JP6372347B2 - 含油スカムの粘度低減方法 - Google Patents
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特許文献1は、含油廃水から油分離槽にて浮上油を分離した後、無薬注で加圧浮上槽にてさらに浮上油を分離して浮上油を2段階で除去し、その後エマルジョンブレークし凝集剤を添加して、分離された油分を凝集加圧浮上濃縮槽にてスカムとして浮上させるとともに濃縮して除去するものである。
しかし、特許文献1は油水分離のみに着目しており、含油スカムの粘度低減に関しては何ら考慮していない。
また、含油スカムについては水の添加によっても粘度を低減することが可能であるが、スカムの水分が増加することによって、焼却処分の際に助燃剤が大量に必要となったり、水分の存在により含油スカムの熱量が低下し、含油スカムの再資源化が困難になるという問題がある。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[7]を提供する。
[2]前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである上記[1]に記載の含油スカムの粘度低減方法。
[3]前記含油スカムの粘度が1000mPa・s以上である上記[1]又は[2]に記載の含油スカムの粘度低減方法。
[4]以下(1)、(2)の工程を順に行う、含油スカムの粘度低減方法。
(1)含油スカムの含水率を80質量%以下に低減する油水分離工程。
(2)工程(1)を経た含油スカムに対して、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤を添加する粘度低減工程。
[5]前記ノニオン系界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである上記[4]に記載の含油スカムの粘度低減方法。
[6]工程(1)を経た含油スカムの粘度が1000mPa・s以上である上記[4]又は[5]に記載の含油スカムの粘度低減方法。
[7]工程(1)の含油スカムが、圧延工程で発生した含油スカムである上記[4]〜[6]の何れか1項に記載の含油スカムの粘度低減方法。
本発明の含油スカムの粘度低減方法Aは、含水率80質量%以下の含油スカムに対して、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤を添加する粘度低減工程を含むものである。
本発明の含油スカムの粘度低減方法A及びBに適用可能な含油スカムは特に制限されない。含油スカムの由来としては、冷間圧延等の金属の圧延処理等で生じる含油排水が挙げられる。
含水率80質量%以下の含油スカムは、主として、油水分離工程が経られた含油スカムである。
本発明の含油スカムの粘度低減方法Aは、含水率20〜50質量%の含油スカムを用いた場合に、より効果を良好にすることができる。
ノニオン系界面活性剤としては、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するものを用いる。
第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤は、含油スカムに溶けやすく、かつ油成分に作用しやすいと考えられる。そして、該ノニオン系界面活性剤が含油スカム中の油成分に作用すると、油分に含まれるワックス成分の結晶化が阻害され、含油スカムの粘度を低減できると考えられる。また、該ノニオン系界面活性剤が含油スカム中の油成分に作用すると、含油スカム中の油滴の分散を促進することにより、含油スカムの粘度を低減できると考えられる。
式(1)中、R1は炭素数8〜22の分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数2又は3のアルキレン基を示し、m1は2〜20の整数を示す。
R3−O−(R4−O)m2−(R5−O)m3−H (2)
式(2)中、R3は炭素数8〜22の分岐のアルキル基を示し、R4は炭素数2〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基、R5は炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、R4及びR5はそれぞれ異なり、m2及びm3はそれぞれ0〜20の整数を示すが、m2及びm3が同時に0となることはない。
上記の中でも、式(1)で示すものが好ましい。また、式(1)中のR1の及び式(2)中のR3の炭素数は10〜16が好ましい。また、式(1)中のR2の炭素数は2であることが好ましい。また、式(1)中のm1は4〜10の整数であることが好ましい。
本発明の含油スカムの粘度低減方法Bは、以下(1)、(2)の工程を順に行うものである。
(1)含油スカムの含水率を80質量%以下に低減する油水分離工程。
(2)工程(1)を経た含油スカムに対して、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤を添加する粘度低減工程。
