JP6375215B2 - メモリ効果有無の判定方法及びメモリ効果有無の判定装置 - Google Patents

メモリ効果有無の判定方法及びメモリ効果有無の判定装置 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリ二次電池のメモリ効果の有無を判定するメモリ効果有無の判定方法、及びメモリ効果有無の判定装置に関する。
従来、二次電池の内部状態を推定し、この推定結果を用いて残存容量(SOC:State Of Charge)を算出する技術が知られている(特許文献1)。
特許文献1に記載の二次電池の内部状態推定装置は、リチウムイオン二次電池のSOCを推定する装置であって、パラメータ値に基づいて二次電池の内部反応を推定可能な電池モデルを用いることにより同二次電池のSOCを推定する。電池モデルは、二次電池の材料物性値を含むパラメータ値により内部状態が規定される。パラメータ値には、二次電池の使用状態を示すバッテリーの出力電圧に基づいて生成されるものが含まれている。そして、この内部状態推定装置は、生成されたパラメータ値などにより内部状態が規定された電池モデルに電圧センサからの検出値を入力させることに応じてSOCを推定する。
特開2008−58278号公報
特許文献1に記載の二次電池の内部状態推定装置によれば、生成されたパラメータ値を介してリチウムイオン二次電池のSOCが該二次電池の使用状態が反映されるかたちで推定されるようになる。
ところで、ニッケル水素二次電池についても、高い精度でSOCを得ることが求められている。また、ニッケル水素二次電池では、使用に応じて生じる充放電可能範囲を狭める効果であるメモリ効果がSOCの推定に与える影響が無視できない。メモリ効果は、二次電池の使用状態に応じて生じる効果であるため、二次電池毎に異なる使用状態において、それら二次電池に生じるメモリ効果を予測することは容易ではない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルカリ二次電池のメモリ効果の有無を判断するメモリ効果有無の判定方法、及びメモリ効果有無の判定装置を提供することにある。
上記課題を解決する正極電位の推定方法は、ニッケル水素二次電池の正極の電位を推定する方法であって、前記正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めることで前記正極の電位を推定する電位推定工程と、前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程と、前記推定されたパラメータを前記電極反応モデルに反映させる反映工程と、を備えることを要旨とする。
上記課題を解決する正極電位の推定装置は、ニッケル水素二次電池の正極の電位を推定する正極電位の推定装置であって、前記正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めて前記正極の電位を推定する電位推定部と、前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定部と、前記推定されたパラメータを前記電極反応モデルに反映させる反映部と、を備えることを要旨とする。
このような方法又は構成によれば、測定された電圧に対応する正極電位に近似するように推定されたパラメータの反映された電極反応モデルに基づいて、電極反応モデルにより正極電位がより高い精度で推定される。これにより正極電位を、電極反応モデルに基づいて算出される主反応の反応分極電圧を反映させたかたちで算出することができる。
ところで発明者は、主反応の反応分極電圧にはニッケル水素二次電池に生じたメモリ効果の影響が反映されることを見出した。このことから、主反応の反応分極電圧を、電極反応モデルでモデル化して求めることでメモリ効果の影響を反映させつつ精度よく推定することができるようになる。また、こうして正極電位が精度よく推定されることにより、起電圧の推定精度も向上され、ひいては電池のSOCの算出精度も向上するようになる。
好ましい方法として、前記電極反応モデルは、バトラーボルマーの式に基づくモデルである。
このような方法によれば、電極反応を示すバトラーボルマーの式を用いることにより、主反応の反応分極電圧を好適にモデル化することができる。
好ましい方法として、前記バトラーボルマーの式は、パラメータとして、正極主反応の電流密度参照値、活物質水素/プロトン濃度参照値、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)を含む式であり、前記推定されるパラメータは、前記バトラーボルマーの式に含まれるパラメータのうち、正極主反応の電流密度参照値、活物質水素/プロトン濃度参照値、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)のうちの少なくとも一つである。
この方法によるように、このバトラーボルマーの式によれば、電極反応がより高い精度でモデル化される。また、発明者はこれらパラメータにメモリ効果の影響が反映されることを見出したことから、これらパラメータの推定によりメモリ効果の影響が反映されるかたちで主反応の反応分極電圧を推定できるようになる。
好ましい方法として、前記電極反応モデルはさらに、ターフェルの式に基づくモデルを含み、所定の条件に応じて前記バトラーボルマーの式に基づくモデルと前記ターフェルの式に基づくモデルとを切り替えて使用する。
