図1は、本発明に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すオーディオシステムは、オーディオ信号送信部1、伝送ケーブル2、受信増幅部3a、3b、スピーカ4a、4bを含む。
オーディオ信号送信部1は、オーディオ再生部11、音量操作部12、送信信号処理部13、コンデンサ14及び電源電圧生成部15を含む。
オーディオ再生部11は、例えば磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリ等の記憶媒体からオーディオ信号を再生する音楽プレーヤ(図示せぬ)、或いは、放送波又はインターネット等の通信網を介して供給された再生オーディオ信号を取得するラジオ受信機又は情報再生装置(図示せぬ)等を含む。オーディオ再生部11は、上記の如き記憶媒体又は通信網から再生されたオーディオ信号を例えばI2S(Inter-IC Sound)規格に従ったフォーマットからなるディジタルの再生オーディオデータ信号ADに変換し、これを送信信号処理部13に供給する。
音量操作部12は、使用者による音量調整操作、つまりスピーカ4a音量調整操作及びスピーカ4bに対する音量調整操作を夫々個別に受け付け、その音量調整量を示す音量調整データVOLa及びVOLbを送信信号処理部13に供給する。すなわち、音量操作部12は、スピーカ4aに対する音量調整量を示す音量調整データVOLa、及びスピーカ4bに対する音量調整量を示す音量調整データVOLbを送信信号処理部13に供給する。
図2は、送信信号処理部13の内部構成を示すブロック図である。
図2に示すように、送信信号処理部13は、フィルタ131、132、誤り訂正符号化回路133、134、フレーム生成回路135、変調回路136、DA変換器137及び送信アンプ138を含む。
フィルタ131は、例えばFIR(Finite Impulse Response)フィルタ等からなるディジタルのバンドパスフィルタである。フィルタ131は、図3に示す如きスピーカ4aの再生周波数帯域faと等しい周波数帯域の成分だけを透過させるべきバンドパス特性にて、上記した再生オーディオデータ信号ADに対してフィルタリングを施して得られたオーディオデータ信号FDaを誤り訂正符号化回路133に供給する。尚、再生周波数帯域faは、図3に示すように、可聴周波数帯域を高音域側及び低音域側に2分割した際の低音域側の周波数帯域である。よって、フィルタ131は、低音域側のディバイディングネットワークとして機能する。ただし、上記したように、フィルタ131としては、ローパスフィルタではなくバンドパスフィルタが用いられる。
誤り訂正符号化回路133は、オーディオデータ信号FDaに対して、例えばBCH符号或いはリードソロモン符号の如き誤り訂正符号化処理を施して得られたオーディオデータ信号CDaを、フレーム生成回路135に供給する。
フィルタ132は、例えばFIRフィルタ等からなるディジタルのバンドパスフィルタである。フィルタ132は、図3に示す如きスピーカ4bの再生周波数帯域fbと等しい周波数帯域の成分だけを透過させるべきバンドパス特性にて、上記した再生オーディオデータ信号ADに対してフィルタリングを施して得られたオーディオデータ信号FDbを誤り訂正符号化回路134に供給する。尚、再生周波数帯域fbは、図3に示すように、可聴周波数帯域を高音域側及び低音域側に2分割した際の高音域側の周波数帯域である。よって、フィルタ132は、高音域側のディバイディングネットワークとして機能する。ただし、上記したように、フィルタ132としては、ハイパスフィルタではなくバンドパスフィルタが用いられる。
誤り訂正符号化回路134は、オーディオデータ信号FDbに対して、例えばBCH符号或いはリードソロモン符号の如き誤り訂正符号化処理を施して得られたオーディオデータ信号CDbを、フレーム生成回路135に供給する。
フレーム生成回路135は、オーディオデータ信号CDa及びCDbを図4に示す如く所定長のフレーム毎に時分割にて配置し、且つ各フレーム内においてCDa及びCDbと共に、音量調整データVOLa及びVOLb、位相調整データPCa及びPCbを順に配置してなるフレームオーディオ信号FAを生成する。すなわち、フレーム生成回路135は、音量調整データVOLa、VOLb、位相調整データPCa及びPCbを含む制御データ信号と、オーディオデータ信号(CDa、CDb)と、を時分割多重化したフレームオーディオ信号FAを生成するのである。尚、位相調整データPCa(PCb)とは、スピーカ4a(4b)に供給するオーディオ信号(後述する)の位相を調整する調整値、つまりスピーカ4a及び4b各々から音響出力される音の位相を聴取位置で一致させる為の位相調整値を示す情報である。フレーム生成回路135は、上記したフレームオーディオ信号FAを変調回路136に供給する。
変調回路136は、上記したフレームオーディオ信号FAに対して、QPSK(Quadrature phase shift keying)変調、或いはQAM(Quadrature amplitude modulation)等のディジタル変調を施して得られた変調オーディオデータ信号MDをDA変換器137に供給する。DA変換器137は、かかる変調オーディオデータ信号MDをアナログ信号の変調オーディオ信号MAに変換し、これを送信アンプ138に供給する。