このように、本発明の含油スカムの粘度低減方法Bは、油水分離工程と粘度低減工程とを切り分け、かつ粘度低減工程において特定の薬剤(第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤)を用いることによって、含油スカム中の水分の増加を伴うことなく、含油スカムの粘度を低減することができる。
このため、 工程(1)の油水分離工程は、含油スカムに薬剤を添加して行うことが好ましい。
工程(1)の油水分離工程に用いる薬剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
R6−O−(R7−O)m4−SO3X (3)
式(3)中、R6は炭素数12〜15のアルキル基を示し、R7は炭素数2〜3のアルキレン基を示し、m4は2〜4の整数を示し、XはNa、NH(CH2CH2OH)3から選ばれる何れか一種を示す。
含油スカムの粘度低減方法A及びBともに、本発明の目的が損なわれない範囲で、各種の添加成分、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を添加することできる。これらの添加成分は一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
冷間圧延を経た含油排水の油水分離槽で採取した含油スカムの全量に対して、油水分離剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム:エチレンオキサイド付加モル数2、アルキル基炭素数12)が10,000mg/Lの濃度となるように添加し、攪拌機で30分攪拌した後、16時間静置して、分離した水分を除去して、油水分離工程を行った。油水分離後の含油スカムは、含水率が40質量%、20℃の粘度が2200mPa・sであった。粘度測定の際は東京計器社製のB型粘度計を使用し、ローターNo.6、40rpmの条件で測定した。含油スカムの含水率は、JIS K−2275の蒸留法に準拠して、含油スカム中の水分量を測定することにより算出した。
[実施例1〜2]、[比較例1〜3]
上記1の油水分離工程後の含油スカムが入った缶を30〜40回撹拌混合した。攪拌した含油スカムを100mlの試験管に100g注ぎ、表1の薬剤を含油スカムの全量に対して表1の濃度となるように添加した。試験管内の試料をスパーテルで120秒攪拌し、含油スカムと薬剤とを混合し、試料温度が20℃の条件で粘度を測定した。粘度測定の際はB型粘度計を使用し、ローターNo.6、40rpmの条件で測定した。結果を表1に示す。
薬剤1:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業社製、商品名:サンノニックSS-50、HLB値:10.5、アルキル基炭素数:11〜15、第二級アルコールに由来するアルキル基含有、エチレンオキサイド付加モル数5)
薬剤2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業社製、商品名:サンノニックSS-90、HLB値:13.2、アルキル基炭素数:11〜15、第二級アルコールに由来するアルキル基含有、エチレンオキサイド付加モル数9)
薬剤3:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーCL-40、HLB値:8.9、アルキル基炭素数:11〜15、第一級アルコールに由来するアルキル基含有、エチレンオキサイド付加モル数4)
薬剤4:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(三洋化成工業社製、商品名:ナロアクティーCL-85、HLB値:12.6、アルキル基炭素数:12〜14、第一級アルコールに由来するアルキル基含有、アルキレンオキサイド付加モル数8.5)
Claims (5)
- 含水率80質量%以下の含油スカムに対して、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤を添加する粘度低減工程を含む、含油スカムの粘度低減方法であって、該ノニオン系界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、含油スカムの粘度低減方法。
- 前記含油スカムの粘度が1000mPa・s以上である請求項1に記載の含油スカムの粘度低減方法。
- 以下(1)、(2)の工程を順に行う、含油スカムの粘度低減方法。
(1)含油スカムの含水率を80質量%以下に低減する油水分離工程。
(2)工程(1)を経た含油スカムに対して、第二級アルコールに由来するアルキル基を有するノニオン系界面活性剤を添加する粘度低減工程であって、該ノニオン系界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、粘度低減工程。 - 工程(1)を経た含油スカムの粘度が1000mPa・s以上である請求項3に記載の含油スカムの粘度低減方法。
- 工程(1)の含油スカムが、圧延工程で発生した含油スカムである請求項3又は4に記載の含油スカムの粘度低減方法。
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