このような方法によれば、電極反応モデルに、バトラーボルマーの式に基づくモデルと、ターフェルの式に基づくモデルとを用いることで、条件に応じて利用するモデルを選択することが可能になる。例えば、高い精度を得たい場合にはバトラーボルマーの式に基づくモデルを選択し、演算負荷を抑えたい場合にはターフェルの式に基づくモデルを選択することなどができる。
上記課題を解決する起電圧の推定方法は、ニッケル水素二次電池の起電圧を推定する方法であって、前記起電圧を正極電位と負極電位と部品抵抗による電圧降下との合成電圧により算出するものであり、前記正極電位の算出には上記記載の正極電位の推定方法を用いることを要旨とする。
このような方法によれば、起電圧の推定に際し、正極電位が精度よく推定される方法を用いることにより、ニッケル水素二次電池の起電圧の推定精度が向上されるようになり、SOCの推定精度も自ずと向上するようになる。
上記課題を解決するメモリ効果有無の判定方法は、ニッケル水素二次電池の正極のメモリ効果の有無を判定する方法であって、前記正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めることで前記正極の電位を推定する電位推定工程と、前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程と、前記推定したパラメータが予め定めた範囲を超えるとき、前記正極にメモリ効果が生じていると判定するメモリ効果有無の判定工程とを備えることを要旨とする。
上記課題を解決するメモリ効果有無の判定装置は、ニッケル水素二次電池の正極のメモリ効果の有無を判定するメモリ効果有無の判定装置であって、正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めることで前記正極の電位を推定する電位推定部と、前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定部と、
前記推定したパラメータが予め定めた範囲を超えるとき、前記正極にメモリ効果が生じていると判定するメモリ効果有無判定部とを備えることを要旨とする。
このような方法又は構成によれば、メモリ効果の影響が電極反応モデルのパラメータに基づいて適切に判定されるようになる。これにより、種々の理由で変化する正極電位において、メモリ効果に起因して生じる変化を適切に判定することができる。
つまり従来、メモリ効果の有無は、残存容量と端子間電圧の関係を実際の電池において計測した値とメモリ効果の無い初期値との差が閾値を超えるか否かで判定していたため、メモリ効果以外の影響で残存容量と端子間電圧の関係が初期値からずれた場合であっても、メモリ効果が生じていると誤判定するおそれがあった。この構成によれば、メモリ効果に起因するパラメータの変化に基づいてメモリ効果の有無が確実に判定されるようになる。
好ましい方法として、前記予め定めた範囲を、ニッケル水素二次電池にメモリ効果が生じていないときに推定されるパラメータの値に基づいて定める。
このような方法によれば、メモリ効果の生じる前のパラメータに基づいて、予め定めた範囲が各パラメータについて容易に設定できるようになる。なお、メモリ効果の生じる前のパラメータを、メモリ効果が生じる前のニッケル水素二次電池に対して電極反応モデルのパラメータを推定することで得ることもできる。
のメモリ効果有無の判定方法、及びメモリ効果有無の判定装置によれば、アルカリ二次電池の正極に生じるメモリ効果を考慮することで正極の電位をより精度よく推定すること、及び、アルカリ二次電池のメモリ効果の有無を判断すること、及び、アルカリ二次電池の起電圧を推定することができる。
正極電位の推定方法を具体化した第1の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 ニッケル水素二次電池のSOCにおける使用範囲とマージンとを説明する説明図。 ニッケル水素二次電池についてメモリ効果の有無により変化する残存容量と端子間電圧との関係を示すグラフ。 第1の実施形態において、ニッケル水素二次電池の正極電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位で表すことを説明する説明図。 同実施形態において、電極反応モデルについて推定したパラメータに基づいてSOCを算出する処理の手順を示すフローチャート。 メモリ効果有無の判定方法を具体化した第2の実施形態について、その概略構成を示すブロック図。 同実施形態において、電極反応モデルについて推定したパラメータに基づいてメモリ効果の有無を判定し、この判定結果に基づいてSOCを算出する処理の手順を示すフローチャート。
(第1の実施形態)
図1〜図5を参照して、正極電位の推定方法、正極電位の推定装置及び起電圧の推定方法を具体化した第1の実施形態について説明する。この実施形態では、例えば、車両に搭載される電池10の充電状態が残存容量[Ah]、もしくは、残存容量率(SOC:State Of Charge)[%]として算出される。SOCは、電池10に充電可能な電気量に占める実際に充電されている電気量の割合を示すものであって、残存容量とSOCとは相互に変換可能な関係(SOC=残存容量/最大容量)にある。よって以下では、説明の都合に応じて、SOCと残存容量とを併用する。また、本実施形態でのSOCを算出する処理には、正極電位の推定処理や単電池等の起電圧の推定処理などが含まれる。
本実施形態では、電池10は、ニッケル水素二次電池であって、電池モジュールとして構成されている。また、電池モジュールである電池10が複数接続されることで電池スタック(組電池)が構成される。電池モジュールは6個の電池セル(単電池)から構成される。電池セルは、正極板と負極板とがセパレータを介して複数枚積層された極板群とアルカリ電解液とから構成されている。