送信アンプ138は、かかる変調オーディオ信号MAを増幅した変調オーディオ信号TXを、コンデンサ14及び伝送ケーブル2を介して受信増幅部3a及び3bに送信する。尚、伝送ケーブル2は、上記した変調オーディオ信号TXを伝送する為の1本の信号ラインと、1本の接地ラインとからなる、例えば同軸ケーブル、ツイストペア線、又は平行線等の単一の伝送路である。コンデンサ14の一端は送信信号処理部13の出力端に接続されており、他端が伝送ケーブル2における信号ラインに接続されている。コンデンサ14は、かかる信号ライン上の直流成分が送信信号処理部13に流れ込むのを遮断する。
電源電圧生成部15は、受信増幅部3a及び3bを駆動する為の直流の電源電圧VDDを生成し、これを伝送ケーブル2の上記信号ライン上に印加する。
上記構成により、オーディオ信号送信部1は、オーディオデータ信号(CDa、CDb)及び制御データ信号(VOLa、VOLb、PCa、PCb)を時分割多重化したフレームオーディオ信号FAを生成し、これに変調を施した変調オーディオ信号TXを、直流の電源電圧VDDと共に伝送ケーブル2を介して受信増幅部3a及び3bに供給する。
受信増幅部3aは、コンデンサ31a、受信信号処理部32a、D級アンプ33a及び電源電圧導出部34aを含む。コンデンサ31aの一端は伝送ケーブル2における上記信号ラインに接続されており、他端は受信信号処理部32aの入力端に接続されている。コンデンサ31aは、伝送ケーブル2の上記信号ライン上の直流成分が受信信号処理部32aの入力端に流れ込むのを遮断する。オーディオ信号送信部1から送信された変調オーディオ信号TXは、伝送ケーブル2及びコンデンサ31aを介して、受信変調オーディオ信号RXaとして受信信号処理部32aに供給される。
図5は、受信信号処理部32a及び32bの内部構成を示すブロック図である。
図5に示すように、受信信号処理部32aは、受信アンプ321a、AD変換器322a、復調回路323a、データ抽出回路324a、誤り訂正回路325a、制御信号生成回路326a及び可変遅延回路327aを含む。受信アンプ321aは、受信変調オーディオ信号RXaを増幅した変調オーディオ信号RAaをAD変換器322aに供給する。AD変換器322aは、かかる変調オーディオ信号RAaをディジタル形態の変調オーディオデータ信号RDaに変換し、復調回路323aに供給する。復調回路323aは、変調オーディオデータ信号RDaに対して、上記した送信信号処理部13の変調回路136でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことにより、図4に示す如きデータフォーマットを有するフレームオーディオ信号FAを復元し、これをフレームオーディオ信号FRaとしてデータ抽出回路324aに供給する。
データ抽出回路324aは、フレームオーディオ信号FRaにおける各フレームから、オーディオデータ信号CDa、音量調整データVOLa及び位相調整データPCaを抽出する。そして、データ抽出回路324aは、かかるオーディオデータ信号CDaを誤り訂正回路325aに供給し、音量調整データVOLa及び位相調整データPCaを制御信号生成回路326aに供給する。誤り訂正回路325aは、オーディオデータ信号CDaに対して誤り訂正処理を施すことにより、誤りビットの訂正されたオーディオデータ信号QDaを生成し、これを可変遅延回路327aに供給する。制御信号生成回路326aは、音量調整データVOLaにて示される音量の調整量の分だけ利得を調整すべき利得調整信号VLaを生成してこれをD級アンプ33aに供給する。更に、制御信号生成回路326aは、図4に示す如き、各フレーム内でのオーディオデータ信号CDa及びCDb同士の時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof1に、位相調整データPCaにて示される位相調整値を加算した遅延時間を示す遅延制御信号DLaを、可変遅延回路327aに供給する。尚、オフセット遅延時間Tof1は、時分割多重化によって離散したオーディオデータ信号CDa及びCDb各々の先頭部同士の時間差を無くす為に設定された、オーディオデータ信号CDaに対する遅延時間である。可変遅延回路327aは、オーディオデータ信号QDaを、上記遅延制御信号DLaにて示される遅延時間の分だけ遅延させたものをオーディオデータ信号AGaとし、これをD級アンプ33aに供給する。
D級アンプ33aは、D級パワーアンプであり、上記した利得調整信号VLaにて示される利得でオーディオデータ信号AGaを増幅することにより、スピーカ4aを駆動する増幅オーディオ信号AVaを生成し、これをスピーカ4aに供給する。電源電圧導出部34aは、伝送ケーブル2の信号ライン上に重畳されている直流の電源電圧VDDを導出し、かかる電源電圧VDDを、上記した受信信号処理部32a及びD級アンプ33a各々を動作させる電源として夫々に供給する。
スピーカ4aは、図3に示す再生周波数帯域fa、つまり可聴周波数帯域を高音域側及び低音域側に2分割した際の低音域側を再生周波数帯域とする、いわゆるウーハであり、上記した増幅オーディオ信号AVaに応じた音響出力を行う。この際、増幅オーディオ信号AVaは、オーディオ再生部11から送出された再生オーディオデータ信号ADにおける周波数帯域を、上記した再生周波数帯域faに帯域制限したものである。よって、ウーハとしてのスピーカ4aは、かかる増幅オーディオ信号AVaに応じて低音域の音響出力を行う。
