以下、本発明における加熱調理器および温度検知装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、細かい構造および重複または類似する説明については、適宜簡略化または省略している。以下の実施の形態では、加熱調理器の一例として誘導加熱調理器について説明する。
実施の形態1.
(加熱調理器の構成)
図1は、本発明の実施の形態1における加熱調理器100の斜視図である。加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置され、耐熱ガラスで形成されたトッププレート2とを有し、トッププレート2の上に載置される鍋やフライパン等の容器10を、本体1の内部に設けられた加熱部により加熱する。本実施の形態では、トッププレート2の左側手前、右側手前、および中央側奥の3箇所に、それぞれ加熱口6a、6bおよび6cが設けられている。
本体1には、魚等の調理物の調理を行うためのグリル9が収容されている。グリル9の内部には、グリル9に載置された調理物を加熱するための熱源となるグリルヒータ(図示せず)が設けられている。また、グリル9の隣には、例えばダイヤルスイッチによって構成され、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付ける前面操作表示部4と、加熱調理器100の電源をON/OFFするために操作される電源スイッチ4aが配置されている。
トッププレート2の手前側には、加熱条件や加熱指示の入力操作を受け付けるとともに、加熱状況を表示する操作表示部3が配置されている。操作表示部3は、例えば静電容量スイッチおよび液晶パネルなどで構成される。また、加熱口6a、6bおよび6cの手前側には、火力表示部5a、5bおよび5cがそれぞれ設けられる。火力表示部5a、5bおよび5cは、火力を複数段階に表示するものであり、火力に応じて表示態様が切り替わる。火力表示部5a、5bおよび5cは、例えば複数のLEDを有し、これらLEDの点灯状態(点灯、消灯、点滅等)を切り替える、あるいは点灯色を切り替えることにより、火力を表現する。これにより、使用者が直感的に分かりやすい火力の報知を行うことができる。
使用者が、被加熱物を収容した容器10をトッププレート2上に載置し、加熱口6a、6bおよび6cに対応する操作表示部3または前面操作表示部4を操作して加熱条件等の設定を行うと、設定された内容に従って、容器10が加熱部により加熱される。加熱の進行状況や調理モードなどの設定に関する情報は、操作表示部3に表示され、加熱の火力は各加熱口に対応して配置された火力表示部5a、5bおよび5cに表示される。
また、トッププレート2の加熱口6a、6bおよび6cに対応する部分には、容器10および後述する温度検知装置30を載置する位置を示す載置表示部15a、15bおよび15cがそれぞれ印刷等によって設けられている。これにより、使用者は容器10および温度検知装置30を載置すべき場所がわかるようになっている。
本体1内において加熱口6a、6bおよび6cの下方には、加熱コイル14がそれぞれ設けられている(図2)。加熱コイル14に高周波電流を流すことでトッププレート2上に載置された容器10に渦電流が発生し、発生した渦電流と容器10との抵抗により容器10が発熱する。これにより、容器10を直接加熱する加熱効率の良い調理を実現できる。なお、加熱調理器100の加熱口6a、6bおよび6cの加熱部として電気ヒータ等の他の加熱部を設けてもよい。
また、トッププレート2の奥側には、複数の排気口7が設けられている。排気口7は、本体1の内部と連通するように配置される。本体1の内部に取り込まれた空気は、排気口7から排気される。排気口7の上部には、本体1の内部への埃その他の異物が侵入するのを防止する通気性を有するカバー(図示せず)を設けてもよい。
また、排気口7の手前には、後述する温度検知装置30との間で、無線通信を行うための通信ポート8が設けられている。通信ポート8は、例えばガラス繊維強化プラスチック(GFRP)樹脂等の電波透過性の高い材質で構成される。図1では、通信ポート8は、トッププレート2の上面に載置される容器10によって無線電波が遮蔽されないように、加熱口6bと排気口7との間に配置されている。しかしながら、通信ポート8の位置はこれに限定されるものではなく、例えば、各加熱口6a、6bおよび6cとの距離が均等となる位置に配置されてもよい。または、通信ポート8を操作表示部3の一部として設けてもよい。
図2は、本実施の形態における加熱調理器100の主要部の構成および機能を説明する図である。なお、図2では、加熱口6aに対応する構成のみを例として示しており、また、例えば水や食材等の被加熱物が収容された容器10と、容器10の温度を検知する温度検知装置30とを併せて図示している。温度検知装置30は、加熱調理器100とは別体に設けられ、容器10の底部の温度を検知し、検知した温度の情報を加熱調理器100へ送信するものである。温度検知装置30の詳細については後述する。
図2に示すように、トッププレート2に設けられた加熱口6aの下方には、加熱コイル14が配置されている。本実施の形態では、加熱コイル14は、略環状の内側加熱コイルと、その外側に設けられた略環状の外側加熱コイルとを備えた二重環形状である。
