部233z上方に配置させている。すなわち、エンジンECU271は、フロントグリル231の枠対231a裏側に配置されており、フレーム底板233の開口部233zの左右中心を跨ぐようにして、前方底板233x上に起立している。エンジンECU271をボンネット6の開口部231bと重ならない位置に配置できるため、エンジンECU271により冷却空気流入用の開口面積を狭めることがなくなる。また、フレーム底板233の開口部233z上方にエンジンECU271を配置することで、エンジンECU271の冷却効果を得られる。
図16〜図18等に示すように、ファンシュラウド234を背面側に取り付けたラジエータ235を、エンジン5の前面側に位置するようにフレーム底板233の後方底板233y上に立設している。ファンシュラウド234は冷却ファン59の外周側を囲っており、ラジエータ235と冷却ファン59とを連通させている。ラジエータ235は、起立した状態でフレーム底板233に固定された矩形状のラジエータフレーム260内側で支持されている。ラジエータフレーム260は、前面に防塵網260aを設けられており、枠体状のラジエータフレーム260内への塵埃などの侵入が防がれている。また、ラジエータフレーム260は、内側のラジエータ235を囲うようにして、フレーム底板233上で固定されるとともに、ファンシュラウド260とも連結している。
ラジエータ235の前面側には、枠フレーム226をフレーム底板233の後方底板233y上に立設させている。枠フレーム226は、エアクリーナ221を支持するエアクリーナ支持フレーム261を備えている。エアクリーナ支持フレーム261は、屈曲させた棒状フレームであり、一端を後方底板233yに連結させるとともに、他端をラジエータフレーム260に連結させている。エアクリーナ221が、エアクリーナ支持フレーム261の上方に固定されており、エアクリーナ221下方位置では、燃料冷却用の燃料クーラ273がエアクリーナ支持フレーム261に固定されている。
また、枠フレーム226は、門型に屈曲してフレーム底板233y上に両端を固定した門型フレーム262を備える。門型フレーム262は、左右両端(下端)をフレーム底板233yに連結させて、ラジエータフレーム260とエアクリーナ支持フレーム261との間で立設されている。門型フレーム262の上枠の左右中心部分が、エアクリーナ支持フレーム261の上下途中部分と連結している。なお、エアクリーナ支持フレーム261は、門型フレーム262との連結部分より上側でエアクリーナ221を支持し、門型フレーム262との連結部分より下側で燃料クーラ273を支持する。
門型フレーム262は、後方(ラジエータ235側)で潤滑油冷却用のオイルクーラ274を支持する一方、前方(燃料クーラ273側)で冷媒冷却用のコンデンサ275を支持する。また、エアクリーナ支持フレーム261の上端側に固定されたインタークーラ連結用ブラケット263と門型フレーム262の上枠とによって、インタークーラ224を上下で挟持して、オイルクーラ274上方にインタークーラ224を支持している。また、インタークーラ224前方には、門型フレーム262の上枠とインタークーラ連結用ブラケット263とによって、防塵網263aが挟持支持されている。
コンデンサ275は、ケース一体型で構成されており、冷媒を気液分離させるレシーバドライヤ276をケース側面に連結固定させているとともに、ケース前面に防塵網27aを備えている。底板フレーム233より立設させているエアクリーナ支持フレーム261は、コンデンサ275上方で斜め後方に湾曲させ、更に、インタークーラ224上方で後方に屈曲させている。従って、エアクリーナ221は、前後方向においてコンデンサ275と一部重なる位置で、コンデンサ275の上方に位置するように、エアクリーナ支持フレーム261により支持されている。
図16〜図18等に示すように、ラジエータ235前面に、冷却ファン59とのオフセット部分の圧損が小さくなるようにして、インタークーラ224をはじめとする、複数の熱交換器を配置している。これにより、ファンシュラウド234内を流れる冷却風の流速分布を平準化させて、ファンシュラウド234内での差圧の発生を抑制できる。したがって、ラジエータ235内における冷却風の逆流を防止でき、ラジエータ235での冷却効率を高めることができる。
より詳細には、ラジエータ235前方上側にインタークーラ224を配置する一方、ラジエータ235前方下側に潤滑オイルを冷却させるオイルクーラ274を配置し、オイルクーラ274前方にコンデンサ275を配置した。この配置により、冷却ファン59とラジエータ235とのオフセット領域の圧損を小さくすることで、冷却風の取り込み安い構造とし、冷却ファン59にかかる負荷を低減できる。
また、エアクリーナ221が、インタークーラ224前方でインタークーラ224から離間した位置に固定されている。エアクリーナ221とインタークーラ224とを離間させた配置とすることで、ラジエータ235上方に空間を設けて、冷却風をラジエータ235まで流入しやすい構造とできる。これにより、ボンネット6下のエンジンルーム内における冷却風の流速分布を高さ方向で平準化でき、冷却風の逆流などを抑制できる。
図18及び図19等に示すように、ラジエータ235前方で、エアクリーナ221とコンデンサ275が上下となるように配置しており、コンデンサ275を左右方向に引き出し可能としている。すなわち、門型フレーム262の上枠前側にレール262aを設ける一方で、フレーム底板233のレール262a直下となる位置にレール262bを設置する。そして、上下のレール262a,262bに対して、コンデンサ275背面の上下縁を係止させることで、コンデンサ275を門型フレーム262と後方底板233yとで、左右方向にスライド可能に挟持される。
また、コンデンサ275は、空調用コンプレッサ211及び空気調和機364と接続される冷媒用ホース277,278を連結させたレシーバドライヤ276と一体に構成されている。冷媒用ホース277,278は、ファンシュラウド235やインタークーラ連結用ブラケット263によって掛止されるようにして把持されている。冷媒用ホース277,278の掛止を外すだけで、コンデンサ275の引き出しが可能となり、冷媒用ホース277,278をレシーバドライヤ276から外す必要がない。このように、エンジンルーム内において、エアクリーナ221下方の空間を利用して、コンデンサ275を引き出すことで、コンデンサ275後方空間へのアクセスが容易となる。したがって、コンデンサ275後方の除塵作業などのメンテナンス作業の煩雑さを解消できる。
