JP6375677B2 - 衛生紙用柔軟剤 - Google Patents
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即ち、柔軟剤を含んだ衛生紙は、低湿度環境下での保管においてその柔らかさが損なわれることが多い。
そこで、紙力を上げる方法として、紙力増強剤を使用する方法や紙の坪量を上げて紙自体を厚くする方法が考えられる。しかしながら、これらの方法では、紙力を上げることはできるものの、紙が硬くなり、求める柔らかさが不十分となる。
即ち、肌触りを更に向上させるために、衛生紙に塗布する柔軟剤の量を増やすことによって低湿度環境下で紙を保管しても肌触りを維持向上させることができても、紙力を維持することが難しいので、衛生紙の製造時に不具合が生じることがあり、また使用時に破れたり衛生紙片が肌に付着したりするなど、不快な使用感となることがある。
また、本発明の衛生紙用柔軟剤は、更に(D)炭化水素油を含有し、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計を100質量部としたとき、(D)成分の含有量が0.2〜2.5質量部であってもよい。
なお、本発明における「衛生紙」には、日常において顔や手など人の肌に触れる目的にて使用される紙が包含され、例えば、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオルなどが包含される。
ポリオキシアルキレン多価アルコールのオキシアルキレン基は、炭素数が2〜3であり、具体的にはオキシエチレン基またはオキシプロピレン基であり、好ましくはオキシエチレン基である。
アルキレンオキシドの平均付加モル数は5〜30であり、好ましくは7〜20、更に好ましくは9〜12である。平均付加モル数が5未満の場合には紙力低下の抑制が不十分となることがあり、30モルを超える場合には柔らかさの向上が不十分となることがある。
ポリオキシアルキレン多価アルコールの構成成分である多価アルコールは価数が3〜6であり、具体的にはグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタエリスリトール、グルコース、メチルグルコシド、ソルビタン、キシリトール、ソルビトールなどが挙げられる。特に、多価アルコールの価数は3〜4が好ましく、例えばグリセリン、メチルグルコシドなどが好ましい。
特に、炭素数14〜22のアシル基が好ましく、炭素数16〜18の直鎖で飽和のアシル基が更に好ましい。ショ糖脂肪酸エステルが炭素数10〜22のアシル基を有することにより、良好な柔らかさを衛生紙に付与することができる。
また、ショ糖脂肪酸エステルは親水性が高い方が好ましく、特にモノエステル含量が50%以上である場合に更に良好な効果を示す。
炭化水素油としては、例えば、水添ポリイソブテン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等が挙げられる。好ましくは水添ポリイソブテン等の分岐を有するものであり、このような炭化水素油は、低温低湿度環境下でも衛生紙を硬くさせ難く、保水性を維持させることができる。
炭化水素油の中でも40℃における動粘度が4〜100mm2/sであるものが好ましく、更に40℃における動粘度が10〜50mm2/sであるものがより好ましい。なお、炭化水素油の動粘度は、JIS K 2283記載の方法に従って測定することができる。
他の成分として、中でもポリエチレングリコールを含有することが好ましく、例えば、数平均分子量が200〜1000、さらに好ましくは数平均分子量が300〜600のポリエチレングリコールが、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計含有量を100質量部としたとき、0.5〜5質量部含まれていることが好ましい。なお、ポリエチレングリコールの数平均分子量は、通常、水酸基価より算出することができる。
さらに、本発明の衛生紙用柔軟剤を衛生紙に含ませる工程において、衛生紙用柔軟剤を加温するなどして粘度を50〜300mPa・sec、好ましくは70〜150mPa・secに調整することにより衛生紙への付着のムラを低減することができる。
なお、上記の粘度は、40℃における粘度であり、B型粘度計にて測定することができる。
本発明の衛生紙用柔軟剤は、充分な効果を発揮するために、衛生紙100質量部に対して、15〜35質量部を衛生紙に含ませることができ、好ましくは23〜35質量部を含ませることにより本発明の効果がより顕著に発揮される。
