以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。まず、図1〜図22を参照しながら、実施形態における作業車両としてのトラクタ1の構造について説明する。実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載した動力源としてのコモンレール式のディーゼルエンジン5(以下、単にエンジンという)で後車輪4及び前車輪3を駆動することによって、トラクタ1が前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル(丸ハンドル)9とが配置されている。キャビン7の外側下部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられている。キャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
走行機体2は、前バンパ(フレーム連結部材)12及び前車軸ケース13を有するエンジンフレーム(前部フレーム)14と、エンジンフレーム14の後部に着脱自在に固定した左右の機体フレーム(後部フレーム)15とにより構成されている。前車軸ケース13の左右両端側から外向きに、前車軸16を回転可能に突出させている。前車軸ケース13の左右両端側に前車軸16を介して前車輪3を取り付けている。機体フレーム15の後部には、エンジン5からの回転動力を適宜変速して前後四輪3,3,4,4に伝達するためのミッションケース17を連結している。左右の機体フレーム15及びミッションケース17の下面側には、左右外向きに張り出した底面視矩形枠板状のタンクフレーム18をボルト締結している。実施形態の燃料タンク11は左右2つに分かれている。タンクフレーム18の左右張り出し部の上面側に、左右の燃料タンク11を振り分けて搭載している。ミッションケース17の左右外側面には、左右の後車軸ケース19をから外向きに突出するように装着している。左右の後車軸ケース19には左右の後車軸20を回転可能に内挿している。ミッションケース17に後車軸20を介して後車輪4を取り付けている。左右の後車輪4の上方は左右のリヤフェンダー21によって覆われている。
ミッションケース17の後部上面には、例えばロータリ耕耘機といった作業機を昇降動させる油圧式昇降機構22を着脱可能に取り付けている。ロータリ耕耘機等の作業機は、左右一対のロワーリンク23及びトップリンク24からなる3点リンク機構を介してミッションケース17の後部に、連結される。ミッションケース17の後側面には、ロータリ耕耘機等の作業機にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸25を後ろ向きに突設している。
エンジン5の後側面から後ろ向きに突設するエンジン出力軸53には、フライホイル61を直結するように取り付けている。両端に自在軸継手を有する動力伝達軸29を介して、フライホイル61から後ろ向きに突出した主動軸27と、ミッションケース17前面側から前向きに突出した主変速入力軸28とを連結している。ミッションケース17内には、油圧無段変速機、前後進切換機構、走行副変速ギヤ機構及び後輪用差動ギヤ機構を配置している。エンジン5の回転動力は、主動軸27及び動力伝達軸29を経由してミッションケース17の主変速入力軸28に伝達され、油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構によって適宜変速される。そして、当該変速動力が後輪用差動ギヤ機構を介して左右の後車輪4に伝達される。
ミッションケース17の前面下部から前向きに突出した前車輪出力軸30には、前車輪駆動軸31を介して、前輪用差動ギヤ機構(図示省略)を内蔵する前車軸ケース13から後向きに突出した前車輪伝達軸(図示省略)を連結している。ミッションケース17内の油圧無段変速機及び走行副変速ギヤ機構による変速動力は、前車輪出力軸30、前車輪駆動軸31及び前車輪伝達軸から前車軸ケース13内の前輪用差動ギヤ機構を経由して、左右の前車輪3に伝達される。
エンジン5のターボ過給機81は、ブロアホイルを内蔵したコンプレッサケース83を備えており、コンプレッサケース83の吸気取入れ側を、給気管222を介してエアクリーナ221の吸気排出側と接続する一方、コンプレッサケース83の吸気排出側を、上流側中継管223と接続する。ターボ過給機81は、タービンホイルを内蔵したタービンケース82を備えており、タービンケース82の排気取入れ側を排気マニホールド57の排気ガス出口と連結する一方、タービンケース82の吸気排出側を、後処理装置である排気ガス浄化装置52の排気ガス入口と連結する。
エンジン5は、両側面に振り分けて配置したEGRクーラ80とEGR装置75とを、還流管路としてエンジン5後面(フライホイル61側)を迂回させた再循環排気ガス管78で接続する。EGR装置75は、エンジン5右側方において、前方(冷却ファン59側)に延びた下流側中継管225と接続している。上流側中継管223及び下流側中継管225はそれぞれエンジン5両側面に振り分けて配置されており、エンジン5前方の枠フレーム226に設置されるインタークーラ224に接続するように、エンジン5の前方上側に向かって延設されている。また、エアクリーナ221を枠フレーム226前面上側に配置し、エアクリーナ221と接続する給気管222が、枠フレーム226上方を跨ぐようにして、エンジン5左側面後方に延設される。
上記の構成により、エアクリーナ221に吸い込まれた新気(外部空気)は、エアクリーナ221にて除塵・浄化された後、給気管222を介して、ターボ過給機81のコンプレッサケース83に吸引される。ターボ過給機81のコンプレッサケース83で圧縮された加圧新気は、中継管223,225及びインタークーラ224を介して、EGR装置75のEGR本体ケースに供給される。一方、排気マニホールド57からの排気ガスの一部(EGRガス)が、EGRクーラ80で冷却された後、再循環排気ガス管78を介して、EGR装置85のEGR本体ケースに供給される。
排気ガス浄化装置52は、その長手方向一端側(後方側)のケース外周面に排気ガス入口管161を設けており、該排気ガス入口管161をターボ過給機81におけるタービンケース82の排気ガス排出側と、排気連絡管84を介して連通させている。排気ガス浄化装置52は、その長手方向他端側(前方側)のケース外周面に排気ガス出口管162を設けており、該排気ガス出口管162を排気管227と連結する。排気ガス浄化装置52において、排気ガス入口管161が下方左側に向かって開口している一方、排気ガス出口管162が右側上向きに開口している。排気管227は、ディーゼルエンジン5の前方左側から後方右側に向かって、エンジン5上方を跨ぐように配置されている。また、排気管227は、排気ガス浄化装置52と下流側中継管225との間となる位置で、排気ガス浄化装置52及び下流側中継管225と略平行となるようにして設置されている。
エンジン5上方において、排気ガス浄化装置52と排気管227とを、エンジン5の出力軸と平行になるようにして、左右に並んで配置している。すなわち、排気ガス浄化装置52がエンジン5上面の左側を覆う一方で、排気管227がディーゼルエンジン5上面の右側を覆うように、排気ガス浄化装置52及び排気管227を並べて配置している。更に、排気管227より右側に、インタークーラ224と吸気連絡管84とを連通させる下流側中継管225を設置して、高温となる排気ガス浄化装置52による下流側中継管225への熱的影響を防いでいる。
排気ガス浄化装置52の排気側と接続する排気管(第1排気管)227は、ディーゼルエンジン5の後方右側でテールパイプ(第2排気管)229の排ガス取込口に挿入されている。テールパイプ229は、キャビン7の前方右側において、下方から上方に向かって排ガス排出側に向かって延設させるとともに、キャビン7の下側でディーゼルエンジン5に向けて屈曲させたJ字形状を有している。また、排気管227は、テールパイプ229への挿入部分よりも上方外周面に、傘形状の上面カバー体228を備える。この上面カバー体228は、排気管227の外周面に放射状に固定されることで、テールパイプ229の排ガス取込み口を覆い、テールパイプ229内への塵埃や雨水の浸入を防ぐ。
テールパイプ229は、下方の屈曲部分が機体フレーム15上方を内側から外側へ跨ぐように形成されている。また、テールパイプ229は、機体フレーム15内側に設けた排ガス取込口を上方に設けており、当該排ガス取込口に排気管227の排ガス排出口が挿入される。すなわち、テールパイプ229と排気管227の接続部分は、二重管構造となっており、排気管227からテールパイプ229に排ガスを流入させると同時に、排気管227からテールパイプ229との間の間隙から外気を流入させることで、テールパイプ229内を流れる排ガスを冷却させる。更に、テールパイプ229は、遮熱板230で覆われた構成としている。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成したエンジンカバー232を配置して、エンジンルーム左右側方を覆っている。
ミッションケース17は、主変速入力軸28などを有する前部変速ケース112と、後車軸ケース19などを有する後部変速ケース113と、前部変速ケース112の後側に後部変速ケース113の前側を連結させる中間ケース114を備えている。中間ケース114の左右側面に左右の上下機体連結軸体115,116を介して左右の機体フレーム15の後端部を連結する。即ち、2本の上機体連結軸体115と、2本の下機体連結軸体116にて、中間ケース114の左右両側面に左右の機体フレーム15の後端部を連結させ、機体フレーム15とミッションケース17を一体的に連設して、走行機体2の後部を構成する。また、左右の機体フレーム15の間に前部変速ケース112または動力伝達軸29などを配置して、前部変速ケース112などを保護するように走行機体2を構成している。
