以下、本発明における成分検知装置および加熱調理器の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、細かい構造および重複または類似する説明については、適宜簡略化または省略している。また、各実施の形態におけるフローチャートは制御の一例であり、加熱調理器と成分検知装置の制御を限定するものではない。以下の実施の形態では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器について説明する。
実施の形態1.
(加熱調理器の構成)
まず、加熱調理器100の構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器100の概略斜視図である。図1に示すように、加熱調理器100は、本体110と、本体110の上面に配置されたトッププレート120とを備えている。本体110には、魚等の調理物の調理を行うためのグリル130が収容されている。グリル130の内部には、グリル130に載置された調理物を加熱するための熱源となるグリルヒータ(図示せず)が設けられている。また、グリル130に隣接して、前面操作部140が設けられている。前面操作部140には、電源スイッチ142および複数の操作ダイヤル144が配置されている。電源スイッチ142は、加熱調理器100の電源をON/OFFするために操作されるものである。操作ダイヤル144は、例えばグリル130の火力を調整するために操作されるものである。前面操作部140を介して入力される操作信号は、制御部300(図2)に送信される。
トッププレート120は、例えば、耐熱性のガラス板と金属の枠体とにより構成される。トッププレート120の上面には、印刷等により加熱領域を示す複数の(本実施の形態では3個の)円形の加熱口150が設けられている。各加熱口150には、鍋またはフライパン等の容器400が載置される。
トッププレート120の手前側には、加熱口150の火力を調整するために操作される上面操作部160が設けられている。上面操作部160は、火力を調節するために操作される火力操作部162と、火力の大きさを表す火力表示部164とを有する。本実施の形態では、各加熱口150に対応して、複数の火力操作部162および火力表示部164が設けられている。
火力操作部162は、例えば静電容量式のタッチセンサで構成される。火力操作部162を介して入力される操作指示は、制御部300へ出力される。火力表示部164は、例えば複数の発光ダイオード(LED)で構成され、制御部300の制御の下、火力の大きさに応じた数の発光ダイオードが点灯される。
また、トッププレート120の手前側中央には、操作表示部180が設けられている。操作表示部180は、例えばタッチパネルで構成され、加熱調理器100に関する情報が表示されるとともに、加熱調理器100または成分検知装置1(図2)に対する操作が入力される。操作表示部180に表示される情報には、加熱調理器100の設定情報、調理モードの選択表示、自動調理の進行状況、および警告情報の表示等が含まれる。操作表示部180の表示内容は、制御部300によって制御される。また、操作表示部180を介して入力される操作信号は、制御部300に送信される。なお、前面操作部140、上面操作部160、または操作表示部180が本発明の「操作部」に相当する。
また、トッププレート120の奥側には、複数の排気口170が設けられている。排気口170は、本体110の内部と連通するように配置される。本体110の内部に取り込まれた空気は、排気口170から排気される。排気口170の上部には、本体110の内部への埃その他の異物が侵入するのを防止する通気性を有するカバー(図示せず)を設けてもよい。
また、排気口170の手前には、成分検知装置1との間で、無線通信を行うための通信ポート190が設けられている。通信ポート190は、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)樹脂等の電波透過性の高い材質で構成される。図1では、通信ポート190は、トッププレート120の上面に載置される容器400によって無線電波が遮蔽されないように、加熱口150と排気口170との間に配置されている。しかしながら、通信ポート190の位置はこれに限定されるものではなく、例えば、各加熱口150との距離が均等となる位置に配置されてもよい。または、通信ポート190を操作表示部180の一部として設けてもよい。
図2は、本実施の形態における加熱調理器100の主要部の構成および機能を説明する図である。なお、図2では、1つの加熱口150に対応する構成のみを図示しており、また、例えば水や食材等の調理物450が収容された容器400と、容器400に取り付けられた成分検知装置1とを併せて図示している。成分検知装置1は、加熱調理器100とは別体に設けられ、容器400に収容された調理物450の成分を検知し、検知した成分情報を加熱調理器100へ送信するものである。成分検知装置1の詳細については後述する。
図2に示すように、トッププレート120の下方には、各加熱口150に対応して加熱コイル200が配置される。本実施の形態では、加熱コイル200は、略環状の内側加熱コイルと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイルとを備えた二重環形状である。なお、加熱コイル200が本発明の「加熱部」に相当する。
また、トッププレート120の下方には、赤外線温度センサ210が配置されている。赤外線温度センサ210は、加熱コイル200上のトッププレート120に載置された容器400の底部から放射される赤外線を検知する。なお、赤外線温度センサ210の直上部は、赤外線が遮蔽されない構造(例えば空洞または透過素材)とすることが望ましい。また、トッププレート120の裏面の加熱コイル200と対向する面には、サーミスタなどの接触式温度センサ220がトッププレート120の裏面に接触するように配置されている。接触式温度センサ220は、容器400からトッププレート120へ伝わる熱を検知する。赤外線温度センサ210および接触式温度センサ220によって検知された信号は、温度検知部230へ出力される。温度検知部230は、赤外線温度センサ210および接触式温度センサ220による検知信号をA/D変換し、温度に換算する。温度検知部230によって換算された温度情報は、制御部300へ送信される。
また、本体110の内部には、加熱調理器100の各部を制御する制御部300と、成分検知装置1と通信ポート190を介して通信する通信部310と、加熱調理器100の各部への電力供給を行う電源部320と、加熱コイル200に高周波電流を供給する高周波インバータ330とが設けられている。
通信部310は、成分検知装置1の通信部40との間で、双方向に情報通信を行うものである。通信部310は、成分検知装置1から成分情報を受信するとともに、制御部300にて生成される成分検知装置1に対する指令(制御信号)を成分検知装置1に送信する。成分検知装置1に対する指令は、例えば、成分検知装置1での電源供給の開始を指示する起動指令、成分検知の開始を指示する開始指令および成分検知を停止する停止指令などが含まれる。
本実施の形態の通信部310は、無線通信モジュールを用いて構成され、成分検知装置1との間で無線通信を行う。成分検知装置1との間の無線通信は、金属帯が伝送経路に介在すると電波が遮蔽されてしまうため、電波透過性が高い通信ポート190を介して行われる。なお、通信部310において、使用周波数帯をWi−Fiモジュールと無線通信可能な周波数帯とすることにより、外部機器との通信の拡張性を向上させることができる。なお、通信部310は、成分検知装置1と有線通信を行うものであってもよい。なお通信部310が本発明の「機器側通信部」に相当する。
電源部320は、電源スイッチ142からの電源供給の開始または停止信号に基づいて、加熱調理器100の各部への電力の供給を開始または停止するものである。
高周波インバータ330は、制御部300からの制御信号に基づいて、電源部320から供給される直流電流を変換し、加熱コイル200と共振コンデンサ(図示せず)とを接続した回路に、高周波電流を供給するものである。また、高周波インバータ330は、制御部300からの制御信号に基づいて、グリル130の内部に収容されたグリルヒータ(図示せず)に高周波電流を供給してもよい。
制御部300は、加熱調理器100各部の動作制御を行うとともに、成分検知装置1に指令を送信し、成分検知装置1の制御を行う。制御部300は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されるか、またはマイコンやCPU等の演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成される。なお、制御部300が本発明の「機器側制御部」に相当する。
図3は、加熱調理器100の制御部300の機能ブロック図である。図3に示すように、制御部300は、操作制御部301と、報知部302と、加熱制御部303と、成分管理制御部304と、記憶部305とを有する。上記各部は、ソフトウェアで実現される機能部として制御部300が備えるCPU(図示せず)によって、メモリまたはCD−ROMなどの記録媒体(図示せず)に記憶されるプログラムを実行することで実現される。または、上記各部は、ASIC(Application Specific IC)またはPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現されてもよい。
操作制御部301は、操作ダイヤル144、火力操作部162または操作表示部180からの操作信号を受信し、操作信号に応じた処理を行う。具体的には、操作制御部301は、火力操作部162を介して火力を調節する操作がなされた場合、操作内容に応じた制御信号を生成し、加熱制御部303へ送信する。また、操作制御部301は、操作表示部180を介して、成分検知装置1の成分検知制御に関する操作がなされた場合、操作内容に応じた制御信号を生成し、成分管理制御部304に送信する。
報知部302は、加熱調理器100の動作状態および設定、ならびに成分検知装置1によって検知された成分情報などを使用者に報知するために、火力表示部164および操作表示部180の表示を制御する。例えば、報知部302は、加熱調理器100の加熱調理に関する設定情報または成分検知装置1によって検知された成分情報および後述する保護制御に関する情報を操作表示部180に表示する。なお、報知部302は、操作表示部180における文字等による表示だけでなく、加熱調理器100が備えるスピーカ(図示なし)などから音声によって、各種情報を報知してもよい。
加熱制御部303は、操作制御部301からの制御信号および、温度検知部230からの温度情報を用いて、加熱コイル200を駆動する信号を高周波インバータ330に送信する。また、加熱制御部303は、操作制御部301からの制御信号に基づき、グリル130の内部に収容されたグリルヒータ(図示せず)を駆動する信号を高周波インバータ330に送信してもよい。
成分管理制御部304は、操作制御部301からの制御信号に基づいて、成分検知装置1への指令を生成し、通信部310を介して成分検知装置1へ送信する。また、成分検知装置1で検知された調理物の成分情報を、通信部310を介して受信し、報知部302へ送信する。さらに、成分管理制御部304は、加熱調理器100における成分管理を適切に行うため、成分検知装置1との通信状態および成分検知装置1の動作状態などを判定する保護制御を行う。
記憶部305は、不揮発性のメモリなどからなり、加熱調理器100の表示および制御などに用いられる各種データおよびプログラムを記憶する。具体的には、記憶部305には、操作表示部180に表示する表示データおよび成分管理制御部304が受信した成分情報、および保護制御に用いられる各種パラメータなどが記憶される。
(成分検知装置の構成)
