以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は、被処理物を熱処理するための熱処理装置として広く適用することができる。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかる熱処理装置1の側面図であり、一部を断面で示している。図1を参照して、熱処理装置1は、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。より具体的には、熱処理装置1は、被処理物100に向けて加熱されたガス(熱処理用ガス)を供給することで、被処理物100の表面に熱処理を施すことが可能に構成されている。本実施形態において、熱処理装置1は、縦型炉である。
本実施形態では、被処理物100は、半導体を製造するためのウェハであり、円板状に形成されている。また、熱処理装置1が被処理物100に行う熱処理として、アニール処理、酸化処理、拡散処理、および、リフロー処理などを例示することができる。なお、被処理物100は、ウェハに限らず、他の部材であってもよい。
熱処理装置1は、ヒータ2と、台座3と、アウターチューブ4と、インナーチューブ5と、端部閉塞機構6と、駆動装置7と、架台8と、架台8に設けられたヒートバリア9と、ガス供給装置10と、ボート11と、を備えている。
ヒータ2は、アウターチューブ4内の雰囲気(気体)を加熱するために設けられている。ヒータ2は、たとえば、電熱ヒータである。ヒータ2は、全体として中空の箱形形状に形成されており、アウターチューブ4の一部を収納している。ヒータ2は、周壁2aと、天壁2bとを有している。周壁2aは、アウターチューブ4を取り囲むように配置されている。天壁2bは、周壁2aの上端部を塞いでおり、アウターチューブ4の上方に位置している。周壁2aの下端部は、台座3に受けられている。
台座3は、ヒータ2を支持するために設けられている。台座3は、アウターチューブ4における上端部(一端部)4aと下端部(他端部)4bの間の中間部4cにおいて、当該アウターチューブ4を取り囲むように配置されている。
アウターチューブ4は、ボート11に収容された被処理物100を収容し、当該被処理物100に熱処理を施すために設けられている。アウターチューブ4は、本発明の「チューブ」の一例である。アウターチューブ4は、たとえば、炭化珪素(SiC)などを用いて形成された、耐熱性の中空部材である。アウターチューブ4は、縦長の円筒状に形成されており、上下方向(鉛直方向)X1に細長く延びている。本実施形態では、上下方向X1は、アウターチューブ4の長手方向である。アウターチューブ4の上端部4aは、閉じられている。また、アウターチューブ4の下端部4bは、下方に向けて開放されている。
アウターチューブ4の上端部4aは、当該アウターチューブ4内の空間を上方から覆っている。アウターチューブ4の上端部4aおよび中間部4cは、ヒータ2で囲まれた空間に配置されている。アウターチューブ4の中間部4cは、環状のスペーサ12によって取り囲まれている。スペーサ12は、アウターチューブ4とヒータ2の周壁2aとの間に配置されており、台座3に支持されている。アウターチューブ4の下端部4bは、ヒータ2から当該ヒータ2の下方に突出している。アウターチューブ4の下端部4bは、フランジ部4dを有している。
フランジ部4dは、環状のフランジであり、アウターチューブ4の径方向外方に向けて突出した形状を有している。アウターチューブ4の下端部4bは、端部閉塞機構6によって閉塞される。
端部閉塞機構6は、アウターチューブ4の内部の空間S1を閉塞するために設けられている。端部閉塞機構6は、アウターチューブ4の内部の空間S1を閉塞した状態と、アウターチューブ4の内部の空間S1を開放した状態とを切り替えることが可能である。
図2は、熱処理装置1の端部閉塞機構6の周辺の拡大図である。図2を参照して、端部閉塞機構6は、環状部13と、閉塞部材14と、を有している。
環状部13は、アウターチューブ4と同軸に配置された環状の部分であり、アウターチューブ4の下端部4bから下方に延びる筒状に形成されている。環状部13は、アウターチューブ4と閉塞部材14との間のアダプタとして設けられている。
環状部13は、スペーサ15と、スペーサ16と、受け部材17と、底部スペーサ18と、を有しており、これらスペーサ15、スペーサ16、受け部材17、および、底部スペーサ18は、上下方向X1に並んでいる。
スペーサ15は、フランジ部4dの周囲を取り囲むように配置された、環状の部分である。スペーサ15の上端部は、台座3の下端部に受けられている。スペーサ15は、略J字状に形成された断面形状を有しており、フランジ部4dの下方に配置された下端部を有している。スペーサ15の下端部は、フランジ部4dの下端面を受けている。スペーサ15の下端部の上面には、環状の溝が形成されており、当該溝は、シール部材としてのOリング19を保持している。Oリング19は、スペーサ15の下端部とフランジ部4dとの間を気密的にシールしている。スペーサ15は、スペーサ16と接触している。
スペーサ16は、スペーサ15の下方に配置されている。スペーサ16の上端部は、スペーサ15の下端部と密着している。スペーサ16の中間部には、ガス排出管20が形成されている。ガス排出管20は、アウターチューブ4内に供給されたガスなどの気体を、アウターチューブ4の外部に排出するために設けられている。ガス排出管20は、スペーサ16を貫通しており、アウターチューブ4の内部の空間S1に開放されている。また、ガス排出管20は、図示しない吸引ポンプなどに接続されている。スペーサ16は、受け部材17と接触している。