本体1の内部には、温度検知装置30と通信する機器側通信部21と、駆動部23を制御する機器側制御部22と、高周波インバータ24を駆動する駆動部23と、加熱コイル14に高周波電流を供給する高周波インバータ24と、が配置されている。機器側制御部22は、操作表示部3による設定内容と、温度検知装置30からの温度の情報に基づいて、駆動部23に対して高周波電力指令(火力情報)を送信する。機器側制御部22は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されるか、またはマイコンやCPU等の演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成される。駆動部23は、機器側制御部22からの指令に基づき、高周波インバータ24を制御して加熱コイル14に流れる高周波電流を調整する。これにより、容器10の加熱制御が行われる。また、機器側制御部22は、温度検知装置30の状態を確認するための信号を生成し、その信号を、機器側通信部21から通信ポート8を介して温度検知装置30へ送信する。なお、機器側通信部21は、本発明における「第2通信部」に相当する。また、機器側制御部22は、本発明における「制御部」に相当する。
また、本体1の内部であって、加熱調理器100のトッププレート2の下方には、赤外線温度センサ27が配置されている。赤外線温度センサ27は、加熱コイル14上のトッププレート2に載置された容器10の底部から放射される赤外線を検知する。なお、赤外線温度センサ27の直上部は、赤外線が遮蔽されない構造(例えば空洞または透過素材)とすることが望ましい。赤外線温度センサ27によって検知された信号は、赤外線温度検知部270へ出力される。赤外線温度検知部270は、赤外線温度センサ27による検知信号をA/D変換し、温度に換算する。赤外線温度検知部270によって換算された温度情報は、機器側制御部22へ出力される。
また、本体1の内部であって、加熱調理器100のトッププレート2の裏面の加熱コイル14と対向する面には、サーミスタなどの接触式温度センサ28がトッププレート2の裏面に接触するように配置されている。接触式温度センサ28は、容器10からトッププレート2へ伝わる熱を検知する。接触式温度センサ28によって検知された信号は、接触式温度検知部280へ出力される。接触式温度検知部280は、接触式温度センサ28による検知信号をA/D変換し、温度に換算する。接触式温度検知部280によって換算された温度情報は、機器側制御部22へ出力される。
さらに、本体1の内部であって、加熱コイル14の外側には、磁石40が配置されている。磁石40は、トッププレート2の裏面に接触するように支持部41に支持されている。なお、磁石40の取り付け方法はこれに限定されるものではなく、トッププレート2の裏面へ貼りつけたり、加熱コイル14を支持するコイル支持部141によって支持してもよい。
次に、加熱調理器100の操作表示部3の構成について説明する。図3は、本実施の形態における加熱調理器100の操作表示部3を説明する図である。図3に示すように、操作表示部3は、各加熱口6a、6bおよび6cの動作状況を示す状況表示部3aと、自動調理メニューを設定するための自動メニューキー3bと、火力を設定するための火力設定キー3cと、加熱時間を設定するタイマー設定キー3dとを備える。
状況表示部3aは、各加熱口6a、6bおよび6cに対応する表示を有し、各加熱口6a、6bおよび6cの動作状態に応じて表示態様が切り替わる。状況表示部3aの表示により、どの加熱口が動作中であるかを使用者に示すことができる。自動メニューキー3bは、自動調理モードを選択するためのキーであり、「煮込み」キー、「麺ゆで」キー、「湯沸し」キー、「焼き物」キー、「揚げ物」キー、「温度」設定キーからなる。これらのキーが押下されると、各メニューに対して予め設定され記憶部(図示せず)に記憶された制御シーケンスに従って、機器側制御部22が加熱制御を行う。
火力設定キー3cは、「弱」火キー、「中」火キーおよび「強」火キーからなり、使用者は、これらのキーを用いて3段階の火力の何れかを設定することができるようになっている。火力に応じて個別にキーを設けることで、使用者は、必要な火力の設定を一回の操作で入力できるようになっている。タイマー設定キー3dは、タイマー設定部とタイマー表示部とからなり、使用者は、タイマー設定部を操作することで、加熱時間を設定し、設定された時間がタイマー表示部に表示され、時間の経過とともに表示が変更される。機器側制御部22は、タイマー設定キー3dによって設定された時間に従って、加熱制御を行う。
なお、図3には図示しないが、例えば「予熱中」や「適温到達」等の火力や経過状況、設定されているメニューの内容等に関する情報を表示する、液晶画面等で構成される表示部を別途設けてもよい。
(温度検知装置の構成)
次に、本実施の形態の温度検知装置30の構成について説明する。図4は本実施の形態の温度検知装置30の斜視図であり、図5は温度検知装置30の平面図である。また、図6は、温度検知装置30の内部構成を説明する図である。図4および図5に示すように、温度検知装置30は、鍋敷きのような平面的な形状を有し、容器10が載置される載置部31と、機器側通信部21と通信する通信部33とを備える。
載置部31は、弾力性および耐熱性を有するシリコーンゴム等で構成される。また、載置部31の容器10が載置される面には、複数のドーム状の突起部311が形成される。図5に示すように、複数の突起部311は、直径Dの円周上に等間隔で配置される。突起部311が配置される円の直径Dは、載置される容器10の最小径などから定められる。または、直径Dは、温度検知装置30が加熱コイル14の内側に配置された場合に、加熱コイル14の特性上、容器10の底部の発熱部で最も高い温度になる位置を基にして定められてもよく、例えば中心部から40mmの位置に設けられる。
また、図6に示すように、複数の突起部311の内部にはそれぞれ温度センサ34が配置される。温度センサ34は、接触式の温度センサであり、載置部31に載置される容器10の底部の温度を検知する。温度センサ34は、例えばサーミスタまたは熱電対により構成される。
容器10が載置部31に載置されると、容器10の底部が突起部311と接触する。突起部311を、弾力性を有するシリコーンゴム等で形成することで、容器10の底部と突起部311とが密着し、接触面積が増加する。また、容器10の底部に密着する突起部311内に温度センサ34を設けることで、温度センサ34が容器10の底部に接触し、容器10の温度を高精度で検知することができる。