次に、成分検知装置1の構成について説明する。図4は、本実施の形態の成分検知装置1の正面斜視図であり、図5は、本実施の形態の成分検知装置1の背面斜視図である。また、図6は、本実施の形態の成分検知装置1の内部構成を示す図である。本実施の形態の成分検知装置1は、加熱調理器100に載置された調理物の成分情報等を加熱調理器100との間で無線通信可能に構成されたものである。
図4および図5に示すように、成分検知装置1は、略直方体形状の筐体10を備える。筐体10は、多様なpH条件下(例えば、酸性条件下、アルカリ性条件下)での使用に長期間耐えうる耐食性を有し、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。例えば、筐体10は、シリコーン樹脂、耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)またはポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製とすることができる。または、筐体10は、ステンレスまたはアルミ等の金属製とすること、もしくは樹脂および金属を組み合わせたものとしてもよい。
筐体10の正面の上部には、円形状の表示窓21が設けられている。表示窓21は、円形状の開口部が光透過性のフィルムまたはシート等の光透過性部材で覆われた構造となっており、開口部にはLED等の発光素子(表示ランプ)からなる表示部20が設けられている。円形状の開口部と光透過性部材との間の隙間部分は、水分等の液体成分が筐体10の内部に浸入しないように、例えば耐熱性の高い接着剤等で閉塞(密封)される。
筐体10の正面の下部には、成分検知部51が設けられている。成分検知部51は、筐体10の正面の下部に形成された矩形状の開口部内に配置される。矩形状の開口部と成分検知部51との間の隙間部分は、水分等の液体成分が筐体10の内部に浸入しないように、例えばゴムパッキン等(図示せず)で密封される。
筐体10の背面の中央部には、筐体10の側面側から見てL字状となるかぎ型(フック)の支持部30が設けられる。本実施の形態では、容器400の縁に支持部30が引っかけられることで、成分検知装置1が容器400に取り付けられる(図2)。なお、支持部30の形状は、L字状に限定されるものではなく、取り付ける対象物の構造等によって任意の形状にすることができる。また、支持部30の位置は、検知部50が検知する調理物の位置、筐体10の長手方向の寸法、および成分検知装置1を取り付ける鍋またはフライパン等の容器400の構造等によって、任意に設定される。なお、成分検知装置1は、支持部30が取り付けられる位置を基準として、下方の重量が上方の重量よりも大きくなるように構成される。すなわち、成分検知装置1は、支持部30の取り付け位置より下方に比重があるように構成されている。これにより、成分検知装置1を安定して容器400に取り付けることができる。
支持部30は、筐体10と同様に耐食性、耐水性、および耐熱性が高い材質で形成される。例えば、支持部30は、シリコーン樹脂製、耐熱性および強度の高いプラスチック樹脂であるポリフェニレンスルファイド(PPS)又はポリブチレンテレフタレート(PBT)等のエンジニアリングプラスチック樹脂製、ステンレスまたはアルミ等の金属製、もしくは樹脂および金属の組み合わせで形成される。また、支持部30は、筐体10と同一の材料で構成されてもよく、別の材料で構成されてもよい。例えば、成分検知装置1は、金属製の筐体10に樹脂製の支持部30を配置して構成したものとしてもよい。
筐体10の背面の支持部30の上方には、成分検知装置1の電源部60の電源として用いられる電池61を挿入するための電池挿入部62が形成される。電池挿入部62の形状は、電池61の種類に応じて任意の形状とすることができる。例えば、ボタン型電池を電池61として採用する場合は、図5に示すように円柱形の挿入部とすることができる。電池挿入部62の内縁面には、パッキン63が配置され、筐体10の内部への液体の浸入を防いでいる。パッキン63の材料は、防水性(止水性)のある材質であればよく、例えばシリコーンゴム製にできる。電池挿入部62は着脱可能に取り付けられる電池カバー64で密閉される。電池カバー64により、電池挿入部62への液体の浸入が防止され、電池挿入部62に汚れが付着することが抑制される。なお、電池61は一次電池または二次電池(充電池)の何れであってもよい。
また、図5に示すように、筐体10の上面には、加熱調理器100と無線通信を行うための通信ポート41が配置される。通信ポート41は、加熱調理器100と安定した通信を行うことが可能な、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)樹脂等の電波透過性の高い材質で構成される。
以上に説明したとおり、成分検知装置1の筐体10、ならびに筐体10に配置される各構成要素は、全て防水性のある材質で構成される。そのため、成分検知装置1を調理物に投入した後で、調理物による汚れを除去するために洗浄することが可能となる。
次に、図6を参照して成分検知装置1の内部構成について説明する。図6に示すように、成分検知装置1は、表示部20と、通信部40と、検知部50と、電源部60と、制御部70と、を備える。
検知部50は、調理物の成分を検知する成分検知部51と、調理物の温度を検知する温度検知部52とを備え、調理物の成分および成分検知時の温度等を検知する。図4に示すように、成分検知部51は、筐体10の正面下部に設けられた矩形状の開口部に装着されている。成分検知部51は、調理物の成分を検知するための様々な検知手段を備える。例えば、成分検知部51は、調理物の塩分をナトリウムイオン電極法を用いて検知するためのガラス電極および比較電極を備えてもよい。または、成分検知部51は、調理物の塩分を検知するために、液体の電気伝導度(導電率)を検知するセンサ、もしくは液体の屈折率から塩分を光学的に検知するセンサなどを備えることができる。
また、成分検知部51は、調理物の糖分をbrix糖度(屈折率糖度)として検知するための光センサ、または糖による光の吸収を検知する光センサを備えることができる。なお、brix糖度を検知する光センサは、糖による光の屈折率を利用したものである。また、糖による光の吸収を検知できる光センサは、赤外線分光分析法や散乱光路長補正吸収方式(TFDRS)を利用したものである。これによって、調理物中の糖分の指標となるデータを成分検知部51で検知することができる。
また、成分検知部51は、ガラス電極法を用いて、調理物の酸味を表す指標であるpH値を検知してもよい。これによって、調理物中のpH値の指標となる調理物中の電位差が検知される。なお、pH値の検知には、小型化(微小化)が可能で割れにくい半導体センサであるpHセンサを用いてもよい。
また、成分検知部51は、調理物の旨味成分を検知するための作用電極と参照電極とを備えてもよい。ここで、「旨味成分」とは、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸成分、イノシン酸、グアニル酸、キサンチル酸等の核酸構成物質のヌクレオチド成分、若しくはコハク酸等の有機酸成分、またはそれらの酸の塩化合物のことである。例えば、グルタミン酸は、生体内におけるアミノ酸の分解又は窒素の代謝に関与し、哺乳動物の神経系における神経伝達物質の1つとして学習又は記憶に関与する重要なアミノ酸である。また、グルタミン酸は、近年では、自閉症、アルツハイマー病等の疾患の関連性も指摘されている。グルタミン酸の電気分解の際に流れる電流は、グルタミン酸の濃度の指標となる。したがって、作用電極および参照電極に電圧を印加して電気分解を行うことにより、グルタミン酸の濃度の指標となる電流を検知することができる。
温度検知部52は、成分検知装置1の筐体10に接触する調理物の温度を、筐体10を介在して間接的に検知するものである。すなわち、温度検知部52は、筐体10の内表面(図示せず)に接触させることにより、調理物が接触する筐体10の温度を検知するものである。温度検知部52は、例えばサーミスタ等の半導体温度センサである。
また、調理物が接触し、かつ、温度検知部52が接触する筐体10の部分(例えば、図4における筐体10の正面に設けられた矩形状の開口部の上方部分)を、熱伝導率の高い金属製としてもよい。これにより、温度検知部52が検知する温度と、調理物の温度との温度差を小さくでき、検知精度を向上させることができる。具体的には、温度検知部52が接触する筐体10の部分は、ステンレスまたはアルミ等の耐食性の高い金属製としてもよい。また、温度検知部52が接触する筐体10の部分に表面処理をしてもよいし、フッ素等で塗膜処理をしてもよい。表面処理又は塗膜処理によって、調理物に対する耐食性に加え、撥水性が向上するため、調理物による汚れの清掃が容易となる。
本実施の形態では、図2に示すように、成分検知部51が下方となるように成分検知装置1が容器400に取り付けられ、成分検知部51および温度検知部52が調理物450に浸かった状態で、成分検知が行われる。成分検知部51および温度検知部52による検知結果は、制御部70に送信される。
通信部40は、通信ポート41を介して、加熱調理器100と双方向で情報通信を行うものである。詳しくは、通信部40は、検知部50で検知した成分情報を加熱調理器100に送信する。また、通信部40は、加熱調理器100からの起動指令、成分検知の開始/停止指令などの指令信号(制御信号)を加熱調理器100から受信し、制御部70に送信する。
本実施の形態の通信部40は、成分検知装置1の操作性を向上させるために、無線通信モジュールを用いて構成され、加熱調理器100との間で無線通信を行う。本実施の形態においては、加熱調理器100との間の無線通信は、金属帯が伝送経路に介在すると電波が遮蔽されてしまうため、電波透過性が高い通信ポート41を介して行われる。なお、通信部40は、加熱調理器100と有線通信を行うものであってもよい。
なお、通信部40は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等の加熱調理器100以外の外部機器と双方向で無線通信できるように構成してもよい。例えば、通信部40の使用周波数帯をWi−Fiモジュールと無線通信可能な周波数帯とすることにより、外部機器との通信の拡張性を向上させることができる。
電源部60は、加熱調理器100から独立して、成分検知装置1に電力を供給するものであり、ボタン電池または乾電池等の電池61を電源とするものである。電源部60は、制御部70による制御の下、成分検知装置1の各部に電力を供給する。なお、電源部60の電源は、電池61に限定されるものではなく、加熱調理器100または家庭用電源等への有線接続、または非接触給電を用いてもよい。
表示部20は、成分検知装置1の給電状態、加熱調理器100との通信状態等の成分検知装置1の動作状態(使用状況)を発光等により報知するものである。表示部20は、例えばLEDで構成され、成分検知装置1が電源ONの場合に点灯するよう制御部70によって制御される。表示部20の発光が、筐体10の正面に設けられた表示窓21を通して使用者に視認されることで、使用者の利便性を向上させることができる。
制御部70は、成分検知装置1の各部を制御するものであり、機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されるか、またはマイコンやCPU等の演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成される。図6に示すように、制御部70は、指令制御部71と、成分分析部72とを有する。指令制御部71および成分分析部72は、ソフトウェアで実現される機能部として制御部70が備えるCPU(図示せず)によって、メモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される。または、上記各部は、ASIC(Application Specific IC)またはPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現されてもよい。
