JP6375126B2 - 磁気センサ装置およびロータリエンコーダ - Google Patents

磁気センサ装置およびロータリエンコーダ Download PDF

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Description

本発明は、基板に形成された感磁膜を利用した磁気センサ装置、および磁気センサ装置を備えたロータリエンコーダに関するものである。
固定体に対する回転体の回転を検出するロータリエンコーダでは、たとえば、回転体の側にマグネットを設け、固定体の側に磁気抵抗素子やホール素子を備えた磁気センサ装置が設けられる。
かかる磁気センサ装置のうち、たとえば、磁気抵抗素子を備えた磁気センサ装置では、基板の一方面に磁気抵抗膜からなる感磁膜が形成されており、感磁膜によって構成した2相(A相およびB相)のブリッジ回路から出力された出力に基づいて、回転体の角度速度や角度位置等を検出する(たとえば、特許文献1参照)。
磁気センサ装置に用いられる磁気抵抗素子やホール素子に用いられる感磁膜は、温度によって抵抗値が変化する。なお、磁気抵抗素子に用いられる磁気抵抗膜としてパーマロイを用いた場合、InSbやInAs等の半導体材料を用いた場合に比して温度に起因する抵抗変化が小さいが、それでも、温度が変化すると抵抗値が変動する。
ただし、感磁膜によってブリッジ回路を形成した場合、各感磁膜において温度変化に起因する抵抗値変化が発生しても、かかる変化が等しければ、出力に変化は発生しないはずである。
しかしながら、基板に形成された感磁膜を利用した磁気センサ装置では、たとえ、感磁膜によってブリッジ回路を形成した場合でも、温度が変化すると、検出誤差が大きくなると考えられる。
かかる原因は明確ではないが、温度変化に伴う膨張収縮が基板等と感磁膜との間で相違することに起因する応力が各感磁膜によって異なることの影響や、基板に感磁膜を成膜した際の各感磁膜の膜質の差に起因するものと推測される。
これを解決するために、磁気センサ装置に温度センサおよびヒータを設けて、感磁領域を一定の温度に保持するように制御して、特性の安定性の向上を図ることが考えられる。
この場合、温度センサとしては抵抗膜により形成する抵抗型温度センサが適用可能である。
この抵抗型温度センサの材料として、金属(白金、ニッケル、その他)や金属の窒化物等が採用可能であり、これらを線材か薄膜に加工して用いることができる。
抵抗型温度センサについては、たとえばニッケルや白金を用いた温度センサが特許文献2に記載され、ニッケルを用いた温度センサが特許文献3に記載されている。
特開2012−118000号公報 特開平8−105804号公報 特開2003−28727号公報
しかしながら、温度センサに白金を用いる場合、白金は非磁性であるが、高価なためコスト面で適用することは困難である。
温度センサにニッケルを用いる場合、ニッケルは白金に比べて高価ではなく抵抗温度係数が大きいが、磁界により抵抗値が1〜2%程度変化してしまい磁界中で用いる場合は精度がよくない。
また、感磁素子に影響を与えないよう温度センサの材料として非磁性材のチタンを用いることも考えられる。
しかしながら、チタンは通電や環境条件による抵抗値(同じ温度での抵抗値)の変化があり、精度がよくないという不利益がある。
本発明の目的は、磁界中においても高精度の温度監視を行うことが可能で、環境温度が変化しても安定した検出精度を得ることができる磁気センサ装置、およびこの磁気センサ装置を備えたロータリエンコーダを提供することにある。
本発明の第1の観点の磁気センサ装置は、基板と、前記基板に形成され、ブリッジ回路を形成する感磁膜を備えた感磁領域と、前記基板に形成された温度監視用抵抗膜と、前記基板に形成された加熱用抵抗膜と、を有し、前記温度監視用抵抗膜は、n角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の弧を複数有し、各n角形の弧が直線状または曲線状の弧により形成され、複数の前記n角形の弧は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
このように、本発明では、感磁膜が形成された基板に、温度監視用抵抗膜および加熱用抵抗膜が形成されている。このため、設定温度との温度差や温度変化を温度監視用抵抗膜の抵抗値によって監視し、その監視結果に基づいて加熱用抵抗膜に給電すれば、感磁膜を設定温度にまで加熱することができる。それ故、設定温度で高い精度が得られるように、感磁膜の抵抗バランスを設定しておけば、温度変化が発生しても安定した検出精度を得ることができる。
そして、温度監視用抵抗膜を、三角形以上で円形を含むn角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
また、温度監視用抵抗膜は、複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
好適には、複数の前記n角形の弧は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループと第2グループに区分け可能で、前記第1グループのn角形の弧が囲む磁束と、前記第2グループのn角形の弧が囲む磁束が略同等となるように配置可能である。
これは、磁束が一様な場合であって、たとえば複数の弧は奇数でも偶数でもよく、1つの弧と2つの弧で誘起される電圧をキャンセルする場合も有れば、2つの弧と2つの弧で誘起される電圧をキャンセルする場合、2つの弧と3つの弧で誘起される電圧キャンセルする場合もある。
この場合も、n角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、n角形の弧が偶数本、直列に接続されている。
このように、n角形の弧の数を偶数本にすることで、同一層に形成することができることから、温度監視用抵抗膜を容易に形成することができる。
奇数本の場合、別の層により抵抗膜を跨ぐような立体配線が必要である場合もあるのに対して、同一層で形成できる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、n角形の弧が偶数本、直列に接続された検出ブロックが複数個連結されている。
このように、検出ブロックを連結することにより、線長を調整し易いことから、所望する抵抗値を容易に実現することがきできる。
そして、検出ブロックを1つで配置できるような広いスペースがない場合であっても、小さい検出ブロックを複数連結することで、所望する抵抗値を確保することができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、n角形の弧が折り返しで接続される折り返し部を有し、前記折り返し部が、n角形の弧が偶数本、直列に接続された検出ブロックに対して等配角度で配置されている。
これにより、折り返し部によって、弧が途切れる箇所が等配角度で配置されるので、一部の場所に集中して配置される場合と比較すると、回転する磁界に変化があっても変化が相殺されやすくなる。
複数の前記n角形の弧は、偶数本であり、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように極めて近傍で折り返されて直列に接続され、誘起される電圧をキャンセルする前記第1グループと前記第2グループで形成される組が複数存在する。
これは、磁束が一様でない場合であって、たとえば第1グループの弧の数は1であり、第2グループの弧の数は1である。
複数の弧は偶数本であり、1つの弧と1つの弧でキャンセルする組が2つある場合、1つの弧と1つの弧でキャンセルする組が3つある場合、等がある。
この場合、温度監視用抵抗膜を、三角形以上で円形を含むn角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
