JP6372140B2 - 点火装置 - Google Patents
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Description
なお、以下では、エネルギー投入回路により継続させる火花放電、つまり、主点火に続く火花放電を継続火花放電と呼ぶ。また、継続火花放電が続く期間を放電継続期間と呼ぶ。
さらに、装置個体差、経年劣化および放電環境の多様性等に影響されず火花放電を安定して継続させるため、2次電流を検出してエネルギー投入回路にフィードバックするフィードバック回路を追加した構成を考案した(特願2013−246091参照。この技術は非公知である。)。
図8に示す点火装置100は、フルトラに基づく主点火を点火プラグ101に生じさせる主点火回路102と、主点火に継続させて継続火花放電を生じさせるエネルギー投入回路103とを備える。
ところで、エネルギー投入回路を備える点火装置の部品構成として、次のような態様を提案した。すなわち、この態様では、点火コイルを内蔵するコイル筐体を気筒数と同数設けるとともに、気筒数と同数の主点火回路やエネルギー投入回路等を内蔵する1つのコントローラ筐体を設ける。
なお、特許文献1には、エネルギー投入回路を備えず、いわゆる多重放電を行う点火装置において、1次電流や2次電流を検出して多重放電の制御に利用する技術が開示されている。しかし、特許文献1の技術でも、点火コイルと各種回路とは別体で構成されているのが通常であり、点火コイルと各種回路との間は筐体外の配線により接続されているものと考えられる。
主点火回路は、点火コイルの1次コイルの通電制御を行って点火プラグに火花放電を生じさせる。また、エネルギー投入回路は、主点火回路の動作によって開始した火花放電中に、1次コイルの通電制御を行って、点火コイルの2次コイルに同一方向の2次電流を継続して流し、主点火回路の動作によって開始した火花放電を継続させる。さらに、フィードバック回路は、2次電流を検出してエネルギー投入回路にフィードバックする。
そして、点火コイル、主点火回路、フィードバック回路および投入エネルギー制御手段は、1つのアセンブリとして内燃機関の気筒数と同数設けられ、それぞれの気筒に組み付けられている。
これにより、昇圧回路の総数を減らしてコストを低減することができる。
本願の第1、第2発明に従属する第3発明によれば、アセンブリは、主点火回路およびエネルギー投入回路を過電流や過電圧から保護する保護回路を有し、保護回路は、1つのアセンブリにおいて主点火回路およびエネルギー投入回路により共用される。
これにより、保護回路に関わるコストを低減することができる。
図1を参照して参考例2の点火装置1を説明する。
点火装置1は、車両走行用の火花点火エンジンに搭載されるものであり、所定の点火時期に燃焼室内の混合気に点火するものである。なお、エンジンの一例は、ガソリンを燃料とする希薄燃焼(リーンバーン)が可能な直噴式エンジンであり、気筒内にタンブル流やスワール流等の混合気の旋回流を生じさせる旋回流コントロール手段を備える。そして、リーンバーンのように気筒内のガス流速が高く火花放電の吹き消え発生の可能性がある運転状態において、点火装置1は、主点火に続けて継続火花放電を行うように制御される。
さらに、点火装置1は、エンジン制御の中枢を成す電子制御ユニット(以下、ECU4と呼ぶ。)から与えられる点火信号IGtや放電継続信号IGw等の信号に基づいて点火コイル3の1次コイル5を通電制御するものであり、1次コイル5を通電制御することで点火コイル3の2次コイル6に生じる電気エネルギーを操作して、点火プラグ2の火花放電を制御する。
点火コイル3は、1次コイル5と2次コイル6とを有し、1次コイル5を流れる電流(1次電流)の増減に応じて電磁誘導により2次コイル6に電流(2次電流)を発生させる周知構造である。
まず、昇圧回路15は、ECU4から点火信号IGtが与えられる期間において車載バッテリ12の電圧を昇圧してコンデンサ18に蓄えさせる。