指令制御部71は、通信部40を介して加熱調理器100から受信する指令に応じて、成分検知装置1の各部を制御する。具体的には、指令制御部71は、加熱調理器100から、起動指令を受信した場合、電源部60を制御して、成分検知装置1の各部への通電を開始するとともに、表示部20を点灯する。また、指令制御部71は、加熱調理器100から、成分検知の開始指令を受信した場合、検知部50による成分検知を開始し、検知結果を加熱調理器100へ送信する。また、指令制御部71は、加熱調理器100から、成分検知の停止指令を受信した場合、検知部50による成分検知および検知結果の送信を停止する。
成分分析部72は、成分検知部51が検知した検知値を、温度検知部52で検知した温度を用いて補正し、調理物の成分濃度などの成分値を算出する。成分検知部51で検知される検知値は、調理物の検知対象成分又はその成分の検知方法によっては、調理物の温度によって影響を受ける場合がある。例えば、汁物の成分等の液体中の塩分を、電気伝導度を検知するセンサ(導電率方式)で検知する場合、温度上昇に伴い溶液中のイオン運動が活性化し導電率が高くなる。導電率方式では、溶液の導電率を比較することで塩分値が算出されるため、同一温度での検知値の比較が検知値の精度向上の観点から要求される。
したがって、成分分析部72においては、例えば、2つの検知値を測定した時点での温度が互いに異なっている場合、成分検知部51が検知した検知値は、温度検知部52で検知された温度情報を用いて、同一温度(例えば25℃)における導電率に換算される。その後、成分分析部72においては、同一温度溶液の導電率を比較することにより塩分値が算出される。
また、塩分の算出のために、ナトリウムイオン電極法を用いて起電力を検知する場合も、溶液中のイオン運動の活性化により、溶液中の温度に依存して起電力が変化する。したがって、ナトリウムイオン電極法を用いた場合、成分分析部72においては、成分検知部51が検知した検知値である起電力の値は、温度検知部52が検知した温度情報で補正されて、塩分値として算出される。
なお、他の方法での塩分の検知、またはグルタミン酸等の他の成分の検知においても、成分分析部72によって、温度検知部52が検知した温度情報で、成分検知部51が検知した検知値を補正して成分値として算出できる。成分分析部72によって算出された成分値は、成分情報として、通信部40を介して加熱調理器100に送信される。なお、このとき、温度検知部52により検知された温度情報も一緒に加熱調理器100に送信してもよい。また、加熱調理器100の制御部300に成分分析部72を備える構成とし、成分検知部51および温度検知部52が検知した実測データを、成分情報として加熱調理器100に送信してもよい。
(加熱調理器および成分検知装置の成分検知動作)
次に、本実施の形態における加熱調理器100および成分検知装置1の動作について説明する。本実施の形態における加熱調理器100および成分検知装置1は互いに連動する。図7は、本実施の形態における加熱調理器100および成分検知装置1の成分検知制御の流れを示すフローチャートである。図7において、実線は加熱調理器100および成分検知装置1における制御の流れを示し、破線は加熱調理器100と成分検知装置1との間の信号の流れを示す。本実施の形態では、加熱調理器100において予め設定された間隔で、成分検知装置1が自動的に成分検知を行う、自動検知処理が実施される。
本処理の開始前に、加熱調理器100の何れかの加熱口150の上に、調理物が収容された容器400が載置され、容器400に成分検知装置1が取り付けられる。このとき、成分検知装置1は、通信部40における受信のみが可能な待機状態となっており、検知部50などには通電されていない。そして、加熱調理器100による加熱が開始される。そして、まず、使用者によって加熱調理器100の操作表示部180が操作され、メニュー画面が表示される(S1)。図8は、加熱調理器100の操作表示部180に表示されるメニュー画面の一例である。メニュー画面は、加熱調理器100で実施される「煮物」、「揚げ物」、「成分管理」などの複数のメニュー項目181を含んでいる。なお、図8は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
図7に戻って、ステップS2では、メニュー画面から「成分管理」が選択されたか否かが操作制御部301によって判断される(S2)。ここで、「成分管理」が選択されない場合(S2:NO)、選択された項目にしたがって、通常の加熱調理動作が継続される(S19)。
一方、「成分管理」が選択された場合(S2:YES)、加熱調理器100の成分管理制御部304によって、成分検知装置1を起動するための起動指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S3)。加熱調理器100から送信された起動指令は、成分検知装置1の通信部40によって受信される(S4)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、電源部60が制御され、検知部50を含む成分検知装置1内の各部への通電が開始される(S5)。
また、加熱調理器100では、使用者によって、成分検知の開始指示がなされたか否かが判断される(S6)。図9は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される成分検知の開始指示画面の一例である。開始指示画面は、メニュー画面において、「成分管理」が選択された場合に表示される。図9に示すように、開始指示画面は、「START」ボタン182と「CANCEL」ボタン183とを含む。なお、図9は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
図7に戻って、成分検知の開始指示がなされていない場合(S6:NO)、すなわち「CANCEL」ボタン183が押された場合は、ステップS16へ移行する。一方、成分検知の開始指示がなされた場合(S6:YES)、すなわち「START」ボタン182が押された場合、成分管理制御部304によって、成分検知を開始する開始指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S7)。
加熱調理器100から送信された開始指令は、成分検知装置1の通信部40によって受信される(S8)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、成分検知部51および温度検知部52に成分検知指令が送られ、成分検知部51および温度検知部52による調理物の成分検知および温度検知が行われる(S9)。そして、成分検知装置1の成分分析部72において、成分検知部51および温度検知部52によって検知されたデータから、調理物の成分分析が行われる(S10)。このとき、分析される成分情報としては、塩分、糖分、等の成分種、成分濃度、糖度、単位当たり含有量、PH値、等があり、検出される成分とその量を表すものとし、検知される成分種は、一つまたは複数でも構わない。
成分分析部72による成分分析が完了すると、成分分析結果が成分情報として成分検知装置1の通信部40から加熱調理器100に送信される(S11)。このとき、成分検知装置1は、加熱調理器100に加え、携帯電話、タブレットまたはPC等の外部機器にも成分情報を送信してもよい。
成分検知装置1から送信された成分情報は、加熱調理器100の通信部310によって受信される(S12)。そして、加熱調理器100の報知部302によって、受信した成分情報が使用者に報知される(S13)。具体的には、報知部302によって、操作表示部180に成分情報が表示される。図10は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される成分表示画面の一例である。図10に示すように、成分表示画面には、成分情報184と、成分検知の停止を指示するための「STOP」ボタン185とが表示される。なお、図10は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、「STOP」ボタン185は、成分情報184とは別の画面に表示されてもよい。また、成分情報は、加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよい。
図7に戻って、加熱調理器100において、待機時間T1が経過したか否かが判断される(S14)。待機時間T1は、成分情報の検知間隔として予め設定された時間であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、待機時間T1が経過していない場合は(S14:NO)、成分検知を停止するか否かが判断される(S15)。ここでは、使用者によって操作表示部180に表示された成分表示画面における「STOP」ボタン185が押された場合に、成分検知を停止すると判断される。そして、成分検知を停止しない場合は(S15:NO)、ステップS14に戻る。
「STOP」ボタン185が押されないまま、待機時間T1が経過した場合(S14:YES)、ステップS7に戻って、加熱調理器100の通信部310から成分検知装置1に開始指令が送信される(S7)。これにより、成分検知装置1は、「STOP」ボタン185が押されるまで、予め設定された時間(待機時間T1)間隔で自動的に成分検知を行い、加熱調理器100に成分情報を送信する。
一方、「STOP」ボタン185が押され、成分検知を停止する場合(S15:YES)、加熱調理器100の成分管理制御部304によって成分検知を停止するための停止指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信される(S16)。その後、加熱調理器100は、通常動作に戻る(S19)。加熱調理器100から送信された停止指令は、成分検知装置1の通信部40によって受信される(S17)。そして、成分検知装置1の指令制御部71によって、電源部60が制御され、成分検知装置1内の各部への通電が停止される(S18)。
(加熱調理器および成分検知装置の保護制御動作)
ここで、成分検知装置1の故障、加熱調理器100の通信ポート190と成分検知装置1の通信ポート41との間の遮蔽物などの影響により、加熱調理器100と成分検知装置1との間に通信不良が発生することがある。このような場合、加熱調理器100からの制御信号が成分検知装置1において正常に受信されず、成分検知装置1による成分検知が適切に行われなくなってしまう。または、加熱調理器100において、成分検知装置1から送信される成分情報を受信できなくなってしまう。このような状態で処理を継続した場合には、適切な成分管理を行うことができない。そこで、本実施の形態では、加熱調理器100および成分検知装置1を保護するための制御として、加熱調理器100の成分管理制御部304において、加熱調理器100と成分検知装置1との通信が正常に行われているか否かが判定される。
図11は、本実施の形態の加熱調理器100における保護制御の流れを示すフローチャートである。図11に示す保護制御は、図7に示す成分検知制御と並行して実施されるものである。まず、加熱調理器100において、成分検知の開始指示がなされ(図7のS6:YES)、開始指令が送信されると(S7)、成分検知装置1から成分情報を受信したか否かが判断される(S21)。ここで、成分検知装置1から成分情報を受信した場合は(S21:YES、S12)、加熱調理器100の報知部302によって、受信した成分情報が使用者に報知される(S13)。
一方、成分検知装置1から成分情報を受信していない場合(S21:NO)、開始指令を送信してから待機時間T2が経過したか否かが判断される(S22)。待機時間T2は、待機時間T1よりも短い時間であり、予め設定され加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、待機時間T2が経過していない場合(S22:NO)、ステップS21へ戻る。一方、待機時間T2が経過した場合(S22:YES)、加熱調理器100の報知部302によって、加熱調理器100と成分検知装置1との間に通信不良が発生していることが使用者に報知される(S23)。具体的には、報知部302によって、操作表示部180に通信不良情報が表示される。通信不良情報を表示した後は、ステップS14へ移行する。