さらに、キャビン7の前側を支持する左右の前部支持台96と、キャビン7の後部を支持する左右の後部支持台97を備える。左右の機体フレーム15の機外側面のうち前端部に前部支持台96をボルト締結させ、前部支持台96の上面側に防振ゴム体98を介してキャビン7の前側底部を防振支持している。左右方向に水平に延設させる左右の後車軸ケース19の上面のうち左右幅中間部に後部支持台97をボルト締結させ、後部支持台97の上面側に防振ゴム体99を介してキャビン7の後側底部を防振支持している。従って、走行機体2は、複数の防振ゴム体98,99を介してキャビン7を防振支持している。
また、断面端面が略四角筒状の後車軸ケース19を挟むように、後車軸ケース19の上面側に後部支持台97を配置し、後車軸ケース19の下面側に振れ止めブラケット101を配置し、後部支持台97と振れ止めブラケット101をボルト102締結している。前後方向に延設したロワーリンク23の中間部と振れ止めブラケット101とに、伸縮調節可能なターンバックル付き振れ止めロッド体103の両端部を連結し、ロワーリンク23の左右方向の揺振を防止している。
次に、ボンネット6を含むエンジンルーム枠の構成について説明する。ボンネット6は、前部下側にフロントグリル231を形成して、エンジンルーム前方を覆う。ボンネット6の左右下側に、多孔板で形成したエンジンカバー232を配置して、エンジンルーム左右側方を覆っている。すなわち、ボンネット6及びエンジンカバー232によって、ディーゼルエンジン5の前方、上方及び左右を覆っている。
ボンネット6は、前面中央位置にフロントグリル231を備えており、ボンネット6上側の天井部は、前方から後方に向けて斜め上向きに傾斜させた形状を備えている。フロントグリル231は、中心の枠体231aにより固定される左右一対の防塵網231bを備える。ボンネット6は、天井部の後方下側の空間が広くなり、ボンネット6内部のエンジンルームにおいて、排気ガス浄化装置52を収容する空間を大きく形成できる。また、ボンネット6は、左右側面部それぞれの前方に開口穴268を有しており、左右一対の開口穴268を通じてボンネット6の左右両側から冷却風を取り込む。更に、ボンネット6は、天井部前方にも左右一対の網状の開口穴270を設けており、左右一対の開口穴270を通じてボンネット6の前側上方からも冷却風を取り込む。開口穴268、270は、網状の防塵網で覆われている。
左右一対となるエンジンフレーム(前部フレーム)14は、その前端側内側面をフレーム連結部材12の左右外側面と連結している。フレーム連結部材12は、矩形状の金属鋳物で構成されており、このフレーム連結部材12で架設したエンジンフレーム14上に、ディーゼルエンジン5を支持させる。エンジンフレーム14前端側上方を覆うように、フレーム底板233を左右のエンジンフレーム14上縁及び前バンパ12上面で架設させている。ファンシュラウド234を背面側に取り付けたラジエータ235を、エンジン5の前面側に位置するようにフレーム底板233上に立設している。ファンシュラウド234は冷却ファン59の外周側を囲っていて、ラジエータ235と冷却ファン59とを連通させている。
フレーム底板233の下面が、左右のエンジンフレーム14の側面と、前後に配置されている連結ブラケット233a,233bを介して連結している。また、フレーム底板233を、前後二分割させた前方底板233xと後方底板233yとで構成している。前方底板233xの下面の左右縁側が、左右一対のエンジンフレーム14の側面と一端を連結している連結ブラケット233aの他端前方に連結されるとともに、前方底板233x前側が、フレーム連結部材12に締結されている。また、後方底板233yは、前方下面の左右縁側を左右一対の連結ブラケット233aの他端後方と連結するとともに、前方下面の左右縁側を左右一対の連結ブラケット233bの他端と連結している。
フレーム底板233は、その左右中心領域に開口穴233zを備えている。開口穴233zは、フレーム底板233の前方底板233xに設けられており、網状の防塵網で覆われている。すなわち、ボンネット6及びフレーム底板233はそれぞれ、エンジン5の冷却ファン59より前方となる位置に、開口部231b,233a,268,270を有しており、冷却ファン59の駆動によってボンネット6及びフレーム底板233それぞれの開口部231b,233a,268,270から冷却風をボンネット5内のエンジンルームに取り込む。冷却ファン59前方の限られた構成において、冷却ファン59を通過させる空気流量よりも開口面積を広げることができる。これにより、冷却ファン59内を通過させる冷却空気の流速を抑制でき、エンジンルーム内の冷却空気を最適に制御できる。また、フレーム底板233にも網状の開口部を設けることで、エンジンルーム内への塵埃の侵入を防止できるとともに、エンジン5停止後には、塵埃を自重で落下させることができる。
また、フレーム連結部材12上方となる位置に、フレーム底板233の開口部233zを配置させる。フレーム底板233の開口部233z下方に、走行機体2のフレーム連結部材12を配置するため、開口部233zを通じてエンジンルーム内に外気が流入する際、フレーム連結部材12により塵埃や泥の侵入を防ぐことができる。また、エンジン5を支持するエンジンフレーム14を金属鋳物となるフレーム連結部材12で固定することで、エンジン5の支持構造を強化できる。
ラジエータ235の前面側には、矩形枠状の枠フレーム226をフレーム底板233の後方底板233y上に立設させている。左右のエンジンフレーム14を架橋するフレーム連結部材12の上方位置に、前方から順に、枠フレーム226、ラジエータ235及びファンシュラウド234を配置している。枠フレーム226は、後面をラジエータ235で覆うように形成されており、その前面及び左右側面が、メッシュ状の板材で覆われている。そして、枠フレーム226内には、上記のインタークーラ224他、オイルクーラや燃料クーラなどが設置される。枠フレーム226の前面の上方位置には、エアクリーナ221を配置している。これにより、フロントグリル231より吸引された冷却空気が、フロントグリル231後方の枠フレーム226に向かって流れるため、エアクリーナ221を冷却するとともに、枠フレーム226内のインタークーラやオイルクーラや燃料クーラを冷却する。また、枠フレーム226後面に設けているラジエータ235に前方からの冷却空気が達することで、ディーゼルエンジン5へ供給する冷却水に対する冷却効果を高める。
ラジエータ235は、上方の冷却水排出口に冷却水供給管201を介してサーモスタットケース70の冷却水取込み口と連通させており、下方の冷却水取込み口に冷却水戻し管202を介して冷却水ポンプ71の冷却水排出口と連通させている。ラジエータ235内の冷却水が、冷却水供給管201及びサーモスタットケース70を介して、冷却水ポンプ71に供給される。そして、冷却水ポンプ71の駆動にて、冷却水がシリンダブロック54及びシリンダヘッド55に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、エンジン5を冷却する。エンジン5の冷却に寄与した冷却水は、冷却水戻し管202を介してラジエータ235に戻される。
また、サーモスタット70及び冷却水ポンプ71はそれぞれ、温水パイプ203,204とも接続しており、エンジン5の冷却に寄与した冷却水(温水)をキャビン7の空気調和機364に循環させる。これにより、キャビン7の空気調和機364内を温水が循環することで、空気調和機364よりキャビン7内に温風が供給されることとなり、キャビン7内の温度をオペレータの所望温度に調節できる。
左右の機体フレーム15の前端側は、スペーサ297を介して左右のエンジンフレーム14後端側と連結しており、左右の機体フレーム15が、左右のエンジンフレーム14を狭持するように配置されている。左右一対の機体フレーム15は、支持用梁フレーム236によって、床板40の前方下側が連結されている。支持用梁フレーム236の機体フレーム15との連結面(外側面)は、スペーサ297の機体フレーム15との連結面(外側面)と同一面となる。この支持用梁フレーム236は、左右の機体フレーム15それぞれとボルト締結して、左右の機体フレーム15を架設しており、その上面に、エンジン支持フレーム237を搭載している。エンジン支持フレーム237は、その下端面を支持用梁フレーム236の上面とボルト締結することで、支持用梁フレーム236と共にディーゼルエンジン5のフライホイル61を囲う形状となる。
ディーゼルエンジン5は、その左右側面下側に設けた機関脚取付け部74を、防振ゴム239を有する機関脚体238を介して、左右一対のエンジンフレーム14中途部に設置したエンジン支持ブラケット298と連結している。ディーゼルエンジン5は、後面のフライホイルハウジング60上部に設けた機関脚取付け部60aを、防振ゴム241を有する機関脚体(エンジンマウント)240を介して、エンジン支持フレーム237上面と連結している。
左右一対のエンジンフレーム14の中途部外側に連結したエンジン支持ブラケット298上部に、防振ゴム239を下側にして機関脚体238をボルト締結している。左右一対の機関脚体238によりディーゼルエンジン5をエンジンフレーム14で挟持し、ディーゼルエンジン5前側を支持させている。ディーゼルエンジン5の後面を、支持用梁フレーム236、エンジン支持フレーム237、及び機関脚体240を介して、左右一対の機体フレーム15の前端側に連結して、機体フレーム15前端でディーゼルエンジン5後側を支持させている。左右の前部防振ゴム239と、左右の後部防振ゴム241とによって、ディーゼルエンジン5が走行機体2に支持されることになる。
