JP6377361B2 - 多層反射膜付き基板及びその製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents

多層反射膜付き基板及びその製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法 Download PDF

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本発明は、半導体装置製造等に使用される露光用マスクを製造するための原版である多層反射膜付き基板及びその製造方法、反射型マスクブランクの製造方法、反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法に関するものである。
近年における超LSIデバイスの高密度化、高精度化の更なる要求に伴い、極紫外(ExtremeUltraViolet:以下、「EUV」と略称する。)光を用いた露光技術であるEUVリソグラフィが有望視されている。ここで、EUV光とは、軟X線領域又は真空紫外線領域の波長帯の光を指し、具体的には波長が0.2〜100nm程度の光のことである。
このような反射型マスクは、基板上に露光光を反射する多層反射膜が形成され、該多層反射膜上に露光光を吸収する吸収体膜がパターン状に形成されたものである。露光機(パターン転写装置)に搭載された反射型マスクに入射した光は、吸収体膜のある部分では吸収され、吸収体膜のない部分では多層反射膜により反射された光像が反射光学系を通して半導体基板上に転写される。
このような反射型マスクを用いて半導体デバイスの高密度化、高精度化を達成するためには、反射型マスクにおける反射領域(多層反射膜の表面)が露光光であるEUV光に対して高反射率を備えることが必要とされる。
上記多層反射膜は、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層膜であり、一般的には、重元素又はその化合物の薄膜と、軽元素又はその化合物の薄膜とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、Mo膜とSi膜を交互に40周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。
このEUVリソグラフィにおいて用いられる反射型マスクとしては、たとえば下記特許文献1に記載された露光用反射型マスクが提案されている。
すなわち、特許文献1には、Si、ガラス等の基板と、該基板上に形成され、MoとSiが交互に積層された多層膜からなる反射層と、該反射層上に形成されたRu等の金属膜からなるバッファ層(又は、キャッピング層とも言う。)と、所定のパターン形状をもってバッファ層上に形成された軟X線を吸収し得るTaN等の材料からなる吸収体パターンとを有する反射型フォトマスクが開示されている。
特開2002−122981号公報
ところで、半導体装置の製造において、通常、上記反射型マスクは繰返し使用されるので、それに伴ってマスク洗浄も繰返し行われることになるため、反射型マスクには十分な洗浄耐性を備えることも要求される。
しかしながら、本発明者の検討によると、上記特許文献1に開示されているような従来構成の反射型マスクにおいては、通常のRCA洗浄によるマスク洗浄を複数回行うと、露出している反射領域の多層膜反射層の表面のRu膜が膜剥がれを生じることが判明した。
このような膜剥がれが生じると、新たな発塵の原因となったり、パターン形状そのものにも影響を及ぼすため、半導体基板上へのパターン転写時に欠陥を生じる恐れがあり、重大な問題である。
そこで本発明の目的は、第1に、高反射率が得られ、且つマスクの洗浄耐性に優れた高品質の多層反射膜付き基板及びその製造方法を提供することであり、第2に、このような多層反射膜付き基板を用いた反射型マスクブランクの製造方法、及び反射型マスクの製造方法、並びに半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明者は、上述のような従来構成の反射型マスクにおける複数回洗浄による膜剥がれが生じる原因について検討した。
上記従来構成の反射型マスクにおいては、基板上に形成されるMoとSiが交互に積層された多層膜からなる反射層(多層反射膜)の最上層は通常はSi膜である。Mo膜を最上層とした場合、表面が極めて酸化され易く、反射率が著しく低下するため、その点ではSi表面に生成する自然酸化膜の安定性が高く、反射率の低下も抑制できることからSi膜を最上層とする方が望ましい。
ところが、Siは一般に非常に拡散し易い材料であるため、上記反射層の最上層であるSi膜の上にマスク製造工程において反射層を保護する保護膜層である例えばRu膜を成膜すると、時間の経過とともに、SiがRu膜内へ拡散していき、Si最上層とRu膜との間でRuシリサイド(RuSi)からなる拡散層が形成される。本発明者は、上記の膜剥がれは、Ruシリサイドからなる拡散層とRu膜との界面で起こっていることを突き止めた。従って、このようなRuシリサイドの形成によって、上記多層反射膜の表面に保護膜として形成したRu膜の密着性が損われ、それが原因で、マスク洗浄時の膜剥がれが生じるのではないかと推察した。
ただし、上記のとおりSiは非常に拡散し易いため、Ruシリサイドの形成を単純に抑制することは困難である。
また、上記Si最上層を設けずに、つまり多層反射膜の最上層をMo膜とし、その上にRu膜を形成する方法も考えられるが、この場合、上述のような拡散層の形成によるRu膜の膜剥がれは起こらないが、多層反射膜の最上層がMo膜であるため、上記のとおり多層反射膜の反射率が著しく低下してしまうので、反射型マスクに要求される反射率が得られなくなるという問題が生じる。
本発明者は、上記知見を踏まえ、上記課題を解決するためさらに鋭意研究した結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有することを特徴とする多層反射膜付き基板。
上記構成1にあるように、基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜と、該多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有する多層反射膜付き基板とすることにより、高反射率が得られ、且つマスクの洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板が得られる。
詳しく説明すると、多層反射膜の上に上記反射率低減抑制層(例えばSi層)を有するため、多層反射膜の最上層が例えばMo膜であっても反射率の低減を抑えることができ、その結果、高反射率が得られる。
また、上記エッチングストッパー層を有することにより、例えばマスク製造において、吸収体膜のパターニング時のエッチング環境から多層反射膜を保護することができる。そして、上記エッチングストッパー層と上記反射率低減抑制層との間に上記ブロッキング層(例えばMo層)を設けることで、反射率低減抑制層を構成する例えばSiがエッチングストッパー層へ拡散していくのを抑えることができ、たとえ反射率低減抑制層とブロッキング層との間で相互拡散層が形成されたとしても、例えばRuからなるエッチングストッパー層の密着性に影響を及ぼさないため、マスク洗浄時の膜剥がれは生じない。
すなわち、多層反射膜の上に、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有することにより、高反射率が得られ、しかも、作製された反射型マスクの繰返し使用に伴う繰返し洗浄を行っても、反射領域に露出する保護膜の膜剥がれは起こらず、洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板を得ることができる。
(構成2)
前記エッチングストッパー層は、ルテニウム(Ru)又はその合金からなることを特徴とする構成1に記載の多層反射膜付き基板。
上記構成2にあるように、マスク製造工程において多層反射膜を保護するためのエッチングストッパー層の材料としては、ルテニウム(Ru)又はその合金であることが好ましい。
(構成3)
前記反射率低減抑制層は、ケイ素(Si)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素から選ばれる材料からなり、前記ブロッキング層は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選ばれる一種又は二種以上の材料からなることを特徴とする構成1又は2に記載の多層反射膜付き基板。
上記構成3にあるように、反射率低減抑制層の材料としては、ケイ素(Si)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素から選ばれる材料であることが好ましく、また、ブロッキング層の材料としては、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選ばれる一種又は二種以上の材料であることが好ましい。
(構成4)
前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はモリブデン(Mo)からなるときに、前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をtsi(nm)、前記ブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚をtmo(nm)とするとき、下記式(1)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする構成3に記載の多層反射膜付き基板。