なお、本実施の形態では、4つの突起部311が形成され、各突起部311に温度センサ34が配置される構成となっているが、これに限定されるものではない。例えば、3つの突起部311の何れか1つに温度センサ34を備える構成としてもよく、または2つ以下もしくは4つ以上の突起部311に1つ以上の温度センサ34を備える構成としても良い。ただし、突起部311の数を3つ以上とすることで、容器10を安定して支持することができる。また、温度センサ34を複数設けることで、断線等が生じた場合にも温度検知を継続することができる。
また、図6に示す載置部31の厚みtは、突起部311を含む最大厚みで5mm未満とする。載置部31の厚みtを5mmとした場合、温度検知装置30に載置される容器10は、加熱調理器100のトッププレート2から約5mm離れることになる。ここで、容器10が加熱コイル14から離れると、磁束は距離の二乗に反比例して減衰する。そのため、一般的に容器10を加熱コイル14から離すことにより、加熱効率も低下すると考えられる。しかしながら、実際には、トッププレート2と容器10とが接触している場合、容器10の熱の一部がトッププレート2に逃げてしまう。
図7は、トッププレート2から容器10の底部までの距離と加熱効率との関係を示すグラフである。図7では、トッププレート2と容器10との間に絶縁物を配置し、トッププレート2と容器10との間に空気層を形成する。そして、絶縁物の大きさを変えてトッププレート2から容器10までの距離を変更し、各距離における湯沸しの加熱効率を測定した実験より得られた結果である。図7に示すように、トッププレート2から容器10までの距離が0mmの場合よりも、トッププレート2から容器10までの距離が約2mmの場合の方が、加熱効率が高くなり、特に鍋底部の放射率が低い鏡面の鍋等の場合には約2%程度効率が高くなる。ここで、トッププレート2に一般的に用いられるネオセラムガラスの熱伝導率Kは、1.6であり、空気の熱伝導率Kは0.0241である。そのため、容器10とトッププレート2が接触している場合よりも、空気層が形成される場合の方が、熱伝導が少なくなり、加熱効率が良くなる。
ただし、図7に示すように、トッププレート2から容器10までの距離が5mm以上になると、トッププレート2から容器10までの距離が0mmの場合よりも、加熱効率が低下する。そのため、トッププレート2から容器10までの距離を5mm未満とすることで、トッププレート2と容器10との間の隙間量が0mmの場合の加熱効率と略同等もしくはそれ以上の加熱効率を実現することができる。なお、載置部31に用いられるシリコーンゴムの熱伝導率Kは、0.2であり、空気の熱伝導率よりは高いものの、突起部311上に容器10を載置することで、容器10との接触面積が限定され、熱伝導が抑制される。
また、突起部311の高さは、容器10の底部の反りを考慮して、1〜2mmとする。詳しくは、容器10として用いられる鍋またはフライパンの中には、加熱による変形を考慮して、底部を予め上側(凸状)に反らせているものがある。例えば、容器10の底部の中心における反りの最大値が3mmであると想定した場合、容器10の径方向の外側に向かって次第に反りが小さくなり、突起部311が配置される直径80mmの位置(すなわち中心から半径40mmの位置)では、1〜2mm程度の反りとなる。そのため、突起部311を1〜2mm以上とすることで、容器10の底部が予め反っている場合でも、突起部311を確実に容器10の底部に接触させることができる。
図5および図6に戻って、複数の温度センサ34による検知温度は、通信部33へ出力される。通信部33は、載置部31に載置される容器10と接触しないように、使用時の平面視で載置部31の外側に配置される。より詳しくは、温度検知装置30が加熱口6a、6bまたは6c上に配置された状態において、通信部33および載置部31の外郭は加熱コイル14よりも外側に配置される。
図6に示すように、通信部33は、センサ側通信部331、センサ側制御部332、電源部333および磁力検知部50を備えている。上記各部は、円筒形状の筐体330内に収容され、水密状態で封止されている。筐体330は、耐熱性および耐衝撃性を有し、かつ電波を遮蔽しない構造を有する。詳しくは、筐体330の上面330aは、耐衝撃性および防磁効果を有する材料(例えばアルミなど)で形成される。また、筐体330の本体330bは、電波を遮蔽せず、耐熱性および摩擦係数が高い材料(例えばPPS、PC、シリコーンゴム、セラミックスなど)で形成され、表面をシリコーンゴムで皮膜される。なお、本体330bの少なくとも一部に金属以外の電波を透過する材料を用いてもよい。また、筐体330には、図示しない電源スイッチが設けられる。この電源スイッチが操作されることにより、温度検知装置30がオン状態とされる。
センサ側通信部331は、センサ側制御部332による制御の下、加熱調理器100の本体1に配置された機器側通信部21と、双方向の情報通信を行う。センサ側通信部331と機器側通信部21との情報通信は、例えば、2.4GHz帯域の無線通信モジュールを用いて行われる。無線モジュールを用いる事で、温度検知装置30の外部にコネクタ部分を設ける必要がなくなり、温度検知装置30内部への浸水により回路がショートすることを軽減することができる。また、配線レスとなり容器10の取っ手等に配線が引っかかることを防止でき、例えば奥側の加熱口6cで使いやすくなり、使い勝手も向上する。また、宅内に設けた2.4GHzのWi−Fi(IEEE802.11規格)モジュールへと情報伝送する事が可能となり、外部無線通信機器との拡張性を有する。なお、センサ側通信部331は、本発明における「第1通信部」に相当する。