図12は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される通信不良情報の一例である。図12に示すように、成分検知装置1から成分情報を受信できなかったことが警告メッセージとして表示される。なお、図12は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、通信不良情報が加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよく、または携帯端末などの外部機器から出力されてもよい。また、通信不良情報として成分検知装置1との通信不良を報知する警告メッセージとともに、通信不良を回復させるためのアドバイスを表示させてもよい。具体的には、成分検知装置1の故障の有無、または加熱調理器100の通信ポート190周辺の遮蔽物の有無などを確認するよう促すメッセージを表示してもよい。
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1と加熱調理器100とが連動することにより、調理中の調理物の成分検知を自動的に行うことができる。これにより、使用者の手間が軽減し、利便性が向上することで、健康に関心が高い使用者の調理アシストが可能となる。また、成分検知装置1によって検知された成分濃度が加熱調理器100にて報知されることで、調理の仕上がりの安定性が向上し、使用者の満足感を向上させることができる。また、調理中に成分検知装置1本体に触れることなく成分検知ができることで、使用者の煩わしさも低減される。
また、成分検知制御を行う際に、保護制御として加熱調理器100と成分検知装置1との通信状態を確認することで、通信不良の発生を使用者に報知することができ、使用者の利便性が向上するとともに、成分情報が適切に送信されない状態で成分管理が継続されることを抑制することができる。
なお、上記では、成分検知装置1は、「STOP」ボタン185が押されるまで、予め設定された時間間隔で自動的に成分検知を行う構成としたが、所定の検知回数に達するまで、予め設定された時間間隔で自動的に成分検知を行う構成としてもよい。また、成分検知装置1との通信不良を報知した後(S23)、成分検知装置1に停止指令を送信し(S16)、成分検知装置1を停止させ、選択された項目にしたがって、通常の加熱調理動作を継続させてもよい(S19)。または、成分検知装置1との通信不良を報知した後に(S23)、成分管理を継続するか否かを使用者に選択させてもよい。
さらに、上記実施の形態では、成分検知装置1からの成分情報の受信の有無に基づいて通信不良を検知したが、起動指令(S3)または停止指令(S16)の送信時に、成分検知装置1から受信完了通知を送信させ、待機時間T2内に成分検知装置1から受信完了通知を受信したか否かに基づいて通信不良を報知してもよい。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、成分検知装置1との通信不良の検知回数に応じて成分検知装置1を自動停止させる点で実施の形態1と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図13は、本実施の形態の加熱調理器100における保護制御の流れを示すフローチャートである。図13において、図7および図11に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本実施の形態では、加熱調理器100において、成分検知の開始指示がなされると(S6:YES)、通信不良回数nがリセットされ、「0」とされる(S31)。通信不良回数nは、成分検知装置1の駆動毎に設定されるものであり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、成分管理制御部304によって開始指令が送信され(S7)、成分検知装置1から成分情報を受信したか否かが判断される(S21)。そして、成分情報を受信した場合は(S21:YES、S12)、成分情報の報知(S13)が行われ、待機時間T1の経過に応じて(S14)処理が継続される。
一方、成分検知装置1から成分情報を受信していない場合(S21:NO)、開始指令を送信してから待機時間T2が経過したか否かが判断される(S22)。そして、待機時間T2が経過していない場合(S22:NO)、ステップS21へ戻る。一方、待機時間T2が経過した場合(S22:YES)、実施の形態1と同様に、加熱調理器100の報知部302によって、加熱調理器100と成分検知装置1との間に通信不良が発生していることが使用者に報知される(S23)。
そして、通信不良回数nに1が加算され(S32)、通信不良回数nが許容回数NLよりも大きいか否かが判断される(S33)。許容回数NLは、許容可能な通信不良の回数であり、予め設定され加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、通信不良回数nが許容回数NL以下の場合(S33:NO)、待機時間T1の経過に応じて(S14)、処理が継続される。一方、通信不良回数nが、許容回数NLを超えた場合(S33:YES)、加熱調理器100の報知部302によって、成分検知装置1を自動停止することが報知される(S34)。
具体的には、操作表示部180に成分検知装置1の自動停止を報知する自動停止報知画面が表示される。図14は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される自動停止報知画面の一例である。図14に示すように、自動停止報知画面には成分検知装置1の自動停止を報知する警告メッセージが表示される。なお、図14は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、成分検知装置1を自動停止することが、加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよく、または携帯端末などの外部機器から出力されてもよい。
そして、ステップS16へ移行し、成分管理制御部304によって成分検知装置1の停止指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。その後は、加熱調理器100における通常動作が継続される(S19)。
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1との通信不良が一時的に発生した場合は、成分検知装置1が停止されることなく成分検知動作が継続されるとともに、通信不良が継続的に発生した場合は、成分検知装置1が自動停止される。これにより、使用者の利便性が向上するとともに、通信不良が発生している成分検知装置1が放置された場合の不要な電力を低減できる。
なお、成分検知装置1の故障などによる通信不良の場合は、成分検知装置1が加熱調理器100からの停止指令を受信できない。そのため、図14の自動停止報知画面に、成分検知装置1を手動で停止するよう指示するメッセージを報知してもよい。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、成分検知装置1との通信不良の検知回数に応じて報知を行う点、および通信不良が発生した場合に待機時間T1の経過を待たずに連続して開始指令を送信する点で実施の形態1と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図15は、本実施の形態の加熱調理器100における保護制御の流れを示すフローチャートである。図15において、図7、図11および図13に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本実施の形態では、加熱調理器100において、成分検知の開始指示がなされると(S6:YES)、通信不良回数nがリセットされ、「0」とされる(S31)。そして、成分管理制御部304によって開始指令が送信され(S7)、成分検知装置1から成分情報を受信したか否かが判断される(S21)。そして、成分情報を受信した場合は(S21:YES)、成分情報の受信(S12)および報知(S13)がなされ、待機時間T1の経過に応じて(S14)処理が継続される。
一方、成分検知装置1から成分情報を受信していない場合(S21:NO)、開始指令を送信してから待機時間T2が経過したか否かが判断される(S22)。そして、待機時間T2が経過していない場合(S22:NO)、ステップS21へ戻る。一方、待機時間T2が経過した場合(S22:YES)、通信不良回数nに1が加算され(S32)、通信不良回数nが許容回数NLよりも大きいか否かが判断される(S33)。
そして、通信不良回数nが許容回数NL以下の場合(S33:NO)は、ステップS7に戻って開始指令が送信される(S7)。すなわち、本実施の形態では、待機時間T2内に成分検知装置1から成分情報を受信していない場合(S22:YES)、成分検知装置1の検知間隔である待機時間T1の経過を待たずに、成分検知装置1に再度開始指令が送信される。
そして、通信不良回数nが、許容回数NLを超えた場合(S33:YES)は、実施の形態1と同様に、加熱調理器100の報知部302によって、加熱調理器100と成分検知装置1との間に通信不良が発生していることが使用者に報知される(S23)。その後は、ステップS14へ移行し、待機時間T1の経過に応じて(S14)処理が継続される。
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1との通信不良が一時的に発生した場合は、通信不良が報知されることなく成分検知動作が継続されるとともに、通信不良が継続的に発生した場合は、通信不良が報知される。これにより、使用者の利便性が向上する。また、待機時間T1の経過を待たずに成分情報が入手できることで、通信不良が継続的に発生していることを早期に発見することができる。
なお、上記実施の形態において、通信不良を報知した後、実施の形態2と同様に、成分検知装置1に停止指令を送信し、成分検知装置1を停止させて、成分管理を終了してもよい。または、通信不良を報知した後、成分検知動作を継続するか否かを使用者に選択させてもよい。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態1〜3では、保護制御として加熱調理器100と成分検知装置1との間の通信状態を判定して報知するものであったが、実施の形態4では、成分検知装置1から受信した成分情報に基づいて、成分検知装置1の状態を判定して報知する点において、実施の形態1〜3と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図16は、本実施の形態の加熱調理器100における保護制御の流れを示すフローチャートである。図16において、図7に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本実施の形態では、成分検知の開始指示がなされ(S6:YES)、開始指令が送信されると(S7)、成分管理制御部304によって状態判定処理が行われる(S40)。状態判定処理は、成分検知装置1からの成分情報に基づいて、成分検知装置1の状態、すなわち成分検知装置1における成分検知が正常に行われているか否かを判定する処理である。
図17は、本実施の形態における状態判定処理の流れを示すフローチャートである。図17において、図7に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、まず、成分検知装置1から成分情報dが受信される(S12)。そして、受信した成分情報dが成分情報の許容範囲内(dmin≦d≦dmax)であるか否かが判断される(S41)。成分情報の許容範囲における最小値dminおよび最大値dmaxは、各成分毎に予め設定され、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。例えば、最小値dminおよび最大値dmaxには、最小値dmin=0%、および最大値dmax=100%といった、濃度としての限界値、または最小値dmin=2%、および最大値dmax=10%といった食材の濃度として想定される値等が設定される。