受け部材17は、スペーサ16の下方に配置された、環状の板部材である。受け部材17の上面には、環状の溝が形成されており、当該溝は、シール部材としてのOリング21を保持している。Oリング21は、受け部材17の上端部とスペーサ16の下端部との間を気密的にシールしている。受け部材17の内周部は、インナーチューブ5を受けている。
図1を参照して、インナーチューブ5は、アウターチューブ4の内部に配置された、筒状の部材である。インナーチューブ5の材料は、たとえば、アウターチューブ4の材料と同様である。インナーチューブ5は、受け部材17から上方に延びる円筒状に形成されており、アウターチューブ4の上端部4aの近傍にまで延びている。
インナーチューブ5は、熱処理装置1における熱処理動作時において、ボート11および被処理物100を取り囲むように配置されている。
再び図2を参照して、インナーチューブ5を支持する受け部材17は、底部スペーサ18と接触している。底部スペーサ18は、受け部材17の下方に配置された、環状の部材である。底部スペーサ18の上部は、受け部材17の下面と密着している。底部スペーサ18は、溝部18aを有している。溝部18aは、U字状の断面形状を有しており、アウターチューブ4の径方向の外方に向けて開放されている。
溝部18aは、たとえば、底部スペーサ18の周方向の全域に亘って形成されている。溝部18aの底部、すなわち、底部スペーサ18の中間部には、ガス供給管22が接続されている。ガス供給管22は、たとえば、ガス供給装置10から供給されるガスとは異なるガスを、アウターチューブ4内の空間S1に供給するために設けられている。
このガス供給管22は、図示しないガス発生源に接続されている。底部スペーサ18の下面には、環状の溝が形成されており、当該溝は、シール部材としてのOリング23を保持している。Oリング23は、底部スペーサ18の下面と閉塞部材14の上面との間を気密的にシールするために設けられている。
また、底部スペーサ18の下部には、貫通孔18bが形成されている。この貫通孔18bは、ガス供給装置10の後述する固定部27の第1ガス管29が挿入される部分として設けられており、上下方向X1に延びている。底部スペーサ18の下方に、閉塞部材14が配置されている。
図1および図4を参照して、閉塞部材14は、ボート11がアウターチューブ4内に配置された状態においてアウターチューブ4の下端部4bを塞ぐための蓋部材として設けられている。この閉塞部材14は、ボート11と上下方向X1に同行移動することで、アウターチューブ4に対する上下方向X1の移動が可能に構成されている。
このように、閉塞部材14がアウターチューブ4に対して上下方向X1に変位することで、アウターチューブ4の内部の空間S1が閉じられた状態と、アウターチューブ4の内部の空間S1が下方に開放された状態とが、切り替えられる。なお、本実施形態では、閉塞部材14がアウターチューブ4の下端部4bを閉塞しているときの当該閉塞部材14の位置を、閉塞位置P1という。図1および図2は、閉塞部材14が閉塞位置P1にある状態を示している。なお、本実施形態は、特に説明無き場合、閉塞部材14が閉塞位置P1にある状態を基準に説明する。
閉塞部材14は、たとえば、円板状に形成されている。閉塞部材14は、底部スペーサ18の開口部を塞ぐことが可能な大きさに形成されている。閉塞部材14が底部スペーサ18の開口部を塞ぐと、閉塞部材14の外周部は、Oリング23と接触する。これにより、閉塞部材14と底部スペーサ18との間が気密的にシールされる。閉塞部材14には、複数(たとえば、3つ)の貫通孔14a,14b,14cが形成されている。これらの貫通孔14a,14b,14cは、閉塞部材14を上下方向X1に貫通している。
閉塞部材14の貫通孔14aは、底部スペーサ18の貫通孔18bと上下に並ぶように形成されている。閉塞部材14が底部スペーサ18の開口部を塞いでいる状態(閉塞状態)において、これらの貫通孔14a,18bは、連続する。閉塞部材14の貫通孔14b,14cは、ガス供給装置10の後述する第3ガス管33の第2端部33bおよび第3端部33cを挿入されている。上記の構成を有する閉塞部材14は、駆動装置7によって、上下方向X1に変位可能に構成されている。
駆動装置7は、梁部材24と、駆動機構25と、を有している。
梁部材24は、略水平に延びる部材であり、閉塞部材14のたとえば下端部に固定されている。梁部材24は、駆動機構25に支持されている。駆動機構25は、図示しない電動モータなどを有しており、梁部材24および閉塞部材14などを上下方向X1に変位させる。閉塞部材14は、架台8を支持している。
図3は、熱処理装置1の架台8の周辺の拡大図であり、一部を省略して示している。図3を参照して、架台8は、柱部材26と、ヒートバリア9とを有している。
柱部材26は、閉塞部材14から上方に延びる柱状に形成されている。柱部材26は、アウターチューブ4、および、端部閉塞機構6で囲まれた空間S1に配置されている。柱部材26は、下端部材26aと、内周部26bと、外周部26cと、上端部材26dとを有している。
下端部材26aは、環状に形成されたブロック状の部材であり、閉塞部材14の上面に配置されている。下端部材26aは、閉塞部材14の2つの貫通孔14b,14cの上方に配置されている。下端部材26aは、内周部26bおよび外周部26cを支持している。
内周部26bおよび外周部26cは、それぞれ、円筒状に形成されており、下端部材26aから上方に延びている。内周部26bおよび外周部26cは、同軸に配置されており、内周部26bは外周部26cに取り囲まれている。内周部26bの上端部および外周部26cの上端部は、それぞれ、アウターチューブ4の中間部4cの近傍に位置している。内周部26bの上端部および外周部26cの上端部は、上端部材26dに連結されている。
上端部材26dは、たとえば、環状に形成されたブロック状の部材である。上端部材26dは、内周部26bと外周部26cとの間の空間の上端を塞いでいる。上記の構成を有する柱部材26は、ヒートバリア9を保持している。
