次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置を説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置を示す全体構成図である。この図1に示すように、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して金属製のモジュールケース8が内蔵されている。この密閉空間であるモジュールケース8の下方部分である発電室10には、燃料ガスと酸化剤ガス(以下では適宜「発電用空気」又は「空気」と呼ぶ。)とにより発電反応を行う燃料電池セル集合体12が配置されている。この燃料電池セル集合体12は、9個の燃料電池セルスタック14(図7参照)を備え、この燃料電池セルスタック14は、各々が燃料電池セルを含む、16本の燃料電池セルユニット16(図6参照)から構成されている。この例では、燃料電池セル集合体12は、144本の燃料電池セルユニット16を有する。燃料電池セル集合体12は、複数の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されている。
燃料電池モジュール2のモジュールケース8の発電室10の上方には、燃焼部としていの燃焼室18が形成され、この燃焼室18で、発電反応に使用されなかった残余の燃料ガスと残余の空気とが燃焼し、排気ガス(言い換えると燃焼ガス)を生成するようになっている。さらに、モジュールケース8は断熱材7により覆われており、燃料電池モジュール2内部の熱が、外気へ発散するのを抑制している。また、この燃焼室18の上方には、燃料ガスを改質する改質器20が配置され、上記した残余ガスの燃焼熱によって改質器20を改質反応が可能な温度となるように加熱している。
さらに、ハウジング6内においてモジュールケース8の上方には、後述する熱交換器(空気熱交換器)23及び蒸発器25(図2等参照)を含む熱交換モジュール21が断熱材7内に設けられている。熱交換器23は、燃焼室18において残余ガスの燃焼により発生した排気ガスと発電用空気とが供給され、これらの排気ガスと発電用空気との間で熱交換を行うことによって発電用空気を加熱し、この発電用空気をモジュールケース8内の燃料電池セル集合体12に供給する。蒸発器25は、燃焼室18において残余ガスの燃焼により発生した排気ガスと水とが供給され、これらの排気ガスと水との間で熱交換を行うことによって、水を蒸発させて水蒸気を生成し、この水蒸気と原燃料ガスとの混合ガス(以下では「燃料ガス」と呼ぶこともある。)をモジュールケース8内の改質器20に供給する。
次に、補機ユニット4は、燃料電池モジュール2からの排気中に含まれる水分を結露させた水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この貯水タンクから供給される水の流量を調整する水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された燃料を遮断するガス遮断弁32と、燃料ガスから硫黄を除去するための脱硫器36と、燃料ガスの流量を調整する燃料流量調整ユニット38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)と、電源喪失時において、燃料流量調整ユニット38から流出する燃料ガスを遮断するバルブ39を備えている。さらに、補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気を遮断する電磁弁42と、空気の流量を調整する改質用空気流量調整ユニット44及び発電用空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)と、改質器20に供給される改質用空気を加熱する第1ヒータ46と、発電室に供給される発電用空気を加熱する第2ヒータ48とを備えている。これらの第1ヒータ46と第2ヒータ48は、起動時の昇温を効率よく行うために設けられているが、省略しても良い。
次に、燃料電池モジュール2には、排気ガスが供給される温水製造装置50が接続されている。この温水製造装置50には、水供給源24から水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。また、燃料電池モジュール2には、燃料ガスの供給量等を制御するための制御ボックス52が取り付けられている。さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュールにより発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
次に、図2乃至図4を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について具体的に説明する。図2は、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図であり、図4は、ハウジング及び断熱材が取り外された状態の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
図2及び図3に示すように、燃料電池モジュール2は、主に、上述したように、断熱材7内で且つモジュールケース8の外部に設けられた熱交換モジュール21を有すると共に、モジュールケース8の内部に設けられた、燃料電池セル集合体12及び改質器20を有する。
熱交換モジュール21は、水平方向に並べて配置された熱交換器23及び蒸発器25を有する。この熱交換モジュール21は、熱交換器23と蒸発器25とが一体的に構成され、モジュールケース8の天板8a上に固定されている(図4参照)。また、熱交換モジュール21とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置され、この断熱材7の一部分7aも、モジュールケース8の天板8a上に固定されている(図2及び図3参照)。
次に、熱交換モジュール21が有する熱交換器23は、水平方向における一側端側に、発電用空気導入管74が接続され(図4参照)、水平方向における他側端側に、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口11に連結された第1排気通路71が接続されている(図2参照)。この排気口11は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8内の改質器20の水平方向における一側端側に対応する、モジュールケース8の天板8a上の位置に形成され、熱交換器23は、このような排気口11の上方の断熱材7内に配置されている。
また、熱交換器23は、図2に示すように、上下方向に二層構造となっており、モジュールケース8側に位置する下層部分には、上記した第1排気通路71から供給された排気ガスが通過する排気通路部23cが形成され、この排気通路部23cの上部に位置する上層部分には、発電用空気導入管74から供給された発電用空気が通過する発電用空気通路部23a(酸化剤ガス通路部に対応する)が形成されている。これらの発電用空気通路部23a及び排気通路部23cの内部には、それぞれ、熱交換促進部材としての板状のオフセットフィン23b、23dが設けられている(図2参照)。オフセットフィン23b、23dは、それぞれ、発電用空気通路部23a及び排気通路部23cを通過するガスの進行方向に沿って水平方向に延びており、また、水平方向におけるほぼ同一箇所に設けられている。
このような熱交換器23では、発電用空気通路部23aを通過する発電用空気と排気通路部23cを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ(特にオフセットフィン23b、23dが設けられた発電用空気通路部23a及び排気通路部23cの部分において効率的な熱交換が行われる)、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
更に、熱交換器23の発電用空気通路部23aには、第1排気通路71が接続された熱交換器23における端部に、この第1排気通路71の内部を通過するように形成された発電用空気供給管76が接続されている(図2参照)。この発電用空気供給管76は、モジュールケース8の側板8bに沿って設けられた、酸化剤ガス供給通路としての発電用空気供給通路77に連結されている(図3参照)。発電用空気供給通路77は、モジュールケース8の側板8bと、この側板8bに沿って上下方向に延びるように配置された発電用空気供給ケース77aとの間の空間によって形成される(図3及び図4参照)。発電用空気供給通路77は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口77bから、発電用空気を燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射する。
なお、より詳しくは、発電用空気供給通路77は、モジュールケース8の側板8bの一の面及び当該面に対向する面のそれぞれに対して設けられている、つまり二つの発電用空気供給通路77が存在している。
次に、熱交換モジュール21が有する蒸発器25は、図2に示すように、上記した熱交換器23と水平方向に並んで配置されると共に、排気ガスの流れ方向において熱交換器23よりも下流側に配置されている。より具体的には、蒸発器25は、モジュールケース8の天板8aにおいて排気口11が設けられた一側端側と反対の他側端側に対応する、モジュールケース8内の改質器20に混合ガスが流入する入口側における上方の断熱材7内に配置されている。
また、蒸発器25は、水平方向における一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82とが接続され(図4参照)、水平方向における他側端側に、熱交換器23の排気通路部23cが連通されている(図2参照)。具体的には、蒸発器25は、図2に示すように、上下方向に二層構造となっており、モジュールケース8側に位置する下層部分に、熱交換器23の排気通路部23cと連通するように、この排気通路部23cと水平方向に並んで配置され、排気通路部23cから供給された排気ガス(つまり熱交換器23の排気通路部23cにおいて熱交換が行われた後の排気ガス)が通過する排気通路部25cが形成されている。加えて、蒸発器25は、この排気通路部25cの上部に位置する上層部分に、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部25aと、この蒸発部25aよりも排気ガスの流れ方向における上流側に設けられ、蒸発部25aで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部25bと、が形成されている。例えば、蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bは、複数の連通孔が設けられた仕切り板により蒸発器25を仕切った空間にて形成される。
このような蒸発器25では、蒸発部25a内の水と排気通路部25cを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部25a内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。加えて、混合部25b内の混合ガスと排気通路部25cを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