そして、成分検知装置1から受信した成分情報dが、許容範囲内である場合(S41:YES)、成分検知装置1の状態が正常であると判断し、報知部302によって、受信した成分情報dが使用者に報知される(S13)。
一方、成分検知装置1から受信した成分情報dが、許容範囲外である場合(S41:NO)、すなわち成分情報dが最小値dmin未満、または最大値dmaxより大きい場合には、成分検知装置1による成分検知が正常に行われていないと判断し、報知部302によって成分検知装置1の状態が正常でないこと、すなわち異常状態であることが使用者に報知される(S42)。図18は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される異常状態情報の一例である。図18に示すように、操作表示部180に、成分検知装置1が正常に動作していないことを示す警告メッセージが表示される。なお、図18は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、異常状態情報が加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよく、または携帯端末などの外部機器から出力されてもよい。また、成分情報dが許容範囲内でない要因として、成分検知装置1の故障だけではなく、調理物が焦げ付きや煮詰まり等の異常な状態であることも考えられる。そのため、異常状態情報として、成分検知装置1の状態に加え、調理物の状態についても報知を行ってもよい。
成分情報の報知後(S13)または異常状態の報知後は(S42)、状態判定処理を終了し、図16のステップS14へ移行する。
図19は、本実施の形態における状態判定処理の例を示す図である。図19は、成分情報として成分濃度を用いて状態判定処理を行う場合を例としたものである。なお、状態判定処理に用いられる成分情報は、成分濃度に限定されるものではない。図19に示す例では、測定回数N回目およびN+2回目の成分情報dは、許容範囲内であるため、成分検知が正常に行われていると判定される。一方、測定回数N+1回目およびN+3回目の成分情報dは、許容範囲外であるため、成分検知が正常に行われていないと判定され、異常状態であることが使用者に報知される。
以上のように、本実施の形態によれば、成分検知装置1が正常に動作していない、調理物が焦げ付いている、または煮詰まっているといった状態を早期に検知し、使用者に報知することができる。これにより、調理の作り直しの手間や作り直しに伴う食材費や電力の消費を低減でき、使用者の利便性が向上する。
なお、上記実施の形態では、一定の許容範囲を用いて状態判定処理を行う場合について説明したが、許容範囲を可変としてもよい。図20は、本実施の形態の変形例における状態判定処理の例を示す図である。図20に示すように、加熱調理器100の成分管理制御部304は、加熱調理器100の加熱コイル200に供給される電力量の積算値に応じて、成分情報の許容範囲の最小値dminおよび最大値dmaxを自動的に変更してもよい。この場合、加熱調理器100において、受信した成分情報dと投入電力とを記憶部305に随時記憶しておく。ここで、加熱調理器100で加熱調理を行う場合、積算電力量の増加に応じて、調理物の成分濃度が高くなると考えられる。そのため、図20の例では、許容範囲の最小値dminは固定値とし、最大値dmaxは積算電力量に応じて増加する。
このように、積算電力量に応じて許容範囲を変更することで、成分情報dの変化に応じた状態判定を行うことができる。また、異常状態の検知回数を削減することもでき、成分検知装置1の寿命を延長できる。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、状態判定処理において、成分検知装置1から受信した成分情報の時間当りの変化量または変化率に基づいて、成分検知装置1の状態を判定する点において、実施の形態4と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図21は、本実施の形態における状態判定処理の流れを示すフローチャートである。図21において、図7および図17に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、まず、成分検知装置1から、成分情報dが受信される(S12)。そして、受信した成分情報dが記憶部305に記憶される(S401)。そして、起動指令を送信してから、1回目の成分情報dの受信であるか否かが判断される(S402)。成分情報dの受信が1回目である場合は(S402:YES)、報知部302によって、受信した成分情報dが報知される(S13)。
一方、成分情報dの受信が1回目でない場合(S402:NO)、成分管理制御部304によって、記憶部305に記憶される前回の成分情報dと今回受信した成分情報dとの差である変化量Δdが算出される(S403)。変化量Δdは、時間当り(すなわち待機時間T1当り)の成分情報dの変化量である。そして、算出された変化量Δdが許容範囲内(L1≦Δd≦U1)であるか否かが判断される(S404)。変化量Δdの許容範囲の下限値L1および上限値U1は、成分毎に予め設定され、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、成分情報dの変化量Δdが許容範囲内である場合(S404:YES)、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていると判断し、報知部302によって、受信した成分情報dが使用者に報知される(S13)。
一方、成分情報dの変化量Δdが許容範囲外である場合(S404:NO)、すなわち変化量Δdが下限値L1未満、または上限値U1より大きい場合には、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていないと判断し、実施の形態4と同様に、報知部302によって、異常状態であることが使用者に報知される(S42)。一般的に、加熱調理の進行に応じて、成分情報は変化すると考えられる、そのため、成分情報dの変化量Δdが、下限値L1未満の場合、すなわち全く変動がない場合は、成分検知が正常に行われていないと判断される。また、成分情報dの変化量Δdが、上限値U1よりも大きい場合も同様に、成分検知が正常に行われていないと判断される。なお、成分情報dの変化量Δdが下限値L1未満の場合、または成分情報dの変化量Δdが上限値U1よりも大きい場合は、調理物に異常が発生している可能性も考えられる。
成分情報の報知後(S13)または異常状態の報知後は(S42)、状態判定処理を終了し、図16のステップS14へ移行する。なお、ステップS403〜S404において、記憶部305に記憶される前回の成分情報dと今回受信した成分情報dとの差である変化量Δdに替えて、記憶部305に記憶される前回の成分情報dと今回受信した成分情報dとの比率である変化率を用いてもよい。さらに、変化量または変化率を、一つ前の成分情報と比較することに限らず、初回または数回前の成分情報と比較してもよい。
図22は、本実施の形態における状態判定処理の例を示す図である。図22は、成分情報として成分濃度を用いて状態判定処理を行う場合を例としたものである。なお、状態判定処理に用いる成分情報は、成分濃度に限定されるものではない。図22に示すように、成分情報を受信する度に、前回の成分情報dと今回受信した成分情報dとの差Δdが算出され、下限値L1および上限値U1との比較が行われる。また、成分検知装置1から受信した成分情報dと記憶部305に記憶される複数回前の成分情報とを比較して、全く変動がない場合にも、成分検知が正常に行われていないと判定し、異常状態であることを使用者に報知してもよい。本実施の形態によれば、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6では、状態判定処理において、成分検知装置1から受信した成分情報と、過去の成分情報および積算投入電力量から推定される成分情報とを比較して、成分検知装置1の状態を判定する点において、実施の形態4と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図23は、本実施の形態における状態判定処理の流れを示すフローチャートである。図23において、図7、図17および図21に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、まず、成分検知装置1から、成分情報dが受信される(S12)。そして、受信した成分情報dが記憶部305に記憶される(S401)。そして、起動指令を送信してから、3回目以降の成分情報dの受信であるか否かが判断される(S411)。ここで、3回目未満である場合は(S411:NO)、報知部302によって、受信した成分情報dが報知される(S13)。
一方、成分情報の受信が3回目以降である場合(S411:YES)、成分管理制御部304によって、過去2回(N−2回目およびN−1回目)の成分情報と積算投入電力量から、成分情報の推定値devが算出される(S412)。詳しくは、成分管理制御部304は、過去2回(N−2回目、N−1回目)の成分情報と積算投入電力量から、変化量Δdおよび投入電力量Δwを算出する。そして、変化量Δdと投入電力量Δwの関係式(例えば一次関数)を算出する。そして、算出した関係式から推定値devを求める。さらに、推定値devに許容範囲(±α)を設定する。ここで、許容範囲αは成分毎に予め設定され、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。なお、変化量Δdと投入電力量Δwとの関係式は、過去2回の成分情報の変化量および投入電力量から算出するものに限定されない。例えば、初回からの成分情報の変化量および投入電力量、または複数回前からの成分情報の変化量および投入電力量から算出してもよい。また、関係式は1次関数に限定されるものではない。
そして、N回目に受信した成分情報dが、推定値devの許容範囲内であるか否かが判断される(S413)。そして、N回目に受信した成分情報dが、推定値devの許容範囲内である場合(S413:YES)、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていると判断し、報知部302によって、受信した成分情報dが使用者に報知される(S13)。一方、N回目に受信した成分情報dが、推定値devの許容範囲外である場合(S413:NO)、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていないと判断し、実施の形態4と同様に、報知部302によって、異常状態であることが使用者に報知される(S42)。なお、N回目に受信した成分情報dが、推定値devの許容範囲外である場合(S413:NO)、調理物に異常が発生している可能性も考えられる。成分情報の報知後(S13)、または異常状態の報知後は(S42)、状態判定処理を終了し、図16のステップS14へ移行する。
図24は、本実施の形態における状態判定処理の例を示す図である。図24は、成分情報として成分濃度を用いて状態判定処理を行う場合を例としたものである。なお、状態判定処理に用いる成分情報は、成分濃度に限定されるものではない。図24に示すように、測定回数N−1回目およびN−2回目の成分情報dの変化量Δdおよび投入電力量Δwから、推定値devが推定される。そして、推定値devの許容範囲である推定ばらつき幅(±α)が設定される。図24の例では、N回目の成分情報dは、許容範囲外であるため、成分検知が正常に行われていないと判定され、異常状態であることが報知部302によって、使用者に報知される。本実施の形態によれば、実施の形態4と同様の効果を得ることができる。