また、複数の弧が極近傍で折り返すように配置されているので、パターン内で磁束が一様でない場合であっても磁束により誘起される電圧をキャンセル(相殺)することができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、前記感磁領域の外周側で、弧を近傍で折り返すように配置されている。
このように、極近傍で折り返すように配置されていることから、パターン内で磁束が一様でない場合でも磁束により誘起される電圧をキャンセルできる。
また、温度監視用抵抗膜が広い範囲に配置されるので、温度分布が偏っている場合でも精度よく温度検出することができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、前記n角形は円であり、前記弧は円弧である。
このように、温度監視用抵抗膜を円形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
また、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜(センサ)形状が同心円状である。
同心円状に配置することで、密度を上げて、均等により多くの弧を配置することができる。
好適には、前記温度監視用抵抗膜は、ニッケルにより形成されている。
ニッケルは白金と比較して安価であり、抵抗温度変化係数が大きいので検出分解能を上げることができる。
好適には、前記感磁膜と前記加熱用抵抗膜が同一層に配置され、前記温度監視用抵抗膜は、前記感磁膜および前記加熱用抵抗膜と異なる層に形成されている。
このように、温度監視用抵抗膜を、感磁膜と加熱用抵抗膜と異なる層に形成することで、感磁膜と加熱用抵抗膜、温度監視用抵抗膜を各々に適した材質で形成することができる。
また、好適には、前記温度監視用抵抗膜の抵抗値変化に基づいて前記加熱用抵抗膜への給電を制御する温度制御部を有する。
すなわち、温度制御部が磁気センサ装置に設けられていることが好ましい。かかる構成によれば、温度制御部を別途、設ける必要がないという利点がある。
好適には、本発明に係る磁気センサ装置は、たとえばロータリエンコーダに用いられる。この場合、ロータリエンコーダは、前記基板に対向配置された着磁面がNS一極着磁されたマグネットを有し、前記ブリッジ回路により得られた第1相と第2相の2相出力に基づいて、前記基板と前記マグネットとの相対的な角度位置を検出する。
この場合、前記ブリッジ回路は、前記感磁膜によって前記着磁面の面内方向の磁界変化を検出した結果に基づいて前記2相出力を生成することが好ましい。
本発明によれば、磁界中においても高精度の温度監視を行うことが可能で、環境温度が変化しても安定した検出精度を得ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る磁気センサおよびロータリエンコーダにおける原理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置に用いた感磁素子の感磁膜(磁気抵抗膜)の電気的な接続構造を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置に用いた感磁素子を説明するための図である。 ニッケル、パーマロイおよびチタンを温度監視用抵抗膜(SENS)に適用した場合の温度に対する抵抗温度係数の変化特性を示す図である。 本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合の多角形の角数と抵抗値変化率との関係のシミュレーション結果を示す図である。 本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合の多角形の角数と抵抗値変化率との関係のシミュレーション結果を表として示す図である。 本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合であって、回転磁界における磁界角度と各多角形の抵抗値変化率との関係を示す図である。 本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合であって、強弱磁界における磁束密度と各多角形の抵抗値変化率との関係を示す図である。 本実施形態に係る磁気センサ装置の感磁素子(感磁膜)と、温度監視用抵抗膜と、加熱用抵抗膜の積層構造について説明するための図である。 本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置の制御部に構成した温度制御部の概略構成を示す説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。 本発明の第3の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。 本発明の第4の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。 第4の実施形態に係る温度監視用抵抗膜の検出ブロックを拡大して示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。 本発明の第6の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。
以下、本発明を適用した磁気センサ装置、およびロータリエンコーダの実施形態を図面に関連付けて説明する。
なお、ロータリエンコーダにおいて、固定体に対する回転体の回転を検出するにあたっては、固定体にマグネットを設け、回転体に感磁素子を設けた構成、または固定体に感磁素子を設け、回転体にマグネットを設けた構成のいずれの構成を採用してもよい。
以下の説明では、固定体に磁気センサ装置を設け、回転体にマグネットを設けた構成を中心に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置10およびロータリエンコーダ1における原理を説明するための図である。
図1(a)は感磁素子4等に対する信号処理系の説明図、図1(b)は感磁素子4から出力される信号の説明図、図1(c)は感磁素子4から出力される信号と回転体2の角度位置(電気角)との関係を示す説明図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置10に用いた感磁素子4の感磁膜(磁気抵抗膜)41〜44の電気的な接続構造を説明するための図である。
図2(a)は+A相および−A相の感磁膜が形成するブリッジ回路を示す図、図2(B)は+B相および−B相の感磁膜が形成するブリッジ回路を示す図である。
図1に示すロータリエンコーダ1は、固定体(図示せず)に対する回転体2の軸線周り(回転軸線周り)の回転を磁気センサ装置10によって磁気的に検出する装置である。ロータリエンコーダ1において、固定体は、モータ装置のフレーム等に固定され、回転体2は、モータ装置の回転出力軸等に連結された状態で使用される。
回転体2の側には、N極とS極とが周方向において1極ずつ着磁された着磁面21を回転軸線方向Lの一方側に向けるマグネット20が保持されており、マグネット20は回転体2と一体に回転軸線周りに回転する。
固定体の側には、マグネット20の着磁面21に対して回転軸線方向Lの一方側で対向する感磁素子4、および後述する処理を行う制御部90等を備えた磁気センサ装置10が設けられている。
磁気センサ装置10は、マグネット20に対向する位置に、第1ホール素子61と、第1ホール素子61に対して周方向において機械角で90°ずれた箇所に位置する第2ホール素子62とを備えている。
感磁素子4は、基板40と、マグネット20の位相に対して互いに90°の位相差を有する2相の感磁膜(第1相としてのA相(SIN)の感磁膜、および第2相としてのB相(COS)の感磁膜)とを備えた磁気抵抗素子である。