なお、周波数帯に関しては、2.4GHz帯に限らず900MHz帯や300〜500MHz帯以下の周波数帯の通信周波数帯を用いた特定小電力無線局通信モジュールを使用してもよい。例えば、誘導加熱調理器(IHクッキングヒータ)における誘導電流の周波数は20〜30kHz帯の周波数帯を用いており、電子レンジにおける電磁波の周波数は2.45GHz帯の周波数帯を用いている。このため、900MHzや300〜500MHz帯の周波数であれば、他の調理機器と干渉を起こすことなく通信が可能となる。
さらに、上記以外にもBluetooth(登録商標)またはRFID(Radio Frequency Identifier)などを用いて情報通信を行ってもよい。ただし、RFIDを用いる場合は、センサ側通信部331と機器側通信部21とを位置決めする必要があるため、トッププレート2の上面に通信部33の配置位置を示す表示を行う。また、センサ側通信部331と機器側通信部21との情報通信は無線通信に限定されるものではなく、ケーブルを用いた有線通信であってもよい。
センサ側制御部332は、温度検知装置30の各構成部を制御する。センサ側制御部332は、その機能を実現する回路デバイスなどのハードウェアを用いて構成されるか、またはマイコンやCPU等の演算装置と、その上で実行されるソフトウェアとで構成される。センサ側制御部332は、温度センサ34によって検知された温度情報を、センサ側通信部331を介して機器側通信部21へ送信する。具体的には、複数の温度センサ34によって検知された温度のうち最も高い温度が、温度情報として送信される。なお、別の実施の形態では、複数の温度センサ34によって検知された温度の平均値を温度情報として送信してもよい。また、センサ側制御部332は、機器側制御部22から状態確認の信号を受信した場合、センサ側通信部331を介して、機器側制御部22へ電源がオン状態であることを示す信号を送信する。さらに、センサ側制御部332は、機器側制御部22から載置判定を指示する信号を受信した場合に、磁力検知部50による磁力検知を行い、センサ側通信部331を介して、検知結果を送信する。
磁力検知部50は、通信部33の底面側に配置される。磁力検知部50は、例えばホール素子であり、磁力レベルを検知して、センサ側制御部332へ出力する。電源部333は、各構成部に電力を供給するための電池である。
(載置判定処理)
次に、本実施の形態における温度検知装置30の載置判定処理について説明する。自動調理モードが選択された場合に、温度検知装置30と加熱調理器100とを連動させて加熱制御を行う場合、温度検知装置30が加熱される加熱口6a、6bまたは6c上に載置されていないと、加熱される容器10の温度を検知できず、誤った加熱制御が行われてしまう。そこで、本実施の形態では、自動調理モードを実行する前に、加熱対象の加熱口の上に温度検知装置30が載置されているか否かを判定する載置判定処理を行う。具体的には、本実施の形態では、加熱調理器100の本体1内に配置される磁石40と、温度検知装置30の通信部33に配置される磁力検知部50とからなる載置検知部の検知結果に基づいて、加熱口6a、6bまたは6cの上に温度検知装置30が載置されているか否かを判定する。なお、磁石40が本発明の「被検部」に相当し、磁力検知部50が「検知部」に相当する。
図8は、本実施の形態における加熱調理器100のトッププレート2の平面図である。図8に示すように、トッププレート2の加熱口6a、6bおよび6cに対応する部分には、容器10および温度検知装置30を載置する位置を示す載置表示部15a、15bおよび15cがそれぞれ印刷等によって設けられている。載置表示部15a、15bおよび15cは、温度検知装置30の載置部31の載置位置を示す第1表示部151a、151bおよび151cと、温度検知装置30の通信部33の載置位置を示す第2表示部152a、152bおよび152cと、からなる。
第1表示部151a、151bおよび151cは、加熱口6a、6bおよび6cよりも大きい円であり、加熱口6a、6bおよび6cを囲むように表示される。第2表示部152a、152bおよび152cは、第1表示部151a、151bおよび151cの外側にそれぞれ表示され、第1表示部151a、151bおよび151cよりも小さく、温度検知装置30の通信部33と略同じ大きさの円である。また、第2表示部152a、152bおよび152cの下方であって、本体1の内部には、磁石40がそれぞれ配置される。載置表示部15a、15bおよび15cによって、温度検知装置30を載置すべき位置、特に通信部33を載置すべき位置が使用者にわかるようになっている。
図9は、本実施の形態における載置検知部を示す断面模式図である。図9は、例として加熱口6aの第2表示部152aに温度検知装置30の通信部33が載置された状態を示す。図9に示すように、温度検知装置30の通信部33が第2表示部152aに配置されると、加熱調理器100の磁石40と、温度検知装置30の磁力検知部50とが対向して配置される。これにより、磁力検知部50によって磁石40の磁力が検知される。本実施の形態では、磁力検知部50の検知結果に応じて、温度検知装置30が加熱口上に載置されているか否かを判定する。
(加熱調理動作)
次に、本実施の形態における加熱調理器100および温度検知装置30における加熱動作を説明する。加熱調理器100の機器側制御部22は、目標温度が設定された自動調理モードを有している。自動調理モードでは、温度検知装置30から取得した温度が目標温度となるように加熱コイル14の加熱制御が行われる。自動調理モードとしては、例えば、煮込みモード、麺ゆでモード、湯沸しモード、焼き物モード、揚げ物調理モード、および温度一定制御モードがある。各モードは、それぞれ、目標温度および加熱時間の少なくとも一方が他のモードと異なる。なお、機器側制御部22は、これらのモードのうちの少なくとも1つのモードを実行する構成であればよい。