0.15×tmo −0.70×tmo+2.36≦tsi≦−0.21×tmo −0.58×tmo+4.81 ・・・式(1)
(但し、0<tmo≦2.4)
上記構成4にあるように、前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はモリブデン(Mo)からなるときに、反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚とブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚が、上記式(1)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、多層反射膜のEUV光に対する反射率が63%以上の高反射率が得られる。
(構成5)
前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はチタン(Ti)からなるときに、前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をtsi(nm)、前記ブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚をtti(nm)とするとき、下記式(2)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする構成3に記載の多層反射膜付き基板。
0.22×tti −0.73×tti+2.38≦tsi≦−0.24×tti −0.57×tti+4.78 ・・・式(2)
(但し、0<tti≦2.3)
上記構成5にあるように、前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はチタン(Ti)からなるときに、反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚とブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚が、上記式(2)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、多層反射膜のEUV光に対する反射率が63%以上の高反射率が得られる。
(構成6)
前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はタンタル(Ta)からなるときに、前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をtsi(nm)、前記ブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚をtta(nm)とするとき、下記式(3)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする構成3に記載の多層反射膜付き基板。
0.18×tta −0.30×tta+2.37≦tsi≦−0.23×tta −0.69×tta+4.80 ・・・式(3)
(但し、0<tta≦1.9)
上記構成6にあるように、前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はタンタル(Ta)からなるときに、反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚とブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚が、上記式(3)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、多層反射膜のEUV光に対する反射率が63%以上の高反射率が得られる。
(構成7)
前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はクロム(Cr)からなるときに、前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をtsi(nm)、前記ブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚をtCr(nm)とするとき、下記式(4)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする構成3に記載の多層反射膜付き基板。
0.19×tcr −0.30×tcr+2.38≦tsi≦−0.23×tcr −0.67×tcr+4.81 ・・・式(4)
(但し、0<tcr≦1.9)
上記構成7にあるように、前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はクロム(Cr)からなるときに、反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚とブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚が、上記式(4)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、多層反射膜のEUV光に対する反射率が63%以上の高反射率が得られる。
(構成8)
前記保護膜は、前記反射率低減抑制層と前記ブロッキング層との間で相互拡散層が形成されていることを特徴とする構成1乃至7のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
上記構成8にあるように、前記保護膜は、反射率低減抑制層とブロッキング層との間で相互拡散層が形成されていてもよい。例えば、Siからなる反射率低減抑制層とMoやTi、Ta、Crからなるブロッキング層との間では、成膜後にMoシリサイド(MoSi)、Tiシリサイド(TiSi)、Taシリサイド(TaSi)、Crシリサイド(CrSi)からなる金属シリサイド材料の相互拡散層が形成されやすい。また、上記多層反射膜付き基板を用いた反射型マスクブランクの製造段階、該反射型マスクブランクを用いた反射型マスクの製造段階における例えばベーク処理によってさらに拡散層の形成が促進される。最終的には、反射率低減抑制層の多層反射膜との界面近傍領域と、ブロッキング層のエッチングストッパー層との界面近傍領域とを除く領域全体に拡散層が形成されたり、あるいは反射率低減抑制層とブロッキング層のほぼ全領域に拡散層が形成される場合もある。
従って、本発明では、成膜直後は、多層反射膜の上に、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とがこの順に成膜されているが、時間の経過とともに、上記のような反射率低減抑制層とブロッキング層との間で相互拡散層が形成されている状態の構成も、本発明の多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及び反射型マスクに含まれるものとする。
上記構成8にあるように、保護膜として、反射率低減抑制層とブロッキング層との間に相互拡散層が形成されていることにより、EUV光に対する反射率の経時変化を抑制することができる。
(構成9)
基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板の製造方法であって、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜を形成する工程と、前記多層反射膜の上に、該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層して、保護膜を形成する工程とを有することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
上述の構成1のような本発明に係る多層反射膜付き基板の製造は、上記構成9にあるように、基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜を形成する工程と、多層反射膜の上に、該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層して、保護膜を形成する工程とを有する多層反射膜付き基板の製造方法が好適である。
(構成10)
前記多層反射膜及び前記保護膜は、イオンビームスパッタリング法を用いて形成することを特徴とする構成9に記載の多層反射膜付き基板の製造方法。
上記構成10にあるように、多層反射膜及び保護膜の形成には、イオンビームスパッタリング法が好適である。
(構成11)
構成1乃至8のいずれかに記載の多層反射膜付き基板、または、構成9又は10に記載の製造方法により得られる多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、露光光を吸収する吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
上記構成11にあるように、本発明の多層反射膜付き基板を用いて反射型マスクブランクを製造することにより、高反射率を有し、且つ作製された反射型マスクの洗浄耐性にも優れる反射型マスクブランクが得られる。
(構成12)
構成11に記載の製造方法により得られる反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜をパターニングすることを特徴とする反射型マスクの製造方法。
上記構成12にあるように、本発明の反射型マスクブランクを用いて反射型マスクを製造することにより、高反射率で、しかも洗浄耐性に優れた高品質の反射型マスクが得られる。
(構成13)