かかる感磁素子4において、A相の感磁膜は、180°の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+A相(SIN+)の感磁膜43、および−A相(SIN−)の感磁膜41を備えている。B相の感磁膜は、180°の位相差をもって回転体2の移動検出を行う+B相(COS+)の感磁膜44、および−B相(COS−)の感磁膜42を備えている。
+A相の感磁膜43および−A相の感磁膜41は、図2(a)に示すブリッジ回路を形成しており、一方端がA相用の電源端子VccAに接続され、他方端がA相用のグランド端子GNDAに接続されている。
+A相の感磁膜43の中点位置には、+A相が出力される出力端子+ATが設けられ、−A相の感磁膜41の中点位置には、−A相が出力される出力端子−ATが設けられている。
また、+B相の感磁膜44および−B相の感磁膜42も、+A相の感磁膜43および−A相の感磁膜41と同様、図2(b)に示すブリッジ回路を形成しており、一方端がB相用の電源端子VccBに接続され、他方端がB相用のグランド端子GNDBに接続されている。
+B相の感磁膜44の中点位置には、+B相が出力される出力端子+BTが設けられ、−B相の感磁膜42の中点位置には、−B相が出力される出力端子−BTが設けられている。
なお、図2では便宜上、A相用の電源端子VccAおよびB相用の電源端子VccBの各々を記載したが、A相用の電源端子VccAとB相用の電源端子VccBとが共通になっていてもよい。
また、図2では便宜上、A相用のグランド端子GNDAおよびB相用のグランド端子GNDBの各々を記載したが、A相用のグランド端子GNDAとB相用のグランド端子GNDBとが共通になっていてもよい。
かかる構成の感磁素子4は、図1(a)に示すように、マグネット20において着磁境界部分に回転軸線方向Lで重なる位置に配置されている。
このため、感磁素子4の感磁膜41〜44は、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で、着磁面21の面内方向で向きが変化する回転磁界を検出することができる。
すなわち、着磁境界線部分では、各感磁膜41〜44の抵抗値の飽和感度領域以上の磁界強度で面内方向の向きが変化する回転磁界が発生する。
ここで、飽和感度領域とは、一般的に、抵抗値変化量kが、磁界強度Hと近似的に「k∝H」の式で表すことができる領域以外の領域をいう。
また、飽和感度領域以上の磁界強度で回転磁界(磁気ベクトルの回転)の方向を検出する際の原理は、感磁膜41〜44に通電した状態で、抵抗値が飽和する磁界強度を印加したとき、磁界と電流方向がなす角度θと、感磁膜41〜44の抵抗値Rとの間には、次式
で示す関係があることを利用するものである。
R=R0−k×sin2θ
R0:無磁界中での抵抗値
k:抵抗値変化量(飽和感度領域以上のときは定数)
このような原理に基づいて回転磁界を検出すれば、角度θが変化すると抵抗値Rが正弦波に沿って変化するので、波形品質の高いA相出力およびB相出力を得ることができる。
本実施形態の磁気センサ装置10およびロータリエンコーダ1において、感磁素子4、第1ホール素子61、および第2ホール素子62には、増幅回路91、92、95、96を介して制御部90が接続されている。
制御部90は、これらの増幅回路91、92,95、96から出力される正弦波信号sin、cosに補間処理や各種演算処理を行うCPU(演算回路)等を備えて構成されており、感磁素子4、第1ホール素子61、および第2ホール素子62からの出力に基づいて、固定体に対する回転体2の回転角度位置が求められる。
より具体的には、ロータリエンコーダ1において、回転体2が1回転すると、感磁素子4(磁気抵抗素子)からは、図1(b)に示す正弦波信号sin、cosが2周期分、出力される。
したがって、正弦波信号sin、cosを増幅回路91、92により増幅した後、制御部90において、図1(c)に示すリサージュ図を求め、正弦波信号sin、cosからθ=tan-1(sin/cos)を求めれば、回転出力軸の角度位置θが分かる。
また、本形態では、マグネット20の中心からみて90°ずれた位置に第1ホール素子61および第2ホール素子62が配置されている。このため、第1ホール素子61および第2ホール素子62の出力の組合せにより、現在位置が正弦波信号sin、cosのいずれの区間に位置するかが分かる。
したがって、ロータリエンコーダ1は、感磁素子4での検出結果、第1ホール素子61での検出結果、および第2ホール素子62での検出結果に基づいて回転体2の絶対角度位置情報を生成することができ、アブソリュート動作を行うことができる。
[感磁素子4の平面構成]
図3は、本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置10およびロータリエンコーダ1に用いた感磁素子4を説明するための図である。
図3に示すように、本形態の磁気センサ装置10において、感磁素子4は、基板40と、基板40の一方面40aに形成された感磁膜41〜44とを備えており、感磁膜41〜44は、互いに折り返しながら延在している部分によって、基板40の中央に円形の感磁領域45を構成している。本形態において、基板40は四角形の平面形状を有するシリコン(Si)基板である。
感磁膜41〜44からは配線部分が一体に延在しており、配線部分の端部には、(A相用の電源端子VccA、A相用のグランド端子GNDA)、+A相出力用の出力端子+AT、−A相出力用の出力端子−AT、B相用の電源端子VccB、B相用のグランド端子GNDB、+B相出力用の出力端子+BT、および−B相出力用の出力端子−BTが設けられている。
また、本形態の感磁素子4では、基板40の一方面40aに温度監視用抵抗膜47および加熱用抵抗膜48が形成されている。
ここで、加熱用抵抗膜48は、基板40の辺に沿って四角枠状に延在して閉ループを構成した状態で、感磁膜41〜44が形成されている領域の全体を囲んでいる。
このため、加熱用抵抗膜48と感磁膜41〜44とは、基板40の面内方向でずれた領域に形成されており、平面視で重なっていない。また、加熱用抵抗膜48の相対向する2つの辺部分の一方からは配線部分481が延在し、その端部には、加熱用抵抗膜48に対する給電用の電源端子VccHが形成されている。
ここで、温度監視用抵抗膜47は、感磁膜43、44の配線部分と部分的に重なっているが、感磁領域45とは基板40の面内方向でずれた領域に形成されており、感磁領域45とは重なっていない。
温度監視用抵抗膜47の一方の端部には、温度監視用の電源端子VccSが形成されている。
また、温度監視用抵抗膜47の他方の端部は、A相用のグランド端子GNDAおよびB相用のグランド端子GNDBに接続されている。このため、A相用のグランド端子GNDAおよびB相用のグランド端子GNDBは、温度監視用抵抗膜47に対するグランド端子GNDSや加熱用抵抗膜48に対するグランド端子GNDHとしても利用されている。
温度監視用抵抗膜47は、加熱用抵抗膜48の内側領域のうち、加熱用抵抗膜48の4つの角の1つの角付近に設けられており、感磁領域45と加熱用抵抗膜48との間に位置する。
[温度監視用抵抗膜47の構成]
温度監視用抵抗膜47は、たとえば抵抗温度変化係数の大きいニッケル(Ni)膜により形成され、磁界による抵抗値変化を抑制するため、その形状はn角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の直線状または曲線状の弧を複数有するよう形成されている。
このように、本実施形態では、温度監視用抵抗膜47は、その形状がn角形の弧を複数有するように形成されるが、各n角形の構成辺である弧は直線または曲線として形成される。
図4は、ニッケル、パーマロイおよびチタンを温度監視用抵抗膜(SENS)に適用した場合の温度に対する抵抗温度係数の変化特性を示す図である。