なお、上述した熱交換器23の排気通路部23c及び蒸発器25の排気通路部25cは、図4に示すように、上部が開放したほぼU字断面形状を有し、水平方向に延びる熱交換モジュール21のケース21aによって構成されており、このケース21aの開放部を覆うように固定された部材により、熱交換器23の発電用空気通路部23aと、蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bとが構成される。
更に、図2に示すように、蒸発器25の混合部25bには、この混合部25bからモジュールケース8内の改質器20に混合ガスを供給するための混合ガス供給管62が接続されている。混合ガス供給管62は、一端が改質器20に設けられた混合ガス供給口20aに連結しており、この混合ガス供給口20aからほぼ水平方向に延びた先で90°屈曲されて、モジュールケース8内、断熱材7a内、蒸発器25における上流側の排気通路部25c内を順に横断するようにほぼ鉛直方向に延びて、他端が蒸発器25の混合部25bに接続されている。この場合、混合ガス供給管62は、蒸発器25の混合部25bに接続された端部62bが、蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bの底面よりも上方に突出するように設けられている(図12も参照)。
次に、図2及び図3に加えて、図5も参照して、モジュールケース8内に設けられた改質器20について説明する。図5(A)は、本発明の第1実施形態による改質器20を斜め上方から見た斜視図であり、図5(B)は、図5(A)のVB-VB線に沿った断面図であり、図5(C)は、図5(A)のVC-VC線に沿った断面図であり、天板20gが取り除かれた状態の改質器20を示している。なお、図5(A)〜(C)中には、改質器20に加えて、混合ガス供給管62や燃料ガス供給管64なども図示している。
改質器20は、燃焼室18の上方に水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aと所定距離隔てて、この天板8aに対して固定されている(図2及び図3参照)。改質器20には、上記した混合ガス供給管62からの混合ガスが混合ガス供給口20aより流入し、この混合ガスを予熱する予熱部20bと、混合ガスの流れ方向において予熱部20bよりも下流側に設けられ、混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を改質するための改質触媒(不図示)が充填された改質部20cと、が形成されている(図5(B)参照)。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。改質器20の予熱部20b及び改質部20cは、複数の連通孔が設けられた仕切り板20nにより改質器20を仕切った空間にて形成される(図5(C)参照)。ここで、改質器20は、混合ガス供給管62からの混合ガスが混合ガス供給口20aより噴出され、この混合ガスが予熱部20bにおいて拡張されて噴出速度が低下するように構成されていると共に、噴出された混合ガスが予熱部20bの下流端側の壁面20kに衝突して折り返して、仕切り板20nを通過して改質部20cに供給されるように構成されている(図5(B)及び(C)参照)。
また、改質器20には、当該改質器20(詳しくは改質部20cが形成された部分)を上下方向に貫通するように延び、下方の燃焼室18で生成された排気ガスを通過させる貫通孔20dが形成されている(図5(A)及び(B)参照)。この貫通孔20dには、上述した混合ガス供給管62の一部分62a、具体的には、混合ガス供給管62において水平方向に延びる部分であって、その端部が改質器20の混合ガス供給口20aに接続された部分62aが配置されている。この混合ガス供給管62の部分62aも、その内部を通過する混合ガスを、改質器20の貫通孔20dを通過する排気ガスによって予熱する予熱部として機能する(以下では混合ガス供給管62の部分62aを「予熱部62a」と呼ぶ)。
更に、改質器20の貫通孔20dの壁面は、燃焼室18で生成された排気ガスを改質器20の予熱部20b及び混合ガス供給管62の予熱部62aに指向させるような傾斜面20eによって形成されており、この傾斜面20eは、排気ガイド部として機能する(図5(B)参照)。なお、モジュールケース8の内側面上にも、燃焼室18で生成された排気ガスを、改質器20の予熱部20b及び混合ガス供給管62の予熱部62aに指向させる排気ガイド板80が設けられている(図2参照)。これらの貫通孔20dの傾斜面20e及び排気ガイド板80は、排気ガイド部及び排気ガス指向手段の一例に相当する。
更に、改質器20内における上部に形成された空間は、第2排気通路72を構成する(図2及び図3参照)。具体的には、改質器20において予熱部20b及び改質部20cが形成された部分の上面である天板20gと、モジュールケース8の天板8aの下面との間の空間が、第2排気通路72を形成する。より詳しくは、改質器20は、改質器20の天板20gにおける縁端部に、当該天板20gからモジュールケース8の天板8aの下面まで延びる筒状部20hが一体的に形成されており、この筒状部20hが第2排気通路72の外壁を構成する(図5(A)参照)。即ち、改質器20の天板20g及び筒状部20hとモジュールケース8の天板8aとによって囲まれた空間が第2排気通路72を構成する。また、改質器20の筒状部20hの上端部には、改質器20の外方に向かって延びるフランジ部20jが設けられている。加えて、改質器20の筒状部20hには、モジュールケース8の天板8aにおいて排気口11が設けられた一側端側と反対の他側端側に対応する箇所に、複数の切り欠き部20iが形成されており、この切り欠き部20iが、第2排気通路72内に排気ガスを導入する排気ガス導入口を構成する。
ここで、第2排気通路72には、上記した改質器20に形成された貫通孔20dと、改質器20の筒状部20hに形成された切り欠き部20iとから排気ガスが流入する。図3に示すように、モジュールケース8の内側面上には排気ガイド板81が設けられており、改質器20の貫通孔20dに流入せずに、予熱部20b及び改質部20cの外側面とモジュールケース8の内側面との間を通過した排気ガスを、第2排気通路72の排気ガス導入口としての改質器20の切り欠き部20iに流入させやすくしている。このようにして改質器20の貫通孔20d及び切り欠き部20iから第2排気通路72に流入した排気ガスは、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口11を介して、上記した第1排気通路71へ排出される(図2参照)。
次に、図2に示すように、改質器20の下流端側には、改質器20の改質部20cによる改質によって生成された燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64の上部には、水添脱硫器用水素取出管65が接続されている。燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に、図6を参照して、燃料電池セルユニット16について説明する。図6は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池の燃料電池セルユニットを示す部分断面図である。
図6に示すように、燃料電池セルユニット16は、燃料電池セル84と、この燃料電池セル84の両端部にそれぞれ接続されたキャップである内側電極端子86とを備えている。
燃料電池セル84は、上下方向に延びる管状構造体であり、内部に燃料ガス流路88を形成する円筒形の内側電極層90と、円筒形の外側電極層92と、内側電極層90と外側電極層92との間にある電解質層94とを備えている。この内側電極層90は、燃料ガスが通過する燃料極であり、(−)極となり、一方、外側電極層92は、空気と接触する空気極であり、(+)極となっている。
燃料電池セル84の上端側と下端側に取り付けられた内側電極端子86は、同一構造であるため、ここでは、上端側に取り付けられた内側電極端子86について具体的に説明する。内側電極層90の上部90aは、電解質層94と外側電極層92に対して露出された外周面90bと上端面90cとを備えている。内側電極端子86は、導電性のシール材96を介して内側電極層90の外周面90bと接続され、さらに、内側電極層90の上端面90cとは直接接触することにより、内側電極層90と電気的に接続されている。内側電極端子86の中心部には、内側電極層90の燃料ガス流路88と連通する燃料ガス流路細管98が形成されている。
この燃料ガス流路細管98は、内側電極端子86の中心から燃料電池セル84の軸線方向に延びるように設けられた細長い細管である。このため、マニホールド66(図2参照)から、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃料ガス流路88に流入する燃料ガスの流れには、所定の圧力損失が発生する。従って、下側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流入側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。また、燃料ガス流路88から、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98を通って燃焼室18(図2参照)に流出する燃料ガスの流れにも所定の圧力損失が発生する。従って、上側の内側電極端子86の燃料ガス流路細管98は、流出側流路抵抗部として作用し、その流路抵抗は所定の値となるように設定されている。
内側電極層90は、例えば、Niと、CaやY、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニアとの混合体、Niと、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリアとの混合体、Niと、Sr、Mg、Co、Fe、Cuから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレードとの混合体、の少なくとも一種から形成される。
電解質層94は、例えば、Y、Sc等の希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたジルコニア、希土類元素から選ばれる少なくとも一種をドープしたセリア、Sr、Mgから選ばれる少なくとも一種をドープしたランタンガレート、の少なくとも一種から形成される。
外側電極層92は、例えば、Sr、Caから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンマンガナイト、Sr、Co、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンフェライト、Sr、Fe、Ni、Cuから選ばれた少なくとも一種をドープしたランタンコバルタイト、銀、などの少なくとも一種から形成される。
次に、図7を参照して、燃料電池セルスタック14について説明する。図7は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池の燃料電池セルスタックを示す斜視図である。
図7に示すように、燃料電池セルスタック14は、16本の燃料電池セルユニット16を備え、これらの燃料電池セルユニット16は、8本ずつ2列に並べて配置されている。
各燃料電池セルユニット16は、下端側がセラミック製の長方形の下支持板68(図2参照)により支持され、上端側は、両端部の燃料電池セルユニット16が4本ずつ、概ね正方形の2枚の上支持板100により支持されている。これらの下支持板68及び上支持板100には、内側電極端子86が貫通可能な貫通穴がそれぞれ形成されている。