構成12に記載の製造方法により得られる反射型マスクを用いて半導体基板上にパターン形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
上記構成13にあるように、本発明の反射型マスクを用いたパターン転写により半導体基板上にパターン形成を行って半導体装置を製造することにより、欠陥の少ない高品質の半導体装置を得ることができる。
本発明によれば、高反射率が得られ、しかも、作製された反射型マスクの繰返し使用に伴う繰返し洗浄を行っても、反射領域に露出する保護膜の膜剥がれは起こらず、洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板を得ることができる。
また、本発明によれば、このような多層反射膜付き基板を用いることにより、高反射率を有し、且つ作製された反射型マスクの洗浄耐性にも優れた反射型マスクブランクが得られる。
さらに、このような本発明の反射型マスクブランクを用いて反射型マスクを製造することにより、高反射率で、しかも洗浄耐性に優れた高品質の反射型マスクが得られる。
またさらには、本発明の反射型マスクを用いたパターン形成により半導体装置を製造することにより、欠陥の少ない高品質の半導体装置を得ることができる。
本発明に係る多層反射膜付き基板の層構成を示す断面図である。 反射型マスクブランクの層構成を示す断面図である。 反射型マスクの層構成を示す断面図である。 本発明に係る多層反射膜付き基板の詳細な層構成を示す断面図である。 保護膜におけるMo層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示す図である。 保護膜におけるTi層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示す図である。 保護膜におけるTa層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示す図である。 保護膜におけるCr層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示す図である。
以下、本発明を実施の形態により詳細に説明する。
[多層反射膜付き基板]
まず、本発明に係る多層反射膜付き基板について説明する。
図1は、本発明に係る多層反射膜付き基板の層構成を示す断面図であり、基板1の上に、露光光であるEUV光を反射する多層反射膜2と、該多層反射膜を保護するための保護膜3とを備えた構造の多層反射膜付き基板10を示す。
上記基板1は、EUV露光用の場合、露光時の熱によるパターンの歪みを防止するため、0±5ppb/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられ、この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO−TiO系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることが出来る。
上記基板1の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。例えば、EUV露光用の場合、基板の転写パターンが形成される側の主表面132mm×132mmの領域において、平坦度が0.1μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。また、転写パターンが形成される側と反対側の主表面は、露光装置にセットする時に静電チャックされる面であって、142mm×142mmの領域において、平坦度が1μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下、特に好ましくは0.03μm以下である。
また、EUV露光用の場合、基板1として要求される表面平滑度は、基板の転写パターンが形成される側の主表面の表面粗さが、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.1nm以下であることが好ましい。
上記多層反射膜2は、屈折率の異なる元素が周期的に積層された多層膜であり、一般的には、低屈折率材料である重元素又はその化合物の薄膜(低屈折率層)と、高屈折率材料である軽元素又はその化合物の薄膜(高屈折率層)とが交互に40〜60周期程度積層された多層膜が用いられる。多層膜は、基板側から高屈折率層と低屈折率層をこの順に積層した積層構造を1周期として複数周期積層しても良いし、基板側から低屈折率層と高屈折率層をこの順に積層した積層構造を1周期として複数周期積層しても良い。低屈折率材料としては、Mo、Ru、Rh、Ptから選ばれる元素やこれらの合金が用いられ、高屈折率材料としては、Si又はSi化合物が用いられる。例えば、波長13〜14nmのEUV光に対する多層反射膜としては、好ましくは、Mo膜とSi膜を交互に40〜60周期程度積層したMo/Si周期積層膜が好ましく用いられる。
上記多層反射膜2は、例えばイオンビームスパッタリング法により、各層を成膜することにより形成できる。上述したMo/Si周期多層膜の場合、例えばイオンビームスパッタリング法により、まずSiターゲットを用いて厚さ数nm程度のSi膜を成膜し、その後、Moターゲットを用いて厚さ数nm程度のMo膜を成膜し、これを一周期として、40〜60周期積層する。
本発明においては、上記多層反射膜2の上に、該多層反射膜を保護するための保護膜3を設けている。この保護膜3は、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜である。
図4は、本発明に係る多層反射膜付き基板の詳細な層構成を示す断面図である。
図4に示すように、本発明に係る多層反射膜付き基板10は、基板1上に、高屈折率層としてSi膜21と低屈折率層としてMo膜22とを交互に積層させた多層反射膜2を備えている。この場合、多層反射膜2の最上層はMo膜22である。さらに、この多層反射膜2の上に、反射率低減抑制層31とブロッキング層32とエッチングストッパー層33とをこの順に積層してなる保護膜3を有している。
上記反射率低減抑制層31は、上記多層反射膜2の最上層がMo膜であることから反射率の低下を抑えるために設けられる。この反射率低減抑制層31の材料としては、例えばケイ素(Si)、酸化ケイ素(SiO、SiO、Si等のSixOy(x、yは1以上の整数))、窒化ケイ素(SiN、Si等のSixNy(x、yは1以上の整数))、酸化窒化ケイ素(SiON等のSixOyNz(x、y、zは1以上の整数))から選ばれる材料が好ましく挙げられる。特に、ケイ素(Si)が好適である。
上記ブロッキング層32は、上記反射率低減抑制層31を構成する例えばSiがエッチングストッパー層33へ拡散していくのを抑えるために設けられる。このブロッキング層32の材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選ばれる一種又は二種以上の材料が好ましく挙げられる。ブロッキング層の具体的な材料としては、上述に挙げた各元素の金属の他、モリブデンチタン(MoTi)、モリブデンジルコニウム(MoZr)、モリブデンタングステン(MoW)、モリブデンニオブ(MoNb)、クロムモリブデン(CrMo)、クロムチタン(CrTi)からなる合金を使用することができる。
特に、モリブデン(Mo)、またはモリブデン合金であるモリブデンチタン(MoTi)、モリブデンジルコニウム(MoZr)、モリブデンタングステン(MoW)、モリブデンニオブ(MoNb)や、チタン(Ti)、またはチタン合金であるチタンクロム(TiCr)、タンタル(Ta)、またはタンタル合金であるタンタルクロム(TaCr)、クロム(Cr)、またはクロム合金であるクロムチタン(CrTi)、クロムタンタル(CrTa)、クロムモリブデン(CrMo)、クロムタングステン(CrW)、クロムタングステン(CrW)が好適である。
なお、上記反射率低減抑制層31の材料としてケイ素(Si)を、上記ブロッキング層32の材料としてモリブデン(Mo)をそれぞれ選択した場合、上記Si膜21とMo膜22との交互積層膜からなる多層反射膜2を成膜するイオンビームスパッタリング装置内で、多層反射膜成膜後に、連続して上記反射率低減抑制層31およびブロッキング層32を成膜できるので有利である。
また、上記エッチングストッパー層33は、例えばマスク製造において、吸収体膜のパターニング時のエッチング環境から多層反射膜を保護するために設けられる。このエッチングストッパー層33の材料としては、例えばルテニウム(Ru)又はその合金材料が好ましく挙げられる。ルテニウムの合金としては、ルテニウムにニオブ、ジルコニウム、ロジウム、コバルト、レニウムのうち1以上の元素を含有するルテニウム化合物が好適である。具体的には、ルテニウムニオブ(RuNb)合金、ルテニウムジルコニウム(RuZr)合金、ルテニウムロジウム(RuRh)合金、ルテニウムコバルト(RuCo)合金、ルテニウムレニウム(RuRe)合金が挙げられる。
以上のとおり、本発明では、本実施の形態に示すように、基板1上に、Si膜21とMo膜22を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜2と、該多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層31とブロッキング層32とエッチングストッパー層33とをこの順に積層してなる保護膜3を有する多層反射膜付き基板10とすることにより、高反射率が得られ、且つマスクの洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板を得ることができる。
もう少し詳しく説明すると、多層反射膜2の上に上記反射率低減抑制層31(例えばSi層)を有するため、多層反射膜2の最上層がMo膜22であっても反射率の低減を抑えることができ、その結果、高反射率が得られる。