図4において、横軸が温度を、縦軸が抵抗温度係数を示している。
温度監視用抵抗膜(SENS)47の材料としては、チタン(Ti)を適用することも考えられるが、チタンは通電や環境条件による抵抗値(同じ温度での抵抗値)の変化があり、精度がよくないという不利益がある。
温度監視用抵抗膜(SENS)47の材料としてニッケル(Ni)を用いる場合、ニッケルは白金に比べて高価ではなく抵抗温度係数が大きく、検出分解能を上げることができるという利点がある。
ただし、ニッケルは、磁界により抵抗値が1〜2%程度変化してしまい磁界中で用いる場合は精度がよくないこともある。
そこで、本実施形態では、磁界による抵抗値変化を抑制するため、温度監視用抵抗膜(SENS)47の形状をn角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の直線状または曲線状の弧を複数有するよう形成している。
なお、この構成は、ニッケル以外にも、磁界により抵抗値が変化する材料に適用して抵抗値変化を抑制することが可能である。
[温度監視用抵抗膜47の形状]
本第1の実施形態では、温度監視用抵抗膜47は、最もシンプルな三角形状の検出ブロックBLK1として形成されている。
この三角形状の温度監視用抵抗膜47は、直線状の6本の弧R1〜R6を有しており、ほぼ正三角形状となるように形成されている。
これらの弧R1〜R6は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
具体的には、弧R1の一端が配線WR1を介して温度監視用の電源端子VccSに接続され、弧R1の他端が弧R2の一端に直列に接続され、弧R2の他端が弧R3の一端に直列に接続されている。
弧R3の他端が弧R4の一端に直列に接続され、弧R4の他端が弧R5の一端に直列に接続され、弧R5の他端が弧R6の一端に直列に接続され、弧R6の他端が配線WR2を介して温度監視用抵抗膜47に対するグランド端子GNDSに接続されている。
このように、複数の三角形の検出ブロックBLK1の弧R1〜R6は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
これらの弧R1〜R6は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループGRP1と第2グループGRP2に区分け可能である。
第1グループGRP1には弧R1,R5,R6が含まれ、第2グループGRP2には弧R2,R3,R4が含まれる。
そして、第1グループGRP1の弧R1の他端から第2グループGRP2の弧R2が折り返すようにかつ弧R1に沿うように近接して対向するように形成されている。
第2グループGRP2の弧R2の他端から第2グループGRP2の弧R3が所定角度(たとえば60度)を持って折り返すように形成されている。
第2グループGRP2の弧R3の他端から第2グループGRP2の弧R4が弧R1と弧R2との接続部分に向かって所定角度(たとえば60度)をもって折り返すように形成されている。
第2グループGRP2の弧R4の他端から第1グループGRP1の弧R5が折り返すようにかつ弧R4に沿うように近接して対向するように形成されている。
第1グループGRP1の弧R5の他端から第1グループGRP1の弧R6が折り返すようにかつ第2グループGRP2の弧R3に沿うように近接して対向するように形成されている。
このような構成を有する温度監視用抵抗膜47の検出ブロックBLK1は、第1グループGRP1の三角形の弧R1,R5,R6が囲む磁束と、第2グループGRP2の三角形の弧R2,R3,R4が囲む磁束が略同等となるように配置可能に構成されている。
本第1の実施形態において、温度監視用抵抗膜47の形状を三角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
[温度監視用抵抗膜47の形状の考察]
図3の温度監視用抵抗膜47の検出ブロックBLK1は、最も基本的な三角形としたが、本発明は、多角形として三角形に限定されず、その形状をn角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の直線状または曲線状の弧を複数有するよう形成することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、円形とはnが無限大の究極の多角形としてとらえることができる。
ここで、円形には、ほぼ真円を含むことはもとより、楕円や一部弧が円弧ではなく直線状の弦のような部分を含む円や楕円等を含む概念である。
このようなn角形の温度監視用抵抗膜47の検出ブロックBLKは、たとえば磁束が一様な場合に配置する効果が大きく、複数の弧は奇数でも偶数でもよく、1つの弧と2つの弧で誘起される電圧をキャンセルする場合も有れば、2つの弧と2つの弧で誘起される電圧をキャンセルする場合、2つの弧と3つの弧で誘起される電圧キャンセルする場合もある。
図5は、本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合の多角形の角数と抵抗値変化率との関係のシミュレーション結果を示す図である。
図6は、本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合の多角形の角数と抵抗値変化率との関係のシミュレーション結果を表として示す図である。
図5の例では、角数として、1,3,4,5,6,7,8、および円を例にシミュレーションを行った結果を示している。
また、この例では、磁束密度が一定で回転する回転磁界と、方向が一定で磁束密度が変化する強弱磁界の場合の、2つの磁界におけるシミュレーション結果を示している。
図5において、横軸が角数を、縦軸が抵抗値変化率をそれぞれ示している。
また、図7は、本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合であって、回転磁界における磁界角度と各多角形の抵抗値変化率との関係を示す図である。
図7において、横軸が角度を、縦軸が抵抗値変化率をそれぞれ示している。
さらに、図8は、本実施形態に係る温度監視用抵抗膜を多角形とした場合であって、強弱磁界における磁束密度と各多角形の抵抗値変化率との関係を示す図である。
図8において、横軸が磁束密度を、縦軸が抵抗値変化率をそれぞれ示している。
図5、図6、図7からわかるように、回転磁界の場合、温度監視用抵抗膜47の形状が三角形以上の正多角形であれば抵抗値は完全に変化しなくなる。
なお、正多角形でなくとも、磁界の影響で抵抗値に多少の変化が現出することがあるが、実用上十分な抵抗値変化の抑制効果を発現することができる。
図5、図6、図8からわかるように、強弱磁界の場合、温度監視用抵抗膜47の形状が三角形以上で実用上十分な抵抗値変化の抑制効果を発現することができる。
このように、磁束が一様であるかないかにかからず、温度監視用抵抗膜47の形状が三角形以上で実用上十分な抵抗値変化の抑制効果を発現することができる。
すなわち、温度監視用抵抗膜47の形状を三角形以上のn角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
[磁気センサ装置の積層構造]
次に、本実施形態に係る磁気センサ装置10の感磁素子(感磁膜)4(41〜44)と、温度監視用抵抗膜47と、加熱用抵抗膜48の積層構造について説明する。
図9は、本実施形態に係る磁気センサ装置10の感磁素子(感磁膜)4(41〜44)と、温度監視用抵抗膜47と、加熱用抵抗膜48の積層構造について説明するための図である。
図9(a)は磁気センサ装置10の断面構成を簡略的に示す説明図、図9(b)は感磁素子4の断面構成の変形例を簡略的示す説明図である。
なお、図9(a)〜(d)では、感磁膜41〜44、温度監視用抵抗膜47、および加熱用抵抗膜48の層構造を模式的に示してある。