ヒートバリア9は、ボート11からの熱が端部閉塞機構6に伝わることを抑制するために設けられている。ヒートバリア9は、たとえば、熱伝導率の比較的低い材料を用いて形成されている。ヒートバリア9は、柱部材26の内周部26bで囲まれた空間に配置されており、当該内周部26bに支持されている。上記の構成を有する架台8の上方の被処理物100へ向けて、ガス供給装置10が、熱処理用ガスを供給する。
図4は、閉塞部材14の近傍におけるガス供給装置10の周辺の拡大図である。図5は、インナーチューブ5の上端部の近傍におけるガス供給装置10の周辺の拡大図である。
図1、図4および図5を参照して、ガス供給装置10は、アウターチューブ4および端部閉塞機構6で囲まれた空間S1に、熱処理用ガスを供給するために設けられている。本実施形態では、ガス供給装置10は、熱処理用ガスを、可及的に被処理物100の近くから当該被処理物100へ向けて供給するための構成を有している。なお、ガス供給装置10の部材内の矢印は、熱処理用ガスの流れの一例を示している。以下、ガス供給装置10の、より具体的な構成を説明する。
ガス供給装置10は、アウターチューブ4の外部で生成された熱処理用ガスを、アウターチューブ4内の被処理物100へ向けて供給するために設けられている。本実施形態では、ガス供給装置10の一部(後述する可動部28)は、閉塞部材14、ボート11、および、被処理物100などとともに、上下方向X1に変位可能に構成されている。この構成が採用されている結果、被処理物100のより近くから、熱処理用ガスを被処理物100へ供給することができる。また、本実施形態では、ガス供給装置10は、ボート11を取り囲む筒状部36を有している。この構成が採用されている結果、被処理物100のより一層近くから、熱処理用ガスを被処理物100へ供給することができる。
ガス供給装置10は、固定部27と、可動部28と、を有している。
固定部27は、被処理物100がインナーチュ−ブ4から出し入れされる際にアウターチューブ4とは相対変位しない部分として設けられている。この固定部27は、可動部28へ熱処理用ガスを送るために設けられている。
固定部27は、第1ガス管29と、底部スペーサ18と、を有している。すなわち、底部スペーサ18は、端部閉塞機構6の一部であり、且つ、ガス供給装置10の一部でもある。
第1ガス管29は、たとえば、L字状に形成されている。第1ガス管29の一部は、底部スペーサ18の溝部18aに収容されている。第1ガス管29の一端部29aは、底部スペーサ18の貫通孔18bに挿入されており、底部スペーサ18に固定されている。第1ガス管29の他端部29bは、たとえば、熱処理用ガス発生装置(図示せず)に接続されている。固定部27の第1ガス管29内のガスは、可動部28へ送られる。
可動部28は、閉塞部材14、架台8、および、ボート11などとともに、アウターチューブ4に対して上下方向X1に変位可能な部分として設けられている。可動部28は、閉塞部材14、架台8、および、ボート11とともに、上下方向X1に同行移動可能に構成されている。
可動部28は、第2ガス管31と、加圧力調整機構32と、第3、第4、および、第5ガス管33,34,35と、筒状部36と、筒状部36に形成されたノズル部37,38と、第1端壁部41と、第2端壁部42と、を有している。
第2ガス管31は、固定部27の第1ガス管29と接続される部分として設けられている。この第2ガス管31は、可動部28の接続端部として設けられており、閉塞部材14が閉塞位置P1に配置されているときにおいて、固定部27の底部スペーサ18に接続される。第2ガス管31は、閉塞部材14の貫通孔14aに挿入されている。第2ガス管31は、第1ガス管29の一端部29aに接続されている。
第2ガス管31は、フランジ部31aと、第2ガス管本体31bと、を有している。
フランジ部31aは、閉塞部材14の貫通孔14a内において、底部スペーサ18の貫通孔18bと上下方向X1に向かい合って配置されている。フランジ部31aの上面には、環状の溝が形成されており、この溝に、シール部材としてのOリング43が配置されている。Oリング43は、ガス供給装置10の一要素であり、底部スペーサ18の下面に接触している。
このように、Oリング43は、固定部27の底部スペーサ18と、第2ガス管31の互いの対向部間に配置されている。これにより、第2ガス管31と底部スペーサ18(第1ガス管29の一端部29a)との間が気密的にシールされている。フランジ部31aは、第2ガス管本体31bに固定されている。
第2ガス管本体31bは、フランジ部31aから下方に延びている。第2ガス管本体31bの下部には、溝部が形成されており、この溝部には、雌ねじ部31dが形成されている。雌ねじ部31dには、加圧力調整機構32の後述する可動管45が差し込まれている。
加圧力調整機構32は、第2ガス管31を固定部27の底部スペーサ18に向けて加圧する力を調整するために設けられている。換言すれば、加圧力調整機構32は、ガス供給装置10の固定部27と可動部28との接続部分における、気密性を調整するために設けられている。加圧力調整機構32は、第2ガス管31を閉塞部材14に対して変位させるための変位機構として設けられている。加圧力調整機構32は、閉塞部材14に対する第2ガス管31の上下方向X1の位置を調整することで、上記の加圧力を調整するように構成されている。
加圧力調整機構32は、ベース管44と、可動管45と、締結部材46と、を有している。
ベース管44は、閉塞部材14に固定される部分として設けられている。ベース管44は、フランジ部44aと、ベース管本体44bとを有している。
フランジ部44aは、閉塞部材14の下方に配置されている。フランジ部44aは、ボルトなどの固定部材47を用いて閉塞部材14に固定されており、閉塞部材14の下面に受けられている。フランジ部44aは、ベース管本体44bに貫通されている。