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7では、状態判定処理において、成分検知装置1から受信した温度情報と加熱調理器100に搭載されている各種温度センサの検出値とを比較して、成分検知装置1の状態を判定する点において、実施の形態4と相違する。加熱調理器100および成分検知装置1の構成については、実施の形態1と同じである。
図25は、本実施の形態における状態判定処理の流れを示すフローチャートである。図25において、図7および図17に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本実施の形態の成分検知装置1は、加熱調理器100からの開始指令を受信すると(図7のS8)、成分情報に加えて温度検知部52で検知した調理物の温度情報を加熱調理器100に送信する(図7のS11)。そして、加熱調理器100の成分管理制御部304によって、成分検知装置1から、成分情報dおよび温度情報Kが受信される(S421)。そして、受信した温度情報Kと、加熱調理器100の温度センサによって検知された温度情報Kiとの差である温度差ΔKが算出される(S422)。なお、比較に用いる加熱調理器100の温度センサにより検知される温度情報Kiとしては、接触式温度センサ220の検出値、赤外線温度センサ210の検出値、または接触式温度センサ220と赤外線温度センサ210によって推定される鍋底の温度などがあり、一つ或いは複数個を比較してもよい。
そして、温度差ΔKが予め設定された温度差の許容範囲内(L2≦ΔK≦U2)であるか否かが判断される(S423)。温度差の許容範囲の下限値L2および上限値U2は予め設定され、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。例えば、下限値L2は−5℃、上限値U2は+5℃に設定される。そして、温度差ΔKが許容範囲内である場合(S423:YES)、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていると判断し、報知部302によって、受信した成分情報dが使用者に報知される(S13)。
一方、温度差ΔKが許容範囲外である場合(S423:NO)、すなわち温度差ΔKが下限値L2未満、または上限値U2より大きい場合には、成分検知装置1における成分検知が正常に行われていないと判断し、実施の形態4と同様に、報知部302によって、異常状態であることが使用者に報知される(S42)。なお、温度差ΔKが許容範囲外である場合(S423:NO)、調理物に異常が発生している可能性も考えられる。成分情報の報知後(S13)、または異常状態の報知後は(S42)、状態判定処理を終了し、図16のステップS14へ移行する。
また、温度差ΔKが許容範囲外となった場合、成分検知装置1に異常が発生しているのではなく、加熱調理器100の接触式温度センサ220または赤外線温度センサ210に異常が発生している可能性もある。そのため、異常状態を報知する際(S42)に、加熱調理器100の温度センサに異常が発生している可能性を報知してもよい。本実施の形態によれば、成分検知装置1または加熱調理器100の温度センサが正常に動作していない状態を早期に検知し、使用者に報知できることで、異常状態で成分管理が継続されることを抑制し、使用者の利便性が向上する。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8について説明する。実施の形態8では、保護制御として、成分検知装置1の駆動情報に基づいてメンテナンス情報を報知する点において、実施の形態1と相違する。本実施の形態の成分検知装置1および加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
図26は、本実施の形態の加熱調理器100における保護制御の流れを示すフローチャートである。図26において、図7に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、メニュー画面から「成分管理」が選択された場合(S2:YES)、成分検知装置1の起動回数nに1が加算される(S51)。起動回数nは、成分検知装置1の累積起動回数であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、起動回数nが、基準回数Nmax以下であるか否かが判断される(S52)。基準回数Nmaxは、予め設定され記憶部305に記憶される。そして、起動回数nが、基準回数Nmax以下である場合(S52:YES)、起動指令が送信され(S3)、処理が継続される。
一方、起動回数nが基準回数Nmaxを超えた場合(S52:NO)、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S53)。具体的には、報知部302によって、操作表示部180にメンテナンス報知画面が表示される。図27は、加熱調理器100の操作表示部180に表示されるメンテナンス報知画面の一例である。図27に示すように、メンテナンス報知画面は、成分検知装置1が所定の起動回数を超えたことを報知するとともに、成分検知部51の汚れの確認および洗浄を促すメンテナンス情報と、成分管理を継続する際に選択される「継続」ボタン186と、成分管理を終了する際に操作される「終了」ボタン187と、を含む。図27は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。例えば、メンテナンス情報が加熱調理器100のスピーカ(図示せず)から音声出力されてもよく、または携帯端末などの外部機器から出力されてもよい。また、メンテナンス情報として、成分検知部51周囲の確認を推奨するメッセージ、成分検知部51周囲の洗浄を推奨するメッセージ、成分検知部51の交換を推奨するメッセージ、成分検知精度の自主点検を推奨するメッセージ、などを表示してもよい。
図26に戻って、メンテナンス情報の報知後(S53)、成分管理を継続するか否かが判断される(S54)。ここで、成分管理を継続する場合(S54:YES)、すなわち「継続」ボタン186が押された場合は、ステップS3へ移行する。一方、成分管理を継続しない場合(S54:NO)、すなわち「終了」ボタン187が押された場合は、ステップS16に移行し、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。
以上のように、本実施の形態によれば、使用者は、成分検知装置1の不具合発生前に成分検知装置1のメンテナンスに関する情報を入手し、メンテナンスすることができる。その結果、成分検知装置1を精度よく利用できるとともに、成分検知装置1の寿命を延ばすことができる。また、急な不具合の発生による使用者の使いたい時に使えないといったストレスを軽減できる。
なお、上記実施の形態では、成分検知装置1の駆動情報として、成分検知装置1の起動回数を用いる場合について説明したが、記憶部305に記憶される駆動情報は、成分検知装置1の起動回数以外にも、成分検知装置1への開始指令送信回数、成分検知装置1からの成分情報受信回数、成分検知装置1の駆動時間(起動開始から終了までの連続駆動時間、またはその累積時間)、および高温使用時間(例えば、80℃以上で使用された連続時間、またはその累積時間)、の何れかまたは全てを含み、これらの何れかに基づいてメンテナンス情報を報知してもよい。
実施の形態8の変形例1として、成分検知装置1の成分検知回数に基づいてメンテナンス情報を報知する場合について説明する。ここでいう成分検知装置1の成分検知回数は、成分検知装置1からの成分情報受信回数である。図28は、本変形例における保護制御の流れを示すフローチャートである。図28において、図7および図26に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、成分検知装置1から成分情報を受信し(S12)、報知部302によって、受信した成分情報が報知される(S13)。そして、成分検知装置1の検知回数mに1が加算される(S501)。検知回数mは、成分検知装置1による成分検知の合計回数であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、検知回数mが、基準回数Mmax以下であるか否かが判断される(S502)。基準回数Mmaxは、予め設定され記憶部305に記憶される。そして、検知回数mが、基準回数Mmax以下である場合(S502:YES)、処理が継続される。
一方、検知回数mが基準回数Mmaxを超えた場合(S502:NO)、実施の形態8と同様に、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S53)。具体的には、操作表示部180に、成分検知装置1が所定の検知回数を超えたことを報知するとともに、成分検知部51の汚れの確認および洗浄を促すメンテナンス情報と、「継続」ボタン186と、「終了」ボタン187と、を含むメンテナンス報知画面が表示される。そして、成分管理を継続するか否かが判断され(S54)、成分管理を継続する場合は(S54:YES)、ステップS14へ移行する。一方、成分管理を継続しない場合は(S54:NO)、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。
次に、実施の形態8の変形例2として、成分検知装置1の累積駆動時間に基づいてメンテナンス情報を報知する場合について説明する。図29は、本変形例における保護制御の流れを示すフローチャートである。図29において、図7および図26に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、メニュー画面から「成分管理」が選択され(S2:YES)、成分検知装置1へ起動指令が送信されると(S3)、駆動時間Tnのカウントが開始される(S511)。そして、図7に示す成分検知制御により、成分情報が受信され、成分表示画面に成分情報が表示される。
そして、成分表示画面において「STOP」ボタン185が操作された場合、加熱調理器100の成分管理制御部304によって成分検知を停止するための停止指令が生成され、通信部310から成分検知装置1に送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。そして、駆動時間Tnのカウントが停止される(S512)。そして、今回カウントした駆動時間Tnが今までの累積駆動時間Tsumに加算される(S513)。累積駆動時間Tsumは、成分検知装置1が初めて駆動されてからの累積時間であり、記憶部305に記憶される。そして、累積駆動時間Tsumが基準時間Tmax以下であるか否かが判断される(S514)。そして、累積駆動時間Tsumが、基準時間Tmax以下である場合(S514:YES)、加熱調理器100による通常動作が継続される(S19)。
一方、累積駆動時間Tsumが基準時間Tmaxを超えた場合(S514:NO)、実施の形態8と同様に、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S53)。具体的には、操作表示部180に、成分検知装置1が所定の累積駆動時間を超えたことを報知するとともに、成分検知部51の汚れの確認および洗浄を促すメンテナンス情報が表示される。その後、ステップS19へ移行し、加熱調理器100による通常動作が行われる。
以上のように、変形例1および2においても、使用者は、成分検知装置1の不具合発生前に成分検知装置1のメンテナンスに関する情報を入手し、メンテナンスすることができる。その結果、成分検知装置1を精度よく利用できるとともに、成分検知装置1Aの寿命を延ばすことができる。また、急な不具合の発生による使用者の使いたい時に使えないといったストレスを軽減できる。
実施の形態9.