また、図9(a)〜(d)では、温度監視用抵抗膜47については右下がりの斜線を付し、加熱用抵抗膜48については右上がりの斜線を付してある。
本実施形態の磁気センサ装置10は、図9(a)に示す積層構造、あるいは図9(b)に示す積層構造をもって構成される。
具体的には、図9(a)に示すように、まず、基板40の一方面40aには、シリコン酸化膜からなる第1絶縁膜51、シリコン酸化膜からなる第2絶縁膜52、およびポリイミド樹脂等からなる第3絶縁膜53が形成されている。
本実施形態において、感磁膜41〜44はスパッタ法等により形成されたパーマロイ膜である。
温度監視用抵抗膜47は、スパッタ法等により形成されたニッケルやパーマロイ膜等の導電膜である。
加熱用抵抗膜48は、スパッタ法等により形成されたニッケルやパーマロイ、アルミニウム膜等の導電膜である。
材料がニッケルの温度監視用抵抗膜47は、たとえば膜厚35nm、線幅7μmのパターンとして形成される。
本実施形態においては、材料ニッケルの温度監視用抵抗膜47は、たとえば膜厚10nm〜、線幅3μm〜として形成可能である。
ここで、感磁膜41〜44、温度監視用抵抗膜47、および加熱用抵抗膜48のうち、感磁膜41〜44が最も基板40の側(下層側)に形成されている。
より具体的には、感磁膜41〜44は、基板40と第1絶縁膜51との層間に形成されている。
温度監視用抵抗膜47は、第1絶縁膜51と第2絶縁膜52との層間に形成されている。
加熱用抵抗膜48は、感磁膜41〜44と同様、基板40と第1絶縁膜51との層間に形成されている。
このため、感磁膜41〜44は、加熱用抵抗膜48と同一の層に形成され、温度監視用抵抗膜47とは第1絶縁膜51を介して別の層に形成されている。
なお、図9(a)の例では、温度監視用抵抗膜47は、感磁膜41〜44と加熱用抵抗膜48と別の上層(基板面40aに対して)に形成されているが、図9(c)の例のように、温度監視用抵抗膜47が感磁膜41〜44より下層に形成してもよく、また、図9(d)の例のように、感磁膜41〜44と同じ層に形成する等、種々の態様が可能である。
図9(b)に示す例では、温度監視用抵抗膜47を第1温度監視用抵抗膜47−1と第2温度監視用抵抗膜47−2の二層構造として、コンタクトホール49を介して第1温度監視用抵抗膜47−1と第2温度監視用抵抗膜47−2が導電層で接続されている。
第1温度監視用抵抗膜47−1は、第1絶縁膜51と第2絶縁膜52−1との層間に形成されている。
第2温度監視用抵抗膜47−2は、第2絶縁膜52−1と第2絶縁膜52−2との層間に形成されている。
この構成は、複数のn角形を弧の数が奇数本である場合、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続する場合に、電圧の向きを同じにするために立体的な配線が必要となる場合に採用可能であり、有効である。
[感磁素子4の温度調節]
図10は、本発明の第1の実施形態に係る磁気センサ装置10の制御部90に構成した温度制御部の概略構成を示す説明するための図である。
図10に示すように、本形態の磁気センサ装置10の制御部90には、温度監視用抵抗膜47の抵抗変化に基づいて加熱用抵抗膜48への給電を制御する温度制御部が構成されている。
より具体的には、温度監視用抵抗膜47には抵抗81が直列に接続されており、抵抗81において温度監視用抵抗膜47が接続されている側とは反対側は温度監視用の電源端子に接続され、温度監視用抵抗膜47において抵抗81が接続されている側とは反対側は温度監視用のグランド端子GNDSに接続されている。
加熱用抵抗膜48にはバイポーラトランジスタからなるスイッチング素子83が直列に接続されており、スイッチング素子83において加熱用抵抗膜48が接続されているエミッタ側とは反対のコレクタ側は加熱用の電源端子に接続され、加熱用抵抗膜48においてスイッチング素子83が接続されている側とは反対側は加熱用のグランド端子GNDHに接続されている。
ここで、温度監視用抵抗膜47と抵抗81との接続点は、オペアンプ(演算増幅器)82の一方の反転入力端子(−)に入力されており、オペアンプ82の他方の非反転入力端子(+)にはスイッチング素子83をオンオフするための閾値となる電圧Voが入力されている。
この状態で、基板40の温度が下がると、温度監視用抵抗膜47の抵抗値が低下し、抵抗81とで分圧された接続点の電圧が下がる。そのときオペアンプ82の他方の端子に入力されている閾値Voより低くなるとオペアンプ82がオン状態となりスイッチング素子83をオンするので加熱用抵抗膜48へ給電される。
この状態で、基板40の温度が上がると、温度監視用抵抗膜47の抵抗値が上昇し、抵抗81との接続点の電圧が上昇する。そのときオペアンプ82の他方の端子に入力されている閾値Voより高くなるとオペアンプ82がオフ状態となりスイッチング素子83をオフするので加熱用抵抗膜48への給電が停止される。
それ故、感磁素子4(感磁膜41〜44)の温度は、温度監視用抵抗膜47および抵抗81の抵抗値等によって規定された所定の温度に維持される。
[本実施形態の主な効果]
以上説明したように、本形態の磁気センサ装置10では、感磁膜41〜44が形成された基板40に、温度監視用抵抗膜47および加熱用抵抗膜48が形成されている。このため、設定温度との温度差や温度変化を温度監視用抵抗膜47の抵抗値によって監視し、その監視結果に基づいて加熱用抵抗膜48に給電し、感磁膜41〜44を設定温度にまで加熱することができる。
したがって、各感磁膜41〜44において、温度変化が発生した際、応力の影響に起因する抵抗変化や、膜質の差に起因する抵抗変化が相違している場合でも、設定温度で高い精度が得られるように、感磁膜41〜44の抵抗バランスを設定しておけば、環境温度の変化が発生しても安定した検出精度を得ることができる。すなわち、温度変化が発生しても、図1(c)に示すリサージュ図の原点位置が移動しないので、回転体2の回転角度位置を精度よく検出することができる。
そして、本実施形態によれば、温度監視用抵抗膜(SENS)47の形状がn角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の直線状または曲線状の弧を複数有するよう形成され、複数の弧(R1〜R6)は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
このように、温度監視用抵抗膜47の形状を三角形以上のn角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
また、本実施形態において、温度監視用抵抗膜47は、たとえば抵抗温度変化係数の大きいニッケル(Ni)膜により形成され、磁界により抵抗値変化を抑制するため、その形状はn角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の直線状または曲線状の弧を複数有するよう形成されている。
温度監視用抵抗膜47の材料としてニッケル(Ni)を用いる場合、ニッケルは白金に比べて高価ではなく抵抗温度係数が大きく、検出分解能を上げることができるという利点がある。
本実施形態によれば、感磁膜41〜44は、加熱用抵抗膜48と同一の層に形成され、温度監視用抵抗膜47とは第1絶縁膜51を介して別の層に形成されていることから、各々の層を適した材質の材料で形成することができる。
また、温度監視用抵抗膜(センサ)の形状を円形、さらには同心円状に形成することができる。
同心円状に配置することで、密度を上げて、均等により多くの弧を配置することができる。
また、感磁膜41〜44、温度監視用抵抗膜47、および加熱用抵抗膜48は、基板40の一方面40a側に形成されている。このため、成膜等を基板40の一方面40a側に対して行えばよいので、基板40の両面を利用する場合に比して、製造しやすいという利点がある。