ラジエータ235前面において、インタークーラ224とオイルクーラ274とを上下に重ねて配置しており、上段のインタークーラ274を固定する門型フレーム(固定枠)262内にオイルクーラ274を縦軸周りに回動可能に固定している。すなわち、門型フレーム262の左右枠のいずれか一方に軸支部材262cを設けており、オイルクーラ274の左右側面の一方を縦軸周りに軸支し、オイルクーラ274を門型フレーム262に対して開閉可能に設置している。本実施形態では、コンデンサ275が、右側面に設置されたレシーバドライヤ276とともに右方に引き出されることから、門型フレーム262の右枠にオイルクーラ274を軸支している。引き出し可能なコンデンサ275後方でオイルクーラ274を縦軸周りに回動可能に設置したため、作業者は、冷却風の流れにより塵埃の溜まりやすいラジエータ235前面下方にアクセスしやすくなり、メンテナンス作業の煩雑さを解消できる。
図4〜図10及び図16に示すように、上流側中継管223及び下流側中継管225は、それぞれエンジン5両側面に振り分けて配置されており、エンジン5前方の枠フレーム226に設置されるインタークーラ224に接続するように、エンジン5の前方上側に向かって延設されている。また、エアクリーナ221を枠フレーム226前面上側に配置し、エアクリーナ221と接続する給気管222が、枠フレーム226上方を跨ぐようにして、エンジン5左側面後方に延設される。そして、エンジン5の吸気連絡管76の新気取込み側が、吸気スロットル部材77を介して、下流側中継管225と連通している。また、エンジン5のタービン過給機81は、コンプレッサケース83の新気取込み側を給気管222と連通させている一方で、コンプレッサケース83の新気排出側を下流側中継管225と連通させている。
上記の構成により、エアクリーナ221に吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナ221にて除塵・浄化された後、給気管222を介して、ターボ過給機81のコンプレッサケース83に吸引される。ターボ過給機81のコンプレッサケース83で圧縮された加圧新気は、中継管223,225及びインタークーラ224を介して、EGR装置75のEGR本体ケースに供給される。一方、排気マニホールド57からの排気ガスの一部(EGRガス)が、EGRクーラ80で冷却された後、再循環排気ガス管78を介して、EGR装置85のEGR本体ケースに供給される。
また、ボンネット6下のエンジンルーム内において、給気管222及び上流側中継管223と、下流側中継管225とを左右に振り分けて配置することで、ターボ過給機81と吸気マニホールド56とを左右に振り分け配置させているエンジン5に対して効率よく配管できる。したがって、空気流路用の各配管222,223,225をエンジン5よりも外側に無理なく配置することで、エンジン5及び排気ガス浄化装置52の排熱に基づく加温を抑制し、配管内を通過する空気への熱的影響を低減できる。エンジンルーム前方に配置されるインタークーラ224を新気出口側と新気入口側とを左右に振り分けて配置できる。したがって、エンジン5との連通させる上流側中継管223及び下流側中継管225それぞれを短縮できるだけでなく、エンジンルーム内前方において、インタークーラ224をコンパクトに収容できる。
図13〜図15、図29、及び図30等に示すように、左右の機体フレーム15の前端側は、スペーサ297を介して左右のエンジンフレーム14後端側と連結しており、左右の機体フレーム15が、左右のエンジンフレーム14を狭持するように配置されている。支持用梁フレーム236の機体フレーム15との連結面(外側面)は、スペーサ297の機体フレーム15との連結面(外側面)と同一面となる。この支持用梁フレーム236は、左右の機体フレーム15それぞれとボルト締結して、左右の機体フレーム15を架設しており、その上面に、エンジン支持フレーム237を搭載している。エンジン支持フレーム237は、その下端面を支持用梁フレーム236の上面とボルト締結することで、支持用梁フレーム236と共にディーゼルエンジン5のフライホイル61を囲う形状となる。
ディーゼルエンジン5は、その左右側面下側に設けた機関脚取付け部74を、防振ゴム239を有する機関脚体238を介して、左右一対のエンジンフレーム14中途部に設置したエンジン支持ブラケット298と連結している。ディーゼルエンジン5は、後面のフライホイルハウジング60上部に設けた機関脚取付け部60aを、防振ゴム241を有する機関脚体(エンジンマウント)240を介して、エンジン支持フレーム237上面と連結している。
左右一対のエンジンフレーム14の中途部外側に連結したエンジン支持ブラケット298上部に、防振ゴム239を下側にして機関脚体238をボルト締結している。左右一対の機関脚体238によりディーゼルエンジン5をエンジンフレーム14で挟持し、ディーゼルエンジン5前側を支持させている。ディーゼルエンジン5の後面を、支持用梁フレーム236、エンジン支持フレーム237、及び機関脚体240を介して、左右一対の機体フレーム15の前端側に連結して、機体フレーム15前端でディーゼルエンジン5後側を支持させている。左右の前部防振ゴム239と、左右の後部防振ゴム241とによって、ディーゼルエンジン5が走行機体2に支持されることになる。
図20及び図21等に示すように、左右一対の支柱フレーム242,243が、エンジン支持フレーム237上面で、機関脚体240を左右から挟むように立設している。ボンネット6後方を覆うボンネットシールド板(遮蔽板)244が、その下縁を機関脚体240上面から離間するように、左右一対の支柱フレーム242,243と連結している。梁フレーム248をファンシュラウド234及びボンネットシールド板244それぞれの上部で架設させる。走行機体2で安定支持させたファンシュラウド234及びボンネットシールド板244を、一対の梁フレーム248により架設させて連結するため、これらの部材が一体的になって全体として堅牢なエンジンルームフレーム体を構成できる。