次に、本発明の実施の形態9について説明する。実施の形態9では、成分検知装置1の起動回数に応じて、成分検知装置1を自動停止させる点において、実施の形態8と相違する。本実施の形態の成分検知装置1および加熱調理器100の構成は、実施の形態8と同じである。
図30は、本実施の形態における保護制御の流れを示すフローチャートである。図30において、図7に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、メニュー画面から「成分管理」が選択された場合(S2:YES)、成分検知装置1の起動回数nに1が加算される(S61)。起動回数nは、成分検知装置1の合計起動回数であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、起動回数nに応じた保護制御が行われる。まず、起動回数nが下限値N1未満である場合は(S62:n<N1)、起動指令が送信され(S3)、処理が継続される。
また、起動回数nが許容範囲内である場合は(S62:N1≦n≦N2)、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S63)。具体的には、操作表示部180に図27に示す実施の形態8と同様のメンテナンス報知画面が表示される。そして、成分管理を継続するか否かが判断される(S64)。ここで、成分管理を継続する場合(S64:YES)、ステップS3へ移行する。一方、成分管理を継続しない場合(S64:NO)、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。
さらに、起動回数nが上限値N2より大きい場合(S62:n>N2)、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S65)。具体的には、操作表示部180に図27に示す実施の形態8と同様のメンテナンス報知画面が表示される。そして、成分管理を継続するか否かが判断されることなく、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。なお、下限値N1および上限値N2は、予め設定され記憶部305に記憶される。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態8と同様の効果を得ることができる。また、起動回数nが上限値N2を超えた場合は、成分検知装置1を自動停止することで、不具合が発生する可能性が高い状態での処理の継続を抑制することができる。
実施の形態10.
次に、本発明の実施の形態10について説明する。実施の形態10では、保護制御として、成分検知装置1の自主点検処理を行う点において、実施の形態8と相違する。本実施の形態の成分検知装置1および加熱調理器100の構成は、実施の形態1と同じである。
図31は、本実施の形態における保護制御の流れを示すフローチャートである。図31において、図7および図26に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、メニュー画面から「成分管理」が選択された場合(S2:YES)、成分検知装置1の起動回数nに1が加算される(S51)。起動回数nは、成分検知装置1の累積起動回数であり、加熱調理器100の記憶部305に記憶される。そして、起動回数nが、基準回数Nmax以下であるか否かが判断される(S52)。基準回数Nmaxは、予め設定され、記憶部305に記憶される。そして、起動回数nが、基準回数Nmax以下である場合(S52:YES)、起動指令が送信され(S3)、処理が継続される。
一方、起動回数nが基準回数Nmaxを超えた場合(S52:NO)、報知部302によって、メンテナンス情報が報知される(S53)。具体的には、操作表示部180にメンテナンス報知画面が表示される。図32は、本実施の形態の加熱調理器100の操作表示部180に表示されるメンテナンス報知画面の一例である。図32に示すように、メンテナンス報知画面は、成分検知装置1が所定の起動回数を超えたことを報知するとともに、成分検知部51の汚れの確認および洗浄を促すメンテナンス情報と、成分管理を継続する際に選択される「継続」ボタン186と、成分管理を終了する際に選択される「終了」ボタン187と、自主点検処理を行う際に選択される「自主点検」ボタン188とを含む。図32は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
図31に戻って、メンテナンス情報の報知後(S53)、成分管理を継続するか否かが判断される(S54)。ここで、成分管理を継続する場合(S54:YES)、すなわち「継続」ボタン186が押された場合は、ステップS3へ移行する。一方、成分管理を継続しない場合(S54:NO)、自主点検を行うか否かが判断される(S71)。そして、自主点検を行わない場合(S71:NO)、すなわち「終了」ボタン187が押された場合は、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。
一方、自主点検を行う場合(S71:YES)、すなわち「自主点検」ボタン188が押された場合、自主点検処理が行われる(S72)。自主点検処理後は、ステップS3へ移行し、処理が継続される。
図33は、本実施の形態における自主点検処理の流れを示すフローチャートである。自主点検処理は、使用者がガイドに従い、自主的に成分検知装置1の検知精度を確認し、メンテナンスを行うものである。本処理では、まず、加熱調理器100の報知部302によって、操作表示部180に自主点検画面が表示される(S701)。図34は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される自主点検画面の一例である。自主点検画面は、自主点検を行う対象となる「塩分」、「酸味(PH)」、「糖分」などの複数の成分項目189を含む。なお、図34は一例であり、表示方法および表示内容については、任意に変更可能である。
図33に戻って、自主点検画面において点検成分として成分項目189の何れかが選択されると(S702)、報知部302によって、成分検知装置1の点検方法が報知される。具体的には、加熱調理器100の操作表示部180に、選択された点検成分の点検方法画面が表示される(S703)。自主点検方法としては、成分検知装置1によって、精度を確認したい成分の基準液の成分検知を行って、結果を判定する。図35(a)および図35(b)は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される点検方法画面の一例である。図35(a)および(b)は、点検成分として「塩分」が選択された場合の例を示す。まず、操作表示部180に、図35(a)の点検方法画面が表示される。図35(a)の点検方法画面は、1カップ(約200cc=200ml)の水に、塩小さじ1(約5g)を入れてよくかき混ぜるよう指示するメッセージと、「NEXT」ボタン197とを含む。そして、図35(a)の点検方法画面上で使用者によって「NEXT」ボタン197が押されると、図35(b)の点検方法画面が表示される。図35(b)の点検方法画面は、成分検知装置1を入れて測定を行うよう指示するメッセージと、「CHECK」ボタン191とを含む。
そして、図35(b)の点検方法画面上で、使用者によって「CHECK」ボタン191が押されると、図33に戻って、成分検知が行われる(S704)。成分検知では、実施の形態1の成分検知制御と同様に、成分検知装置1に開始指令が送信され、成分検知装置1から成分情報が受信される。そして、受信した成分情報がチェックされる(S705)。ここで、成分情報が許容範囲内(d1≦d≦d2)にある場合、成分検知装置1が正常に動作していると判断され、報知部302によって、操作表示部180に自主点検の結果が「OK」であることが報知される(S706)。
なお、許容範囲の上限値d1および下限値d2は、基準液に対する許容値であり、予め設定され記憶部305に記憶される。例えば、200ccの水に、塩小さじ1(約5g)を入れた基準液を用いる場合、成分情報における成分濃度の基準値は下記のとおり約2.4%となる。この場合、例えば、許容範囲の上限値d1=1.4%、下限値d2=3.4%と設定される。
成分濃度=5/(5+200)×100=2.44・・・
また、成分情報dが許容範囲外であるものの、一定の範囲内である場合((d1−β)≦d≦(d2+β))、報知部302によって、操作表示部180に自主点検の結果が「CAUTION」であったことが報知される(S707)。この場合は、成分検知装置1の精度が低下していることを報知し、メンテナンスを推奨する。一定の範囲を示すβは、予め設定され、記憶部305に記憶される。
さらに、成分情報dが許容範囲外であり、かつ一定の範囲内でもない場合((d1−β)>d、またはd>(d2+β))、報知部302によって、操作表示部180に自主点検の結果が「NG」であったことが報知される(S708)。この場合は、成分検知装置1が正常に動作しておらず、メンテナンスを行うことを依頼する。
図36は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される点検結果画面の一例である。図36は、塩分の自主点検結果が「NG」だった場合の例を示す。図36に示すように、点検結果画面は、点検結果が「NG」であること、および成分検知装置1の洗浄または交換を促すメンテナンスメッセージが表示される。さらに、点検結果画面には、「点検継続」ボタン192および「点検終了」ボタン193が表示される。
図33に戻って、自主点検を継続するか否かが判断される(S709)。そして、自主点検を継続する場合(S709:YES)、すなわち、点検結果画面において「点検継続」ボタン192が押された場合、ステップS703に戻って、点検が継続される。一方、自主点検を継続しない場合(S709:NO)、すなわち、点検結果画面において「点検終了」ボタン193が押された場合、自主点検処理を終了する。
以上のように、本実施の形態によれば、使用者は成分検知装置1の検知精度を確認することができ、精度低下を報知したことによる誤った成分管理を未然に防止することができる。また、自主点検方法を報知することで、自主点検が実施しやすくなる。また、自主点検方法の報知を加熱調理器100の操作表示部180に表示することで、使用者が取扱説明書を確認したり、自主点検方法を検索する手間がなくなり使用者の利便性が向上する。なお、別の実施の形態においては、自主点検方法を取扱説明書に記載してもよく、または外部端末でのURL検索を行うように操作表示部180に表示してもよい。また、本実施の形態では、基準液を使用者が作成する形態としたが、メンテナンスキットとして、予め提供してもよい。
実施の形態11.