次に、投入エネルギー制御手段16は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーを1次コイル5のマイナス側(接地側)に投入する。
ここで、チョークコイル19は一端が車載バッテリ12のプラス電極に接続され、昇圧用スイッチング手段20によりチョークコイル19の通電状態が断続される。また、昇圧用ドライバ回路21は、昇圧用スイッチング手段20に制御信号を与えて昇圧用スイッチング手段20をオンオフさせるものであり、昇圧用スイッチング手段20のオンオフ動作により、チョークコイル19で蓄えた磁気エネルギーはコンデンサ18で電気エネルギーとして充電される。
また、第2ダイオード22は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーがチョークコイル19側へ逆流するのを防ぐものである。
ここで、投入用スイッチング手段24は、コンデンサ18に蓄えた電気エネルギーを1次コイル5にマイナス側から投入するのをオンオフし、投入用ドライバ回路25は、投入用スイッチング手段24に制御信号を与えてオンオフさせる。
なお、第3ダイオード26は、1次コイル5からコンデンサ18への電流の逆流を阻止するものである。
ここで、フィードバック回路10には、2次電流を検出する2次電流検出抵抗28、および、フィードバック信号を合成して出力する電流検出回路29が設けられている。そして、2次電流の検出値は、2次電流検出抵抗28により電圧に変換されて電流検出回路29に出力される。また、電流検出回路29では、例えば、2次電流に対する上限下限の閾値が設定されており、検出値と上限、下限の閾値との比較に応じたフィードバック信号が合成されて投入用ドライバ回路25に出力される。
なお、図2において、「IGt」は点火信号IGtの入力状態をハイ/ローで表すものであり、「IGw」は放電継続信号IGwの入力状態をハイ/ローで表すものである。また、「I1」、「V1」はそれぞれ1次電流(1次コイル5に流れる電流値)、1次電圧(1次コイル5に印加される電圧値)を表し、「I2」、「V2」はそれぞれ2次電流(2次コイル6に流れる電流値)、2次電圧(2次コイル6に印加される電圧値)を表す。さらに、「Vdc」はコンデンサ18に蓄えられる電気エネルギーを電圧値で表すものである。
点火プラグ2において主点火が開始された後、2次電流は略三角波形状で減衰する(I2の点線を参照。)。そして、2次電流が下限の閾値に到達する前に、放電継続信号IGwがローからハイへ切り替わる(時間t03参照。)。
以上により、投入用スイッチング手段24をオンオフ制御することで、2次電流が火花放電を維持可能な程度に継続して流れる。その結果、放電継続信号IGwのオン状態が続くと、継続火花放電が点火プラグ2において維持される。
まず、参考例2の点火装置1によれば、点火コイル3、主点火回路8、フィードバック回路10および投入エネルギー制御手段16は、1つのユニットとして1つのケース内に収容配置されてアセンブリ31を構成する、そして、アセンブリ31は、エンジンの気筒数と同数設けられ、それぞれの気筒に組み付けられている。また、それぞれのアセンブリ31には、次の保護回路32およびノイズ低減回路33が設けられている(なお、以下の説明では、エンジンの気筒数を4とし、アセンブリ31は4つ設けられているものとする。)。
以下の説明では、同一気筒の昇圧回路15と投入エネルギー制御手段16との間でのみ電気エネルギーの供給が可能であるアセンブリ31を独立型31Aと呼ぶことがある。
参考例2の点火装置1によれば、点火コイル3、主点火回路8、フィードバック回路10および投入エネルギー制御手段16は、1つのアセンブリ31としてエンジンの気筒数と同数である4つ設けられ、それぞれの気筒に組み付けられている。
これにより、1次電流を1次コイル5に通電するための配線(1次側配線)、および、2次電流をエネルギー投入回路9にフィードバックするための配線(2次側配線)をアセンブリ31に内蔵させることができる。
これにより、保護回路32に関わるコストを低減することができる。
