JP2011178667A - 皮膚用乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温保管時、並びに、高温保管時における製剤の保存安定性に優れるとともに、塗布時の肌馴染みがよく、延展時に抵抗感のある良好な使用感を有する皮膚用乳化組成物の提供。
【解決手段】(A)高級脂肪酸、(B)酸化エチレンの平均付加モル数が50〜200であるポリオキシエチレン脂肪酸、並びに、(C)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステル、好ましくは、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルを含有してなる皮膚用乳化組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は皮膚用乳化組成物に関する。
乳液やクリームなどの皮膚用乳化組成物において、塗布時の高級感や延展時の優れた使用感を付与する試みとして、高級脂肪酸や高級アルコールを高配合することが一般的になされている。
しかしながら、高級脂肪酸や高級アルコールを高配合した組成物は、低温域で著しい粘度上昇を引き起こし易く、組成物自体が硬くなるため、優れた使用感が得られないといった問題がある。一方、高温域では、高級脂肪酸や高級アルコールの結晶化が進むことで粘度減少が引き起こされ易くなり、組成物自体が柔らかくなるため、優れた使用感が得られないといった問題がある。このように、高級脂肪酸や高級アルコールを配合することで、塗布時の高級感や延展時の優れた使用感を付与することはできるものの、温度変化による製剤の安定性に劣るといった問題がある。
このような問題点を解決するために、製剤の安定性を高める試みがなされている。例えば、高級アルコールと、分岐モノエステルと、グリセリン脂肪酸エステルと、親水性ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類とを含有する水中油型乳化皮膚化粧料(特許文献1を参照)などが提案されている。
しかしながら、これら試みに拠ってある程度結晶化を抑制し、高温域での製剤の安定性を高めることはできるのの、低温域での粘度上昇に伴う組成物の硬化までをも抑制するには至っておらず、十分に満足いくものではない。また、使用感においても、肌馴染みや延展性などを高めることはできるものの、抵抗感のある良好な使用感が得られにくいといった問題もある。
特開2006−298834号公報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、低温保管時、並びに、高温保管時における製剤の保存安定性に優れるとともに、塗布時の肌馴染みがよく、延展時に抵抗感のある良好な使用感(以下、コクのある使用感と称す。)を有する皮膚用乳化組成物を提供することを課題とする。
即ち、本発明は、
〔1〕(A)高級脂肪酸、(B)酸化エチレンの平均付加モル数が50〜200であるポリオキシエチレン脂肪酸、並びに、(C)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステルを含有してなる皮膚用乳化組成物、
〔2〕(C)成分が、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルである前記〔1〕に記載の皮膚用乳化組成物、並びに
〔3〕組成物の粘度が、1,000〜6,000mPa・sであることを特徴とする前記〔1〕又は〔2〕に記載の皮膚用乳化組成物
に関する。
本発明の皮膚用乳化組成物は、低温保管時、並びに、高温保管時における製剤の保存安定性に格段に優れた効果を奏する。また、塗布時の肌馴染みに優れることから、きしみ感なく肌上に延ばすことができるとともに、延展時にはコクのある使用感を有するという効果を奏する。
本発明の皮膚用乳化組成物は、(A)高級脂肪酸、(B)酸化エチレンの平均付加モル数が50〜300であるポリオキシエチレン脂肪酸、並びに、(C)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステルを含有する。
(A)成分の高級脂肪酸の具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸などの炭素数12〜22の高級脂肪酸;オリーブ油、ヤシ油、パーム油、綿実油などの植物性油脂;魚油、牛脂などの動物性油脂などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
好適な(A)成分としては、保存安定性の観点、並びに、コクのある使用感とする観点から、室温で固形の高級脂肪酸を用いることが好ましく、中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびベヘニン酸を用いることがより好ましい。尚、本発明における「室温」とは、1〜30℃の温度範囲のことを言う。
また、高級脂肪酸は、通常高級脂肪酸の塩として用いられる。具体的には、高級脂肪酸をアルカリ剤でケン化、又は中和した、アルカリ金属塩や有機アミン塩などを例示することができる。用いられるアルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの無機アルカリ;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機アルカリなどが挙げられる。使用するアルカリ剤としては、材料入手の容易性および取り扱いの簡便性の観点、並びに、高級脂肪酸塩の結晶状態の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いることが好ましい。
本発明の皮膚用乳化組成物に高級脂肪酸塩を含有させるには、高級脂肪酸とアルカリ剤を予め高級脂肪酸塩として調製後に配合してもよく、また、高級脂肪酸とアルカリ剤とを配合して組成物中で高級脂肪酸塩としてもよい。