また、上記エッチングストッパー層33を有することにより、例えばマスク製造において、吸収体膜のパターニング時のエッチング環境から多層反射膜2を保護することができる。そして、上記エッチングストッパー層33と上記反射率低減抑制層31との間に上記ブロッキング層32(例えばMo層)を設けることで、反射率低減抑制層31を構成する例えばSiがエッチングストッパー層33へ拡散していくのを抑えることができ、たとえ反射率低減抑制層31とブロッキング層32との間では相互拡散層が形成されたとしても、例えばRuからなるエッチングストッパー層33の密着性に影響を及ぼさないため、マスク洗浄時の膜剥がれ等の問題は生じない。
つまり、多層反射膜2の上に、反射率低減抑制層31とブロッキング層32とエッチングストッパー層33とをこの順に積層してなる保護膜3を有することにより、高反射率が得られ、しかも、作製された反射型マスクの繰返し使用に伴う繰返し洗浄を行っても、反射領域に露出する保護膜3の膜剥がれは起こらず、洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板を得ることができる。
上記反射率低減抑制層31とブロッキング層32とエッチングストッパー層33とをこの順に積層してなる保護膜3の形成には、上記多層反射膜2の成膜と同様、イオンビームスパッタリング法が好適である。
上記エッチングストッパー層33の膜厚としては、例えば0.5nm〜4nmの範囲が好ましい。膜厚が0.5nmより薄いと、多層反射膜を保護する機能が十分に得られないおそれがある。一方、膜厚が4nmよりも厚いと、マスクの反射領域となる保護膜を有する多層反射膜の反射率を低下させるおそれがある。
また、上記ブロッキング層32の膜厚としては、例えば0.5nm〜2.4nmの範囲が好ましい。膜厚が0.5nmより薄いと、反射率低減抑制層31を構成する例えばSiがエッチングストッパー層33へ拡散していくのを抑える機能が十分に発揮されないおそれがある。一方、膜厚が2.4nmよりも厚いと、マスクの反射領域となる保護膜を有する多層反射膜の反射率を低下させるおそれがある。
また、上記反射率低減抑制層31の膜厚としては、例えば1.0nm〜5.0nmの範囲が好ましい。膜厚が1.0nmより薄いと、あるいは膜厚が5.0nmよりも厚いと、いずれの場合もマスクの反射領域となる保護膜を有する多層反射膜の反射率を低下させるおそれがある。
上記反射率低減抑制層31とブロッキング層32のそれぞれの膜厚の好ましい範囲は上記のとおりであるが、特に好ましくは、反射率低減抑制層31とブロッキング層32との組合わせにおいて各膜厚をそれぞれ最適化することで、高反射率を得ることができる。
前提条件として、基板上に、Si膜(膜厚3.92nm)とMo膜(膜厚3.08nm)の積層を1周期とし、これを40周期積層した構成の多層反射膜と、反射率低減抑制層としてSi層と、ブロッキング層としてMo層と、エッチングストッパー層としてRuNb層(膜厚2.5nm)とからなる保護膜を有する多層反射膜付き基板とする。
このような構成の多層反射膜付き基板において、シミュレーションによる保護膜におけるMo層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示したのが図5である。なお、シミュレーションでは理想的な多層膜界面に基づく計算のため、反射率はすべて実際より高く算出される。よって、ここでは多層反射膜形成やその後の熱的影響により生成されるSi層とMo層の界面の拡散層等の影響による反射率の減衰等を考慮し、現状の実測値にあう形で再計算(オフセット)を行っている。
図5中、曲線Aの内側の領域(つまり曲線AとMo層の膜厚が0(ゼロ)nmの縦軸とで囲まれた範囲で、図5中に斜め線のハッチングを付した範囲である。)は、反射率が63%以上となる領域である。また、曲線Bよりも内側の領域(つまり曲線BとMo層の膜厚が0(ゼロ)nmの縦軸とで囲まれた範囲である。)は、反射率が64%以上である。また、曲線Cよりも内側の領域(つまり曲線CとMo層の膜厚が0(ゼロ)nmの縦軸とで囲まれた範囲である。)は、反射率が65%以上である。さらに、曲線Dよりも内側の領域(つまり曲線DとMo層の膜厚が0(ゼロ)nmの縦軸とで囲まれた範囲である。)は、反射率が66%以上である。従って、曲線AとBとで囲まれた領域は、反射率が63%〜64%の範囲である。また、曲線BとCとで囲まれた領域は、反射率が64%〜65%の範囲である。さらに、曲線CとDとで囲まれた領域は、反射率が65%〜66%の範囲である。なお、これらの曲線A〜Dはいずれも反射率の等高線を示している。
要するに、上記曲線Aより内側の領域であれば、63%以上の高反射率が得られることになる。
そこで、上記反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚をtsi(nm)、上記ブロッキング層を構成するMo層の膜厚をtmo(nm)とし、上記曲線Aをこれらの膜厚のパラメータを含む近似式で表わすと、上記曲線Aより内側の領域であるためには、下記式(1)を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のMo層膜厚をそれぞれ選定すればよい。
0.15×tmo −0.70×tmo+2.36≦tsi≦−0.21×tmo −0.58×tmo+4.81 ・・・式(1)
(但し、0<tmo≦2.4)
以上のようにして、多層反射膜2の上に形成する保護膜3が、エッチングストッパー層はRuNb層からなり、反射率低減抑制層はSi層からなり、ブロッキング層はMo層からなる構成においては、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚が、上記式(1)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は63%以上の高反射率が得られる。
好ましくは、上記曲線Bより内側の領域である下記式(1)’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のMo層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.24×tmo −0.74×tmo+2.56≦tsi≦−0.32×tmo −0.51×tmo+4.54 ・・・式(1)’
(但し、0<tmo≦1.9)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚が、上記式(1)’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は64%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Cより内側の領域である下記式(1)’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のMo層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.25×tmo −0.61×tmo+2.76≦tsi≦−0.38×tmo −0.70×tmo+4.36 ・・・式(1)’’
(但し、0<tmo≦1.3)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚が、上記式(1)’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は65%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Dより内側の領域である下記式(1)’’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のMo層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.67×tmo −0.53×tmo+3.10≦tsi≦−1.87×tmo −0.23×tmo+3.83 ・・・式(1)’’’
(但し、0<tmo≦0.6)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚が、上記式(1)’’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は66%以上の高反射率が得られる。
上述と同様にブロッキング層としてTi層、Ta層、Cr層としたときの各ブロッキング層及びSi層(反射率低減抑制層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を調べた。なお、前提条件は、基板上に、Si膜(膜厚3.92nm)とMo膜(膜厚3.08nm)の積層を1周期とし、これを40周期積層した構成の多層反射膜と、反射率低減抑制層としてSi層と、ブロッキング層(Ti層、Ta層、Cr層)と、エッチングストッパー層としてRu層(膜厚2.5nm)とからなる保護膜を有する多層反射膜付き基板とした。
図6は、保護膜におけるTi層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示した図である。図7は、保護膜におけるTa層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示した図である。図8は、保護膜におけるCr層(ブロッキング層)及びSi層(反射率低減層)の各膜厚と反射率の等高線との関係を示した図である。なお、各シミュレーションは、前述のブロッキング層がMo層の場合と同様に、多層反射膜形成やその後の熱的影響により生成されるSi層とMo層の界面の拡散層等の影響による反射率の減衰等を考慮し、現状の実測値にあう形で再計算(オフセット)を行った。
