まず、本発明の最適な実施形態に至った本願発明者が行った検討事項について簡単に述べる。
1.ドレン中には硝酸(HNO3)が含まれるので、ドレンを中和させずに噴霧(例えば超音波気化など、液体状態で放出)させると、硝酸も飛び散り、給湯装置の周囲のものが錆びてしまうという問題点を本願発明者は見出した。さらに、ドレンを中和させてから噴霧させると、今度は中和剤が飛び散り、給湯装置の周囲に粉状のものが付着して汚してしまうという問題点を見出した。
そこで、本発明者はドレンを噴霧するのではなく、ドレン中の水分を気化させる気化装置を作り実験した結果、気化させたドレン中の水分には硝酸が含まれず、気化装置の周囲が錆びることがなかった。また、ドレンを中和させてから気化させた場合にはドレン中の水分には中和剤成分が含まれず、気化装置の周囲を汚してしまうということがなかった。
2.しかしながら、良好な実験結果が得られた後、しばらく実験装置を放置していたところ、中和剤を用いないでドレンを気化(噴霧ではなく気化)させていた気化装置を取り付けていた周囲が錆びていることを本願発明者は見つけた。
3.本願発明者は、燃焼→ドレン発生→気化→燃焼→ドレン発生→気化の実験を行っている間は気化装置から出る気体中には硝酸成分がほぼ含まれず(周囲が錆びず)、実験終了後の放置状態の時に、気化装置から漏れ出た気体中に硝酸成分が含まれ、これが原因で周囲が錆びたとの仮説をたてた。
4.そこでドレンをビーカに入れて加熱し、水分を除く実験を行ったところ、ビーカに水分が無くなった時点でビーカの底に白い結晶が一時的に残った後、白い結晶もなくなってしまった。この白い結晶は、加熱せずに窓気際に放置していただけでも同様に無くなった。本願発明者はドレン中の硝酸(HNO3)成分が、水分が無くなった時点で白い結晶である五酸化二窒素(N2O5:吸湿性を持つ通称無水硝酸)に変わった後に昇華し、この昇華した腐食成分が気化装置周囲に吹く微風(Light air以下)により高濃度で気化装置を取り付けていた周囲を漂い、これにより錆びが発生するものと推定した。
5.本願発明者は、気化装置内の気化フィルタが浸かる水位が、所定水位以下となれば送風を中止して気化を止め、それでも長期不使用で水位が下がる場合には水道水を足して適正水位をコントロールすれば上述の腐食を防止できるが、例えばリゾート地における別荘において長期不使用時には、電気、水道を止めてしまう場合があり、水道水を足しての水位コントロールができないことに気づき上記腐食防止方法の採用を断念した。
6.そこで、風が吹いている環境下(特に微風時)において、気化装置内を空気が通り抜け難い構造(メカニカルな構造)とすれば周囲が錆びることを防止できる点に着目し、本願発明に至った。
7.さらに、湯を多量に使用する時間帯が夕方〜夜間にかけての入浴用湯水使用時間帯である点に着目し、気化装置の駆動時間帯が深夜〜翌朝早朝にかけての就寝時間帯となる可能性が高いので、気化用布から気化したドレンを含む空気を吸い出す方法、すなわち、吸引圧を利用したほうが低騒音になる点を見出し、本願発明の気化装置に取り入れた。
気化用布を略円柱状に形成して下端にドレンを浸し、上端の気化用布53内側から空気を吸い出すと、気化用布の全周から空気を吸い込むので、落葉等の異物が気化用布の表面に付着しても、異物を避けて空気が流れるので異物で発生する風切り音が少なくなる。すなわち、夜間に風切り音を発生させないようにするために、能力を減少させる必要がなくなった。さらに長期間(径年)能力を維持したままでも圧力損失量が少ない状態を維持する(気化用布の目に異物が入り込んでしまう事態を避けられる)ので、加湿量の減少を避けることができる。
次に、本発明の実施形態について図面を用いながら詳細に説明する。図1は、本実施形態における給湯装置の外観の様子を示す図である。図1に示すように、本実施形態の給湯装置1は収容ケース10を有する。収容ケース10は、ケース本体11と、カバーパネル12とで構成される。
ケース本体11は、ケース本体11の後方側とされる後方壁11Aと、その後方壁11Aの端部に連結される枠壁11Bとを有し、当該後方壁11Aおよび枠壁11Bによって収容空間が形成される。後方壁11Aは、収容空間を構成する底部位であり、壁掛け設置と呼ばれる取り付け形態時には、ケース本体が設置されるべき家屋の外壁などの壁に対向される(PS設置と呼ばれる取り付け形態時には、フランジFRが設置されるべきマンションのPS設置金枠などの壁に対向される。詳細は図4参照)。
カバーパネル12は、ケース本体11の後方壁11Aとは逆の前方側に配置され、当該ケース本体11の収容空間を覆う前方パネルであり、当該ケース本体11に対して着脱自在に設けられる。本実施形態では、カバーパネル12は、枠壁及び正面壁によって構成される箱状の外側パネル12Aと、当該枠壁の背面側の端部に連結される板状の内側パネル12Bとの2重となっている(詳細は図11A参照)。このカバーパネル12には外側パネルの枠壁及び正面壁の内面と内側パネル12Bの前面とで囲まれる空間が形成され、当該内側パネル12Bには外側パネルの枠壁の外面よりも外側に突出するフランジFRが形成される。
カバーパネル12には、ケース本体11の収容空間に収容される熱交換器において回収される熱を得るための燃焼用空気を、当該収容空間の外部から供給するための燃焼用給気口13が設けられる。本実施形態では、箱状の外側パネル12Aの枠壁のうち互いに対向する左右の枠壁に燃焼用給気口13がそれぞれ設けられ、当該左右の燃焼用給気口13は内側パネル12Bの前面と箱状の外側パネルの内面とで囲まれる空間を介して連通している。なお、燃焼用給気口13の外形は楕円形状とされ、燃焼用給気口13の数は複数とされる。
また、カバーパネル12には、ケース本体11の収容空間に収容される潜熱熱交換器26で発生するドレンを気化させるためのドレン気化用空気を、当該収容空間の外部から供給するためのドレン気化用給気口14が設けられる。本実施形態では、カバーパネル12の外側パネル12Aのうち正面壁の下端部分にドレン気化用給気口14が設けられる。このドレン気化用給気口14に対向する内側パネル12Bにもドレン気化用給気口14が設けられている。外側パネル12Aの枠壁及び正面壁の内面と内側パネル12Bの前面とで囲まれる空間のうち、外側パネル12Aのドレン気化用給気口14と、内側パネル12Bのドレン気化用給気口14との間の空間は、外側パネル12Aと内側パネル12Bとの間に設けられる仕切り板PP1によって隔離されている(詳細は図11A参照)。なお、ドレン気化用給気口14の外形は円形状とされ、ドレン気化用給気口14の数は複数とされる。
またカバーパネル12には、ドレン気化用給気口14から供給されるドレン気化用空気およびそのドレン気化用空気により気化されたドレンを、ケース本体11の収容空間の外部に排出するためのドレン気化用排気口15が設けられる。本実施形態では、カバーパネル12の外側パネル12Aのうち正面壁の上端部分にドレン気化用排気口15が設けられる。このドレン気化用排気口15に対向する内側パネル12Bはない。すなわち、カバーパネル12の上端部分は2重になっておらず、外側パネル12A及びフランジFRの構成だけとされる(詳細は図11A参照)。なお、ドレン気化用排気口15の外形は楕円形状とされ、ドレン気化用排気口15の数は1つとされる。
なお、ドレン気化用排気口15は、燃焼用給気口13から供給される燃焼用空気を、ケース本体11の収容空間の外部に排出するための燃焼用排気口でもあり、当該燃焼用排気口からの排気(後述の流出口22からの排気)と、流出口32からの気体ドレンは、合流されて排出される。この合流直前に燃焼用排気口からの排気は流路が狭められることで、排気流速は加速され、かつ、加速された排気と気体ドレンを緩く交差させることで、加速されたスピードを殺すことなく混合される。気体ドレンは(気化熱分低いが)約常温であり、排気と比して重い。この重い気体ドレンを排気の下方に沿わせて(略平行に)排出すると、比重差で分離し、排気は遠くまで進んでも、気体ドレンは途中で分離して落下してしまう。そこで本願は、排気流速を加速させ、かつ、排気と気体ドレンとを緩く交差させるようにして、2つの流れが途中で分離しないようにしている(2つの流れを一体化して遠くに拡散するようにしている(遠方拡散))。しかもこのような構造を用いると、排気が出ていく力で気体ドレンが吸引(巻込み吸引)され、非燃焼時に気化用ファン56で造られる流れの量よりも多くの気体ドレンが排出される。
図2は、給湯装置の断面の様子を示す図である。図2に示すように、ケース本体11の収容空間には燃焼ケース20と、ドレン気化ケース30とが設けられる。本実施形態では、ケース本体11の収容空間のうち、当該ケース本体11の後方とされる後方壁11A側に燃焼ケース20が設けられ、その後方壁11Aとは逆の前方側にドレン気化ケース30が設けられる。ケース本体11の収容空間のうち、右側に燃焼ケース20が設けられ、左側をドレン気化ケース30としてもかまわない。