さらに、燃料電池セルユニット16には、集電体102及び外部端子104が取り付けられている。この集電体102は、燃料極である内側電極層90に取り付けられた内側電極端子86と電気的に接続される燃料極用接続部102aと、空気極である外側電極層92の外周面と電気的に接続される空気極用接続部102bとを接続するように一体的に形成されている。また、各燃料電池セルユニット16の外側電極層92(空気極)の外表面全体には、空気極側の電極として、銀製の薄膜が形成されている。この薄膜の表面に空気極用接続部102bが接触することにより、集電体102は空気極全体と電気的に接続される。
さらに、燃料電池セルスタック14の端(図7では左端の奥側)に位置する燃料電池セルユニット16の空気極86には、2つの外部端子104がそれぞれ接続されている。これらの外部端子104は、隣接する燃料電池セルスタック14の端にある燃料電池セルユニット16の内側電極端子86に接続され、上述したように、160本の燃料電池セルユニット16の全てが直列接続されるようになっている。
次に、図8を参照して、モジュールケース8の天板8aにおける改質器20の支持構造について説明する。図8は、本発明の第1実施形態による改質器20及びモジュールケース8の天板8aの一部分の外形を示す概略断面図である。
図8に示すように、改質器20は、その上部の筒状部20hにおける上端部に形成されたフランジ部20jが(図5も参照)、モジュールケース8の天板8aの下面に設けられた支持部8dに係合されることで、モジュールケース8の天板8aによって支持される。改質器20のフランジ部20jは係合部に相当し、モジュールケース8の天板8aの支持部8dは被係合部に相当する。このような改質器20のフランジ部20jをモジュールケース8の天板8aの支持部8dに係合して、改質器20をモジュールケース8の天板8aに取り付けることにより、改質器20とモジュールケース8の天板8aとの間での排気ガスの通過を遮蔽しつつ、改質器20がモジュールケース8の天板8aに対して水平方向に摺動可能に支持されることとなる。この場合、改質器20がモジュールケース8の天板8aに対して水平方向に摺動可能であるため、改質器20及び混合ガス供給管62の熱膨張を水平方向に吸収できるようになる。
このようにモジュールケース8の天板8aにおける改質器20の支持構造によって、改質器20及び混合ガス供給管62の熱膨張を吸収することに限定はされず、当該支持構造に加えて、又は当該支持構造の代わりに、混合ガス供給管62を熱膨張を吸収可能なように構成してもよい。これについて、図9を参照して具体的に説明する。
図9は、本発明の第1実施形態による、熱膨張を吸収可能なように構成された混合ガス供給管62の一部分の概略断面図である。図9に示すように、混合ガス供給管62において水平方向に延びる部分、即ち改質器20の貫通孔20d内に位置する混合ガス供給管62の部分には(図5(B)も参照)、熱膨張差を水平方向に吸収可能な蛇腹管62cが適用されている。
なお、従来の固体酸化物型燃料電池装置では、改質器の下部に設けた支持部材で、この改質器を下方から支持していた。このような従来の固体酸化物型燃料電池装置では、改質器を下方から支持する支持部材を、燃料電池セルユニット16の熱を反射させる反射板として利用して、複数の燃料電池セルユニット16の各々に対する周囲からの熱の反射が均等になるようにしていた。具体的には、複数の燃料電池セルユニット16の各々に対する周囲からの熱の反射が均等になるように、改質器を支持する支持部材に対して凹凸面を形成していた。
これに対して、本実施形態では、上述したように、改質器20をモジュールケース8の天板8aに固定し、改質器20を上方から支持している、つまり改質器20をつり下げている(図8参照)。このような本実施形態による構成では、従来の固体酸化物型燃料電池装置のように、改質器20を支持する部材を反射板として利用することができない。そのため、本実施形態では、複数の燃料電池セル16の各々に対する周囲からの熱の反射が均等になるように、モジュールケース8の側板8bを形成するとよい。具体的には、図4に示すように、水添脱硫器用水素取出管65の下方に接続された燃料ガス供給管64(この燃料ガス供給管64は燃料電池セルユニット16に向けて熱を反射する部材として働く)が近傍に位置する燃料電池セルユニット16と、燃料ガス供給管64が近傍に位置しない燃料電池セルユニット16とで、燃料電池セルユニット16と周囲の部材との熱的な距離(つまり熱を反射する部材との距離)が等しくなるように、燃料ガス供給管64が近傍に位置しない燃料電池セルユニット16に対向するモジュールケース8の側板8bについて、燃料電池セルユニット16側に突出するような凸部8cを形成するとよい。つまり、燃料ガス供給管64が近傍に位置しない燃料電池セルユニット16に対向する側板8bが、燃料ガス供給管64が近傍に位置する燃料電池セルユニット16に対向する側板8bよりも内方に位置するように、モジュールケース8の側板8bを構成するとよい。
次に、図10及び図11を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図10は、図2と同様の、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図11は、図3と同様の、図2のIII-III線に沿った断面図である。図10及び図11は、それぞれ、図2及び図3中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。
図10に示すように、発電用空気は、熱交換器23の水平方向における一側端側に接続された発電用空気導入管74(図4参照)から熱交換器23内に流入し、熱交換器23の上層に設けられた発電用空気通路部23a内を水平方向における他側端側に向けて流れていく。この際に、発電用空気通路部23a内を流れる発電用空気は、熱交換器23の下層に設けられた排気通路部23c内を流れる排気ガスとの間で熱交換を行い(特にオフセットフィン23b、23dが設けられた発電用空気通路部23a及び排気通路部23cの部分において効率的な熱交換が行われる)、排気ガスの熱により発電用空気が加熱される。こうして排気ガスにより加熱された発電用空気は、熱交換器23の水平方向における他側端側(発電用空気導入管74が接続された側と反対側)に接続された発電用空気供給管76を流れて、図11に示すように、モジュールケース8の側板8bに沿って設けられた発電用空気供給通路77を流れて、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口77bから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。
他方で、図10に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)が、蒸発器25の水平方向における一側端側に接続された燃料供給配管63(図4参照)から蒸発器25内に供給される、具体的には蒸発器25の上層に設けられた蒸発部25a内に供給される。蒸発器25の蒸発部25aに供給された水は、蒸発器25の下層に設けられた排気通路部25cを流れる排気ガス(上述したように、熱交換器23に設けられた排気通路部23cにおいて既に熱交換が行われた後の排気ガス)との間で熱交換を行い、排気ガスの熱により加熱されて、気化して水蒸気となる。この水蒸気と、上記した燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとは、蒸発部25a内を水平方向に流れていき(具体的には燃料供給配管63が接続された側と反対側に向けて水平方向に流れていき)、蒸発部25aの先の混合部25bにおいて混合される。
そして、混合部25bにおいて水蒸気と原燃料ガスとが混合された混合ガス(燃料ガス)は、蒸発器25において燃料供給配管63が接続された側と反対側に接続され、蒸発器25の排気通路部25c、断熱材7a及びモジュールケース8内を横断するように延びる混合ガス供給管62を流れて、モジュールケース8内の改質器20に流入する。この場合、混合ガスは、混合部25bの下方の排気通路部25cを流れる排気ガスと、排気通路部25c内に位置する混合ガス供給管62の部分の周囲を流れる排気ガスと、モジュールケース8内に位置する混合ガス供給管62の部分の周囲を流れる排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、モジュールケース8内では、改質器20の貫通孔20d内に位置する混合ガス供給管62の予熱部62aにおいて、この予熱部62a内を流れる混合ガスと改質器20の貫通孔20dを通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。
この後、混合ガス供給管62から改質器20に供給された混合ガスは、改質器20の混合ガス供給口20aを介して、改質器20の水平方向における一側端側に設けられた予熱部20b内に流入し、予熱部20b内に流入した混合ガスは予熱部20bの周囲を流れる排気ガスによって予熱される。この場合、改質器20の予熱部20bは混合ガス供給管62よりも拡張された構造を有するので、改質器20の予熱部20bには混合ガス供給管62から混合ガスが噴出され、こうして噴出された混合ガスは予熱部20bにおいて拡張されて噴出速度が低下される。そして、混合ガスは、予熱部20bの下流端側の壁面20k(図5(B)参照)に衝突して折り返して、改質器20内の仕切り板20n(図5(C)参照)を通過して、予熱部20bの下流側に位置する、改質触媒が充填された改質部20cに流入し、この改質部20cにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、改質器20の改質部20cの下流端側に接続された燃料ガス供給管64と、この燃料ガス供給管64の上方に接続された水添脱硫器用水素取出管65とを流れる。そして、燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給されて、マニホールド66内の燃料ガスが各燃料電池セルユニット16内に供給される。
他方で、燃料電池セルユニット16において発電に利用されずに残った燃料ガスは、モジュールケース8内の燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、図10に示すように、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、燃焼により生成された排気ガスの一部は、改質器20の貫通孔20dを通って、改質器20の上部に形成された第2排気通路72(改質器20の天板20g及び筒状部20hとモジュールケース8の天板8aとによって囲まれた空間)に流入する。この場合、排気ガスは、改質器20の貫通孔20dを形成する傾斜面20eによって、改質器20の貫通孔20dを通過するように指向される。より詳しくは、排気ガスの一部は、貫通孔20dの傾斜面20eによって、改質器20の予熱部20b及び混合ガス供給管62の予熱部62a(改質器20の貫通孔20d内に位置する混合ガス供給管62の部分)の周囲を流れるように指向される。加えて、排気ガスは、モジュールケース8の内側面上に設けられた排気ガイド板80によっても、改質器20の予熱部20b及び混合ガス供給管62の予熱部62aの周囲を流れるように指向される。このように流れた排気ガスは、改質器20の予熱部20b内及び混合ガス供給管62の予熱部62a内の混合ガスと熱交換を行い、混合ガスを加熱する。