図10は、本実施の形態における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。本処理は、加熱調理器100の電源がオンされた場合に、機器側制御部22によって開始される。図10において、実線は加熱調理器100および温度検知装置30における制御の流れを示し、破線は加熱調理器100と温度検知装置30との間の信号の流れを示す。本処理では、まず、自動調理モードが選択されたか否かが判断される(S1)。自動調理モードは、操作表示部3の自動メニューキー3bの何れかが押下されることで選択される。ここで、自動調理モードが選択されていない場合は(S1:NO)、本処理を終了する。自動調理モードが選択されていない場合は、操作表示部3の操作に従った加熱制御が行われる。
一方、自動調理モードが選択された場合(S1:YES)、機器側通信部21から温度検知装置30へ状態確認の信号が送信される(S2)。ここで、温度検知装置30の電源がオン状態である場合、センサ側通信部331によって状態確認の信号が受信される(S3)。そして、センサ側制御部332によって、センサ側通信部331を介して、電源がオン状態であることを示す信号が返信される(S4)。
そして、機器側制御部22によって、温度検知装置30から、電源がオン状態であることを示す信号の返信があったか否かが判断される(S5)。ここで、温度検知装置30から電源がオン状態であることを示す信号の返信が無い場合(S5:NO)、機器側制御部22は、温度検知装置30が通信不良、または電源がオンされていないと判断し、加熱調理器100に設けた操作表示部3等により、自動調理モードの動作が不可である旨の報知を行う(S6)。なお、この報知は操作表示部3による表示に限らず、例えばブザーや音声などで報知してもよく、報知内容は温度検知装置30の電源が入っていない、または通信エラーが発生していることを報知するものであってもよい。
機器側制御部22は、報知後、再度、温度検知装置30へ状態確認の信号を送付し、返信が得られず、3回繰り返した場合(S7:YES)、自動調理モードを実行することなく、本処理を終了する。このように、加熱制御を開始するよりも先に温度検知装置30の状態確認を行う事で、鍋や食材が加熱される前に使用者に温度検知装置30が正常使用の状態にないことを伝える事ができる。
一方、温度検知装置30から、電源がオン状態であることを示す信号の返信があった場合(S5:YES)、機器側通信部21から温度検知装置30へ載置判定を指示する信号が送信される(S8)。温度検知装置30のセンサ側制御部332によって、加熱調理器100から載置判定を指示する信号が受信されると、磁力検知部50による磁力検知が行われる(S9)。そして、センサ側制御部332によって、磁力検知部50の検知結果が加熱調理器100に送信される(S10)。
そして、加熱調理器100の機器側制御部22によって、温度検知装置30から受信した検知結果が閾値以上であるか否かが判断される(S11)。閾値は、磁石40に対応する磁力レベルであり、予め記憶部(図示せず)に記憶される。そして、検知結果が閾値以上である場合(S11:YES)、温度検知装置30が加熱口上に載置されていると判定され、加熱が開始される(S12)。そして、自動調理モードによる加熱制御が実行される(S13)。
自動調理モードによる加熱制御において、温度検知装置30のセンサ側制御部332は、例えば1秒周期にて、温度センサ34によって温度情報を検知し(S14)、検知した温度情報を、センサ側通信部331から送信する(S15)。本体1の機器側通信部21は、温度検知装置30からの温度情報を受信し、機器側制御部22は、機器側通信部21が受信した温度情報を取得する。機器側制御部22は、予め設定されている目標温度に向けて高周波インバータ24を制御し、温度情報が目標温度になるよう、加熱の停止と開始とを繰り返す。
一方、検知結果が閾値未満である場合(S11:NO)、温度検知装置30が加熱口上に載置されていないと判定され、操作表示部3に温度検知装置30が載置されていないことが報知され(S16)、本処理が終了される。
以上のように、本実施の形態では、温度検知装置30によって容器10の温度を直接検知することで、検知精度および検知の追従性の向上を図ることができる。その結果、自動調理モードにおける高精度な温度制御が可能となり、温度の上げ過ぎによる調理の失敗を抑制でき、使用者が火力変更動作をすることなく食材に適した調理が可能となる。よって、利便性の向上や吹き零れや空焼きなどによる温度上昇を抑える事が可能となり、無駄な加熱を抑えることができる。
特に、従来では、100℃以下の温度検知が困難な条件があったが、本実施の形態の温度検知装置30では、100℃以下の温度検知も可能となる。これにより、100℃以下の自動調理モードで高精度な温度管理を可能とし、低温調理や野菜煮込み、温泉卵等のタンパク質(肉・卵)や筋線維(肉)、ペクチン(野菜)、アミノα化(米炊飯)等の食材に最適な温度で加熱を行う事で、食感、味の染み込み等が一層向上する。
また、載置部31と通信部33とが一体型に形成された温度検知装置30を用いることで、容器10に温度センサおよび通信部を設ける必要がなく、どのような形状の鍋にも用いることができる。また、温度検知装置30を容器10とトッププレート2との間に設けることで、トッププレート2の焦げ付きも抑制される。
さらに、載置検知部を用いて載置判定処理を行い、加熱口に温度検知装置30が載置されていることを確認した上で加熱を開始することで、加熱口に温度検知装置30が載置されていない場合の誤った加熱制御を防ぐことができる。また、加熱調理器100に電源不要の磁石40を配置することで、トッププレート2への取り付けが可能であり、省スペース化が実現できる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態の加熱調理器100Aは、載置判定処理において、加熱口6a、6bおよび6cの何れに温度検知装置30Aが配置されているか否かを判定する点において、実施の形態1と相違する。以下では、加熱調理器100Aおよび温度検知装置30Aの実施の形態1からの相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については、同一の符号を付する。