(A)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、コクのある使用感を奏する観点から、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上である。また、保存安定性の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%である。
(B)成分のポリオキシエチレン脂肪酸とは、ポリエチレングリコールと脂肪酸のエステル化物であり、例えば、モノ脂肪酸ポリエチレングリコール、ジ脂肪酸ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
具体的には、モノ脂肪酸ポリエチレングリコールとしては、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノパルミチン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノイソステアリン酸ポリエチレングリコール、モノベヘン酸ポリエチレングリコール、モノミリスチン酸ポリエチレングリコールなどを例示することができる。
ジ脂肪酸ポリエチレングリコールとしては、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジミリスチン酸ポリエチレングリコール、ジパルミチン酸ポリエチレングリコール、ジイソステアリン酸ポリエチレングリコール、ジベヘン酸ポリエチレングリコールなどを例示することができる。
上記したポリオキシエチレン脂肪酸の中でも、保存安定性に優れた効果を奏する観点から、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコールを好ましく用いることができる。
上記したポリオキシエチレン脂肪酸の酸化エチレンの平均付加モル数は、50〜200であり、好ましくは75〜200である。その理由は、酸化エチレンの平均付加モル数が50未満の場合、低温安定性に劣り、また、平均付加モル数が200を超える場合、肌馴染みが悪く、コクのある使用感に劣るためである。
尚、本発明に用い得る(B)成分は、市販品をそのまま使用することができる。モノステアリン酸ポリエチレングリコールの市販品としては、商品名:NIKKOL MYS−55V(55E.O.;日光ケミカルズ社製)、商品名:ノニオン S−40(75E.O.;日油社製)、例えば、商品名:エマノーン 3199V(150E.O.;花王社製)、商品名:EMALEX 6300M−ST(150E.O.;日本エマルジョン社製)などを例示することができる。また、ジステアリン酸ポリエチレングリコールの市販品としては、例えば、商品名:イオネット DS−4000(75E.O.;三洋化成工業社製)、商品名:NIKKOL CDS−6000P(150E.O.;日光ケミカルズ社製)、商品名:エマノーン 3299V(150E.O.;花王社製)、商品名:エマルミン862(190E.O.;花王社製)などを例示することができる。括弧内のE.O.は酸化エチレンの平均付加モル数を表す。
(B)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保存安定性の観点から、組成物中、0.01質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上である。また、使用感の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは0.1〜3質量%である。
(C)成分の二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステルを構成する二塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、酒石酸などを例示することができる。また、混合脂肪酸を構成する脂肪酸としては、直鎖又は分岐鎖、若しくは、飽和又は不飽和の何れの脂肪酸であっても特に限定されないが、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、2−エチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸などを例示することができる。尚、本発明における「オリゴエステル」とは、重合度が2〜20のエステル体のことを言う。
上記した二塩基酸と脂肪酸からなる混合脂肪酸と、グリセリンのオリゴエステルの製造方法については、公知のエステル化法により得られれば特に限定されないが、例えば、酸クロリドからエステル化する方法;エステル基交換法;混合脂肪酸とグリセリンのエステルを合成した後に二塩基酸でエステル化する方法;二塩基酸とグリセリンのエステルを合成した後に混合脂肪酸でエステル化する方法:二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンを同時にエステル化する方法などを例示することができる。本発明に用いられる好適な(C)成分の具体例としては、例えば、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルを例示することができる。
尚、本発明に用い得る(C)成分は、市販品をそのまま使用することができる。例えば、ノムコート LAH(商品名,日清オイリオ社製)などを例示することができる。
(C)成分の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、保存安定性の観点、並びに、肌馴染みを高めてきしみ感なく肌上を延展させる観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、使用感の観点から、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
本発明の皮膚用乳化組成物とするために用いられる乳化剤は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ヒマシ油、硬化ヒマシ油およびこれらのアルキレンオキシド付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンステロールおよびその誘導体、ポリオキシエチレンラノリンおよびその誘導体、ポリオキシエチレンミツロウ誘導体、シュガーエステル類などの上記(B)成分以外の非イオン界面活性剤などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