これにより、いずれかの気筒において昇圧回路15が故障しても、昇圧回路15が故障していない気筒では、昇圧回路15で昇圧した電気エネルギーを1次コイル5に投入することができる。このため、昇圧回路15が故障していない気筒では継続火花放電を続けることができる。
実施例1の点火装置1によれば、図4に示すように、#1気筒に対応するアセンブリ31のみが昇圧回路15を有し、#2〜#4気筒に対応するアセンブリ31は昇圧回路15を有しない。すなわち、実施例1の点火装置1では、昇圧回路15の総数は1であって気筒数4よりも少ない。そして、#2〜#4気筒の投入エネルギー制御手段16には、#1気筒の昇圧回路15から電気エネルギーが供給される。このため、#2〜#4気筒の1次コイル5には、#1気筒の昇圧回路15で昇圧された電気エネルギーが投入され、#2〜#4気筒における継続火花放電は、#1気筒の昇圧回路15で昇圧された電気エネルギーによって継続する。
実施例1の点火装置1によれば、昇圧回路15の総数は1であって気筒数4よりも少なく、#1気筒のアセンブリ31のみが供給型31Bであり、#2〜#4気筒のアセンブリ31は受入型31Cである。
これにより、昇圧回路15の総数を減らしてコストを低減することができる。
実施例2の点火装置1によれば、図5に示すように、#1、#2気筒のアセンブリ31が供給型31Bであり、#3、#4気筒のアセンブリ31が受入型31Cであり、昇圧回路15の総数は2であって気筒数4よりも少ない。そして、#3気筒の投入エネルギー制御手段16には、#2気筒の昇圧回路15から電気エネルギーが供給され、#4気筒の投入エネルギー制御手段16には、#1気筒の昇圧回路15から電気エネルギーが供給される。
以上より、実施例2でも、昇圧回路15の総数を減らしてコストを低減することができる。
実施例3の点火装置1によれば、図6に示すように、昇圧回路15は、点火装置1以外の装置にも電気エネルギーを与えるものであり、例えば、内燃機関に燃料を噴射して供給するインジェクタ34に電気エネルギーを与える。すなわち、実施例3の昇圧回路15は、インジェクタ34等の機器に高電圧を与えて動作させる機能をECU4から分離して別体としたEDU(エレクトリック・ドライブ・ユニット)35に設けられ、例えば、車載バッテリ12の電圧を昇圧して高電圧を発生するDC−DCコンバータである。
また、実施例3の点火装置1によれば、アセンブリ31は全て受入型31Cであり、全気筒の1次コイル5にEDU35から電気エネルギーが投入され、全気筒における継続火花放電は、EDU35から与えられた電気エネルギーによって継続する。
以上より、実施例3では、昇圧回路15に関わるコストを更に低減することができる。
実施例4の点火装置1は、図7に示すように、車載バッテリ12よりも高い電圧を有する高圧バッテリ38からエネルギー投入回路9に給電するものであり、例えば、エンジンおよび走行用モータを両方とも動力源とする、いわゆるハイブリッド自動車に適用される。そして、実施例4の点火装置1は、走行用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄えるバッテリを高圧バッテリ38として採用する。
以上より、実施例4でも、昇圧回路15に関わるコストを更に低減することができる。
点火装置1の態様は、実施例に限定されず種々の変形例を考えることができる。
例えば、気筒数分のアセンブリ31それぞれに、独立型31A、供給型31Bおよび受入型31Cのいずれを採用するかは任意であり、例えば、1つのエンジンにおいて1気筒分のアセンブリ31を独立型31Aとし、他の3気筒分のアセンブリ31の内、1気筒分を供給型31Bとし、他の2気筒分を受入型31Cとして供給型31Bの昇圧回路15から受入型31Cの投入エネルギー制御手段16に電気エネルギーを供給してもよい。さらに、2気筒分の受入型31Cの内、1気筒分の受入型31Cの投入エネルギー制御手段には、EDU35や高圧バッテリ38から電気エネルギーを供給するようにしてもよい。