図1に示すように、正極電位の推定装置は、上述した電池10と、電池10の温度を測定する電池温度測定部11と、電池10の端子間電圧を測定する電圧測定器21と、電池10の充放電電流を測定する電流測定器22とを備えている。また、この装置は、電池10のSOCを算出するなどして電池状態を監視する監視装置30を備えている。
電池温度測定部11は、電池10の温度を測定し、測定した電池10の温度に対応する温度信号を監視装置30へ出力する。
電圧測定器21は、測定した電池10の端子間電圧に対応する電圧信号を監視装置30に出力する。
電流測定器22は、測定した電池10の充放電電流に対応する電流信号を監視装置30に出力する。
監視装置30は、取得された各種情報に基づいて、電池10のSOCを算出する。監視装置30は、算出した電池10のSOCを表示させたり、外部に出力させたりすることができてもよい。監視装置30は、電池温度測定部11から入力される温度信号から電池10の温度を取得し、電圧測定器21から入力される電圧信号から電池10の端子間電圧を取得し、電流測定器22から入力される電流信号から電池10の充放電電流を取得する。
また、監視装置30は、電池10のSOCを算出する処理を行う処理部40と、電池10のSOCの算出に用いられるデータ等を保持する記憶部50とを備える。処理部40は、コンピュータを含み構成されており、演算装置、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどを備える。また処理部40は、記憶部50との間でデータの授受が可能である。記憶部50は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であり、各種データを保持する。
記憶部50には、電池10の端子間電圧を算出することができる電池モデル51が記憶されている。電池モデル51には、電池モジュールに対応するモデルと、電池セルに対応するモデルと、正極電位に対応するモデルと、主反応の反応分極電圧に対応する電極反応モデルとが含まれる。これらモデルの詳細については後に説明する。また、記憶部50には、各モデルの演算処理に用いられる複数の定数がパラメータ定数52として記憶され、複数のパラメータの初期値が初期パラメータ53として記憶されている。さらに、記憶部50には、電池10の端子間電圧に基づいて残存容量を算出することができる、残存容量と端子間電圧との関係を示す算出用データ(図3参照)がSOC算出用データ54として記憶されている。SOC算出用データ54には、初期値としての算出用データと、電池10の状態に応じて適宜更新される算出用データとが含まれていてもよい。
処理部40は、電池10の端子間電圧や電池10の充放電電流を取得する電圧電流取得部41と、電池10の温度を取得する温度取得部42とを備える。また、処理部40は、電池モデルに基づく演算処理を行う電位推定部としての電池モデル部43と、電池モデルのパラメータを推定するパラメータ推定部44と、算出用データを更新する反映部としてのSOC算出用データ更新部45と、電池10のSOCを算出するSOC算出部46とを備える。
電圧電流取得部41では、電圧信号に基づいて端子間電圧が取得され、電流信号に基づいて充放電電流が取得される。ここで取得される端子間電圧は、電池10において直列接続された複数電池セルの合成電圧として出力されるものである。
温度取得部42では、温度信号に基づいて電池10の温度が取得される。
電池モデル部43は、電池モデルに含まれる各モデルの演算処理に基づいて電池10の端子間電圧を算出する。電池モデル部43では、記憶部50の電池モデル51に含まれる、電池モジュールに対応するモデル、電池セルに対応するモデル、正極電位に対応するモデル、及び、正極の主反応の反応分極電圧に対応する電極反応モデルがそれぞれ適宜演算処理される。例えば、各モデルの演算処理により、順に、主反応の反応分極電圧、正極電位、電池セルの電圧、そして電池モジュールの電圧を算出することで、電池10の端子間電圧が得られる。
パラメータ推定部44は、正極の電極反応モデルに含まれる各種パラメータのうち推定対象とするパラメータの値が推定されるとともに、推定されたパラメータの値を電極モデルのうちの電極反応モデルに反映させる。
SOC算出用データ更新部45は、電池モデル部43の演算処理により算出された電池10の端子間電圧に基づいて算出用データを更新する。
SOC算出部46は、電池10から測定された端子間電圧を算出用データに照合させて残存容量を得るとともに、得られた残存容量に基づいて電池10のSOCを算出する。
図2を参照して、まず、電池10のSOCの使用範囲について説明する。
図2のグラフ100に示すように、適切に充放電可能なSOCの範囲である管理下限値L1以上、管理上限値H1以下の範囲[%]を超える充放電は電池性能を劣化させるおそれがある。そこで、通常、電池10は、そのSOCが管理下限値L1から管理上限値H1までの範囲[%]を超えない範囲で使用されるように管理する範囲が定められている。例えば、管理下限値L1は20[%]に設定され、管理上限値H1は80[%]に設定されるが、電池10の電池特性や使用環境、使用態様に応じて適切な値を設定することができる。