図11は、本実施の形態の温度検知装置30Aにおける磁力検知部51、52および53の配置を示す平面図である。図11に示すように、本実施の形態の温度検知装置30Aは、3つの磁力検知部51、52および53を備える。3つの磁力検知部51、52および53は、平面視で三角形を形成するように配置され、それぞれ磁力レベルを検出してセンサ側制御部332に出力する。
図12(a)〜(c)は、本実施の形態の加熱調理器100Aにおける磁石の配置を示す図である。図12(a)は、加熱口6aの第2表示部152aとその下方に配置される磁石402aを示し、図12(b)は加熱口6bの第2表示部152bとその下方に配置される磁石401bおよび403bを示し、図12(c)は加熱口6cの第2表示部152cとその下方に配置される磁石401c、402cおよび403cを示す。
図12(a)に示すように、磁石402aは温度検知装置30Aが加熱口6aに載置された状態で、磁力検知部52と対向する位置に配置される。また、図12(b)に示すように、磁石401bは温度検知装置30Aが加熱口6bに載置された状態で、磁力検知部51に対向する位置に配置され、磁石403bは磁力検知部53に対向する位置に配置される。また、図12(c)に示すように、磁石401cは温度検知装置30Aが加熱口6cに載置された状態で、磁力検知部51に対向する位置に配置され、磁石402cは磁力検知部52に対向する位置に配置される。磁石403cは磁力検知部53に対向する位置に配置される。
図13は、本実施の形態における載置検知部を示す断面模式図である。図13は、例として、加熱口6a上の第2表示部152aに温度検知装置30Aの通信部33が載置された状態を示す。図13に示すように、温度検知装置30Aの通信部33が第2表示部152aに配置されると、加熱調理器100Aの磁石402aと、温度検知装置30の磁力検知部52とが対向して配置される。これにより、磁力検知部52によって磁石402aの磁力が検知される。一方、温度検知装置30Aの磁力検知部53の対向位置、および図15には示されていないが磁力検知部51の対向位置には磁石が配置されていない。そのため、温度検知装置30Aが加熱口6a上に載置されている場合には、磁力検知部52のみが磁力を検知する。
同様に、温度検知装置30Aが加熱口6b上に載置されている場合には、磁力検知部51および53が磁力を検知し、磁力検知部52は磁力を検知しない。また、温度検知装置30Aが加熱口6c上に載置されている場合には、磁力検知部51、52および53の全てが磁力を検知する。このように、本実施の形態では、複数の磁力検知部51、52および53における磁力検知状態と、各加熱口6a、6bおよび6cにおける磁石の配置パターンとを比較することにより、温度検知装置30Aが加熱口6a、6bおよび6cの何れに載置されているかを判定することができる。
図14は、本実施の形態における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。図14では載置判定処理の部分のみを示し、図8に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。加熱調理器100Aの機器側通信部21から温度検知装置30Aへ載置判定を指示する信号が送信されると(S8)、温度検知装置30Aから、各磁力検知部51、52および53の検知結果が送信される。そして、まず磁力検知部52の検知結果が閾値以上であるか否かが判断される(S101)。そして、磁力検知部52の検知結果が閾値未満である場合(S101:NO)、磁力検知部51の検知結果が閾値以上であるか否かが判断される(S102)。そして、磁力検知部51の検知結果が閾値未満である場合(S102:NO)、何れの加熱口6a、6bおよび6cの上にも温度検知装置30Aが載置されていないと判断され、操作表示部3にその旨が報知される(S16)。
一方、磁力検知部51の検知結果が閾値以上である場合(S102:YES)、加熱口6bの上に温度検知装置30Aが載置されていると判断される(S103)。また、磁力検知部52の検知結果が閾値以上である場合(S101:YES)、磁力検知部53の検知結果が閾値以上であるか否かが判断される(S104)。そして、磁力検知部53の検知結果が閾値未満である場合(S104:NO)、加熱口6aの上に温度検知装置30Aが載置されていると判断される(S105)。一方、磁力検知部53の検知結果が閾値以上である場合(S104:YES)、加熱口6cの上に温度検知装置30Aが載置されていると判断される(S106)。その後は、対応する加熱口の加熱が開始され、自動調理モードによる加熱制御が実行される。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、複数の加熱口6a、6bおよび6cの何れに温度検知装置30Aが載置されているかを判定することができる。これにより、温度検知装置30Aが載置された加熱口以外への誤った加熱制御を抑制することができる。
なお、温度検知装置30Aが備える磁力検知部の数、ならびに加熱調理器100Aにおける磁石の数および配置パターンは、上記に限定されるものではなく、加熱口の数などに応じて任意に変更可能である。例えば、加熱口が3つの場合は磁力検知部を2つ以上備えることで、配置パターンとの比較が可能である。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、温度検知装置30Bに被検部である磁石40Bを配置し、加熱調理器100Bに検知部である磁力検知部50Bを配置する点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100Bおよび温度検知装置30Bのその他の構成については、実施の形態1と同様であり、同一の符号を付する。