燃焼ケース20の底部には流入口21が設けられ、当該燃焼ケース20の上側側部には、潜熱熱交換器26を出た燃焼ガスをカバーパネル12の正面方向に排気する為の排気口である流出口22が設けられる。流入口21は、収容ケース10の燃焼用給気口13と連通され、当該燃焼用給気口13から収容ケース10の内部に供給された燃焼用空気を燃焼ケース20内に流入させるための開口である。流出口22は、燃焼ケース20内に流入された燃焼用空気を燃焼ケース20外に流出させるための開口であり、収容ケース10のドレン気化用排気口15と連通される。
燃焼用ファン23は、燃焼ケース20の外側における流入口21の直下に配置され、当該燃焼ケース20の外壁に取り付けられる。この燃焼用ファン23は、収容ケース10の外部から燃焼用給気口13を介して収容ケース10の内部に燃焼用空気を取り込み、当該取り込んだ燃焼用空気を燃焼ケース20の流入口21から燃焼ケース20の内部に送る。なお、燃焼用ファン23としては、台風などの強風(Strong breeze以上)が吹いている時でも燃焼可能な状態にできる高性能なファンが用いられ、例えばシロッコファンやターボファンなどの高圧力型低効率ファンが適用される。台風などの強風は、瞬間的に強い風(Strong breeze以上)が吹いたり、弱まったりと、強弱が波状状態で吹く。燃焼用ファン23は前記瞬間的に強い風が吹いた時に失火等しないように高圧のファンが適用される。この結果、瞬間的に強い風が吹いた時以外の高圧を気体ドレンの吸引に使用できる。瞬間的に強い風が吹いた時には、流出口22から出た排気の一部と、ドレン気化用排気口15から流入する風とが混ざって、流出口32を逆流する場合がある。この逆流空気は、気化用布53を通過してドレン気化用給気口14から収容ケース10の外部に排出される。この逆流時には、排気(例えば湿度100%)にドレン気化用排気口15から流入する風とが混ざる(湿度が下がる)ので、気化用布53を通過時にドレン気化(逆流気化)が行われる。すなわち燃焼用ファン23と気化用ファン56を別々(一方を高圧型、他方を低圧型)とし、気化用ファン56を同一風量で送風する場合にも高圧型に比して電気代が安い低圧型とすると共に、流出口22と流出口32を合流させてドレン気化用排気口15とすることで、通常は順方向気化が行われ、瞬間的に強い風が吹いた時には逆流気化が行われることで、ドレン気化を安く、効率良く行うことができる。なお、燃焼用ファン23と気化用ファン56を別々にし、かつ、給気側は個別にカバーパネル12に燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14として設けることで、燃焼用ファン23と気化用ファン56の相互干渉を防止している。
燃焼ケース20の内部にはバーナ24、顕熱熱交換器25、潜熱熱交換器26およびドレン受け部27が設けられる。バーナ24は、燃焼ケース20内の下部に設けられており、ガス管41から供給されるガスを燃焼する。ガス管41はケース本体11および燃焼ケース20の所定部位を貫通する状態で設けられており、当該ガス管41の所定部位にはガス開閉弁42とガス比例弁43とが設けられる。なお、ガス管41が貫通するケース本体11および燃焼ケース20の孔部分は密閉される。
顕熱熱交換器25は、燃焼用ファン23から燃焼ケース20内に送られる燃焼用空気の流路上であってバーナ24よりも下流側に設けられており、伝熱管25Aと、その伝熱管25Aの伝熱性を高めるために伝熱管25Aの外表面に設けられるフィン25Bとを有する。顕熱熱交換器25は、バーナ24での燃焼により加熱される燃焼用空気から主に顕熱を回収して伝熱管25A内の水を加熱する。
伝熱管25Aの入力端には後述の伝熱管26Aの出力端が接続される。後述の給水管44はケース本体11および燃焼ケース20の所定部位を貫通する状態で設けられており、当該給水管44の所定部位には給水流量センサ45が設けられる。なお、給水管44が貫通するケース本体11および燃焼ケース20の孔部分は密閉される。
潜熱熱交換器26は、燃焼用ファン23から燃焼ケース20内に送られる燃焼用空気の流路上であって顕熱熱交換器25よりも下流側に設けられており、伝熱管26Aと、その伝熱管26Aの外表面に設けられるフィン26Bとを有する。潜熱熱交換器26は、顕熱熱交換器25での加熱により生じる排気の潜熱を主に回収して伝熱管26A内の水を加熱する。なお、フィン26Bは、必ずしも必要ではない。潜熱熱交換器26には180〜250℃の燃焼排ガスが流入し、50〜70℃、湿度100%の焼排ガスが流出する。
伝熱管26Aの出力端には図示しない連結用配管を介して顕熱熱交換器25における伝熱管25Aの入力端と接続され、当該伝熱管25Aの出力端には給湯配管46が接続される。給湯配管46はケース本体11および燃焼ケース20の所定部位を貫通する状態で設けられており、当該給湯配管46の所定部位には給湯サーミスタ47が設けられる。なお、給湯配管46が貫通するケース本体11および燃焼ケース20の孔部分は密閉される。
本実施形態の給水管44は、潜熱熱交換器26よりも上流側の部位で分岐しており、当該分岐部位で分岐した一方の給水管44Aは潜熱熱交換器26における伝熱管26Aの入力端に接続される。また、給水管44の分岐部位で分岐した他方の給水管44Bは、顕熱熱交換器25における伝熱管25Aの入力端に対して、潜熱熱交換器26における伝熱管26Aの出力端に接続される図示しない連結用配管とともに接続される。
給水管44の分岐部位には、給水管44を介して供給される水を、潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に流す第1の水路と、当該潜熱熱交換器26をほとんど経由せずに顕熱熱交換器25に流す第2の水路とに切り替える切替弁49が設けられる。すなわち、切替弁49によって第1の水路に切り替えられた状態にある場合、給水管44から供給される水は、当該給水管44の分岐部位から給水管44Aを経由して潜熱熱交換器26に給水される。一方、切替弁49によって第2の水路に切り替えられた状態にある場合、給水管44から供給される水のほとんどは、当該給水管44の分岐部位から給水管44Bを経由して顕熱熱交換器25に給水される。このように切替弁49は、第2の水路に切り替えてもごく一部が第1の水路を通るような構造となっている。
ここで、切替弁49について詳述する。制御器60には、水量(給水流量センサ45測定値)別の第1の水路と第2の水路との分配比と、給水温度別熱効率が記憶される。給水温度は、前回安定して潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に流す第1の水路を通している時の熱効率(例えば96[%])と燃焼量(ガス比例弁43開度。例えばOUTPUT25000[kal/h])と、給水流量センサ45(例えば16[リットル/min])と、給湯サーミスタ47(例えば40[℃])から求め(例えば給水温度15[℃]=40[℃]−(25000[kal/h]×96[%]÷60[min]÷16[リットル/min]))、前回給水温度を今回の給水温度として使用するために記憶しておくか、図示されない給水サーミスタで実測する。給水温度15[℃]の時の給水管44を介して供給される水が全量、潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に流れる、第1の水路全量通過時の熱効率(例えば96[%])に比して、もし第2の水路に全量通過した時の熱効率(例えば81[%])は低く、第2の水路にほとんどの水量通過時の熱効率もそれに準じて低い(例えば91[%])。
切替弁49は制御器60で燃焼量、水量、給水温度、記憶された熱効率に基づいて下記の演算を行って潜熱熱交換器26内で沸騰(振動音等)を回避する制御がなされる。
第1の水路と第2の水路との分配比(例えば、全量が比率「32」、第2の水路が比率「31」、第1の水路が比率「1」とした場合には、1:31)と、給水温度(例えば15[℃])、水量(例えば16[リットル/min])、記憶された熱効率(例えば第2の水路に全量通過した時の熱効率81[%]と、第2の水路にほとんどの水量を通過させた時の熱効率91[%])、燃焼量(例えば25000[kal/h])から、第1の水路の温度が求められるので(例えば98.3[℃]=32×(15[℃]+(25000[kal/h]×(91[%]−81[%])÷60[min]÷16[リットル/min]))−31×15[℃]=32×17.6[℃]−31×15[℃])、第1の水路を流れる水が沸騰しない温度(例えば102℃以下)となるように第1の水路と第2の水路との分配比(例えば1:31)を求めて、切替弁49を制御器60で制御する(フィード制御で、第1の水路を、比率「1」である0.5[リットル/min]とする)。なお記憶する熱効率の2つの一方は、出湯温度(給湯サーミスタ47の実測値。例えば38.7[℃])を用いて演算で求めても良い(例えば、91[%]=(38.7[℃]−15[℃])×16[リットル/min])×60[min]÷25000[kal/h])。換言すれば、切替弁49を制御しながら燃焼量、水量、給水温度、出湯温度から第1の水路を流れる水が沸騰しない温度となるように分配比をフィードバック制御しても良い。