図5の場合と同様に、図6、図7、図8中、曲線Aの内側の領域(図6、図7、図8中に斜め線のハッチングを付した範囲)は、反射率が63%以上となる領域である。また、曲線Bよりも内側の領域は、反射率が64%以上である。また、曲線Cよりも内側の領域は、反射率が65%以上である。さらに、曲線Dよりも内側の領域は、反射率が66%以上である。従って、曲線AとBとで囲まれた領域は、反射率が63%〜64%の範囲である。また、曲線BとCとで囲まれた領域は、反射率が64%〜65%の範囲である。さらに、曲線CとDとで囲まれた領域は、反射率が65%〜66%の範囲である。なお、これらの曲線A〜Dはいずれも反射率の等高線を示している。
ブロッキング層としてTi層を用いた場合、図6に示す曲線Aより内側の領域である下記式(2)を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTi層膜厚をそれぞれ選定すればよい。式(2)において、tsiは、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚(nm)を示し、tti(nm)は、ブロッキング層を構成するTi層の膜厚(nm)を示している。
0.22×tti −0.73×tti+2.38≦tsi≦−0.24×tti −0.57×tti+4.78 ・・・式(2)
(但し、0<tti≦2.3)
以上のようにして、多層反射膜2の上に形成する保護膜3が、エッチングストッパー層はRu層からなり、反射率低減抑制層はSi層からなり、ブロッキング層はTi層からなる構成においては、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚が、上記式(2)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は63%以上の高反射率が得られる。
好ましくは、上記曲線Bより内側の領域である下記式(2)’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTi層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.27×tti −0.72×tti+2.55≦tsi≦−0.31×tti −0.56×tti+4.57 ・・・式(2)’
(但し、0<tti≦1.9)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚が、上記式(2)’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は64%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Cより内側の領域である下記式(2)’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTi層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.38×tti −0.73×tti+2.77≦tsi≦−0.45×tti −0.54×tti+4.31 ・・・式(2)’’
(但し、0<tti≦1.4)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚が、上記式(2)’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は65%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Dより内側の領域である下記式(2)’’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTi層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.81×tti −0.69×tti+3.09≦tsi≦−1.13×tti −0.51×tti+3.94 ・・・式(2)’’’
(但し、0<tti≦0.7)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚が、上記式(2)’’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は66%以上の高反射率が得られる。
ブロッキング層としてTa層を用いた場合、図7に示す曲線Aより内側の領域である下記式(3)を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTa層膜厚をそれぞれ選定すればよい。式(3)において、tsiは、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚(nm)を示し、tta(nm)は、ブロッキング層を構成するTa層の膜厚(nm)を示している。
0.18×tta −0.30×tta+2.37≦tsi≦−0.23×tta −0.69×tta+4.80 ・・・式(3)
(但し、0<tta≦1.9)
以上のようにして、多層反射膜2の上に形成する保護膜3が、エッチングストッパー層はRu層からなり、反射率低減抑制層はSi層からなり、ブロッキング層はTa層からなる構成においては、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚が、上記式(3)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は63%以上の高反射率が得られる。
好ましくは、上記曲線Bより内側の領域である下記式(3)’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTa層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.26×tta −0.36×tta+2.56≦tsi≦−0.31×tta −0.63×tta+4.58 ・・・式(3)’
(但し、0<tta≦1.5)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚が、上記式(3)’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は64%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Cより内側の領域である下記式(3)’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTa層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.38×tta −0.35×tta+2.77≦tsi≦−0.51×tta −0.56×tta+4.32 ・・・式(3)’’
(但し、0<tta≦1.1)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚が、上記式(3)’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は65%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Dより内側の領域である下記式(3)’’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のTa層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.98×tta −0.30×tta+3.09≦tsi≦−1.56×tta −0.45×tta+3.95 ・・・式(3)’’’
(但し、0<tta≦0.5)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚が、上記式(3)’’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は66%以上の高反射率が得られる。
ブロッキング層としてCr層を用いた場合、図8に示す曲線Aより内側の領域である下記式(4)を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のCr層膜厚をそれぞれ選定すればよい。式(4)において、tsiは、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚(nm)を示し、tCr(nm)は、ブロッキング層を構成するCr層の膜厚(nm)を示している。
0.19×tcr −0.30×tcr+2.38≦tsi≦−0.23×tcr −0.67×tcr+4.81 ・・・式(4)
(但し、0<tcr≦1.9)
以上のようにして、多層反射膜2の上に形成する保護膜3が、エッチングストッパー層はRu層からなり、反射率低減抑制層はSi層からなり、ブロッキング層はCr層からなる構成においては、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚が、上記式(4)を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は63%以上の高反射率が得られる。
好ましくは、上記曲線Bより内側の領域である下記式(4)’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のCr層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.27×tcr −0.35×tcr+2.56≦tsi≦−0.33×tcr −0.60×tcr+4.57 ・・・式(4)’