ところが従来から、電池10のSOCを高い精度で算出することは容易ではない。そこで算出される電池10のSOCにはある程度の誤差が含まれることを前提にして、こうした誤差を含む電池10のSOCに基づいて電池10の充放電を管理したとしても電池10が過充放電されることがないようにするため、こうした誤差を吸収できるマージンが設けられることも少なくない。すなわち、管理下限値L1に下側マージンの容量を加えて管理下限値L1よりも多い容量とした使用下限値LLが設けられたり、管理上限値H1から上側マージンの容量を減らして管理上限値H1よりも少ない容量とした使用上限値HLが設けられたりしている。これにより、電池10の出力性能は、そのSOCの使用範囲が、管理上限値H1から管理上限値H1までの間よりも狭い、使用下限値LLから使用上限値HLまでの間に規制されていた。つまり電池10の出力性能は、下側マージンの容量の分、及び、上限マージンの容量の分だけ低下することとなっていた。逆にいえば、算出される電池10のSOCの精度が高くなれば、下側マージンの容量や上限マージンの容量を少なくすることができ、電池10の出力性能が高められるようになる。
近年、電池10のより一層の出力性能の向上が求められている。そこで、電池10のSOCの算出誤差を低減させて、下側マージンの容量、及び、上側マージンの容量を少なくすることで電池10の出力性能を高めることが考えられる。ところが、ニッケル水素二次電池は、電池の使用態様に応じて生じるメモリ効果の影響によって、電池10のSOCにある程度の誤差が生じることが避けがたく、よって、下側マージンや上側マージンを小さくすることによる電池10の出力性能の向上が容易ではなかった。
図3を参照してメモリ効果について説明する。
図3のグラフ101に示すように、電池10の残存容量と端子間電圧とは、端子間電圧の高さに対応して残存容量が多くなる関係を有する。この関係によれば、電池10の端子間電圧に基づいて残存容量が求められる。ところで、グラフ101の線L0は、電池10にメモリ効果が生じていない初期状態のときの残存容量と端子間電圧との関係を示し、同線L11は、電池10が使用された結果メモリ効果を生じているときの残存容量と端子間電圧との関係を示す。グラフ101に示すように、メモリ効果があるとき(線L11)は、無いとき(線L0)に比べて残存容量に対する電圧降下が大きく、線L11の傾きは線L0の傾きよりも大きい。このように、残存容量と端子間電圧との関係は、メモリ効果の有無により相違を生じるため、メモリ効果の有無の相違に起因して電池10の端子間電圧から算出される残存容量に誤差が生じるおそれがある。
そこで、本実施形態では、メモリ効果の影響も考慮して電池10のSOCを算出することで、算出された電池10のSOCの精度を向上させる。そして、この算出された電池10のSOCを用いることで、誤差に対応して設けられているマージン容量を小さくして電池10におけるSOCの使用範囲を拡大させ、もって電池10の出力性能の向上が図られるようにした。グラフ101の線L12は、メモリ効果の影響を考慮して電池10のSOCを算出することのできるデータの例を示している。具体的には、残存容量と端子間電圧との関係を示す線L0や線L12などに対応し、電池10のSOCの算出に用いられる算出用データを、メモリ効果の有無に応じて随時変化させることで、メモリ効果の有無にかかわらず、測定される端子間電圧(例えば、線L11)に基づいて電池10のSOCが高い精度で算出できるようにした。
続いて、メモリ効果の影響を考慮して電池10のSOCを算出する技術について説明する。
まず、電池モデル51について説明する。
電池10の端子間電圧は、電池モジュールに対応するモデルである「電池モジュールで直列接続される電池セルの数×電池セルの出力電圧」に基づき算出される。
電池セルの出力電圧は、電池セルに対応するモデルである「正極電位−負極電位+部品抵抗による電圧降下」に基づき、単電池の起電圧として算出される。部品抵抗による電圧降下は、電池温度で変化するマップから算出する部品抵抗値に、測定される電流値をかけて算出することができる。また、正極電位は、正極電位に対応するモデルである「主反応の反応分極電圧+液体相電位+主反応の平衡電位」に基づき算出される。そして、主反応の反応分極電圧は、電極反応モデルである「バトラーボルマーの式」に基づき算出される。
図4を参照して、正極電位に対応するモデルについて説明する。正極電位は、電池セルにおける正極の電位であって、電池セル内に挿入された参照極に対する正極の電位として測定されるものである。なお同様にして負極電位を測定することもできる。
図4に示すように、正極電位φsは、下記式(1)に示すように、主反応の反応分極電圧η1と、液体相電位φeと、主反応の平衡電位U1との合成電位として表される。
Figure 0006375215
なお、主反応の反応分極電圧η1と液体相電位φeとはそれぞれ、正の値となることも、逆に、負の値となることもある。本実施形態の場合、正極電位φsは、グラフ102における充電時Cには線Lcに示すように、主反応の反応分極電圧η1と液体相電位φeとが正の値となることから、主反応の平衡電位U1に主反応の反応分極電圧η1と液体相電位φeとのそれぞれの値の絶対値が加算される。また、グラフ102における放電時Dには線Ldに示すように、主反応の反応分極電圧η1と液体相電位φeとが負の値となることから、主反応の平衡電位U1から主反応の反応分極電圧η1と液体相電位φeとのそれぞれの値の絶対値が減算されることとなる。
液体相電位φeは、液体相のオームの法則など公知の方法に基づき算出されてもよいし、予め所定の値が設定されてもよい。
主反応の平衡電位U1は、ネルンストの式など公知の方法に基づき算出されてもよいし、予め所定の値が設定されてもよい。