図1において、受信増幅部3bは、コンデンサ31b、受信信号処理部32b、D級アンプ33b及び電源電圧導出部34bを含む。コンデンサ31bの一端は伝送ケーブル2の上記信号ラインに接続されており、他端は受信信号処理部32bの入力端に接続されている。コンデンサ31bは、伝送ケーブル2の上記信号ライン上の直流成分が受信信号処理部32bの入力端に流れ込むのを遮断する。オーディオ信号送信部1から送信された変調オーディオ信号TXは、伝送ケーブル2及びコンデンサ31bを介して、受信変調オーディオ信号RXbとして受信信号処理部32bに供給される。
受信信号処理部32bは、図5に示す如く、受信アンプ321b、AD変換器322b、復調回路323b、データ抽出回路324b、誤り訂正回路325b、制御信号生成回路326b及び可変遅延回路327bを含む。受信アンプ321bは、受信変調オーディオ信号RXbを増幅した変調オーディオ信号RAbをAD変換器322bに供給する。AD変換器322bは、かかる変調オーディオ信号RAbをディジタル形態の変調オーディオデータ信号RDbに変換し、復調回路323bに供給する。復調回路323bは、変調オーディオデータ信号RDbに対して、上記した変調回路136でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことにより、図4に示す如きデータフォーマットを有するフレームオーディオ信号FAを復元し、これをフレームオーディオ信号FRbとしてデータ抽出回路324bに供給する。
データ抽出回路324bは、フレームオーディオ信号FRbにおける各フレームから、オーディオデータ信号CDb、音量調整データVOLb及び位相調整データPCbを抽出する。そして、データ抽出回路324bは、かかるオーディオデータ信号CDbを誤り訂正回路325bに供給し、音量調整データVOLb及び位相調整データPCbを制御信号生成回路326bに供給する。誤り訂正回路325bは、オーディオデータ信号CDbに対して誤り訂正処理を施すことにより、誤りビットの訂正されたオーディオデータ信号QDbを生成し、これを可変遅延回路327bに供給する。制御信号生成回路326bは、音量調整データVOLbにて示される音量の調整量の分だけ利得を調整すべき利得調整信号VLbを生成してこれをD級アンプ33bに供給する。更に、制御信号生成回路326bは、図4に示す如き、各フレーム内でのオーディオデータ信号CDa及びCDb同士の時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof2に、位相調整データPCbにて示される位相調整値を加算した遅延時間を示す遅延制御信号DLbを、可変遅延回路327bに供給する。 尚、オフセット遅延時間Tof2は、時分割多重化によって離散したオーディオデータ信号CDa及びCDb各々の先頭部同士の時間差を無くす為に設定された、オーディオデータ信号CDbに対する遅延時間である。可変遅延回路327bは、オーディオデータ信号QDbを、上記遅延制御信号DLbにて示される遅延時間の分だけ遅延させたものをオーディオデータ信号AGbとし、これをD級アンプ33bに供給する。
D級アンプ33bは、D級パワーアンプであり、上記した利得調整信号VLbにて示される利得でオーディオデータ信号AGbを増幅することにより、スピーカ4bを駆動する増幅オーディオ信号AVbを生成し、これをスピーカ4bに供給する。電源電圧導出部34bは、伝送ケーブル2の信号ライン上に重畳されている直流の電源電圧VDDを導出し、かかる電源電圧VDDを、上記した受信信号処理部32b及びD級アンプ33b各々を動作させる電源として夫々に供給する。
スピーカ4bは、図3に示す再生周波数帯域fb、つまり可聴周波数帯域を高音域側及び低音域側に2分割した際の高音域側を再生周波数帯域とする、いわゆるツィータであり、上記した増幅オーディオ信号AVbに応じた音響出力を行う。この際、増幅オーディオ信号AVbは、オーディオ再生部11から送出された再生オーディオデータ信号ADにおける周波数帯域を、上記した再生周波数帯域fbに帯域制限したものである。よって、ツィータとしてのスピーカ4bは、かかる増幅オーディオ信号AVaに応じて高音域の音響出力を行う。
以上の如く、上記オーディオシステムでは、オーディオ信号送信部(1)が、直流の電源電圧(VDD)を単一の伝送路(2)に印加しつつ、以下の如きオーディオ信号の送信を行う。すなわち、オーディオ信号(FDa、CDa、FDb、CDb)と、音量調整量を示す情報(VOLa、VOLb)及び位相調整値を示す情報(PCa、PCb)を含む制御データ信号とに変調を施した変調オーディオ信号(TX)を上記伝送路を介して受信増幅部(3a、3b)に送信する。この際、受信増幅部は、伝送路上から上記電源電圧を取り出しこの電源電圧の供給によって動作し、以下の如き受信処理を行う。すなわち、受信増幅部は、受信した変調オーディオ信号から上記したオーディオ信号及び制御データ信号を復調し、この制御データ信号にて示される位相調整値に基づく時間に亘りこのオーディオ信号を遅延させることにより、位相調整を施したオーディオ信号をパワーアンプとしてのD級アンプ(33a、33b)に供給する。この際、D級アンプは、上記制御データ信号にて示される音量調整量に応じた利得(VLa、VLb)で、上記オーディオ信号の振幅を増幅して得られた増幅オーディオ信号(AVa、AVb)をスピーカ(4a、4b)に供給する。よって、スピーカは、オーディオ信号送信部から送信された制御データ信号にて示される音量調整量に応じた音量でオーディオ信号に基づく音響出力を行う。