(A)成分のグリセリンを97.8質量部、(B)成分のポリオキシエチレン(10)メチルグルコシドを1.2質量部、(C)成分のショ糖ラウリン酸エステルを1質量部、それぞれ混合して、組成物1(実施例1)を得た。
また、実施例1と同様に、表2および表3に示すとおり、各成分を所定の割合で混合し、組成物2〜組成物17(実施例2〜13、比較例1〜4)を調製した。
(C)成分として用いたショ糖脂肪酸エステルは、表1に示すC−1、C−2、C−3であり、モノエステル含量は以下の方法にて測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件にて測定し、モノエステルのピークの面積百分率比をモノエステルの成分含有量とした。
装置:東ソー株式会社製、HLC−8220
カラム:TSKgel Super H1000、Super H2000 、Super H4000
溶離液:THF
流速:0.2mL/min
検出器:RI
調製した衛生紙用柔軟剤を水にて1.1倍に希釈した後、40℃に加温して動粘度を70〜100mPa・secに調整し、ティシュペーパーに柔軟剤を印刷方式にて転写塗布した。塗布前後のティシュペーパーの重量差から、塗布前のティシュペーパー100質量部に対する塗布量を算出し、24〜26質量部となるように塗布した。
調製したティシュペーパーを温度23℃、湿度60%RHの恒温恒湿環境、および温度23℃、湿度30%RHの恒温恒湿環境に、それぞれ7日間保管した後に、2枚1組としてJAPAN TAPPI No.34 に準拠した方法にて柔軟度(mN/100mm)の評価を行なった。各湿度条件での柔軟度から以下のとおりに評価した。
16mN/100mm以下:◎(極めて良好)
16mN/100mm超、18mN/100mm未満:○(良好)
18mN/100mm以上:×(不良)
(30%RH)
21mN/100mm以下:◎(極めて良好)
21mN/100mm超、23mN/100mm未満:○(良好)
23mN/100mm以上:×(不良)
調製したティシュペーパーを温度23℃、湿度60%RHの恒温恒湿環境にて2日間保管した後、ティシュペーパーを120×15mmに切り、引張圧縮試験機(株式会社今田製作所製、SV−201−0−SH)を用いて紙の引張強度を測定した。得られた引張強度から以下のとおりに評価した。
0.5N以上:○(良好)
0.5N未満:×(不良)
温度23℃、湿度60%RHの恒温恒湿環境にて2日間保管した衛生紙用柔軟剤塗布ティシュペーパーを用いて、水で濡らした手を拭いた際の使用感について評価した。パネラー10名に対して、肌触りに加えて、手の上に水1mlを広げ、そのティシュペーパーで拭いたときの状態を評価した。ティシュペーパーが手に張り付き、破れるなどして拭きにくいと感じた場合は「不合格」、拭きにくいと感じなかった場合は「合格」の評価を行なった。この結果、「合格」と評価したパネラーが8人以上の場合は「◎」(極めて良好)、6人以上7人以下の場合は「○」(良好)、5人以下の場合は「×」(不良)と判定した。
一方、比較例1および2では(C)成分が含まれていないので、低湿度環境下での柔軟性および使用感が不十分であった。比較例3では(B)成分に代えてアルキレンオキシドの付加されていない多価アルコールが用いられているので、紙力低下抑制が不十分であった。比較例4では(A)成分および(C)成分の配合量が本発明規定の範囲から外れているので、高湿度および低湿度環境での柔軟性が不十分であった。
Claims (2)
- (A)グリセリン、
(B)オキシアルキレン基の炭素数が2〜3であり、アルキレンオキシドの平均付加モル数が5〜30であり、かつ価数が3〜6の多価アルコールから形成されたポリオキシアルキレン多価アルコール、および
(C)炭素数10〜22のアシル基を有するショ糖脂肪酸エステルを含有し、
(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計含有量を100質量部としたとき、(A)成分の含有量が90〜99.7質量部、(B)成分の含有量が0.2〜5質量部、(C)成分の含有量が0.1〜5質量部である衛生紙用柔軟剤。 - 更に(D)炭化水素油を含有し、(A)成分と(B)成分と(C)成分の合計を100質量部としたとき、(D)成分の含有量が0.2〜2.5質量部である請求項1に記載の衛生紙用柔軟剤。
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