主反応の反応分極電圧η1は、下記式(2)に示すように、正極の電極反応を示す式である「バトラーボルマーの式」からなる電極反応モデルから算出される。
Figure 0006375215
ところで、ニッケル水素二次電池は、そのメモリ効果が正極に生じることが知られている。そして、発明者は、上記式(1)に示される正極電位φsにおいて、メモリ効果の影響が主反応の反応分極電圧η1に現れることを見出した。また、発明者は、メモリ効果の影響が主反応の反応分極電圧η1に現れるとすると、メモリ効果の影響が上記式(2)に示す電極反応モデルのパラメータに現れることを見出した。そこで、上記式(2)のパラメータを推定することで、メモリ効果が生じたときの正極電位を推定し、当該推定された正極電位に基づいて残存容量との関係を示す算出用データを更新することで、メモリ効果の影響を考慮して電池10のSOCを算出できることを見出した。
ここで式(2)に含まれるパラメータを推定することについて説明する。
式(2)に含まれるパラメータの推定では、所定の期間、又は、所定のデータ数だけ取得された残存容量と端子間電圧とのペアデータに近似するように同式(2)のパラメータが推定される。このとき、同式(2)に含まれているパラメータのうち、推定対象となるパラメータが推定される。電池10の放電特性は、残存容量と端子間電圧との関係においてカーブを描く非線形であるため、同放電特性に式(2)を近似させるパラメータの推定は、非線形最小二乗法や適応フィルタを用いることにより行われる。また、推定されたパラメータの反映された式(2)によれば、残存容量に対応する主反応の反応分極電圧η1が推定されるようになり、この推定された主反応の反応分極電圧η1に基づいて端子間電圧を求めることで、残存容量と端子間電圧との関係を示すデータが算出できるようになる。なお、残存容量を表すにしても、電池モジュールの単位、電池セルの単位、電池スタックの単位、又は電池ブロックの単位のいずれであれ、必要とされる単位に変換可能である。
式(2)に含まれる各種パラメータは、値が予め決まっている固定パラメータと、値が推定される推定パラメータと、固定パラメータと推定パラメータとが設定されることで算出される算出パラメータとに分類される。このうち固定パラメータは、推定処理の都度、所定の値に設定される。
・固定パラメータ…ファラデー定数F、気体定数R、水酸化物イオン濃度参照値Cor
・推定パラメータ…正極主反応の電流密度参照値Ir、活物質水素/プロトン濃度参照値Chr、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)αa、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)αc
・算出パラメータ…正極主反応の電流密度I1、水酸化物イオン濃度Co1、活物質表面水素/プロトン濃度Ch1、及び、正極主反応の反応分極電圧η1
そして、上記パラメータのうち、少なくとも、正極主反応の電流密度参照値Ir、活物質水素/プロトン濃度参照値Chr、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)αa、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)αcには、パラメータの推定を行ったときメモリ効果の影響が反映される。
図5を参照して、本実施形態の動作について説明する。
図5に示すように、ステップS11〜S14までの処理により、算出用データに基づいて電池10のSOCを算出する処理が行われる。また、算出用データを更新できる条件が成立することで、算出用データを更新する処理が行われる。以下に、こうした処理について詳述する。なお、電池10のSOCを算出する処理は、該電池10を使用する装置の電源が入ることなどにより周期的に実行される。
図5に示すように、電池10のSOCを算出する処理が開始されると、処理部40は充放電電流、端子間電圧、及び、電池温度を取得する(ステップS11,S12,S13)。そして、取得された端子間電圧と、充放電電流と、電池温度と、算出用データとに基づいて残存容量を取得し、この取得した残存容量に基づいて電池10のSOCを算出する(ステップS14)。続いて処理部40は、取得されたデータが所定数より多いか否かを判断する(ステップS15)。ここで取得されたデータの数とは、データを取得する期間に対応するデータ取得タイミングの回数であり、以下では、こうして取得されたデータの経時的変化に電極反応モデルを近似させる処理が行われる。なお、取得されたデータには、充放電電流、端子間電圧、電池温度、及び、電池10のSOCを含むことができる。そして、取得されたデータが所定数以下であると判断した場合(ステップS15でNO)、処理部40は、電池10のSOCの算出処理を終了する。
一方、取得されたデータが所定数より多いと判断した場合(ステップS15でYES)、処理部40は、電極反応モデルのパラメータを推定する処理を実行する(ステップS16)。ここでは、処理部40は、上記式(2)で示される電極反応モデルについて、推定パラメータを推定する。そして、推定された推定パラメータを電池モデル部43で電圧推定に用いる電極反応モデルに反映させることで該電極反応モデルのパラメータが更新される(ステップS17)。処理部40は、推定パラメータが更新された電極反応モデルを用いて、残存容量と端子間電圧との関係を示す算出用データを作成し、この作成した算出用データでSOC算出用データ54を更新する(ステップS18)。そして、処理部40は、電池10のSOCの算出処理を終了する。