かかるオーディオシステムによれば、オーディオ信号送信部1側において実施された音量調整操作に応じて、スピーカ側に設けられているD級アンプの利得調整による音量調整が為される。これにより、音量調整操作によって小音量に設定すべき調整が為されても、伝送路を流れるオーディオ信号自体の振幅が小さくなることは無いので、小音量時における伝送路損失に伴う音質劣化を抑制することが可能となる。
また、このオーディオシステムでは、オーディオ信号送信部1において為された音量調整操作に応じて、ウーハ側のD級アンプ(33a)及びツィータ側のD級アンプ(33b)に対する音量調整を個別に行うことができる。よって、聴取位置において、各帯域の音圧を一定とした良好な音響出力を提供することが可能となる。
また、このオーディオシステムでは、オーディオ装置側から、D級アンプを動作させる為の直流の電源電圧を変調オーディオ信号と共に単一の伝送路を介して受信増幅部側に供給するようにしている。よって、電源電圧を供給する為の専用の電源ケーブルが不要となり、コスト増を抑えることが可能となる。
更に、上記オーディオシステムでは、オーディオ信号をD級アンプに供給するにあたり、このD級アンプに接続されるスピーカの再生周波数帯域(fa、fb)と等しい周波数帯域のみをフィルタ(131、132)で透過させたオーディオデータ信号(FDa、FDb、CDa、CDb)をD級アンプに供給するようにしている。これにより、例えソースとなるオーディオ信号(AD)に、スピーカで再生することができない周波数帯域の成分が含まれていても、D級アンプは、この再生不可となる周波数帯域に含まれるオーディオ信号成分に対する増幅処理は行わないので、その分だけ電力消費を抑えることが可能となる。
尚、上記実施例では、オーディオ信号送信部1側に設けたフィルタ131及び132によって、再生オーディオデータ信号ADに対して、スピーカ4a及び4b各々の再生周波数帯域に対応した帯域分割を施すようにしているが、フィルタ131の機能を受信増幅部3aに設け、フィルタ132の機能を受信増幅部3bに設けるようにしても良い。また、この際、オーディオ信号送信部1側から、これらフィルタ各々の周波数特性を個別に制御できるようにしても良い。
図6及び図7は、かかる点に鑑みて為された、送信信号処理部13、受信信号処理部32a及び32b各々の内部構成の他の一例を示すブロック図である。
図6に示す構成では、送信信号処理部13は、変調回路136、DA変換器137、送信アンプ138、誤り訂正符号化回路139及びフレーム生成回路140からなる。誤り訂正符号化回路139は、オーディオ再生部11から供給された再生オーディオデータ信号ADに対して、例えばBCH符号或いはリードソロモン符号の如き誤り訂正符号化処理を施して得られたオーディオデータ信号CDDを、フレーム生成回路140に供給する。
フレーム生成回路140は、オーディオデータ信号CDDを図8に示す如く所定長のフレーム毎に時分割にて配置し、且つ各フレーム内においてCDDと共に、音量調整データVOLa、VOLb、位相調整データPCa、PCb、再生帯域設定データFCa及びFCbを順に配置してなるフレームオーディオ信号FAを生成する。すなわち、フレーム生成回路140は、音量調整データVOLaVOLb、位相調整データPCa、PCb、再生帯域設定データFCa及びFCbを含む制御データ信号と、オーディオデータ信号CDDと、を時分割多重化したフレームオーディオ信号FAを生成するのである。尚、再生帯域設定データFCa(FCb)とは、受信増幅部3a(3b)に設けられている可変フィルタ(後述する)のバンドパス特性を指定する為の情報である。フレーム生成回路140は、上記したフレームオーディオ信号FAを変調回路136に供給する。変調回路136は、上記したフレームオーディオ信号FAに対して、QPSK変調、或いはQAM等のディジタル変調を施して得られた変調オーディオデータ信号MDをDA変換器137に供給する。DA変換器137は、かかる変調オーディオデータ信号MDをアナログ信号の変調オーディオ信号MAに変換し、これを送信アンプ138に供給する。送信アンプ138は、かかる変調オーディオ信号MAを増幅した変調オーディオ信号TXを、コンデンサ14及び伝送ケーブル2を介して受信増幅部3a及び3bに送信する。
受信増幅部3aの受信信号処理部32aは、図7に示すように、受信アンプ321a、AD変換器322a、復調回路323a、データ抽出回路334a、誤り訂正回路335a、制御信号生成回路336a、可変フィルタ337a及び可変遅延回路338aを含む。受信アンプ321aは、コンデンサ31aを介して受信した受信変調オーディオ信号RXaを増幅した変調オーディオ信号RAaをAD変換器322aに供給する。AD変換器322aは、かかる変調オーディオ信号RAaをディジタル形態の変調オーディオデータ信号RDaに変換し、復調回路323aに供給する。復調回路323aは、変調オーディオデータ信号RDaに対して、上記した送信信号処理部13の変調回路136でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことにより、図8に示す如きデータフォーマットを有するフレームオーディオ信号を復元し、これをフレームオーディオ信号FRaとしてデータ抽出回路334aに供給する。