第2の水路に切り替えても、ごく一部が第1の水路を通るような構造としては、上述のように演算を行って開度制御を行う切替弁49を用いても良いが、例えば第2の水路に切り替えた時に、例えば分配比1:15のように、例えば6%位(沸騰しない位)の水量が第1の水路を通るような固定バイパス構造としても良い。
ドレン受け部27は、潜熱熱交換器26で発生するドレンを受け、そのドレンをドレン気化ケース30に導く。ドレンは、燃焼ガス中に含まれる水蒸気等の気体が相変化した結果得られる液体であり、NOxやSOx(例えば付臭剤ターシャリーブチルメルカプタン:C4H10Sの燃焼により発生するSOx)等の燃焼ガス中に含まれる成分が溶け込む事で酸性を帯びている。本実施形態におけるドレン受け部27は、潜熱熱交換器26から受けたドレンを下方に導くように傾斜しており、燃焼ケース20およびドレン気化ケース30の所定部位を貫通する状態で設けられる。なお、ドレン受け部27が貫通する燃焼ケース20およびドレン気化ケース30の孔部分は密閉される。
ドレン気化ケース30の側部には流入口31が設けられ、当該ドレン気化ケース30の上端部には流出口32が設けられる。流入口31はドレン気化用給気口14から収容ケース10の内部に供給されたドレン気化用空気をドレン気化ケース30内に流入させるための開口であり、ドレン気化用給気口14に対向され連通される。流出口32はドレン気化ケース30内に流入されたドレン気化用空気をドレン気化ケース30外に流出させるための開口であり、ドレン気化用排気口15に連通される。流入口31が開設されているドレン気化ケース30の側部はカバーパネル12と当接されており、図示されないパッキンにて両者はシールされ、ドレン気化用給気口14と収容ケース10内を通る燃焼用空気と連通しないような構造となっている。
ドレン気化ケース30の内部にはドレン配管33、水封部34、中和器35、ドレンタンク36、ドレン補給管37、ドレン補給弁38、タンク水位センサ39およびドレン気化処理部50が設けられる。ドレン配管33は、傾斜状態にあるドレン受け部27の下側末端部とドレンタンク36とを連結する配管である。
水封部34は、ドレン配管33の途中部位に設けられており、ドレン配管33内を流れるドレンでそのドレン配管33の経路を遮断する。中和器35は、水封部34とドレンタンク36との間のドレン配管部位に設けられており、水封部34からドレン配管33内を流れるドレンを中和する。
ドレンタンク36は、タンク上端壁を貫通するドレン配管33の末端部分をタンク内に収容しており、中和器35からドレン配管33を介して供給されるドレンを貯める。なお、ドレン配管33が貫通するドレンタンク36の孔部分は密閉されない。ドレン補給管37は、ドレンタンク36の下部とドレン気化処理部50とを連結する配管である。ドレン補給弁38は、ドレンタンク36からドレン補給管37を介してドレン気化処理部50にドレンを供給する場合と、当該ドレンを供給しない場合とを切り替える開閉式の電磁弁である。なお、ドレンタンク36は、気化用布53や、気体流路部55の内部空間に設けても良い。これにより、ドレン気化ケース30の内部容積を小さくする事ができる。
タンク水位センサ39は、ドレンタンク36の所定部位に設けられており、当該ドレンタンク36内に貯留されるドレンの水位を検出する。なお、水位センサとしてはフロート式、電極式、圧力式、光学式などがあり、本実施形態では、例えば電極式の水位センサがタンク水位センサ39として用いられる。
ドレン気化処理部50は、ドレンタンク36から供給されるドレンを気化させる。図3は、ドレン気化処理部の構造を示す図である。図3に示すように、ドレン気化処理部50は、ドレントレー51、トレー水位センサ52、気化用布53、気化布保持部54、気体流路部55および気化用ファン56を主な構成要素として備える。
ドレントレー51は、トレー側壁を貫通するドレン補給管37の末端部分をトレー内に収容しており、ドレン補給弁38が開放状態にある場合にドレンタンク36からドレン補給管37を介して供給されるドレンを貯める。なお、ドレン補給管37が貫通するドレントレー51の孔部分は密閉される。
トレー水位センサ52は、ドレントレー51の所定部位に設けられており、当該ドレントレー51内に貯留されるドレンの水位を検出する。本実施形態では、例えば水面の高さを超音波や光を当てて測定する光電式の水位センサがトレー水位センサ52として用いられる。
トレー水位センサ52として光電式の水位センサが用いられた場合、ドレン気化用給気口14からドレン気化ケース30の流入口31を介してドレン気化ケース30内のドレントレー51に至った塵芥に起因して、トレー水位センサ52における水位検出の誤動作を防止することができ、正確な水位を検出することができる。なお、塵芥としては、2サイクルエンジン排気などに起因する油脂や、校庭や畑などにある土,砂,小石などに起因する土壌粒子や、軽油燃料車排気に起因するカーボンブラックや落葉などがある。
気化用布53は、3次元網目状となる複数の細孔を有する織布もしくは不織布であり、ドレン気化用給気口14からドレン気化ケース30の流入口31を介してドレン気化ケース30内に送られるドレン気化用空気の流路上に配置される。この気化用布53は有効気化面積の大きい構造とされることが好ましい。例えば、網目状でなる1対の基布シートの間に、その基布シートで用いられる繊維よりも細い繊維を多面的に絡めて立体的とした1対の基布シートを連結した構造がある。このような構造の気化用布53を負圧吸引気化で用いた場合、気化用布53に形成される複数の細孔の一部に塵芥が詰まったとしても、その一部の周囲を迂回するようにして気化用布53を通過する大気と気化用布53を浸透する液体との流れが確保されるため、気化用布53の有効気化面積が向上する。1対の基布シート間を細い繊維で絡めて立体的にすると、当該基布シートが比較的硬くなるので正圧噴射気化には向かない。ただし、負圧吸引気化では、その負圧吸引気化での負圧圧力よりも基布シートの硬さが勝るので、気化用布53の変形(細孔が小さくなって有効気化面積が小さくなること)がなく有効気化面積が向上する。なお、図3に示す気化用布53の網目は、便宜上、大きく示されている。
気化布保持部54は、ドレントレー51に貯められるドレンに気化用布53の下端部が浸された状態で、当該気化用布53を保持する。気化用布53の下端部がドレンに浸された状態であるため、当該気化用布53には毛細管現象によりドレンが浸透する。特に3次元網目状であるが故に毛細管現象での浸透が速やかである。本実施形態では、気化布保持部54が例えば4本の支柱54Bと布固定枠部54Aとで構成される。支柱54Bは四角形の各頂点に位置する関係で配置され、これら支柱54Bの下端部はドレントレー51内の底壁に固定される。布固定枠部54Aは各支柱54Bの上端部に取り付けられており、当該布固定枠部54Aには、各支柱間に位置される4枚の気化用布53がねじなどにより固定される。4枚の気化用布53の少なくとも1枚の気化用布53は、ドレン気化ケース30の流入口31と対向されるが、全周から吸引通気が行われる。なお、気化用布53は、4枚構成でなく円筒形状の1枚構成としても良いし、気化布保持部54は4角形に限らず円筒状であってもかまわない。
なお、ポンプを用いて気化用布53にドレンを給水させるようにした場合、当該ポンプに塵芥が吸い込まれたときに発生するロック現象を防止するため、当該塵芥を分離選別する部材が必要となる。これに対し本実施形態では、気化用布53に対して毛細管現象によりドレンが浸透されるため、塵芥を分離選別する必要がない。
気体流路部55は、気化用布53よりも上方に配置され、気化用布53に送られるドレン気化用空気と、当該ドレン気化用空気によって気化用布53で気化した気体ドレンとをドレン気化用排気口15側へ導くように仕切る仕切り部材を構成する要素の1つである。本実施形態では、気体流路部55の下端部が気化布保持部54の布固定枠部54Aに固定される。気化用布53は、給湯装置1の設置環境が著しく不適合(気化用布53に形成される複数の細孔に塵芥が詰まりやすい環境)の場合には、交換が必要となる場合がある。このような場合を想定して本願では、気体流路部55の下端部6か所(正面2ヶ所と側方4か所。側方4か所は飾りビスを使用。一部図示省略)で布固定枠部54Aを固定、密着させ、後方は図示されないパッキン部材で密着させている。気体流路部55の下端正面2ヶ所と上端2ヶ所(図示省略)外し、気体流路部55の下端部側方4か所を外すと、気体流路部55の正面板が外れると共に、気化用布53を保持している気化布保持部54を正面から取り外すことができる。このように気化布保持部54を取り外すと、同時に気化用布53も取り外せるので、カバーパネル12を取り外すことで気化用布53の交換作業ができる。換言すれば気化用布53は、4枚で構成され、又は円筒形状で構成される筒状立体構成であるが故に、保持する筒状立体構造の気化布保持部54と共に、メンテナンスが容易に可能なカバーパネル12側に配置され、一体で取り外せるようにしている。