左右一対の支柱フレーム242,243が、エンジン支持フレーム237上面で、機関脚体240を左右から挟むように立設している。ボンネット6後方を覆うボンネットシールド板(遮蔽板)244が、その下縁を機関脚体240上面から離間するように、左右一対の支柱フレーム242,243と連結している。梁フレーム248をファンシュラウド234及びボンネットシールド板244それぞれの上部で架設させる。走行機体2で安定支持させたファンシュラウド234及びボンネットシールド板244を、一対の梁フレーム248により架設させて連結するため、これらの部材が一体的になって全体として堅牢なエンジンルームフレーム体を構成できる。
エンジン5上部に搭載した排気ガス浄化装置52を、ボンネット6後方内側に位置させており、ボンネット6と排気ガス浄化装置52との間に遮熱板250を配置している。排気ガス浄化装置52の上に遮熱板250を配置することで、排気ガス浄化装置52及びディーゼルエンジン5の排熱によるボンネット6の加温を防止できる。また、ボンネット6と遮熱板250との間に空間を形成して、遮熱板250下側のエンジンルーム内を外気から断熱して、排気ガス浄化装置52を高温環境で動作させることができる。
更に、上記遮熱板250に加えて、ボンネット6背面側に配置して少なくとも排気ガス浄化装置52を背面から覆うボンネットシールド板244を備えている。ボンネット6下のエンジンルームにおける熱が、遮熱板250とともにボンネットシールド板244により遮熱されることで、キャビン7内がエンジンルームからの排熱により加温されることを防止できる。また、ボンネットシールド板244と遮熱板250との間に間隔を設けることで、ボンネット6下のエンジンルーム内に熱気をこもり難くして、排気ガス浄化装置52自体やボンネット6等に対する熱害の発生を抑制できる。
また、ボンネット6下方における遮熱板250の左右両側に、伸縮可能なガススプリング(ボンネットダンパ)256,256を配置している。左右一対のガススプリング256,256それぞれの一端(後端)は、エンジンルームフレーム体に枢着しており、ガススプリング256,256それぞれの他端(前端)は、ボンネット6上部内側面に枢着している。また、ガススプリング256の突張り作用によって、ボンネット6が開放位置に保持される。したがって、ボンネット6の前部を持上げることによって、ボンネットシールド板244の上端位置を軸支点としてボンネット6を開動させて開くと、ガススプリング256によりボンネット6を開放状態で保持できるため、ディーゼルエンジン5のメンテナンス作業等を実行できる。
図10〜図12に示すように、トラクタ1のボンネット6は、断面下向きU字状に形成している。そして、ボンネット6の左右角部を、正面視で左右外側の斜め下向きに傾斜するように面取りした構成とすることで、操縦座席8に着座したオペレータの前方視界、特にボンネット6の左右から先の視界を良好に確保している。そして、ボンネット6の左側内壁面に対して、排気ガス浄化装置(DPF)52及び排気連絡管84を対峙させる一方で、ボンネット6の右側内壁面に対して、吸気連絡管76を対峙させる。また、排気連絡管84を、左側エンジンカバー232に対向する位置に配置させる一方、排気連絡管84を、右側エンジンカバー23に2対向する位置に配置させる。
図10及び図11に示すように、吸気マニホールド56に新気を供給させる中空部を有した吸気連絡管76を、上方に向かってシリンダヘッド55側に傾斜させた構造とし、吸気マニホールド56から上方に延設させている。すなわち、吸気連絡管76は、上端側となる新気取込み口を下端側となる新気排出口に対してエンジン5の出力軸53(エンジン5中心位置)寄りにオフセットさせている。ボンネット6における上方に向かって狭まった形状に沿わせて、吸気連絡管76を配置させるとともに、エンジン5上部とボンネット6内面との間で、吸気スロットル部材77を吸気連絡管76よりもボンネット6の中心位置寄りに配置できる。従って、インタークーラ224の新気排出側と吸気スロットル部材77とを連通させる下流側中継管225を短く設計できるだけでなく、上方に向かって左右幅が狭くなるボンネット6内にコンパクトに収容できる。
図10及び図11に示すように、排気マニホールド57からの排気ガスを排気ガス浄化装置52に供給させる中空部を備えた排気連絡管84を、上方に向かってシリンダヘッド55側に傾斜させた構造とし、排気ガス浄化装置52の排気ガス入口管161に連結させて、排気ガス浄化装置52を支持さている。すなわち、排気連絡管84は、下端側となる排気マニホールド57と連結させた下端側の連結支持部84aに対して、上端側の排気ガス排出口をエンジン5の出力軸53(エンジン5中心位置)寄りにオフセットさせている。また、排気ガス浄化装置52は、排気ガス入口管161を下側(入口フランジ体161a側)に向かってエンジン5外側(ボンネット6内壁側)寄りに傾斜させている。
ボンネット6における上方に向かって狭まった形状に沿わせて、排気ガス浄化装置52及び排気連絡管84を配置させるとともに、エンジン5上部とボンネット6内面との間で、排気ガス浄化装置52をエンジン5の中心位置寄りで支持できる。従って、上方に向かって左右幅が狭くなるボンネット6内に排気ガス浄化装置52をコンパクトに収容できる。また、重量物である排気ガス浄化装置52をエンジン5の重心に寄せて支持できることになり、排気ガス浄化装置52搭載に伴うエンジン5の振動や騒音等の増大を抑制できる。また、排気ガス浄化装置52を前記エンジン5に組付けたことによるボンネット6形状への影響を少なくでき、ボンネット6形状を複雑化しなくて済む。
図11及び図12に示すように、エンジン出力軸53芯線と交差する端面に配置させたフライホイル61を覆うフライホイルハウジング60を高さH1よりも幅W1を狭めた形状で構成している。フライホイルハウジング60の幅を狭めた形状とすることで、左右幅の狭い走行機体2に対して、フライホイルハウジング60を干渉させることなく、エンジン5を搭載させることができる。また、走行機体2において、機体エンジンフレーム15が、スペーサ293を介してエンジンフレーム14外側に設けられるため、左右エンジンフレーム14間の幅に対して、左右機体エンジンフレーム15間の幅が広くなる。一方、エンジン5は、フライホイルハウジング61を後方に配置して、機体フレーム15と連結するミッションケース17の主変速入力軸28とフライホイル61を連結させる。したがって、エンジン5において左右幅が最も広いフライホイルハウジング61を機体フレーム15間に十分に配置でき、振動系の異なる走行機体2にフライホイルハウジング61が衝突することを防げるため、エンジン5の故障や破損を防止できる。
フライホイルハウジング61は、円の左右を切り欠くと同時に上部に台座状の機関脚取付け部60aを突出させた外形を備えており、上部の機関脚取付け部60aを後部の機関脚体240を介して走行機体2と連結させている。フライホイルハウジング61を幅の狭い走行機体2に搭載可能とするだけでなく、走行機体2と連結可能な台座状の機関脚取付け部60aを構成している。したがって、高剛性を備えるフライホイルハウジング61で走行機体2と連結することで、エンジン5の支持構造による剛性を補償できる。
より詳細には、左右一対の機体フレーム15を架橋する支持用梁フレーム236上方に、門型のエンジン支持フレーム237を設置し、フライホイルハウジング61とエンジン支持用梁フレーム237とを前後に並んで配置させる。そして、エンジン支持フレーム237上面に防振ゴム239を介して機関脚体238の後方を連結させる一方で、機関脚体238前方のフライホイルハウジング61上における機関脚取付け部60a上面に連結させる。
図11及び図13に示すように、エンジン5の左側面を覆う多孔状の遮蔽板205を、排気ガス浄化装置(DPF)52下方に配置している。遮蔽板205は、排気マニホールド57、ターボ過給機81、及び排気連絡管84を覆うように構成されているため、エンジン5における高熱源部品を遮蔽板205で覆うこととなる。したがって、DPF52に供給される排気ガスを高温に維持でき、DPF52における再生能力の低下を防止できる。また、遮蔽板205を多孔状とするとともに、同じく多孔状の左側エンジンカバー232に対向させて配置することにより、エンジン5により加温された空気の一部を、遮蔽板205及びエンジンカバー232を通じて外部に排気でき、比較的高温となるエンジン5の左側面側での熱滞留を防止できる。
遮蔽板205は、排気連絡管84の排ガス取込み口側に(ターボ過給機81のタービンケース82との連結部側)ボルト締結されるとともに、遮蔽板固定ブラケット207を介して、出口側第2ブラケット182の後方部品連結部182dに連結し、エンジン5で支持されている。また、遮蔽板固定ブラケット207は、インタークーラ224の新気取込み口とターボ過給機81のコンプレッサケース83とを連通させる上流側中継管223とも連結しており、上流側中継管223もエンジン5の出口側第2ブラケット182で支持されている。
図11及び図13に示すように、排気マニホールド57下方には、エンジン5の一側方と連結させた遮熱部材206を設けて、遮熱板206下方にエンジン始動用スタータ69を配置させている。シリンダブロック54の左側面に連結させた遮熱部材206は、エンジン始動用スタータ69とEGRクーラ80との間の位置でエンジンカバー232に向かって立設させている。従って、電気機器である始動用スタータ69上方を遮熱部材206で覆うことにより、高温となる排気マニホールド57などからの放熱による始動用スタータ69への熱的影響を低減し、電気機器である始動用スタータ69の故障を防止できる。
図15〜図17に示すように、オイルパン62からの潤滑油を濾過させるオイルフィルタ63を、潤滑油を通過させる中空部を備えたオイルフィルタ支持部材(支持ブラケット)88を介して、シリンダブロック54の右側面下側に配置している。シリンダブロック54内の右側面寄りの部位には、前側(冷却ファン59側)にオイルポンプ(図示省略)を配置しており、オイルポンプ(図示省略)から後方に向かって油路(図示省略)を設けている。シリンダブロック54に設けられた上記油路との連結口(オイルフィルタ取付け位置)に、オイルフィルタ支持部材88の一側面(左側面)を連結させ、オイルフィルタ支持部材88の他側面(右側面)上側にオイルフィルタ63を取り付ける。