ベース管本体44bは、第2ガス管本体31bを取り囲んでいる。ベース管本体44bとフランジ部44aとの接続部には、Oリング48が配置されている。このOリング48は、ベース管本体44bと閉塞部材14の貫通孔14aとの間を気密的にシールしている。ベース管本体44bの下部は、雄ねじ部44cと、溝部44dとを有している。
雄ねじ部44cは、ベース管本体44bの下部の外周部に形成されている。溝部44dは、ベース管本体44bの下部の内周面に形成されており、ベース管本体44bの下端面に開放されている。ベース管本体44bは、可動管45の一部を取り囲んでいる。
可動管45は、第2ガス管31に対して上下方向X1に変位可能であり、且つ、ベース管44に対して上下方向X1に変位可能な部分として設けられている。可動管45は、雄ねじ部45aと、段部45bと、を有している。
可動管45の雄ねじ部45aは、当該可動管45の上部に形成されている。この雄ねじ部45aは、第2ガス管31の下部の雌ねじ部31dにねじ結合している。これら雄ねじ部45aと雌ねじ部31dとの結合量を調整することで、可動管45からの第2ガス管31の突出量を調整することができる。雄ねじ部45aの下方に、段部45bが形成されている。
段部45bは、可動管45の中間部の直径が当該可動管45の上部の直径よりも大きいことで形成された、環状の部分であり、上方を向いている。この段部45bと、第2ガス管31の下端面との間に、Oリング49が配置されている。これにより、第2ガス管31と可動管45との接続部分が、気密的にシールされている。
可動管45の中間部の外周には、複数のOリング50,51が取り付けられている。これらのOリング50,51は、ベース管44の溝部44dに収容されており、ベース管44と可動管45との間を気密的にシールしている。可動管45の中間部の外周部には、筒状のカラー52が固定されている。このカラー52の一部は、溝部44d内に配置されている。また、カラー52には、環状の段部52aが形成されている。この段部52aは、下方を向いており、この段部45bは、締結部材46に支持されている。
締結部材46は、可動管45をベース管44に保持させるために設けられている。締結部材46は、たとえば、ナット部材であり、雌ねじ部46aを有している。締結部材46の雌ねじ部46aは、ベース管44の外周の雄ねじ部44cにねじ結合している。また、締結部材46は、カラー52の環状の段部52aを受けている。締結部材46がベース管44にねじ結合される結果、締結部材46は、カラー52を支持している。これにより、カラー52、可動管45、および、第2ガス管31が下方に変位することは、規制される。
加圧力調整機構32による加圧力調整は、下記のようにして行われる。すなわち、加圧力調整の際、作業員は、まず、第2ガス管31と可動管45とのねじ結合量を調整する。次に、作業員は、締結部材46をベース管44にねじ結合する。これにより、可動管45および第2ガス管31は、ベース管44に対する上下方向X1の位置を規定され、その結果、第2ガス管31と閉塞部材14との加圧力が規定される。加圧力調整機構32は、第3ガス管33と接続されている。
第3ガス管33の第1端部33aは、加圧力調整機構32の可動管45の下端部に接続されている。第3ガス管33の第1端部33aは、フレキシブル管33dを有している。フレキシブル管33dは、伸縮可能な管であり、可動管45の変位に伴う第3ガス管33の第1端部33aの先端の変位に応じて、伸縮する。
また、第3ガス管33の途中部は、2本に分岐しており、その結果、当該第3ガス管33は、第1、第2、および、第3端部33a,33b,33cを有している。第3ガス管33の第2端部33bは、閉塞部材14の貫通孔14bに挿入されている。また、第3ガス管33の第3端部33cは、閉塞部材14の貫通孔14cに挿入されている。
第3ガス管33の第2端部33bは、第4ガス管34に接続されている。具体的には、閉塞部材14の上面における貫通孔14bの周縁部には、環状の溝部が形成されており、この溝部にOリング53が配置されている。このOリング53は、柱部材26の下端部材26aに接触しており、閉塞部材14と下端部材26aとの間を気密的にシールしている。そして、Oリング53と下端部材26aと閉塞部材14とで囲まれた空間を介して、第3ガス管33の第2端部33bと、第4ガス管34の下端部とが接続されている。
第4ガス管34は、柱部材26の内周部26bと外周部26cとの間に配置されており、上下方向X1に沿って直線状に延びている。第4ガス管34の上端部は、筒状部36に接続されている。
第3ガス管33の第3端部33cは、第5ガス管35に接続されている。具体的には、閉塞部材14の上面における貫通孔14cの周縁部には、環状の溝部が形成されており、この溝部にOリング54が配置されている。このOリング54は、柱部材26の下端部材26aに接触しており、閉塞部材14と下端部材26aとの間を気密的にシールしている。そして、Oリング54と下端部材26aと閉塞部材14とで囲まれた空間を介して、第3ガス管33の第3端部33cと、第5ガス管35の下端部とが接続されている。
第5ガス管35は、柱部材26の内周部26bと外周部26cとの間に配置されており、上下方向X1に沿って直線状に延びている。第5ガス管35の上端部は、筒状部36に接続されている。
図1および図5を参照して、筒状部36は、ボート11に保持された被処理物100に向けて熱処理用ガスを供給するために設けられている。筒状部36は、アウターチューブ4の上端部4aの近傍に配置されており、架台8の柱部材26によって支持されている。筒状部36は、ボート11を取り囲んでいる。この筒状部36は、アウターチューブ4の中間部4cに取り囲まれている。また、筒状部36は、インナーチューブ5によって取り囲まれている。本実施形態では、筒状部36は、円筒状に形成されている。