ボンネットシールド板244の左右両側を屈曲させることにより、エンジンルームの左右後方を覆う一方で、キャビン7前面との間に空間を構成するため、エンジンルーム内のエンジン5から発生する騒音がキャビン7(操縦座席8)へ伝播することを防止できる。また、ボンネットシールド板244が、平面視で左右両側を前方に傾斜させた形状を構成しているので、ボンネット6下のエンジンルームとキャビン7とで囲まれる空間のうち、左右の領域が広がる。そのため、図7等に示すように、レシーバドライヤ276及び空調用コンプレッサコンプレッサ211と接続しているエンジンルーム側の冷媒用ホース277,279を、キャビン7の空気調和機364と接続している複数の冷媒用ホース280と連結させる際、ボンネットシールド板244後方での連結作業が容易になる。
ボンネットシールド板244は、左右一対の支柱フレーム242,243に前面を固定させてキャビン7のフロントウィンドガラス321前面と略平行に広がる後方シールド面(第1シールド面)245と、後方シールド面245の左右縁から前方向に向かって傾斜させた左右一対の側方シールド面(第2及び第3シールド面)246,247とで構成される。また、左右側方シールド面246,247は、支柱フレーム242,243の中途部とも連結しており、より強固に支持されている。
ボンネットシールド板244は、支柱フレーム242,243により、フロントウィンドガラス321前面から離間した位置に配置される。そして、左右の側方シールド面246,247が傾斜していることで、ボンネットシールド板244の左右縁をフロントウィンドガラス321から更に前方に離間させ、ボンネットシールド板244後方の左右位置において、キャビン7との空間を広げることができる。
上記したように、ボンネットシールド板244は、平面視で屈曲させた形状を有している。すなわち、ボンネットシールド板244の左右両縁を中央部分より前側に配置させるべく、ボンネットシールド板244の左右両側を前方に屈曲させている。ボンネット6下のエンジンルームにおける熱が、ボンネットシールド板244により遮熱されることで、エンジンルーム後方のキャビン7(操縦座席8)がエンジンルームからの排熱により加温されることを防止できる。従って、キャビン7におけるオペレータは、エンジン5や排気ガス浄化装置52の排熱の影響を受けることなく、快適に操縦可能となる。
ボンネット6内側において、ボンネット6背面側にボンネットシールド板244を配置して、少なくとも排気ガス浄化装置52及び排気管227の背面を覆う。ボンネットシールド板244は、左右一対の支柱フレーム242,243から左右に張り出した形状を有することで、少なくともディーゼルエンジン5の背面を覆う。そして、エンジンルーム背面側において、ボンネットシールド板244右側の領域が開放されており、当該領域で排気管227とテールパイプ229とが接続されている。右側方シールド面247の右方下側を切り欠くことで、排気管227とテールパイプ229とを接続するための快方領域を設けている。
ボンネット6の背面をボンネットシールド板244で覆うことで、ボンネット6下のエンジンルームにおける熱が、ボンネットシールド板244により遮熱されて、キャビン7側がエンジンルームからの排熱により加温されることを防止できる。従って、キャビン7内におけるオペレータは、ディーゼルエンジン5や排気ガス浄化装置52の排熱の影響をうけることなく、快適に操縦可能となる。ボンネットシールド板244をキャビン7前面から離間させて配置することで、ボンネット6後方に配置されるキャビン7とボンネットシールド板244との間に断熱層を形成している。
図20〜図22に示すように、左右一対の支柱フレーム242,243をボンネットシールド板244の屈曲部分に挟まれた中央領域(後方シールド面245)と連結させており、支柱フレーム242,243とファンシュラウド235とを梁フレーム248で架設させている。走行機体2で安定支持されたファンシュラウド235及び支柱フレーム242,243を、梁フレーム248により架設させて連結するため、これらの部材が一体的になって全体として堅牢なエンジンルームフレーム体を構成できる。
支柱フレーム242,243上端側に、ボンネット支持ブラケット255を設置している。そして、ボンネット支持ブラケット255に、ボンネット6後方部分に設けたヒンジ部材253と連結することで、支柱フレーム242,243上端側でボンネット6後方を回動支持する。ボンネット支持ブラケット255は、左右両縁を屈曲させた形状を有し、支柱フレーム242,243前側に固着させている。ボンネット支持ブラケット255は、左右両縁を後方に向けて屈曲させたコ字形状(U字形状)に構成されており、両端を支柱フレーム242,243に接続させるとともに、その前面を梁フレーム248の後端側に接続させる。すなわち、梁フレーム248は、ボンネット支持ブラケット255を介して支柱フレーム242,243と連結している。
梁フレーム248は、梁フレーム248の右縁をボンネット6中心位置よりも右側に位置するように前後に延設されている。そして、エンジン5上方において、梁フレーム248とボンネット6の内側側面との間に排気ガス浄化装置52を位置させるべく、排気ガス浄化装置52を梁フレーム248に沿って配置させている。梁フレーム248とボンネット6の内側側面との間に排気ガス浄化装置52を位置させるため、排気ガス浄化装置52周辺空間が広くなり、エンジン6上方における部品組み付けやメンテナンスにおける煩雑さを解消できる。