データ抽出回路334aは、図8に示す如きフレームオーディオ信号FRaにおける各フレームから、オーディオデータ信号CDD、音量調整データVOLa、位相調整データPCa及び再生帯域設定データFCaを抽出する。そして、データ抽出回路334aは、かかるオーディオデータ信号CDDを誤り訂正回路335aに供給し、音量調整データVOLa、位相調整データPCa及び再生帯域設定データFCaを制御信号生成回路336aに供給する。誤り訂正回路335aは、オーディオデータ信号CDDに対して誤り訂正処理を施すことにより、誤りビットの訂正されたオーディオデータ信号VDaを生成し、これを可変フィルタ337aに供給する。
制御信号生成回路336aは、可変フィルタ337aのバンドパス特性を、再生帯域設定データFCaにて指定されたバンドパス特性、例えば、図3の再生周波数帯域faのみを透過させるバンドパス特性に設定すべきフィルタ係数Kaを、この可変フィルタ337aに供給する。更に、制御信号生成回路336aは、音量調整データVOLaにて示される音量の調整量の分だけ利得を調整すべき利得調整信号VLaを生成してこれをD級アンプ33aに供給する。更に、制御信号生成回路336aは、各フレーム内のオーディオデータ信号CDDにおける出力チャネル(例えば、右チャネル及び左チャネル)同士の時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof1に、位相調整データPCaにて示される位相調整値を加算した遅延時間を示す遅延制御信号DLaを、可変遅延回路338aに供給する。
可変フィルタ337aは、例えばFIRフィルタ等からなるディジタルのバンドパスフィルタである。可変フィルタ337aは、上記したフィルタ係数Kaに応じたバンドバス特性にて、誤り訂正回路335aから供給されたオーディオデータ信号VDaに対してフィルタリングを施して得たオーディオデータ信号QDaを可変遅延回路338aに供給する。すなわち、かかるフィルタ係数Kaに応じて、可変フィルタ337aは、オーディオデータ信号VDa中から、図3の再生周波数帯域faに含まれる低域周波数成分のみを透過させ、これをオーディオデータ信号QDaとして可変遅延回路338aに供給するのである。可変遅延回路338aは、オーディオデータ信号QDaを、上記遅延制御信号DLaにて示される遅延時間の分だけ遅延したものをオーディオデータ信号AGaとし、これをD級アンプ33aに供給する。
一方、受信増幅部3bの受信信号処理部32bは、図7に示すように、受信アンプ321b、AD変換器322b、復調回路323b、データ抽出回路334b、誤り訂正回路335b、制御信号生成回路336b、可変フィルタ337b及び可変遅延回路338bを含む。受信アンプ321bは、コンデンサ31bを介して受信した受信変調オーディオ信号RXbを増幅した変調オーディオ信号RAbをAD変換器322bに供給する。AD変換器322bは、かかる変調オーディオ信号RAbをディジタル形態の変調オーディオデータ信号RDbに変換し、復調回路323bに供給する。復調回路323bは、変調オーディオデータ信号RDbに対して、上記した送信信号処理部13の変調回路136でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことにより、図8に示す如きデータフォーマットを有するフレームオーディオ信号を復元し、これをフレームオーディオ信号FRbとしてデータ抽出回路334bに供給する。
データ抽出回路334bは、図8に示す如きフレームオーディオ信号FRbにおける各フレームから、オーディオデータ信号CDD、音量調整データVOLb、位相調整データPCb及び再生帯域設定データFCbを抽出する。そして、データ抽出回路334bは、かかるオーディオデータ信号CDDを誤り訂正回路335bに供給し、音量調整データVOLb、位相調整データPCb及び再生帯域設定データFCbを制御信号生成回路336bに供給する。誤り訂正回路335bは、オーディオデータ信号CDDに対して誤り訂正処理を施すことにより、誤りビットの訂正されたオーディオデータ信号VDbを生成し、これを可変フィルタ337bに供給する。
制御信号生成回路336bは、可変フィルタ337bのバンドパス特性を、再生帯域設定データFCbにて指定されたバンドパス特性、例えば、図3の再生周波数帯域fbのみを透過させるバンドパス特性に設定すべきフィルタ係数Kbを、この可変フィルタ337bに供給する。更に、制御信号生成回路336bは、音量調整データVOLbにて示される音量の調整量の分だけ利得を調整すべき利得調整信号VLbを生成してこれをD級アンプ33bに供給する。更に、制御信号生成回路336bは、各フレーム内のオーディオデータ信号CDDにおける出力チャネル(例えば、右チャネル及び左チャネル)同士の時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof1に、位相調整データPCbにて示される位相調整値を加算した遅延時間を示す遅延制御信号DLbを、可変遅延回路338bに供給する。尚、図1に示す一例では、出力チャネルが、ウーハとしてのスピーカ4a及びツィータとしてのスピーカ4bからなる1チャネル分だけなので、図8に示すように、受信信号処理部32a及び32bでは共に同一のオフセット遅延時間Tof1を用いている。