筒状部36は、内周部36aと、外周部36bと、仕切部材36cと、下端部材36dと、上端部材36eと、を有している。
内周部36a、および、外周部36bは、それぞれ、所定の厚みを有する板部材を円筒状に曲げた形状を有している。内周部36aおよび外周部36bは、互いに同軸に配置されている。外周部36bは、内周部36aを取り囲んでいる。内周部36aと外周部36bとは、筒状部36の径方向に所定の距離だけ離隔して配置されている。上下方向X1における内周部36aの中間部に、仕切部材36cが配置されている。
仕切部材36cは、内周部36aと外周部36bとの間の空間を上下に分割するために設けられている。仕切部材36cは、内周部36aと外周部36bとの間に配置されており、仕切部材36cの上方の空間と、仕切部材36cの下方の空間とを仕切っている。仕切部材36cと、内周部36aと、外周部36bと、下端部材36dとで仕切られた空間が、下チャンバ36fを構成している。また、仕切部材36cと、内周部36aと、外周部36bと、上端部材36eとで仕切られた空間が、上チャンバ36gを構成している。
上チャンバ36gおよび下チャンバ36fは、それぞれ、熱処理用ガスが通過する部分であり、筒状部36の周方向の全域に亘って形成されている。内周部36aおよび外周部36bの下端部に、下端部材36dが固定されている。
下端部材36dは、筒状部36の下端部として設けられている。下端部材36dは、平板状且つ環状に形成されている。下端部材36dは、架台8の柱部材26の上端部材26dに固定されており、当該上端部材26d上に位置している。より具体的には、下端部材36dの外周部が、柱部材26の上端部材26dに固定されている。下端部材36dは、ガス通路36h,36iを有している。
ガス通路36hは、第4ガス管34に対応して形成されている。このガス通路36hは、上下方向X1に延びており、下端部材36dの上面に開放されている。ガス通路36hは、第4ガス管34の上端部に接続されている。外周部36bの下端部は、当該外周部36bの周方向の一部が当該外周部36bの径方向の外方に延びた部分36jを有しており、当該延びた部分36jは、ガス通路36hに接続されている。これにより、第4ガス管34からのガスは、下チャンバ36fへ導入される。一方、第5ガス管35からのガスは、ガス通路36iなどを介して、上チャンバ36gへ導入される。
ガス通路36iは、第5ガス管35に対応して形成されている。このガス通路36iは、上下方向X1に延びており、下端部材36dの上面に開放されている。ガス通路36iは、第5ガス管35の上端部に接続されている。ガス通路36iは、バイパス管36kに接続されている。
バイパス管36kは、下チャンバ36f内を通過するように配置されている。バイパス管36kの下端部は、ガス通路36iに接続されている。バイパス管36kの上端部は、仕切部材36cを貫通しており、且つ、上チャンバ36gに開放されている。これにより、第5ガス管35からのガスは、下チャンバ36fへは導入されず、上チャンバ36gに導入される。上チャンバ36gの上方に配置された上端部材36eは、内周部36aおよび外周部36bによって支持されている。
上端部材36eは、筒状部36の上端部として設けられている。上端部材36eは、平板状且つ環状に形成されており、内周部36aおよび外周部36bに固定されている。
上記のように、上下方向X1に関して複数のチャンバ36f,36gが設けられており、これらのチャンバ36f,36gは、異なるガス管34,35を介して熱処理用ガスを供給される。これにより、各チャンバ36f,36gにおけるガス供給量の偏りが、より少なくされている。熱処理用ガスは、これらのチャンバ36f,36gから、ノズル部37,38を介して、被処理物100へ向けて供給される。
ノズル部37,38は、ボート11に保持された被処理物100に熱処理用ガスを供給するために設けられている。ノズル部37,38は、筒状部36の内周部36aに形成されており、当該内周部36aを貫通している。ノズル部37,38は、たとえば、丸孔形状のノズルである。なお、ノズル部37,38の形状は、特に限定されず、被処理物100へ向けて熱処理用ガスを供給可能であればよい。
ノズル部37,38は、筒状部36に取り囲まれた空間S2を向いている。ノズル部37は、仕切部材36cの下方に配置されている。ノズル部37は、下チャンバ36fに連続しており、この下チャンバ36fに供給された熱処理用ガスが、ノズル部37から、ボート11の下半部に保持された被処理物100(空間S2)へ向けて供給される。また、ノズル部38は、仕切部材36cの上方に配置されている。ノズル部38は、上チャンバ36gに連続しており、この上チャンバ36gに供給された熱処理用ガスが、ノズル部38から、ボート11の上半部に保持された被処理物100(空間S2)へ向けて供給される。
ノズル部37およびノズル部38は、それぞれ、複数設けられている。具体的には、ノズル部37は、筒状部36の軸方向(上下方向X1)に関して等間隔に複数設けられている。また、ノズル部37は、筒状部36の周方向に関して等間隔に複数設けられている。同様に、ノズル部38は、筒状部36の軸方向に関して等間隔に複数設けられている。また、ノズル部38は、筒状部36の周方向に関して等間隔に複数設けられている。
なお、ノズル部37は、筒状部36の軸方向における1箇所にのみ形成されていてもよいし、筒状部36の周方向における1箇所にのみ形成されていてもよい。同様に、ノズル部38は、筒状部36の軸方向における1箇所にのみ形成されていてもよいし、筒状部36の周方向における1箇所にのみ形成されていてもよい。また、ノズル部37およびノズル部38の何れかは、省略されてもよい。