気化用ファン56は、気体流路部55の上方に設けられる。本実施形態では、気体流路部55の上端部に取り付けられ、ドレン気化ケース30の流出口32の直前に設けられる(図2)。この気化用ファン56の動作によって発生した負圧により、収容ケース10のドレン気化用給気口14からドレン気化ケース30の流入口31を介して気化用布53の全周からドレン気化用空気が取り込まれる。また気化用ファン56は、ドレン気化用空気により気化用布53で気化した気体ドレンと気化用布53に取り込んだドレン気化用空気とを気体流路部55を介してドレン気化用排気口15に送る。気化用ファン56としては、例えば、シロッコファンやターボファンなどの高圧力型低効率ファンを適用すると、潜熱化によって発生する費用(潜熱熱交換器を持たない給湯器から潜熱回収型給湯器への変更によって生じる潜熱熱交換器26・ドレンタンク等の装置代のコストアップ、ドレン処理工事代金コストアップ)をガス代金の低減で賄っていたが、電気代が嵩むことで潜熱化によって発生する費用以上に気化費用が膨らみ、ガス代金の低減効果すらなくなってしまう。そこで電気代が嵩まない、軸流ファンやクロスフローファンなどの低圧力型高効率ファンが適用される。気化用ファン56を駆動させるとドレン気化ケース30内は負圧となる。この負圧によって、気化用布53に形成される複数の細孔の一部に塵芥が詰まった時の迂回が確実となると共に、音の発生が防止できる。すなわち、気化用ファン56で発生するムラのある(偏流が生じやすい)正圧の空気を気化用布53に吹き付ける(正圧噴射気化させる)と、気化用布53に剛性がある場合(正圧の空気を当てても動かないように確実に保持されている場合)には風切音が発生し、気化用布53に剛性がない場合(確実に保持されていない場合)には気化用布53が風にあおられ、バタツキ音が生じる。本願ではムラのある正圧を用いずに、略均圧である(ムラがない)が故に絶対値の低い負圧を気化に用いる負圧吸引気化(吸出し)とすることで、音の発生を防止すると共に、ドレン気化ケース30のカバーパネル12や収容ケース10とのシール性が容易、かつ、確実なものとなり、さらに気化用布53に形成される複数の細孔の一部に塵芥が詰まった時の迂回も確実なものとなる。
特に、気化用ファン56で発生するムラのある正圧の空気を気化用布53に吹き付け、かつ、流出口32に気化用布53が対向配置していると、気化用布53のバタツキ音が直接流出口32から出る。さらに、気化用ファン56の羽根までもが、流出口32に対向配置していると、羽根の風切り音までもが直接流出口32から出る。本願では、流出口32に気化用布53、気化用ファン56を対向配置させないようにして直接音が流出口32から出ないようにしている。
図4は、収容ケース内における流路を示す図である。図4に示すように、収容ケース10の内部では、燃焼用給気口13から燃焼ケース20の流出口22までに流れる燃焼用空気の燃焼用流路FP1と、ドレン気化用給気口14からドレン気化ケース30の流出口32までに流れるドレン気化用空気のドレン用流路FP2とが互いに交わることなく隔離される。このため、ドレン用流路FP2を流れる空気量に変動があったとしても、当該変動が燃焼用流路FP1に流れる燃焼用空気に影響することが低減され、この結果、燃焼ケース20における燃焼性が安定となる。これに加えて、燃焼ケース20がドレンにより腐食することが低減される。
また、各流出口22,32からドレン気化用排気口15までの流路は、燃焼用流路FP1とドレン用流路FP2との共用流路とされる。燃焼用流路FP1は、流出口22の出口近辺で流路が狭められる。燃焼用流路FP1に流れる燃焼用空気は流路が狭められることで流速を増し、ドレン用流路FP2を流れる気体ドレンと緩く交差してドレン気化用排気口15に至る。この結果、ドレン用流路FP2の流れを燃焼用流路FP1が補助するように、換言すれば、燃焼用流路FP1が出ていく力でドレン用流路FP2の気体ドレンが吸引(巻込み吸引)され、非燃焼時に気化用ファン56で造られる流れの量よりも多くの気体ドレンが排出される。
燃焼用流路FP1に流れを作る燃焼用ファン23は、台風などの時に瞬間的に強い風に対抗して(例えばStrong breezeで、給湯装置1に瞬間的に高い風圧に対抗して)失火等しないように高圧のファンが適用される。この結果、瞬間的に強い風が吹いた時以外の高圧を気体ドレンの吸引に使用できる。瞬間的に強い風が吹いた時には、流出口22から出た排気の一部と、ドレン気化用排気口15から流入する風とが混ざって、流出口32を逆流する場合がある。この逆流空気は、気化用布53を通過してドレン気化用給気口14から収容ケース10の外部に排出される。この逆流時には、排気(例えば湿度100%)にドレン気化用排気口15から流入する風が混ざる(湿度が下がる)ので、気化用布53を通過時にドレン気化(逆流気化)が行われる。すなわち燃焼用ファン23と気化用ファン56を別々(一方を高圧型、他方を低圧型)とし、気化用ファン56を同一風量で送風する場合にも高圧型に比して電気代が安い低圧型とすると共に、流出口22と流出口32を合流させてドレン気化用排気口15とすることで、通常は順方向気化が行われ、瞬間的に強い風が吹いた時には逆流気化が行われることで、ドレン気化を安く、効率良く行うことができる。
気化用ファン56として低圧型ファンを用いる本願の場合、気体ドレンに与える運動エネルギー自体が低い。気体ドレンは約常温で燃焼用流路FP1に流れる排気と比して重いので、燃焼用流路FP1を流れていた燃焼用空気の下に添わせるようにドレン用流路FP2の気体ドレンを略平行に流してドレン気化用排気口15から出しても、気体ドレンは途中で分離して落下してしまう。本願は、運動エネルギーが低い気体ドレンを、あたかも運動エネルギーが高い燃焼用空気(高圧型ファンを用いるので、燃焼用空気の運動エネルギーは高い)で後ろから押して、遠くまで運ぶことで、気体ドレンと燃焼用空気とを遠方拡散することができる。 このため、各流出口22,32からドレン気化用排気口15までの流路が共用流路としている。
さらに、燃焼ケース20内で生じるドレンをドレン気化ケース30に導くドレン受け部27が貫通する燃焼ケース20およびドレン気化ケース30の孔部分は密閉され、当該ドレン受け部27の下流側におけるドレン気化ケース30内では水封部34が形成される。このため、燃焼用ファン23が駆動する場合などにドレン気化ケース30内のドレンが燃焼ケースに20に逆流することが防止される。
図2に示すように、上述の燃焼用ファン23および気化用ファン56は制御器60に接続される。また、上述のドレン補給弁38、ガス開閉弁42、ガス比例弁43および切替弁49も制御器60に接続される。さらに、上述のタンク水位センサ39、給水流量センサ45、給湯サーミスタ47およびトレー水位センサ52も制御器60に接続される。
制御器60は、給水流量センサ45および給湯サーミスタ47などに基づいて燃焼用ファン23、ガス開閉弁42およびガス比例弁43を適宜制御し、給湯配管46に連結される水栓に所定温度の湯を供給する給湯処理を実行する。
すなわち、制御器60は、所定間隔ごとに、給水流量センサ45に基づいて水流値を検出する。また、制御器60は、前回出湯時のガス比例弁43の開度情報、給湯サーミスタ47の出湯温度情報、給水流量センサ45の出湯量情報に基づいて前回の給水温情報を取得し、これを保持する。
制御器60は、給水流量センサ45から水流値を検出すると、ガス開閉弁42を開ける。このとき制御器60は、前回の給水温情報、リモコンに設定され出湯設定温情報、給水流量センサ45からの水流値情報から、リモコンに設定され出湯設定温の湯となるべきガス比例弁43の開度を演算・制御する(フィードフォワード制御)。そして制御器60は、給湯サーミスタ47の出湯温度情報とリモコンに設定され出湯設定温情報が一致する開度でガス比例弁43の開ける(フィードバック制御)とともに、給水温情報を更新する。
さらに制御器60は、バーナ24に供給されるガス量と燃焼ケース20内に供給される大気量(燃焼用空気量)とが所定の関係に保たれるように燃焼用ファン23の単位時間あたりの回転数を制御する。
このようにして制御器60は給湯処理を実行し、水栓の使用があった場合には給湯設定温度の湯を給湯配管46に供給するようになっている。
制御器60は、上述の給湯処理を実行している場合、タンク水位センサ39に基づいて切替弁49を適宜制御し、給水管44から供給される水の流路を切り替える流路切替処理を実行する。この流路切替処理は、図5に示すフローチャートにしたがって実行される。
すなわち制御器60は、図5に示すように、所定間隔ごとにステップSP1に進んで、バーナ24を燃焼させている状態であるか否かを認識する。ここで、バーナ24を燃焼させていない状態である場合、制御器60は、ステップSP1に戻って上述の処理を繰り返す。
これに対して、バーナ24を燃焼させている状態である場合、制御器60は、次のステップSP2に進んで、タンク水位センサ39に基づいて、ドレンタンク水位がタンク許容水位以上であるか否かを認識する。ドレンタンク水位はドレンタンク36内に貯留されるドレンの水位であり、タンク許容水位はドレンタンク36で許容される貯留量に相当する水位として設定される閾値である。