オイルフィルタ63は、シリンダブロック54への取付けの際にオイルフィルタ支持部材88を介在させている。そのため、オイルフィルタ63は、シリンダブロック54における本来の取付け位置よりも上側に配置されることとなり、左右幅の狭い走行機体2にエンジン5を搭載した場合であっても、走行機体2に干渉することがない。すなわち、図15及び図16に示すように、オイルフィルタ支持部材88によって、オイルフィルタ63は、エンジンフレーム14よりも上側に配置される。したがって、オイルフィルタ63に対してアクセスしやすくなり、容易にオイルフィルタ63を交換できる。
オイルフィルタ支持部材88の一側面(左側面)に、シリンダブロック54に設けられた連結口(オイルフィルタ取付け位置)と連結させるエンジン側連結部を設けている。また、オイルフィルタ支持部材88の他側面(左側面)には、オイルフィルタ63と連結させるフィルタ連結部88aと、潤滑油を外部部品に吐出させる潤滑油吐出口88bとを、上下に配置している。
オイルフィルタ支持部材88は、その内部に油路(図示省略)を備えており、オイルポンプ(図示省略)でオイルパン62から吸引した潤滑油を、シリンダブロック54内の油路(図示省略)から受けて、オイルフィルタ63に供給させる。また、オイルフィルタ63で濾過した潤滑油をシリンダブロック54に還流させて、エンジン5の各潤滑部に供給させる。このとき、オイルフィルタ63で濾過した潤滑油の一部を、潤滑油吐出口88bから潤滑油供給管89を介して外部部品に供給させる。オイルフィルタ63から外部部品への潤滑油流路の一部をオイルフィルタ支持部材88内の油路で構成させるため、オイルフィルタ支持部材88に複数の機能を共用化させることができ、エンジン装置の構成部品点数を削減できる。
本実施形態では、図16に示すように、ターボ過給機81の潤滑油取込み口が、潤滑油供給管89を介して、オイルフィルタ支持部材88の潤滑油吐出口88bに連結している。ターボ過給機81は、フローティングメタル式軸受に潤滑油を供給するための油路が設けられている。オイルフィルタ支持部材88の潤滑油吐出口88bと連通させた潤滑油供給管89が、シリンダブロック54の右側面とシリンダヘッド55の後面及び左側面とに沿って配置され、ターボ過給機81に設けた前記油路(フローティングメタル式軸受に潤滑油を供給するための油路)に接続される。
図18に示すように、エンジン5は、排気ガス浄化装置52の排ガス出口側下方に、サーモスタットケース70を配置しており、サーモスタットケース70下側に、冷却ファン59とシリンダヘッド55との間に冷却水ポンプ71を配置する。冷却水ポンプ71上部のサーモスタットケース70の冷却水入口(冷却水取込み口)をシリンダヘッド55の右側方に向けている。走行機体2に対して冷却ファン59を上側に配置できるとともに、冷却ファン59と冷却水ポンプ71とを同軸に配置させることで、エンジン部品をコンパクトにまとめて配置でき、エンジン5の小型化を図れる。したがって、本実施形態のトラクタ1のように、エンジンルーム形状が限定される走行車両であっても搭載可能となる。
サーモスタットケース70上方で右側に屈曲させた冷却水入口は、エンジン5前方にファンシュラウド234を介して配置されるラジエータ235上方の冷却水吐出口(冷却水排出口)と、冷却水供給管201を介して連通している。また、冷却水ポンプ71の冷却水排出口は、冷却水ポンプ71本体から右側に突出した形状となっており、ラジエータ235下方の冷却水取込み口と、冷却水戻し管202を介して連通している。ラジエータ235と接続させる冷却水供給管201及び冷却水戻し管202を、エンジン5右側にまとめて配置することとなるため、冷却水に対するエンジン5からの排熱による熱的影響を抑制できるだけでなく、組立分解作業性を向上できる。
図18〜図22に示すように、空気調和機364に温水(冷却水)を循環させる温水パイプ203,204それぞれが、サーモスタット70及び冷却水ポンプ71と接続している。温水パイプ203,204は、排気ガス浄化装置52の右側方位置で後方に延設し、キャビン7内の空気調和機364と接続される。すなわち、サーモスタット70及び冷却水ポンプ71の右側で接続した温水パイプ203,204はそれぞれ、上下に重なるようにして纏めて後方に延設している。また、温水パイプ203,204は、出口側第1ブラケット181の屈曲部(中途部)181c上方を通過するように配置されている。そして、温水パイプ203,204は、温水パイプ固定ブラケット208を介して、出口側第1ブラケット181の屈曲部181cにおける中途部品連結部181dに連結し、エンジン5で支持されている。
DPF52は、ガス浄化ハウジング168内を流れる排気ガス温度を検出する温度センサ186,187を具備している。温度センサ186,187は、例えばサーミスタ形の温度センサであり、ガス浄化ハウジング168内に挿入されるとともに、測定信号を出力する配線コネクタ190,191を有する。温度センサ186,187それぞれの配線コネクタ190,191は、温水パイプ固定ブラケット208に固定される。温水パイプブラケット208は、L字に屈曲させた板形状で構成されており、DPF52に対して平行となるように、出口側第1ブラケット181の屈曲部181cから立設している。
温水パイプ固定ブラケット208の左側面(DPF52側)に、温水パイプ203,204を固定させる一方で、温水パイプ固定ブラケット208の右側面(DPF52と逆側)に、配線コネクタ190,191を固定させる。エンジン5冷却寄与後の冷却水(温水)を空気調和機364などの外部装置に供給させる温水パイプ203,204を、DPF52側に設けることで、外部装置に供給させる冷却水温度の低下を防止できる。温水パイプ固定ブラケット208の外側面に立設させることで、DPF52からの排熱に対する遮熱効果が得られる。温水パイプ固定ブラケット208を挟んでDPF52の逆側に電気部品である配線コネクタ190,191を配置できるため、エンジン5及びDPF52それぞれからの排熱による影響を低減でき、加熱による故障を防止できると同時に、出力信号におけるノイズ重畳を抑制できる。
図15、図21及び図22に示すように、DPF52は、スートフィルタ164を挟んだ上流側及び下流側間の排気ガスの圧力差を差圧センサ192で検出させるべく、ガス浄化ハウジング168のスートフィルタ164の前後位置に、センサ配管188,189を連結させている。差圧センサ192で検出された圧力差に基づいてスートフィルタ164の粒子状物質の堆積量が換算され、DPF52内の詰り状態を把握できるように構成している。エンジン5前方に配置されて冷却ファン59を囲うファンシュラウド234に、差圧センサ192を取り付けるセンサブラケット209を設置している。
センサブラケット209は、ファンシュラウド234の後面より後方に向かって突設されており、センサ配管188,189と連結させているセンサボス体175よりも上側であってDPF52の右側となる位置に配置されている。差圧センサ192は、センサブラケット209上面に固定されており、センサ配管188,189それぞれがセンサブラケット209下側より接続される。本実施形態では、センサブラケット209に固定される差圧センサ192は、DPF52よりも高い位置に配置されている。
ファンシュラウド234上方に、DPF52内の内部環境を測定するセンサ192を固定させているため、エンジンルーム内の冷却空気の流れ方向に沿って上流側に、センサ192を配置できる。そのため、エンジン5及びDPF52それぞれからの排熱による影響を低減でき、加熱によるセンサ192の故障を防止できる。したがって、DPF52の内部環境を正常に把握して、エンジン5を最適に制御できる。
DPF52の排気ガス出口管162を冷却ファン59側に設けており、DPF52内に設けた浄化フィルタ164前後の圧力差を測定する圧力センサ63を、ファンシュラウド234上方に固定させている。DPF52をエンジン5の出力軸53に沿う方向に設置し、その排気出口側に設けた浄化フィルタ164前後の圧力を測定する圧力センサ63を、排気出口近傍となるファンシュラウド234上方に配置できる。したがって、圧力センサ63とDPF52との間に設ける圧力測定用配管188,189を短くできるため、圧力センサ234による測定誤差を低減できる。
図19〜図22に示すように、DPF52外周面の前方右側で上向きに設けられた排気ガス出口管162に、排気管227が連結されている。排気管227は、排気ガス流れ方向に沿って後方に屈曲させ、DPF52と平行となるように配置されている。また、排気管227は、排気ガス排出口を下向きとするように、排気ガス流れ下流側において下側に屈曲させている。この排気管227の排気ガス排出口が、キャビン7に固定されているテールパイプ229の排気ガス取込み口に挿入される。また、排気管227の中途部外周には、固定用連結部材210aを備えている。排気管227は、排気管固定ブラケット210を介して、固定用連結部材210aを固定ブラケット178のブラケット連結部178bに連結することで、エンジン5に支持される。
トラクタ1は、DPF52の排気ガス出口管162と連結するとともにエンジン5に固定させた排気管(第1排気管)227と、排気管227の下流側に設けられるとともに走行機体2に固定させたテールパイプ(第2排気管)229とを備える。テールパイプ229の内径を排気管227の外径よりも太くして、排気管227の排気出口側をテールパイプ229の排気入口に挿入して連通させている。排気管227及びテールパイプ229それぞれを、異なる振動系となるエンジン5と走行機体2及びキャビン7のそれぞれに連結固定しているため、排気管227及びテールパイプ229の損傷を防止できる。また、テールパイプ229の排気入口に排気管227を挿入させた構成とすることで、テールパイプ229には、排気管227からの排気ガスとともに外気を導入させることができ、外部に排出する排気ガスを冷却できる。