この実施形態によれば、電池10のSOCがより高い精度で検出するようになる。これにより、電池10のSOCに誤差が含まれることを前提に設けられている、例えば下側マージンや上限マージンなどを小さくすることで電池10の使用範囲の拡大を図り、電池10の出力性能を向上させることができるようになる。例えば、本実施形態の監視装置30から出力される電池10のSOCを電池10の管理に用いる電池制御装置は、精度の高い電池10のSOCに基づき電池10の使用範囲を広げることができるようになるため、自ずと電池10の出力性能が高められるようになる。
以上説明したように、本実施形態の正極電位の推定方法、正極電位の推定装置及び起電圧の推定方法によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)測定された端子間電圧に対応する正極電位に近似するように推定されたパラメータの反映された電極反応モデルに基づいて、電極反応モデルにより正極電位φsがより高い精度で推定される。これにより正極電位φsを、電極反応モデルに基づいて算出される主反応の反応分極電圧η1を反映させたかたちで算出することができる。
ところで発明者は、主反応の反応分極電圧η1にはニッケル水素二次電池に生じたメモリ効果の影響が反映されることを見出した。このことから、主反応の反応分極電圧η1を、電極反応モデルでモデル化して求めることでメモリ効果の影響を反映させつつ精度よく推定することができるようになる。また、こうして正極電位φsが精度よく推定されることにより、電池セルの起電圧の推定精度も向上され、ひいては電池10のSOCの算出精度も向上するようになる。
(2)電極反応モデルとして電極反応を示すバトラーボルマーの式を用いることにより、主反応の反応分極電圧η1を好適にモデル化することができる。
(3)上記式(2)に示すバトラーボルマーの式によれば、電極反応がより高い精度でモデル化される。また、発明者はこれらパラメータにメモリ効果の影響が反映されることを見出したことから、これらパラメータの推定によりメモリ効果の影響が反映されるかたちで主反応の反応分極電圧η1を推定できるようになる。
(4)起電圧の推定に際し、正極電位が精度よく推定される方法を用いることにより、電池セルの起電圧の推定精度が向上されるようになり、電池10のSOCの推定精度も自ずと向上するようになる。
(第2の実施形態)
図6及び図7に従って、メモリ効果有無の判定方法、メモリ効果有無の判定装置及び起電圧の推定方法を具体化した第2の実施形態について説明する。本実施形態では、電極反応モデルで推定されたパラメータに基づいてメモリ効果の有無を判定し、この判定結果に応じて選択された算出用データに基づいて電池10のSOCを算出することが、第1の実施形態に相違するものの、それ以外の点については同様である。そこで、以下では、第1の実施形態と相違する構成について詳細に説明することとし、同様の構成については同じ符号を付し詳細な説明を割愛する。
処理部40には、メモリ効果判定部47と、SOC算出用データ選択部48とが設けられている。なお、処理部40には、SOC算出用データ更新部45が設けられていなくてもよい。
SOC算出用データ54には、残存容量と端子間電圧との関連を示す算出用データとして、メモリ効果が生じていないときのデータ、例えば、図3に示される線L0に対応するデータと、メモリ効果が生じているときのデータ、例えば、図3に示される線L12に対応するデータとが含まれている。これらデータは、電池10にメモリ効果が生じているか否かに応じて対応するデータが選択され、その選択されたSOC算出用データ54と測定した端子間電圧とに基づいてSOC算出部46によって電池10のSOCが適切に算出されるようになる。
メモリ効果判定部47は、パラメータ推定部44にて推定された推定パラメータなどからなる判定対象パラメータに基づいて、電池10にメモリ効果が生じているか否かを判定する。判定対象パラメータには、正極主反応の電流密度参照値Ir、活物質水素/プロトン濃度参照値Chr、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)αa、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)αcのうちの少なくとも1つが含まれる。メモリ効果判定部47は、判定対象パラメータを、SOC算出用データ54に保持されているメモリ効果が生じていない初期の判定対象パラメータと比較する。ここで、メモリ効果判定部47は、判定対象パラメータが初期の判定対象パラメータを含む予め定めた範囲内にあるか、又は、予め定めた範囲外にあるかを判定する。そして、メモリ効果判定部47は、判定対象パラメータのうちの少なくとも一つが予め定めた範囲外にあると判断することに基づいてメモリ効果が生じている旨を判定し、判定対象パラメータのうちの全てが予め定めた範囲内にあると判断することに基づいて、メモリ効果が生じていない旨を判定する。
SOC算出用データ選択部48は、メモリ効果の有無に対応する算出用データをSOC算出用データ54から選択し、この選択した算出用データでSOC算出部46の算出用データを更新する。これにより、メモリ効果の有無に対応する算出用データに基づいて、電池10のSOCが算出されるようになる。
図7を参照して、本実施形態の動作について説明する。