一方で、改質器20の貫通孔20dを通過しなかった、排気ガスの残りの一部は、図11に示すように、改質器20の予熱部20b及び改質部20cの外側面とモジュールケース8の内側面との間を通って、改質器20の筒状部20hに形成された、排気ガス導入口としての切り欠き部20i(図5(A)参照)を介して第2排気通路72に流入する。この場合、排気ガスは、モジュールケース8の内側面上に設けられた排気ガイド板81によって、改質器20の切り欠き部20iから第2排気通路72に流入するように指向される。
このようにして改質器20の貫通孔20d及び切り欠き部20iから第2排気通路72に流入した排気ガスは、図10に示すように、貫通孔20d及び切り欠き部20iが設けられた側と反対側に対応する、モジュールケース8の天板8a上の位置に形成された排気口11を介して、第1排気通路71へと流れていく。そして、排気ガスは、第1排気通路71に接続された熱交換器23の排気通路部23c、この排気通路部23cに連結された蒸発器25の排気通路部25cを順に流れて、蒸発器25の下流端側に接続された排気ガス排出管82(図4参照)から排出される。この際に、排気ガスは、上述したように、熱交換器23の発電用空気通路部23a内の発電用空気と熱交換を行うと共に、蒸発器25の混合部25b内の混合ガス及び蒸発器25の蒸発部25a内の水と熱交換を行う。
次に、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の作用効果について説明する。
本実施形態における一つの観点では、蒸発器25をモジュールケース8の外部の断熱材7内に配置したので(図2等参照)、蒸発器25をモジュールケース8の内部に配置した場合に発生し得る、燃料電池セル集合体12の温度ムラ(熱ムラ)を解消することができる。また、蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合には、蒸発器25をモジュールケース8の内部に設けた場合よりも、モジュールケース8内の排気ガスの温度を高くすることができるので、この高い温度の排気ガスを熱交換器23に供給することで、熱交換器23での熱交換性を向上させることができる。そのため、熱交換器23で適切に昇温された発電用空気を供給することができ、燃料電池モジュール2における起動時の昇温を速やかに行うことができる。
特に、本実施形態では、排気ガスの流れ方向において熱交換器23を蒸発器25よりも上流側に設けたため、熱交換器23を蒸発器25よりも下流側に設けた場合と比較して、高温の排気ガスが熱交換器23に供給されるので(蒸発器25で熱交換される前の排気ガスが熱交換器23に供給されるから)、熱交換器23において発電用空気をより効果的に昇温させることができ、起動時において燃料電池モジュール2をより大きく昇温させることができる。この場合、排気ガスの流れ方向において蒸発器25を熱交換器23の直後に配置し、蒸発器25を断熱材7内に設けているため、排気ガスの無駄な熱交換がなされないので、蒸発器25での水の蒸発性能を適切に確保することができる。
また、上記のように蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合には、改質器20に供給される混合ガスの温度が低くなり(混合ガス中の水蒸気が液化する場合もある)、改質器20の温度が下がって改質性能が低下するという問題が生じ得るが、本実施形態によれば、モジュールケース8の外部の蒸発器25とモジュールケース8の内部の改質器20とを連通させる混合ガス供給管62を、蒸発器25の排気通路部25c内を通過させたので(図2等参照)、より詳しくは排気ガスの流れ方向において排気通路部25cの上流側の部分を通過させたので、排気通路部25cを流れる排気ガスによって混合ガスを昇温させることができる。そのため、昇温させた混合ガスを改質器20に供給することができ、上記したような、蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合の問題点を解消することができる。
また、本実施形態によれば、熱交換器23と蒸発器25とを水平方向に並べて配置すると共に、熱交換器23及び蒸発器25のそれぞれの下層に排気通路部23c、25cを水平方向に沿って形成したので(図2等参照)、断熱材7の配置構造及び排気ガスの取り回しを最適化し、無駄な熱交換を抑制することができる。したがって、燃料電池モジュール2を小型化することができると共に、排気ガスの熱量を有効に用いて、熱交換器23及び蒸発器25において熱交換を行わせることができる。
また、本実施形態によれば、熱交換器23と蒸発器25とを一体的に形成した熱交換モジュール21を用い、熱交換器23の排気通路部23c及び蒸発器25の排気通路部25cを、上部が開放したほぼU字断面形状を有するケース21aによって構成したので(図4参照)、排気通路部23c、25cを一つのケース21aによって作ることができ、燃料電池モジュール2の小型化及び低コスト化が図れる。加えて、このケース21aの開放部を覆うように、熱交換器23の発電用空気通路部23aと蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bとを固定したので、熱交換器23の発電用空気通路部23aと蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bとの支持を簡素化することができ、燃料電池モジュール2の更なる小型化及び低コスト化が図れる。
また、本実施形態によれば、熱交換モジュール21をモジュールケース8の天板8aに固定したので(図4参照)、熱交換器23及び蒸発器25を簡単に確実に固定支持することができる。加えて、断熱材7aを挟んで熱交換モジュール21を支持したので(図2等参照)、断熱材7aの固定も容易化することができ、燃料電池モジュール2の小型化及び低コスト化が図れる。
本実施形態における他の観点では、改質器20に混合ガスが供給される入口(混合ガス供給口20a)側に対応するように、蒸発器25をモジュールケース8上方の断熱材7内に配置し、且つ、蒸発器25と改質器20の入口とを断熱材7及びモジュールケース8内を上下方向に横断する混合ガス供給管62によって連結したので(図2等参照)、蒸発器25と改質器20の入口との位置関係を最適化するという簡易な構成にて、混合ガス供給管62を最短にすることができ、上述したような蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合の問題点を解消することができる。具体的には、改質器20に供給される混合ガスの温度低下を抑制することができ(特に混合ガス中の水蒸気が液化することを抑制することができ)、改質器20での改質性能を確保することができる。
特に、本実施形態では、モジュールケース8内を横断するように蒸発器25と改質器20とを連通する混合ガス供給管62を構成したので、つまり混合ガス供給管62を改質器20に接続する過程でモジュールケース8内を通過させるよう構成したので、モジュールケース8内の排気ガスによって混合ガス供給管62内の混合ガスを加熱することができ、昇温させた混合ガスを改質器20に供給することができる。よって、蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた構成でも、改質器20での高い改質性能を簡易な構成にて実現することができる。
また、本実施形態によれば、改質器20において混合ガス供給口20aが設けられた側と反対側に対応する、モジュールケース8の天板8a上の位置に排気口11を形成し、この排気口11の上方に熱交換器23を配置したため(図2等参照)、高温の排気ガスを最短距離で熱交換器23に供給することができると共に、配置の工夫のみにより、熱交換器23において発電用空気と排気ガスとの間で熱交換を行わせる距離(つまり熱交換器23の水平方向の長さ)を長くすることができる。よって、簡易な構成にて、起動工程での熱量の少ない排気ガスでも、発電用空気を適切に昇温させることができ、燃料電池モジュール2における昇温時間を短縮することができると共に、安定起動を実現することができる。加えて、蒸発器25を熱交換器23の下流側で且つ改質器20の入口(混合ガス供給口20a)側に配置したため、無駄な熱交換を抑制して、蒸発器25の安定した蒸発性能を確保することができる。
また、本実施形態によれば、排気ガスの流れ方向における上流側に蒸発器25の混合部25cを配置し、この混合部25cから混合ガス供給管62を介して混合ガスを改質器20に供給するので(図2等参照)、下流側の蒸発部20aにおいて気化に用いられていない比較的高温の排気ガスと、混合部25cにおいて温度を上げやすい気体の状態にある混合ガスとの間で熱交換を行わせることができ、混合部25cにおいて混合ガスを効果的に昇温させることができる。よって、改質器20の改質性能を安定化することができる。このような構成では、混合ガス供給管62を最短経路にすることができ、混合ガスの温度低下も適切に抑制される。
また、上記のように蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合には、気化性能が低下するため、気化遅れに起因して水が混合ガス供給管62を落下して改質器20に供給され、混合不良が生じるおそれがあるが、本実施形態によれば、混合ガス供給管62の上流側の端部62bを、蒸発器25の蒸発部25a及び混合部25bの底面よりも上方に突出するように設けたので(図2参照)、水が混合ガス供給管62を落下して改質器20に供給されてしまうことを、混合ガス供給管62の配設の工夫による簡易な構成にて抑制することができる。
また、上記のように、蒸発器25をモジュールケース8外に設け、改質器20をモジュールケース8内に設けて、これらをモジュールケース8内を横断する混合ガス供給管62によって連結すると、大きな温度差により、混合ガス供給管62に膨張差による応力が付与されて劣化してしまうおそれがあるが、本実施形態では、混合ガス供給管62においてモジュールケース8内に位置する部分に、熱膨張差を水平方向に吸収可能な蛇腹管62cを適用したので(図9参照)、このような大きな温度差による混合ガス供給管62の劣化を適切に抑制することができる。
加えて、本実施形態では、改質器20も、熱膨張を水平方向に吸収可能なように、モジュールケース8の天板8aに対して水平方向に摺動可能に取り付けたため(図8参照)、改質器20の応力緩和のみならず、混合ガス供給管62に改質器20の変形応力が作用することを抑制でき、上記した混合ガス供給管62の蛇腹管62cを簡素化することができると共に、混合ガス供給管62の改質器20等への連結強度も高くすることができる。
また、本実施形態によれば、改質器20の貫通孔20b内を通過するように混合ガス供給管62を配置したので(図2等参照)、混合ガス供給管62をより一層最短経路にすることができると共に、モジュールケース8内において混合ガス供給管62内の混合ガスを排気ガスによって効率的に加熱することもできる。特に、本実施形態では、改質器20の貫通孔20bの傾斜面20eを、水平方向において排気口11に対応する改質器20の一側端側から離間した位置において、排気ガスを混合ガス供給管62に指向させるように形成したので、改質器20の貫通孔20b内に位置する混合ガス供給管62内の混合ガスを効果的に加熱することができ、高い温度の混合ガスを改質器20に供給して、改質器20の改質性能を高めることができる。
本実施形態における更に他の観点では、改質器20における混合ガスの流れ方向において改質部20cの上流側に予熱部20bを設けたので(図2等参照)、この予熱部20bにおいてその周囲を流れる排気ガスによって混合ガスを適切に昇温させることができる。そのため、適温にまで昇温された混合ガスを改質部20cに供給することができ、改質部20cでの改質性能を安定化することができる。