ここで、ドレンタンク水位がタンク許容水位未満である場合、このことは、ドレンタンク36にドレンを貯留し続けても、当該ドレンタンク36からドレンが溢れる可能性が低いことを意味する。この場合、制御器60は、ステップSP3に進む。
制御器60は、ステップSP3では、潜熱熱交換器26を経由せずに顕熱熱交換器25に給水する第2の水路から、当該潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に給水する第1の水路に切替弁49を切り替えた後、ステップSP1に戻る。なお、切替弁49が第1の水路に既に切り替えられた状態にある場合、制御器60は、切替弁49の切替状態を維持し、ステップSP1に戻る。
この状態では、給水管44から供給される水は、当該給水管44の分岐部位から給水管44Aを流れ、潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に流入する。したがって、潜熱熱交換器26ではドレンが発生し、ドレン受け部27、ドレン配管33、水封部34および中和器35を順次介してドレンタンク36にドレンが供給され貯留されることになる。
一方、ドレンタンク水位がタンク許容水位以上である場合、このことは、ドレンタンク36にドレンを貯留し続けると、当該ドレンタンク36からドレンが溢れる可能性が高いことを意味する。この場合、制御器60は、ステップSP4に進む。
制御器60は、ステップSP4では、潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に給水する第1の水路から、当該潜熱熱交換器26を経由せずに顕熱熱交換器25に給水する第2の水路に切替弁49を切り替えた後、ステップSP1に戻る。なお、切替弁49が第2の水路に既に切り替えられた状態にある場合、制御器60は、切替弁49の切替状態を維持し、ステップSP1に戻る。
この状態では、給水管44から供給される水のほとんどは、当該給水管44の分岐部位から主に給水管44Bを流れ、潜熱熱交換器26をほぼ経由することなく顕熱熱交換器25に流入する。したがって、潜熱熱交換器26ではドレンが発生せず、当該ドレンタンク36に貯留されるドレン量が増えることが抑止されることになる。さらに全ての水が潜熱熱交換器26を経由することなく顕熱熱交換器25に流入する場合、潜熱熱交換器26の温度が高くなり、伝熱管26A内の水が沸騰し、伝熱管26Aの詰まりや腐食を引き起こす恐れがあるが、これを防止できる。
このようにして制御器60は流路切替処理を実行し、ドレンタンク36からドレンが溢れる可能性が高い場合には給水管44から供給される水のほとんどを潜熱熱交換器26へ供給することなく顕熱熱交換器25に供給するようになっている。
また制御器60は、トレー水位センサ52に基づいて気化用ファン56およびドレン補給弁38を適宜制御し、ドレンを気化させるドレン気化処理を実行する。このドレン気化処理は、図6に示すフローチャートにしたがって実行される。
すなわち制御器60は、図6に示すように、所定間隔ごとにステップSP11に進んで、トレー水位センサ52に基づいて、ドレントレー51の水位がトレー許容水位以下であるか否かを認識する。ドレントレー水位はドレントレー51内に貯留されるドレンの水位であり、トレー許容水位はドレントレー51に許容される貯留量に相当する水位として設定される閾値である。
ここで、ドレントレー51の水位が許容水位以下でない場合、制御器60は、ステップSP16に進んで気化用ファン56を駆動し、ステップSP11に戻る。
気化用ファン56が駆動された場合、収容ケース10のドレン気化用給気口14からドレン気化ケース30の流入口31を介して気化用布53にドレン気化用空気が送り込まれ、当該ドレン気化用空気によって気化用布53に浸透しているドレンが気化する。このため、気化したドレン量だけドレントレー51から気化用布53にドレンが再び浸透し、当該ドレントレー51に貯留されるドレン量が減少することになる。
一方、ドレントレー51の水位が許容水位以下である場合、制御器60は、ステップSP12に進んで前回開けたドレン補給弁38を閉じた以降にバーナ24が燃焼されているか否かを認識し、バーナ24が燃焼されていない場合、ステップSP11に戻る。
また、バーナ24が燃焼されている場合、制御器60は、ステップSP13に進んでドレン補給弁38を所定期間(例えば30秒)だけ開けて、ドレンタンク36から所定量のドレンをドレントレー51に移行させた後、制御器60は、ステップSP14に進む。
なお、ドレンタンク36が空の場合、ドレンタンク36から所定量のドレンはドレントレー51に移行されない。ステップSP14でドレントレー51が許容水位以下である場合、すなわち、ドレンタンク36がほぼ空である場合、制御器60はステップSP15に進んで、気化用ファン56を停止し、ステップSP11に戻る。
一方、ステップSP14でドレントレー51が許容水位以下でない場合、すなわち、ドレンタンク36がほぼ空でない場合、制御器40は、ステップSP16に進んで気化用ファン56を駆動し、ステップSP11に戻る。
このようにして制御器60はドレン気化処理を実行し、ドレントレー51に貯留されるドレンが過多または過少にならないよう調整しながら、当該ドレンを気化させるようになっている。このような調整はカーボンブラック等によって水位を誤検出しないような構造を用いているトレー水位センサ52の信号に委ねられているが、長期不在等で給湯装置の通電が停止され、給湯装置の周囲に吹く乾燥した微風によってドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力とドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力が、一方が正圧となり他方が負圧となるがごとく、大きな差が生じると、気化用ファン56が動作していないにも拘わらず、あたかも気化用ファン56が動作しているがごとく空気が流れ、もって、ドレン中に含まれる硝酸(HNO3)成分が五酸化二窒素(N2O5:吸湿性を持つ通称無水硝酸)に変わる場合があり、微風であるが故に周囲に漂う可能性が高くなる。
特許文献1の気化処理システムの第一実施形態(例えば特許文献1の図3)では、気化装置の筺体側面一端側に給排気口の一方が設けられ、他端側に給排気口の他方が設けられているため、当該気化装置に向かって吹く風が気化装置の筺体側面(送風入口又は送風出口)に当たる場合には、給排気口の一方が正圧となり、給排気口の他方が負圧となることで、気化用ファン非駆動時であっても気化装置内を空気(風)が流れる。このため、気化装置内のドレンは気化用ファン非駆動時であっても気化が進む。同様に第二実施形態(例えば特許文献1の図9)でも、風が略斜め下から吹き上げてくると、送風ファンやヒータが収められている収納ケースの給気側が正圧となり、収納ケースの風下に当たる送風出口付近(送風出口の中央部分)が負圧となるがために気化用ファン非駆動時であっても気化装置内を空気(風)が流れる(本願の受圧片RP相当がない為に(収納ケースの風下に当たる送風出口付近が40%もの面積を占める為に、大面積を占める)負圧帯を生じ、気化用ファン非駆動時であっても空気(風)が流れる。受圧片RPを用いた、同圧化に必要な有効面積が取れていない為に空気が流れる)。
気化用布53が通気抵抗となる気化装置を用いる場合(負圧吸引気化とする場合。負圧吸引しても気化用布53が通気抵抗となるが、この場合)には、微風時においてドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力が、一方が正圧、他方が負圧のように極端な差圧が発生しない限り気化装置内を空気が流れない点に着目し、本願においては、ドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力が、両方が正圧、又は両方が負圧となる(ドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15の圧力がバランスする)ように受圧片RPを設けて微風対策を行っている(微風時(Light air以下)ならば奥行きが1cm程度のフランジFRで受圧片RPの役割を果たすことができる。奥行きが1cm程度=カバーパネル端部から開口までの距離)。換言すれば、微風時に両方が正圧、又は両方が負圧時に気化装置内を空気が流れず、一方が正圧、他方が負圧のように極端な差圧が発生した場合に気化装置内を空気が流れるためには、気化用布53が通気抵抗(双方向共に通気抵抗)となる必要があり、気化用布53周囲から空気が迂回できるような構造(双方向共に通気抵抗とならない構造)においては、一方が正圧、他方が負圧のように極端な差圧が発生した場合にのみ気化装置内を空気が流れるようにはならない。従って受圧片RPは、気化用布53でドレン用流路FP2を全面覆い、通気抵抗となる構造において特に有効となる。