可変フィルタ337bは、例えばFIRフィルタ等からなるディジタルのバンドパスフィルタである。可変フィルタ337bは、上記したフィルタ係数Kbに応じたバンドバス特性にて、誤り訂正回路335bから供給されたオーディオデータ信号VDbに対してフィルタリングを施して得たオーディオデータ信号QDbを可変遅延回路338bに供給する。すなわち、かかるフィルタ係数Kbに応じて、可変フィルタ337bは、オーディオデータ信号VDb中から、図3の再生周波数帯域fbに含まれる高域周波数成分のみを透過させ、これをオーディオデータ信号QDbとして可変遅延回路338bに供給するのである。可変遅延回路338bは、オーディオデータ信号QDbを、上記遅延制御信号DLbにて示される遅延時間の分だけ遅延させたものをオーディオデータ信号AGbとし、これをD級アンプ33bに供給する。
以上の如く、図6に示す内部構成を有する送信信号処理部13、及び図7に示す内部構成を有する受信信号処理部32a及び32bを採用したオーディオシステムでは、スピーカ用の低域側のディバイディングネットワークとして可変フィルタ337aを受信増幅部3aに設け、スピーカ用の高域側のディバイディングネットワークとして可変フィルタ337bを受信増幅部3bに設けるようにしている。この際、かかる構成によれば、オーディオ信号送信部1側から送信する再生帯域設定データFCa及びFCbにより、可変フィルタ337a及び337b各々のバンドパス特性を個別に設定することが可能となる。これにより、ウーハとして用いられるスピーカ4a又はツィータとして用いられるスピーカ4bを他のスピーカに変更しても、再生帯域設定データFCa及びFCbによって、変更後のスピーカの再生周波数帯域に対応した帯域分割を行うことが可能可熊となるので、フィルタを変更する手間が省ける。
また、図6及び図7に示す構成を採用したオーディオシステムでは、ウーハ側の受信信号処理部32aに可変遅延回路338aを設け、ツィータ側の受信信号処理部32bに可変遅延回路338bを設け、可変遅延回路338a及び338b各々の遅延量を、オーディオ信号送信部1から送信された位相調整データPCa及びPCbによって個別に変更できるようにしている。よって、位相調整データPCa及びPCbを用いた上記遅延量の調整によれば、ウーハとしてのスピーカ4a及びツィータとしてのスピーカ4bの各々から発せられる音の位相を揃えるべき位相調整を行うことができるので、良好な音場を提供することが可能となる。
ここで、変調オーディオ信号TXを伝送ケーブル2を介して受信増幅部3a及び3bの各々に送信する場合、この変調オーディオ信号TXの振幅が大きいほど伝送ケーブル2から放射されるノイズも大となる。そこで、伝送ケーブル2からの放射ノイズを低減させるべく、変調オーディオ信号TXの振幅を伝送に支障を来さない程度に小さくするようにしても良い。
図9は、かかる点に鑑みて為されたオーディオシステムの他の構成を示すブロック図である。尚、図9に示すオーディオシステムでは、オーディオ信号送信部1内に送信出力制御部16を設け、且つ受信増幅部3a(3b)内に送信出力制御部35a(35b)を設けると共に、送信信号処理部13に代えて送信信号処理部130を採用し、受信信号処理部32a(32b)に代えて受信信号処理部320a(320b)を採用した点を除く他の構成は図1に示すものと同一である。この際、オーディオ信号送信部1内では、送信信号処理部130の出力端、コンデンサ14の一端及び送信出力制御部16の入力端がラインL1によって共通に接続されている。一方、受信増幅部3a(3b)内では、コンデンサ31a(31b)の一端、受信信号処理部320a(320b)の入力端、及び送信出力制御部35a(35b)の出力端がラインL2a(L2b)によって共通に接続されている。
図10は、図9に示す受信増幅部3aに含まれる送信出力制御部35a及び受信信号処理部320aの内部構成を示すブロック図である。尚、図10において、受信信号処理部320aは、復調回路323aに代えて復調回路343aを採用し、誤り訂正回路325aに代えて誤り訂正回路345aを採用した点を除く他の構成は、図7に示すものと同一である。よって、図10に示す受信信号処理部320aについては、復調回路343a及び誤り訂正回路345aの動作のみを説明する。
復調回路343aは、AD変換器322aから供給された変調オーディオデータ信号RDaに対して、上記した変調回路136でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことによりフレームオーディオ信号FRaを生成して、これをデータ抽出回路324aに共有する。更に、復調回路343aは、変調オーディオデータ信号RDaにおけるディジタル変調の誤差比、いわゆるMER(Modulation Error ratio)、又は変調精度を示すEVM(Error Vector Magnitude)を検出し、これを第1伝送品質評価値として示す第1伝送品質評価データ信号Q1を送信出力制御部35aに供給する。