また、本実施形態によれば、改質器20の予熱部20bを、燃料電池セル集合体12の上端の直上で、且つ、燃焼室18による燃焼熱及び排気ガスに曝される位置に配置したので(図2等参照)、改質器20の予熱部20bにおいて混合ガスを適切に昇温することができ、上述した蒸発器25をモジュールケース8の外部に設けた場合の問題点を解消することができる。特に、本実施形態によれば、改質器20の貫通孔20bの傾斜面20eや、モジュールケース8の内側面上に設けた排気ガイド板80によって、燃焼室18で生成された排気ガスを積極的に改質器20の予熱部20bに指向させたので(図2等参照)、起動工程での少ない熱量の排気ガスによっても、改質器20の改質部20cに供給する混合ガスを適切に昇温し、改質部20cでの改質性能を速やかに安定化することができる。
加えて、本実施形態では、上記のように改質器20の予熱部20bに指向された排気ガスが、この予熱部20bに衝突した後に折り返して排気口11に指向されるように構成したので、予熱部20bに向かう排気ガスが減ることなく、混合ガスを確実に加熱することができる。この場合、排気ガスの折り返しによる圧損向上を利用して、排気ガスと予熱部20b内の混合ガスとの長い熱交換時間を確保することができ、簡易な構成にて、より安定的に混合ガスを加熱することができる。
また、本実施形態によれば、混合ガス供給管62にも予熱部62aを設けたので、改質器20に供給する混合ガスをより一層確実に加熱することができる。特に、本実施形態では、混合ガス供給管62の予熱部62aを、混合ガスの流れ方向における下流側の部分に設け、燃焼室18からの排気ガスをこの予熱部62aに衝突させるように(つまり予熱部62aが燃焼熱や排気ガスに積極的に曝されるように)、燃料電池セル集合体12の上端部によって形成される仮想平面と平行になるように配置したので(図2等参照)、簡易な構成にて混合ガスを加熱することができる。
また、本実施形態によれば、混合ガス供給管62の予熱部62aから改質器20の予熱部20bに噴出された混合ガスが、改質器20の予熱部20bにおいて拡張されて流速が低下するように構成したので、簡易な構成にて、改質器20の予熱部20b内の混合ガスと排気ガスとの熱交換時間を大きくすることができ、混合ガスを効果的に昇温させることができる。加えて、本実施形態では、改質器20の予熱部20b内の混合ガスが、予熱部20bの下流端側の壁面20kに衝突して折り返して改質部20cに流入するように構成したので、改質部20cの容積を犠牲にして予熱部20bの容積を拡大することなく、予熱部20bを形成する壁面を介した効果的な熱交換や、熱交換時間の拡大を適切に実現することができる。加えて、本実施形態によれば、混合ガスが改質器20の予熱部20b内を上記したように流れることで、この予熱部20bでの混合ガスの混合性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、混合ガス供給管62の予熱部62aを改質器20の貫通孔20d内に配置したため(図2等参照)、混合ガス供給管62の予熱部62aにおいて効果的に混合ガスを昇温させることができる。特に、本実施形態では、改質器20の貫通孔20dの傾斜面20eによって、改質器20の予熱部20b及び混合ガス供給管62の予熱部62aに向けて排気ガスを指向させたので、構造を複雑化することなく、改質器20及び混合ガス供給管62の予熱部20b、62aでの混合ガスと排気ガスとの効率的な熱交換を実現することができる。
本実施形態における更に他の観点では、改質器20を、上下方向においてモジュールケース8の天板8aと所定距離隔てて、水平方向に摺動可能にこの天板8aに対して固定したので、つまり改質器20をモジュールケース8の天板8aからつり下げたので(図2及び図3等参照)、燃料電池モジュール2の小型化及び低コスト化を実現することができる。これについて具体的に説明する。改質器の底板にブラケットなどの支持部材を用いて下方から支持する比較例に係る構成では、高温になる燃料電池セルユニット16と距離を空けて支持部材を配置していたため、燃料電池モジュールが大型化し、また、高温に耐え得る支持部材を用いていたため、高コスト化していた。これに対して、本実施形態のように、改質器20をモジュールケース8の天板8aからつり下げた場合には、比較例のように燃料電池セルユニット16との距離を確保する必要がないので、燃料電池モジュール2を小型化することができ、また、比較例のように高温に耐え得る支持部材を用いる必要がないので、改質器20の支持機構を低コスト化することができる。
加えて、本実施形態では、改質器20に一体的に形成された排気通路壁(具体的には筒状部20h)によって、モジュールケース8の天板8aに形成された排気口11と連通する第2排気通路72をモジュールケース8内に形成したので(図2及び図5等参照)、排気ガスを排出する排気性能を確保しつつ、上記の排気通路壁をモジュールケース8の天板8aへの改質器20の支持部材として兼用したことにより、燃料電池モジュール2をより一層小型化することができる。
また、本実施形態によれば、上記した第2排気通路72の排気通路壁を、改質器20の天板20gの縁端部から上方に延びる筒状部20hによって形成すると共に、モジュールケース8の天板8aにおいて排気口11が設けられた側と反対側に対応する筒状部20h上の箇所に、第2排気通路72へ排気ガスを導入する排気ガス導入口としての切り欠き部20iを形成したので(図2及び図5等参照)、排気流が最適化するため、天板8a上での排気口11の配置自由度を高めることができ、熱交換器23などを小型化することが可能となる。加えて、モジュールケース8の天板8aに対して改質器20を支持するための部分である筒状部20hを切り欠くことにより、天板8aに対する改質器20の支持を確保しつつ、排気ガス導入口を簡単に形成することができる。
また、本実施形態によれば、改質器20の切り欠き部20i(排気ガス導入口)に対応するモジュールケース8の内側面上の位置に、この切り欠き部20iに排気ガスを指向させる排気ガイド板81を設けたので(図3参照)、改質器20の天板20gとモジュールケース8の天板8aとの距離を小さくしても、つまり第2排気通路72の上下方向の幅を小さくしても、改質器20の切り欠き部20iから第2排気通路72内へ排気ガスを確実に導入させることができる。これについて具体的に説明する。
上記したように改質器20をモジュールケース8の天板8aからつり下げる構成では、改質器20を天板8aに対して支持させる部材(具体的には筒状部20h)を、改質器20が重いこと及び高温になると支持部材の強度が下がることにより、あまり長くすることができない、即ち改質器20の天板20gとモジュールケース8の天板8aとの距離を長くしにくい。そのため、第2排気通路72の上下方向の幅が小さくなり、第2排気通路72に排気ガスを導入させにくくなる、即ち、排気ガス導入口としての筒状部20hの切り欠き部20iから第2排気通路72内へ排気ガスを導入させにくくなる。したがって、本実施形態では、排気ガス導入口としての切り欠き部20iに排気ガスを指向させる排気ガイド板81を設けた。これにより、改質器20の天板20gとモジュールケース8の天板8aとの距離を小さくしても、改質器20の切り欠き部20iから第2排気通路72内へ排気ガスを確実に導入させることができるので、燃料電池モジュール2を小型化することが可能となる。
また、上記のように第2排気通路72の上下方向の幅を小さくすると、圧損が高くなり排気性能が低下するが、本実施形態では、改質器20に貫通孔20dを設けて、この貫通孔20dからも第2排気通路72内に排気ガスを導入させるので(図2等参照)、圧損が高くても第2排気通路72内に排気ガスを確実に導入させることができる。この場合、改質器20の上面(具体的には改質器20の天板20g)に回り込む高温の排気ガスの量が増えるため、排気ガスによる改質器20の昇温性能を高めることができる。
また、本実施形態によれば、モジュールケース8の天板8aにおいて排気口11が設けられた側と反対側に対応する改質器20上の箇所に貫通孔20dを形成したので、簡易な構成にて排気流を最適化することができ、モジュールケース8内及び改質器20全体を均一に昇温させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、改質器20の筒状部20hの上端部に設けたフランジ部20jをモジュールケース8の天板8aの支持部8dに係合させて、改質器20をモジュールケース8の天板8aに対して水平方向に摺動可能に支持させたので(図8参照)、改質器20の熱膨張を適切に吸収することができる。この場合、モジュールケース8の天板8aに対する改質器20の支持機構によって改質器20の熱膨張を吸収するので、熱膨張を吸収する装置を別途適用する必要がなく、燃料電池モジュール2を小型化することができる。加えて、改質器20のフランジ部20jをモジュールケース8の天板8aの支持部8dに係合させることにより、これらのフランジ部20jと支持部8dとの間での排気ガスの流動が抑制されるので、第2排気通路72としての性能(具体的には気密性)を適切に確保することができる。
また、本実施形態によれば、燃料電池セルユニット16側に突出するような凸部8cをモジュールケース8の側板8bに一体形成して(図4参照)、複数の燃料電池セルユニット16の各々に対する周囲からの熱の反射を均等にするので、熱の反射板を別途用いる必要がなく、燃料電池モジュール2を小型化することができる。
次に、図12を参照して、本発明の第1実施形態の変形例による蒸発器について説明する。図12は、本発明の第1実施形態の変形例による蒸発器の概略断面図である。ここでは、上述した蒸発器25と異なる構成のみを説明する。
図12に示すように、変形例による蒸発器25Xは、上層の蒸発部25aの内部には、セラミックボール25eが充填配置され、下層の排気通路部25cの内部には、排気ガスの浄化機能を有する排気浄化触媒(言い換えると燃焼触媒)を担持したセラミックボール25fが充填配置され、蒸発部25aと排気通路部25cとの境界面が凹凸面25gによって形成されている。また、蒸発器25Xは、蒸発部25aの上部に、セラミックヒータなどの加熱ヒータ25dが設けられている。つまり、蒸発器25Xにおいては、加熱ヒータ25d、蒸発部25a(混合部25dも含む)、排気通路部25cが、この順に上から下に配置されており、加熱ヒータ25dの上部及び排気通路部25cの下部に上記した断熱材7(図12では図示せず。図2及び図3参照)が配置されている。
このように、排気通路部25c内に排気浄化触媒が充填された蒸発器25Xでは、多くのCOを含む排気ガスが発生する冷間起動時において、排気通路部25c内の排気浄化触媒がCOを除去する際に発熱し(排気浄化触媒によるCOを除去する改質は発熱反応であるため)、この排気浄化触媒が発生する熱(酸化反応熱)により蒸発部25aを下方から加熱することができる。つまり、排気通路部25cを通過する排気ガスの熱だけでなく、排気通路部25c内の排気浄化触媒が発生する酸化反応熱により、蒸発部25aを加熱することができる。これにより、比較的簡易な蒸発器25Xの構成にて、蒸発部25a内の水の安定的な気化を促進することができると共に、蒸発部25aで発生された水蒸気を改質器20に確実に供給することで、改質器20の安定的な改質を実現することができる。
また、加熱ヒータ25dを蒸発部25aの上部に設けたため、この加熱ヒータ25dを冷間起動時に使用することで、上記のように排気通路部25c内の排気浄化触媒が発生する酸化反応熱だけでなく、加熱ヒータ25dによる熱も蒸発部25aに伝達させることができ、つまり蒸発部25aを上方及び下方の両方から加熱することができ、蒸発部25aにおける安定的な気化及び改質器20の安定的な改質を効果的に確保することができる。この場合、単一の加熱ヒータ25dを、冷間起動時に排気通路部25c内の排気浄化触媒を活性化させるために加熱する用途と、上記のように蒸発部25aを加熱する用途とに適切に兼用することができ、これら2つの用途のための2つの加熱ヒータを適用する必要はない。