また、加熱用抵抗膜48と感磁膜41〜44とは、基板40の面内方向でずれた領域に形成されて平面視で重なっておらず、加熱用抵抗膜48と温度監視用抵抗膜47とは、基板40の面内方向でずれた領域に形成されて平面視で重なっていない。
このため、加熱用抵抗膜48と感磁膜41〜44との短絡や、加熱用抵抗膜48と温度監視用抵抗膜47との短絡等を防止することができる。
また、加熱用抵抗膜48と感磁膜41〜44とが平面視で重なっていないので、感磁膜41〜44が局所的に加熱されることを防止することができる。
また、加熱用抵抗膜48と温度監視用抵抗膜47とが重なっていないので、温度監視用抵抗膜47が局部的に加熱されることがない。したがって、加熱用抵抗膜48に対する給電を適正に行うことができる。
また、加熱用抵抗膜48は、感磁領域45を囲む閉ループ状に形成されている。このため、感磁領域45全体を適正に加熱することができる。
また、平面視で、温度監視用抵抗膜47は、加熱用抵抗膜48と感磁領域45との間に形成されている。このため、温度監視用抵抗膜47によって感磁領域45の温度を適正に監視することができる。
また、感磁膜41〜44、温度監視用抵抗膜47、および加熱用抵抗膜48のうち、感磁膜41〜44は、最も基板40側の層に形成されている。このため、感磁膜41〜44を段差の少ない平坦面に形成することができるので、感磁膜41〜44に不要な応力が加わることを防止することができる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。
本第2の実施形態の磁気センサ装置10Bが前述した第1の実施形態に係る磁気センサ装置10と異なる点は、温度監視用抵抗膜47Bの検出ブロックBLK2が三角形状ではなく四角形状に形成されていることにある。
すなわち、本第2の実施形態では、温度監視用抵抗膜47Bは、四角形状の検出ブロックBLK2として形成されている。
この四角形状の温度監視用抵抗膜47Bは、直線状の8本の弧R11〜R18を有しており、ほぼ正四角形状となるように形成されている。
これらの弧R11〜R18は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
具体的には、弧R11の一端が配線WR1を介して温度監視用の電源端子VccSに接続され、弧R11の他端が弧R12の一端に直列に接続され、弧R12の他端が弧R13の一端に直列に接続されている。
弧R13の他端が弧R14の一端に直列に接続され、弧R14の他端が弧R15の一端に直列に接続され、弧R15の他端が弧R16の一端に直列に接続され、弧R16の他端が弧R17の一端に直列に接続され、弧R17の他端が弧R18の一端に直列に接続され、弧R18の他端が配線WR2を介して温度監視用抵抗膜47Bに対するグランド端子GNDSに接続されている。
このように、複数の四角形の検出ブロックBLK2の弧R11〜R18は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
これらの弧R11〜R18は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループGRP11と第2グループGRP12に区分け可能である。
第1グループGRP11には弧R11,R12,R17,R18が含まれ、第2グループGRP12には弧R13,R14,R15,R16が含まれる。
そして、第1グループGRP11の弧R11の他端から第1グループGRP11の弧R12が直角に折れて形成され、第1グループGRP11の弧R12の他端から第2グループGRP12の弧R13が折り返すようにかつ弧R12に沿うように近接して対向するように形成されている。
第2グループGRP12の弧R13の他端から第2グループGRP12の弧R14が直角に折れて弧R11に添うように近接して対向するように形成されている。
第2グループGRP12の弧R14の他端から第2グループGRP12の弧R15が直角に折れて形成され、第2グループGRP12の弧R15の他端から第2グループGRP2の弧R16が直角に折れて形成されている。
第2グループGRP12の弧R16の他端から第1グループGRP11の弧R17が折り返すようにかつ弧R16に沿うように近接して対向するように形成されている。
第1グループGRP11の弧R17の他端から第1グループGRP11の弧R18が直角に折れてかつ弧R15に沿うように近接して対向するように形成されている。
このような構成を有する温度監視用抵抗膜47Bの検出ブロックBLK2は、第1グループGRP11の四角角形の弧R11,R12,R17,R18が囲む磁束と、第2グループGRP12の四角角形の弧R13,R14,R15,R16が囲む磁束が略同等となるように配置可能に構成されている
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第2の実施形態においても、温度監視用抵抗膜47Bの形状を四角形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
[第3の実施形態]
図12は、本発明の第3の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。
本第3の実施形態の磁気センサ装置10Cが前述した第1および第2の実施形態に係る磁気センサ装置10,10Bと異なる点は、温度監視用抵抗膜47Cの検出ブロックBLK3が三角形状や四角形状ではなく円形状に形成されていることにある。
すなわち、本第3の実施形態では、温度監視用抵抗膜47Cは、円形状の検出ブロックBLK3として形成されている。
この円形状の温度監視用抵抗膜47Cは、曲線状の3本の弧R21〜R23を有しており、ほぼ真円形状となるように形成されている。
これらの弧R21〜R23は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
具体的には、弧R21の一端が配線WR1を介して温度監視用の電源端子VccSに接続され、弧R21の他端が弧R22の一端が直列に接続され、弧R22の他端が弧R23の一端に直列に接続されている。そして、弧R23の他端が配線WR2を介して温度監視用抵抗膜47Cに対するグランド端子GNDSに接続されている。
このように、複数の円形の検出ブロックBLK3の弧R21〜R23は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
これらの弧R21〜R23は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループGRP21と第2グループGRP22に区分け可能である。
第1グループGRP21には弧R21,R23が含まれ、第2グループGRP22には弧R22が含まれる。
そして、第1グループGRP21の弧R21の他端側が3/4周して、第1グループGRP21の弧R21の他端から第2グループGRP22の弧R22が折り返すようにかつ弧R21に沿うように近接して対向するように略1周するように形成されている。
そして、第2グループGRP22の弧R22の他端から第1グループGRP21の弧R23が折り返すようにかつ弧R22に沿うように近接して対向するように略1/4周するように形成されている。
本第3の実施形態によれば、上述した第1および第2の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第3の実施形態においても、温度監視用抵抗膜47Cの形状を円形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
[第4の実施形態]
図13は、本発明の第4の実施形態に係る磁気センサ装置を説明するための図である。