さらに、上記の実施例4では、走行用モータを駆動するための電気エネルギーを蓄えるバッテリを高圧バッテリ38として採用したが、走行用モータ以外の装置に電気エネルギーを与えるバッテリを高圧バッテリ38として採用してもよい。
Claims (3)
- 内燃機関用の点火装置(1)において、
点火コイル(3)の1次コイル(5)の通電制御を行って点火プラグ(2)に火花放電を生じさせる主点火回路(8)と、
この主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電中に、前記1次コイル(5)の通電制御を行って、前記点火コイル(3)の2次コイル(6)に同一方向の2次電流を継続して流し、前記主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電を継続させるエネルギー投入回路(9)と、
前記2次電流を検出して前記エネルギー投入回路(9)にフィードバックするフィードバック回路(10)とを備え、
前記エネルギー投入回路(9)は、
車載バッテリ(12)の電圧を昇圧して電気エネルギーとして蓄える昇圧回路(15)と、
前記1次コイル(5)の両側の内、前記主点火回路(8)の動作により前記1次コイル(5)に生じた電流の方向で考えたときに低電位となる側に、前記昇圧回路(15)に蓄えた電気エネルギーを投入するのを制御する投入エネルギー制御手段(16)とを有し、
前記点火コイル(3)、前記主点火回路(8)、前記フィードバック回路(10)および前記投入エネルギー制御手段(16)は、1つのアセンブリ(31)として前記内燃機関の気筒数と同数設けられ、それぞれの気筒に組み付けられ、
前記内燃機関の気筒数と同数のアセンブリ(31)の中の少なくとも1つのアセンブリ(31)は、前記昇圧回路(15)を含んでおり、
前記1つのアセンブリ(31)に含まれる前記昇圧回路(15)は、自気筒の前記1次コイル(5)以外に、前記昇圧回路(15)を含まない別のアセンブリ(31)を経由して他気筒の前記1次コイル(5)にも電気エネルギーを投入することを特徴とする点火装置(1)。 - 内燃機関用の点火装置(1)において、
点火コイル(3)の1次コイル(5)の通電制御を行って点火プラグ(2)に火花放電を生じさせる主点火回路(8)と、
この主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電中に、前記1次コイル(5)の通電制御を行って、前記点火コイル(3)の2次コイル(6)に同一方向の2次電流を継続して流し、前記主点火回路(8)の動作によって開始した火花放電を継続させるエネルギー投入回路(9)と、
前記2次電流を検出して前記エネルギー投入回路(9)にフィードバックするフィードバック回路(10)とを備え、
前記エネルギー投入回路(9)は、
車載バッテリ(12)の電圧を昇圧して電気エネルギーとして蓄える昇圧回路(15)と、
前記1次コイル(5)の両側の内、前記主点火回路(8)の動作により前記1次コイル(5)に生じた電流の方向で考えたときに低電位となる側に、前記昇圧回路(15)に蓄えた電気エネルギーを投入するのを制御する投入エネルギー制御手段(16)とを有し、
前記点火コイル(3)、前記主点火回路(8)、前記フィードバック回路(10)および前記投入エネルギー制御手段(16)は、1つのアセンブリ(31)として前記内燃機関の気筒数と同数設けられ、それぞれの気筒に組み付けられ、
前記昇圧回路(15)は、前記点火装置(1)以外の装置(34)を駆動する電気エネルギーを蓄えるものであることを特徴とする点火装置(1)。 - 請求項1または請求項2に記載の点火装置(1)において、
前記アセンブリ(31)は、前記主点火回路(8)および前記エネルギー投入回路(9)を過電流や過電圧から保護する保護回路(32)を有し、
この保護回路(32)は、1つの前記アセンブリ(31)において前記主点火回路(8)および前記エネルギー投入回路(9)により共用されることを特徴とする点火装置(1)。
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