特に、蒸発部25a及び排気通路部25cの両方の内部にセラミックボール25e、25fを充填したことで、つまり加熱ヒータ25dの熱を蒸発部25aから排気通路部25cまで掛け渡すようにセラミックボール25e、25fを蒸発部25a内及び排気通路部25c内の全体に渡って充填配置したことで、セラミックボール25e、25fを熱伝導部材として、加熱ヒータ25dの熱を蒸発部25aを介して排気通路部25cに効率的に伝達させることができる(図12中の矢印A1参照)。セラミックボール25e、25fを充填配置するという簡易な構成にて、単一の加熱ヒータ25dにより、排気通路部25c内の排気浄化触媒を速やかに活性化させることができ、この排気浄化触媒の酸化反応熱によって蒸発部25aを下方から効果的に加熱することができる。
また、蒸発部25aと排気通路部25cとの境界面を凹凸面25gによって形成したことで、蒸発部25aと排気通路部25cとの境界面を挟んだセラミックボール25eとセラミックボール25fとの接触面積が拡大するので、セラミックボール25e、25fを介した加熱ヒータ25dの熱の効果的な掛け渡しを実現することができる。
次に、図13を参照して、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の製造方法について説明する。図13は、本発明の第1実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の製造方法を示すフローチャートである。
まず、ステップS1では、モジュールケース8の側板8bと別体に構成された、このモジュールケース8の天板8aに対して、改質器20と、熱交換器23及び蒸発器25を含む熱交換モジュール21とを固定するサブアッセンブリー工程が行われる。具体的には、サブアッセンブリー工程では、モジュールケース8の天板8aの下面に対して改質器20を固定すると共に、モジュールケース8の天板8aの上面に対して熱交換モジュール21及び断熱材7を固定する。
そして、ステップS2では、サブアッセンブリー工程で改質器20及び熱交換モジュール21が固定された天板8aを側板8bに固定してモジュールケース8を組み立てるモジュールケース組立工程が行われる。
このような本実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の製造方法によれば、天板8aを測板8bと別体にして、天板8aに予め改質器20及び熱交換モジュール21をサブアッセンブリーするようにしたので、モジュールケース8に対する改質器20及び熱交換モジュール21の組み付けを容易に行うことができる。
なお、上記した実施形態では、改質器20を水平方向に摺動可能にモジュールケース8の天板8aに対して固定していたが(図8参照)、他の実施形態では、改質器20を水平方向に移動不能にモジュールケース8の天板8aに対して固定してもよい。
また、上記した実施形態では、改質器20に一つの貫通孔20dのみを設けていたが(図5参照)、他の実施形態では、改質器20に、貫通孔20dと同様の貫通孔を二つ以上設けてもよい。その場合、二つ以上の貫通孔のいずれか一つの貫通孔内に混合ガス供給管62を設ければよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)について説明する。
なお、以下では、上述した第1実施形態と同一の構成及び作用効果については、それらの説明を適宜省略し、第1実施形態と異なる構成及び作用効果についてのみ説明を行う。つまり、ここで特に説明しない構成及び作用効果は、第1実施形態と同様である。
図14は、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置を示す全体構成図である。この図1に示すように、第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置1Xは、第1実施形態で示した燃料電池モジュール2の代わりに、燃料電池モジュール2Xを備えている。
上述した第1実施形態による燃料電池モジュール2は、モジュールケース8外部の断熱材7内に熱交換器23及び蒸発器25を含む熱交換モジュール21が設けられていたが、第2実施形態による燃料電池モジュール2Xは、そのような熱交換モジュール21を具備せず、モジュールケース8外部の断熱材7内に蒸発器125が設けられている。また、第2実施形態による燃料電池モジュール2Xは、第1実施形態で示した改質器20と構成が異なる改質器120を有する。
次に、図15乃至図17を参照して、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールの構造について具体的に説明する。図15は、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図16は、図15のXVI-XVI線に沿った断面図であり、図17は、ハウジング及び断熱材が取り外された状態の燃料電池モジュールを示す斜視図である。
図15及び図16に示すように、燃料電池モジュール2Xは、主に、上述したように、断熱材7内で且つモジュールケース8の外部に設けられた蒸発器125を有すると共に、モジュールケース8の内部に設けられた、燃料電池セル集合体12及び改質器120を有する。
蒸発器125は、モジュールケース8の天板8a上に固定されている(図17参照)。また、熱交換モジュール21とモジュールケース8との間には、これらの隙間を埋めるように断熱材7の一部分7aが配置され、この断熱材7の一部分7aも、モジュールケース8の天板8a上に固定されている(図15及び図16参照)。
具体的には、蒸発器125は、水平方向における一側端側に、水及び原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい)を供給する燃料供給配管63と、排気ガスを排出するための排気ガス排出管82とが接続され(図17参照)、水平方向における他側端側に、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111に連結された第1排気通路171が接続されている(図15参照)。この排気口111は、モジュールケース8内の燃焼室18で生成された排気ガスをモジュールケース8の外へ排出する開口部であり、モジュールケース8の天板8aのほぼ中央部に形成されており、蒸発器125は、このような排気口111の上方の断熱材7内に配置されている。
また、蒸発器125は、図15に示すように、上下方向に二層構造となっており、モジュールケース8側に位置する下層部分には、上記した第1排気通路171から供給された排気ガスが通過する排気通路部125cが形成されている。加えて、蒸発器125は、排気通路部125cの上部に位置する上層部分には、燃料供給配管63から供給された水を蒸発させて水蒸気を生成する蒸発部125aと、この蒸発部125aよりも排気ガスの流れ方向における上流側に設けられ、蒸発部125aで生成された水蒸気と燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとを混合させる混合部125bと、が形成されている。例えば、蒸発器125の蒸発部125a及び混合部125bは、複数の連通孔が設けられた仕切り板により蒸発器125を仕切った空間にて形成される。
このような蒸発器125では、蒸発部125a内の水と排気通路部125cを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により蒸発部125a内の水が蒸発して、水蒸気が生成されることとなる。加えて、混合部125b内の混合ガスと排気通路部125cを通過する排気ガスとの間で熱交換が行われ、排気ガスの熱により混合ガスが昇温されることとなる。
更に、図15に示すように、蒸発器125の混合部125bには、第1排気通路171が接続された蒸発器125における端部に、この第1排気通路171の内部を通過するように形成された、混合部125bからモジュールケース8内の改質器120に混合ガスを供給するための混合ガス供給管162が接続されている。混合ガス供給管162は、一端が改質器120に設けられた混合ガス供給口120aに連結しており、この混合ガス供給口120aからほぼ水平方向に延びた先で90°屈曲されて、モジュールケース8内、断熱材7a内、蒸発器125における上流側の排気通路部125c内を順に横断するようにほぼ鉛直方向に延びて、他端が蒸発器125の混合部125bに接続されている。この場合、混合ガス供給管162は、蒸発器125の混合部125bに接続された端部162bが、蒸発器125の蒸発部125a及び混合部125bの底面よりも上方に突出するように設けられている。
次に、モジュールケース8の外側、具体的にはモジュールケース8の外壁と断熱材7との間には、酸化剤ガス供給通路としての発電用空気供給通路177が形成されている(図16参照)。この発電用空気供給通路177は、モジュールケース8の天板8a及び側板8bと、これら天板8a及び側板8bのそれぞれに沿って延びるように配置された発電用空気供給ケース177aとの間の空間によって形成され、モジュールケース8の天板8a上の正面視中央位置に設けられた発電用空気導入管74から発電用空気が供給される(図17参照)。発電用空気供給通路177は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口177bから、発電用空気を燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射する(図16参照)。
また、発電用空気供給通路177の内部には、熱交換促進部材としての板状のオフセットフィン177c、177dが設けられている(図16参照)。オフセットフィン177cは、モジュールケース8の天板8aに沿った発電用空気供給通路177の部分に設けられ、オフセットフィン177dは、モジュールケース8の側板8bに沿った発電用空気供給通路177の部分で、且つ、燃料電池セルユニット16よりも上方の位置に設けられている。発電用空気供給通路177を流れる発電用空気は、特にオフセットフィン177c、177dを通過する際に、これらオフセットフィン177c、177dの内側のモジュールケース8内(具体的にはモジュールケース8内に設けられた第2及び第3排気通路173、173)を通過する排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。このようなことから、発電用空気供給通路177の一部分は、熱交換器(空気熱交換器)として機能する。
次に、図15及び図16に加えて、図18も参照して、モジュールケース8内に設けられた改質器120について説明する。図18(A)は、本発明の第2実施形態による改質器120を斜め上方から見た斜視図であり、図18(B)は、図18(A)のXVIIIB-XVIIIB線に沿った断面図であり、図18(C)は、図18(A)のXVIIIC-XVIIIC線に沿った断面図である。なお、図18(A)〜(C)中には、改質器120に加えて、混合ガス供給管162や燃料ガス供給管64なども図示している。