本第4の実施形態の磁気センサ装置10Dが前述した第3の実施形態に係る磁気センサ装置10Cと異なる点は、温度監視用抵抗膜47Dの検出ブロックBLK4が二重の円形ではなく四重の円形状に形成されていることにある。
図14は、第4の実施形態に係る温度監視用抵抗膜の検出ブロックを拡大して示す図である。
本第4の実施形態では、温度監視用抵抗膜47Dは、四重の円形状の検出ブロックBLK4として形成されている。
この円形状の温度監視用抵抗膜47Cは、曲線状の7本の弧R31〜R37を有しており、ほぼ真円形状となるように形成されている。
これらの弧R31〜R37は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
具体的には、弧R31の一端が配線WR1を介して温度監視用の電源端子VccSに接続され、弧R31の他端が弧R32の一端が直列に接続され、弧32の他端が弧R33の一端に直列に接続されている。
弧R33の他端が弧R34の一端に直列に接続され、弧R34の他端が弧R35の一端に直列に接続され、弧R35の他端が弧R36の一端に直列に接続され、弧R36の他端が弧R37の一端に直列に接続されている。
そして、弧R37の他端が配線WR2を介して温度監視用抵抗膜47Dに対するグランド端子GNDSに接続されている。
そして、本第4の実施形態における温度監視用抵抗膜47Dの検出ブロックBLK4は、弧が折り返しで接続される折り返し部FP1、FP2、FP3を有し、折り返し部FP1、FP2、FP3は、弧が偶数本、直列に接続された検出ブロックBLK4に対して等配角度で配置されている。
このように、複数の円形の検出ブロックBLK4の弧R31〜R37は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
これらの弧R31〜R37は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループGRP31と第2グループGRP32に区分け可能である。
第1グループGRP31には弧R31,R33,R35,R37が含まれ、第2グループGRP32には弧R32,R34,R36が含まれる。
そして、第1グループGRP31の弧R31の他端側が3/4周して、折り返し部FP1において第1グループGRP31の弧R31の他端から第2グループGRP32の弧R32が折り返すようにかつ弧R31に沿うように近接して対向するように略1/4周するように形成されている。
折り返し部FP2において、第2グループGRP32の弧R32の他端から第1グループGRP31の弧R33が折り返すようにかつ弧R32に沿うように近接して対向するように略3/4周するように形成されている。
折り返し部FP3において、第1グループGRP31の弧R33の他端から第2グループGRP32の弧R34が折り返すようにかつ弧R33に沿うように近接して対向するように略1周するように形成されている。
折り返し部FP3において、第2グループGRP32の弧R34の他端から第1グループGRP31の弧R35が折り返すようにかつ弧R34に沿うように近接して対向するように略1/4周するように形成されている。
折り返し部FP2において、第1グループGRP31の弧R35の他端から第2グループGRP32の弧R36が折り返すようにかつ弧R31,R35,R33に沿うように近接して対向するように略3/4周するように形成されている。
折り返し部FP1において、第2グループGRP32の弧R36の他端から第1グループGRP31の弧R37が折り返すようにかつ弧R36に沿うように近接して対向するように略1/4周するように形成されている。
本第4の実施形態によれば、上述した第1、第2および第3の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第4の実施形態においても、温度監視用抵抗膜47Dの形状を円形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
さらに、本第4の実施形態によれば、折り返し部によって、弧が途切れる箇所が等配角度で配置されるので、一部の場所に集中して配置される場合と比較すると、回転する磁界に変化があっても変化が相殺されやすくなるという利点がある。
[第5実施形態]
図15は、本発明の第5の実施形態に係る磁気センサ装置に用いた感磁素子を説明するための図である。
本第5の実施形態の磁気センサ装置10Eが前述した第4の実施形態に係る磁気センサ装置10Dと異なる点は、温度監視用抵抗膜47Eの検出ブロックBLK4が二つ縦続して連結されていることにある。
連結は、第1検出ブロックBLK4−1の第1グループGRP31の弧R31が折り返し部FP2の近傍で2つ弧R31−1,R31−2に分離され、弧R31−1が第2検出ブロックBLK4−2の弧R31の一端に直列に接続され、弧R31−2が第2検出ブロックBLK4−2の弧R37の他端に直列に接続されている。
本第5の実施形態によれば、上述した第4の実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第5の実施形態においても、温度監視用抵抗膜47Eの形状を円形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
本第5の実施形態によれば、折り返し部によって、弧が途切れる箇所が等配角度で配置されるので、一部の場所に集中して配置される場合と比較すると、回転する磁界に変化があっても変化が相殺されやすくなるという利点がある。
さらに、本第5の実施形態によれば、検出ブロックが複数個(本例では2個)連結されているので、線長を調整し易いことから、所望する抵抗値を容易に実現することがきできる。
検出ブロックを1つで配置できるような広いスペースがない場合であっても、小さい検出ブロックを複数連結することで、所望する抵抗値を確保することができる。
なお、検出ブロックを複数個連結する構成は、上述した各実施形態の検出ブロックを連結するように構成することも可能であり、その場合も上記した効果と同様の効果を得ることができる。
[第6実施形態]
図16は、本発明の第6の実施形態に係る磁気センサ装置に用いた感磁素子を説明するための図である。
本第6の実施形態の磁気センサ装置10Fが前述した第1、第2、第3、第4および第5の実施形態に係る磁気センサ装置10〜10Eと異なる点は、温度監視用抵抗膜47Fの検出ブロックBLK5の配置にある。
すなわち、本第6の実施形態では、検出ブロックBLK5の弧が感磁領域45の外周側で、弧を極近傍で折り返すように扁平な楕円状に形成されている。
この扁平な楕円状の温度監視用抵抗膜47Fの検出ブロックBLK5は、3本の弧R41〜R43を有しており、扁平な楕円形状となるように形成されている。
これらの弧R41〜R43は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
具体的には、弧R41の一端が配線WR1を介して温度監視用の電源端子VccSに接続され、弧R41の他端が電源端子VccHの近傍領域で弧R42の一端に直列に接続され、弧R42の他端が電源端子VccHの近傍領域で弧R43の一端に直列に接続されている。そして、弧R43の他端が配線WR2を介して温度監視用抵抗膜47Fに対するグランド端子GNDSに接続されている。
このように、複数の扁平な楕円形の検出ブロックBLK5の弧R41〜R43は、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている。
これらの弧R41〜R43は、誘起される電圧の向きに応じて第1グループGRP41と第2グループGRP42に区分け可能である。
第1グループGRP41には弧R41,R43が含まれ、第2グループGRP42には弧R42が含まれる。
そして、誘起される電圧をキャンセルする誘起される電圧をキャンセル(相殺)する第1グループの弧と第2グループの弧で形成される複数の組PR1,PR2が存在する。