遮熱板250が、ボンネット6下で梁フレーム248の中途部から後方を覆うようにして、エンジン5上方に設けられている。梁フレーム248の中途部と後端それぞれに、桟フレーム251,252を左右両側に延設させている。即ち、前側桟フレーム251が、梁フレーム248の中途部上側で固定され、梁フレーム248の左右に延設されている。後側桟フレーム252が、梁フレーム248の後端上側で固定され、梁フレーム248の左右に延設されている。そして、遮熱板250の前後両縁が、前後一対の桟フレーム251,252に固着されている。遮熱板250は、エンジン5上側の排気ガス浄化装置52及び排気管227上部を覆うように配置されている。排気ガス浄化装置52及び排気管227とボンネット6の間に遮熱板250を配置することで、エンジンルームからの排熱によるボンネット6の加温を防止できる。
エンジン5上部に搭載した排気ガス浄化装置52を、ボンネット6後方内側に位置させており、ボンネット6と排気ガス浄化装置52との間に遮熱板250を配置している。排気ガス浄化装置52の上に遮熱板250を配置することで、排気ガス浄化装置52及びディーゼルエンジン5の排熱によるボンネット6の加温を防止できる。また、ボンネット6と遮熱板250との間に空間を形成して、遮熱板250下側のエンジンルーム内を外気から断熱して、排気ガス浄化装置52を高温環境で動作させることができる。
更に、上記遮熱板250に加えて、ボンネット6背面側に配置して少なくとも排気ガス浄化装置52を背面から覆うボンネットシールド板244を備えている。ボンネット6下のエンジンルームにおける熱が、遮熱板250とともにボンネットシールド板244により遮熱されることで、キャビン7内がエンジンルームからの排熱により加温されることを防止できる。また、ボンネットシールド板244と遮熱板250との間に間隔を設けることで、ボンネット6下のエンジンルーム内に熱気をこもり難くして、排気ガス浄化装置52自体やボンネット6等に対する熱害の発生を抑制できる。
ボンネット6下方における遮熱板250の左右両側に、伸縮可能なガススプリング(ボンネットダンパ)256,256を配置している。左右一対のガススプリング256,256それぞれの一端(後端)は、エンジンルームフレーム体に枢着しており、ガススプリング256,256それぞれの他端(前端)は、ボンネット6上部内側面に枢着している。延長フレーム249は、梁フレーム248の後端を中心として左右に延設させた形状を有し、後側桟フレーム252の左右両端と連結している。
すなわち、延長フレーム249は、梁フレーム248の後端側で梁フレーム248及び後側桟フレーム252と一体化されている。そして、延長フレーム249の左右両端で、後側桟フレーム252の左右端よりも前方位置で、左右一対のガススプリング256,256それぞれの一端(後端)を枢着している。
また、ガススプリング256の突張り作用によって、ボンネット6が開放位置に保持される。したがって、ボンネット6の前部を持上げることによって、ボンネットシールド板244の上端位置を軸支点としてボンネット6を開動させて開くと、ガススプリング256によりボンネット6を開放状態で保持できるため、ディーゼルエンジン5のメンテナンス作業等を実行できる。
図20等に示すように、左エンジンカバーフレーム257は、前端から後端に向けて上方に傾斜させた形状を備えている。左エンジンカバーフレーム257は、後端をボンネットシールド板244の左側方シールド面246の左縁に、前端を左エンジンフレーム14側面に接続された連結ブラケット259に、それぞれ連結させている。また、連結ブラケット259は、フレーム底板233と前部機関脚体238との間となる位置でエンジンフレーム14に固定されている。左エンジンカバー232は、左エンジンカバーフレームの前後端部及び中途部と連結するとともに、エンジン支持フレーム237の左側面と連結して、ボンネット6左側面の下側に固定されている。
右エンジンカバーフレーム258は、前端を左エンジンフレーム14側面に接続された連結ブラケット259に連結させており、後方にむけて上側に傾斜させた後に下側に屈曲させた形状を備えている。右エンジンカバーフレーム258は、後端を前端と同等の高さ位置としており、右エンジンカバーフレーム258の両端が、エンジンカバーフレーム258に固定された下側プレート258aと連結している。また、エンジンカバーフレーム259は、屈曲部に上側プレート258bの一端を接続している。
右エンジンカバー232は、左エンジンカバーフレームの前後端部及び上側プレート258bの他端と連結して、ボンネット6右側面の下側に固定されている。右エンジンカバー232は、下縁の一部を切り欠いた形状を備えて、エンジン5のオイルフィルタ63を外側に突出できるように構成している。また、右エンジンカバー232の前後方向長さは、左エンジンカバー233よりも短く、右エンジンカバー232後方で排気管227とテールパイプ229とが接続されている。
図16及び図17に示すように、エンジン5の左側面を覆う多孔状の遮蔽板205を、排気ガス浄化装置(DPF)52下方に配置している。遮蔽板205は、排気マニホールド57、ターボ過給機81、及び排気連絡管84を覆うように構成されているため、エンジン5における高熱源部品を遮蔽板205で覆うこととなる。したがって、DPF52に供給される排気ガスを高温に維持でき、DPF52における再生能力の低下を防止できる。また、遮蔽板205を多孔状とするとともに、同じく多孔状の左側エンジンカバー232に対向させて配置することにより、エンジン5により加温された空気の一部を、遮蔽板205及びエンジンカバー232を通じて外部に排気でき、比較的高温となるエンジン5の左側面側での熱滞留を防止できる。
遮蔽板205は、排気連絡管84の排ガス取込み口側に(ターボ過給機81のタービンケース82との連結部側)ボルト締結されるとともに、遮蔽板固定ブラケット207を介して、出口側第2ブラケット182の後方部品連結部182dに連結し、エンジン5で支持されている。また、遮蔽板固定ブラケット207は、インタークーラ224の新気取込み口とターボ過給機81のコンプレッサケース83とを連通させる上流側中継管223とも連結しており、上流側中継管223もエンジン5の出口側第2ブラケット182で支持されている。