まず、図7では、ステップS11〜S13、及び、ステップS14の処理で、SOC算出用データに基づいて電池10のSOCを算出する処理が行われる。また、SOC算出用データを選択・更新できる条件が成立することで、SOC算出用データを選択・更新する処理が行われる。以下に、こうした処理について詳述する。なお、電池10のSOCを算出する処理は、該電池10を使用する装置の電源が入ることなどにより周期的に実行される。
図7に示すように、電池10のSOCを算出する処理が開始されると、処理部40は充放電電流、端子間電圧、及び、電池温度を取得する(ステップS11,S12,S13)。そして、処理部40は、取得されたデータが所定数より多いか否かを判断する(ステップS15)。ここで取得されたデータの数とは、データを取得するタイミングの回数である。そして、取得されたデータが所定数以下であると判断した場合(ステップS15でNO)、処理部40は、取得された端子間電圧と、充放電電流と、電池温度と、算出用データとに基づいて残存容量を取得し、電池10のSOCを算出する(ステップS14)。これにより、処理部40は、電池10のSOCの算出処理を終了する。
一方、取得されたデータが所定数より多いと判断した場合(ステップS15でYES)、処理部40は、電極反応モデルのパラメータを推定する処理を実行する(ステップS16)。続いて、処理部40は、パラメータ推定部44で推定されたパラメータを含む判定対象パラメータに基づいて、電池10にメモリ効果が生じているか否かを判定する(ステップS20)。メモリ効果は生じていないと判定した場合(ステップS20でNO)、処理部40は、電池10のSOCを算出し(ステップS14)、その後、電池10のSOCの算出処理を終了させる。
メモリ効果が生じていると判定した場合(ステップS20でYES)、処理部40は、SOC算出部46で参照されることに適している算出用データをSOC算出用データ54のうちから選択し、その選択した算出用データによってSOC算出部46で参照する算出用データを更新させる(ステップS21)。例えば、メモリ効果が「なし」から「あり」に変化したとき、SOC算出部46で参照される算出用データは、電池10の初期状態に対応するデータ(例えば、線L0)から、使用後にメモリ効果が生じた状態に対応するデータ(例えば、線L12)に更新される。そして、処理部40は、更新された算出用データに基づいて電池10のSOCを算出し(ステップS14)、その後、電池10のSOCの算出処理を終了させる。
また、メモリ効果の判定結果に応じて電池10の制御を変更することもできる。
以上説明したように、本実施形態に係るメモリ効果有無の判定方法、メモリ効果有無の判定装置及び起電圧の推定方法は、上記第1の実施形態にて記載した(1)〜(4)の効果に加えて、以下に記す効果を有する。
(5)メモリ効果の影響が電極反応モデルの判定対象パラメータに基づいて適切に判定されるようになる。これにより、種々の理由で変化する正極電位において、メモリ効果に起因して生じる変化を適切に判定することができる。
なお、従来、メモリ効果の有無は、図3のような残存容量と端子間電圧の関係を実際の電池10において計測し、その計測した値と、メモリ効果の無い初期値(線L0)との差が閾値を超えたら、メモリ効果が生じていると判定していた。そのため、メモリ効果以外の影響で残存容量と端子間電圧の関係が初期値からずれた場合でも、メモリ効果が生じていると誤判定する可能性があったが、この構成によれば、メモリ効果に起因する変化を確実に判定することができる。
(6)メモリ効果の生じる前の判定対象パラメータに基づいて、予め定めた範囲が各パラメータについて容易に設定できるようになる。なお、メモリ効果の生じる前のパラメータを、メモリ効果が生じる前のニッケル水素二次電池に対して電極反応モデルのパラメータを推定することで得ることもできる。
(その他の実施形態)
なお上記各実施形態は、以下の態様で実施することもできる。
・上記各実施形態では、電極反応モデルがバトラーボルマーの式で表される場合について例示した。しかしこれに限らず、電極反応モデルはその他の式で表されるモデルであってもよい。
例えば、電極反応モデルとして下記式(3)に示されるターフェルの式を用いてもよい。なお、ターフェルの式を用いる場合、主反応の反応分極電圧η1>1の条件が成立するときターフェルの式を採用し、この条件が成立しないときバトラーボルマーの式を用いるように切り替えることが好ましい。ターフェルの式は、バトラーボルマーの式に比べて簡単であるため演算処理を簡単にすることができる一方、バトラーボルマーの式に比べると精度が低下するものの従来よりも高い精度は維持される。なお、上述した条件は、「η1>1」に限らず、主反応の反応分極電圧η1が、正、かつ、上記式(2)と下記式(3)との近似が成立するほど十分大きいときに成立するようにしてもよい。
Figure 0006375215
電極反応モデルに、バトラーボルマーの式に基づくモデルと、ターフェルの式に基づくモデルとを用いることにより、条件に応じて利用するモデルを選択することが可能になる。例えば、高い精度を得たい場合、バトラーボルマーの式に基づくモデルを選択し、演算負荷を抑えたい場合、ターフェルの式に基づくモデルを選択することなどが可能になる。
・上記第2の実施形態では、電池10にメモリ効果が生じている場合と、生じていない場合との2つの場合を判定する場合について例示した。しかしこれに限らず、電池にメモリ効果が生じているとき、メモリ効果の生じている度合いを複数のレベルに分けて判定してもよい。この場合、SOC算出用データに含まれる算出用データに各レベルを割り当てればよい。