次に、本発明の実施の形態11について説明する。実施の形態11では、使用者が任意に自主点検処理を行う点において、実施の形態10と相違する。本実施の形態の成分検知装置1および加熱調理器100の構成については、実施の形態1と同じである。
図37は、本実施の形態における保護制御の流れを示すフローチャートである。図37において、図7に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本処理では、メニュー画面から「成分管理」が選択され、起動指令が送信されると(S3)、報知部302によって、操作表示部180に選択画面が表示される(S81)。図38は、加熱調理器100の操作表示部180に表示される選択画面の一例である。図38に示すように、選択画面は、成分検知の「START」ボタン194と、自主点検の「START」ボタン195と、「CANCEL」ボタン196とを含む。
図37に戻って、成分検知の開始が選択されたか否かが判断される(S82)。ここで、成分検知の開始が選択された場合(S82:YES)、すなわち選択画面で成分検知の「START」ボタン194が押された場合、開始指令が送信され(S7)、処理が継続される。一方、成分検知の開始が選択されていない場合(S82:NO)、自主点検が選択されたか否かが判断される(S83)。そして、自主点検が選択された場合(S83:YES)、すなわち選択画面で自主点検の「START」ボタン195が押された場合、自主点検処理が行われる(S72)。自主点検処理の流れは、実施の形態10と同じである。一方、自主点検が選択されていない場合(S83:NO)、すなわち成分管理画面で「CANCEL」ボタン196が押された場合、成分検知装置1へ停止指令が送信され(S16)、成分検知装置1が自動停止される。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態10と同様の効果を得ることができるとともに、任意のタイミングで自主点検を行うことができるため、使用者の利便性が向上する。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、本発明の具体的な構成はこれに限られるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、成分検知装置1は、実施の形態1の構成に限定されるものではない。図39は、変形例における成分検知装置1Aの正面斜視図である。図39に示すように、本実施の形態の成分検知装置1Aは、二つに分離可能となっている。詳しくは、成分検知装置1Aは、着脱可能な筐体10Aおよび筐体10Bを備える。筐体10Aおよび筐体10Bは、実施の形態1の筐体10と同様に、耐水性および耐熱性の高い材質で形成される。
筐体10Aは、円筒形状の処理部10A1と、処理部10A1から延びる棒状の接続部10A2とからなる。処理部10A1の内部には表示部20、通信部40、電源部60および制御部70(図示せず)が収容される。また、処理部10A1の上面には電池挿入部62が設けられ、側面には表示窓21および通信ポート41が設けられる。接続部10A2の側部には、支持部30Aが設けられる。支持部30Aは弾性を有する部材で形成され、容器400の縁に支持部30Aが引っかけられることで、成分検知装置1Aが容器400に取り付けられる。また、接続部10A2の先端には、直方体形状の凹部91が形成される。凹部91には、処理部10A1に収容される表示部20、通信部40、電源部60および制御部70と電気的に接続される電極91aが配置される。
筐体10Bは、直方体形状の検知部10B1と、検知部10B1から延びる棒状の接続部10B2とからなる。検知部10B1の内部には成分検知部51および温度検知部52(図示せず)が収容される。また、検知部10B1の正面には、成分検知部51が配置される矩形状の開口部が設けられる。また、接続部10B2の先端には、直方体形状の凸部92が形成される。凸部92は、接続部10A2の凹部91と対応する形状を有する。また凸部92には、成分検知部51および温度検知部52と電気的に接続される電極92aが配置される。
本実施の形態の成分検知装置1Aでは、筐体10Aの接続部10A2の凹部91に、筐体10Bの接続部10B2の凸部92が接続される。これにより、電極91aと電極92aが当接し、筐体10Bの検知部10B1に収容される成分検知部51および温度検知部52と、筐体10Aの処理部10A1に収容される表示部20、通信部40、電源部60および制御部70とが電気的に接続される。
成分検知装置1Aを本変形例のように構成することで、成分検知部51および温度検知部52に不具合が発生した場合、筐体10Bのみを交換することができる。これにより、使用者の利便性が向上する。
また、上記実施の形態では、加熱調理器100の操作表示部180を操作することで、成分検知制御を行う構成としたが、これに限定されるものではなく、加熱調理器100のその他の操作部(上面操作部160または前面操作部140)によって操作してもよい。また、加熱調理器100および成分検知装置1の成分管理機能に関する設定および制御を、携帯端末またはPCなどの外部機器にて行うことも可能である。また、加熱調理器100において、必要に応じて外部機器から成分管理情報、分析結果を取得する機能を備えてもよい。このように、外部機器からの制御を可能とすることで、一人暮らしの高齢者や、在宅治療中の患者、等の特に食事制限が必要な使用者の食生活を遠隔で管理することが可能になり、健康へのアシストにつながる。
さらに、上記実施の形態1〜11における保護制御は、適宜組み合わせることが可能である。例えば、実施の形態1〜3の何れかに記載される通信不良の報知と、実施の形態4〜7の何れかに記載される成分検知装置1の異常状態の報知と、実施の形態8または9に記載されるメンテナンス情報の報知と、実施の形態10または11に記載される自主点検との全てを行う、または何れかを組み合わせて行う構成としてもよい。
また、実施の形態1〜3においては、成分検知装置1との通信不良が発生した場合、加熱調理器100が故障している場合も考えられるため、通信不良を報知する際に(S23)、加熱調理器100の点検を促すメッセージを表示してもよい。
また、実施の形態4〜6においては、成分検知装置1から受信した成分情報に基づいて成分検知装置1の状態を判定したが、これに限定されるものではない。例えば、成分検知装置1の温度検知部52によって検知された温度情報を、成分情報とともに成分検知装置1から受信し、当該温度情報に基づいて成分検知装置1の状態を判定してもよい。
また、加熱調理器100の成分管理制御部304は、実施の形態4〜7において、成分検知装置1の異常状態を報知した場合(S42)、成分検知装置1に停止指令を送信し、成分検知装置1を自動停止させてもよい。または、成分検知装置1の異常状態を報知した後に(S42)、成分検知動作を継続するか否かを使用者に選択させてもよい。また、成分管理制御部304は、成分検知装置1から受信した成分情報または温度情報が明らかに異常な値である場合(例えば成分濃度がマイナスである場合など)には、当該異常な成分情報を受信した時点で、成分検知装置1を自動停止させてもよい。さらに、成分管理制御部304は、成分検知装置1の異常状態を報知した場合(S42)、加熱制御部303に異常状態を通知し、加熱制御部303は、加熱コイル200による加熱を停止する、または加熱コイル200への投入電力量を変更してもよい。
また、実施の形態4〜7において、状態判定処理における判定間隔として、測定回数ではなく、待機時間T1とは異なる時間間隔、または投入電力量を用いてもよい。この場合、待機時間T1とは異なる時間間隔または一定の投入電力量毎に、成分検知装置1から成分情報を受信し、状態判定処理を行ってもよい。または、待機時間T1とは異なる時間間隔または一定の投入電力量の直前に受信した成分情報を用いて状態判定処理を行ってもよい。具体的には、実施の形態5における判定間隔を一定の投入電力量とした場合、投入電力量当りの変化量または変化率が許容範囲外であるか否かが判定される。状態判定処理の間隔として、一定の投入電力量を用いることで、加熱中に投入電力が変更された場合でも、精度よく成分検知装置1または調理物の状態を判定することができる。
また、実施の形態4〜7で用いられる成分情報または温度情報の許容範囲は、使用者によって設定または変更されてもよい。また、当該許容範囲は、調理物の温度で切り替えられてもよい。例えば、調理物の沸騰前後で、切り替える等がある。さらに、当該許容範囲は、調理物または調理方法(湯で、煮込みなど)に応じて設定されてもよい。さらに、調理物または調理方法に応じて、実施の形態4〜7の何れの状態判定処理を行うか、または状態判定処理にどの成分を用いるかが設定されてもよい。
また、実施の形態8〜10において、複数の成分検知装置1が使用されてもよい。この場合には、加熱調理器の記憶部305は、各成分検知装置1の駆動情報を各成分検知装置1の識別番号と対応付けて記憶する。そして、現在使用されている成分検知装置1を識別番号で認識し、対応する駆動情報に基づいて保護制御を行う。
さらに、成分検知装置1にメモリを備え、成分検知装置1の駆動情報を、成分検知装置1に記憶してもよい。または、外部機器にて成分検知装置1の駆動情報を保持してもよい。この場合は、成分検知装置1または外部機器から、加熱調理器100に駆動情報が送信される。さらに、成分検知装置1にて、実施の形態4〜7に記載される状態判定処理を行ってもよい。