気化用布53が通気抵抗となる為には、送風(通気)通路すべてが気化用布53等で仕切られている必要があり、気化用ファン56によって負圧吸引気化させる為には、気化用布53を迂回する空気通路があってはならない。気化用布53を迂回する空気通路があっても気化できるのは正圧噴射気化方式(気化用布53にファン等からの空気を押しあてる気化方式)となる。
本実施形態においては、風が吹いている時以外にも気化装置内に空気が流れる場合をも想定して対策を行っている。例えば本実施形態においてドレン気化ケース30と燃焼ケース20はお互いにほぼ気密を保っており、相互に空気の移動がなく、燃焼用ファン23と気化用ファン56を個別に持っている。この結果、気化用布53にたとえば五酸化二窒素のような腐食成分が付着していても、燃焼開始時に動き始める燃焼用ファン23の吸気圧によって、腐食性ガスがドレン気化ケース30から漏れて燃焼ケース20内に侵入し、ガス通路等を構成している金属を腐食させてガス漏れなどが発生する事態を確実に回避できるようにしている。例えば上述の対策として、専用ケースを用いることなく、正圧噴射気化を用い、専用のファン2ヶを用いると共に、燃焼用ファン23と気化用ファン56を連動させることで腐食性ガスの燃焼ケース20内侵入を防止できるが、気化用ファン56は気化用布53に付着する塵芥(通気抵抗)に応じてもコントロールしなければ燃焼ケース20内に腐食性ガスが侵入してしまう。従って風速センサ等を使用しないと実質上コントロール不可であることから、本実施形態の構造に至っている。
さらに本実施形態は、微風時にドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力が、両方が正圧、又は両方が負圧であるがごとく連動する構造としているが、燃焼用給気口13も同じく連動するようにしている。詳述すると、気化用ファンの運転は就寝時間帯となる可能性が高いので、微風で運転を行う方が好ましい。この時、ドレン気化用給気口14から排出されても、燃焼用給気口13が負圧であれば、腐食性ガス(例えばSOx)が燃焼ケース20内に侵入してしまう為である。
さらに本実施形態は、気化用布53には毛細管現象によりドレンが浸透するようにしている(非水膜形成毛細管浸透方式)。滴下方式だと滴下量によっては気化用布53に形成される複数の細孔の一部がドレンで詰まったような状態となり、通気抵抗が変わるからである。例えば、通気抵抗が変化しているにも拘わらず正圧噴射気化方式で送風すると、場合によっては再循環(気化用布53の細孔に詰まった(水膜となった)ドレン=硝酸が風圧で飛び散り、再度気化用ファン56に吸い込まれる現象)が発生し、場合によっては燃焼用ファン23の吸気圧によって、ドレン細粒が燃焼ケース20内に侵入する場合もありうる(流出口32に気化用布53が対向配置していると、飛び散った硝酸が給湯装置1の前を歩いている人に降りかかる。ドレンを中和していれば硝酸が飛び散るのを防止できるが、代わりに白い粉が周囲に飛び散る)。この場合には、燃焼ケース20が腐食する可能性が生じてしまう。通気抵抗変化以外にも抵抗が変わって再循環する場合は、例えば瞬間的に強い風が吹いた場合などもある(風によって通気抵抗が変化し再循環しているとも言える)。EGR(再循環)による送風ロスを防止するためにも本実施形態は燃焼ケース20とドレン気化ケース30とを高いシール性をもって仕切っている。
ところで、本実施形態のような給湯装置1は、戸建ての場合には建物の北側に設置される場合が多いが、逆に言うと、隣家の南側の庭に面することとなる。ドレン気化用給気口14から落葉等異物を吸い込み、気化用布53の表面に付着する場合、落葉等異物の一端が気化用布53の表面に付着し、他端がドレン気化用給気口14の開口端部に引っかかったままの場合がある。滴下方式だと気化用布53に付着するカーボンブラック等の微細な汚れを洗い流すことができるが、前記落葉等異物が気化用布53に付着していた場合、滴下したドレンが落葉等の異物を伝ってドレン気化用給気口14に至る場合がある、給湯装置製造時に板金を塗装する場合には、端部が表面張力の関係で塗装がのりにくく、塗膜厚が薄く錆びやすい。ドレン気化用給気口14等給気口は、雨返しの為に、切り起こしやバーリング処理を行った開口端部であるので、滴下したドレンの付着が継続的に行われ、錆びが目立つ場合があるが、毛細管現象によりドレンが浸透するようにすれば、前記錆びの問題は解決できる。
次に受圧片RPについて詳述する。風が建物等に当たると、風が当った側では風がせきとめられるために気圧が高くなり反対側では逆に空気が吸引されるので気圧が低くなる。これを風圧帯と呼ぶ(図9A及び図9B参照)。ちょうど光を当てて明るくなる側が正圧の風圧帯、影が負圧の風圧帯となる。光が直進するのに対し、風は建物等を回り込むので、建物角部において、光を当てた場合に明るくなる面と風の正圧風圧帯とではθの誤差を生じる。つまり、正圧の風圧帯は構造物の角部分から少し内側に入らないと生じない。換言すれば、前後左右、すなわち全周に渡って受圧する部分を設けると正圧の風圧帯が作られる。本実施形態においては、正圧の風圧帯としたい燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15の周囲全周に正圧の風圧帯を作る為の受圧片RPを設けている。
次に燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15に関する受圧片RPについて詳述する。カバーパネル12の正面に燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15が開口しており、前記開口の周囲はカバーパネル12の正面であり、正面が受圧片RPの役割を果たす。図10Aに受圧片RPで作られる正面風の時の正圧の風圧帯を一点鎖線で囲んで示す。ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15周囲は正面風により略同じ正圧の風圧帯であれば、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15周囲の圧力がバランスすることでドレン気化ケース30内に空気は流れない。ちょうどパスカルの原理で密閉した容器の一端に圧力を加えると、その圧力は、同じ大きさの圧力のまま他端に伝わるので、他端側にも圧力を加えるとバランスするのと同じである(図10B参照。なお、図中の波線はパスカルの原理等で示す水面を示す)。ところで、本実施形態においてドレン気化用排気口15はドレン気化用給気口14よりも少し奥まった所にある(なお正確には、流出口32と流出口22が連通している。図10C参照)。このような場合に流出口22の圧力が低いと(後述の他端側燃焼用給気口13の圧力が低いと)バランスしない。容器の一端に圧力を加えても、他端側に穴(流出口22の圧力が低いという穴)が空いていれば水が漏れるのと同じである。すなわちドレン気化用排気口15(流出口22)を一端とする、他端側の燃焼用給気口13の影響を受けるが、後述のように燃焼用給気口13もまた正面風で正圧の風圧帯を示すように受圧片RPを設けてバランスさせている(図10D参照)。なお、燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15の周囲に正面風で正圧の風圧帯を示すように受圧片を設ければ、微風時において燃焼用給気口13、ドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15付近の圧力が、一方が正圧、他方が負圧のように極端な差圧が発生せずにバランスし、気化用ファン56の作る低圧風で、ドレン気化用空気により気化されたドレンを排出できる。
次に燃焼用給気口13に関する受圧片RPについて詳述する。燃焼用給気口13はカバーパネル12の左右方向周囲に設けられ(図11A参照)、その外側にフランジFRが設けられ、受圧片RPの役割を果たし、正面風で正圧の風圧帯を示すようにしている(図11B参照)。フランジFRの上部2か所と下部2か所の計4か所でボルトを用いてケース本体11の所定部位に固定される。図11Bと図11Cにて、燃焼用給気口13での断面とドレン気化用排気口15での断面を示す。図に示される通り、正面風に対し給排気口周囲の圧力が正圧でバランスしていることが判る。
次に横風での影響を詳述する。カバーパネル12は図11Aに示すように2重となっており、燃焼用給気口13からの燃焼用流路FP1を燃焼用給気が通る。燃焼用給気口13に横風が当たると図11Dに示すように燃焼用給気口13の一方が正圧となり、他方が負圧となって、あたかも高気圧から低気圧に風が吹くように正圧風圧帯から負圧風圧帯にカバーパネル12の2重パネル内を空気が流れる。この流れによって燃焼用流路出口17では負圧となる。同様にドレン気化用排気口15でも負圧となる(図11E参照)。この結果、本実施形態の構成の場合、横風の場合でも正面風とおなじように給排気口周囲の圧力がバランスし、燃焼ケース20内、ドレン気化ケース30内共に流れを生じず、燃焼用ファン23、気化用ファン56の駆動でのみ流れが生じるようになっている。なお、図11では、一点鎖線で囲まれる部分が正圧の風圧帯として示され、二点鎖線で囲まれる部分が負の圧の風圧帯として示されている。