また、U字形状に構成したテールパイプ229を操縦座席8前方で固定させている。すなわち、テールパイプ229は、固定ブラケット229aを介して、キャビン7のキャビンフレーム300の前方下側に連結固定されている。なお、キャビン7は、走行機体に設置された前部支持台96及び後部支持台97によりキャビンフレーム300下方の四隅が固定支持されている。また、キャビン7の右側方下側に、電源供給するバッテリ272を備えている。
テールパイプ229の下側に排水用のドレン孔229bを設けるとともに、ドレン孔229bの下側を後方から覆う風向板229cをテールパイプ229下側に連結させている。ドレン孔229bを風向板229cで覆うことにより、風向板229bによる覆いのない前方(キャビン7から離れる方向)に排水させることができる。また、ドレン孔229bは、バッテリ272よりも内側(左側)に設けられており、風向板229により、ドレン穴229bの左右及び後方(前方以外の3方向)が覆われている。したがって、テールパイプ229内の高温となる水を外部に排水したときに、テールパイプ229近傍に設置されたハーネスやバッテリ272などの耐熱性又は耐水性の低い部品に対する熱害や水濡れによる故障などを防止できる。
また、5エンジンからの排気ガスが排気ガス浄化装置(DPF)52内をエンジン5の出力軸に沿って流れるよう、DPF52の排気ガス出口管162及び排気ガス入口管161それぞれを前後に振り分けて配置している。DPF52の前側に配置した排気ガス出口管162に排気管(第1排気管)227の排気入口を連結させている。そして、後方に向かって、排気管(第1排気管)227をエンジン5上方でDPF52と並設させるとともに、DPF52及び排気管(第1排気管)227を遮熱板250で覆っている。DPF52及び排気管(第1排気管)227を遮熱板250で覆う構成とすることで、エンジンルームを覆うボンネット6に対して、エンジンルームからの排熱による加温を防止できる。
図22に示すように、本実施形態のトラクタ1は、キャビン7の空気調和機364に供給する冷媒を圧縮する空調用コンプレッサ211を備えている。空調用コンプレッサ212は、エンジン5の出力軸53の前端側からコンプレッサ用Vベルト72cを介して動力伝達され、エンジン5により駆動される。空調用コンプレッサ211は、エンジン5の前方右側で、冷却水ポンプ71よりも高い位置に配置されている。空調用コンプレッサ211は、燃料供給ポンプ64前方に接続されている延長ブラケット64aに一端が接続されたコンプレッサ固定ブラケット212上に載置されている。
コンプレッサ固定ブラケット212は、L字状に屈曲させた形状を備えており、その上面に空調用コンプレッサ211を固定配置させる。コンプレッサ固定ブラケット212は、その下側一端を延長ブラケット64aに連結させるとともに、その上側他端を出口側第1ブラケット181の基端部181aにおける基端側部品連結部181bに連結させて、エンジン5に支持されている。また、エンジン5前方左側には、コンプレッサ用Vベルト72cを引張するプーリ213を配置している。コンプレッサ用Vベルト72cが巻回されるプーリ213は、サーモスタットケース71に連結されてエンジン5前方に張り出した位置調整ブラケット214の前縁で、位置調整可能に固定されている。
図23〜図31を参照しながら、上記作業車両に搭載されるコモンレール式のディーゼルエンジン5の概略構造について説明する。なお、以下の説明では、出力軸53に沿う両側部(出力軸53を挟んだ両側部)を左右、冷却ファン59配置側を前側、フライホイル61配置側を後側、排気マニホールド57配置側を左側、吸気マニホールド56配置側を右側と称し、これらを便宜的に、ディーゼルエンジン5における四方及び上下の位置関係の基準としている。
図23〜図29に示すように、トラクタ等の作業車両に搭載される原動機としてのディーゼルエンジン5は、連続再生式の排気ガス浄化装置(DPF)52を備えている。排気ガス浄化装置52によって、ディーゼルエンジン5から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)が除去されると共に、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減される。
ディーゼルエンジン5は、出力軸53(クランク軸)とピストン(図示省略)とを内蔵するシリンダブロック54を備える。シリンダブロック54上にシリンダヘッド55を搭載している。シリンダヘッド55の右側面に吸気マニホールド56を配置する。シリンダヘッド55の左側面に排気マニホールド57を配置する。すなわち、ディーゼルエンジン5において出力軸53に沿う両側面に、吸気マニホールド56と排気マニホールド57とを振り分けて配置する。シリンダヘッド55の上面にヘッドカバー58を配置する。ディーゼルエンジン5において出力軸53と交差する一側面、具体的にはシリンダブロック54の前面に、冷却ファン59を設ける。出力軸53の前端側から冷却ファン用Vベルト72aを介して、冷却ファン59に回転動力を伝達する。
シリンダブロック54の後面にフライホイルハウジング60を設ける。フライホイルハウジング60内にフライホイル61を配置する。出力軸53の後端側にフライホイル61を軸支する。作業車両の作動部に出力軸53を介してディーゼルエンジン5の動力を取り出すように構成している。また、シリンダブロック54の下面にはオイルパン62を配置する。オイルパン62内の潤滑油は、シリンダブロック54の右側面に配置されたオイルフィルタ63を介して、ディーゼルエンジン5の各潤滑部に供給される。また、オイルフィルタ63は、オイルフィルタ支持部材88を介してシリンダブロック54の右側面に取り付けられている。
シリンダブロック54の右側面のうちオイルフィルタ63の上方(吸気マニホールド56の下方)には、燃料を供給するための燃料供給ポンプ64を取付ける。電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ付きの4気筒分のインジェクタ65をディーゼルエンジン5に設ける。各インジェクタ65に、燃料供給ポンプ64及び円筒状のコモンレール66及び燃料フィルタ67を介して、作業車両に搭載される燃料タンク11(図1〜図3参照)を接続する。シリンダブロック54の右側面であって、コモンレール66とオイルフィルタ63で上下に挟まれる位置に、オイルクーラ68を配置している。
燃料タンク11の燃料が燃料フィルタ67を介して燃料供給ポンプ64からコモンレール66に圧送され、高圧の燃料がコモンレール66に蓄えられる。各インジェクタ65の燃料噴射バルブをそれぞれ開閉制御することによって、コモンレール66内の高圧の燃料が各インジェクタ65からディーゼルエンジン5の各気筒に噴射される。なお、フライホイルハウジング60にエンジン始動用スタータ69を設けている。エンジン始動用スタータ69のピニオンギヤはフライホイル61のリングギヤに噛み合っている。ディーゼルエンジン5を始動させる際は、スタータ69の回転力にてフライホイル61のリングギヤを回転させることによって、出力軸53が回転開始する(いわゆるクランキングが実行される)。
シリンダヘッド55の前面側(冷却ファン59側)には、冷却水潤滑用の冷却水ポンプ71が冷却ファン59のファン軸と同軸状に配置されている。冷却水ポンプ71は、エンジン出力軸53の回転にて冷却ファン59と共に駆動するように構成されている。作業車両に搭載されたラジエータ235(図4及び図13参照)内の冷却水が、冷却水ポンプ71の上部に設けられたサーモスタットケース70を介して、冷却水ポンプ71に供給される。そして、冷却水ポンプ71の駆動にて、冷却水がシリンダヘッド55及びシリンダブロック56に形成された水冷ジャケット(図示省略)に供給され、ディーゼルエンジン5を冷却する。ディーゼルエンジン5の冷却に寄与した冷却水はラジエータ235に戻される。また、位置関係上、冷却水ポンプ71は冷却ファン59に対峙していて、冷却ファン59からの冷却風が冷却水ポンプ71に当たることになる。
ディーゼルエンジン5の左側、具体的には冷却水ポンプ71の左側方に、ディーゼルエンジン5の動力にて発電する発電機としてのオルタネータ73が設けられている。出力軸3の前端側から冷却ファン用Vベルト72aを介して、冷却ファン59と冷却水ポンプ71とに回転動力を伝達する。また、出力軸53の前端側からオルタネータ用Vベルト72bを介して、オルタネータ73に回転動力を伝達する。作業車両に搭載されるラジエータ235(図4及び26参照)内の冷却水が、冷却水ポンプ71の駆動によって、シリンダブロック54及びシリンダヘッド55に供給され、ディーゼルエンジン5を冷却する。
シリンダブロック54の左右側面には機関脚取付け部74をそれぞれ設けている。各機関脚取付け部74には、防振ゴムを有する前部機関脚体(エンジンマウント)238(図1及び図2参照)をそれぞれボルト締結可能である。実施形態では、作業車両における左右一対のエンジンフレーム14(図1〜図3参照)にシリンダブロック54を挟持させるよう、シリンダブロック54側の機関脚取付け部74を各エンジンフレーム14に機関脚体238を介してボルト締結する。これにより、作業車両の両エンジンフレーム14がディーゼルエンジン5前側を支持する。
吸気マニホールド56の右側面入口部に、新気(外部空気)が供給される吸気連絡管76を連結させており、吸気連絡管76の吸気入口側(上流側)に、吸気スロットル部材77を設けている。また、吸気マニホールド56の上面入口部に、EGRバルブ部材79を介して、ディーゼルエンジン5の排気ガスの一部(EGRガス)が供給される再循環排気ガス管78を連結させている。そして、吸気マニホールド56は、吸気連絡管76の吸気出口側(下流側)及びEGRバルブ部材79との連結部分(後方部分)をEGR装置(排気ガス再循環装置)75の本体ケースとして構成している。すなわち、吸気マニホールド56の吸気取込側がEGR本体ケースを構成している。