図16及び図17に示すように、排気マニホールド57下方には、エンジン5の一側方と連結させた遮熱部材206を設けて、遮熱板206下方にエンジン始動用スタータ69を配置させている。シリンダブロック54の左側面に連結させた遮熱部材206は、エンジン始動用スタータ69とEGRクーラ80との間の位置でエンジンカバー232に向かって立設させている。従って、電気機器である始動用スタータ69上方を遮熱部材206で覆うことにより、高温となる排気マニホールド57などからの放熱による始動用スタータ69への熱的影響を低減し、電気機器である始動用スタータ69の故障を防止できる。
図4〜図10、図23、図24、及び図35等に示す如く、燃料タンク11は、キャビン7の床板40下側で左右一対のステップ10及び後車輪4よりも内側(機体フレーム11側)に配置された左側タンク11L及び右側タンク11Rを備えている。左側タンク11L及び右側タンク11Rは、一対の機体フレーム14を挟むように左右に振り分けて配置されている。すなわち、左側タンク11Lは、前方部分が左側機体フレーム14と左側ステップ10の間に配置される一方、後方部分が左側機体フレーム14と左側後車輪4の間に配置される。同様に、右側タンク11Rは、前方部分が右側機体フレーム14と右側ステップ10の間に配置される一方、後方部分が右側機体フレーム14と右側後車輪4の間に配置される。一対の左側タンク11L及び右側タンク11Rは互いに容量が異なるものであって、その下方を燃料連通管281で連通させている。
容量の大きい左側タンク11Lは、キャビン7前方で左側ステップ10前側を覆うような形状を有しており、ステップ10前側上面に給油口283を備える。すなわち、左側タンク11Lは、左側ステップ10の右側及び前側を囲うようにして配置している。左側タンク11Lに設けた給油口283が左側ステップ10近傍位置に配置されることから、オペレータは左側ステップ10を上って燃料タンク11への給油作業を行うことができ、給油作業を軽減できる。また、燃料タンク11は、ステップ10及び後車輪4よりも内側に配置していることから、機体外側の物体との直接的な衝突を避けることができ、燃料タンク11の破損などを防止できる。
容量の小さい右側タンク11Rの前側に、燃料タンク11内の燃料をディーゼルエンジン5に供給する油水分離機215を配置している。油水分離機215の外周及び上側を、タンクフレーム18より立設させたプレート285で覆い、油水分離機215を保護している。油水分離機215は、エンジン支持フレーム237の右側面とも連結しているプレート285により外周側が覆われている。燃料タンク11内の燃料は、油水分離機215によって水分が除去されて、エンジン5の燃料供給ポンプ64に供給される。すなわち、油水分離機215は、左側タンク11Lとディーゼルエンジン5の燃料フィルタ209とをつなぐ燃料供給配管に介在している。
油水分離機215は、分離された燃料と水を可視化させるべく、透明な容器で構成している。また、油水分離機21は、燃料の含水量(分離された水量)を検出してエンジンECU271などに通知するセンサを付属している。これにより、エンジンECU271が、油水分離機215のセンサからの信号を受信して、操縦座席8に着座しているオペレータに、例えば、メータパネルやモニタなどによって燃料の含水量を報知できる。
燃料タンク11は、互いに容量の異なる一対の左側タンク11Lと右側タンク11Rとを走行機体2の左右に振り分けて配置し、燃料連通管281で連通させている。容量の大きい左側タンク11Lの前部側に給油口283を設けている一方で、容量小さい右側タンク11Rの前部に凹油水分離機215を配置している。そして、左側タンク11Lから燃料圧送ポンプ213を介してディーゼルエンジン5に燃料を供給する。これにより、左側タンク11L及び右側タンク11Rより成る燃料タンク11をできるだけ大容量にできると同時に、油水分離機215の配置箇所をディーゼルエンジン5に近いところに確保できる。
燃料タンク11は、機体フレーム15下側で左右外向きに張り出したタンクフレーム18上に載置されており、バンド286で固定されている。タンクフレーム18は、左右の機体フレーム15に吊り下げ固定されている前側横桟フレーム287と、ミッションケース17下面に固定された後側横桟フレーム288と、横桟フレーム287,288それぞれの両端で固定される左右のタンク搭載用プレート289,290とで、底面視矩形枠板状に形成されている。左右のタンク搭載用プレート289,290はそれぞれ、左側タンク11L及び右側タンク11Rそれぞれの底面形状と略同一形状を有し、その上面に載置した左側タンク11L及び右側タンク11Rそれぞれの前後2カ所をバンド286で結束して固定している。
左右一対のエンジンフレーム14の後部それぞれに左右一対の機体フレーム15の前部を連結する。両機体フレーム15の後部間にミッションケース17を配置する左側タンク11L及び右側タンク11Rを下方から支持するタンクフレーム(タンク支持板)18を前後一対の横桟フレーム287,288で連結する。前後一対の横桟フレーム287,288それぞれを、支持用梁フレーム236及びミッションケース17に下方から連結させて、タンクフレーム(タンク支持板)18を吊り下げ支持している。
前側横桟フレーム287は、スペーサ287b介して、支持用梁フレーム236の左右両端下面と連結しており、支持用梁フレーム236に吊り下げ支持されている。すなわち、左右一対のボルトが、前側横桟フレーム287及びスペーサ287bを介して、支持用梁フレーム236下面に設けられたボルト穴に締結されることで、前側横桟フレーム287を支持用梁フレーム236に吊り下げ支持させる。後側横桟フレーム288は、スペーサ288bを介して、ミッションケース17にボルト締結される。すなわち、左右一対のボルトが、後側横桟フレーム288及びスペーサ288bを介して、ミッションケース17の中間ケース114下面に設けられたボルト穴に締結されることで、後側横桟フレーム288をミッションケース17に吊り下げ支持させる。
このように、タンクフレーム(タンク支持板)18を、前記左右後部フレーム下側で左右に延設させた前後一対の横桟フレーム287,288と、前後横桟フレーム287,288を左右両側で前後に架設させた左右一対のタンク搭載用プレート289,290とで構成する。そして、左右タンク搭載用プレート289,290上に、左右燃料タンク11L,11Rを載置固定させる。これにより、タンクフレーム(タンク支持板)18自身の重量を軽量としながら、重量物となる燃料タンク11L,11Rを支持するための支持強度を確保できる。