改質器120は、燃焼室18の上方に水平方向に延びるように配置され、モジュールケース8の天板8aと所定距離隔てて、この天板8aに対して固定されている(図15参照)。改質器120には、上記した混合ガス供給管162からの混合ガスが混合ガス供給口120aより流入し、この混合ガスを予熱する予熱部120bと、混合ガスの流れ方向において予熱部120bよりも下流側に設けられ、混合ガス(つまり水蒸気が混合された原燃料ガス(改質用空気を含めてもよい))を改質するための改質触媒(不図示)が充填された改質部120cと、が形成されている(図18(B)参照)。改質触媒としては、アルミナの球体表面にニッケルを付与したものや、アルミナの球体表面にルテニウムを付与したものが適宜用いられる。改質器120の予熱部120b及び改質部120cは、複数の連通孔が設けられた仕切り板120eにより改質器120を仕切った空間にて形成される(図18(B)参照)。ここで、改質器120は、混合ガス供給管162からの混合ガスが混合ガス供給口120aより噴出され、この混合ガスが予熱部120bにおいて拡張されて噴出速度が低下するように構成されていると共に、噴出された混合ガスが予熱部120bの下流端側の壁面に衝突して折り返して、仕切り板120eを通過して改質部120cに供給されるように構成されている(図18(B)参照)。
また、改質器120には、改質部120cが形成された部分に、上方に凹んだ凹部120dが形成されている(図18(B)参照)。凹部120dは、上下方向に貫通するように延びる貫通孔の上部をプレートなどで塞ぐことにより形成される。この凹部120dには、上述した混合ガス供給管162の一部分162a、具体的には、混合ガス供給管162において水平方向に延びる部分であって、その端部が改質器120の混合ガス供給口120aに接続された部分162aが配置されている。この混合ガス供給管162の部分162aも、その内部を通過する混合ガスを、改質器120の凹部120d内の排気ガスによって予熱する予熱部として機能する(以下では混合ガス供給管162の部分162aを「予熱部162a」と呼ぶ)。
また、改質器120は、上記した予熱部120b及び改質部120cの上面を形成する天板120fと、この天板120fの上方に設けられ、上部が開放したほぼU字断面形状を有する遮蔽板120gと、この遮蔽板120gの上部に配置された平板120hとを更に有する(図18(A)乃至(C)参照)。改質器120において天板120fと遮蔽板120gとの間の空間は、予熱部120b及び改質部120cの上方に排気ガスを誘導して流すための排気誘導室201を形成し、改質器120において遮蔽板120gと平板120hとの間の空間は、排気ガスがほとんど流れない、断熱層としてのガス溜203を形成する(図18(A)乃至(C)に加えて、図15及び図16も参照)。更に、改質器120の上端部には、改質器120をモジュールケース8の天板8aに固定するためのフランジ部120iが設けられている。
次に、図15に示すように、改質器120の下流端側には、改質器120の改質部120cによる改質によって生成された燃料ガスを供給する燃料ガス供給通路としての燃料ガス供給管64が接続され、この燃料ガス供給管64の上部には、水添脱硫器用水素取出管65が接続されている。燃料ガス供給管64は、下方に延び、さらに、燃料電池セル集合体12の下方に形成されたマニホールド66内で水平に延びている。燃料ガス供給管64の水平部64aの下方面には、複数の燃料供給孔64bが形成されており、この燃料供給孔64bから、改質された燃料ガスがマニホールド66内に供給される。このマニホールド66の上方には、上述した燃料電池セルスタック14を支持するための貫通孔を備えた下支持板68が取り付けられており、マニホールド66内の燃料ガスが、燃料電池セルユニット16内に供給される。また、燃料ガスと空気との燃焼を開始するための点火装置83が、燃焼室18に設けられている。
次に、図16に示すように、モジュールケース8内において、改質器120の上面(詳しくは改質器120の平板120h)とモジュールケース8の天板8aの下面との間には、水平方向に延びる第2排気通路172が形成されている。この第2排気通路172は、モジュールケース8の天板8aを挟んで、上記した発電用空気供給通路177の一部分と並設されている。また、第2排気通路172の内部には、熱交換促進部材としての板状のオフセットフィン172aが設けられている。このオフセットフィン172aは、発電用空気供給通路177内に設けられたオフセットフィン177cと水平方向におけるほぼ同一箇所に設けられている。このようなオフセットフィン177c、172aが設けられた発電用空気供給通路177及び第2排気通路172の部分において、発電用空気供給通路177を流れる発電用空気と第2排気通路172を流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温されることとなる。
また、改質器120の外側面とモジュールケース8の内側面との間には、上下方向に延びる第3排気通路173が形成されている。この第3排気通路173は第2排気通路172と連通しており、第3排気通路173から第2排気通路172へと排気ガスが流れていく。具体的には、第2排気通路172には、第3排気通路173の上端部(言い換えると第2排気通路172の水平方向における端部)に位置する排気ガス導入口172bから排気ガスが流入する。排気ガス導入口172bから第2排気通路172に流入した排気ガスは、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111を介して、モジュールケース8の外部に設けられた第1排気通路171へと流出する。
また、第3排気通路173の途中のモジュールケース8の内側面上には、具体的には、改質器120の予熱部120b及び改質部120cよりも上方で、第2排気通路172の排気ガス導入口172bよりも下方のモジュールケース8の内側面上には、改質器120中に形成された排気誘導室201(改質器120の天板120fと遮蔽板120gとの間の空間)に流れ込むように排気ガスを指向させる排気ガイド板205(第1排気ガイド部に相当する)が設けられている。
次に、図19及び図20を参照して、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュール内のガスの流れについて説明する。図19は、図15と同様の、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の燃料電池モジュールを示す側面断面図であり、図20は、図16と同様の、図15のXVI-XVI線に沿った断面図である。図19及び図20は、それぞれ、図15及び図16中にガスの流れを示す矢印を新たに付加した図であり、説明の便宜上、断熱材7を取り除いた状態の図を示している。なお、図19では、燃料ガス(水、水蒸気及び原燃料ガスも含む)の流れのみを図示している。
図19に示すように、水及び原燃料ガス(燃料ガス)が、蒸発器125の水平方向における一側端側に接続された燃料供給配管63(図17参照)から蒸発器125内に供給される、具体的には蒸発器125の上層に設けられた蒸発部125a内に供給される。蒸発器125の蒸発部125aに供給された水は、蒸発器125の下層に設けられた排気通路部125cを流れる排気ガスとの間で熱交換を行い、排気ガスの熱により加熱されて、気化して水蒸気となる。この水蒸気と、上記した燃料供給配管63から供給された原燃料ガスとは、蒸発部125a内を水平方向に流れていき(具体的には燃料供給配管63が接続された側と反対側に向けて水平方向に流れていき)、蒸発部125aの先の混合部125bにおいて混合される。
そして、混合部125bにおいて水蒸気と原燃料ガスとが混合された混合ガス(燃料ガス)は、蒸発器125において燃料供給配管63が接続された側と反対側に接続され、蒸発器125の排気通路部125c、断熱材7a及びモジュールケース8内を横断するように延びる混合ガス供給管162を流れて、モジュールケース8内の改質器120に流入する。この場合、混合ガスは、混合部125bの下方の排気通路部125cを流れる排気ガスと、排気通路部125c及び第1排気通路171内に位置する混合ガス供給管162の部分の周囲を流れる排気ガスと、モジュールケース8内に位置する混合ガス供給管162の部分の周囲を流れる排気ガスとの間で熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、モジュールケース8内では、改質器120の凹部120d内に位置する混合ガス供給管162の予熱部162aにおいて、この予熱部162a内を流れる混合ガスと改質器120の凹部120d内の排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われる。
この後、混合ガス供給管162から改質器120に供給された混合ガスは、改質器120の混合ガス供給口120aを介して、改質器120の水平方向における一側端側に設けられた予熱部120b内に流入し、予熱部120b内に流入した混合ガスは予熱部120bの周囲を流れる排気ガスによって予熱される。この場合、改質器120の予熱部120bは混合ガス供給管162よりも拡張された構造を有するので、改質器120の予熱部120bには混合ガス供給管162から混合ガスが噴出され、こうして噴出された混合ガスは予熱部120bにおいて拡張されて噴出速度が低下される。そして、混合ガスは、予熱部120bの下流端側の壁面に衝突して折り返して、改質器120内の仕切り板120e(図18(B)参照)を通過して、予熱部120bの下流側に位置する、改質触媒が充填された改質部120cに流入し、この改質部120cにおいて改質されて燃料ガスとなる。こうして生成された燃料ガスは、改質器120の改質部120cの下流端側に接続された燃料ガス供給管64と、この燃料ガス供給管64の上方に接続された水添脱硫器用水素取出管65とを流れる。そして、燃料ガスは、燃料ガス供給管64の水平部64aに設けられた燃料供給孔64bからマニホールド66内に供給されて、マニホールド66内の燃料ガスが各燃料電池セルユニット16内に供給される。
他方で、図20に示すように、発電用空気導入管74(図17及び図19参照)から供給された発電用空気は、モジュールケース8の天板8a及び側板8bと、これら天板8a及び側板8bのそれぞれに沿って延びるように配置された発電用空気供給ケース177aとの間の空間によって形成された発電用空気供給通路177を流れる。この際に、発電用空気供給通路177を流れる発電用空気は、オフセットフィン177c、177dを通過する際に、これらオフセットフィン177c、177dの内側のモジュールケース8内に形成された第2及び第3排気通路172、173を通過する排気ガスとの間で効率的な熱交換を行い、加熱されることとなる。特に、発電用空気供給通路177のオフセットフィン177cに対応する第2排気通路172内にはオフセットフィン172aが設けられているので、発電用空気は、発電用空気供給通路177内のオフセットフィン177cと第2排気通路172内のオフセットフィン172aとを介して、排気ガスとより効率的な熱交換を行う。この後、発電用空気は、モジュールケース8の側板8bの下部に設けられた複数の吹出口77bから燃料電池セル集合体12に向けて発電室10内に噴射される。
他方で、燃料電池セルユニット16において発電に利用されずに残った燃料ガスは、図20に示すように、モジュールケース8内の燃焼室18で燃焼されて排気ガス(燃焼ガス)となり、モジュールケース8内を上昇していく。具体的には、燃焼により生成された排気ガスは、まず、改質器120の外側面とモジュールケース8の内側面との間に形成された第3排気通路173を通過する。この際に、排気ガスは、モジュールケース8の内側面上に設けられた排気ガイド板205によって、改質器120中に形成された排気誘導室201(改質器120の天板120fと遮蔽板120gとの間の空間)に流れ込むように指向される。そして、排気誘導室201を経由した排気ガス(排気誘導室201に流れ込んだ排気ガス及び排気誘導室201に流れ込まなかった排気ガスを含む)は、排気誘導室201の上方のガス溜203(改質器120の遮蔽板120gと平板120hとの間の空間)に流れ込むことなく上昇していき、排気ガス導入口172bから第2排気通路172に流入する。