上記の構成を有する筒状部36には、一対の端壁部としての第1端壁部41、および、第2端壁部42が取り付けられている。第1端壁部41は、筒状部36で囲まれた空間S2を下方(筒状部36の軸方向の一方)側から塞ぐ底壁として設けられている。第2端壁部42は、筒状部36で囲まれた空間S2を上方(筒状部36の軸方向の他方)側から塞ぐ天壁として設けられている。
その結果、筒状部36で囲まれた空間S2は、当該筒状部36と、第1端壁部41と、第2端壁部42とによって、閉じられた空間となっている。これにより、ノズル部37,38から供給された熱処理用ガスは、空間S2の内部に、より確実に滞留することができる。よって、被処理物100の熱処理が、より確実且つ均等に行われる。
第1端壁部41は、筒状部36の下部に配置されている。第1端壁部41は、円板状に形成されており、筒状部36の内周部36aの内周面に固定されている。この第1端壁部41には、下チャンバ36fから熱処理用ガスが供給される。
具体的には、第1端壁部41と下チャンバ36fとを接続する中継管55が設けられている。中継管55の一端部は、下チャンバ36fに接続されている。中継管55の他端部は、第1端壁部41を貫通しており、第1端壁部41の上面に開放されている。この他端部は、筒状部36で囲まれた空間S2に開放されている。このような構成により、第1端壁部41の上面には、ノズル部56が形成されている。
ノズル部56は、ボート11に保持された被処理物100へ向けて熱処理用ガスを供給するように構成されている。より具体的には、下チャンバ36fからの熱処理用ガスは、中継管55および第1端壁部41のノズル部56を介して、筒状部36で囲まれた空間S2に供給される。
第2端壁部42は、筒状部36の上端部に配置されている。第2端壁部42は、円板状に形成されている。第2端壁部42の下部の外周部には、環状の窪み部42aが形成されている。当該窪み部42aは、上端部材36eに載せられている。また、窪み部42aには、複数の位置決め用突起42bが形成されている。
位置決め用突起42bは、上端部材36eに形成された位置決め用孔部36mに挿入されている。これにより、第2端壁部42が位置決めされている。第2端壁部42には、筒状部36で囲まれた空間S2から熱処理用ガス(気体)を排出するための排気口42cが形成されている。
排気口42cは、空間S2の上方に配置されており、第2端壁部42を上下に貫通している。排気口42cは、複数形成されており、空間S2からの気体の排出量が、空間S2の上端においてより均等になるように配置されている。上記の構成を有する第2端壁部42は、ボート11に固定されている。
ボート11は、前述したように、アウターチューブ4内において被処理物100を保持するために設けられており、アウターチューブ4の延びる上下方向X1(長手方向)に沿って変位されることで、アウターチューブ4に出し入れされる。ボート11は、筒状部36、第1端壁部41、および、第2端壁部42で取り囲まれた空間S2に配置されており、当該空間S2から抜き出されることが可能に構成されている。
ボート11は、底部11aと、複数の柱部11b,11c,11dと、を有している。
底部11aは、たとえば、円板状に形成されており、第1端壁部41に隣接して配置されている。底部11aには、複数の位置決め用孔部11eが形成されている。これらの位置決め用孔部11eは、第1端壁部41に設けられた位置決め用突起41aに挿入されており、これにより、底部11aは、第1端壁部41に対して位置決めされている。
また、底部11aには、通気口11fが形成されている。通気口11fは、底部11aを上下方向X1に貫通しており、第1端壁部41に形成されたノズル部56からの熱処理用ガスを、底部11aの上方へ向けて通過させる。底部11aは、複数の柱部11b,11c,11dを支持している。
柱部11b,11c,11dは、被処理物100が載せられる部分として設けられている。柱部11b,11c,11dは、底部11aの外周部に固定されている。2つの柱部11b,11dは、底部11aの周方向に180°のピッチで配置されている。また、1つの柱部11cは、上記2つの柱部11b,11dから、底部11aの周方向に90°のピッチで配置されている。
このように柱部11b,11c,11dが配置されていることにより、上記1つの柱11cとは底部11aの径方向に向かい合う箇所に、開口部11gが形成されている。開口部11gは、ボート11に被処理物100を出し入れするために設けられている。作業員は、この開口部11gを通して被処理物100をボート11に出し入れすることが可能である。
各柱部11b,11c,11dは、複数の保持溝11hを有している。保持溝11hは、柱部11b,11c,11dの内側部に形成されており、柱部11b,11c,11dの長手方向(上下方向X1)と直交する方向(水平方向)に延びている。3つの柱部11b,11c,11dの保持溝11hは、1つの被処理物100の外周縁部を、3箇所で受けている。
各柱部11b,11c,11dには、保持溝11hが上下方向X1に等間隔に配置されている。これにより、3つの柱部11b,11c,11dは、複数の被処理物100を上下に並べた状態で、これらの被処理物100を保持することができる。各柱部11b,11c,11dの上端部は、第2端壁部42に固定されている。これにより、作業員は、第2端壁部42を持ち上げることで、第2端壁部42およびボート11を筒状部36に対して引き上げることができる。
また、たとえば、柱部11b,11dの外側面には、凸条部11iが形成されている。凸条部11iは、上下方向X1に延びる突起状部分であり、内周部36aの内周面に形成された対応する凹条部36nに嵌め込まれている。凹条部36nは、上下方向X1に延びる溝状部分である。これら凸条部11iと凹条部36nとの結合により、ボート11は、筒状部36の周方向に関して位置決めされる。