また、左右機体フレーム15それぞれの前端を支持用梁フレーム236で架設するとともに、左右機体フレーム15それぞれの後端をミッションケース17の左右側面に連結させている。そして、前後横桟フレーム287,288それぞれを、支持用梁フレーム236下面及びミッションケース17と締結させて吊り下げ固定している。これにより、重量物となる燃料タンク11(11L,11R)を支持するタンクフレーム(タンク支持板)18を剛性の高い支持用梁フレーム236及びミッションケース17に固定することとなり、燃料タンク11を高剛性且つ安定して支持できる。
図23〜図27に示すように、機体フレーム14に設けた前部支持体(防振支持対)96と、前側横桟フレーム287とを連結ブラケット284で連結している。前部支持体96と前側横桟フレーム287と連結ブラケット284とで囲まれた空間内に容量の小さい燃料タンク11Rの前部側を嵌め込んでいる。燃料の小さい燃料タンク11Rをできるだけ大容量にしながらも安定的に支持できる。連結ブラケット284は、L字形状を備えており、右側タンク搭載用プレート289前方部分の右縁から立設させており、右側燃料タンク11Rの上を跨ぐようにして、右側機体フレーム14に固定された前部支持体96の上部と連結している。
また、前側横桟フレーム287の上面に連結している右側タンク搭載用290の右縁よりも右側に、前側横桟フレーム287右端を突出させており、前側横桟フレーム287右端には、前方下側に位置する1段目の踏板部材10xを連結している。キャビン7右側に設けられるステップ10は、タンクフレーム18と連結する1段目の踏板部材10xと、キャビンフレーム300と連結する2段目の踏板部材10yとで構成されている。すなわち、右側ステップ10は、1段目の踏板部材10xと2段目の踏板部材10yとで分離形成されており、1段目の踏板部材10xが前方に位置するように、踏板部材10xをタンクフレーム18に固定する一方、踏板部材10yをキャビンフレーム300のサイドドア323近傍に固定する。
図23、図25〜図27に示すように、バッテリ272は、バッテリカバー292に覆われるバッテリケース291に搭載され、右側燃料タンク11Rの右側に配置されている。バッテリケース291は、右側燃料タンク11Rから立設させた連結ブラケット284の右面に連結されている。また、バッテリケース291の底面は、右側ステップ10の1段目踏板部材10xの上端部分と連結している。したがって、バッテリケース291は、連結ブラケット284と踏板部材10xとを介して、タンクフレーム18の右側上方に支持される。
図26及び図27に示すように、バッテリケース291を覆うバッテリカバー292は、開閉可能に構成されている。すなわち、バッテリケース291は、バッテリカバー292を左右方向にスライドさせる際のスライド用ガイド293を側面に設けている。また、バッテリカバー292側面には、スライド用ガイド293を挿入させるスライド溝294を設けている。従って、バッテリカバー292は、タンクフレーム18に連結固定されたバッテリケース291に対して、左右にスライド可能となっている。また、バッテリケース291に載置されているバッテリ272は、着脱可能なバッテリ固定具295によってバッテリケース291に固定される。
図27のようにバッテリケース291をバッテリカバー292で覆った状態(閉状態)から、図26のようにバッテリカバー292を開いた状態(開状態)とする際の、バッテリカバー292の遷移状態について、図28を参照して説明する。まず、図27のようにバッテリカバー292を閉じた状態にあるとき、バッテリカバー292の前方側面に設けたスライド溝294の左端が、バッテリケース291の前方側面のスライド用ガイド293に当接している。そして、バッテリカバー292を右側にスライドさせて、図28(a)に示すように、バッテリカバー292のスライド溝294の右端をスライド用ガイド293に当接させる。その後、図28(b)に示すように、スライド用ガイド293を中心軸として、バッテリカバー292を回転させることで、バッテリケース291上側を開放できる。
図29に示すように、ラジエータ235は、上方の冷却水排出口に冷却水供給管201を介してサーモスタットケース70の冷却水取込み口と連通させており、下方の冷却水取込み口に冷却水戻し管202を介して冷却水ポンプ71の冷却水排出口と連通させている。ラジエータ235内の冷却水が、冷却水供給管201及びサーモスタットケース70を介して、冷却水ポンプ71に供給される。そして、冷却水ポンプ71の駆動にて、冷却水がシリンダブロック54及びシリンダヘッド55に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、エンジン5を冷却する。エンジン5の冷却に寄与した冷却水は、冷却水戻し管202を介してラジエータ235に戻される。
また、サーモスタットケース70及び冷却水ポンプ71はそれぞれ、温水パイプ203,204とも接続しており、エンジン5の冷却に寄与した冷却水(温水)をキャビン7の空気調和機364に循環させる。これにより、キャビン7の空気調和機364内を温水が循環することで、空気調和機364よりキャビン7内に温風が供給されることとなり、キャビン7内の温度をオペレータの所望温度に調節できる。
サーモスタットケース70上方で右側に屈曲させた冷却水入口は、エンジン5前方にファンシュラウド234を介して配置されるラジエータ235上方の冷却水吐出口(冷却水排出口)と、冷却水供給管201を介して連通している。また、冷却水ポンプ71の冷却水排出口は、冷却水ポンプ71本体から右側に突出した形状となっており、ラジエータ235下方の冷却水取込み口と、冷却水戻し管202を介して連通している。ラジエータ235と接続させる冷却水供給管201及び冷却水戻し管202を、エンジン5右側にまとめて配置することとなるため、冷却水に対するエンジン5からの排熱による熱的影響を抑制できるだけでなく、組立分解作業性を向上できる。