図15は、本実施の形態における載置検知部を示す断面模式図である。本実施の形態では、温度検知装置30Bの通信部33の底面側に磁石40Bが配置される。また、加熱調理器100Bの本体1内であって、第2表示部152a、152bおよび152cの下方には、磁力検知部50Bがそれぞれ配置される。各磁力検知部50Bによる検知結果は、機器側制御部22に出力される。図15に示すように、温度検知装置30Bの通信部33が第2表示部152aに配置されると、加熱調理器100Bの磁力検知部50Bと、温度検知装置30Bの磁石40Bとが対向して配置される。これにより、温度検知装置30Bが加熱口6aに載置されている場合には、加熱調理器100の磁力検知部50Bにて、温度検知装置30Bの磁石40Bの磁力が検知される。
図16は、本実施の形態における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。図16では載置判定処理の部分のみを示し、図8に示す動作と同じステップについては、同じ符号を付す。本実施の形態では、温度検知装置30Bから、電源がオン状態であることを示す信号の返信があった場合(S5:YES)、加熱対象となる加熱口に対応する磁力検知部50Bによって磁力検知が行われる(S111)。そして、機器側制御部22によって、磁力検知部50Bの検知結果が閾値以上であるか否かが判断される(S11)。そして、検知結果が閾値以上である場合(S11:YES)、加熱が開始され(S12)、検知結果が閾値未満である場合(S11:NO)、判定結果が報知される(S16)。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、磁力検知部50Bを加熱調理器100Bの各加熱口6a、6bおよび6cにそれぞれ備えることで、加熱対象となる加熱口に温度検知装置30Bが載置されているかを容易に判定することができる。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態では、載置検知部として、加熱調理器100Cに発光部60を備え、温度検知装置30Cに受光部70を備える点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100Cおよび温度検知装置30Cのその他の構成については、実施の形態1と同様であり、同一の符号を付する。
図17は、本実施の形態における載置検知部を示す断面模式図である。本実施の形態では、加熱調理器100Cの各加熱口6a、6bおよび6cの第2表示部152a、152b、152cの下方に、発光部60がそれぞれ配置される。発光部60は、LED61およびLED61から照射される光の拡散を抑えるミラー62からなる。ミラー62は、LED61から照射される光の投射領域を限定し、上方へ投射させる。また、発光部60のON/OFFは、機器側制御部22によって制御される。機器側制御部22は、温度検知装置30Cへ載置判定を指示する信号を送信する前に、発光部60の発光をONする。
また、温度検知装置30Cの通信部33の底面側には、受光部70が配置される。受光部70は、光伝導型または光起電型の素子であり、受光部70による検知結果は、センサ側制御部332へ出力される。また、通信部33の底面は、発光部60からの光が遮蔽されない構造(例えば透過素材)とすることが望ましい。
図17に示すように、温度検知装置30Cが第2表示部152aに配置されると、加熱調理器100Cの発光部60と、温度検知装置30Cの受光部70が対向して配置される。これにより、温度検知装置30Cが加熱口aの上に載置されている場合には、温度検知装置30Cの受光部70にて加熱調理器100Cの発光部60からの光が受光される。そして、載置判定処理においては、受光部70の受光の有無に基づいて、温度検知装置30Cが載置されているか否かが判定される。なお、本実施の形態における発光部60が「被検部」に相当し、受光部70が「検知部」に相当する。
本実施の形態における載置判定処理の流れは、実施の形態1とほぼ同じである。本実施の形態では、温度検知装置30Cの受光部70の検知結果が加熱調理器100Cに送信され、加熱調理器100Cにおいて、閾値と比較される。そして、検知結果が閾値以上である場合に、温度検知装置30Cが加熱口上に載置されていると判定され、加熱が開始される。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、温度検知装置30Cの載置位置を示す第2表示部152a、152bおよび152cを発光させることで、使用者に対して温度検知装置30Cの載置位置を明示することもできる。
また、本実施の形態の変形例として、加熱調理器100Cの発光部60の発光パターンを各加熱口6a、6bおよび6cに応じて変更することで、実施の形態2と同様に、複数の加熱口6a、6bおよび6cの何れに温度検知装置30Cが配置されているか否かを判定することができる。
図18(a)〜(c)は、本実施の形態の変形例における発光部60の発光パターンを示す図である。図18(a)は、加熱口6aの第2表示部152aの下方に配置される発光部60の発光パターンを示し、図18(b)は加熱口6bの第2表示部152bの下方に配置される発光部60の発光パターンを示し、図18(c)は加熱口6cの第2表示部152cの下方に配置される発光部60の発光パターンを示す。図18(a)〜(c)に示すように、各発光部60において、発光ONと発光OFFのタイミングが異なるように制御される。これにより、温度検知装置30Cの載置位置によって、受光部70による受光パターンも異なる。そのため、受光部70による受光パターンと発光部60の発光パターンとを比較することで、温度検知装置30Cがどの加熱口に載置されているか否かを判定することができる。