乳化剤の含有量は、乳化組成物とすることができる量であれば特に限定されないが、組成物中、0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。
また、本発明の皮膚用乳化組成物には、コクのある使用感を更に高める観点から、高級アルコールを含有させることができる。高級アルコールとしは、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの炭素数12〜22の高級アルコールなどを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な高級アルコールとしては、室温で固形の高級アルコールを用いることが好ましく、中でも、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコールおよびベヘニルアルコールを用いることがより好ましい。
高級アルコールの含有量は、コクのある使用感を高めることができるのであれば特に限定されないが、組成物中、0.01〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.05〜3質量%である。
本発明の皮膚用乳化組成物には、保存安定性および使用感の観点から、増粘性高分子を含有させることができる。増粘性高分子としては、例えば、水溶性を有する天然高分子、半合成高分子、合成高分子などが挙げられる。具体的には、アラビアゴム、トラガントガム、グアガム、ローカストビーンガム、カラヤガム、アイリスモス、クインスシード、ゼラチン、セラック、ロジン、カゼインなどの天然高分子;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセロース、アルギン酸ナトリウム、エステルガム、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロースなどの半合成高分子;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、ポリビニルメチルセルロース、ポリアミド樹脂などの合成高分子などを例示することができる。これら成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
尚、増粘性高分子としてカルボキシビニルポリマーやアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いる場合は、通常、塩基性物質で中和して用いられる。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、アルギニンなどの塩基性アミノ酸などが例示される。また、塩基性物質の添加量は、カルボキシビニルポリマーやアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を中和するのに充分な量であり、これら成分の種類や使用量に応じて適宜配合すればよい。
増粘性高分子の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、組成物中、0.01〜1質量%が好ましく、より好ましくは0.03〜0.5質量%である。
本発明の皮膚用乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記に記した成分の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどの多価アルコール;ロウ類、炭化水素、脂肪酸エステル油、シリコーン類、清涼剤、抗酸化剤、金属封鎖剤、ビタミン類、動植物抽出エキス、パール化剤、着色剤、各種香料、防腐剤、水などを目的に応じて適宜配合してもよい。
尚、本発明の皮膚用乳化組成物は、乳化剤型であれば乳液状、クリーム状、ペースト状の何れの剤型であっても特に限定されないが、保存安定性の観点、並びに、コクのある使用感をより顕著に発現させる観点から、乳液状の剤型であることが最も好ましい。具体的には、組成物の粘度範囲が1,000〜6,000mPa・sの乳液状であることが好ましく、1,500〜5,000mPa・sの乳液状であることがより好ましい。その理由は、粘度範囲が1,000mPa・s未満の場合、保存安定性に劣るとともに、コクのある使用感を得ることができないために好ましくない。また、粘度範囲が6,000mPa・sを超える場合には、肌上での延展性に劣るために好ましくないからである。
また、本発明の皮膚用乳化組成物は、低温保管時の粘度上昇を抑制する観点、並びに、高温保管時の粘度減少を抑制する観点から、組成物のpHを6.5〜8.0の範囲内で調製することが好ましく、より好ましくは6.8〜7.5の範囲内である。このように組成物のpHを6.5〜8.0の範囲とすることで、優れた製剤の保存安定性を付与することができる。
本発明の皮膚用乳化組成物は、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いた転相乳化法などにより乳化することにより製造することができる。また、混合と乳化は別々に行っても同時に行ってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は特記しない限り「質量%」を表す。
(試料の調製)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜6および比較例1〜6の皮膚用乳化組成物を調製し、下記評価試験に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。また、表中のPOEとはポリオキシエチレンの略であり、括弧内の数値は平均付加モル数を表す。