(但し、0<tcr≦1.5)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚が、上記式(4)’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は64%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Cより内側の領域である下記式(4)’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のCr層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
0.43×tcr −0.38×tcr+2.78≦tsi≦−0.49×tcr −0.58×tcr+4.33 ・・・式(4)’’
(但し、0<tcr≦1.1)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚が、上記式(4)’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は65%以上の高反射率が得られる。
さらに好ましくは、上記曲線Dより内側の領域である下記式(4)’’’を満足するように、反射率低減抑制層のSi層膜厚とブロッキング層のCr層膜厚をそれぞれ選定することが好ましい。
1.04×tcr −0.28×tcr+3.09≦tsi≦−1.71×tcr −0.43×tcr+3.95 ・・・式(4)’’’
(但し、0<tcr≦0.5)
以上のように、反射率低減抑制層を構成するSi層の膜厚とブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚が、上記式(4)’’’を満足するようにそれぞれ最適化することにより、保護膜を有する多層反射膜の反射率は66%以上の高反射率が得られる。
本発明においては、前記保護膜3は、反射率低減抑制層31とブロッキング層32との間で相互拡散層が形成されていてもよい。例えば、Siからなる反射率低減抑制層とMoやTi、Ta、Crからなるブロッキング層との間では、成膜後にMoシリサイド(MoSi)、Tiシリサイド(TiSi)、Taシリサイド(TaSi)、Crシリサイド(CrSi)からなる金属シリサイド材料の相互拡散層が形成されやすい。また、上記多層反射膜付き基板を用いた反射型マスクブランクの製造段階、該反射型マスクブランクを用いた反射型マスクの製造段階における例えばベーク処理によってさらに拡散層の形成が促進されることがある。最終的には、反射率低減抑制層31の多層反射膜2との界面近傍領域と、ブロッキング層32のエッチングストッパー層33との界面近傍領域とを除く領域全体に拡散層が形成されたり、あるいは反射率低減抑制層31とブロッキング層32のほぼ全領域に拡散層が形成される場合もある。
本発明では、成膜直後は、多層反射膜2の上に、保護膜3として反射率低減抑制層31とブロッキング層32とエッチングストッパー層33とがこの順に成膜されているが、時間の経過とともに、上記のような反射率低減抑制層31とブロッキング層32との間で相互拡散層が形成されている状態の構成も、本発明の多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及び反射型マスクに含まれるものとする。
上記のように、保護膜として、反射率低減抑制層とブロッキング層との間に相互拡散層が形成されていることにより、EUV光に対する反射率の経時変化を抑制することができる。
以上説明した本発明に係る多層反射膜付き基板の製造方法としては、基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜を形成する工程と、多層反射膜の上に、該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層して、保護膜を形成する工程とを有する多層反射膜付き基板の製造方法が好適である。
この場合、多層反射膜及び保護膜の形成は、前記のとおりイオンビームスパッタリング法を用いることが好適である。勿論、他の成膜方法を用いても構わない。
反射率低減抑制層は、基板の主表面の法線に対するスパッタ粒子の入射角度が、0度以上40度以下となるように成膜し、また、ブロッキング層は、基板の主表面の法線に対するスパッタ粒子の入射角度が、25度以上40度以下となるように成膜するのが好ましい。上記成膜条件で反射率低減抑制層とブロッキング層とを成膜することにより、多層反射膜上に堆積される膜が緻密になり、エッチングストッパー層との拡散が抑制され、高洗浄耐性と高反射率を維持することができるので好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成の多層反射膜と、該多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有する多層反射膜付き基板とすることにより、高反射率が得られ、且つ作製された反射型マスクの繰返し洗浄を行っても、反射領域に露出する保護膜の膜剥がれは起こらず、洗浄耐性にも優れた高品質の多層反射膜付き基板が得られる。
[反射型マスクブランク]
また、本発明は、上述の本発明による多層反射膜付き基板を用いる反射型マスクブランクの製造方法についても提供する。
図2は、反射型マスクブランクの層構成を示す断面図であり、基板1上に、EUV光を反射する多層反射膜2、保護膜3及びEUV光を吸収するパターン形成用の吸収体膜4が形成されている反射型マスクブランク20を示す。なお、図示していないが、基板1の多層反射膜等が形成されている側とは反対側に裏面導電膜を設けることができる。
なお、上記基板1上に多層反射膜2及び保護膜3を形成した状態の多層反射膜付き基板については上述したとおりであり、ここでは説明を省略する。
上記吸収体膜4は、露光光である例えばEUV光を吸収する機能を有するもので、例えばタンタル(Ta)単体又はTaを主成分とする材料を好ましく用いることができる。Taを主成分とする材料は、通常、Taの合金である。このような吸収体膜の結晶状態は、平滑性、平坦性の点から、アモルファス状又は微結晶の構造を有しているものが好ましい。
Taを主成分とする材料としては、TaとBを含む材料、TaとNを含む材料、TaとBを含み、更にOとNの少なくとも何れかを含む材料、TaとSiを含む材料、TaとSiとNを含む材料、TaとGeを含む材料、TaとGeとNを含む材料、等を用いることが出来る。TaにBやSi、Ge等を加えることにより、アモルファス状の材料が容易に得られ、平滑性を向上させることができる。また、TaにNやOを加えれば、酸化に対する耐性が向上するため、経時的な安定性を向上させることが出来るという効果が得られる。
この中でも特に好ましい材料として、例えば、TaとBを含む材料(組成比Ta/Bが8.5/1.5〜7.5/2.5の範囲である)、TaとBとNを含む材料(Nが5〜30原子%であり、残りの成分を100とした時、Bが10〜30原子%)が挙げられる。これらの材料の場合、容易に微結晶或いはアモルファス構造を得ることが出来、良好な平滑性と平坦性が得られる。
このようなTa単体又はTaを主成分とする吸収体膜は、マグネトロンスパッタリングなどのスパッタ法で形成するのが好ましい。例えば、TaBN膜の場合、タンタルとホウ素を含むターゲットを用い、窒素を添加したアルゴンガスを用いたスパッタリング法で成膜することができる。
吸収体膜として、Taを主成分とする材料以外では、例えば、WN、TiN、Ti等の材料が挙げられる。
吸収体膜4の膜厚は、露光光である例えばEUV光が十分に吸収できる厚みであれば良いが、通常30〜100nm程度である。なお、吸収体膜4は、材料や組成の異なる複数層の積層構造(例えばTaBN膜とTaBO膜の積層膜)としてもよい。
EUV光を露光光に適用する反射型マスクの場合においても、パターン検査を行う時の検査光は、波長193nm、257nm等のEUV光に比べて長波長の光が用いられる場合が多い。長波長の検査光に対応するためには、吸収体膜の表面反射を低減させる必要がある。この場合、吸収体膜を、基板側から、主としてEUV光を吸収する機能を有する吸収体層と、主として検査光に対する表面反射を低減する機能を有する低反射層とを積層した構成にするとよい。低反射層としては、吸収体層がTaを主成分とする材料の場合、TaやTaBにOを含有した材料が好適である。
また、上記反射型マスクブランクは、吸収体膜に所定の転写パターンを形成するためのレジスト膜が形成された状態であっても構わない。
以上のように、上述の本発明により得られる多層反射膜付き基板を用いて反射型マスクブランクを製造することにより、高反射率を有し、且つ作製された反射型マスクの洗浄耐性にも優れる反射型マスクブランクを得ることができる。
[反射型マスク]
また、本発明は、上記構成の反射型マスクブランクを用いる反射型マスクの製造方法についても提供する。
図3は反射型マスクの層構成を示す断面図であり、図2の反射型マスクブランク20における吸収体膜4がパターニングされた吸収体膜パターン4aを備える反射型マスク30を示す。
反射型マスクブランク20における転写パターンとなる上記吸収体膜4をパターニングする方法は、高精細のパターニングを行うことができるフォトリソグラフィー法が最も好適である。
以上のように、上述の本発明により得られる反射型マスクブランクを用いて反射型マスクを製造することにより、高反射率で、しかもマスク洗浄時に膜剥がれ等の問題が起こらず、洗浄耐性に優れた高品質の反射型マスクを得ることができる。