この後、排気ガスは、第2排気通路172を水平方向に流れていき、モジュールケース8の天板8a上に形成された排気口111から流出する。排気ガスが第2排気通路172を水平方向に流れていく際に、第2排気通路172内に設けられたオフセットフィン172aと、このオフセットフィン172aに対応して発電用空気供給通路177内に設けられたオフセットフィン177cとを介して、発電用空気供給通路177を流れる発電用空気と第2排気通路172を流れる排気ガスとの間で効率的な熱交換が行われて、排気ガスの熱により発電用空気が昇温される。
そして、排気口111から流出した排気ガスは、モジュールケース8の外部に設けられた第1排気通路171を通過した後、第1排気通路171に接続された蒸発器125の排気通路部125cを流れて、蒸発器125の下流端側に接続された排気ガス排出管82(図17参照)から排出される。排気ガスは、蒸発器125の排気通路部125cを流れる際に、上述したように、蒸発器125の混合部125b内の混合ガス及び蒸発器125の蒸発部125a内の水と熱交換を行う。
次に、本発明の第2実施形態による固体酸化物型燃料電池装置の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、モジュールケース8を挟んで発電用空気供給通路177と第2排気通路172とを並設したので、具体的にはモジュールケース8の外に発電用空気供給通路177を形成し且つモジュールケース8の中に第2排気通路172を形成したので(図16参照)、燃料電池モジュール2Xの小型化及び低コスト化が図れる。これについて具体的に説明する。従来の固体酸化物型燃料電池装置では、上方の改質器に向かって排気口から排気ガスが排出され、上方にある排気ガスを下方へと流す過程で空気熱交換を行っていた。そうした場合、空気により大きく温度低下された排気ガスが燃料電池セルの下側を流れることで、燃料電池セルの下側が低温になってしまい(つまり燃料電池セルの上下方向に温度勾配が生じてしまう)、燃料電池セルが劣化してしまう可能性がある。従来の固体酸化物型燃料電池装置では、これを防止するために、排気ガス及び発電用空気が流れる通路と燃料電池セルとをある程度の距離を離して設けたり、排気ガス及び発電用空気が流れる通路と燃料電池セルとの間に部分的に断熱材を設けたりしていた。そのため、モジュールケースが大型化していた。加えて、断熱材を部分的に設けた場所における熱の反射特性が変わり、燃料電池セルに悪影響を与えてしまっていた。
これに対して、本実施形態では、モジュールケース8内において燃料電池セル集合体12よりも上方に第2排気通路172を設けて、この第2排気通路172を用いて空気熱交換を行うようにし、つまり燃料電池セル集合体12よりも上方のモジュールケース8内の位置で空気熱交換を行うようにし、また、燃料電池セル集合体12の側方を排気ガスが下方に流れないようにしたので、燃料電池セル集合体12の上下方向の熱勾配を抑制することができる。この場合、本実施形態によれば、上記した従来技術のように、排気ガス及び発電用空気が流れる通路と燃料電池セル集合体12とをある程度の距離を離して設けたり、排気ガス及び発電用空気が流れる通路と燃料電池セル集合体12との間に断熱材を設けたりする必要がないため、燃料電池モジュール2Xを大型化及び高コスト化させることなく、燃料電池セル集合体12への熱影響を抑制することができる。
このような理由により、本実施形態によれば、燃料電池モジュール2Xを小型化及び低コスト化することができるのである。具体的には、本実施形態によれば、燃料電池セル集合体12への熱影響を考慮して燃料電池セル集合体12とモジュールケース8とを離さなくてもよく、燃料電池セル集合体12とモジュールケース8とを近付けて配置することができるため、燃料電池モジュール2Xを小型化することができる。
ここで、本実施形態では、燃料電池セル集合体12上方の発電用空気供給通路177及び第2排気通路172のみで空気熱交換を行うため、熱交換距離が短くなる傾向にあり(言い換えると熱交換面積が小さくなる傾向にあり)、発電用空気を昇温させにくくなる。これに対処すべく、本実施形態では、空気熱交換を行うモジュールケース8内の排気ガスの温度を高く維持するために、蒸発器125をモジュールケース8の外に設けた(この場合、当然、蒸発器125で熱交換を行う前の排気ガスにより空気熱交換が行われることとなる)。こうすることで、空気熱交換を行うモジュールケース8内の排気ガスの温度を高く維持することができ、熱交換距離が短くても、発電用空気を十分に昇温させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、モジュールケース8の室内熱と発電用空気とを自然に熱交換させるだけでなく、燃料電池セル集合体12上方に第2排気通路172を形成して燃料電池セル集合体12に影響を与えない環境下で空気熱交換を積極的に行わせているので、排気流動等に影響されることなく、確実に安定した空気熱交換を実現することができる。更に、本実施形態によれば、上記したような構成により、少ない排気ガスの熱量で発電用空気を昇温することができ(つまり熱自立しやすい)、また、システムを昇温させるための発電用空気の量も少なくて済む。
また、本実施形態によれば、熱交換促進部材としてのオフセットフィン177c、177dを燃料電池セル集合体12よりも上方の発電用空気供給通路177内の位置に設けたので(図16参照)、排気ガスによる発電用空気の昇温性能を高めることができる。これにより、発電用空気供給通路177が燃料電池セル集合体12の側方を通過するが(図16参照)、発電用空気が燃料電池セル集合体12の側方を流れる前に発電用空気を十分に昇温させておくことができ、簡易な構成にて、燃料電池セル集合体12の下側が低温になってしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、改質器120の外側面とモジュールケース8の内側面との間に第3排気通路173を更に形成したので、排気ガスを発電用空気だけでなく改質器120とも熱交換させることができ、簡易な構成にて、改質器120及び発電用空気の両方の昇温を実現することができる。
また、本実施形態によれば、改質器120の改質部120cとモジュールケース8の天板8aとの間に設けた遮蔽板120gによって、この遮蔽板120gの上方に排気ガスがほとんど流れないガス溜203を形成したので、排気ガスが第2排気通路172の排気ガス導入口172bから導入される前に、排気ガスの熱がモジュールケース8の天板8aなどにより奪われてしまうことを抑制することができる。これにより、第2排気通路172に導入する排気ガスの温度を高く維持することができ、つまり第2排気通路172に高温の排気ガスを導入することができ、短い熱交換距離でも発電用空気に対する高い昇温性能を実現することができる。
加えて、本実施形態によれば、上記した遮蔽板120gの下方で且つ改質部120cの上方に排気誘導室201を形成したので、この排気誘導室201に誘導した排気ガスによって改質部120cを上方から加熱することができる。この場合、改質部120cの上方の遮蔽板120gが反射板として機能するので、遮蔽板120gによる輻射熱を改質部120cに更に与えることができ、改質部120cを効果的に昇温することができる。加えて、遮蔽板120gの上方のガス溜203が断熱層として機能するので、改質部120cの温度を適切に維持することができる。
また、本実施形態によれば、第3排気通路173を通過する排気ガスを排気誘導室201に指向させる排気ガイド板205を設けたので、排気ガスが第3排気通路173から第2排気通路172へと直ぐに流入してしまうことを抑制し、第3排気通路173を通過中の排気ガスを改質部120cの上面に適切に流させることができ、この排気ガスによって改質部120cを上方から効果的に加熱することができる。この場合、排気誘導室201の上部に遮蔽板120gを設けたので、天板8a側に排気ガスが流れてしまうことはない。
次に、本発明の第2実施形態の変形例について説明する。
図21を参照して、本発明の第2実施形態の変形例による遮蔽板について説明する。図21は、本発明の第2実施形態の変形例による遮蔽板を適用した燃料電池モジュールの一部分を示す概略断面図である。
図21に示すように、本変形例による遮蔽板120jは、上述した遮蔽板120g(図16及び図18参照)と同様の位置に設けられているが、縁部が上方向に傾斜した傾斜部120kを有する。この遮蔽板120jの傾斜部120kは、第2排気ガイド部に相当し、図21中の矢印に示すように、排気ガスが第2排気通路172の排気ガス導入口172bに流れ込むように指向させる。本変形例では、第2排気通路172は、水平方向だけでなく、水平方向に延びた先で下方向にも延びており、排気ガス導入口172bは、この第2排気通路172の水平部よりも下方に位置する。また、本変形例でも、遮蔽板120jより下方且つ予熱部120b及び改質部120cの上方の空間は、排気誘導室201を形成し、遮蔽板120jより上方且つ第2排気通路172の下方の空間は、ガス溜203を形成する。
このような変形例によれば、遮蔽板120jに設けた傾斜部120kによって、排気ガスが排気ガス導入口172bから第2排気通路172へと流れ込むように、排気ガスを効果的に誘導することができる。そのため、高温に維持された排気ガスを第2排気通路172に導入することができ、第2排気通路172内の排気ガスと発電用空気供給通路177内の発電用空気との熱交換性を向上させることができる。加えて、排気ガスを誘導するための部材を別途用いないので、燃料電池モジュール2Xの小型化を実現することができる。
次に、図22を参照して、本発明の第2実施形態の変形例による改質器について説明する。図22は、本発明の第2実施形態の変形例による改質器の断面斜視図である。図22は、図18(A)のXVIIIC-XVIIIC線と同様の切断線に沿った断面図である。
図22に示すように、本変形例による改質器120Xは、上記した改質部120cの凹部120d(図18参照)に対応する部分に、当該改質器120X(詳しくは改質部120cが形成された部分)を上下方向に貫通するように延び、下方の燃焼室18で生成された排気ガスを通過させる貫通孔120mが形成されている。この貫通孔120mには、混合ガス供給管162の予熱部162aが配置されている。このような貫通孔120mを有する改質器120Xでは、排気ガスは、改質器120の予熱部120b及び改質部120cの外側面とモジュールケース8の内側面との間だけでなく、改質器120Xの貫通孔120mも通過して、下方から上方へと流れていく。
また、本変形例による改質器120Xは、天板120fと遮蔽板120gとの間に、中央部(貫通孔120mに面する部分)が下方に凹んだ遮蔽板120nが更に設けられている。このような遮蔽板120nを更に設けた場合、遮蔽板120nと天板120fとの間の空間は排気誘導室201を形成し、遮蔽板120nと遮蔽板120gとの間の空間はガス溜204を形成し、遮蔽板120gと平板120hとの間の空間はガス溜203を形成する。つまり、二つのガス溜203、204、言い換えると二つの断熱層が形成されることとなる。
なお、図22に示した変形例では、改質器120Xに一つの貫通孔120mのみを設けていたが、他の実施形態では、改質器120Xに、貫通孔120mと同様の貫通孔を二つ以上設けてもよい。その場合、二つ以上の貫通孔のいずれか一つの貫通孔内に混合ガス供給管162を設ければよい。また、更に他の実施形態では、改質器120Xの貫通孔120mの上部をプレートなどで塞いで凹部を形成してもよい。