EGR装置(排気ガス再循環装置)75は、主としてディーゼルエンジン5の右側、具体的にはシリンダヘッド55の右側方に位置しており、ディーゼルエンジン5の排気ガスの一部(EGRガス)と新気とを混合させて吸気マニホールド56に供給する。装置(排気ガス再循環装置)75は、吸気マニホールド56の一部で構成したEGR本体ケースと、吸気マニホールド56と連通する吸気連絡管76と、吸気連絡管76に設けた吸気スロットル部材77と、排気マニホールド57にEGRクーラ80を介して接続される再循環排気ガス管78と、再循環排気ガス管80に吸気マニホールド56を連通させるEGRバルブ部材79とを備えている。
吸気マニホールド56の吸気取込側には、吸気連絡管76を介して吸気スロットル部材77を連結している。また、吸気マニホールド56の吸気取込側には、EGRバルブ部材79を介して再循環排気ガス管78の出口側も接続している。再循環排気ガス管78の入口側は、EGRクーラ80を介して排気マニホールド57に接続している。EGRバルブ部材79内にあるEGR弁の開度を調節することによって、吸気マニホールド56の吸気取込側へのEGRガスの供給量が調節される。
上記の構成において、吸気連絡管76及び吸気スロットル部材77を介して吸気マニホールド56の吸気取込側に新気を供給する一方、排気マニホールド57から吸気マニホールド56の吸気取込側にEGRガスを供給する。外部からの新気と排気マニホールド57からのEGRガスとが吸気マニホールド56の吸気取込側で混合される。ディーゼルエンジン5から排気マニホールド57に排出された排気ガスの一部を吸気マニホールド56からディーゼルエンジン5に還流することによって、高負荷運転時の最高燃焼温度が低下し、ディーゼルエンジン5からのNOx(窒素酸化物)の排出量が低減する。
シリンダヘッド5の左側方で排気マニホールド57の上方には、ターボ過給機81を配置している。ターボ過給機81は、タービンホイル内蔵のタービンケース82と、ブロアホイル内蔵のコンプレッサケース83とを備えている。排気マニホールド57の出口部にタービンケース81の排気取込側を連結する。タービンケース81の排気排出側は、排気連絡管84を介して、排気ガス浄化装置52の排気取込側と連結している。すなわち、ディーゼルエンジン5の各気筒から排気マニホールド7に排出した排気ガスは、ターボ過給機81及び排気ガス浄化装置52等を経由して外部に放出される。
コンプレッサケース83の吸気取込側は、給気管222(図4及び図13参照)を介してエアクリーナ221(図4及び図13参照)の吸気排出側に接続される。コンプレッサケース83の吸気排出側は、上流側中継管223(図4及び図13参照)を介してインタークーラ224(図4及び図13参照)の吸気取込側に接続される。また、インタークーラ224(図4及び図15参照)の吸気排出側は、下流側中継管225(図4及び図15参照)を介して吸気スロットル部材77に接続している。すなわち、エアクリーナ221によって除塵された新気(外部空気)は、コンプレッサケース62からインタークーラ224を介してEGR装置75に送られた後、ディーゼルエンジン5の各気筒に供給される。
ディーゼルエンジン5の上面側のうち排気マニホールド57及びターボ過給機81の上方、すなわちシリンダヘッド55の左側方で排気マニホールド57及びターボ過給機81の上方には、排気ガス浄化装置52を配置している。この場合、排気ガス浄化装置52の長手方向をディーゼルエンジン5の出力軸53と平行に延びるように、排気ガス浄化装置52の姿勢を設定している。
次に、従前の図と図30〜図37とを参照しながら、排気ガス浄化装置(DPF)52の構造について説明する。DPF52は、排気ガス中の粒子状物質(PM)等を捕集するためのものである。ディーゼルエンジン5の出力軸(クランク軸)53と平行に、前後方向に長く延びた略円筒形状にDPF52を構成している。ディーゼルエンジン5のシリンダヘッド55上方にDPF52を配置する。DPF52の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガス入口管161(排気ガス取入れ側)と、排気ガス出口管162(排気ガス排出側)とを、ディーゼルエンジン5の前後に振分けて設ける。
DPF52は、例えば白金等のディーゼル酸化触媒163とハニカム構造のスートフィルタ164を直列に並べて内部に収容した構造を有している。上記の構成において、ディーゼル酸化触媒163の酸化作用によって生成された二酸化窒素(NO2)がスートフィルタ164内に取り込まれる。ディーゼルエンジン5の排気ガス中に含まれる粒子状物質はスートフィルタ164に捕集され、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。従って、ディーゼルエンジン5の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、エンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。ディーゼル酸化触媒39及びスートフィルタ40は、浄化ハウジング38に収容されるガス浄化フィルタに相当するものである。
DPF52は、排気ガス入口管161を外周面に備えた上流側ケース(第1ケース)165と、排気入口側ケース165と連結する中間ケース(第2ケース)166と、排気出口管162が外周面から挿入される下流側ケース(第3ケース)167とを備える。上流側ケース165と中間ケース166とを直列に並べて連結して、耐熱金属材料製のガス浄化ハウジング168を構成している。このガス浄化ハウジング168に、円筒の内側ケース(図示省略)を介して、ディーゼル酸化触媒163とスートフィルタ164を収容している。また、下流側ケース168は、多数の消音孔が開設された内側ケース(図示省略)を内装するとともに、内側ケースとの間にセラミックファイバー製消音材が充填されることで、消音器を構成している。
上流側ケース165は、排気ガス移動方向上流側となる一方の端部を上流側蓋体169で覆うとともに、排気ガス移動方向下流側となる他方の端部を開口させており、排気ガス移動方向下流側を開口させた円筒形状で構成している。中間ケース166は、両端を開口させた円筒形状で構成している。下流側ケース167は、排気ガス移動方向上流側となる一方の端部を開口させるとともに、排気ガス移動方向下流側となる他方の端部を下流側蓋体174で覆い、排気ガス移動方向上流側を開口させた円筒形状で構成している。また、下流側ケース167の外周面に設けられた排気ガス出口管162には、排気管227(図4及び図21参照)を介してテールパイプ229(図4及び図21参照)を連結し、排気ガス出口管162から排気管227及びテールパイプ229を介して排気ガスを外部に排出する。
上流側ケース165と中間ケース166の連結部分は、一対の厚板状の挟持フランジ170,170にて排気ガス移動方向の両側から挟んで連結している。すなわち、上流側ケース165の下流側開口縁に設けた接合フランジと、中間ケース166の上流側開口縁に設けた接合フランジとを、挟持フランジ170,171で狭持させて、上流側ケース165の下流側と中間ケース166の上流側とを連結し、ガス浄化ハウジング168を構成する。このとき、中央挟持フランジ170,171をボルト締結することにより、上流側ケース165と中間ケース166とが着脱可能に連結される。
上流側ケース165の排気取込側(排気入口側)の外周部に排気ガス入口管161を設けており、排気ガス入口管161の排気取込側は、排気中継路としての排気連絡管84を介して、タービンケース82の排気排出側と連通している。排気連絡管84は、側面視で略L字形状に構成しており、排気取取込側を前方に備えてタービンケース82の排気排出側と連結する一方、排気排出側を上方に備えてDPF52の排気ガス入口管161と連結する。また、排気連絡管84は、外周面側から下側に延設させた連結支持部84aを備えており、連結支持部82aの下端が、排気マニホールド57の左側面に連結している。すなわち、排気連絡管84は、排気マニホールド57及びタービン過給機81それぞれとボルト締結されることで、ディーゼルエンジン5に固定される。
ガス浄化ハウジング168の外周面には、温度センサ186,187(図21及び図22参照)及びセンサ配管188,189(図15参照)と連結させるセンサボス体175を備えている。本実施形態では、上流側ケース165に、酸化触媒163とスートフィルタ164の上流側部分が収容される一方、中間ケース165に、スートフィルタ164の下流側部分が収容されている。上流側ケース165の外周面において、酸化触媒163よりも排気ガス移動方向上流側となる位置に、上流側温度センサ186と連結するセンサボス体175を設けており、酸化触媒163とスートフィルタ164との間となる位置に、下流側温度センサ187及び上流側センサ配管188と連結するセンサボス体175を設けている。また、中間ケース166の外周面において、スートフィルタ164よりも排気ガス移動方向下流側となる位置に、下流側センサ配管189と連結するセンサボス体175を設けている。
次に、図30〜図37を参照しながら、ディーゼルエンジン5に排気ガス浄化装置52を組み付ける構造について説明する。ディーゼルエンジン5には、排気ガス浄化装置52(ガス浄化ハウジング168)を支持固定するハウジング支持体としての入口側ブラケット体176及び出口側ブラケット体177を備えている。入口側ブラケット体176及び出口側ブラケット体177は、ディーゼルエンジン5の出力軸53と交差する方向に幅広に形成されている。入口側ブラケット体176及び出口側ブラケット体177は、ディーゼルエンジン5のシリンダヘッド55に直接、又は、吸気マニホールド56や排気マニホールド57を介して着脱可能に連結している。入口側ブラケット体176及び出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55において出力軸53と交差する前面側及び後面側に振り分けて立設している。入口側ブラケット体176は、シリンダヘッド55の後面側に位置していて、ガス浄化ハウジング168の排気取込側を支持している。出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55の前面側に位置していて、ガス浄化ハウジング168の排気排出側を支持している。