また、本発明により得られる反射型マスクを用いたパターン転写によって半導体基板上に所望のパターン形成を行って半導体装置を製造することにより、欠陥の少ない高品質の半導体装置を得ることができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
使用する基板は、SiO−TiO系のガラス基板(6インチ角、厚さが6.35mm)である。
そして、このガラス基板の端面を面取加工、及び研削加工、更に酸化セリウム砥粒を含む研磨液で粗研磨処理を終えたガラス基板を両面研磨装置のキャリアにセットし、研磨液にコロイダルシリカ砥粒を含むアルカリ水溶液を用い、所定の研磨条件で精密研磨を行った。精密研磨終了後、ガラス基板に対し洗浄処理を行った。
以上のようにして、EUV反射型マスクブランク用ガラス基板を作製した。この得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で、0.10nm以下と良好であった。また、平坦度は、測定領域132mm×132mmで30nm以下と良好であった。
次に、上記反射型マスクブランク用ガラス基板上に、以下のようにして多層反射膜を形成した。基板上に形成される多層反射膜は、13〜14nmの露光光波長帯域に適した多層反射膜とするために、Mo膜/Si膜周期多層反射膜を採用した。
即ち、多層反射膜は、MoターゲットとSiターゲットを使用し、イオンビームスパッタリングにより基板上に交互に積層して形成した。
まず、Si膜を3.92nm成膜し、続いて、Mo膜を3.08nm成膜した。これを一周期とし、同様にして40周期積層し、多層反射膜を形成した。
この後、同じくイオンビームスパッタリングにより、上記多層反射膜上に保護膜を以下のように成膜した。
まず、Siターゲットを使用し、Si膜を3.0nm成膜し、続いて、Moターゲットを使用し、Mo膜を1.0nm成膜した。さらに、RuNbターゲット(Ru:Nb=80:20 原子%比)を使用して、RuNb膜を2.5nm成膜した。
このようにして、上記多層反射膜上に、Si膜からなる反射率低減抑制層と、Mo膜からなるブロッキング層と、RuNb膜からなるエッチングストッパー層をこの順に積層した保護膜を形成した。
この保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は65.3%であった。
以上のようにして、本実施例の保護膜を備えた多層反射膜付き基板を作製した。なお、本実施例は、前述の図5中に■でプロットした。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、TaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜した。
こうして、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを以下のようにして作製した。
まず、上記反射型マスクブランク上に電子線描画用レジスト膜を形成し、電子線描画機を使用して所定のパターン描画を行った。描画後、所定の現像処理を行い、上記反射型マスクブランク上にレジストパターンを形成した。
次に、このレジストパターンをマスクとして、フッ素系ガス(CFガス)により上層のTaBO膜を、塩素系ガス(Clガス)により下層のTaBN膜をドライエッチングし、吸収体膜に転写パターンを形成した。
さらに、吸収体膜パターン上に残ったレジストパターンを熱硫酸で除去し、反射型マスクを得た。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。 また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、マスク洗浄を50回繰返し行った。なお、この場合の洗浄条件は、一般的なRCA洗浄とした。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいては、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
また、得られた本実施例の反射型マスクを用いて、半導体基板上へのEUV光によるパターン転写を行うと、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代の半導体装置を製造することができる。
(実施例2)
上記実施例1において、多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を2.5nm成膜し、続いて、Mo膜を1.5nm成膜し、さらに、RuNb膜を2.5nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。なお、本実施例は、前述の図5中に●でプロットした。
本実施例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は64.5%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行った。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいても、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
(実施例3)
上記実施例1において、多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を2.0nm成膜し、続いて、Mo膜を2.4nm成膜し、さらに、RuNb膜を2.5nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。なお、本実施例は、前述の図5中に▲でプロットした。
本実施例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は63.0%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行った。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいても、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
(比較例1)
上記実施例1において、実施例1と同じ多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を4.0nm成膜し、その上にRuNb膜を2.5nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。なお、本比較例は、前述の従来構成に相当するものである。また、前述の図5中には×でプロットした。
本比較例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は65.4%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行い、洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが発生している箇所が多数発見された。
以上のように、前述の従来構成に相当する本比較例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいては、高反射率が得られるものの、マスク洗浄耐性が不十分であり、繰返し洗浄によって保護膜の膜剥がれが発生することが分かった。
(比較例2)
上記実施例1において、実施例1と同じ多層反射膜の上に、保護膜として、RuNb膜を2.5nm成膜したこと以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。なお、本比較例は、前述の従来構成(比較例1)と対比すると、Si保護膜(4.0nm)を単に省いた構成に相当するものである。また、前述の図5中には□でプロットした。
本比較例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は59%と非常に低く、反射型マスクに通常要求される反射率が得られない。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行い、洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが発生した箇所はなかった。
以上のように、本比較例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいては、マスク洗浄耐性は得られるものの、反射率が低く、反射型マスクに要求される例えば63%以上の高い反射率が得られない。
(実施例4)
上記実施例1において、多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を3.0nm成膜し、続いて、Ti膜を1.0nm成膜し、さらに、Ru膜を2.5nm成膜した以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。
本実施例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は65.2%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行った。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいても、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
(実施例5)