第1組PR1は、第1グループGRP41の弧R41と第2グループGRP42の弧R42により形成されている。
第2組PR2は、第1グループGRP41の弧R43と第2グループGRP42の弧R42により形成されている。
この構成は、磁束が一様でない場合に適用することが可能であって、各組PR1、PR2において、第1グループGRP41の弧の数は1であり、第2グループGRP42の弧の数は1である。
そして、第1グループGRP41の弧R41の他端側が感磁領域45の外周側を略1/2周して、折り返し部FP41で、第1グループGRP41の弧R41の他端から第2グループGRP42の弧R42が折り返すようにかつ弧R41に沿うように近接して対向するように略1周するように形成されている。
そして、折り返し部FP41で、第2グループGRP42の弧R42の他端から第1グループGRP41の弧R43が折り返すようにかつ弧R42に沿うように近接して対向するように略1/2周するように形成されている。
本第6の実施形態によれば、上述した各実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
すなわち、第6の実施形態においても、温度監視用抵抗膜47Fの形状を扁平な円形とすることで、磁界による抵抗値変化を抑制でき、精度よく温度検出を行うことができる。
複数の弧が誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されることから、磁束変化による誘起電圧による誤差を抑制でき、回転磁界中や強弱磁界中においても精度よく温度検出を行うことができる。
また、一つの折り返し部で極めて近傍で折り返すように配置されていることから、パターン内で磁束が一様でない場合でも磁束により誘起される電圧をキャンセルできる。
温度監視用抵抗膜が広い範囲に配置されるので、温度分布が偏っている場合でも精度よく温度検出することができる。
以上に実施形態を詳細に説明した。
ところで、本実施形態において、温度監視用抵抗膜47は、n角形の弧が偶数本、直列に接続されている場合、図9(a)に示すように、同一層に形成することができることから、温度監視用抵抗膜を容易に形成することができる。
奇数本の場合、別の層により抵抗膜を跨ぐような立体配線が必要である場合があるのに対して、同一層で形成できる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、2つの電源端子VccA、VccBを1つにまとめたが、これらを別々に形成してもよい。また、上記実施形態では、2つのグランド端子GNDA、GNDBを1つにまとめたが、別々に形成してもよい。
上記実施形態では、感磁膜41〜44としてパーマロイを用いた場合を例示したが、感磁膜41〜44としてInSbやInAs等の半導体材料を用いた場合に本発明を適用してもよい。かかる半導体材料は、パーマロイに比して抵抗の温度係数が大きいので、本発明を適用した場合の効果が顕著である。また、上記実施の形態では、感磁素子4として磁気抵抗素子を例示したが、感磁素子4としてホール素子を構成した場合に本発明を適用してもよい。
上記実施の形態では、帯状に延在する加熱用抵抗膜48を用いたが、感磁領域45全体を覆う面状の加熱用抵抗膜48を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、感磁膜41〜44、温度監視用抵抗膜47、および加熱用抵抗膜48を全て、基板40の一方面40aに形成したが、温度監視用抵抗膜47および加熱用抵抗膜48の一方を基板40の他方面に印刷等の方法で形成してもよい。
1・・・ロータリエンコーダ、2・・・回転体、4・・・感磁素子、10,10A〜10F・・・磁気センサ装置、40・・・基板、41〜44・・・感磁膜、47,47B〜47F・・・温度監視用抵抗膜、48・・・加熱用抵抗膜。

Claims (14)

  1. 基板と、
    前記基板に形成され、ブリッジ回路を形成する感磁膜を備えた感磁領域と、
    前記基板に形成された温度監視用抵抗膜と、
    前記基板に形成された加熱用抵抗膜と、を有し、
    前記温度監視用抵抗膜は、
    n角形(nは3以上の整数、nが無限大で円形)の弧を複数有し、各n角形の弧が直線状または曲線状の弧により形成され、
    同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように互いに直列に接続されている
    磁気センサ装置。
  2. 複数の前記n角形の弧は、
    誘起される電圧の向きに応じて第1グループと第2グループに区分け可能で、
    前記第1グループのn角形の弧が囲む磁束と、前記第2グループのn角形の弧が囲む磁束が略同等となるように配置可能である
    請求項1記載の磁気センサ装置。
  3. 前記温度監視用抵抗膜は、
    n角形の弧が偶数本、直列に接続されている
    請求項1または2記載の磁気センサ装置。
  4. 前記温度監視用抵抗膜は、
    n角形の弧が偶数本、直列に接続された検出ブロックが複数個連結されている
    請求項1から3のいずれか一に記載の磁気センサ装置。
  5. 前記温度監視用抵抗膜は、
    n角形の弧が折り返しで接続される折り返し部を有し、
    前記折り返し部が、
    n角形の弧が偶数本、直列に接続された検出ブロックに対して等配角度で配置されている
    請求項4記載の磁気センサ装置。
  6. 複数の前記n角形の弧は、
    偶数本であり、同一方向の磁束に対して誘起される電圧の向きが逆になるように近傍で折り返されて直列に接続され、
    誘起される電圧をキャンセルする前記第1グループと前記第2グループで形成される組が複数存在する
    請求項2記載の磁気センサ装置。
  7. 前記温度監視用抵抗膜は、
    前記感磁領域の外周側で、弧を極近傍で折り返すように配置されている
    請求項6記載の磁気センサ装置。
  8. 前記温度監視用抵抗膜は、
    前記n角形は円であり、前記弧は円弧である
    請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気センサ装置。
  9. 前記温度監視用抵抗膜の形状が同心円状である
    請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気センサ装置。
  10. 前記温度監視用抵抗膜は、
    ニッケルにより形成されている
    請求項1から9のいずれか一項に記載の磁気センサ装置。
  11. 前記感磁膜と前記加熱用抵抗膜が同一層に配置され、前記温度監視用抵抗膜は、前記感磁膜および前記加熱用抵抗膜と異なる層に形成されている
    請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気センサ装置。
  12. 前記温度監視用抵抗膜の抵抗値変化に基づいて前記加熱用抵抗膜への給電を制御する温度制御部を有する
    請求項1から11のいずれか一項に記載の磁気センサ装置。
  13. 請求項1から12のいずれか一項に記載の磁気センサ装置を有するロータリエンコーダであって、
    前記基板に対向配置された着磁面がNS一極着磁されたマグネットを有し、
    前記ブリッジ回路により得られた第1相と第2相の2相出力に基づいて、前記基板と前記マグネットとの相対的な角度位置を検出する
    ロータリエンコーダ。
  14. 前記ブリッジ回路は、前記感磁膜によって前記着磁面の面内方向の磁界変化を検出した結果に基づいて前記2相出力を生成する
    請求項13記載のロータリエンコーダ。
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