図29に示すように、空気調和機364に温水(冷却水)を循環させる温水パイプ203,204それぞれが、サーモスタット70及び冷却水ポンプ71と接続している。温水パイプ203,204は、排気ガス浄化装置52の右側方位置で後方に延設し、キャビン7内の空気調和機364と接続される。すなわち、サーモスタット70及び冷却水ポンプ71の右側で接続した温水パイプ203,204はそれぞれ、上下に重なるようにして纏めて後方に延設している。また、温水パイプ203,204は、出口側第1ブラケット181の屈曲部(中途部)181c上方を通過するように配置されている。そして、温水パイプ203,204は、温水パイプ固定ブラケット208を介して、出口側第1ブラケット181の屈曲部181cにおける中途部品連結部181dに連結し、エンジン5で支持されている。
図30等に示すように、DPF52は、ガス浄化ハウジング168内を流れる排気ガス温度を検出する温度センサ186,187を具備している。温度センサ186,187は、例えばサーミスタ形の温度センサであり、ガス浄化ハウジング168内に挿入されるとともに、測定信号を出力する配線コネクタ190,191を有する。温度センサ186,187それぞれの配線コネクタ190,191は、温水パイプ固定ブラケット208に固定される。温水パイプブラケット208は、L字に屈曲させた板形状で構成されており、DPF52に対して平行となるように、出口側第1ブラケット181の屈曲部181cから立設している。
図30及び図32等に示すように、温水パイプ固定ブラケット208の左側面(DPF52側)に、温水パイプ203,204を固定させる一方で、温水パイプ固定ブラケット208の右側面(DPF52と逆側)に、配線コネクタ190,191を固定させる。エンジン5冷却寄与後の冷却水(温水)を空気調和機364などの外部装置に供給させる温水パイプ203,204を、DPF52側に設けることで、外部装置に供給させる冷却水温度の低下を防止できる。温水パイプ固定ブラケット208の外側面に立設させることで、DPF52からの排熱に対する遮熱効果が得られる。温水パイプ固定ブラケット208を挟んでDPF52の逆側に電気部品である配線コネクタ190,191を配置できるため、エンジン5及びDPF52それぞれからの排熱による影響を低減でき、加熱による故障を防止できると同時に、出力信号におけるノイズ重畳を抑制できる。
図30〜図32等に示すように、DPF52は、スートフィルタ164を挟んだ上流側及び下流側間の排気ガスの圧力差を差圧センサ192で検出させるべく、ガス浄化ハウジング168のスートフィルタ164の前後位置に、センサ配管188,189を連結させている。差圧センサ192で検出された圧力差に基づいてスートフィルタ164の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF52内の詰り状態を把握できるように構成している。エンジン5前方に配置されて冷却ファン59を囲うファンシュラウド234に、差圧センサ192を取り付けるセンサブラケット209を設置している。
センサブラケット209は、ファンシュラウド234の後面より後方に向かって突設されており、センサ配管188,189と連結させているセンサボス体175よりも上側であってDPF52の右側となる位置に配置されている。差圧センサ192は、センサブラケット209上面に固定されており、センサ配管188,189それぞれがセンサブラケット209下側より接続される。本実施形態では、センサブラケット209に固定される差圧センサ192は、DPF52よりも高い位置に配置されている。
ファンシュラウド234上方に、DPF52内の内部環境を測定するセンサ192を固定させているため、エンジンルーム内の冷却空気の流れ方向に沿って上流側に、センサ192を配置できる。そのため、エンジン5及びDPF52それぞれからの排熱による影響を低減でき、加熱によるセンサ192の故障を防止できる。したがって、DPF52の内部環境を正常に把握して、エンジン5を最適に制御できる。
DPF52の排気ガス出口管162を冷却ファン59側に設けており、DPF52内に設けた浄化フィルタ164前後の圧力差を測定する圧力センサ63を、ファンシュラウド234上方に固定させている。DPF52をエンジン5の出力軸53に沿う方向に設置し、その排気出口側に設けた浄化フィルタ164前後の圧力を測定する圧力センサ63を、排気出口近傍となるファンシュラウド234上方に配置できる。したがって、圧力センサ63とDPF52との間に設ける圧力測定用配管188,189を短くできるため、圧力センサ234による測定誤差を低減できる。
図30に示すように、本実施形態のトラクタ1は、キャビン7の空気調和機364に供給する冷媒を圧縮する空調用コンプレッサ211を備えている。空調用コンプレッサ212は、エンジン5の出力軸53の前端側からコンプレッサ用Vベルト72cを介して動力伝達され、エンジン5により駆動される。空調用コンプレッサ211は、エンジン5の前方右側で、冷却水ポンプ71よりも高い位置に配置されている。空調用コンプレッサ211は、燃料供給ポンプ64前方に接続されている延長ブラケット64aに一端が接続されたコンプレッサ固定ブラケット212上に載置されている。
コンプレッサ固定ブラケット212は、L字状に屈曲させた形状を備えており、その上面に空調用コンプレッサ211を固定配置させる。コンプレッサ固定ブラケット212は、その下側一端を延長ブラケット64aに連結させるとともに、その上側他端を出口側第1ブラケット181の基端部における基端側部品連結部181bに連結させて、エンジン5に支持されている。また、エンジン5前方左側には、コンプレッサ用Vベルト72cを引張するプーリ213を配置している。コンプレッサ用Vベルトが巻回されるプーリ213は、サーモスタットケース71に連結されてエンジン5前方に張り出した位置調整ブラケット214の前縁で、位置調整可能に固定されている。