入口側ブラケット体176は、シリンダヘッド55の後面側(フライホイルハウジング60の上方)に位置している。入口側ブラケット体176は、固定ブラケット(第1ブラケット)178の下端側をシリンダヘッド5の後面にボルト締結している。固定ブラケット178の上端側には中継ブラケット179をボルト締結している。中継ブラケット(第2ブラケット)179の中途部には延長ブラケット(第3ブラケット)180の基端側をボルト締結し、延長ブラケット180の先端側は、ボルト及びナットを介してガス浄化ハウジング168の入口側蓋体(上流側蓋体)169に締結している。
出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55の前面側(冷却ファン59側)に位置している。実施形態の出口側ブラケット体177は、出口側第1ブラケット(第4ブラケット)181と出口側第2ブラケット(第5ブラケット)182とに分離構成している。そして、出口側第1ブラケット181は、シリンダヘッド55右側から上方に延設させるとともにシリンダヘッド55上方で左側に屈曲させた略L字状の部材で構成している。一方、出口側第2ブラケット182は、シリンダヘッド55左側から上方に延設させるとともにシリンダヘッド55上方で右側に屈曲させた略L字状の部材で構成している。従って、出口側ブラケット体177は、シリンダヘッド55の前面側で略門形の形状を呈しており、サーモスタットケース70の後方位置でシリンダヘッド55上方を跨ぐように固定されている。
出口側第1ブラケット181の下端面(基端側)を、吸気マニホールド56の上面側にボルト締結し、出口側第1ブラケット181の上端左側面(先端側)を、出口側第2ブラケット182の上端側右側面(先端側)にボルト締結している。出口側第2ブラケット182の下端側右側面(基端側)を、シリンダヘッド55の左側面前部にボルト締結している。出口側第2ブラケット182の上端側(先端側)に、ガス浄化ハウジング168の外周面を受ける上端曲面(U型受圧面)182aを設けており、ガス浄化ハウジング168における挟持フランジ(出口狭持フランジ)172の下部側に形成したブラケット締結部172aにボルト締結している。
上記の説明から明らかなように、実施形態の排気ガス浄化装置52は、ディーゼルエンジン4の上方において、ハウジング支持体である排気連絡管84、入口側ブラケット体176、及び出口側ブラケット体177を介してエンジン1のシリンダヘッド55、吸気マニホールド56及び排気マニホールド57に着脱可能に連結している。また、排気ガス移動方向上流側(排気取込側)にある入口側ブラケット体176及び排気連絡管84を、シリンダヘッド55と排気マニホールド57とに振り分け、排気ガス移動方向下流側(排気排出側)にある出口側ブラケット体177(出口側第1ブラケット181及び出口側第2ブラケット182)を、シリンダヘッド55と吸気マニホールド56とに振り分けることによって、排気ガス浄化装置52を四点支持している。
したがって、エンジン5の構成部品の一つとして排気ガス浄化装置52を高剛性に支持でき、振動等による排気ガス浄化装置52の損傷を防止できる。特に実施形態では、入口側ブラケット体176及び出口側第2ブラケット182の下端側をシリンダヘッド55に締結しているため、エンジン5に対する排気ガス浄化装置52の取付け基準位置を高精度に設定できる。このため、後処理装置であるマフラー等に比べて重量の重い排気ガス浄化装置52であっても、所定の位置に適正に搭載できる。
図32、図34、及び図36に示すように、固定ブラケット178は、DPF1の排気ガス移動方向(ディーゼルエンジン5の出力軸53)と交叉する方向が幅広の板状体に構成されており、再循環排気ガス管78よりも下側部分がシリンダヘッド55とボルト締結されている。すなわち、EGRクーラ80と接続している再循環排気ガス管78は、固定ブラケット178後方を迂回して、吸気スロットル部材77と連結している。また、固定ブラケット178は、再循環排気ガス管78よりも上方部分にボルト穴を備えた前方部品連結部(第1部品連結部)178aを備えており、当該吊下げ金具連結部178aに吊下げ金具86が着脱自在にボルト締結される。
更に、固定ブラケット178は、上端部分の上面に、ボルト穴を有したブラケット連結部178bを備えており、当該ブラケット連結部178bに中継ブラケット179が着脱自在にボルト締結される。また、固定ブラケット178は、上端部分の右側面に、ボルト穴を有した側方部品連結部(第2部品連結部)178cを備えており、当該側方部品連結部178cに、例えば、排気管227(図20及び図21参照)などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(排気管固定ブラケット)210(図20及び図21参照)がボルト締結される。
図32、図34、及び図36に示すように、中継ブラケット179は、下端部分の底面を固定ブラケット178の上端部分上面のブラケット連結部178bに当接させて、固定ブラケット178にボルト締結される。中継ブラケット179は、固定ブラケット178のブラケット連結部178bに固定される下端部分から上方に延設させた基体プレート179aに、当該プレート179aに対して後方に立設させた連結用プレート179bを溶接させた構成を有している。そして、中継ブラケット179の前記連結用プレート179bには、前後方向に長い前後位置調節用ボルト穴を開設している。そして、当該位置調節用ボルト穴を右方から遊嵌状に貫通させた取付けボルトを延長ブラケット180の右側面に螺着させて、中継ブラケット179を延長ブラケット180に連結固定させる。延長ブラケット180は、中継ブラケット179との連結部分をガス浄化ハウジング168の上流側蓋体169との固着部分から後方に立設させた構成を有している。
中継ブラケット179の前後位置調節用ボルト穴内で取付けボルトが前後動する寸法だけ、固定ブラケット178に固定される中継ブラケット179に対して、ガス浄化ハウジング168に固定される延長ブラケット180の前後方向の取付け位置を調節できる。従って、中継ブラケット179の前後位置調節用ボルト穴で取付けボルトを位置調整することで、シリンダヘッド55に固定された固定ブラケット178に対して、DPF52の前後方向(排気ガス移動方向)の取付け位置を調整できる。
また、ガス浄化ハウジング168の入口側は、上述したように、排気ガス入口管161と連通させる排気連絡管84の連結支持部84aの下端側を排気マニホールド57にボルト締結している。すなわち、排気連通管84は、入口側ブラケット体176とともにガス浄化ハウジング168の入口側を支持するハウジング支持体として構成している。従って、DPF52の排気ガス入口側は、シリンダヘッド55後面及び入口側蓋体169それぞれと連結した入口側ブラケット体176と、排気マニホールド57左側面及び排気ガス入口管161それぞれと連結した排気連絡管84とにより、高剛性に支持される。
さらに、図30、図32、図34、及び図36に示すように、排気連絡管84の上向き取付け面84bに埋込みボルト85を設ける。排気ガス入口管161の入口フランジ体161aには、前後方向に長い前後位置調節用ボルト穴を形成している。埋込みボルト85を下方から排気ガス入口管161の入口フランジ体161aを遊嵌状に貫通させ、埋込みボルト85の上端側にナット85aを螺着させ、ハウジング支持体85に排気ガス入口管161を着脱可能に締結する。入口フランジ体161aにおける前後方向に長いボルト穴内で埋込みボルト85が前後動する寸法だけ、排気連絡管84に対してDPF52の前後方向の取付け位置を調節できる。
すなわち、中継ブラケット179及びの入口フランジ体161aそれぞれの前後位置調節用ボルト穴に対して、埋込みボルト85と取付けボルトを前後動させることによって、排気連絡管84と入口側ブラケット体176に対して、ガス浄化ハウジング168後部の前後方向の取付け位置を調節できる。したがって、ディーゼルエンジン5に対してDPF52組付け位置を簡単に決定できるとともに、ディーゼルエンジン5に固定させるDPF52の組付け精度を向上できる。また、排気連絡管84と入口側ブラケット体176と出口側ブラケット体177の連結位置誤差等によって、ガス浄化ハウジング168に変形力が作用するのを防止できる。すなわち、ディーゼルエンジン5上部の揺振しやすい位置にDPF52を設ける構造であっても、DPF52機械振動等を容易に低減できる。
排気連絡管84は、排気マニホールド57に締結させた連結支持部84aに対して上方に延設させた排ガス排出側(排気出口側)を、鉛直方向(上下方向)に対して右側(シリンダヘッド55側)に傾斜させている。すなわち、排気連絡管84を背面視したとき、排気連絡管84は、連結支持部84aによる排気マニホールド57との連結部分の直上から右側に、上向き取付け面84bを位置させている。そして、排気連絡管84は、上向き取付け面84bを右縁を下側となるように水平面から傾斜させた面としており、埋め込みボルト85の上端を右側に傾斜させるように設置されている。したがって、排気ガス入口管161の入口フランジ体161aを排気連絡管84の上向き取付け面84bに取り付ける際、排気連絡管84に対してDPF52を右側上方から左側下方に下降させる。