さらに、本実施の形態の別の変形例として、温度検知装置30Cに検知部である発光部60を備え、加熱調理器100Cに被検部である受光部70を備える構成としてもよい。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。本実施の形態では、加熱調理器100Dに給電部80を備え、温度検知装置30Dに受電部90を備える点において、実施の形態1と相違する。加熱調理器100Dおよび温度検知装置30Dのその他の構成については、実施の形態1と同様であり、同一の符号を付する。
図19は、本実施の形態における載置検知部の断面模式図である。図19に示すように、温度検知装置30Dの通信部33は、電源部333に替えて、電磁誘導により電力を受電する受電部90と、受電部90が受電した電力によって充電される充電部91とを備えている。受電部90は、例えば導線が巻回してなる受電コイルであり、充電部91は、リチウム二次電池等の蓄電池である。
また、加熱調理器100Dは、給電用の高周波インバータ25と、高周波インバータ25から高周波電流が供給される給電部80とをさらに備えている。給電部80は、例えば導線が巻回してなる給電コイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。給電部80は、本体1内において第2表示部152aの下方に配置されている。
本実施の形態における加熱調理器100Dは、予め設定された周波数の高周波電流を給電部80に供給する給電モードを有している。給電モードでは、非接触給電によって、給電部80から受電部90へ電力が供給される。具体的には、予め設定された周波数の高周波電流を給電部80に供給することにより、給電部80に高周波磁界が発生し、温度検知装置30Dの受電部90には電磁誘導による起電力が発生する。そして、受電部90に流れた高周波電流によって充電部91が充電される。
また、本実施の形態では、予め設定された周波数の高周波電流を給電部80に供給することにより、給電部80に高周波磁界が発生させ、受電部90に流れる電流の有無に基づいて、温度検知装置30Dが加熱口上に載置されているか否かを判定することができる。なお、給電部80が本発明の「被検部」に相当し、受電部90が「検知部」に相当する。
以上のように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。また、温度検知装置30Dの電源を非接触給電により駆動させることで、通信部33の内部の水密構造を得られやすくなり、丸洗いや水の浸水による短絡故障等のリスクを低減することができる。また、電池交換などのメンテナンスが不要となるため、使用者の利便性も向上する。なお、上記実施の形態では、給電部80および受電部90によって、温度検知装置30Dの充電と載置判定処理の両方を行う構成としたが、給電部80および受電部90によって温度検知装置30Dの充電のみを行い、載置判定処理は実施の形態1〜4の何れかの方式を用いてもよい。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して説明したが、本発明の具体的な構成はこれに限られるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記実施の形態における温度検知装置30は、載置部31および通信部33からなる構成としたが、載置部31と通信部33とを接続する接続部を備える構成としてもよい。この場合、接続部の長さを調整することで、通信部33を任意の位置に配置することができる。また、載置部31の形状は、円形に限定されるものではなく、楕円、矩形、多角径など、様々な形状とすることができる。
また、本発明の載置検知部は、上記実施の形態に記載される構成に限定されるものではない。例えば、加熱調理器100および温度検知装置30の何れか一方に誘電体を配置し、加熱調理器100および温度検知装置30の他方に静電容量検知部を配置してもよい。この場合も、静電容量検知部により静電容量が検知された場合に、温度検知装置30が加熱口上に載置されていると判定する。また、誘電体の配置パターンを加熱口に応じて異なるようにし、複数の静電容量検知部にて静電容量を検知することで、加熱口と温度検知装置30との対応も判定することができる。なお、この場合、誘電体が本発明の「被検部」に相当し、静電容量検知が本発明の「検知部」に相当する。
さらに、上記実施の形態では、自動調理モードが選択された場合に載置判定処理を行う構成としたが、これに限定されるものではなく、他の調理モードにおいて、温度検知装置30を使用する場合に、載置判定処理を行うこととしてもよい。また、上記実施の形態においては、温度検知装置30による温度検知開始前に載置判定処理を行う構成としたが、温度検知開始後にも、所定のタイミングで載置判定処理を行ってもよい。所定のタイミングとしては、定期的(例えば5秒毎)に載置判定処理を行う、または温度の上昇に応じて載置判定処理の頻度をあげてもよい。または、温度検知装置30による検知結果に予め設定された値以上の変化があった場合に載置判定処理を行ってもよい。
そして、載置判定処理の結果、温度検知装置30が載置されていないと判断された場合、または複数回確認した上で載置が確認できなかった場合は、温度検知装置30が移動された、または故障していると判断し、温度検知装置30が載置されていないことを報知し、加熱を停止する、もしくは火力を下げてもよい。また、温度検知装置30が加熱口上に載置されていないと判定された場合には、赤外線温度センサ27または接触式温度センサ28の検知温度を用いて加熱制御を行ってもよい。これにより、温度検知装置が使用されない場合でも、自動調理モードを継続することができる。また、この場合は、温度検知装置が使用されていないことを操作表示部3などに報知してもよい。