なお、長期不在等で給湯装置の通電が停止され、ドレン中に含まれる硝酸(HNO3)成分が五酸化二窒素(N2O5:吸湿性を持つ通称無水硝酸)に変わった状態で給湯が開始されると、ドレンが発生してドレン気化ケース30内の五酸化二窒素が硝酸水溶液に変わるまでの間に流出口22の排気吸引によって流出口32から五酸化二窒素が吸い出される場合がある。本実施形態では流出口22から出る排気(湿度100%)と、流出口32から出る五酸化二窒素を含む気体を緩く交差させることで、五酸化二窒素を排気中水分と十分攪拌させて反応(五酸化二窒素+水分→硝酸)させ、顕熱熱交換器25から出てきた硝酸成分を含む排気ガスと同一成分に戻させ(燃焼用ファン23の風量で希釈されるので硝酸成分の濃度は低濃度)、かつ、遠方拡散させるので、周囲腐食等の問題を回避することができる(潜熱熱交換器26を持たない従来型の給湯器と略同じ排気成分と略同じ濃度とする事で問題が発生しない)。前述のようにドレン気化ケース30内の五酸化二窒素が流出する他の例について詳述する。上述したように、給湯装置1は、PSに設置される場合と、例えばベランダの壁や、戸建て住宅の壁に壁掛け設置される場合がある。長期不使用時(五酸化二窒素発生時)に台風などの強風にあおられると、フランジが受圧片RPの役割を果たさない設置がある。給湯装置1がPSに設置される場合には、カバーパネル12の正面に開口するドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15、燃焼用給気口13、カバーパネル12のフランジFR、壁面が略同一平面となっているので(換言すれば、壁面が巨大な受圧片RPとなっているので)、カバーパネル12の正面に対し、正面から風が吹き付ける場合には図12Aに示す通り全ての開口が正圧となる。一方、横から風が吹き抜ける場合には全ての開口が負圧となるので、五酸化二窒素が漏れ出るおそれがない(そもそも、強風下なので漏れても希釈されてしまうので問題が発生しない)。ところが、給湯装置1が壁掛け設置される場合に正面から風が吹き付ける場合には、図12Bに示す通りドレン気化用給気口14、ドレン気化用排気口15が正圧になる。これに対し、カバーパネル12のフランジFRに開口のある燃焼用給気口13が負圧となる場合がある(換言すれば、受圧片RPの奥行きが小さすぎる)。このような場合には、五酸化二窒素が漏れる場合があるが、強風下なので漏れても希釈されてしまうので問題が発生しない。
ところで、気化用布53に浸透しているドレンがドレン気化ケース30の流入口31を介して送り込まれるドレン気化用空気により気化される場合、その気化量は湿度の高低に応じて相違する。このため、本実施形態では、単位時間あたりの水位の変化量に基づいて気化用ファンの単位時間あたりの回転数が可変される。
すなわち、制御器60の内部メモリには、単位時間あたりの水位の変化量と湿度との関係を示す水位湿度関係データが記憶される。制御器60は、トレー水位センサ52に基づいて単位時間あたりの水位の変化量を取得し、その取得した変化量と、内部メモリに記憶される水位湿度関係データとに基づいて湿度を推定する。そして制御器60は、上述のステップSP12において気化用ファン56を駆動する場合、湿度が高いほど気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が大きくなるように気化用ファン56を制御する。例えば、給湯装置1の設置場所における平均湿度のときには基準として設定される基準回転数が選択され、当該平均湿度からの高低の程度に応じて基準回転数が増減される。
したがって、湿度が高いほど気化用布53に送り込まれるドレン気化用空気の風量および風速が高まり、当該湿度に起因する気化量の増減が低減される。
ところで、本実施形態の給湯装置1では、ドレン用流路FP2の出入口となるドレン気化用給気口14およびドレン気化用排気口15が、ケース本体11の後方壁11Aとは逆の前方側に配置される前方パネルのカバーパネル12の正面に開口される。
このため、ドレン気化用給気口14およびドレン気化用排気口15は、カバーパネル12の側面に向かってくる風をおおむね受けることなく、当該カバーパネル12の正面に向かってくる風を受ける。
したがって、カバーパネル12の正面に向かってくる風は、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15との双方から入って相殺され、当該風に起因するドレン気化用空気の流れがドレン用流路FP2では生じないことになる。
この結果、風によってドレンが気化することが大幅に低減され、当該風に起因する湿度変化幅はおおむねないに等しくなる。こうして、トレー水位センサ52に基づいて正確な湿度を取得させ得る給湯装置1が提供される。
なお、受圧片RPがあっても微風でない場合には、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15とに受ける風圧が異なるなどによって、風に起因する空気の流れがドレン用流路FP2に生じて湿度が変化する場合もある。この場合であっても、制御器60が気化用ファンの単位時間あたりの回転数を可変するため、風に起因する気化量の変化を低減することができる。
(2)変形例
上記実施形態が例として説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
上記実施形態では、ドレン気化用給気口14の外形は円形状とされ、当該ドレン気化用給気口14の数は複数とされるとともに、ドレン気化用排気口15の外形は楕円形状とされ、当該ドレン気化用排気口15の数は複数とされた。しかしながら、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15とは、上記実施形態に限らず、様々な外形および数にすることができる。
このようにしても、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15との双方がカバーパネル12に設けられるため、当該給排気口の一方がカバーパネル12に設けられ他方がカバーパネル12以外に設けられている場合に比べて、ドレン気化用給気口14およびドレン気化用排気口15に受ける風圧を近似させることができる。この結果、上記実施形態と同様に、トレー水位センサ52に基づいて正確な湿度を取得させることができる。
さらに、ドレン気化用給気口14が外側パネル12A及び内側パネル12Bの下端部分に設けられ、ドレン気化用排気口15が外側パネル12A及び内側パネル12Bの上端部分に設けられた。しかしながら、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15とは、上記実施形態に限らず、様々な位置に設けることができる。
例えば、図7に示すように、カバーパネル12における外側パネル12Aの枠壁の下端部分にドレン気化用給気口14が設けられていても良い。ドレン気化用給気口14が外側パネル12Aの枠壁の下端部分に設けられた場合、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15との開口方向が相違するので、収容ケース10の前方からくる風はドレン気化用排気口15に直接的に入る一方、ドレン気化用給気口14には直接的に入らないことになる。しかしながら、収容ケース10の前方からくる風はフランジFRにあたってドレン気化用給気口14に導かれ、当該フランジFRが受圧片RPの役割を担うことになるため、外部からドレン気化用給気口14が受ける風圧とドレン気化用排気口15が受ける風圧とは同程度となる。
このように、ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15との一方がカバーパネル12の正面側に開口され、当該ドレン気化用給気口14とドレン気化用排気口15との他方がカバーパネル12の正面側とは異なるカバーパネル部位に開口する場合であっても良い。この場合、カバーパネル12の正面側から来る風の風圧を、当該カバーパネル部位に開口される開口と同じ風圧を受けられるように受圧片RPを有していれば(同一平面、又は受圧片RPを用いて同一平面化できれば、略同一風圧帯とすることができ)、上記実施形態と同様に、トレー水位センサ52に基づいて正確な湿度を取得させることができる。
要するに、ドレン気化用排気口15とドレン気化用給気口14との双方がカバーパネル12に設けられていれば良い。この理由としては、上述したように、給排気口の一方がカバーパネル12に設けられ他方がカバーパネル12以外に設けられている場合に比べて、ドレン気化用給気口14およびドレン気化用排気口15に受ける風圧を近似させることができるからである。
また、ドレン気化用給気口14をカバーパネル12の上段部位を、燃焼用給気口13をカバーパネル12のフランジFRを有する部位(受圧片RPを設けた部位)としたが、逆であってもかまわないし、両方とも上段部位としても、フランジ部位としてもかまわない。