上記実施例1において、多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を3.0nm成膜し、続いて、Ta膜を1.0nm成膜し、さらに、Ru膜を2.5nm成膜した以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。
本実施例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は65.0%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行った。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいても、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
(実施例6)
上記実施例1において、多層反射膜の上に、保護膜として、Si膜を3.0nm成膜し、続いて、Cr膜を1.0nm成膜し、さらに、Ru膜を2.5nm成膜した以外は、実施例1と同様にして多層反射膜付き基板を作製した。
本実施例の保護膜を有する多層反射膜に対し、13.5nmのEUV光を入射角6.0度で反射率を測定したところ、反射率は65.0%であった。
次に、上記作製した多層反射膜付き基板の保護膜上に、吸収体膜として、実施例1と同様にTaBN膜(膜厚56nm)とTaBO膜(膜厚14nm)の積層膜をDCマグネトロンスパッタリング法によって成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを有するEUV露光用反射型マスクを実施例1と同様にして作製した。
得られた反射型マスクの最終確認検査を行ったところ、半導体デザインルールにおけるDRAM hp20nm世代のパターンを設計通りに形成できていることが確認できた。
また、得られた反射型マスクの反射領域(すなわち吸収体膜パターンの形成されていない領域)における13.5nmのEUV光に対する反射率を測定したところ、上記多層反射膜付き基板における反射率と同じであった。
また、得られた本実施例の反射型マスクに対して、実施例1と同じ条件で、マスク洗浄を50回繰返し行った。
洗浄後のマスク表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で詳細に検査した結果、反射領域の保護膜の膜剥がれが生じた箇所はなかった。また、洗浄後のマスクの反射領域における反射率を測定した結果、洗浄前と変わらなかった。
以上のように、本実施例の多層反射膜付き基板および反射型マスクブランクを用いて作製した反射型マスクにおいても、高反射率が得られ、且つマスク洗浄耐性にも優れていることが確認できた。
1 基板
2 多層反射膜
21 Si膜
22 Mo膜
3 保護膜
31 反射率低減抑制層
32 ブロッキング層
33 エッチングストッパー層
4 吸収体膜
10 多層反射膜付き基板
20 反射型マスクブランク
30 反射型マスク

Claims (10)

  1. 基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、
    前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有し、
    前記エッチングストッパー層は、ルテニウム(Ru)又はその合金からなり、
    前記反射率低減抑制層は、ケイ素(Si)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素から選ばれる材料からなり、前記ブロッキング層は、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)から選ばれる一種又は二種以上の材料からなることを特徴とする多層反射膜付き基板。
  2. 基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、
    前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有し、
    前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はモリブデン(Mo)からなるときに、
    前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をt si (nm)、前記ブロッキング層を構成するモリブデン(Mo)層の膜厚をt mo (nm)とするとき、下記式(1)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
    0.15×t mo −0.70×t mo +2.36≦t si ≦−0.21×t mo −0.58×t mo +4.81 ・・・式(1)
    (但し、0<t mo ≦2.4)
  3. 基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、
    前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有し、
    前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はチタン(Ti)からなるときに、
    前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をt si (nm)、前記ブロッキング層を構成するチタン(Ti)層の膜厚をt ti (nm)とするとき、下記式(2)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
    0.22×t ti −0.73×t ti +2.38≦t si ≦−0.24×t ti −0.57×t ti +4.78 ・・・式(2)
    (但し、0<t ti ≦2.3)
  4. 基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、
    前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有し、
    前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はタンタル(Ta)からなるときに、
    前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をt si (nm)、前記ブロッキング層を構成するタンタル(Ta)層の膜厚をt ta (nm)とするとき、下記式(3)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
    0.18×t ta −0.30×t ta +2.37≦t si ≦−0.23×t ta −0.69×t ta +4.80 ・・・式(3)
    (但し、0<t ta ≦1.9)
  5. 基板上に露光光を反射する多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
    前記多層反射膜は、前記基板上に、低屈折率層と高屈折率層を積層した積層構造を1周期として複数周期積層した構成のものであり、
    前記多層反射膜の上に形成される該多層反射膜を保護するための保護膜であって、反射率低減抑制層とブロッキング層とエッチングストッパー層とをこの順に積層してなる保護膜を有し、
    前記エッチングストッパー層はルテニウム(Ru)又はその合金からなり、前記反射率低減抑制層はケイ素(Si)からなり、前記ブロッキング層はクロム(Cr)からなるときに、
    前記反射率低減抑制層を構成するケイ素(Si)層の膜厚をt si (nm)、前記ブロッキング層を構成するクロム(Cr)層の膜厚をt Cr (nm)とするとき、下記式(4)を満足するように前記反射率低減抑制層の膜厚と前記ブロッキング層の膜厚がそれぞれ選定されていることを特徴とする多層反射膜付き基板。
    0.19×t cr −0.30×t cr +2.38≦t si ≦−0.23×t cr −0.67×t cr +4.81 ・・・式(4)
    (但し、0<t cr ≦1.9)
  6. 前記保護膜は、前記反射率低減抑制層と前記ブロッキング層との間で相互拡散層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の多層反射膜付き基板。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の多層反射膜付き基板の製造方法であって、
    前記多層反射膜及び前記保護膜は、イオンビームスパッタリング法を用いて形成することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至のいずれかに記載の多層反射膜付き基板、または、請求項に記載の製造方法により得られる多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、露光光を吸収する吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
  9. 請求項に記載の製造方法により得られる反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜をパターニングすることを特徴とする反射型マスクの製造方法。
  10. 請求項に記載の製造方法により得られる反射型マスクを用いて半導体基板上にパターン形成する工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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