以上が、熱処理装置1の概略構成である。次に、熱処理装置1における動作の一例を説明する。
図1、図4、および、図5を参照して、被処理物100に熱処理が施されるとき、閉塞部材14は、閉塞位置P1に配置されており、可動部28の第2ガス管31と固定部27の底部スペーサ18(第1ガス管29)とが接続されている。この場合、被処理物100は、ボート11に保持されており、且つ、アウターチューブ4内において筒状部36に取り囲まれている。この状態において、ガス供給装置10に熱処理用ガスが供給されると、この熱処理用ガスは、固定部27の第1ガス管29から可動部28の第2ガス管31を通り、さらに、可動管45、および、第3ガス管33に送られる。
第3ガス管33に送られた熱処理用ガスの一部は、第4ガス管34および下チャンバ36fなどを介してノズル部37へ送られ、当該ノズル部37から、被処理物100に向けて供給される。また、第3ガス管33に送られた熱処理用ガスの一部は、第5ガス管35、バイパス管36k、および、上チャンバ36gなどを介してノズル部38へ送られ、当該ノズル部37から、被処理物100に向けて供給される。
被処理物100に供給された熱処理用ガスは、被処理物100の表面において酸素などと反応作用を生じ、その結果、被処理物100が熱処理される。被処理物100に供給された熱処理用ガスは、排気口42cを通して筒状部36内の空間S2から当該空間S2の外部へ排出され、インナーチューブ5の径方向外方の空間を通って、ガス排出管20へ排出される。
被処理物100の熱処理が完了した後、駆動機構25が動作することにより、閉塞部材14は、閉塞位置P1から下方に変位する。これにより、ボート11、可動部28、架台8、および、閉塞部材14は、図6に示すように、アウターチューブ4の下方へ変位される。これにより、ガス供給装置10の固定部27の底部スペーサ18および第1ガス管29と、可動部28の第2ガス管31との接続が解除される。この状態で、作業員(図示せず)は、第2端壁部42を持ち上げることで、ボート11を筒状部36から引き出す。その後、作業員は、次に熱処理装置1で熱処理される被処理物100を保持したボート11を、筒状部36で囲まれた空間S2に配置する。
次いで、熱処理装置1が熱処理を行う場合には、駆動機構25が動作することにより、ボート11、筒状部36などの可動部28、架台8、および、閉塞部材14は、アウターチューブ4へ向けて変位され、再び、アウターチューブ4の下端部4bが塞がれる。この状態で、再び、前述した熱処理動作が行われる。
以上説明したように、本実施形態の熱処理装置1によると、ガス供給装置10の可動部28は、アウターチューブ4の長手方向(上下方向X1)に沿ってボート11と同行移動可能である。すなわち、ボート11がアウターチュ−ブ4に出し入れされる際、可動部28のノズル部37,38は、ボート11および当該ボート11に保持された被処理物100とともに、アウターチューブ4に対して変位する。よって、ボート11および被処理物100がアウターチューブ4に出し入れされる際、ノズル部37,38とボート11(被処理物100)との相対移動が生じず、したがって、ノズル部37,38をボート11および被処理物100の極めて近くに配置することができる。以上の次第で、熱処理装置1は、熱処理用ガスを被処理物100に供給するためのノズル部37,38を、被処理物100のより近くに配置することができる。
また、熱処理装置1によると、アウターチューブ4の下端部4bを閉塞するための閉塞位置P1に閉塞部材14が位置することで、可動部28の第2ガス管31と固定部27の第1ガス管29(底部スペーサ18の下面)とが接続され、閉塞部材14が閉塞位置P1から変位することで、可動部28の第2ガス管31と固定部27の第1ガス管29との接続が解除される。この構成によると、ボート11および被処理物100がアウターチューブ4から出された状態のとき、すなわち、閉塞部材14が閉塞位置P1から変位している状態のとき、可動部28の第2ガス管31と固定部27の第1ガス管29との接続が解除される。これにより、架台8に対する下側からボート11の内側へガス管33〜35などを通して熱処理用ガスの供給を可能にするとともに、ボート11などを、アウターチューブ4に対して支障なく昇降させることができる。このように、固定部27の第1ガス管29と可動部28の第3ガス管33とを分離できる結果、ボート11をアウターチューブ4から排出するにあたり、第3ガス管33などを閉塞部材14から取り外す作業が不要となる。
また、熱処理装置1によると、ガス供給装置10のOリング43は、固定部27の底部スペーサ18と第2ガス管31の互いの対向部間に配置される。この構成によると、閉塞部材14が閉塞位置P1に配置されることで、固定部27の底部スペーサ18と第2ガス管31との間が気密的にシールされる。これにより、固定部27から可動部28へ、熱処理用ガスを漏れなく供給することが可能となる。
また、熱処理装置1によると、ガス供給装置10は、第2ガス管31を固定部27の底部スペーサ18に向けて加圧する加圧力を調整するための加圧力調整機構32を有している。この構成によると、固定部27の底部スペーサ18と第2ガス管31との間のOリング43の締め付け量を適切な値に調整することができる。これにより、固定部27の底部スペーサ18と第2ガス管31との間の気密性を、より確実に高めることができる。
また、熱処理装置1によると、加圧力調整機構32は、第2ガス管31の位置を調整することによって、上記の加圧力を調整する。この構成によると、加圧力調整機構32は、第2ガス管31の位置を調整するという簡易な構成で、固定部27の底部スペーサ18と第2ガス管31との間の気密性を、より確実に高めることができる。