・上記第2の実施形態では、SOC算出用データ54には、メモリ効果が生じているときの算出用データと、メモリ効果が生じていないときの算出用データとの2つが含まれている場合について例示した。しかしこれに限らず、SOC算出用データには、3つ以上の算出用データが含まれていてもよい。特にこの場合、メモリ効果の生じている度合いを複数のレベルに分けることで、その度合いに応じた算出用データを選択することができるようになり、電池10のSOCをより高い精度で算出できることが期待される。
・上記第2の実施形態では、判定対象パラメータのうちの少なくとも一つが所定の範囲外にあることに基づいてメモリ効果が生じている旨を判定した。しかしこれに限らず、判定対象パラメータのうち複数が所定の範囲外にあることに基づいてメモリ効果が生じている旨を判定してもよい。また、判定対象パラメータの種類毎に、それ一つが所定の範囲外にあることに基づいてメモリ効果が生じている旨を判定してもよいし、他のパラメータとの関係でメモリ効果が生じている旨を判定したりしてもよい。
・上記各実施形態では、起電圧は電池セルの起電圧である場合について例示した。しかしこれに限らず、起電圧は、電池モジュール、電池ブロック、電池スタックなど、複数の電池セルの起電圧を合成したものであってもよい。
・上記各実施形態では、電池10が電池モジュールである場合について例示したが、これに限らず電池は、電池スタックや電池ブロック、電池セルであってもよい。この場合、算出用データの端子間電圧や残存容量を電池スタックや電池ブロック、電池セルに対応させればよい。
・上記各実施形態では、電池10が車両に搭載される場合について例示した。この車両としては、電気自動車やハイブリッド自動車の他、バッテリーを搭載するガソリン自動車やディーゼル自動車なども含まれる。また、電池は、電源として必要とされるのであれば、自動車以外の移動体や、固定設置される電源として用いられてもよいし、モータ以外の電源として用いられてもよい。例えば、自動車以外の電源としては、鉄道、船舶、航空機やロボットなどの移動体や、情報処理装置などの電気製品の電源などが挙げられる。
10…電池、11…電池温度測定部、21…電圧測定器、22…電流測定器、30…監視装置、40…処理部、41…電圧電流取得部、42…温度取得部、43…電池モデル部、44…パラメータ推定部、45…SOC算出用データ更新部、46…SOC算出部、47…判定部、48…SOC算出用データ選択部、50…記憶部、51…電池モデル、52…パラメータ定数、53…初期パラメータ、54…SOC算出用データ。

Claims (6)

  1. ニッケル水素二次電池の正極のメモリ効果の有無を判定する方法であって、
    前記正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めることで前記正極の電位を推定する電位推定工程と、
    前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定工程と、
    前記推定したパラメータが予め定めた範囲を超えるとき、前記正極にメモリ効果が生じていると判定するメモリ効果有無の判定工程とを備え
    前記推定したパラメータは、正極主反応の電流密度参照値、活物質水素/プロトン濃度参照値、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)のうちの少なくとも一つである
    ことを特徴とするメモリ効果有無の判定方法。
  2. 前記予め定めた範囲を、ニッケル水素二次電池にメモリ効果が生じていないときに推定されるパラメータの値に基づいて定める
    請求項に記載のメモリ効果有無の判定方法。
  3. 前記電極反応モデルは、バトラーボルマーの式に基づくモデルである
    請求項1又は2に記載のメモリ効果有無の判定方法。
  4. 前記バトラーボルマーの式は、パラメータとして、正極主反応の電流密度参照値、活物質水素/プロトン濃度参照値、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)を含む式であり、
    前記推定したパラメータは、前記バトラーボルマーの式に含まれるパラメータである
    請求項に記載のメモリ効果有無の判定方法。
  5. 前記電極反応モデルはさらに、ターフェルの式に基づくモデルを含み、所定の条件に応じて前記バトラーボルマーの式に基づくモデルと前記ターフェルの式に基づくモデルとを
    切り替えて使用する
    請求項又はに記載のメモリ効果有無の判定方法。
  6. ニッケル水素二次電池の正極のメモリ効果の有無を判定するメモリ効果有無の判定装置であって、
    正極の電位を主反応の反応分極電圧と液体相電位と主反応の平衡電位との合成電位とするとともに、前記主反応の反応分極電圧を電極反応モデルから求めることで前記正極の電位を推定する電位推定部と、
    前記推定される正極の電位が、ニッケル水素二次電池の測定された電圧に対応する正極電位に近似するように、前記電極反応モデルのパラメータを推定するパラメータ推定部と、
    前記推定したパラメータが予め定めた範囲を超えるとき、前記正極にメモリ効果が生じていると判定するメモリ効果有無判定部とを備え
    前記推定したパラメータは、正極主反応の電流密度参照値、活物質水素/プロトン濃度参照値、正極主反応の非対称パラメータ(アノード反応)、及び、正極主反応の非対称パラメータ(カソード反応)のうちの少なくとも一つである
    ことを特徴とするメモリ効果有無の判定装置。
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