また上記実施形態では、単位時間あたりの水位の変化量に基づいて(湿度を推定し)、気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が可変された。単位時間あたりの回転数を可変することに代えて、もしくは、当該単位時間あたりの回転数を可変することに加えて、ドレンタンク36からドレントレー51に移行させるべきドレン量が可変されても良い。
具体的に制御器60は、例えば、湿度が高いほどドレン補給弁38の開放時間が短くなるようにドレン補給弁38を制御する。このようにすれば、湿度が高くて気化し難い状況になるほどドレントレー51に供給されるドレン量が抑えられるため、ドレントレー51に貯留されるドレンがドレントレー51から溢れることを抑止することができる。
また上記実施形態では、単位時間あたりの水位の変化量に基づいて(湿度を推定し)、気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が可変された。しかしながら、給湯装置1に温度センサを設け、その温度センサから得られる温度と、単位時間あたりの水位の変化量とに基づいて(湿度を推定し)、気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が可変されても良い。
あるいは、燃焼用ファン23が駆動されている場合、当該燃焼用ファン23が駆動されていない場合に比べて、単位時間あたりの水位の変化量に基づいて可変すべき気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が小さくなるように気化用ファン56が制御されても良い。燃焼用ファン23が駆動されている場合に燃焼ケース20内で生じる燃焼熱はドレン気化ケース30に少なからず伝導するため、当該燃焼用ファン23が駆動されていない場合に比べて、気化用布53で気化するドレンの気化量が多くなる傾向にある。したがって、燃焼用ファン23が駆動されている場合に気化用ファン56の送風力を高めなくてもドレン気化がスムーズに行われる。
なお、本実施形態では、燃焼用排気口からの排気は流路が狭められ、排気流速は加速され、かつ、加速された排気と気体ドレンを緩く交差させている。排気が出ていく力で気体ドレンが吸引されるので、気化用ファン56の単位時間あたりの回転数が小さくしても、ドレン気化がスムーズに行われる。この時の交差は、気体ドレンが略水平であるのに対し排気が、やや下方に向かせて行ったが、例えば排気をやや上方に向け、気体ドレンをその角度よりも多く上方に向けることで交差させても良い。流出口22と流出口32を上下方向で並べるのではなく、流出口22と流出口32を左右同じ高さに並べ、一方をやや右方向、他方をやや左方向に流出させて、流出口22と流出口32の堺の前方で緩く交差させるようにしてもかまわない。上述のように気化用ファン56と燃焼用ファン23が作り出す排気口からの空気の流れの角度が異なるので、燃焼用ファンによって送り出される燃焼ガスが、例えば共用廊下やベランダ等で滞留せずに拡散しやすくなる。
また上記実施形態では、ドレンタンク水位がタンク許容水位以上である場合、潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に給水する第1の水路から、当該潜熱熱交換器26を経由せずに顕熱熱交換器25に給水する第2の水路に切替弁49が切り替えられた。また、ドレンタンク水位がタンク許容水位未満である場合、潜熱熱交換器26を経由せずに顕熱熱交換器25に給水する第2の水路から、当該潜熱熱交換器26を経由して顕熱熱交換器25に給水する第1の水路に切替弁49が切り替えられた。
しかしながら、切替弁49の開放量がドレンタンク水位に応じた開放量となるように、切替弁49が切り替えられても良い。
すなわち、制御器60は、ドレンタンク水位が高くなるに応じて第2の水路に流れる水量が多くなるように切替弁49における第2の水路側の開放量を少しずつ大きくし、潜熱熱交換器26をバイパスする水量を増やすことでドレン発生量を減少させる。また制御器60は、ドレンタンク水位がタンク許容水位になると切替弁49における第2の水路側の開放量を最も大きくし、潜熱熱交換器26にてドレンが発生されなくなるようにする。このようにして制御器60が切替弁49を切り替える場合、タンク水位センサ39としては、水面の高さを超音波や光を当てて測定する光電式の水位センサが用いられることが好ましい。光電式の水位センサが用いられれば水面の高さが無段階に検出されるので、当該検出値に基づいて、切替弁49の開放量がドレンタンク水位に応じた開放量となるように、切替弁49を制御器60が切り替えることがより簡易となるからである。
また上記実施形態では、燃焼ケース20の流出口22からドレン気化用排気口15までに流れる燃焼用空気の流路と、ドレン気化ケース30の流出口32からドレン気化用排気口15までに流れるドレン気化用空気の流路とが、燃焼用流路FP1とドレン用流路FP2との共用流路とされた。しかしながら、入口から出口までの全体にわたって、燃焼用流路FP1とドレン用流路FP2とが互いに交わることなく隔離されていても良い。
例えば、流出口22からドレン気化用排気口15までの流路と、流出口32からドレン気化用排気口15までの流路とを仕切る仕切り板が設けられることで実現可能である(排気と気体ドレンが略平行に排出されるのではなく、排気と気体ドレンとがドレン気化用排気口15を出た後で緩く交差していると好ましい)。別例として、ドレン気化用排気口15と燃焼用排気口とが共用される上記実施形態に代えて、当該ドレン気化用排気口15と燃焼用排気口とが分離されることで実現可能である。すなわち、例えば図8に示すように、ケース本体11のうち燃焼ケース20の所定部位に流出口22を設けるとともにケース本体11の外部に燃焼用排気口16を設け、当該流出口22と燃焼用排気口16とが連通するように煙突CYで繋ぐことで実現可能である。この結果、構造的には図10Cではなく、図10Bの状態となり(燃焼用給気口13の圧力は関係なくなるので)、燃焼用給気口13周囲の受圧片RPの有無に関係なく、微風時においてドレン気化用給気口14・ドレン気化用排気口15付近の圧力が、一方が正圧、他方が負圧のように極端な差圧が発生しないようにバランスする。
また上記実施形態では、布固定枠部54Aと支柱54Bとで構成される気化布保持部54によって、ドレントレー51に貯められるドレンに気化用布53の下端部が浸された状態で気化用布53が保持された。しかしながら、ドレンに下端部が浸された状態の気化用布53を保持する保持構造は上記実施形態以外を適用できる。例えば、気化用布53を吊り下げるフックなどの吊下用支持体を収容ケース10の内壁に設け、その吊下用支持体に気化用布53を吊り下げて保持することができる。もちろんこのような例示以外の保持構造が適用されても良い。
また上記実施形態では、ケース本体11の収容空間のうち、当該ケース本体11の後方とされる後方壁11A側に燃焼ケース20が設けられ、その後方壁11Aとは逆の前方側にドレン気化ケース30が設けられた。しかしながら、ケース本体11の収容空間のうち、当該収容空間の開口面を正面としたときに右側(又は左側)に燃焼ケース20が設けられ、当該左側(又は右側)にドレン気化ケース30が設けられていても良い。要するに、ドレン気化ケース30の少なくとも一部がカバーパネル12の背面に対向され、当該対向されるカバーパネル12部分にドレン気化用給気口14およびドレン気化用排気口15が設けられていれば良い。
また、ドレンタンク36内に複数の仕切を設け、ドレントレー51のほうに中和剤(炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等)がもれでないようにドレンタンク36内に中和剤を充填しても良い。この結果、中和剤が無くなるまでは確実に周囲腐食を防止でき、中和剤が無くなっても周囲腐食を防止できるので、中和剤の管理が不要となる。
またさらに、ドレンタンク36内に複数の部屋を設け、第一の部屋にまずのドレン配管33からのドレンを導入し、第一の部屋がドレンで満水となったならば第二の部屋にドレンをいれるようにしても良い。第二の部屋には上述のように仕切を設け、ドレントレー51のほうに中和剤(酸化マグネシウム等)がもれでないように第二の部屋内に中和剤を充填し、第一の部屋には未処理(酸性の強い)ドレンを貯め、両方の部屋からドレントレー51のほうにドレンを流せるように、両方の部屋にドレン補給弁38をそれぞれもうけるようにしても良い。例えば自動注湯時等、気化が進む場合には第一の部屋から未処理のドレンを送り込んで気化用布53等を強酸性で殺菌し、深夜等、給湯器が設置されている周囲に人等の往来が少ない時間帯では、第二の部屋から処理済みのドレンを送り込んで気化させるようにしても良い。この結果、定期的に強酸性ドレンで気化系を殺菌でき、かつ、中和剤の搭載量も少なくすることができる。
なお、給湯装置1の各構成要素は、上記実施形態若しくは変形例に示された内容以外に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲内において、適宜、省略、変更、周知技術の付加などできる。