また、熱処理装置1によると、筒状部36は、ボート11に保持された被処理物100を取り囲むように配置される。そして、この筒状部36に設けられたノズル部37,38から、被処理物100へ向けて熱処理用ガスが供給される。このような構成であれば、ノズル部37,38と被処理物100との距離を、より小さくできる。よって、熱処理装置1は、熱処理用ガスが反応作用を生じる前に当該熱処理用ガスを被処理物100へより確実に供給できる。また、ボート11に保持された被処理物100は、筒状部36で囲まれた空間S2内に配置されることとなる。このため、ノズル部37,38から被処理物100へ向けて供給された熱処理用ガスは、筒状部36内の空間S2に滞在され得る。よって、筒状部36で囲まれた空間S2内における熱処理用ガスの濃度は、高い状態を維持される。これにより、熱処理装置1は、熱処理用ガスの濃度が高い状態で当該熱処理用ガスを被処理物100に供給できる。以上の次第で、熱処理装置1において、熱処理用ガスが反応作用を生じる前に当該熱処理用ガスを被処理物100へより確実に供給でき、且つ、熱処理用ガスの濃度が高い状態で当該熱処理用ガスを被処理物100に供給することができる。
また、熱処理装置1によると、ノズル部37,38は、筒状部36の軸方向および周方向の少なくとも一方に関して複数箇所に形成されている。この構成によると、筒状部36内の空間S2における熱処理用ガスの濃度を、より均等にすることができる。その結果、熱処理装置1は、被処理物100を、より均等に熱処理できる。
また、熱処理装置1によると、熱処理用ガスは、一旦、チャンバ36f,36gに溜められる。これにより、ノズル部37,38から噴射される熱処理用ガスに脈動などが生じることを抑制できる。その結果、熱処理装置1は、熱処理用ガスを被処理物100へより安定した態様で供給することができる。
また、熱処理装置1によると、可動部28の第1端壁部41は、ボート11に保持された被処理物100へ向けて熱処理用ガスを供給するためのノズル部56を有している。この構成によると、筒状部36に囲まれた被処理物100へ向けて、より均等に熱処理用ガスを供給することができる。
また、熱処理装置1によると、可動部28の第2端壁部42は、筒状部36内の気体を排出するための排気口42cを有している。この構成によると、反応作用を生じた後の熱処理用ガスを、筒状部36に囲まれた空間S2からスムーズに排出することができる。
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態の側面図であり、一部を断面で示している。図8は、本発明の第2実施形態の主要部の拡大図である。なお、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様の構成には、図に同様の符号を付して説明を省略する。
図7および図8を参照して、熱処理装置1Aの構成が熱処理装置1の構成と異なっている点は、主に、以下である。すなわち、(1)熱処理装置1Aのガス供給装置10Aの筒状部36Aが、閉塞部材14Aとは同行移動しないように固定されている点、(2)ボート11および被処理物100がアウターチューブ4に出し入れされる際、ボート11および被処理物100が、筒状部36Aと上下方向X1に相対移動する点、である。
より具体的には、ガス供給装置10Aの筒状部36Aは、固定部として構成されており、ボート11および被処理物100がアウターチューブ4に出し入れされる際、アウターチューブ4とは相対移動しないように構成されている。
ガス供給装置10Aは、第1ガス管29Aと、筒状部36Aと、第1端壁部41Aと、第2端壁部42と、を有している。
第1ガス管29Aは、底部スペーサ18を貫通しており、底部スペーサ18に固定されている。第1ガス管29Aの第1端部29cは、熱処理用ガス発生装置(図示せず)に接続されている。そして、第1ガス管29Aは、アウターチューブ4および閉塞体6で囲まれた空間S1内において、2本に分岐されている。
第1ガス管29Aの第2端部29dは、インナーチューブ5を貫通し、さらに、筒状部36Aの外周部36bの下部を貫通している。第1ガス管29Aは、下チャンバ36fに接続されている。また、第1ガス管29Aの第3端部29eは、インナーチューブ5を貫通し、さらに、筒状部36Aの外周部36bの上部を貫通している。第1ガス管29Aは、上チャンバ36gに接続されている。
筒状部36Aは、内周部36aと、外周部36bと、仕切部材36cと、下端部材36dAと、上端部材36eとを有している。
外周部36bは、支持部材71を介して、たとえば、インナーチューブ5に固定されている。これにより、筒状部36Aは、ボート11が上下方向X1に変位するときも、変位しない。下端部材36dAは、下チャンバ36fの下端部を塞ぐように配置されている。筒状部36Aに囲まれた空間S2に挿入されたボート11は、第1端壁部41Aを介してヒートバリア9Aに支持されている。
すなわち、ヒートバリア9Aの上端部は、第1端壁部41Aを支持している、これにより、ヒートバリア9Aは、第1端壁部41Aを介して、ボート11を上下方向X1に同行移動に支持している。第1端壁部41Aは、チャンバ36f,36gに接続されておらず、当該第1端壁部41Aからは熱処理用ガスは供給されない。ヒートバリア9Aは、閉塞部材14Aに固定されている。閉塞部材14Aには、貫通孔が形成されていない。
ボート11および被処理物100がアウターチューブ4から出される際、ボート11、被処理物100、第1端壁部41A、ヒートバリア9A、および、閉塞部材14Aが、下方に変位する。一方、このとき、筒状部36A、および、第2端壁部42は、下方に変位しない。
以上、本発明の実施形態について説明したけれども、本発明は上述の実施の形態に限られない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。