このとき、固定ブラケット178に螺着させる取付けボルトを中継ブラケット179に遊嵌させることで、傾斜した排気連絡管84の埋込みボルト85に排気ガス入口管161の入口フランジ体のボルト穴を嵌合できる。また、図36に示すように、固定ブラケット178上面におけるブラケット連結部178bの幅Dxを中継ブラケット179の下端の幅Dyよりも広くしている。すなわち、排気連絡管に84に排気ガス入口管161を連結させるべく、DPF52を斜め下方に下降させてディーゼルエンジン5に載置させる際、固定ブラケット178上面のブラケット連結部178bで確実に中継ブラケット179下端全面を受けることができる。
図33、図35、及び図37に示すように、出口側第1ブラケット181の基端部181aには、吸気マニホールド56上面に設けたボルト穴に螺着させる取付けボルトを挿入させるべく、上下に貫通した複数の貫通穴を設けている。出口側第1ブラケット181の基端部181aには、例えば、空調用コンプレッサ211(図16及び図22参照)などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(コンプレッサ固定ブラケット)212(図16及び図22参照)を固定させる基端側部品連結部(第3部品連結部)181bを備えている。基端側部品連結部181bには、前記取付けボルトを挿入させる貫通穴の一部と、部品固定用ブラケット212を締結させる取付けボルトを螺着させるボルト穴とを設けている。すなわち、部品固定用ブラケット212は、取付けボルトによって出口側第1ブラケット181に締結すると同時に、基端側部品連結部181bの貫通穴を介して螺着する取付けボルトにより、出口側第1ブラケット181と共に吸気マニホールド56に締結する。
出口側第1ブラケット181の屈曲部(中途部)181c上面には、例えば、空調用温水パイプ203,204(図18、図21、及び図22参照)などの外部部品を固定するための部品固定用ブラケット(温水パイプ固定ブラケット)208(図18、図21、及び図22参照)を固定させる中途部品連結部(第4部品連結部)181dを備えている。本実施形態では、出口側第1ブラケット181の屈曲部181cに平坦な段差を設けており、当該段差上面に、部品固定用ブラケット208を締結する取付けボルトを螺着させるべく、ボルト穴を有した中途部品連結部181dを備える。
図33、図35、及び図37に示すように、出口側第2ブラケット182の基端部182bには、吸気マニホールド56左側面に設けたボルト穴に螺着させる取付けボルトを挿入させるべく、左右に貫通させた複数の貫通穴を設けている。出口側第2ブラケット182の屈曲部(中途部)182cには、後面側にボルト穴を備えた後方部品連結部(第5部品連結部)182dを備えており、当該後方部品連結部182dに吊下げ金具87が着脱自在にボルト締結される。なお、作業車両にディーゼルエンジン5を搭載させた後、吊下げ金具87を取り外すことによって、後方部品連結部182dに、例えば、後述の上流側中継管223や遮蔽板206(図4及び図13参照)を支持させるための部品固定具(遮蔽板固定ブラケット)207(図13及び図22参照)がボルト締結される。出口側第2ブラケット182は、屈曲部182cから右側先端に向かう上端部分に、ガス浄化ハウジング168の外形に対応させた上端曲面(U型受圧面)182aを有している。
図37に示すように、出口側第2ブラケット182の上端側中央部には、係止軸体(凸体)としての埋込みボルト183を設けている。埋込みボルト183は、出口側第2ブラケット182の上端側中央部の前面から前向きに突出させる。ガス浄化ハウジング168における出口挟持フランジ172のブラケット締結部172aには、係止軸体(凹体)として、下向き開口状のボルト挿入用ノッチ184を形成している。すなわち、出口挟持フランジ172のブラケット締結部172aに形成される埋込みボルト183挿入用のボルト穴を上向き開放状に切り欠いて、ボルト挿入用ノッチ228を形成している。
出口挟持フランジ172におけるブラケット締結部172aのボルト挿入用ノッチ184に、出口側第2ブラケット182の埋込みボルト183を係止可能に構成している。ガス浄化ハウジング168の排気ガス移動方向下流側(排気排出側)を出口側第2ブラケット182の上端側に載せて、ボルト挿入用ノッチ184を埋込みボルト183に係合させることによって、出口側第2ブラケット182にガス浄化ハウジング168の排気ガス移動方向下流側(排気排出側)を支持させている。
埋込みボルト183とボルト挿入用ノッチ184との係合によって、ガス浄化ハウジング168の排気排出側は所定位置に保持される。すなわち、ガス浄化ハウジング168に延長ブラケット180を介して取り付けた中継ブラケット179を固定ブラケット178の上端側に載せると共に、排気ガス入口管161の排気取込側を排気連絡管84の上端側(排気排出側)に載せた上で、ガス浄化ハウジング168側のボルト挿入用ノッチ184を出口側第2ブラケット182側の埋込みボルト183に係合させることによって、入口側ブラケット体176及び出口側ブラケット体177上にガス浄化ハウジング168を仮止めする。
このため、ディーゼルエンジン5に対する排気ガス浄化装置52の搭載位置を簡単に位置決めでき、組付け作業をする作業者は、仮止め状態において排気ガス浄化装置52から両手を離せることになる。従って、排気ガス処理装置52の全重量を支えながら、ボルト締結等の組付け作業や取外し作業をする必要がなくなり、排気ガス浄化装置52の載せ降ろし作業時や、排気ガス浄化装置52の組立分解作業時の手間を大幅に軽減できる。
その後、ボルト挿入用ノッチ184を埋込みボルト183に係合させた状態で、埋込みボルト227に係止ナット185をねじ込んで(増し締めして)、ガス浄化ハウジング168における出口挟持フランジ172のブラケット締結部172aを出口側第2ブラケット182の上端側中央部に連結する。なお、実施形態とは逆に、ガス浄化ハウジング168側に埋込みボルト183を設け、出口側第2ブラケット182側にボルト挿入用ノッチ184を設けてもよい。
出口側ブラケット体177又はガス浄化ハウジング168のいずれか一方に、係止体としての凸体(埋込みボルト183)又は凹体(ボルト挿入用ノッチ184)を設けると共に、出口側ブラケット体177又はガス浄化ハウジング168の他方に、前記係止体としての凹体(ボルト挿入用ノッチ184)又は凸体(埋込みボルト183)を設けたものであるから、埋込みボルト183(凸体)とボルト挿入用ノッチ184(凹体)の係合によって、ガス浄化ハウジング168の組付け位置を簡単に決定できる。したがって、DPF52の全重量を支えながらボルト締結などの組付け作業をする必要がなく、DPF52から作業者が両手を離して組付け作業でき、DPF52の組立分解作業性を向上できる。
更に、ボルト挿入用ノッチ184の開口方向は、DPF52における排気ガス入口管161の入口フランジ体161aを排気連絡管84の上向き取付け面84bに載置させる方向に切り欠いている。すなわち、ボルト挿入用ノッチ184は、排気連絡管84の上向き取付け面84bに設けた埋込みボルト85の傾斜方向と平行な方向に開口されている。したがって、排気連絡管84、入口側ブラケット体176、及び出口側ブラケット体177にDPF52を固定支持させる際、排気ガス入口管161における入口フランジ体161aの位置調節用ボルト穴を埋込みボルト85に挿入させながら、ボルト挿入用ノッチ184を埋込みボルト183に係合させることが容易となり、DPF52の組立分解作業性を更に向上できる。
また、ボルト挿入用ノッチ184を埋込みボルト183に係合させた状態で、DPF52を仮止め支持させたとき、排気連絡管84の上向き取付け面84bと固定ブラケット178のブラケット連結部178bと出口側第2ブラケット182のU型受圧面182aのそれぞれに、排気ガス入口管61と中継ブラケット179とガス浄化ハウジング168外周面のそれぞれが載置される。従って、仮止め状態のDPF52は、排気連絡管84、固定ブラケット178及び出口側第2ブラケット182により安定して仮止め支持されるため、その状態でDPF1から作業者が両手を離すことができる。
更に、DPF52の排気ガス入口側において、排気連絡管84の上向き取付け面84bと中継ブラケット179の連結用プレート179bとで、V形受圧面を形成する。そして、DPF52の排気ガス出口側は、出口側第2ブラケット182のU型受圧面182aに上載される。従って、排気連絡管84、入口側ブラケット体176、及び出口側ブラケット体177にDPF52を仮止め支持したとき、DPF52の排気ガス入口側及び排気ガス出口側それぞれが、V形受圧面とU型重圧面により、エンジン5の出力軸53と交叉する方向に移動することが規制され、DPF52が転落するのを防止できる。
また、図28〜図32に示す如く、入口側ブラケット体176と出口側ブラケット体177に、吊下げワイヤ等を掛けるための吊下げ金具86,87を連結させている。したがって、作業車両にディーゼルエンジン5を積み下ろす場合、吊下げ金具86,87それぞれの吊下げ用貫通穴に挿入させた吊下げワイヤを、チェンブロックのフック等に係止して、ディーゼルエンジン5を吊上げて、ディーゼルエンジン5の着脱作業を実行できる。
また、吊下げ金具86は、ディーゼルエンジン5の右後方に位置する入口側ブラケット体176の固定ブラケット178に連結している一方、吊下げ金具87は、ディーゼルエンジン5の左前方に位置する出口側ブラケット体177の出口側第2ブラケット182に連結している。すなわち、吊下げ金具86,87を、ディーゼルエンジン5に対して対角方向に配置することとなるため、ディーゼルエンジン5を安定した姿勢で、チェンブロック等により吊り下げることができる。更に、吊下げ金具86,87を着脱可能とすることにより、作業車両にディーゼルエンジン5を搭載したときに吊下げ金具86,87を取り外すことができ、作業車両のエンジンルーム内におけるディーゼルエンジン5の収納容量を小さくすることができる。
なお、本願発明における各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。