図5、図8〜図10、図31、及び図32等に示すように、排気ガス浄化装置52は、その長手方向他端側(前方側)のケース外周面に排気ガス出口管162を設けており、該排気ガス出口管162を排気管227と連結する。排気管227は、ディーゼルエンジン5の前方左側から後方右側に向かって、エンジン5上方を跨ぐように配置されている。また、排気管227は、排気ガス浄化装置52と下流側中継管225との間となる位置で、排気ガス浄化装置52及び下流側中継管225と略平行となるようにして設置されている。
エンジン5上方において、排気ガス浄化装置52と排気管227とを、エンジン5の出力軸と平行になるようにして、左右に並んで配置している。すなわち、排気ガス浄化装置52がエンジン5上面の左側を覆う一方で、排気管227がディーゼルエンジン5上面の右側を覆うように、排気ガス浄化装置52及び排気管227を並べて配置している。更に、排気管227より右側に、インタークーラ224と吸気連絡管84とを連通させる下流側中継管225を設置して、高温となる排気ガス浄化装置52による下流側中継管225への熱的影響を防いでいる。
排気ガス浄化装置52の排気側と接続する排気管(第1排気管)227は、ディーゼルエンジン5の後方右側でテールパイプ(第2排気管)229の排ガス取込口に挿入されている。テールパイプ229は、キャビン7の前方右側において、下方から上方に向かって排ガス排出側に向かって延設させるとともに、キャビン7の下側でディーゼルエンジン5に向けて屈曲させたJ字形状を有している。また、排気管227は、テールパイプ229への挿入部分よりも上方外周面に、傘形状の上面カバー体228を備える。この上面カバー体228は、排気管227の外周面に放射状に固定されることで、テールパイプ229の排ガス取込み口を覆い、テールパイプ229内への塵埃や雨水の浸入を防ぐ。
テールパイプ229は、下方の屈曲部分が機体フレーム15上方を内側から外側へ跨ぐように形成されている。また、テールパイプ229は、機体フレーム15内側に設けた排ガス取込口を上方に設けており、当該排ガス取込口に排気管227の排ガス排出口が挿入される。すなわち、テールパイプ229と排気管227の接続部分は、二重管構造となっており、排気管227からテールパイプ229に排ガスを流入させると同時に、排気管227からテールパイプ229との間の間隙から外気を流入させることで、テールパイプ229内を流れる排ガスを冷却させる。更に、テールパイプ229は、遮熱板230で覆われた構成としている。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成したエンジンカバー232を配置して、エンジンルーム左右側方を覆っている。
図30〜図33に示すように、DPF52外周面の前方右側で上向きに設けられた排気ガス出口管162に、排気管227が連結されている。排気管227は、排気ガス流れ方向に沿って後方に屈曲させ、DPF52と平行となるように配置されている。また、排気管227は、排気ガス排出口を下向きとするように、排気ガス流れ下流側において下側に屈曲させている。この排気管227の排気ガス排出口が、キャビン7に固定されているテールパイプ229の排気ガス取込み口に挿入される。また、排気管227の中途部外周には、固定用連結部材210aを備えている。排気管227は、排気管固定ブラケット210を介して、固定用連結部材210aを固定ブラケット178のブラケット連結部178bに連結することで、エンジン5に支持される。
トラクタ1は、DPF52の排気ガス出口管162と連結するとともにエンジン5に固定させた排気管(第1排気管)227と、排気管227の下流側に設けられるとともに走行機体2に固定させたテールパイプ(第2排気管)229とを備える。テールパイプ229の内径を排気管227の外径よりも太くして、排気管227の排気出口側をテールパイプ229の排気入口に挿入して連通させている。排気管227及びテールパイプ229それぞれを、異なる振動系となるエンジン5と走行機体2及びキャビン7のそれぞれに連結固定しているため、排気管227及びテールパイプ229の損傷を防止できる。また、テールパイプ229の排気入口に排気管227を挿入させた構成とすることで、テールパイプ229には、排気管227からの排気ガスとともに外気を導入させることができ、外部に排出する排気ガスを冷却できる。
また、U字形状に構成したテールパイプ229を操縦座席8前方で固定させている。すなわち、テールパイプ229は、固定ブラケット229aを介して、キャビン7のキャビンフレーム300の前方下側に連結固定されている。なお、キャビン7は、走行機体に設置された前部支持台96及び後部支持台97によりキャビンフレーム300下方の四隅が固定支持されている。また、キャビン7の右側方下側に、電源供給するバッテリ272を備えている。
テールパイプ229の下側に排水用のドレン孔229bを設けるとともに、ドレン孔229bの下側を後方から覆う風向板229cをテールパイプ229下側に連結させている。ドレン孔229bを風向板229cで覆うことにより、風向板229bによる覆いのない前方(キャビン7から離れる方向)に排水させることができる。また、ドレン孔229bは、バッテリ272よりも内側(左側)に設けられており、風向板229により、ドレン穴229bの左右及び後方(前方以外の3方向)が覆われている。したがって、テールパイプ229内の高温となる水を外部に排水したときに、テールパイプ229近傍に設置されたハーネスやバッテリ272などの耐熱性又は耐水性の低い部品に対する熱害や水濡れによる故障などを防止できる。
また、5エンジンからの排気ガスが排気ガス浄化装置(DPF)52内をエンジン5の出力軸に沿って流れるよう、DPF52の排気ガス出口管162及び排気ガス入口管161それぞれを前後に振り分けて配置している。DPF52の前側に配置した排気ガス出口管162に排気管(第1排気管)227の排気入口を連結させている。そして、後方に向かって、排気管(第1排気管)227をエンジン5上方でDPF52と並設させるとともに、DPF52及び排気管(第1排気管)227を遮熱板250で覆っている。DPF52及び排気管(第1排気管)227を遮熱板250で覆う構成とすることで、エンジンルームを覆うボンネット6に対して、エンジンルームからの排熱による加温を防止できる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。