(試験例1;低温および高温安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料の調製直後の粘度を測定した。次いで、各試料を透明ガラス容器に充填し、4℃の恒温槽および40℃の恒温槽にそれぞれ1カ月保管後の各試料の粘度を測定した。保管後の粘度値と調製直後の粘度値から、各試料の粘度変動率(%)を下記の如く算出し、低温および高温安定性を以下の評価基準に従って評価した。
尚、粘度測定には、TV−22型粘度計(東機産業社製)を用い、No.3ローター、12rpm、1minの条件下で測定した。
粘度変動率は、調製直後の試料の粘度値(T)および保管後の試料の粘度値(T)を次式(1)に代入して算出した。

〔粘度変動率(%)〕=(T/T)×100 (1)

即ち、試料の粘度変動率が100前後であれば、保管後に粘度変動が生じておらず保存安定性に優れていると言える。
<低温(5℃)安定性の評価基準>
○:粘度変動率(%)が、90%以上110%未満である
△:粘度変動率(%)が、70%以上90%未満、若しくは、110%以上130%未満である
×:粘度変動率(%)が、70%未満、若しくは、130%以上である
<高温(40℃)安定性の評価基準>
○:粘度変動率(%)が、90%以上110%未満である
△:粘度変動率(%)が、70%以上90%未満、若しくは、110%以上130%未満である
×:粘度変動率(%)が、70%未満、若しくは、130%以上である
(試験例2;使用感の評価)
官能評価パネル20名により、実施例および比較例で得られた各試料を実際に肌上に塗布してもらい、塗布時の「肌への馴染み」、並びに、延展時の「きしみ感」および「使用感(コク)」について、下記の評価基準に従って官能評価した。
<肌への馴染みの評価基準>
○:20名中16名以上が肌への馴染みがよいと回答
△:20名中10〜15名が肌への馴染みがよいと回答
×:20名中9名以下が肌への馴染みがよいと回答
<きしみ感の評価基準>
○:20名中16名以上が延展時のきしみ感はないと回答
△:20名中10〜15名が延展時のきしみ感はないと回答
×:20名中9名以下が延展時のきしみ感はないと回答
<使用感(コク)の評価基準>
○:20名中16名以上がコクのある使用感であると回答
△:20名中10〜15名がコクのある使用感であると回答
×:20名中9名以下がコクのある使用感であると回答
Figure 2011178667
Figure 2011178667
表1および表2の結果から、各実施例の皮膚用乳化組成物は、各比較例のものと対比して、低温保管時、並びに、高温保管時における製剤の保存安定性に格段に優れた効果を奏していることが分かる。また、塗布時の肌馴染みに優れ、きしみ感なく肌上に延ばすことができるとともに、延展時にはコクのある使用感を有していることが分かる。
これに対し、本発明の構成成分を充足しない各比較例は、保存安定性は良いものの、優れた使用感が得られないもの、若しくは、使用感は良いものの、保存安定性に劣るものであり、保存安定性および使用感の双方に優れた効果を奏するものでないことが分かる。
以下、本発明に係る皮膚用乳化組成物の処方例を示す。尚、配合量は質量%である。また、POEとはポリオキシエチレンの略であり、括弧内の数値は平均付加モル数を表す。
(処方例1)
ステアリン酸 0.8
ベヘニルアルコール 0.5
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(150E.O.) 0.7
(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
1.5
オレフィンオリゴマー 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
ポリエチレングリコール1500 2.0
モノステアリン酸POEソルビタン(20E.O.) 0.7
モノステアリン酸グリセリル 0.15
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
オクトキシグリセリン 0.3
1,2−ペンタンジオール 1.0
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー
1.0
キサンタンガム 0.05
水酸化カリウム 適 量
エデト酸塩 適 量
植物抽出エキス 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0
(処方例2)
ステアリン酸 0.8
ベヘニルアルコール 0.5
ジステアリン酸ポリエチレングリコール(150E.O.) 0.5
(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステル
1.5
トリ2−エチルヘキサン酸セチル 2.0
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 4.0
ポリエチレングリコール1500 2.0
モノステアリン酸デカグリセリル 0.7
水添レシチン 0.5
モノステアリン酸グリセリル 0.15
濃グリセリン 5.0
ジプロピレングリコール 5.0
オクトキシグリセリン 0.3
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30))クロスポリマー
1.0
キサンタンガム 0.05
水酸化カリウム 適 量
エデト酸塩 適 量
フェノキシエタノール 0.2
メチルパラベン 0.3
植物抽出エキス 適 量
香料 適 量
精製水 残 部
合 計 100.0

Claims (3)

  1. (A)高級脂肪酸、(B)酸化エチレンの平均付加モル数が50〜200であるポリオキシエチレン脂肪酸、並びに、(C)二塩基酸を含む混合脂肪酸とグリセリンのオリゴエステルを含有してなる皮膚用乳化組成物。
  2. (C)成分が、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリルオリゴエステルである請求項1に記載の皮膚用乳化組成物。
  3. 組成物の粘度が、1,000〜6,000mPa・sであることを特徴とする請求項1又は2に記載の皮膚用乳化組成物。
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