誤り訂正回路345aは、データ抽出回路334aから供給されたオーディオデータ信号CDDに対して誤り訂正処理を施すことにより、誤りビットの訂正されたオーディオデータ信号VDaを生成し、これを可変遅延回路327aに供給する。更に、誤り訂正回路345aは、かかる誤り訂正処理による誤りビット率、いわゆるBER(Bit Error Ratio)又は誤りビット総数を検出し、これを第2伝送品質評価値として示す第2伝送品質評価データ信号Q2を送信出力制御部35aに供給する。
送信出力制御部35aは、図10に示すように、伝送品質判定回路351a、送信出力制御信号生成回路352a、変調回路353a、DA変換器354a及び送信アンプ355aを含む。伝送品質判定回路351aは、上記第1伝送品質評価データ信号Q1及び第2伝送品質評価データ信号Q2に基づき、伝送ケーブル2を介した通信における伝送品質の度合いを判定する。例えば、第1伝送品質評価データ信号Q1によって示される誤りビット率が低く、且つ第2伝送品質評価データ信号Q2によって示されるディジタル変調の誤差比が小なるほど、伝送品質が高いことを示す伝送品質度データを送信出力制御信号生成回路352aに供給する。送信出力制御信号生成回路352aは、伝送品質度データによって示される伝送品質が高いほど送信出力を低下させる一方、その伝送品質が低いほど送信出力を増加させるべき送信出力制御信号PCDを生成しこれを変調回路353aに供給する。変調回路353aは、かかる送信出力制御信号PCDに対して、QPSK変調、或いはQAM等のディジタル変調を施して得られた変調送信出力制御信号PQDをDA変換器354aに供給する。DA変換器354aは、かかる変調送信出力制御信号PQDをアナログ信号の変調送信出力制御信号PQに変換し、これを送信アンプ355aに供給する。
送信アンプ355aは、かかる変調送信出力制御信号PQを増幅した変調送信出力制御信号PHaを生成しこれを、図11に示す如き変調オーディオ信号TXにおける隣接するフレーム同士の間の空き時間GA内において、ラインL2a及び伝送ケーブル2を介してオーディオ信号送信部1に送信する。
ここで、図9に示される受信増幅部3b内の送信出力制御部35b及び受信信号処理部320bは、図10に示す送信出力制御部35a及び受信信号処理部320aと同一の内部構成を有する。ただし、受信増幅部3bにおける送信出力制御部35b内の送信アンプ355b(送信アンプ355aに相当)は、図11に示す如き空き時間GA内において、送信アンプ355aによる変調送信出力制御信号PHaの送信タイミングとは異なる送信タイミングで、変調送信出力制御信号PHbを伝送ケーブル2を介してオーディオ信号送信部1に送信する。すなわち、受信増幅部3aの送信出力制御部35aから出力された変調送信出力制御信号PHaと、受信増幅部3bの送信出力制御部35bから出力された変調送信出力制御信号PHbとが、図11に示す如く空き時間GA内において順次、単一の伝送ケーブル2を介してオーディオ信号送信部1側に送信されるのである。
図12は、オーディオ信号送信部1内に設けられている送信出力制御部16及び送信信号処理部130各々の内部構成を示すブロック図である。尚、送信信号処理部130の内部構成では、送信アンプ138に代えて可変利得送信アンプ238を採用した点を除く他の構成は、図6に示すものと同一である。一方、送信出力制御部16は、図12に示すように、受信アンプ161、AD変換器162、復調回路163及び利得設定回路164を含む。受信アンプ161は、伝送ケーブル2を介して図9に示される受信増幅部3a又は3bから送信された変調送信出力制御信号PHa又はPHbを受信しこれを増幅した変調送信出力制御信号PSをAD変換器162に供給する。AD変換器162は、変調送信出力制御信号PSをディジタル値の変調送信出力制御データ信号PMDに変換し、これを復調回路163に供給する。復調回路163は、変調送信出力制御データ信号PMDに対して、上記した変調回路353a(353b)でのディジタル変調に対応した復調処理を施すことにより、上記した送信出力制御信号を復元しこれを送信出力制御信号PDとして利得設定回路164に供給する。利得設定回路164は、受信増幅部3aからの変調送信出力制御信号PHaに対応した送信出力制御信号PDと、受信増幅部3bからの変調送信出力制御信号PHbに対応した送信出力制御信号PDとの内で、高い送信出力を示す方を選択する。つまり、利得設定回路164は、受信増幅部3a及び3bの内から伝送品質が低い方の受信増幅部3から送出された変調送信出力制御信号(PHa又はPHb)に対応した送信出力制御信号PDを選択する。そして、利得設定回路164は、選択した方の送信出力制御信号PDによって示される送信出力の大きさに応じた利得を示す利得信号PGを生成し、これを送信信号処理部130の可変利得送信アンプ238に供給する。つまり、利得設定回路164は、送信出力制御信号PDによって示される送信出力が低いほど、変調オーディオ信号TXの振幅を小さくすべき利得を示す利得信号PGを可変利得送信アンプ238に供給するのである。可変利得送信アンプ238は、利得信号PGにて示される利得にて、DA変換器137から供給された変調オーディオ信号MAを増幅した変調オーディオ信号TXを、ラインL1、コンデンサ14及び伝送ケーブル2を介して受信増幅部3a及び3bに送信する。
このように、図9〜図12に示されるオーディオシステムでは、受信増幅部(3a、3b)が、伝送ケーブル2を介して受信した受信変調オーディオ信号(RXa、RXb)に基づきその伝送品質(MER、BER)を判定する。次に、受信増幅部(3a、3b)は、かかる伝送品質が高いほど送信出力、つまり変調オーディオ信号TXの振幅を低下させるべき送信出力制御信号(PCD)を生成し、これに変調を施した変調送信出力制御信号(PHa、PHb)を伝送ケーブル2を介してオーディオ信号送信部1に送信する。オーディオ信号送信部1では、かかる変調送信出力制御信号(PHa、PHb)を受信し、これに復調処理を施すことにより送信出力制御信号(PD)を復元する。そして、オーディオ信号送信部1は、この送信出力制御信号(PD)によって示される送信出力が低いほど、変調オーディオ信号TXを送出する送信アンプ(238)の利得を小さくするのである。すなわち、受信増幅部(3a、3b)で受信した変調オーディオ信号に基づいて伝送品質を判定し、その伝送品質が高いほど、オーディオ信号送信部1において送信する変調オーディオ信号TXの振幅を小さくすべき制御を行うのである。これにより、伝送に支障を来さない程度に伝送品質を維持しつつ、変調オーディオ信号TXの振幅を抑えることによる放射ノイズ低減を図ることが可能となる。
尚、上記実施例では、低音再生を担う受信増幅部3a及びスピーカ4aと、高音再生を担う受信増幅部3b及びスピーカ4bとからなる1チャネル分のスピーカシステムを伝送ケーブル2に接続した構成を示しているが、左右2チャネル分又は3チャネル以上の複数チャネル分のスピーカシステムを伝送ケーブル2に接続した構成を採用しても良い。例えば、図13に示すように、上記した如き受信増幅部3a、3b、スピーカ4a及び4bからなる1チャネル分のスピーカシステムを、左右2チャネル分用意し、これらを単一の伝送ケーブル2にてオーディオ信号送信部1に接続する。この際、オーディオ信号送信部1は、図14に示す如く、右チャネル用のオーディオデータ信号CDD及び制御データ信号(VOLa、FCa、PCa、VOLb、FCb、PCb)と、左チャネル用のオーディオデータ信号CDD及び制御データ信号とが順に配置されているフレームオーディオ信号FAを変調した変調オーディオ信号TXを生成する。そして、オーディオ信号送信部1は、かかる変調オーディオ信号TXを伝送ケーブル2を介して右チャネルのスピーカシステム(3a、4a)及び左チャネルのスピーカシステム(3b、4b)に送信する。右チャネル用の受信増幅部3aのデータ抽出回路334aは、図14に示すように、フレームオーディオ信号中から右チャネルに対応した制御データ信号(VOLa、FCa、PCa)及びオーディオデータ信号CDDを抽出する。右チャネル用の受信増幅部3bのデータ抽出回路334bは、図14に示すように、フレームオーディオ信号中から右チャネルに対応した制御データ信号(VOLb、FCb、PCb)及びオーディオデータ信号CDDを抽出する。左チャネル用の受信増幅部3aのデータ抽出回路334aは、図14に示すように、フレームオーディオ信号中から左チャネルに対応した制御データ信号(VOLa、FCa、PCa)及びオーディオデータ信号CDDを抽出する。左チャネル用の受信増幅部3bのデータ抽出回路334bは、図14に示すように、フレームオーディオ信号中から左チャネルに対応した制御データ信号(VOLb、FCb、PCb)及びオーディオデータ信号CDDを抽出する。この際、右チャネルの受信増幅部3a及び3b、並びに左チャネルの受信増幅部3a及び3bでは、夫々で取得した制御データ信号に基づき、前述した如き各種制御を実行する。例えば、右チャネルの受信増幅部3a(3b)は、図14に示す如く、右チャネル用のCDDと、左チャネル用のCDDとの時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof1に、位相調整データPCa(PCb)にて示される位相調整値を加算した遅延時間だけ右チャネル用のCDDを遅延させたものをAGa(AGb)としてスピーカ4a(4b)に供給する。尚、オフセット遅延時間Tof1は、時分割多重化によって離散した右チャネル用のCDD及び左チャネル用のCDD各々の先頭部同士の時間差を無くす為に設定された、右チャネル用のCDDに対する遅延時間である。また、左チャネルの受信増幅部3a(3b)は、図14に示す如く、右チャネル用のCDDと左チャネル用のCDDとの時間差を吸収する為のオフセット遅延時間Tof2に、位相調整データPCa(PCb)にて示される位相調整値を加算した遅延時間だけ左チャネル用のCDDを遅延させたものをAGa(AGb)としてスピーカ4a(4b)に供給する。尚、オフセット遅延時間Tof2は、時分割多重化によって離散した右チャネル用のCDD及び左チャネル用のCDD各々の先頭部同士の時間差を無くす為に設定された、左チャネル用のCDDに対する遅延時間である。
要するに、M個(Mは2以上の自然数)のスピーカの各々に受信増幅部を設け、オーディオ信号送出部が、各受信増幅部を個別に制御すべき制御データ信号とオーディオデータ信号とを多重化して変調した変調オーディオ信号を、直流の電源電圧を印加した単一の伝送ケーブルを介して各受信増幅部に送信する。この際、各受信増幅部は、伝送ケーブルを介して供給された電源電圧によって駆動し、以下の如き動作を行う。すなわち、受信増幅部は、受信した変調オーディオ信号から、上記した制御データ信号及びオーディオデータ信号を復調し、このオーディオデータ信号に対して上記制御データ信号に従った制御を施した増幅オーディオ信号をスピーカに供給するのである。